説明

SPARC血管新生ドメイン及び使用方法

本発明は、SPARCカルボキシ血管新生ドメインの発見を活用する組成物及び方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年3月11日に出願された米国仮出願第61/159,322号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
酸性でシステインに富んだ分泌タンパク質(Secreted Protein, Acidic, Rich in Cysteines)(SPARC)(オステオネクチンとしても知られている)は、286アミノ酸の糖タンパク質である。SPARCは広範な種々のリガンドに対して親和性を有し、リガンドとしては、陽イオン(例えば、Ca2+、Cu2+、Fe2+)、成長因子(例えば、血小板由来成長因子(PDGF)、及び血管内皮成長因子(VEGF))、細胞外マトリクス(ECM)タンパク質(例えば、コラーゲンI-V及びコラーゲンIX、ビトロネクチン(vitronectin)、及びトロンボスポンジン−1(thrombospondin-1))、内皮細胞、血小板、アルブミン、及びヒドロキシアパタイトが挙げられる。SPARC発現は、発生的に調節されており、SPARCは正常な発生の過程で又は傷害に応答し、再構築している組織において主に発現している(例えば、Lane et al., FASEB J., 8, 163-173(1994)を参照のこと)。高レベルのSPARCタンパク質が、発生中の骨及び歯において発現する。
【0003】
SPARCは、数種の悪性の癌において上方調節されているが、正常な組織の大多数には存在しない(Porter et al., J. Histochem. Cytochem., 43, 791(1995)及び以下を参照のこと)。SPARC発現は、種々の腫瘍(例えば、膀胱、肝臓、卵巣、腎臓、腸、及び乳房)で誘導される。膀胱癌において、例えば、SPARC発現は、進行癌と関連付けられてきた。ステージT2又はより重度の浸潤性膀胱腫瘍は、ステージT1の膀胱腫瘍(又はより軽度の表在性腫瘍)と比較して、より高レベルのSPARCを発現することが示されており、また予後がより不良である(例えば、Yamanaka et al., J. Urology, 166, 2495-2499(2001)を参照のこと)。髄膜腫において、SPARC発現は、浸潤性腫瘍とのみ関連付けられている(例えば、Rempel et al., Clincal Cancer Res., 5, 237-241(1999)を参照のこと)。SPARC発現はまた、上皮内浸潤性乳癌病変の74.5%(例えば、Bellahcene, et al., Am. J. Pathol., 146, 95-100(1995)を参照のこと)、及び浸潤性乳管癌の54.2%(例えば、Kim et al., J. Korean Med. Sci., 13, 652-657(1998)を参照のこと)において検出されている。SPARC発現は、乳癌における頻繁な微小石灰化にも関連付けられており(例えば、Bellahcene et al., 上記、を参照のこと)、SPARC発現が、乳房転移の骨への親和性に関与し得ることを示唆している。SPARCは、アルブミンに結合することも知られている(例えば、Schnitzer, J. Biol. Chem., 269, 6072 (1994)を参照のこと)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、疾患におけるSPARCの役割(例えば、いくつかの癌におけるSPARCの役割)を利用する組成物及び方法の必要性が存在する。特に、SPARCのドメイン特異的活性(SPARCカルボキシ血管新生ドメインなど)を利用する組成物及び方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、単離されたSPARC血管新生ドメインを含む配列番号1の配列を含む、単離されたポリペプチドを提供する。更に、本発明は、5箇所までの保存的アミノ酸変化が存在する配列番号1の配列を含む単離されたポリペプチド、又は配列番号1と90%同一である単離されたポリペプチドを提供し、ここで変異型の単離されたSPARCポリペプチドは配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%を保持する。
【0006】
本発明は、5箇所までの非保存的アミノ酸変化が存在する、配列番号1の配列を含む単離されたポリペプチドも提供し、ここで変異型の単離されたSPARCポリペプチドは配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%を保持する。
【0007】
本発明は、治療上有効量の配列番号1の配列を含む精製されたポリペプチド及び/又は5箇所までの保存的アミノ酸変化が存在する配列番号1の変異型の配列を含む単離されたポリペプチド若しくは配列番号1と90%同一である単離されたポリペプチドであって、変異型の単離されたSPARCポリペプチドが配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%を保持する単離されたポリペプチドを投与する工程を含む、血管形成を必要とする動物において血管形成を刺激する方法も提供する。
【0008】
本発明は、治療上有効量の配列番号1の配列を含む精製されたポリペプチド及び/又は5箇所までの非保存的アミノ酸変化が存在する配列番号1の変異型の配列を含む単離されたポリペプチドであって、変異型の単離されたSPARCポリペプチドが配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%を保持する単離されたポリペプチドを投与する工程を含む、血管形成を必要とする動物において血管形成を刺激する方法も提供する。
【0009】
本発明は、配列番号1の連続するアミノ酸を欠く成熟SPARCポリペプチドを含む、配列番号2を含む単離されたポリペプチド、及び全長SPARCポリペプチドのカルボキシ末端の酵素消化産物であり、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下を保持する、単離されたカルボキシ末端切断SPARCポリペプチドを提供する。
【0010】
本発明は、治療上有効量の血管新生活性を欠くSPARCポリペプチド(例えば、本明細書中、特に配列番号2に開示される、全長SPARCポリペプチドのカルボキシ末端の酵素消化産物であり、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下を保持する、単離されたカルボキシ末端切断SPARCポリペプチドが挙げられる)のいずれか1つ以上の投与を含む、動物における腫瘍の治療方法を提供する。
【0011】
本発明は、治療上有効量の血管新生活性を欠くSPARCポリペプチド(本明細書中、特に配列番号2に開示される、全長SPARCポリペプチドのカルボキシ末端の酵素消化産物であり、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下を保持する、単離されたカルボキシ末端切断SPARCポリペプチドが挙げられる)のいずれか1つ以上の投与、及び非SPARC治療を含む、動物における腫瘍の増感方法を提供する。
【0012】
本発明は、以下を含む血管形成阻害剤の同定方法も提供する:(a)血管形成モデル系に、有効量の、配列番号1の配列を含む組成物、又は5箇所までの保存的アミノ酸変化が存在するか若しくは配列番号1と90%同一であり、且ついずれの型の変異型の単離されたポリペプチドも配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%を保持する、配列番号1の配列の変異体型を含む組成物を投与する工程;(b)モデル系の血管新生組成物に候補血管形成阻害剤及び(a)の組成物を別々に同時に投与する工程;(c)(a)及び(b)において生じた血管形成の量を定量する工程;並びに(d)(a)と比較して(b)において血管形成が減少する場合に、その候補血管形成阻害剤を血管形成阻害剤として同定する工程。
【0013】
本発明は、以下を含む血管形成阻害剤の同定方法も提供する:(a)血管形成モデル系に、有効量の、配列番号1の配列を含む組成物、又は5箇所までの非保存的アミノ酸変化が存在し、且ついずれの型の変異型の単離されたポリペプチドも配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%を保持する、配列番号1の配列の変異体型を含む組成物を投与する工程;(b)モデル系の血管新生組成物に候補血管形成阻害剤及び(a)の組成物を別々に同時に投与する工程;(c)(a)及び(b)において生じた血管形成の量を定量する工程;並びに(d)(a)と比較して(b)において血管形成が減少する場合に、その候補血管形成阻害剤を血管形成阻害剤として同定する工程。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、PC3モデルにおけるアブラキサン及びスーテントとの外因性SPARC投与の効果を実証するデータのグラフ表示を示す。
【図2】図2は、SPARCの血管新生活性を特徴付けるHUVECの3−D管形成アッセイからの結果を示す。
【図3】図3は、野生型SPARCをSPARC−d(2つのC末端切断SPARCタンパク質の混合物)と並行して流した、SDS−PAGEアッセイの結果を示す。
【図4】図4は、野生型SPARC及びSPARC−dを特徴付けるHUVECの3−D管形成アッセイから得たデータのグラフ表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
驚いたことに、SPARCポリペプチドの血管新生促進活性は成熟SPARCポリペプチドのアミノ酸233〜286(配列番号1)に局在することが決定されている。以前に、この活性は、SPARCのN末端領域にあると報告された(Sage H. Adv Dent Res. 1995 9(3 Suppl):5)。SPARCのアポトーシス促進領域がよりアミノ末端側にあるため、この発見は、カルボキシ末端血管形成ドメインを欠くSPARCポリペプチド(例えば、配列番号2)が、SPARC依存性疾患(例えば、腫瘍など)に対して、全長成熟SPARCポリペプチドよりも活性が高いかもしれないことを示唆する。また、いかなる特定の理論によっても制約されることを望まないが、血管形成は腫瘍増殖に必要であるため、末端血管新生ドメインのないSPARC(配列番号2)が全長野生型SAPRCと競合し得、in vivoでのその活性を無効にし得る可能性がある。
【0016】
本発明は、追加の15個までのアミノ酸、好ましくは追加の12個までのアミノ酸、より好ましくは追加の10個までのアミノ酸、より好ましくは追加の8個までのアミノ酸、より好ましくは追加の5個までのアミノ酸、より好ましくは追加の4個までのアミノ酸、より好ましくは追加の3個までのアミノ酸、より好ましくは追加の更に2個までのアミノ酸、そして最も好ましくは追加の1アミノ酸がカルボキシ末端及び/又はアミノ末端に付加された、単離された配列番号1又は2のポリペプチドを提供する。
【0017】
本発明は、5箇所までの保存的アミノ酸変化、好ましくは4箇所までの保存的アミノ酸変化、より好ましくは3箇所までの保存的アミノ酸変化;より好ましくは2箇所までの保存的アミノ酸変化、より好ましくは単一の保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも40%、そして最も好ましくは少なくとも30%を保持する、単離された配列番号1のポリペプチドを提供する。
【0018】
本発明は、5箇所までの非保存的アミノ酸変化、好ましくは4箇所までの非保存的アミノ酸変化、より好ましくは3箇所までの非保存的アミノ酸変化;より好ましくは2箇所までの非保存的アミノ酸変化、より好ましくは単一の非保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも40%、そして最も好ましくは少なくとも30%を保持する、単離された配列番号1のポリペプチドも提供する。
【0019】
本発明は、配列番号1と少なくとも90%同一であり、好ましくは配列番号1と少なくとも85%同一であり、より好ましくは配列番号1と少なくとも80%同一であり、より好ましくは配列番号1と少なくとも75%同一であり、より好ましくは配列番号1と少なくとも70%同一であり、且つ配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも40%、そして最も好ましくは少なくとも30%を保持する、単離されたポリペプチドを提供する。
【0020】
本発明は、本明細書中に記載される本発明のSPARCポリペプチド(配列番号1及び2並びに本明細書中に開示されるそれらの変異体が含まれる)のいずれか1つをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド、そのような核酸配列の発現用の発現ベクター並びにそのようなポリヌクレオチドを含む形質転換細胞を含む。
【0021】
本発明は、治療上有効量の、配列番号1の配列を含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを投与する工程を含む、血管形成を必要とする動物において血管形成を刺激する方法を提供する。本発明は、治療上有効量の、配列番号2の配列を含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを投与する工程を含む、動物におけるSPARC依存性疾患の治療及び予防方法を提供する。
【0022】
本発明は、治療上有効量の配列番号1の配列又は、本発明に従う且つ/又は本明細書中に記載されるその変異体を含む精製されたポリペプチドを投与する工程を含む、血管形成を必要とする動物において血管形成を刺激する方法を提供する。従って、本発明は、病的低灌流(再狭窄、アテローム性動脈硬化症、及び辺縁系の低灌流など)の治療方法を提供する;虚血(例えば、虚血が心虚血及び脳卒中である場合が挙げられる)のためでもある。
【0023】
本発明は、配列番号2(即ち、配列番号1の連続するアミノ酸を欠く成熟SPARCポリペプチド)を含む単離されたSPARCポリペプチドを提供する。本発明は、単離されたSPARCポリペプチドを提供し、それらとしてはカルボキシ末端切断されたエピトープタグ化ポリペプチド、即ち、全長SPARCポリペプチドのカルボキシ末端の酵素消化産物であり、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下、好ましくは配列番号1の血管新生活性の3%以下、より好ましくは配列番号1の血管形成活性の1%以下、最も好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下を保持するSPARCポリペプチドが挙げられる。
【0024】
