説明

UV硬化性塗料用塗装ブース

【課題】 従来、UV硬化性塗料用塗装ブースでは、大量に余剰の霧状の塗料ミストが発生しており、頻繁に洗浄する等の処理を必要としており、その処理は人力による多大な手間暇と労働力を要していた。
【解決手段】 塗装ブース1の天井に設けた給気手段3と、給気手段3の近傍に垂設させた上方気流制御板4と、上方気流制御板4の下辺との間に間隔を有して敷設された下方邪魔板5と、下方邪魔板5の端辺に側面7aを密着させ上方気流制御板4との間に通気路6を設けると共にミスト含有排気が流通するように配設した塗料ミスト捕集手段7と、塗料ミスト捕集手段7に設けた紫外線照射手段8と、紫外線照射手段8の下方に張設したフィルター9と、フィルター9の下方に配設した塗料ミスト収集手段10と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はUV硬化性塗料用塗装ブースに関するものであり、更に詳細には、被塗装物を塗装台に取着して塗装ガンでUV硬化性塗料を噴霧して塗装をする際に多量に発生する塗料ミストを捕集して纏めて処理すると共に、浄化された空気を放出するためのUV硬化性塗料用塗装ブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の塗装ガンを用いてUV硬化性塗料を噴霧させて塗装するUV硬化性塗料用塗装ブースでは、被塗装物及び周辺に広範囲にUV硬化性塗料を噴霧させて塗装するため大量に余剰の霧状の塗料ミストが発生しており、頻繁に洗浄する等の処理を必要としており、その処理は人力による多大な手間暇と労働力を要していた。
【0003】
つまり、塗装ガンで噴霧され霧化されたUV硬化性塗料の20〜30%が有効に使用され、後はミスト処理装置によって処理されているものであり、例えば、スプレーブースとその垂直面の下部に設けられた水槽とよりなり、一定間隔ごとに多数の細孔を設けた部分を有する合成樹脂フィルムをスプレーブースの金属垂直面亘ってはりつけそのフィルムの下部は水槽中に延びて水槽の端部に取付けられ、フィルムの細孔がない部分がスプレーブースの金属垂直部分を覆いかつ有孔部分が水中に浸漬する様にフィルムを装着し、スプレーブースの上部にあるノズルにより水をフィルム面に沿って滴下させるもの(特許文献1参照)や、塗装ブースの塗料ミストを処理する処理塔に排気ファンの騒音を吸音・遮音する吸音材を付設するもので、塗装ブースの処理塔の内部壁面に吸音材を付設、あるいは排気ファンの吸引口であるファン穴に内面に吸音材を付設した筒を配設し、さらには吸音材を付設した遮音板をファン穴の下に配設するもの(特許文献2参照)等が開示されている。
【特許文献1】実告昭47−35262号公報
【特許文献2】特開2001−239194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然し乍ら、スプレーブースとその垂直面の下部に設けられた水槽とよりなり、一定間隔ごとに多数の細孔を設けた部分を有する合成樹脂フィルムをスプレーブースの金属垂直面亘ってはりつけそのフィルムの下部は水槽中に延びて水槽の端部に取付けられ、フィルムの細孔がない部分がスプレーブースの金属垂直部分を覆いかつ有孔部分が水中に浸漬する様にフィルムを装着し、スプレーブースの上部にあるノズルにより水をフィルム面に沿って滴下させるものは、ウオーター方式と呼ばれるものであり、捕集された塗料ミストは水と混ざり合い餅状に成って壁面や水槽に付着してしまい、この餅状の塗料ミストは大量に水分を含んでいるため、体積が塗料の5〜10倍になり、水の流れを悪くしたり、捕集効率を下げるため頻繁に清掃が必要となり、この清掃が重労働で汚れる作業となるため厄介な業務と成っていた。
【0005】
また、塗装ブースの塗料ミストを処理する処理塔に排気ファンの騒音を吸音・遮音する吸音材を付設するもので、塗装ブースの処理塔の内部壁面に吸音材を付設、あるいは排気ファンの吸引口であるファン穴に内面に吸音材を付設した筒を配設し、さらには吸音材を付設した遮音板をファン穴の下に配設するものは、ドライブース方式と称され、塗料ミスト捕集部材に捕集された塗料ミストは目詰まりを起こすために頻繁に清掃する必要があり、前述と同様な課題を有しているものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題に鑑み、鋭意研鑽の結果、本発明のUV硬化性塗料用塗装ブースは、床面に立設した塗装台に取着された被塗装物に塗装ガンでUV硬化性塗料を噴霧して塗装をする塗装ブースにおいて、塗装ブースの天井に設けた給気手段と、給気手段の近傍に垂設させた上方気流制御板と、上方気流制御板との間に間隔を有して敷設された下方邪魔板と、下方邪魔板と側面を密着