説明

RNAの完全性の測定

方法、システム、及び装置によって生体分子の試料の完全性レベルを測定する。例えば、試料中のRNA完全性の測定を高速且つ再現性のある方法で行い、これにより使用者は試料の試験(例えば、定量的ポリメラーゼ連鎖反応 qPCR)の精度が保証され、異なる試料の結果を比較することができる。サイズプロフィールを異なる時間の長さに渡る分解から得られた基準サイズプロフィール(分解基準)と比較することによって、RNA試料の完全性測定を行う。完全性レベルの基準スケールは試料中で生じる実際の分解に由来するので、高い精度、再現性、及び効率が供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電気泳動システム、より詳細には試料中の生体分子の完全性(integrity)を決定するための電気泳動システムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願のクロスリファレンス
本願は、「RNAの質ファクター(RNA Quality factor)」という発明の名称で2008年8月29日に出願の、米国仮出願番号61/093,060を優先権主張する正規の出願であり、この仮出願の全ての内容は参照により本明細書中に全ての目的のために組み込まれている。
【0003】
遺伝子発現分析は、健康及び疾患に関与する分子の過程を理解するために不可欠である。RNAの安定状態のレベルを正確に定量化する能力は、遺伝子発現制御の分子機構を研究するために必須である。RNA定量化技術(例えばノーザンブロット, DNAマイクロアレイ, 及びリアルタイム定量的PCR等)は、純粋なだけでなく、無傷の(intact)RNA(すなわち、高完全性のRNA)の使用に依存する。ハイスループットな遺伝子発現分析は、RNA完全性の急速な、信頼性があり且つ標準化された評価が必要である。しかしながら、時間がかかり、重労働、且つ高価であるプロジェクトに取り組むに先立ち、正確且つ客観的にRNA分子の完全性を評価する方法は制限される。
【0004】
RNA濃度及び純度を評価するための分光光度法は、確立され広く使用されている。260nm(A260)での吸光度は、RNA濃度を正確に測定でき、そして割合A260/A280は、タンパク質又はフェノールの混入に対するRNAの調製純度の一般に認められる指標である。しかしながら、DNAの混入、分解状態、又は試料の完全性に関していかなる情報も提示しないので、これらの方法は誤解させる結果を生じ得る。RNAの濃度及び質は良好な下流の応用のために重要なパラメータであるが、応用が遺伝子発現研究、例えば定量的リアルタイムRT−PCR及びcDNAマイクロアレイ等のためのRNAの定量化を含む場合に、RNAの完全性は最も重要である。様々な分解状態に由来する部分的に分解されたRNAを使用することは、マイクロアレイ法及びリアルタイムPCR法のいずれにおいても、様々で且つ不正確な定量化結果につながるであろう。
【0005】
RNA試料の完全性を評価するための従来の方法は、ホルムアルデヒドアガロースゲルでの蛍光染料(又は他の発光剤)、例えば臭化エチジウムの存在下での電気泳動後の外観検査によるものである。大型及び小型のそれぞれのサブユニットのリボソームRNA(rRNAs)に関して、大きなバンドが小さいバンドの約2倍の強度を有する2つの明確なバンドの観察は、無傷のRNAを示す。この方法は比較的に迅速且つ安価であるが、データの解釈には相当な経験が必要であり、さらに矛盾を生じる傾向がある。
【0006】
ホルムアルデヒドアガロースゲルを使用するこの技術の他の制限は、完全性の正確な評価を行うために、約200ナノグラム(ng)のRNAが必要なことである。しかしながら、非常に限られた量でしか使用できない組織(例えば生検)からRNAを抽出する場合には、アガロースゲル分析は不可能かもしれない。
【0007】
RNA分析における大幅な改善は、rRNAの2つの特徴的なピークを示す電気泳動図を生じるのにわずか100pgのRNAが必要な、マイクロ流体に基づく電気泳動システムを導入することによって生じた。電気泳動図から成るデジタルデ−タを、一連のコンピュータによる分析に使用することができる。例えば、RNAの完全性は、rRNAに対応するピークの面積を比較することによって、自動的に評価及び定量化することができる。理論上は、2に近い28S/18SのrRNAの割合は、無傷のRNAを示すであろう。しかしながら、例えばピーク面積測定はピークの選択された開始点及び終点に依存的なので、実際にはrRNAの割合はそれほど信頼できるものではない。
【0008】
RNA完全性を評価するためのrRNAの割合の有用性及び再現性には制限があるので、現存する方法(Schroeder et al. US 2006/0246577)では、RNA完全性を測定するための標準化されたスケールを供することを試みるものである。この方法では、膨大な数の電気泳動図が得られ、さらに訓練された専門家にRNAインテグリティナンバー(RNA integrity number)(RIN)を割り当てさせる。よって、ニューラルネットワークは特定のRIN値に対応する電気泳動図の特性(計8個)を測定する。例えば必要な膨大な数の電気泳動図、訓練を受けた専門家による評価の必要性、及びコンピュータによるニューラルネットワークの要求のために、この方法は調節のためにかなりの長時間が必要となり得る。さらに、この方法は、例えば専門家に割り当てられた数及び使用した多様な試料における変動のために、研究者に不正確さ(矛盾)を供し得る。
【0009】
従って、RNA又は他の生体分子の試料の完全性を測定するための方法を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
本発明の実施形態は、生体分子の試料の完全性のレベルの測定を行う。例えば、試料中のRNAの完全性の測定は、迅速且つ再現性のある方法で行うことができ、よって使用者に試料での試験(例えば、定量的ポリメラーゼ連鎖反応 qPCR)の精度を保証すること、及び異なる試料の結果を比較することができる。RNA試料の完全性の測定を、サイズプロフィールを基準サイズプロフィール(分解基準)と比較することによって実施する。完全性のレベルの基準スケールは試料に生じる実際の分解に由来するので、実施形態は基準作りにおいて高精度、再現性、及び効率を供する。第一態様では、実施形態はRNA分解を測定するハイスループット方法を供し、これはコンピュータシステムによるデータ分析によって実施される。
【0011】
代表的な一実施形態によれば、生体分子の試料の完全性レベルの測定のための方法を供する。生体分子の試料の第一サイズプロフィールが受け取られ、ここではサイズプロフィールは試料中の生体分子の少なくとも一次元の値の分布尺度を供する。コンピュータデバイスは、第一サイズプロフィールを複数の基準サイズプロフィールと比較する。各基準サイズプロフィールは生体分子の基準試料の異なる分解時間において測定され、各基準サイズプロフィールは異なるレベルの完全性に相関する。第一サイズプロフィールの1又は複数の基準サイズプロフィールに対する類似性に基づいて、コンピュータデバイスは生体分子の試料の完全性レベルを測定する。
【0012】
他の代表的な実施形態によれば、本明細書に記載の方法を実行するコンピュータで可読の媒体及び電気泳動システムもまた供する。
【0013】
他の代表的な実施形態によれば、電気泳動システムを製造する方法を供する。少なくとも1つの生体分子の基準試料を受け取る。生体分子の基準試料のそれぞれのサイズプロフィールは、基準試料の分解の複数の連続的な各々の時間において測定される。各サイズプロフィールは、完全性レベルにマップされ、ここで分解の後半に測定されるサイズプロフィールは完全性の低いレベルにマップさる。サイズプロフィールは、各サイズプロフィールの対応する完全性レベルと共に、電気泳動システムのコンピュータ可読の媒体に保存されてよい。
【0014】
本発明の本質及び利点のさらなる理解は、以下の詳細な説明及び添付の図を参照して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1Aは、本発明の実施形態の電気泳動システム100を示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態の、試料の完全性レベルを測定する電気泳動システムの製造方法200を説明するフロ−チャートである。