カルボキシル消化は、酵素的消化及び化学的消化を含む任意の適切な方法により行なわれ得る。例えば、当業者は、日常的に、この目的のために、セリンカルボキシペプチダーゼ、リソソームPro−Xカルボキシペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼc、カルボキシペプチダーゼD、システイン型カルボキシペプチダーゼ、メタロエキソペプチダーゼなどを適合させることができる。Nakazawa T et al. Terminal proteomics: N- and C-terminal analyses for high-fidelity identification of proteins using MS., Proteomics. 2008 Feb;8(4):673-85(参照により組み込まれる)も参照のこと。
【0025】
本発明は、5箇所までの保存的アミノ酸変化、好ましくは4箇所までの保存的アミノ酸変化、より好ましくは3箇所までの保存的アミノ酸変化;より好ましくは2箇所までの保存的アミノ酸変化、より好ましくは単一の保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下、好ましくは配列番号1の血管新生活性の3%以下、より好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下、最も好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下を保持する、配列番号2の単離されたポリペプチドを提供する。
【0026】
本発明は、5箇所までの非保存的アミノ酸変化、好ましくは4箇所までの非保存的アミノ酸変化、より好ましくは3箇所までの非保存的アミノ酸変化;より好ましくは2箇所までの非保存的アミノ酸変化、より好ましくは単一の非保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下、好ましくは配列番号1の血管新生活性の3%以下、より好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下、最も好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下を保持する、配列番号2の単離されたポリペプチドも提供する。
【0027】
本発明は、配列番号2と少なくとも90%同一であり、好ましくは配列番号2と少なくとも85%同一であり、より好ましくは配列番号2と少なくとも80%同一であり、より好ましくは配列番号2と少なくとも75%同一であり、より好ましくは配列番号2と少なくとも70%同一であり、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下、好ましくは配列番号1の血管新生活性の3%以下、より好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下、最も好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下を保持する、単離されたポリペプチドを提供する。
【0028】
本発明は、5箇所までの保存的アミノ酸変化、好ましくは4箇所までの保存的アミノ酸変化、より好ましくは3箇所までの保存的アミノ酸変化;より好ましくは2箇所までの保存的アミノ酸変化、より好ましくは単一の保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下、好ましくは配列番号1の血管新生活性の3%以下、より好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下、最も好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下を保持する、治療上有効量の、任意の1つ以上の配列番号2の単離されたポリペプチドの投与を含む、動物における腫瘍の治療方法を提供する。
【0029】
本発明は、5箇所までの非保存的アミノ酸変化、好ましくは4箇所までの非保存的アミノ酸変化、より好ましくは3箇所までの非保存的アミノ酸変化;より好ましくは2箇所までの非保存的アミノ酸変化、より好ましくは単一の非保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下、好ましくは配列番号1の血管新生活性の3%以下、より好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下、最も好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下を保持する、治療上有効量の、任意の1つ以上の配列番号2の単離されたポリペプチドの投与を含む、動物における腫瘍の治療方法を提供する。
【0030】
本発明は、5箇所までの保存的アミノ酸変化、好ましくは4箇所までの保存的アミノ酸変化、より好ましくは3箇所までの保存的アミノ酸変化;より好ましくは2箇所までの保存的アミノ酸変化、より好ましくは単一の保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下、好ましくは配列番号1の血管新生活性の3%以下、より好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下、最も好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下を保持する、治療上有効量の、任意の1つ以上の配列番号2の単離されたポリペプチドの投与及び非SPARC治療を含む、動物における腫瘍の増感方法を提供する。
【0031】
本発明は、5箇所までの非保存的アミノ酸変化、好ましくは4箇所までの非保存的アミノ酸変化、より好ましくは3箇所までの非保存的アミノ酸変化;より好ましくは2箇所までの非保存的アミノ酸変化、より好ましくは単一の非保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下、好ましくは配列番号1の血管新生活性の3%以下、より好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下、最も好ましくは配列番号1の血管新生活性の1%以下を保持する、治療上有効量の、任意の1つ以上の配列番号2の単離されたポリペプチドの投与及び非SPARC治療を含む、動物における腫瘍の増感方法を提供する。
【0032】
本発明は、治療上有効量の、任意の1つ以上の配列番号2の単離されたポリペプチド又は本明細書中に記載されるその変異体を用いる、腫瘍若しくは癌以外の増殖性疾患の治療又は増感も提供する。治療に適した増殖性疾患は、肥厚性瘢痕及びケロイド、増殖性糖尿病性網膜症、関節リウマチ、動静脈奇形、動脈硬化性プラーク、創傷治癒の遅れ、血友病関節、癒合不全骨折、オスラー−ウィーバー症候群、乾癬、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ、月経過多、血管癒着並びに再狭窄。
【0033】
本発明は、動物における腫瘍の治療又は増感方法を提供し、ここで腫瘍は、口腔腫瘍、咽頭腫瘍、消化器系腫瘍、呼吸器系腫瘍、骨腫瘍、軟骨性腫瘍、骨転移、肉腫、皮膚腫瘍、黒色腫、乳房腫瘍、生殖器系腫瘍、尿路腫瘍、眼窩腫瘍、脳及び中枢神経系の腫瘍、グリオーマ、内分泌系腫瘍、甲状腺腫瘍、食道腫瘍、胃腫瘍、小腸腫瘍、結腸腫瘍、直腸腫瘍、肛門腫瘍、肝臓腫瘍、胆嚢腫瘍、膵臓腫瘍、喉頭腫瘍、肺の腫瘍、気管支腫瘍、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、子宮頸腫瘍、子宮体部腫瘍、卵巣腫瘍、外陰部腫瘍、膣腫瘍、前立腺腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍、陰茎の腫瘍、膀胱腫瘍、腎臓の腫瘍、腎盂の腫瘍、尿管の腫瘍、頭頸部腫瘍、副甲状腺癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病からなる群より選択される。
【0034】
本発明は、動物における腫瘍の増感方法を提供し、ここで非SPARC治療は、化学療法レジメン、放射線レジメン又は生物学的レジメンの1以上であり、それらとしては、例えば、非SPARC治療が、ドセタキセル、パクリタキセル、タキサン類、白金化合物、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害薬、DNA損傷剤、アポトーシス促進剤、分化誘導剤、血管新生阻害剤、抗生物質、ホルモン、ペプチド、抗体、及びそれらの組み合わせの1以上を含む場合が挙げられる。
【0035】
本発明は、以下を含む、血管形成阻害剤の同定方法を提供する:(a)血管形成モデル系に有効量の配列番号1又はその変異体のいずれか1つの組成物を投与する工程;(b)血管形成モデル系に候補血管形成阻害剤及び請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物を別々に同時に投与する工程;(c)(a)及び(b)において生じた血管形成の量を定量する工程;並びに(d)(a)と比較して(b)において血管形成が減少する場合に、その候補血管形成阻害剤を実際の血管形成阻害剤として同定する工程。任意の適切な血管新生モデル系が本発明に従って使用され得、それらとしては、例えば、血管形成モデル系がHUVEC管形成アッセイである場合が挙げられる。
【0036】
本明細書中で使用される場合、「医薬(medicament)」は、患者又は試験対象へと投与され得る、効果をもたらすことができる組成物である。該効果は化学的、生物学的又は物理的であり得、患者又は試験対象は、ヒト、又は非ヒト動物(げっ歯類又はトランスジェニックマウスなど)であり得る。組成物は、合成的に作られた、天然に見出された、又は部分的に合成起源の、明確な分子組成を有する、有機又は無機の小分子を含み得る。この群の中には、ヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ペプチド核酸又はこれらの実体のうち少なくとも1つを含む複合体が含まれる。医薬は、有効な組成物を、単独で、又は医薬上許容される賦形剤と組み合わせて含み得る。
【0037】
本明細書中で使用される場合、「医薬上許容される賦形剤」としては、生理学的に適合性の、いずれかの及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤、抗菌剤又は抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが挙げられる。賦形剤は、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、髄腔内投与又は経口投与に適合し得る。賦形剤は、無菌注射液又は分散物の即時調製用の、無菌水性溶液又は分散物を含み得る。医薬の調製用のこのような媒体の使用は当該分野において公知である。
【0038】
本明細書中で使用される場合、医薬の「薬理学的有効量」又は「有効量」とは、該薬物が使用される期間を通じて治療レベルの薬物が送達されるような濃度で存在する医薬の量を使用することを言う。これは、送達の様式、投薬の期間、医薬を投与される対象の年齢、体重、全体的健康、性別及び食事に左右され得る。どのような用量が「薬理学的有効量」であるかの決定は、通常の最適化を必要とし、それは当業者の能力の範囲内である。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語「癌」又は「腫瘍」は、正常な成長制御に対する感受性を失った細胞の増殖により生じるか又は特徴づけられる増殖性疾患を言う。本願で用いている用語癌は、腫瘍及び任意の他の増殖性疾患を含む。同じ組織型の癌は、通常同じ組織に由来し、それらの生物学的特性に基づいて様々なサブタイプに分けられ得る。癌の四つの一般的カテゴリーは、癌(carcinoma)(上皮組織由来)、肉腫(結合組織又は中胚葉由来)、白血病(造血組織由来)、及びリンパ腫(リンパ組織由来)である。200種を超える異なる型の癌が知られており、身体のすべての器官及び組織が侵され得る。癌の具体例(癌の定義を限定するものではない)としては、黒色腫、白血病、星状細胞腫、膠芽腫、網膜芽腫、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫及び慢性リンパ性白血病が挙げられ得る。種々の癌によって侵され得る器官及び組織の例としては、膵臓、乳房、甲状腺、卵巣、子宮、精巣、前立腺、甲状腺、下垂体、副腎、腎臓、胃、食道、結腸又は直腸、頭及び首、骨、神経系、皮膚、血液、鼻咽頭組織、肺、尿道、子宮頸部、膣、外分泌腺及び内分泌腺が挙げられる。或いは、癌は、多中心性又は原発不明癌(CUPS)であり得る。
【0040】
本明細書中で使用される場合、「癌性細胞」とは、形質転換事象を受け、その成長がもはや前記形質転換事象前と同程度には調節されない細胞を言う。腫瘍とは、組織又は患者若しくは試験対象に、しばしば固体又は半固体の塊として見出される癌性細胞の集合体を言う。
【0041】
病的低灌流を伴う疾患又は状態が、本発明に従って治療され得、配列番号1を含む1つ以上のポリペプチドの有効量が、ヒトなどの動物に投与される。本発明に従う治療に適した低灌流(hypoprofusion)疾患又は状態としては、以下が挙げられる:心虚血、心筋梗塞、糖尿病、神経障害、ALS、口腔潰瘍、胃潰瘍、再狭窄、脳卒中、TIA、子癇前症など(追加の適切な疾患及び状態について、Carmeliet, Angiogenesis in health and disease, Nature Medicine 9, 653 - 660(2003)(参照により組み込まれる)も参照のこと)。
【0042】
過剰な血管形成を伴う疾患は、特にSPARC依存性の場合に、本発明に従って治療され得、例えば、SPARC血管新生ドメインを標的とする1つ以上の抗体又は他の抗SPARC治療の有効量が、ヒトなどの動物に投与される。本発明に従う治療に適した過剰な血管形成を伴う疾患としては、以下が挙げられる:癌、腫瘍、血管腫、子宮内膜症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、乾癬、関節炎、化膿性肉芽腫、血管免疫芽球性リンパ節症、歯周病など(追加の適切な疾患及び状態について、Carmeliet, Angiogenesis in health and disease, Nature Medicine 9, 653 - 660(2003)(参照により組み込まれる)も参照のこと)。
【0043】
過剰な創傷治癒及び再構築を伴う疾患は、特にSPARC依存性である場合に、本発明に従って治療され得、SPARC血管新生ドメインを標的とする1つ以上の抗体又は他の抗SPARC治療の有効量が、ヒトなどの動物に投与される。本発明に従う治療に適した過剰な創傷治癒及び再構築を伴う疾患としては、以下が挙げられる:ケロイド、肥厚性瘢痕(hyperthrophic scars)、肺線維症など(追加の適切な疾患及び状態について、Carmeliet, Angiogenesis in health and disease, Nature Medicine 9, 653 - 660(2003)(参照により組み込まれる)も参照のこと)。
【0044】
