説明

RUNTドメインに結合するリボ核酸

【課題】 ヒトの転写調節因子であるAML1、RUNX2、RUNX3および白血病に関連するAML1-MTG8、AML1-MTG16、TEL-AML1、AML1-EVI1、AML1-EAP、AML1-MDS1、AML1-MDS1-EVI1等のAML1に由来するRUNTドメインを持つ白血病融合タンパク質に関係して引き起こされる疾患の発症機構の解明、診断および治療に利用可能な物質、または転写などの細胞内プロセスの研究に利用可能な物質を提供する。
【解決手段】 SELEX法によって得られたRUNTドメインに対して結合活性を有するRNA。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転写因子AML1、RUNX2、RUNX3およびAML1に由来する白血病融合タンパク質などのRUNTドメインに結合するリボ核酸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
白血病では、病型に特徴的な染色体転座が多く見られ、転座による遺伝子融合で新たな癌遺伝子が生じる。代表的なものとしては、慢性骨髄性白血病のt(9;22)、急性骨髄性白血病のt(8;21)、inv(16)、t(15;17)、急性リンパ性白血病のt(12;21)などがあり、それぞれBCR-ABL、AML1-MTG8(別名AML1-ETO)、CBFβ-MYH11、PML-RARα、TEL-AML1の融合遺伝子が生じる。これらの融合遺伝子からキメラタンパク質が産生され、2つのタンパク質おのおのの本来の機能が変異することで癌化を誘導すると考えられる。AML1(別名RUNX1)は造血系細胞の発生や分化に必須な転写因子で、AML1の融合遺伝子が原因となる白血病の割合はAML1-MTG8が急性骨髄性白血病の約15%、TEL-AML1が急性リンパ性白血病の約20%を占め、最も多い染色体転座の一つである。他にも、AML1の関係する融合遺伝子には、AML1-MTG8、AML1-MTG16、TEL-AML1、AML1-EVI1、AML1-EAP、AML1-MDS1、AML1-MDS1-EVI1が知られている。
【0003】
AML1-MTG8タンパク質は、AML1のDNA結合領域であるRUNTドメインとほぼ全域のMTG8が連結したキメラタンパク質である。MTG8はN-CoR、mSin3A、SMRT、HDACsをリクルートする転写抑制活性を持つタンパク質であるため、本来AML1によって転写が活性化されるはずの遺伝子をドミナントに抑えることで、分化を抑制すると考えられる。
【0004】
実際に分化に関わる転写因子や分化形質タンパク質の発現が抑制されることがこれまでに明らかにされている。さらに、細胞分化に伴う細胞周期の停止やアポトーシスの誘導を担うp53の安定化タンパク質p14ARFの発現もAML1-MTG8によって抑えられる。従ってAML1-MTG8の発現は幹細胞の自己複製の増進、分化抑制をもたらす事で癌化の要因になると考えられる。AML1-MTG8以外の融合タンパク質も、同様にAML1によって発現する遺伝子をドミナントに抑制することで白血病の原因になっていると考えられる。
【0005】
現在、染色体転座を持つ白血病では、融合遺伝子を標的とした治療薬が開発され、実際に白血病の治療が行われている。慢性骨髄性白血病の分子標的治療薬であるイマチニブ(グリベック ノバルティス社)は、BCR-ABLタンパク質を標的として、ABLのチロシンキナーゼ活性を阻害することでがん細胞で異常に活性化した細胞増殖シグナルを阻害し、白血病細胞の増殖を抑制することによって高い治療効果を上げている。また、PML-RARαを発現する急性骨髄性白血病では、大量のレチノイン酸の投与によってPML-RARαによる転写不活性化を解除し、ブロックされていた転写を再度活性化し、細胞の分化誘導を再開させる治療が行われている。白血病融合遺伝子に対する核酸医薬としては、リボザイム、アンチセンス、siRNA等によって融合遺伝子の発現の抑制が研究されているが、医薬品として応用可能なものは今のところ得られていない。白血病治療薬としてのアンチセンス製剤としては、Bcl-2を標的としたGenasense (Genta社 米国)が現在第3相臨床試験まで進行している。
【0006】
AML1は、RUNTドメインおよびtrans activation (TA)ドメインを持つ約50kDaのタンパク質因子で、CBFβと複合体を形成してコア結合因子とよばれる転写因子を形成する。AML1のDNA結合ドメインであるRUNTドメインは、認識配列に結合し、転写のコアクチベーターであるヒストンアセチル化酵素p300/CBP等と複合体を形成することで様々な造血細胞特異的な遺伝子の転写の活性化を行う。白血病では、AML1はAML1-MTG8やTEL-AML1等の融合遺伝子の形成や発現量の低下などによってAML1による血球細胞の分化に必須な転写活性化が抑制されることが発症に関与すると考えられている。
【0007】
RUNTドメインをもつAML1のファミリー遺伝子(RUNXファミリー)としては、RUNX2およびRUNX3があるこれらの遺伝子のアミノ酸レベルでの相同性が非常に高く、特にRUNTドメインでは90%以上の相同性を持っている。これらはすべて転写因子であるが、AML1が造血系に関与しているのに対してRUNX2は骨形成に、RUNX3は多くの組織で発現しているが、特に胃、小腸、大腸等で多く発現している。RUNX2の機能不全は鎖骨頭蓋異形成症となり、RUNX3は胃癌の主要な抑制遺伝子であることがわかっている。また、現在知られているAML1の関与する融合タンパク質では、すべてにおいてAML1のRUNTドメインを有している。このため、AML1のRUNTドメインを認識し、結合する分子は白血病の検出用試薬として非常に有効であると考えられる。また、AML1やAML1に関連する融合遺伝子の機能を抑制する分子は、白血病の治療薬としての効果が期待できる。また、RUNX2、RUNX3のRUNTドメインに結合する分子は骨疾患や癌の検出、治療への応用が期待される。
【0008】
ところで、in vitroにおいてある標的物質と特異的に結合するRNAを選択・濃縮する手法として、SELEX法と呼ばれる新たな手法が開発されている(C. Tuerk & L. Gold, Systematic evolution of ligands by exponential enrichment: RNA ligands to bacteriophage T4 DNA polymerase, Science 249:505-510, 1990)。SELEX法は、PCRプライマー用の配列(一方にはT7ポリメラーゼの配列を含む)を両端に含む適当な長さのランダム配列を持つRNAを合成し、これを標的タンパク質と会合させ固相化する。結合しなかったRNAを洗浄後、結合したRNAを回収し、RT-PCRで増幅後、次のラウンドで用いるRNAのテンプレートとする。これを10ラウンド前後繰り返すことにより、標的タンパク質と特異的に結合するRNAアプタマーを取得する。この方法では、標的タンパク質の機能を促進や阻害するような生理活性を持つRNAを取得することが可能である。このことは病原タンパク質をターゲットにしてSELEXを行うことにより、得られたアプタマーを医薬品として応用できることを示唆している。従来の創薬に比べこのSELEX法を用いた創薬の優れている点として(1)従来の化学物質のスクリーニングより大規模の母集団よりスクリーニングをシステマティックに行える。(2)試験管内で容易に大量合成することができる。(3)免疫排除がない。(4)容易に合目的に改良を行える。(5)保存性が高く抗体を作ることが困難なタンパク質を標的にできる。などがあげられる。
【0009】
