説明

SiO2中のナノ結晶ケイ素および独立ケイ素ナノ粒子の調製方法

水素シルセスキオキサン(HSQ)を還元的熱硬化条件下で処理することによりナノ結晶Si/SiO複合材料を調製する方法が記載されている。また、ナノ結晶Si/SiO複合材料を酸エッチングすることによりケイ素ナノ粒子を調製する方法も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiO中に埋め込まれたナノ結晶ケイ素を、特にシルセスキオキサン前駆体から還元的熱硬化によって、調製する方法に関する。さらに、本発明は前記のSiO中に埋め込まれたナノ結晶ケイ素を酸エッチングすることによる、独立しているケイ素ナノ粒子の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質ケイ素(p−Si)、ケイ素リッチ酸化物(SRO)、および独立Siナノ粒子を含むケイ素のナノ構造体は、その特異な化学的および光学的特性が理由で集中的な研究の的となってきた。バルクケイ素の電子構造は、伝導帯中の最低点と、逆(格子)空間中のさまざまな座標で起こる荷電子帯中の最高点を有しており間接バンドギャップ1.12eVを与える。これらの拘束は、バンドギャップの光学的遷移を双極子禁制にし、低いフォトルミネッセンス強度および遅いキャリア動力学(すなわち、長寿命の励起状態)の故にバルク結晶の実用的な光電子工学用途を制限する。半導体粒子のサイズが「ナノ」サイズ領域まで減少すると、バンドギャップエネルギーが増加し、擬似連続帯域は、量子力学上の選択則に従って存在する、不連続なエネルギーレベルになる。粒子のサイズが励起子のボーア半径(ケイ素約5nm)に近づくと、量子閉じ込め効果が現れて、フォトルミネッセンス(PL)は可視スペクトルにシフトし、より強くなる。一部の研究者達は、光励起されたSiナノ粒子から観察されるPLは、バンドギャップ遷移がこのサイズ領域で許容されて弱く双極子化するために生じると示唆している。他の研究者達は、バルクSi中に存在する表面トラップのパッシベーションが光電子放出をもたらすと主張している。説明とは無関係に、Canhamら、によって報告されている「Si量子細線」、ナノ結晶nc−Si/SiO複合材料、ならびに溶液、6,7,8前駆体熱分解、9,10および物理的技法、11,12,13によって調製された独立Siナノ粒子を含むSiに基づくナノ構造体については、約1.7eVにおいて特徴的な光電子放出の最高点が見られる。ナノスケールの元素Siの特異な光学的性質および電気化学的安定性14は、多様な光放出用途のための大きな可能性を提供する。さらに、SiおよびSiOの生体適合性は、毒性のある電気化学的に活性な化合物半導体ナノ粒子が実用的ではない検出用途において、これらの材料を有用であり得るものとする。
【0003】
Si/SiOナノ複合材料および独立Siナノ結晶9,10,13のPLスペクトルに対するSiナノ結晶サイズの直接の効果を測定することは、界面効果および粒子相互作用15が重要な役割を演じており、複雑に見える。その結果、サイズ効果およびバルクSiの間接バンドギャップがSiナノ結晶のPL挙動に与える影響は不明のままである。PLエネルギーの最高点を粒子サイズに関係付ける方法は多様であり、有効質量近似、16経験的強束縛帯域理論、17,18経験的擬ポテンシャル近似、19,20および非経験的局所密度近似21,22などのさまざまなモデルが提案されている。Siナノ粒子の光学的および化学的応答をよりよく理解しやすくするためには、大きさ、結晶構造、および表面化学が制御された材料を調製する、簡単で費用効果が高く、拡大できる方法が必要である。多孔質ケイ素(p−Si)およびケイ素リッチ酸化物(SRO)などのSiナノ構造体を調製する十分に確立されている物理的技法は、しばしば腐食性の強い試薬(例えば、フッ化水素酸)、費用のかかる手順(例えば、イオン注入、23,24真空蒸発、25スパッタリング、26およびレーザーアブレーション27)を使用し、また膜の化学組成が部分的にしか調整できない。さらに、これらの方法の多くは簡単には拡大できず、巨視的な量(約>500mg)の材料を調製するには実用的ではない。
【0004】
SROは、環境上不活性なSiO様マトリックス中に埋め込まれた発光性結晶Siナノ粒子からできているナノ構造材料の有望な種類である。SROを調製する一般的な方法は、多段プロセスを使用し;第1の段階は、平らな基材上に膜を付着させるために蒸着、物理的スパッタリング、または電子ビーム蒸発などの物理的方法を使用する、薄い「SiO」前駆体膜の蒸着を含む。これらの手段に基づくやり方は、「SiO」の反応性蒸着の間に特定の酸素流量(すなわち分圧)を維持することによって、またはSiO膜(0≦x≦2)を生成させるためにSi、「SiO」およびSiOの共蒸着速度を制御することによって、Si:O比率を制御する。28膜は続いて、Siナノ結晶の形成を促進させるために、還元性雰囲気(通常H4%、不活性ガス96%)において高温でアニールする。29実験パラメーターの反復による変動および蒸着後のマイクロプローブ解析により、約1100℃においてアニールされたSi1.0:O1.5に近い組成比を有する膜が最も強いPLを生じることが過去に示された。それでも、基本的な疑問が、とりわけナノ粒子形成のメカニズム、Si粒子サイズとピークPLエネルギーの間の関係に関して残っている。残念ながら、「SiO」の正確な組成、構造、および純度は、長い間続いている論争の対象となっており、30,31,32これは処理条件に強く依存する。30さらに、「SiO」の正確な化学構造は、はっきりと確定されていないままである。33これらの不確実性は、化学組成およびそれがSROナノ粒子複合材料の材料特性におよぼす影響の合理的な研究を妨げる可能性がある。上述の物理的な「SiO」蒸着技法の他の実用的な制約は、化学組成の些細ではない制御(例えば、ドーパントの直接導入)、およびざらついた基材および「平らでない」基材(例えば、光ファイバーケーブル)の共形被覆がこれらの視線上の技法では幾分か制限されることである。
