説明

UV硬化型インクジェット用コート剤

【課題】、非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、基材に対して密着性の良好で、かつインク硬化層との密着性に優れた下塗り用コート剤、あるいは、耐擦過性に極めて優れた上塗り用コート剤、等を提供する。
【解決手段】非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、印刷前の下塗り、または印刷硬化後の上塗りに使用するコート剤であって、
有機−無機ナノコンポジット(一例を図1に示す)を主体成分とするUV硬化型インクジェット用コート剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、印刷前の下塗り、または印刷硬化後の上塗りに使用するコート剤(以下、UV硬化型インクジェット用コート剤という)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にインクジェットインクによる印字性の向上のためには、通常の紙やインクジェット記録用紙と称されるシート基材上に、非晶質シリカなどの微粒子とポリビニルアルコールなどの水溶性バインダ樹脂からなる多孔質のインクジェットインク受容層を設けてなる記録材料が知られている(特許文献1参照)。
プラスチックフィルムやプラチックカードなどのシート基材に対しては、(1)透明な合成樹脂シート表面に、ポリビニルピロリドンを含有するインク受容層を設けたインクジェット記録用シート(特許文献2参照)、(2)透明な熱可塑性樹脂フィルム上に、ポリビニルアルコールやゼラチンなどの水溶性樹脂とコロイダルシリカとを含有する透明なインク受容層を設けた記録用シート(特許文献3参照)、(3)透明なプラスチックフィルム上に、平均粒径1〜100mμの超微粒子と平均粒径1〜20μmの微粒子とを含有する水溶性高分子の薄膜を設けた記録用シート(特許文献4参照)、(4)透明フィルム上に粒径5〜50μm程度の透明性微粒子(ガラスビーズや合成樹脂球状マイクロビーズなど)を含有させた透明性接着剤を塗布したオーバーヘッドプロジェクタ用フィルム(特許文献5参照)、(5)水溶性高分子化合物(例えば、ポリビニルピロリドン)と水不溶性高分子化合物(例えば、ソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合生成物)を含む少なくとも2種の成分と、一方の成分に対して良溶媒であり、他方の成分に対して貧溶媒である溶媒とを含む加熱溶液を基材に直接塗布し、溶媒を高温で乾燥除去してインク受容層を形成する方法(特許文献6参照)、などが提案されている。
しかし、これら特許文献1〜6に記載の技術では、水性染料または親水性顔料を色剤として使用したものであり、耐水性が充分でなかったり、耐摩耗性が劣るものである。特にプラチックカードに求められる各種の条件では、用紙に印字されるものよりも高度な耐性が求められることになる。
【0003】
そこで印字表面をオーバーコートすることが行われる。オーバーコートには紫外線硬化型インク(塗料)、水性インク(塗料)、または溶剤型インク(塗料)が広く用いられる。
しかし、水性塗料では、乾燥工程に時間が必要であったり、乾燥時の基材への影響があったりするため実用的ではない。また、溶剤型では、乾燥のため気中に溶剤が気散するために作業環境や健康に影響する状態になったり、地球環境への負担を招く問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような背景の下、下記技術が提案されている。
対象物上に画像を印刷する方法において、下地コートを塗布するステップに用いられる下地コートは、好適には38〜50表面ダインの範囲の高表面張力をもちかつインク小滴形成を最大とするために乾式スプレーを用いずに滑らかな皮膜で塗布可能で、好適な下地コートとして、ノースカロライナ州所在のValsparofHighPointにより販売されている熱可塑性樹脂が提案されている。前記インクの小滴を塗布するステップの後、前記外表面に対してトップコートとして透明ワニスが提案されている。(特許文献7参照)。
基材面上に、吸油量が10〜400ml/100gのシリカ微粒子を含有し且つ顔料体積濃度が5〜90%である白色系塗料を用いて白色系下地塗膜層(I)を形成した後、その上に水性インク組成物を用いてインクジェット方式により印刷層(II) を形成し、さらにその上にクリヤー塗料を用いてクリヤーコート層(III)を形成することを特徴とするインクジェット印刷物の製造方法(特許文献8参照)が提案されている。
しかし、これら特許文献7,8に記載の公知の技術では、紫外線硬化型インクジェットインクを用いた印刷システムにおいて、ガラスや金属に対する密着性や、印刷物の摩擦堅牢度向上に限界があった。
【特許文献1】特開昭64−11877号公報
【特許文献2】特開昭61−32788号公報
【特許文献3】特開昭61−19389号公報
【特許文献4】特開昭61−280983号公報
【特許文献5】特開昭61−24494号公報
【特許文献6】特許第2694042 号公報
【特許文献7】特表2005−521578号公報
【特許文献8】WO2002−100652号公報
【0005】
本発明は上記背景の下なされたものであり、非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、基材に対する密着性の向上や、印刷物の摩擦堅牢度の向上、などの印刷物の耐久性を向上させることが可能なUV硬化型インクジェット用コート剤を提供することを第1の目的とする。