【特許文献1】特開2004−344008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ヒトの転写調節因子であるAML1、RUNX2、RUNX3および白血病に関連するAML1-MTG8、AML1-MTG16、TEL-AML1、AML1-EVI1、AML1-EAP、AML1-MDS1、AML1-MDS1-EVI1等のAML1に由来するRUNTドメインを持つ白血病融合タンパク質に関係して引き起こされる疾患の発症機構の解明、診断および治療に利用可能な物質、または転写などの細胞内プロセスの研究に利用可能な物質を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、このような物質の候補としてAML1のRUNTドメインに対するRNAアプタマーを作製した。すなわち、AML1のRUNTドメインを標的タンパク質としてSELEXを行ない、得られたアプタマーの標的タンパク質およびRUNX2、RUNX3、AML1-MTG8との結合活性を調べ、その有用性を示した。本発明は、これらの知見に基づいて、完成されたものである。
【0012】
本発明の要旨は以下の通りである。
【0013】
(1)配列番号1〜12のいずれかに記載の塩基配列で表されるRNA。
【0014】
(2)下記の式(I)に示す二次構造を形成することができるヌクレオチド配列を含み、RUNTドメインに対して結合活性を有するRNA。
【0015】
【化1】

(二次構造中N1は3個以上の核酸塩基、N2は6個以上の核酸塩基、N3は1個以上の核酸塩基、N4は3個以上の核酸塩基であり、Aはアデニン、Gはシトシン、Gはグアニン、Uはウラシルであり、核酸塩基間をつなぐ丸は核酸塩基間の水素結合を表す。)
【0016】
(3)(1)又は(2)に記載のRNAの一部を切断して短くしたRNAであって、RUNTドメインに対して結合活性を有するRNA。
【0017】
(4)(1)〜(3)に記載のRNAに別のRNAを付加したRNAであって、RUNTドメインに対して結合活性を有するRNA。
【0018】
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のRNAの塩基配列に1若しくは数個の塩基が置換、欠失若しくは挿入された塩基配列で表されるRNAであって、RUNTドメインに対して結合活性を有するRNA。
【0019】
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のRNAにおいて少なくとも1個の修飾ヌクレオチドが導入されているRNAであって、RUNTドメインに対して結合活性を有するRNA。
【0020】
(7)標識化されている(1)〜(6)のいずれかに記載のRNA。
【0021】
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載のRNAの塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNA。
【0022】
(9)(8)に記載のDNAが挿入されたベクター。
【0023】
(10)(7)に記載のRNAを用いて、RUNTドメインを持つタンパク質を検出する方法。
【0024】
(11)(7)に記載のRNAを用いて、RUNTドメインを持つタンパク質を定量する方法。
【0025】
(12)(1)〜(6)のいずれかに記載のRNAを用いて、RUNTドメインを持つタンパク質を単離する方法。
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】
(1)のRNAはRUNTドメインに対して結合活性を有する。RUNTドメインは、転写因子AML1、RUNX2、及びRUNX3、並びにAML1-MTG8、AML1-MTG16、TEL-AML1、AML1-EVI1、AML1-EAP、AML1-MDS1、及びAML1-MDS1-EVI1などの白血病融合タンパク質に含まれる。「結合活性を有する」とは、ランダム配列のRNAプールより高い結合活性を有していることを意味する。
【0028】
(2)のRNAは、上記の式(I)に示す二次構造を形成することのできるヌクレオチド配列を含む。
【0029】
上記の二次構造において、N1は3個以上の核酸塩基であり、好ましくは3〜7個の核酸塩基である。N1は全ての核酸塩基を取りうる。N2は6個以上の核酸塩基であり、好ましくは6〜10個の核酸塩基である。N2は全ての核酸塩基を取りうる。N3は1個以上の核酸塩基であり、好ましくは1〜3個の核酸塩基である。N3は全ての核酸塩基を取りうる。N4は3個以上の核酸塩基であり、好ましくは3〜7個の核酸塩基である。N4は全ての核酸塩基を取りうる。好ましい二次構造の一例としては、下記の式(II)に示す二次構造を挙げることができる。
【0030】
【化2】

【0031】
なお、この二次構造を構成するヌクレオチド配列は、後述するApt1(配列番号1)の11〜37番目のヌクレオチド配列に対応する。
【0032】
上記の二次構造の特徴として2つのstem-loop構造が挙げられる。生物界においてRNAがタンパク質の立体構造をまねて機能を有する「分子擬態」という概念が提出されている(Ito K., et al., A tripeptide ‘anticodon’ deciphers stop codon in messenger RNA, nature, 403:608-684, 2000、Nakamura Y., et al., Mimicry grasps reality in translation termination, Cell, 101:349-352, 2000)。この概念は、RNAがstem-loop構造、シュードノット構造や分子内四重鎖構造(G-カルテット)等の安定な高次構造を作りタンパク質のような機能を発揮する可能性を示している。実際、このような高次構造を持つRNAの中にはタンパク質の機能ドメインと結合し、生理活性を有するものがある。上記の二次構造の2つのstem-loop構造もこのような安定な構造を形成し、生理活性を与えていると考えられる。
【0033】
(3)のRNAは、(1)〜(2)のRNAを目的に応じて短くしたものである。短くするのは、5'末端又は3'末端のいずれか一方でもよく、また、両方の末端でもよい。また、二次構造上、塩基対合を取らないループ領域を欠失させたものでもよい。切断する長さは特に限定されないが、3〜20merであることが好ましく、3〜10merであることが更に好ましい。(3)のRNAの具体例としては、配列番号15に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S1、Apt1の3'末端を18mer短くしたRNA)を挙げることができる。
【0034】
(4)のRNAにおいて、付加されるRNAの長さは特に限定されないが、100mer以下であることが好ましく、30mer以下であることが更に好ましい。このように別のRNAを付加することにより、種々の目的に合ったRNAアプタマーを作製することができる。(4)のRNAの具体例としては、配列番号16に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S2、Apt1の5'末端を8mer短くした後、GGGを付加し、3'末端を24mer短くした後、CCCを付加したRNA)を挙げることができる。
【0035】