させ上方気流制御板との間に通気路を設けると共にミスト含有排気が流通するように配設した塗料ミスト捕集手段と、塗料ミスト捕集手段に設けた紫外線照射手段と、紫外線照射手段の下方に張設したフィルターと、フィルターの下方に配設した塗料ミスト収集手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のUV硬化性塗料用塗装ブースは、通気路を設けると共に、塗料ミスト捕集手段に紫外線照射手段を設け、紫外線照射手段の下方にフィルターを張設し、フィルターの下方に塗料ミスト収集手段を配設したため、排気ガスに含有する塗料ミストは紫外線照射手段により紫外線を照射されて塗料ミストは固化して粉末状となりフィルターにより濾過され、フィルターと塗料ミスト収集手段に高効率で収集されるもので、フィルター及び塗料ミスト収集手段に収集された粉末状の塗料ミストを処理するのみで、メンテナンスフリーと成り重労働から解放されるものであり、極めて実用性の高い発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明はUV硬化性塗料用塗装ブースに関するものであり、更に詳細には、被塗装物を塗装台に取着して塗装ガンでUV硬化性塗料を噴霧して塗装をする際に多量に発生する塗料ミストを捕集して纏めて処理すると共に、浄化された空気を放出するためのUV硬化性塗料用塗装ブースに関するものであり、床面1aに立設した塗装台2の上面に取着された被塗装物Aに塗装ガンBでUV硬化性塗料を噴霧して塗装をする塗装ブース1において、前記塗装ブース1の天井に設けた外気を取り入れ送風するための給気手段3と、該給気手段3の近傍の天井に垂設させた若干巾の上方気流制御板4と、該上方気流制御板4の下辺との間に間隔を有して敷設された下方邪魔板5と、該下方邪魔板5の端辺に側面7aを密着させ前記上方気流制御板4との間に通気路6を設けると共に上方から下方にミスト含有排気が流通するように配設した塗料ミスト捕集手段7と、該塗料ミスト捕集手段7の上方中央に設けた紫外線照射手段8と、該紫外線照射手段8の下方に張設したフィルター9と、該フィルター9の下方に配設した塗料ミスト収集手段10と、を備えたものである。
【実施例】
【0009】
以下、本発明のUV硬化性塗料用塗装ブースの実施例の図面を用いて詳細に説明すると、図1は本発明のUV硬化性塗料用塗装ブースの実施例の概要を説明するための正面説明図であり、図2は本発明のUV硬化性塗料用塗装ブースの実施例の概要を説明するための側面説明図である。
【0010】
即ち、本発明のUV硬化性塗料用塗装ブースは、図1に図示する如く、函状のケーシングに囲まれた塗装ブース1であり、床面1aから回転可能に立設した塗装台2に取着された、例えば、モバイル機器、化粧品容器、電化製品や自動車等のパーツ等の複数の被塗装物Aに塗装ガンBでABS樹脂等のUV硬化性塗料を噴霧して、アンダーコートやトップコート等の塗装をするものである。
【0011】
そして、給気手段3は塗装ブース1の天井に設けられ送風チャンバー3aと、該送風チャンバー3aの上方に設けられた送風機3bとから成り、送風機3bは外気を取り入れ送風チャンバー3aから下方に外気を送風させるものであり、下方に位置する塗装台2では被塗装物Aが塗装ガンBでUV硬化性塗料を噴霧され塗装されており、余剰の塗料ミストは送風チャンバー3aからの外気と混和して後述する通気路6に送風されるものである。
【0012】
次に、上方気流制御板4は給気手段3の近傍の天井から下方に垂下させているもので、上方辺は天井に密着させ下方辺の下方には後述する敷設された下方邪魔板5との間に間隔を有している若干巾のもので、後述する通気路6を形成するものである。
【0013】
次いで、下方邪魔板5は床面1aに平行に間隔を有して敷設されているもので、被塗装物Aを取着した塗装台2の下辺りに敷設され、下方には後述する塗料ミスト収集手段10と同様な塗料ミスト収集手段10を設けており、下方邪魔板5に付着した塗料ミストは塗料ミスト収集手段10に収集されるものである。
【0014】
更に、塗料ミスト捕集手段7は下方邪魔板5の端辺と側面7aとを密着させているもので、該側面7aと下方邪魔板5と上方気流制御板4との間で通気路6を設けるように配設されると共に、該通気路6を通過する給気手段3からの外気と塗装ガンBから噴霧された余剰の塗料ミストが混和したミスト含有排気が下方から上方に塗料ミスト捕集手段7の側面7aと上方気流制御板4の間を流通するように配設しているものである。
【0015】
更には、紫外線照射手段8は塗料ミスト捕集手段7の上方中央に設けており、ミスト含有排気は上方から通路を通過する際に紫外線照射手段8の紫外線ランプ8aにより紫外線を照射されるものであり、通路は狭められ紫外線の照射が万遍なく、且つ、効率的に照射されるようにしており、紫外線の照射によりミスト含有排気の塗料ミストは粉末状に固化するものである。