本発明は、非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、基材に対して密着性の良好で、かつインク硬化層との密着性に優れた下塗り用コート剤を提供することを第2の目的とする。
また、本発明は、非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、インク硬化層との密着性に優れ、かつ耐擦過性に極めて優れた上塗り用コート剤を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構成を有する。
(構成1)非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、印刷前の下塗り、または印刷硬化後の上塗りに使用するコート剤であって、
有機−無機ナノコンポジットを主体成分とするUV硬化型インクジェット用コート剤。
(構成2)前記有機−無機ナノコンポジットは、無機成分が珪素化合物であり、有機成分が水または有機溶剤に分散可能な高分子化合物である、構成1記載のUV硬化型インクジェット用コート剤。
(構成3)前記珪素化合物が有機シラン化合物からゾル−ゲル法によって得られた水分散性コロイダルシリカまたは無機珪酸塩から得られたコロイダルシリカであり、前記有機成分が水に分散可能な高分子化合物である、構成2記載のUV硬化型インクジェット用コート剤。
(構成4)前記有機−無機ナノコンポジットは、珪素化合物がコロイダルシリカであって、その周囲を水分散可能な高分子で被覆されたものである、構成2又は3に記載のUV硬化型インクジェット用コート剤。
(構成5)前記珪素化合物が有機溶剤分散性コロイダルシリカであり、前記有機成分が有機溶剤に溶解もしくは分散可能な高分子化合物である、構成2記載のUV硬化型インクジェット用コート剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、基材に対して密着性の良好で、かつインク硬化層との密着性に優れた下塗り用コート剤が得られる。
また、本発明によれば、非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、インク硬化層との密着性に優れ、かつ耐擦過性に極めて優れた上塗り用コート剤が得られる。
従って、本発明によれば、非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、基材に対する密着性の向上や、印刷物の摩擦堅牢度の向上、などの印刷物の耐久性を向上させることが可能なUV硬化型インクジェット用コート剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においては、非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、印刷前の下塗り、または印刷硬化後の上塗りに、有機−無機ナノコンポジット材料を主体成分とするUV硬化型インクジェット用コート剤をコートする(構成1)。
有機−無機ナノコンポジット材料を主体成分とするコート剤としては、市販のコート剤(SSGコート;有機−無機ナノコンポジット材料を主体成分とする常温硬化型のコート剤:日東紡績(株)社製)が使用可能であるが、目的に応じて以下に述べるような方法で得ることも可能である。
【0009】
本発明において、前記有機−無機ナノコンポジットは、無機成分が珪素化合物であり、有機成分が、水に分散可能な高分子化合物、または有機溶剤に分散可能な高分子化合物である、ことが好ましい(構成2)。
上記有機成分が水に溶解可能な高分子化合物である場合は、実使用において剥がれ易いために好ましくない。また、水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷の場合にも十分な密着強度が得られないので好ましくない。
【0010】
本発明において、前記珪素化合物が有機シラン化合物からゾル−ゲル法によって得られた水分散性コロイダルシリカまたは無機珪酸塩から得られたコロイダルシリカであり、前記有機成分が水に分散可能な高分子化合物である、ことが好ましい(構成3)。
上記の無機成分である珪素化合物としては、一般の粉体のシリカ粒子では均一な分散が得にくいので、珪素化合物としては、ゾル−ゲル法によって、液中に直接生成させた水分散性コロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカ粒子は珪酸塩から生成することも可能である。有機成分は水に分散可能な高分子から選ばれることが好ましい。
尚、コロイダルシリカ(コロイド状シリカ)としては、一般市販のもの(例えば、日産化学(株)社製コロイダルシリカ:スノーテックス XS、OXS、S、OS、20、30、40、O、N、C、AK、50、O-40、CM、20L、OL、XL、ZL、MP-2040、MP-4540M、UP、OUP、PS-S、PS-M(以上スノーテックス)や、リチウムシリケート 45)が使用可能であるがこれらに限定されるものではない。
【0011】
本発明において、前記有機−無機ナノコンポジットは、珪素化合物がコロイダルシリカであって、その周囲を水分散可能な高分子で被覆されたものである、ことが好ましい(構成4)。
このように、珪素化合物がコロイダルシリカ粒子であって、その周囲を水分散可能な高分子で被覆されたハイブリッド粒子タイプのナノ粒子(有機―無機ナノコンポジット粒子)は、この粒子を含むコート剤を用いて得られる有機―無機ナノコンポジット皮膜の特性に特に優れている。
