説明

TNF受容体の可溶性変異体

可溶性の腫瘍壊死因子受容体2(TNFRII)変異体は、野生TNFRIIと比較して92位のGluにアミノ酸の置換を有する。該TNFRII変異体の、TNFα及びリンホトキシンによる細胞毒性を中和する能力が改善される。該TNFRII変異体及びこれを含む融合タンパク質は、TNFα及びリンホトキシン関連疾患の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ医薬技術の分野に属し、具体的には、腫瘍壊死因子(TNF)受容体の誘導体及びその医薬における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバーである腫瘍壊死因子α(TNFα)は、免疫応答、細胞アポトーシス、細胞分化などを調節する生物活性を有する。TNFαは2つの細胞内受容体、すなわちTNF受容体1(TNFRp55)及びTNF受容体2(TNFRp75)を有する。TNFαの過剰産生は、自己免疫疾患を引き起こす重要な原因である。現在、国際的に関節リウマチを治療するための主流のタンパク質類薬物は、TNFの生物学的機能を直接的に遮断するキメラ型抗体(インフリキシマブ;Infliximab)及び可溶性TNFRp75:Fc融合タンパク質(エタネルセプト;Etanercept)である。両者とも顕著な治療効果を示している。
【0003】
エタネルセプトは、同時にTNFα及びリンホトキシン(LT)に結合できるが、約25〜50mgという比較的多くの臨床用量を必要とし、皮下注射により投与したときに、紅斑を引き起こす傾向がある。従って、高親和性でTNF及びリンホトキシンに結合できるTNFRp75を開発し、次いで抗体薬物としてTNFRp75:Fc融合タンパク質を開発することが非常に要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、TNFα及び/又はリンホトキシンに対する高い中和活性を有する可溶性受容体を提供し、それによって、TNFαの中和に必要な可溶性受容体の用量を減らし、自己免疫疾患への治療効果を改善し、薬物の製造コストを下げることである。
【0005】
本発明の別の目的は、より高い中和活性を有する可溶性受容体と、他のアミノ酸断片との間に形成される融合タンパク質を提供することである。
【0006】
本発明のさらなる別の目的は、上記の可溶性受容体又は融合タンパク質をコードするDNA配列を提供することである。
【0007】
本発明のさらなる別の目的は、TNFα及び/又はリンホトキシンに対するより高い中和活性を有する可溶性受容体、又はその融合タンパク質の医薬における使用を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる別の目的は、上記の可溶性受容体又はその融合タンパク質を含む医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者等は、分子構造モデリングによりTNF受容体2、TNFα及びLTの構造について研究を重ね、TNF受容体2の92位アミノ酸が、TNFα及びLTとの結合に必須であることを見出した。次いで、本発明者等は合理的なデザインによって、アミノ酸92位で点突然変異を生じさせ、TNFα及びリンホトキシンに対して高い中和活性を有する、TNF受容体2の可溶性変異体を得た。
【0010】
本発明の第1の態様では、野生型配列(配列番号1)のアミノ酸92位で、アミノ酸の置換を有する可溶性TNFRp75変異体を開示する。これによって、TNFα及びリンホトキシンの細胞毒性に対する該変異体の中和活性は、野生型と比較して30%より高く上昇する。
【0011】
好ましい実施形態では、アミノ酸92位のグルタミン酸(E)は、Asn、His、Ser、Ala、Lys又はGlnのうちの1つによって置換される。すなわち、配列番号1に示す配列の92位アミノ酸Eは、N、H、S、A、K又はQのそれぞれによって置換される。典型的な例は次の通りである。
【0012】
TNFRp75(E92H)変異体のアミノ酸配列は配列番号2に示し、92位がヒスチジン(His)であり、N末端の1〜22位アミノ酸がシグナルペプチドである。
【0013】
TNFRp75(E92A)変異体のアミノ酸配列は配列番号3に示し、92位がアラニン(Ala)であり、N末端の1〜22位アミノ酸がシグナルペプチドである。
【0014】
TNFRp75(E92N)変異体のアミノ酸配列は配列番号4に示し、92位がアスパラギン酸(Asn)であり、N末端の1〜22位アミノ酸がシグナルペプチドである。
【0015】
TNFRp75(E92S)変異体のアミノ酸配列は配列番号5に示し、92位がセリン(Ser)であり、N末端の1〜22位アミノ酸がシグナルペプチドである。
【0016】
いくつかの好ましい実施形態では、92位のGlu(E)の置換に加えて、89位のトリプトファン(Trp)が、Try、Phe、His、Lys、Met又はLeuによってさらに置換される。典型的な例は次の通りである。
【0017】
TNFRp75(E92N、W89Y)変異体のアミノ酸配列は配列番号6に示し、89位がチロシン(Try)、92位がアスパラギン酸(Asn)であり、N末端の1〜22位アミノ酸がシグナルペプチドである。
【0018】
