説明

RFIDラベルを製造する方法

【課題】印刷方法を使用してRFIDラベルを製造する方法が記載される。本発明の課題は、必要とされる部材を簡単にラベルへもたらすこと、及び有利にはさらにアンテナを機械的又は化学的な損傷から保護することである。
【解決手段】本発明によればこのことは、機能のために必要とされるアンテナ及び振動回路の少なくとも一部が、枚葉紙オフセット印刷によって、若しくは直接又は間接に凸版印刷版によって、印刷材料へ適用されることによって成功する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前提部に記載した形式の、RFIDラベルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、スマートラベルとも呼ばれるRFID(Radio Frequency Identification)ラベルを製造する種々の方法に関する。インテリジェントラベル(RFID、スマートラベル)のベースは、いわゆるトランスポンダテクノロジである。その多大な利点は、ラベルと読取り装置との間の機能結合にある。このことは、機械によるデータ収集プロセスを極度に加速し得る。なぜならば、前記読取り装置は、ラベルに対するいかなる光学的な接続も必要としないからである。これにより、例えば箱又は全パレットの内容を誤差なしに検知することができる。インテリジェントラベル内に安全コードを保管することもでき、このことによって、パッケージ偽造(例えば薬品産業)又は窃盗を一義的に識別することができる。
【0003】
ワイヤレスで識別するためのシステムは、2つの構成要素、すなわち、製品に貼付されるRFIDラベル(スマートラベル)と、データがラベルから読み出され得るか又は電送され得るようになっている書込み/読取り装置とから成っている。トランスポンダは、構成に応じて、単純な識別番号から複雑なデータ(例えば賞味期限、製造場所、製造日及び販売価格等)に至るまで記憶する。測定データを記憶することもできる。トランスポンダは、大抵、組み込まれた回路と、アンテナと、別の受動的な構成要素とから成っている。エネルギ供給の形式では、能動的なトランスポンダと受動的なトランスポンダとに区別される。ラベルが例えばバッテリとしてのエネルギ供給装置を有している場合には、能動的なシステムという表現が用いられる。トランスポンダに外部の磁界又は電界を介してエネルギが供給される場合には、当該トランスポンダは受動的なシステムと呼ばれる。
【0004】
移動式のデータ担体のアンテナに結合されているトランスポンダICは、データの送信/受信を引き受ける。受動的なRFIDトランスポンダの場合には、通常、全ての知能及び機能性がこのスイッチング回路内に組み込まれている。
【0005】
さらに、幾つかの型は、振動回路のためのオン・チップ共振コンデンサ(On-Chip Resonanz Kondensator)を有しているので、アンテナコイル以外には外部のいかなる別の構成要素も必要とされない。前記単数のコンデンサ又は必要とされる複数のコンデンサは、印刷技術的な方法によって形成することもできる。RFIDラベルを製造するための古典的かつ公知の方法は、コーティングされた箔若しくはシートをラベルへ積層すること、アンテナをスクリーン印刷方法によって印刷すること、又はインクジェット方法による製造である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、必要とされる部材を簡単にラベルへもたらすこと、及び有利にはさらにアンテナを機械的又は化学的な損傷から保護することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、独立請求項の特徴部に記載の特徴によって解決される。本発明のさらなる実施態様は、それぞれの従属請求項から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に従って製造されたラベルの平面図である。
【図2】本発明による、コンデンサを製造する方法を示す平面図である。
【図3】本発明による、コンデンサを製造する別の方法を示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明によれば、少なくとも、機能のために必要とされるアンテナ及び/又は振動回路の部材が、オフセット印刷で印刷材料(被印刷体)へ適用されること、若しくは、機能のために必要とされるアンテナ及び振動回路の少なくとも一部が、直接又は間接に凸版印刷版によって適用されることが考えられている。次いで、印刷後、大抵はケーシングを備えていない(ungehaust)チップが、接着又はろう接方法によって被着されるだけでよい。
【0010】
アンテナのデザインに際して、以下の値、すなわち、インダクタンス、コイル面積、オーム抵抗、及び巻条間(巻回部間)のカップリングキャパシタンスが重要である。特性値からの逸脱によって、読取り/書込み装置とトランスポンダとの間のコンタクトが成立しないという結果が生じることがあり得る。共振周波数は高い品質で達成されなければならないので、印刷品質には極めて高い要求が課せられる。
【0011】
本発明によれば、金属インキ又は導電性のペーストが、枚葉紙又はウェブオフセット印刷機内で、水なしオフセット版又は湿式オフセット版を介してゴムブランケットを介して印刷材料へ転写される。印刷された線はアンテナを形成し、かつ場合によっては全振動回路を形成し、後に、必要とあればチップがろう接又は接着される。振動回路の構成部分が印刷される印刷材料は、繊維材料(紙、フリース等)、天然繊維又は人造繊維から成る織物、又はプラスチックシートであってよい。本発明に従って製造されたラベルの平面図は、図1に示されている。
【0012】
浸透性の印刷材料は、例えば該印刷材料が紙又は他の繊維材料である場合には、導電性の印刷インキ又はペーストの浸透若しくは吸収を回避するために、前処理されていてよい。該前処理は、フレキソ印刷機構又はオフセット印刷機構を介したニス供給又は前印刷インキの供給であってよい。ラベル背面へシートが貼り合わせられていること、又はラベルの背面が既に製造業者によって前処理されていることも可能である。印刷材料内への印刷インキの極めて強い浸透に際して、第3の平面によってインダクタンスに変化が生じることが起こり得る。水なし印刷のための印刷版を用いた供給は、湿式オフセットに比べて有利である。なぜならば、湿式オフセットにおいて必要とされる湿し媒体がインキの腐蝕を生ぜしめることがあり、かつ印刷の精度もより高いからである。水なしオフセットでは、より高い分解度若しくはより微細な線太さ(Linienstaerke)を印刷することもできる。
【0013】
振動回路の製造のために必要とされるコンデンサは、2本の線(両線は、短い方の線の両端で再び互いに結合されている)が互いに狭い間隔を保って並べて印刷される(図2)ことによって形成され得る。あるいは、まず基本線が印刷され得、次いで、絶縁性の材料がその上側へ印刷されて、さらに、第3の印刷機構内で基本線(Gegenlinie)が上へ印刷される(図3)。
