説明

SPD用端子台

【課題】刃形接触子と刃受接触子との溶着を防止する、直撃雷などの過大なサージ電流用として好適なSPD用端子台を提供する。
【解決手段】SPD10が着脱自在に装着される対をなす刃受接触子31,32は、SPD10の刃形接触子12の側方に配置された端子ネジ部22に電気的かつ機械的に接続された基端部31a,32aと、基端部31a,32aから刃形接触子12の先端部側へ延びて刃形接触子12の根元部側へ折り曲げられた中間部31b,32bと、中間部31b,32bから刃形接触子12の根元部側へ延びて刃形接触子12と接触する遊端部31c,32cとで構成され、一方の刃受接触子32は、中間部32bと遊端部32cとの間に、中間部32bから刃形接触子12の根元部側へ延びて刃形接触子12の先端部側へ折り曲げられ、さらに刃形接触子12の先端部側へ延びて刃形接触子12の根元部側へ折り曲げられた折曲部32dが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雷撃によるサージ電圧を吸収して電気機器を保護するSPD(Surge Protective Device:サージ防護装置)が着脱自在に装着され、そのSPDから導出された刃形接触子に接触する刃受接触子を具備したSPD用端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
雷害を防止する目的から、単相または三相交流電路から工場や一般家庭に引き込まれる電源線路において、その電源線路と大地間に、雷撃による過渡的な過電圧であるサージ電圧を吸収してサージ電流を分流することにより電気機器を保護するデバイスとしてSPDが設置されている。このSPDに格納される耐雷素子としては、酸化亜鉛形バリスタが一般的に使用されている。通常、SPDは、寿命による交換を容易にする目的から、その電源側および接地側の刃形接触子が着脱自在に装着される刃受接触子を具備した端子台を用いることにより、電源線路と大地間に設置されるのが望ましい。
【0003】
図5〜図7はSPD110が着脱自在に装着される端子台120を例示する。なお、図5は端子台120にSPD110を装着する前の状態を示し、図6は図5の端子台120にSPD110を装着した後の状態を示す。また、図7は図6の要部を拡大したものである。
【0004】
この端子台120は、樹脂製ベース121の両端(図示左右両側)に電源側および接地側の端子ネジ部122が設けられており、これら端子ネジ部122の内側に隣接して形成された空間123に、以下の形状を有する一対の刃受接触子131,132がそれぞれ収容された構造を具備する。この空間123は、ベース121の上部に取り付けられたカバー124で閉塞されている。
【0005】
一方、SPD110は、酸化亜鉛形バリスタを樹脂製ケース111内に収容し、その酸化亜鉛形バリスタの電源側および接地側電極と電気的に接続された一対の刃形接触子112をケース111から同一方向に導出した構造を具備する。この刃形接触子112は、端子台120のカバー124に設けられた孔125を介して刃受接触子131,132間に挿入される。
【0006】
端子台120の端子ネジ部122と電気的に接続された一対の刃受接触子131,132は、板ばね等の弾性部材を所定形状に折り曲げ成形したものであり、SPD110の刃形接触子112をその板厚方向両側から挟み込む構造を具備する(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
図7に示すように、対をなす刃受接触子131,132のうち、SPD110の刃形接触子112の外側に位置する一方の刃受接触子131は、端子ネジ部122と電気的かつ機械的に接続された基端部131aと、その基端部131aから刃形接触子112の根元部側(図示上方)へ延びて刃形接触子112の先端部側(図示下方)へ折り曲げられた中間部131bと、その中間部131bから刃形接触子112の先端部側へ延びてその刃形接触子112と接触する遊端部131cとで構成されている。
【0008】
また、SPD110の刃形接触子112の内側に位置する他方の刃受接触子132は、端子ネジ部122と電気的かつ機械的に接続された基端部132aと、その基端部132aから空間123の内面に沿って刃形接触子112の先端部側(図示下方)へ延びて刃形接触子112の根元部側(図示上方)へ折り曲げられ、さらに刃形接触子112の根元部側へ延びて刃形接触子112の先端部側へ折り曲げられた中間部132bと、その中間部132bから刃形接触子112の先端部側へ延びてその刃形接触子112と接触する遊端部132cとで構成されている。
【0009】