【図3】図3A及び3Bは、本発明の実施形態の、異なる分解時間に測定された(異なる試料番号として標識された)異なる基準サイズプロフィールを示す。
【図4】図4Aは、本発明の実施形態の、完全性レベル(RQI 450)に対する、(異なる時間における各々の)基準サイズプロフィール410のマッピングの表400を示す。図4Bは、本発明の実施形態の、いずれのサイズプロフィール(分解基準)がいずれの色に対応するかを供する表490を示す。
【0016】
【図5】図5は、本発明の実施形態の、生体分子の試料の完全性レベルを測定するための方法500のフロ−チャートである。
【図6】図6は、本発明の実施形態の、rRNAのピーク及びサイズプロフィールを定義するために面積比が使用される3つの領域を有する電気泳動図600を示す。
【図7】図7は、本発明の実施形態の、ピーク面積比を使用した生体分子の試料の完全性レベルを測定するための方法700のフロ−チャートである。
【図8】図8は、本発明の実施形態のシステム及び方法と共に使用可能な代表的なコンピュータ装置のブロック図を示す。
【0017】
【図9】図9Aは、本発明の実施形態の無傷の及び部分的に分解されたRNA試料のRQI測定の再現性を説明する表である。図9Bは、本発明の実施形態のRNA検出及びRQI測定に関するRNA濃度の下限値を説明する表である。図9Cは、発明の実施形態のリアルタイムqPCR CTへのRNA分解の影響を説明する表を示す。
【図10】図10A及び10Bは、本発明の実施形態のRQI測定でのRNA濃度の影響を示す。
【図11】図11は、本発明の実施形態の、天然のリボヌクレアーゼと熱介在の分解との、異なる時点における電気泳動図プロフィール及びRQI値の比較を示す。
【図12】図12は、本発明の実施形態の、リアルタイムqPCRによるRNA分解の評価を説明するプロットを示す。
【図13】図13は、本発明の実施形態の、RQIと残存する特定の転写RNAの相対量との相関関係を説明するプロットである。
【0018】
詳細な説明
科学者は生体分子試料の試験を行う前に、生体分子が無傷である(すなわち、高完全性である)かどうか識別したい。例えば、科学者は特定のタイプのRNAを研究している場合には、RNAは切断されたもの(低完全性)であるか或いは組織から試料ホルダーへの移行に耐えたかどうか知りたい。
【0019】
試験の実施に試料が適するかを決定するための試料の異なる特徴がある。濃度は試料中の(例えば、溶媒, 例えば水に対する)生体分子の量を測定する。濃度が低い場合には、試験は任意の測定を得るのに十分な生体分子を有していないかもしれない。
【0020】
生体分子の質は生体分子それ自体、例えば混入に関連する。例えば、試料が異なるタイプの分子(例えば、目的の生体分子と同一のサイズの他の分子)を含む場合には、科学者が1又は数種類の生体分子にしか興味がない時は、試料は良好な質を有しないかもしれない。質にはまた、混入よりも一般的とすることができる生体分子の完全性が含まれる。
【0021】
明細書において、用語「完全性」は、例えば、開始点(例えば生体分子が組織に存在する時)と比較した試料の生体分子の分解の尺度(程度)である。経時的に、生体分子(例えば、RNA)は、切断され粒子となり得る。生体分子は形態が変化している(例えば、小さくなっている)ので、この分解により、試験がその生体分子を検出しないというようなエラーが生じ得る。従って、一態様では、完全性の測定は、生体組織に存在する場合の生体分子に対して試料の生体分子がどの程度同一であるかを試験することができる。明細書において、「生体分子」は生体で1つの状態を有する任意の分子であり、分解することができる。
【0022】
生体分子のサイズは完全性に関係するので、サイズは完全性を測定するために使用されて良い。電気泳動技術はサイズ粒子を測定し、従って例えば完全性測定に適切である。本発明の実施形態は、試料の生体分子の完全性を測定するための正確な、効率的で且つ一貫性のある方法を供する。
【0023】
図1Aは、本発明の実施形態の電気泳動システム100を示す。示されるように、電気泳動システム100はマイクロ流体に基づくものである。しかしながら、他の実施形態では他のタイプの電気泳動システムを使用してよい。非常に少量のRNAに結合したフルオロフォアの蛍光を測定するこれらの方法は、アガロースゲル電気泳動の多くの制限を克服する。例えば、rRNAの2つの特徴的なピークを示す電気泳動図を作製するのに、100pgほどの少量のRNAしか必要でない。
【0024】
実施中、試料105の生体分子は少なくとも1つのチャネル110の中に供される。試料105の生体分子は、電圧(V)115によってチャネル110を左から右へ通り抜ける(矢印で示される動き)。電圧は正又は負であってよいことに注意されたい。示されるように、生体分子は異なるサイズを有し、異なるサイズのドットとして示される。例えば、生体分子(例えば、RNA)の一部は第一の長さ有してよく、他は第一の長さより長い第二の長さを有してよい。
【0025】
異なる長さの生体分子は、異なる速度で移動する。小さい分子は同量の力(すなわち、異なる分子に対してほぼ同じ電気力)で移動がより容易なので、加速され高速となる。この速度における違いは、生体分子のサイズを測定するのに使用することができる。
【0026】
生体分子はチャネル110を通して移動するので、検出領域120に達する。異なるサイズの生体分子は異なる速度で移動するので、異なる時間に検出領域120に達する。一度生体分子が検出領域120に達すると、生体分子はレーザー130からの電磁放射線125を受ける。生体分子は蛍光の挿入剤として蛍光染料を有する。
【0027】
放射線125が生体分子によって受け取られる場合に、蛍光剤は励起され自ら電磁放射線135を放出する。臭化エチジウムを蛍光染料として使用することで、完全性を正確に評価するためのRNAの必要量を約200ngとすることができる。必要量は、代替の蛍光染料を使用することによって、例えば100ピコグラム(pg)ほどの少量にまでRNAを減少させることができる。
【0028】
検出器140は放射線135を受け取り、そして経時的にシグナルの量(強度)を測定する。時間内の特定の瞬間におけるシグナル強度は、その時間中の検出領域120に存在する生体分子の数に依存する。このように、経時的にシグナルのプロットを調べることによって、特定のサイズを有する粒子の数(サイズプロフィールの例)を測定することができ、これは一部の実施形態において電気泳動図と呼ぶ。サイズプロフィールは、基準試料中の生体分子の少なくとも一次元の値(例えば、長さ)の分布尺度を供する。
【0029】
図1Bは、生体分子の試料のサイズプロフィールの例としての、代表的な電気泳動図トレース170を示す。Y軸は、相対単位(relative unit)(RU)における蛍光のシグナルの強度を示す。X軸は、秒で示される時間である。電気泳動図トレース170は、特定のサイズの複数の分子に対応した高RU値を有する、粒子のサイズの分布を供する。電気泳動図トレース170は、rRNAの2つの特徴的なピークを示し、これは高完全性を有する試料で通常見られるものである。他のサイズプロフィール、例えば、時間的ではなく空間的に違いを示すものもまた、本発明の実施形態で使用してよい。
【0030】
一実施形態において、時間内のある瞬間において検出器140で特定値を読んだ後に、検出器140はコンピューティングシステム150に1データ点を送ることができる。他の実施形態においては、検出器140で全体のトレースを読んだ後、検出器140は全体のサイズプロフィールをコンピューティングシステム150送ることができ、これによって完全性レベルを測定するためにサイズプロフィールが分析される。従って、一実施形態において、同一の装置で電気泳動システム100は定量化と質評価とを併合する。一態様において、今まさに測定されたサイズプロフィールをメモリー155に保存された基準サイズプロフィールと比較することによって完全性レベルは決定される。
【0031】
