説明

VB−201を用いた併用治療法

酸化脂質VB-201と、さらなる治療上活性のある薬剤との同時投与を用いた治療方法が本明細書において説明される。VB-201およびスタチンを、スタチンに十分に応答しない対象に同時投与する工程を含む、心血管疾患を治療する方法、ならびにVB-201および酢酸グラチラマーの同時投与を含む、炎症性疾患または炎症性障害を治療する方法が本明細書において説明される。酢酸グラチラマーとの併用のために特定された、VB-201を含む薬学的組成物も本明細書において説明される。対象におけるVB-201の治療的有効量を決定する方法、およびさらなる治療上活性のある薬剤と同時投与するためのVB-201の治療的有効量を決定する方法も説明される。新規のVB-201単位剤形およびそれを使用する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その一部の態様において薬理学の分野に関し、具体的には、酸化型リン脂質VB-201の新規の投与量、治療レジメン、および治療的使用に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
酸化型リン脂質は、例えば、心血管疾患、脳血管疾患、ならびに炎症性疾患および炎症性障害などの医学的状態の治療において有用であると以前に述べられている。
【0003】
本譲受人による国際特許出願番号PCT/IL2004/000453(国際公開公報第04/106486号)(特許文献1)は、内因性酸化脂質に関連した炎症を予防および治療するための酸化脂質について述べている。このような例示的な化合物は、CI-201(1-ヘキサデシル-2-(4'-カルボキシブチル)-グリセロール-3-ホスホコリン;当技術分野ではVB-201とも呼ばれる)として述べられ、公知である。
【0004】
本譲受人による国際特許出願番号PCT/IL01/01080(国際公開公報第02/41827号)(特許文献2)は、アテローム性動脈硬化症および関連疾患を予防および治療するための酸化脂質について述べている。
【0005】
国際特許出願番号PCT/IL2004/000453(特許文献1)およびPCT/IL01/01080(特許文献2)は、酸化脂質とスタチンの同時投与について述べている。
【0006】
スタチンは当技術分野においてHMG-CoA還元酵素阻害剤とも知られ、コレステロール産生において重要な役割を果たしている酵素HMG-CoA還元酵素を阻害することによってコレステロールレベルを低下するのに用いられる薬物の一種である。心血管疾患を治療するために、ならびに高いコレステロールレベル、糖尿病、および/または高血圧などの心血管疾患リスク因子を示す対象における心血管疾患の発症を予防するために、スタチンは広範囲に投与されている。スタチンを投与すると、主要な冠状動脈事象が27%〜37%低下する(対プラセボ)[Lancet 2002, 350:7-22(非特許文献1); Lancet 1995, 333:1301-1307(非特許文献2); Lancet 1994, 344:1383-1389(非特許文献3); Lancet 2003, 361:1149-1157(非特許文献4); Lancet 2004, 364:685-696(非特許文献5)]。
【0007】
スタチンは、多くの有害な副作用、主に、肝臓酵素の高い血中濃度および中程度の筋肉問題(例えば、筋肉痛、筋痙攣)だけでなく、胃腸問題、多発ニューロパチー、ならびに比較的重篤な筋肉問題、例えば、筋炎、ミオパチー、および(急性腎不全につながる可能性のある)横紋筋融解症と関連している。さらに、体内のスタチンレベルは、グレープフルーツを摂取することによって上昇する。スタチンの毒性を考えると、スタチン治療を受けている対象はグレープフルーツを摂取しないように指導される。
【0008】
スタチンは、別の種類の脂質低下薬であるフィブラートと組み合わせて投与されてきた。しかしながら、このような併用治療は、横紋筋融解症を含む筋肉問題のかなり高いリスクと関連している。
【0009】
酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標)として販売されている)は、グルタミン酸、リジン、アラニン、およびチロシンからなる免疫調節性ランダムポリマーであり、多発性硬化症の治療に用いられる。酢酸グラチラマーはまた、大腸炎および大脳マラリアなどの炎症状態の実験モデルにおいても有効であり、ドライ型加齢黄斑変性治療の臨床試験を受けている。
【0010】
さらなる背景技術には、国際特許出願番号PCT/IL05/000735(国際公開公報第06/006161号)(特許文献3)、PCT/IL02/00005(国際公開公報第02/053092号)(特許文献4)、およびPCT/IL08/000013(国際公開公報第08/084472号)(特許文献5)が含まれ、これらも全て本譲受人によるものである。
【0011】
前記で引用された刊行物は全て、本明細書において十分に示されるように参照により組み入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際特許出願番号PCT/IL2004/000453(国際公開公報第04/106486号)
