説明

UWBレーダによる共振タグの検出

検出システムは、UWB電磁放射のパルスによる照射に対する磁気共鳴応答を有する物質を検出するための受信機を有し、上記受信機は、パルスが物質と相互に作用した後にパルスを検出するための検出器(40、45)と、検出されたパルス内で物質の磁気共鳴応答を識別するように設けられた識別器(55)とを有する。磁気共鳴応答を有する物質を有するタグ(20)でタグ付けされたアイテムを、上記アイテムをUWBパルスで照射し検出されたパルス内で物質の磁気共鳴応答を識別して走査することによって、アイテムは位置づけられ、イメージングされ、又は起動されることが可能である。タグの磁気共鳴応答は、タグの起動を引き起こすことができる。タグは、異なるタグをそのシグネチャによって識別しかつ区別化できるように識別可能な磁気共鳴のシグネチャを提供するように設けられた磁気共鳴応答を有することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UWBパルスを用いて磁気共鳴応答を検出する検出システム、このようなシステムのための受信機、及び対応する方法並びに上記方法を実行するためのソフトウェアに関し、磁気共鳴応答を有するタグをUWBパルスを用いて起動する方法及びこのような装置及び方法のためのタグに関する。
【背景技術】
【0002】
レーダは、金属物体は強いインピーダンスコントラストに起因して空中で電磁放射を強く反射させるという特性に基づいており、周知である。金属物体は、近似的にZ=(1+j)/σδに等しい複素数の波動インピーダンスを有し、δは波動の特徴的な浸透の深さであって表皮深度とも呼ばれる。波動は、金属表面において表皮深度の2〜3倍より上まで浸透し、その表面層では幾分かの吸収が発生することがある。パワーの大部分は、金属表面で反射する。特許文献1は、金属物体の反射係数は1.0に近いので、体内にペースメーカ等の金属物体が存在するときには、反射される信号はペースメーカからの反射によって占められると述べている。特許文献2は、磁気チップを有するカテーテルの位置を探るために超広帯域(UWB(ultra−wideband))又はインパルスレーダを用いることに言及しており、磁気勾配力を用いて磁気チップの位置を導きながら、磁気チップから後方に散乱される電磁放射が測定される。この場合は(金属タグと同様に)、正常な組織とカテーテルのチップとの間の誘電特性のコントラストによって引き起こされる反射のみがチップを検出するために用いられる。さらに、カテーテルを導くために用いられる磁界は磁気共鳴を連続的に変化させ、これにより、共鳴の特性を一意のシグネチャとして用いることを複雑にする。
【0003】
識別タグとして動作する磁気媒体を用いることは、磁気媒体から成る磁気RF−IDにおいて既に応用されており、上記磁気媒体が取り付けられている物品は、50Hz〜100KHzの狭帯域の呼掛けための交流磁界を放射する検出システムを通過するときに検出される。複数の特許(例えば、特許文献3。)は、特定の物理パラメータ(例えば、形状、磁性体、別のタグに対する距離及び方位。)に基づく磁気バーコードの発明又はタギングの原理について論じている。UWBレーダ技術は、大型の物品の位置決め(例えば、車両の識別からウォールビジョン(Wall Vision)まで。)及び動き(モーション)の検出に関して知られている。UWBに基づく特許の概要は、非特許文献1に記載されている。そのうちで最も関連の深い特許のうちの幾つかは、タイム・オブ・フライト(time−of−flight)型の無線位置測定システム[特許文献4及び特許文献5]、時間領域の無線送信システム[特許文献6]及びUWBレーダ動きセンサ[特許文献7]である。
【0004】
また、分子(即ち食品。)の加熱に用いられるGHz周波数でのパルスマグネトロンも既知である。これらは狭帯域であり、タグは関与しない。
【0005】
医学の分野では、下記のようなUWB技術を用いることが既知である。
→レーダ技術[例えば、非特許文献2、特許文献8及び特許文献9に示されているような胎児心拍及び呼吸数並びに子宮収縮]、
→例えば特許文献10のような、(埋め込まれた)バイオセンサの読取り値を時間領域のパルス列として送信し/受信するUWB信号通信。このようなバイオセンサは、生化学的なイベント(感染症、ホルモン)のみならず身体的なイベント(例えば、身体の上の電極を用いる子宮収縮の監視。)を示すこともできる。
【0006】
マグネトレーダ(Magnetoradar)もまた既知である。これは、特許文献11に示されているように、UWBレーダ動きセンサを利用して、変化する磁界の調波周波数で機械的に励起される物体を、検出する。
【0007】
強磁性(フェロ磁性)及びフェリ磁性のナノ粒子は、(低周波数での)MR(Magneto Resonanse(磁気共鳴))イメージングへのアプリケーション及びFMRイメージングにおける造影剤として用いられることが知られている[特許文献12]。
【0008】
UWBは、走査及びイメージングへのアプリケーションに関して知られている[特許文献13]。
【0009】
磁気RF−IDタグは特許文献3において知られており、特許文献14及び特許文献15にはインダクタに磁性体を含む埋込み可能な共振器回路(LCタンク)が示されている。
【0010】
ナノ粒子の特定の取り込み及び約1MHz未満の交流磁界を用いる選択的な加熱によるマグネトサーミア(Magnetothermia)(細胞の加熱/破壊)は、既知である。強磁性共鳴周波数(1〜300GHz)での電磁放射による基板の加熱は特許文献16及び非特許文献3に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5766208号の明細書。
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0096589号の明細書。
【特許文献3】米国特許第4940966号の明細書。
【特許文献4】米国特許第5661490号の明細書。
【特許文献5】米国特許第5510800号の明細書。
【特許文献6】米国特許第4979186号の明細書。
【特許文献7】米国特許第5361070号の明細書。
【特許文献8】米国特許第5766208号の明細書。
【特許文献9】国際公開第WO2004/107954号のパンフレット。
【特許文献10】米国特許出願公開第2004/100376号の明細書。
【特許文献11】米国特許第6914552号の明細書。
【特許文献12】米国特許第6924150号の明細書。
【特許文献13】国際公開第WO03/042919のパンフレット。
【特許文献14】米国特許出願公開第2004/138554号の明細書。
【特許文献15】米国特許出願公開第2005/179552号の明細書。
【特許文献16】米国特許出願公開第2004/026028号の明細書。
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】http://www.aetherwire.com/CDROM/General/numbers.html
【非特許文献2】http://www.uniroma2.it/fismed/UWBradar/MedicalUWB.html
【非特許文献3】John Moreland他, “Ferromagnetic resonance spectroscopy with a micromechanical calorimeter sensor”, Review of Scientific Instruments, 第71巻, 3088ページ, 2000.
【非特許文献4】A.M. Nicholson他, “Applications of Time domain Metrology to the Automation of Broad Band Microwave measurements”, IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, vp; 20, 第1巻, 1972.
【非特許文献5】Koray Aydin他, “Investigation of magnetic resonances for different split-ring resonator parameters and designs”, New Journal of Physics, 第7巻, 168頁, 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
現在のUWBシステムは自由空間において限定された空間精度を有し、UWB周波数において高い屈折率を有する人体では、信号損失が大きすぎなければミリメートル未満の位置精度が可能である。現在のUWBシステムは、人体における高周波数での高い損失及びマルチパス反射に起因して(公的な規制によって与えられる所定の比吸収率の最大値(SAR値)に対して)低い信号対雑音比及び信号対クラッタ比を有する。
【0014】
本発明の目的は、UWBを用いる検出のための改善された装置又は方法を提供すること、このようなシステムのための受信機及び/又は対応する方法及び上記方法を実行するためのソフトウェア及び/又はUWBパルスを用いてタグを起動する方法及び/又はこのような装置及び方法のためのタグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様によれば、本発明は、UWB電磁放射のパルス列を送信するための送信機と、
上記パルス列のエコーパルスを識別するための受信機であって、上記エコーパルス上に重畳されるシグネチャを識別するように適合化されている少なくとも1つの受信機とを備えた検出システムであって、
上記シグネチャは上記パルス列によって誘起される磁気共鳴を示す物質を示す。
【0016】
別の態様は、UWB電磁放射のパルス列のエコーを受信するための受信機であって、
エコーパルス上に重畳されるシグネチャを識別するための手段を備え、
上記シグネチャは上記パルス列によって誘起される磁気共鳴を示す物質からの反射を示す。
【0017】
別の態様は、上記パルス列からのエコーパルスを識別し、上記シグネチャもまた識別するための相関器回路を有する受信機である。
【0018】
別の態様は、UWB電磁放射のパルスによる照射に対して磁気共鳴応答を有する物質を検出するための受信機であり、上記パルスが上記物質と相互に作用した後に上記パルスを検出するための検出器と、上記検出されたパルスにおいて上記物質の上記シグネチャを識別するように設けられた識別器とを有する。
【0019】
