説明

U字型ランプ用バックライトインバーター

【課題】
異常状態を検出するよう具現したU字型ランプ用バックライトインバーターを提供することを目的とする。
【解決手段】
U字型ランプ用バックライトインバーターは、動作制御信号に応じて第1及び第2トランス駆動電圧を供給し、停止制御信号に応じて上記第1及び第2トランス駆動電圧の供給を遮断する駆動部;上記駆動部による各駆動電圧を各2次巻線コイルにより昇圧しU字型ランプの両端に夫々供給する第1及び第2トランス;上記各2次巻線コイルの両端電圧を夫々検出する第1及び第2電圧検出部;上記2次巻線コイルに流れる電流を夫々検出する第1及び第2電流検出部;上記第1及び第2電圧検出部からの検出電圧夫々に基づいてインバーターの異常状態を検出するインバーター異常検出部;並びに、上記インバーター異常検出部によるインバーター異常状態に応じて上記駆動部の正常動作または停止を制御する駆動制御部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はU字型ランプ用バックライトインバーターに関するものであって、とりわけU字型ランプが適用されるバックライトインバーターにおいて、インバーターまたは/及びランプのオープン及びショート、U字型ランプの割れ及びアーク発生などのインバーター異常状態を検出するよう具現することにより、インバーター異常状態の検出時シャットダウン(shutdown)させられ、また動作上の信頼性を向上させられるU字型ランプ用バックライトインバーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、バックライト用インバーターは低い直流電圧を交流に変換し、これを再びトランスを利用して高圧にしてランプを点灯させる装置であって、こうしたバックライトインバーターの出力端は高電圧が誘起されるので、人が接触した場合シャットダウン(shutdown)されなければならず、また人体が接触する場合人体に害を与えないよう安全規格が別途明示される。
【0003】
そして、バックライトに適用されるランプには以前から利用される直線タイプの直管型ランプと最近その適用例が漸次増加しているU字型ランプとがある。
【0004】
こうした直管型ランプ用バックライトインバーターの一つを図1に基づき説明する。
【0005】
図1は従来の直管型ランプ用バックライトインバーターの概略図である。
【0006】
図1に示した従来の直管型ランプ用バックライトインバーター(10)は入力される直流電圧を制御信号に応じて交流電圧に変換するトランス駆動部(11)と、前記トランス駆動部(11)の交流電圧をランプ動作に必要な約1〜2KVほどの高電圧に昇圧してランプ(Lamp)へ提供するトランス(12)と、上記ランプを通して流れる電流(Is)を検出する電流検出部(13)と、上記電流検出部(13)による検出電流に応じて出力端のショート(short)またはオープン(open)を検出し、こうしたショートまたはオープンの検出時上記駆動部(11)のシャットダウン(shutdown)を制御する駆動制御部(14)とを含む。
【0007】
上記電流検出部(13)は上記ランプ(Lamp)のコールド(cold)端に連結された抵抗(R)を含み、この抵抗(R)に流れる電流に該当する電圧を検出するようになる。
【0008】
こうした従来のバックライトインバーターの動作を具体的に見ると、正常的にランプが連結された状態では、上記ランプが正常的に点灯され、上記検出された電流が駆動制御部(15)に印加され、バックライトインバーターの出力は一定に維持される。
【0009】
しかし、ランプのホット端及びコールド端のオープン及びショートなどのようなインバーターの異常状態に係わると、先ずバックライトインバーターの出力端がオープン(open)された場合には、上記ランプを通過する電流が無いので検出電流(Is)が「0」となり、これによって上記駆動制御部はインバーターをシャットダウン(shutdown)させるようになる。
【0010】
次に、上記バックライトインバーターの出力端が接地でショート(short)された場合には、バックライトインバーターの出力端が接地に連結されているので検出電流(Is)が「0」となり、これに応じて上記駆動制御部がインバーターをシャットダウン(shutdown)させるようになる。
【0011】
こうした従来の直管型ランプが適用されるバックライトインバーターにおいては、ランプのホット端及びコールド端のオープン時やショート時全て検出電流(Is)が「0」となり、こうした検出電流(Is)を感知してバックライトインバーターをシャットダウン(shutdown)させることができる。
