説明

SalmonellaTyphiのゲノムに由来する核酸配列、及び特に食料品中におけるサルモネラ属の細菌の存在のi0nvitro診断のためのその使用

【課題】Salmonella Typhiのゲノムに由来する核酸配列の提供、及びその使用に関する。
【解決手段】上記の特定配列は、サルモネラ属細菌による培養HeLa細胞のin vitro感染活性に必要な遺伝子情報の全部又は一部を含むことを特徴とする。該遺伝子配列は、サルモネラ属細菌を含む疑いのあるサンプル、食料品におけるサルモネラ属細菌の存在のin vitro診断のためのプローブ、プライマーとして有用であり、本遺伝子配列を含む検出キットも提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、Salmonella Typhiのゲノムに由来する核酸配列、及び特にサルモネラ属の細菌を含む疑いのある生物学的サンプル、より特定的には食料品における該細菌の存在のin vitro診断のためのその使用に係る。
【0002】
食料品は現在ますます重要になっている。社会的な理由により、すぐに消費できるような加工食品は購入者側からの需要が増加し続けている。その結果、これらの製品の製造源及び外観はここ15年間に著しく変化している(専門工場における大量生産、一般にプラスチックフィルムで包装した単位販売)。
【0003】
公衆衛生上の理由から、製造技術及び製品自体は衛生監視が次第に厳しくなっている。細菌検査の範囲では、食品毒物感染に関与する細菌が定期的に検査され、このような細菌としてはまず第1にサルモネラ菌を挙げることができる。また、衛生基準はこの細菌属に関して非常に明確であり、製品25g中にサルモネラ菌が存在しないことを規定している。
【0004】
分類学の観点からみると、サルモネラ属は腸内細菌(Enterobacteriaceae)科に属する。この属はS.entericaただ1種からなり、この種は7種の亜種に細分され得る。これらの亜種の各々では、多糖O抗原及び鞭毛H抗原に対する血清により多数の血清型を個体化することができる。1989年の時点で2267種のサルモネラ血清型が知られている。
【0005】
サルモネラ菌はヒト及び動物の病原体である腸内侵入性細菌である。その病原能は腸管上皮に侵入する能力に結び付けられる。この段階は粘膜に制限されることもある(例えば毒物感染の場合)し、全身散在を伴うこともある(腸チフス熱の場合)。サルモネラ菌の宿主侵入は、非常に多くの場合は口腔経路で行われる。従って、サルモネラ菌は生物学的サンプルの細菌検査の範囲で定期的に検査される。
【0006】
仏国規格協会(AFNOR)により推奨されているサルモネラ菌の定期検査参考方法は、2種類の異なる温度でインキュベートし且つ2種類の異なる選択培地上で単離した2種類の異なる濃化培地で被験物質を培養させる段階(この段階はしばしば普通ブイヨン中の「蘇生」段階後に実施される)と、迅速同定培地に6個以上のコロニーを移す段階と、最後に株を血清学的に型別する段階とを含む。公式鑑定時にはANFORプロトコルに忠実に従わなければならないとしても、試験を実施するために必要な時間(最低1週間)と費用との理由からこのプロトコルを定期検査時に適用するのは困難であると考えられる。
【0007】
サルモネラ菌の新規検査方法は酵素試験又は核酸プローブを使用することにより行われる。いずれの場合も普通培地中の培養段階及び濃化培地中のサブ培養が推奨され、即ちこれらの段階が不可欠であることに留意すべきである。 モノクローナル抗体を使用する免疫酵素試験は容易に実施することができ、4〜6時間以内に結果が得られ、費用も許容可能である。その大きな欠点は、陽性誤反応が頻発し、陰性誤反応も発生し得ることである。これらの誤反応の結果はどちらの場合も重要であり、陽性誤反応の場合には、製品を押収し、実際には存在しないサルモネラを単離するためのプロセスを分析実験室により開始することになり、陰性誤反応の場合には、製品は公衆衛生に危険を孕んだまま販売される。
【0008】
250個のサルモネラ株とサルモネラ属に属さない75個の株とで最近行われた研究によると、陽性誤反応は17株、陰性誤反応は2株に達した(D’AOUST,J.Y.(1987):“Efficacite de la trousse immunoenzymatique BIOENZABEAD pour le depistage de Salmonella spp.dans les aliments”,Microorganismes et Aliments:Technique Rapide,Controle industriel.Colloque de la Societe Francaise de Microbiologie,Paris)。この試験は純粋培養物で実施されたので、誤反応の数は多菌性製品ではもっと多いと予想することができる(微生物競合;交差抗原反応の危険)。
【0009】
核酸プローブはゲノムDNAフラグメントにより構成される(FITTO,R.ら(1983),“DNA−DNA Hybridization Assay For Detection Of Salmonella spp”,In Foods,Applied and Environmental Microbiology,46,1146−1151)。核酸プローブは特異的であるとみなされる。数種類のツール(又はキット)が市販されている。実際にこれらのプローブは、使用者により報告された結果によると特異性がないこと(例えばCitrobacterとの交差反応)と、感度が低い(検出限界閾値:サルモネラ10個、ある著者によると2.5μgのDNAは約10個の細菌に対応する)という2つの大きな欠点がある。