【特許文献2】国際特許出願番号PCT/IL01/01080(国際公開公報第02/41827号)
【特許文献3】国際特許出願番号PCT/IL05/000735(国際公開公報第06/006161号)
【特許文献4】国際特許出願番号PCT/IL02/00005(国際公開公報第02/053092号)
【特許文献5】国際特許出願番号PCT/IL08/000013(国際公開公報第08/084472号)
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Lancet 2002, 350:7-22
【非特許文献2】Lancet 1995, 333:1301-1307
【非特許文献3】Lancet 1994, 344:1383-1389
【非特許文献4】Lancet 2003, 361:1149-1157
【非特許文献5】Lancet 2004, 364:685-696
【発明の概要】
【0014】
本発明の一部の態様の一局面によれば、心血管疾患を治療する必要のある対象において心血管疾患を治療する方法が提供される。前記方法は、以下の工程:
a)治療的有効量のスタチンを対象に投与する工程;
b)治療的有効量のスタチンに対する対象の応答性を決定する工程であって、それによって、対象が治療的有効量に対して十分に応答しないかどうか決定する、工程;および
c)対象が治療的有効量に対して十分に応答しないと決定されたら、治療的有効量のVB-201を対象に投与する工程を含み、それによって、心血管疾患を治療する。
【0015】
本発明の一部の態様の一局面によれば、対象において投与するためのVB-201の治療的有効量を決定する方法が提供される。前記方法は、以下の工程:
a)ある投与量のVB-201を対象に投与する工程;
b)前記投与量のVB-201に対する対象の応答性を決定する工程であって、それによって、対象が前記投与量のVB-201に十分に応答しないかどうか決定する、工程;ならびに
c)対象が十分に応答するまで、および/または最大投与量に達するまで、対象に投与されるVB-201の投与量を段階的に増大させる工程を含み、それによって、対象において投与するためのVB-201の治療的有効量を決定する。
【0016】
本発明の一部の態様の一局面によれば、さらなる治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与するためのVB-201の治療的有効量を決定する方法が提供される。前記方法は、以下の工程:
a)治療的有効量のさらなる治療上活性のある薬剤を用いて治療されている対象に、異なる投与量のVB-201を投与する工程であって、対象は、治療的有効量の治療上活性のある薬剤に十分に応答しないと決定されており、対象の一部にはVB-201の代わりにプラセボが投与される工程;
b)治療的有効量の治療上活性のある薬剤と組み合わせた前記投与量のVB-201またはプラセボに対する対象の応答性をモニタリングする工程;および
c)治療的有効量の治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与された前記投与量のVB-201に対象が応答するようになる、少なくとも1つのVB-201投与量を特定する工程を含み、それによって、さらなる治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与するためのVB-201の治療的有効量を決定する。
【0017】
本発明の一部の態様の一局面によれば、炎症性疾患または炎症性障害を治療する方法が提供される。前記方法は、治療的有効量のVB-201および治療的有効量の酢酸グラチラマーを同時投与する工程であって、それによって、炎症性疾患または炎症性障害を治療する工程を含む。
【0018】
本発明の一部の態様の一局面によれば、炎症性疾患または炎症性障害の治療のための、VB-201を含む薬学的組成物であって、酢酸グラチラマーと併用するために、包装材料の中に入れられ、かつ包装材料の中に、または包装材料の上に特定されている薬学的組成物が提供される。
【0019】
本発明の一部の態様の一局面によれば、100mgを超えるVB-201および薬学的に許容される担体を含み、経口投与用に製剤化された、薬学的組成物単位剤形が提供される。
【0020】
本発明の一部の態様の一局面によれば、炎症性疾患または炎症性障害を治療または予防するための医用薬剤の単位剤形であって、100mgを超えるVB-201を含み、経口投与用に製剤化された、単位剤形の製造におけるVB-201の使用が提供される。
【0021】
本発明の一部の態様の一局面によれば、炎症性疾患または炎症性障害を治療または予防する方法が提供される。前記方法は、炎症性疾患または炎症性障害の治療または予防を必要とする対象に治療的有効量のVB-201を経口投与する工程であって、治療的有効量が100mg/日を超える工程を含む。
【0022】
本発明の一部の態様によれば、本明細書に記載の方法は、前記の治療的有効量より多い投与量のスタチンの有害作用に対して対象が脆弱であるかどうか決定する工程、および治療的有効量のVB-201を、治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象に投与する工程であって、治療的有効量より多い投与量のスタチンの有害作用に対して対象が脆弱である工程をさらに含む。