【0012】
一方、最近には直管型ランプよりU字型ランプが効率面において優れるとの利点からU字型ランプをバックライトへ適用するための研究及び開発が進んでいる。
【0013】
ここで、U字型ランプの全体長さは直管型ランプ長さの2倍ほどなので、U字型ランプを駆動するためには直管型ランプの約2倍の駆動電圧が必要となる。例えば、17インチに適用される直管型ランプの駆動電圧は約1300V程度で、17インチに適用されるU字型ランプの駆動電圧は約2650V程度である。
【0014】
こうして、一つのトランスを使用する従来のバックライトインバーターをU字型ランプの駆動に用いるとトランスの内圧が上がらなければならないので、一つのトランスでU字型ランプを駆動し難いとの問題がある。
【0015】
したがって、U字型ランプを駆動させるためには二つのトランスを使用し、このように二つのトランスを使ってU字型ランプを安定的に動作させるためには一つのトランスを使用するバックライトインバーターに適用されるものとは異なる新たなインバーターの異常状態に対する検出方案が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は上記問題を解決するために提案されたものであって、その目的はU字型ランプが適用されるバックライトインバーターにおいて、インバーターまたは/及びランプのオープン及びショート、U字型ランプの割れ及びアーク発生などのインバーターの異常状態を検出するよう具現することにより、インバーター異常状態の検出時シャットダウン(shutdown)させられ、また動作上の信頼性を向上させられるU字型ランプ用バックライトインバーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した本発明の目的を成し遂げるために、本発明のU字型ランプ用バックライトインバーターは、
動作制御信号に応じて二つのトランス駆動電圧を供給し、停止制御信号に応じて上記トランス駆動電圧の供給を遮断する駆動部;
上記駆動部により各駆動電圧を1次巻線コイル及び2次巻線コイルの巻線比で昇圧しU字型ランプの両端に夫々供給する第1及び第2トランス;
上記第1及び第2トランスの各2次巻線コイルの両端電圧を夫々検出する第1及び第2電圧検出部;
上記第1及び第2トランスの各2次巻線コイルに流れる電流を夫々検出する第1及び第2 電流検出部;
上記第1及び第2電圧検出部からの検出電圧夫々に基づいてインバーター異の常状態を検出し、異常状態であれば上記第1及び第2電流検出部から検出された電流の出力を遮断し、正常状態であれば上記第1及び第2 電流検出部から検出された電流を出力するインバーター異常検出部;並びに
上記インバーター異常検出部(150)から電流が入力されれば上記駆動部へ動作制御信号を提供して上記駆動部の正常動作を制御し、上記インバーター異常検出部から電流が入力され無ければ上記駆動部へ停止制御信号を提供する駆動制御部、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述したような本発明によると、U字型ランプ用バックライトインバーターにおいて、インバーターまたは/及びランプのオープン及びショート、U字型ランプの割れ及びアーク発生などのインバーター異常状態を検出するよう具現することにより、異常状態の検出時シャットダウン(shutdown)させることができ、また動作上の信頼性を向上させられる効果がある。
【0019】
これにより、インバーターまたは/及びランプなどの配線のオープン状態、接地へのショート状態、ランプの割れ、そしてトランスのハンダ付けが不安定のためアークが発生する状態などのインバーター異常状態を検出でき、最少の材料費でインバーターの信頼性を増大させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましき実施例を添付の図に基づき詳しく説明する。
【0021】
本発明に参照する図において実質的に同一な構成と機能を有する構成要素には同一符合を使用するつもりである。
【0022】
図2は本発明によるU字型ランプ用バックライトインバーター図である。
【0023】
図2によると、本発明によるU字型ランプ用バックライトインバーター?駆動部(110)、第1及び第2トランス(121、122)、第1及び第2電圧検出部(131、132)、第1及び第2 電流検出部(141、142)、インバーター異常検出部(150)並びに駆動制御部(160)を含む。
【0024】