【0010】
本発明は特定的には、サルモネラ菌検出用核酸プローブとして使用可能な核酸配列に係り、これらのプローブはサルモネラ属に完全に特異的である(他の細菌、特にCitrobacter属との間で交差反応を生じない)。
【0011】
本発明は更に、サルモネラ菌のin vitro検出又は定量法におけるこれらの核酸プローブの使用に係り、この使用は、高感度であり、応答が迅速であり、48時間以内、更には24時間以内に分析結果を得ることができ、特に放射性物質を使用せずに容易に実施でき、費用が妥当であるという利点を有する。
【0012】
サルモネラ亜種entrica血清型Typhi(以下の文中ではTyphiと呼称する細菌)はヒト腸チフス熱の作用物質である。この細菌は厳密にヒトの病原体である。口腔経路による侵入後、Typhiは腸管関門を通って遺伝子系により腸間膜動脈神経節に到達し、腸管粘膜の上皮細胞に付着して浸透する。実験モデルがないので、この第1感染段階はTyphiが付着及び浸透することが可能な培養HeLa細胞でin vitro検査される。
【0013】
本発明は特定的には、サルモネラ属の細菌による培養HeLa細胞のin vitro感染活性に必要な遺伝情報の全部又は一部を含むことを特徴とする全核酸配列に係る。
【0014】
本発明はより特定的には、図1に示す配列の制限地図上にH及びHにより示す2つのHindIII部位により画成される7.9kbの配列の全部又は一部を含む前記のような全核酸配列に係る。
【0015】
本発明の核酸配列はより特定的には、前記のような特徴を有しており、Collection de l’Institut PasteurにCIP 55−35で寄託されたTyphiのTy2株のゲノムに由来する核酸配列である。
【0016】
本発明はより特定的には前記Ty2株のゲノムに由来する全核酸配列に係り、この配列は前記遺伝情報の全部又は一部を含み、図1に示す制限地図上の2つのSacI部位S1及びS2により画成される2kbの配列の全部又は一部を含む。
【0017】
より一般的には、本発明はサルモネラ属の細菌による培養HeLa細胞のin vitro感染活性に必要な遺伝情報の全部又は一部を含み、ストリンジェント条件下で前記核酸の少なくとも1種の全部又は一部とハイブリダイズすることが可能な全核酸配列に係る。これらのストリンジェント条件は、Denhardt培地(0.1% Ficoll;0.01%ポリビニルピロリドン;0.1%ウシ血清アルブミン)中、6×SSC(1×SSCは0.15M NaCl及び0.015M クエン酸三ナトリウム、pH7から構成される)中で65℃で18時間の条件である。
【0018】
本発明は更に、前記核酸配列の1種に含まれるか、又は前記ハイブリダイゼーション条件下でこれらの配列の1種とハイブリダイズすることが可能であり、サルモネラ属の細菌、より特定的には生物中で腸管粘膜の上皮細胞に付着及び浸透することが可能なTyphiのような病原サルモネラ菌のin vitro検出方法の実施のためのプローブとして使用可能な全核酸配列に係る。
【0019】
有利には、本発明の核酸プローブは約200〜500ヌクレオチドの連続から構成される。
【0020】
この点で本発明はより特定的には以下のヌクレオチド配列(I):
【0021】
【化3】

を有する核酸プローブに係る。
【0022】
本発明は更に、前記核酸配列の1種に含まれるか又は前記ハイブリダイゼーション条件下でこれらの配列の1種とハイブリダイズすることが可能であり、本発明の核酸配列の1種の遺伝子増幅用核酸プライマーとして使用可能な全核酸配列にも係る。
【0023】
有利には、本発明の核酸プライマーは約10〜30ヌクレオチドの連続から構成される。
【0024】
遺伝子増幅法は、特に高感度のin vitro診断法に到達するために非常に有利である。これらの遺伝子増幅法のうちでは、1986年3月27日付けヨーロッパ特許出願第86/302,298.4号及び1987年1月9日付けヨーロッパ特許出願第87/300.203.4号に記載されているようなPCR(Polymerase Chain Reaction)法や、Biotechnology,vol.6,page 1197(1988年10月)に記載されている所謂「Qβレプレカーゼ」法及び国際特許出願第WO89/01050号れに記載さているRNAポリメラーゼ(T7RNA ポリメラーゼ)を用いる方法を挙げることができる。これらの方法はウイルス又は細菌の核酸の検出感度を改善することができ、特異的合成プライマーの使用を必要とする。
【0025】
この点で本発明はより特定的には、本発明のヌクレオチド配列(I)の26及び469位に位置するヌクレオチドにより画成される核酸配列のコピー数の増幅のために使用可能な核酸配列SS−1及びSS−2:
【0026】
【化4】

に係る。
【0027】
前記条件下で核酸配列(I)又は前記核酸プライマーSS−1及びSS−2とハイブリダイズする限り、所定の局在突然変異を含むこれらの核酸配列(I)又はプライマーの変異核酸も本発明の一部を形成する。
【0028】
本発明は更に、汎用遺伝子コードに従い、本発明の核酸配列に対応する全ペプチド又はポリペプチドにも係る。
【0029】
この点で本発明はより特定的には、以下のアミノ酸配列(II):
【0030】