TNFRp75(E92S、W89Y)変異体のアミノ酸配列は配列番号7に示し、89位がチロシン(Try)、92位がセリン(Ser)であり、N末端の1〜22位アミノ酸がシグナルペプチドである。
【0019】
TNFRp75(E92N、W89F)変異体のアミノ酸配列は配列番号8に示し、89位がフェニルアラニン(Phe)、92位がアスパラギン酸(Asn)であり、N末端の1〜22位アミノ酸がシグナルペプチドである。
【0020】
本発明の第2の態様では、可溶性TNFRp75変異体及び別のアミノ酸断片を含む融合タンパク質を開示する。前記別のアミノ酸断片はTNFRp75変異体の安定性を高め、その生物学的半減期を改善するように働く。
【0021】
前記別のアミノ酸断片は、ヒト免疫グロブリン(IgG)の定常部(Fc)、又はアルブミンの5つの機能領域のうちの1つから選択される。
【0022】
前記別のアミノ酸断片は、TNFRp75変異体のC末端に位置する。
【0023】
好ましい実施形態では、前記別のアミノ酸断片は、ヒト免疫グロブリン(IgG)の定常部(Fc)の232個アミノ酸である。融合タンパク質は、可溶性TNFRp75変異体とヒトIgGのC末端にあるFc断片の232個アミノ酸とによって形成され、両者の間に別の連結断片があってもなくてもよいが、別の連結断片がない方が好ましい。典型的な例は次の通りである。
配列番号9に示すTNFRp75(E92H):Fc変異体アミノ酸配列、
配列番号10に示すTNFRp75(E92A):Fc変異体アミノ酸配列、
配列番号11に示すTNFRp75(E92N):Fc変異体アミノ酸配列、
配列番号12に示すTNFRp75(E92S):Fc変異体アミノ酸配列、
配列番号13に示すTNFRp75(E92N、W89Y):Fc変異体アミノ酸配列、
配列番号14に示すTNFRp75(E92S、W89Y):Fc変異体アミノ酸配列、
配列番号15に示すTNFRp75(E92N、W89F):Fc変異体アミノ酸配列。
【0024】
本発明の第3の態様では、上記の可溶性受容体又は融合タンパク質をコードするDNA配列を開示する。当技術分野ではよく知られているように、本発明による可溶性受容体又は融合タンパク質をコードするDNA配列は、コドンの縮重及び異なる宿主細胞のコドンバイアスによって変わり得るが、これらのDNA配列によってコードされるアミノ酸配列が変化しない限り、これらのDNA配列も本発明の範囲内である。
【0025】
本発明の第4の態様では、上記の可溶性TNFRp75変異体又はその融合タンパク質の医薬における使用、具体的には、関節リウマチ、乾癬、強皮症、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、エリテマトーデス、皮膚筋炎及び全身性エリテマトーデス様症候群が挙げられるがこれに限定されない、TNFα及び/又はリンホトキシンの過剰発現に関連する疾患の治療における使用を開示する。
【0026】
本発明の第5の態様では、上記の可溶性TNFRp75変異体又はその融合タンパク質を含む医薬組成物を開示する。
【発明の効果】
【0027】
本発明におけるTNFRp75変異体及びその融合タンパク質は、TNF及びリンホトキシンに対する増加した結合能を有する。例えば、TNFαに対する可溶性TNFRp75(E92N):Fcの中和活性は、野生型可溶性TNFRp75:Fc(AMGEN社のエンブレル(ENBREL))の場合の1.33倍であり、リンホトキシンに対する中和活性は、野生型可溶性TNFRp75:Fc(AMGEN社のエンブレル)の場合の2.77倍である。本発明におけるTNFRp75変異体及びその融合タンパク質は、TNFα及びLTに関連する疾患の治療に有用である。活性が上昇したため、臨床用量を減らすことにより、薬物を皮下注射により投与したときに紅斑が生じる確率を低下できよう。さらに、結合TNFαの解離時間を増やすことは、薬物の作用時間を延ばすのに有利であろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】図1〜6は、TNFα又はLT28−171の細胞毒性に対するTNFRp75変異体:Fc融合タンパク質、及び各実験で対照として用いる野生型TNFRp75:Fc融合タンパク質の中和を示す図である。図1Aは、TNFαの細胞毒性に対するTNFRp75(E92A):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【図1B】図1Bは、LT28−171の細胞毒性に対するTNFRp75(E92A):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【図2A】図2Aは、TNFαの細胞毒性に対するTNFRp75(E92H):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【図2B】図2Bは、LT28−171の細胞毒性に対するTNFRp75(E92H):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【図3A】図3Aは、TNFαの細胞毒性に対するTNFRp75(E92N):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【図3B】図3Bは、LT28−171の細胞毒性に対するTNFRp75(E92