【0023】
本発明の一部の態様によれば、治療的有効量より多い投与量のスタチンの有害作用に対して対象が脆弱であるかどうか決定する工程は、治療的有効量より多い投与量のスタチンを対象に投与し、対象における有害作用を特定することによって行われ、前記方法は、対象に投与されるスタチンの投与量を前記の治療的有効量まで低減する工程をさらに含む。
【0024】
本発明の一部の態様によれば、治療的有効量より多い投与量のスタチンの有害作用に対して対象が脆弱であるかどうか決定する工程は、スタチンの最大許容投与量の50%〜100%の範囲にある治療的有効量のスタチンを投与することによって行われる。
【0025】
本発明の一部の態様によれば、有害作用は、高い肝臓酵素レベル、筋肉痛、筋痙攣、多発ニューロパチー、筋炎、ミオパチー、横紋筋融解症、および急性腎不全からなる群より選択される。
【0026】
本発明の一部の態様によれば、治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象は、治療的有効量のスタチンの投与後、1.1mg/L以上のhs-CRPレベルにより特徴付けられる。
【0027】
本発明の一部の態様によれば、治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象は、治療的有効量のスタチンの投与後、予め決められたカットオフレベルを上回る低密度リポタンパク質(LDL)レベルにより特徴付けられ、カットオフレベルは70〜190mg/dLの範囲にある、および/または治療的有効量のスタチンの投与前の対象における低密度リポタンパク質(LDL)レベルの50%〜65%の範囲にある。
【0028】
本発明の一部の態様によれば、予め決められたカットオフレベルは、高い心血管事象リスクにより特徴付けられる対象では70mg/dLである。
【0029】
本発明の一部の態様によれば、対象は糖尿病により特徴付けられ、予め決められたカットオフレベルは70〜80mg/dLの範囲にある、および/または治療的有効量のスタチンの投与前の対象における低密度リポタンパク質(LDL)レベルの65%である。
【0030】
本発明の一部の態様によれば、予め決められたカットオフレベルは、血管事象の既往および/または証明された心血管疾患により特徴付けられる対象では100mg/dLである
【0031】
本発明の一部の態様によれば、予め決められたカットオフレベルは、少なくとも2つの心血管疾患リスク因子により特徴付けられる対象では100〜130mg/dLの範囲にある。
【0032】
本発明の一部の態様によれば、予め決められたカットオフレベルは、2つより少ない心血管疾患リスク因子により特徴付けられる対象では130〜190mg/dLの範囲にある。
【0033】
本発明の一部の態様によれば、カットオフレベルは、治療的有効量のスタチン投与前の対象における低密度リポタンパク質(LDL)レベルの50%である。
【0034】
本発明の一部の態様によれば、治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象は、治療的有効量のスタチンの投与後、少なくとも200mg/dLのLp-PLA2レベルにより特徴付けられる。
【0035】
本発明の一部の態様によれば、治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象は、治療的有効量のスタチンの投与後、少なくとも125mg/dLのアポリポタンパク質B100レベルにより特徴付けられる。
【0036】
本発明の一部の態様によれば、治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象は、治療的有効量のスタチンの投与後、100mg/dL未満のアポリポタンパク質Aレベルにより特徴付けられる。
【0037】
本発明の一部の態様によれば、治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象は、治療的有効量のスタチンの投与後、少なくとも150mg/dLの血中トリグリセリドレベルにより特徴付けられる。
【0038】
本発明の一部の態様によれば、治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象は、治療的有効量のスタチンの投与後、少なくとも30mg/dLのリポタンパク質(a)レベルにより特徴付けられる。
【0039】
本発明の一部の態様によれば、治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象は、治療的有効量のスタチンの投与後、男性対象の場合は45mg/dL未満の高密度リポタンパク質(HDL)レベル、または女性対象の場合は55mg/dL未満の高密度リポタンパク質(HDL)レベルにより特徴付けられる。
【0040】
本発明の一部の態様によれば、治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象は、治療的有効量のスタチンの投与後、心血管疾患の進行により特徴付けられる。
【0041】
