説明

S.ハブロカイテス(S.habrochaites)に由来する単為結実遺伝因子

【課題】単為結実性の、及び、場合により、雄性不稔性のトマト植物を作出する方法を提供する。
【解決手段】前記植物に、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78、種子の標本は、2007年11月13日に受託番号41517としてNCIMBに寄託、の4番、5番及び/又は12番染色体由来の遺伝領域を遺伝子移入することを含トマト作出方法であって、S.ハブロカイテスLYC4/78の4番染色体由来の遺伝領域は、マーカーCD59、RFLPマーカーCT229、及びCOSマーカーT1068から選択される1以上のマーカーを含み、S.ハブロカイテスLYC4/78の5番染色体由来の遺伝領域は、COSマーカーT1181、RFLPマーカーTG441及び/又はRFLPマーカーCD31(A)から選択される1以上のマーカーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、種なしトマト、種なしトマトを得る方法、並びに種なしトマトを製品、特に食品に加工するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在市場に流通しているいくつかの果実及び野菜は、種を含むという欠点を有する。こうした種の存在により、多くの消費者にとって、果実は、魅力が少ないものとなり得る。また、こうした果実をベースとした様々な製品、特にトマトをベースとした食品などの調製においても、場合によっては、事前にピューレ状にしたり、煮たり、又はすり潰したりしてから、例えば、篩にかけることによって、種を取り除かなくてはならず、さらなる加工工程が関与することとなる。このことは、こうした果実をベースとしたピューレ、スープ、ジュース又はソースなどの、工業規模における製品の調製についても、家庭における料理又は食品の準備に関しても当てはまる。
【0003】
従って、パイナップル、バナナ、オレンジ、グレープフルーツ、サマースカッシュ及びメロンなどの硬実種子の食用果実、並びに、トマト、コショウ、キュウリ及びナスなどの、一般に野菜と見なされる果実において、種なしであることは、極めて望ましい形質である。植物のなかには、パイナップルなどのように、その自殖性ゆえに、単一の栽培品種を成長させると、種なし果実を結実するものもある。一部のキュウリは、花粉媒介者を排除した場合に、種なし果実を結実する。かかる植物が果実を結実するという事実は、単為結実と呼ばれる形質の結果である。単為結実(字義通りには、処女の果実を意味する)は、胚珠が受精することなく、自然に、又は人工的に誘導されて果実が結実することである。従って、その果実は、種なしである。単為結実は、時に自然界において突然変異として起こるが、その植物は、それ以上有性生殖できないため、無性生殖的手段によって繁殖し得るものの、これは、通常は、欠陥と見なされる。園芸家は、イチジク、カクタスペア(ウチワサボテン属(Opuntia))、パンノキ及びナスを含め、多くの植物の単為結実品種を選抜し、繁殖させている。
【0004】
しかしながら、植物における一部の果実の単為結実性は、価値を有し得る。種なしスイカなどの一部の植物では、単為結実に受粉又は他の刺激が必要とされる。これは、刺激的単為結実と称される。バナナは、三倍体である−つまり、親が二倍体と四倍体であった結果である−ことから、種子をつけることができないため、刺激的単為結実性を示す。単為結実果実を結実するのに、受粉又は他の刺激を必要としない植物は、栄養的単為結実性を有する。キュウリは、栄養的単為結実の一例である。
【0005】
植物ホルモンのジベレリン、オーキシン及びサイトカイニンのいずれかを花に噴霧すると、多くの場合に、単為結実果実の発育を刺激することができる。これは、人工的単為結実と称される。植物ホルモンは、果実の奇形をもたらし得るため、単為結実果実の生産に、商業的に利用されることはほとんどない。
【0006】
自然界では、二重劣性の単為結実性と二重劣性の機能的不稔性との遺伝子型の組み合わせが生き残る可能性はなく(種子が形成されないため)、従って、この遺伝子が次世代に伝わることはない。
【0007】
単為結実品種のなかには、遺伝的に改変された有機体として開発されたものもある。しかしながら、後述されるとおり、この方法には、選抜育種も関わる。
【0008】
トマトの花は、子房と、その上側にある雌蕊(花柱と柱頭)とからなる。雌蕊の周りには、数本の雄蕊(花糸と葯)があり、これが花粉を作る。子房には、数個の前胚/胚があり、これらが(花粉を受粉した後に)発育して種子となる。
【0009】
トマト植物は、「絶対的な自己花粉媒介者」と見なすことができ、つまり、ほぼ完全にそれ自身の花粉のみが同じ植物の花の雄蕊にたどり着き、従って、前胚を受粉させる。受粉した前胚から子房が形成されると、その子房は、直ちに成長し始めて、トマト(果実)となり、それと同時に、その内部には、発育中の種子が含まれる。原則的に、子房内に発育する種子がなければ(例えば、前胚が受粉しなかった結果として)、果実は形成されない。
【0010】
種なしトマトに関する文献(例えば、国際公開第98/24301号パンフレット:特許文献1)は、PK遺伝子と呼ばれる、トマトにおける単為結実特性をコードする遺伝子の存在について言及している。この遺伝子が、二重劣性(pk,pk:すなわち、ホモ接合の劣性遺伝子型)として存在するとき、種子の発育を伴わない、果実(果肉)の発育をもたらすと思われる。
【0011】
自然界では、又は温室においては、単為結実(の表現型)は、一部に限られている;種子がない、又は部分的にしか存在しないことの原因となっている事実は、対立遺伝子にある。部分的単為結実では、種子は、果実の(別の)一部分に形成され、その結果として、果実は、不規則に成長し、これは、望ましくない。従って、部分的単為結実は、不規則な形の果実をもたらし、果実は奇形となる。
【0012】
果実が完全な単為結実に基づき形成されると、果実内で発育する種子はなく、その結果、単為結実性をコードする遺伝子は、次世代に伝わらず、従って、世代系統が途絶える。
【0013】
このため、この遺伝子は、自然界では極めてまれである。また、完全な単為結実(の表現型)は、種子のない果実をもたらすため、種子の生産は不可能である。
【0014】
単為結実の特性は、いくつかの対立遺伝子にある。完全な単為結実の表現型は、「母親」(すなわち、トマト植物、その花が花粉を受粉する)並びに「父親」(すなわち、花粉を供給するトマト植物)が、双方とも、PK遺伝子に関して、二重劣性であるときにのみ生じ得る。これは、「その原初のままの」果実では、親の一方がヘテロ接合であれば発育する種子がいくつかあり、その少なくとも1つは、ホモ接合の劣性にはならないであろうためである。
【0015】
部分的単為結実(トマトの発育中に、少なくとも1つの種子が、PK遺伝子に関して、二重劣性でない結果としての)により、果実は、奇形化する形で発育する。
【0016】
トマトにおいては、PK遺伝子の他に、機能的不稔性(FS)の特性をコードする遺伝子が公知である。FSに関して、二重劣性の植物(fs,fs)は、花粉管が完全に閉鎖されたトマト植物をもたらし、従って、振動したり、又は他の機械的な影響を受けたり(マルハナバチ、昆虫又は振動を発生するもの)したとしても、完全且つ稔性の花粉が花粉管から放たれ得ない。
【0017】
二重劣性(fs,fs)の表現型を有するトマト植物の花粉は、花粉管を手で(切り込みを入れるか、又は鋏で切ることにより)物理的に開けることによってしか放出させることができず、その後−実際には−開いた花粉管から花粉を手で取り出し、すなわち、掻き取る必要がある。
【0018】
同じ又は別のトマト植物の受精については、次に、花粉を花の雌蕊に付着させる必要があり、これも、実際には、手作業で行わなければならない。
【0019】
他の「自然の」(すなわち、上述された人による介入のない)方法では、いずれも機能的不稔性の花の花粉は放出されず、従って、それが前胚の受精に利用されることはない。従って、二重劣性の機能的不稔性の植物(fs,fs)は、前胚を受精させず、それにより、世代系統が途絶えるため、機能的不稔性についての劣性遺伝子は、次世代に伝わらない。自然界では、機能的不稔性の二重劣性表現型(fs,fs)では、前胚の受精が起こらず、従って、果実(トマト)が形成されない。
【0020】
国際公開第98/24301号パンフレットは、単為結実性の劣性表現型(二重劣性遺伝子pkに基づく:すなわち、pk,pk)を、機能的不稔性の劣性表現型(二重劣性遺伝子fsに基づく:すなわちfs,fs)と組み合わせたトマト植物を用いて、有利に種子/ピップのないトマトを作出できることを記載している。完全な種なし果実は、通常の選択以外の、物理的な人の介入によってのみ作出することができる。(親の)花粉管を手で開かねばならず、その後、開いた花粉管から掻き取ることによって、花粉を取り出し、次に、これも同様に、手で、受精させるトマト植物の雌蕊に付着させなければならない。特に、上述された3つのステップのうち、最初の2つは、実施に手間がかかる。fs遺伝子及びpk遺伝子の遺伝学的基礎又は植物学的情報源は、国際公開第98/24301号パンフレットには開示されていない。
【0021】
H.Georgievら(Eucarpia Tomato−90、Proceedings of the XI Eucarpia Meeting on Tomato Genetics and Breeding、Malaga、スペイン、1990年3月に所収:「Breeding of Seedless Tomatoes:非特許文献1」」)は、単為結実について、ホモ接合の遺伝子pat−2と花の自家不稔性について、ホモ接合の遺伝子ps−2とを1つの栽培品種に組み合わせることにより、完全に種のないトマト果実を着生するトマト植物を得る方法を記載している。このようにして得られたpat−2,ps−2品種は、完全に種のないトマト果実を着生する(Georgievの参考文献の表1及び表2に示されるとおり)。Georgievらは、さらに、2つのかかる栽培品種を交配させることにより、完全に種なしの標準的な果実をつけるF1雑種を作り出すことができることを記載している。
【0022】
しかしながら、Georgievによって記載される系統についての国際公開第98/24301号パンフレットの出願人による広範な研究により、単為結実の特性と自家不稔の特性とが組み合わされて親系統が提供され、それらの親系統の2つから−すなわち以下に記載されるとおりの人の介入によって−雑種種子が得られても、実際には、二重劣性のpat−2遺伝子のみと二重劣性のps−2遺伝子のみとが存在するだけでは、あらゆる成長条件下で、安定且つ確実に、種なしトマトを形成し得る雑種を提供するには不十分であることが示されている。従って、双方とも二重劣性遺伝子のみを含む2つの親系統(pat−2,pat−2)及び(ps−2,ps−2)を交配しても、その植物が、必ずしも常に、且つあらゆる状況下で、十分に形成されたトマトを提供するとは限らないため、商業的に許容可能な種なし雑種がもたらされることはない。
【0023】
従って、国際公開第98/24301号パンフレットの教示に対する改良が必要とされており、特に、熱帯気候並びに温和な気候の双方で一般的であり得るような種々の受光条件及び温度条件を含め、あらゆる環境条件下で、種なしトマトを確実に生産することが可能な雑種(及びその種子)が必要とされている。これは、世界のあらゆる国で商品化及び栽培を成功させることのできる雑種及びその種子を提供するためには不可欠である。
【0024】