N):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【図4A】図4Aは、TNFαの細胞毒性に対するTNFRp75(E92N、W89Y):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【図4B】図4Bは、LT28−171の細胞毒性に対するTNFRp75(E92N、W89Y):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【図5A】図5Aは、TNFαの細胞毒性に対するTNFRp75(E92S、W89Y):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【図5B】図5Bは、LT28−171の細胞毒性に対するTNFRp75(E92S、W89Y):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【図6A】図6Aは、TNFαの細胞毒性に対するTNFRp75(E92N、W89F):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【図6B】図6Bは、LT28−171の細胞毒性に対するTNFRp75(E92N、W89F):Fc融合タンパク質の中和を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。実施例は本発明を説明するためだけのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないと理解されたい。以下の実施例において、特定の実験条件を示していないものは、通常の条件下、又はメーカ推薦の条件に従って行う。特に説明がない限り、比率及びパーセンテージは重量に基づく。
【0030】
本明細書において、互換的に使用できる用語「TNF受容体2」、「TNFRp75」及び「TNFRp75受容体」とは、ヒトに由来するTNFRp75受容体、及びネズミ、ブタ、ウマ又はウシに由来するそのホモログを含む。好ましくは、ヒトTNFRp75受容体である。天然の野生型ヒトTNFRp75受容体のアミノ酸配列は、配列番号1に示す。
【0031】
本明細書において、「可溶性TNFp75受容体」とは、TNFp75受容体の細胞外領域、すなわち、野生型ヒトTNFp75受容体のN末端1〜257位のアミノ酸からなるリガンド結合ドメインを言い、そのうちN末端1〜22位のアミノ酸がシグナルペプチドである。
【0032】
本明細書において、「可溶性TNFp75受容体」又は「本発明における可溶性TNFp75受容体変異体」とは、好ましくは野生型より少なくとも2倍増加した、TNFに対する結合能を有し、好ましくは少なくとも10倍増加した、LTに対する結合能を有するTNFp75受容体変異体を意味する。かかる変異体は、アミノ酸の挿入、欠失又は置換によってつくることができ、好ましくはアミノ酸の置換である。例えば、E92Hは、野生型配列の92位のGluが、変異体ではHisに置換されることを意味しており、アミノ酸の番号は野生型配列に従う。
【0033】
「アミノ酸の置換」とは、遺伝子工学又は人工合成技術によって、ポリペプチド、タンパク質又はタンパク質の断片中の1つ又は複数のアミノ酸を、別の種類のアミノ酸又は別のいくつかの種類のアミノ酸に置き換えることを言う。
【0034】
本発明におけるTNFp75受容体変異タンパク質は、当技術分野ですでに知られているヒト可溶性TNFp75受容体配列に従ってプライマーを合成し、次いでPCR法により可溶性TNFp75受容体のコード配列を増幅するか、或いは可溶性TNFp75受容体のコード配列は人工的に合成することもできる。可溶性TNFp75受容体のコード配列を遺伝的に改変するための点突然変異誘発技術などの技術は、当業者によく知られている。例えば、部位特異的突然変異誘発、カセット突然変異誘発及び突然変異誘発性ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)がその中に挙げられている、「Mutagenesis:A Practical Approach」、M.J.McPherson編(IRL出版局、オックスフォード、英国(1991))を例えば参照されたい。
【0035】
可溶性TNFp75受容体をコードする断片と、他のアミノ酸をコードする断片とをコンジュゲートするための手法は、当業者にはよく知られている。例えば、融合タンパク質をコードするDNA配列は、制限酵素による消化、ライゲーション、又は相補的な突出末端のライゲーションなどの方法によって得ることができる。
【0036】
上記のようにして得た、本発明による変異タンパク質をコードする部位特異的変異体のDNA配列は、次いで適切な発現ベクターに挿入し、続いて適切な宿主細胞に形質転換する。最後に、形質転換した宿主細胞を培養し、分離及び精製することによって融合タンパク質を得る。
【0037】
本発明に有用な発現ベクターは、市販のベクターなど広範囲から選択できる。例えば、市販のベクターを選択し、本発明による変異タンパク質をコードするヌクレオチド配列が発現制御配列に機能的に結合し、それによってタンパク質発現ベクターをつくる。
【0038】