別の態様は、磁気共鳴応答を有する物質を有するタグでタグ付けされたアイテムを走査する方法を提供し、本方法は、アイテムをUWB電磁放射のパルスで照射するステップと、パルスが物質と相互に作用した後にパルスを検出するステップと、検出されたパルスにおいて物質の磁気共鳴応答を識別するステップとを有する。
【0020】
別の態様は、アイテム内のタグを起動する方法を提供し、上記タグは磁気共鳴応答を有する物質を有し、本方法は、タグの磁気共鳴応答がタグを起動するように上記アイテムをUWB電磁放射のパルスで照射するステップを有する。
【0021】
別の態様は、上記システム、受信機又は方法によって用いられるためのタグを提供し、本タグは、異なるタグが当該タグのシグネチャによって識別されかつ区別されることが可能であるように、UWB放射パルスによる照射に対する識別可能な磁気共鳴シグネチャ応答を提供するように設けられた物質であって磁気共鳴応答を有する物質を有する。
【0022】
任意の追加の特徴を互いに組み合わせることができ、かつ上述の態様の何れとも組み合わせることができる。特になどの先行技術を凌ぐ他の優位点は当業者には明らかであろう。本発明の請求の範囲を逸脱することなく、多くの変形及び変更を実行できる。従って、本発明の形式は単に例示的であり、本発明の範囲を限定するためのものでないことは明確に理解されるべきである。
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明を実行する方法を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】UWBレーダを用いて、別々の受信及び送信アンテナでタグの磁気共鳴の特性を検出する、本発明の実施形態に係るシステムの例を示す全体図である。
【図1B】UWBレーダを用いて、単一のアンテナでタグの磁気共鳴の特性を検出する、本発明の実施形態に係るシステムの例を示す全体図である。
【図1C】UWBレーダを用いて、複数の受信アンテナでタグの磁気共鳴の特性を検出する、本発明の実施形態に係るシステムの例を示す全体図である。
【図1D】UWBレーダを用いて、複数の送信アンテナでタグの磁気共鳴の特性を検出する、本発明の実施形態に係るシステムの例を示す全体図である。
【図1E】UWBレーダを用いて、タグへの透過を検出するように設けられた受信アンテナでタグの磁気共鳴の特性を検出する、本発明の実施形態に係るシステムの例を示す全体図である。
【図2A】時間領域における典型的なUWB信号を示すグラフであり、送信のガウシアンモノサイクルを示し、ガウシアンダブレットはモノサイクルの導関数である。
【図2B】時間領域における典型的なUWB信号を示すグラフであり、ダイポールアンテナによるモノサイクルの送信結果を示す。
【図2C】周波数領域における典型的なUWB信号を示すグラフであり、上記信号の周波数スペクトルを示す。
【図2D】周波数領域における典型的なUWB信号を示すグラフであり、上記信号を対数(dB)スケールで示したものである。
【図3A】ステップパルスの衝突時の強磁性タグの実験的に決定された時間領域のグラフであり、外的に印加された異なる値を有するDCバイアス磁界に関する異なる波形を示す。
【図3B】外部DCバイアス場、内部異方性場及び印加されるステップパルスから成る内部磁界に対する共鳴周波数の依存を示すグラフである。
【図4A】同一のアンテナから送信されたガウシアンダブレットが衝突した時の(パーマロイ又はフェライトから作られた)磁気共振タグの理想的なアンテナのシミュレーションされた応答を時間領域で示すグラフである。
【図4B】シミュレーションされたタグ応答を周波数領域で示すグラフである。
【図5】ゼロ磁界において狭帯域の放射を用いたS−パラメータであって、フェライトタグ材料からのSパラメータ3GHzにおいて磁気共鳴を示すフェライトのタグ材料からのS−パラメータを示すグラフである。
【図6】UWBによって(小さすぎる帯域幅を有する非理想的なアンテナを用いて)実行された、共鳴磁気応答を有するタグの第1の測定値を示すグラフである。タグ応答は、エコー内に非理想的なアンテナのリンギング上に重畳されてはっきりと見える。
【図7A】タグの幾何構造の例を示し、強磁性タグの異なる形状の例を示す。
【図7B】タグの幾何構造の例を示し、強磁性タグを装填された媒体の写真を示す。
【図7C】タグの幾何構造の例を示し、特有の設計の幾何構造に起因する磁気共鳴を示す金属小片の異なる形状を示す。
【図7D】タグの幾何構造の例を示し、金属小片のアレイから成るメタマテリアルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、特定の実施形態に関して、所定の図面を参照して本発明を説明する。但し、本発明はこれらの特定の実施形態及び所定の図面に限定されず、請求項のみによって限定される。描かれている図は単に概略的なものあり、限定的なものではない。諸図を通じて、複数の要素のサイズは誇張されており、説明を目的として縮尺通りに描かれていない場合がある。サイズ及び相対的なサイズは、本発明を実施する際の実際の縮小したものに対応するものではない。
【0026】
さらに、明細書本文及び請求項における第1の、第2の、第3の等の用語は同様の複数の要素を区別するために用いられており、必ずしも連続的な順序又は発生の順序を示すものではない。このように用いられる用語は適切な状況の下では置き換えが可能であること、及び本明細書に記述している本発明の実施形態は本明細書に記述されている又は示されている順序以外の順序で動作可能であることは理解されるべきである。
【0027】
さらに、明細書本文及び請求項における上部、底部、上、下等の用語は説明を目的として用いられるており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものではない。このように用いられる用語は適切な状況の下では置き換えが可能であること、及び本明細書に記述されている本発明の実施形態は本明細書に記述されている又は示されている他の方向で動作可能であることは理解されるべきである。
【0028】
請求項において用いられる「備える」という用語は、これに続いて挙げられる手段に限定されるものとして解釈されるべきではなくなどの要素又はステップを除外しないことは留意されるべきである。従って、これは、記述されている機能、完全体(integers)、ステップ又は構成要素を言及されている通りに特定するが、1つ又は複数の他の機能、完全体、ステップ又は構成要素もしくはこれらによるグループが存在すること又は追加することを除外しないものとして解釈されるべきである。従って、「手段Aと手段Bとを備えた装置」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみから成る装置に限定されるべきではない。これは、本発明に関しては、上記装置に関連する構成要素が単にA及びBであることを意味する。
【0029】
本発明の実施形態は、磁気共振タグからの応答を検出するための超広帯域(UWB)レーダ技術のアプリケーションに関する。これは、特に、健康状態へのアプリケーションのための医学的な監視/位置決め/イメージング装置を含む広範なアプリケーションを有する。ヒトの組織は高い屈折率を有するので、UWBレーダ技術は、時間領域での反射率測定法によって、人体内部をミリメートル未満の解像度で探ることを可能にする。人体は高い減衰損失を有するので、高いパルス出力の場合でも信号対雑音は典型的には極めて低い。UWB周波数範囲に適合する周波数領域の電磁放射に対して磁気共鳴の特性を有するタグを用いることにより、受信されるUWB無線信号に強磁性の共鳴シグネチャが現れる。例えば、時間相関による受信機におけるこのシグネチャの識別は、物体によって反射され/透過されるUWB信号の信号対雑音及び信号対クラッタを劇的に高めることができる。UWB放射によるタグの共鳴の励起をまた、体内での生化学的な反応を誘発するために用いることもできる。
【0030】
これまでに、磁気共鳴の特性がRF−ID識別の手順に用いられたことは皆無である。その理由は、磁気共鳴を探るために必要な周波数(>500MHz)は、例えば識別すべき物品である経路内の物体によって、より低い周波数よりも大きく減衰されるので、RF−IDに用いられたことがないためである。
【0031】
超広帯域レーダ.
超広帯域システムは短距離の無線通信及び/又はレーダシステムであって、超広帯域幅を有する極超短の(ultra−short)持続時間のパルスは他の狭帯域の信号源からのフェージング及び干渉に対して優れた電磁耐性を有するという事実を活用する。超広帯域レーダは、その比帯域幅が中心周波数又は信号の時間帯域幅積(time−bandwidth product)に関わらず約0.2より大きい任意のレーダとして定義される。UWBレーダ技術は、物体によるUWB信号の反射/透過に対する時間的なパルス応答に焦点を当てており、これにより、物体の位置、形状などに関して正確な情報を与える。パルスの持続時間は、典型的には1ナノ秒より短い。これは、典型的には500MHz及び20GHzの間の中心周波数及び中心周波数の最低で20又は25%から200%までの超広帯域幅を有する周波数領域の信号に変換される。
【0032】
UWBの強度は、従来用いられている周波数領域ではなく時間領域での特性に依存する。受信機が、送信されるパルスの到来が期待されるときにだけ「受信」する場合は、結果的に高い雑音除去及びマルチパス又はクラッタ電磁耐性をもたらすことができる。UWBパルスは極めて広範な周波数領域に渡って拡散されており、かつ時間において限定されているので、単一の周波数又は特定の周波数においてサンプリングされる出力は極めて低い。1994年にティー・イー・マックエバン(T.E.McEwan)はマイクロパワーインパルスレーダ(MIR(Micropower Impulse Radar))を発明し、ここで、読出しは、受信アンテナの位置にあるターゲットから到来するパルス応答の到来時間に基づく、受信機のゲーティングに基づいている。空間分解能は、媒体内でのパルス持続時間と光速との積である「空間長」によって決定される。効果的な検出方法は、受信される信号をサンプリングし、例えば反射される異なる信号間の時間相関を計算することにより解析することである。ここで、相関は高い時間分解能(<200ps)を用いて計算される。従って、ターゲットの位置の検出を、しきい値の検出(ゲート受信機の場合。)又は最大の相関の検出によって実行できる。
【0033】
2つの関数y1(t)及びy2(t)の時間相関は、相互相関関数z(t)によって数学的に記述される。周波数領域での等価な記述は、対応する周波数領域の相関関数Z(f)によって与えられる。
【数1】