一実施形態において、完全性レベルの決定方法は、(例えば、電気泳動図と比較することによって)RNA試料のサイズプロフィールを基準サイズプロフィールとマッチさせることに基づいている。RNAは分解し、従ってサイズは減少し、最終的に消失するので、高分子量成分の量は減少するが、一方で動きの速い低分子量成分は蓄積する。簡単に言うと、これらの成分は電気泳動図の左側末端へ移動する。従って、無傷から分解への、10(無傷)から1(十分に分解)の分解基準スケールを構成する、プロフィール基準のセットを規定することが可能である。
【0032】
(分解基準とも呼ぶ)基準サイズプロフィールの作成の説明は以下の通りである。
【0033】
図2は、本発明の実施形態の、試料の完全性レベルを測定する電気泳動システムの製造方法200を説明するフロ−チャートである。電気泳動システム(例えば、システム100)は、電気泳動システムに保存される基準サイズプロフィール(分解基準)を使用して、試料の完全性レベルを測定することができる。
【0034】
段階210において、1又は複数の生体分子の基準試料を受け取る。基準試料は複数の別々のバイアル又は他の容器で構成されてよい。試料はまた、続いて別々のバイアル又は他の容器中に分割する。しかしながら、基準試料の各々は同一又は同様の初期の完全性を有する。一態様では、分解基準は同一の起源且つ同一の濃度のRNAから作成する。
【0035】
段階220において、生体分子の基準試料の第一サイズプロフィールは、時間ゼロにおいて測定される。時間ゼロを分解の開始としてとり、従ってこの第一サイズプロフィールは分解を有しないものとしてとる。複数の実施形態において、実際には試料は試料を採取した組織と比較して分解はないかもしれない。他の実施形態において、試料は少量又は最少量の分解を有する。
【0036】
段階230において、生体分子の基準試料のそれぞれのサイズプロフィールを、基準試料の分解の複数の連続的な各時間で測定する。一実施形態において、基準試料を複数の容器中に最初に分割する場合には、各測定は異なる容器から得られてよい。
【0037】
生じている分解の速度に応じて、連続的な時間は幅広く相違していてよい。例えば、時間は周期的(例えば、一時間又は半時間おき)である或いは(例えば、終了に比べて開始時により頻繁に測定される)異なる時間によって分別されてよい。また、異なる生体分子は異なる速度で分解するので、目的の生体分子によって基準サイズプロフィールの異なるセットを使用してよい。例えば、一実施形態において、時間は、0、3、5、12、20、25、31、40、52、90、150、及び270分としてよい。
【0038】
一実施形態において、言及するそれぞれのサイズプロフィールは、その後の段階で使用される基準サイズプロフィールに関する。例えば、多くのサイズプロフィールを様々な時間において測定してよいが、これらの基準サイズプロフィールの1つ又は一部は、段階230で得られる(維持される)大部分の中の一部と見なす。
【0039】
段階240において、各サイズプロフィールは、完全性レベルにマップされ、分解の後半において測定されるサイズプロフィールは完全性の低レベルにマップされる。一実施形態において、完全性レベルは10(無傷、すなわち第一サイズプロフィール)から1(十分に分解)まで測定される。他の実施形態において、カラースケールのためにマッピングが実施される。さらに他の実施形態では、スケールに基づくテキストを使用してよい。
【0040】
段階250では、対応する完全性レベルに関連したサイズプロフィールが電気泳動システムのコンピュータ可読媒体(例えば、メモリー155)に保存される。一実施形態において、基準は別々のフォルダーに実行ファイルとして保存されそして電気泳動システムのソフトウェアインストールプロセス中にアプリケーションと共に展開されてよい。
【0041】
サイズプロフィールは任意の適する形態で保存されてよい。一実施形態において、サイズプロフィールはデータ点の連続であり、各データ点は時間及び対応する蛍光値を含む。他の実施形態において、サイズプロフィールは、電気泳動図、グラフ、ステイン、又は他の尺度のデータ点を記載する数値のセットである。例えば、後により詳細に記載するように、サイズプロフィールは、電気泳動図の異なる領域の1又は複数の割合であってよい。
【0042】
一実施形態において、TE(10 mM トリス塩酸 pH 8.0, 1 mM EDTA)中の(発現RNA StdSens 分析キットの)濃度100ng/ulにおいて90℃で、12人のヒト肝臓RNA試料をインキュベートすることによって分解基準を作成した。基準の電気泳動図を図3Aに示す。
【0043】
図3A及び3Bは、本発明の実施形態の異なる分解時間においてとった、(異なる試料番号で標識される)異なる基準サイズプロフィールを示す。図3Aは、12個のRNA分解基準に関する電気泳動図を示す。図3Bは、12個のRNA分解基準の仮想ゲルイメージを示す。
【0044】
図3Bは、LはRNAラダーに言及する。DNAラダーは、不明の生体分子のサイズを評価するための基準としての電気泳動で使用される、異なる長さのDNA分子の溶液である。
【0045】
一態様において、異なる基準は経時的な分解の通常の進行を示す。言い換えれば、分解の顕著な(且つ場合によってはイコール)量が各試料間に生じる。選択される試料時間は、生じている分解の速度に応じて変化してよい。分解の速度は、インキュベーション温度又は他の外部条件に基づいて変化してよい。
【0046】
確認できる通り、試料1(分解なし)に関するピークは時間の経過とともに左へ移動する。ピークのこのような移動及び変化は、試料の生体分子の完全性レベルを同定するために使用することができる。完全性レベルは、生体分子がRNAの場合には、RNA質指標RQIと同一である又はこれから成ってよい。
【0047】
図4Aは、本発明の実施形態の完全性レベル(RQI 450)に対する、基準サイズプロフィール410のマッピングの表400を(異なる時間においてそれぞれ)示す。マッピングは、線形又は非線形的であり、そして様々な形態を有してよい。例えば、10個の基準がある場合には、線形マッピングは、前のサイズプロフィールより小さいRQI値450を有する連続的なサイズプロフィールを各々供する。
【0048】
RNA面積420、RNA濃度、ピーク28Sのピーク18Sに対する割合、並びにRQI分類460もまた供する。RNA面積420は、電気泳動図における全曲線下面積であり、電気泳動図トレースの一定の特性を規準化するために、例えばトレースにおける上下の偽シフトを説明するために使用してよい。例えば、他の領域に対する1つの領域面積(例えば、この後で考察するピーク28Sのピーク18Sに対する割合440)をRNA全面積420によって規準化して(例えば、割って)よい。
【0049】
示される例では、12個のサイズプロフィール(分解基準)410(例えば、図3A由来の基準)が供されるが、任意の数の基準を使用してよい。一実施形態において、基準は1〜10の間隔でRQI450に線形的にマップされ、ここにおいて1は最も分解された基準(試料12)に相当し、そして10は最も無傷の基準(試料1)に相当する。
【0050】
RQI450に対する基準番号の線形マッピングに関しては、最初の短期間の間隔及びその後のより長期の間隔において基準がとられ、時間に対してRQI値450は早急に減少し、そして長い経過時間(例えば、1時間以上)に関しては低い値(例えば、<2)で水平となり始める。一態様において、期間が均一でない場合のこのような線形マッピングは、異なる基準間の分解が分解において同等のパーセンテージ変化に一致する場合に使用してよい。このような例において、多くの分解が(例えば、割合440によって測定されるように)最初に(10から9まで)続いて(7から6まで)生じ得るが、同一のパーセンテージを生じる。
【0051】
試料が比較的同等の時間において採取された他の実施形態において、RQI値は同一の速度で経時的に減少してよい。時間に対するRQI450における非線形的(例えば、最初は早急の)減少は高温(例えば、90℃)でよく見られ、一方で多くの線形的減少は室温(27℃)で生じる。しかしながら、どちらの場合でも、基準はおおよそ同等の分解量に相当する。
【0052】