本明細書において、「機能的に結合する」とは、直鎖DNA配列のいくつかの部分が、同じDNA配列の他の部分の活性に作用できるような状況を意味する。例えば、もしシグナルペプチドDNAが前駆体としてペプチド分泌に関与すれば、それ(分泌のためのリーダー配列)はポリペプチドをコードするDNAに「機能的に結合」し、もしプロモーターがDNA配列の転写を制御すれば、プロモーターはコード配列に「機能的に結合」し、もしリボソーム結合部位がその翻訳を可能にする位置にあれば、リボソーム結合部位はコード配列に「機能的に結合する」。一般的に、「機能的に結合する」とは、隣接することを意味するが、分泌のためのリーダー配列に関しては、リーディングフレーム内で隣接することを意味する。
【0039】
本発明に関して使用するとき、「宿主細胞」とは、真核生物細胞及び原核生物細胞を含む。一般に使用する原核生物細胞には、大腸菌及び枯草菌などが挙げられる。一般に使用する真核生物細胞には、酵母細胞、昆虫細胞及び哺乳類動物細胞が挙げられる。
【0040】
本発明の実施例における、可溶性TNFRp75受容体:Fc融合タンパク質を調製するための方法は、
i.野生型可溶性TNFp75受容体をコードする配列を改変して92位アミノ酸を置換し、改変した配列とFc断片をコードする断片とをコンジュゲートし、それによって融合タンパク質をコードする遺伝子を得るステップと、
ii.上記で得た、改変した可溶性TNFp75受容体:Fc融合タンパク質をコードする遺伝子を、発現プラスミドにクローン化するステップと、
iii.改変した可溶性TNFp75受容体:Fc融合タンパク質をコードする遺伝子を保有する発現プラスミドで宿主細胞を形質転換するステップと、
iv.形質転換した宿主細胞を培養するステップと、
v.宿主細胞及び培養液を採取し、次いで可溶性TNFp75受容体:Fc融合タンパク質を分離及び精製するステップとを含む。
【0041】
本発明にかかる可溶性TNFp75受容体:Fc融合タンパク質は、関節リウマチ、乾癬、強皮症、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、エリテマトーデス、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス様症候群などが挙げられるがこれに限定されない、TNF過剰発現に関連する疾患の治療に有用である。
【0042】
本発明における前記可溶性TNFp75受容体:Fc融合タンパク質は、単独で又は化学療法薬などの他の薬物と組み合わせて使用することができる。
【0043】
本発明は、有効量の1つ又は複数の本発明の可溶性TNFp75受容体:Fc融合タンパク質、及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物をさらに提供する。一般的に、上記の組成物は、活性成分及び賦形剤を混合する、又は賦形剤とともに活性成分を希釈する、又は例えばカプセル又は小袋の形態で担体中の活性成分をカプセル封入することによって調製することができる。希釈剤は、固体、半固体又は液体でもよい。組成物は、錠剤、丸薬、散剤、水薬、シロップ及び無菌注射溶液の形態でもよい。適切な賦形剤の例は、ラクトース、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水などからなる群から選択される1つ又は複数の薬剤を含むことができる。かかる組成物は、希釈剤、乳化剤、保存料(ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピルなど)及び甘味剤からなる群から選択される1つ又は複数の薬剤も含むことができる。
【0044】
本発明による可溶性TNFp75受容体:Fc融合タンパク質及び医薬組成物の投与経路は特に限定されず、筋肉内注射、静脈内注射、皮下注射、吸入又は噴霧などの、経口投与、非経口投与又は局所投与に適した形態でもよい。好ましくは経口投与である。
【0045】
錠剤又はカプセル剤の形態で経口投与するとき、可溶性TNFp75受容体:Fc融合タンパク質は、通常、平均体重60〜70kgの成人に対して1mg〜1000mgの範囲内の用量で投与でき、或いは0.1〜500mgの範囲内の用量で非経口的に注射することができる。可溶性TNFp75受容体:Fc融合タンパク質は1日に1回又は数回投与することができる。単位用量の医薬組成物は、一般的に1mg〜500mgの範囲内の活性成分を含み、通常は1mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgである。
【0046】
本発明の組成物を用いて具体的な疾患を治療する場合、活性成分の用量及び投与計画は、体重、年齢、性別、症状、治療する病気の重症度、並びに特定の投与経路及び投与頻度を含む様々な因子によって決めることになるが、医療関係者が決め得る。
【0047】
本発明で使用する野生型ヒト可溶性TNFp75受容体:Fc融合タンパク質は、商品名エンブレル(ENBREL)としてAMGENから入手される。本発明で使用するTNFαは、B&D社から入手される。本発明で使用するLT28−171は、中国特許出願公開公報第00111884.6号に開示されている方法に従って調製される。
【0048】