国際公開第00/74468号パンフレット(特許文献2)は、国際公開第98/24301号パンフレットに対するかかる改良について記載しているが、これもまた、「pk複合体」及び「fs複合体」を含むトマト系統の種子のブダペスト条約に基づく寄託情報といった植物学的情報源を開示していない。欧州特許第1428425号明細書(特許文献3)は、その種子が2001年12月5日に、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA 20110−2209、米国)に寄託されたトマト系統として、かかる寄託情報を開示している。寄託された種子には、ATCC受託番号PTA−3907が割り当てられている。ATCC番号PTA−3907は、欧州特許第1428425号明細書に記載される方法で得られるとおりの、単為結実性(pat−2遺伝子に基づく)及び機能的不稔性(ps−2遺伝子に基づく)の表現型の良好な発現を示す「第1のF3世代」からの植物である。このトマト系統は、pk/fs複合体についてホモ接合であり、これは、pat−2により、単為結実性を、及び、ps−2により、位置的不稔性を強力に発現するためのあらゆる遺伝情報を含む。従って、おそらくは、ATCC PTA−3907から始めることで、ATCC PTA−3907を所望の非種なし親と交配し、続いて、手作業による自家受粉によって、自殖を繰り返すことにより、単為結実性及び位置的不稔性の強力な発現を任意の所望のトマト品種に導入することが可能であると思われる。
【0025】
しかしながら、遺伝的な情報源を提供するATCC PTA−3907寄託系統が利用可能であるにもかかわらず、単為結実の遺伝学的事象は、今のところ未知である。しかし、その形質の染色体位置についての知識、並びに植物及び植物間の交配種においてその形質の存在を追跡する方法は、単為結実植物の生産量を増加させるうえで、非常に有益であり得る。事実、欧州特許第1428425号明細書は、10年超の期間にわたる広範な研究によっても、ATCC番号PTA−3907寄託系統に含まれるpk,fs複合体を構成するのに必要な遺伝子、対立遺伝子又は他の遺伝要因の数及び/又は性質を明らかにし得るか、又はさらには、種なしの(又はさらには機能的不稔性の)表現型が、元の種なし親と非種なし親とから得られるF1、F2、F3、及びさらにはF4においてさえ、出現率が極めて低く、又は時には全く現れないことさえあるということを説明し得る満足のいくモデルを提供できなかったことに言及した。欧州特許第1428425号明細書は、これが、その発明の純種の種なしの表現型を決定している事実が、上記の先行技術に示唆されるものよりはるかに複雑である(すなわち、(1+1)、(2+1)又はさらには(3+1)の別個の遺伝子の組み合わせによって決定されるものではない)ことを示すものであり、また、なぜ先行技術が、種なしの雑種を安定且つ確実な方法によって、あらゆる環境条件下で生産するために用いることのできるトマト植物又は系統を提供することができないかについて、説明するものでもあることに言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】国際公開第98/24301号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/74468号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第1428425号明細書
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】Eucarpia Tomato−90、Proceedings of the XI Eucarpia Meeting on Tomato Genetics and Breeding、Malaga、スペイン、1990年3月に所収:「Breeding of Seedless Tomatoes
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、上述の問題を解決することである。本発明は、単為結実植物を作出する方法を提供することを目的とするものである。本発明は、単為結実の遺伝学的基礎に関して、より深い洞察を提供することをもう1つの目的とするものである。特に、本発明は、特に野菜及び果実植物の商業品種の作出において、育種及び選抜プロセスの間に植物における単為結実性付与遺伝因子の存在をモニタすることに成功し得るゲノムマーカーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明者らは、供与種としてのソラヌム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)LYC4/78と、反復親植物としてのソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum)品種Moneymakerとの間の種間交配によって作出された特定の遺伝子移入系統が、種子を形成できなかったと同時に、これらの植物が、果実重量の増加を示したことを発見しており、且つ、これらの植物が、完全な単為結実の表現型を示したことが発見された。種間交配については、本出願人の国際公開第2006/046861号パンフレットに既に記載した。完全な単為結実の表現型は、5番染色体上の遺伝子移入についてホモ接合の供与親(ソラヌム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)LYC4/78)であるように選択された植物によって示され、この系統は、IL5−1と表された。この系統は、また、本明細書では、DRS5.1とも称される。ソラヌム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)LYC4/78の種子の代表標本は、ブダペスト条約に基づく規則6.1(iv)の意義の範囲内で、2007年11月13日に、受託番号NCIMB 415217として、NCIMBに寄託された。
【0030】
IL系統DRS5.1並びに5番染色体に遺伝子移入を含む別のIL系統(本明細書に記載されるとおりの系統IL5−2、これもまた種子を形成できなかったが、果実重量の増加は示さず、しかし、許容可能なサイズの果実を結実した)を維持するためには、そのヘテロ接合状態を保たなければならなかった。形態学的調査から、これらの植物は、機能的不稔性である(花柱が長く、花糸が短い)ことが認められた。
【0031】
また、12番染色体に遺伝子移入を有する一系統も、許容可能なサイズの種なし果実を示し、単為結実性と見なすことができた。また、この系統は、4番染色体にも、ヘテロ接合の遺伝子移入を含んでいた。綿密に分析することにより、本発明者らは、S.ハブロカイテス(S.Habrochaites)からの遺伝子移入が、商業的なトマト品種のS.リコペルシクム(S.lycopersicum)において、単為結実の表現型を生じさせ得ることを発見した。
【0032】
第1の態様において、本発明は、単為結実性の、及び、場合により、雄性不稔性のトマト植物を作出する方法を提供し、これは、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78(その種子の代表標本は、2007年11月13日に、受託番号41517として、NCIMBに寄託された)の4番、5番及び/又は12番染色体由来の遺伝領域を前記植物に遺伝子移入することを含み、
−S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の4番染色体由来の遺伝領域は、マーカーCD59とTG272との間の領域であり、及び
−S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の5番染色体由来の遺伝領域は、COSマーカーT1181とRFLPマーカーCD31(A)との間の領域である。
【0033】
本発明の方法の好ましい実施形態において、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の4番染色体由来の遺伝領域は、マーカーCD59、RFLPマーカーCT229、及びCOSマーカーT1068から選択される少なくとも1つのマーカーを含む。
【0034】
本発明の方法の別の好ましい実施形態において、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の5番染色体由来の遺伝領域は、COSマーカーT1181、RFLPマーカーTG441及び/又はRFLPマーカーCD31(A)から選択される少なくとも1つのマーカーを含む。
【0035】
本明細書に記載されるとおりの単為結実性のトマト植物は、場合により(及び好ましくは)雄性不稔性である。
【0036】
好ましい実施形態において、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の4番染色体由来の遺伝領域は、マーカーTG272、TG264、TG62、T1405、及び/又はCT50を含まない。
【0037】
別の好ましい実施形態において、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の5番染色体由来の遺伝領域は、RFLPマーカーTG318又はより下流のマーカー、例えば、TG538、TG60、及び/又はCT138を含まない。
【0038】
当業者は、トマト植物において、当該植物を単為結実性にするため、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の4番、5番及び12番染色体由来の本明細書に定義されるとおりの領域、4番及び5番、又は5番及び12番、又は4番及び12番染色体由来の本明細書に定義されるとおりの領域など、本明細書に定義される遺伝領域の任意の組み合わせが遺伝子移入され得ることを理解するであろう。
【0039】
好ましい一実施形態におけるS.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の12番染色体由来の遺伝領域は、本質的に図3に提示されるとおりである。好ましくは、この領域は、S.リコペルシクム(S.lycopersicum)LA925×S.ペンネルリイ(S.pennellii)LA716 F2型のTomato−EXPEN 2000 Mapで位置が確認されるとおりのRFLPマーカーTG296(96.00cM)を含まない。特に、好ましい遺伝領域は、図1に黒色領域で示されるとおりである。
【0040】
別の態様において、本発明は、単為結実性の(及び、場合により、雄性不稔性の)トマト植物を選抜する方法に関し、これは、種子を有するトマト植物をS.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の植物と交配し、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の4番、5番及び/又は12番染色体の遺伝領域の遺伝子移入の存在について、種子又は前記種子から成長した植物を選抜することを含み、
−S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の4番染色体由来の遺伝領域は、マーカーCD59、RFLPマーカーCT229、及びCOSマーカーT1068から選択される少なくとも1つのマーカーを含み、及び
−S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の5番染色体由来の遺伝領域は、COSマーカーT1181、RFLPマーカーTG441及び/又はRFLPマーカーCD31(A)から選択される少なくとも1つのマーカーを含む。
【0041】
単為結実植物を作出する態様について、上述される好ましい実施形態は、植物を選抜する本方法にも適用することができる。
【0042】
単為結実植物を作出又は選抜する方法の好ましい実施形態において、前記単為結実植物は、ソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum)植物であり、より好ましくは、ソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum)の栽培植物である。前記植物は、好ましくは、ソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum)品種Moneymakerではない。