以上のような刃受接触子131,132の構造を具備した端子台120では、対をなす刃受接触子131,132の遊端部131c,132cが近接する方向に弾性力が付勢されており、その一対の刃受接触子131,132の遊端部131c,132c間にSPD110の刃形接触子112を挿入することにより、弾性力に抗して一対の刃受接触子131,132の遊端部131c,132cを拡開させてSPD110の刃形接触子112に接触させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−73792号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「電力用遮断器」 森英夫著 昭和30年電気書院発行(190頁 <接触点での反発力>)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、前述のような刃受接触子131,132の構造を具備した従来のSPD用端子台120では、過大なサージ等によりSPD110の劣化故障が発生した場合、その劣化故障したSPD110を端子台120から取り外し、正常なSPD110を新たに端子台120に装着してSPD110の交換を速やかに行う必要がある。
【0013】
しかしながら、SPD110の刃形接触子112と刃受接触子131,132の遊端部131c,132cとの接触面は両者の点接触の集まりであり、刃形接触子112と刃受接触子131,132の遊端部131c,132cとの接触部位では電流の集中および拡散により逆方向に流れる電流が存在することになって電磁反発力が発生する(例えば、非特許文献1参照)。
【0014】
また、図7に示すように直撃雷などの過大なサージ電流が刃形接触子112と刃受接触子131,132の遊端部131c,132cとの間に流れ、その分流電流(図中矢印参照)は刃形接触子112側と刃受接触子131,132の遊端部131c,132c側とで逆方向となるため、これによっても電磁反発力が発生し、前述した電流の集中および拡散による逆向き電流で発生する電磁反発力を助長することになる。
【0015】
このように、刃形接触子112と刃受接触子131,132の遊端部131c,132cとの接触部位で電流の集中および拡散により発生する電磁反発力、および刃形接触子112と刃受接触子131,132の遊端部131c,132cとで逆向きに流れる分流電流(図中矢印参照)により発生する電磁反発力により、刃形接触子112に対して刃受接触子131,132の遊端部131c,132cが浮き上がる現象が生じ、その部分で刃形接触子112と刃受接触子131,132の遊端部131c,132cとの間にアークが発生する。実際、直撃雷のような数十kAの大きなサージ電流が流れると、10kg重程度の接触圧があっても刃形接触子112と刃受接触子131,132の遊端部131c,132cとの接触部位にアーク現象が認められている。
【0016】
このアークの発生により、刃形接触子112と刃受接触子131,132の遊端部131c,132cとの接触部分が溶着し易くなっている。その結果、刃形接触子112と刃受接触子131,132の遊端部131c,132cとの接触部分での溶着によりそのSPD110を端子台120から取り外すことが困難となり、SPD110の交換を速やかに行うことが難しくなる。
【0017】
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、刃形接触子と刃受接触子との溶着を未然に防止してSPD交換を容易に行うことができ、直撃雷などの過大なサージ電流用として好適なSPD用端子台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、SPDが着脱自在に装着され、そのSPDから導出された刃形接触子に接触する刃受接触子を具備したSPD用端子台であって、刃受接触子は、SPDの刃形接触子の側方に配置された端子ネジ部に電気的かつ機械的に接続された基端部と、その基端部から刃形接触子の先端部側へ延びて刃形接触子の根元部側へ折り曲げられた中間部と、その中間部から刃形接触子の根元部側へ延びて刃形接触子と接触する遊端部とで構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るSPD用端子台においても、前述したようにSPDの刃形接触子と刃受接触子との接触面は両者の点接触の集まりであり、刃形接触子と刃受接触子との接触部位では電流の集中および拡散により逆方向に流れる電流が存在することになって、刃形接触子に対して刃受接触子が浮き上がる現象を生じさせる電磁反発力が発生する(例えば、非特許文献1参照)。
【0020】
本発明では、刃受接触子を、SPDの刃形接触子の側方に配置された端子ネジ部に電気的かつ機械的に接続された基端部と、その基端部から刃形接触子の先端部側へ延びて刃形接触子の根元部側へ折り曲げられた中間部と、その中間部から刃形接触子の根元部側へ延びて刃形接触子と接触する遊端部とで構成したことにより、SPDの刃形接触子の根元部から先端部側へ過大なサージ電流が流れたとしても、その過大なサージ電流により刃形接触子と刃受接触子との間で生じる分流電流は同一方向となるため、刃形接触子と刃受接触子との接触部位で電磁吸引力が発生する。