コンデンサはチップ内に組み込まれていてもよい。他のスイッチング回路素子、例えば抵抗体を、線太さの先細化(先細りさせること)によって印刷することもできる。
【0014】
理論上は、コンデンサ線を印刷材料の両面へ、互いに反対の側の位置に印刷することもできよう。このためには、印刷材料は、インキ供給に際して互いに反対の側に位置する2本の線の間に結合が生ぜしめられるように、予め穿孔されなければならないであろう。
【0015】
最後に、アンテナ及び振動回路は、機械的、化学的又は酸化的な損傷から印刷を保護する保護ニスで覆うことができる。これとは択一的に、保護シートを張ることができる。
【0016】
第2の方法では、接着材料が印刷機構を介して前印刷され(すなわち、予め印刷され)、該接着材料が印刷された枚葉紙は、金属材料又は他の導電性材料でコーティングされているトランスファシート(Transferfolie)に接触させられる。被着された接着材料を備えた箇所において、導電性材料が担体シートから剥がされ、かつ印刷材料へ転写される。この場合、該印刷材料が振動回路、アンテナ、又はこれらの構成部分を形成する。
【0017】
第3の方法としては、アンテナ/振動回路の線をフレキソ印刷方法によって供給することが考えられる。しかしながら、欠点は、フレキソ印刷版が非精密な調整で提供された場合に、押しつぶし縁部(Quetschraender)が生じ得ることである。該押しつぶし縁部は、キャパシタンス変化による不都合な変化、振動回路の特性の不都合な変化を生ぜしめる恐れがある。
【符号の説明】
【0018】
1 振動回路の構成部分としての基本線
2 平行線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷方法を使用してRFIDラベルを製造する方法において、
機能のために必要とされるアンテナ及び振動回路の少なくとも一部を、枚葉紙オフセット印刷によって印刷材料へ適用し、
導体路の印刷のために、導電性のペースト又は印刷インキを使用し、
インキ供給を、グリッパ搬送を伴う枚葉紙オフセット機内で行い、
アンテナ/振動回路の構成部分の印刷後、保護ニス又は保護インキを供給し、
保護ニス又は保護インキを、枚葉紙オフセット印刷機構を介して転写し、
浸透性の印刷材料の場合には、浸透特性を低下させるニス又は前印刷インキによる前塗り、前ニス引き又は前印刷を行うことを特徴とする、RFIDラベルを製造する方法。
【請求項2】
前記導電性の印刷インキが、金属粒子を備えたインキである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記導電性のインキが煤又は炭素繊維を含有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
インキ供給をウェブオフセット機の内部で行う、請求項1記載の方法。
【請求項5】
アンテナ/振動回路の構成部分を枚葉紙裏面へ適用し、次いで、該枚葉紙を反転装置内で裏返す、請求項1記載の方法。
【請求項6】
保護ニスを、チャンバドクタ及びアニロックスローラ若しくはグリッドローラを備えたフレキソ印刷機構を介して転写する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
保護ニスをツーローラフレキソ印刷機構を介して適用する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
印刷材料が繊維材料である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
印刷材料が箔若しくはシートである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
印刷材料が、天然繊維及び/又は人造繊維から成る織物である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前塗り、前ニス引き又は前印刷を、直接的な凸版印刷機構を用いて行う、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前塗り、前ニス引き又は前印刷インキを、凸版印刷版によって間接にゴム胴を介して適用する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前塗り、前ニス引き又は前印刷インキを、オフセット印刷機構を介して適用する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
矩形状の容量性の素子(コンデンサ)を製造するために、振動回路の構成成分としての矩形状の長線をなす一の線を印刷し、該一の線より短く、且つ前記一の線に略平行な振動回路の構成部分としての他の線を印刷し、該他の線の両端と前記一の線とを接続する2本の短い線を互いに間隔を保って印刷する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
積層構造の容量性の素子(コンデンサ)を製造するために、まず、振動回路の構成部分としての第1の基本線を印刷し、次いで、請求項1記載の方法で部分的に絶縁体を前記第1の基本線の上へ印刷し、さらに、第3の作業ステップで、請求項1記載の方法で振動回路の構成部分としての第2の基本線を前記絶縁体の上へ印刷する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
印刷方法を使用してRFIDラベルを製造する方法において、
機能のために必要とされるアンテナ及び振動回路の少なくとも一部を、枚葉紙オフセット印刷によって印刷材料へ適用し、
印刷機構を介して、接着材料を印刷材料に前印刷し、
前記接着材料が印刷された前記印刷材料を、導電性材料でコーティングされているトランスファシートに接着させ、
被着された前記接着材料を備えた箇所において、前記トランスファシートから前記導電性材料を剥し、且つ前記印刷材料に転写し、
これにより、前記印刷材料が、前記振動回路、前記アンテナ、又はこれらの構成部分を形成することを特徴とするRFIDラベルを製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−54207(P2011−54207A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270569(P2010−270569)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【分割の表示】特願2006−520781(P2006−520781)の分割
【原出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(599011584)マンローラント・アーゲー (257)
【Fターム(参考)】