説明

TI−架橋粘土ベースのバナジウム触媒とその調製法

本発明は、Ti-PILC上に支持されたP、VおよびMoを含有する複合金属酸化物を使用する高活性で選択性のアンモ酸化触媒の調製法であって、湯浴中で水の存在下でバナジウム源をシュウ酸とともに加熱してシュウ酸バナジルを生成させ;リン源とMo源とTi-PILCとを加え、得られる混合物を空気の存在下で110〜450℃の範囲の温度で15〜35時間の範囲の時間加熱することを含む上記方法と、反応物流として、メチル置換ピリジン、アンモニアおよび酸素(空気)を含むガス混合物を、固定床アンモ酸化触媒上で約350〜450℃の温度で通過させることを含む、メチルピリジンからの複素環式芳香族ニトリル調製における該アンモ酸化触媒の使用とに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、架橋粘土(pillared clay)ベースのバナジウム触媒に関する。本発明はまた、複素環式芳香族ニトリルの製造に有用なチタン架橋粘土上に支持されたバナジウムベースの触媒の調製法に関する。本発明はまた、3-ピコリンのアンモ酸化によるニコチノニトリル(3-シアノピリジン)の製造に有用な架橋粘土ベースのバナジウム触媒の調製法、および3-シアノピリジンの製造のためのその使用に関する。
【0002】
発明の背景
本発明は、医薬品として使用される対応するアミドの調製用の有用な中間体の調製におけるその使用に関する。3-シアノピリジンは、ペラグラの治療に使用されるナイアシンの調製に使用される。ナイアシンに基づく多くの薬剤が治療効果を有し、例えば血中のコレステロールや脂肪酸の限界の低下、呼吸器の刺激、鎮痙作用および抗リウマチ作用を有し、例えば鎮痙性のリスパミン(lyspamin)やコラミン(coramine)、または胆嚢もしくは胆管の感染症の治療に使用されるニケタミド(Nikethamide)やビラミドがある。
【0003】
酸触媒性の化学変換プロセス(例えば炭化水素変換プロセス)およびかかるプロセスで使用される触媒や触媒支持体に関する米国特許第5,614,453号を参照されたい。本発明は特に、ゼオライトベータや架橋粘土の組合せを含む触媒支持体、かかる支持体を含む触媒、および炭化水素変換プロセス(特に水素化分解)におけるかかる触媒の使用に関する。3-ピコリンの変換については言及されていない。また、活性アルミナ上のバナジウム、モリブデンおよびリンに基づく触媒が記載されている、米国特許第2,510,605号、2,839,535号および2,861,999号も参照されたい。しかしニコチノニトリルおよびイソニコチノニトリルの収率は60〜70%の範囲であった。また、76%の変換で90%の選択性を与える、軽石上のバナジウム、モリブデン、およびリン酸化物およびスズ酸化物が記載されている米国特許第3981879号も参照されたい。また、鉄、銅、チタン、コバルト、マンガンおよびニッケルの群からの金属を含有する酸化アンチモン、酸化バナジウムを含み、高選択的性を有し、しかしアンモニアによる還元のために不活性化する触媒が開示されている日本特許第19706号も参照されたい。
【0004】
架橋粘土は代表的には、スメクタイト粘土(例えばモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、およびベイドライト)を架橋剤またはプロップ剤と反応させて凝集反応生成物を生成させ、次にこれを乾燥させて架橋剤を無機金属酸化物クラスター(これは、粘土の層を支える架橋を形成する)に変換することにより調製される。架橋粘土のX線回折パターンは通常、粘土小板の充分秩序だった長距離の面と面が向かい合った配向を示す顕著な1次反射を含有する。
【0005】
3-ピコリンの3-シアノピリジンへの変換のためのチタンベースの架橋粘土触媒の調製法に対する先行技術の探索は、文献検索と特許データベースに基づいて行われているが、関連文献は得られなかった。
【0006】
本発明の目的
本発明の主目的は、複素環式芳香族ニトリルの製造に有用なチタン架橋粘土上に支持された触媒の調製法を提供することである。
