説明

UDP−GlcNAc高生産植物

【課題】物質生産の場としての植物は、ヒトへの感染性物質を含まない安全性の高い生産系であり、動物および微生物を用いた場合に比較して、低コストの生産系である。従って、本発明の課題は、安全なUDP−GlcNAc高生産植物と、安価かつ安全なUDP−GlcNAc高生産植物からのUDP−GlcNAc製造法を提供することにある。
【解決手段】外因性GFAT(グルタミン:フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ)遺伝子が導入されていることを特徴とするウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織、発現用組換えベクター、植物抽出物、およびUDP−GlcNAcの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の単糖がグリコシド結合により連結した糖鎖は、生体内において、細胞内オルガネラ成分、細胞表層成分、分泌糖蛋白質成分等として存在している。糖鎖の構造は、生物種や組織毎に異なっているが、同一生物種や同一組織内においても、その発生時期や疾病等によっても異なることから、従来考えられていた蛋白質の熱安定性、親水性、電荷、プロテアーゼ耐性等の蛋白質に対する物理的性質の付与といった機能のみならず、発生・分化、神経系、免疫系、癌の転移等の細胞間認識に糖鎖が関与していることが明らかになり、医薬品等の種々の分野への応用の観点から、近年、非常に注目されるようになった。
糖鎖の合成は、生体内においては糖転移酵素によって担われている。糖転移酵素は、糖ヌクレオチドを糖供与体として、受容体となる糖鎖に糖を転移し、糖鎖の伸長を行う酵素である。糖受容体の糖鎖構造に対する糖転移酵素の特異性は厳密であり、通常、1つのグリコシド結合は対応する1つの糖転移酵素によって形成されると考えられている。このような糖転移酵素および糖ヌクレオチドを利用する糖鎖の合成は、糖鎖研究、特に有用糖鎖の簡便な合成、天然の糖鎖の修飾に利用されるという点で重要な手法である。近年、糖転移酵素遺伝子のクローニングが精力的に研究され、多数の糖転移酵素が組換え酵素として実用可能なレベルに達しつつある。しかしながら、糖供与体である糖ヌクレオチドは、一部を除き、非常に高価である。なかでも、ウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミン(以下、UDP−N−アセチルグルコサミンまたはUDP−GlcNAcと略称する場合もある)はペプチドグリカン、プロテオグリカン、糖タンパク質、糖脂質の構成成分であるN−アセチルグルコサミン(以下、GlcNAcと略称する場合もある)の供与体として重要である。
UDP−GlcNAcの製造において、耐浸透圧性酵母を用いる方法(特許文献1)、N−アセチルグルコサミンキナーゼを用いることを特徴とした酵母を用いる方法(特許文献2)、NTP生産能を有する微生物、糖ヌクレオチドを有する微生物を酵素源として用いた方法(特許文献3)が報告されているものの、工業的生産の現実化までには検討の余地が残されている。
UDP−GlcNAcは、種々のグルコサミンの誘導体から成るヘキソサミン合成経路を経て生成する。このヘキソサミン合成経路は、グルタミン:フルクトース−6−リン酸 アミドトランスフェラーゼ(Glutamine:fructose-6-phosphate amidotransferase、以下、GFATと略記する)により開始される。GFATは、生体内において、フルクトース−6−リン酸からグルコサミン−6−リン酸(以下、GlcN-6-P省略することもある)への反応を触媒し、ヘキソサミン生合成経路の律速段階とされる重要な酵素である(非特許文献1)。
GFATは、動物または微生物において、ヒト、マウス、酵母、大腸菌等で見出され、これらの細胞から精製された酵素、あるいは該酵素の遺伝子クローニングで得られた組換え酵素が報告されている(非特許文献2、3、4および5)。
また、クロレラウイルス由来GFATを大腸菌で発現させた組換え酵素によりアセチルグルコサミンおよびグルコサミンを製造する方法が開示されているが、該形質転換体において、UDP−GlcNAcが高度に生産されたという報告はない(特許文献4)。
【0003】
この理由として、UDP-GlcNAcはGFAT反応の直接の反応産物ではないことが挙げられる。UDP-GlcNAcは、GFAT反応の反応産物であるグルコサミン−6−リン酸から細胞内における複数の反応を経て合成されるが、大腸菌においてはUDP-GlcNAcに至るまでの代謝経路が活性化されていないことが予想される。
【0004】
また、上述した酵母や大腸菌を用いる方法では、エンドトキシン等、感染性物質の混入の危険性があり、精製などに多大なコストが必要とされ、工業化への大きな障壁となっている。
【0005】
一方、植物は、ヒトへの感染性物質を含まない安全性の高い生産系であり、動物および微生物を用いた場合に比較して、低コストの生産系である。しかしながら、植物におけるUDP-GlcNAc量は極めて少ない。
【0006】
植物におけるヘキソサミン合成経路を制御するためにトウモロコシ由来GFAT遺伝子を過剰発現させたトウモロコシ形質転換体は、カチオン性澱粉を高効率に生産することが示されているが、該形質転換体におけるUDP-GlcNAcの高度な生産性との関連性は見出されていない(特許文献5)。
【0007】
植物においては、ゲノム中に相同な配列を持つ外来遺伝子を植物に導入すると、サイレンシグと呼ばれるメカニズムにより、該遺伝子の発現量が減少することが知られている(非特許文献6)。上記特許文献では、サイレンシングによりGFAT遺伝子が植物内で十分に発現していないために、UDP-GlcNAc生産に至っていないと考えられる。
【特許文献1】特開平8−023993号公報
【特許文献2】特開平10−028594号公報
【特許文献3】特開2003−189891号公報
【特許文献4】特開2004−283144号公報
【特許文献5】国際公開第00/11192号パンフレット
【非特許文献1】Biochim. Biophys. Acta., 1597, 173-92.(2002)
【非特許文献2】J. Biol. Chem. 267, 25208-25212.(1992)
【非特許文献3】J. Biol. Chem.235, 1265-73.(1960)
【非特許文献4】J. Biol. Chem.264, 8753-8758.(1989)
【非特許文献5】Biochemistry 26, 1940-8.(1987)
【非特許文献6】Plant Physiol.107, 679-685.(1995)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
酵母をはじめとして、動物細胞、大腸菌を用いて生産する方法には特別な施設が必要で、設備投資に係るコストが問題となる。さらに、近年、動物由来物質ではBSE、鳥インフルエンザウイルス等、微生物由来物質ではエンドトキシン等、感染性物質の混入の危険性が強く懸念されている。