これらの具体的な製法は、例えば特開2000−290464号公報に記載されている方法を応用することが可能である。
本発明では、有機―無機ナノコンポジット粒子として、市販品(ナノコンポジットW:水谷ペイント(株)社製)を使用又は併用することも可能である。
図1は、コロイダルシリカ(例えば粒径20〜30nm)の表面にアクリルシリコンを被覆した、コア−シェルタイプの複合粒子(例えば粒径50〜60nm)(例えば水谷ペイント社製ナノコンポジットW)を表す模式図である。図2は、コロイダルシリカの表面にアクリルシリコンを被覆した、コア−シェルタイプの複合粒子(水谷ペイント社製ナノコンポジットW)の電子顕微鏡写真である。
【0012】
本発明の他の態様においては、前記珪素化合物が有機溶剤分散性コロイダルシリカであり、前記有機成分が有機溶剤に溶解もしくは分散可能な高分子化合物である、ことが好ましい(構成5)。
このように、珪素化合物が有機溶剤分散性コロイダルシリカであり、有機成分が有機溶剤に溶解もしくは分散可能な高分子から選ばれるコート剤は、撥水性表面に対しても濡れ易いという特徴がある。
有機溶剤分散性コロイダルシリカは、公知の方法を用いて有機溶剤中で容易に合成可能であるが、市販のもの(例えば、日産化学(株)社製オルガノシリカゾル:IPA-ST、IPA-ST-UP、IPA-ST-ZL、EG-ST、NPC-ST-30、DMAC-ST、MEK-ST、MIBK-ST、XBA-ST、PMA-ST、PGM-ST)が使用可能であるがこれらに限定されるものではない。
【0013】
本発明のコート剤において、基体樹脂成分としては、例えば、場合により水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの官能基を有することができる、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、アルキド樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系など種々の樹脂を使用することができ、これらは適宜ブロックされていてもよい。
本発明のコート剤では、ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂などの架橋剤と組み合わせて使用することができる。
本発明のコート剤は、ラッカータイプの非硬化型、常温硬化型もしくは熱硬化型のいずれのタイプのものであってもよく、或いは紫外線、電子線などの活性線によって硬化するタイプのものであってもよい。
本発明のコート剤としては、特に、ポリアクリルポリオール又はポリエステルポリオールとブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物の組み合わせを樹脂成分として含有するウレタン硬化型や、紫外線硬化性のアクリル樹脂を樹脂成分として含有する紫外線硬化型などが好適である。
【0014】
紫外線硬化型のコート剤のアクリル系バインダの例として、アクリル系光硬化性成分を挙げることができる。親水性を有するアクリル系光硬化性成分[例えばエチレングリコール単位を分子内にもつポリエチレングリコール(nは3以上であり、およそ14以下)ジアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性(nは3以上であり、およそ14以下)トリアクリレートなどのアクリル系光硬化性成分]や疎水性を有するアクリル系光硬化性成分[例えば、エチレングリコール単位を分子内にもたないか、あるいは持っていてもn=2以下のポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性(nは2以下)トリアクリレートなどのアクリル系光硬化性成分]などいずれも使用できる。
【0015】
疎水性を有する光重合性モノマーとしては、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル−、シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ−の各アクリレート及びメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びメタクリレートなどや、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体などを挙げることができる。
また、硬化収縮が支障となる用途の場合には、例えばイソボルニルアクリレート又はメタクリレート、ノルボルニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなど、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなど、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1− ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−、ジアクリレート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノアクリレート又はメタクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニルアクリレート又はメタクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルなど、ジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレートなどの光重合性モノマーを用いることができる。