以下の実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。実施例は本発明を説明するためだけのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないと理解されたい。以下の実施例において、特定の実験条件を示していないものは、通常の条件下、例えばSambrookらのMolecular clonging:a laboratory manual(ニューヨーク:コールドスプリングハーバー研究所出版局、1992)に記載されている条件下、又はメーカ推薦の条件に従って行う。
【実施例】
【0049】
実施例1.TNFR75(E92H):Fc融合タンパク質の調製
(1)TNFRp75(E92H):Fc融合タンパク質をコードする遺伝子の調製
野生型ヒト可溶性TNFRp75:Fc融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を鋳型として用いて、SOE−PCR(Splicing by Overlapped Extension PCR)技術によって可溶性TNFp75受容体をコードする変異体DNA配列を得た。変異部位を含む、可溶性TNFp75受容体をコードするDNA断片の前半を、鋳型として野生型可溶性TNFRp75:Fc融合タンパク質のコードDNA、及び以下のプライマー:
TNFRp75p:aagcttatggctcccgtcgccgtctggg(配列番号16)
E92HpF1:TGCTTGAGCTGTGGCTCCCG(配列番号17)
を用いて増幅した。
【0050】
次いで、変異部位及びFc断片の両方を含む、可溶性TNFp75受容体をコードするDNA断片の後半を、以下のプライマー:
Fcp:gaattcctatttacccggagacaggg(配列番号18)
E92HpR1:CGGGAGCCACAGCTCAAGCAgtgGGGAA(配列番号19)
を用いて増幅した。
【0051】
最後に、TNFRp75(E92H):Fc融合タンパク質をコードするDNA断片を、上記で得た2つのPCR産物を鋳型として、並びにプライマーTNFRp75及びFcpを用いてPCRで増幅して得た。
【0052】
(2)発現ベクターの構築
配列決定により検証した後、上述のようにして得たPCR産物をHindIII及びEcoRIで消化し、次いで市販の発現ベクターpcDNA3(Invitrogen)に挿入した。制限酵素による消化及びライゲーションは、製品説明書に従って行った。
【0053】
(3)トランスフェクション
可溶性TNFp75受容体:Fc融合タンパク質をコードする発現ベクターを大腸菌DH5αに形質転換した。陽性クローンを500mlのLB培養フラスコ中で増殖させ、次いで製品説明書に従ってQiagen社の超高純度プラスミドDNA精製キット(Ultrapure Plasmid DNA Purification Kit)により、DNAを抽出及び精製した。上述のようにして得たプラスミドDNAを、製品説明書に従ってInvitrogen社から入手したリポフェクタミンキットを使用して、CHO−K1細胞(ATCCから入手したチャイニーズハムスター卵巣細胞)にトランスフェクトした。
【0054】
(4)クローンの選別
トランスフェクションから24〜48時間後、培養液を、G418(Geneticin)を含む選別用培養液に交換した。細胞クローンが形成されるまで、選別用培養液を3〜4日毎に交換した。細胞クローンが直径1〜2mmに増殖したとき、モノクローンを24穴プレートに移した。細胞が集密度50〜70%に達した後、各穴中の上澄をELISAアッセイにより試験し、TNFRp75変異体:Fc融合タンパク質の高い発現を有するクローンを、薬物による選別のために選択した。薬物の濃度が最大値に達したとき、各クローンにおけるTNFRp75変異体:Fc融合タンパク質の発現濃度を測定し、高い発現濃度及び十分な増殖を有する2つのモノクローナル細胞株を播種用貯蔵のために選択した。
【0055】
ELISAアッセイは次のように行った。抗体(抗ヒトTNFRp75特異的モノクローナル抗体、B&D社)を、コーティング緩衝液(CBS、pH9.6)中で1μg/mlに希釈し、96穴プレート(100μl/穴)に加え、5℃で一晩放置した。穴中の液体を除去し、穴をPBSTで3回洗浄した。乾燥させた後、400μl/穴のブロッキング溶液(1%BSA PBST)をプレートに添加し、室温で2時間インキュベートし、次いでPBSTで3回洗浄し、乾燥させた。標準試料(Amgen、商品名エンブレル)を希釈液中で連続的に希釈した。発現したタンパク質を含む上澄みを1μg/mlに希釈し、96穴プレート(100μl/穴)の対の穴に添加した。プレートを37℃で1時間インキュベートした。その後、穴中の液体を除去し、穴を3回洗浄して乾燥させた。酵素結合抗体(HRP抗ヒトIgG Fc特異的抗体、PIERCE)を希釈液中で一定の濃度(1:20000)に希釈し、96穴プレート(100μl/穴)に添加し、37℃で1時間インキュベートした。次いで穴中の液体を除去し、穴を5回洗浄して乾燥させた。調製した基質混合液を96穴プレート(100μl/穴)に添加し、37℃で10分間インキュベートした。停止液(50μl/穴)を穴に添加して反応を停止させた。OD値を490nmで読み出し、試料中のタンパク質含有量を標準曲線に従って導いた。
【0056】
(5)細胞培養