これらの問題点を解決する一つの手段として、植物による物質生産が挙げられる。物質生産の場としての植物は、ヒトへの感染性物質を含まない安全性の高い生産系であり、動物および微生物を用いた場合に比較して、低コストの生産系である。さらに、植物は、光合成を利用して二酸化炭素と水から糖を合成する、エネルギー負荷の低い理想的な糖質生産系である。これらの理由から、光合成エネルギーを利用して植物から有用な糖質を製造できることが可能になれば、安全、コスト、環境等の面から産業上意義は大きい。従って、本発明の目的は、安全なUDP−GlcNAc高生産植物と、安価かつ安全なUDP−GlcNAc高生産植物からのUDP−GlcNAc製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討した結果、由来が異なるGFAT遺伝子を導入した植物細胞または植物体がUDP−GlcNAcを大量に蓄積することを見出し、本発明に到達した。
上記製造法によれば、植物細胞内で発現したGFATにより、GFAT反応産物であるグルコサミン−6−リン酸が生成される。さらに、植物細胞内の代謝経路において、グルコサミン−6−リン酸が代謝され、UDP−GlcNAcが高度に生成される。
【0010】
すなわち、本発明はUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織、発現用組換えベクター、植物抽出物、およびUDP−GlcNAcの製造法に関する。
1. 外因性GFAT(グルタミン:フルクトース−6−リン酸 アミドトランスフェラーゼ)遺伝子が導入されていることを特徴とするウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
2. GFAT遺伝子が、クロレラウイルス由来GFAT遺伝子であることを特徴とする項1に記載のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
3. GFAT遺伝子が、配列番号2記載の遺伝子であることを特徴とする項1又は2に記載
のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
4. GFAT遺伝子が、配列番号2記載の遺伝子の一部、または欠失体、または付加体、ま
たは置換体であって、かつGFAT活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であることを特徴とする項1又は2に記載のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
5. クロレラウイルス由来GFAT遺伝子が導入されていることを特徴とするUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
6. 配列番号2記載のクロレラウイルス由来GFAT遺伝子が導入されていることを特徴と
するUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織
7. 植物が、被子植物、裸子植物、シダ植物及びコケ植物からなる群から選ばれるいずれかの植物である、項1〜6のいずれかに記載のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織
8. 器官が、根、茎、塊茎、葉、花器、塊根、種子及び茎頂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の器官である、項1〜6のいずれかに記載のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織
9. 組織が、表皮、師部、柔組織、木部及び維管束からなる群から選ばれる1種又は2種以上の組織である、項1〜6のいずれかに記載のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
10. UDP-GlcNAc高生産形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織を得るためのベクターであって、発現用組換えベクターに、クロレラウイルス由来GFAT遺伝子が導入されていることを特徴とする発現用組換えベクター。
11. クロレラウイルス由来GFAT遺伝子が配列番号2記載のGFAT遺伝子であることを特徴とする、項10記載の発現用組換えベクター。
12. 項1〜9のいずれかに記載の植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織から得られる植物抽出物。
13. 植物抽出物がUDP−GlcNAcであることを特徴とする項12記載の植物抽出物。
14. (1)外因性GFAT(グルタミン:フルクトース−6−リン酸 アミドトランスフェラーゼ)遺伝子が導入されていることを特徴とする発現用組換えベクターを用いて植物細胞を形質転換する工程、
(2)形質転換して得られた形質転換体(形質転換植物細胞又は形質転換植物)を生育する工程、
(3)該形質転換体により生産されたUDP−GlcNAcを分離する工程、
を含むUDP−GlcNAcの製造方法。
15. GFAT遺伝子が、クロレラウイルス由来GFAT遺伝子であることを特徴とする項14に記載のUDP−GlcNAcの製造方法。
16. GFAT遺伝子が、配列番号2記載の遺伝子であることを特徴とする項14又は15に記載のUDP−GlcNAcの製造方法。
17. GFAT遺伝子が、配列番号2記載の遺伝子の一部、または欠失体、または付加体、または置換体であって、かつGFAT活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であることを特徴とする項14又は15に記載のUDP−GlcNAcの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
UDP−GlcNAcは、糖鎖工学の分野で必須の素材である。UDP−GlcNAcの関与する糖鎖は生体内において情報伝達や接着等様々な役割を演じており、これらを応用した医薬品の開発も盛んになってきている。現在薬理作用を持ったオリゴ糖が数多く発見されてきているが、糖ヌクレオチドは糖転移酵素によってオリゴ糖を合成する場合には必須の原料である。
本発明により、ヒトへの感染性物質を含まない安全性の高い、低コストの生産系である植物細胞または植物体から有用なUDP−GlcNAcを安全、安価に、低環境負荷で生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明においては、GFATをコードするDNA又はGFATの一部又はGFATの欠失、付加又は置換体であって且つGFAT活性を有するポリペプチドをコードするDNAを用いて、植物細胞又は植物体の形質転換を行う。
GFAT遺伝子を植物体に導入する際には、形質転換する植物と由来が異なるもの(即ち、外因性のGFAT遺伝子)が望ましい。例えば、タバコに対し由来の異なるクロレラウイルス由来GFATまたは大腸菌由来GFATを導入することが例示されるが、これに限定されるものではない。また、由来を同じとするGFAT遺伝子の使用はサイレンシングの点から好ましくないが、一方、サイレンシングが起こらないようにGFAT遺伝子を改良し、由来の同じ植物に導入することは、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。従って、本発明の外因性GFAT遺伝子は、サイレンシングが起こらない程度に改変したGFAT遺伝子変異体を包含する。
【0013】