本発明の他の目的は、3-ピコリンアンモ酸化によるニコチノニトリル(3-シアノピリジン)の製造に有用な架橋粘土ベースのバナジウム触媒の調製法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、3-ピコリン、アンモニアおよび空気の単一工程反応で3-ピコリンをニコチノニトリルに変換することである。
本発明のさらに別の目的は、3-シアノピリジンを高収率(>90%)で調製する方法を提供することである。
【0007】
発明の要約
従って本発明は、3-ピコリンから3-シアノピリジンへの変換に有用な架橋粘土ベースのバナジウム触媒を提供することであって、該触媒は、Ti架橋粘土支持体上にバナジウム、リンおよびモリブデンを含む。
【0008】
本発明のある実施態様において粘土は、チタンのポリオキシ金属陽イオンで架橋され、層間の架橋としてチタンクラスターを有する。
本発明の別の実施態様において粘土は、単一のスメクタイト粘土および混合層スメクタイト粘土から選択される。
【0009】
本発明の別の実施態様において単一のスメクタイト粘土はモンモリロナイト粘土を含む。
本発明の別の実施態様において混合層スメクタイト粘土は、レクトライトとパラゴナイトから選択される。
本発明の別の実施態様において架橋粘土は、その層間スペース中に架橋の均一な分布を含有し、高さ7〜20オングストロームで幅8〜20オングストロームの範囲のサイズの長方形の開口部または孔の配列を形成し、架橋粘土が2次元の結晶性モレキュラーシーブとして機能することを可能にする。
【0010】
本発明のさらに別の実施態様において、触媒中のバナジウム、モリブデン、リンの、チタン架橋粘土に対する比は、1.0:2.5:0.5:20〜1.0:30:1.5:50である。
本発明のさらなる実施態様において架橋粘土は、セリウム、ランタンおよびこれらの混合物から選択される1つ以上の希土類元素を含有する。
【0011】
本発明はまた、架橋粘土ベースのバナジウム触媒の調製法であって、まずバナジウムの豊富な化合物を湯浴上で加熱し、次にシュウ酸を、集団(mass)の色が青紫(シュウ酸バナジルの生成を示す)に変化するまで加えてシュウ酸バナジルを調製し(シュウ酸バナジルは希薄溶液中である)、湯浴上で加熱したシュウ酸バナジルの希溶液にリン源を加え、次にモリブデン源の水溶液を加えて、攪拌下でチタン源を加えながら混合し、湯浴上で集団が約半分になるまで溶液から溶媒を留去し、粉末の触媒が得られるまで集団をさらに加熱する。
【0012】
本発明の別の実施態様においてバナジウムの豊富は化合物は、メタバナジウム酸アンモニウム、硫酸バナジルおよびバナジウムの酸化物よりなる群から選択される。
別の実施態様においてバナジウムの酸化物は五酸化バナジウムである。
本発明の別の実施態様においてリン源は、オルトリン酸、ピロリン酸、およびメタリン酸よりなる群から選択される。
さらに別の実施態様においてモリブデン源はモリブデンアンモニウムである。
本発明の別の実施態様においてチタン源は、チタン架橋粘土である。
本発明のある実施態様において粘土は、チタンのポリオキシ金属陽イオンで架橋され、層間に架橋としてチタンクラスターを有する。
本発明の別の実施態様において粘土は、単一スメクタイト粘土と混合層スメクタイト粘土から選択される。
【0013】
本発明の別の実施態様において単一スメクタイト粘土はモンモリロナイト粘土を含む。
本発明の別の実施態様において混合層スメクタイト粘土は、レクトライトとパラゴナイトから選択される。
【0014】
本発明のさらなる実施態様において架橋粘土は、セリウム、ランタンおよびこれらの混合物から選択される1つ以上の希土類元素を含有する。
本発明の別の実施態様において、触媒中のバナジウム、モリブデン、リンの、チタン架橋粘土に対する比は、1.0:2.5:0.5:20〜1.0:30:1.5:50である。
本発明の別の実施態様において反応は、1500〜5500h-1の範囲の空間速度で、触媒の容量に対して0.5〜4容量の程度で不活性媒体で触媒を希釈後に行われる。
本発明の別の実施態様において減少した集団は、空気オーブン中で約110℃の温度で15時間加熱され、次にマッフル炉中で約300℃の温度で3時間加熱され、次に約425℃の温度で15時間加熱される。