(5)のRNAは(1)〜(4)のRNAに変異を導入してSELEXを再度行なうことで得ることができる。ここで得られる進化したRNAは(1)〜(4)のRNAよりも結合活性や生理活性が高い可能性がある。このようにRNAに変異を導入することにより、種々の目的に合ったRNAアプタマーを作製することができる。置換、欠失若しくは挿入される塩基の個数は、数個以内であればよいが、好ましくは5個以下であり、最も好ましくは1個である。(5)のRNAの具体例としては、配列番号24に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S2の8番目のAをUに置き換えたRNA)、配列番号25に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S2の9番目のCをAに置き換えたRNA)、配列番号26に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S2の10番目のGをAに置き換えたRNA)、配列番号27に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S2の28番目のAをGに置き換えたRNA)、配列番号28に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S2の29番目のUをAに置き換えたRNA)、配列番号29に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S2の30番目のCをGに置き換えたRNA)、配列番号33に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S2の17番目のCをAに置き換えたRNA)、配列番号34に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S2の18番目のAをCに置き換えたRNA)、配列番号35に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S2の19番目のCをAに置き換えたRNA)、配列番号36に記載の塩基配列で表されるRNA(Apt1-S2の20番目のGをCに置き換えたRNA)を挙げることができる。
【0036】
(6)のRNAは(1)〜(5)のRNAのリボースの部分または核酸塩基の部分または5'末端または3'末端を修飾したもので、(1)〜(5)のRNAの安定性、結合活性、生理活性を高めることができる。例えば、ピリミジンヌクレオチドのリボースの2'-OHをフルオロ化またはメチル化するとリボヌクレアーゼ耐性になり、安定性が飛躍的に向上する。なお、修飾ヌクレオチドにはデオキシリボヌクレオチドも含まれる。
【0037】
(7)の標識化されているRUNTドメインを持つタンパク質の検出と定量に用いることができる。例えば、蛍光物質で標識化したアプタマーを細胞内に導入することで、細胞内での上記のタンパク質の挙動が観察できる。RUNTドメインを持つタンパク質としては、転写因子AML1、RUNX2、及びRUNX3、並びにAML1-MTG8、AML1-MTG16、TEL-AML1、AML1-EVI1、AML1-EAP、AML1-MDS1、及びAML1-MDS1-EVI1などの白血病融合タンパク質などを例示できる。
【0038】
(1)〜(6)のRNAの5'末端をビオチン化し固相化することで、RNAアプタマーを用いたRUNTドメインを持ったタンパク質の分離カラムを作製することができ、この分離カラムを用いてRUNTドメインを持ったタンパク質を単離することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によりAML1、RUNX2、RUNX3およびその他のRUNTドメインを持つ白血病融合タンパク質に対して結合能を有するRNAアプタマーが提供される。本発明のRNAアプタマーはAML1、RUNX2、RUNX3およびRUNTドメインを持つ白血病融合タンパク質の機能解析やがんなどの疾患の診断および治療に利用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明において用いたSELEX法の概略を図1に示す。
【0041】
AML1、RUNX2、RUNX3、RUNTドメインを持つ白血病融合タンパク質に対するRNAアプタマーの選択は、N末端にヒスチジンタグが融合したAML1のRUNTドメインを大腸菌内で高発現させ、それをNi-NTA agarose (Qiagen社)で一次精製し、Resource Sカラム(Amersham Biosciences社)で二次精製したものを標的タンパク質に用いた。以下、実験で用いているAML1 RUNTドメインとはヒスチジンタグを融合した融合タンパク質のことをいう。これをNi Sepharose H.P. (Amersham Biosciences社)またはTALON metal affinity resin (Clontech社)またはNi-NTA magnetic resin (Qiagen社)に固相化し、30merあるいは40merのランダム配列をもつRNAプールに対してselectionを行った。9ラウンドまでselectionのサイクルを回した後、濃縮されてきたRNAに対応するcDNAをpGEM-T Vector (Promega社)にクローン化し、塩基配列を決定した。その結果、30merのランダム配列を持つRNAプールから8種類、40merのランダム配列を持つRNAプールから4種類の収束している配列が得られた(図2)。これらをそれぞれApt1(配列番号1), Apt2(配列番号2), Apt3(配列番号3), Apt4(配列番号4), Apt5(配列番号5), Apt6(配列番号6), Apt7(配列番号7), Apt8(配列番号8), Apt9(配列番号9), Apt10(配列番号10), Apt11(配列番号11), Apt12(配列番号12)と名付けた。
【0042】
収束した配列の結合活性を、BIACORE Xシステム(Biacore AB社)を使用した表面プラズモン共鳴解析によって測定した。あらかじめビオチン化したpoly-dTを固定化したsensor Chip SA(Biacore AB社)に、poly-Aを付加したRNAを固定化し、AML1 RUNTドメインをインジェクションすることによって、得られたRNAに結合活性があるか調べた(図3A,B,C,D)(図はAML1 RUNTドメインをインジェクションした時のグラフを示す)。selectionによって得られたRNAは、すべてAML1 RUNTドメインに対して結合能を持っていた。30merのランダム配列を持つRNAプールからのselectionによって得られたRNAの中で、出現頻度が高かったApt1の解離定数KdをBIACORE Xシステムを使った実験によって算出した。算出したApt1のKdは、約4 nMであった。本来細胞内において、AML1 が認識するDNA配列を含んだ二本鎖DNA(以降AML1結合dsDNA、配列番号13及び配列番号14)のKdも同様の方法で算出した。その値は、約70nMであった。さらに実際に、Apt1とAML1結合DNAの競合実験を行い得られたRNAアプタマーがAML1結合dsDNAより強い結合活性を持つのか確かめた。sensor Chip上にAML1結合dsDNAを固定化し、RNAアプタマーあるいはAML1結合dsDNAとAML1 RUNTドメインを1:1になるようした溶液をインジェクションした。実験の結果、RNAアプタマーはAML1 RUNTドメインとAML1結合dsDNAの結合を完全に阻害した(図4)(図はRNAアプタマーあるいはAML1結合dsDNAとAML1 RUNTドメインを1:1の比率で含む溶液をインジェクションした時のグラフを示す)。以上の結果から、本来AML1 RUNTドメインが認識するDNA配列より結合能の高いRNAアプタマーがselectionによって得られたことが示された。
【0043】
ヒトではAML1 RUNTドメインと非常に相同性の高いRUNTドメインを持っているタンパク質が存在する。それらは、RUNXファミリータンパク質として分類され、RUNX2およびRUNX3と命名されている。それらRUNXファミリータンパク質に対してApt1が結合活性があるのか調べた。RUNX2 RUNTドメインおよびRUNX3 RUNTドメインは、N末端にヒスチジンタグを融合したものを大腸菌内で高発現させ、AML1 RUNTドメインと同様の方法で精製した。Apt1は、RUNX2 RUNTドメインおよびRUNX3 RUNTドメインに対して、AML1 RUNTドメインと同等の結合活性を持っていた(図5)(図はタンパク質をインジェクションした時のグラフを示す)