【0005】
SROは、固体マトリックス内部にあるnc−Siの、光子の、電子の、および化学的な相互作用に関する知見を得るために使用することができるが、これらの同じ性質を、独立のSiナノ粒子に関して研究および理解することが不可欠である。これは、研究が基礎研究を超えて効率的な応用を実現しようとする場合には特に真実である。独立Siナノ粒子の化学反応性および調整性を、単一粒子の分光学と呼応させて研究することは、粒子の光電子放出のよりよい理解と最適化に導く可能性がある。この目的のためには、独立Siナノ粒子を調製する有効な方法が確立されなければならない。独立粒子がp−Si表面から取り除かれたときには、34公開されているデータは、個々のSiナノ粒子はp−Si構造のより大きい(すなわち≧1μm)断片中に捕捉されたままであることを示唆している。11,12,13SROマトリックスからのSiナノ粒子の類似の解放およびバルク調製は、極端に小さいサンプルサイズを仮定すれば実用的ではない。35レーザー誘発前駆体熱分解が、シランから大量のSiナノ粒子を20〜200mg/hrの速度で調製する効率的な方法として最近報告されたが、しかしこの方法は、高価なレーザー装置および通常の大部分の合成研究室では利用できない特注設計の反応器に依存している。9,10溶液に基づく手順は、8,36,37,38,39,40,41,42,43多少の合成後材料加工性を備えているが、しばしば材料純度、はっきりしない粒子表面化学、および限られた環境安定性−すべてこれらの材料の光電子デバイス中での最終用途にとって決定的な基準−に災いされる。
【0006】
シルセスキオキサンは市販されており、溶液処理可能な、分離された、経験式(RSiO1.5)を有するケイ素−酸素骨格から構成される構造的に十分に規定された分子であり、Rはさまざまな化学官能基(例えば、H、アルキル、シリル、および芳香族)でよい。これらの化合物の化学は十分に確立されており、さまざまなかご構造が知られている。44水素シルセスキオキサン(HSQ)、完全に無機のシルセスキオキサン(HSi12)は、最も広く研究されているものの1つであり、モデルシリカ表面、45,46,47,48発光材料、49および触媒担体50,51として研究されてきた。高純度シリカの例もシルセスキオキサン前駆体から調製されてきた。52酸化性熱硬化を行うと、シルセスキオキサンのHSQかご構造は、崩壊し、SiHを放出して、53SiO様網目の固体を形成し、その誘電的、54力学的、および加工特性は硬化条件に依存することが一般的に認められている。HSQの熱硬化によって生成する誘電膜には、現在マイクロチップ産業においてスピンオン平坦化誘電体中間層としての用途がある。54今まで、シルセスキオキサンを使用するSiナノ粒子の調製は報告されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
理想的には、複雑ではなく、費用効果が高く、再現性のある、大量のSiナノ粒子を調製する方法の必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書においては、直接的な還元性熱アニーリングによる接着性、共形性、平坦化性、フォトルミネッセントなナノ結晶Si/SiO(nc−Si/SiO)複合材料の前駆体としての、水素シルセスキオキサン(HSQ)の最初の用途を報告する。さらに、フォトルミネッセントな独立のケイ素ナノ結晶が、nc−Si/SiO複合材料からエッチングによって容易に解放された。
【0009】
したがって、本発明は、水素シルセスキオキサン(HSQ)を含む前駆体を還元的熱条件下で、ナノ結晶Si/SiO複合材料を生成させるのに十分な時間および温度で硬化させることを含む、ナノ結晶Si/SiO複合材料を調製する方法に関する。
【0010】
本発明の一実施形態においては、水素シルセスキオキサン(HSQ)を含む前駆体は膜である。したがって、本発明はまた、
(a)水素シルセスキオキサンを含む膜を形成させること、および
(b)この膜を還元的熱条件下で、ナノ結晶Si/SiO複合材料膜を生成させるのに十分な時間および温度で硬化させること、
を含むナノ結晶Si/SiO複合材料膜を調製する方法にも関する。
【0011】
本発明はまた、本発明の方法を使用して調製されるナノ結晶Si/SiO複合材料も含み、例えば、光電膜ならびに化学センサー、光学増幅器および導波器を含むがこれらだけには限定されないさまざまなデバイス構造中に組み込むためのパターニングされた膜の調製のための、こうした複合材料の使用も含む。
【0012】
HSQの構造上の調整性は、現状の物理的蒸着法を用いてはこれまで達成できなかった膜組成および構造の制御を提供する。
【0013】