癌又は癌性細胞は、癌細胞を殺すか若しくは腫瘍サイズを減少させ、全体的癌増殖を低下させ(即ち、血管形成の低下を介して)、且つ/又は転移を阻害する、レジメンの能力に基づいて、所定の治療レジメン又は化学療法剤に「感受性」又は「抵抗性」と記載され得る。治療レジメンに抵抗性の癌細胞は、レジメンに応答しないかもしれず、増殖し続けるかもしれない。治療レジメンに感受性の癌細胞は、レジメンに応答して細胞死、腫瘍サイズの減少、全体的増殖(腫瘍負荷)の低下、又は転移の阻害をもたらし得る。例えば、このことは、望ましくは、腫瘍サイズ、全体的増殖/腫瘍負荷、又は転移発生率の、約10%以上、例えば、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、又はそれ以上から、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍以上の低下に現れる。応答のモニタリングは、本明細書に記載され、当業者に公知の非常に多くの病理学的方法、臨床的方法及び画像化方法により達成され得る。
【0045】
化学療法剤又は薬剤の組み合わせに共通の主題は、癌性細胞の死を誘導することである。例えば、DNA付加物(ニトロソウレア、ブスルファン、チオテパ、クロラムブシル、シスプラチン、マイトマイシン、プロカルバジン、又はデカカルバジンなど)は、細胞周期のM期前に複製細胞に損傷DNAを修復させることにより癌性細胞の増殖を遅くし、或いはそれら自身で癌性細胞のアポトーシスを引き起こすのに十分な損傷を引き起こし得る。他の事象(遺伝子の発現若しくは転写、タンパク質の翻訳、又は複製DNAのメチル化など)も、例えば、臨床医が利用可能な化学療法剤の備蓄の違いによって干渉され得、癌性細胞内のアポトーシスプロセスを引き起こすのに役立ち得る。或いは(Alternately)、化学療法剤は、患者又は試験対象の液性又は獲得免疫系(例えば、補体カスケード又はリンパ球攻撃)の態様により癌性細胞が殺されることを可能にし得る。
【0046】
いかなる特定の理論により制約されることも望まないが、化学療法剤又は薬剤の組み合わせに抵抗性の癌性細胞は、その生存のために、例えばABCトランスポーターMDR1 p−糖タンパク質の過剰発現により細胞から薬物を能動的に輸送する(FORD et al 1993. Cytotechnol. 12:171-212)か、又は該薬物に対抗する「カウンター突然変異」を獲得することにより戦うかもしれない。例えば、細胞のDNAへの損傷を検出する能力に影響を及ぼすDNA修復酵素における突然変異は、損傷DNAの複製を可能にし、癌性細胞が複製し続けるのを許容し、腫瘍を肥大させ得る。突然変異が蓄積するにつれて、さもなくば正常細胞周期において作用したであろう他の調節点は機能を停止し、調節されない増殖のサイクルが次々に生じる。化学療法抵抗性の別の態様は、腫瘍細胞のアポトーシス回避を含む。無調節の細胞増殖に対する宿主生物の正常な応答は、アポトーシスを開始させ、無制御の複製へのカスケードが始まる前に欠陥細胞を除去することである。しかしながら、これは、例えば、情報伝達事象の破壊、癌性細胞における接着依存性若しくは接触阻害の喪失、又はしばしば「腫瘍抑制因子」(例えばp53、BRCA1、又はRB)とみなされるアポトーシス促進因子の喪失により、癌性細胞によって破壊される。癌治療におけるこのアポトーシスへの感受性の重要性は、それまで薬物のみによって治癒した比較的少数の腫瘍についての化学療法の選択性が、大部分はアポトーシスを受けることに対するそれらの易感受性に依存することを示す最近の証拠により支持される(Johnstone et al., 2002. Cell. 108(2):153-64)。
【0047】
本明細書中で使用される場合、「治療レジメン」又は「治療(therapy)」とは、癌性細胞に有害な少なくとも1つの薬剤の投与をいう。本発明に従う使用に適した治療レジメンとしては、「化学療法レジメン」、「放射線療法レジメン」、「代替療法レジメン」及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0048】
本明細書中で使用される場合、「化学療法レジメン」又は「化学療法」とは、癌性細胞を破壊する有害な少なくとも1つの化学療法剤の投与をいう。臨床医に利用可能なそのような化学療法剤は無数にある。化学療法剤は、対象に単回ボーラス用量で投与されるか、又は長い時間をかけてより小用量で投与され得る。1つの化学療法剤が使用されてもよく(単剤療法)、又は2以上の薬剤が組み合わせて使用されてもよい(併用療法)。化学療法は、ある種の癌を治療するために、単独で使用され得る。或いは、化学療法は、他の種類の治療、例えば本明細書に記載の放射線療法又は代替療法(例えば免疫療法)と組み合わせて使用され得る。また、化学療法増感剤は、化学療法剤との併用療法として投与され得る。
【0049】
本明細書中で使用される場合、「化学療法剤」とは、癌の治療に使用され得る医薬をいい、一般的には、癌性細胞を直接殺す能力を有する。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然生成物、ホルモン及びアンタゴニスト、及び種々の薬剤が挙げられる。別名の例は括弧内に示される。アルキル化剤の例としては、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L−サルコリシン)、及びクロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード;ヘキサメチルメラミン及びチオテパなどのエチレンイミン及びメチルメラミン;ブスルファンなどのスルホン酸アルキル;カルムスチン(BCNU)、セムスチン(メチル−CCNU)、ロムスチン(CCNU)及びストレプトゾシン(ストレプトゾトシン)などのニトロソウレア;リン酸エストラムスチンなどのDNA合成アンタゴニスト;並びにデカルバジン(DTIC、ジメチル−トリアゼノイミダゾールカルボキサミド)及びテモゾロミドなどのトリアジンが挙げられる。代謝拮抗剤の例としては、メトトレキセート(アメトプテリン)などの葉酸アナログ;フルオロウラシン(fluorouracin)(5−フルオロウラシル、5−FU、5FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン、FUdR)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、及びゲムシタビンなどのピリミジンアナログ;メルカプトプリン(6−メルカプトプリン、6−MP)、チオグアニン(6−チオグアニン、TG)、及びペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン、デオキシコホルマイシン)、クラドリビン及びフルダラビンなどのプリンアナログ;並びにアムサクリンなどのトポイソメラーゼ阻害剤が挙げられる。天然生成物の例としては、ビンブラスチン(VLB)及びビンクリスチンなどのビンカアルカロイド;パクリタキセル及びドセタキセル(タキソテール)などのタキサン;エトポシド及びテニポシドなどのエピポドフィロトキシン;トポテカン及びイリノテカンなどのカンプトテシン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン、ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン(マイトマイシンC)、イダルビシン、エピルビシンなどの抗生物質;L−アスパラギナーゼなどの酵素;並びにインターフェロンα及びインターロイキン2などの生物学的反応修飾物質が挙げられる。ホルモン及びアンタゴニストの例としては、ブセレリンなどの黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト;プレドニゾンなどのアドレノコルチコステロイド並びに関連調製物;カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン及び酢酸メゲストロールなどのプロゲスチン;ジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオールなどのエストロゲン並びに関連調製物;タモキシフェン及びアナストロゾールなどのエストロゲンアンタゴニスト;プロピオン酸テストステロン及びフルオキシメステロンなどのアンドロゲン並びに関連調製物;フルタミド及びビカルタミドなどのアンドロゲンアンタゴニスト;並びにロイプロリドなどのゴナドトロピン放出ホルモンアナログが挙げられる。種々の薬剤の例としては、サリドマイド;シスプラチン(cis−DDP)、オキサリプラチン及びカルボプラチンなどのプラチナ配位錯体;ミトキサントロンなどのアントラセンジオン;ヒドロキシウレアなどの置換ウレア;プロカルバジン(N−メチルヒドラジン、MIH)などのメチルヒドラジン誘導体;ミトタン(o,p’−DDD)及びアミノグルテチミドなどの副腎皮質抑制剤;ベキサロテンなどのRXRアゴニスト;並びにイマチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤が挙げられる。これら及び追加の化学療法剤の例の別名及び商品名、並びに投薬及び投与レジメンを含むそれらの使用方法は当業者に公知であり、当業者に公知の任意の適切な参考文献中に見出され得る。特に、本発明に従う使用に適した化学療法剤としては、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書中で使用される場合、用語「放射線療法レジメン」又は「放射線療法」とは、癌性細胞を殺すための放射線の投与をいう。放射線は、細胞内の種々の分子と相互作用するが、細胞死をもたらす主要な標的は、デオキシリボ核酸(DNA)である。しかしながら、放射線療法は、しばしば細胞膜及び核膜、並びに他のオルガネラにも損傷をもたらす。DNA損傷は、通常、糖−リン酸骨格における一本鎖切断及び二本鎖切断を含む。更に、細胞機能を破壊し得る、DNA及びタンパク質の架橋があり得る。放射線の種類に応じて、DNA損傷のメカニズムは、生物学的効果比と同様に変化し得る。例えば、重粒子(即ち、プロトン、中性子)は、DNAを直接損傷し、より大きな生物学的効果比を有する。電磁放射線は、主として細胞水のイオン化により生成される短寿命のヒドロキシルフリーラジカルを介して作用する、間接イオン化をもたらす。放射線の臨床応用は、外照射(外部供給源からの)及び密封小線源療法(患者体内に移植又は挿入した放射線源を使用する)からなる。外照射は、X線及び/又はガンマ線からなるのに対し、密封小線源療法は、崩壊してガンマ線とともにアルファ粒子又はベータ粒子を放射する放射性核種を用いる。
【0051】
放射線療法は更に、併用化学療法において、放射線増感剤として作用する化学療法剤とともに使用され得る。個々の患者に適した放射線療法の具体的選択は、癌の組織及び病期を考慮して、治療の時点で当業者によって決定され得る。
【0052】
本明細書中で使用される場合、用語「代替治療レジメン」又は「代替療法」は、例えば、生物学的反応修飾物質(ポリペプチド−、炭化水素−、及び脂質−生物学的反応修飾物質を含む)、毒素、レクチン、血管新生阻害剤、レセプターチロシンキナーゼ阻害剤(例えばIressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ)、メシル酸イマチニブ(imatinib mesilate)(Gleevec(登録商標))、プロテオソーム阻害剤(例えばボルテゾミブ、ベルケイド);PTK787(ZK222584)などのVEGFR2阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤(例えばZM447439);哺乳類のラパマイシン標的(mTOR)阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、ラパマイシン阻害剤(例えばシロリムス、ラパミューン.TM.);ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えばチピファルニブ、ザルネストラ(Zarnestra));マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤(例えばBAY 12−9566;硫酸化多糖テコガラン);血管新生阻害剤(例えばアバスチン.TM.(ベバシズマブ);TNP−4などのフマギリンのアナログ;カルボキシアミノトリアゾール;BB−94及びBB−2516;サリドマイド;インターロイキン−12;リノミド;ペプチド断片;並びに血管増殖因子及び血管増殖因子受容体に対する抗体);血小板由来増殖因子受容体阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤、マイトジェン活性化キナーゼ阻害剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ阻害剤、ラウス肉腫ウイルス形質転換癌遺伝子(SRC)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、低分子(small)低酸素誘導因子阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、及びTGF−βシグナル伝達阻害剤を含み得る。更に、免疫療法剤も、代替療法レジメンとみなされる。例としては、ケモカイン、ケモタキシン、サイトカイン、インターロイキン、又は組織因子が挙げられる。適切な免疫療法剤としては、予め形成された抗体を含む血清又はガンマグロブリン;非特異的免疫刺激アジュバント;能動的特異的免疫療法;及び養子免疫療法も挙げられる。また、代替治療は、ポリペプチドなどの他の生物学に基づく化学物質(アンチセンス分子、ポリペプチド、抗体、遺伝子療法ベクターなどを含む)を含み得る。このような代替治療は、単独で若しくは組み合わせて、又は本明細書に記載の他の治療レジメンと組み合わせて、投与され得る。代替療法レジメンに使用されるこれらの薬剤及び代替療法レジメンに使用される薬剤の追加の例の別名及び商品名、並びに投薬及び投与レジメンを含むそれらの使用方法は、当該分野において精通した医師に公知である。更に、併用療法における代替療法レジメン(投薬及び投与レジメンを含む)において使用される化学療法剤及び他の薬剤の使用方法も、当業者に公知である。
【0053】
特に、適切な代替療法レジメンとしては、Her2に対する抗体(例えば、トラスツズマブ)、EGFに対する抗体若しくはEGF受容体に対する抗体、VEGFに対する抗体(例えば、ベバシズマブ)若しくはVEGF受容体に対する抗体、CD20に対する抗体などの、癌細胞の表面上の分子に対する抗体が挙げられるが、これらに限定されない。治療剤は、補体活性化、細胞媒介性細胞傷害、アポトーシスの誘導、細胞死の誘導、及びオプソニン化(opsinization)の1以上を仲介する任意の抗体又は抗体断片を更に含み得る。例えば、このような抗体断片は、完全又は部分Fcドメインであり得る。
【0054】
「抗体」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ダイマー、マルチマー、多重特異性抗体(例えば、二特異性抗体)を意味するが、これらに限定されない。抗体は、ネズミ、ヒト、ヒト化、キメラ、又は他の種由来のものであり得る。抗体は、特異的抗原を認識し、それに結合することができる、免疫系により作り出されるタンパク質である。一般的に標的抗原は、複数の抗体上のCDRにより認識される非常に多くの結合部位(エピトープとも呼ばれる)を有する。異なるエピトープに特異的に結合する各抗体は、異なる構造を有する。従って、1つの抗原は、2以上の対応する抗体を有し得る。
