説明

UI制御装置におけるUI表示制御方式

【課題】UI制御装置において、使用者の操作スピードに応じたUIの提供を行う。
【解決手段】UI制御装置はUIの描画が終了した際、UIの描画終了時間を保持し、UIの描画が終了した時間とユーザ入力が発生した時間との時間間隔Tを求め、前記時間間隔Tがある所定の値より小さい場合は、UI表示モードを操作オブジェクト及び非操作オブジェクトの双方を表示する表示モードから、操作オブジェクトのみを表示する表示モードに切り換える。そのようにすることで、使用者が素早くUI操作を行いたい場合でも、使用者に対して時間的なストレスを軽減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者のキー入力操作等の操作スピードに合わせ、UIの表示形式を変更することによってUIの操作性の向上を図るUI表示制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のUI制御装置には、使用者のデバイス操作から使用者の習熟度を判断して、可変な誘導入力機能を具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の発明は、使用者のデバイス操作から使用者の習熟度を判断して、可変な誘導入力機能を実現している。
【特許文献1】特開平09−152926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のUI制御装置には従来のものと比べ、比較的大きな表示装置やビデオメモリを具備するものが増えている。それに伴い、表示に比較的時間を要するアニメーション等を利用したUIを使用者に提供するものも増えてきている。上記のようなアニメーションを利用したUIの表示には多くの演算等が必要になるため、表示に比較的時間を要することが一般的である。
【0005】
また、上記のようなUIを表示するUI制御装置にはタッチパネル等のポインティングデバイスを具備するものも多く、その中には表示すべきオブジェクト全てを描画した後にボタン等の操作オブジェクトを表示するものがある。その表示順序はUIのデザインの都合上、変更できない場合がある。そのような場合、背景及びアニメーション等を描画している間、使用者は操作オブジェクトを操作することができないため、例えば使用者が素早く操作したい場合であっても、操作オブジェクトを表示している間はオブジェクトの操作ができないために時間的なストレスを感じざるを得ないという問題があった。
【0006】
上記の問題を解決するため、使用者に対して表示モードの切り換え操作を求め、非操作オブジェクト及び、操作オブジェクトの双方を描画する表示モードから非操作オブジェクトの描画を省略し操作オブジェクトのみ描画する表示モードに切り換えさせる等の解決手段が考えられるが、それは使用者にとって煩雑であることは否めない。
【0007】
そのため、使用者が素早い処理を望んでいることを判断して、UIの表示モードを切り換えることができれば使用者の操作に対する時間的なストレスを軽減させることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載されているUI制御装置はUI画面上の全てのUIオブジェクトの描画が終了した時間を記録するUI描画終了時間記録手段と、前記UI描画終了時間記録手段が保有する時間と、ユーザ入力が行われた時間との間隔を計算する入力間隔計算手段と、非操作オブジェクトの描画を省略して操作オブジェクトのみ表示するUI簡易表示モード表示手段と、非操作オブジェクトと操作オブジェクトの双方を表示するUIデフォルト表示モード表示手段と、UI簡易表示モードとUIデフォルト表示モードを切り換える表示モード切り換え手段とを備え、前記時間間隔に応じてUIの表示モードを切り換えてUIを表示することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載されるUI制御装置は、前記請求項1記載の時間間隔が所定の時間以内の場合、UIデフォルト表示モードからUI簡易表示モードに切り換えて、UIを表示することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載されるUI制御装置は、全てのUIオブジェクトの描画が終了した時間からユーザ入力を受け付けるまでの時間間隔が所定の時間以内の場合に計数を行う計数手段を備え、前記計数手段の保有する値が所定の値を超える場合に、UIデフォルト表示モードからUI簡易表示モードに切り換えて表示することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載されるUI制御装置は、前記UI簡易表示モードと前記UIデフォルト表示モードを切り換えることができるユーザ指示手段を備え,該指示手段の指示に応じて使用者が任意のタイミングでUI表示モードを切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、UI画面上の全てのUIオブジェクトの描画が終了した時間と、ユーザ入力が行われた時間との間隔に応じてUI表示モードを切り換えることにより、使用者が素早く操作したい場合に描画を簡略化することで描画時間を短縮することが可能となる。これにより、使用者がUI制御装置を操作する際の時間的なストレスを軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、添付図面を参照して本発明による前記UI制御装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1に非操作オブジェクト及び、操作オブジェクトの双方を描画するUIデフォルト表示モードの表示画面例を示す。図1の例では画面左側に表示されているのが操作オブジェクトである。また、右側に表示されているのがアニメーション表示部分である。また、背景も表示されている。本実施例では、UI制御装置起動直後はUIデフォルト表示モードでUIを表示する。
