説明

USBハブ装置

【課題】USBバージョン3.0に対応したハブ装置の内部の接続状態を変更可能なタイミングを通知することができるUSBハブ装置を提供することである。
【解決手段】USBバージョン3.0に対応し、複数のアップストリームポートと、複数のダウンストリームポートと、コントローラと、通知する回路とを具備するUSBハブ装置によって解決できる。アップストリームポートは、USBバージョン3.0に対応したコンピュータを接続するためのポートである。ダウンストリームポートは、USBバージョン3.0に対応したUSB機器を接続するためのポートである。コントローラは、複数のアップストリームポートと、複数のダウンストリームポートとの論理的な接続状態を制御すると共に、論理的な接続状態を、外部から与えられるポート選択信号によって変更する。通知する回路は、ポート選択信号を外部から与えても良いタイミングを通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USB(Universal Serial Bus)バージョン3.0に対応したハブ(HUB)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
USB機器が普及している。1台のコンピュータに複数のUSB機器を繋ぎたいという要請から、USBハブ(HUB)装置が開発されている。1台のコンピュータに、多数のUSBポートを備えたUSBハブ装置を介して、複数のUSB機器を接続するという利用形態が出現し、1台のコンピュータで複数のUSB機器を取り扱うことができるようになっている。それから、USBのホストコントローラを備えたコンピュータも普及している。現状では、1台のUSBハブ装置には、1つのホストコントローラしか接続できていない。しかし、今後は、USBのホストコントローラを備えたコンピュータの更なる増加が予想されることから、複数台のコンピュータで、ケーブルの配線を変えることなく、同一のUSB機器を取り扱うという使用方法も期待されている。
【0003】
コンピュータで取り扱うデータ量の増加に伴い、1台のコンピュータから複数のUSB機器に対して、なるべく高速にファイルの移動を行いたいという要求がある。しかし、一般的には、1台のUSBハブ装置に1台のコンピュータと複数のUSB機器とを接続しても、高速にファイルの移動を行うことができない。例えば、USBバージョン2.0では、マルチキャストバスのため、ポート全体での転送帯域がUSBバージョン2.0で規定されている値(ハイスピード(High Speed)の場合で480Mbps、フルスピード(Full Speed)の場合で12Mbps、ロースピード(Low Speed)の場合で1.5Mbps)に制限される。
【0004】
一方、USBバージョン3.0(以下、単に「USB3.0」という。)では、新たにスーパースピード(Super Speed)が追加された。スーパースピードは、ユニキャストバスのため、ホストコントローラを接続するためのアップストリームポートを複数用意すれば、ポート全体の転送帯域は、(ポート数×5Gbps)となる。よって、USB3.0では、USB3.0に対応したハブ装置(以下、単に「USB3.0ハブ装置」という。)を複数台用意し、これらを1台のコンピュータ(ホストコントローラ)に接続することによって、高速にファイルの移動を行うことができる。複数台のUSB3.0ハブ装置それぞれに対して、スーパースピードの帯域が確保されるため、複数のUSB機器に対するファイルの移動が高速に行えるようになる。しかしながら、複数台のUSB3.0ハブ装置が必要となっていた。
【0005】
図1は、1台のUSBハブ装置HUB50と、1台のコンピュータCOMP50と、4台のUSB機器DEV60〜DEV63との接続形態の例を示す図である。図1において、USBハブ装置HUB50は、ホストコントローラ側に接続するためのアップストリームポートを一つ有し、USB機器側に接続するためのダウンストリームポートを4つ有している。図1の接続形態では、ハブ装置HUB50のダウンストリームポートに接続されている4台のUSB機器DEV60〜DEV63へ向けて、コンピュータCOMP50から、同時にファイルの移動を行う場合には、アップストリームポート側のバス転送速度がボトルネックになってしまう。また、4台のUSB機器DEV60〜DEV63間で、コンピュータCOMP50を介して、ファイルの移動を行う場合にも、アップストリームポート側のバス転送速度がボトルネックになってしまう。
【0006】
図2は、1台のUSBハブ装置HUB51と、1台のコンピュータCOMP50と、4台のUSB機器DEV60〜DEV63との接続形態の別の例を示す図である。図2において、USBハブ装置HUB51は、ホストコントローラ側に接続するためのアップストリームポートを二つ有し、USB機器側に接続するためのダウンストリームポートを4つ有している。図2の接続形態では、ハブ装置HUB51のダウンストリームポートに接続されている2台のUSB機器DEV60,DEV62へ向けて、コンピュータCOMP50から、同時にファイルの移動を行う場合には、アップストリームポート側のバス転送速度がボトルネックになることはない。また、2台のUSB機器DEV61,DEV63間で、コンピュータCOMP50を介して、ファイルの移動を行う場合にも、アップストリームポート側のバス転送速度がボトルネックになることはない。