【化5】

の全部又は一部により構成される全ポリペプチドに係り、この配列は汎用遺伝子コードに従い、前記核酸配列(I)に対応する。
【0031】
当然のことながら、本発明のポリペプチド、より特定的には前記ペプチド配列(II)又は該配列に由来するペプチドサブ配列の1又は複数のアミノ酸の置換及び/又は付加及び/又は抑圧による修飾産物である全ペプチド配列も、この修飾が該ポリペプチドの抗原特性を変えない限り、本発明の範囲に含まれる。
【0032】
本発明は更に、本発明のポリペプチドを特異的に認識し且つこれらのポリペプチドとの免疫複合体を形成することが可能なポリクローナル又はモノクローナル抗体にも係る。
【0033】
本発明のポリクローナル抗体は、本発明のポリペプチドで動物を免疫感作後、形成された抗体を回収することにより得られる。
【0034】
本発明のモノクローナル抗体は、本発明の精製ポリペプチドの1種で免疫感作した動物、特にマウス又はラットの脾細胞と、適切なミエローマ細胞系の細胞とから従来方法により形成され得且つ動物の免疫感作に最初に使用されたポリペプチドを認識するモノクローナル抗体を産生する能力により選択され得る全ハイブリドーマにより産生される。
【0035】
本発明は更に、サルモネラ属の細菌を含む疑いのある生物学的サンプル中における該細菌の存在のin vitro検出方法(又は診断方法)にも係り、該方法は、任意段階としてサンプルを培養する段階と、任意段階として前記のような1対の核酸プローブにより検出すべき核酸配列のコピー数を増幅する段階と、前記ハイブリダイゼーション条件下でサンプルを前記のような核酸プローブと接触させる段階と、前記プローブと検出すべき核酸配列との間にハイブリダイゼーション複合体が形成された場合にはこの複合体を検出する段階とを含むことを特徴とする。
【0036】
生物学的サンプルを培養する段階は、生物学的サンプル25gを1リットル容三角フラスコ中で普通培地200ml中で18時間37℃で撹拌下に行うと有利である。
【0037】
前記方法において検出すべき核酸配列を増幅する段階は有利には、一方では生物学的サンプル中に場合により存在するサルモネラ属の細菌のゲノムに属する検出すべき核酸を抽出し、該核酸がRNA形態である場合には該核酸を逆転写酵素により処理する段階を含み、他方では、検出すべき二重鎖核酸を有利には94℃で120秒間変性させ、一重鎖核酸を形成する段階と、前記変性段階時に得られた核酸鎖を前記のような少なくとも1対のプライマーと有利には68℃で180秒間接触させることにより、前記核酸鎖の各々を少なくとも1個の前記プライマーとハイブリダイズさせることにより再会合させる段階と、DNAポリメラーゼと適量の異なる4種のヌクレオシド三リン酸(dATP,dCTP,dGTP,dTTP)との存在下で有利には72℃で90秒間、プライマーがハイブリダイズされる鎖に相補的なDNAをプライマーから形成することにより伸長させ、前記変性段階よりも多数の検出すべき二重鎖核酸を形成する段階とを含むサイクルを含み、このサイクルは、前記検出すべき核酸配列が生物学的サンプル中に存在する場合には該核酸配列を検出できるように十分な割合で回収するように所定回数(好ましくは20〜30回)反復される。
【0038】
プローブと場合により前記核酸プライマーとを使用することによりサルモネラの特徴的核酸配列を増幅及び/又は検出する他の方法も、本発明の範囲で使用可能である。例えば、国際特許出願第WO/06700号又はヨーロッパ特許出願第0357336号に記載の方法を挙げることができる。
【0039】
本発明は更に、前記のようなサルモネラ属の細菌のin vitro検出方法を実施するためのキットに係り、これらのキットは、任意要素として生物学的サンプルを培養するために適切な培地と、少なくとも1対の前記核酸プライマーと、任意要素として増幅サイクルを実施するのに適切な試薬、特にDNA(又はRNA)ポリメラーゼ及び適量の異なる4種の三リン酸ヌクレオシドと、検出すべき核酸配列とハイブリダイズすることが可能な、場合により標識された1(又は複数)の前記核酸プローブと、前記プローブ及び検出すべき核酸の間でハイブリダイゼーション反応を生じるために適切な試薬と、前記プローブとハイブリダイズすることが可能な核酸配列を欠失する参照生物組織又は体液とを含む。
【0040】
本発明は更に、サルモネラ属の細菌を含む疑いのある生物学的サンプル中における該細菌のin vitro検出方法に係り、該方法は、任意段階として生物学的サンプルを前記のように培養する段階と、任意段階として汎用遺伝子コードに従い、検出すべきポリペプチドに対応する核酸配列のコピー数を増幅する段階(この増幅は前記増幅サイクルに従って実施される)と、検出すべきポリペプチドとの間に免疫複合体を形成することが可能な本発明の抗体に前記サンプルを接触させる段階と、前記抗体と検出すべきペプチド配列との間に免疫複合体が形成された場合には該複合体を検出する段階とを含むことを特徴とする。
【0041】
本発明は更に、前記検出方法を実施するためのキットにも係り、該キットは、任意要素として生物学的サンプルを培養するために適切な培地と、任意要素として1対の前記プライマー、増幅サイクルを実施するために適切な試薬、特にDNA(又はRNA)ポリメラーゼ及び適量の4種の異なるヌクレオシド三リン酸と、場合により特に放射性同位体又は酵素で標識され、検出すべきペプチド配列を有するポリクローナル又はモノクローナル抗体と、前記抗体及びペプチド配列間で免疫反応を生じるために適切な培地を構成するための試薬と、前記免疫反応時に形成された免疫複合体を検出することができ、同様にマーカーを担持するか又は標識試薬により認識され得る試薬と、前記抗体により認識され得るポリペプチドを欠失する参照生物組織又は体液とを含む。