【0044】
得られたRNAアプタマーのうちselectionの出現頻度が高かったApt1の二次構造を、Enzyme Probingによって予測した。CIP(Phosphatase, Alkaline from calf intestine, Roche社)を用い、50℃ 2hrインキュベートすることでApt1の5'末端をOH基にした。そのRNAを、[γ-32P]ATP(Amersham Biosciences社) と T4 RNA Ligase(TAKARA BIO INC.社) を用い、5'末端を32Pでラベルした。ラベルしたRNAをBuffer A中で85℃ 5minインキュベートとしてから氷中で急冷した。アルカリ分解は、15,000cpm 32PラベルRNAを50mM炭酸Na(pH 9.0), 1mM EDTAの条件下で90℃ 10minインキュベートして行った。RNase T1 (Ambion社)の変性条件での消化は、15,000cpm 32PラベルRNAを20mMクエン酸Na(pH 5.0), 7M Urea, 1mM EDTAの条件下で50℃ 30minインキュベートして行った。非変性条件での消化は、15,000cpm 32PラベルRNAを20mMリン酸Na(pH6.5), 2mM Mg(OAc)2, 50mM KOAc, enzyme(1U/μl RNase T1 or 0.002U/μl RNase V1(Ambion社), 1U/μl Mung Bean nuclease(TOYOBO社)), 0.5μg/μl Yeast RNA(Ambion社)の条件下で、25℃で10minインキュベートした。反応後は、サンプルをエタノール沈殿してから、15%ポリアクリルアミドゲル(7M Urea,1×TBE)で電気泳動した。泳動後のゲルを、イメージングプレート(BAS-MS2040, Fujifilm社)に転写し、フルオロイメージアナライザー(FLA-3000G, Fujifilm社)で分析した。電気泳動の結果とRNAの切断部位ならびに、そのパターンから予測したApt1の二次構造を図6に示す。
【0045】
予測した二次構造から、AML1b Runt domianとの結合能を有したまま小型化できるか調べた。2つのステム構造と2つのループ構造をそのまま残し3'末端を18mer短くしたApt1-S1(配列番号15)とさらにこれから、その5'末端を6mer、3'末端を4mer短くし、T7 RNAポリメラーゼによって転写ができるように5'末端の配列をGに3塩基置換したApt1-S2(配列番号16)を調製した(図7)。小型化したRNAの結合活性を調べた結果、小型化した2つのRNAは、どちらもAML1 RUNTドメインとの結合能を保持しており、算出した結合定数Kdは、Apt1-S1が約10nMでApt1-S2が約5nMであった(図8)(図はAML1 RUNTドメインをインジェクションした時のグラフを示す)。
【0046】
ピリミジンヌクレオチドの2'-OHをフルオロ化した場合、Apt1およびApt1-S1、Apt1-S2の AML1 RUNTドメインとの結合活性に影響があるのか調べた。これら修飾RNAアプタマーの結合定数Kdは、Apt1が約7 nM、Apt1-S1が約16 nM、Apt1-S2が約9 nMだった。この結果から、Apt1およびApt1-S1、Apt1-S2は、ピリミジンヌクレオチド2'-フルオロ化によるAML1 RUNTドメインとの結合活性への影響はほとんどなく、結合能を保持したままヌクレアーゼ耐性を獲得できることが示された。
【0047】
AML1 RUNTドメインと結合する際、RNAアプタマーの必要な要素を調べるために、Apt-S2のloop領域の塩基を一つずつ他の塩基に置換した変異体を作製した(配列番号24〜40)。それら変異体RNAとAML1 RUNTドメインに対する結合活性を調べた。14〜16、23番目の塩基を他の塩基に置換するとAML1 RUNTドメインに対する結合活性はまったく失われた。20、21、24番目の塩基の置換は、結合活性の大幅な低下をもたらした。その他の塩基の置換は、AML1 RUNTドメインに対する結合活性にほとんど影響を与えなかった(表1)。さらに変異体のRUNX2 RUNTドメイン、RUNX3 RUNTドメインに対する結合活性を調べた。その結果は、AML1 RUNTドメインの傾向と全く同じであった。このことは、3種類のRUNTドメインに対してRNAアプタマーが同じような様式で結合していると推測できる。
【0048】
【表1】

【0049】
RNAアプタマーのポイント変異の実験結果から、RNAアプタマーがRUNTドメインと結合する要素を決定した。下記の二次構造において、N1は3個以上の核酸塩基であり、好ましくは3〜7個の核酸塩基である。N1は全ての核酸塩基を取りうる。N2は6個以上の核酸塩基であり、好ましくは6〜10個の核酸塩基である。N2は全ての核酸塩基を取りうる。N3は1個以上の核酸塩基であり、好ましくは1〜3個の核酸塩基である。N3は全ての核酸塩基を取りうる。N4は3個以上の核酸塩基であり、好ましくは3〜7個の核酸塩基である。N4は全ての核酸塩基を取りうる。
【0050】
【化3】

【0051】
得られたRNAアプタマーを樹脂に固定化し、AML1分離カラムとして機能するか調べた。AML1 RUNTドメインを高発現した大腸菌ライセートと5'末端ビオチン化Apt1-S2 (Dharmacon社に合成依頼)を固定化したStreptavidin Sepharose High Performance(Amersham Biosciences社)をよく混合し、4°Cで30分間緩やかに撹拌した。ここで使用したApt1-S2 は、下記のようにヌクレオチドの一部を2'-フルオロ化している。
【0052】
5'-Biotin-GGGAUGGACGACCCACCACGGCGAGGUAUCCCAUCCC-3'
(下線は、2'-フルオロ化したヌクレオチドを表す。)
【0053】
樹脂をBuffer Aでよく洗浄した後、4M Ureaを加えて吸着したタンパク質を溶出した。回収した溶出画分を、NuPAGE 4-12% Bis-Tris Gel (1×NuPAGE MES SDS Running Buffer使用, Invitrogen社)を使い電気泳動した。泳動後、SYPRO Orange(Molecular Probes社)で染色し、フルオロイメージアナライザー(FLA-3000G, Fuji film社)でタンパク質のバンドを分析した。その結果、RNAアプタマーを固定化した樹脂にのみAML1 RUNTドメインが結合していることが確認できた(図9)。これによりRNAアプタマーを固定化した樹脂が、AML1をはじめとするRUNTドメインを持つタンパク質に対するアフィニティーカラムとして機能しうることが示唆された。
【0054】
AML1あるいはAML1-MTG8融合タンパク質が発現した培養細胞ライセートでも前述の大腸菌ライセートの場合と同様の実験をした。発現ベクターとしてpDEST26-AML1{AML1bの全コード領域の配列を挿入したもの}およびpDEST26-AML1-MTG8(AML1-MTG8の全コード領域の配列を挿入したもの)を用い、Hela細胞内にAML1bおよびAML1-MTG8タンパク質を発現させた。これら細胞からライセートを得た。特異的ペプチド抗体を用いたウエスタンブロット法を使用し、RNAアプタマーによってAML1あるいはAML1-MTG8融合タンパク質がライセート中から分離できていているのかを調べた。その結果、AML1、AML1-MTG8融合タンパク質はともにRNAアプタマーを固定化した樹脂に特異的にバンドが確認できた(図10)。これにより、ヒトの細胞のライセート中からでもRNAアプタマーを固定化した樹脂が分離カラムとして機能しうることが示唆された。さらに、この実験により、得られたRNAアプタマーが全長のAML1およびAML1-MTG8融合タンパク質に対しても結合活性を有することが証明された。