1×10個/mlの細胞を37℃で3〜4日間、500ml培養フラスコ中でぞ職させた。継代:細胞密度が2×10個/mlに達したとき、細胞を720cmのローラーボトルに移し、3〜4日間培養した。継代:4×10個の細胞を1445cmのローラーボトルに移し、6日間培養した。培養液の交換:細胞培養がプラットフォームに達したとき、培養液を無血清培地(SFM、Gibco社)に交換した。培養液の回収:SFM中での増殖から6日後、上澄液を採取し、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーにより精製して、8.7mgのTNFRp75(E92H):Fc融合タンパク質を精製した。
【0057】
実施例2〜7.他のTNFRp75変異体:Fc融合タンパク質の産生
TNFRp75(E92A):Fc、TNFRp75(E92N):Fc、TNFRp75(E92S):Fc、TNFRp75(E92N、W89Y):Fc、TNFRp75(E92S、W89Y):Fc及びTNFRp75(E92N、W89F):Fcをコードするヌクレオチド配列を産生するための共通プライマーを以下に示す。
TNFRp75F:aagcttatggctcccgtcgccgtctggg(配列番号16)
Fcp:gaattcctatttacccggagacaggg(配列番号18)
【0058】
TNFRp75(E92A):Fc、TNFRp75(E92N):Fc、TNFRp75(E92S):Fc、TNFRp75(E92Q):Fc、TNFRp75(E92N、W89Y):Fc、TNFRp75(E92S、W89Y):Fc及びTNFRp75(E92N、W89F):Fcをコードするヌクレオチド配列を産生するための特異的プライマーを以下の表に示した。
【0059】
【表1】


他の手順は実施例1と同様に行った。
【0060】
実施例8.LT28−171に対するTNFRp75変異体:Fc融合タンパク質の中和活性のアッセイ
(1)細胞播種
L929細胞を1.0×10個/穴の密度で96穴マイクロタイタープレートに播種した。アクチノマイシンD、1ng/mlのLT28−171、及び勾配濃度のTNFRp75(E92A):Fcを実験群の各細胞に添加し、アクチノマイシンD,1ng/mlのLT28−171、及び勾配濃度の野生型rhTNFRp75:Fcを対照群の各細胞に添加した。96穴プレートを37℃、5%COで24時間インキュベートした。
【0061】
(2)終点の測定
培養液を96穴プレートから完全に除去した。40μlの染色液を各穴に添加した。10分後、染色液を除去し、使用した水が無色になるまでプレートを水で3回洗浄した。
【0062】
残留水を可能な限り乾燥させることができた。100μl/穴の脱色液を96穴プレートの各穴に添加し、充分に混合させた。プレートを酵素標識メーターにより570nmで読み出した。
【0063】
(3)結果解析
データ処理ソフトウェアのグラフパッドプリズム4.0(PraphPad Prism4.0)における4パラメータ式により、結果を自動的に解析した。x軸は標準試料濃度の対数であり、y軸はOD570値である。最大効果の50%に対する濃度(EC50)もこのソフトウェアで導かれ、LTに対するTNFRp75(E92A):Fcの中和活性については7.93ng/ml、LTに対する野生型rhTNFRp75:Fcの中和活性については22.31ng/mlであった。LTに対する変異体の中和活性は、291%に上昇した。実験結果に従ってプロットした「S」字曲線を図1に示した。
【0064】
LT28−171の細胞毒性に対する他のTNFRp75:Fc変異体の中和活性のアッセイを同じ方法で行った。結果を以下の表に示した。実験結果に従ってプロットした「S」字曲線を図2〜6に示した。
【0065】
【表2】

【0066】
実施例9.TNFαの細胞毒性に対するTNFRp75:Fc変異体の中和活性のアッセイ
L929細胞を1.0×10個/穴の密度で96穴マイクロタイタープレートに播種した。アクチノマイシンD、10ng/mlのTNFα、及び勾配濃度のTNFRp75:Fc又はその変異体をプレートの各細胞に添加した。96穴プレートを37℃、5%COで24時間インキュベートした。
【0067】
他の手順及びデータ処理は、実施例8に記載したように行った。
【0068】
結果を以下の表に示した。図中のx軸は融合タンパク質濃度(ng/ml)の対数であり、y軸は570nmでの光吸収である。
【0069】
【表3】

【0070】
図1〜6に示すように、グラフパッドプリズム4.0ソフトウェアを用いた実験結果に従って「S」字曲線をプロットした。
【0071】
実施例10.TNFα及びLTに対するTNFRp75(E92N、W89Y):Fcの結合定数の測定
(1)材料及び器具
A.リガンドであるTNF−α及びLT、受容体であるrhTNFRp75:Fc、及びTNFRp75(E92N、W89Y):Fc3.8mg/mL
B.HBS−P緩衝液(10mMのHEPES、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.005%(v/v)の界面活性剤P20、pH7.4)
C.全てSigma社から購入した、活性化剤であるN−エチル―N’−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)、N−ヒドロキシサクシンイミド(NHS)、エタノールアミンなど