【0042】
本発明は更に前記核酸配列の製造方法にも係り、該方法は、pH12.5のソーダにより処理することによりSalmonella Typhi細菌から単離したゲノムDNAをインキュベートする段階と、こうして抽出したDNAを適切なエンドヌクレアーゼにより処理する段階と、こうして得られた核酸を適切なベクターにクローニングし、前記類から選択された適切なプローブにより所望の核酸を回収する段階とを含む。
【0043】
本発明の核酸配列の特に有利な製造方法は、Bioorganic Chemistry 4;274−325(1986)に記載されているβ−シアンエチルホスホラミジトの自動化方法を使用することによりDNAを合成する段階と、こうして得られた核酸を適切なベクターにクローニングし、前記類から選択された適切なプローブとハイブリダイズすることにより核酸を回収する段階とを含む。
【0044】
本発明のヌクレオチド配列の別の製造方法は、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80;7461−7465,(1983)に記載の原理に従って天然ポリペプチドのアミノ酸配列に適合可能な配列を有する異なる制限部位を末端に備える化学的に合成されたオリゴヌクレオチドをアセンブリする段階と、こうして得られた核酸を適切なベクターにクローニングし、前記類から選択された適切なプローブとハイブリダイズすることにより所望の核酸を回収する段階とを含む。
【0045】
本発明は更に、異種核酸に挿入された少なくとも1個の本発明の核酸配列を含む全組換核酸に係る。
【0046】
本発明はより特定的には、本発明の核酸配列の転写を制御するプロモーター(特に誘導プロモーター)を本発明の核酸配列の前に有しており、場合により転写終結信号をコードする配列を本発明の核酸配列の後に有する前記のような組換核酸に係る。
【0047】
本発明は、特に本発明の核酸配列をクローニングし、及び/又はこの配列によりコードされるポリペプチドを発現させるために使用される全組換ベクターに係り、該ベクターは、複製に非必須の部位の1つに前記のような組換核酸を含むことを特徴とする。
【0048】
前記ベクターの例としては、プラスミド、コスミド又はファージを挙げることができる。
【0049】
本発明は更に、前記型の組換ベクターにより細胞宿主を形質転換させ、その後、こうして形質転換された細胞宿主を培養し、ポリペプチドを培養培地から回収することにより、本発明のポリペプチドを製造する方法にも係る。
【0050】
従って、本発明は前記のような組換ベクターにより形質転換され、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を発現させることが可能な調節成分を含む全細胞宿主に係る。
【0051】
本発明はより特定的には本発明のポリペプチドの製造方法であって、任意段階として、一方のプライマーが該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の最初の10〜30個のヌクレオチドと同一であり且つ他方のプライマーが該ヌクレオチド配列の最後の10〜30個のヌクレオチドと相補的である(か又はこれらの最後の10〜30個のヌクレオチドとハイブリダイズする)ように、又は逆に一方のプライマーが前記配列の最後の10〜30個のヌクレオチドと同一であり且つ他方のプライマーが該核酸の最初の10〜30個のヌクレオチドと相補的である(か又は最初の10〜30個のヌクレオチドをハイブリダイズする)ように選択された2種のDNAプライマーにより該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の量を増幅し、その後、こうして増幅した前記ヌクレオチド配列を適切なベクターに導入する段階と、前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含む適切なベクターにより予め形質転換された細胞宿主を適切な培養培地で培養する段階と、形質転換された該細胞宿主により産生されたポリペプチドを前記培養培地から回収する段階とを含む方法に係る。
【0052】
本発明のペプチドは、ペプチド合成分野で従来技術により製造することができる。この合成は均質溶液又は固相で実施され得る。
【0053】
例えば、E.Wunsch編“Methode der Organischen Chemie”,vol.15−I及びII.,THIEME,Stuttgart 1974にHOUBENWEYLにより記載されている均質溶液合成方法を利用する。
【0054】
この合成方法は、連続アミノアシルを2種ずつ必要な順序で順次縮合するか、又はアミノアシルと予め形成され且つ既に数種のアミノアシルを適切な順序で含むフラグメントもしくはこうして予め調整された複数のフラグメントとを縮合することからなり、当然のことながら、ぺプチド合成で周知の方法に従って特にカルボキシル基の活性化後に通常ペプチド結合の形成に介入しなければならない一方のアミン基と他方のカルボキシル基、又は一方のカルボキシル基と他方のアミン基を除き、これらのアミノアシル又はフラグメントにより担持される全反応基を予め保護するように注意する。変形例によると、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドのようなカルボジイミド型の従来の結合試薬を用いる結合反応を利用してもよい。