【0055】
AML1とAML1-MTG8融合タンパク質を識別することが可能であるか検証した。AML1とAML1-MTG8融合タンパク質あるいは、それらが含まれる細胞を識別する方法として、BIACORE Xシステムによる表面プラズモン共鳴解析を使用した。実験は、BIACOREによるRNAアプタマーの結合活性の測定と同じ条件で行った。はじめに20μlのピリミジンヌクレオチドを2'-フルオロ化修飾し、さらに3'-polyAを付加したApt1(4ng/μl)をインジェクションし、sensor Chip上にRNAを固定化した。その3分後にサンプル(100 nM AML1 RUNTドメイン、100nM AML1-MTG8様融合タンパク質(AML1-MTG8の融合部位周辺のRUNTドメインとTAFドメインを含むタンパク質)または40 ng/μl 培養細胞ライセート)をインジェクションしてタンパク質をsensor Chip上のRNAアプタマーで固定化した。その3分後に、10μg/μlのMTG8のTAFドメインに対する抗体をインジェクションした。AML1 RUNTドメインをsensor Chip上に固定化した場合、抗体をインジェクションしてもレスポンスの上昇は見られなかった。しかし、AML1-MTG8様融合タンパク質の場合はレスポンスの上昇が見られた(図11A)。さらに、培養細胞のライセートの場合、AML1-MTG8融合タンパク質を高発現したライセートの場合のみ、レスポンスの上昇が他のライセートより明らかに高かった(図11B)。これにより、RNAアプタマーとMTG8のTAFドメインに対する抗体を利用すれば、AML1とAML1-MTG8融合タンパク質を簡便に識別できることが示された。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実験の手法を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0057】
[実施例1]タンパク質精製
本発明で用いたヒトおよびAML1 RUNTドメイン、RUNX2 RUNTドメイン、RUNX3 RUNTドメイン、AML1-MTG8様融合タンパク質(AML1-MTG8の融合部位周辺のRUNTドメインとTAFドメインを含むタンパク質)は、N末端にヒスチジンタグのついたAML1 RUNTドメインとMTG8 TAFドメインの融合タンパク質として大腸菌内で過剰発現させ、Ni-NTAアガロース(Qiagen社)を用いて粗精製し、さらに陽イオン交換カラムResource S(Amersham Biosciences社)により精製した。
【0058】
[実施例2]RNAアプタマーの取得
SELEX法を用いたin vitro RNA selectionはEllingtonらの方法(Ellington A.D. and Szostak J.W., In vitro selection of RNA molecules that bind specific ligands, Nature, 346:818-822, 1990)およびTuerkらの方法(Tuerk C. and Gold L., Systematic evolution of ligands by exponential enrichment: RNA ligands to bacteriophage T4 DNA polymerase, Science, 249:505-510, 1990)を改良して行った。in vitro selectionに用いたRNA poolは化学合成した以下のプライマーおよびランダム配列テンプレート(SIGMA GENOSYS社に合成依頼)より作製した。Klenow Fragment(Large Fragment E. coli DNAポリメラーゼ I, TAKARA BIO INC.社)により二本鎖DNAとし、これを転写のテンプレートとして、プライマーP1に含まれるT7 RNAポリメラーゼのプロモーターにより、AmpliScribe T7-Flash Transcription Kit(EPICENTRE Biotechnologies社)を用い転写して、フェノール抽出とゲルろ過により精製した。
【0059】
P1: 5'-TAATACGACTCACTATAGGGACACAATGGACG-3'(配列番号17)
30N ランダム配列テンプレート:5'- CTCTCATGTCGGCCGTTA(30N)CGTCCATTGTGTCCCTATAGTGATCGTATTA-3' (配列番号18)
40Nランダム配列テンプレート5'-CTCTCATGTCGGCCGTTA(40N)CGTCCATTGTGTCCCTATAGTGATCGTATTA-3' (配列番号19)
RNAとタンパク質の結合はバッファーA[20mMリン酸ナトリウム(pH6.5),2mM酢酸マグネシウム,50〜200mM酢酸カリウム(selectionサイクルが進むにつれて段階的に上昇させた(表2)),5%(v/v)グリセリン,0.05%(v/v)Triton-X100,5mM 2-メルカプトエタノール]中で行った。RNAとの反応後、ヒスチジンタグアフィニティー樹脂 (Ni Sepharose H.P.(Amersham Biosciences社)またはTALON metal affinity resin (Clontech社)、Ni-NTA magnetic resin (Qiagen社), 表2)によりpull-down後、RNAを精製し、プライマーP2を用いて逆転写した後、PCRでcDNAを増幅した。
【0060】
【表2】

【0061】
このcDNAを用いAmpliScribe T7-Flash Transcription Kit (EPICENTRE Biotechnologies社)でin vitro転写を行い次のラウンドのRNAを得た。
【0062】
P2: 5'-CTCTCATGTCGGCCGTTA-3' (配列番号20)
9ラウンドselectionを行った後、PCR産物はpGEM-T vector(Promega社)にサブクローニング後、大腸菌株XL1 Blue(STRATAGENE社)に形質転換導入し、単一クローンを得た。これらは、plasmidを抽出後DNA sequencer (model 3100, ABI社)で、以下のsequence primerを用いて塩基配列を決定した。
【0063】
sequence primer: 5'-GTAAAACGACGGCCAGT(配列番号21)
【0064】
[実施例3]結合活性の評価
9ラウンド後に得られたRNAのAML1 RUNTドメインに対する結合活性を、BIACORE Xシステム(Biacore AB社)を使用した表面プラズモン共鳴解析によって調べた。測定には、sensor chip SA(Biacore AB社)のフローセル 1に約100RUのビオチン化プライマーP3を付加させたものを使用した。
【0065】
P3: 5'-ビオチン-TTTTTTTTTTTTTTTT-3'(配列番号22)
また、sensor chipにRNAを固定化するために、あらかじめ3'末端にAが16個付加したRNAを用意した。配列の決定の際得られたRNAアプタマーの配列が組み込まれたベクターをテンプレートして、PCRでcDNAを増幅した。この時、5'側のprimerには、P1(配列番号17)を、3'側のprimerにP4を用いた。
【0066】
P4: 5'-TTTTTTTTTTTTTTTTCTCTCATGTCGGCCGTTA(配列番号23)
このPCRで増幅させたcDNAを転写のテンプレートとして、[実施例2]と同様の方法で3'末端にAが16個付加したRNAを得た。
【0067】