【0055】
抗体としては、全長免疫グロブリン分子、又は全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(即ち、目的の標的の抗原又はその一部を免疫学的に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子)が挙げられる。標的としては、癌細胞、又は自己免疫疾患と関連する自己免疫抗体を産生する他の細胞が挙げられる。
【0056】
本明細書に開示される免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)又はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)のものであり得る。免疫グロブリンは、任意の種由来であり得る。
【0057】
「抗体断片」は、所望の生物活性を維持する全長抗体の部分を含む。「抗体断片」は、一般的には抗原結合領域又はその可変領域である。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片;二特異性抗体;直鎖抗体;Fab発現ライブラリーにより製造される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性(complementary)決定領域)、及び癌細胞抗原、ウイルス抗原又は微生物抗原に免疫学的に特異的に結合する上記のいずれかのエピトープ結合断片、一本鎖抗体分子;並びに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0058】
本明細書で言及されるモノクローナル抗体としては、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定種由来の抗体における対応する配列と同一又は相同であるか或いは特定の抗体クラス又はサブクラスに属するが、鎖(複数可)の残りの部分は、別の種由来の抗体における対応する配列と同一又は相同であるか或いは別の抗体クラス又はサブクラスに属する「キメラ」抗体、並びにそれらが所望の生物活性を示す限り、そのような抗体の断片が挙げられる(米国特許第4,816,567号)。本明細書中の目的のキメラ抗体としては、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル又は類人猿)由来の可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体が挙げられる。
【0059】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」及び「ADCC」とは、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が標的細胞上の結合抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介性反応をいう。ADCCを媒介する一次細胞、NK細胞はFcγRIIIのみを発現するが、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。目的の分子のADCC活性を評価するには、in vitro ADCCアッセイが実施され得る(米国特許第5,003,621号;米国特許第5,821,337号)。このようなアッセイのために有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。或いは、又は加えて、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えばClynes et al PNAS(USA), 95:652-656(1998)に開示されているものなどの動物モデルにおいて、評価され得る。
【0060】
「細胞死を誘導する」抗体は、生存細胞を生存できなくなるようにする抗体である。in vitroでの細胞死は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)又は補体依存性細胞傷害(CDC)により誘導される細胞死と区別するために、補体及び免疫エフェクター細胞の非存在下で決定され得る。従って、細胞死についてのアッセイは、熱不活化血清を使用して(即ち、補体非存在下で)、免疫エフェクター細胞の非存在下で実施され得る。抗体が細胞死を誘導することができるか否かを決定するために、ヨウ化プロピジウム(PI)、トリパンブルー又は7AADの取り込みにより評価される膜の完全性の喪失が、非処理細胞と比較して評価され得る。細胞死誘導抗体は、BT474細胞におけるPI取り込みアッセイにおいてPI取り込みを誘導する抗体である。
【0061】
「アポトーシスを誘導する」抗体は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の拡張、細胞の断片化、及び/又は膜小胞(アポトーシス小体と呼ばれる)の形成により決定されるプログラム細胞死を誘導する抗体である。
【0062】
本明細書中で使用される場合、「化学療法増感剤」又は「増感剤」は、化学療法剤、放射線療法処置又は代替療法レジメンの治療効果を増強し、従ってそのような処置又は薬剤の有効性を改善し得る医薬である。処置への腫瘍又は癌性細胞の感受性又は抵抗性は、動物(ヒト又は齧歯類など)において、例えば、ある期間にわたり、腫瘍サイズ、腫瘍負荷又は転移の発生率を測定することによっても、測定され得る。例えば、ヒトについては約2、約3、約4又は約6カ月であり、マウスについては約2〜4、約3〜5、又は約4〜6週間である。組成物又は治療方法は、治療感受性の増大又は抵抗性の低下が、そのような組成物又は方法の非存在下での治療感受性又は抵抗性と比較して、約10%以上、例えば、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、又はそれ以上から、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍以上である場合、治療的処置への腫瘍又は癌性細胞の応答を増感し得る。治療的処置への感受性又は抵抗性の決定は、当該分野においてありふれたものであり、当業者の技術範囲内である。
【0063】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は、互換的に使用され得、ペプチド結合又は修飾ペプチド結合により共有結合している少なくとも2アミノ酸残基を含む化合物(例えば、半減期の増加など、ペプチドに更なる所望の特性を提供し得るペプチドアイソスター(修飾ペプチド結合))を言う。ペプチドは、少なくとも2アミノ酸を含み得る。本明細書中に記載されるペプチド又はタンパク質を構成するアミノ酸は、天然のプロセス(翻訳後プロセシングなど)、又は当該分野において周知の化学修飾技術のいずれかにより、修飾もされ得る。修飾は、ペプチド中のどこでも(ペプチド骨格、アミノ酸側鎖及びアミノ末端若しくはカルボキシル末端を含む)、起こり得る。同じ種類の修飾が、所定のペプチド中のいくつかの部位において、同じ程度で、又は様々な程度で存在し得ることが理解される。
【0064】
ペプチドへの修飾の例としては、PEG化、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水酸化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、トランスファーRNAを介したタンパク質へのアミノ酸の付加(アルギニン化(arginylation)など)、及びユビキチン化が挙げられ得る。例として、Proteins-Structure and Molecular Properties, 2nd ed., T. E. Creighton, W H. Freeman and Company, New York, 1993及びWold F, Posttranslational Protein Modifications: Perspectives and Prospects, pgs. 1-12 in Posttranslational Covalent Modification of Proteins, B. C. Johnson, ed., Academic Press, New York, 1983;Seifter et al., Analysis for protein modifications and nonprotein cofactors, Meth. Enzymol. (1990) 182: 626-646及びRattan et al. (1992), Protein Synthesis: Posttranslational Modifications and Aging," Ann NY Acad Sci 663: 48-62を参照されたい。
【0065】
実質的に類似の配列は、本明細書中に記載される1以上の保存的置換のみによって参照配列とは異なるアミノ酸配列である。このような配列は、例えば、別の実質的に類似の配列と、機能的に相同であり得る。置換され得る、本発明のペプチド中の個々のアミノ酸の特徴は、当業者によって理解されるであろう。
【0066】
アミノ酸配列の類似性又は同一性は、例えば、BLAST(basic local alignment search tool)2.0アルゴリズムを使用する、BLASTP及びTBLASTNプログラムを使用することにより、計算され得る。アミノ酸配列の類似性又は同一性を計算するための技術は、当業者に周知であり、BLASTアルゴリズムの使用は、ALTSCHUL et al. 1990, J Mol. Biol. 215: 403-410及びALTSCHUL et al. (1997), Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載されている。
【0067】
アラインメントを実施する配列は、非常に多くのデータベースから収集され得る。タンパク質データベースの例としては、SWISS−PROT(タンパク質の機能、そのドメイン構造、翻訳後修飾、変異体に関する、高いレベルのアノテーションも提供する)(Bairoch A. and Apweiler R. (2000) Nucleic Acids Res. 28(1):45-48;Bairoch A. and Apweiler R. (1997) J. Mol. Med. 75(5):312-316;Junker V.L. et al.(1999) Bioinformatics 15(12):1066-1007)、TrEMBL(EMBLヌクレオチド配列エントリーの全ての翻訳物を含む、コンピューターによりアノテーションされたSWISS−PROTの補完)(Bairoch A. and Apweiler R. (2000) Nucleic Acids Res. 28(1):45-48)が挙げられ、nrデータベースは、全て重複のないGenBank CDS翻訳物、更に他のデータベース(PDB、SwissProt、PIR及びPRFなど)からのタンパク質配列を比較する。
【0068】
タンパク質配列のアラインメントは、クエリー配列に類似する配列についてデータベースを検索するための既存のアルゴリズムを使用して行なわれ得る。1つのアラインメント法は、Smith−Watermanアルゴリズム(Smith, T. F. and Waterman, M.S. 1981. Journal of Molecular Biology 147(1):195-197)であり、これはクエリー配列とデータベース配列との間の最適なアラインメントがいかに作成され得るかを決定するのに有用である。このようなアラインメントは、データベース配列と一致させるためにクエリー配列がいかなる変換を受ける必要があるかを決定することにより得られる。変換としては、1つの文字の別の文字への置換、及び一連の文字の挿入若しくは欠失が挙げられる。スコアは、それぞれの文字対文字比較について割り当てられる−正確な一致及びある種の置換については正のスコア、他の置換及び挿入/欠失については負のスコアが割り当てられる。スコアは、統計的に導かれたスコアリングマトリックスから得られる。最高スコアを生じる変換の組み合わせが、クエリー配列とデータベース配列との間のアラインメントを作成するために使用される。Needleman−Wunsch(Needleman, S. B. and Wunsch, C.D. 1970. Journal of Molecular Biology 48(3):443-453)アルゴリズムは、Smith−Watermanアルゴリズムと類似しているが、配列の比較は全体的であり、局所的ではない。全体的比較は、データベース配列全体に対してクエリー配列全体をアラインメントさせる。局所的アラインメントは常に、一致で開始し終了するが、全体的アラインメントは、挿入又は欠失(インデル)で開始又は終了し得る。所定のクエリー配列とデータベース配列については、全体的スコアは、末端のインデルに起因して、局所的スコアより小さいか又は同じであろう。上記アルゴリズムの代替手段として、隠れマルコフモデル(HMM)検索(Eddy, S. R. 1996. Current Opinion in Structural Biology 6(3):361-365)が、タンパク質配列のアラインメントを作成するために、使用され得る。HMMスコアリングは、挿入/欠失前の一致の確率(又はその逆)を重み付けする。また、HMMは、挿入から欠失への移行(及びその逆)、並びに開始及び終了状態のスコアリングを可能にし、検索が全体的に実行されるかそれとも局所的に実行されるかを制御する。
【0069】
1以上の上記アルゴリズムが、タンパク質配列アラインメントを作成するために、アラインメントプログラムにおいて使用され得る。当業者は、種々の異なるアルゴリズムを含む、選択すべき非常に多くの配列アラインメントプログラムを有する。アラインメントプログラムの一例は、BLASTP(Altschul, S.F., et al.(1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402)である。他のアラインメントプログラムは、CLUSTAL W及びPILEUPである。BLASTPの実行からの標準的出力は、更に下記のインデル分析を行うのに十分な情報を含む。
【0070】
アミノ酸は、例えば、極性、非極性、酸性、塩基性、芳香族又は中性として記載され得る。極性アミノ酸は、生物学的又はほぼ中性のpHにおいて、水素結合により水と相互作用し得るアミノ酸である。アミノ酸の極性は、生物学的又はほぼ中性のpHにおける水素結合の程度の指標である。極性アミノ酸の例としては、セリン、プロリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、チロシン及びグルタミン酸が挙げられる。非極性アミノ酸の例としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、及びトリプトファンが挙げられる。酸性アミノ酸は、中性pHにおいて正味の負電荷を有する。酸性アミノ酸の例としては、アスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられる。塩基性アミノ酸は、中性pHにおいて正味の正電荷を有する。塩基性アミノ酸の例として、アルギニン、リジン及びヒスチジンが挙げられる。芳香族アミノ酸は、一般的には非極性であり、疎水性相互作用に参加し得る。芳香族アミノ酸の例としては、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンが挙げられる。チロシンは、芳香族側鎖上のヒドロキシル基を介して水素結合に参加もし得る。中性の脂肪族アミノ酸は、一般的には非極性且つ疎水性である。中性アミノ酸の例としては、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びメチオニンが挙げられる。アミノ酸は、1を超える記述的カテゴリーにより記載され得る。共通の記述的カテゴリーを共有するアミノ酸は、ペプチド中で互いに置換可能であり得る。