本発明のさらに別の実施態様において、得られる触媒粉末はペレット化され、−6〜+14メッシュサイズにされる。
【0015】
本発明の別の実施態様においてバナジウムの豊富な化合物は五酸化バナジウムを含み、該プロセスは、1:3〜1:5(w/v)の範囲で五酸化バナジウムと水を加熱3057、次に集団の色が青紫に変わるまで2.5〜3.0重量部の範囲の五酸化バナジウムでシュウ酸を加え;2〜4倍の範囲のシュウ酸バナジルでシュウ酸バナジルの希溶液にリン源を70〜80℃の範囲の温度の加熱浴上で加え;1:4〜1:6(w/v)の範囲のモリブデン源の水溶液を調製し、70〜80℃の範囲の温度の温度で加熱し;両方の溶液を加熱条件で加熱浴上で適切な量のチタン架橋粘土と攪拌しながら混合し;加熱浴上で集団が半分になるまで混合物から溶媒を留去し;集団を空気オーブン中で100〜120℃の範囲の温度で10〜16時間の範囲の時間加熱し、マッフル炉中で250〜350℃の範囲の温度で16〜20時間の範囲の時間加熱し、−6〜+14 BSSの同じサイズ範囲でペレット化することを含む。
【0016】
本方法はまた、単一工程での3-ピコリンから3-シアノピリジンへの変換法を提供し、該方法は、3-ピコリン、アンモニウムおよび空気をTi架橋粘土ベースのバナジウム触媒の存在下で反応させて、酸化剤を加える必要無しで3-シアノピリジンを得ることを含む。
【0017】
本発明のある実施態様において、粘土はチタンのポリオキシ金属陽イオンで架橋され、層間の架橋としてチタンクラスターを有する。
本発明の別の実施態様において、粘土は単一スメクタイト粘土と混合層スメクタイト粘土から選択される。
別の実施態様において、単一スメクタイト粘土はモンモリロナイト粘土を含む。
本発明の別の実施態様において、混合層スメクタイト粘土はレクトライトとパラゴナイトから選択される。
本発明のさらなる実施態様において架橋粘土は、セリウム、ランタンおよびこれらの混合物から選択される1つ以上の希土類元素を含有する。
本発明の別の実施態様において、触媒中のバナジウム、モリブデン、リン、チタンの化合物の架橋粘土に対する比は、1.0:2.5:0.5:20〜1.0:30:1.5:50である。
【0018】
本発明の別の実施態様において架橋粘土は、その層間スペース中に架橋の均一な分布を含有し、高さ7〜20オングストロームで幅8〜20オングストロームの範囲のサイズの長方形の開口部または孔の配列を形成し、架橋粘土が2次元の結晶性モレキュラーシーブとして機能することを可能にする。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明の新規性は、アンモニアと空気を3-ピコリンとともに単一工程で反応させること、3-ピコリンを3-シアノピリジンに変換するための触媒を提供すること、高純度の生成物を与えること、高価な酸化剤を排除すること、そして方法の実施を連続的に行うことを可能にすることであり、発明性は、先行技術の方法と比較して環境にやさしい方法で、方法の明らかではない工程を提供することである。
【0020】
本発明の触媒で使用される好適な架橋粘土は、チタンのポリオキシ金属陽イオンで架橋されており、従って層間に架橋としてチタンクラスターを有する。モンモリロナイトのような単一スメクタイト粘土以外に、レクトライトやパラゴナイトのような混合層スメクタイトも架橋することができ、本発明の触媒で使用することができる。高温で安定性を有する架橋粘土の例は、架橋がセリウムおよび/またはランタンのような1つ以上の希土類元素を含有するものである。かかる粘土は、米国特許第4,753,909号および4,952,544号、およびPCT国際出願WO88/06614に開示されている(これらの開示内容は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0021】
しかし架橋が実質的に希土類元素を含まない架橋粘土は、触媒の成分として使用することができる。架橋粘土とその調製は、論文「挿入粘土触媒(Intercalated Clay Catalysts)」、Science, Vol. 220, No. 4595, pp. 365-371 (1983年8月22日)に一般的に記載されている(その開示内容は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0022】