【0007】
図2に示すUSBハブ装置HUB51のように、複数のアップストリームUSBポートを有するハブ装置が、特開2001−229119号公報(特許文献1参照)に記載されている。この文献に記載された「複数コンピュータによるデバイス選択HUBBOX」は、トリガ発生部分と、制御PC切り替え論理部と、仮想アップストリームポート及び仮想ダウンストリームポートと、複数の実アップストリームポート及び実ダウンストリームポートと、ハブリピータと、ハブコントロール部から構成される。
【0008】
トリガ発生部分は、周辺機器バス規格(たとえばUSB、IEEE11394等)のバスホストコントローラを備えた複数のコンピュータと、周辺機器バス規格の複数の周辺デバイスから成るシステムに対し、そのシステム使用者がどのコンピュータでどの周辺デバイスを使用するかを示す「使用者希望組み合わせ情報」を発信する。制御PC切り替え論理部は、トリガ発生部分より「使用者希望組み合わせ情報」を受信し「切り替え制御命令」を発する。
【0009】
仮想アップストリームポート及び仮想ダウンストリームポートは、制御PC切り替え論理部より「切り替え制御命令」を受信し構成される。複数の実アップストリームポート及び実ダウンストリームポートは、実際にコンピュータや周辺デバイスを接続し、仮想アップストリームポート及び仮想ダウンストリームポートに繋がれる。ハブリピータは、仮想アップストリーム及び仮想ダウンストリーム各ポートからの信号伝達を処理し、制御PC切り替え論理部からの「切り替え制御命令」によりコントロールされる。ハブコントロール部は、HUBとしての主要通信メカニズムを司る。
【0010】
この公知文献記載の技術では、どのコンピュータでどの周辺デバイスを使用するかを示す「使用者希望組み合わせ情報」を用いて、HUBBOX内部の接続状態を変更することができる。しかし、例えば、HUBBOXに接続されたコンピュータ又は周辺デバイスがデータを転送している時に、HUBBOXの接続状態を変更しようとすると、データが失われるなどの恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−229119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、USB3.0ハブ装置の内部の接続状態を変更可能なタイミングを通知することができるUSB3.0ハブ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一つ目のアスペクトによるUSBハブ装置は、USBバージョン3.0に対応し、複数のアップストリームポートと、複数のダウンストリームポートと、コントローラと、通知する回路とを具備する。アップストリームポートは、USBバージョン3.0に対応したコンピュータを接続するためのポートである。ダウンストリームポートは、USBバージョン3.0に対応したUSB機器を接続するためのポートである。コントローラは、複数のアップストリームポートと、複数のダウンストリームポートとの論理的な接続状態を制御すると共に、論理的な接続状態を、外部から与えられるポート選択信号によって変更する。通知する回路は、ポート選択信号を外部から与えても良いタイミングを通知する。
【0014】
本発明の二つ目のアスペクトによる方法は、USBバージョン3.0に対応したUSBハブ装置の内部の接続状態を変更する方法である。コンピュータを接続することと、USB機器を接続することと、設定することと、通知することと、変更することとを具備する。コンピュータを接続することにおいては、複数のアップストリームポートに、それぞれ、USBバージョン3.0に対応したコンピュータを接続する。USB機器を接続することにおいては、複数のダウンストリームポートに、それぞれ、USBバージョン3.0に対応したUSB機器を接続する。設定することにおいては、複数のアップストリームポートと、複数のダウンストリームポートとの論理的な接続状態を設定する。通知することにおいては、論理的な接続状態を変更するポート選択信号を、外部から与えても良いタイミングを通知する。変更することにおいては、ポート選択信号を外部から与えて、論理的な接続状態を変更する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、USB3.0ハブ装置の内部の接続状態を変更可能なタイミングを通知することができるUSB3.0ハブ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】USBハブ装置を用いたコンピュータと、USB機器との接続形態の例を示す図