【0021】
この電磁吸引力は、刃形接触子に対して刃受接触子が浮き上がる現象を生じさせる電磁反発力を打ち消す方向に作用するため、刃形接触子に対する刃受接触子の密着力が高まり、刃形接触子と刃受接触子の接触部位でのアーク発生を抑制し、刃形接触子と刃受接触子との接触部分が溶着することを未然に防止できる。
【0022】
なお、刃受接触子の中間部と遊端部とが折り曲げられていることから、この中間部と遊端部とで流れる電流が逆向きになるため、中間部と遊端部との間に作用する電磁反発力がその遊端部を刃形接触子に押し付ける力となり、この場合にあっても刃形接触子に対して刃受接触子に密着力が働く。
【0023】
本発明における刃受接触子は、中間部と遊端部との間に、その中間部から刃形接触子の根元部側へ延びて刃形接触子の先端部側へ折り曲げられ、さらに刃形接触子の先端部側へ延びて刃形接触子の根元部側へ折り曲げられた折曲部が設けられていることが望ましい。このようにすれば、中間部と折曲部とが折り曲げられ、また、折曲部と遊端部とが折り曲げられていることから、この中間部と折曲部とで流れる電流が逆向きになると共に折曲部と遊端部とで流れる電流が逆向きになるため、中間部と折曲部との間に作用する電磁反発力、および折曲部と遊端部との間に作用する電磁反発力がその遊端部を刃形接触子に押し付ける力となり、刃形接触子に対する刃受接触子の密着力をより一層高めることができる。
【0024】
なお、本発明における刃受接触子は、SPDの刃形接触子をその板厚方向両側から挟み込むように一対をなすことが望ましい。この場合、SPDの刃形接触子は端子ネジ部の側方に対向するように配置され、一対の刃受接触子のうち、刃形接触子の端子ネジ部との対向面と接触する一方の刃受接触子は、基端部、中間部および遊端部で構成され、刃形接触子の端子ネジ部との対向面の反対面と接触する他方の刃受接触子は、基端部、中間部、折曲部および遊端部で構成される。一方、SPDは、同一方向に導出された電源側および接地側の一対の刃形接触子を有する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、刃受接触子を、SPDの刃形接触子の側方に配置された端子ネジ部に電気的かつ機械的に接続された基端部と、その基端部から刃形接触子の先端部側へ延びて刃形接触子の根元部側へ折り曲げられた中間部と、その中間部から刃形接触子の根元部側へ延びて刃形接触子と接触する遊端部とで構成したことにより、SPDの刃形接触子の根元部から先端部側へ過大なサージ電流が流れたとしても、その過大なサージ電流により電極端子と導電性接触子との間で生じる分流電流は同一方向となるため、刃形接触子と刃受接触子との接触部位で電磁吸引力が発生する。
【0026】
この電磁吸引力は、刃形接触子に対して刃受接触子が浮き上がる現象を生じさせる電磁反発力を打ち消す方向に作用するため、刃形接触子に対する刃受接触子の密着力が高まる。また、刃受接触子の中間部と遊端部とが折り曲げられていることから、この中間部と遊端部とで流れる電流が逆向きになるため、中間部と遊端部との間に作用する電磁反発力がその遊端部を刃形接触子に押し付ける力となり、この場合にあっても刃形接触子に対して刃受接触子に密着力が働く。
【0027】
その結果、刃形接触子と刃受接触子の接触部位でのアーク発生を抑制し、刃形接触子と刃受接触子との接触部分が溶着することを未然に防止でき、SPD交換を容易に行うことができ、直撃雷などの過大なサージ電流用として好適で信頼性の高いSPD用端子台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るSPD用端子台の実施形態で、端子台にSPDを装着する前の状態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態で、端子台にSPDを装着した後の状態を示す断面図である。
【図3】図2の要部拡大断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態における刃受接触子を示す断面図である。
【図5】従来のSPD用端子台で、端子台にSPDを装着する前の状態を示す断面図である。
【図6】従来のSPD用端子台で、端子台にSPDを装着した後の状態を示す断面図である。
【図7】図6の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係るSPD用端子台の実施形態を以下に詳述する。図1は端子台20にSPD10を装着する前の状態を示し、図2は図1の端子台20にSPD10を装着した後の状態を示す。また、図3は図2の要部を拡大したものである。
【0030】
図1および図2に示す実施形態の端子台20はSPD10が着脱自在に装着される。この端子台20は、樹脂製ベース21の両端(図示左右両側)に電源側および接地側の端子ネジ部22が設けられており、これら端子ネジ部22の内側に隣接して形成された空間23に、以下の形状を有する一対の刃受接触子31,32がそれぞれ収容された構造を具備する。この空間23は、ベース21の上部に取り付けられたカバー24で閉塞されている。