分解基準410又はRQI450はまた、RQI分類460にマップされ、これは試料が優良であるか否かを確認するために単色のコードされたスキームであってよい。スキームの分類に基づくテキストもまた、使用することができる。RQI分類460は、使用者によって定義されてよく、また完全性レベルに相当してよい。
【0053】
図4Bは、本発明の実施形態のいずれのサイズプロフィール(分解基準)がいずれの色に対応するかを供する表490を示す。一実施形態において、カラースケールと基準サイズプロフィールの番号又は完全性の数値レベル(例えば、RQI 450)との規準化される関係は、その状況において定義されそして使用者によって変更することができる。
【0054】
RQI450(又はマッピングの結果として等価のRQI分類460)を、RNA完全性の標準化された尺度として試料及び実験に渡って使用することができる。これにより、特定の下流の応用に必要な最小量の完全性レベルを満たす試料を選択するための、客観的且つ一貫性のある判定基準が供される。RQI値と特定の下流の応用のための試料の有用性との関係は、経験的に使用者によって決定されなければならない。一度この値が分かると、実行(run)のサマリーページ中で、例えば、コンピューティングシステム150の使用者インターフェイスで使用されるカラーコードを特定するためにこれを使用することができる。
【0055】
一部の実施形態では、完全性レベルはRNA質指標(RQI)として供される。RQIは、RNA試料の電気泳動図を一連の標準化された分解RNA試料と比較することによって、RNA完全性を測定するために使用することができる。上述したように、10(無傷のRNA)〜1(高分解のRNA)の番号は、電気泳動システム上で実行される各真核生物のRNA試料に対して戻すことができる。
【0056】
図5は、本発明の実施形態の、生体分子の試料の完全性レベルを測定するための方法500のフロ−チャートである。生体分子の試料は、完全性レベルを測定することが望まれる試料である。一実施形態において、試料が混入される(例えば、他の分子に起因して低質である)場合には、方法500は中止する。一態様において、使用者は電気泳動システムのアウトプットの外観検査によって、質を同定することができる。
【0057】
段階510において、生体分子の試料の第一サイズプロフィールが受け取られる。サイズプロフィールは、試料における生体分子の少なくとも一次元の値の分布の尺度を供する。サイズプロフィールは、電気泳動システムの検出器によって測定し、そして別々のコンピューティングシステム又は電気泳動システムの一部に送信してよい。
【0058】
段階520において、コンピュータデバイス(例えば、コンピューティングシステム150)は、第一サイズプロフィールを複数の基準サイズプロフィールと比較する。一態様において、各基準サイズプロフィールは生体分子の基準試料の分解の異なる時間において測定される。他の態様において、各基準サイズプロフィールは完全性の異なるレベルと相関する。例えば、試料のRQI値を決定するために使用されている図4AのRQIを用いて、方法200に由来する基準サイズプロフィールを使用してよい。
【0059】
一実施形態において、第一サイズプロフィールは同様に基準サイズプロフィールの他のセットと比較してよい。これは、異なる基準試料由来の完全性の平均レベルを供するために行われる。
【0060】
実施形態において、サイズプロフィールにおけるピークの割合は比較のために使用してよい。他の実施形態において、比較は基準サイズプロフィールに近似する機能的な適合(functional fit)においてサイズプロフィールを同定するという形をとってよい。従って、機能的な適合は基準サイズプロフィールによって定義されるので、このような同定は基準サイズプロフィールとの比較を供する。さらに他の実施形態では、2つのプロフィールの間の重複値を算出すること、例えば2つの規準化された電気泳動のトレースの重複面積を計算することによって、比較を行ってよい。
【0061】
段階530において、コンピュータデバイスは、1又は複数の基準サイズプロフィールに対する第一サイズプロフィールの類似性に基づいて、生体分子の試料の完全性レベルを決定する。完全性レベルを測定するための正確な方法は変更することができる。例えば、第一サイズプロフィールに最もよく似た基準サイズプロフィールの完全性レベルを第一サイズプロフィールに関する完全性レベルとして使用してよい。第一サイズプロフィールの完全性レベルはまた、同様の2つまたはそれ以上のサイズプロフィールの完全性レベルの平均としてとってよい。例えば、第一サイズプロフィールは2つの基準サイズプロフィールの間に位置してよく、これらの2つの基準サイズプロフィールに関するレベルの加重平均を使用してよい。
【0062】
一実施形態において、補間法(例えば、基準サイズプロフィール各々のRQIの加重(weighted)線形の組み合わせ)を使用してよい。線形係数は、特定の基準サイズプロフィールのサイズプロフィールに対する第一サイズプロフィールの重複(又は他のタイプの類似性)の尺度とみなしてよい。
【0063】
一態様において、方法500は、N次元空間での測定(例えば、蛍光シグナル値)を単純化したシグナル次元空間中にマップする。本明細書で記載するように、単純化した発現は数(RQI値)、色、他の分類としてよい。一実施形態において、RQI値は:I=Iαとして定義し、式中Iは基準に割り当てられた完全性の番号のセットであり、式中αは第一サイズプロフィールの基準サイズプロフィールに対する類似性(例えば、重複)の尺度である。
【0064】
RNA分解の根底にある物理的過程及びシグナル測定のプロフィールにより、分解に関連した特性が異なる間隔中にシグナル値の割合として提示することができると仮定することは妥当とされる。一態様において、試料から試料への互換性に関しては、間隔は同一のサイズの分子に関連する特徴的なマークの近くにおいて選択されるべきである。一実施形態において、リボソームRNA(rRNA)のピークは特徴的なマークとして使用される。このように、電気泳動図の時間中におけるシフトは説明することができる。
【0065】
図6は、本発明の実施形態の、rRNAピーク及び面積比がサイズプロフィールを定義するために使用される3つの領域を有する電気泳動図600を示す。図1Bの電気泳動図のように、Y軸は蛍光でありX軸は秒で示される時間である。
【0066】
領域1は、プレ18Sピーク面積に関し、領域2は18Sピーク面積に関し、そして領域3は28Sピーク面積に関する。相違面積は、曲線下面積610を特定領域の幅に関して測定することによって計算される。28S:18S及び18S:プレ18Sの割合、並びに任意のRNA濃度は自動的に計算される。
【0067】
実施形態において、18Sピーク領域及び28Sピーク領域は、それぞれの領域内のピークによって定義される。使用者は、これらのピークを検索するための特定の時間ウィンドウ又は電気泳動図の一部を確認することができる。システムソフトウェアはピークを検出し、よってピーク周辺領域を見つけることができる。最終的な幅は使用者がピークを発見するために入力した時間ウィンドウと同一であっても、或いは異なってもよい。一実施形態において、プレ18S幅は18S幅と同一である。他の実施形態において、シグナルが閾値に達する時に、18S領域の開始が決定されてよい。
【0068】
従って、一実施形態において、リボソーム断片の面積比(例えば、領域3の2に対する面積比及び/又は領域1の2に対する面積比)は、サイズプロフィールを定義するために使用されてよい。例えば、サイズプロフィールはこれらの2つの割合によって定義されてよい。これらの1又は複数の割合は、基準サイズプロフィールとして保存されているものであってよい。これらの面積比は、サイズプロフィールのサイズ特性の例である。他の適するサイズ特性、例えばピークの高さ又はピークの時間位置を使用してよい。
【0069】
28S/18Sの割合は一般的に連続した分解中は減少し、プレ18S/18Sの割合は一般的に連続した分解中は増加する。従って、異なる基準はそれぞれ一般的に異なる割合を有する(すなわち、基準及びRQI値に対する面積比の一対一のマッピングが存在する)。従って、これらの割合は試料の完全性レベル(例えば、RQI)を決定するために使用してよい。
【0070】