【図2】USBハブ装置を用いたコンピュータと、USB機器との接続形態の別の例を示す図
【図3】USB3.0ハブ装置の全体構成を説明するブロック図
【図4】アップストリームルーティング制御回路の構成説明図
【図5】ダウンストリームルーティング制御回路の構成説明図
【図6】USB3.0ハブ装置の内部の接続状態を変更する動作を説明するための図(1/2)
【図7】USB3.0ハブ装置の内部の接続状態を変更する動作を説明するための図(2/2)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。図3は、一つの実施の形態におけるUSB3.0ハブ装置の全体構成を説明するブロック図である。図3において、USB3.0ハブ装置10は、2つのアップストリームコントローラ20a,20bと、4つのダウンストリームコントローラ30−0〜30−3とを具備している。2つのアップストリームコントローラ20a,20bは、各アップストリームポートに対応して設けられ、それぞれ一つのアップストリームポートを制御する。4つのダウンストリームコントローラ30−0〜30−3は、各ダウンストリームポートに対応して設けられ、それぞれ一つのダウンストリームポートを制御する。
【0018】
図3において、アップストリームコントローラ20aは、4つのダウンストリームコントローラ30−0〜30−3と物理的に接続されているので、4つのダウンストリームコントローラ30−0〜30−3のいずれに対してもデータを送信することができ、かつ、4つのダウンストリームコントローラ30−0〜30−3のいずれからでもデータを受信することができる。アップストリームコントローラ20bも、4つのダウンストリームコントローラ30−0〜30−3と物理的に接続されているので、4つのダウンストリームコントローラ30−0〜30−3のいずれに対してもデータを送信することができ、かつ、4つのダウンストリームコントローラ30−0〜30−3のいずれからでもデータを受信することができる。
【0019】
同様に、ダウンストリームコントローラ30−0は、2つのアップストリームコントローラ20a,20bと物理的に接続されているので、2つのアップストリームコントローラ20a,20bのどちらに対してもデータを送信することができ、かつ、2つのアップストリームコントローラ20a,20bのどちらからでもデータを受信することができる。ダウンストリームコントローラ30−1は、2つのアップストリームコントローラ20a,20bと物理的に接続されているので、2つのアップストリームコントローラ20a,20bのどちらに対してもデータを送信することができ、かつ、2つのアップストリームコントローラ20a,20bのどちらからでもデータを受信することができる。
【0020】
ダウンストリームコントローラ30−2は、2つのアップストリームコントローラ20a,20bと物理的に接続されているので、2つのアップストリームコントローラ20a,20bのどちらに対してもデータを送信することができ、かつ、2つのアップストリームコントローラ20a,20bのどちらからでもデータを受信することができる。ダウンストリームコントローラ30−3は、2つのアップストリームコントローラ20a,20bと物理的に接続されているので、2つのアップストリームコントローラ20a,20bのどちらに対してもデータを送信することができ、かつ、2つのアップストリームコントローラ20a,20bのどちらからでもデータを受信することができる。
【0021】
図3において、USB3.0ハブ装置10の内部の接続状態は、アップストリームコントローラ20aのアップストリームルーティング制御回路21aによる制御と、アップストリームコントローラ20bのアップストリームルーティング制御回路21bによる制御と、ダウンストリームコントローラ30−0のダウンストリームルーティング制御回路31−0による制御と、ダウンストリームコントローラ30−1のダウンストリームルーティング制御回路31−1による制御と、ダウンストリームコントローラ30−2のダウンストリームルーティング制御回路31−2による制御と、ダウンストリームコントローラ30−3のダウンストリームルーティング制御回路31−3による制御とによって決定される。
【0022】
図中、アップストリームコントローラ20aのアップストリームルーティング制御回路21aから、ダウンストリームコントローラ30−0のTxコントローラ32−0へ向いた実線、及び、アップストリームコントローラ20aのアップストリームルーティング制御回路21aから、ダウンストリームコントローラ30−1のTxコントローラ32−1へ向いた実線は、これらが論理的に接続されている状態を示している。一方、アップストリームコントローラ20aのアップストリームルーティング制御回路21aから、ダウンストリームコントローラ30−2のTxコントローラ32−2へ向いた破線、及び、アップストリームコントローラ20aのアップストリームルーティング制御回路21aから、ダウンストリームコントローラ30−3のTxコントローラ32−3へ向いた破線は、これらが論理的に接続されていない状態を示している。