【0031】
一方、SPD10は、酸化亜鉛形バリスタを樹脂製ケース11内に収容し、その酸化亜鉛形バリスタの電源側および接地側電極と電気的に接続された電源側および接地側の刃形接触子12をケース11から同一方向に導出した構造を具備する。この刃形接触子12は、端子台20のカバー24に設けられた孔25を介して刃受接触子31,32間に挿入される。
【0032】
端子台20の端子ネジ部22と電気的に接続された一対の刃受接触子31,32は、板ばね等の弾性部材を所定形状に折り曲げ成形したものであり、SPD10の刃形接触子12をその板厚方向両側から挟み込む構造を具備する。この一対の刃受接触子31,32は、電源側と接地側で左右対称に配置されている。
【0033】
図3に示すように、対をなす刃受接触子31,32のうち、SPD10の刃形接触子12の外側に位置して刃形接触子12の端子ネジ部22との対向面と接触する一方の刃受接触子31は、SPD10の刃形接触子12の側方に配置された端子ネジ部22に電気的かつ機械的に接続された基端部31aと、その基端部31aから刃形接触子12の先端部側(図示下方)へ延びて刃形接触子12の根元部側(図示上方)へ折り曲げられた中間部31bと、その中間部31bから刃形接触子12の根元部側へ延びて刃形接触子12と接触する遊端部31cとで構成されている。
【0034】
また、SPD10の刃形接触子12の内側に位置して刃形接触子12の端子ネジ部22との対向面の反対面と接触する他方の刃受接触子32は、端子ネジ部22と電気的かつ機械的に接続された基端部32aと、その基端部32aから空間23の内面に沿って刃形接触子12の先端部側(図示下方)へ延びて刃形接触子12の根元部側(図示上方)へ折り曲げられた中間部32bと、その中間部32bから刃形接触子12の根元部側へ延びて刃形接触子12の先端部側へ折り曲げられ、さらに刃形接触子12の先端部側へ延びて刃形接触子12の根元部側へ折り曲げられた折曲部32dと、その折曲部32dから刃形接触子12の根元部側へ延びてその刃形接触子12と接触する遊端部32cとで構成されている。
【0035】
以上のような刃受接触子31,32の構造を具備した端子台20では、対をなす刃受接触子31,32の遊端部31c,32cが近接する方向に弾性力が付勢されており、その一対の刃受接触子31,32の遊端部31c,32c間にSPD10の刃形接触子12を挿入することにより、弾性力に抗して一対の刃受接触子31,32の遊端部31c,32cを拡開させてSPD10の刃形接触子12に接触させる。
【0036】
前述した非特許文献1に開示されているように、SPD10の刃形接触子12と刃受接触子31,32の遊端部31c,32cとの接触面は両者の点接触の集まりであり、刃形接触子12と刃受接触子31,32の遊端部31c,32cとの接触部位では電流の集中および拡散により逆方向に流れる電流が存在することになって、刃形接触子12に対して刃受接触子31,32の遊端部31c,32cが浮き上がる現象を生じさせる電磁反発力が発生する。
【0037】
これに対して、この実施形態の端子台20では、刃受接触子31,32を、SPD10の刃形接触子12の側方に配置された端子ネジ部22に電気的かつ機械的に接続された基端部31a,32aと、その基端部31a,32aから刃形接触子12の先端部側へ延びて刃形接触子12の根元部側へ折り曲げられた中間部31b,32bと、その中間部31b,32bから刃形接触子12の根元部側へ延びて刃形接触子12と接触する遊端部31c,32cとで構成している。これにより、SPD10の刃形接触子12の根元部から先端部側へ過大なサージ電流が流れたとしても、その過大なサージ電流により刃形接触子12と刃受接触子31,32の遊端部31c,32cとの間で生じる分流電流(図中矢印参照)は同一方向となるため、刃形接触子12と刃受接触子31,32の遊端部31c,32cとの接触部位で電磁吸引力が発生する。
【0038】
この電磁吸引力は、刃形接触子12に対して刃受接触子31,32の遊端部31c,32cが浮き上がる現象を生じさせる電磁反発力を打ち消す方向に作用するため、刃形接触子12に対する刃受接触子31,32の遊端部31c,32cの密着力が高まり、刃形接触子12と刃受接触子31,32の遊端部31c,32cの接触部位でのアーク発生を抑制し、刃形接触子12と刃受接触子31,32の遊端部31c,32cとの接触部分が溶着することを未然に防止できる。
【0039】
この端子台20では、過大なサージ等によりSPD10の劣化故障が発生した場合、その劣化故障したSPD10を端子台20から取り外し、正常なSPD10を新たに端子台20に装着してSPD10の交換を速やかに行う必要があるが、刃形接触子12と刃受接触子31,32の遊端部31c,32cとの接触部分が溶着することを未然に防止できるので、SPD10の刃形接触子12を端子台20の刃受接触子31,32間から離脱させることが容易となってSPD交換を容易に行うことができ、直撃雷などの過大なサージ電流用として好適で信頼性の高い端子台20を提供することができる。