Selectionによって得られたRNAに対する結合活性は、流速20μl/min、Buffer条件(20 mMリン酸Na(pH 6.5), 2 mM Mg(OAc)2, 200 mM KOAc, 0.1 %(v/v) TWEEN 20, 1 mM DTT)で測定した。はじめに20μl の3'末端にpoly-Aを付加したRNA(4ng/μl)をNormal Injectionモードでインジェクションした。その4分後に、180秒間のDelayed Injectionモードで500 nMのAML1 RUNTをインジェクションした。
【0068】
解離定数Kdは、sensor chip SA(Biacore AB社)のフローセル 1に約10 RUのビオチン化プライマーP3を付加させたものを使用した。流速50μl/min、Buffer条件(20 mMリン酸Na(pH 6.5), 2 mM Mg(OAc)2, 300 mM KOAc, 0.1 %(v/v) TWEEN 20, 1 mM DTT)で測定した。20μlの3'末端にpoly-Aを付加したRNA(4ng/μl)をNormal Injectionモードでインジェクションした。その4分後に、180秒間のDelayed Injectionモードで1〜100 nMのAML1 RUNTドメインをインジェクションした。Kdは、データ解析ソフトウェアBIA evaluation version 4.1(Biacore AB社)を使って算出した。本来AML1 RUNTドメインが認識するDNA配列を含んだ二本鎖DNA(AML1結合dsDNA)のKdも同様の方法で算出した。
【0069】
[実施例4]競合実験
Apt1のAML1 RUNTドメインに対する結合の強さをAML1結合DNAと比較するために、BIACORE Xシステムを用いて競合実験した。測定には、sensor chip SA(Biacore AB社)のフローセル 1に約100RUのビオチン化プライマーP3を付加させたものを使用した。流速20μl/min、Buffer条件(20 mMリン酸Na(pH 6.5), 2 mM Mg(OAc)2, 200 mM KOAc, 0.1 %(v/v) TWEEN 20, 1 mM DTT)で測定した。はじめにsensor Chip上にAML1結合dsDNAを固定化し、50nMのApt1あるいはpoly-AのないAML1結合dsDNA、30NランダムRNAをAML1 RUNTドメインと1:1になるように調製した溶液をインジェクションした。
【0070】
[実施例5]RNAアプタマーのRUNXファミリータンパク質に対する結合活性
ヒトではAML1 RUNTドメイン結合と非常に相同性の高いRUNTドメインを持ったタンパク質が存在する。それらは、RUNXファミリータンパク質として分類され、RUNX2およびRUNX3と命名されている。それらRUNXファミリータンパク質に対してApt1が結合能を持っているかどうか調べた。RUNX2 RUNTドメインおよびRUNX3 RUNTドメインは、N末端にヒスチジンタグを融合したものを大腸菌内で高発現させ、AML1 RUNTドメインと同様の方法で精製した。これらのタンパク質とRNAアプタマーの結合活性は、AML1 RUNTドメインとの結合活性を調べたときと同様の方法で調べた。
【0071】
[実施例6]RNAアプタマーの二次構造の予測
得られたRNAアプタマーのうちselectionの出現頻度が高かったApt1の二次構造を、Enzyme Probingによって予測した。Enzyme Probingとは、特異的な切断活性をもつリボヌクレアーゼ(RNase)でRNAを切断し、そのパータンから二次構造を予測する方法である。CIP(Phosphatase, Alkaline from calf intestine, Roche社)を用い、50℃ 2hrインキュベートすることでApt1の5'末端をOH基にした。そのRNAを、[γ-32P]ATP(Amersham Biosciences社) と T4 RNA Ligase(TAKARA BIO INC.社) を用い、5'末端を32Pでラベルした。ラベルしたRNAをBuffer A中で85℃ 5minインキュベートとしてから氷中で急冷した。アルカリ分解は、15,000cpm 32PラベルRNAを50mM炭酸Na(pH 9.0), 1mM EDTAの条件下で90℃ 10minインキュベートして行った。RNase T1 (Ambion社)の変性条件での消化は、15,000cpm 32PラベルRNAを20mMクエン酸Na(pH 5.0), 7M Urea, 1mM EDTAの条件下で50℃ 30minインキュベートして行った。Native条件での消化(Enzyme Probing)は、15,000cpm 32PラベルRNAを20mMリン酸Na(pH6.5), 2mM Mg(OAc)2, 50mM KOAc, enzyme(1U/μl RNase T1 or 0.002U/μl RNase V1(Ambion社), 1U/μl Mung Bean nuclease(TOYOBO社)), 0.5μg/μl Yeast RNA(Ambion社)の条件下で、25℃で10minインキュベートした。反応後は、サンプルをエタノール沈殿してから、15%ポリアクリルアミドゲル(7M Urea,1×TBE)で電気泳動した。泳動後のゲルを、イメージングプレート(BAS-MS2040, Fujifilm社)に転写し、フルオロイメージアナライザー(FLA-3000G, Fujifilm社)で分析した。
【0072】
[実施例7]RNAアプタマーの小型化
予測した二次構造から、AML1 RUNTドメインとの結合活性を有したまま小型化できるか調べた。2つのステム構造と2つのループ構造をそのまま残し3'末端を18mer短くしたApt1-S1(配列番号14)とさらにこれから、その5'末端を6mer、3'末端を4mer短くし、T7 RNAポリメラーゼによって転写ができるように5'末端の配列をGに3塩基置換したApt1-S2(配列番号15)を作製した(図7)。5'側にT7プロモーターを配したApt-S1あるいはApt-S2の配列を持つDNAを合成した(SIGMA GENOSYS社に合成依頼)。5'側にprimerにはP5(配列番号41)を、3'側のprimerはApt-S1はP6(配列番号42)をApt-S2はP7(配列番号43)を用いPCRで合成DNAを増進し、Apt1同様転写した際に、3'側にpolyAが付加した形でRNAを得た。これら小型化したRNAの結合活性は、BIACORE Xシステムを使用し、前述した方法で実験した。
【0073】
[実施例8]AML1 RUNTドメインと結合する際、RNAアプタマーの必要な要素の決定
AML1 RUNTドメインと結合する際、RNAアプタマーの必要な要素を調べるために、Apt-S2のloop領域の塩基を一つずつ他の塩基に置換した変異体を作製した(配列番号24〜40)。配列中の塩基の番号付けは、5'末端の塩基を1とし、3'側に昇順に行った。5'側にT7プロモーターを配した変異体の配列を持つDNAを合成した(SIGMA GENOSYS社に合成依頼)。5'側にprimerにはすべてP5(配列番号41)を、3'側のprimerには、配列番号24〜34はP7(配列番号43)を、配列番号35はP8(配列番号44)を、配列番号36はP9(配列番号45)を、配列番号37はP10(配列番号46)を、配列番号38はP11(配列番号47)を、配列番号39はP12(配列番号48)を、配列番号40はP13(配列番号49)を用いて、それぞれPCRで合成DNAを増進し、Apt1同様転写した際に、3'側にpolyAが付加した形でRNAを得た。それら変異体RNAとAML1 RUNTドメインに対する結合活性を調べた。実験は、BIACORE Xシステムを使用し、前述した条件で行った。
【0074】
[実施例9]RNAアプタマーのピリミジンヌクレオチド2'-OHのフルオロ化による結合能への影響の検討