又は
【数2】

ここで、*は複素共役関数を示し、τは時間遅れ(タイムラグ)である。周波数領域における相関は、周波数領域における入力関数Y1(f)の複素共役と入力関数Y2(f)との乗算によって生成される相関関数Z(f)であることに留意されたい。
【0034】
自己相関は、信号と、当該信号の別の時間において保存されたコピーとを相関させる。
【数3】

又は
【数4】

【0035】
UWB信号の場合、自己相関及び相互相関は、受信される信号から情報を抽出するために用いられる。即ち、完全反射のターゲットから反射された受信信号y(t)=a.x(t+t)が、保存されたバージョンの送信信号x(t)と相関されるときには、
【数5】

が得られる。ここで、tは送信機から受信機までの信号のタイム・オブ・フライトである。自己相関関数z(t)は、時間tがタイム・オブ・フライトに等しいときに最大であることに留意されたい。時間相関は、ターゲットから送受信機までの距離、異なるターゲット間の距離、又は送信機と受信機との間の距離を正確に計算する可能性を提供することは明らかである。送信機/受信機側における複数のアンテナによって送信される信号のより複雑な相関処理は、到来角、1つの物体又は異なる複数の物体の絶対的な位置又は相対的な位置の正確な推定値をもたらすことができる。例えば、アンテナの線状のアレイが用いられるときには、アレイ内のi番目の要素によって受信される信号は、(i−1)番目のアンテナに対して時間遅延を有し、上記遅延は到来方向とアレイの幾何構造との関数である。複数のアンテナによって受信される信号を相関させることにより、入射角を推定することができる。この推定値の誤差は、より多くの受信信号の波形が相関されるほど低減される。レーダの空間分解能は、最終的に、相関を計算することができる時間分解能によって決定され、上記時間分解能は典型的には受信機のサンプリング速度である。即ち、200psの時間分解能は空中での6cmの空間分解能に対応し、2psの時間分解能は空中での0.6mmの空間分解能をもたらす。これらの時間相関の方法は、計算時間及び高性能の受信機を犠牲にして、UWBレーダのアプリケーションの最新技術をセンチメートル未満の精度の3次元での位置決め及びトラッキングにまで至らせている。時間相関に基づくUWBレーダ技術は、既にセンチメートル未満のターゲット検出(例えば、タイムドメイン株式会社(Time Domain Inc.)は中心周波数4.7GHz及び絶対帯域幅3.2GHz(比帯域幅68%)で)及び9.6MHzまでのパルス繰返し周波数に関して市場に出ている。
【0036】
ターゲットの物体の特徴的な振る舞いは、典型的には、数学的な畳み込みによって入力信号x(t)を出力信号y(t)に変換する特徴的な時間領域のインパルス応答関数h(t)を用いて記述される。
【数6】

又は
【数7】

【0037】
周波数領域における畳み込みは、周波数領域の入力関数X(f)と伝達関数H(f)との乗算によって生成される周波数領域の出力関数Y(f)であることに留意されたい。ターゲットの伝達関数h(t)又はH(f)は、透過又は反射時の放射の位相及び振幅の両方に影響を及ぼす。受信信号はターゲットの周波数スペクトルに関する情報を含み、時間領域の完全な信号波形が受信されて解析されるときには、ターゲットの位置決めだけでなく、ターゲットの識別、特性の決定及びイメージングの実行にも用いることができる。x(t)がディラックのインパルス関数であるときにターゲットから散乱される又はターゲットを介して伝達される時間領域のインパルス応答y(t)は、散乱又は伝達関数h(t)に等しく、よってターゲットの特徴的なシグネチャを含む。ターゲットの位置に関する情報だけでなく、ターゲット自体に関する何らかの情報も必要とされるときには、信号波形y(t)は、ターゲットによって信号に与えられる変調を保存するのに十分な帯域幅で受信され解析されなければならない。
【0038】
一般に、マイクロ波の理論は、電磁波に関するマクスウェルの方程式に適合する散乱(S)パラメータ又はインピーダンス(Z)パラメータ(共に等価な記述である)を用いてマルチポートのマイクロ波ネットワークによってターゲットをモデル化する。S又はZパラメータは広い周波数帯域に渡って探索されることが可能であって、ターゲットの応答を含み、上記ターゲットの複素誘電率ε及び透磁率μに複雑に依存する可能性がある。媒体の特徴的な波動インピーダンスは、電磁界における電界と磁界の強度間の関係式であり、一般に次式で与えられる。
【数8】

誘電体について変形すると、以下のようになる。
【数9】

ここで、Zは自由空間(空気)の特徴的な波動インピーダンスであり、σは媒体の導電率であり、ωは各周波数であり、ε及びμはそれぞれ誘電率及び透磁率である。波動が自由空間からターゲット表面に入射するとき、マクスウェルの方程式の連続性によって、反射係数が(Ztarget−Z)/(Ztarget+Z)によって与えられ、透過係数が2.Ztarget/(Ztarget+Z)によって与えられることが予測される。同様に、散乱波の時間領域の波形も、ターゲットの複素誘電率ε及び透磁率μに関する情報を有する(さらに詳しくは、非特許文献4を参照されたい。)。
【0039】
UWBレーダ/センサの主要な欠点は、送信されるUWBパルスが様々な物体と相互に作用し、受信機に達するまでに複雑に散乱される可能性があることにある。より低い周波数で動作するレーダは大きい物体としか相互に作用しないが、UWBレーダは経路沿いの多くのより小さい物体と相互に作用し、その結果、受信機においてマルチパス反射が生じる。レーダシステムにおけるクラッタは、ターゲットの応答と同様の特性を有しターゲット応答と同一の時間ウィンドウに現れる望ましくない信号として定義される。従って、処理対象ではない物体からのクラッタは、ターゲットの識別又は検出の感度を下げる。ターゲットの信号対雑音比及び信号対クラッタ比を高めるほとんどの方法は、高度な信号処理、時間−周波数アプローチ及び/又はデジタル有限インパルス応答(FIR(Finite Impulse Response))フィルタリングから成る。最もよく知られているUWB装置は、タグを用いることなく、UWB信号を用いてターゲットの散乱を送信し、受信し解釈する。
【0040】
タグとしての磁気共鳴物質.
本発明の実施形態は、ターゲットを非曖昧にラベリングするタグとして磁気共鳴物質を用い、これにより、特に、例えば人体であるクラッタが高い環境において、位置決め及び識別のアプリケーションに関する信号対雑音比を高める。本発明の実施形態は、例えばパルスの形状の変化、時間遅れ、偏波又はパルスの周波数スペクトル(振幅及び位相)である極めて特殊なシグネチャによって処理対象のターゲットを識別する磁気共振タグを用いることによって、低い信号対雑音比及び信号対クラッタ比の問題に対処する。信号処理アルゴリズムを、信号対雑音比を高めタグに関する極めて正確な位置決め情報を得るように、タグの特定のシグネチャへと最適化することができる。例えば、受信信号とタグの特定のシグネチャの保存されたバージョンとの時間相関は、受信機における高い信号対雑音をもたらし、高精度の位置決め及びトラッキングアルゴリズムをもたらす。別の方法は、偏波の解析を用いて信号対雑音比を高める。タグに特定の検出アルゴリズムに加えて、従来の時間−周波数及びデジタルフィルタリング操作を用いて、信号対雑音をさらに高めてもよい。本システムをまた、過剰なマルチパス反射を回避するために無響室に置くこともできる。
【0041】
本発明の実施形態を、共振タグの磁気的な記録(imprint)を有する全てのUWB信号を含む多くの異なる通信方法に適用することができる。上記通信方法は、単一のパルスが送信され、タグによって散乱され、反射され又は透過されて受信される単純なパルスエコーの方法であってもよい。受信信号における共振タグのシグネチャの解析は、パルスの伝搬時間(time of travel)から、ターゲットまでの正確な距離をもたらす。連続的な信号の系列を解析するときには、連続的な位置を決定し、当該位置を動き解析又は位置トラッキングに用いてれてもよい。タグの散乱特性もまた、その環境内のタグの方位に関する正確な情報を与えることができる。複数の異なる受信機による1つのタグの検出は、絶対的な地理位置決め(geopoitioning)情報をもたらすことができる。一般に、3次元座標が必要とされる場合には3つの受信機が用いられ、2次元座標が必要とされる場合には2つの受信機が用いられる。より多くの受信機を用いれば結果的に優決定のシステムになる場合もあるが、それでも推定アルゴリズムを用いて情報を抽出することができる。複数の異なるタグを用いてもよく、散乱される複数の異なるタグ信号の相互相関は複数の異なるタグの相対的な位置に関する情報をもたらす。真のマルチパスモードでは、1つ又は複数の受動又は能動タグが1つ又は複数の異なる送受信機(送信機又は受信機)によって検出され、送受信された全ての信号間の空間相関は、全タグに関する絶対的な及び相対的な位置決め情報をもたらすことができる。各送受信機は、単一の又は複数のアンテナにて成ってもよい。通信方法もまた、1〜100nsより多くの時間だけ時間的に分離された2つ以上のUWBパルス又はインパルスを含んでもよく、時間領域のポンププローブ法で一般的に行われるものと同様に、第1のパルスは共鳴を励起し、第2のパルスはタグの共鳴を探索する。イメージングモードでは、複数のアンテナのアンテナグリッド又はアンテナベースライン及び高等なビームフォーカシングを用いるビームフォーミングによってUWB信号を走査しながら、散乱された信号が記録される。散乱される各信号の連続的な解析から画像を結果的に得てもよいが、複数の異なる信号間の相互相関情報をもまたイメージング処理を強化し、コントラストを強化するために用いてもよい。
【0042】
医学的な監視及びイメージングのアプリケーションは、複数の理由で本発明の実施形態の優れたアプリケーション領域となる。第1に、UWB周波数範囲における身体組織内での高い屈折率ε(εは、典型的には5〜100の間。)は、位置決めの精度を空気の場合より
【数10】