【0015】
図2に非操作オブジェクトの描画を省略し操作オブジェクトのみ描画するUI簡易表示モードの表示画面例を示す。図2の例では画面左側の操作オブジェクトは表示されるが、画面右側のアニメーション部分は表示されない。また、背景の表示も省略されている。
【0016】
図3にUIの画面構成データ例の一部を示す。図3の例では<start>タグがUIの描画開始を示し、<end>タグがUIの描画終了を表している。
【0017】
<anime src="anime1.swf" x=400 y=50>タグは図1の操作画面例におけるアニメーション表示を表している。
【0018】
また、<start>タグと<end>タグ間に記述されている<botton src="image1.bmp" link="menu_page" text="メニューへ"x=50 y=50>タグは図1の操作画面例における“メニューへ”ボタンを表しており、<botton src="image1.bmp" link="setting_page" text="設定画面へ"x=50 y=100>タグは図1の操作画面例における“設定画面へ”ボタンを表している。
【0019】
図4に本発明に該当する前記UI制御装置のブロック図を示す。本UI制御装置は少なくともタッチパネル等のポインティングデバイス付表示装置4−1、少なくとも中央処理装置であるCPU4−2、処理プログラムの一つであって割り込みにより処理を開始する割り込み制御部4−3、プログラムの処理過程でデータの格納等に使用するメモリ4−4、後述するカウンタの計数を行う計数部4−5、時間を取得する計時部4−6、UI制御装置本体4−7から成る。また、メモリ4−4には現在のUIの表示モードを判断するためのフラグである表示モードフラグを保持する。前記表示モードフラグが1の時は現在のUI表示モードはUIデフォルト表示モードであることを表し、0の時はUI表示モードはUI簡易表示モードであることを表している。UI制御装置起動直後はUIデフォルト表示モードでUIを表示するため、前記表示モードフラグの初期値は1である。
【0020】
図5は、UI描画処理において図3に示す画面構成データ例における<end>タグを処理した時間とユーザによる操作オブジェクトの操作が発生した時間の間隔を計算する処理を示す処理図である。ステップ5−1ではUIの描画処理を行っており、図3の画面構成データ例における<start>タグから<end>タグまでを処理する。ステップ5−2では<end>タグを処理した時間T1を取得している。ステップ5−3ではユーザによる操作オブジェクトの操作が発生したか判断している。ステップ5−4ではユーザによる操作オブジェクトの操作が発生した時間T2を取得している。ステップ5−5では<end>タグを処理した時間とユーザによる操作オブジェクトの操作が発生した時間との時間間隔Tを求めている。
【0021】
図6は前記図5の処理で求めた前記時間間隔Tの値がある所定の値より小さかった場合、UIを前記簡易UI表示モードで表示する処理図である。Tは前記図5の処理で求めた前記時間間隔である。また、Mはある所定の値である。ステップ6−1では前記時間間隔Tが前記所定の値Mよりも小さいか判断している。ステップ6−2では前記表示モードフラグが1であるか否か判断している。ステップ6−3ではUIを簡易UI表示モードで表示する。ステップ6−4では前記表示モードフラグを0にする。
【0022】
図7は全てのUIオブジェクトの描画が終了した時間からユーザ入力を受け付けるまでの時間間隔が所定の時間以内の場合に計数を行い、その値がある所定の値Nよりも大きかった場合、UIを前記簡易UI表示モードで表示する処理図である。Tは前記図5の処理で求めた前記時間間隔である。また、M及びNはある所定の値である。ステップ7−1では前記時間間隔Tが前記所定の値Mよりも小さいか判断している。ステップ7−2ではカウンタ1を1インクリメントする。カウンタ1は前記時間間隔Tが前記所定の値Mよりも小さかった回数を計数するために用いる。ステップ7−3ではカウンタ1の値がNよりも大きいか判断している。ステップ7−4では前記表示モードフラグが1であるか否か判断している。ステップ7−5ではUIを簡易UI表示モードで表示する。ステップ7−6では前記表示モードフラグを0にする。
【0023】