【0055】
使用されるアミノアシルが付加的な酸基を有する場合(特にグルタミン酸の場合)には、これらの基は例えばt−ブチルエステル基により保護される。
【0056】
アミノ酸毎の漸進的合成の場合、合成は好ましくは所望の配列中の隣接アミノアシルに対応するアミノ酸とC末端アミノ酸との縮合により開始し、同様にN末端アミノ酸まで漸次合成される。本発明の別の好適方法によると、R.D.MERRIFIELDにより論文“Solid phase peptide synthesis”(J.Am.Chem.Soc.,45,2149−2154)に記載されているような技術を利用する。
【0057】
MERRIFIELDの方法に従ってペプチド鎖を製造するためには、非常に多孔質の樹脂を利用し、該樹脂に鎖の最初のC末端アミノ酸を固定する。このアミノ酸はカルボキシル基を介して樹脂に固定され、そのアミン基は例えばt−ブチルオキシカルボニル基により保護される。
【0058】
最初のC末端アミノ酸がこうして樹脂に固定されたら、樹脂を酸で洗うことによりアミン基の保護基を脱離させる。
【0059】
アミン基の保護基がt−ブチルオキシカルボニル基である場合には、トリフルオロ酢酸により樹脂を処理することにより保護基を脱離させることができる。
【0060】
その後、鎖に固定された最初のC末端アミノ酸の脱保護アミン基上のC末端アミノアシル樹脂から、所望の配列の第2のアミノアシルを供給する第2のアミノ酸を結合する。好ましくは、この第2のアミノ酸のカルボキシル基は例えばジシクロヘキシルカルボジイミドにより活性化され、アミン基は例えばt−ブチルオキシカルボニルにより保護される。
【0061】
こうして2種のアミノ酸を含み、末端アミン基が保護された所望のペプチド鎖の最初の部分が得られる。上述のように、アミン基を脱保護し、その後、第2のC末端アミノ酸の付加に類似する条件下で第3のアミノアシルを固定することができる。
【0062】
こうしてアミノ酸を順次固定し、該アミノ酸は既に形成され且つ樹脂に結合したペプチド鎖の部分から予め脱保護される毎にアミン基上にペプチド鎖を構成する。
【0063】
所望のペプチド鎖の全体が形成されたら、ペプチド鎖を構成する種々のアミノ酸の保護基を脱離させ、例えばフッ化水素酸により樹脂からペプチドを分離する。
【0064】
以下、非限定的な実施例により本発明をより詳細に説明する。
1.2KbフラグメントSacIの単離。
【0065】
本発明の目的は、Typhiの付着−侵入系のクローニングである。
【0066】
使用した株はCollection de L’INSTITUT PASTEURにリファレンス番号CIP 55−35で寄託されたTyphiのTy2株である。
【0067】
Tn5から誘導されるトランスポゾン(MANOIL C.及びBECKWITH J.,1985.TnPhoA:a transposon probe for protein export signals.Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 82,8129−8133)をTyphi Ty2株のゲノムに挿入することにより得られた2000個の独立した突然変異体のバンクから出発し、培養HeLa細胞モデルにもはや侵入しない突然変異体を得た。Typhiによる培養HeLa細胞の感染方法は、次のように行った。10%ウシ胎児血清を含有するRPMI 1640培地でHeLa細胞を培養した。細胞当たり細菌100個の割合でこれらの細胞にTyphiを感染させた。37℃で1時間インキュベーション後、細胞を培養培地で洗浄し、次いで100μg/mlのゲンタマイシンの存在下で再培養した。細胞内細菌をGiemsa染色により24時間後に検出した。
【0068】
この突然変異体のゲノムを制限エンドヌクレアーゼSacIにより消化後、ニトロセルロース膜上のハイブリダイゼーション実験の結果、トランスポゾンが2kbのSacIフラグメントに挿入されていることが判明した。
【0069】
使用したトランスポゾンはカナマイシン耐性をコードするので、トランスポゾンを含む2KbのSacIフラグメントをプラスミドpUC18のSacI部位にクローニングすることができた(VIEIRA J.及びMESSING J.,1982.The PUC plasmids,an M13mp7− derived system for insertion mutagenesis and sequencing with synthetic universal primers. Gene,19,259−268)。この組換プラスミドを使用することにより、本発明の核酸配列を単離した。
【0070】
Ty2株のゲノムDNAをエンドヌクレアーゼSacIにより消化し、この制限産物をクローニングベクターpUC18のSacI部位に連結した。この連結混合物を使用して大腸菌株HB101(Collection de l’INSTITUT PASTEURにリファレンスCIP102400で寄託)を形質転換させた。形質転換細胞の選択は、100μg/mlのアンピシリンを含有する普通ゼロース上で実施した。24時間37℃の炉でインキュベーション後、100μg/mlのアンピシリンを含有する普通ゼロースに堆積したニトロセルロースディスクに形質転換細胞を移した。in situハイブリダイゼーションを行うために、これらのディスクを次に変性用溶液(NaOH 0.5M)、次いで中和溶液(酢酸アンモニウム 1M,NaOH 0.02M)で処理した。これらの処理により遊離及び変性したDNAを80℃で3時間加熱することによりニトロセルロースディスクに固定した。
