説明

RFID用紙、RFID用紙用プリンターおよびRFID用紙の移送方法

【課題】RFID用紙用プリンター31の移送路12におけるRFID用紙30との間でのデータの読取りおよび書込み処理や印字処理を無駄なバックフィード処理なしに実行し、RFID用紙用プリンター31の移送制御を簡素化し、RFID用紙30の処理性能を向上可能なRFID用紙、RFID用紙用プリンター31およびRFID用紙の移送方法を提供すること。
【解決手段】RFID用紙30(用紙片6)における無線によるデータ通信が可能なRFIDインレット4の相対的な位置をあらかじめ設定することに着目したもので、用紙本体3における用紙片6の移送方向先端部6AとRFIDインレット4におけるRFIDアンテナ10との間の用紙間隔L2を、RFID用紙用プリンター31におけるデータ読取り書込み部14と印字部15との間の装置間隔D2に合わせたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRFID(Radio Frequency Identification;無線自動認識)用紙、RFID用紙用プリンターおよびRFID用紙の移送方法にかかるもので、とくにRFID用紙に対する無駄な正逆移送動作を省くことが可能なRFID用紙、RFID用紙用プリンターおよびRFID用紙の移送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ICチップおよびRFIDアンテナを有して無線によりデータの書込みおよび読取りを行うことができるRFID用紙をラベルあるいはタグなどの形態とし、各種物品についての各種データの読み書きを行って、必要なデータ管理など諸々の分野に利用している。
【0003】
図3は、従来からのRFID用紙1を装填して、移送、データ通信および印字を行うためのRFID用紙用プリンター(たとえばサーマルプリンター2)の概略側面図、図4は、RFID用紙1の平面図、図5は、RFID用紙1の裏面図、図6は、図4のVI−VI線断面図である。
とくに図4ないし図6に示すように、RFID用紙1は、たとえばラベル連続体としてこれを構成したもので、帯状の用紙本体3と、RFIDインレット4と、を有する。
【0004】
用紙本体3は、帯状の台紙5に単葉の用紙片(ラベル片6)の複数枚を連続して仮着した状態に設けている。ただし、隣り合うラベル片6は、必要に応じて、その間にギャップを設けるか、互いに連接した状態に仮着することができる。
すなわち、ラベル片6はその裏面側に粘着剤層7を有し、これを台紙5に仮着しているとともに、台紙5との間にRFIDインレット4を挟み込んで配置し、台紙5からRFIDインレット4とともにはがして所定の管理物体(図示せず)にこれを貼り付け可能としている。
なおラベル片6は、移送方向先端部6Aおよび移送方向後端部6Bを有し、台紙5の裏面側には、ラベル片6の移送方向後端部6Bに相当する部位に位置して位置検出用マーク8をあらかじめ印刷してある。
【0005】
RFIDインレット4は、ICチップ9およびRFIDアンテナ10を有して無線によるデータ通信が可能である。
なお、データ通信に使用する周波数帯は、UHF帯(300MHz〜3GHz(好ましくは860〜960MHz、さらに具体的には、433MHz、900MHz、920〜925MHz、950〜956MHz)やマイクロ波(1〜30GHz、具体的には2.45GHz)、HF帯(3MHz〜30MHz(好ましくは13.56MHz))あるいは135kHz以下など、その他、所定の周波数帯の電波および電磁的作用などにより、RFIDアンテナ10を介してICチップ9に必要なデータの無線による読み取りおよび書き込み(データ通信)を行う。
ただし、それぞれの使用電波に応じてICチップ9およびRFIDアンテナ10の具体的構成を適正なものとしている。
【0006】
サーマルプリンター2は、RFID用紙1の供給部11と、移送路12と、位置検出部13と、データ読取り書込み部14と、印字部15と、制御部16と、を有し、RFID用紙1を装填して移送路12に移送し、RFIDインレット4との間のデータ通信および用紙片6への印字を行う。
【0007】
供給部11は、帯状のRFID用紙1をロール状に保持するとともに、移送路12内にRFID用紙1を帯状に繰り出し、移送可能とする。
【0008】
位置検出部13は、用紙本体3の移送路12内における位置を検出可能であって、移送路12においてデータ読取り書込み部14の上流側に位置し、任意のタイプのセンサーたとえば反射型の位置検出センサー17を有し、RFID用紙1における台紙5の裏面側の位置検出用マーク8を検出して、サーマルプリンター31における移送路12内での用紙片6の位置を検出可能とする。
【0009】