【0071】
本発明のペプチド化合物を記載するために使用される命名法は、アミノ基が各アミノ酸残基の左に示され、カルボキシル基が各アミノ酸残基の右に示されるという、通常の慣行に従う。本発明の選択された特定の実施形態を表す配列において、アミノ末端基及びカルボキシ末端基は、具体的には示されないが、特に定めのない限り、それらが生理学的pH値においてとるであろう形態であることが理解されよう。アミノ酸の構造式において、各残基は、一般的に、アミノ酸の慣用名に対応する、1文字又は3文字表示により表され得る。
【0072】
アミノ酸のハイドロパシー指標は、水性環境(負値)又は疎水性環境(正値)を求めるアミノ酸の傾向を示す尺度である(Kyte & Doolittle 1982. J Mol Biol 157:105-132)。標準的アミノ酸のハイドロパシー指標としては、アラニン(1.8)、アルギニン(-4.5)、アスパラギン(-3.5)、アスパラギン酸(-3.5)、システイン(2.5)、グルタミン(-3.5)、グルタミン酸(-3.5)、グリシン(-0.4)、ヒスチジン(-3.2)、イソロイシン(4.5)、ロイシン(3.8)、リジン(-3.9)、メチオニン(1.9)、フェニルアラニン(2.8)、プロリン(-1.6)、セリン(-0.8)、トレオニン(-0.7)、トリプトファン(-0.9)、チロシン(-1.3)、及びバリン(4.2)が挙げられる。類似のハイドロパシー指標を有するアミノ酸は、ペプチド中で互いに置換可能であり得る。
【0073】
本明細書中に記載されるペプチドを構成するアミノ酸は、L−又はD−配置にあると理解されよう。本発明のペプチド及びペプチド模倣体においては、D−アミノ酸がL−アミノ酸を置換可能であり得る。
【0074】
本発明のペプチド内、特にカルボキシ末端又はアミノ末端に含まれるアミノ酸は、メチル化、アミド化、アセチル化、又はそれらの生物活性に悪影響を与えることなくペプチドの循環半減期を変化させ得る他の化学基による置換により修飾され得る。また、ジスルフィド結合は、本発明のペプチド中に存在しても存在しなくてもよい。
【0075】
非標準的アミノ酸は、天然に存在してもよく、遺伝的にコードされていてもいなくてもよい。遺伝的にコードされた非標準的アミノ酸の例としては、セレノシステイン(通常は終止コドンであり得るUGAコドンにおいて、いくつかのタンパク質中に組み込まれることがある)、又はピロリジン(通常は終止コドンであり得るUAGコドンにおいて、いくつかのタンパク質中に組み込まれることがある)が挙げられる。遺伝的にコードされていないいくつかの非標準的アミノ酸は、ペプチド中に既に組み込まれた標準的アミノ酸の修飾から生じてもよく、又は例えば代謝中間体若しくは前駆体であってもよい。非標準的アミノ酸の例としては、4−ヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシリジン、6−N−メチルリジン、γ−カルボキシグルタミン酸、デスモシン、セレノシステイン、オルニチン(omithine)、シトルリン、ランチオニン、1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸、γ−アミノ酪酸、カルニチン、サルコシン、又はN−ホルミルメチオニンが挙げられる。標準的及び非標準的アミノ酸の合成変異体も公知であり、化学的に誘導体化されたアミノ酸、同定若しくは追跡のために標識されたアミノ酸、又はα炭素上に種々の側基を有するアミノ酸が挙げられ得る。このような側基の例は当該分野で公知であり、脂肪族、単芳香族、多環式芳香族、複素環、異核、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボキシルエステル、グアニジン、アミジン、ヒドロキシル、アルコキシ、メルカプト−、アルキルメルカプト−又は他のヘテロ原子−含有側鎖が挙げられ得る。他の合成アミノ酸としては、α−イミノ酸、非α−アミノ酸(β−アミノ酸、des−カルボキシ又はdes−アミノ酸など)が挙げられ得る。アミノ酸の合成変異体は、当該分野で公知の一般的方法を使用して合成されてもよく、又は商業的供給者、例えばRSP Amino Acids LLC(Shirley、Mass.)から購入してもよい。
【0076】
保存的アミノ酸置換によって何が意味されるかをさらに例示するために、グループA〜Fを以下に記載する。以下のグループのあるメンバーの、同じグループの別のメンバーによる置換は、保存的置換であるとみなされる。
【0077】
グループAは、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、システイン、トレオニン、及び以下の側鎖を有する修飾アミノ酸を含む:エチル、イソブチル、--CH2CH2OH、--CH2CH2CH2OH、--CH2CHOHCH3及びCH2SCH3
【0078】
グループBは、グリシン、アラニン、バリン、セリン、システイン、トレオニン、及びエチル側鎖を有する修飾アミノ酸を含む。
【0079】
グループCは、フェニルアラニン、フェニルグリシン、チロシン、トリプトファン、シクロヘキシルメチル、及び置換ベンジル又はフェニル側鎖を有する修飾アミノ残基を含む。
【0080】
グループDは、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸若しくはアスパラギン酸の、置換若しくは非置換の、脂肪族、芳香族若しくはベンジルエステル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、シクロヘキシル、ベンジル、若しくは置換ベンジル)、グルタミン、アスパラギン、CO--NH-アルキル化グルタミン若しくはアスパラギン(例、メチル、エチル、n−プロピル、及びイソ−プロピル)、及び側鎖--(CH23COOHを有する修飾アミノ酸、それらのエステル(置換若しくは非置換の、脂肪族、芳香族、若しくはベンジルエステル)、それらのアミド、及びそれらの置換若しくは非置換のN−アルキル化アミドを含む。
【0081】
グループEは、ヒスチジン、リジン、アルギニン、N−ニトロアルギニン、p−シクロアルギニン、g−ヒドロキシアルギニン、N−アミジノシトルリン、2−アミノグアニジノブタン酸、リジンの同族体、アルギニンの同族体、及びオルニチン(omithine)を含む。
【0082】
グループFは、セリン、トレオニン、システイン、及び--OH若しくは--SHで置換されたC1-C5直鎖若しくは分岐鎖アルキル側鎖を有する修飾アミノ酸を含む。
【0083】
グループA〜Fは例示であり、本発明を限定することは意図されない。
【0084】
ペプチド模倣体は、親ペプチドの生物活性を模倣する非ペプチド構造要素を含む化合物である。ペプチド模倣体は、古典的なペプチドの特徴(酵素的に切断できるペプチド結合など)を持たなくてもよい。親ペプチドは、目的のタンパク質上の結合配列又はリン酸化部位として最初に同定されるか、又は天然に存在するペプチド(例えばペプチドホルモン)であり得る。ペプチド模倣体を同定するためのアッセイは、ライブラリー(ペプチド模倣体ライブラリーなど)をスクリーニングする場合には、比較の目的で陽性対照として親ペプチドを含んでもよい。ペプチド模倣体ライブラリーは、親ペプチドの生物活性と同様の生物活性を有し得る化合物のライブラリーである。
【0085】
本明細書中で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」としては、RNA、cDNA、ゲノムDNA、合成型、及び混合ポリマー(センス鎖及びアンチセンス鎖両方)が挙げられ、当業者によって容易に理解されるように、化学的若しくは生化学的に修飾され得るか、又は非天然若しくは誘導体化ヌクレオチド塩基を含み得る。このような修飾としては、例えば、標識、メチル化、類似体による1以上の天然に存在するヌクレオチドの置換、ヌクレオチド間修飾(非荷電結合(例、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)、荷電結合(例、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、ペンダント部分(例、ペプチド)、及び修飾結合(例、αアノマーポリヌクレオチドなど))が挙げられる。水素結合及び他の化学的相互作用を介して所定の配列と結合する能力においてポリヌクレオチドを模倣する合成分子も挙げられる。
【0086】
本明細書中で使用される「ペプチド核酸」(PNA)とは、核酸の糖リン酸骨格がN−(2−アミノエチル)−グリシン骨格に変換されている修飾核酸をいう。DNA/RNAの糖リン酸骨格は、中性条件下で負に帯電し、相補鎖間に静電反発力をもたらすが、PNAの骨格構造は本質的に電荷を有さない。従って、静電反発力はない。結果的に、PNAは通常の核酸に比べてより高い二本鎖形成能力を有し、高い塩基配列認識能力を有する。更に、PNAは一般的に核酸よりも強固である。PNAは、アレイ並びにオリゴヌクレオチドについて上記及び本明細書中に記載の他のハイブリダイゼーション又は他の反応においても使用され得る。
【0087】
本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」とは、外因性又は内在性ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するために使用されるポリヌクレオチド化合物をいう。ベクターは、1以上のポリペプチド分子をコードしてもよいヌクレオチド配列を含む。天然状態の、又は組換え操作を受けた、プラスミド、コスミド、ウイルス及びバクテリオファージは、少なくとも1の所望の単離されたポリヌクレオチド分子を含む組換えベクターを提供するために一般に使用されるベクターの非限定的例である。
【0088】
本明細書中で使用される場合、「腫瘍抑制因子」は、細胞の調節されない増殖を抑える正常な生物学的役割を有する遺伝子又は遺伝子産物である。腫瘍抑制因子の機能が失われると、調節されない細胞増殖が生じる。腫瘍抑制因子に対する機能的対応物は、癌遺伝子である−−正常な細胞増殖を促進する遺伝子は、「癌原遺伝子」として公知かもしれない。このような遺伝子又は遺伝子産物を活性化する突然変異は、それを「癌遺伝子」(細胞増殖活性を維持するが無調節な様式である)へと更に変換する。腫瘍抑制因子遺伝子及び遺伝子産物の例は、文献において周知であり、PTC、BRCA1、BRCA2、p16、APC、RB、WT1、EXT1、p53、NF1、TSC2、NF2、VHL又はSPARCが挙げられ得る。
【0089】
本発明は更に、ポリペプチド又は本明細書中に記載されたポリペプチドの発現のための、制御エレメント及び、該制御エレメント(例、適切なプロモーター)に作動可能に連結された本明細書中に記載された核酸分子を含む、核酸構築物を提供する。タンパク質発現はRNA転写(それはひいてはDNAシグナルにより調節される)のレベルに左右される。同様に、mRNAの翻訳は、最低限でも、AUG開始コドン(これは通常、メッセージの5’端の約10から約100ヌクレオチドの範囲内に位置する)を必要とする。AUG開始コドンに隣接する配列は、真核生物リボソームによるその認識に影響することが示されており、完全なコザックコンセンサス配列と一致すると最適な翻訳をもたらす(例えば、Kozak, J. Molec. Biol. 196: 947-950 (1987)を参照のこと)。また、細胞における外因性核酸の発現の成功は、得られるタンパク質の翻訳後修飾を必要とし得る。従って、本発明は、ポリペプチドをコードするプラスミドを提供し、ここでベクターは、例えばpCDNA3.1又はその誘導体である。
【0090】
本明細書中に記載された核酸分子は、適切なプロモーターに作動可能に連結されたコード領域を含むことが好ましく、このプロモーターは真核細胞において機能的であることが好ましい。RSVプロモーター及びアデノウイルス主要後期プロモーターなど(これらに限定されない)のウイルスプロモーターが、本発明において使用され得る。適切な非ウイルスプロモーターとしては、ホスホグリセロキナーゼ(PGK)プロモーター及び伸長因子1αプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。非ウイルスプロモーターは、望ましくはヒトプロモーターである。追加の適切な遺伝因子(これらの多くは当該分野において公知である)もまた、本発明の核酸及び構築物にライゲーション、結合、又は挿入され得、追加の機能、発現レベル、又は発現パターンを提供し得る。SPARCファミリー遺伝子の発現のためのネイティブプロモーターもまた使用され得るが、その場合、その染色体を実質的に変化させるプロセスによって改変されない限り、それらを天然にコードする染色体中ではそれらは使用されないことが好ましい。このような実質的に変化した染色体としては、レトロウイルスベクター又は類似のプロセスによってトランスフェクト及び変更された染色体が挙げられ得る。或いは、このような実質的に変化した染色体は、HAC、YAC、又はBACなどの人工染色体を含み得る。
【0091】
また、本明細書中に記載される核酸分子は、転写を促進するためにエンハンサーに作動可能に連結され得る。エンハンサーは、隣接遺伝子の転写を刺激する、DNAのシス作用性因子である。多数の種由来の多数の異なる細胞型において、連結された遺伝子に対して高レベルの転写を付与するエンハンサーの例としては、SV40及びRSV−LTR由来のエンハンサーが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエンハンサーは、細胞型特異的な効果を有する他のエンハンサーと組み合わせられ得、又は任意のエンハンサーが、単独で使用され得る。
【0092】
ポリペプチド産生を最適化するために、本発明の核酸分子は、この核酸分子のコード領域の後にポリアデニル化部位を更に含み得る。また、好ましくは全ての適切な転写シグナル(及び必要に応じて翻訳シグナル)が、外因性核酸が導入される細胞中で適切に発現するように正確に配置されよう。所望の場合、外因性核酸はまた、インフレームの全長転写物を維持しながらmRNA産生を促進するために、スプライス部位(即ち、スプライスアクセプター部位及びスプライスドナー部位)を組み込み得る。更に、本発明の核酸分子は、プロセシング、分泌、細胞内局在などのために適切な配列を更に含み得る。
【0093】