上記駆動部(110)は上記駆動制御部(160)からの動作制御信号により第1及び第2トランス駆動電圧を供給し、停止制御信号に応じて上記第1及び第2トランス駆動電圧の供給を遮断するよう構成される。
【0025】
上記第1トランス(121)は上記駆動部(110)による第1及び第2トランス駆動電圧を1次巻線コイル(L11)及び2次線コイル(L21)の巻線比で昇圧しU字型ランプ(UL)の一端に第1 駆動電圧(Vdr1)を供給し、上記2トランス(122)は上記駆動部(110)による第2トランス駆動電圧を1次巻線コイル(L12)及び2次巻線コイル(L22)の巻線比で昇圧しU字型ランプ(UL)の他端に第2 駆動電圧(Vdr2)を供給するよう構成される。
【0026】
上記第1電圧検出部(131)は上記第1トランス(121)の2次巻線コイル(L21)の両端電圧を検出するが、そのために上記第1電圧検出部(131)は上記第1トランス(121)の2次巻線コイル(L21)の高圧端(H1)と接地端(G1)との間に直列接続され、その間の接続点(A)から上記第1トランス(121)の2次巻線コイル(L21)の電圧(VA)を検出する二つのキャパシタ(C11、C12)から成る。
【0027】
また、上記第2電圧検出部(132)は上記第2トランス(122)の2次巻線コイル(L22)の両端電圧を検出するが、そのために上記第2電圧検出部(132)は上記第2トランス(122)の2次巻線コイル(L22)の高圧端(H2)と接地端(G2)との間に直列接続され、その間の接続点(B)から上記第2トランス(122)の2次巻線コイル(L22)の電圧(VB)を検出する二つのキャパシタ(C21、C22)から成る。
【0028】
上記第1 電流検出部(141)は上記第1トランス(121)の2次巻線コイル(L21)に流れる電流を検出するが、そのために上記第1 電流検出部(141)は上記第1トランス(121)の 2次巻線コイル(L21)の接地端(G1)から接地で連結され、この接地端(G1)から上記第1トランス(121)の2次巻線コイル(L21)に流れる電流(IS1)を検出する抵抗(R1)から成る。
【0029】
さらに、上記第2 電流検出部(142)は上記第2トランス(122)の2次巻線コイル(L22)に流れる電流を検出するが、そのために上記第2 電流検出部(142)は上記第2トランス(122)の2次巻線コイル(L22)の接地端(G2)から接地で連結されこの接地端(G2)から上記第2トランス(122)の2次巻線コイル(L22)に流れる電流(IS2)を検出する抵抗(R2)から成る。
【0030】
上記インバーター異常検出部(150)は上記第1及び第2電圧検出部(131、132)からの検出電圧夫々に基づいてインバーターの異常状態を検出し、異常状態であれば上記第1及び第2 電流検出部(141、142)から検出された電流(IS1、IS2)の出力を遮断し、正常状態であれば上記第1及び第2 電流検出部(141、142)から検出された電流(IS1、IS2)を出力電流(Iout)として提供するよう構成される。
【0031】
上記インバーター異常検出部(150)は、上記第1及び第2電圧検出部(131、132)で検出した電圧を整流する整流部(151)と、上記整流部(151)からの検出電圧(VD)と予め設定された異常判断電圧とを比較してインバーター異常状態を判断する異常状態判断部(152)と、上記異常状態判断部(152)による異常状態判断の当否によって上記第1及び第2 電流検出部による検出電流の出力をスイッチングするスイッチング部(153)とを含む。
【0032】
即ち、上記スイッチング部(153)は異常状態であると上記第1及び第2 電流検出部(141、142)から検出された電流(IS1、IS2)の出力を遮断し、正常状態であると上記第1及び第2 電流検出部(141、142)から検出された電流(IS1、IS2)を駆動制御部(160)に出力電流(Iout)として提供するように成る。
【0033】
上記駆動制御部(160)は、上記インバーター異常検出部(150)から電流が入力されると上記駆動部(110)へ動作制御信号を提供して上記駆動部(110)の正常動作を制御し、上記インバーター異常検出部(150)から電流が入力されなければ上記駆動部(110)に停止制御信号を提供するよう構成される。ここで、上記出力電流(Iout)が入力されず上記出力電流(Iout)の状態が接地レベルの場合には、上記駆動制御部(160)は異常状態と判定して上記駆動部(110)へ停止制御信号を提供する。そして、上記出力電流(Iout)が入力されると、上記駆動制御部(160)は正常状態と判定して上記駆動部(110)へ動作制御信号を提供して、本発明のバックライトインバーターが一定レベルの電圧を維持しつつ出力するようになる。