図7は、本発明の実施形態の、ピーク面積比を使用した生体分子の試料の完全性レベルを決定するための方法700のフロ−チャートである。一実施形態では、方法700は、サイズプロフィールを定義するためにプレ18S/18Sの割合及び28S/18Sの割合を使用する。一態様では、方法700は、試料における電気泳動プロセスの実行の開始から完全性レベルを得るまで30分かかる可能性がある。
【0071】
段階710において、特徴的なピーク(又は他のマーキング)付近の領域が決定される。一実施形態において、3つの領域は図5に示されるように、電気泳動図の(18S rRNA バンドより下の)プレ18S、18S、及び28S領域である。28S及び18Sリボソームピークは、無傷のRNAの顕著な成分であり、一方電気泳動図のプレ18S及び18S領域は、分解されたRNAの評価において顕著な成分である。他の実施形態においては、当該割合の1つのみが使用される。
【0072】
段階720において、領域の面積の割合は計算される。一実施形態において、完全性レベルが決定される試料の第一サイズプロフィールを定義するものとして、プレ18S/18Sの割合及び28S/18Sの割合は計算される。逆の割合もまた使用してよいことに注目されたい。他の実施形態において、各領域の面積は全体の曲線下面積によって規準化される。
【0073】
一実施形態において、使用者は画面(すなわち、電気泳動図トレースのディスプレー)上のリボソーム断片を直接再定義することができる。例えば、使用者は断片の開始及び/又は終了を変更することができ、従って領域の位置及び領域の面積の変更を生じる。他の実施形態として、使用者は領域の幅を調整することができる。他の実施形態において、使用者はソフトウェアでパラメータを見出すピークを調整することができ、これは領域の位置及び面積に影響を及ぼしうる。
【0074】
段階730において、それぞれの割合のための個々のRQI(完全性値)は、一組の基準サイズプロフィールを定義する複数の基準割合の対応する割合と比較することによって、試料に関して決定される。一実施形態において、プレ18S/18Sの割合は低完全性の各基準サイズプロフィールの間で増加し、試料のこの割合は2つの基準サイズプロフィールの割合の間に位置し得る。従って、最も近い基準によって試料分解の指標(すなわち、試料の完全性レベル)を定義することができる。一態様において、試料分解の指標は、2つの最も近い基準間の規準化された線形補間法として計算されてよい。
【0075】
例えば、第一サイズプロフィールのプレ18S/18Sの割合は、基準サイズプロフィールの(RQI 8に相当する)値1.3と(RQI 6に相当する)1.7の間に存在する値1.5を有してよい。従って、第一サイズプロフィールのプレ18S/18Sの割合に関するRQIは、(1.3と1.7の)値の同等の加重平均、7としてよい。プレ18S/18Sの割合が1.7により近い場合には、加重平均は6が好まれ、そしてRQIは7未満となる。低完全性の基準サイズプロフィールに関して低下する28S/18Sの割合について同様の手順を行ってよい。
【0076】
他の実施形態において、プレ18S/18Sの割合のRQIに対するデータ点は、(例えば、最小二乗法, 補間法, 又は任意の他の好適な方法を使用した)関数形式に適合させてよい。従って、関数形式の特定の値はプレ18S/18Sの割合の値をRQI値にマップする。関数形式は、電気泳動システムに基準サイズプロフィールとして保存されてよい。プレ18S/18Sの割合の値が当該関数形式から決定される場合には、基準サイズプロフィール由来の値が比較されていることに注意されたい。28S/18Sの割合は同様に決定されてよい。
【0077】
続いて、試料の完全性レベルは、第一サイズプロフィールに関する2つの割合の個々のRQIから決定される。例えば、加重平均をとってよい。このような加重を決定するために、次の段階を行ってよい。
【0078】
段階740において、個々のRQIに関する加重は、個々のRQI(又は一対一のマッピングが存在する場合には、等価に割合値)に基づいて決定される。一実施形態において、加重は個々のRQIの互いの関係に基づいて決定される。他の実施形態において、絶対値に対する個々のRQIの関係に基づいて加重は決定される。
【0079】
一実施形態において、割合の一つ又は等価にその割合に対応するRQIは閾値と比較される。例えば、28S/18Sの割合又は等価の28S/18Sの割合のRQIは、閾値と比較される。一実施形態において、RQIの閾値は6である。この比較に応じて、異なる加重が使用される。プレ18S/18Sの割合が、代わりに閾値と比較されてよい。
【0080】
28S/18Sの割合のRQIが閾値より大きい場合には、28S/18Sの割合のRQIは平均値で大きな加重を有する。一実施形態において、28S/18Sの割合が閾値より大きい場合には、28S/18Sの割合はファクター3によってプレ18S/18Sの割合より加重される。他の実施形態において、28S/18Sの割合及びプレ18S/18Sの割合は同等に加重される。
【0081】
従って、一実施形態において、試料がどのように標準試料にマップするかに基づいて、電気泳動図の成分を評価するために異なる加重が使用される。RNA試料がより分解された基準にマップする場合には、RQI値を生じるために電気泳動図のプレ18S及び18S領域により重点が置かれる。RNA試料が高完全性基準にマップする他の場合には、28S及び18S領域により重点が置かれる。初期測定は、いずれかの割合に関する個々のRQIからなされてよい。
【0082】
段階750において、完全性レベルは決定された加重を使用して個々のRQIから計算される。例えば、加重を使用した平均値を使用してよい。
【0083】
要約すると、実施形態は、RNA完全性の厳格な評価を提供する方法及び電気泳動システムを供する。一実施形態において、電気泳動のプロフィールの3つの領域を一連の分解基準と比較する。実施形態セクションで示すように、実施形態は広範囲のRNA濃度(100 pg 〜 5,000 ng)に渡って良好に機能することが示され、非常に再現性があり(%CV <3)、さらに広範囲の哺乳類組織に適用できる。また、RQI値とリアルタイムPCRによるRNA定量化の結果との完全な相関関係を示すレポートで適用性が説明されている。
【0084】
従って、実施形態は自動化された分離、検出、及びデータ分析を使用して、RNA分解をチェックすることができる。また、実施形態は重労働且つ高価なプロジェクトに取り組む前に、RNA試料の完全性を定量的に評価するための有用な手段を供し、そしてマイクロアレイ及び定量的リアルタイムPCR分析のための試料試験の標準化を可能にする。チッププライミングステーション(chip priming station)及び専売のソフトウェアと組み合わされたこのプロセスは、改良されたデータの作成、保存、及び報告を供する。従って、最少量の試料必要量は、使用者はわずかな量の前記試料も浪費せずに済むことを意味する。
【0085】
図8は、本発明の実施形態のシステム及び方法と使用可能な代表的なコンピュータ装置のブロック図を示す。例えば、コンピュータ装置は図1Aのコンピューティングシステム150として又はこの一部として使用可能である。
【0086】
任意のPLC又はコンピュータ端末は、任意の適当な数のサブシステムを利用してよい。このようなサブシステム又は構成要素の例を、図8に示す。図8に示されるサブシステムは、システムバス875を介して相互接続される。更なるサブシステム、例えばプリンター874、キーボード878、固定ディスク879、ディスプレーアダプター882に連結されるモニター876、及びその他のものが示される。周辺機器及びI/Oコントローラー871に連結するインプット/アウトプット(I/O)デバイスは、従来の任意の数の手段、例えばシリアルポート877によってコンピュータシステムに結合することができる。例えば、シリアルポート877又は外部インターフェイス881はコンピュータ装置を広域のネットワーク、例えばインターネット、マウスインプットデバイス、又はスキャナーに接続するために使用することができる。システムバスを介した相互接続により、中央処理装置873は各サブシステムとコミュニケーションをとり、システムメモリー872又は固定ディスク879からの指示の実行、またサブシステム間の情報の交換を制御することができる。システムメモリー872及び/又は固定ディスク879は、コンピュータ可読媒体を具体化してよい。