本発明はまた、フォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を生成させるのに有効な条件下で上記の方法を使用して調製されたナノ結晶Si/SiO複合材料を酸エッチングすることを含むフォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を調製する方法も含む。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および具体的実施例は、本発明の好ましい実施形態を示してはいるが、本発明の趣旨および範囲内でのさまざまな変更および修正はこの詳細な説明から当業者には明らかとなるので、例示のためにのみ提示するものであることを理解するべきである。
【0015】
ここで本発明を図面と関連させて説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
スペクトルの可視および近赤外領域において発光する付着性で、共形のnc−Si/SiOの複合材料を調製する直接的な方法を説明する。この複合材料は、HSQの膜またはバルクサンプルから形成されてよい。熱重量分析は、サンプルの加熱速度および処理の雰囲気が、SiHの放出から生じる重量損失に影響することを示している。TEM、選択領域電子線回折、および粉末X線回折は、HSQの急速な熱処理の間に放出されるSiHの熱分解から生成すると思われるnc−Siの存在を確認している。HSQの十分に規定された分子構造は、独立水素化物終端ケイ素ナノ結晶の巨視的な量を生成させる直接的な方法をも与えつつ、反応条件の優れた制御および理解をもたらす。加えて、シルセスキオキサンの溶液処理可能性、取扱いの容易さ、および化学的調整性は、化学センサー、光学増幅器、および導波器などのさまざまなデバイス中へ組み込むための、個別用途に合わせた化学応答を有するパターン化された光電子膜の調製を容易にする。
【0017】
したがって、本発明は、水素シルセスキオキサン(HSQ)を含む前駆体を還元的熱条件下で、ナノ結晶Si/SiO複合材料を生成させるのに十分な時間および温度で硬化させることを含む、ナノ結晶Si/SiO複合材料を調製する方法に関する。
【0018】
本明細書で使用する「還元的熱条件」という用語は、水素、および適切にはヘリウム、アルゴンもしくは窒素またはこれらの混合物などの不活性ガスを含むガスの存在下を意味する。本発明の実施形態においては、このガスは水素約2%〜約6%および窒素約94%〜約98%、適切には水素約4%および窒素約96%を含む。
【0019】
ナノ結晶Si/SiO複合材料を生成させるのに十分な時間および温度は、当業者によって、ナノ結晶Si/SiO複合材料の最適の生成が観察されるまで硬化の時間および温度を変化させることによって、決定され得る。ナノ結晶Si/SiOの観察は、例えば、遷移電子顕微鏡法(TEM)、選択領域電子線回折(SAED)、X線回折(XRD)およびフォトルミネッセンス分光法などの当分野で既知の技法を使用して行うことができる。フォトルミネッセンスの最高点は、硬化温度が変わると変わる。本発明の一実施形態においては、還元的硬化は、約900℃〜約1200℃の範囲の温度、適切には約1100℃で、約30分間〜約2時間、適切には約1時間行う。
【0020】
HSQを含む前駆体は、HSQ溶液の形態または固体の形態であってよい。溶液を使用する場合は、HSQ溶液を基材上に塗布してHSQを含む膜を形成させることが望ましい。前駆体が固体の形態である場合は、バルクのナノ結晶Si/SiO複合材料が調製される。固体のHSQは、例えば、HSQを含むストック溶液から溶媒を除去することによって得ることができる。
【0021】
HSQ溶液は、HSQおよびキャリア溶媒を含む任意の適切な溶液でよい。かかる溶液は、例えば、Dow Corningから入手可能である。55本発明の一実施形態においては、溶液はHSQ約5%〜約20%、適当には約10%を、メチルイソブチルケトンなどの適切な溶媒中に含む。
【0022】
本発明の一実施形態は、ナノ結晶Si/SiO複合材料が膜として調製されるものである。したがって、本発明は、
(a)水素シルセスキオキサン(HSQ)を含む膜を形成させること、および
(b)この膜を還元的熱条件下で、ナノ結晶Si/SiO複合材料膜を生成させるのに十分な時間および温度で硬化させること
を含むナノ結晶Si/SiO複合材料膜を調製する方法に関する。
【0023】
本発明の実施形態においては、HSQ膜は、任意の既知の方法を使用して、例えばHSQを含む溶液を基材上にスピンコーティングすることによって、基材上に形成させることができる。HSQ溶液をスピンコーティングすることは、基材上に均一な厚さの膜を与え、スピン速度を変化させることによって膜の厚さを制御することを可能にする。本発明の一実施形態においては、HSQ溶液約0.1ml〜約1.0ml、適切には約0.5mlを基材上に載せて、基材を約0〜7500rpm、適切には約0〜約5800rpmで、約3秒間〜約10秒間、適切には約5秒間、続いてさらに約5〜約60秒間、適切には約30秒間のスピン時間、約4000rpm〜約7000rpm、適切には約6000rpmでスピンさせる。基材は、本発明の方法における使用に適切な任意の不活性な基材であってよい。本発明の実施形態においては、基材は光学グレードのシリカである。適切には、膜は不活性な環境中で基材上に形成される。
【0024】