に等しい係数で増大させる。センチメートル未満の位置決めに代えて、ミリメートル未満の位置決めの方が現実的である。第2に、UWBの場合、パルス長が繰返し速度に比べて短ければ平均パワーは低い。放射することのできる最大の平均パワーは、典型的には、人体に生じる可能性のある損傷に起因して法規によって制限される。典型的には、法規は、身体組織の単位質量に吸収される経時的な高周波パワーの量を推定する比吸収率(SAR値)を制限している。高いピーク電力を有するUWB信号源は、典型的には身体組織が経験する誘電損失を、身体組織に吸収される平均パワーを低く維持しながら補償することができる。従って、限定されたSAR値に関して、受信機における信号対雑音比は高まる。これは、UWBに、全ての狭帯域のレーダシステムを凌ぐ明らかな優位点を与える。しかしながら、所定の信号パワーに対する受信機における信号対雑音比は、組織内の監視すべき誘電コントラストが小さいことによって制限される。
【0043】
これらの実施形態では、組織間の誘電コントラストを信号源として頼る必要がない。代わりに、これらの実施形態は、既に体内に存在する分子ではなく磁気共振タグの分光学的な特徴を活用して物体を識別することができる。広範なスペクトルの中身に起因して、UWBパルスは広い周波数領域でデータを集めることができ、かつ連続的な波動探索において見出されない分光学的な特徴を明らかにすることができる。タグのこれらの分光学的な特徴は、UWB装置の既存の医学的なアプリケーションに活用されたことがない。
【0044】
スピンの単純な歳差運動は、強磁性及びフェリ磁性体における強磁性共鳴(FMR(ferromagnetic resonance))、常磁性体における電子スピン共鳴(ESR(electron spin resonance))、反強磁性体における反強磁性共鳴及び(不対スピンを有する核を含む物質における)核磁気共鳴を含む、磁性体における磁気の励起及び磁気共鳴の基礎である。巨視的な磁化(合計の正味スピン)が、印加される磁界の周りを一斉に歳差運動しているときには、均一なモード(uniform mode)が存在する。磁化ベクトルはサンプルのダイポール磁気モーメントの容積平均であるので、個々のスピンは同一の歳差運動を経験することになる。巨視的な磁化の歳差運動は、個々の「スピン」がそれぞれ同一の周波数及び同一の位相で歳差運動していることを意味する。スピン波は、物質を介する個々のモーメントが同一の周波数で歳差運動をする点では同様であるが、外部磁界方向の周りの位相は異なる。スピン歳差周波数は、ラーモア周波数又は共鳴周波数wresonantと呼ばれる。これはしばしば、下記のようなランダウ−リフシッツ及びギルバート方程式(LLG方程式:強磁性スピン系等の強く結合したスピン系の場合に有効。)によって記述される。
【数11】

ここで、M(t)は正味磁化であり、H(t)は合計の内部磁界を示し、γは磁気回転比であり、αはギルバートダンピング係数又は散逸係数である。第1項はラーモア周波数ωresonant=2πfresonantでの磁化スピンをモデル化し、共鳴周波数はM(t)及びH(t)の両方に依存する。第2項は、動きの散逸をモデル化している。散逸のメカニズムは、発熱を意味する格子方向へのデフェージング(dephasing)又は散逸等の異なるスピンの緩和メカニズムを含む。従来の磁気共鳴分光計は、固定された周波数の連続波RF磁界がサンプルに印加されるマイクロ波空胴から成り、可変振幅のDCバイアス場が印加される。共鳴条件が満たされるときに、共鳴パワーはサンプルによって吸収される。吸収されるパワーは、典型的にはローレンツラインの形状(Lorentzian line shape)を有し、この形状から、共鳴周波数(Hresonant=γωresonantによる)及び(緩和の結果としての)共鳴のライン幅ΔH=γ.Δωに対応する共鳴場を得ることができる。狭帯域強磁性共鳴分光学は、50年以上に渡り、様々な強磁性種の共鳴場及びライン幅の両方の研究に用いられてきている。
【0045】
合計の内部磁界H(t)は、外部の印加される場(本発明の実施形態では、時間依存の場のUWB放射に、必ずしも必要ではないが場合により、印加される磁界であって任意の追加の静的な又は時変性の磁界を加えたもの。)及び内部の寄与の両方を含む。内部の寄与は、磁性体、物質の異方性、形状、サイズ及び幾何構造並びに物質に印加される応力又は歪みに強く依存する。例えば、同一の物質から同一の直径で製造されるナノワイヤ及びナノ粒子は、その異なる形状に起因して著しく異なる共鳴周波数を有する。磁気歪み材料は、印加される歪みに依存して異なる共鳴周波数を有する。│M│は、正味の磁化に寄与するスピンの熱的なゆらぎ及び物質を磁気的に飽和することができる印加される磁界のために、温度に依存する可能性がある。│M│の最大値はMs、即ち、典型的には10kA/m(例えば、弱い、又は希釈された強磁性体又はフェリ磁性体の場合。)から1500kA/m(強い強磁性体の場合。)までの範囲である磁性体の飽和磁化に等しい。
【0046】
LLG方程式を用いて、典型的にはレーダへのアプリケーションに用いられるUWBパルスに対するタグの磁気応答を理論的に予測することができる。図4は、典型的なUWBパルス並びに強磁性(パーマロイ)タグ及びフェライトタグの時間領域及び周波数領域の両方における磁気共鳴応答を示す。磁気共鳴における透磁率をLLG方程式から計算することができ、複素テンソルとして最もよく記述される。
【数12】

ただし、
【数13】

【数14】

である。μ’及びκ’’は、図4におけるような同一の磁気共鳴の特性を示す。直線偏波した入射磁界Hは、結果的に、共鳴に近い楕円偏波した誘導場B=[μ]Hになることに留意されたい。物質の透磁率は、共鳴のピークから遠ざかるとμに接近し、GHzの周波数においてはこれがしばしば優れた近似値であることにもまた、留意されたい。透磁率がμ(μ>1)より大きく非共鳴(off−resonance)であれば、共鳴曲線の振幅が変わる場合があるが、共鳴周波数は同一のままである。入射する放射の振幅、位相及び偏波は、磁気共鳴に近い周波数に強く依存する。これは、図5における磁気共鳴を有するタグ物質に対して実行されるS−パラメータの測定例において実証されている。
【0047】
本発明の複数の実施形態は、典型的なUWB信号(図2参照。)の周波数スペクトルとしての範囲である500MHz〜20GHzの周波数範囲においてタグに用いられる媒体の磁気共鳴応答を利用する。材料は、Co、Fe又はNiもしくは希土類ベースの合金等の強磁性体、常磁性体又は超常磁性体、フェリ磁性体又は一般にマグネシウム、マンガン、ニッケル、リチウム、亜鉛又はバリウム等の1つ又は複数の遷移金属と結合された鉄酸化物であるMnFe等のフェライトにて成ってもよい。上記材料は、上述した物質のうちの任意の物質の小片(particle)を含む誘電体のナノコンポジット、又は、例えばFe/C、Co/SiO、Co/ZrO、CoPt1−x:Cコンポジットである誘電体の小片を含む磁性体であってもよい。上記ナノコンポジットは、高分子材料若しくは磁気金属小片又は非金属小片を充填された有機(ヒト)組織材料であってもよい。上記小片は、1nmから1μmまでのサイズを有してもよい。タグ材料もまた、反射性の金属タグ上に被覆されたフェライト又は非導電磁性体であってもよく、これにより、磁性体を介する透過経路が倍増される。タグ材料はまた、同一の又は異なる共鳴周波数をそれぞれ有する複数の磁気層で構成されてもよい。タグ材料は、可能なカップリング及び干渉の効果が役割を果たす場合がありかつ共鳴周波数をシフトする場合がある磁気層及び非磁気層の複数の層で構成されてもよい。媒体は、先に挙げた物質又はナノコンポジットの何れかにて成ってもよく、異なる形状又はサイズを有することが可能であり、これにより(反磁界を介する)媒体内部の場が変わり、よって磁気共鳴周波数ωresonant及び共鳴の幅Δωが影響を受ける。追加の外部の場を印加して、共鳴をUWB周波数範囲により良く一致させてもよい。しかしながら、0.3テスラより高い外部の場の印加は高価で大型の磁石を必要とし、生物医学的なアプリケーションにおいて低コストのUWB送受信機を用いるという目的を危うくするので望ましくない。低い場で典型的にはより高い磁化(合計のスピン。)を有する強磁性体を用いるときには、任意の幾何構造に関して低い磁界(ゼロから0.1Tまで。)で典型的なUWB周波数範囲(500MHz〜20GHz。)内の共鳴を生成することができる。
【0048】
本発明はまた共鳴空胴を有するタグを含み、これにより、共鳴空胴は、UWB受信機によって検出され得るシグネチャを提供する周波数で共鳴するように設計される。
【0049】
図3は、(コプレナーの導波管を用いて印加される)ステップパルスに対する厚さ50nmの強磁性薄膜素子の応答であって、強磁性体と光との相互作用を用いて異なる値の外部の場について探索されたパルス応答を示したものである。この光学的な方法は、強磁性タグの時間領域の応答の探索を可能にし、1〜2ナノ秒で減衰する1〜3GHzの共鳴周波数を有する均一なモードを明らかにしている。強磁性体が、典型的にはより高い磁化(合計のスピン)を有する場合、フェリ磁性体は、典型的にはより低い散逸を有する。
【0050】
UWBパルスは共鳴を捕らえ、戻りのパルス上には共鳴の特性が存在する。物質の磁気共鳴応答及び(表面)波動インピーダンスから、入射UWB信号に対するタグの特徴的な応答を推定することが可能である。本発明の実施形態では、タグは、導体又は非導体にて成ってもよい。非導体の場合、磁気共鳴及び透磁率テンソルは、物質を介する透過及び物質内の放射の磁気吸収を変化させる振幅、位相及び/又は偏波をもたらす。導体の場合、UWB放射の浸透は表皮深度
【数15】