【0043】
別の態様において、本発明は、上述されるとおりの植物を作出するための方法によって得ることができるか、又は上述されるとおりの方法によって選抜されたトマト植物、又はその一部に関するものである。
【0044】
別の態様において、本発明は、単為結実性の同系交配トマト植物を作出する方法に関し、これは、
a)上述されるとおりの、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78由来の遺伝領域を遺伝子移入することによる単為結実植物を作出する方法によって単為結実性のトマト植物を作出するステップと、
b)前記単為結実性のトマト植物をそれ自体又は別のトマト植物と交配して後代トマト種子を得るステップと、
c)前記ステップの後代トマト種子を成長させてさらなる単為結実性のトマト植物を得るステップと、
d)交配するステップと成長させるステップとを0〜7回繰り返して単為結実性の耐性同系交配トマト植物を産生するステップと、
を含む。
【0045】
前記方法の好ましい実施形態において、前記ステップc)は、単為結実の表現型を示し、且つ、商業的に望ましい特徴を有する植物を同定するステップをさらに含む。
【0046】
前記方法の別の好ましい実施形態において、前記方法は、ホモ接合の同系交配トマト植物を選択するステップをさらに含む。
【0047】
別の態様において、本発明は、本発明の方法によって得ることのできる単為結実性の同系交配トマト植物、又はその一部に関するものである。
【0048】
別の態様において、本発明は、単為結実の表現型を示す雑種トマト植物、又はその一部に関し、ここで、前記雑種トマト植物は、本発明の方法によって得ることのできる単為結実性の同系交配トマト植物を、商業的に望ましい特徴を示す同系交配トマト植物と交配することによって得ることができる。
【0049】
別の態様において、本発明は、本明細書において、上記に定義されるとおりのトマト植物の再生可能細胞の組織培養物に関し、好ましくは、前記再生可能細胞は、葉、花粉、胚、根、根端、葯、花、果実、及び茎及び種子からなる群から選択される組織から単離された細胞又はプロトプラストを含む。
【0050】
別の態様において、本発明は、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78に由来する単為結実遺伝因子を検出するための、及び/又は単為結実性のトマト植物を検出するための、表30、表31又は表32の遺伝マーカーからなる群から選択される遺伝マーカーの使用に関するものである。
【0051】
好適なマーカーとしては、本明細書に記載されるとおりのマーカーの断片、例えば、表32に示されるとおりの、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)Lyc4/78とS.リコペルシクム(S.lycopersicum)品種Moneymakerとの間を特徴付けるヌクレオチド多型を含む断片が挙げられる。当業者は、どのようにすれば、かかる多型を検出できるかについて、十分に承知しているであろう。
【0052】
別の態様において、本発明は、上記のとおりに由来する単為結実遺伝因子として定義されるS.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78からの遺伝子移入を含む単為結実植物に関するものである。前記態様の好ましい実施形態において、前記植物は、S.リコペルシクム(S.lycopersicum)種の植物であり、より好ましくは、前記植物は、栽培品種S.リコペルシクム(S.lycopersicum)品種Moneymakerの植物ではない。
【0053】
マーカーによる選抜は、好適には、表32に示されるとおりの供与種(S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78)又は受容種(例えば、S.リコペルシコン(S.Lycopersicon)品種Moneymaker)に特異的なヌクレオチド多型を選択するように構成されることができ、ここで、多型は、[S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の位置/S.リコペルシコン(S.lycopersicon)品種Moneymaker]として求められる塩基の変異によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】トマトの12番染色体の遺伝地図を示し、本明細書において参照されるマーカー位置を表示する。
【図2】S.リコペルシクム(S.lycopersicum)品種Moneymaker(SL)の遺伝的背景におけるS.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78(SH)の遺伝子移入系統(IL)集団を育成するための交配スキームを図示する。MASを用いて、同定された2つの単為結実性付与遺伝因子の一方を含むBC、BC、及びBC遺伝子型を選択し、一部のBCを自家受粉させてBC種子を作出した。
【図3】実施例に記載されるとおりの30個のILの中心セットを示す。この中心セットは、可能な限り少ないILにおいて最大限に網羅されたSHゲノムに相当する(各系統の標示は一番下に示される)。中心セットは、単一の遺伝子移入を含む15個のILと、2つの遺伝子移入を含む10個のILと、3つの遺伝子移入を含む4個のILと、一方でさらに4つのホモ接合の遺伝子移入を含んだ1つのILとからなる。12個の全ての染色体が、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4、S.リコペルソコン(S.lycopersicon)及び参照DRS5を基準として示される。
【図4】トマトの4番及び5番染色体の遺伝地図を示し、本明細書において参照されるマーカー位置を表示する。
【発明を実施するための形態】
【0055】
定義
本明細書で使用されるとき、用語「単為結実」は、受粉及び/又は受精なしに発育する種なし果実の結実を指す。特に指示されない限り、この用語は、遺伝的な単為結実を指す。特に指示されない限り、この用語は、完全な単為結実を指し、つまり、果実は、完全に種なしであり、且つ奇形化することなく、正常な規則的形状を有する。単為結実植物は、それ以上有性生殖することはできないが、無性生殖的な手段によって繁殖させ得る。特に、用語「単為結実性の」、又は関連する用語「単為結実」は、本明細書では、他の点では通常のサイズの種なし果実を結実する植物の表現型を定義して用いられる。この用語が、本明細書において用いられるとき、大幅に小さい果実を結実する種なし植物は、単為結実性とはみなされない。種子が形成されにくい植物は、必ずしも単為結実性とは限らない。実際に、この用語は、完全に種なしの植物を指す。本明細書の記載において、用語「単為結実植物」は、本明細書に定義されるとおりのS.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78由来の遺伝因子を含む植物を指し、これは、元の受容親と本質的に等しいサイズで、且つ奇形化していない種なし果実を結実する。
【0056】
本明細書で使用されるとき、用語「対立遺伝子」は、1つ又は複数の相対する形態の遺伝子のいずれかを意味し、それらの対立遺伝子の全てが少なくとも1つの形質又は特徴に関わる。二倍体細胞又は有機体では、所与の遺伝子の2つの対立遺伝子が、一対の相同染色体上の対応する遺伝子座を占有する。本発明は、QTL、すなわち、1つ又は複数の遺伝子と、さらに調節配列も含み得るゲノム領域に関するため、ある場合には、「対立遺伝子」ではなく、「ハプロタイプ」(すなわち、ある染色体セグメントの対立遺伝子)を指すほうがより正確であるが、しかしながら、そうした場合に、用語「対立遺伝子」は、用語「ハプロタイプ」を含むものと理解されなければならない。
【0057】
「遺伝子」は、本明細書では、染色体上で特定の位置を占有し、且つ有機体における特有の特徴又は形質についての遺伝命令を含むDNAの配列からなる遺伝単位と定義される。
【0058】
「遺伝子座」は、本明細書では、所与の遺伝子が所与の種の染色体上で占有する位置と定義される。
【0059】
本明細書で使用されるとき、用語「ヘテロ接合の」は、異なる対立遺伝子が相同染色体上の対応する遺伝子座にあるときに存在する遺伝子の状態を意味する。
【0060】
本明細書で使用されるとき、用語「ホモ接合の」は、同一の対立遺伝子が相同染色体上の対応する遺伝子座にあるときに存在する遺伝子の状態を意味する。
【0061】
本明細書で使用されるとき、用語「雑種」は、限定はされないが、2つの同系交配系統間の交配種を含む、2つの遺伝的に異なる個体間の交配種の任意の子孫を意味する。
【0062】
本明細書で使用されるとき、用語「同系交配された」は、実質的にホモ接合の個体又は系統を意味する。
【0063】
本願において、「組換え現象」は、減数分裂乗換えを意味するものと理解される。
【0064】
本明細書で使用されるとき、用語「遺伝子移入」、「遺伝子移入された」及び「遺伝子移入している」は、1つの種、品種又は栽培品種の遺伝子が、別の種、品種又は栽培品種のゲノムにそれらの種の交配によって移入される、自然の、及び人工的の双方の過程を指す。この過程は、場合により、反復親に戻し交配することによって達成され得る。
【0065】
「遺伝子操作」、「形質転換」及び「遺伝子修飾」は、全て、本明細書では、単離されてクローン化された遺伝子を別の有機体のDNA、通常は、染色体DNA又はゲノムに導入することについての同義語として用いられる。
【0066】
本明細書で使用されるとき、用語「分子マーカー」は、核酸配列の特徴の違いを可視化する方法において用いられる指標となるものを指す。かかる指標の例は、制限断片長多型(RFLP)マーカー、増幅断片長多型(AFLP)マーカー、一塩基変異多型(SNP)、マイクロサテライトマーカー(例えば、SSR)、配列決定型増幅領域(sequence−characterized amplified region:SCAR)マーカー、切断型増幅多型配列(cleaved amplified polymorphic sequence:CAPS)マーカー又はアイソザイムマーカー又は特異的遺伝子及び染色体位置を定義する本明細書に記載のマーカーの組み合わせである。
【0067】
本明細書で使用されるとき、用語「植物部分」は、植物において損なわれていない植物細胞などの単細胞及び細胞組織、細胞集塊並びにトマト植物を再生することのできる組織培養物を含むトマト植物の一部を指す。植物部分の例としては、限定はされないが、花粉、胚珠、葉、胚、根、根端、葯、花、果実、茎、苗条、及び種子由来の単細胞及び組織;並びに、花粉、胚珠、葉、胚、根、根端、葯、花、果実、茎、苗条、接ぎ穂、台木、種子、プロトプラスト、及びカルスなどが挙げられる。
【0068】
本明細書で使用されるとき、用語「集団」は、共通の遺伝学的起源を共有する遺伝的に異種の植物の集合を意味する。
【0069】