D.生体高分子間の相互作用を測定するための装置:GE社から購入したビアコア3000(BIAcore3000)、カルボキシメチルセルロースセンサーチップ(CM5)(G.E.社)
【0072】
(2)方法
A.rhTNFRp75:Fcのコンジュゲーション
ビアコア3000のソフトウェアウィザード(Wizard)で提供された、アミノ基コンジュゲーション法を用いて、rhTNFRp75:FcをCM5チップのFC2チャンネルにコンジュゲートさせた。HBS−Pをランニング緩衝液として使用し、1mg/mLのrhTNFRp75:FcをNaAC溶液(10mM、pH4.0)中で最終濃度100μg/mLに希釈した。EDC(0.2M)及びNHS(50mM)を1:1の比率で混合し、次いで10μL/分の流速で7分間、チップの表面上に加えた。その後、受容体の溶液を加え、次いでエタノールアミン(1M、pH8.5)を加えてチップの活性化表面を遮断した。TNFRp75の最終コンジュゲーション量は7043.6RUであった。
【0073】
B.TNFRp75(E92N、W89Y):Fcのコンジュゲーション
ビアコア3000のソフトウェアウィザード(Wizard)で提供された、アミノ基コンジュゲーション法を用いて、TNFRp75(E92N、W89Y):FcをCM5チップのFC4チャンネルにコンジュゲートさせた。HBS−Pをランニング緩衝液として使用し、3.8mg/mLのTNFRp75(E92N、W89Y):FcをNaAC溶液(10mM、pH4.0)中で最終濃度100μg/mLに希釈した。EDC(0.2M)及びNHS(50mM)を1:1の比率で混合し、次いで10μL/分の流速で7分間、チップの表面上に加えた。その後、受容体の溶液を加え、次いでエタノールアミン(1M、pH8.5)を加えてチップの活性化表面を遮断した。TNFRp75(E92N、W89Y):Fcの最終コンジュゲーション量は6275.0RUであった。
【0074】
C.rhTNFRp75:Fcの1次選別及び反応速度アッセイ
受容体TNFRp75:FcとTNF又はLTとの結合活性をSPR(表面プラズマ共鳴法)により測定した。リガンドをHBS−P緩衝液中で1nm又は10nmの濃度にそれぞれ希釈し、次いで遠心分離及び注入して、受容体TNFRp75と様々な濃度のリガンドとの結合活性を自動的に測定した。結合活性を示すリガンドに反応速度アッセイを行った。
【0075】
10μg/mL(575nM)の濃度におけるTNFαの保存液を、HBS−P緩衝液中で、0、0.3125、0.625、1.25、2.5、5.0、10.0及び20.0nMに連続的に希釈した。
【0076】
2.25mg/mL(137μM)の濃度におけるLTの保存液を、HBS−P緩衝液中で、0、0.3125、0.625、1.25、2.5、5.0、10.0及び20.0nMに連続的に希釈した。
【0077】
ビアコア3000のウィザードを用いて、受容体及びリガンドの相互作用を反応速度アッセイで測定した。全てのリガンドを40μL/分の流速で1分間加え、2分間解離させ、次いで50mMのNaOH及びHBS−P緩衝液を100μL/分の流速で15秒間及び60秒間加えてリガンドを再生させた(1次選別では、50mMのNaOH及びHBS−P緩衝液を100μL/分の流速で10秒間及び30秒間加えて再生させた)。実験データを、ビアコア3000の解析ソフトウェアにおいて1:1のラングミュア結合モデルに一致させ、特定の速度定数を導いた。
【0078】
D.TNFRp75(E92N、W89Y):Fcの1次選別及び反応速度アッセイ
受容体TNFRp75(E92N、W89Y):FcとTNF又はLTとの結合活性をSPR(表面プラズマ共鳴法)により測定した。リガンドをHBS−P緩衝液中で1nm又は10nmの濃度にそれぞれ希釈し、次いで遠心分離及び注入して、受容体TNFRp75(E92N、W89Y):Fcと様々な濃度のリガンドとの結合活性を自動的に測定した。結合活性を示すリガンドに反応速度アッセイを行った。
【0079】
10μg/mL(575nM)の濃度におけるTNFαの保存液を、HBS−P緩衝液中で、0、0.3125、0.625、1.25、2.5、5.0、10.0及び20.0nMに連続的に希釈した。
【0080】
2.25mg/mL(137μM)の濃度におけるLTの保存液を、HBS−P緩衝液中で、0、0.3125、0.625、1.25、2.5、5.0、10.0及び20.0nMに連続的に希釈した。
【0081】
ビアコア3000のウィザードを用いて、受容体及びリガンドの相互作用を反応速度アッセイで測定した。全てのリガンドを40μL/分の流速で1分間加え、2分間解離させ、次いで50mMのNaOH及びHBS−P緩衝液を100μL/分の流速で15秒間及び60秒間加えてリガンドを再生させた(1次選別では、50mMのNaOH及びHBS−P緩衝液を100μL/分の流速で10秒間及び30秒間加えて再生させた)。実験データを、ビアコア3000の解析ソフトウェアにおいて1:1のラングミュア結合モデルに一致させ、特定の速度定数を導いた。
【0082】
(3)結果
A.TNFα(TNFと省略)及びLTに対するrhTNFRp75:Fcの結合反応速度データを以下に示した。
【表4】

【0083】
B.TNFα(TNFと省略)及びLTに対するTNFRp75(E92N、W89Y):Fcの結合反応速度データを以下に示した。
