説明

RNA干渉によるテヌイウイルス属のウイルスに対して抵抗性植物を得るためのウイルス遺伝子

【課題】実用化に結びつく、テヌイウイルス属のウイルスに対して抵抗性植物の作出方法および抵抗性型品種を提供すること。
【解決手段】本発明は、テヌイウイルス属のウイルスゲノムに存在する少なくとも1つの遺伝子の発現抑制剤を含む、テヌイウイルス属のウイルス病に抵抗性を付与するための組成物、ならびに、テヌイウイルス属のウイルス病に対する耐性が付与された、テヌイウイルス属のウイルスに感染し得るイネ科植物を生産する方法であって、A)テヌイウイルス属のウイルスゲノムに存在する少なくとも1つの遺伝子の発現抑制剤を提供する工程;B)該発現抑制剤を該植物の細胞に導入する工程;C)該発現抑制剤が導入された植物の細胞を選択する工程;およびD)該選択された細胞を再分化させて、トランスジェニック植物を作出する工程;を包含する、方法を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
テヌイウイルス属に属するウイルスのゲノムに存在する少なくとも1つの遺伝子の発現抑制剤を含む、テヌイウイルス属に属するウイルスまたはテヌイウイルス属に属するウイルスが原因となる疾患に対する抵抗性を付与するための組成物。
【請求項2】
前記組成物は、ほぼ100%抵抗性集団を与える、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、少なくとも約70%完全抵抗性集団を与える、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、ほぼ「100%完全抵抗性集団」を与える、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの遺伝子は、RSV−pC1(配列番号1)、RSV−pC3(配列番号3)、RSV−pC4(配列番号5)、RGSV−pC1(配列番号15)、RGSV−pC5(配列番号17)およびRGSV−pC6(配列番号19)これらに対応する遺伝子ならびにこれらの遺伝子をコードする核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの遺伝子は、RSV−pC3(配列番号3)、RSV−pC4(配列番号5)、これらに対応する遺伝子ならびにこれらの遺伝子をコードする核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの遺伝子はRSV−pC3(配列番号3)、これらに対応する遺伝子ならびにこれらの遺伝子をコードする核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記発現抑制剤は、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号39に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号39に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号39に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号39に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記発現抑制剤は、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号43に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号43に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号43に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号43に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記発現抑制剤は、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号45に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号45に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号45に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号45に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記発現抑制剤は、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号61に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号61に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号61に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号61に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記発現抑制剤は、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号69に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号69に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号69に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号69に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記発現抑制剤は、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号71に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号71に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号71に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号71に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記テヌイウイルスに属するウイルスは、イネ縞葉枯ウイルス(RSV)またはイネグラッシースタントウイルス(RGSV)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
RSV−pC1(配列番号1)、RSV−pC3(配列番号3)、RSV−pC4(配列番号5)、RGSV−pC1(配列番号15)、RGSV−pC5(配列番号17)、RGSV−pC6(配列番号19)これらに対応する遺伝子、およびこれらに対応する遺伝子、ならびにこれらの遺伝子をコードする核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体からなる群より選択される核酸配列の全部または一部と相補的なアンチセンス配列、トリミング配列、および該アンチセンス配列と相補的なセンス配列を含む、発現カセット。
【請求項16】
前記核酸配列はRSV−pC3(配列番号3)、RSV−pC4(配列番号5)、これらに対応する遺伝子、ならびにこれらの遺伝子をコードする核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体からなる群より選択される、請求項15に記載の発現カセット。
【請求項17】
前記核酸配列はRSV−pC3(配列番号3)、これらに対応する遺伝子、ならびにこれらの遺伝子をコードする核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体である、請求項15に記載の発現カセット。