本明細書で使用されるとき、用語「トマト」は、限定はされないが、リコペルシコン・セラシホルメ(Lycopersicon cerasiforme)、リコペルシコン・ケエスマニイ(Lycopersicon cheesmanii)、リコペルシコン・キレンセ(Lycopersicon chilense)、リコペルシコン・クミエレウスキイ(Lycopersicon chmielewskii)、リコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum)(現在は、ソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum))、リコペルシコン・ヒルスタム(Lycopersicon hirsutum)、リコペルシコン・パルビフロルム(Lycopersicon parviflorum)、リコペルシコン・ペンネリイ(Lycopersicon pennellii)、リコペルシコン・ペルビアヌム(Lycopersicon peruvianum)、リコペルシコン・ピムピネルリホリウム(Lycopersicon pimpinellifolium)、又はソラヌム・リコペルシコイデス(Solanum lycopersicoides)を含む、以前は、リコペルシコン(Lycopersicon)という属名で知られていた任意の植物、系統又は集団を意味する。リコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum)について、新しく提唱されている学名は、ソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum)である。同様に、野生種名も変化し得る。L.ペンネルリイ(L.pennellii)は、ソラヌム・ペンネルリイ(Solanum pennellii)となっており、L.ヒルスタム(L.hirsutum)は、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)となってもよく、L.ペルビアヌム(L.peruvianum)は、S.「N ペルビアヌム(N peruvianum)」及びS.「カレホン・デ・ウアイレス(Cellejon de Huayles)」、S.ペルビアヌム(S.peruvianum)、並びにS.コルネリオムエルレリ(S.corneliomuelleri)に分割されてもよく、L.パルビフロルム(L.parviflorum)は、S.ネオリキイ(S.neorickii)となってもよく、L.クミエレウスキイ(L.chmielewskii)は、S.クミエレウスキイ(S.chmielewskii)となってもよく、L.キレンセ(L.chilense)は、S.キレンセ(S.chilense)となってもよく、L.ケエスマニアエ(L.cheesmaniae)は、S.ケエスマニアエ(S.cheesmaniae)又はS.ガラパゲンセ(S.galapagense)となってもよく、及び、L.ピムピネルリホリウム(L.pimpinellifolium)は、S.ピムピネルリホリウム(S.pimpinellifolium)となってもよい(「Solanacea Genome Network」(2005年)Spooner及びKnapp;http://www.sgn.cornell.edu/help/about/solanum_nomenclature.html)。
【0070】
特に、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)は、毛で覆われた果実を着生するトマト種として定義することができ、一方、S.リコペルシクム(S.lycopersicum)は、毛のない果実を着生するトマト種であることが注記される。
【0071】
本明細書で使用されるとき、用語「品種」又は「栽培品種」は、構造的又は遺伝的な特徴及び/又は能力によって、同じ種のなかの他の品種と区別することができる類似した植物群を意味する。
【0072】
「栽培植物」は、本明細書において、農学的に望ましい特徴を示す植物と定義される。この用語は、用語「野生」と対照して用いられ、「野生」は、望ましくない形質に起因して直接的な商業的利点のない品種を指す。S.ハブロカイテス(S.habrochaites)は、望ましくない形質(毛で覆われた果実)に起因して、直接的な商業的利点のないトマト種と定義することができる。
【0073】
植物において、本明細書に定義されるとおりのS.ハブロカイテス(S.habrochaites)に由来する単為結実性を付与する遺伝領域が特許請求され、ここで、この領域は、その遺伝的背景のなかにはない。用語「天然の遺伝的背景」は、本明細書において、その遺伝因子の起源となる遺伝的背景を指して用いられる。かかる背景は、例えば、種子を有するトマト野生受入種のゲノムであり得る。例えば、本発明の単為結実性付与遺伝因子は、ソラヌム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)LYC4/78の4番、5番及び/又は12番染色体上の特定の位置に発見された。例として、ソラヌム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)LYC4/78は、ソラヌム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)LYC4/78の4番、5番及び/又は12番染色体上のQTLの天然の遺伝的背景に相当する。ソラヌム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)LYC4/78の4番染色体から、別のトマト種、最も明らかなところでは、S.リコペルシクム(S.lycopersicum)の4番染色体上の同じ位置への単為結実性付与遺伝因子又はその単為結実性付与部分を含むDNAの導入が関与する方法は、結果として、その天然の遺伝的背景にはない、単為結実性付与遺伝因子、又はその前記単為結実性付与遺伝子の一部をもたらし得る。
【0074】
用語「機能的不稔性の」は、本明細書において、その当該技術分野で認知されている意味で用いられる。機能的不稔は、トマトに、いわゆる自家不稔を引き起こす特性のより一般的な形態であると考えられ、以下の2つのタイプで引き起こされ得るもので、すなわち:−雄性不稔:生存花粉がないため(ms)か、又は雄蕊が退化している(sl、雄蕊なし)ため、自家受粉できない。商業的な種子の雑種トマト(種子)に、雄性不稔性が導入されたとしたとき、栽培者は、2倍の量の種子を播種し、植付け前に、msのマーカー遺伝子によって認識可能なヘテロ接合のms pk植物の50%を取り除かねばならない。交差問題から、これは、完全には不可能である。
−機能的不稔;生存花粉は存在するが、花の何らかの形態学的な異常によって雌蕊に到達できない。機能的不稔性(fs)それ自体は、4つの異なるタイプに区別することができ、すなわち:
−ps型:雄蕊が強く捩れていたり、短かったりする結果として、花柱が突き出る現象;この特性は、一般に容易な自家受粉及び花柱の受容性の低下をもたらし、そのため、これは、雑種種子の作出にあまり好適とはいえない;
−ps−2型:雑種種子の作出に用いられ、成功している、葯袋が開裂しないタイプ;
−ex型:雄蕊を越えて突き出た花柱、自家受粉が容易で、且つ柱頭(sigma)の受容性が低下するため、これは、雑種種子の作出に、それほど好適とはいえない;及び
−短花柱型:柱頭が葯の下に位置する、主な欠点は、その高レベルの自家受粉性である。
【0075】
雑種は、遺伝的に異なる親の間の交配によって作出されるものである。植物の育種計画において、雑種を育成するには、一般に、ホモ接合の同系交配系統を育成し、それらの系統を交配したうえ、交配種を評価する必要がある。多くの植物育種計画は、2つ以上の同系交配系統又は様々な他の広範なベースをもつ供給源からの遺伝的背景を組み合わせて、育種プールに入れ、そこから、所望の表現型の自殖と選抜によって、新規の同系交配系統を育成する。雑種は、また、植物の育種材料の供給源又は供給源集団としても用いられ、そこから、新規の植物系統を開発したり、又は導出したりすることができる。雑種における形質の発現量が、2つの親によって発現する量の中間値を超えることがあり、これは、雑種強勢として公知である。
【0076】
当該技術分野において、公知の植物育種技術としては、限定はされないが、循環選抜、系統育種、制限断片長多型促進選抜、遺伝マーカー促進選抜及び形質転換が挙げられる。同系交配系統は、系統育種及び循環選抜育種のような、前記方法を用いることにより、例えば、雑種から得てもよい。新規に育成した同系交配種を他の同系交配系統と交配し、それらの交配種からの雑種を評価して、それらのうち、どれが商業的可能性を有するかを決定する。
【0077】
系統育種は、交配種からの分離世代において、個別に判定されるそれらの望ましさに基づくとともに、系譜に基づいて、個々の植物が選抜される育種システムである。
【0078】
循環選抜は、選抜された個体の交雑と、それに続く、その集団における所望の対立遺伝子の頻度を高めるための選抜と交雑との連続サイクルに基づく育種方法である。
【0079】
循環選抜は、例えば、戻し交配育種によって実施されてもよく、これには、雑種の親の一方に対して反復戻し交配を行い、それに伴って、1つ又は複数の特定の性質が選抜されることによる育種システムが関わる。戻し交配は、雑種の、その親のいずれかとの交配である。例えば、戻し交配を用いて、供与植物系統に存在する特定の望ましい形質を、当該形質を欠いた別の優良植物系統(例えば、同系交配系統)に導入することができる。このプロセスの第1のステップは、優良植物系統(反復親)を、対象とする形質に適切な遺伝子を保因する供与植物系統(非反復親)と交配することを伴う。次に、この交配種の後代を優良反復親と再び交雑させ、続いて、得られた後代のなかで、非反復親から導入されるべき所望の形質について選抜する。反復親から受け継がれる所望の形質及び生殖質について選抜して、第5代か、又はそれ以降の戻し交配世代になると、後代は、導入対象の特徴を制御する遺伝子座について、ホモ接合となり得るとともに、しかし、本質的に、他の遺伝子は、全て、優良親と同等となる。次に、最後の戻し交配世代を自殖させて、導入対象の遺伝子について、純粋種の後代を生じさせる。導入遺伝子を含む同系交配種から育成した雑種は、導入遺伝子なしに、同じ同系交配種から育成した雑種と、本質的に同じである。
【0080】
トマトを含め、様々な作物において、異なる形質を獲得するために、一般に用いられている育種方法についての概要は、例えば、Allard,R.W.(1960年)「Principles of Plant Breeding」;Simmonds,N.W.(1979年)「Principles of Crop Improvement」;Sneep,J.ら、(1979年)「Tomato Breeding」(135−171頁):「Breeding of Vegetable Crops」、Mark J.Basset、(1986年、編者)に所収、「The Tomato crop:a scientific basis for improvement」、Atherton,J.G.及びJ.Rudich著、(1986年、編者);「Plant Breeding Perspectives」;Fehr(1987年)「Principles of Cultivar Development Theory and Technique」などの参考文献に見ることができる。
【0081】
農作物は、植物の受粉方法を利用した技術を用いて育種される。植物は、1つの花からの花粉が同じ植物の同じ、又は別の花に移る場合に、自家受粉する。花粉が異なる植物の花から来た場合には、植物は、他家受粉する。何世代にもわたり自家受粉させて品種選抜した植物は、ほぼ全ての遺伝子座において、ホモ接合となり、均質な純種の後代集団が生じる。2つの異なるホモ接合系統の間で交配すると、多くの遺伝子座について、ヘテロ接合であり得る雑種植物の均質な集団が生じる。各々が、数多くの遺伝子座において、ヘテロ接合性である2つの植物を交配すると、遺伝的に異なり、均質ではないであろう雑種植物の集団が生じ得る。
【0082】