本発明の一部の態様によれば、本明細書に記載の方法は、ある投与量のVB-201が投与された対象において起こる有害作用をモニタリングする工程であって、最大投与量が対象の最高耐性投与量である工程をさらに含む。
【0042】
本発明の一部の態様によれば、最大投与量は、それに対する対象の応答性が、さらに高い投与量に対する対象の応答性と少なくとも同程度である投与量である
【0043】
本発明の一部の態様によれば、本明細書に記載の方法は、ある投与量のVB-201が投与された対象において起こる有害作用をモニタリングする工程であって、最大投与量が対象の最高耐性投与量である、かつ/または、それに対する対象の応答性が、さらに高い投与量に対する対象の応答性と少なくとも同程度である投与量である、工程をさらに含む。
【0044】
本発明の一部の態様によれば、前記投与量に対する対象の応答性を決定する工程は、炎症バイオマーカーの存在および/またはレベルを決定する工程を含む。
【0045】
本発明の一部の態様によれば、炎症バイオマーカーは高いhs-CRPレベルである。
【0046】
本発明の一部の態様によれば、高いhs-CRPレベルは1.1mg/L以上である。
【0047】
本発明の一部の態様によれば、投与量を段階的に増大させる工程は、投与量を25%〜300%増加させる工程を含む。
【0048】
本発明の一部の態様によれば、対象において投与するためのVB-201の治療的有効量は、炎症性疾患または炎症性障害を治療するための治療的有効量であり、応答性は疾患または障害の症状を緩和することを含む。
【0049】
本発明の一部の態様によれば、対象において投与するためのVB-201の治療的有効量は、心血管疾患または心血管障害を治療するための治療的有効量であり、応答性は疾患または障害の症状を緩和することを含む。
【0050】
本発明の一部の態様によれば、前記投与量のVB-201は、さらなる治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与され、対象において投与するためのVB-201の治療的有効量は、さらなる治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与するための治療的有効量である。
【0051】
本発明の一部の態様によれば、本明細書に記載の方法は、治療的有効量の治療上活性のある薬剤と共に前記投与量のVB-201が投与された対象において起こる有害作用をモニタリングする工程であって、治療的有効量の治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与された前記投与量のVB-201が対象において有害作用を増加しないような、対象が応答性を示す少なくとも1つのVB-201投与量が選択される工程をさらに含む。
【0052】
本発明の一部の態様によれば、治療上活性のある薬剤の治療的有効量は、治療上活性のある薬剤の最大許容投与量の少なくとも25%である。
【0053】
本発明の一部の態様によれば、最大許容投与量は、FDA最大推奨投与量および欧州医薬品庁最大推奨投与量からなる群より選択される。
【0054】
本発明の一部の態様によれば、さらなる治療上活性のある薬剤は、心血管疾患を治療するための薬剤である。
【0055】
本発明の一部の態様によれば、さらなる治療上活性のある薬剤はスタチンである。
【0056】
本発明の一部の態様によれば、スタチンは、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチンからなる群より選択される。
【0057】
本発明の一部の態様によれば、スタチンは、アトルバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチンからなる群より選択される。
【0058】
本発明の一部の態様によれば、前記治療的有効量の治療上活性のある薬剤に対する対象の応答性および前記投与量のVB-201と治療的有効量の治療上活性のある薬剤の組み合わせに対する対象の応答性が、炎症バイオマーカーレベルの低減によって特徴付けられる。
【0059】
本発明の一部の態様によれば、応答性は、1.1mg/L未満のhs-CRPレベルによって特徴付けられる。
【0060】
本発明の一部の態様によれば、前記治療的有効量の治療上活性のある薬剤に対する対象の応答性および前記投与量のVB-201と治療的有効量の治療上活性のある薬剤の組み合わせに対する対象の応答性が、心血管疾患の進行が無いことによって特徴付けられる。
【0061】
本発明の一部の態様によれば、VB-201の投与量は1μg/日〜1グラム/日の範囲にある。
【0062】
本発明の一部の態様によれば、VB-201の治療的有効量は1μg/日〜1グラム/日の範囲にある。
【0063】
本発明の一部の態様によれば、酢酸グラチラマーの治療的有効量は2〜200mg/日の範囲にある。
【0064】
本発明の一部の態様によれば、本明細書に記載の単位剤形は101mg〜1グラムのVB-201を含む。
【0065】
本発明の一部の態様によれば、単位剤形は約120mgのVB-201を含む。
【0066】
本発明の一部の態様によれば、単位剤形は約160mgのVB-201を含む。
【0067】
本発明の一部の態様によれば、単位剤形は約240mgのVB-201を含む。