本発明はまた、本発明の方法を使用して調製されたナノ結晶Si/SiO複合材料に加えて、例えば、化学センサー、光学増幅器および導波器を含むが、これらだけには限定されない、さまざまなデバイス構造中に組み込むための、光電子膜およびパターン化された膜の調製のためのかかる複合材料の使用をも含む。
【0025】
本発明はまた、上記の方法を使用して調製したナノ結晶Si/SiO複合材料を、フォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を生成させるために有効な条件下で、酸エッチングすることを含む、フォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を調製する方法をも含む。
【0026】
ナノ結晶Si/SiO複合材料の酸エッチングは、任意の適切な酸、例えばフッ化水素酸、硝酸またはこれらの混合物を使用して行うことができる。本発明の一実施形態においては、酸はフッ化水素酸、適切には希HFである。
【0027】
フォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を生成させるために有効な条件は、ナノ結晶Si/SiO複合材料膜を、酸を用いて約2分間〜約30分間、適切には約15〜16分間、約20℃〜30℃の範囲の温度で処理することを含む。
【0028】
エッチング後のナノ粒子からのフォトルミネッセンスは、例えば、HNOを使用する化学酸化によって顕著に安定化させることができる。この粒子は、ジオールおよびトリオール中で安定なコロイド状分散体を生成する。
【0029】
したがって、本発明は、フォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を、粒子表面の酸化を達成するのに有効な条件下で酸化剤を用いて処理することによって、本発明のケイ素ナノ粒子のフォトルミネッセンスを安定化させる方法をも含む。
【0030】
有機化合物を用いるナノ粒子表面の改質は、フォトルミネッセンスをさらに安定化させ、これらを広い範囲の溶媒中に分散可能にする。これらナノ粒子の水素終端およびヒドロキシル終端である表面への有機分子の付着などの表面被覆は、ナノ粒子のフォトルミネッセンスを分解に対して顕著に安定化させることが示された。
【0031】
したがって、本発明はまた、フォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を、Si−H終端表面を有するフォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を生成させるのに有効な条件下で処理し、次いでSi−H表面終端ナノ粒子を粒子表面のヒドロシリル化を達成するのに有効な条件下で処理することを含む、本発明のケイ素ナノ粒子のフォトルミネッセンスを安定化させる方法をも含む。
【0032】
本発明はまた、フォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を、Si−OH終端表面を有するフォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を生成するのに有効な条件下で処理し、次いでSi−OH表面終端ナノ粒子を粒子表面のシラン化を達成するのに有効な条件下で処理することを含む、本発明のケイ素ナノ粒子のフォトルミネッセンスを安定化させる方法をも含む。
【0033】
本発明のケイ素ナノ粒子は、例えば、フルカラーディスプレイ、光学センサー、および生体画像化用蛍光標識において使用することができる。
【0034】
以下の非限定的実施例は、本発明を例示するものである。
【0035】
(実施例)
試薬および材料
HSQはDow Corningからメチルイソブチルケトン中の10重量%溶液として購入した(商標FOx−12(登録商標))。このストック溶液は受け入れたままで使用し、使用前は抑えた光と不活性雰囲気の中で貯蔵した。ゴールドラベルのメタノールは、Fisher scientificから購入し、市販のPure−Solv solvent systemを使用して酸素および痕跡の水を取り除いた。電子グレードのフッ化水素酸は、J. T. Bakerから49%水溶液として購入し、受け入れたままで使用した。光学グレードの溶融石英は、Esco Productsから購入した。最高級の片面研磨単結晶Si基材(酸化物バックシールなし)は、Silicon Quest Internationalから購入した。
【0036】
薄膜nc−Si/SiO複合材料の作製
HSQ膜は、Laurell TechnologiesのWS−400B−6NPP/LITEプログラム可能なスピンコーターを、窒素を満たしたグローブボックス中で使用して(HO<0.1ppm;O<0.6ppm)、基材(例えば、Esco Products製の光学グレードのシリカSi(111)およびSi(100))上に堆積させた。ストック溶液0.5mlを基材上に滴下し、続いて0〜5800rpmで5秒間スピンし、続いてさらに30秒間5800rpmでスピンすることによって、無色の均一な膜が形成された。最大スピン速度を変えることで前駆体膜の簡単な厚さ制御が可能になる。HSQ膜を不活性雰囲気中で高温炉へ移し、H4%およびN96%中で1時間アニールした。炉の中でサンプルは所望の温度に達するまでクールステージに留まらせた。続いてステージを炉の「ホットゾーン」中に上げて、そこでサンプルをピーク温度まで急速に加熱し、その温度に1時間留まらせた。透明無色の前駆体およびすべての基材上のコヒーレントで、明るいオレンジの、アニールされた膜の厚さをGaertner Multiangle Elispometerを使用して決定した。それを表1にまとめる。