データ読取り書込み部14は、RFIDインレット4との間のデータ通信を行うもので、リーダーライターアンテナ18を有し、ラベル片6のRFIDインレット4(ICチップ9、RFIDアンテナ10)との間でのデータ通信、具体的には、ICチップ9内にあらかじめ書き込んであるデータの読み取り、およびICチップ9への必要なデータの書き込みを可能とする。
【0010】
印字部15は、移送路12においてデータ読取り書込み部14の下流側に位置するとともにそれぞれの用紙片6に必要な内容の印字を順次行うもので、サーマルヘッド19と、プラテンローラー20と、熱転写インキリボン21の供給軸22および巻取り軸23と、を有し、RFID用紙1をサーマルプリンター2内に装填して、サーマルヘッド19およびプラテンローラー20の間にこれを挟持し、プラテンローラー20の回転駆動により移送路12を移送されてくるRFID用紙1(ラベル片6の表面)にサーマルヘッド19の発熱素子19Aの部分で印字を行う。
【0011】
制御部16は、上述した各部(供給部11、位置検出部13、データ読取り書込み部14および印字部15)を制御する。
【0012】
なおサーマルプリンター2には、必要に応じて、印字部15の下流側に、台紙5からラベル片6を剥離するための剥離部、あるいはラベル片6を台紙5とともに切断するための切断部(ともに図示せず)を設けることができる。
【0013】
図7は、RFID用紙1の移送にともなう処理の手順を示した説明図であって、図7(1)は位置検出センサー17が位置検出用マーク8を検出した状態を示し、図7(2)はRFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な最適位置にある状態を示し、図7(3)はRFID用紙1(ラベル片6)への印字開始可能な頭出しの状態を示し、図7(4)は印字が終了した状態を示し、図7(5)はRFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な位置までRFID用紙1をバックフィード(上流側方向への逆移送)した状態を示している。
図7に示すように、位置検出センサー17とリーダーライターアンテナ18との間の第1の間隔D1、およびリーダーライターアンテナ18とサーマルヘッド19(サーマルヘッド19とプラテンローラー20の接点における発熱素子19A)との間の第2の間隔D2(装置間隔)は、サーマルプリンター2としてあらかじめ設定されているとともに、位置検出用マーク8とRFIDアンテナ10(その最適感度位置、たとえばRFIDアンテナ10の中央部とする)との間の第3の間隔D3もRFID用紙1の作成時に設定されており、位置検出センサー17がラベル片6の位置検出用マーク8を検出することにより、移送路12内におけるラベル片6の位置を確認してデータ読取り書込み部14および印字部15における処理を行う。
【0014】
すなわち図8は、RFID用紙1の移送にともなう処理のフローチャート図であって、まずステップS1においてRFID用紙1の移送を開始し、位置検出センサー17が位置検出用マーク8を検出し(図7(1)参照)、ステップS2においてデータ読取り書込み部14によるRFID用紙1(RFIDインレット4)との間のデータの読取りおよび書込みが可能な位置(図7(2)参照)にRFID用紙1(ラベル片6)が至ったかを判断する。
具体的には、位置検出センサー17が位置検出用マーク8を検出してから、必要な間隔(D1−D3)分だけRFID用紙1を移送した時点で、RFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な位置に至る。
【0015】
ステップS3において、データ読取り書込み部14にRFIDインレット4のRFIDアンテナ10が位置した際にRFID用紙1の移送を停止して、データ通信を行う。すなわち、データ読取り書込み部14とRFIDインレット4との間のデータ通信を行って、データの読取りおよび書込みを行い、ステップS4においてデータ通信が正常に行われたかを確認し、行われていなければステップS5において、警告音あるいは警告表示その他必要なエラー処理を行う。
【0016】
ステップS4においてデータ通信が正常に行われれば、RFID用紙1を移送路12中でさらに順方向下流側に移送し、第4の間隔D4(図7(2)において、ラベル片6の移送方向先端部6Aからサーマルヘッド19の発熱素子19Aまでの間隔)分だけ移送し、ステップS6において印字部15による印字開始可能位置(図7(3)参照)にRFID用紙1が至ったかを判断し、ステップS7において必要な印字処理(図示の例では、たとえば「ABCDE」との印字内容その他バーコードや必要な情報)を行い、ステップS8において印字が終了したか(図7(4)参照)を判断する。
【0017】