トマト(リコペルシコン・エスクレンタム L.(Lycopersicon esculentum L.)、すなわちガーデントマト)は、ナス(Solanaceae)科(ナイトシェード)、ソラヌム(Solanum)属、リコペルシコン(Lycopersicon)亜属に属する。他の重要なナス科植物としては、ジャガイモ(ソラヌム・ツベロスム(Solanum tuberosum))及びナス(aubergine)又はナス(eggplant)(ソラヌム・メロンゲナ(Solanum melongena))が挙げられる。L.エスクレンタム(L.esculentum)種におけるあらゆる品種が、自家受粉性である。L.ピムピネルリホリウム(L.pimpinellifolium)(カラントトマト)、L.ヒルスタム(L.hirsutum)(ヘアリートマト)及びL.ペルビアヌム(L.peruvianum)(ペルー産トマト)などのリコペルシコン(Lycopersicon)亜属の他の多くの種が、他家受粉性である。従って、好ましくは、L.エスクレンタム(L.esculeatum)の同系交配原種系統は、望ましくない自家受粉性に起因して遺伝的に変化することを防ぐため、雄性不稔性である。有利には、かかる雄性不稔植物では、種子の作出費用が低減される。
【0083】
トマト植物育種計画における雑種トマト品種の育成には、一般に、3つのステップが関わる:(1)初期育種交配種用の様々な生殖質プールから植物を選択するステップ;(2)育種交配種から選択された植物を数世代にわたり自殖して一連の同系交配系統を作出するステップ。この同系交配系統は、互いに異なるものの純種を生み、且つ高度に均質化されている;及び(3)選択された同系交配系統を、無関係な同系交配系統の、又は野生種のトマトと交配して雑種後代(F1)を作出するステップ。トマトにおける同系交配過程において、系統の生育力は、一般には、低下する。生育力は、同系交配系統が、別のトマト植物(例えば、別の同系交配種又は野生品種)と交配されて、雑種後代(F1)が作出されると、回復する。同系交配系統のホモ接合性及び同質性の重要な帰結は、一定の対の同系交配種を交配させることによって作り出された雑種は、常に同じであるということである。優良雑種を作り出す同系交配種が同定されたなら、それらの同系交配親を用いて、その雑種種子の継続的な供給を生み出すことができ、ひいては、この雑種種子の供給を受けて、雑種トマト植物を産生することができる。
【0084】
植物育種の技術分野においては、考慮すべき重要な要因が多くあり、例えば、重要な形態学的及び生理学的特徴を認識する能力、目的とする遺伝子型及び表現型の形質についての評価技術を設計する能力、及び新規の、又は改良された組み合わせにおいて、所望の形質の遺伝子を探し出して利用する能力などである。
【0085】
トマト植物育種計画から得られる商業的なトマト雑種系統を育成する目的は、新規の同系交配系統を育成することにより、組み合わせると高収量及び優れた農学的成果を生み出す雑種を開発することである。育種家が求める一次形質が得られたとしても、他の多くの主要な農学的形質が、雑種の組み合わせには重要であり、収量に影響を有したり、又は他の形で雑種の組み合わせに、優れた成果をもたらしたりする。かかる形質としては、作物の高い潜在能力、害虫を含む病気に対する耐性、干害及び熱ストレスなどのストレスに対する耐性、並びにトマト果実の風味、色、形及び保存性が挙げられる。加えて、系統それ自体は、種子の収量及び花粉の生成量などの、雑種形成に十分な量及び質の親系統を提供する能力に影響を及ぼす親形質について、許容可能な能力を有しなければならない。こうした形質は、遺伝的な制御下にあることが示されており、且つ、全てではないにしろ、多くの形質が、複数の遺伝子の影響を受ける。
【0086】
雑種トマト植物の作出について、いずれのリコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum)同系交配系統も、様々な育種系統の連続的な自殖及び選抜によって、そうした系統の遺伝子をホモ接合系統に組み合わせることを含む、従来の育種方法によって育成され得る。次に、土壌病原体並びに根及び茎の病気に対する耐性、大きいサイズ、果実の硬さ及び色、並びに好ましい根及び茎の発育に基づく系統選択が、数多くの後続の世代に適用されることにより、記載される同系交配親系統が生じ得る。次に、同系交配系統を、好ましくは、十分な世代数にわたり、自家受粉させて植え付け、そのホモ接合遺伝子型を特徴とするその形質の均質性及び表現型の安定性を確保する。異なる形質が認められなければ、その特徴は安定している。
【0087】
ソラヌム属(Solanum)のなかで、ソラヌム・ペンネルリイ(Solanum pennellii)LA716(Eshedら 1994年)、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LA1777(Monforteら 2000a年)及びソラヌム・リコペルシコイデス(Solanum lycopersicoides)LA2951(Canadyら 2005年)について、ILが開発されている。かかる集団は、定量的形質の同定(Eshedら 1995年;Rousseauxら 2005年)、QTLのファインマッピング(Fridmanら 2004年;Monforteら 2001年;Monforteら 2000b年)及びQTLクローニング(Fraryら 2000年;Fridmanら 2000年;Kuら 2001年)に、極めて有用であることが示されている。
【0088】
現在、有限成長性のS.リコペルシクム(S.lycopersicum)E6203に、1つのS.ハブロカイテス(S.habrochaites)LA1777 IL集団が存在する(Monforteら 2000a年)。
【0089】
本明細書において、本出願人らは、有限成長性の栽培種トマトS.リコペルシクム(S.lycopersicum)品種Moneymakerの背景におけるS.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78からの遺伝子移入に基づくS.ハブロカイテス(S.habrochaites)の第2のIL集団の育成と、種なしの単為結実性トマト植物の作出における、その系統の使用とについて記載する。
【0090】
本発明の植物は、好ましくは雄性不稔である。雄性不稔性は、系統DRS 5.1に見られる機能的雄性不稔性(male sterlity)などのように、特定の交配種に存在し得る。或いは、雄性不稔性は、機能的雄性不稔性を付与するps−2遺伝子を含む系統を供与植物として使用し、その遺伝子を、所望の植物系統に遺伝子移入することによって導入されてもよい。
【0091】
機能的雄性不稔性は、雑種種子の作出にとって、重要な形質である。トマトにおいて、機能的雄性不稔性をコードする遺伝子のなかには、位置的不稔遺伝子ps−2がある。ps−2は、一遺伝子劣性であり、葯に不裂開性を付与するもので、実際の使用に最も好適である。分子利用選抜(molecular−assisted selection:MAS)用のマーカーが開発されている(Gorguetら、2006年、Theor.Appl.Genet、113(8):1437−1448頁)。これは、機能的雄性不稔系統(ps−2/ps−2;ソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum))と機能的雄性稔性系統(S.ピムピネルリホリウム(S.pimpinellifolium))との間の種間交配種に由来するF2世代分離集団において行われた。ps−2遺伝子座は、4番染色体の短腕上で、マーカーT0958とT0635とによって区切られる1.65cMの間隔内にあることが分かった。この領域は、MASに有用であり得るCOSマーカーも多く含む。
【0092】
本発明の方法は、例えば、欧州特許第1428425号明細書に記載されるとおりの、種なし植物を作出する方法を利用してもよく、そこでは、以降に、さらに考察される、以下のステップを含む方法によって、fs/pk複合植物が作出され得る:
a.本明細書に定義されるとおりの「元の種なし親」を、本明細書に定義されるとおりの「元の非種なし親」と交配することにより、非種なしF1世代を提供するステップ;
b.そのように得られたF1世代を、自家受粉させて、本明細書で、F2世代と称される、後続の世代を提供するステップ。
c1.そのように得られたF2のうち、種なし表現型を有する任意の植物を選抜し、それらの種なし植物を自家受粉させて、第1のF3世代を提供するステップ;並びに
c2.そのように得られたF2のうち、機能的不稔性の表現型を有する任意の植物を選抜し、それらの植物を自家受粉させ、それによって、第2のF3世代を提供するステップ;
d.第1のF3世代又は第2のF3世代のうち、種なし表現型を有する任意の植物を選抜するステップ;
e.第1のF3世代又は第2のF3世代のうち、種なし表現型を有する植物を自家受粉させ、それによって、F4世代を提供するステップ;
f.そのように得られたF4世代のうち、種なし表現型を有する植物を自家受粉させ、それによって、F5世代を提供するステップ;及び場合により、そのように得られたF5世代のうち、種なし表現型を有する植物を自家受粉させ、それによって、F6世代を提供するステップ。
【0093】
欧州特許第1428425号明細書には、通常、ステップe)で得られるF5世代、及び特にF6世代までには、そのように得られた植物のpk,fs複合体は、十分に安定している、すなわち「定着した」状態となっているであろうことから、そのトマト植物を、その発明におけるpk,fs親として用いるか、又は他のpk,fs親(の系統)を、すなわち、さらに別の特性で交配するか、若しくは戻し交配によって得るための出発植物若しくは系統として用いることができることが報告された。F3、F4、F5、F6及びそれ以降の世代が、種なし表現型−又は「第2のF3世代」の場合には、少なくとも、機能的不稔性の表現型−を有するとき、F4、F5、F6及びそれ以降の世代を得て、同時に、種なし雑種を作出するため、pk,fs親系統を維持するには、以下に定義されるとおりの、人の介入が必要とされ得る。後続の世代を提供するためのこの人の介入に対する要件は、概して、本明細書では、「誘発性の自家受粉(causing self−pollination)」とも称される。欧州特許第1428425号明細書では、F2が、通常、100個のF2植物のうち、多くとも約1個又は2個の種なし植物しか含まないばかりか、使用される元の種なし親及び特に元の非種なし親によっては、種なし植物を提供しないこともあると報告した。種なしF2植物が得られるときでさえ、その量(すなわち、1〜5%)は、二重劣性のpat−2遺伝子及びps−2遺伝子が、単独で種なし表現型を提供するのに十分に存在する場合に、メンデルの法則に従って、期待される8.25%(すなわち、16個のうち1個の植物)より大幅に少ないことが分かった。これは、元の非種なし親との交配が、明らかに、何らかの−おそらくは優性の−遺伝子、対立遺伝子又はその他の遺伝要因を導入し、それが、F2における種なし表現型の出現に負の影響を及ぼすことを示している。F2は、通常は、ある機能的不稔性の植物を含み、すなわち、これもまた、元の種なし親及び特に元の非種なし親によって、通常は、100個のうち約10〜15個の植物を含むことが分かった。これもまた、二重劣性のps−2が、単独で機能的不稔性の表現型を提供するのに十分に存在する場合に、メンデルの法則に従って、期待される25%未満である。これは、所望の機能的不稔性の表現型の存在も、また、遺伝要因の複合体によって決定されることを示している。
【0094】
欧州特許第1428425号明細書に記載される方法には、さらに、F2の種なし植物を選抜して自家受粉させることによって、本明細書で、「第1のF3世代」と称されるF3を提供することが含まれる。F2植物が、種なし表現型であるにもかかわらず、F2植物の種なし表現型を示すのは、時にこのように得られたF3植物の一部であり、F3植物の0〜100%を構成し得るが、ほとんどの場合には、約10〜20%しか構成しないことが報告された。これは、おそらく、このF2植物における種なし表現型が、遺伝子の複合体(すなわち、本発明のpk,fs複合体)によって引き起こされ、元の種なし親にあるとおりのホモ接合の劣性pat−2遺伝子及びps−2遺伝子のみによって引き起こされるのではないことを裏付けたものと思われる。また、F2においては、pk,fs複合体が、完全に種のない子孫を提供するには、十分には定着していない−すなわち、遺伝的に十分に同質でない−ことも示したものと思われる。