【0023】
同様に、アップストリームコントローラ20bのアップストリームルーティング制御回路21bから、ダウンストリームコントローラ30−0のTxコントローラ32−0へ向いた破線、及び、アップストリームコントローラ20bのアップストリームルーティング制御回路21bから、ダウンストリームコントローラ30−1のTxコントローラ32−1へ向いた破線は、これらが論理的に接続されていない状態を示している。一方、アップストリームコントローラ20bのアップストリームルーティング制御回路21bから、ダウンストリームコントローラ30−2のTxコントローラ32−2へ向いた実線、及び、アップストリームコントローラ20bのアップストリームルーティング制御回路21bから、ダウンストリームコントローラ30−3のTxコントローラ32−3へ向いた実線は、これらが論理的に接続されている状態を示している。
【0024】
また、ダウンストリームコントローラ30−0のダウンストリームルーティング制御回路31−0から、アップストリームコントローラ20aのTxコントローラ22aへ向いた実線は、これらが論理的に接続されている状態を示し、ダウンストリームコントローラ30−0のダウンストリームルーティング制御回路31−0から、アップストリームコントローラ20bのTxコントローラ22bへ向いた破線は、これらが論理的に接続されていない状態を示している。ダウンストリームコントローラ30−1のダウンストリームルーティング制御回路31−1から、アップストリームコントローラ20aのTxコントローラ22aへ向いた実線は、これらが論理的に接続されている状態を示し、ダウンストリームコントローラ30−1のダウンストリームルーティング制御回路31−1から、アップストリームコントローラ20bのTxコントローラ22bへ向いた破線は、これらが論理的に接続されていない状態を示している。
【0025】
ダウンストリームコントローラ30−2のダウンストリームルーティング制御回路31−2から、アップストリームコントローラ20aのTxコントローラ22aへ向いた破線は、これらが論理的に接続されていない状態を示し、ダウンストリームコントローラ30−2のダウンストリームルーティング制御回路31−2から、アップストリームコントローラ20bのTxコントローラ22bへ向いた実線は、これらが論理的に接続されている状態を示している。ダウンストリームコントローラ30−3のダウンストリームルーティング制御回路31−3から、アップストリームコントローラ20aのTxコントローラ22aへ向いた破線は、これらが論理的に接続されていない状態を示し、ダウンストリームコントローラ30−3のダウンストリームルーティング制御回路31−3から、アップストリームコントローラ20bのTxコントローラ22bへ向いた実線は、これらが論理的に接続されている状態を示している。
【0026】
すなわち、図3におけるUSB3.0ハブ装置10の内部の接続状態は、図2におけるUSB3.0ハブ装置HUB51の内部の接続状態と同じ状態になっている。
【0027】
2つのアップストリームルーティング制御回路21a,21bによる制御及び4つのダウンストリームルーティング制御回路31−0〜31−3による制御は、USB3.0ハブ装置10の外部から与えられるポート選択信号によって変更することができる。図3におけるUSB3.0ハブ装置10では、ポート選択信号を外部の機器から取り込むための専用のポートを設けている。ただし、ポート選択信号は、アップストリームポートに接続されるホストコントローラから送信するようにしても良く、また、ダウンストリームポートに接続されるUSB機器から送信するようにしても良い。
【0028】
図3において、4通りのポート選択信号#0〜#3が定義されている。ポート選択信号#0は、2つのアップストリームルーティング制御回路21a,21bと、1つのダウンストリームルーティング制御回路31−0とを設定するための制御信号である。図3では、ポート選択信号#0として、“#a”が与えられたことによって、ダウンストリームコントローラ30−0と、アップストリームコントローラ20aとが論理的に接続された状態になっている。ポート選択信号#1は、2つのアップストリームルーティング制御回路21a,21bと、1つのダウンストリームルーティング制御回路31−1とを設定するための制御信号である。図3では、ポート選択信号#1として、“#a”が与えられたことによって、ダウンストリームコントローラ30−1と、アップストリームコントローラ20aとが論理的に接続された状態になっている。
【0029】
ポート選択信号#2は、2つのアップストリームルーティング制御回路21a,21bと、1つのダウンストリームルーティング制御回路31−2とを設定するための制御信号である。図3では、ポート選択信号#2として、“#b”が与えられたことによって、ダウンストリームコントローラ30−2と、アップストリームコントローラ20bとが論理的に接続された状態になっている。ポート選択信号#3は、2つのアップストリームルーティング制御回路21a,21bと、1つのダウンストリームルーティング制御回路31−3とを設定するための制御信号である。図3では、ポート選択信号#3として、“#b”が与えられたことによって、ダウンストリームコントローラ30−3と、アップストリームコントローラ20bとが論理的に接続された状態になっている。