【0068】
本発明の一部の態様によれば、本明細書に記載の薬学的組成物単位剤形は、炎症性疾患または炎症性障害の治療または予防における使用のために、包装材料の中に入れられ、かつ包装材料の中または上で印刷により特定される。
【0069】
本発明の一部の態様によれば、本明細書に記載のVB-201の治療的有効量は101mg〜1グラム/日である。
【0070】
本発明の一部の態様によれば、本明細書に記載のVB-201の治療的有効量は約120mg/日である。
【0071】
本発明の一部の態様によれば、本明細書に記載のVB-201の治療的有効量は約240mg/日である。
【0072】
本発明の一部の態様によれば、VB-201を投与する工程は1日に少なくとも2回行われる。
【0073】
本発明の一部の態様によれば、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の薬学的組成物単位剤形の単位を投与する工程を含む。
【0074】
本発明の一部の態様によれば、炎症性疾患または炎症性障害は内因性酸化脂質と関連する。
【0075】
本発明の一部の態様によれば、炎症性疾患または炎症性障害は、特発性炎症性疾患または特発性炎症性障害、慢性炎症性疾患または慢性炎症性障害、急性炎症性疾患または急性炎症性障害、自己免疫疾患または自己免疫障害、感染性疾患または感染性障害、炎症性悪性疾患または炎症性悪性障害、炎症性移植関連疾患または炎症性移植関連障害、炎症性変性疾患または炎症性変性障害、過敏症に関連した疾患または障害、炎症性心血管疾患または炎症性心血管障害、炎症性脳血管疾患または炎症性脳血管障害、末梢血管疾患または末梢血管障害、炎症性腺疾患または炎症性腺障害、炎症性胃腸疾患または炎症性胃腸障害、炎症性皮膚疾患または炎症性皮膚障害、炎症性肝臓疾患または炎症性肝臓障害、炎症性神経学的疾患または炎症性神経学的障害、炎症性筋骨格疾患または炎症性筋骨格障害、炎症性腎臓疾患または炎症性腎臓障害、炎症性生殖疾患または炎症性生殖障害、炎症性全身疾患または炎症性全身障害、炎症性結合組織疾患または炎症性結合組織障害、炎症性腫瘍、壊死、炎症性移植片関連疾患または炎症性移植片関連障害、炎症性加齢プロセス、免疫不全疾患または免疫不全障害、増殖性疾患または増殖性障害、および炎症性肺疾患または炎症性肺障害からなる群より選択される。
【0076】
特に定めのない限り、本明細書において使用する全ての技術用語および/または科学用語は、本発明が属する当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様のまたは等価な方法および材料を本発明の態様の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料を以下で説明する。コンフリクトの場合、定義を含む本明細書は管理を譲渡する。さらに、材料、方法、および実施例は例示にしかすぎず、必ず限定することを目的としない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
特許書類または出願書類には少なくとも1枚のカラー図面が含まれる。この特許刊行物または特許出願刊行物とカラー図面のコピーは、請求により、かつ必要な料金を払うことによって特許庁により提供されるだろう。
【0078】
本発明の一部の態様は、添付の図面と関連して本明細書において単に例として説明される。今から特に図面を詳しく見て、示された細かい部分は例であり、本発明の態様を例示的に議論することを目的とすることが強調される。この点に関して、図面と一緒に説明を見ると、本発明の態様がどのように実施され得るのかが当業者に明らかになる。
【0079】
【図1】高コレステロール飼料を与えたウサギの大動脈病変面積に対する、2.5mg/kgアトルバスタチン単独ならびに2.5mg/kgアトルバスタチンおよび4mg/kg VB-201の組み合わせの効果を示したグラフである。
【図2】デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)による大腸炎誘導後の時間の関数としての、0.04mg/kg、0.4mg/kg、もしくは4mg/kg VB-201、マウス1匹当たり2mgの酢酸グラチラマー、またはPBS(0.5%エタノールを含む)を用いて治療されたマウスの生存率を示したグラフである。DSSを与えずに、PBSを用いて治療されたマウスまたは治療をしなかったマウス(なし)の生存率を対照として示した。
【図3】DSSによる大腸炎誘導後の時間の関数としての、0.04mg/kg、0.4mg/kg、もしくは4mg/kg VB-201、マウス1匹当たり2mgの酢酸グラチラマー、またはPBS(0.5%エタノールを含む)を用いて治療されたマウスの疾患活動指数(DAI)を示したグラフである。DSSを与えずに、PBSを用いて治療されたマウスまたは治療をしなかったマウス(なし)のDAIを対照として示した(実験期間を疾患の急性期および慢性期に分けた)。
【図4】DSSによる大腸炎を誘導して39日後の、0.04mg/kg、0.4mg/kg、もしくは4mg/kg VB-201、マウス1匹当たり2mgの酢酸グラチラマー、またはPBS(0.5%エタノールを含む)を用いて治療されたマウスの大腸長を示したグラフである。DSSを与えずに、PBSを用いて治療されたマウスまたは治療をしなかったマウス(健康)の大腸長を対照として示した(DSSを与えたマウスにおけるPBS治療と比較して、0.04mg/kg VB-201の場合、p=0.058)。