核酸分子は、任意の適切なベクターに挿入され得る。適切なベクターとしてはウイルスベクターが挙げられるが、これに限定されない。適切なウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、アルファウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、及び鶏痘ウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。ベクターは好ましくは、真核細胞(例えば、CHO−K1細胞)を形質転換する、ネイティブの又は操作された能力を有する。また、本発明に関して有用なベクターは、プラスミド若しくはエピソームなどの「裸の」核酸ベクター(即ち、ベクターを封入するタンパク質、糖、及び/又は脂質をほとんど又は全く有さないベクター)であり得、又はベクターは、他の分子と複合体化され得る。本発明の核酸と適切に組み合わせられ得る他の分子としては、ウイルス被膜、陽イオン性脂質、リポソーム、ポリアミン、金粒子、及び細胞分子を標的化するリガンド、受容体、又は抗体などの標的化部分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
本発明に従うSPARCポリペプチドは、組換え宿主細胞から発現され、精製され得る。組換え宿主細胞は原核又は真核であり得、細菌(E.coliなど)、真菌細胞(酵母など)、昆虫細胞(ショウジョウバエ及びカイコ由来の細胞株を含むが、これらに限定されない)、並びに哺乳動物細胞及び細胞株を含むが、これらに限定されない。in vitroであれin vivoであれ、細胞(例、ヒト細胞)内で本発明に従うSPARCポリペプチドを発現させるときには、Q3 SPARCをコードするこのようなポリヌクレオチドのために選択されるコドンは、所定の細胞型(即ち種)について最適化され得る。コドン最適化のための多数の技術が当該分野で公知である(例えば、Jayaraj et al, Nucleic Acids Res. 33(9):3011-6 (2005); Fuglsang et al., Protein Expr. Purif. 31(2):247-9 (2003); Wu et al., “The Synthetic Gene Designer: a Flexible Web Platform to Explore Sequence Space of Synthetic Genes for Heterologous Expression,” csbw, 2005 IEEE Computational Systems Bioinformatics Conference -- Workshops (CSBW'05), pp. 258-259 (2005)を参照のこと)。
【0095】
特定の実施形態において、SPARCポリペプチドを発現及び精製する場合、タンパク質の可溶性を改善するための技術が、封入体(不溶性画分である)の形成を防止するために用いられ、従って、大量のポリペプチドが得られる。封入体中に蓄積されたSPARCは、多くの場合、その生理学的活性を保持しない不活性型SPARCである。
【0096】
精製されたSPARCポリペプチドの溶解性は、当該分野において公知の方法によって改善され得る。例えば、溶解性は、全長ポリペプチドではなく機能的フラグメントを発現させることによっても改善され得る。また、(例えばE.coli中で)発現されたタンパク質の溶解性を増大させるために、Georgiou & Valax(Current Opinion Biotechnol. 7:190-197 (1996))に記載されるように、増殖温度を下げ、より弱いプロモーターを使用し、より低いコピー数のプラスミドを使用し、誘導因子濃度を下げ、増殖培地を変えることによって、タンパク質合成の速度を低下させることができる。これは、タンパク質合成の速度を低下させ、通常、より溶解性の高いタンパク質が得られる。適切な折り畳み又はタンパク質の安定性に必須な補欠分子族(prostethic group)若しくは補因子を添加するか、又は増殖の間の培地中のpHの変動を制御するためのバッファーを添加するか、又はラクトース(これは、ほとんどの富栄養培地(LB、2xYTなど)中に存在する)によるlacプロモーターの誘導を抑制するために1%グルコースを添加することもできる。ポリオール(例、ソルビトール)及びスクロースの添加によって引き起こされる浸透圧の上昇は、細胞における浸透圧保護剤の蓄積につながり、これがネイティブのタンパク質の構造を安定化するので、これらも培地に添加され得る。エタノール、低分子量チオール及びジスルフィド、並びにNaClが添加され得る。また、シャペロン及び/又はフォールダーゼが、所望のポリペプチドと共に同時発現され得る。分子シャペロンは、折り畳み中間体と一過的に相互作用することによって、適切な異性化及び細胞標的化を促進する。E.coliのシャペロン系としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:GroES−GroEL、DnaK−DnaJ−GrpE、CIpB。
【0097】
フォールダーゼは、折り畳み経路に沿った律速段階を加速する。3種類のフォールダーゼが重要な役割を果たす:ペプチジルプロリルシス/トランスイソメラーゼ(PPI)、ジスルフィドオキシドレダクターゼ(DsbA)及びジスルフィドイソメラーゼ(DsbC)、タンパク質のシステインの酸化及びジスルフィド結合の異性化の両方を触媒する真核タンパク質であるタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)。1つ以上のこれらのタンパク質と標的タンパク質との同時発現は、より高いレベルの可溶性標的タンパク質をもたらし得る。
【0098】
SPARCポリペプチドは、その溶解性及び産生を改善するために、融合タンパク質として産生され得る。この融合タンパク質は、インフレームで一緒に融合したSPARCポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む。第2のポリペプチドは、それが融合するポリペプチドの溶解性を改善するための、当該分野で公知の融合パートナーであり得る(例えば、NusA、バクテリオフェリチン(BFR)、GrpE、チオレドキシン(TRX)及びグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST))。Novagen Inc.(Madison, Wis.)は、NusA−標的融合物の形成を可能にするpET43.1ベクターシリーズを提供する。融合パートナーとして使用される場合、DsbA及びDsbCも、発現レベルへの正の影響を示しており、従って、より高い可溶性を達成するためにSPARCポリペプチドと融合させるために使用され得る。
【0099】
一実施形態において、SPARCポリペプチドは、米国特許第6,387,664号(その全体が参照により組み込まれる)に記載されるような、Q3 SPARC欠失変異体ポリペプチド及び融合パートナーのチオレドキシンを含む融合ポリペプチドとして産生される。チオレドキシン−SPARC融合物は、生理学的活性を失うことなく、製剤化の容易な(easy-to-formulate)可溶性タンパク質としてE.coli中で大量に産生され得る。米国特許第6,387,664号は、チオレドキシンのC末端に融合されたSPARCを有する融合SPARCタンパク質を提供するが、本発明の目的のためには、SPARCポリペプチドは、その増感機能が保持される限り、第2のポリペプチドのN末端又はC末端のいずれにも融合され得ることが理解される。
【0100】
本発明のポリペプチドは、例えば、任意の適切なin vitro翻訳系(例えば、TNT(登録商標)Quick共役転写/翻訳系(Promega、Madison、WI)、ウサギ網状赤血球ライセート、コムギ胚芽抽出物など)を使用して、in vitroでも合成され得る。或いは、本発明に従って作製されるポリペプチドは、任意の適切な固相又は液相プロトコール(例えば、リソグラフィーによる、Fmoc固相及びt−Boc固相ペプチド合成アプローチが挙げられる)により化学的に合成され得る。
【0101】
単離又は精製されたとは、存在するポリペプチド又はポリヌクレオチドの少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%を構成することを意味する。本発明に従うポリヌクレオチドは、任意の適切な手段により精製され得る。本発明のポリペプチドは、当業者に公知の任意の適切な方法(例えば、Sage: Purification of SPARC/osteonectin、Curr. Protocols Cell Biol. 2003 Feb;Chapter 10: Unit 10.11(その全体が参照により組み込まれる)に記載された方法が挙げられる)により精製され得る。或いは、任意の適切な抗体、エピトープタグ(例えば、myc、gfp、V5、FITC、HA、S−タグ、T7などが挙げられる)を使用するアフィニティークロマトグラフィー若しくは沈降、又は他の適切なアフィニティーシステムが使用され得、例えば、ビオチン/アビジン、ポリヒスチジン/ニッケル、GSTなどが挙げられる。
【0102】
上記の核酸及びタンパク質に関して、本明細書中で使用するための核酸、ペプチド又はタンパク質の「対応」の一尺度は、配列間の相対的「同一性」である。ペプチド若しくはタンパク質の場合、又はコードされるペプチド若しくはタンパク質に従って規定される核酸の場合、対応としては、少なくとも約50%の同一性、又は少なくとも約70%の同一性、又は少なくとも約90%の同一性、或いは更には約95%の同一性を有するペプチドが挙げられ、特定のペプチド又はタンパク質に対し少なくとも約98〜99%の同一性でもあり得る。核酸の間の同一性の好ましい尺度は、ペプチドについて上に明記されたのと同じであり、少なくとも約90%の同一性、又は少なくとも約98〜99%の同一性が最も好ましい。
【0103】
本明細書中で使用される用語「同一性」とは、2つのペプチド間、又は2つの核酸分子間の配列の同一性の尺度を言う。同一性は、各配列(比較の目的で直線であり得る)における位置を比較することにより、決定され得る。2つのアミノ酸配列又は核酸配列は、それらが少なくとも約75%の配列同一性、好ましくは少なくとも約90%の配列同一性及びなおより好ましくは少なくとも95%の配列同一性及び最も好ましくは少なくとも約98〜99%の同一性を共有する場合、実質的に同一であるとみなされる。
【0104】
配列同一性は、現在使用されており、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410に最初に記載された、BLASTアルゴリズムにより決定され得る。BLASTアルゴリズムは、公開された初期設定で使用され得る。比較される配列における1つの位置が同じ塩基又はアミノ酸により占められる場合、これらの分子はその位置において同一性を共有したとみなされる。配列間の同一性の程度は、配列により共有されるマッチしている位置の数の関数である。
【0105】
核酸配列の同一性の別の尺度は、低ストリンジェンシー条件下で、好ましくは高ストリンジェンシー条件下で、2つの配列が互いにハイブリダイズするか否かを決定することである。このような配列が高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする場合、それらは実質的に同一である。低ストリンジェンシー条件下でのフィルターに結合した配列へのハイブリダイゼーションは、例えば、65℃で0.5 M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1 mM EDTA中で実施され得、そして42℃で0.2 x SSC/0.1 SDS中で洗浄する(Ausubel et al. (eds.) 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, Green Publishing Associates, Inc., and John Wiley & sons, Inc., New York, at p. 2.10.3を参照のこと)。或いは、高ストリンジェンシー条件下でのフィルターに結合した配列へのハイブリダイゼーションは、例えば、65℃で0.5 M NaHPO4、7%(SDS)、1 mM EDTA中で実施され得、そして68℃で0.2 x SSC/0.1% SDS中で洗浄する(上記Ausubel et al. (eds.) 1989を参照のこと)。ハイブリダイゼーション条件は、目的の配列に応じて公知の方法に従って変更され得る(Tijssen, 1993, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2 "Overview of Principles in Hybridization and the Strategy of Nucleic Acid Probe Assays", Elsevier, N.Y.を参照のこと)。一般的には、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度及びpHにおける特定の配列についての融点(thermal melting point)よりも約5℃低くなるように選択される。
【0106】
配列内の変異の位置の数字表示が特定の配列に対するものであることは、当業者により理解されるであろう。また、配列が番号を付けられた方法及び選択された配列に応じて、同じ位置に、異なる数字表示が割り当てられ得る。更に、挿入又は欠失などの配列バリエーションは、変異部位及びその周囲における特定のヌクレオチドの相対的位置、及びその結果数字表示を変え得る。
【0107】
遺伝子治療は、疾患と闘うために生細胞の遺伝物質を修飾することを含む医療介入である。遺伝子治療は、多くの異なる種類の癌及び他の疾患のために臨床試験(ヒトを対象とする調査研究)において研究されている。従って、本発明は、「遺伝子治療」における使用に適した、SPARCポリペプチドをコードする単離された核酸分子を更に提供する(例えば、Patil et al., AAPS J. 7(1):E61-77 (2005)を参照のこと)。
【0108】
一般に、遺伝子は、「ベクター」(本明細書中に開示されるものなど)を使用して細胞へと送達される。遺伝子治療において使用される最も一般的な種類のベクターは、ウイルスである。遺伝子治療においてベクターとして使用されるウイルスは、遺伝的に不能化される;それらは、自らを複製することができない。ほとんどの遺伝子治療臨床試験は、所望の遺伝子を送達するために、マウスレトロウイルスに依存する。ベクターとして使用される他のウイルスとしては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ポックスウイルス、及びヘルペスウイルスが挙げられる。適切なウイルス遺伝子治療ベクター並びにin vivo及びex vivoのそれらの投与の様式は、当該分野において公知である。
【0109】
遺伝子治療は、ex vivo及びin vivoの両方で実施され得る。典型的には、ex vivo遺伝子治療臨床試験では、患者の血液又は骨髄由来の細胞を取り出して、実験室で増殖させる。それらの細胞は、所望遺伝子を保持するウイルスに曝露される。ウイルスは細胞に入り込み、所望遺伝子は細胞のDNAの一部となる。細胞は実験室で増殖し、次いで静脈への注射により患者へと戻される。in vivo遺伝子治療を用いる場合、ベクター(例、ウイルス又はリポソームなど)が、所望遺伝子を患者の体内の細胞に送達するために使用され得る。