【0095】
このため、上記のとおり得られる種なしF2植物も、また、欧州特許第1428425号明細書に記載される発明において、pk,fs親として使用するには好適ではなかった。種なし表現型を示す第1のF3世代の植物を選抜して自家受粉させることで、F4が提供された。ここでも、種なし表現型を示し得るのは、通常は、種なしF3植物から得られるF4植物の一部であることが分かった:種なしF4植物の量は、0〜100%まで異なり得るが、通常は、全てのF4植物の約10〜20%である。また、あらゆる環境条件下で、全てのF4植物が種なしであるわけではないことが分かった。これもまた、これらのF3又はF4植物においては、pk,fs複合体が、欧州特許第1428425号明細書に記載される発明において、pk,fs親として用いられるには、まだ十分に定着していないことを示したものと思われる。次に、F4からの種なし植物を、再び自家受粉させて、F5を提供し、F5からの前記種なし植物を、自家受粉させて、F6を提供した。ここでも、おそらく種なしのF4又はF5において、それぞれ、pk,fs複合体が、まだ十分に定着していなかったと思われるため、F5において、及び時にF6においても、一部に非種なし植物が得られた。通常は、F6世代までに、種なしF6植物におけるpk,fs複合体は、十分に安定し、従って、全ての種なしF6植物が、自家受粉させると、種なしF7植物のみを提供すると考えられた。これはまた、このようにして得られたF6同系交配種が、欧州特許第1428425号明細書に記載される発明において、pk,fs親として用いられ得ることを示したものとも思われる。F7が、なおいくらかの非種なし植物を提供したならば、F7を再び自家受粉して、F8を提供し得るなど、pk,fs複合体が、十分に定着する世代が得られるまで行われる。しかしながら、これは、通常は、不要であり、また好ましいことでもない。また、F9までに、特にF10世代までに、pk,fs複合体が、なお十分に定着するようにならなかった場合、通常、それは、その同系交配系統が、欧州特許第1428425号明細書に記載される発明において、pk,fs親系統として用いることができないと考えられる。
【0096】
一般に、使用される元の種なし親、しかし、特に非種なし親によっては、少数の種なしF2植物しか、F6まで「たどり着く」ことができない。また、F6の産生においても、あらゆる環境条件下で、種なし表現型の安定性及び確実性を試験するため、何らかの選択圧が加えられ得る。例えば、光、温度などの要因を用いて、F3、F4、F5又はF6の種なし表現型の安定性を「試験」し、及び/又は定着させることができる。種なしF2植物以外に、機能的不稔性の表現型のみを示すF2植物も自家受粉され、それによって、本明細書で「第2のF3世代」と称されるF3世代が提供される。この第2のF3世代は、通常、本質的に全ての機能的不稔性の植物を含み、且ついくらかの種なし植物、すなわち40個のF3植物のうち約1〜3個を含み得る(これらは、この第2のF3において果実が成長する唯一のものであるため、容易に見分けて選抜することができる)。種なしであれば、本質的に、第1のF3世代について記載されるとおり、これらの種なしF3植物を自家受粉させて、F4を、続いて、F5及びF6、場合により、F7及びF8などを提供する。この場合も、やはり使用される同様に元の種なし親、及び特に元の非種なし親によって、F6までたどり着くのは、第2のF3世代のうち一部の種なし植物である。
【0097】
上記の方法論では、元の種なし親と元の非種なし親との所与の組み合わせについて、F2において、種なし植物が全く得られず、且つ機能的不稔性の植物が僅かしか得られない可能性がある。次に、これらの機能的不稔性のF2植物が自家受粉される。しかしながら、このようにして得られたF3において、再び種なし植物が見られなかった場合、通常、この特定の組み合わせの元の種なし親と元の非種なし親とは、その発明に係るpk,fs親の提供に用いることができないと考えられる。これについての可能な説明としては、使用される元の非種なし親が、使用される元の種なし親に既に存在する遺伝子に対し、pk,fs複合体を「完成」させるために必要な全ての遺伝要因(すなわち、遺伝子、対立遺伝子又は他の要因)を含まなかったということがあり得る。
【0098】
従って、本発明は、さらなる態様において、上記に記載されるとおりに得られ、及び/又は得ることができ、及び/又は本明細書に記載される方法における使用に適した種子又は苗などの(場合により容器に入った)トマト用栽培材料、並びに種なしトマトに関するものである。
【0099】
本発明に係る単為結実性トマトは、また、それ自体公知の方法で、トマト製品、特に食品にさらに加工されてもよく、それは、最終消費向けに準備されるか、又はそれに適した形態であっても、又はなくてもよい。この点で、本発明に係るトマトは、製品加工において種子/ピップを取り除くための追加的なステップなしに、直接加工することができるという利点を有する。
【0100】
従って、本発明は、さらなる態様において、本発明に係る種なしトマトから得られる製品、特に食品、並びに前記食品を得るための方法に関し、ここで、トマトは、種を取り除くための別個のステップなしに、これらの製品に加工される。従って、かかる方法は−とりわけ−、トマトを別の方法でピューレ状にしたり、又はすり潰したりするステップと、場合により、それに続いて追加的な所望の成分を取り入れたり、又は添加したりするステップと、そのようにして得られた、種子又はその残留物のないトマト製品を、保管、輸送又は販売に好適な容器に包装するステップとを含んでもよく、ここで、前記方法は、トマトをすり潰すステップと製品を包装するステップとの間に、いかなるピップ/種子を取り除くステップも含まない。
【0101】
本明細書に開示されるとおりの遺伝因子は、雄性不稔性を提供し、その結果、形成される種子は繁殖能を有しない。
【0102】
本発明の方法及び植物は、単為結実性であることに加え、好ましくは、雄性不稔性、最も好ましくは、機能的不稔性、例えば、位置的不稔性でもある。さらに、本明細書に開示されるとおりの遺伝因子は、受精なしに着果が起こる現象である単為結実をもたらす。
【0103】
本明細書に開示されるとおりの遺伝学的因子(genetic alement)は、単為結実性及び/又は雄性不稔性を提供することに加え、果実収量の増加を提供する。本発明の単為結実植物の利点は、同一時期に収穫された非種なしトマトと比較して、それらが、(乾燥重量で表されるとき)果肉含有量が高い、すなわち、トマトの総重量を基準として、1、2、5、10、25、若しくは35%、又はそれ以上の果実を結実することである(すなわち、約110〜120グラムの収穫時の総重量に対し、平均して種なしトマトについては、約5.5〜6.5グラムの乾燥物質、それと比較して、非種なしトマトについては、約4.5〜5.5グラムの乾燥物質)。乾燥物質収量で見れば、これは、少なくとも約20%の増量を意味する(ここで、さらに、非種なしトマトの乾燥物質は、なおピップを含み得る)。
【0104】
発明の効果
以上から、当業者は、雄性不稔性を用いることにより、植物における単為結実を見出すことができる。通常、種子形成が起こらないときには、単為結実性は発見されないままであり得る(表に現れない)。この隠れた単為結実性は、単為結実植物と隠れた単為結実性を有する植物との間の交配種の子孫を交配し、種子のない着果についてその交配種を検査することによって見出すことができる。
【0105】
好ましくは、本明細書に定義されるとおりの遺伝子移入は、ホモ接合形態で存在する。
【0106】
ここで、本発明は、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78に由来する単為結実の表現型に関与する遺伝子をクローニングする方法を提供する可能性についても提供する。
【実施例】
【0107】
実施例1
適切な遺伝的構成を有する候補親植物の選抜を伴う、より効果的な育種プロセスを作るためには、候補親植物の少なくとも1つにおける当該の遺伝的構成の存在を示す1つ又は複数の遺伝マーカーを自在に使えるようにする必要がある。このプロセスは、選抜された植物の交配を含む、マーカー利用選抜(MAS)と称されるもので、好ましい親の対立遺伝子を供与種から受容集団に効率的に導入し、且つ、当該育種が、もはや偶然に依存することなく、育成コストの点で、経済的に、はるかに効果的であることを保証する。
【0108】
材料及び方法
植物材料及びILの育成
ソラヌム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)LYC4/78(これ以降、LYC4/78と称される;1978年の種子バッチ)の種子は、Institute for Plant Genetics and Crop Plant Research、Gatersleben、独国にある遺伝子バンクから入手した。
【0109】
ソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum)品種Moneymaker(これ以降、Moneymakerと称される)の種子は、De Ruiter Seeds R&D BV、Bergschenhoek、オランダ国の種子バンクから入手した。
【0110】
MoneymakerとLYC4/78との間の種間交配を行って、F種子を作った。F種子を成長させて、F植物とした。1つのF植物の自殖から得たF種子を播種し、174個体のF集団を得た。Moneymakerを反復雌性親とした2回の戻し交配によって、59個体のBC(戻し交配第2代)集団を産生した。MASを用いて、同定された2つの単為結実性付与遺伝因子のうちの一方を含むBC、BC、及びBC遺伝子型を選抜し、いくつかのBCを自家受粉して、BC種子を作出した(図2を参照)。上述されたとおり、1つのF植物を自家受粉して、F種子を得て、SLに戻し交配して、BC種子を得た。最初に、F種子を用いて、遺伝子連鎖地図を作成した。BC種子を用いて、ILを育成した(図3)。
【0111】
DNA単離及びマーカー解析
2枚の幼葉(巻き上がった葉)から、Steward及びVia(1993年)によるプロトコルに基づき、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)を用いて、それを1mlマイクロ試験管(Micronic BV、Lelystad、オランダ国)を使用したハイスループットDNA単離用に調整し、且つ最高速度でRetsch 300mm振盪機(Retsch BV、Ochten、オランダ国)を用いて粉砕して、ゲノムDNAを単離した。本質的に、Myburg(Myburgら 2001年)によって公表されている方法に従い、F、BC、BC、BC及びBC集団のAFLP分析(Vosら、1995年)を行い、LI−COR 4200 DNAシーケンサーでAFLP断片を解像した。選択的PstプライマーをIRD 700又はIRD 800蛍光標識で標識した。AFLP−Quantar Proソフトウェアパッケージ(Keygene BV、Wageningen、オランダ国)を使用して、AFLPゲル画像をスコアリングした。Baiら(2003年)によって記載されるとおり、以下の10組のプライマーの組み合わせ、すなわち、P14M48、P14M49、P14M50、P14M60、P14M61、P15M48、P18M50、P18M51、P22M50及びP22M51とアダプター配列とを用いて、遺伝子型を決定した。
【0112】
集団の表現型分析
Moneymaker×LYC4/78の間の交配種から得られたF集団の個体を交配して得られた植物において、果実サイズ(収量、果実の重量、果実の高さ、果実の直径)及び種子形成(SS)の違いを観測した(表1を参照)。種なし(SS−)で、且つ対照(Moneymaker[SL]最下行)と比較して、正常な果実サイズを示した植物を、単為結実性とみなした。
【0113】
【表1】