【0030】
図3において、外部の機器からポート選択信号#0〜#3が供給される各専用ポート付近には、変更タイミングの通知回路12−0〜12−3が設けられている。変更タイミングの通知回路12−0〜12−3は、変更タイミング制御信号を出力して、USB3.0ハブ装置10へポート選択信号#0〜#3を供給する外部の機器に対して、ポート選択信号#0〜#3を送信しても良いタイミングを通知する。USB3.0には、ノーマルオペレーショナルステート(Normal Operational State(U0 state))というポートが通信中である状態が定義されている。よって、変更タイミングの通知回路12−0〜12−3は、対応するダウンストリームポートがノーマルオペレーショナルステート以外の状態にあるときに、変更タイミング制御信号をアクティブにするものとすることができる。
【0031】
図3は、ポート選択信号を受信するための専用ポートを設けた例である。アップストリームポートに接続されるホストコントローラからポート選択信号を送信する例や、ダウンストリームポートに接続されるUSB機器からポート選択信号を送信する例の場合には、変更タイミングの通知回路をアップストリームポートやダウンストリームポートに対応させて設けるようにすれば、変更タイミング制御信号によって、ポート選択信号を送信しても良いタイミングを、ホストコントローラやUSB機器に通知することができる。
【0032】
USB3.0ハブ装置10の動作について説明する。図3において、USB3.0ハブ装置10のアップストリームポートは、それぞれUSB3.0コンピュータ(USB3.0ホスト)と接続される。ダウンストリームポートは、それぞれUSB3.0機器と接続される。アップストリームコントローラ20a,20bは、アップストリームポートを通じて、USB3.0コンピュータとUSB3.0プロトコルに準じたデータ転送を行う。USB3.0ハブ装置10が、USB3.0コンピュータからアップストリームポートを介してデータを受信した場合、アップストリームコントローラ20a,20bは、受信データをRxコントローラ内のバッファに保持する。アップストリームルーティング制御回路21a,21bが転送ポートを判定し、受信データをダウンストリームコントローラ30−0〜30−3のTxコントローラ32−0〜32−3へ送出する。
【0033】
ダウンストリームコントローラ30−0〜30−3は、ダウンストリームポートを通じて、USB3.0機器とUSB3.0プロトコルに準じたデータ転送を行う。ダウンストリームコントローラ30−0〜30−3のTxコントローラ32−0〜32−3は、論理的に接続されたアップストリームルーティング制御回路が複数あったときに、アップストリームルーティング制御回路からデータを受信すると、アップストリームルーティング制御回路間の調停を行う。その後、Txコントローラ32−0〜32−3は、ダウンストリームポートを介して、受信データをUSB3.0機器へ送出する。以上の動作で、USB3.0ハブ装置10は、USB3.0コンピュータから受信したデータを、USB3.0機器へ転送することができる。
【0034】
一方、USB3.0ハブ装置10が、USB3.0機器からダウンストリームポートを介してデータを受信した場合、ダウンストリームコントローラ30−0〜30−3は、受信データをRxコントローラ内のバッファに保持する。ダウンストリームルーティング制御回路31−0〜31−3が転送ポートを判定し、受信データをアップストリームコントローラ20a,20bのTxコントローラ22a,22bへ送出する。
【0035】
アップストリームコントローラ20a,20bのTxコントローラ22a,22bは、論理的に接続されたダウンストリームルーティング制御回路が複数あったときに、ダウンストリームルーティング制御回路からデータを受信すると、ダウンストリームルーティング制御回路間の調停を行うことができる。その後、Txコントローラ22a,22bは、アップストリームポートを介して、受信データをUSB3.0コンピュータへ送出する。以上の動作で、USB3.0ハブ装置10は、USB3.0機器から受信したデータを、USB3.0コンピュータへ転送することができる。
【0036】
図4は、アップストリームルーティング制御回路の構成説明図である。図3に示したアップストリームルーティング制御回路21a,21bは、それぞれ、図4に示すアップストリームルーティング制御回路21と同様の構成を具備しているものとする。図4において、アップストリームルーティング制御回路21は、USB3.0ハブ装置10が備えるダウンストリームポートの数と同じ数のアップストリームコネクト制御回路26−0〜26−3を有している。図示するように、アップストリームコネクト制御回路26−0〜26−3は、ダウンストリームコントローラ30−0〜30−3におけるTxコントローラ32−0〜32−3と、それぞれ物理的に接続されている。