【0110】
当業者は、遺伝子コードの普遍性により、任意の所定のアミノ酸配列の知識が、前記アミノ酸配列のポリペプチドをコードし得る有限数の特定のポリヌクレオチド配列を、当業者に容易に想到させることを認識するであろう。更に、当業者は、当該分野で周知の「コドン最適化」のプロセスを介して、任意の所定の種における発現のための前記アミノ酸配列のポリペプチドをコードする最適なポリヌクレオチド配列を容易に決定することができる(例えば、Villalobos et al.: Gene Designer: a synthetic biology tool for constructing artificial DNA segments. BMC Bioinformatics. 2006 Jun. 6;7:285参照)。
【0111】
本明細書中で使用される場合、「担体」とは、医薬品有効成分(Active Pharmaceutical Ingredient)(API)を、適切なin vitro又はin vivo作用部位へと送達するためのビヒクルとして適した任意の物質を言う。従って、担体は、APIを含む治療試薬又は実験試薬の製剤化のための賦形剤として機能し得る。好ましい担体は、T細胞と相互作用することが可能な形態でAPIを保持することが可能である。このような担体の例としては、水、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、血清含有溶液、ハンクス液及び他の水性の生理学的に平衡な溶液又は細胞培養培地が挙げられるが、これらに限定されない。水性担体は、レシピエントの生理学的状態に近づけるのに必要な、例えば化学的安定性及び等張性の増強に必要な、適切な補助物質も含み得る。適切な補助物質としては、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、並びに、リン酸バッファー、Trisバッファー、及び重炭酸塩バッファーを調製するために使用される他の物質が挙げられる。
【0112】
本明細書中で使用される場合、「抗癌ワクチン」とは、腫瘍関連抗原又はエピトープ(それに対して免疫応答が起こり得る)を含む組成物を意味する。
【0113】
別の実施形態において、本発明は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するペプチド抗原;或いは配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含み、且つ免疫刺激活性も有するアミノ酸配列を有するペプチド抗原を含む、抗癌ワクチンを提供する。別の態様において、本発明は、配列番号1の上記ペプチドの一部を含み、且つ免疫刺激活性を有する、ペプチド抗原を提供する。更に別の態様において、本発明は、配列番号1のペプチド抗原の上記部分に対して1個又は数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含み、且つ免疫刺激活性も有するアミノ酸配列を有する、ペプチド抗原を提供する。上記のペプチド抗原は、好ましくは、癌抗原タンパク質を認識する細胞傷害性Tリンパ球を活性化し得る。
【0114】
別の態様において、本発明は、上記ペプチド抗原又はそれらの混合物を使用するin vitro刺激により誘導される、ヘルパーT細胞、細胞傷害性Tリンパ球、若しくはこれらの細胞を含む免疫細胞集団を提供する。
【0115】
別の態様において、本発明は、上記ペプチド抗原又はそれらの混合物、及び免疫賦活剤を使用するin vitro刺激により誘導される、ヘルパーT細胞、細胞傷害性Tリンパ球、若しくはこれらの細胞を含む免疫細胞集団を提供する。免疫賦活剤は、好ましくは細胞成長因子又はサイトカインである。
【0116】
ワクチンは、好ましくは、アジュバント(フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ミョウバン、カルメット−ゲラン桿菌、接着分子のアゴニスト及び修飾因子、破傷風トキソイド、イミキモド(imiquinod)、モンタニド(montanide)、MPL、並びにQS21など)を更に含み得る。
【0117】
別の態様において、本発明は、上記ヘルパーT細胞、細胞傷害性Tリンパ球、又はこれらの細胞を含む免疫細胞集団を体内に導入する工程を含む、腫瘍を抑制する方法を提供する。上記方法は、好ましくは癌を予防及び/又は治療するために使用される。
【0118】
別の態様において、本発明は、上記ペプチド抗原又はそれらの混合物を含む、本発明のヘルパーT細胞若しくは細胞傷害性Tリンパ球又はこれらの細胞を含む免疫細胞集団を製造するために使用される細胞培養液を提供する。
【0119】
別の態様において、本発明は、本発明のヘルパーT細胞若しくは細胞傷害性Tリンパ球又はこれらの細胞を含む免疫細胞集団を製造するための細胞培養キットを提供し、これは上記細胞培養液及び細胞培養器を含む。
【0120】
別の態様において、本発明は、上記ペプチド抗原をコードするDNAを提供する。更に別の態様において、本発明は、癌ワクチン(本発明の上記DNAを含む)、又は上記DNAを含む組換えウイルス若しくは組換え細菌を提供する。上記癌ワクチンは、好ましくは、アジュバントを更に含む。
【0121】
ワクチンは複数のペプチドを含んでもよく、複数のペプチドは、治療されるべき腫瘍に依存し得る。ワクチンは、樹状細胞、より具体的にはペプチドをパルス又は負荷した樹状細胞などの抗原提示細胞をさらに含んでもよく、ペプチドに対するT細胞免疫、そしてそれによる腫瘍に対するT細胞免疫を刺激するための、細胞ワクチンとして使用され得る。
【0122】
本発明の医薬組成物の投与は、任意の適切な経路(静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、腫瘍内、経口、直腸、膣内、膀胱内、及び吸入による投与が挙げられるが、これらに限定されず、静脈内及び腫瘍内投与が最も好ましい)によって達成され得る。組成物は、特に組成物の安定性の増強及び/又はその最終用途のために、任意の他の適切な構成成分を更に含み得る。従って、本発明の組成物の、広範な種々の適切な製剤がある。以下の製剤及び方法は、例示に過ぎず、決して限定するものではない。
【0123】
医薬組成物は、所望の場合、追加の治療剤又は生物活性剤も含み得る。例えば、特定の適応症の治療において有用な治療因子が存在し得る。炎症を制御する因子(イブプロフェン又はステロイドなど)が組成物の一部であり得、医薬組成物のin vivo投与に伴う腫大及び炎症並びに生理的苦痛を低減し得る。
【0124】
担体は典型的には液体であるが、固体、又は液体及び固体の成分の組み合わせでもあり得る。担体は望ましくは、生理学的に許容される(例えば、医薬上又は薬理学的に許容される)担体(例、賦形剤又は希釈剤)である。生理学的に許容される担体は周知であり、容易に入手可能である。担体の選択は、少なくとも一部は、標的組織及び/又は細胞の場所、並びに組成物を投与するために使用される特定の方法によって決定されよう。
【0125】
典型的には、このような組成物は、液体の溶液又は懸濁液のいずれかとして、注射剤として調製され得る;注射前の液体添加により溶液又は懸濁液を調製するために使用するのに適した固体形態もまた、調製され得る;これらの調製物は乳化もされ得る。注射剤での使用に適した医薬製剤としては、無菌の水溶液又は水性分散物;公知のタンパク質安定剤及び凍結保護剤を含む製剤、ゴマ油、ピーナッツ油又は水性プロピレングリコールを含む製剤、及び無菌の注射可能な溶液又は分散物の即時の調製のための無菌粉末、が挙げられる。全ての場合において、製剤は無菌でなければならず、容易な注射可能性が存在する程度まで流動的でなければならない。製剤は、製造及び保存の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。遊離塩基又は薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、界面活性剤(ヒドロキシセルロースなど)と適切に混合した水中で調製され得る。分散物は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中、並びに油中でも調製され得る。保存及び使用の通常の条件下で、これらの調製物は微生物の増殖を防止するための保存剤を含む。
【0126】
本発明のペプチドは、中性又は塩の形態で組成物へと製剤化され得る。医薬上許容される塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成される)が挙げられ、それらは無機酸(例えば、塩酸又はリン酸など)又は有機酸(酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸など)などと形成される。遊離カルボキシル基と形成される塩も、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、又は水酸化第二鉄など)及び有機塩基(イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなど)などから誘導され得る。
【0127】
非経口投与に適した製剤としては、水性及び非水性の、等張の無菌注射溶液(これは、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、及びこの製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質を含み得る)、並びに水性及び非水性の無菌懸濁液(これは、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び保存剤を含み得る)が挙げられる。これらの製剤は、単回用量又は複数用量の密封容器(アンプル及びバイアルなど)中で提示され得、使用直前に、例えば水などの注射用無菌液体賦形剤の添加のみを要する、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存され得る。即席の注射溶液及び懸濁液は、以前に記載された種類の無菌の粉末、顆粒、及び錠剤から調製され得る。本発明の好ましい実施形態において、ペプチドリガンドドメイン含有コンジュゲートが注射(例、非経口投与)のために製剤化される。これに関して、製剤は望ましくは腫瘍内投与に適しているが、静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射などのためにも製剤化され得る。
【0128】
本発明は、所望の場合、本発明のペプチドが、ポリエチレングリコール(PEG)に更にコンジュゲートされる実施形態も提供する。PEGコンジュゲート化は、これらのポリペプチドの循環半減期を増大させ、ポリペプチドの免疫原性及び抗原性を低下させ、それらの生物活性を改善し得る。使用される場合、PEGコンジュゲート化の任意の適切な方法が使用され得、メトキシ−PEGをペプチドの利用可能なアミノ基(複数可)又は他の反応性部位(例えば、ヒスチジン又はシステインなど)と反応させることが挙げられるが、これに限定されない。また、組換えDNAアプローチが、PEG−反応性基を有するアミノ酸をペプチドリガンドドメイン含有コンジュゲートに付加するために使用され得る。更に、放出可能なハイブリッドPEG化戦略が、本発明の態様に従って使用され得る(ペプチドリガンドドメイン含有コンジュゲート分子中の特定の部位に付加されたPEG分子がin vivoで放出されるようなポリペプチドのPEG化など)。PEGコンジュゲート化方法の例は、当該分野で公知である。例えば、Greenwald et al., Adv. Drug Delivery Rev. 55:217-250 (2003)を参照のこと。
【0129】
吸入による投与に適した製剤としては、エアロゾル製剤が挙げられる。エアロゾル製剤は、加圧された適切な噴霧剤(ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素など)中に配置され得る。それらは、ネブライザー又はアトマイザーからの送達のために、非加圧調製物としても製剤化され得る。
【0130】
肛門投与に適した製剤は、活性成分を種々の基剤(乳化基剤又は水溶性基剤など)と混合することによって坐剤として調製され得る。膣投与に適した製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又はスプレー製剤として提示され得、これらは、活性成分に加えて、適切であることが当該分野で公知の担体などを含む。
【0131】
また、本発明の組成物は、追加の治療剤又は生物活性剤を含み得る。例えば、特定の適応症の治療において有用な治療因子が存在し得る。炎症を制御する因子(イブプロフェン又はステロイドなど)が、組成物の一部であり得、医薬組成物のin vivo投与に伴う腫大及び炎症並びに生理学的苦痛を低減し得る。
【0132】
吸入治療の場合、本発明の医薬組成物は、望ましくは、エアロゾルの形態である。固体形態の場合、薬剤を投与するためのエアロゾル及びスプレー発生器が利用可能である。これらの発生器は、呼吸できるか又は吸入できる粒子を提供し、ヒト投与に適した速度で、医薬の既定の計量された用量を含む、ある体積のエアロゾルを発生させる。このようなエアロゾル及びスプレー発生器の例としては、当該分野で公知の、計量された用量の吸入器(inhalers)及び吸入器(insufflators)が挙げられる。液体形態の場合、本発明の医薬組成物は、任意の適切な装置によりエアロゾル化され得る。
【0133】
静脈内、腹腔内又は腫瘍内投与に関連して使用される場合、本発明の医薬組成物は、活性化合物の無菌の水性及び非水性の注射溶液、懸濁液又は乳剤を含み得、これらの調製物は好ましくは意図されたレシピエントの血液と等張である。これらの調製物は、酸化防止剤、緩衝剤、界面活性剤、共溶媒、静菌剤、この組成物を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質、及び当該分野で公知の他の製剤成分の1つ以上を含み得る。水性及び非水性の無菌懸濁液は、懸濁剤及び増粘剤を含み得る。組成物は、単回用量又は複数用量の容器(例えば、密封アンプル及びバイアル)中で提示され得る。
【0134】
本発明の方法は、併用療法の一部でもあり得る。フレーズ「併用療法」とは、本発明に従う治療剤を別の治療組成物と一緒に、この併用の有益な効果が治療を受けている哺乳動物において実現されるように、逐次的様式又は同時的様式で、投与することをいう。本発明の組成物のいずれかに最適な用量は、当業者に公知の通常の方法により決定され得る。
【実施例】
【0135】
実施例1
【0136】
本実施例は、PC3モデルにおける、SPARC及びアブラキサン(登録商標)と血管新生阻害剤スーテント(登録商標)との相互作用を実証する。腫瘍体積を、アブラキサンのみ(5日間毎日15 mg/kg投与した)、アブラキサン及びスーテント(スーテントは8週間毎日30 mg/kg投与した)、アブラキサン及び外因性SPARC(SPARCは8週間、週2回0.2 mg/ms投与した)、そして最後に、一緒にしたアブラキサン、スーテント及びSPARCで治療中のマウスにおいて測定した。
【0137】