【0037】
バルクnc−Si/SiO複合材料の調製およびnc−Siの単離
HSQストック溶液から溶媒を除去して白色結晶固体を得た。固体を石英るつぼに入れて不活性雰囲気中で高温炉へ移し、H4%およびN96%雰囲気中で1時間アニールした。複合材料薄膜の調製のときと同様に、サンプルは所望の温度に達するまでクールステージに留まらせ、所望の温度に達したときにステージを炉の「ホットゾーン」に上げて、サンプルをそこに1時間留まらせた。室温まで冷ました後、琥珀色の固体サンプルを取り出し、乳鉢と乳棒で機械的に磨砕して細かい褐色の粉末を得て、これを続いて1:1:1の49%HF:HO:エタノール中で2時間エッチングし、続いてメタノール中で洗浄/遠心分離サイクルを繰り返した。収率:4.8%
【0038】
熱重量分析
熱重量分析(TGA)は、Pyris Thermal Analysis 7.0ソフトウェアを備えたPerkin ElmerのPyris 1 TGAを使用して行った。サンプルをPtパンに入れてNまたはH4%:N96%雰囲気中で室温から1100℃まで10、20、50、100℃/minで加熱した。
【0039】
材料のキャラクタリゼーションおよび装置
アニールされた膜の光吸収スペクトルは、Cary 6000i dual beam UV−vis−NIR spectrometerを使用して測定した。フォトルミネッセンス(PL)スペクトルは、室温でHe−Cdレーザー励起光源の325nm線を使用し、放射を光ファイバーデジタル電荷結合素子(CCD)分光計で検出し、その応答スペクトルを標準黒体放射体を使用して正規化して、評価した。薄膜サンプルのフーリエ変換赤外分光法(FTIR)は、Nicolet Magna 750 IR分光光度計を使用して行った。透過電子顕微鏡観察(TEM)および電子分散X線(EDX)解析は、加速電圧200keVのJEOL−2010(LaB filament)電子顕微鏡を使用して行った。薄いTEMサンプルは、かみそりの刃で膜片を剥がして、これを孔径400μmの銅グリッド上に載せることによって調製した。サンプルは続いて孔ができるまでイオンミルを施し、画像はミルで開いた孔の縁から得た。解放された独立のSiナノ粒子のTEMサンプルは、メタノール懸濁液から炭素で被覆された銅グリッド上に滴下被覆した。nc−Si/SiO複合材料のバルク結晶性は、Cu Kα放射線源を備えたINEL XRG 3000 X線回折計を使用して評価した。
【0040】
(実施例1)
薄膜およびバルクのnc−Si/SiO複合材料の調製
水素シルセスキオキサンは、市販のFOx−12(登録商標)から共形、透明、無色の膜としてスピンコートされ、これはH4%:N96%雰囲気中で還元的熱処理されたときにも透明性を維持し、かすかにオレンジ色に見え、接着性(Scotchテープ試験)および耐摩耗性である(図1、図2)。バルク量の白色、結晶性HSQの、前述の薄膜熱処理条件を使用する還元的アニーリングは、濃い琥珀色の、ガラス状生成物をもたらし、これは機械的に磨砕されるとオレンジ色/褐色の粉末を定量的に近い収率で与える(図2B、C)。TEM、SAED、XRD、およびフォトルミネッセンス分光法は、薄膜およびバルクHSQサンプルの熱処理がルミネッセントで、ダイアモンド格子の、SiO様マトリックス(下記参照)中にカプセル化された元素状ケイ素ナノ晶子を生じることを裏付けた。埋め込まれたSiナノ粒子は、ナノ複合材料を、フッ化水素酸に曝すと簡単に解放される。フッ化水素酸は、ケイ素酸化物マトリックスを優先的にエッチングし去って独立の高度に発光性のnc−Siを残す56(図3)。
【0041】
(実施例2)
熱重量分析
ニートHSQサンプルの熱処理は、熱重量分析(TGA)を使用して評価した。窒素雰囲気中では、10℃/minの加熱速度で得たHSQの熱痕跡は、4つのはっきりした重量損失領域を示す(約50〜225℃;1.8%、225〜375℃;2.1%、約375〜425℃;0.8%、約507℃;43%)。加熱速度を上げると(すなわち、10、20、50、100℃/min)、507℃で観察される重量損失の劇的な減少(図4)が認められた(すなわち、10℃/min、43%に対して100℃/min、5%)。H4%:N96%中のHSQのTGA分析は、加熱速度とは無関係に約5%の重量損失を示す。
【0042】