に限定され、この表皮深度は、大部分の導体に関して約100nm〜1μmである(例えば、5GHzにおけるアルミニウムの表皮深度は約600nmである。)。導体タグが表皮深度より小さい特徴的な大きさを有しているときには、その容積全体が放射を吸収することができ、入射放射の一部は反射されることがあるが透過されることもある。より高い周波数は、より低い周波数に比較して浸透しないことに留意されたい。また、磁気共鳴の近くでは、複素透磁率テンソルが大きく変化し、これにより表皮深度も変わる(例えば、パーマロイの表皮深度は磁気共鳴において25nmまで低減する。)ことにも留意されたい。その結果、磁気共鳴における反射/透過時には、反射の増大及び偏波の変化の両方が生じる可能性がある。導体タグが表皮深度より大きい特徴的な大きさを有していれば、タグはUWB無線信号の大部分を反射し、少量を表面で吸収することがある。強磁性体の小片(例えば、Fe合金の小片を充填されたカーボン。)にて成るナノコンポジットの厚膜(0.1〜10mm。)を用いて、強磁性体の望ましい強力な磁気共鳴及び適度な深さの表皮深度を実現しながら渦電流損失を低減させることができる。タグはまた、強磁性体の小片が充填されたヒトの組織にて成ってもよい。このような強磁性のナノコンポジットは、UWB信号上に大きいシグネチャを生成する優れた選択肢である場合がある。タグの選択(導体、非導体、コンポジット)は、サンプルを介する反射又は透過を検出する受信機の最適な配置を定義する。実施形態は、タグ上での散乱時にUWB信号上に結果的に生じるこの特定のシグネチャを利用する。共鳴周波数に近い周波数を有する電磁放射は、スピンに対して平行及び直角である電界又は磁界成分の異なる相互作用に起因して、その偏波の状態、振幅又は位相を変える。UWB信号はこれらの共鳴周波数を含むので、UWB信号の所定の周波数は変わっていくことになり、これによりUWBパルスは特定のシグネチャを得る。図4A及び図6は、このようなシグネチャの例を表す。受信機は、磁気共振タグからのこのシグネチャを、例えばマルチパス反射及びクラッタである他の任意の信号源から区別することができる。シグネチャを区別する1つの可能な方法は、予期されるシグネチャと受信される信号とを相関させることである。
【0051】
タグの位置決め又は位置の変化をミリメートル未満の精度で測定することができ、上記測定を、子宮収縮、心拍動、呼吸、身体部分(例えば、腕、脚…。)の動作等の健康状態に関連するパラメータを遠隔測定で監視するために用いることができる。比較的単純な低コストのUWB送受信機を用いることができ、監視はもはや高価なスキャナや磁界を誘導するための大型の超電導磁石を必要としない。磁気共振タグを、監視するターゲットの組織に取り付けることができる(例えば、大動脈又は子宮口。)。磁気共鳴によって重畳される特定のシグネチャは、タグによって影響される信号の他のマルチパス反射からのより容易な識別を可能にする。これはさらに、受信機における信号対雑音比を増大させ、かつ胎児心拍数、子宮収縮、等々の監視を容易にすることができる。
【0052】
タグはまた、無線センサシステムの一部であってもよく、この場合、タグの磁化はセンサ情報を表すように変えられ、結果的に異なる共鳴シグネチャが生じ、これにより、UWB信号をセンサから送信する優れた変調方法が提供される。複数のタグは、より複雑な情報を表してもよく、これにより、UWB信号でその状態を探ることができる磁気メモリが形成される。このメモリは、識別コード又は格納されるべき複雑な情報を含むことができる。タグの磁化情報を書き込むためには、追加のハードウェア(例えば、磁石。)が必要な場合がある。
【0053】
タグを、医学的な外科手術、嚥下、注射によって装着してもよく、又は、例えば身体の特定の部分に貼り付けることができる。アプリケーションに依存して、タグは異なるサイズを有してもよい。例えば、医学的な外科手術へのアプリケーションの場合(例えば、ペースメーカ又はステント。)、磁気タグは0.1〜10mmの典型的なサイズを有してもよい。形状はアプリケーションに依存するが、磁気共鳴も決定することになる。
【0054】
タグを、特に所定の組織、細胞、小器官(例えば、腫瘍細胞)に留めるように又は薬剤にラベリングするように機能的にすることができ、これにより、無線技術を用いて探索できる正確な位置決め及びトラッキングタグを示す。磁性体の小片を所定の生体分子に特に留めるように機能化することは、検体において生体分子を識別する周知の手順である。ラベルとして用いられる磁性体の小片は、例えばフェリ磁性、強磁性、反強磁性又は超常磁性であってもよく、実施形態によっては1から5000nmまでの範囲の平均の小片サイズを有し、よって、「ナノ粒子」と呼ばれる。また、1から5000nmまでの範囲の特徴的なサイズを有するナノワイヤ、楕円体又は薄膜素子等の非球形の小片を用いてもよい。タグはまた、同時のターゲッティング、治療及び監視のプロトコルを可能にする機能的に設計されたコーティング、分子ターゲット及び薬物も含む加工されたナノ粒子の一部であってもよい。
【0055】
メタマテリアル:
本発明の実施形態は、メタマテリアルとして知られている別の種類の材料を用いることもできる。メタマテリアルは、電磁波との相互作用において特別な特性を呈する新しい秩序化された(ordered)種類のナノコンポジットである。これらはほとんど、金属−誘電体のマイクロ又はナノ構造体で構成される。所定の人工的なコンポジットの構造体に関しては、構造体の有効誘電率又は透磁率は、構成する材料の誘電率又は透磁率とは全く異なる可能性がある。これらは、500MHz〜20GHzの周波数範囲において共鳴磁気応答又は誘電応答を有するように設計されてもよい。この場合、共鳴はUWB放射の入射時に励起され、その結果、散乱された信号波に特定のシグネチャが生じる。
【0056】
このようなメタマテリアルの既知の一例は、1つ又は複数のスプリットリング共振器から成る物質である。上記スプリットリング共振器はそれぞれ、ギャップによって分離されている2つ以上の同心のリングから成り、両方のリングは、反対側に方向付けされてもよいスプリットを有する。このようなスプリットリング共振器は、500MHz〜20GHzの範囲に磁気共鳴を有するように設計されてもよい。幾つかの設計ルールは、非特許文献5において提案されている。これらは、典型的には、誘電体上に金属(例えば、Au、Al、Cuである。)の膜を蒸着し、その金属をパターニングしてスプリットリング(のアレイ)にすることによって製造される。図7Cを参照されたい。このような設計は電磁界をローカルに強化し、共鳴において透磁率が変わる強磁性体におけるゼーマンバンドギャップと同様の仮想的なバンドスプリットが生成されるように、場と相互作用する。共鳴周波数は、用いられるリング、ギャップ及びスプリットの数及びサイズに依存する。スプリットリング共振器のサイズは、放射の波長の1/3から1/30であってもよい。体内では、高い誘電定数に起因して波長が短くされるので、スプリットリング共振器は、自由空間の場合より小さく設計されてもよい。典型的な0.01〜20ミリメートルの直径を有するスプリットリング共振器の場合、磁気共鳴を、500MHz〜20GHzの範囲内で設計することができる。共鳴は、典型的な0.01〜1GHzのライン幅を有する共鳴周波数で透過スペクトルにディップ(傾斜又はくぼみともいう。)を生じさせる。メタマテリアルの他の設計もまた、磁気共鳴をもたらす場合がある。他の設計は、放射の波長の1/3から1/30までの典型的な大きさを有するリング、正方形又は長方形のリング、スプリットリング、ナノワイヤ、導体から製造されて誘電性のホスト材料の上に配置される曲がったワイヤ(の組合せ)を含む。誘電性のホスト材料はまた、ヒトの組織自体であってもよい。
【0057】
これらのメタマテリアルのうちの幾つかは、500MHz〜20GHzの範囲内の誘電性の共鳴を有してもよい。このようなメタマテリアルの一例は、誘電性の共鳴(有効誘電率における共鳴)を有するギャップによって分離される2つ以上の同心リングから成る閉リング共鳴器である。上記共鳴は、共鳴周波数において、透過スペクトルにディップを引き起こす。これらのメタマテリアルのうちの幾つかは、500MHz〜20GHzの範囲内において、組み合わされた誘電性の共鳴及び磁気共鳴を有してもよい。
【0058】
UWB信号がこのような物質を透過するとき、結果的に、透過したパルス上に特定のシグネチャが生じる。共鳴物質上における透過又は反射時の入射放射の位相シフト、振幅変化又は偏波の変化は何れも、結果的に時間領域の波形上のシグネチャになり、このシグネチャを、受信機において認識してもよく、タグの距離、位置の推定及びタグのリアルタイムのトラッキングに用いることができる。従って、このような物質は、生物医学的なアプリケーションにおけるタグとして用いられてもよい。この場合、共鳴を励起する磁界を追加する必要はない。ディップ又はピークを、容易に受信され得る明白なシグネチャを生成するのに十分な高さにするためには、複数の秩序づけられた(ordered)共鳴構造又はタグが必要である場合がある。その大きいサイズのせいで、これらはほとんどが外科医によって、例えばカテーテル又はプローブを用いて装着される。
【0059】
タグの変調:
タグはまた、無線センサシステムの一部であってもよく、当該無線センサシステムにおいて、タグの磁化はセンサ情報を示すように変えられ、結果的に異なる共鳴シグネチャ(位相)になる。これにより、センサからのUWB信号を送信する優れた変調方法が提供される。メタマテリアルのタグの場合は、タグ自体がセンサ値を表してもよく(例えば、大動脈の直径に対応する直径を有するステント内で用いられるリングタグ。)、変化する直径は共鳴周波数を変え、UWB信号によって直接的に探索されることが可能である。複数のタグはより複雑な情報を示してもよく、これにより、UWB信号によってその状態を探索できる磁気メモリが形成される。メモリは、識別コード又は格納されるべき複雑な情報を含むことができる。タグの磁化情報を書き込むためには、追加のハードウェア(例えば、磁石。)が必要な場合がある。
【0060】
タグは、球、楕円又は楕円体、細長いワイヤ、円形又は正方形の閉リング、スプリットリング又は非閉リング、複数のスプリットを有するリング、2つ以上の同心リングの形式の磁気共鳴物質を含むことができる。
【0061】
タグは、例えば特定の情報を有益である可能性のある符号化形式で格納するために周期的又はランダムな順序で配列されたN個の形状の集合から成る磁気共鳴物質を含むことができる。
【0062】
磁気共鳴イメージング技術.