【0087】
本発明の特定の態様の詳細は、本発明の実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく任意の適する方法で組み合わせてよい。しかしながら、本発明の他の実施形態は、個々の態様、又はこれらの個々の態様の特定の組み合わせに関する特定の実施形態を目的としてよい。
【0088】
上述のように本発明は、モジュラー又は統合様式でハードウェア及び/又はコンピュータソフトウェアを使用して、制御論理的形態で実施することができると理解すべきである。本明細書で供される開示及び教示に基づいて、当業者はハードウェア及びハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを使用して本発明を実行するための、他の手段及び/又は方法を理解し且つ認識するであろう。
【0089】
本願に記載の任意のソフトウェア構成要素又は機能は、任意の適当なコンピュータ言語、例えば、C#、Java(登録商標)、C++又はPerlの使用、例えば、従来の又はオブジェクト指向技術を使用した処理装置によって実行するためのソフトウェアコードとして実行してよい。ソフトウェアコードは、保存及び/又は伝達のためのコンピュータ可読媒体、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み取り専用メモリー(ROM)、磁気媒体、例えばハードディスク又はフロッピー(登録商標)ディスク、又は光媒体、例えばコンパクトディスク(CD)又はDVD(デジタル多用途ディスク)、フラッシュメモリー等を含む適当な媒体に、一連の指示又は指令として保存されてよい。コンピュータ可読媒体は、これらの保存又は伝達デバイスの任意の組み合わせとしてよい。
【0090】
このようなプログラムはまた、インターネットを含む様々なプロトコールに即応する、有線、光、及び/又はワイヤレスネットワークを介した伝達に適合された搬送波信号を使用して、エンコードされ且つ送信されてよい。このように、本発明の実施形態のコンピュータ可読媒体は、このようなプログラムでエンコードされデータシグナルを使用して作成されてよい。プログラムコードでエンコードされたコンピュータ可読媒体は、互換性デバイスと共に包装され又は他のデバイスとは別に(例えば、インターネットダウンロードを介して)提供されてよい。任意のこのようなコンピュータ可読媒体は、単一のコンピュータプログラム製品(例えば、ハードディスク又はコンピュータシステム全体)上又は内に存在してよく、またシステム又はネットワーク内の異なるコンピュータプログラム製品上又は内に存在してよい。コンピュータシステムは、モニター、プリンター、又は本明細書で使用者に対して言及される任意の結果を供するための他の適するディスプレーを含んでよい。
【0091】
代表的な本発明の実施形態の上記の説明は、例証及び説明の目的で提示される。これは、包括的である又は本発明を記載の詳細な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示を踏まえて多くの改変及び変更が可能である。実施形態は、本発明の趣旨、並びに熟慮された特定の使用に適する様々な改良と共に様々な実施形態において当業者が本発明を最も良好に利用することができる実用的な応用を最も良く説明するために選択され記載された。
【0092】
「a」、「an」又は「the」の記載は、特に指示しない限り「1又は複数」を意味することを目的とする。
【実施例】
【0093】
次の実施例は、特許請求する発明を説明するために提供されるが、これに限定するものではない。
【0094】
I.再現性
RQI値のチップ間の再現性を、1チップあたり12個の試料を有する6つの異なるチップ上でマウスの脳の総RNA試料を、250ng/jJlで分析することによって評価する(n = 72)(Ambion)。戻りRQI値は、平均値9.4のRQI値及び3.5%の変動パーセント係数(%CV)を有して、8.7〜9.7の範囲であった。ラットの肝臓RNAの傷のある試料上のRQI測定の再現性は2つの異なる濃度、100ng/jJl及び2ng/jJlで実行され、12及び11に渡って高再現性を示し、Experion RNA StdSens及びHighSens分析チップをそれぞれ使用して実行する。全RQI値は、図9Aの表1に示されるように、小さい標準偏差を有して小範囲に分類された。同時に、これらのデータはRQI値が非常に再現性のあることを示す。
【0095】
II.濃度の影響
RNA濃度のRQI精度に対する影響を、異なる完全性レベルを有するRNA試料を分析することによって決定した。RNA試料を、基準及び高感度RNAチップの全体のダイナミックレンジ(dynamic range)を網羅するために希釈した。図9Bの表2に示されるように、定性的な検出範囲は、Experion RNA StdSens及びHighSensチップそれぞれに関して、5〜500ng/fJl及び100〜5,000pg/fJlである。
【0096】
図10A及び10Bは、本発明の実施形態に従ってRNA濃度のRQI測定に対する影響を示す。Experion RNA StdSensチップを使用したRQI測定のためのRNA濃度の下限値を決定するために、異なる完全性レベルを有するマウス及びラットの肝臓由来のRNAの4つの試料を使用した(-3〜9の範囲のRQI値, 図1OA, B)。12回の段階希釈(1〜100 ng/μl)を各試料から調製し、3つのStdSens分析チップ上で3通り実行した。Experionシステムによって測定される通り(図10A)、各濃度において記録されたRQI値から、(1ユニットの期待値内の)正確なRQI値は10ng/μl以上のRNA濃度に対して戻されることが示される。
【0097】
HighSens分析チップでのRQI測定のためのRNA濃度の下限値を、無傷のマウス肝臓RNA試料を使用して決定した。10〜10,000pg/μlの範囲の12通りのRNA濃度をHighSens分析チップを使用して3通りに分析した。結果(図10B)は、RQI値がExperion RNA HighSens分析チップを使用して、200pg/μl以上で(期待値の1ユニット内に)正確に記録されることを示す。
【0098】
これらの実験から、信頼性のあるRQI値が、いずれのExperion RNAチップに関しても、RNAの定量的検出の実際の下限値又はそれ以下で記録されることが示された(図9Bの表2)。濃度がこれらの閾値以下の試料に関しては、Experionシステムは有効なRQI値を確実に記録することはできず、「RNA濃度が低すぎる」とコメントを供することによって、タイミングよく試料に警告する。ブラケットに値を表示することができるRQIセット中のボックスをチェックすることによって、使用者はこのカットオフを克服することができる。
【0099】
III.異なる組織及び器官への応用
実施形態において、基準のためにヒト肝臓RNA試料を使用して基準サイズプロフィールを規定し、これらは真核生物の試料において使用することを目的とする。異なるRNA試料タイプへの実施形態の適用性を試験するために、様々な相違する試料組織及び源を評価した。これらには、異なる組織由来の一連の20人のヒトRNA試料が含まれた(First Choice human total RNA survey panel, Ambion)。この試験から、RQI方法は様々なヒト組織由来のRNAの完全性を評価するために使用し測定されたRIN値と比較することができることが示される。従って、マウス肝臓、心臓、脳、皮膚、軟骨及び骨格筋;ラットの脳及び肝臓;ウサギの肺;ヒト神経芽細胞腫生検試料;ヒト子宮内膜生検試料;並びにHeLa、Jurkat及びHEPG2培養細胞を含む様々な組織及び器官に関して数百のRNA試料を抽出し、RQI値を測定した。RNA抽出のために使用される方法(TRI試薬又は細胞膜に基づく方法, 例えばBio-RadのAurumトータルRNA脂肪及び線維組織キット又はAurumトータルRNAミニキット)から独立した全RQI値は、電気泳動図の視覚解釈によって確認することができた。
【0100】