さらに、ステップS9においてRFID用紙1全体を逆方向上流側にバックフィードすることにより、RFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な位置(図7(5)参照)につぎのラベル片6をセットし、つぎのラベル片6との間のデータ通信および印字処理を上述と同様にして行うことになる。
【0018】
しかしながら、上述のような従来のRFID用紙1ないしはサーマルプリンター2においては、位置検出センサー17がラベル片6を位置検出することのみにより、リーダーライターアンテナ18の近傍にラベル片6がデータ通信可能な位置に至ったことを検出演算していたため、このようなラベル片6とリーダーライターアンテナ18との間の位置合わせのために無駄な処理(すなわち、上記ステップS9などのバックフィード処理)を行わざるを得ないという問題がある。
したがって、サーマルプリンター2による移送その他の各種制御が複雑化するとともに、単位時間あたりのRFID用紙1(ラベル片6)の処理量が低下するという問題がある。
【0019】
もちろん、図8のフローチャート図による手順に限らず、ラベル片6のサイズや、ラベル片6におけるRFIDインレット4の位置、さらにはRFIDインレット4のとくにICチップ9の部分にサーマルヘッド19およびプラテンローラー20による印字圧をかけるとICチップ9が破損するおそれがあることからラベル片6への印字レイアウトなどによっては、ステップS9のようなバックフィード処理をステップS6やステップS7の前に行う必要がある場合もある。
【0020】
なお、RFID用紙としては、上述のようなラベル連続体に限らず、台紙や粘着剤層を有せずタグ片(用紙片)を直接連続して設けた構造のタグ連続体でも同様の諸問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2006−272844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、RFID用紙用プリンターの移送路中でRFID用紙の移送処理を無駄なく行うことができるようにしたRFID用紙、RFID用紙用プリンターおよびRFID用紙の移送方法を提供することを課題とする。
【0023】
また本発明は、RFID用紙との間でのデータの読取りおよび書込み処理、さらには印字処理をバックフィードせずに実行可能なRFID用紙、RFID用紙用プリンターおよびRFID用紙の移送方法を提供することを課題とする。
【0024】
また本発明は、RFID用紙用プリンターの処理を簡素化可能なRFID用紙、RFID用紙用プリンターおよびRFID用紙の移送方法を提供することを課題とする。
【0025】
また本発明は、RFID用紙用プリンターの移送制御を簡素化し、RFID用紙(用紙片)の処理性能を向上可能なRFID用紙、RFID用紙用プリンターおよびRFID用紙の移送方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
すなわち本発明は、RFID用紙(用紙片)におけるRFIDインレット(RFIDアンテナ)の相対的な位置をあらかじめ設定することに着目したもので、第一の発明は、単葉の用紙片の複数枚を連続して設けて帯状とした用紙本体と、それぞれの上記用紙片に備えるとともに、ICチップおよびRFIDアンテナを有して無線によるデータ通信が可能なRFIDインレットと、を有し、データ読取り書込み部および印字部を有するプリンター内に装填してその移送路内を移送して、このデータ読取り書込み部による上記RFIDインレットとの間のデータ通信およびこの印字部による上記用紙片への印字を行うためのRFID用紙であって、上記用紙本体における上記用紙片の移送方向先端部と上記RFIDインレットにおける上記RFIDアンテナとの間の用紙間隔を、上記プリンターにおける上記データ読取り書込み部と上記印字部との間の装置間隔に合わせたことを特徴とするRFID用紙である。
【0027】
第二の発明は、単葉の用紙片の複数枚を連続して設けて帯状とした用紙本体と、それぞれの上記用紙片に備えるとともに、ICチップおよびRFIDアンテナを有して無線によるデータ通信が可能なRFIDインレットと、を有するRFID用紙を移送する移送路と、上記RFIDインレットとの間のデータ通信を行うデータ読取り書込み部と、上記移送路においてこのデータ読取り書込み部の下流側に位置するとともに上記用紙片に印字を行う印字部と、を有し、上記RFID用紙を装填して上記移送路に移送し、上記RFIDインレットとの間のデータ通信および上記用紙片への印字を行うRFID用紙用プリンターであって、上記データ読取り書込み部と上記印字部との間の装置間隔を、上記用紙本体における上記用紙片の移送方向先端部と上記RFIDインレットにおける上記RFIDアンテナとの間の用紙間隔に合わせてあることを特徴とするRFID用紙用プリンターである。