GFATとしては、L−グルタミンとフルクトース−6−リン酸を基質として、グルコサミン−6−リン酸を合成するものであれば、その由来は特に限定されない。例えば、真核生物由来、原核生物由来、ウイルス由来があげられる。真核生物由来としてはヒト、マウス、トウモロコシ、線虫、酵母、原核生物由来としては枯草菌、大腸菌、ウイルス由来としてはクロレラウイルスのGFATを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0014】
GFAT遺伝子には、GFAT1、GFAT2等の各種タイプを有するものがあるが、種類は特に限定されない。
また、GFAT遺伝子としては、形質転換する植物の内在性GFAT遺伝子と相同性の低いものが好ましい。形質転換する植物の内在性GFAT遺伝子と相同性の低い組み合わせのGFAT遺伝子としては、動物由来GFAT遺伝子、菌由来GFAT遺伝子、原核生物由来GFAT遺伝子、ウイルス由来GFAT遺伝子がある。これらのGFAT遺伝子の中でウイルス由来GFAT遺伝子が好ましい。さらに好ましくは、これらのウイルス由来GFAT遺伝子の中でも、クロレラウイルス由来のGFATがよい。特に好ましくは配列番号2の遺伝子がよい。
クロレラウイルス由来グルタミン:フルクトース−6−リン酸 アミドトランスフェラーゼ遺伝子(cvGFAT)を得るためには、クロレラウイルスPBCV1系統の配列情報などを参考にPCRプライマーを作製すればよい。好ましくは、GFAT推定領域の外側から増幅できるように、プライマーを設計し、クロレラウイルスのゲノムDNAを鋳型としてPCRで得られた遺伝子断片をpCRscript(Stratagene製)などにクローニングすれば良い。
【0015】
配列番号2のクロレラウイルス弘前系統(CVHI1)由来GFAT遺伝子は上記方法により得られ、CVHI1株由来GFAT遺伝子cvGFAT-HIのDNA配列を決定した。かくして、塩基配列決定によって新規な配列の遺伝子を得、これを「cvGFAT-HI遺伝子」と命名した。得られた遺伝子は、そのコード領域の全長が配列番号2で示される1788塩基からなり、該塩基配列によってコードされるアミノ酸配列は、配列番号1に示される595アミノ酸配列からなっていた。該アミノ酸配列は、公知のクロレラウイルスPBCV-1系統、K2系統とアミノ酸レベルで98%の相同性を示した。
【0016】
GFATの一部であって、且つGFAT活性を有するポリペプチドとは、例えば上記のようなGFATにおいてGFAT活性を奏するために必須となるアミノ酸部位を含み、かつGFAT活性を有するポリペプチドである。
【0017】
GFATの欠失、付加又は置換体であって、且つGFAT活性を有するポリペプチドとは、上記のようなGFATのアミノ酸配列において、1若しくは複数個、好ましくは1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列により表され、且つ、GFAT活性を失わない程度の変異がなされたポリペプチドである。
【0018】
このような変異は、自然界において生じるほかに、人為的な変異も含む。変異したアミノ酸の数は、GFAT活性を失わない限り、その個数は特に制限されない。天然の変異例として、配列番号1のクロレラウイルス弘前系統のGFATと、公知のクロレラウイルスPBCV-1系統、K2系統のGFATとは、少なくともアミノ酸レベルで2%が変異している例がある。
【0019】
本発明におけるGFATをコードするDNA又はGFATの一部又はGFATの欠失、付加又は置換体であって且つGFAT活性を有するポリペプチドをコードするDNAとしては、上記GFAT又はポリペプチドをコードするものであれば特に限定されず、コドンの縮重により配列が異なるものも含まれる。
【0020】
上記(i)GFATをコードするDNA又は(ii)GFATの一部又はGFATの欠失、付加又は置換体であって且つGFAT活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含む発現用組換えベクターを用いて植物細胞又は植物体を形質転換することによって、本発明の形質転換体、換言すると、形質転換植物細胞又は形質転換植物が作製される。
【0021】
本発明の形質転換植物細胞又は形質転換植物は、(i)GFATをコードするDNA又は(ii)GFATの一部又はGFATの欠失、付加又は置換体であって且つGFAT活性を有するポリペプチドをコードするDNAを挿入した発現用組換えベクターを、目的遺伝子が発現し得るように宿主中に導入し、形質転換することにより得ることができる。
【0022】
ここで、宿主とは、植物全体、種子、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、根茎等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)又は植物培養細胞のいずれをも意味するものである。
【0023】
本明細書において、植物とは、種子植物、シダ植物、コケ植物、地衣植物等を含む、多細胞の植物を意味し、植物全体、種子、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、根茎等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)又は植物培養細胞のいずれをも包含するものである。
【0024】
また、該形質転換して得られた形質転換体(形質転換植物細胞又は形質転換植物)を培養し、該形質転換体により生産されたUDP−GlcNAcを分離することにより、UDP−GlcNAcが製造される。
【0025】
発現用組換えベクターとしては、形質転換植物細胞又は形質転換植物作製のために通常用いられているベクターを用いることができる。
【0026】
このようなベクターとしては、植物細胞で転写可能なプロモーター配列と転写産物の安定化に必要なポリアデニレーション部位を含むターミネーター配列を含んでいれば特に制限はない。例えばプラスミド「pBI121」、「pBI221」、「pBI101」、「pIG121Hm」等を用いることができる。
【0027】
植物培養細胞を宿主として用いる場合は、形質転換は、植物培養細胞に、エレクトロポレーション法又はアグロバクテリウムのバイナリーベクター法もしくはパーティクルガン法で(i)GFATをコードするDNA又は(ii)GFATの一部又はGFATの欠失、付加又は置換体であって且つGFAT活性を有するポリペプチドをコードするDNAを挿入した発現用組換えベクターを導入することにより行うことができる。発現用組換えベクターを導入された植物細胞は、例えば、カナマイシン耐性等の薬剤耐性を基準として選択される。形質転換された植物細胞は、細胞培養、組織培養、器官培養に用いることができ、また従来知られている植物組織培養法等を用いて、植物体を再生することもできる。
【0028】
形質転換の対象となる植物細胞の例としては、例えば、タバコ由来BY-2細胞やT-13細胞、ニンジン由来kurodagosun細胞、ブドウ由来VR細胞やVW細胞、ヨウシュヤマゴボウ由来PAR細胞やPAP細胞やPAW細胞、シロイヌナズナ由来T87細胞、アスパラガス由来Asp-86細胞やA.per細胞やA.pas細胞やA.plo細胞、スイカ由来Cba-1細胞、トマト由来Sly-1細胞、ハッカ由来1-Mar細胞、ニチニチソウ由来CRA細胞やV208細胞や、ホウレンソウ由来Spi-WT細胞やSpi-I-1細胞やSpi-12F細胞、ヘチマ由来Lcy-1細胞やLcyD6細胞やLcyD7細胞や、イネ由来OS-1細胞、ツルニチニチソウ由来Vma-1細胞、ゴマ由来PSB細胞やPSW細胞やPSG細胞、ヒャクニチソウ由来ZE3細胞等が挙げられる。