不活性雰囲気(すなわち、NまたはAr)におけるHSQの熱処理の認められている段階は、図5にまとめてあり、これまで、i) 痕跡溶媒の損失(<200℃)、ii) 付随するSiHの損失を伴う、かごネットワークの再分布(約250〜350℃)、iii) SiHおよびHの損失を伴うSi−Hの熱解離(350〜450℃)、およびiv) 孔構造の崩壊(>450℃)によるものと帰されてきた。HSQの熱的性質の詳細文献調査は、部分的に架橋されたHSQゲルおよび薄膜の熱処理について報告しており、本発明のDSC温度範囲における小さな相違を説明している。57低温(すなわち、250℃〜350℃)熱処理されたHSQ膜の構造は、分光法で調べられたが、どのガス副生成物の素性もまだ分かっていない。このことはTGAの高温領域については違っており、これについてはSiHおよびHの損失が質量スペクトル分析によって確認されている。58本発明者らの窒素雰囲気TGA重量損失の観察と一貫して、Belotらは、高められた加熱速度を用いると507℃でのSiH放出および重量損失が減少することを指摘し、それはSiHが急速に熱分解してケイ素および水素になる結果であり得ると提案した。58本明細書においては、高められた加熱速度を用いた約450℃における重量損失で観察された傾向は、SiHの熱分解およびSiの形成の結果であると確認した。HSQを急速に加熱(すなわち、≧50℃/min)すると、熱によって解放されたSiHは、熱分解する前に急速に形成されるケイ素酸化物マトリックスから逃げることができない。この過程がSiOにカプセル化されたSiナノ結晶を作り出す(図5E)。H4%:N96%雰囲気中で熱処理される場合は、HSQは10℃/minの加熱速度の場合は最大で6.3重量%を失う。理論に限定されたくはないが、この処理雰囲気における水素の正確な役割の1つの可能な説明は、HSQの分解メカニズムに対するHによって誘発される変更であり得る(図5E)。熱処理雰囲気中の低濃度のHが、HSQの脱水素を制限するおよび阻止さえする可能性があり、それによって熱分解に利用可能なSiHを増加させることが考えられる。
【0043】
(実施例3)
FT−IR分光法
ニートHSQのFT−IR分光法は、容易にSi−Hの伸縮に割り当てられる2251cm−1の特徴的な吸収を示している(図6A)。吸収は約1300〜800cm−1の範囲内にも認められ、これまでSi−O−Siかごの枠組みの内部振動に割り当てられてきた。59還元的アニーリングに続いて(図6B)Si−Hの伸縮に割り当てられる吸収は見られなくなり、HSQ分子が架橋されてかご構造は崩壊したことを示唆している。HSQの幅の広いSi−O−Si振動が、SiO様網目中のSi−O−Siの変角に割り当てられる、約1096cm−1を中心とする幅の広い特徴のない吸収に置き換わることも観察された。図6Cは、1:1:1 49%HF:HO:エタノール中で120分間のエッチング後、部分的にエッチングされたnc−Si/SiO粉末の通常のFT−IRスペクトルを示す。特徴的な2100cm−1のSi−Hx伸縮は、粒子の水素化物終端を確認するものである。加えて、エッチング時間の増加と共に、≦1400cm−1のSi−O−Si振動に帰される吸収の強度の著しい減少が認められた。これらの振動は、十分にエッチングされたサンプルでは完全になくなっている(図6D)。SiO様マトリックスの完全な除去を達成するためのエッチング時間は、複合材料の磨砕の効率および対応する複合材料の粒子サイズに依存する。
【0044】
(実施例4)
吸収およびフォトルミネッセンス分光法
HSQ、通常のアニールされたHSQ膜、および解放されたSiナノ粒子の紫外−可視−近赤外(UV−vis−NIR)スペクトルは、nc−Siの存在に関しては限られた情報しか与えない。HSQのスペクトルは特徴がない。対照的に、通常のアニールされた薄膜および懸濁nc−Si/SiO粉末のスペクトルは、約350nmで低いエネルギーの吸収開始を示す。ケイ素ナノ結晶は通常、粒子サイズに依存して、UVまたはブルーに吸収開始を有する。エッチング後は、独立Siナノ結晶のUV−vis−NIR吸収スペクトルは、350nmで低いエネルギーの吸収開始を示す。
【0045】
HSQ前駆体膜は、検出可能なフォトルミネッセンスを示さない。熱処理されたHSQ膜(厚さ=140nm)のフォトルミネッセントな応答に対するアニーリング温度の影響は顕著である(図7)。水素4%の雰囲気中、700℃以下で処理された膜は、計装の限界で検出可能な可視のフォトルミネッセンスを示さない。HSQの薄膜が900℃でアニールされた場合は、〜700nmにピークを持つ弱いPL放射が現れる。アニーリング温度を1100℃まで上げると、より低いエネルギーの放射へ向かう傾向が観察された。1100℃の最高温度でのアニーリングは、ケイ素ナノ結晶膜の特徴である810nmを中心とする強いPL放射がもたらされる。
【0046】
理論に限定されたくはないが、指摘したPL放射最高点の熱処理温度依存性は、知られているHSQの熱分解過程および本発明のTGA分析に照らして理解することができる(上記参照)。明らかに、ゆっくり加熱する間に生成するすべてのSiHは、酸化物網目から逃げ、TGA加熱プロフィール(すなわち、20、50℃/min)および700℃以下で処理された薄膜サンプルのPLキャラクタリゼーションに見られるとおり、熱分解してnc−Siを生成することはない。処理温度を上げると、炉のホットゾーンではサンプル温度はより急速に上昇し、分解前に逃げるSiHが少なくなる。このことは、重量損失がより少ないことおよび目に見えるフォトルミネッセンスが出現することで明示されている。900℃でアニールされたサンプルのPL最高点の正確な起源は完全には明らかでないが、本発明のTGA分析は、サンプルが中等度の速度(約50℃/min)で加熱されたときにはすべての生成したSiHが逃げるのではないことを示唆している。「SiO」膜のこれまでの研究は、Siナノ結晶の結晶化は800〜900℃の間で起こり、28900℃でアニールされたHSQ膜のフォトルミネッセンスは、これらの観察と一貫しているように思われる。900℃未満で処理されたHSQサンプルがもたらすSi粒子のサイズは、標準的なTEMおよびXRD解析の検出限界よりも小さい。これに関しては、これらの膜について観察された低い強度、高エネルギーのフォトルミネッセンス最高点に対する合理的な説明は、マトリックスにトラップされた少量のSiHの熱分解から生じた非常に小さいSiクラスターの光励起/放射ということである。観察されたより低いエネルギーへのシフトは、より高い温度でのアニーリングの後で形成する、より大きい粒子という状況から容易に理解することができる。