【請求項18】
前記アンチセンス配列は、配列番号3のアンチセンス配列、ならびに配列番号5のいずれか1つに示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体のアンチセンス配列からなる群より選択され、前記トリミング配列は、配列番号96である、請求項15に記載の発現カセット。
【請求項19】
前記発現カセットは、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号39に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号39に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号39に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号39に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項15に記載の発現カセット。
【請求項20】
前記発現カセットは、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号43に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号43に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号43に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号43に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項15に記載の発現カセット。
【請求項21】
前記発現カセットは、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号45に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号45に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号45に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号45に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項15に記載の発現カセット。
【請求項22】
前記発現カセットは、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号61に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号61に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号61に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号61に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項15に記載の発現カセット。
【請求項23】
前記発現カセットは、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号69に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号69に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号69に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号69に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項15に記載の発現カセット。
【請求項24】
前記発現カセットは、
(a)配列番号97に示される核酸配列からなるユビキチンプロモーター;
(b)(i)配列番号71に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号71に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
と相補的なアンチセンス配列;
(c)配列番号96に示される核酸配列からなるトリミング配列;
(d)(i)配列番号71に示される核酸配列;あるいは
(ii)配列番号71に示される核酸配列において1または数個の置換、付加、挿入、および/または欠失を有する改変体、
からなるセンス配列;ならびに
(e)ターミネーター配列、
を含む、請求項15に記載の発現カセット。
【請求項25】
請求項15に記載の発現カセットを含む、ベクター。
【請求項26】
請求項25に記載のベクターを含む、植物細胞。
【請求項27】
請求項25に記載のベクターを含む、植物体。
【請求項28】
請求項25に記載のベクターを含む、種子。
【請求項29】
テヌイウイルス属に属するウイルスに対する完全抵抗性を示す、請求項27に記載の植物体。
【請求項30】
前記テヌイウイルスに属するウイルスは、イネ縞葉枯ウイルス(RSV)またはイネグラッシースタントウイルス(RGSV)である、請求項29に記載の植物体。
【請求項31】
テヌイウイルス属に属するウイルスまたはテヌイウイルス属に属するウイルスが原因となる疾患に対する耐性が付与された、テヌイウイルス属に属するウイルスに感染し得るイネ科植物を生産する方法であって、
A)請求項25に記載のベクターを提供する工程;
B)該ベクターを該植物の細胞に導入する工程;
C)該ベクターが導入された植物の細胞を選択する工程;および
D)該選択された細胞を再分化させて、トランスジェニック植物を作出する工程;
を包含する、方法。
【請求項32】
テヌイウイルス属に属するウイルスまたはテヌイウイルス属に属するウイルスが原因となる疾患に対する耐性が付与された、テヌイウイルス属に属するウイルスに感染し得る植物の種子を生産する方法であって、
A)請求項25に記載のベクターを提供する工程;
B)該ベクターを該植物の細胞に導入する工程;
C)該ベクターが導入された植物の細胞を選択する工程;
D)該選択された細胞を再分化させて、トランスジェニック植物を作出する工程;および
E)該トランスジェニック植物から種子を得る工程;
を包含する、方法。
【請求項33】
テヌイウイルス属に属するウイルスまたはテヌイウイルス属に属するウイルスが原因となる疾患に対する耐性が付与された、テヌイウイルス属に属するウイルスに感染し得る植物を再生産する方法であって、
A)請求項25に記載のベクターを含む、種子を提供する工程;
B)該種子を生長させて、成熟した植物体を得る工程;
C)該植物体から、種子を得る工程、
を包含する、方法。
【請求項34】
前記テヌイウイルスに属するウイルスは、イネ縞葉枯ウイルス(RSV)またはイネグラッシースタントウイルス(RGSV)である、請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−67115(P2011−67115A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219750(P2009−219750)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「平成20年度農林水産省委託事業「新農業展開ゲノムプロジェクト」(バイオマス・飼料作物の開発)及び平成19−20年度新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業「植物ウイルスの媒介昆虫・植物間応答機構の解明と制御技術の開発(生物系特定産業技術支援センタープロジェクト)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願」
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】