【0028】
第三の発明は、単葉の用紙片の複数枚を連続して設けて帯状とした用紙本体と、それぞれの上記用紙片に備えるとともに、ICチップおよびRFIDアンテナを有して無線によるデータ通信が可能なRFIDインレットと、を有するRFID用紙を移送路に移送し、データ読取り書込み部において上記RFIDインレットとの間のデータ通信を行うとともに、上記移送路においてこのデータ読取り書込み部の下流側に位置する印字部により上記用紙片に印字を行うRFID用紙の移送方法であって、上記移送路内における上記RFID用紙の位置を検出し、上記データ読取り書込み部に上記RFIDインレットのRFIDアンテナを位置させるとともに、上記用紙片の移送方向先端部を上記印字部に位置させ、上記データ読取り書込み部において上記RFIDインレットとの間のデータ通信を行い、ついで、上記印字部による上記用紙片への印字を行うことを特徴とするRFID用紙の移送方法である。
【0029】
上記用紙片の移送方向後端部の裏面側に、上記プリンターにおける上記移送路内での上記用紙片の位置を検出可能な位置検出用マークを有することができる。
【0030】
上記データ読取り書込み部は、上記移送路内において上記印字部に対するその相対位置を調整可能としていることができる。
【0031】
上記用紙本体の上記移送路内における位置を検出可能な位置検出部を、上記移送路において上記データ読取り書込み部の上流側に有することができる。
【0032】
上記データ読取り書込み部に上記RFIDインレットのRFIDアンテナが位置した際に上記RFID用紙の移送を停止して、上記データ通信を行うことができる。
【0033】
上記データ読取り書込み部による上記RFIDインレットとの間のデータ通信が正常に行われたことを確認したのち、上記印字部による上記RFID用紙への印字を行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によるRFID用紙、RFID用紙用プリンターおよびRFID用紙の移送方法においては、用紙本体における用紙片の移送方向先端部とRFIDインレットにおけるRFIDアンテナとの間の用紙間隔を、プリンターにおけるデータ読取り書込み部と印字部との間の装置間隔に合わせるようにしたので、用紙片のRFIDアンテナがデータ読取り書込み部(そのリーダーライターアンテナ)に至った状態で、用紙片の移送方向先端部を印字部による印字可能位置にもセット可能であり、用紙片の検出、データ通信および印字の各処理を順に行うことができ、RFID用紙をバックフィードするなどの無駄な動作を少なくして、移送制御の簡素化による用紙片処理量の増加を図ることができる。
【0035】
とくに第一の発明のRFID用紙によれば、用紙片におけるRFIDインレットの装備位置をあらかじめ適正な位置(用紙片の移送方向先端部から、データ読取り書込み部と印字部との間の装置間隔だけ隔てた位置)に設定しておくことにより、RFID用紙の無駄な移送処理を省くことができる。
【0036】
とくに第二の発明のRFID用紙用プリンターによれば、データ読取り書込み部および印字部の相対位置をRFID用紙(用紙片)におけるRFIDインレット(RFIDアンテナ)の相対位置に合わせるようにしてあるので、用紙片の検出、データ通信および印字の各処理を順に行うことができ、無駄な動作を少なくして、移送制御の簡素化を実現可能である。
【0037】
とくに第三の発明のRFID用紙の移送方法によれば、移送路内におけるRFID用紙の位置を検出し、データ読取り書込み部にRFIDインレットのRFIDアンテナを位置させるとともに、用紙片の移送方向先端部を印字部に位置させ、データ読取り書込み部においてRFIDインレットとの間のデータ通信を行い、ついで、印字部による用紙片への印字を行うようにしたので、RFID用紙の移送を上流から下流側のみに実行し、無駄な動作を少なくして、移送制御の簡素化を実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例によるRFID用紙30の移送にともなう処理の手順を示した説明図であって、図1(1)は位置検出センサー17が位置検出用マーク8を検出した状態を示し、図1(2)はRFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な最適位置にあるとともにRFID用紙30の用紙片(ラベル片6)への印字開始可能な頭出しの状態を示し、図1(3)は印字が終了した状態を示し、図1(4)は図1(2)と同様に、つぎのラベル片6におけるRFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な位置に至っている状態を示している。