【0016】
そして、フィルター9は紫外線照射手段8の下方に張設しており、通過するミスト含有排気の状態により目の粗さ、及び、積層する枚数を調整して固化した塗料ミストを濾過するものである。
【0017】
更に、塗料ミスト収集手段10は塗料ミスト捕集手段7の下方に配設され、紫外線照射手段8の紫外線ランプ8aにより紫外線を照射され粉末状に固化した塗料ミストの落下を受け止める漏斗状の受け皿10aと、該受け皿10aからの塗料ミストを貯留する塗料ミスト収集容器10bから成るものである。
【0018】
つまり、本発明のUV硬化性塗料用塗装ブースは、塗装ブース1に内装された塗装台2に取着された被塗装物AにUV硬化性塗料を塗装ガンBで噴霧すると、大半の余剰のUV硬化性塗料は塗料ミストと成り空間に放出されるものであるが、塗装ブース1の天井に設けた給気手段3により外気が送風されミスト含有排気と成るものである。
【0019】
次いで、ミスト含有排気は下方邪魔板5と塗料ミスト捕集手段7の側面7aと上方気流制御板4との間に形成された通気路6を通り、塗料ミスト捕集手段7の上方に送られるものである。
【0020】
次に、塗料ミスト捕集手段7の上方に送られたミスト含有排気は狭められた通路を通過する時に紫外線照射手段8の紫外線ランプ8aにより紫外線を照射されるもので、ミスト含有排気のUV硬化性の塗料は材料特性により固化して粉末状に成るものである。
【0021】
次いで、塗料ミストを含んだミスト含有排気は下方に配設されたフィルター9を通過するものであるが、塗料ミストは固化されて粉末状に成っており、フィルター9により濾過され浄化されたガスは周りより排出されるものである。
【0022】
一方、フィルター9に付着した塗料ミストは粉末状であり取り外して叩き落とす又は掃除機で吸引することで容易に処理でき、塗料ミスト収集手段10の受け皿10aに落下し、受け皿10aから塗料ミスト収集容器10bに貯留されもので、適宜、塗料ミスト収集容器10bを取り出して処理するものである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のUV硬化性塗料用塗装ブースの塗料ミストは紫外線を照射され粉末状の塗料ミストはフィルターと塗料ミスト収集手段とにより分離され収集されるもので、フィルター又は塗料ミスト収集手段に収集された塗料ミストを処理するのみで、メンテナンスフリーと成るものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】 図1は本発明のUV硬化性塗料用塗装ブースの実施例の概要を説明するための正面説明図である。
【図2】 図2は本発明のUV硬化性塗料用塗装ブースの実施例の概要を説明するための側面説明図である。
【符号の説明】
【0025】
A 被塗装物
B 塗装ガン
1 塗装ブース
1a 床面
2 塗装台
3 給気手段
3a 送風チャンバー
3b 送風機
4 上方気流制御板
5 下方邪魔板
6 通気路
7 塗料ミスト捕集手段
7a 側面
8 紫外線照射手段
8a 紫外線ランプ
9 フィルター
10 塗料ミスト収集手段
10a 受け皿
10b 塗料ミスト収集容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に立設した塗装台の上面に取着された被塗装物に塗装ガンでUV硬化性塗料を噴霧して塗装をする塗装ブースにおいて、前記塗装ブースの天井に設けた外気を取り入れ送風するための給気手段と、該給気手段の近傍の天井に垂設させた若干巾の上方気流制御板と、該上方気流制御板の下辺との間に間隔を有して敷設された下方邪魔板と、該下方邪魔板の端辺に側面を密着させ前記上方気流制御板との間に通気路を設けると共に上方から下方にミスト含有排気が流通するように配設した塗料ミスト捕集手段と、該塗料ミスト捕集手段の上方中央に設けた紫外線照射手段と、該紫外線照射手段の下方に張設したフィルターと、該フィルターの下方に配設した塗料ミスト収集手段と、を備えたことを特徴とするUV硬化性塗料用塗装ブース。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−102732(P2006−102732A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321262(P2004−321262)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(391042461)株式会社川口スプリング製作所 (5)
【Fターム(参考)】