【0040】
なお、刃受接触子31,32の中間部31b,32bと遊端部31a,32aとが折り曲げられていることから、この中間部31b,32bと遊端部31a,32aとで流れる電流が逆向きになるため、中間部31b,32bと遊端部31a,32aとの間に作用する電磁反発力がその遊端部31a,32aを刃形接触子12に押し付ける力となり、この場合にあっても刃形接触子12に対して刃受接触子31,32の遊端部31c,32cに密着力が働く。
【0041】
また、SPD10の刃形接触子12の内側に位置する他方の刃受接触子32は、中間部32bと遊端部32cとの間に、その中間部32bから刃形接触子12の根元部側へ延びて刃形接触子12の先端部側へ折り曲げられ、さらに刃形接触子12の先端部側へ延びて刃形接触子12の根元部側へ折り曲げられた折曲部32dが設けられた構造としている。このように、中間部32bと折曲部32dとが折り曲げられ、また、折曲部32dと遊端部32cとが折り曲げられていることから、この中間部32bと折曲部32dとで流れる電流が逆向きになると共に折曲部32dと遊端部32cとで流れる電流が逆向きになる。そのため、中間部32bと折曲部32dとの間に作用する電磁反発力、および折曲部32dと遊端部32cとの間に作用する電磁反発力がその遊端部32cを刃形接触子12に押し付ける力となり、刃形接触子12に対する刃受接触子32の遊端部32cの密着力をより一層高めることができる。
【0042】
なお、前述の実施形態では、SPD10の刃形接触子12の内側に位置する他方の刃受接触子32は、基端部32a、中間部32b、折曲部32dおよび遊端部32cを一体成形したものについて説明したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、図4に示すように基端部42aが一体的に形成された中間部42bの先端に、遊端部52cが一体的に形成された折曲部52dをスポット溶接などで連結固定した構造の刃受接触子32’を使用することも可能である。
【0043】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0044】
10 SPD
12 刃形接触子
20 端子台
22 端子ネジ部
31,32 刃受接触子
31a,32a 基端部
31b,32b 中間部
31c,32c 遊端部
32d 折曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SPDが着脱自在に装着され、前記SPDから導出された刃形接触子に接触する刃受接触子を具備したSPD用端子台であって、
前記刃受接触子は、前記SPDの刃形接触子の側方に配置された端子ネジ部に電気的かつ機械的に接続された基端部と、前記基端部から刃形接触子の先端部側へ延びて前記刃形接触子の根元部側へ折り曲げられた中間部と、前記中間部から刃形接触子の根元部側へ延びて前記刃形接触子と接触する遊端部とで構成されていることを特徴とするSPD用端子台。
【請求項2】
前記刃受接触子は、中間部と遊端部との間に、その中間部から刃形接触子の根元部側へ延びて刃形接触子の先端部側へ折り曲げられ、さらに刃形接触子の先端部側へ延びて刃形接触子の根元部側へ折り曲げられた折曲部が設けられている請求項1に記載のSPD用端子台。
【請求項3】
前記刃受接触子は、前記SPDの刃形接触子をその板厚方向両側から挟み込むように一対をなす請求項1又は2に記載のSPD用端子台。
【請求項4】
前記SPDの刃形接触子は前記端子ネジ部の側方に対向するように配置され、一対の刃受接触子のうち、前記刃形接触子の端子ネジ部との対向面と接触する一方の刃受接触子は前記基端部、中間部および遊端部で構成され、前記刃形接触子の端子ネジ部との対向面の反対面と接触する他方の刃受接触子は、前記基端部、中間部、折曲部および遊端部で構成されている請求項3に記載のSPD用端子台。
【請求項5】
前記SPDは、同一方向に導出された電源側の刃形接触子と接地側の刃形接触子とを有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のSPD用端子台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−199044(P2010−199044A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46006(P2009−46006)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000123354)音羽電機工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】