【0029】
植物体、植物器官又は植物組織を宿主とする場合、形質転換は、採取した植物切片に、アグロバクテリウムのバイナリーベクター法又はパーティクルボンバードメント法によって、あるいはプロトプラストにエレクトロポレーション法によって、(i)GFATをコードするDNA又は(ii)GFATの一部又はGFATの欠失、付加又は置換体であって且つGFAT活性を有するポリペプチドをコードするDNAを挿入した発現用組換えベクターを導入し、形質転換の結果得られる腫瘍組織、カルスやシュート、毛状根等を分離することにより行われる。
【0030】
こうして得られる腫瘍組織、カルスやシュート、毛状根等は、そのまま細胞培養、組織培養又は器官培養に用いることが可能である。また従来知られている植物組織培養法を用い、適当な濃度の植物ホルモンの投与等により植物体に再生させることができる。
【0031】
GFAT遺伝子が導入された植物細胞から植物を再生させるには、このような植物細胞を、再分化培地、ホルモンフリーのムラシゲ・スクーグ(MS)培地等に培養すればよい。発根した幼植物体は、土壌に移植して栽培することにより植物体とすることができる。再生(再分化)の方法は植物細胞の種類により異なるが、従来知られている植物組織培養法を適宜用いることができる。
【0032】
例えばイネではFujimuraら(Fujimuraら(1995)、Plant Tissue Culture Lett.、vol.2:p74)の方法を用いることができる。トウモロコシでは、Shillitoら(Shillitoら(1989)、Bio/Technology、vol.7:p581、Gorden−Kamm,1990,Plant Cell 2,603)の方法を用いることができる。ジャガイモでは、Visserら(Visserら(1989)、Theor.Appl.Genet.、vol.78:p589)の方法を用いることができる。タバコでは、Nagataら(Nagata,1971,Planta 99,12)の方法を用いることができる。シロイヌナズナではAkamaら(Akamaら(1992)、Plant Cell Rep., vol.12:p7)の方法を用いることができる。
【0033】
これらの方法により作製された植物体、または同じ性質を有するその子孫(繁殖媒体、例えば種子、塊茎、切穂等から得た植物体)も本発明の対象である。
【0034】
植物内で、GFAT活性を持つ酵素を発現させ、更に植物内でUDP−GlcNAcを生産、蓄積または分泌させる際には、GFATを定常発現プロモーターを用いて植物全体で発現させても良く、植物の適切な組織および器官で特異的に発現するようにGFAT遺伝子を制御してもよい。
【0035】
そのような制御を行うためには組織特異的又は器官特異的プロモーターを更に発現用組換えベクターに挿入して用いるとよい。
【0036】
また、時期特異的プロモーターを用いれば、特定の時期だけに目的遺伝子を発現させることができ、特定の時期だけに生産性を改良することができる。例えば、栄養生長期に働くプロモーターを用いることによって、栄養生長期のみで生産性を改良することができる。
【0037】
器官特異的プロモーターとしては、例えば、根特異的プロモーター、塊茎特異的プロモーター、葉特異的プロモーター、種子特異的プロモーター、茎特異的プロモーター等がある。
【0038】
また、組織特異的プロモーターとしては、例えば、緑色組織特異的プロモーター等がある。
【0039】
より具体的に、使用し得るプロモーターの例としては、例えば、構成的高発現プロモーターとして、カリフラワーモザイクウイルスの35SRNA遺伝子のプロモーターであるCaMV35Sプロモーター等が挙げられる。緑色組織特異的プロモーターとしては、リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼの小サブユニットタンパク質をコードするrbs遺伝子のプロモーターやクロロフィルa/b結合タンパク質をコードするCAB遺伝子のプロモーター、グルセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼAサブユニットタンパク質をコードするGapA遺伝子プロモーター等が挙げられる。また種子特異的プロモーターとしては、リポキシゲナーゼ遺伝子のLOXプロモーター、レクチン遺伝子のPslプロモーター、アミラーゼ遺伝子のAmylAプロモーター等が挙げられる。根特異的プロモーターとしては、ヒヨシアミン6b-ヒドロキラーゼ遺伝子のA6H6Hプロモーター、プトレシンN-メチルトランスフェラーゼのPMTプロモーター等が挙げられる。茎特異的プロモーターとしては、スクロースシンターゼのSus4遺伝子プロモーター、グリコプロテインをコードするパタチン遺伝子プロモーター等が挙げられる。
【0040】
また、GFAT遺伝子の発現を誘導性プロモーターで制御することも考えられる。誘導性プロモーターの例を以下に記載する。
【0041】
傷害やサリチル酸の添加により発現が増加する耐病性関連遺伝子プロモーターであるPR1aプロモーターや、乾燥、低温、高塩濃度、アブシジン酸の転換より発現が増加するrd29A遺伝子プロモーター等が挙げられる。農薬として用いられている化合物により発現が誘導されるプロモーターとしては、除草剤のセーフナーにより誘導されるグルタチオン-S-トランスフェラーゼの27KDaサブユニットタンパク質をコードするGST-27遺伝子プロモーター、ベンゾ(1,2,3)-チアジアゾール-7-カルボシオイック酸S−メチルエステル(BTH)により誘導されるキチナーゼ遺伝子プロモーターやPR遺伝子タンパク質プロモーター等がある。さらに、植物細胞内でGFAT遺伝子をより安定に発現させるためにインスレーターの利用や目的の細胞内小器官でGFATを局在させるためにシグナルペプチドを付加したり、GFATの一部を置換および欠損させること等を行ってもよい。
【0042】
形質転換の対象となる植物体には、遺伝子導入の可能ないずれの植物も包含される。
【0043】
本発明の植物又は植物体には、被子植物の単子葉植物や双子葉植物、裸子植物等が包含される。このような植物には、任意の有用植物、特に作物植物、蔬菜植物、花卉植物や木本植物が含まれる。
【0044】
また、本発明の植物又は植物体には、シダ植物、コケ植物等も含まれる。
【0045】
本発明が使用され得る植物種の例としては、具体的には、ナス科、イネ科、アブラナ科、バラ科、マメ科、ウリ科、シソ科、ユリ科、アカザ科、セリ科、フトモト科、ヒルガオ科の植物等が挙げられる。
【0046】
ナス科の植物の例としては、Nicotiana、Solanum、Datura、Lycopersion、またはPetuniaに属する植物が挙げられ、例えば、タバコ、ナス、ジャガイモ、トマト、トウガラシ、ペチュニア等が含まれる。
【0047】
イネ科の植物の例としては、Oryza、Hordenum、Secale、Scccharum、Echinochloa、Zea、またはSaccharumに属する植物が挙げられ、例えば、イネ、オオムギ、ライムギ、ヒエ、モロコシ、トウモロコシ、サトウキビ等が含まれる。
【0048】
アブラナ科の植物の例としては、Raphanus、Brassica、Arabidopsis、Wasabia、またはCapsellaに属する植物が挙げられ、例えば、大根、アブラナ、シロイヌナズナ、ワサビ、ナズナ等が含まれる。