以下の例は、本発明を例示するものであり、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
実施例1
Ti架橋粘土の調製:部分的に加水分解したTi-ポリ陽イオンの溶液によりモンモリロナイト/ベントナイト粘土を架橋(ナトリウムイオン交換)して、TiO2-PILC(チタン架橋粘土)を合成した。Ti-ポリ陽イオンは、TiCl4の濃縮液を2モルのHCl(塩酸)に加えることにより調製した。次に混合物に絶えず攪拌しながら水をゆっくり加えて希釈して、溶液中のチタンの最終濃度が0.82モルでHClの最終濃度が0.6モルになるようにした。
【0024】
8gのナトリウム交換粘土を2リットルの蒸留水に加えた。スラリーを機械的攪拌器により8時間攪拌した。チタンポリ陽イオン架橋剤をスラリーに、90℃で激しく攪拌しながらゆっくり加えた。この溶液は10mmolチタン/g粘土を含有した。得られた溶液をさらに4時間攪拌した。溶液を室温で18時間維持した。集団を吸引しながらろ過し、蒸留水で完全に洗浄して塩素イオンを除去した。生成物をオーブンで110±10℃で6時間乾燥させた。最後にこれを350℃で12時間マッフル炉中で焼成させた。
【0025】
シュウ酸バナジルの調製:45gの五酸化バナジウム/水(1:5)を蒸気浴上で加熱し、122gのシュウ酸結晶を、スラリーの色が黄色から青紫に変化するまで攪拌しながら1つまみずつゆっくり加えた。これをさらに蒸気浴上で15分加熱した。こうしてシュウ酸バナジルの溶液を調製した。
【0026】
触媒の調製と3-ピコリンのアンモ酸化におけるその使用:上記したように調製した3.1gのシュウ酸バナジル(1.8gの五酸化バナジウムに等しい)を含有する6.6mlのシュウ酸バナジル溶液を、磁製容器に取った。これを40mlの蒸留水で希釈し、攪拌して完全に混合し、70〜80℃に加熱した。この溶液に0.05gのH3PO4(85%)を加え、完全に混合した。0.4gの三酸化モリブデンと5mlの(1:1)水酸化アンモニウムを使用して別の溶液を作成し、70〜80℃で加熱した。両方の溶液を同じ温度で攪拌しながら混合した。混合溶液に7.75gのTi-PILCを絶えず攪拌しながら加えた。これをさらに15分間攪拌した。混合集団を蒸気浴で加熱した。これを次に、空気オーブン中で110℃で15時間加熱し、次にマッフル炉中で300℃で3時間加熱し、さらに425℃で15時間加熱した。粉末の触媒をペレットにし、−6〜+14 BSメッシュの形で使用した。
【0027】
反応は、直径20mmのダウンフロー形の固定床のパイレックス(登録商標)ガラス反応槽を使用し、行った。反応槽に10ml(8g)のTi-PILCベースの触媒を充填した。反応混合物を反応槽の上から供給した。1:3(容量)の比の3-ピコリンと水を、シリンジポンプ(サゲインスツルメント(Sage instrument))を使用して4.35ml/hの速度で供給した。較正したフローメーターによりガスシリンダーからのアンモニアガス(2.1 l/h)と空気(4.5 l/h)を反応槽に供給した。反応は、425±10℃の温度と1.4秒の接触時間で行った(空間速度2571 cc/cc 触媒/時間)。氷冷水を使用して生成物を冷却し、生成物を底に集めた。生成物をガスクロマトグラフィーにより160℃の温度の2mの長さのカーボワックス20Mカラムと熱伝導度検出器とを使用して分析した。生成物(3-ピコリン)の収率は80.6%であり、3-ピコリンの変換は87.6%であった。
【0028】
実施例2
Ti架橋粘土の調製:部分的に加水分解したTi-ポリ陽イオンの溶液によりモンモリロナイト/ベントナイト粘土を架橋(ナトリウムイオン交換)して、TiO2-PILC(チタン架橋粘土)を合成した。Ti-ポリ陽イオンは、TiCl4の濃縮液を2モルのHCl(塩酸)に加えることにより調製した。次に混合物に絶えず攪拌しながら水をゆっくり加えて希釈して、溶液中のチタンの最終濃度が0.82モルでHClの最終濃度が0.6モルになるようにした。
【0029】