図1は、これらの試験条件について、時間(日)に対して腫瘍体積(mm3)をプロットしたグラフを示す。グラフから明らかなように、アブラキサン(登録商標)の投与は、実験期間を通じて、対照と比較して著しく小さい腫瘍体積をもたらす。アブラキサン(登録商標)をSPARCと共に投与する場合、腫瘍体積はわずかに大きく、(実施例1に示したように)この系において外因性に投与したSPARCがアブラキサン(登録商標)を脱感作することを示す。血管新生阻害剤スーテント(登録商標)をSPARC及びアブラキサン(登録商標)と共に投与する場合、SPARC/アブラキサン(登録商標)併用の有効性は著しく改善される。
【0138】
図1は、血管新生阻害剤スーテント(登録商標)とのアブラキサン(登録商標)の投与が、アブラキサン(登録商標)単独の投与よりもはるかに大幅な腫瘍体積の減少を生じさせることも実証する。驚いたことに、アブラキサン(登録商標)及びスーテント(登録商標)との外因性SPARCの投与は、アブラキサン(登録商標)及びスーテント(登録商標)の相乗効果(affect)の一部を無効にする。このことは、SPARCがスーテント(登録商標)の血管新生阻害活性を拮抗することを示唆する。
【0139】
これらのデータは、SPARCがこれらの特定の抗腫瘍剤を脱感作するメカニズムが、血管新生活性を介してであることを示唆する。
【0140】
実施例2
【0141】
本実施例は、SPARCの血管新生作用の特徴付けを示す。
【0142】
組換えヒトSPARC及び遺伝子操作された変異体を、中空糸バイオリアクター中で維持したHEK293細胞を使用して、発現させ精製した。rhSPARC及びその変異体の血管新生活性を、HUVEC管形成アッセイ及びHUVEC芽(sprout)形成ビーズアッセイを使用して評価した。
【0143】
HUVEC管形成アッセイにおいて、rhSPARCは、10 μg/mLでは血管新生促進性であり、100 μg/mLでは血管新生阻害性であった。管形成アッセイの結果を、図2で見ることができる。芽形成アッセイにおいて、rhSPARCの添加は、周皮細胞によって十分に支持されたより成熟した血管を生じさせ、このことは血管形成(angiogeneis)自体の初期の刺激を超えたSPARCの役割を示唆した。これらのアッセイにおいて試験した欠失及び単一/二重アミノ酸置換を有する追加のrhSPARC変異体は、以下を含んだ:Q3欠失(BIO2)、推定血管新生ドメインの逆位(BIO5)、提案されている血管新生ドメインにおける二重K>Q置換(BIO11)、推定カテプシン(catephsin)K認識部位の遺伝的除去(BIO8)、及びrhSPARCのタンパク質分解産物。末端アミノ酸分析は、血管新生活性が配列番号1に位置することを示した。
【0144】
実施例3
【0145】
本実施例は、SPARCの血管新生ドメインの同定を示す。
【0146】
SPARCのタンパク質分解産物を調製し、SPARC−dと命名した。SPARC−dは、2つの形態のC末端切断SPARCからなる混合物である。図3は、SPARC dを野生型SPARCと並行して流したSDS PAGEアッセイを示す。SPARC−dの優勢な形態(図3におけるゲル上、Bとラベルした)は、アミノ酸233〜286からなるC末端配列の部分を欠いている(配列番号2)。
【0147】
図4は、野生型SPARC及びSPARC−Dを用いて実施したHUVECの3−D管形成アッセイの結果を示す。野生型SPARCの血管新生作用を、先の実施例において記載したように、グラフで見ることができる;血管新生作用は、濃度が10 ug/mlに近づくに従い増大し、濃度が100 ug/mlに近づくに従い低下する。しかしながら、SPARC−dについての結果は、タンパク質のC末端の切断がSPARC血管新生活性を消失させることを示す。
【0148】
このアッセイの結果に基づき、SPARCの血管新生ドメインの位置を、C末端の54アミノ酸の配列(配列番号1)内に位置すると同定することが可能である。
【0149】
本発明(特に添付の特許請求の範囲に関して)を記載することに関して、用語「a」及び「an」及び「the」並びに同様の指示対象の使用は、本明細書中に別途示されない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を含むと解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含む(containing)」は、別途言及されない限り、オープンエンドな(open-ended)用語(即ち、「含むが、それに限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中に別途示されない限り、この範囲内に入るそれぞれ別々の値に個々に言及する省略方法として機能することを意図するに過ぎず、それぞれ別々の値は、それが本明細書中に個々に列挙されたかのように、本明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中に別途示されない限り、又はさもなくば文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施されうる。本明細書中に提供されるあらゆる、そして全ての例示、又は例示的語句(例えば、「など(such as)」)の使用は、本発明をより明確にすることを意図するに過ぎず、別途主張されない限り、本発明の範囲を限定しない。本明細書中のいかなる語句も、主張されていない任意の要素を本発明の実施に必須なものとして示していると解釈されるべきではない。
【0150】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中に記載されており、本発明を実施するための、本発明者らが知る最良の形態を含む。それらの好ましい実施形態のバリエーションは、前述の記載を読めば、当業者に明らかになりうる。本発明者らは、当業者が必要に応じてこのようなバリエーションを使用することを予期し、また本発明者らは、本明細書中に具体的に記載されたもの以外の方法で、本発明が実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用法により許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された対象の全ての改変物及び均等物を含む。さらに、上記要素の全ての可能なバリエーションでの上記要素の任意の組み合わせが、本明細書中に別途示されない限り、又はさもなくば文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明により包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1の配列を含む単離されたポリペプチド。
【請求項2】
追加の15個までのアミノ酸がカルボキシ末端及び/又はアミノ末端に付加された、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項3】
5箇所までの非保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%を保持する、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項4】
配列番号1と90%同一の配列を含み、且つ配列番号1のポリペプチドの血管新生活性の少なくとも60%を保持する、単離されたポリペプチド。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のポリペプチドのいずれか1つをコードする核酸配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項5に記載の核酸配列の発現用の発現ベクター。
【請求項7】
請求項5に記載のポリヌクレオチドを含み、且つ請求項1〜4のポリペプチドのいずれか1つを発現する、形質転換細胞。
【請求項8】
治療上有効量の配列番号1の配列を含む精製されたポリペプチドを投与する工程を含む、血管形成を必要とする動物において血管形成を刺激する方法。
【請求項9】
ポリペプチドが、追加の15個までのアミノ酸をカルボキシ末端及び/又はアミノ末端に付加されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
精製されたポリペプチドが、5箇所までの非保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%を保持する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
精製されたポリペプチドが、配列番号1と90%同一の配列を含み、且つ配列番号1のポリペプチドの血管新生活性の少なくとも60%を保持する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
動物が、虚血又は低灌流に起因して血管形成を必要としている、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
虚血又は低灌流が、心虚血、脳卒中、TIA、辺縁系の低灌流、再狭窄又はアテローム性動脈硬化症である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
配列番号2を含む単離されたSPARCポリペプチド。
【請求項15】
全長SPARCポリペプチドのカルボキシ末端の酵素消化産物であり、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下を保持する、単離されたカルボキシ末端切断SPARCポリペプチド。
【請求項16】
全長SPARCポリペプチドのカルボキシ末端の酵素消化産物であり、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下を保持する、単離されたエピトープタグ化カルボキシ末端切断SPARCポリペプチド。
【請求項17】
追加の15個までのアミノ酸がカルボキシ末端及び/又はアミノ末端に付加された、請求項14に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項18】
配列番号2を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項19】
請求項18に記載の核酸配列のいずれか1つの発現用の発現ベクター。
【請求項20】
請求項18に記載の核酸配列のいずれか1つを含む、形質転換細胞。
【請求項21】
治療上有効量の請求項14〜16に記載のSPARCポリペプチドのいずれか1つ以上の投与を含む、動物における腫瘍の治療方法。
【請求項22】
治療上有効量の請求項14〜16に記載のSPARCポリペプチドのいずれか1つ以上の投与及び非SPARC治療を含む、動物における腫瘍の増感方法。
【請求項23】
腫瘍が、口腔腫瘍、咽頭腫瘍、消化器系腫瘍、呼吸器系腫瘍、骨腫瘍、軟骨性腫瘍、骨転移、肉腫、皮膚腫瘍、黒色腫、乳房腫瘍、生殖器系腫瘍、尿路腫瘍、眼窩腫瘍、脳及び中枢神経系の腫瘍、グリオーマ、内分泌系腫瘍、甲状腺腫瘍、食道腫瘍、胃腫瘍、小腸腫瘍、結腸腫瘍、直腸腫瘍、肛門腫瘍、肝臓腫瘍、胆嚢腫瘍、膵臓腫瘍、喉頭腫瘍、肺の腫瘍、気管支腫瘍、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、子宮頸腫瘍、子宮体部腫瘍、卵巣腫瘍、外陰部腫瘍、膣腫瘍、前立腺腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍、陰茎の腫瘍、膀胱腫瘍、腎臓の腫瘍、腎盂の腫瘍、尿管の腫瘍、頭頸部腫瘍、副甲状腺癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病からなる群より選択される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
非SPARC治療が、化学療法レジメン、放射線レジメン又は生物学的レジメンの1つ以上である、請求項21又は22のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
非SPARC治療が、ドセタキセル、パクリタキセル、タキサン類、白金化合物、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害薬、DNA損傷剤、アポトーシス促進剤、分化誘導剤、血管新生阻害剤、抗生物質、ホルモン、ペプチド、抗体、及びそれらの組み合わせの1以上を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
a.血管形成モデル系に有効量の請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物を投与する工程;
b.血管形成モデル系に候補血管形成阻害剤及び請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物を別々に同時に投与する工程;
c.(a)及び(b)において生じた血管形成の量を定量する工程;並びに
d.(a)と比較して(b)において血管形成が減少する場合に、該候補血管形成阻害剤を血管形成阻害剤として同定する工程
を含む、血管形成阻害剤の同定方法。
【請求項27】
血管形成モデル系がHUVEC管形成アッセイである、請求項3、4、10、15、16又は26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
動物がヒトである、請求項8〜13及び21〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
5箇所までの保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%を保持する、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項30】
精製されたポリペプチドが、5箇所までの保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の少なくとも60%を保持する、請求項8に記載の方法。
【請求項31】
5箇所までの非保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下を保持する、請求項14に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項32】
5箇所までの保存的アミノ酸変化を有し、且つ配列番号1の血管新生活性の5%以下を保持する、請求項14に記載の単離されたポリペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−520081(P2012−520081A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554211(P2011−554211)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/027041
【国際公開番号】WO2010/105097
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(508235494)アブラクシス バイオサイエンス リミテッド ライアビリティー カンパニー (22)
【Fターム(参考)】