【0049】
バラ科の植物の例としては、Orunus、Malus、Pynus、Fragaria、またはRosaに属する植物が挙げられ、例えば、ウメ、モモ、リンゴ、ナシ、オランダイチゴ、バラ等が含まれる。
【0050】
マメ科の植物の例としては、Glycine、Vigna、Phaseolus、Pisum、Vicia、Arachis、Trifolium、Alphalfa、またはMedicagoに属する植物が挙げられ、例えば、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、エンドウ、ソラマメ、ラッカセイ、クローバ、ウマゴヤシ等が含まれる。
【0051】
ウリ科の植物の例としては、Luffa、Cucurbita、またはCucumisに属する植物が挙げられ、例えば、ヘチマ、カボチャ、キュウリ、メロン等が含まれる。
【0052】
シソ科の植物の例としては、Lavandula、Mentha、またはPerillaに属する植物が挙げられ、例えば、ラベンダー、ハッカ、シソ等が含まれる。
【0053】
ユリ科に属する植物の例としては、Allium、Lilium、またはTulipaに属する植物が挙げられ、例えば、ネギ、ニンニク、ユリ、チューリップ等が含まれる。
【0054】
アカザ科の植物の例としては、Spinaciaに属する植物が挙げられ、例えば、テンサイ、ホウレンソウ等が含まれる。
【0055】
セリ科の植物の例としては、Angelica、Daucus、Cryptotaenia、またはApitumに属する植物が挙げられ、例えば、シシウド、ニンジン、ミツバ、セロリ等が含まれる。
【0056】
ヒルガオ科の植物の例としては、Ipomoeaに属する植物が挙げられ、例えば、サツマイモ等が含まれる。
【0057】
上記のような形質転換植物と同じ性質を有する子孫、また、それらの器官及び組織も本発明の対象である。
【0058】
また、本発明には、GFATを生産する形質転換植物細胞が含まれる。また、GFATを生産する形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織も含まれる。
【0059】
GFATを生産する形質転換植物細胞は、(i)GFATをコードするDNA又は(ii)GFATの一部又はGFATの欠失、付加又は置換体であって且つGFAT活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含む発現用組換えベクターを用いて植物細胞を形質転換することにより得ることができる。
【0060】
GFATを生産する形質転換植物は、(i)GFATをコードするDNA又は(ii)GFATの一部又はGFATの欠失、付加又は置換体であって且つGFAT活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含む発現用組換えベクターを用いて植物細胞を形質転換し、該形質転換細胞からウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)を高生産する植物体を再生することにより得ることができる。
【0061】
該形質転換植物細胞又は植物内においては、GFAT遺伝子がGFAT活性を持つ酵素として発現される。
【0062】
上記のようなGFATを生産する形質転換植物細胞或いは形質転換植物を用いることにより、UDP−GlcNAcを植物により高度に生産することが可能になる。
【0063】
上記形質転換植物又は形質転換植物細胞を培養し、植物内にUDP−GlcNAcを生産させた後、該形質転換植物細胞又は植物から適宜公知の方法によって、UDP−GlcNAcを抽出することができる。
【0064】
形質転換植物又は形質転換植物細胞からの抽出において、植物体全体から抽出操作を行ってもよい。また、植物体を根、茎、葉と分別して抽出操作を行ってもよいし、それぞれを組み合わせて抽出操作を実施してもよい。
【0065】
形質転換植物又は形質転換植物細胞は、生の状態、凍結された状態、凍結乾燥された状態のいずれから抽出操作を行ってもよい。好ましくは、生の状態から抽出作業を行うのがよい。生または凍結された形質転換植物又は形質転換植物細胞から抽出作業を行う場合には、まず、破砕をしても良い。破砕にはミキサー、ホモジナイザー、乳鉢等を用いて破砕すればよい。凍結乾燥されたものは、凍結乾燥操作後、粉状に破砕しても良い。破砕された形質転換植物又は形質転換植物細胞は溶媒を用いて、抽出操作を行う。抽出方法として、室温,冷却又は加熱した状態で含浸させて抽出する方法、水蒸気蒸留等の蒸留法を用いて抽出する方法、圧搾して抽出物を得る圧搾法、超臨界流体又は亜臨界流体を用いて抽出する方法等を用いてもよく、これらの方法を単独で、又は2種以上を組み合わせて抽出を行っても良い。好ましくは、細かく裁断した原料1gに対して、5〜100mlの溶媒を用い、1時間から1か月間、好ましくは1〜5日間、室温或いは加熱下で行うことが望ましい。
抽出に用いられる溶媒は、UDP-GlcNAcが効果的に抽出される溶媒であれば特に限定されるものではないが、水または、エタノール等の低級アルコールのように水と混和する有機溶媒、またはそれらの混液、または水と混和しない有機溶媒たとえば酢酸エチル等を用いてもよい。そのほかにも例を挙げるならば、メタノール,イソプロパノール,イソブタノール,n-ヘキサノール,メチルアミルアルコール等の1価アルコール類、エチレングリコール,プロピレングリコール等の多価アルコール又はその誘導体、アセトン,メチルエチルケトン,等のケトン類,酢酸イソプロピル等のエステル類、エチルエーテル,イソプロピルエーテル等のエーテル類等が例示される。また、リン酸緩衝生理食塩水等の無機塩類を添加した極性溶媒、界面活性剤を添加した溶媒を用いることもでき、特に限定されない。
【0066】
上記のUDP−GlcNAcを含む抽出液を濾過後、植物細胞を含まないUDP−GlcNAcの濾過溶液を得る。UDP−GlcNAcを含む濾過溶液を定法(イオン交換カラム、活性炭カラム、塩析等)により精製することができる。
【実施例】
【0067】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1) クロレラウイルス由来GFAT遺伝子の単離
クロレラウイルス由来グルタミン:フルクトース−6−リン酸 アミドトランスフェラーゼ遺伝子(cvGFAT)をPCRにより単離するためにPCRプライマーを作製した。既に明らかになっているクロレラウイルスPBCV1系統の配列情報を参考とし、GFAT推定領域の外側100bpから増幅できるように、配列番号6のプライマーP4、及び配列番号7のプライマーP5を設計した。
PCR は、DNAポリメラーゼにKOD −plus- (東洋紡)を用い、94℃ 2分、(94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 1分)30サイクルの反応プログラムで行った。鋳型DNAにはクロレラウイルス弘前系統(CVHII)のゲノムDNAを使用した。得られたPCR断片をpCRscript(Stratagene製)にクローニングした。挿入された断片の配列を、DNAシークエンサーにより解読し、CVHI1株由来の新規なGFAT遺伝子を得、これを「cvGFAT-HI遺伝子」と命名した。cvGFAT-HI遺伝子のアミノ酸配列は配列番号1、遺伝子配列は配列番号2に示す。