【0034】
図3は本発明のインバーター異常検出部の回路図である。
【0035】
図3によると、上記インバーター異常検出部(150)の整流部(151)は、上記第1電圧検出部(131)の出力端に連結された第1入力抵抗(R11)と、上記第2電圧検出部(132)の出力端に連結された第2入力抵抗(R12)と、上記第1及び第2入力抵抗(R11、R12)に共通に連結されたアノード端並びに上記異常状態判断部(152)の入力端に連結されたカソード端を有する整流ダイオード(D)とを含む。
【0036】
上記インバーター異常検出部(150)の異常状態判断部(152)は、上記整流部(151)からの検出電圧(VD)の入力を受ける非反転端子と、予め設定された異常判断電圧(Vref)の入力を受ける反転端子と、上記検出電圧が上記異常判断電圧(Vref)より高いとハイ電圧を出力し、上記検出電圧(VD)が上記異常判断電圧(Vref)より低いとロー電圧を出力する出力端子を有する比較器とで成る。
【0037】
また、上記異常状態判断部(152)は予め設定された異常判断電圧を正常状態での検出電圧と異常状態での検出電圧との間の任意の電圧に設定して成る。
【0038】
上記インバーター異常検出部(150)のスイッチング部(153)は上記第1及び第2 電流検出部(141、142)の出力端の共通接点と接地との間に連結され、上記異常状態判断部(152)からの出力信号に応じて上記第1及び第2 電流検出部(141、142)からの検出電流(IS1、IS2)の出力をオン/オフスイッチングするスイッチング素子から成る。
【0039】
さらに、上記スイッチング素子は、上記異常状態判断部(152)の出力端に連結されたゲート端と、上記第1及び第2 電流検出部(141、142)の出力端に共通に連結され、且つ上記第1及び第2 電流検出部(141、142)からの検出電流を出力するための出力端が連結されたドレイン端と、接地に連結されたソース端とを有するMOSトランジスタ(Q)から成る。
【0040】
ここで、図面中未説明符合のVccはバイアス電圧である。
【0041】
以下、本発明の作用及び効果を添付の図に基づき詳しく説明する。
【0042】
図2及び図3によると、本発明の駆動部(110)は動作制御信号に応じて第1及び第2トランス駆動電圧を第1及び第2トランス(121、122)に夫々提供する。
【0043】
上記第1トランス(121)は上記駆動部(110)による各駆動電圧を1次巻線コイル及び2次巻線コイルの巻線比で昇圧し第1 駆動電圧(Vdr1)をU字型ランプ(UL)の一端に供給し、上記第2トランス(122)は上記駆動部(110)による第2トランス駆動電圧を1次巻線コイル及び2次巻線コイルの巻線比で昇圧し第2 駆動電圧(Vdr2)をU字型ランプ(UL)の他端に供給する。
【0044】
この際、上記U字型ランプ(UL)は上記第1トランス(121)からの第1 駆動電圧(Vdr1)及び上記第2トランス(122)からの第2 駆動電圧(Vdr2)により動作され、ここで上記第1、第2 駆動電圧(Vdr1、Vdr2)は相互180°の位相差を有し、約40kHz〜70kHz範囲内の任意の周波数を有する約750〜1000V範囲内の任意の値である。
【0045】
ここで、一つのトランスを使用する従来の方式を用いてU字型ランプを駆動させるためにはトランスの内圧が約2倍上昇しなければならない問題があるので、 U字型ランプを駆動させるためには、二つのトランスをU字型ランプの各端に逆位相で連結することが好ましい。また、各トランスから出力される電圧が先述したように180度の位相差を有するので、U字型ランプから見れば一つの駆動電圧の2倍の電圧となる。
【0046】
一方、本発明の第1電圧検出部(131)は上記第1トランス(121)の2次巻線コイル(L21)の両端電圧を検出し、また本発明の第2電圧検出部(132)は上記第2トランス(122)の2次巻線コイル(L22)の両端電圧を検出する。
【0047】
これについてより具体的に説明すれば、上記第1電圧検出部(131)は上記第1トランス(121)の2次巻線コイル(L21)の高圧端(H1)と接地端(G1)との間に直列接続された二つのキャパシタ(C11、C12)の接続点(A)から上記第1トランス(121)の2次巻線コイル(L21)の電圧を検出する。
【0048】
ここで、上記二つのキャパシタ(C11、C12)の容量値を適切に設定すれば正常状態及び異常状態での検出電圧を設定することができる。例えば、二つのキャパシタ(C11、C12)中C11を約6.8pF〜47pF範囲内の任意の値に設定し、上記C12を約1nF〜10nF範囲内の任意の値で設定することができ、こうして正常状態での検出電圧が約1Vとなり、異常状態での検出電圧は約10Vとなるようにすることができる。