【図5】DSSによる大腸炎を誘導して39日後の、0.04mg/kg、0.4mg/kg、もしくは4mg/kg VB-201、マウス1匹当たり2mgの酢酸グラチラマーまたはPBS(0.5%エタノールを含む)を用いて治療されたマウスの大腸重量/大腸長比を示したグラフである。DSSを与えずに、PBSを用いて治療されたマウス、または治療をしなかったマウス(健康)の大腸重量/大腸長比を対照として示した(DSSおよびPBSを与えたマウスと比較したp値を示した)。
【図6】DSSによる大腸炎を誘導して39日後の、0.4mg/kg VB-201および/もしくはマウス1匹当たり2mgの酢酸グラチラマーまたはPBS(0.5%エタノールを含む)を用いて治療されたマウスの大腸長を示したグラフである。DSSを与えずに、PBSを用いて治療されたマウスまたは治療をしなかったマウス(健康)の大腸長を対照として示した(DSSおよびPBSを与えたマウスと比較したp値を示した)。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明の特定の態様の説明
本発明は、その一部の態様において薬理学の分野に関し、具体的には、酸化型リン脂質VB-201の新規の投与量、治療レジメン、および治療的使用に関するが、これに限定されない。
【0081】
本発明の原理および施行は、図面および添付の説明を参照してさらによく理解され得る。
【0082】
本発明の少なくとも1つの態様を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に示された、または実施例によって例示された細部に限定されないことが理解されるはずである。本発明は他の態様が可能である、または様々なやり方で実施もしくは実行することができる。また、本明細書において用いられる語句および用語は説明のためであり、限定するものとみなしてはならないことが理解されるはずである。
【0083】
VB-201(本明細書および当技術分野においてCI-201とも呼ばれる)は、炎症状態の様々なインビトロモデルおよびインビボ動物モデルにおいて治療上活性のある薬剤としてかなりの有望さを示した。
【0084】
炎症性疾患および炎症性障害の治療を改善する試みの中で、本発明者らは、インビボモデルにおいてさらなる抗炎症剤と組み合わせて投与された時のVB-201の効果および作用機構を詳細に研究した。これらのアッセイのプロトコールは、下記の実施例の項において詳細に説明される。実施された研究において得られたデータに基づいて、本発明者らは、改善された治療レジメンおよび方法を開発した。
【0085】
ここで図面および表を見ると、表1から、アトルバスタチンはコレステロールレベルを低減するのに対して、VB-201は、アトルバスタチンの治療効果とは対照的にコレステロールレベルに対して効果がないことが分かる。図1から、VB-201はコレステロールレベルをはっきりと低減しなかったが、VB-201は、驚いたことにかつ相乗的に、スタチンが病変成長を阻害する能力を増強することが分かる。表2から、アトルバスタチンは肝臓酵素SGPTおよびアルカリホスファターゼのレベルを増やすのに対して、VB-201は肝臓酵素レベルを増やさず、それどころか、アトルバスタチンによって誘導されるアルカリホスファターゼレベルの増加を弱める可能性があることが分かる。
【0086】
図2および図3から、マウス大腸炎モデルにおいて酢酸グラチラマーは投与開始直後に特に有効であったのに対して、VB-201は長期間、特に有効であったことが分かる。これらの結果から、酢酸グラチラマーおよびVB-201は、互いを相乗的に補うことができる異なる治療効果を有することが分かる。
【0087】
図4および図5から、VB-201および酢酸グラチラマーはそれぞれマウス大腸炎モデルにおいて炎症作用を部分的に逆転することが分かる。図6から、VB-201および酢酸グラチラマーの同時投与は、VB-201単独投与および酢酸グラチラマー単独投与の効果の合計より大きな程度まで炎症作用を逆転することが分かる。図4および図5から、投与された用量のVB-201の治療効果は用量依存性でなく、従って、さらに高い用量を投与することによって増強できないことがさらに分かる。このことは、VB-201および酢酸グラチラマーの同時投与を用いて観察された高い治療効果が単なる相加効果ではないことをさらに裏付けている。
【0088】
従って、本明細書において示された結果から、VB-201は、驚くべきことにかつ相乗的に、スタチンおよび他の脂質低下薬(例えば、下記でさらに詳述されるような、フィブラート、ナイアシン、胆汁酸捕捉剤(sequesterant)、エズチミベ(eztimibe)、植物ステロール、オルリスタット、CETP阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、およびコレステロールレベルを下げるための他の薬物)の治療効果を有利に増強できるが、それに付随する有害な副作用を増強せず、驚くべきことに、スタチンおよび/または他の脂質低下薬によって引き起こされる有害な副作用さえ低減できることが証明される。従って、VB-201には、有効な治療(例えば、心血管疾患の有効な治療)のために必要とされるスタチン投与量の効力を高め、かつスタチン投与量を節約する効果(すなわち、必要な投与量を低減する効果)がある。これらの知見に基づいて、本発明者らは、スタチン投与の状況におけるVB-201の節約効果(VB-201のスタチン節約効果)および/または他の脂質低下薬の投与の状況におけるVB-201の節約効果を利用した、改善されたレジメンを考案した。