一組織及び器官において作成される基準サイズプロフィールの実施形態は、様々な組織及び器官で適用できると示されているが、異なる組織及び異なる器官由来の同一の組織に対して異なる基準(基準サイズプロフィール)を使用してよい。
【0101】
IV.リボヌクレアーゼ分解の精度
熱分解されたRNAを基準試料として使用して、RQIアルゴリズムを規定した。しかしながら、RNA抽出手順の間に生じる分解は、一般的に内在性又は外来性のリボヌクレアーゼの作用によって生じる。このような試料におけるRQIアルゴリズムの有効性を評価するために、熱及びリボヌクレアーゼで分解されたRNA試料のRQI測定値を比較した。内在性のリボヌクレアーゼによる分解は、RNA抽出前の室温での組織(肝臓)のインキュベートによって誘発された。図11に示されるように、2つのタイプの分解は顕著に異なる電気泳動プロフィールを得た。
【0102】
図11は、本発明の実施形態の、天然のリボヌクレアーゼによる分解と熱介在による分解との異なる時点における電気泳動図プロフィール及びRQI値の比較を示す。抽出の前に室温でインキュベートしたラットの肝臓由来の抽出されたRNA(左側のパネル)を、熱分解されたRNA由来のプロフィール(右側のパネル)と比較している。18S及び28SのrRNAピークは、それぞれ40秒及び47秒においてマップする。RQI値及びインキュベーション時間は、各グラフについて示される。
【0103】
主たる違いの1つは分解生成物のサイズ分布にある。熱分解生成物が全サイズに渡って断片の同質の集合を生じている一方で、リボヌクレアーゼによる分解からは電気泳動図において異なるピーク又はスパイクとして現れる別個のサイズ断片が得られている。RQIの算出は、電気泳動図のプレ18S領域における分解されたRNAの個々のバンドの存在によって影響を受けない。18Sと28SのいずれのrRNAピークも正確に確認される場合には、RQIソフトウェアは妥当な数を戻す。図11は、熱分解された試料と比較して、同様のRQI値が広範囲の「自然」の分解時間(0〜120分)に渡って計算されたことを示す。
【0104】
V.生(Raw)精度
2,500以上のRNA試料の試験において、1%未満のレーン(2,500の内の22個)は異常なRQI(外観検査由来の期待値と異なる、>1 RQI ユニット)結果を戻した。この僅かな割合のうち、最も頻度の高い読み違いRQI値はラダーレーンの読み違いに起因して生じ、そこではRNAラダー断片がソフトウェアによって誤認され、その結果18S及び28S領域の誤認となった。実施形態のRQI算出はこれらの領域に依存しているので、これらの不適切な同定は誤ったRQI値に繋がる可能性がある。この問題は電気泳動図の外観検査によって容易に検出し、読み違いされたバンドを修正するためにラダーピークを付加又は削除する目的で、ピーク同定パラメータを調整、又は(ラダーウェルに関してのみ)手作業の挿入の使用によって修正することができる。DNAの混入はまたRQIの読み取りに影響を及ぼす。まれなケースではあるが、混入のDNAのピークは、誤ったRQI値に繋がる18S rRNAピークとして同定され得る。これもまた、適当な断片が何処で開始し何処で終了するかを手動で再規定することによって修正することができる。
【0105】
VI.qPCRでの確認
90℃でのインキュベーションによって異なる時間の長さに関して分解された肝臓がんのRNA試料について、リアルタイムqPCRを行った。100相対蛍光ユニット(RFU)の閾値においてiCycler IQリアルタイムPCR検出システムを使用してバージョン3.1のソフトウェアで、3通りの反応から得られた5つの転写の平均CT値を決定した。ΔCTは、7時間の分解期間に渡るCT値における変化を示す。これらのデータが由来するqPCR反応に関するトレースを図12に示す。
【0106】
RNA(500 ng)を、iScripi’M cDNA合成キットを使用してcDNAに変換した。続いて、iQ(登録商標)SYBR(登録商標)Green supermix、並びに18S rRNA、及びβアクチン、GAPDH、HPRT、又はβチューブリン遺伝子に関する0.5uMの各プライマーペアで3通りの反応で、バージョン3.1ソフトウェアを有するiCycler iQ(登録商標)リアルタイムPCR検出システムを使用して、cDNA(10 ng)を増幅した(Gingrich 等. 2006)。
【0107】
試料中のRNA分解量を異なる時点において測定するために、qPCRをRNA試料に対して行った。これらの実験において、18S rRNA及び4つの選択されたタンパク質をコードする遺伝子に関して特定のプライマーを、リアルタイムqPCR反応において、それぞれの転写の相対的存在量を様々な時点において定量化するために使用した。
【0108】
図12は、本発明の実施形態の、リアルタイムqPCRによるRNAの分解評価を説明するプロットを示す。qPCRトレースは、異なる時間分解され、記載の遺伝子に関するプライマーを使用して増幅された、肝臓がんの総RNA試料から得られた。右側に移動するに従って、異なる曲線は、分解なし;1時間分解;3時間分解;5時間分解;及び7時間分解に関するものである。これらのトレースから得られた平均CT値を図9Cの表3に示す。
【0109】
図12に表示される結果は、分解時間の経過に従って18S rRNAはほとんど無傷のままであるように見えるが、4つのタンパク質をコードする遺伝子の転写の存在量は経時的に減少したことを示す。
【0110】
タンパク質コード遺伝子の転写に関する分解速度は、閾値サイクル値(CT)の増加に反映される。リアルタイムqPCR実験において、CT数は、増幅されたcDNA蛍光発光が設定閾値を越えるのに必要なサイクル数である。CT数は、開始転写量の違いを比較するために使用される。(100%の増幅効率と仮定すると)1サイクルの違いは、開始転写量における2倍の違いを示す。
【0111】
5つの遺伝子の転写からのqPCR反応のCT値を、図9Cの表3に示す。データは、試験した4つのタンパク質コード遺伝子の転写が初期試料中に異なる量で存在し、βアクチン転写が最も豊富でありHPRT転写が最も少なかったことを示す。予想通りに、18S rRNAの転写は他のタンパク質コード遺伝子の転写よりもはるかに多量であった。7時間の分解時間を通して、タンパク質遺伝子の転写ではΔCTが6.8〜9.9を有し、転写量中の128〜1,ODD倍(26.8 〜29.9)の減少を表しているのに比べ、18S rRNAではΔCTが1.3であり転写量中の2.5倍(21.3)の減少を表していることから確認されるように、18S rRNAの分解度はタンパク質遺伝子の転写よりもはるかに少なかった。
【0112】
5つの異なる遺伝子の残存する転写RNA相対量の、RNA試料の測定されたRQIとの相関関係を示すために、図13に示すように値をプロットした。任意値である1をRQIの10に対応する転写レベルに割り当てた。CTの1の増加ごとに転写の数が2倍減少されるとして、他の値全てを表3に示すCT値から計算した。
【0113】
図13のプロットは、5つの遺伝子全てに関して転写レベルがRQI測定に対してRQI値3まで対数的に減少することを示す。この値以下では、転写は一層早い速度で減少する。上述の通り、18S rRNA転写は多量であり分解による影響は少なかった。RQI測定に対する4つのタンパク質コード転写の減少速度はほぼ同一であった。HPRT及びGAPDHに関する転写は、βアクチン及びβチューブリンよりも若干早く消失した。例えば、HPRTの転写はRQIの4ユニットの範囲に渡り10倍減少し、一方でβチューブリンの転写はRQIの7ユニットの範囲に渡り10倍減少した。
【0114】
これらの結果は、RQI測定はRNA試料中の分解度を評価するために使用することができることを説明する。我々は4つのタンパク質コード遺伝子にだけ着目したが、これらは全てRQIスコアに対して異なる程度に分解するように思われる。このことから、信頼性のある結果を保証するためにqPCRを比較する又は実施する場合に、これはRNAの分解状態を再評価することができるということが示される。例えば、目的の特定の生体分子が使用されている(例えば増幅されている)ものによって、カラーコード又はRQI値が変化してよい。これに関係なく、RQIは依然として特定の分解状態に関して一貫性のある値を供する。特定の実験に関していずれのRQI値が必要であるかを特定するのは、特定技術の研究者の責任である。