8gのナトリウム交換粘土を2リットルの蒸留水に加えた。スラリーを機械的攪拌器により8時間攪拌した。チタンポリ陽イオン架橋剤をスラリーに、90℃で激しく攪拌しながらゆっくり加えた。この溶液は10mmolチタン/g粘土を含有した。得られた溶液をさらに4時間攪拌した。溶液を室温で18時間維持した。集団を吸引しながらろ過し、蒸留水で完全に洗浄して塩素イオンを除去した。生成物をオーブンで110±10℃で6時間乾燥させた。最後にこれを350℃で12時間マッフル炉中で焼成させた。
【0030】
シュウ酸バナジルの調製:45gの五酸化バナジウム/水(1:5)を蒸気浴上で加熱し、122gのシュウ酸結晶を、スラリーの色が黄色から青紫に変化するまで攪拌しながら1つまみずつゆっくり加えた。これをさらに蒸気浴上で15分加熱した。こうしてシュウ酸バナジルの溶液を調製した。
【0031】
3.1gのシュウ酸バナジル(1.8gの五酸化バナジウムに等しい)を含有する8.9mlのシュウ酸バナジル溶液を、磁製容器に取った。これを40mlの蒸留水で希釈し、攪拌して完全に混合し、70〜80℃に加熱した。この溶液に0.1gのH3PO4(85%)を加え、混合した。0.4gの三酸化モリブデンと5mlの(1:1)水酸化アンモニウムを使用して別の溶液を作成し、70〜80℃で加熱した。この溶液を約80℃に温度を維持しながら第1の溶液に攪拌しながら加えた。この混合溶液に7.75gのTi-PILCを絶えず攪拌しながら加えた。これをさらに15分間攪拌した。混合集団を蒸気浴上で溶媒を留去した。これを次に、110〜120℃で15時間オーブン乾燥し、次にマッフル炉中で300℃で3時間焼成し、さらに425℃で15時間加熱した。粉末の触媒をペレットにし、−6〜+14 BSメッシュの形で使用した。
【0032】
反応は、内径20mmのダウンフロー形の固定床のパイレックス(登録商標)ガラス反応槽を使用し、行った。反応槽に5ml(4.38g)のTi-PILCベースの触媒を充填した。反応混合物を反応槽の上から供給した。1:3(容量)の比の3-ピコリンと水を、シリンジポンプ(サゲインスツルメント(Sage instrument))を使用して4.3ml/hの速度で供給した。較正したフローメーターによりシリンダーからアンモニアガス(2.10 l/h)と空気(4.5 l/h)を反応槽に供給した。反応は、440±10℃の温度と0.66秒の接触時間で行った(空間速度5438 cc/cc 触媒/時間)。得られた収率は91%で変換98%であった。
【0033】
実施例3
Ti架橋粘土の調製:部分的に加水分解したTi-ポリ陽イオンの溶液によりモンモリロナイト/ベントナイト粘土を架橋(ナトリウムイオン交換)して、TiO2-PILC(チタン架橋粘土)を合成した。Ti-ポリ陽イオンは、TiCl4の濃縮液を2モルのHCl(塩酸)に加えることにより調製した。次に混合物に絶えず攪拌しながら水をゆっくり加えて希釈して、溶液中のチタンの最終濃度が0.82モルでHClの最終濃度が0.6モルになるようにした。
【0034】
8gのナトリウム交換粘土を2リットルの蒸留水に加えた。スラリーを機械的攪拌器により8時間攪拌した。チタンポリ陽イオン架橋剤をスラリーに、90℃で激しく攪拌しながらゆっくり加えた。この溶液は10mmolチタン/g粘土を含有した。得られた溶液をさらに4時間攪拌した。溶液を室温で18時間維持した。集団を吸引しながらろ過し、蒸留水で完全に洗浄して塩素イオンを除去した。生成物をオーブンで110±10℃で6時間乾燥させた。最後にこれを350℃で12時間マッフル炉中で焼成させた。
【0035】
シュウ酸バナジルの調製:45gの五酸化バナジウム/水(1:5)を蒸気浴上で加熱し、122gのシュウ酸結晶を、スラリーの色が黄色から青紫に変化するまで攪拌しながら1つまみずつゆっくり加えた。これをさらに蒸気浴上で15分加熱した。こうしてシュウ酸バナジルの溶液を調製した。
【0036】
9.35gのシュウ酸バナジル(5.49gの五酸化バナジウムに等しい)を含有する18mlのシュウ酸バナジル溶液を75gの蒸留水で希釈し、0.95gのH3PO4(85%)を加え、混合して溶液Aを調製した。17.6gの六モリブデン酸アンモニウムを65gの蒸留水に溶解して、溶液Bを調製した。両方の溶液を70〜80℃で加熱し、溶液Aを溶液Bに加え、10.5gのTi架橋粘土を加え、完全に混合した。次にこの混合集団を、集団が約半分になるまで蒸気浴上で加熱した。触媒の半乾燥集団を110〜120℃で15時間乾燥し、次に300℃で3時間およびさらに400〜425℃で15時間焼成した。次にこれをペレット(直径6mm)にし、−6〜+14メッシュサイズにした。