図8は使用者がUI簡易表示モード切換ボタンを押したか判断して、押されていればUIを前記UI簡易表示モードで表示する処理図である。ステップ8−1では使用者がUI簡易表示モード切換ボタンを押したか判断している。ステップ8−2では前記表示モードフラグが1であるか否か判断している。ステップ8−3ではUIをUI簡易表示モードで表示する。ステップ8−4では前記表示モードフラグを0にする。
【0024】
図9は使用者がUIデフォルト表示モード切換ボタンを押したか判断して、押されていればUIを前記UIデフォルト表示モードで表示する処理図である。ステップ9−1では使用者がUIデフォルト表示モード切換ボタンを押したか判断している。ステップ9−2では前記表示モードフラグが0であるか否か判断している。ステップ9−3ではではUIをUIデフォルト表示モードで表示する。ステップ9−4では前記表示モードフラグを1にする。
【0025】
図10は使用者がシステムからログオフしたか判断し、前記カウンタ1をゼロクリアしUIを前記UIデフォルト表示モードで表示する処理図である。ステップ10−1では使用者がシステムからログオフしたか否かを判断している。ログオフしたか否かを判断するためには、例えばシステムが提供するシステム関数等を利用して使用者のログイン状況を取得する。ステップ10−2では前記カウンタ1をゼロクリアする。ステップ10−3では前記表示モードフラグが0であるか否か判断している。ステップ10−4ではUIをUIデフォルト表示モードで表示する。ステップ10−5では前記表示モードフラグを1にする。使用者がログオフしたと判断できるのは例えば使用者自らシステムからログオフした場合や、ある一定時間以上入力がなかった等の理由からシステムから強制的にログオフさせられた場合も含む。
【0026】
なお、以上の実施例では入力手段としてポインティングデバイスを具備したUI制御装置での操作を想定したが、入力手段としてキーのみを具備したUI制御装置でも本構成は実施可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】操作オブジェクト及び非操作オブジェクトの双方を表示した操作画面例
【図2】非操作オブジェクトの描画を省略した操作画面例
【図3】UIの画面構成データの一部を示した例
【図4】本発明に該当するUI制御装置のブロック図
【図5】UI描画終了時間とユーザ入力時間との時間間隔Tを求める処理図
【図6】UIを簡易UI表示モードで表示するか否かを判断する処理図
【図7】カウンタ1からUIを簡易UI表示モードで表示するか否かを判断する処理図
【図8】使用者がUI簡易表示モード切り換えボタンを押した場合の処理図
【図9】使用者がUIデフォルト表示モード切り換えボタンを押した場合の処理図
【図10】使用者がシステムからログオフした場合の処理図
【符号の説明】
【0028】
4−1 本発明に該当するUI制御装置のポインティングデバイスを具備する表示装置
4−2 本発明に該当するUI制御装置のCPU
4−3 本発明に該当するUI制御装置の割り込み制御部
4−4 本発明に該当するUI制御装置のメモリ
4−5 本発明に該当するUI制御装置のカウンタ等を計数する計数部
4−6 本発明に該当するUI制御装置の時間を取得する計時部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力インターフェースとしてデバイスを具備するUI制御装置において、UI画面上の全てのUIオブジェクトの描画が終了した時間を記録するUI描画終了時間記録手段と、前記UI描画終了時間記録手段が保有する時間と、ユーザ入力が行われた時間との時間間隔を計算する入力間隔計算手段と、非操作オブジェクトの描画を省略して操作オブジェクトのみ表示するUI簡易表示モード表示手段と、非操作オブジェクトと操作オブジェクトの双方を表示するUIデフォルト表示モード表示手段と、UI簡易表示モードとUIデフォルト表示モードを切り換える表示モード切り換え手段とを備え、前記時間間隔に応じてUIの表示モードを切り換えてUIを表示することを特徴とするUI制御装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の時間間隔が所定の時間以内の場合、UIデフォルト表示モードからUI簡易表示モードに切り換えて、UIを表示することを特徴とする請求項1記載のUI制御装置。
【請求項3】
全てのUIオブジェクトの描画が終了した時間からユーザ入力を受け付けるまでの時間間隔が所定の時間以内の場合に計数を行う計数手段を備え、前記計数手段の保有する値が所定の値を超える場合に、UIデフォルト表示モードからUI簡易表示モードに切り換えて表示することを特徴とする前記請求項1記載のUI制御装置。
【請求項4】
前記UI簡易表示モードと前記UIデフォルト表示モードを切り換えることができるユーザ指示手段を備え,該指示手段の指示に応じて使用者が任意のタイミングでUI表示モードを切り換えることを特徴とする前記請求項1記載のUI制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−102612(P2008−102612A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282756(P2006−282756)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】