【0037】
アップストリームコネクト制御回路26−0〜26−3は、ポート選択信号の制御に従って、Txコントローラ32−0〜32−3との論理的な接続を有効にし、又は、無効にする。アップストリームコネクト制御回路26−0は、ダウンストリームコントローラ30−0のダウンストリームルーティング制御回路31−0を制御するポート選択信号#0によって制御される。ポート選択信号#0が自ポート番号(“#a”又は“#b”)と一致する場合、アップストリームコネクト制御回路26−0は、Txコントローラ32−0との論理的な接続を有効にする。一方、ポート選択信号#0が自ポート番号と不一致の場合には、アップストリームコネクト制御回路26−0は、Txコントローラ32−0との論理的な接続を無効にする。
【0038】
アップストリームコネクト制御回路26−1は、ポート選択信号#1によって制御される。ポート選択信号#1が自ポート番号と一致する場合、アップストリームコネクト制御回路26−1は、Txコントローラ32−1との論理的な接続を有効にする。一方、ポート選択信号#1が自ポート番号と不一致の場合には、アップストリームコネクト制御回路26−1は、Txコントローラ32−1との論理的な接続を無効にする。同様に、アップストリームコネクト制御回路26−2は、ポート選択信号#2によって制御され、アップストリームコネクト制御回路26−3は、ポート選択信号#3によって制御される。これにより、1つのアップストリームコントローラに、複数のダウンストリームコントローラを論理的に接続することが可能になり、また、その論理的な接続を切断することが可能となる。
【0039】
図4において、アップストリームルーティング制御回路21には、アップストリームポートが通信状態にあることを表示する表示回路27が設けられている。表示回路27は、Txコントローラ32−0〜32−3と論理的に接続されているアップストリームコネクト制御回路26−0〜26−3のいずれかが通信中のときに、その通信状態を表示する。USB3.0ハブ装置10の利用者は、表示回路27の表示を視認することによって、アップストリームポートの通信状態を通知される。表示回路27には、発光ダイオードを適用できる。また、表示回路27は、変更タイミングの通知回路12−0〜12−3に対して、アップストリームポートの通信状態を通知する制御信号を送出している。
【0040】
図5は、ダウンストリームルーティング制御回路の構成説明図である。図3に示したダウンストリームルーティング制御回路31−0〜31−3は、それぞれ、図5に示すダウンストリームルーティング制御回路31と同様の構成を具備しているものとする。図5におけるダウンストリームルーティング制御回路31は、1個のダウンストリームコネクト制御回路36を持つ。図示するように、ダウンストリームコネクト制御回路36は、USB3.0ハブ装置10が備える全てのアップストリームコントローラ20a,20bにおけるTxコントローラ22a,22bと物理的に接続されている。
【0041】
ダウンストリームコネクト制御回路36は、変更タイミングの通知回路12の通知に従って供給されるポート選択信号の制御に従って、Txコントローラ22a,22bとの論理的な接続を有効にし、又は、無効にする。ダウンストリームコネクト制御回路36は、対応するポート選択信号#i(図3の例では、iは、0,1,2,3のいずれかになる。)によって制御される。例えば、図3におけるダウンストリームルーティング制御回路31−0のダウンストリームコネクト制御回路36は、ポート選択信号#0によって制御される。ダウンストリームルーティング制御回路31−1のダウンストリームコネクト制御回路36は、ポート選択信号#1によって制御される。ダウンストリームルーティング制御回路31−2のダウンストリームコネクト制御回路36は、ポート選択信号#2によって制御される。ダウンストリームルーティング制御回路31−3のダウンストリームコネクト制御回路36は、ポート選択信号#3によって制御される。
【0042】
対応するポート選択信号#iが“#a”のとき、ダウンストリームコネクト制御回路36は、Txコントローラ22aとの論理的な接続を有効にし、Txコントローラ22bとの論理的な接続を無効にする。一方、対応するポート選択信号#iが“#b”のとき、ダウンストリームコネクト制御回路36は、Txコントローラ22aとの論理的な接続を無効にし、Txコントローラ22bとの論理的な接続を有効にする。これにより、1つのダウンストリームコントローラに、1つのアップストリームコントローラを論理的に接続することが可能になり、また、その論理的な接続を切断することが可能となる。
【0043】