【0071】
こうして調製したこれらのニトロセルロースディスクを、トランスポゾンを含み且つ32Pで標識した2kbのSacIフラグメントとハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションはDenhardt培地(0.1% Ficoll;0.1%ポリビニルピロリドン;0.1%ウシ血清アルブミン)中、6×SSC(1×SSCは0.15 NaCl及び0.015Mクエン酸三ナトリウム,pH7から構成される)中で65℃で24時間実施した。
【0072】
こうして(図1に太線で示すこのフラグメントの制限地図中でS1及びS2部位により画成される)2kbのSacIフラグメントが挿入されたクローニングベクターpUC18から構成される組換プラスミドを含む大腸菌クローンHB101を単離した。
2.2kbのSacIフラグメントに関連する遺伝子領域。
【0073】
Ty2株のゲノムDNAをエンドヌクレアーゼHindIIIにより消化した。消化産物をアガロースゲル電気泳動により分離し、毛管作用によりニトロセルロース膜に移した。次に前記条件下でいずれも2kbのSacIフラグメントの内側に位置する1.1kbのSacI−BamHIフラグメント(図1のフラグメントA)又は1.3kbのHindIII−EcoRIフラグメント(図1のフラグメントB)とハイブリダイズさせた。
【0074】
2kbSacIフラグメントはTyphi Ty2株のゲノム上の夫々2.3kb及び5.6kbの寸法の2つのHindIIIフラグメント(即ち図1に示すこの領域の酵素制限地図上のH及びH部位により画成される7.9kb部位)によりカバーされることを確認した。
3.サルモネラプローブの単離。
【0075】
2kbのSacIフラグメントを含む組換プラスミドのDNAをエンドヌクレアーゼSacI及びHindIIIにより制限消化した。この二重消化により放出された487塩基対のSacI−HindIIIフラグメントをクローニングベクターpUC18のSacI及びHindIII制限部位の間に再クローニングした。
【0076】
487塩基対のこのSacI−HindIIIフラグメントを以下の文中ではサルモネラプローブと呼称し、該フラグメントは前記核酸配列(I)に対応する。2kbのSacIフラグメントにおけるこのSacI−HindIIIフラグメントの位置を図1に示す。
4.サルモネラプローブの特異性の制御。
【0077】
この制御を実施するために、使用した株を96欠微量滴定用プレートで普通ブイヨン200μl中で24時間37℃で培養した。多重点接種器により、普通ゼロース箱に配置したニトロセルロースシート上で5時間37℃で再培養した。次にニトロセルロースシートを処理し、in situハイブリダイゼーション実験に使用した。
【0078】
サルモネラプローブを作成するために、組換プラスミド(487塩基対のSacI−HindIIIフラグメントを含むpUC18)をエンドヌクレアーゼSacI及びHindIIIにより消化した。アガロースゲル電気泳動によるこの消化産物の分離後、サルモネラプローブを電気溶離により生成した。次に、プローブをニックトランスレーションにより32Pで標識した。
【0079】
65℃Denhardt培地中、6×SSCで18時間の反応時間、ハイブリダイゼーション実験を実施した。これらの実験条件下で、サルモネラ属に属さない384株とサルモネラ属に属し且つサルモネラ属の7種の亜種を含む384株とに細分される768個の細菌株でサルモネラプローブの特異性を制御した。これらの768株はCollection du Centre Collaborateur de l’OMS de Reference et de Recherche pour les Salmonella et de la collection du Centre National pour les Salmonellaから入手した。
【0080】
サルモネラ属に属さない384株のうちでサルモネラプローブに応答するものは皆無であった。
【0081】
384個のサルモネラ株のうちで382株がサルモネラプローブに応答した。サルモネラプローブに応答しなかった2株は、一方がWedding血清型であり、他方がZuerich血清型であった。いずれの場合も血清型の参照株であった。これらの2株は培養HeLa株モデルに対して非侵入性であり、サルモネラプローブの同種フラグメント及び2kbSacIフラグメントをもたないことが確認された。
5.遺伝子増幅後の生物学的産物中におけるサルモネラの検出。
【0082】
生物学的産物中で数千万種の他の細菌から所与の種に属する細菌を検出することは今日ではできない。ヌクレオチドプローブにより多菌性生物学的産物中におけるサルモネラの存在を検出するためには、分析すべきサンプルを培養することにより検出すべき細菌数を増幅し、遺伝子増幅法(又は「ポリメラーゼ鎖反応」即ちPCR法)を使用することによりヌクレオチドプローブで検出しようとするターゲットのコピー数を増幅することが不可欠である。
【0083】