【0115】
従って、実施形態は、電気泳動図の3つの領域のみを考慮に入れ、そして正確であると示されてきた効率的な方法で、完全性レベル(例えば、RQI値)を決定できることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体分子の試料の完全性レベルを決定するための方法であって:
生体分子の試料の第一サイズプロフィールを受け取る段階であって、ここでサイズプロフィールが試料中の生体分子の少なくとも一次元の値の分布尺度を供する段階;
コンピュータデバイスで、第一サイズプロフィールを複数の基準サイズプロフィールと比較する段階であって、ここで各基準サイズプロフィールが生体分子の基準試料の異なる分解時間において測定され、各基準サイズプロフィールが異なる完全性レベルに相関する段階;並びに、
1又は複数の基準サイズプロフィールに対する第一サイズプロフィールの類似性に基づいて、コンピュータデバイスで生体分子の試料の完全性レベルを決定する段階、
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記基準サイズプロフィールが、同一の起源及び同一の濃度の生体分子を含有する1又は複数の基準試料に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記完全性レベルが、所定のスケール内の数値として表わされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基準サイズプロフィールの異なる分解時間が、ゼロ及び連続的で周期的な時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基準サイズプロフィールが、異なる完全性レベルに線形的にマップする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも一次元の値が生体分子の長さである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
サイズプロフィールが少なくとも3つの領域の複数の割合を含んでなり、ここで各領域は試料の生体分子が検出点に達するための異なる時間に相当し、ここで異なるサイズの生体分子が異なる時間において検出点に達する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記比較する段階が:
第一サイズプロフィールの1又は複数のサイズ特性を基準サイズプロフィールの対応するサイズ特性と比較する段階を含み、
ここで生体分子の試料の完全性レベルを決定する段階が:
上記比較する段階に基づいて、第一サイズプロフィールの各サイズ特性に関して完全性値を決定する段階;及び、
生体分子の試料の完全性レベルを決定するために完全性値を平均する段階、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1又は複数のサイズ特性が、18S及び28SのrRNAピーク周囲のサイズプロフィールの面積の割合を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つのサイズ特性の完全性値が閾値より高い場合に、前記平均する段階が当該1つのサイズ特性を加重する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
第一サイズプロフィールの各サイズ特性に関して:
第一サイズプロフィールの1又は複数のサイズ特性を基準サイズプロフィールの対応するサイズ特性と比較する段階が:
対応するサイズ特性を有する2つの基準プロフィールを、第一サイズプロフィールのそれぞれのサイズ特性に関する値が間に位置する値で同定する段階;及び
第一サイズプロフィールのそれぞれのサイズ特性と2つの基準プロフィールの対応するサイズ特性の値との間の違いを計算する段階を含み、そして、
完全性値を決定する段階が、それぞれのサイズ特性の完全性値を決定するために、2つの基準サイズプロフィールの対応するサイズ特性の値の間で補間する段階を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記サイズプロフィールが電気泳動図である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
生体分子の試料の完全性レベルを決定するための操作を実施するための処理装置を制御するための、複数の指示を保存しているコンピュータ可読媒体を具備するコンピュータプログラム製品であって、当該指示が:
生体分子の試料の第一サイズプロフィールを受け取る段階であって、ここでサイズプロフィールが試料中の生体分子の少なくとも一次元の値の分布尺度を供する段階;
コンピュータデバイスで、第一サイズプロフィールを複数の基準サイズプロフィールと比較する段階であって、ここで各基準サイズプロフィールが生体分子の基準試料の異なる分解時間において測定され、各基準サイズプロフィールが異なる完全性レベルに相関する段階;並びに、
1又は複数の基準サイズプロフィールに対する第一サイズプロフィールの類似性に基づいて、コンピュータデバイスで生体分子の試料の完全性レベル決定する段階、
を具備するコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
電気泳動システムであって、
電源;
検出器;
請求項13に記載のコンピュータプログラム製品;及び、
検出器及びコンピュータプログラム製品とコミュニケーション可能に結合された1又は複数の処理装置、を具備する電気泳動システム。
【請求項15】
前記コンピュータプログラム製品が基準サイズプロフィールを保存する、請求項14に記載の電気泳動システム。
【請求項16】
発光マーカーを生体分子に励起する光源をさらに具備し、光源が第一電磁放射線を検出点において照射し、ここで検出器が時間内の特定の時点に検出点において励起された生体分子から放射された第二の電磁放射線を検出する、請求項14に記載の電気泳動システム。
【請求項17】
電気泳動システムを製造する方法であって:
少なくとも1つの生体分子の基準試料を受け取る段階;
基準試料の分解の複数の連続的な時間の各々において、生体分子の基準試料のそれぞれのサイズプロフィールを測定する段階であって、ここでサイズプロフィールが基準試料中の生体分子の少なくとも一次元の値の分布尺度を供する段階;並びに
各サイズプロフィールを完全性レベルにマッピングする段階であって、ここで分解の後半において測定されるサイズプロフィールが低い完全性レベルにマップするマッピングする段階、を含んでなる方法。
【請求項18】
前記電気泳動システムのコンピュータ可読媒体に、対応する完全性レベルに関連するサイズプロフィールを保存する段階をさらに含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基準試料が、第一サイズプロフィールの測定に先立つ分解を最初に有しない、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記マッピングが非線形的である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記基準試料を複数の連続的な時間において基準試料を加熱に供することによって分解する段階をさらに含んでなる、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−501458(P2012−501458A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525270(P2011−525270)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/055497
【国際公開番号】WO2010/025447
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(591099809)バイオ−ラッド ラボラトリーズ,インコーポレイティド (79)
【Fターム(参考)】