【0068】
(実施例2) 無細胞発現ベクターへのクローニング
配列番号2で示されるcvGFAT-HI遺伝子のオープンリーディングフレーム領域を小麦胚芽翻訳系(wheat germ extract)を用いた無細胞タンパク質合成用ベクターに導入し、タンパク質の発現を行った。具体的には、発現プラスミドの作製とタンパク質の発現には、「PROTEIOS Wheat germ cell-free protein synthesis core kit」(東洋紡製)を用い、添付された取扱説明書に従って行った。
【0069】
cvGFAT-HI遺伝子を含むpCRscriptを鋳型に配列番号3で示されるプライマーP1と配列番号4で示されるプライマーP2を用い、前記条件でPCRを行った。PCR は、DNAポリメラーゼにKOD −plus-を用い、94℃ 2分、(94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 1分)30サイクルの反応プログラムで行った。PCR産物をXbaI切断処理し、pEU-NIIベクターのEcoRVサイトとXbaIサイトにクローニングした。該連結反応液を用いてEscherichia coli DH5α株を前述の公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含むLuria-Bertani(LB)寒天培地(バクトトリプトン 10 g/l、酵母エキス 10 g/l、塩化ナトリウム 5g/l、寒天 15g/l)に塗布後、37℃で一晩培養した。生育してきた形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出した。以上より、プラスミドpEU/cvGFAT-HIを構築した。
【0070】
(実施例3) GFATタンパク質の発現
pEU/cvGFAT-HIを用いてmRNAの合成を行い、cvGFAT-HI遺伝子のオープンリーディングフレームを発現させた。具体的には、5μgのプラスミドpEU/cvGFAT-HIを鋳型としてT7 RNA Polymeraseで37℃、4時間反応を行い、mRNAを合成した。その後、6μgのmRNAをwheat germ extractと混合し、重曹法で26℃、24時間反応した。反応溶液をサンプルバッファー(50mM Tris-HCl (pH6.8)、2% SDS、10% グリセロール、0.6% βメルカプトエタノール)に懸濁し、5分間煮沸した後、発現したタンパク質をSDS-PAGEにて確認した。
【0071】
(実施例4) GFAT活性の確認
タンパク質発現液をGFAT反応に供試した。具体的にはフルクトース−6−リン酸(15mM)、L-グルタミン(15mM)、EDTA(1mM)、DTT(1mM)、KH2PO4(60mM、pH7.0)を含む溶液にタンパク質発現液50μlを添加して、37℃で4時間反応させた。Morgan&Elson法の改良法であるReissig法(J.Biol.Chem、1955)を用いて反応液中のグルコサミン-6−リン酸を測定し、GFAT活性を評価した。結果を図1に示す。コントロールであるpEU/DHFRではグルコサミン-6−リン酸は検出されなかったが、pEU/cvGFAT-HIではグルコサミン-6−リン酸の増加が見られ、タンパク質発現液の中に活性型のGFAT酵素が存在することが確認された。
【0072】
(実施例5) cvGFAT植物発現用ベクターの作製
全長のGFAT遺伝子を増幅する配列番号5で示されるプライマ−P3を設計した。発現ベクターへの導入に必要な制限酵素部位として、5'側プライマーにBamHI部位を付加した。
【0073】
cvGFAT-HIを含むプラスミドDNAを鋳型として、プライマ−P2、P3を用い、上記プラスミドを鋳型としてPCRを行った。KOD −plus-を用い、94℃ 2分、(94℃ 15秒、50℃ 30秒、68℃ 1分)2サイクル、(94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 1分)28サイクルの反応プログラムで行った。PCRで得られた断片をBamHIで処理した。
【0074】
続いて、発現用組換えベクターpBI121(Jefferson et al., 1987, EMBO J, 6, 3901-3907)へcvGFAT-HIを挿入するため、pBI121を制限酵素SacIで処理後、Blunting High(東洋紡製)で平滑処理した後、BamHIで処理し、上記の制限酵素処理したcvGFAT-HI遺伝子をクローニングした。以上より、cvGFAT-HIを含むpBI121プラスミド(pBI121 /cvGFAT-HI)が作製できた。
【0075】
(実施例6) エレクトロポレーションコンピテントセルの作製
アグロバクテリウムLBA4404株(Agrobacterium tumefaciens strain LBA4404)の単一コロニーを5 mLのLB培地に植菌し、28℃で1晩振盪培養した。この培養液を、500mLのLB培地に植菌し、600 nmにおける濁度が 0.5になるまで 28 ℃で振盪培養した。培養液を遠心分離 (5000 rpm, 10 min, 4 ℃)により集菌して上清を除去し、菌体を洗浄するため 500 mL の滅菌水を加えて懸濁し、再度遠心分離 (5000 rpm, 10 min, 4 ℃) により集菌して上清を除去した。この操作を 2回繰り返した後、沈殿に 20 mLの冷却した滅菌 10%グリセロール溶液を加えて懸濁し、遠心分離 (5000 rpm, 10 min, 4 ℃) により集菌して上清を除去した。沈殿に3 mLの冷却した滅菌 10%グリセロール溶液を加えて懸濁し、40μLずつ1.5mL遠心管に分注して、液体窒素で凍結させてから -80℃で保存した。
【0076】
(実施例7) アグロバクテリウムLBA4404株へのpBI121 /cvGFAT-HIの導入
A.tumefaciens LBA4404株のエレクトロポレーションコンピテントセル40μlに発現プラスミドpBI121 /cvGFAT-HI(200μg/ml)1μlを混合した懸濁液を、あらかじめ氷中で冷却した電極間距離1mmのキュベットに注入し、パルス電場(1.8kV、25μF、200Ω)を印加した。直ちにSOC500μlを加え、28℃にて3時間培養した後、カナマイシンを含むLB寒天培地に塗布し、25℃で3日間培養し、pBI121 /cvGFAT-HIを含むアグロバクテリウムを得た。
【0077】
(実施例8) pBI121 /cvGFAT-HIを含むアグロバクテリウムLBA4404株によるタバコ培養細胞(BY-2)の感染
形質転換タバコ培養細胞は、Nicotiana tabacum L. cv Bright Yellow 2 (以下、BY-2と表すことがある。Nagata et al., 1981, Mol. Gen. Genet., 184, 161-165) を使用し,タバコ培養細胞の培養は、Nagataらの方法 (Nagata et al., 1981, Mol. Gen. Genet., 184,161-165)に従い、LS(Linsmaier and Skoog)培地(Linsmaier and Skoog, 1965, Physiol. Plant., 18, 100-127)中のKH2PO4を370mg/L、thiamine HClを1mg/Lに増量し、さらに最終濃度3%の sucroseおよび最終濃度0.2 mg/Lの 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)を添加した改変LS培地で行った。