【図2】同、RFID用紙30の移送にともなう処理のフローチャート図である。
【図3】従来からのRFID用紙1を装填して、移送、データ通信および印字を行うためのRFID用紙用プリンター(たとえばサーマルプリンター2)の概略側面図である。
【図4】同、RFID用紙1の平面図である。
【図5】同、RFID用紙1の裏面図である。
【図6】同、図4のVI−VI線断面図である。
【図7】同、RFID用紙1の移送にともなう処理の手順を示した説明図であって、図7(1)は位置検出センサー17が位置検出用マーク8を検出した状態を示し、図7(2)はRFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な最適位置にある状態を示し、図7(3)はRFID用紙1(ラベル片6)への印字開始可能な頭出しの状態を示し、図7(4)は印字が終了した状態を示し、図7(5)はRFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な位置までRFID用紙1をバックフィード(上流側方向への逆移送)した状態を示している。
【図8】同、RFID用紙1の移送にともなう処理のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、RFID用紙の用紙片におけるRFIDインレットの用紙片に対する相対位置およびRFID用紙用プリンターにおけるデータ読取り書込み部および印字部の相対位置を互いに相関させるようにして、すなわち、用紙片におけるデータ読取り書込み部によるデータ読取り書込み位置と印字開始可能位置とが同時に実現可能となるようにして、RFID用紙用プリンター内におけるRFID用紙の各種処理を無駄なく、円滑に行うことができるRFID用紙、RFID用紙用プリンターおよびRFID用紙の移送方法を実現した。
【実施例】
【0040】
つぎに本発明の実施例によるRFID用紙30、RFID用紙用プリンター(たとえばサーマルプリンター31)およびRFID用紙30の移送方法を図1および図2にもとづき説明する。ただし、図3ないし図8と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、RFID用紙30の移送にともなう処理の手順を示した、図7と同様の、説明図であり、図1(1)は位置検出センサー17が位置検出用マーク8を検出した状態を示し、図1(2)はRFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な最適位置にあるとともにRFID用紙30の用紙片(ラベル片6)への印字開始可能な頭出しの状態を示し、図1(3)は印字が終了した状態を示し、図1(4)は図1(2)と同様に、つぎのラベル片6におけるRFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な位置に至っている状態を示している。
【0041】
サーマルプリンター31の基本的構造は、前記サーマルプリンター1(図3)と同様であるが、データ読取り書込み部14のリーダーライターアンテナ18と、印字部のサーマルヘッド19の発熱素子19Aとの相対的位置を、RFID用紙30におけるRFIDアンテナ10の部位に相関させてある。
【0042】
図7において既述したように、図1に示すように、位置検出センサー17とリーダーライターアンテナ18との間の第1の間隔D1、およびリーダーライターアンテナ18とサーマルヘッド19(サーマルヘッド19とプラテンローラー20の接点における発熱素子19A)との間の第2の間隔D2(装置間隔)は、サーマルプリンター31としてあらかじめ設定されている。
【0043】
さらに本発明においては、RFID用紙30においてもそのラベル片6内のRFIDインレット4の装備位置をあらかじめ設定している。
すなわち、移送方向長さLを有するラベル片6について、位置検出用マーク8とRFIDインレット4におけるRFIDアンテナ10(その最適感度位置、たとえばRFIDアンテナ10の中央部とする)との間の第1の間隔L1、およびRFIDアンテナ10とラベル片6の移送方向先端部6Aとの間の第2の間隔L2(用紙本体3における用紙片6の移送方向先端部6AとRFIDアンテナ10との間の用紙間隔)もRFID用紙30の作成時に設定されている。当然のことながら、L=L1+L2、である。
さらに、とくに第2の間隔L2(用紙間隔)をリーダーライターアンテナ18とサーマルヘッド19(サーマルヘッド19とプラテンローラー20との接点における発熱素子19A)との間の前記第2の間隔D2(装置間隔)と同一となるように合わせている。
このような設定のもとで、位置検出センサー17がRFID用紙30の位置検出用マーク8を検出してデータ読取り書込み部14および印字部15における処理を行う。
【0044】