【0114】
分子マーカー及び遺伝子連鎖地図
Moneymaker×LYC4/78の交配種から得られたF集団(n=174)について、遺伝子連鎖地図を計算した。F集団(n=174)において、10組のプライマーの組み合わせを用いて、218個の増幅断片長多型(AFLP)マーカーを得た。合計69個のマーカー(31.7%)は、容易に共優性としてスコアリングすることができ、従って、統合的なF遺伝子連鎖地図の計算が可能となった。BC、BC及びBC遺伝子型に対して実施したマーカー解析により、さらなる145個のAFLPマーカーが追加された。これらの145個のさらなるAFLPマーカーのうち、合計102個は、Fゲルの複雑性に起因して、それまでスコアリングされていなかった。全体的な遺伝子連鎖地図は、14個の連鎖群の315個のAFLPマーカーからなったとともに、全長は、958cMである。種内で同時に移動するAFLPマーカーは、一般には、対立遺伝子に特異的であるため、他のAFLP連鎖地図との共直線性を用いて、連鎖群を染色体に割り当てた。一部のMoneymaker特異的AFLPマーカーが、公表されているとおりの遺伝子連鎖地図(Haanstraら 1999年;Baiら 2003年)と共通していたことから、同定された単為結実性付与遺伝因子を有する連鎖群を含め、一部の連鎖群を染色体に割り当てることができた。単為結実性付与遺伝因子の間隔について、連鎖地図を改良するため、公表されているS.リコペルシクム(S.lycopersicum)×L.ペンネルリイ(L.pennellii)地図(Tanksleyら 1992年;Haanstraら 1999年)に基づき、これらの領域に、診断用CAPSマーカーを加えた。
【0115】
マーカー解析
2枚の幼葉(巻き上がった葉)から、Stewardら(1993年)によるプロトコルに基づき、CTABを用いて、それを1mlマイクロ試験管(Micronic BV、Lelystad、オランダ国)を使用したハイスループットDNA単離用に調整し、且つ最高速度でRetsch 300mm振盪機(Retsch BV、Ochten、オランダ国)を用いて粉砕して、ゲノムDNAを単離した。
【0116】
本質的に、Myburg(2001年)によって公表されている方法に従い、各戻し交配種及びILのAFLP(商標)分析(Vosら 1995年)を行い、LI−COR 4200 DNAシーケンサーでAFLP断片を解像した。選択的PstプライマーをIRD 700又はIRD 800蛍光標識で標識した。AFLP−Quantar(商標)Proソフトウェアパッケージ(http://www.keygene−products.com)を用いて、AFLPゲル画像をスコアリングした。プライマー及びアダプター配列は、Baiら(2003年)によって記載される。
【0117】
CAPSプライマーの各セットは、「Solanaceae Genomics Website」(http://sgn.cornell.edu)から入手するか、又は同じ情報源から入手可能な遺伝子クローン又はcDNAクローンの配列上で設計した。Brugmansら(2003年)によって記載されるCAPS消化手法を用いて、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)とS.リコペルシクム(S.lycopersicum)との間の多型を決定した。遺伝子型に対して用いられたマーカー配列、PCR条件、及び特異的制限エンドヌクレアーゼが、Table 30に提示される。PCR産物は、概して2.5%アガロースゲルを用いて分離した。Table 31には、目的のQTLに見られる表30のマーカーの各々について、S.リコペルシクム(S.lycopersicum)とS.ハブロカイテス(S.habrochaites)とを識別する種々の消化産物が示される。
【0118】
結果
IL集団
S.リコペルシクム(S.lycopersicum)品種Moneymaker(SL)の遺伝的背景におけるS.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78(SH)の遺伝子移入系統(IL)集団を育成した。SLとSHとの間の交配から得られたあるF植物をSLに戻し交配した(図2)。続いて、14個のBC植物の無作為集合をSLに戻し交配して、BC後代を得た(n=59)。全てのBC植物の遺伝子型を決定し、選抜された集合をSLに戻し交配した。この集合は、組み合わされた遺伝子移入が可能な限り多くのSHゲノムを網羅し、同時に、各外来染色体が3つのILによって代表されるように組換え体が選択されるような方法で選抜した。この選抜と戻し交配とのプロセスを、BCまで繰り返した。大部分が1つ又は2つの遺伝子移入を含む31個の選抜されたBC植物を自家受粉させた。31個のBC系統群の各々のうち、最高12個の植物を自家受粉させ、AFLPマーカーでスクリーニングして、遺伝子移入のためのホモ接合のBC後代を得た(n=44)。44個のILのマーカーを再度スクリーニングし、30個のILの中心セットを選択した。この中心セットは、可能な限り少ないILにおいて、最大限に網羅されたSHゲノムに相当する(図3)。中心セットは、単一の遺伝子移入を有する15個のILと、2つの遺伝子移入を含む10個のILと、3つの遺伝子移入を含む4個のILと、一方で、さらに4つのホモ接合の遺伝子移入を含んだ1個のILとからなる。平均して、各ILは、60cM(=5.2%)のSHゲノムを含み、遺伝子移入の長さは、20(1.7%)〜122cM(10.6%)まで異なった。本出願人のIL集団は、元のF連鎖地図の長さの95%を網羅した。しかしながら、本出願人は、このF連鎖地図がゲノムを完全には網羅していないと理解している。これは、3番染色体(短腕の上端)、4番染色体(短腕の上端)、5番染色体(長腕)及び9番染色体(短腕の上端)における追加的なCAPS分析によって示され、ここで、CAPSマーカーにより、AFLPに基づくF連鎖地図において、マーカーのない遺伝子移入が明らかとなった。これらの遺伝子移入のサイズを、高密度RFLP地図(Tanksleyら 1992年;http://www.sgn.cornell.edu)に基づき推定した。3番染色体の上端については、これまでのスクリーニングにかからなかったため、この領域についてのILは、ヘテロ接合である。IL5−1及び5−2について、ホモ接合のSHであるように選抜された植物は、種子を形成できなかったことから、これらの系統をヘテロ接合状態に維持した。8番染色体の短腕の上端及び2番染色体の長腕の下端を含むILは存在しなかった。7番及び9番染色体の短腕の上端にある遺伝子移入は、複数のILに存在した。9番染色体の上端についての選抜は、この領域に特異的なCAPSマーカーを開発した後にのみ可能であった。本明細書の上記の説明において、IL5−1は、DRS5.1と称される。
【0119】
本明細書で使用されるマーカー配列
以下の表は、様々な連鎖地図に示され、且つ本発明のQTLとの関連について示される様々なRFLPマーカー及びCOS−IIマーカーに関する詳細な情報を提供する。Tables10〜29の情報は、Cornell UniversityにホスティングされるSOL Genomic Network(SGN)データベースの2005年10月7日版から、そのままコピーした。
【0120】
本明細書に記載されるとおりのILライブラリスクリーニングによって単為結実形質と関連することが認められたいくつかのマーカーの配列を配列決定したうえで、本明細書に開示される単為結実性付与因子の領域におけるS.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の配列に関する詳細な情報を提供する。
【0121】
【表2】