タバコ培養細胞の形質転換は、基本的にAnの方法(An, 1985, Plant Physiol., 79, 568-570)に従った。カナマイシン(50mg/L)を含む5mLのLB 培地で28℃にて1晩培養したpBI121/cvGFAT-HIを含むそれぞれのアグロバテリウム培養液100μLと、培養4日目のタバコ培養細胞懸濁液4mLをシャーレに入れてよく混ぜ、25℃で2晩、暗所下で静置して共存培養した。アグロバクテリウムを除くため、シャーレの中の培養液を50mLの遠心管に移して、さらに、カナマイシン(100mg/L)とカルベニシリン(250mg/L)を含む改変LS培地を20mL加えて、遠心(1000rpm,4分)し、上清を除去した。直ちに、新しい改変LS培地25mLを入れて遠心(1000rpm,4分)し、細胞を洗浄した。この操作を3回繰り返し、アグロバクテリウムを除いた培養細胞をカナマイシン(100mg/L)とカルベニシリン(250mg/L)を含む改変LS固形培地上に塗布し、25℃で暗黒下に静置して培養した。約2-3週間後にカルス化した細胞を新しい改変LS固形培地上に移植し、増殖しているクローンを選択した。選択した複数のクローンをカナマイシン(100mg/L)とカルベニシリン(250mg/L)を含む改変LS培地30mLに移し、継代培養を行った。
【0078】
(実施例9) HPAEC(high-performance anion-exchange chromatography)法によるcvGFAT-HI組換えタバコ培養細胞(BY-2)の糖分析
液体培養中のタバコ培養細胞から、ヌッチェ濾過により培地を除去した。液体窒素で凍結した細胞を乳棒・乳鉢で破砕し、1/4量の滅菌水を加え、直ちに熱処理した。熱処理サンプルを遠心ろ過チューブ(孔径0.2μm)に通し、細胞内粗抽出液として、糖類分析システムDXc-500(日本ダイオネクス社製)を用いた解析に供試した。測定カラムにはCarboPac PA1(日本ダイオネクス社製、250mm x 4mm I.D.)を用い、移動相A(0.1M水酸化ナトリウム)および移動相B(0.1M水酸化ナトリウム、1M 酢酸ナトリウム)を0-40min(B.conc 5%→20%)、40min-60min(B.conc 20%)のグラジェントモードで、35℃にて流速1ml/minで流し、電気化学検出器ED-50A(日本ダイオネクス社製)により、溶出した糖を検出した。
図2は、結果の一例を示す。非形質転換培養細胞とcvGFAT-HI組換え培養細胞の破砕液を比較したところ、cvGFAT-HI組換え培養細胞において、GlcN-6-Pのピークが特異的に検出された。
【0079】
(実施例10) cvGFAT-HI組換えタバコ培養細胞生産するUDP-GlcNAcの分析
液体培養中のタバコ培養細胞から、ヌッチェ濾過により培地を除去した。培地を除去した細胞に1/4量の滅菌水、ガラスビーズ(直径1mm)100μlを加え、BeadSmash(和研薬BS-12)を用いて3,000rpm,3minで破砕した。さらに、遠心分離により上清を細胞内粗抽出液として回収した。
引き続き、N−アセチルグルコサミン転移酵素を用い、細胞内粗抽出液のUDP-GlcNAcを分析した。N−アセチルグルコサミン転移酵素として、公知の方法(特開2001−178453)に従い、大腸菌JM109株で発現させた組換えβ1,2−N−アセチルグルコサミン転移酵素(GnTI)を調製し、反応に供した。活性測定の受容体基質には、公知の方法(J. Biochem., 105, 547-555, 1989)により2−アミノピリジンで蛍光標識した、下記式(I)で示されるオリゴ糖鎖(M3-PA)を用いた。
【0080】
【化1】

【0081】
反応液は、細胞内粗抽出液、0.1mM M3-PA、50mM MnCl2、100mM MES-NaOH (pH6.1)およびGnTIを含み、全量5μlに調整した。PCRサーマルサイクラーを用いて37℃にて4時間反応させ、95℃にて5分間加熱し、反応を終了させた。反応液を水で100倍に希釈し、反応終了液を遠心後、上清をHPLCの測定サンプルとした。HPLCの測定にはアミドカラム(TSK-Gel Amide-80、250mm x 4.6mm I.D.)を用い、200mM 酢酸-トリエチルアミン(pH7.3)/アセトニトリルの混液C(30:70)およびD(50:50)をグラジェントモードあるいはイソクラティックモードで移動相として、80℃にて、流速1ml/minで流し、励起波長320nm、検出波長400nmの蛍光をモニターして生成物のPA化糖鎖を検出した。図3は、反応液を分析したHPLCの結果を示す。
【0082】
図3より、非形質転換タバコ培養細胞(BY-2)の細胞内粗抽出液ではUDP-GlcNAcからGlcNAcが付加された反応生成物のPA化糖鎖は検出されないが、cvGFATHI組換えタバコ培養細胞の細胞内粗抽出液では検出されることから、該形質転換体においてUDP-GlcNAcが培養細胞の湿重量1kgあたりに換算すると約24mg程度蓄積されていることが確認され、培養細胞の細胞内粗抽出液を定法により精製、乾燥し白色粉末を得ることができた。
【0083】
(実施例11) pBI121/cvGFAT-HIを含むアグロバクテリウムLBA4404株によるタバコの感染
pBI121/cvGFAT-HIを含むアグロバクテリウムLBA4404株によるタバコ(Nicotiana tabacum SR-1)の形質転換は、アグロバクテリウムを用いるリーフディスク法(山田康之、岡田吉美編、「植物バイオテクノロジーII」、東京化学同人、1991年)に従った。カナマイシン50mg/Lを含む5mLのLB 培地で28℃にて1晩培養したpBI121cvHIおよびpBI121cvKAをそれぞれ含むアグロバテリウムの培養液に、滅菌処理したタバコのリーフディスクを3分間浸した後、濾紙上で余分な菌体を除去し、 MS(Murashige and Skoog)無機塩(Murashige and Skoog, 1962, Physiol Plant, 15, 473)に3% スクロース、B5ビタミン、1mg/L ベンジルアミノプリン、1mg/L ナフタレン酢酸および0.3% ゲランガムを添加し、pH5.7に調整した 分化培地に静置し、28℃にて2日間、暗所で静置した。感染させたリーフディスクを滅菌水で3回洗浄し、濾紙上で余分な水分を除去した後、抗生物質としてカナマイシン(100mg/L)およびクラフォラン(250mg/L)を含む分化培地に静置し、25℃にて16時間光条件下でカルスの形成を誘導した。誘導開始3週間後に、形態的に正常なシュートを選び、茎葉を含んだ状態で切り出し、カナマイシン(100mg/L)およびクラフォラン(250mg/L)を含む発根培地(MS無機塩、3% スクロース、B5ビタミンおよび0.3% ゲランガム、pH5.7)に移し、25℃にて16時間光条件下で発根を誘導した。2週間後に発根が認められたシュートを新鮮な発根培地に移し替え、茎葉の生育した複数個のラインが得られた。
【0084】
(実施例12) cvGFAT-HI組換えタバコ生産するUDP-GlcNAcの分析