【0037】
反応は、直径20mmのダウンフロー形の固定床のパイレックス(登録商標)ガラス反応槽を使用し、行った。反応槽に8.8ml(13.2g)のTi-PILCベースの触媒を充填した。反応混合物、1:3(容量)の比の3-ピコリンと水を、シリンジポンプ(サゲインスツルメント(Sage instrument))を使用して6.0ml/hの速度で供給した。較正したフローメーターによりガスシリンダーからのアンモニアガス(2.4 l/h)と空気(4.5 l/h)を反応槽に供給した。反応は、430±10℃の温度と1.05秒の接触時間で行った。氷冷水を使用して生成物を冷却し、底に集め、次に2回のアイストラップを行った。生成物をガスクロマトグラフィーにより160℃の温度の2mの長さのカーボワックス20Mカラムと熱伝導度検出器とを使用して分析した。得られた3-シアノピリジンの収率は93.0%であり、変換は96.1%であった。
【0038】
本発明の主要な利点は以下である:
1. 触媒が水性媒体中で調製される。
2. 該触媒は活性で安定な低コストの物質である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3-ピコリンから3-シアノピリジンへの変換に有用な架橋粘土ベースのバナジウム触媒であって、Ti架橋粘土支持体上にバナジウム、リンおよびモリブデンを含む触媒。
【請求項2】
粘土は、チタンのポリオキシ金属陽イオンで架橋され、層間の架橋としてチタンクラスターを有する、請求項1の触媒。
【請求項3】
粘土は、単一のスメクタイト粘土および混合層スメクタイト粘土から選択される、請求項1の触媒。
【請求項4】
単一のスメクタイト粘土はモンモリロナイト粘土を含む、請求項3の触媒。
【請求項5】
混合層スメクタイト粘土は、レクトライトとパラゴナイトから選択される、請求項3の触媒。
【請求項6】
架橋粘土は、セリウム、ランタンおよびこれらの混合物から選択される1つ以上の希土類元素を含有する、請求項1の触媒。
【請求項7】
触媒中のバナジウム、モリブデン、リンの、チタン架橋粘土に対する比は、1.0:2.5:0.5:20〜1.0:30:1.5:50である、請求項1の触媒。
【請求項8】
架橋粘土は、その層間スペース中に架橋の均一な分布を含有し、高さ7〜20オングストロームで幅8〜20オングストロームの範囲のサイズの長方形の開口部または孔の配列を形成し、架橋粘土が2次元の結晶性モレキュラーシーブとして機能することを可能にする、請求項1の触媒。
【請求項9】
架橋粘土ベースのバナジウム触媒の調製法であって、まずバナジウムの豊富な化合物を湯浴上で加熱し、次にシュウ酸を、集団の色がシュウ酸バナジルの生成を示す青紫に変化するまで加えてシュウ酸バナジルを調製し、ここでシュウ酸バナジルは希溶液中にあり、、湯浴上で加熱したシュウ酸バナジルの希溶液にリン源を加え、次にモリブデン源の水溶液を加えて、攪拌下でチタン源を加えながら混合し、湯浴上で集団が約半分になるまで溶液から溶媒を留去し、粉末の触媒が得られるまで集団をさらに加熱することを含む、上記方法。
【請求項10】
バナジウムの豊富は化合物は、メタバナジウム酸アンモニウム、硫酸バナジルおよびバナジウムの酸化物よりなる群から選択される、請求項9の方法。
【請求項11】
バナジウムの酸化物は五酸化バナジウムである、請求項10の方法。
【請求項12】
リン源は、オルトリン酸、ピロリン酸、およびメタリン酸よりなる群から選択される、請求項9の方法。
【請求項13】
モリブデン源はモリブデンアンモニウムである、請求項9の方法。
【請求項14】
チタン源は、チタン架橋粘土である、請求項9の方法。
【請求項15】
粘土は、チタンのポリオキシ金属陽イオンで架橋され、層間に架橋としてチタンクラスターを有する、請求項14の方法。
【請求項16】
粘土は、単一スメクタイト粘土と混合層スメクタイト粘土から選択される、請求項14の方法。