本発明において、上述した光重合性モノマーは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
疎水性を有するアクリル系光重合性オリゴマーとしては、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2 −ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマーなど、そのほか、ウレタン結合を介して飽和ポリエステルセグメントが連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系プレポリマーなどを挙げることができる。
これらのアクリル系光重合性オリゴマーは、重量平均分子量凡そ2000〜30000の範囲のものが適当である。
【0017】
光重合開始剤は、従来公知のもので良く、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド− ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その含有量は、通常アクリル系光硬化性成分100質量部当り、5〜15質量部の範囲で選ばれるのが好ましい。
【0018】
本発明では、UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、使用されるUVインクは、非水性UVインクであることが好ましい。水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷の場合には十分な密着強度が得られないので好ましくない。
本発明で使用される非水性UVインクは特に制限は無く、既存の市販の非水性UVインクや前記の光重合モノマー単独あるいは光重合オリゴマーを組み合わせた光重合組成物に、顔料を分散させて濾過して非水性UVインクとしたものを用いても構わない。
【0019】
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
SSGコート(日東紡製/有機無機ナノコンポジット常温硬化型コート剤)をガラス上にコートし、室温で30分間放置した後にUV硬化インクジェットプリンター((株)ミマキエンジニアリング社製)で印刷を行った。
得られた印刷物のガラスへの密着性はきわめて良好であった。
【0021】
(実施例2)
実施例1で得られた印刷物について、実施例1に引き続いてSSGコート(日東紡製/有機無機ナノコンポジット常温硬化型コート剤)を印刷面にオーバーコートし、室温60分後にUV硬化インクジェットプリンター((株)ミマキエンジニアリング社製)で印刷を行った。
得られた印刷物のガラスへの密着性はきわめて良好で、かつ極めて硬く耐擦過性に極めて優れていた。
【0022】
(実施例3)
ナノコンポジットW(水谷ペイント社製)をステンレス上にコートし、室温1時間後に実施例1と同様にUV硬化インクジェットプリンター((株)ミマキエンジニアリング社製)で印刷を行った。
得られた印刷物のガラスへの密着性はきわめて良好であった。
【0023】
(比較例1)
実施例のSSGコートを行わないで、ガラスに直接UV硬化インクジェットプリンター((株)ミマキエンジニアリング社製)で印刷を行った。
得られた印刷物のガラスへの密着性はきわめて不良で、インク皮膜が簡単に剥がれ落ちた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】コロイダルシリカの表面にアクリルシリコンを被覆した、コアシェルタイプの複合粒子(例えば水谷ペイント社製ナノコンポジットW)を表す模式図である。
【図2】コロイダルシリカの表面にアクリルシリコンを被覆した、コアシェルタイプの複合粒子(水谷ペイント社製ナノコンポジットW)の電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水性UVインクを用いたUV硬化型インクジェット印刷において、印刷前の下塗り、または印刷硬化後の上塗りに使用するコート剤であって、
有機−無機ナノコンポジットを主体成分とするUV硬化型インクジェット用コート剤。
【請求項2】
前記有機−無機ナノコンポジットは、無機成分が珪素化合物であり、有機成分が水または有機溶剤に分散可能な高分子化合物である、請求項1記載のUV硬化型インクジェット用コート剤。
【請求項3】
前記珪素化合物が有機シラン化合物からゾル−ゲル法によって得られた水分散性コロイダルシリカまたは無機珪酸塩から得られたコロイダルシリカであり、前記有機成分が水に分散可能な高分子化合物である、請求項2記載のUV硬化型インクジェット用コート剤。
【請求項4】
前記有機−無機ナノコンポジットは、珪素化合物がコロイダルシリカであって、その周囲を水分散可能な高分子で被覆されたものである、請求項2又は3に記載のUV硬化型インクジェット用コート剤。
【請求項5】
前記珪素化合物が有機溶剤分散性コロイダルシリカであり、前記有機成分が有機溶剤に溶解もしくは分散可能な高分子化合物である、請求項2記載のUV硬化型インクジェット用コート剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−45875(P2009−45875A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215531(P2007−215531)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】