【0122】
【表3】

【0123】
【表4】

【0124】
【表5】

【0125】
【表6】

【0126】
【表7】

【0127】
【表8】

【0128】
【表9】

【0129】
【表10】

【0130】
【表11】

【0131】
【表12】

【0132】
【表13】

【0133】
【表14】

【0134】
【表15】

【0135】
【表16】

【0136】
【表17】

【0137】
【表18】

【0138】
【表19】

【0139】
【表20】

【0140】
【表21】

【0141】
【表22】

【0142】
【表23】

【0143】
【表24】

【0144】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
単為結実性の、又は単為結実性で雄性不稔性のトマト植物を作出する方法であって、前記植物に、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78、その種子の代表標本は、2007年11月13日に受託番号41517としてNCIMBに寄託された、の4番、5番及び/又は12番染色体由来の遺伝領域を遺伝子移入することを含み、
前記S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の4番染色体由来の前記遺伝領域が、マーカーCD59とTG272との間の領域であり、及び
前記S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の5番染色体由来の前記遺伝領域が、COSマーカーT1181とRFLPマーカーCD31(A)との間の領域である、上記トマト植物の作出方法。
【請求項2】
S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の4番染色体由来の前記遺伝領域が、マーカーTG272、TG264、TG62、T1405、及び/又はCT50を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の5番染色体由来の前記遺伝領域が、RFLPマーカーTG318又はより下流のマーカー、TG538、TG60、及び/又はCT138を含まない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の12番染色体由来の前記遺伝領域が、マーカーTG296を含まない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
単為結実性の、又は単為結実性で雄性不稔性のトマト植物を選抜する方法であって、種子を有するトマト植物を、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の植物と交配し、種子又は前記種子から成長した植物を、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の4番、5番及び/又は12番染色体の遺伝領域の遺伝子移入の存在について選抜することを含み、
前記S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の4番染色体由来の前記遺伝領域が、マーカーCD59とTG272との間の領域であり、及び
前記S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の5番染色体由来の前記遺伝領域が、COSマーカーT1181とRFLPマーカーCD31(A)との間の領域である、上記トマト植物の選抜方法。
【請求項6】
前記単為結実性の、又は単為結実性で雄性不稔性のトマト植物が、ソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum)植物、栽培種のS.リコペルシクム(S.lycopersicum)植物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、又は請求項10に記載の方法によって選抜されるトマト植物、又はその一部であって、前記トマト植物が、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の植物を、S.リコペルシクム(S.lycopersicum)品種Moneymakerの植物と交配することによって得られた植物ではない、トマト植物、又はその一部。
【請求項8】
単為結実性の、又は単為結実性で雄性不稔性の同系交配トマト植物を作出する方法であって、
a)請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法によって単為結実性のトマト植物を作出するステップと、
b)前記単為結実性のトマト植物を、それ自体又は別のトマト植物と交配して後代トマト種子を得るステップと、
c)前記ステップの後代トマト種子を成長させてさらなる単為結実性のトマト植物を得るステップと、
d)前記交配するステップと前記成長させるステップとを0〜7回繰り返して単為結実性の耐性同系交配トマト植物を産生するステップと、
を含む、上記トマト植物の作出方法。
【請求項9】
ステップc)が、単為結実の表現型を示し、且つ商業的に望ましい特徴を有する植物を同定するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、ホモ接合の同系交配トマト植物を選抜するステップをさらに含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法によって得ることのできる単為結実性の、又は単為結実性で雄性不稔性の同系交配トマト植物、又はその一部であって、前記トマト植物が、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の植物を、S.リコペルシクム(S.lycopersicum)品種Moneymakerの植物と交配することによって得られた植物ではない、トマト植物、又はその一部。
【請求項12】
単為結実性の、又は単為結実性で雄性不稔性の表現型を示す雑種トマト植物、又はその一部であって、前記雑種トマト植物が、請求項11の単為結実性の同系交配トマト植物を、商業的に望ましい特徴を示す同系交配トマト植物と交配することによって得ることができる、トマト植物、又はその一部。
【請求項13】
単為結実性の、又は単為結実性で雄性不稔性のトマト植物であって、S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78、その種子の代表標本は、2007年11月13日に受託番号41517としてNCIMBに寄託された、の4番、5番及び/又は12番染色体由来の遺伝領域の遺伝子移入を含み、
前記S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の4番染色体由来の前記遺伝領域が、マーカーCD59、RFLPマーカーCT229、及びCOSマーカーT1068から選択される少なくとも1つのマーカーを含み、及び
前記S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78の5番染色体由来の前記遺伝領域が、COSマーカーT1181、RFLPマーカーTG441及び/又はRFLPマーカーCD31(A)から選択される少なくとも1つのマーカーを含む、
前記トマト植物。
【請求項14】
前記トマト植物が、S.リコペルシクム(S.lycopersicum)の植物であり、且つ前記植物が、S.リコペルシクム(S.lycopersicum)品種Moneymakerではない、請求項13に記載の植物。
【請求項15】
請求項7又は11〜14のいずれか一項に記載のトマト植物の再生可能細胞の組織培養物であって、前記再生可能細胞が、葉、花粉、胚、根、根端、葯、花、果実、及び茎及び種子からなる群から選択される組織から単離された細胞又はプロトプラストを含む、前記組織培養物。
【請求項16】
S.ハブロカイテス(S.habrochaites)LYC4/78に由来する単為結実遺伝因子を検出するための、及び/又は単為結実性の、又は単為結実性で雄性不稔性のトマト植物を検出するための検出用遺伝子マーカーであって、Table 30、Table 31又はTable 32の遺伝マーカーからなる群から選択される前記検出用遺伝マーカー。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−527586(P2010−527586A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508323(P2010−508323)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050296
【国際公開番号】WO2008/143504
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(509316567)モンサント インベスト エヌ.ブイ. (3)
【氏名又は名称原語表記】MonsantoInvest N. V.
【住所又は居所原語表記】Handelsweg 53 N, NL−1181 ZA Amstelveen The Netherlands
【Fターム(参考)】