磁気共鳴イメージング(MRI(Megnetic resonance imaging))は、人体内部の断層撮影の高品質な画像(2Dスライス又は3D画像)を生成する周知の技術である。MRIは、核磁気共鳴(NMR(nuclear magnetic resonance))の原理に基づく。一般に、MRIは1〜3TのDC磁界を用いて核を磁化する。特定の核の共鳴特性(周波数、緩和時間)を識別する際には、狭帯域の周波数範囲における電磁波が選択される。例えば、ヒトの組織のイメージングには、体内の高濃度のHOに起因して、一般に1Tで42MHzに近い共鳴周波数を有する陽子が用いられる。他の核のラーモア周波数は50KHz〜100MHzの範囲内にあり、これらのイメージングへのアプリケーションにおける処理対象の全体の周波数スペクトルは約10kHz〜1MHzである。これは超狭帯域であって、ハードウェアはこの単一の周波数を発生し受信するように最適化され、例えば、ヘテロダイン検出器は信号源の周波数帯域に一致される。MRI実験によっては、特定のタイプのNMR信号の生成に関して、狭帯域のRF波の複雑なパルスシーケンスを用いて核の位相が操作される。パルスは、核スピンを正確に90度又は180度以上回転させなければならず、パルスは核共鳴と共に調整されなければならず、1〜2000マイクロ秒であり得る。
【0063】
MRI画像においてどの組織も可視であるためには、ターゲットの組織及び隣接する組織における核の放射される信号(振幅/位相/周波数)にコントラストがなければならない。このコントラストは、核スピンの緩和時間、核の濃度又は密度の違いに起因する可能性がある。取り込みの差によって組織間のコントラストを高めるために、体内には、しばしば造影剤が導入される。常磁性体の小片又は超常磁性体の小片は、水環境内を転がると振動磁界を生成し、これにより処理対象の核の近くにランダムに変動する磁界を誘起して組織の緩和時間(T及びT)を変える造影剤として、しばしば用いられる。例えば、いくつかの腫瘍細胞は周囲の組織よりGdの取り込みが大きく、これによりTが低減され、結果的にMRI走査において腫瘍の強いコントラストが生じる。強磁性共鳴(FMR(ferromagnetic resonance))イメージングは、強磁性体をイメージングするために用いられる技術である。[特許文献12]には、狭帯域の高周波FMRイメージングのための技術が提案されている。人体は、本来このような性質を有していないので、FMRイメージングが生体臨床医学のアプリケーションのために考慮されたことは皆無であった。強磁性体においては、強磁性共鳴(FMR)信号は、非常に高いスピン密度及びスピン間の強力な交換結合のために、NMR又は他の共鳴より遙かに強力である。この同一の交換結合はスピン−スピン緩和の抑制も引き起こし、スピン−格子緩和が合計の緩和時間を優勢に占める。
【0064】
上述したイメージングの例において、UWBレーダ技術に用いられる超広帯域幅の信号源を用いたものは皆無である。本発明の実施形態では、狭帯域RF波に頼る代わりに、広帯域(典型的には、帯域幅>500MHz。)であって磁気共振タグと相互に作用することができる極超短のパルス、インパルス又はパルス化されたRF信号源が用いられている。従って、パルスは、時間領域において、ナノ秒以下の立ち上がり時間又はパルス幅等のナノ秒以下の特徴を有する。身体の一部においてUWBビームを走査することにより、生物医学的なイメージングへのアプリケーションが可能である。この走査は、指向性の高いアンテナ又はアンテナアレイ及び/又はビームフォーマを必要とする。このようなUWB走査装置の優位点は、イメージングアプリケーションに関連するハードウェアが低コストであることにある。ゼロ又は超低磁界を用いることができ、現在のMRIイメージング装置の場合のような高価な磁石は不要である。呼び掛け(調査)対象のサンプルは、例えば磁気タグの位置又は一意の識別子であるタグの特性であっても、分子又は生体アタッチメントを用いて磁性体の小片で「ラベリング」された生物検体サンプルであってもよい。
【0065】
UWB走査の間のRF放射への暴露は、その暴露時間が短いので、UWB走査に必要なエネルギー量が従来の連続波によるイメージング又は走査装置より遙かに少なく、最小限である。イメージングシーケンスの間に印加される高周波エネルギーは身体組織を加熱する可能性があり、よって、RFエネルギーへの暴露を制限することが推奨される。比吸収率(SAR)は上記制限の尺度であり、連続波の印加の信号対雑音比を制限する。SAR値は、例えば皮膚である身体組織によって許容され得る平均パワーである。吸収されるパワーはRF場の周波数及びパワーの両方に依存するので、SAR値は信号源のパワーを所定の周波数に制限する。一般的な大部分のイメージング技術が、より高い場のパワーを許容できるより低い周波数で動作するもの(例えば、MRIである。)である理由はこの点にある。UWBに用いられるパルス化されたパワーは、同一の制限されたSAR値に対して連続波による探索より高い信号対雑音をもたらす。従って、その信号源は処理対象の周波数範囲において身体内で経験される高い信号減衰を補償することができ、検出器側でも十分な信号対雑音比をもたらす。UWB放射で共鳴を励起することができれば、核イメージング技術に用いられる造影剤を本発明の実施形態における共振タグとして用いてもよい。
【0066】
磁気共振タグを用いるローカルな刺激.
UWB放射がタグの磁気共鳴を励起し、その結果、電磁界をローカルに変える均一なモード又はスピン波の励起、及び磁気運動の散逸に起因する共鳴熱の発生の両方が生じることは明らかである。ほとんどの物質で、共鳴熱の発生は、例えば渦電流である他の任意の損失による誘導熱の発生を超過することがある。これは、非特許文献3に示されており、非特許文献3では、強磁性共鳴分光法は、強磁性体において、吸収される熱を熱量測定法を用いて測定することによって実行されている。タグに衝突するUWBパルスは、UWB周波数範囲内の共鳴の吸収に起因してタグをほぼ瞬時に加熱する。熱は、タグの表面から直近の周囲へ、即ち、タグが接触している組織又は生体分子結合に伝達される。熱の伝達は極めて短い時間スケール(ナノ秒)で発生する場合があるので、短いUWBパルスのタグへの周期的な衝突は組織又は結合の瞬間的な加熱を引き起こすことができ、これにより、熱的に起動されるプロセスが誘導される。これは遠隔的に発生されるが、生体組織の(空間及び時間の両方で)極めてローカルな加熱は、その直近の周囲に例えば生化学反応であるイベントをトリガするために用いられてもよい。その優位点は、バルクの加熱が発生せず、タグ表面の近くでのみ加熱が発生することにある。典型的なアプリケーションは温熱療法であり、上記温熱療法において、磁性体の小片は、この場合は強磁性共鳴加熱によって加熱されて熱が周囲へ伝達され、これにより、小片と直接的に熱的に接触している細胞が破壊される。温熱療法を、癌治療として用いることができる。他の例は、例えば熱的に誘導されるDNA(デ)ハイブリダイゼーション、熱的に誘導される変性又は他の共形の変形(conformal change)(例えば、タンパク質である。)、放射時の薬剤の熱放出などのローカルに誘導される分子レベルでの吸熱反応、ローカルな神経刺激などであってもよい。UWBパルスによって励起される共鳴磁気双極子場又は電界はまた、生化学的な刺激剤として作用してもよい。UWB信号及び共振タグはまた、これらの原理に基づく治療装置として用いられてもよく、この場合、治療(例えば、薬剤の放出である。)は無線超広帯域信号によって引き起こされる。UWBパルスの繰返し速度を、UWBレーダ通信において一般に用いられるもの(0.5〜100ns毎に250psパルスの繰返し。)を超えて増大して、治療効率を高めてもよい。
【0067】
UWB信号及び共振タグの異なるアプリケーションを組み合わせてもよい。例えば、治療では、位置決め又はイメージング装置の両方を刺激と組み合わせて、始めに腫瘍に近いタグの位置を確認し、次に、タグが正しい場所に位置決めされている場合に限って腫瘍を、例えば温熱療法によって治療してもよい。別の組合せは、ターゲットとされる位置においてタグの位置を確認した後の、熱的に誘導される薬剤の放出であってもよい。
【0068】
本発明の実施形態は、レーダ信号のスペクトル領域において共鳴周波数を有する超広帯域レーダによって励起され/探索される磁気共振タグに基づいている。タグの実施形態は、下記の何れであっても、これらの組合せであってもよい。
【0069】
・タグ:単一の共鳴周波数又は当該共鳴周波数の近傍の共鳴周波数の高調波。
・タグ:例えば、強磁性体、フェライト、常磁性体から製造される磁性材料。
・タグ:磁気共鳴を示す磁性体から製造されるマイクロ及びナノ粒子。
・タグ:これらの磁性体の多層構造、磁性体と他の物質との多層構造。
・タグ:磁気共鳴を示すメタマテリアル。
・タグ:磁性体又は物質を充填される他の物質(例えば、誘電体、ポリマ、人体組織である。)。
・タグ:タグの磁気的な特性は、一意のIDであるように調整されてもよい(例えば、異なる共鳴特性を有する小片のチェーンである。)。
・タグ:タグは、一種のバーコードを生成するように、一意の共鳴をそれぞれ有する複数のタグ(例えば、複数の層である。)にて成ってもよい。
・タグ:例えば、(例えば脳、細胞、組織、小器官の)特定の結合又は取り込みによって生物検体をターゲットとするように機能化されたマイクロ及びナノ粒子。
・タグ:ラベリングの機能(例えば薬剤のラベリング)を有するように機能化されたマイクロ及びナノ粒子。
・タグ:コーティングを有する生化学的なプラットフォームの一部、ターゲットの分子、薬剤、他のナノ粒子など。
・タグは、UWBレーダによってトランスデューサ起動されることが可能である。例えば、UWBレーダは薬剤放出の起動、刺激の誘起などを行うことができる。
・タグ:埋込まれ、注入され、嚥下されることなど…ができる。
【0070】
システム例:
タグの探索に用いられるハードウェアの実施形態は、(複数の)超広帯域送信機、(複数の)受信機及び複数のアンテナを含むことが可能である。
−少なくとも1つの受信機/送信機を、一本の線上(距離)への相対的な位置決めを行うように用いることができる。
−少なくとも2つを、1つの平面上への相対的な位置決めを行うように用いることができる。
−少なくとも3つを、空間内での相対的な位置決めを行うように用いることができる。
−複数のアンテナの複数のベースライン又は複数のアレイを、ビームステアリング(位置決め)を行うように用いることができる。
【0071】