【0047】
PL放射ピークを640nmに有する高ルミネッセントなHFで解放されたSiナノ粒子(d=2.1±0.3nm)のメタノール懸濁液のフォトルミネッセンスキャラクタリゼーションを図8Bに示す。HFに曝したときに観察されたPL最高点のブルーへのシフトは、エッチングされたnc−Si/SiOナノ複合材料に関するこれまでの報告と一貫している。35
【0048】
(実施例5)
透過電子顕微鏡観察、EDXおよびSAED
図9Aは、1100℃でアニールされた薄膜の代表的な明視野TEM画像であり、平均直径2.27nm(2σ=0.59nm;n=115)(図9B)の不規則なnc−Si粒子を示している。ケイ素ナノ粒子は、明らかに膜全体に均一に分布している(図9A)。EDX解析はSiおよびOだけの存在を確認している。選択領域電子線回折(図9A、挿入図)は、粒子が結晶性であり、ケイ素の特徴的なダイアモンド格子を有することを示している。メタノール懸濁液からカーボン被覆グリッド上に滴下コートされたHFで解放されたnc−SiのTEM解析は、直径d=2.11nm(2σ=0.82nm;n=50)の不連続なSiナノ粒子を示している(図10)。この明らかな粒子サイズの減少およびサイズ分布の拡大は、限られた粒子エッチングおよびサイズ選択的な沈降(それによって大きい粒子が除去されてエッチング工程を通じて最も小さい粒子だけが溶媒中に懸濁されたままである)の結果であると思われる。(注:見かけの誤差はサイズの差よりも大きい)選択領域電子線回折は、粒子は{111}、{200}、および{311}の反射が目視可能であり、ダイアモンド格子Siであることを裏付けている。
【0049】
(実施例6)
粉末X線回析
SiOに埋め込まれたSiナノ粒子の結晶性は、Cu Kα放射線源を使用する粉末X線回折(XRD)によって評価した(図11)。すべての広げられた反射の位置および強度は、上述の薄膜類似体について指摘されている選択領域電子線回折と一致しており、ダイアモンド格子Siと一貫している。
【0050】
本発明を現時点で好ましい実施例と考えられるものを参照しつつ説明してきたが、本発明は開示した実施例に限定されるものではないことは理解されるべきである。それとは反対に、本発明は添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれるさまざまな変更および等価な配列を範囲に含むものとする。
【0051】
すべての刊行物、特許および特許出願は、あたかもそれぞれの個別の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別にその全体を参照により組み込むものと表示されているかのように同じ程度で、その全体を参照により本明細書に組み込む。本出願中のある用語が参照により本明細書に組み込まれるある文書において異なって定義されていることが見出された場合は、本明細書において与えられている定義がその用語の定義として働くものとする。
【0052】
【表1】

【0053】
明細書中で参照される全引用文献
<1>Buriak,J.M. Chem.Rev.2002,102,1271.
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<32>商業的に入手可能な“SiO”はオレンジ/茶/黒の固体であるが、白色結晶(cub.)のSiOが報告され、融点は>1702℃:Handbook of Chemistry and Physics 73rd Edition,D.R.Linde Editor,CRC Press,Boca Raton,FL.1997.
<33>“SiOx”は動力学的に不活性な非晶性材料であり、熱処理で熱力学的に好ましいナノ結晶SiおよびSiO2に転換するとみなされる。文献30を参照されたい。
<34>Valenta,J.;Janda,P.;Dohnalova,K.;Niznansky,D.;Vacha,F.;Linnros,J. Opt.Mat.2005,27,1046.
<35>最近“SiOx”のバルク熱分解が報告されているが、収率は与えられていない。Liu,S.M.;Sato,S.;Kimura,K. Langmuir 2005,21,6324.を参照されたい。
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<57>HSQ熱特性の詳細な文献研究は部分的に架橋されたHSQゲルおよび薄膜の熱処理を報告し、現在のDSC温度範囲内での小さな相違を説明する。Yang,C,−C;Chen,W.,−C. J.Mat.Chem.2002,12,1138.を参照されたい。
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<59>Albrecht,M.G.;Blanchette,C. J.Electrochem.Soc.1998,145,4019.