【0049】
また、上記第2電圧検出部(132)は上記第2トランス(122)の 2次巻線コイル(L22)の高圧端(H2)と接地端(G2)との間に直列接続された二つのキャパシタ(C21、C22)の接続点(B)から上記第2トランス(122)の2次巻線コイル(L22)の電圧を検出する。
【0050】
ここでも、先述したように上記二つのキャパシタ(C21、C22)の容量値を適切に設定すれば正常状態及び異常状態での検出電圧を設定することができる。例えば、二つのキャパシタ(C21、C22)中C21を約6.8pF〜47pF範囲内の任意の値に設定し、上記C22を約1nF〜10nF範囲内の任意の値に設定することができ、こうして正常状態での検出電圧が約1Vとなり、異常状態での検出電圧は約10Vとなるようにすることができる。
【0051】
他方、本発明のバックライトインバーターにおいて、上記第1トランス(121)側配線がオープンされたときの上記第1トランス(121)の出力電圧が上記第2トランス(122)の出力電圧より高くなる。そして、上記第1トランス(121)側配線が接地でショートされる場合には上記第1トランス(121)の出力電圧は接地レベルとなり、上記第2トランス(122)の出力電圧は上昇することになる。また、上記第1及び第2電圧検出部(131、132)で検出する電圧(VA、VB)はランプが正常動作する場合は低い電圧を有するが、これは第1及び第2駆動電圧(Vdr1、Vdr2)が正常動作電圧に維持されるためである。
【0052】
しかし、ある一側配線がオープンもしくはショートされたり、ランプ割れ現象、またトランスのハンダ付けが充分でなくアークが起こる状態などのインバーター異常状態である場合にはインバーター異常検出部(150)へ入力される電圧(VA、VB)は上記第1及び第2トランス(121、122)の電圧不均衡(UNBALANCE)により上昇することになる。こうした電圧不均衡(UNBALANCE)による電圧が上昇する現象を利用して下記に説明するようにバックライトインバーターの異常状態を検出する。
【0053】
そして、本発明の第1 電流検出部(141)は上記第1トランス(121)の2次巻線コイル(L21)に流れる電流を検出するが、即ち上記第1 電流検出部(141)は上記第1トランス(121)の2次巻線コイル(L21)の接地端から上記第1トランス(121)の2次巻線コイル(L21)に流れる電流を抵抗(R1)により検出する。
【0054】
さらに、第2 電流検出部(142)は上記第2トランス(122)の2次巻線コイル(L22)に流れる電流を検出するが、即ち上記第2 電流検出部(142)は上記第2トランス(122)の2次巻線コイル(L22)の接地端から上記第2トランス(122)の2次巻線コイル(L22)に流れる電流を抵抗(R2)により検出する。
【0055】
次に、本発明のインバーター異常検出部(150)は上記第1及び第2電圧検出部(141、142)からの検出電圧夫々に基づいてインバーター異常状態を検出し、異常状態であれば上記第1及び第2 電流検出部(141、142)から検出された電流の出力を遮断し、正常状態であれば上記第1及び第2 電流検出部(141、142)から検出された電流を出力電流(Iout)として提供する。
【0056】
これについて具体的に説明すれば、先ず、本発明の整流部(151)は上記第1及び第2電圧検出部(131、132)から検出した電圧を整流するが、即ち上記整流部(151)は第1入力抵抗(R11)を通した上記第1電圧検出部(131)からの検出電圧(VA)と、第2入力抵抗(R12)を通した上記第2電圧検出部(132)からの検出電圧(VB)の入力を受け、整流ダイオード(D)で整流し異常状態判断部(152)へ出力する。
【0057】
次いで、上記異常状態判断部(152)は上記整流部(151)からの検出電圧(VD)と予め設定された異常判断電圧(Vref)とを比較してインバーター異常状態を判断し、その比較結果による電圧をスイッチング部(153)へ出力するが、即ち上記異常状態判断部(152)は非反転端子を通して入力される上記整流部(151)からの検出電圧(VD)と、反転端子を通して入力される異常判断電圧(Vref)とを比較してインバーター異常状態を判断する。即ち、上記検出電圧(VD)が上記異常判断電圧(Vref)より高ければ異常状態と判断してハイ電圧をスイッチング部(153)へ出力し、逆に上記検出電圧(VD)が上記異常判断電圧(Vref)より低ければ正常状態と判断してロー電圧をスイッチング部(153)へ出力する。