RNAのピリミジンヌクレオチドのリボースの2-OHをフルオロ化するとリボヌクレアーゼ耐性になり、安定性が飛躍的に向上する。Apt1およびそれを小型化したApt1-S1、Apt1-S2のピリミジンヌクレオチドを2'-フルオロ化したRNAを調製し、修飾前と結合能に変化があるかどうかを調べた。なお、ピリミジンヌクレオチドを2'-フルオロ化したRNAは、DuraScribe T7 Transcription Kit (EPICENTRE Biotechnologhies社)を使って目的のRNAを得た。結合活性の測定は、[実施例3]と同様の方法で行った。
【0075】
[実施例10]大腸菌ライセートのPull-down実験
得られたRNAアプタマーを樹脂に固定化し、AML1分離カラムとして機能するか調べた。AML1 RUNTドメインを高発現した大腸菌をBuffer A (20 mMリン酸Na(pH 6.5), 2 mM Mg(OAc)2, 200 mM KOAc, 0.1%(v/v) TWEEN 20, 1 mM DTT, Protease inhibitor (Protease Inhibitor Cocktails for General, SIGMA社)に懸濁し、超音波で破砕した。15,000 rpmで30分間遠心し、上清を回収してこれを大腸菌ライセートとした。100pmolの合成5'-biotin-S2 (DHARMACON社に合成依頼)と20μl Streptavidin Sepharose High Performance(Amersham Biosciences社)をよく混合し、4℃に10分間放置した。Buffer Aでよく樹脂を洗浄した後、大腸菌ライセート10μgとYeast RNA (Ambion社) 20μgをBuffer Aでtotal 200μl にしたものを加えた。それを4℃で30分間緩やかに撹拌した。樹脂をBuffer Aでよく洗浄した後、4M Ureaを加えて吸着したタンパク質を溶出した。溶出液は、限外濾過チューブ(Microcon-10, MILLIPORE)で濃縮して、NuPAGE 4-12% Bis-Tris Gel(1×NuPAGE MES SDS Running Buffer使用, Invitrogen社)を使い電気泳動した。泳動後、SYPRO Orange(Molecular Probes)で染色し、フルオロイメージアナライザー(FLA-3000G, Fujifilm社)でタンパク質のバンドを分析した。
【0076】
[実施例11]AML1またはAML1-MTG8融合タンパク質を一過性に発現するHeLa細胞を作製する実験
HeLa細胞はRPMI1640培地(日水製薬社)に10%牛胎児血清(HyClone社)およびペニシリン・ストレプトマイシン(GIBCO社)を加えた培地中で、37℃、5%炭酸ガス存在下で培養した。発現ベクターを導入する前日に10cmシャーレに 2 x 106個のHeLa細胞を播いた。発現ベクターとしてpDEST26-AML1{pDEST26(N末端にヒスチジンタグがついたタンパク質を発現するほ乳動物細胞用発現ベクター、Invitrogen)にAML1bの全コード領域の配列を挿入したもの}およびpDEST26-AML1-MTG8(pDEST26にAML1-MTG8の全コード領域の配列を挿入したもの)を用いた。陰性対象としてpDEST26(何も挿入していない)を用いた。各発現ベクター20mgに対し陽イオン性リポフェクション試薬DMRIE-C(Invitrogen)30mlをOPTI-MEM培地(Invitrogen) 5ml中で混合し、室温で45分放置し、リポソームを形成させた。発現ベクター/DMRIE-Cを直前にOPTI-MEM培地で一回洗浄したHeLa細胞に加え、37℃、5%炭酸ガス存在下で4時間処理した。20%牛胎児血清を含むRPMI1640培地を5ml加え、さらに37℃、5%炭酸ガス存在下で培養した。24時間後に細胞をPBSで一回洗浄し、1mlのPBSを加えラバーポリスマンで細胞をかきとり、1.5mlの遠心管に移した。細胞を遠心(800xg、1分)して集め、上清を除いた。
【0077】
[実施例12]ヒトの培養細胞ライセートのPull-down実験
AML1またはAML1-MTG8融合タンパク質を発現したHela細胞(ヒト子宮がん由来のセルライン)をBuffer Aに懸濁し、超音波で破砕した。15,000 rpmで30分間遠心し、上清を回収してこれを培養細胞ライセートとした。培養細胞ライセートを20μg用い、その他の操作は大腸菌ライセートの場合と同様に実験を行い、NuPAGE 4-12% Bis-Tris Gel (1×NuPAGE MOPS SDS Running Buffer使用, Invitrogen社)によって電気泳動した。泳動後、Sequi-Blot PVDF Membrane(BIO-RAD社)にタンパク質を転写した。転写後、5 %(w/v)スキムミルクを含むTBS-T(20 mM Tris, 500 mM NaCl, 0.1 %(v/v) TWEEN 20, pH7.5)にメンブレンを入れ、1時間振とうした。メンブレンをTBS-Tで10分間振とうして洗浄する操作を3回行った。次に、0.5 %カゼイン入りTBS-Tで2.5μg/ml に調製したAnti-human AML1/RHD Domain (Ab-2) (CALBIOCHEM社)にメンブレンを入れて1時間浸透し、TBS-Tで10分間振とうして洗浄する操作を3回行った。さらに、TBS-Tで1000倍に希釈したAnti-rabbit IgG, Horseradish Peroxidase linked whole antibody (Amersham Biosciences社)にメンブレンを入れ1時間浸透し、TBS-Tで10分間振とうして洗浄する操作を3回行った。検出には、ECL plus Western Blotting Detection System (Amersham Biosciences社)を用い、ルミノイメージアナライザー(LAS-1000, Fujifilm社)で分析した。
【0078】
[実施例13]RNAアプタマーを利用したAML1とAML1-MTG8融合タンパク質の識別
AML1とAML1-MTG8融合タンパク質を識別することが可能であるか検証した。実験は、BIACORE Xシステムを使用し、RNAアプタマーの結合活性の測定([実施例3])と同じ条件で行った。はじめに20μlのピリミジンヌクレオチドを2'-フルオロ化し、3’末端にpolyAを付加したApt1 (4 ng/μl )をNormal Injectionモードでインジェクションし、Chip上のpolydTとpolyAを結合させsensor chip上にRNAを固定化した。さらに3分後にNormal Injectionモードでサンプル(100 nM AML1 RUNTドメイン、100 nM AML1-MTG8様融合タンパク質または40 ng/μl培養細胞ライセート (AML1またはAML1-MTG8を発現させたもの、または何も発現させないもの))をインジェクションしてタンパク質をsensor chip上のRNAアプタマーで固定化した。その3分後に、180秒間のDelayed Injectionモードで10μg/μlのanti-P3X (MTG8のTAFドメインを認識する抗体)をインジェクションした。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】SELEX法の概略を示す図。T7 RNAポリメーラーゼプロモーター配列とランダム領域を含むDNAを合成し、P1,P2をプライマーとしてPCRを行い、テンプレートを得る。これから合成したRNAを標的物質と会合させ、結合したRNAを回収する。回収したRNAからRT-PCRにより次のラウンドへのテンプレートを得る。本発明ではこれを9ラウンド繰り返した。最終ラウンドでのRT-PCR産物をクローニング、塩基配列決定に回す。