サルモネラでは、487塩基対のSacI−HindIIIフラグメント(サルモネラプローブ)がサルモネラ属に特異的である。分析すべき生物学的サンプルからこのフラグメントの存在を検出したならば、被験サンプルはサルモネラにより汚染されていると予想することができよう。5.1.PCRに使用される2種のプライマーの説明。
【0084】
サルモネラプローブのヌクレオチド配列(I)から、遺伝子増幅法を実施するために使用される2種のプライマーを選択した。
【0085】
以下の説明でSS−1及びSS−2と呼称する2種のプライマーに対応する17塩基配列を使用してサルモネラのコピー数を増幅した。
5.2.SS−1及びSS−2と共にPCRに使用したプロトコル。
【0086】
このプロトコルはPerkin Elmer Cetus(リファレンス番号801−0055)のキット“Gene amp”(登録商標)を使用することにより実施した。プライマーSS−1及びSS−2は200pmolの最終濃度で使用した。最終容量50μlに増幅すべきDNAを含む溶液10μlを使用することにより、製造業者の指示に従って反応混合物を調製した。94℃で120秒間の変性段階、68℃で180秒間の再会合段階、及び72℃で90秒間の伸長段階を含む条件下でPerkin Elmer Cetus(リファレンス番号801−0177)の装置“DNA thermal cycler”(登録商標)を使用することにより、この混合物に増幅サイクルを20回行った。
【0087】
こうして増幅したDNAを、低融点アガロース(BRL; ref.5517)2%及び標準アガロース(Sigma;ref.A−6877)%を含有するアガロースゲルで電気泳動(120Vで30分間)により可視化した。電気泳動後、DNAをニトロセルロースシートに移し、32Pで標識したサルモネラプローブとハイブリダイズした。5.3.方法の特異性及び感度。
【0088】
リファレンスCIP 60.62TでCollection de l’Institut Pasteurに寄託されたサルモネラLT株血清型Typhimurium及び大腸菌株HB101(CIP 102.400)を使用し、以下の実験条件下でPCR法の特異性及び感度を調べた。
【0089】
増幅すべきDNAを含む溶液を次のように調製した。
1)完全細菌を蒸留水100μlに懸濁させた。
2)細菌懸濁液を遠心分離用マイクロチューブ内で100℃で10分間処理した。
3)次に懸濁液をマイクロ遠心機で最大速度で3分間遠心分離した。遠心分離残渣を避けてこの溶液10μlをとり、遺伝子増幅を行った。
【0090】
サルモネラLT2株血清型Typhimuriumの純粋培養物を使用すると、増幅溶液10μl中に10個以下の細菌のDNAが検出された。大腸菌HB101株を使用すると、増幅溶液10μl中細菌10個に対応するDNAで操作した場合にも増幅を検出することはできなかった。2つの細菌株の混合物を作成した場合には、増幅溶液10μl中で10個の大腸菌HB101のDNAと混合した100個以下のサルモネラのDNAが検出された。
5.4.実験室で再構成したサンプル中におけるサルモネラの検出試験。
【0091】
使用したサンプルは動物飼料用ミンチ肉である。サンプルは好気性又は嫌気性のグラム陽性又は陰性細菌により非常に強く汚染されている。顕微鏡で概算すると、細菌合計数はミンチ肉g当たり10個であった。普通ゼロース箱で計数すると、この培地で培養する好気性細菌数はミンチ肉g当たり10であった。このサンプルはサルモネラを含まず、従来の飼料細菌法により実施した3種の分析によると陰性であった。
5.4.1.PCRによる分析用サンプルの作成。
【0092】
ミンチ肉25gに可変数(10,10,10,10,10又は10)のサルモネラ血清型Typhimuriumを加えることによりサンプルを再構成した。再構成したこのサンプルを1リットル容三角フラスコで18時間37℃で撹拌下に大豆トリプトカゼインブイヨン200ml中で培養した。サルモネラを含まないミンチ肉25gを同様に処理した。
【0093】
翌日、三角フラスコを15分間実験室温度で台上で非撹拌下に放置し、より大きい破片を沈殿させた。次に表面からブイヨン1mlをとり、遠心分離用マイクロチューブに通し、マイクロ遠心機で最大速度で3分間遠心分離した。上清をパスツールピペットで完全に除去した。細菌残渣を蒸留水100μlに完全に再懸濁させた後、10分間で100℃にした。再び3分間最大速度で遠心分離した。遠心分離残渣を避けてこの溶液10μlをとり、前記条件下で遺伝子増幅した。
5.4.2.方法の特異性及び感度。
【0094】
サルモネラを含まないサンプル25gから出発した場合には、増幅溶液10μlに含まれるDNAの増幅を全く検出することができなかった。10個以上のサルモネラを含むサンプル25gから出発した場合には、増幅溶液10μlに含まれるDNAの増幅が検出された。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】サルモネラ属細菌ゲノムの制限地図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サルモネラ属の細菌をin vitro検出するためのプローブおよび/またはプライマーとして使用し得る単離された核酸であって、65℃のDenhardt液中6×SSC中で、下記ヌクレオチド鎖(I)
【化1】


を含むチフス菌(Salmonella Typhi)Ty2株由来の7.9kbのHindIIIフラグメントとハイブリダイズし得ることを特徴とする前記核酸。
【請求項2】