【0058】
さらに、上記異常状態判断部(152)においては、予め設定された異常判断電圧(Vref)が正常状態での検出電圧と異常状態での検出電圧との間の任意の電圧に設定されるが、例えば正常電圧が1Vで、異常電圧が10Vであれば、異常判断電圧(Vref)は5Vに設定でき、この際上記検出電圧(VD)が上記異常判断電圧(5V)より高ければ異常状態と判断してハイ電圧をスイッチング部(153)へ出力し、逆に上記検出電圧(VD)が上記異常判断電圧(5V)より低ければ正常と判断してロー電圧をスイッチング部(153)へ出力する。
【0059】
そして、上記スイッチング部(153)は上記異常状態判断部(152)による異常状態の判断当否に応じて上記第1及び第2 電流検出部(141、142)による検出電流の出力をスイッチングするが、即ち上記スイッチング部(153)は上記第1及び第2 電流検出部(141、142)の出力端の共通接点と接地との間に連結され、上記異常状態判断部(152)からの出力信号に応じて上記第1及び第2 電流検出部(141、142)からの検出電流(IS1、IS2)の出力をオン/オフスイッチングする。
【0060】
例えば、上記スイッチング部(153)はゲート端へ提供される上記異常状態判断部(152)の電圧がハイ電圧であるとスイッチングオンされ上記第1及び第2 電流検出部(141、142)からの検出電流を接地でバイパスし出力電流(Iout)を接地レベルに維持させ、この際上記駆動部(110)に停止制御信号を提供する。これに比して、上記異常状態判断部(152)の電圧がロー電圧であるとスイッチングオフされ上記第1及び第2 電流検出部(141、142)からの検出電流(IS1、IS2)を駆動制御部(160)に出力電流(Iout)として供給し、上記駆動部(110)が正常動作に制御される。
【0061】
この際、上記駆動制御部(160)は、上記インバーター異常検出部(150)から電流が入力されると上記駆動部(110)へ動作制御信号を提供して上記駆動部(110)の正常動作を制御し、上記インバーター異常検出部(150)からの出力電流(Iout)がローレベルであれば上記駆動部(110)へ停止制御信号を提供する。
【0062】
先述したように本発明は、バックライトインバーターまたは/及びランプのオープン状態、接地へのショート状態、ランプ割れ状態を検出でき、且つその他インバーターのトランスが完全にオープン状態でなく不安定な接続状態(未ハンダ:ハンダ付けが不良な状態)の場合には高電圧によりアークが発生し、こうしたアークによってインバーターの装着されたセットが発火されかねない。もちろん、トランスの未ハンダは工程上ハンダ付けがしっかり行われれば生じないものであるが、運搬中の衝撃や工程上の検出漏れなどによるトランスの未ハンダも検出することができる。
【0063】
こうしたインバーターまたは/及びランプのオープン、ショート、ランプ割れ、そして未ハンダ状態においてバックライトインバーターをシャットダウン(SHUTDOWN)させ駆動電圧が出力されなくなるので、異常状態で起こりかねないバックライトインバーターの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】従来の直管型ランプ用バックライトインバーターの概略図である。
【図2】本発明によるU字型ランプ用バックライトインバーター図である。
【図3】本発明のインバーター異常検出部の回路図である。
【符号の説明】
【0065】
110 駆動部
121 第1トランス
122 第2トランス
131 第1電圧検出部
132 第2電圧検出部
141 第1 電流検出部
142 第2 電流検出部
150 インバーター異常検出部
151 整流部
152 異常状態判断部
153 スイッチング部
160 駆動制御部
UL U字型ランプ
L21、L22 2次巻線コイル
C11、C12、C21、C22 キャパシタ
R1、R2 抵抗
R11、R12 第1、第2抵抗
D 整流ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作制御信号に応じて第1及び第2トランス駆動電圧を供給し、停止制御信号に応じて上記第1及び第2トランス駆動電圧の供給を遮断する駆動部;
上記駆動部による各駆動電圧を1次巻線コイル及び2次巻線コイルの巻線比で昇圧しU字型ランプの両端に夫々供給する第1及び第2トランス;
上記第1及び第2トランスの各2次巻線コイルの両端電圧を夫々検出する第1及び第2電圧検出部;
上記第1及び第2トランスの各2次巻線コイルに流れる電流を夫々検出する第1及び第2 電流検出部;