【0089】
従って、本発明の態様の一局面によれば、心血管疾患を治療する方法が提供される。前記方法は、治療的有効量のスタチンを、心血管疾患の治療を必要とする対象に投与する工程、治療的有効量のスタチンに対する対象の応答性を決定する工程であって、それによって、対象が治療的有効量に十分に応答しないかどうか決定する工程、ならびに対象が治療的有効量のスタチンに十分に応答しなければ、治療的有効量のVB-201を対象に投与する工程を含む。
【0090】
対象には、医師の指示に基づいてスタチンが投与されてもよい。投与は、高い血漿LDLコレステロールレベルおよび/もしくはトリグリセリドレベル、低いHDLコレステロールレベル、高血圧、ならびに/または心血管疾患の家族歴などの様々な要因の任意の組み合わせに基づいてもよい。
【0091】
本明細書において「治療的有効量」という句は、例えば、臨床研究および医療行為に基づいて、このような投与量が与えられた対象の少なくとも一部において活性成分の治療効果、例えば、(例えば、活性成分がスタチンの場合)コレステロールレベルの低減をもたらすと当業者(例えば、医師)によって予想された活性成分(例えば、スタチン)の投与量を示す。
【0092】
治療的有効量は、この用語が本明細書において用いられた時に、必ずしも、十分な応答をもたらすと予想されるとは限らないことが理解されるはずである。さらに、異なる対象は治療剤に対して異なって応答することが多いので、一般的に用いられる治療的有効量は、一部の対象では、いかなる治療効果ももたらさないことがあると理解されるはずである。
【0093】
任意で、前記方法は、対象が十分に応答するかどうか決定するために、投与された量のスタチンに対する対象の応答を評価する工程を含む。
【0094】
応答の評価は、心血管疾患を評価するための(例えば、疾患の存在および/もしくは進行の評価するための)、ならびに/またはスタチン活性(治療的スタチン活性および非治療的スタチン活性を含む)を評価するための任意の医学的評価(例えば、理学的検査、生化学検査)を含んでもよい。
【0095】
本明細書において「応答する」という用語は、スタチン投与に応答した対象における治療上有益な効果を指す。応答によって、スタチン投与によって得ることができると当技術分野において公知の望ましい効果が実現すれば、対象は「十分に応答する」とみなされる。十分に応答しない対象は、実質的な応答が観察されなかった(例えば、スタチン投与に治療効果がなかった)対象、または応答が観察されたが、望ましい効果が実現しなかった(例えば、治療効果が小さすぎた)対象でもよい。
【0096】
一部の態様において、応答性の評価は血液検査を含む。スタチン投与に対する応答性を決定するのに用いられ得る生化学マーカーの例には、hs-CRPレベル、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールレベル、Lp-PLA2(リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2)レベル、アポリポタンパク質B100(APOB100)レベル、アポリポタンパク質A(APOA)レベル、トリグリセリドレベル、リポタンパク質(a)レベル、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベル、および総コレステロールレベルが含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0097】
「hs-CRP」という用語は、当技術分野において周知の、C反応性タンパク質(CRP)の高感度アッセイを指す。このアッセイは、感度が高いために低い血中濃度およびCRPレベルのわずかな差を検出できるので、対象におけるCRPレベルを決定するのに好ましい方法である。「hs-CRPレベル」という句は、本明細書において、hs-CRPアッセイまたは当業者によって用いられる任意の等価な技法によって決定されたCRPレベルを指す。
【0098】
一部の態様において、対象は、コレステロールが低減していない時に、例えば、(例えば、本明細書に記載のように)総コレステロールおよび/またはLDLの測定によって決定されるようにコレステロールが低減していない時に十分に応答しないとみなされる。
【0099】
一部の態様において、対象は、(本明細書に記載のように)コレステロールが低減しているが、hs-CRPレベルが低減していない時に十分に応答しないとみなされる。
【0100】
一部の態様において、対象は、(例えば、本明細書に記載のように)コレステロールおよびhs-CRPレベルが低減しているが、対象が心血管疾患進行の徴候を示す時に十分に応答しないとみなされる。