図5において、ダウンストリームルーティング制御回路31には、ダウンストリームポートが通信状態にあることを表示する表示回路37が設けられている。表示回路37は、2つのTxコントローラ22a,22bのいずれかと論理的に接続されているダウンストリームコネクト制御回路36が通信中のときに、その通信状態を表示する。USB3.0ハブ装置10の利用者は、表示回路37の表示を視認することによって、ダウンストリームポートの通信状態を通知される。表示回路37には、発光ダイオードを適用できる。また、表示回路37は、変更タイミングの通知回路12−0〜12−3に対して、ダウンストリームポートの通信状態を通知する制御信号を送出している。
【0044】
図6及び図7は、USB3.0ハブ装置10の内部の接続状態を変更する動作を説明するための図である。図6及び図7において、USB3.0ハブ装置10は、アップストリームポート#aを介してコンピュータCOMP51とUSBケーブルで物理的に接続され、アップストリームポート#bを介してコンピュータCOMP52とUSBケーブルで物理的に接続されている。また、USB3.0ハブ装置10は、ダウンストリームポート#0を介してUSB3.0機器DEV60とUSBケーブルで物理的に接続され、ダウンストリームポート#1を介してUSB3.0機器DEV61とUSBケーブルで物理的に接続され、ダウンストリームポート#2を介してUSB3.0機器DEV62とUSBケーブルで物理的に接続され、ダウンストリームポート#3を介してUSB3.0機器DEV63とUSBケーブルで物理的に接続されている。
【0045】
図6におけるUSB3.0ハブ装置10の内部の接続状態は、ポート選択信号#0=“#a”、ポート選択信号#1=“#a”、ポート選択信号#2=“#b”、ポート選択信号#3=“#b”により、設定されている。すなわち、アップストリームポート#aは、ダウンストリームポート#0,#1と論理的に接続され、ダウンストリームポート#2,#3と論理的に切断されている。アップストリームポート#bは、ダウンストリームポート#0,#1と論理的に切断され、ダウンストリームポート#2,#3と論理的に接続されている。この接続状態により、コンピュータCOMP51は、USB3.0機器DEV60及びUSB3.0機器DEV61とデータ転送を行うことができる。コンピュータCOMP52は、USB3.0機器DEV62及びUSB3.0機器DEV63とデータ転送を行うことができる。
【0046】
その後、変更タイミングの通知回路12−0〜12−3によって送出される変更タイミング制御信号に従って、USB3.0ハブ装置10がノーマルオペレーショナルステート以外の状態にあるときに、新しい接続状態を定めるポート選択信号が与えられる。このポート選択信号により、図6におけるUSB3.0ハブ装置10の内部の接続状態が、例えば、図7のように変更される。ここで、ケーブル配線の変更作業は不要である。
【0047】
図7におけるUSB3.0ハブ装置10の内部の接続状態は、ポート選択信号#0=“#a”、ポート選択信号#1=“#b”、ポート選択信号#2=“#b”、ポート選択信号#3=“#b”により、設定されている。すなわち、アップストリームポート#aは、ダウンストリームポート#0と論理的に接続され、ダウンストリームポート#1,#2,#3と論理的に切断されている。アップストリームポート#bは、ダウンストリームポート#0と論理的に切断され、ダウンストリームポート#1,#2,#3と論理的に接続されている。この接続状態により、コンピュータCOMP51は、USB3.0機器DEV60とデータ転送を行うことができ、コンピュータCOMP52は、USB3.0機器DEV61、USB3.0機器DEV62、及びUSB3.0機器DEV63とデータ転送を行うことができる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態におけるUSB3.0ハブ装置10は、アップストリームポートを複数個有しているので、複数のUSB3.0コンピュータを接続することができる。また、ポート選択信号の設定値を変更することにより、アップストリームコントローラとダウンストリームコントローラとの論理的な接続状態を変更することができる。また、変更タイミングの通知回路12−0〜12−3を備えているので、ポート選択信号によって、USB3.0ハブ装置10の内部の接続状態を変更するタイミングを、外部の機器へ通知したりすることができる。さらに、表示回路27,37も備えているので、外部からポート選択信号を供給しても良いタイミングを、利用者に視認させることによって通知することができる。
【0049】
なお、上記実施の形態では、変更タイミングの通知回路12−0〜12−3と、表示回路27,37とを共に設けた例を説明したが、いずれか一方のみを設けた実施の形態も考えられる。変更タイミングの通知回路12−0〜12−3のみでも、表示回路27,37のみでも、ポート選択信号によって、USB3.0ハブ装置10の内部の接続状態を変更するタイミングを通知することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
10,HUB50,HUB51 USB3.0ハブ装置