【請求項17】
単一スメクタイト粘土はモンモリロナイト粘土を含む、請求項16の方法。
【請求項18】
混合層スメクタイト粘土は、レクトライトとパラゴナイトから選択される、請求項16の方法。
【請求項19】
架橋粘土は、セリウム、ランタンおよびこれらの混合物から選択される1つ以上の希土類元素を含有する、請求項14の方法。
【請求項20】
触媒中のバナジウム、モリブデン、リンの、チタン架橋粘土に対する比は、1.0:2.5:0.5:20〜1.0:30:1.5:50である、請求項9の方法。
【請求項21】
反応は、1500〜5500h-1の範囲の空間速度で、触媒の容量に対して0.5〜4容量の程度で不活性媒体で触媒を希釈後に行われる、請求項9の方法。
【請求項22】
減少した集団は、空気オーブン中で約110℃の温度で15時間加熱され、次にマッフル炉中で約300℃の温度で3時間加熱され、次に約425℃の温度で15時間加熱される、請求項9の方法。
【請求項23】
得られる触媒粉末はペレット化され、−6〜+14メッシュサイズにされる、請求項9の方法。
【請求項24】
バナジウムの豊富な化合物は五酸化バナジウムを含み、該プロセスは、1:3〜1:5(w/v)の範囲で五酸化バナジウムと水を加熱し、次に集団の色が青紫に変わるまで2.5〜3.0重量部の範囲の五酸化バナジウムでシュウ酸を加え;2〜4倍の範囲のシュウ酸バナジルでシュウ酸バナジルの希薄溶液にリン源を70〜80℃の範囲の温度の加熱浴上で加え;1:4〜1:6(w/v)の範囲のモリブデン源の水溶液を調製し、70〜80℃の範囲の温度の温度で加熱し;両方の溶液を加熱条件で加熱浴上で適切な量のチタン架橋粘土と攪拌しながら混合し;加熱浴上で集団が半分になるまで混合物から溶媒を留去し;集団を空気オーブン中で100〜120℃の範囲の温度で10〜16時間の範囲の時間加熱し、マッフル炉中で250〜350℃の範囲の温度で16〜20時間の範囲の時間加熱し、−6〜+14 BSSの同じサイズ範囲でペレット化することを特徴とする、請求項9の方法。
【請求項25】
単一工程で3-ピコリンから3-シアノピリジンへ変換する法であって、3-ピコリン、アンモニウムおよび空気をTi架橋粘土ベースのバナジウム触媒の存在下で反応させて、酸化剤を加える必要無しで3-シアノピリジンを得ることを含む方法。
【請求項26】
粘土はチタンのポリオキシ金属陽イオンで架橋され、層間の架橋としてチタンクラスターを有する、請求項25の方法。
【請求項27】
粘土は単一スメクタイト粘土と混合層スメクタイト粘土から選択される、請求項26の方法。
【請求項28】
単一スメクタイト粘土はモンモリロナイト粘土を含む、請求項27の方法。
【請求項29】
混合層スメクタイト粘土はレクトライトとパラゴナイトから選択される、請求項27の方法。
【請求項30】
架橋粘土は、セリウム、ランタンおよびこれらの混合物から選択される1つ以上の希土類元素を含有する、請求項27の方法。
【請求項31】
触媒中のバナジウム、モリブデン、リン、チタンの化合物の架橋粘土に対する比は、1.0:2.5:0.5:20〜1.0:30:1.5:50である、請求項26の方法。
【請求項32】
架橋粘土は、その層間スペース中に架橋の均一な分布を含有し、高さ7〜20オングストロームで幅8〜20オングストロームの範囲のサイズの長方形の開口部または孔の配列を形成し、架橋粘土が2次元の結晶性モレキュラーシーブとして機能することを可能にする、請求項26の方法。

【公表番号】特表2006−513852(P2006−513852A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570070(P2004−570070)
【出願日】平成15年3月31日(2003.3.31)
【国際出願番号】PCT/IN2003/000101
【国際公開番号】WO2004/087310
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(595059872)カウンシル オブ サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ (81)
【Fターム(参考)】