受信機は、高帯域幅のADCサンプリングユニットを含むことができるが、高いサンプリング性能は信号の到来が予期される場合にのみ必要とされるので、このサンプリングユニットもまたゲーティングされる場合がある。受信機の信号を、受信機内で又はパーソナルコンピュータ上で相関することが可能である。システムは、イメージングのための可視化(ビームスキャナ)並びに格納及び解析ソフトウェアを保有することができる。壁及び無関係な対象における過剰なマルチパス反射を回避するために、システムを無響室内に配置することができる。
【0072】
タグにおける外部磁界はゼロ磁界である可能性も、低い静電磁界(<0.3T)である可能性もある。EM場(電界又は磁界成分。)には、共振タグに対してアンテナによって生成される特定の方位(例えば、磁化に対して直角、平行。)が存在する可能性があり、これにより、信号が増大されることがある。UWB信号を、タグ、即ち単一のパルス又はパルス列、インパルスのRFサイクル又は短い持続時間(<1ns)を探索するために用いることができる。
【0073】
タグと組み合わせて用いられるUWB通信のストラテジーの実施形態は、下記の何れであってもよい。
【0074】
・(反射又は透過ベースの)パルスエコー:到達時間はターゲットまでのリアルタイムの距離を与え(動きの優れた解析。)、完全な時間応答の解析は、タグの散乱特性をあなたに与える。反射された異なる複数のタグ信号の相互相関は、異なる複数のタグの相対的な位置に関するさらなる情報、又は単一のタグの連続的な位置に関するさらなる情報をあなたに与えることができる(トラッキング)。
・地理位置情報(ジオロケーション)/位置決め:3つの受信機(3Dの座標。)又は1つの平面上の2つの受信機(2Dの座標。)又は1つの受信機(距離のみ。)による1つの信号発生器/タグのパルス前縁(しきい値。)の検出又は時間相関。
・マルチパスモード:異なる複数の受動又は能動タグ及び異なる複数の受信機。空間相関は、タグの絶対的な及び相対的な距離に関する情報を与える。
・イメージングモード:上述したとおりであるが、アンテナグリッド又はアンテナベースラインを用いる走査又はビームフォーミングを含む。
【0075】
図1Aは、実施形態に係るUWBレーダシステムの一例を示す。ターゲットにおけるターゲット20から散乱された放射を、UWB送受信機を用いて測定することができる。UWB送信機は、UWB信号発生器25を有する。この場合には、別々の送信アンテナ30及び受信アンテナ40が示されている。受信機は、典型的には、サンプリングシステム45と、受信されるパルスにおいて磁気共鳴応答をシグネチャの形式で識別するためのさらなる処理機能55とを有する。今日のほとんどのレーダは、単に、ターゲット媒体と周囲の物質(例えば、心筋対血液。)との誘電コントラストを用いる。本発明の実施形態は、タグの磁気共鳴の特性を用いることができる。図1Bは、送受信の両方に用いられる単一のアンテナ50を示す。図1Cは、到達時間差の計算による位置を可能にする1対の受信アンテナを有する実施形態を示す。図1Dは、到達時間差の計算による位置を可能にする1対の送信アンテナを有する一実施形態を示す。図1Eは、タグを透過したパルスを検出するように設けられた受信アンテナ40を有する実施形態を示す。磁気タグを用いることは、信号対クラッタ比及び信号対雑音比を高めることによって、一般的なUWB装置のシステム感度を上げる。従って、連続的な波の放射に関して利用できない複数の信号を、ミリメートル未満の空間精度で区別することが可能になる。よって、多くの生体内アプリケーション(例えば、MRI)において既に用いられているような磁気タグを、扱いにくく高価なMRIスキャナよりも安価なレーダ/電気通信システムを用いてここでは探索することができる。
【0076】
図2は、典型的なUWB信号を時間領域及び周波数領域において示すグラフである。この特定の図に関しては、下記のパルスパラメータが用いられた:0.5nsのガウスインパルスを用いて、長さ約1nsのRFモノサイクル(図2a参照。)を生成した。ダイポールアンテナによる送信後のファーフィールドの(far field)信号はインパルス状の信号であり、2つの追加のゼロ交差を有するガウシアン「ダブレット」(図2b参照。)である。この信号の周波数スペクトル(図2cに示す)は、4GHzに近い中心周波数及び約2〜7GHzからの超広帯域を有する。
【0077】
図3は、ステップパルスの衝突時の強磁性タグの実験的に決定された時間領域の応答を示す。この応答は、時間分解磁気光学カー(Kerr)顕微鏡によって光学的に探索された。磁化の一方のベクトル成分のみが探索された。(図3A)異なる複数の波形は、外的に印加された異なる値を有するDCバイアス磁界に関して得られた実験データを示す。(図3B)外部DCバイアス場、内部異方性場及び印加されるステップパルスから成る内部磁界に対する共鳴周波数の依存性を示す。
【0078】
図4は、LLG方程式を用いて得た、空中において60cm(又は、脂肪組織内において20cm。)の距離から送信された入射UWB放射に対する磁化の応答を示す。我々は、図2bで与えられるパラメータを用いてガウシアンダブレットインパルス時の時間領域(図4A)及び周波数領域(図4B)の両方において応答を計算した。パーマロイタグはMs=840kA/m及びHk=1kA/m及びα=0.01のパラメータを有し、フェライトタグはMs=240kA/m及びHk=16kA/m及びα=0.005のパラメータを有していた。外部の場は印加されなかった。UWBパルスは、両方のタグにおいて歳差応答を励起する。両方のタグは、UWB周波数範囲に一致する磁気共鳴を有する。共鳴応答の時間遅れは、タグと送信/受信アンテナとの距離の2倍に対応する。
【0079】
図5:3GHzにおいて磁気共鳴を示すフェライトのタグ材料からのS−パラメータの測定値の例である。測定は、ゼロ磁界において、狭帯域の放射を用いて行われた。
【0080】
図6は、空中における1.5cm複数のリングのアレイから成るメタマテリアルであって、3.5GHzで磁気共鳴を有する(狭帯域の方法で確認された。)メタマテリアルのタグ応答の測定値の例を示す。測定のセットアップは図1Aに対応しており、パルス幅250psを有するUWBパルス発生器、2つのダイポールアンテナ(7cm間隔。)及びサンプリングオシロスコープを用いた。タグを、アンテナ間の伝搬経路の中間に置いた。ダイポールアンテナはこの目的ために最適化されておらず、アンテナからアンテナへの直接的な伝搬は共鳴応答を示した。共振タグを用いると、アンテナからアンテナへの直接的な伝搬は減衰され、タグの共鳴シグネチャがアンテナ応答に重畳される。
【0081】
図7は、UWB範囲において磁気共鳴を生成する目的で用いられ得る複数の異なるタグの幾何構造を示す。図7Aは、異なる形状の強磁性タグ又は他の層と交互にされた強磁性体から成るタグの例を示す。図7Bは強磁性タグを装填された媒体の写真であり、左の写真は直径1マイクロメートルの粒子を示し、右の写真は直径10ナノメートルの粒子を示す。図7Cは、異なる形状の金属の成形された小片を示し、上記小片はその特有の設計の幾何構造に起因する磁気共鳴を示す。このような小片はメタマテリアルの原子を形成するが、それ自体で既にタグを形成することができる。図7Dは、金属小片のアレイから成るメタマテリアルを示す。
【0082】
アプリケーションは、生体臨床医学、健康状態の監視、イメージング、健康状態の監視装置、アルゴリズム、処置を含む。追加のアプリケーションは、例えば非破壊検査を含む。例えば、遠隔の場所における(磁気コーティングされた)オイルタンクの無線監視である。
【0083】
UWB周波数における時間領域内の任意の強磁性共鳴特性を用いることができる。特に興味深いものは、バイオセンサ及び健康状態へのアプリケーションのための強磁性ナノ粒子である。
【0084】
上述した実施形態は、下記の特徴のうちの幾つか又は全てを示す。検出システムは、UWB電磁放射のパルス列を送信するための送信機と、上記パルス列のエコーパルスを識別するための受信機であって、上記エコーパルス上に重畳されるシグネチャを識別するように適合化されている少なくとも1つの受信機とを備え、上記シグネチャは上記パルス列によって誘起される磁気共鳴を示す物質を示す。
【0085】
オプションとして、送信されるUWB電磁放射のパルスは、少なくとも20%の比帯域幅及び500MHz及び20GHzの間の中心周波数を有する。オプションとして、受信機は、物質のシグネチャを識別する相関器回路を含む。オプションとして、受信機は、パルス形状の変化、時間遅れ、偏波の変化及びパルスの周波数スペクトルのうちの任意の1つ又はそれ以上を決定することによってシグネチャを識別するように設けられる。
【0086】
オプションとして、磁気共鳴物質は、フェリ磁性体、強磁性体、反強磁性体、超常磁性体及び送信されるパルスの比帯域幅内で磁気共鳴を示すメタマテリアルのうちの何れかから選択される。オプションとして、上記物質は図示された通りに成形される。オプションとして、受信機は、到達時間を決定することによって磁気共鳴物質の受信機への距離を決定するように構成される。検出システムは、到達時間及び/又は到来角によって磁気共鳴物質の位置を決定するように適合化された少なくとも2つの受信機を有することが可能である。
【0087】
検出システムは、到達時間差を決定することによって2つの磁気共鳴物質の相対的な位置を決定するように設けられることが可能である。磁気共鳴物質は、電子識別タグの一部であってもよい。上記物質は、0.3T未満の磁界に設けられてもよい。送信されるUWB電磁放射のパルスは、20%から200%までの比帯域幅を有してもよく、好適には、帯域幅は、1〜20%から25%まで、又は200%までである可能性のある共振タグの比帯域幅より大きいものであるべきである。別の態様は、UWB電磁放射のパルス列のエコーを受信するための受信機であり、当該受信機は、上記パルス列からエコーパルスを識別する識別器又は相関器回路であって、上記エコーパルス上に重畳されるシグネチャを識別するように適合化された識別器又は相関器回路を備え、上記シグネチャは、上記パルス列によって誘起される磁気共鳴を示す物質からの反射を示す。
【0088】
別の態様は、UWB電磁放射のパルスによる照射に対する磁気共鳴応答を有する物質を検出するための受信機であり、当該受信機は、パルスが物質と相互に作用した後にパルスを検出するための検出器と、検出されたパルスにおいて物質の磁気共鳴応答を識別するように設けられた識別器とを有する。オプションとして、受信機は、検出されたパルスの伝搬時間を決定することによる物質からの距離、動きの解析又は位置トラッキングのための物質の連続的な位置、物質の方位のうちの任意の1つ又はそれ以上を決定するように設けられた信号プロセッサを有する。