上記第1及び第2電圧検出部からの検出電圧夫々に基づいてインバーター異常状態を検出し、異常状態であれば上記第1及び第2電流検出部から検出された電流の出力を遮断し、正常状態であれば上記第1及び第2 電流検出部から検出された電流を出力するインバーター異常検出部;並びに
上記インバーター異常検出部(150)から電流が入力されると上記駆動部へ動作制御信号を提供して上記駆動部の正常動作を制御し、上記インバーター異常検出部から電流が入力されなければ上記駆動部に停止制御信号を提供する駆動制御部、を含むU字型ランプ用バックライトインバーター。
【請求項2】
上記インバーター異常検出部は、
上記第1及び第2電圧検出部から検出した電圧を整流する整流部;
上記整流部からの検出電圧と予め設定された異常判断電圧とを比較してインバーター異常状態を判断する異常状態判断部;並びに
上記異常状態判断部による異常状態判断当否に応じて上記第1及び第2 電流検出部からの検出電流の出力をスイッチングするスイッチング部、を含むことを特徴とする請求項1に記載の U字型ランプ用バックライトインバーター。
【請求項3】
上記第1電圧検出部は、
上記第1トランスの2次巻線コイルの高圧端と接地端との間に直列接続され、その間の接続点から上記第1トランスの2次巻線コイルの電圧を検出する二つのキャパシタから成ることを特徴とする請求項1に記載のU字型ランプ用バックライトインバーター。
【請求項4】
上記第2電圧検出部は、
上記第2トランスの2次巻線コイルの高圧端と接地端との間に直列接続され、その間の接続点から上記第2トランスの2次巻線コイルの電圧を検出する二つのキャパシタから成ることを特徴とする請求項1に記載の U字型ランプ用バックライトインバーター。
【請求項5】
上記第1電流検出部は、
上記第1トランスの2次巻線コイルの接地端から接地で連結され、この接地端から上記第1トランスの2次巻線コイルへ流れる電流を検出する抵抗から成ることを特徴とする請求項1に記載のU字型ランプ用バックライトインバーター。
【請求項6】
上記第2電流検出部は、
上記第2トランスの2次巻線コイルの接地端から接地で連結され、この接地端から上記第2トランスの2次巻線コイルへ流れる電流を検出する抵抗から成ることを特徴とする請求項1に記載のU字型ランプ用バックライトインバーター。
【請求項7】
上記整流部は、
上記第1電圧検出部の出力端に連結された第1入力抵抗;
上記第2電圧検出部の出力端に連結された第2入力抵抗;並びに
上記第1及び第2入力抵抗に共通に連結されたアノード端と、上記異常状態判断部の入力端に連結されたカソード端とを有する整流ダイオード、を含むことを特徴とする請求項2に記載のU字型ランプ用バックライトインバーター。
【請求項8】
上記異常状態判断部は、
予め設定された異常判断電圧を正常状態での検出電圧と異常状態での検出電圧との間の任意の電圧に設定して成ることを特徴とする請求項2に記載の U字型ランプ用バックライトインバーター。
【請求項9】
上記異常状態判断部は、
上記整流部からの検出電圧の入力を受ける非反転端子と、予め設定された異常判断電圧の入力を受ける反転端子と、上記検出電圧が上記異常判断電圧より高ければハイ電圧を出力し、上記検出電圧が上記異常判断電圧より低ければロー電圧を出力する出力端子とを有する比較器から成ることを特徴とする請求項2に記載のU字型ランプ用バックライトインバーター。
【請求項10】
上記スイッチング部は、
上記第1及び第2 電流検出部の出力端の共通接点と接地との間に連結され、上記異常状態判断部からの出力信号に応じて上記第1及び第2 電流検出部からの検出電圧の出力をオン/オフスイッチングするスイッチング素子から成ることを特徴とする請求項2に記載のU字型ランプ用バックライトインバーター。
【請求項11】
上記スイッチング素子は、
上記異常状態判断部の出力端に連結されたゲート端と、上記第1及び第2 電流検出部の出力端に共通に連結され、且つ上記第1及び第2 電流検出部からの検出電流を出力するための出力端が連結されたドレイン端と、接地に連結されたソース端とを有するMOSトランジスタから成ることを特徴とする請求項10に記載のU字型ランプ用バックライトインバーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−66361(P2006−66361A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317231(P2004−317231)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】