上述のアグロバクテリウムによる感染で得られた10ラインの形質転換タバコの葉約100mgを2ml容のチューブに移し、100μlのバッファー (20mM Tris-HCl pH7.5)を加えて懸濁し、400mgのステンレスビーズ(直径4.8mm)を加えた。ビードスマッシュ(和研薬 BS-12)を用いて、チューブを振とう攪拌処理することにより、タバコの葉を破砕処理した(4,000rpm, 1分)。遠心分離により上清を回収し、100℃、5分の熱処理をした。さらに、遠心分離により上清を細胞内粗抽出液として回収した。引き続き、実施例10と同様に、N−アセチルグルコサミン転移酵素として組換えGnTIを用い、細胞内粗抽出液のUDP-GlcNAcを分析した。その結果、反応液中のGlcNAc転移反応生成物の蛍光が検出され、細胞内粗抽出液にUDP-GlcNAcが検出された。尚、非形質転換体のタバコの葉を用いて同様にUDP-GlcNAcを分析したが、UDP-GlcNAcは検出されず、該形質転換体においてUDP-GlcNAcが高度に蓄積されていることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明により、植物細胞または植物体から有用なUDP−GlcNAcを安全、安価に、低環境負荷で生産することができる。UDP−GlcNAcは、糖鎖工学の分野で必須の素材である。UDP−GlcNAcの関与する糖鎖は生体内において情報伝達や接着等様々な役割を演じており、これらを応用した医薬品の開発も盛んになってきている。現在薬理作用を持ったオリゴ糖が数多く発見されてきているが、糖ヌクレオチドは糖転移酵素によってオリゴ糖を合成する場合には必須の原料であり、糖鎖関連医薬分野の研究開発を活性化でき、産業界に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】小麦胚芽無細胞タンパク質合成系で発現したタンパク質のGFAT活性をReissig法で測定した結果
【図2】HPAEC法による糖リン酸の検出
【図3】GnTI反応液のHPLCにより、タバコBY-2培養細胞の細胞内UDP-GlcNAcを分析した結果

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外因性GFAT(グルタミン:フルクトース−6−リン酸 アミドトランスフェラーゼ)遺伝子が導入されていることを特徴とするウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
【請求項2】
GFAT遺伝子が、クロレラウイルス由来GFAT遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
【請求項3】
GFAT遺伝子が、配列番号2記載の遺伝子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
【請求項4】
GFAT遺伝子が、配列番号2記載の遺伝子の一部、または欠失体、または付加体、または置換体であって、かつGFAT活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
【請求項5】
クロレラウイルス由来GFAT遺伝子が導入されていることを特徴とするUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
【請求項6】
配列番号2記載のクロレラウイルス由来GFAT遺伝子が導入されていることを特徴とするUDP-GlcNAc高生産形質転換植物細胞又は形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織
【請求項7】
植物が、被子植物、裸子植物、シダ植物及びコケ植物からなる群から選ばれるいずれかの植物である、請求項1〜6のいずれかに記載のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織
【請求項8】
器官が、根、茎、塊茎、葉、花器、塊根、種子及び茎頂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の器官である、請求項1〜6のいずれかに記載のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織
【請求項9】
組織が、表皮、師部、柔組織、木部及び維管束からなる群から選ばれる1種又は2種以上の組織である、請求項1〜6のいずれかに記載のUDP-GlcNAc高生産形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織。
【請求項10】
UDP-GlcNAc高生産形質転換植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織を得るためのベクターであって、発現用組換えベクターに、クロレラウイルス由来GFAT遺伝子が導入されていることを特徴とする発現用組換えベクター。
【請求項11】
クロレラウイルス由来GFAT遺伝子が配列番号2記載のGFAT遺伝子であることを特徴とする、請求項10記載の発現用組換えベクター。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれかに記載の植物又はその子孫又はそれらの器官又はそれらの組織から得られる植物抽出物。
【請求項13】
植物抽出物がUDP−GlcNAcであることを特徴とする請求項12記載の植物抽出物。
【請求項14】
(1)外因性GFAT(グルタミン:フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ)遺伝子が導入されていることを特徴とする発現用組換えベクターを用いて植物細胞を形質転換する工程、
(2)形質転換して得られた形質転換体(形質転換植物細胞又は形質転換植物)を生育する工程、
(3)該形質転換体により生産されたUDP−GlcNAcを分離する工程、
を含むUDP−GlcNAcの製造方法。
【請求項15】
GFAT遺伝子が、クロレラウイルス由来GFAT遺伝子であることを特徴とする請求項14に記載のUDP−GlcNAcの製造方法。
【請求項16】
GFAT遺伝子が、配列番号2記載の遺伝子であることを特徴とする請求項14又は15に記載のUDP−GlcNAcの製造方法。
【請求項17】
GFAT遺伝子が、配列番号2記載の遺伝子の一部、または欠失体、または付加体、または置換体であって、かつGFAT活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であることを特徴とする請求項14又は15に記載のUDP−GlcNAcの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−304778(P2006−304778A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82632(P2006−82632)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構 植物利用エネルギー使用合理化工業原料生産技術開発/植物の物質生産プロセス制御基盤技術開発委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願の成果
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】