すなわち図2は、RFID用紙30の移送にともなう処理のフローチャート図であって、図示のように、まずステップS11においてRFID用紙30の移送を開始し、位置検出センサー17が位置検出用マーク8を検出し(図1(1)参照)、ステップS12においてRFID用紙30のラベル片6の移送方向先端部6Aが印字部15による印字開始可能な頭出し位置に至ったかを判断する。
具体的には、位置検出センサー17が位置検出用マーク8を検出してから、必要な間隔(D1−L1)分だけRFID用紙30を移送した時点でRFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な位置に至る。
印字部15による上記印字開始可能な頭出し位置は、データ読取り書込み部14によるRFID用紙30(RFIDインレット4)との間のデータの読取りおよび書込みが可能な位置(図1(2)参照)にRFID用紙30(ラベル片6)が至ったことと同等である。
【0045】
したがって、ステップS13においてRFID用紙30の移送を停止した状態で、データ読取り書込み部14とRFIDインレット4との間のデータ通信を行って、データの読取りおよび書込みを行い、ステップS14においてデータ通信が正常に行われたかを確認し、行われていなければステップS15において、警告音あるいは警告表示その他必要なエラー処理を行う。
【0046】
ステップS14においてデータ通信が正常に行われれば、ステップS16において印字部15による印字開始可能な頭出し位置(図1(2)参照)にRFID用紙30が至っているわけであるから、必要な印字処理を行い、ステップS17において印字が終了したか(図1(3)参照)を判断する。
【0047】
この印字終了後の所定の処理、たとえばラベル片6の台紙5からの剥離、あるいはラベル片6の切断などののち、図1(2)と同様の図1(4)に示す状態となり、つぎのラベル片6におけるRFIDアンテナ10がリーダーライターアンテナ18とデータ通信可能な位置および印字開始可能な位置に至っている状態となり、つぎのラベル片6との間のデータ通信および印字処理を行うことになる。
【0048】
かくして、移送路12内におけるRFID用紙30の位置を検出し、データ読取り書込み部14にRFIDインレット4のRFIDアンテナ10を位置させるとともに、用紙片6の移送方向先端部6Aを印字部15に位置させ、データ読取り書込み部14においてRFIDインレット4との間のデータ通信を行い、ついで、印字部15による用紙片6への印字を行うものであり、データ読取り書込み部14によるRFIDインレット4との間のデータ通信が正常に行われたことを確認したのち、印字部15によるRFID用紙30への印字を行うことになり、従来のようなRFID用紙1の無駄なバックフィード処理を必要とすることなく、移送制御の簡素化およびそれにともなうラベル片6の処理量の増加を図ることができる。
【0049】
なお本発明においては、ラベル片6のサイズあるいはその印字レイアウトなどに応じて、ラベル片の領域におけるRFIDインレット4のデータ読取り書込み部14との間におけるデータ通信可能領域内でのRFIDインレット4の位置すなわち、ラベル片6内におけるその移送方向先端部6AからRFIDアンテナ10の用紙間隔L2の設定長さに応じて、データ読取り書込み部14は、移送路12内において印字部15に対するその相対位置(装置間隔D2)を調整可能とすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 RFID用紙(ラベル連続体)
2 サーマルプリンター(RFID用紙用プリンター)
3 用紙本体
4 RFIDインレット
5 台紙
6 ラベル片(用紙片)
6A ラベル片6の移送方向先端部
6B ラベル片6の移送方向後端部
7 粘着剤層
8 位置検出用マーク
9 RFIDインレット4のICチップ
10 RFIDインレット4のRFIDアンテナ
11 供給部
12 移送路
13 位置検出部
14 データ読取り書込み部
15 印字部
16 制御部
17 位置検出センサー
18 リーダーライターアンテナ
19 サーマルヘッド
19A サーマルヘッド19の発熱素子
20 プラテンローラー
21 熱転写インキリボン
22 供給軸
23 巻取り軸
30 RFID用紙(実施例、ラベル連続体)
31 サーマルプリンター(実施例、RFID用紙用プリンター)
D1 位置検出センサー17とリーダーライターアンテナ18との間の第1の間隔
D2 リーダーライターアンテナ18とサーマルヘッド19(サーマルヘッド19とプラテンローラー20の接点における発熱素子19A)との間の第2の間隔(装置間隔)
D3 位置検出用マーク8とRFIDアンテナ10(その最適感度位置、たとえばRFIDアンテナ10の中央部とする)との間の第3の間隔