65℃のDenhardt液中6×SSC中で、チフス菌(Salmonella Typhi)Ty2株由来のヌクレオチド鎖(I)を含む2kbのSacIフラグメントとハイブリダイズし得ることを特徴とする請求項1に記載の単離された核酸。
【請求項3】
65℃のDenhardt液中6×SSC中で、下記ヌクレオチド鎖(I)
【化2】

とハイブリダイズし得ることを特徴とする請求項1に記載の単離された核酸。
【請求項4】
約200乃至500ヌクレオチドから成るプローブとして使用される請求項1乃至3のいずれかに記載の単離された核酸。
【請求項5】
約10乃至30ヌクレオチドから成るプライマーとして使用される請求項1乃至3のいずれかに記載の単離された核酸。
【請求項6】
サルモネラ属の細菌を含む可能性がある生物サンプル中の当該細菌の存在をin vitroで検出する方法であって、a)65℃のDenhardt液中6×SSC中で当該サンプルと請求項1乃至4のいずれか1項に記載の核酸を接触させる工程、およびb)当該核酸と生物サンプル中の検出すべき核酸配列との間で形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項7】
工程a)の前にサンプルを培養することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程a)の前に、請求項5に記載の核酸からなるプライマー対を用いて検出すべき核酸配列のコピー数を増幅することを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
検出すべき核酸を増幅する工程が、
1)生物サンプル中に存在する可能性があるサルモネラ属の細菌のゲノムから検出すべき核酸を抽出する工程、および
2)‐ 工程1)において抽出された二本鎖核酸を変性させて一本鎖核酸を得る工程、
‐ 上記変性工程で得られた核酸鎖を請求項5に記載の核酸から成るプライマー対と接触させて、当該プライマーが当該核酸鎖にハイブリダイズすることを可能とする工程、および
‐ DNAポリメラーゼおよび適当な量の4種類のヌクレオシド三リン酸(dNTP)の存在下でプライマーがハイブリダイズされる鎖に相補的なDNAを形成し、前記変性段階よりも多数の検出すべき二重鎖核酸を形成する工程を含む増幅サイクルを行う工程
を含み、生物サンプル中に当該核酸が存在する場合には当該核酸が検出できる十分な量で検出されるようにこのサイクルを所定回数反復することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
抽出された核酸がRNAの形態である場合には、工程1)が逆転写酵素を用いて当該核酸を処理する工程を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
サルモネラ属の細菌を含む可能性がある生物サンプル中の当該細菌の存在を検出するためのキットであって、
‐ 少なくとも一対の請求項5に記載の核酸から成るプライマー、および
‐ 検出される核酸とハイブリダイズすることが可能な、標識されていてもよい請求項1乃至4のいずれかに記載の1または2以上の核酸を含むことを特徴とする前記キット。
【請求項12】
当該生物サンプルを培養するのに適した培地を更に含む請求項11に記載のキット。
【請求項13】
増幅サイクルを実施するのに適した試薬、特にDNAポリメラーゼおよび適当な量の4種類のヌクレオシド三リン酸を更に含む請求項11または12に記載のキット。
【請求項14】
前記プローブと検出すべき核酸配列とのハイブリダイゼーション反応を実施するために適当な試薬を更に含む請求項10乃至13のいずれかに記載のキット。
【請求項15】
当該ベクターの複製に必要な部位のうちの1つの中に、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の核酸の少なくとも1つを含む組換えベクター。
【請求項16】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の核酸の前に、その制御下に前記単離された核酸の転写が可能となるプロモーターが存在する請求項15に記載の組換えベクター。
【請求項17】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の核酸の後に転写終結シグナルをコードする配列が存在することを特徴とする請求項16に記載の組換え核酸。
【請求項18】
前記プロモーターが誘導可能なプロモーターである請求項16または17に記載の組換えベクター。
【請求項19】
前記ベクターがプラスミド、コスミドまたはファージである請求項15乃至18のいずれかに記載の組換えベクター。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−220376(P2008−220376A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98986(P2008−98986)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【分割の表示】特願平3−512786の分割
【原出願日】平成3年7月11日(1991.7.11)
【出願人】(591222762)アンステイテユ・パストウール (7)
【出願人】(594158585)アンステイテユ・ナシオナル・ドウ・ラ・サンテ・エ・ドウ・ラ・ルシエルシユ・メデイカル (3)
【Fターム(参考)】