【図2】SELEX法によって選択されたRNAの配列を示す図。選択されてきた9ラウンド目のRNAプールの塩基配列を決定したところ、30Nランダムプール由来のRNAは8タイプの配列に収束しており、40Nランダムプール由来のRNAは4タイプの配列に収束していた。これぞれのselectionでの出現頻度を図中に示した。これらのRNAを図中の配列の上よりApt1、Apt2、Apt3、Apt4、Apt5、Apt6、Apt7、Apt8、Apt9、Apt10、Apt11、Apt12とした。
【図3】BIACORE Xシステムを用いた結合実験の結果を示す図。AML1 RUNTドメインをインジェクションした時のRUの上昇は、sensor Chip上に30NランダムRNAまたは40NランダムRNAを固定化した場合より、明らかに、収束していた配列を持つすべてのRNAは大きかった。したがって、Apt1〜12はすべてAML1 RUNTドメインに対して結合活性を有することが示された。図は、AML1 RUNTドメインをインジェクションした時のグラフを示す。(A)はApt1、ピリミジン2'-F化Apt1の実験結果を、(B)はApt2,4,5,7の実験結果を、(C)はApt3,6,8の実験結果を、(D)はApt9〜12の実験結果を示す。
【図4】BIACORE Xシステムを用いた結合競合実験の結果を示す図。AML1結合dsDNAを固定化したsensor Chipに対して、50nMのApt1あるいはpoly-AのないAML1結合dsDNA、30NランダムRNAをAML1 RUNTドメインと1:1になるように調製した溶液をインジェクションした。30NランダムRNAやpoly-AのないAML1結合dsDNAの場合は、RUの上昇が見られたが、Apt1の場合はRUの上昇が全く見られなかった。図は溶液をインジェクションした時のグラフを示す。
【図5】BIACORE Xシステムを用いた、Apt1のRUNX2,3 RUNTドメインに対する結合実験結果を示す図。sensor ChipにApt1を固定化し、200nMのAML1またはRUNX2またはRUNX3のRUNTドメインタンパク質をインジェクションした。図はタンパク質をインジェクションした時のグラフを示す。
【図6】Enzyme Probing実験におけるRNaseによる切断パターンをApt1の二次構造に示した図。使用したRNaseの切断部位を記号で図中に示した。
【図7】Apt1、Apt1-S1、Apt1-S2の二次構造を示す図。右はApt1を、中はApt1-S1を、左はApt1-S2の二次構造を示す。
【図8】BIACORE Xシステムを用いた、Apt1-S1、ピリミジン2'-F化Apt1-S1、Apt1-S2、ピリミジン2'-F化Apt1-S2のAML1 RUNTドメインに対する結合実験結果を示す図。sensor ChipにRNAを固定化し、200nMのAML1 RUNTドメインをインジェクションした。図は、タンパク質をインジェクションした時のグラフを示す。
【図9】大腸菌のライセートPull down実験の電気泳動結果を示す図。AML1 RUNTドメインは、Ni-NTAアガロースで精製したタンパク質を流したレーンを示す。大腸菌ライセートは、ライセートをそのまま流したレーンを示す。Apt1-S2は、5'末端ビオチン化Apt1-S2をStreptavidin Sepharose High Performanceに固定化した樹脂を使用したサンプルを、マイナスコントロールは、 なにも固定化していない樹脂を使用したサンプルを示す。「上清」は樹脂に結合しなかったものを、「溶出」は結合したもの(4M Urea溶出画分)を流したレーンをそれぞれ示す。AML1 RUNTドメインのバンドを矢印で示した。
【図10】培養細胞のライセートPull down実験のウエスタンブロットの結果を示す図。AML1 RUNTドメインは、Ni-NTAアガロースで精製したタンパク質を流したレーンを示す。Hela、AML1、AML1-MTG8細胞ライセートは、ライセートをそのまま流したレーンを示す。「+」は、5'末端ビオチン化Apt1-S2をStreptavidin Sepharose High Performanceに固定化した樹脂を使用したサンプルを、「−」は、なにも固定化していない樹脂を使用したサンプルを示す。AML1とAML1-MTG8のバンドをそれぞれ矢印で示した。
【図11】BIACORE Xシステムを用いた、Apt1とMTG8特異的抗体によるAML1-MTG8融合タンパク質の識別実験の結果を示す図。図は、抗体をインジェクションした時のグラフを示す。(A)は、組み替えタンパク質を分析した結果を、(B)は培養細胞を分析した結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜12のいずれかに記載の塩基配列で表されるRNA。
【請求項2】
下記の式(I)に示す二次構造を形成することができるヌクレオチド配列を含み、RUNTドメインに対して結合活性を有するRNA。
【化1】

(二次構造中N1は3個以上の核酸塩基、N2は6個以上の核酸塩基、N3は1個以上の核酸塩基、N4は3個以上の核酸塩基であり、Aはアデニン、Gはシトシン、Gはグアニン、Uはウラシルであり、核酸塩基間をつなぐ丸は核酸塩基間の水素結合を表す。)
【請求項3】
請求項1又は2に記載のRNAの一部を切断して短くしたRNAであって、RUNTドメインに対して結合活性を有するRNA。
【請求項4】
請求項1〜3に記載のRNAに別のRNAを付加したRNAであって、RUNTドメインに対して結合活性を有するRNA。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のRNAの塩基配列に1若しくは数個の塩基が置換、欠失若しくは挿入された塩基配列で表されるRNAであって、RUNTドメインに対して結合活性を有するRNA。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のRNAにおいて少なくとも1個の修飾ヌクレオチドが導入されているRNAであって、RUNTドメインに対して結合活性を有するRNA。
【請求項7】
標識化されている請求項1〜6のいずれかに記載のRNA。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載のRNAの塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNA。
【請求項9】
請求項8に記載のDNAが挿入されたベクター。
【請求項10】
請求項7に記載のRNAを用いて、RUNTドメインを持つタンパク質を検出する方法。
【請求項11】
請求項7に記載のRNAを用いて、RUNTドメインを持つタンパク質を定量する方法。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれかに記載のRNAを用いて、RUNTドメインを持つタンパク質を単離する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11A】
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【図11B】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−129992(P2007−129992A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328757(P2005−328757)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度独立行政法人医薬品医療機器総合研究機構、基礎研究推進事業 委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(505421940)
【Fターム(参考)】