D4 第4の間隔(図7(2)において、ラベル片6の移送方向先端部6Aからサーマルヘッド19の発熱素子19Aまでの間隔)
L ラベル片6の移送方向長さ(L=L1+L2)
L1 位置検出用マーク8とRFIDアンテナ10(その最適感度位置、たとえばRFIDアンテナ10の中央部とする)との間の第1の間隔
L2 RFIDインレット4におけるRFIDアンテナ10とラベル片6の移送方向先端部6Aとの間の第2の間隔(用紙間隔)(L2=D2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単葉の用紙片の複数枚を連続して設けて帯状とした用紙本体と、
それぞれの前記用紙片に備えるとともに、ICチップおよびRFIDアンテナを有して無線によるデータ通信が可能なRFIDインレットと、を有し、
データ読取り書込み部および印字部を有するプリンター内に装填してその移送路内を移送して、このデータ読取り書込み部による前記RFIDインレットとの間のデータ通信およびこの印字部による前記用紙片への印字を行うためのRFID用紙であって、
前記用紙本体における前記用紙片の移送方向先端部と前記RFIDインレットにおける前記RFIDアンテナとの間の用紙間隔を、
前記プリンターにおける前記データ読取り書込み部と前記印字部との間の装置間隔に合わせたことを特徴とするRFID用紙。
【請求項2】
前記用紙片の移送方向後端部の裏面側に、前記プリンターにおける前記移送路内での前記用紙片の位置を検出可能な位置検出用マークを有することを特徴とする請求項1記載のRFID用紙。
【請求項3】
単葉の用紙片の複数枚を連続して設けて帯状とした用紙本体と、それぞれの前記用紙片に備えるとともに、ICチップおよびRFIDアンテナを有して無線によるデータ通信が可能なRFIDインレットと、を有するRFID用紙を移送する移送路と、
前記RFIDインレットとの間のデータ通信を行うデータ読取り書込み部と、
前記移送路においてこのデータ読取り書込み部の下流側に位置するとともに前記用紙片に印字を行う印字部と、を有し、
前記RFID用紙を装填して前記移送路に移送し、前記RFIDインレットとの間のデータ通信および前記用紙片への印字を行うRFID用紙用プリンターであって、
前記データ読取り書込み部と前記印字部との間の装置間隔を、前記用紙本体における前記用紙片の移送方向先端部と前記RFIDインレットにおける前記RFIDアンテナとの間の用紙間隔に合わせてあることを特徴とするRFID用紙用プリンター。
【請求項4】
前記データ読取り書込み部は、前記移送路内において前記印字部に対するその相対位置を調整可能としていることを特徴とする請求項3記載のRFID用紙用プリンター。
【請求項5】
前記用紙本体の前記移送路内における位置を検出可能な位置検出部を、前記移送路において前記データ読取り書込み部の上流側に有することを特徴とする請求項3または4記載のRFID用紙用プリンター。
【請求項6】
単葉の用紙片の複数枚を連続して設けて帯状とした用紙本体と、それぞれの前記用紙片に備えるとともに、ICチップおよびRFIDアンテナを有して無線によるデータ通信が可能なRFIDインレットと、を有するRFID用紙を移送路に移送し、
データ読取り書込み部において前記RFIDインレットとの間のデータ通信を行うとともに、
前記移送路においてこのデータ読取り書込み部の下流側に位置する印字部により前記用紙片に印字を行うRFID用紙の移送方法であって、
前記移送路内における前記RFID用紙の位置を検出し、
前記データ読取り書込み部に前記RFIDインレットのRFIDアンテナを位置させるとともに、前記用紙片の移送方向先端部を前記印字部に位置させ、
前記データ読取り書込み部において前記RFIDインレットとの間のデータ通信を行い、
ついで、前記印字部による前記用紙片への印字を行うことを特徴とするRFID用紙の移送方法。
【請求項7】
前記データ読取り書込み部に前記RFIDインレットのRFIDアンテナが位置した際に前記RFID用紙の移送を停止して、前記データ通信を行うことを特徴とする請求項6記載のRFID用紙の移送方法。
【請求項8】
前記データ読取り書込み部による前記RFIDインレットとの間のデータ通信が正常に行われたことを確認したのち、前記印字部による前記RFID用紙への印字を行うことを特徴とする請求項6または7記載のRFID用紙の移送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−953(P2013−953A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133082(P2011−133082)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】