12,12−0〜12−3 変更タイミングの通知回路
20a,20b アップストリームコントローラ
21,21a,21b アップストリームルーティング制御回路
22a,22b,32−0〜32−3 Txコントローラ
26−0〜26−3 アップストリームコネクト制御回路
27,37 表示回路
30−0〜30−3 ダウンストリームコントローラ
31,31−0〜31−3 ダウンストリームルーティング制御回路
36 ダウンストリームコネクト制御回路
COMP50〜COMP52 コンピュータ
DEV60〜DEV63 USB機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
USB(Universal Serial Bus)バージョン3.0に対応したコンピュータを接続するための複数のアップストリームポートと、
前記USBバージョン3.0に対応したUSB機器を接続するための複数のダウンストリームポートと、
前記複数のアップストリームポートと、前記複数のダウンストリームポートとの論理的な接続状態を制御すると共に、前記論理的な接続状態を、外部から与えられるポート選択信号によって変更するコントローラと、
前記ポート選択信号を外部から与えても良いタイミングを通知する回路とを具備し、前記USBバージョン3.0に対応した
USBハブ装置。
【請求項2】
前記通知する回路は、
前記複数のアップストリームポートと、前記複数のダウンストリームポートとの中で、変更対象のポートが、前記USBバージョン3.0で定義されたノーマルオペレーショナルステート以外の状態にあるときに、前記ポート選択信号を外部から与えても良いことを通知する
請求項1記載のUSBハブ装置。
【請求項3】
前記通知する回路は、
前記ポート選択信号を供給する外部の機器に対して、前記タイミングを通知する変更タイミング制御信号を送出する
請求項2記載のUSBハブ装置。
【請求項4】
前記通知する回路は、
前記ポート選択信号を供給する利用者に対して、前記利用者が視認できる表示を行うことによって、前記タイミングを通知する表示回路を含む
請求項2又は3記載のUSBハブ装置。
【請求項5】
前記表示回路は、
前記タイミングを通知する発光ダイオードを含む
請求項4記載のUSBハブ装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記複数のアップストリームポートごとに設けられる複数のアップストリームコントローラと、前記複数のダウンストリームポートごとに設けられる複数のダウンストリームコントローラとを備え、
前記複数のアップストリームコントローラは、それぞれ、
前記複数のダウンストリームコントローラの全てと物理的に接続され、かつ、前記ポート選択信号の制御に従って、前記複数のダウンストリームコントローラの全て又は一部と論理的に接続され、若しくは前記複数のダウンストリームコントローラのいずれとも論理的に切断される
請求項5記載のUSBハブ装置。
【請求項7】
前記複数のダウンストリームコントローラは、それぞれ、
前記複数のアップストリームコントローラの全てと物理的に接続され、かつ、前記ポート選択信号の制御に従って、前記複数のアップストリームコントローラの中の一つと論理的に接続され、又は、前記複数のアップストリームコントローラのいずれとも論理的に切断される
請求項6記載のUSBハブ装置。
【請求項8】
USBバージョン3.0に対応したUSBハブ装置の内部の接続状態を変更する方法であって、
複数のアップストリームポートに、それぞれ、USBバージョン3.0に対応したコンピュータを接続することと、
複数のダウンストリームポートに、それぞれ、前記USBバージョン3.0に対応したUSB機器を接続することと、
前記複数のアップストリームポートと、前記複数のダウンストリームポートとの論理的な接続状態を設定することと、
前記論理的な接続状態を変更するポート選択信号を、外部から与えても良いタイミングを通知することと、
前記ポート選択信号を外部から与えて、前記論理的な接続状態を変更することとを具備する
方法。
【請求項9】
前記通知することにおいては、
前記複数のアップストリームポートと、前記複数のダウンストリームポートとの中で、変更対象のポートが、前記USBバージョン3.0で定義されたノーマルオペレーショナルステート以外の状態にあるときに、前記ポート選択信号を外部から与えても良いことの通知を行うことを含む
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記通知することにおいては、
前記ポート選択信号を供給する外部の機器に対して、前記タイミングを通知する変更タイミング制御信号を送出すること、又は、前記ポート選択信号を供給する利用者に対して、前記タイミングを通知する発光ダイオードへの表示を行うことを含む
請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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