【表5】

【0084】
TNFRp75:Fcと比較すると、TNFα又はLTに対するTNFRp75(E92N、W89Y)の平衡解離定数(KD)は2〜3倍の減少を示し、TNFRp75(E92N、W89Y)とTNFα又はLTとの結合親和性が増強されたことを示した。さらに、TNFαに対するTNFRp75(E92N、W89Y)の解離定数(K)は、TNFRp75:Fcの解離定数より顕著に小さく、TNFRp75(E92N、W89Y)及びTNFαの複合体がインビトロでより安定であることを示し、インビボでのTNFRp75(E92N、W89Y)の半減期を改善することができる。
【0085】
上記の特定の実施形態は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。本発明はまた、機能的に同等の方法及び成分も包含する。本明細書の説明及び添付図面に照らして、当業者は様々な変更及び改良をすぐに行うことができ、これも本発明の範囲に含まれるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に示すTNFRp75のN末端の257個アミノ酸を含む可溶性TNFRp75変異体であって、配列番号1に示すアミノ酸配列のN末端92位のGluが置換されている、可溶性TNFRp75変異体。
【請求項2】
配列番号1に示すアミノ酸配列のN末端92位のGluが、Asn、His、Ser、Ala、Lys又はGlnのうちの1つによって置換されている、請求項1に記載の可溶性TNFRp75変異体。
【請求項3】
配列番号1に示すアミノ酸配列のN末端89位のTrpが置換されている、請求項1に記載の可溶性TNFRp75変異体。
【請求項4】
配列番号1に示すアミノ酸配列のN末端92位のGluが、Asn、His、Ser、Ala、Lys又はGlnのうちの1つによって置換されると同時に、配列番号1に示すアミノ酸配列のN末端89位のTrpが、Try、Phe、His、Lys、Met及びLeuのうちの1つによって置換されている、請求項3に記載の可溶性TNFRp75変異体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の可溶性TNFRp75変異体と、別のアミノ酸断片とが形成する融合タンパク質であって、前記別のアミノ酸断片が、ヒト免疫グロブリンの定常部、又はアルブミンの5つの機能領域のうち1つから選択され、かつ、可溶性TNFRp75変異体のC末端に位置する、融合タンパク質。
【請求項6】
前記別のアミノ酸断片が、ヒト免疫グロブリンの定常部の232個アミノ酸である、請求項5に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の可溶性TNFRp75変異体をコードするDNA配列。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の融合タンパク質をコードするDNA配列。
【請求項9】
関節リウマチ、乾癬、強皮症、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、エリテマトーデス、皮膚筋炎及び全身性エリテマトーデス様症候群を含む、TNFα及び/又はリンホトキシン関連疾患の治療のための薬剤製造における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の可溶性TNFRp75変異体の使用。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の可溶性TNFRp75変異体の治療有効量、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
関節リウマチ、乾癬、強皮症、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、エリテマトーデス、皮膚筋炎及び全身性エリテマトーデス様症候群を含む、TNFα及び/又はリンホトキシン関連疾患の治療のための薬剤製造における、請求項5又は6に記載の融合タンパク質の使用。
【請求項12】
請求項5又は6に記載の融合タンパク質の治療有効量、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2011−511627(P2011−511627A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544562(P2010−544562)
【出願日】平成21年1月12日(2009.1.12)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000037
【国際公開番号】WO2009/143689
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(510157476)シャンハイ フダン−チャンジャン バイオ−ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (1)
【出願人】(510157487)タイツォウ フダン−チャンジャン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】