【0089】
オプションとして、受信機は複数の受信アンテナを有し、空間相関を実行して2次元又は3次元の位置決めを決定するように設けられる。
【0090】
識別器は、活性物質からの又は異なる応答を有する複数の物質からの異なる磁気共鳴応答を区別するように設けられることが可能である。受信機は、パルスの走査から又は物質を介する受信機の走査から画像を生成するように設けられたプロセッサを有してもよい。本システムは、送信機と上述した受信機とを有してもよい。本システムは、物質を異なる角度から照射するための複数のアンテナを有してもよく、上記受信機は、異なる角度からのパルスを区別するように設けられる。本システムは、ビームを送信し物質を介してこのビームを走査するように設けられてもよく、上記受信機は、上記ビームの走査に従って物質の位置を決定するように設けられる。
【0091】
本システムは、共鳴を励起するためと励起された共鳴を探索するためのパルスとを別々に送信するように設けられてもよく、受信機は、励起のためのパルスと探索のためのパルスとを区別するように設けられる。本システムは、人体内又は動物の身体内の部分を走査するように構成されてもよい。
【0092】
別の態様は、磁気共鳴応答を有する物質を有するタグでタグ付けされたアイテムを走査する方法を提供し、本方法は、アイテムをUWB電磁放射のパルスで照射するステップと、パルスが物質と相互に作用した後にパルスを検出するステップと、検出されたパルスにおいて物質の磁気共鳴応答を識別するステップとを有する。オプションとして、上記タグは能動タグであり、上記方法は、パルスを用いてタグを起動するステップを有する。
【0093】
オプションとして、上記アイテムは人体又は他の動物の身体である。
【0094】
別の態様は、アイテム内のタグを起動する方法を提供し、タグは磁気共鳴応答を有する物質を有し、本方法はタグの磁気共鳴応答がタグを起動するように、アイテムをUWB電磁放射のパルスで照射するステップを有する。上記起動は、局所化された加熱であっても、例えば他の手段によって検出されるのに十分な磁気共鳴であってもよい。別の態様は、上記システム、受信機又は添付された任意の請求項によって用いられるタグを提供し、本タグは、異なるタグが当該タグのシグネチャによって識別されかつ区別されることが可能であるように、UWB放射パルスによる照射に対する識別可能な磁気共鳴シグネチャ応答を提供するように設けられた物質であって磁気共鳴応答を有する物質を有する。
【0095】
請求項の範囲内での他の変形が想定されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
UWB電磁放射のパルス列を送信するための送信機(30、50)と、
上記パルス列のエコーパルスを識別するための受信機であって、上記エコーパルス上に重畳されるシグネチャを識別するように適合化されている少なくとも1つの受信機(40、45、50、55)とを備えた検出システムであって、
上記シグネチャは上記パルス列によって誘起される磁気共鳴を示す物質を示す検出システム。
【請求項2】
上記送信されるUWB電磁放射のパルスは、少なくとも20%の比帯域幅及び500MHz及び20GHzの間の中心周波数を有する請求項1記載の検出システム。
【請求項3】
上記受信機は、上記物質のシグネチャを識別する相関器回路を含む請求項1記載の検出システム。
【請求項4】
上記受信機は、パルス形状の変化、時間遅れ、偏波の変化及び上記パルスの周波数スペクトルのうちの任意の1つ又はそれ以上を決定することによって上記シグネチャを識別するように設けられた先行する任意の請求項記載の検出システム。
【請求項5】
上記磁気共鳴物質は、フェリ磁性体、強磁性体、反強磁性体、超常磁性体及び上記送信されるパルスの比帯域幅内で磁気共鳴を示すメタマテリアルのうちの何れかから選択された先行する任意の請求項記載の検出システム。
【請求項6】
上記磁気共鳴物質の形状は、球、楕円又は楕円体、細長いワイヤ、円形又は正方形の閉リング、スプリットリング又は非閉リング、複数のスプリットを有するリング、2つ以上の同心リングのうちの何れかである請求項5記載の検出システム。
【請求項7】
上記磁気共鳴物質は、周期的又はランダムな順序で配列されたN個の形状の集合から成る請求項6記載の検出システム。
【請求項8】
上記受信機は、到達時間を決定することによって上記磁気共鳴物質の上記受信機への距離を決定するように設けられた先行する任意の請求項記載の検出システム。
【請求項9】
少なくとも2つの受信機を有し、当該受信機は到達時間及び/又は到来角によって上記磁気共鳴物質の位置を決定するように適合化された先行する任意の請求項記載の検出システム。
【請求項10】
到達時間差を決定することによって2つの磁気共鳴物質の相対的な位置を決定するように設けられた先行する任意の請求項記載の検出システム。
【請求項11】
上記磁気共鳴物質は電子識別タグの一部である先行する任意の請求項記載の検出システム。
【請求項12】
使用に際して、上記物質は0.3T未満の磁界に設けられる先行する任意の請求項記載の検出システム。
【請求項13】
上記送信されるUWB電磁放射のパルスは、20%から200%までの比帯域幅を有する先行する任意の請求項記載の検出システム。
【請求項14】
UWB電磁放射のパルス列のエコーを受信するための受信機であって、
エコーパルス上に重畳されるシグネチャを識別するための手段を備え、
上記シグネチャは上記パルス列によって誘起される磁気共鳴を示す物質からの反射を示す受信機。
【請求項15】
上記識別するための手段は、上記パルス列からエコーパルスを識別するための相関器回路である請求項14記載の受信機。
【請求項16】
UWB電磁放射のパルスによる照射に対するシグネチャ磁気共鳴応答を有する物質を検出するための受信機であって、
上記パルスが上記物質と相互に作用した後に上記パルスを検出するための検出器(40、45)と、
上記検出されたパルスにおいて上記物質の上記シグネチャを識別するように設けられた識別器(55)とを有する受信機。
【請求項17】
上記検出されたパルスの伝搬時間を決定することによる上記物質からの距離、動きの解析又は位置トラッキングのための上記物質の連続的な位置、上記物質の方位のうちの任意の1つ又はそれ以上を決定するように設けられた信号プロセッサ(55)を有する請求項16記載の受信機。
【請求項18】
複数の受信アンテナ(70、80)を有し、
空間相関を実行して2次元又は3次元の位置決めを決定するように設けられた請求項16又は17記載の受信機。
【請求項19】
上記識別器は、1つの活性物質からの又は異なるシグネチャを有する複数の物質からの異なるシグネチャを区別するように設けられた請求項16乃至18のうちの任意の請求項記載の受信機。
【請求項20】
上記パルスの走査から又は上記物質を介する受信機の走査から画像を生成するように設けられたプロセッサ(55)を有する請求項16乃至19のうちの任意の請求項記載の受信機。
【請求項21】
送信機と請求項16乃至20のうちの任意の請求項記載の受信機とを有するシステム。
【請求項22】
上記物質を異なる角度から照射するための複数のアンテナを有し、
上記受信機は異なる角度からの上記パルスを区別するように設けられた請求項21記載のシステム。
【請求項23】
ビームを送信し上記物質を介して上記ビームを走査するように設けられ、
上記受信機は上記ビームの走査に従って上記物質の位置を決定するように設けられた請求項22記載のシステム。
【請求項24】
共鳴を励起するためのパルスと上記励起された共鳴を探索するためのパルスとを別々に送信するように設けられ、
上記受信機は上記励起のためのパルスと上記探索のためのパルスとを区別するように設けられた請求項22又は23記載のシステム。
【請求項25】
人体内又は動物の身体内の部分を走査するように構成された請求項22、23又は24のうちの何れかに記載されたシステム。
【請求項26】
シグネチャ磁気共鳴応答を有する物質を有するタグでタグ付けされたアイテムを走査する方法であって、
上記アイテムをUWB電磁放射のパルスで照射するステップと、
上記パルスが上記物質と相互に作用した後に上記パルスを検出するステップと、
上記検出されたパルスにおいて上記物質のシグネチャを識別するステップとを有する方法。
【請求項27】
上記タグは能動タグであり、
上記方法は、上記パルスを用いてタグを起動するステップを有する請求項26記載の方法。
【請求項28】
上記アイテムは人体又は他の動物の身体である請求項26又は27記載の方法。
【請求項29】
アイテム内のタグを起動する方法であって、
上記タグはシグネチャ磁気共鳴応答を有する物質を有し、
上記方法は、上記タグのシグネチャが上記タグを起動するように、上記アイテムをUWB電磁放射のパルスで照射するステップを有する方法。
【請求項30】
上記タグは、UWB電磁放射による上記タグの照射によって引き起こされる上記タグの磁気共鳴加熱によって熱的に起動される請求項29記載の方法。
【請求項31】
先行する任意の請求項記載のシステム、受信機又は方法によって用いられるためのタグであって、
異なるタグが当該タグのシグネチャによって識別されかつ区別されることが可能であるように、UWB放射パルスによる照射に対する識別可能なシグネチャ応答を提供するように設けられた物質であってシグネチャ磁気共鳴応答を有する物質を有するタグ。
【請求項32】
先行する任意の請求項記載のシステム、受信機又は方法によって用いられるためのタグであって、
無線センサとして動作するように、UWB放射のパルスによって探索されているセンサ値を表す何れかのパラメータに関連する共鳴周波数を提供するように設けられた物質であってシグネチャ磁気共鳴応答を有する物質を有するタグ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公表番号】特表2009−537259(P2009−537259A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511307(P2009−511307)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【国際出願番号】PCT/BE2007/000049
【国際公開番号】WO2007/134410
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】