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】ケイ素ナノ粒子/SiO様(nc−Si/SiO)ナノ複合材料を調製するための水素シルセスキオキサン(HSQ)の熱処理を示す概略図である。
【図2】Aは透明なnc−Si/SiO膜で被覆された光学グレードのシリカ基材の写真であり、Bは還元的にアニールされたHSQのバルクサンプルの写真であり、Cは機械的に磨砕されたBの写真である。
【図3】標準手持ち紫外線灯で照射されたときのフッ化水素酸で解放されたケイ素ナノ結晶からのオレンジ/赤のフォトルミネッセンスを示す写真である。
【図4】HSQの重量損失の加熱速度依存性を示すグラフである。実線:窒素雰囲気、破線:水素4%/窒素96%雰囲気。
【図5】不活性雰囲気中でのHSQの熱分解の段階を示す図である。
【図6】Aはニートな水素シルセスキオキサン、Bはニートな還元的にアニールされたHSQの赤外スペクトルを示す図である。HFでエッチングされアニールされたHSQは特徴的なSi−H伸縮(2100cm−1)および低減されたSi−O−Si変角(1096cm−1)を示す。Cは60分間、Dは120分間。
【図7】異なる温度で処理されたHSQからのnc−Si/SiOの正規化されたフォトルミネッセンススペクトルを示す図である。A:900℃、B:1000℃、C:1100℃。
【図8】nc−Si/SiOの典型的な正規化されたフォトルミネッセンススペクトルを示す図である。Aはバルク材料、BはHF解放された水素化物表面終端nc−Si。
【図9】Aは、SiO中の2.27±0.59nmのnc−Siの明視野透過型電子顕微鏡写真である。(挿入図:nc−Si/SiO薄膜複合材料の選択領域電子線回折図は{111}、{200}、および{311}のダイアモンド格子Siの特徴的な反射を示す。)Bは、Siナノ結晶のサイズ分布を示すグラフであり、n=115。
【図10】Aは、HFエッチングによって解放された2.1±0.3nmのSiナノ結晶の透過型電子顕微鏡写真である。Bは、解放された水素化物表面終端Siナノ結晶のサイズ分布を示すグラフであり、davg.=2.11、2σ=0.82、n=50粒子。
【図11】機械的に磨砕され、熱処理されたHSQの粉末X線回折図である。注記した反射はダイアモンド格子ケイ素と一致している(*は、アルミニウムサンプルホルダーから生じる反射である)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素シルセスキオキサン(HSQ)を含む前駆体を還元的熱条件下で、ナノ結晶Si/SiO複合材料を生成させるのに十分な時間および温度で硬化させることを含む、ナノ結晶Si/SiO複合材料を調製する方法。
【請求項2】
還元的熱条件が、水素および不活性ガスを含むガスの存在下を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不活性ガスが、ヘリウム、アルゴン、窒素、およびこれらの混合物から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記不活性ガスが窒素である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ガスが、約2%〜約6%の水素および約94%〜約98%の窒素を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記還元的硬化が、約900℃〜約1200℃の範囲内の温度で約30分〜約2時間行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(a) 水素シルセスキオキサン(HSQ)を含む膜を基材上に形成させる段階と、
(b) 前記膜を還元的熱条件下で、ナノ結晶Si/SiO複合材料の膜を生成させるのに十分な時間および温度で硬化させる段階と
を含む、ナノ結晶Si/SiO複合材料の膜を調製する方法。
【請求項8】
HSQを含む溶液を基材上にスピンコーティングすることによって、HSQ膜が基材上に形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
約0.1ml〜約1.0mlのHSQ溶液を基材上に載せ、基材を約0〜約7500rpmで約3秒〜約10秒間スピンさせる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
HSQ溶液が、HSQおよびキャリア溶媒を含む、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記溶液が、約5%〜約20%のHSQをメチルイソブチルケトン中に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基材が光学グレードのシリカである、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
膜が、不活性な環境中で基材上に形成される、請求項7から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
還元的熱条件が、水素および不活性ガスを含むガスの存在下を意味する、請求項7から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記不活性ガスが、ヘリウム、アルゴン、窒素、およびこれらの混合物から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記不活性ガスが窒素である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ガスが、約2%〜約6%の水素および約94%〜約98%の窒素を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項7から17のいずれか一項に記載の方法を使用して調製されるナノ結晶Si/SiO複合材料。
【請求項19】
膜形態の、請求項18に記載のナノ結晶Si/SiO複合材料。
【請求項20】
光電子膜およびパターニングされた膜の調製のための、請求項19に記載の複合材料膜の使用。
【請求項21】
パターニングされた膜が、化学センサー、光学増幅器、または導波器に組み込まれる、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
請求項1から17のいずれか一項に記載の方法を、フォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を生成させるのに有効な条件下で使用して調製されるナノ結晶Si/SiO複合材料を酸エッチングすることを含む、フォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を調製する方法。
【請求項23】
酸が、フッ化水素酸、硝酸、またはこれらの混合物である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
酸がフッ化水素酸である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
フォトルミネッセントケイ素ナノ粒子を生成するのに有効な条件が、ナノ結晶Si/SiO複合材料を酸を用いて約2分〜約30分間、約20〜30℃の範囲内の温度で処理することを含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−545826(P2008−545826A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512658(P2008−512658)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000851
【国際公開番号】WO2006/125313
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507388960)ザ・ガバナーズ・オブ・ザ・ユニバーシティー・オブ・アルバータ (9)
【Fターム(参考)】