【0101】
任意で、十分な応答性は定量的に決定され、この場合、1つまたは複数のパラメータが、選択されたカットオフレベルより大きい(または小さい)。または、もしくは加えて、十分な応答性は定量的に決定され、この場合、1つまたは複数のパラメータの変化が、少なくとも選択された程度の変化、例えば、少なくとも選択されたパーセント(例えば、50%)の低減(または増加)である。
【0102】
例えば、スタチンは、血漿コレステロールレベル、特に、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールレベルを下げるために一般的に用いられるが、総コレステロールレベルもマーカーとしてよく用いられる。
【0103】
従って、スタチン投与の状況における望ましい効果は、任意で、血漿コレステロールレベル(例えば、LDLコレステロール、総コレステロール)の低減である。任意で、応答性の程度は、血漿コレステロールレベル(例えば、LDLコレステロール、総コレステロール)の低減の程度によって決定される。
【0104】
従って、スタチン治療に十分に応答しない対象は、任意で、高い血漿コレステロールレベル(例えば、対象の望ましいエンドポイントを上回るレベル)、任意で、高い血漿LDLコレステロールレベルを有し、スタチン治療によって血漿コレステロールレベルが低減しなかった、または血漿コレステロールレベルが低減したが、望ましいエンドポイントまで低減しなかった対象である。
【0105】
任意で、対象の望ましいエンドポイントは、当技術分野において用いられる基準に従って当業者により評価されるような、対象における心血管事象リスクの明らかな程度に従って選択されてもよい。リスクの程度は、例えば、対象が以前に心臓発作、脳卒中、および/または大動脈瘤に罹患したことがあるかどうか、ならびに認められているリスク因子(例えば、高血圧、メタボリックシンドローム、貧しい食事、座りがちな(sedentary)ライフスタイル、高齢、喫煙、心血管疾患の家族歴、妊娠、閉経、糖尿病、およびある特定の甲状腺状態)の存在に基づいて決定されてもよい。
【0106】
例えば、対象の明らかな心血管事象リスクが変化するのであれば、任意で、対象における望ましいエンドポイントは経時変化してもよい。望ましいエンドポイントは、例えば、対象を治療している医師の指示に基づいて変化してもよい。
【0107】
さらに、対象におけるスタチンの効力は、血清hs-CRPレベルなどの心血管疾患マーカーをモニタリングすることによって決定されてもよい。
【0108】
従って、望ましい効果は、任意で、血清CRPレベルの低減であり、任意で、血清LDLコレステロールレベルおよび血清CRPレベルの低減である。任意で、応答性の程度は血清CRPレベルの低減の程度によって決定される。
【0109】
一部の態様において、十分に応答しない対象は、少なくとも選択されたカットオフレベルの血清CRPレベルにより特徴付けられる。任意で、カットオフレベルは1.1mg/Lである。任意で、カットオフレベルは2mg/Lである。
【0110】
一部の態様において、十分に応答しない対象は、少なくとも選択されたカットオフレベルの血漿LDLコレステロールレベル(例えば、空腹時レベル)により特徴付けられる。
【0111】
カットオフレベルは、任意で、対象の個々の心血管疾患リスクに従って(例えば、医師によって一般的に用いられる基準に従って)選択されてもよい。
【0112】
従って、例えば、高リスク対象では、任意で、LDLカットオフレベルは約70mg/dLである。高リスク対象の例には、既に心臓発作または脳卒中を有している対象、ならびにメタボリックシンドローム、高血圧、および/または喫煙などの、さらなる状態を有している対象が含まれる。
【0113】
糖尿病と診断された対象では、任意で、LDLカットオフレベルは約70mg/dL〜約80mg/dLの範囲にある(例えば、70mg/dL、80mg/dL)。
【0114】
既に血管事象のある対象またはアテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患(CAD)、または別の血管疾患、例えば、頚動脈疾患、末梢動脈疾患、もしくは腹大動脈瘤の既往を示したことのある対象では、任意で、LDLカットオフレベルは約100mg/dLである。
【0115】
低リスク対象の場合、カットオフレベルは、任意で、例えば、約100〜190mg/dLの範囲にあってもよい。任意で、カットオフレベルは、本明細書に記載の2つ以上のリスク因子を有する対象の場合、約100〜130mg/dLの範囲にある(例えば、約100mg/dL、約130mg/dL)。任意で、カットオフレベルは、このような複数のリスク因子のない対象の場合、約130〜190mg/dLの範囲にある(例えば、約130mg/dL、約160mg/dL、約190mg/dL)。
【0116】
一部の態様において、十分に応答しない対象は、スタチン投与によって減少しない血漿LDLレベル、または選択されたパーセント(例えば、20%、30%、40%、50%)よりも少なく減少する血漿LDLレベルにより特徴付けられる。選択されたパーセントは、対象の個々の心血管疾患リスクに従って選択されてもよい。従って、(例えば、本明細書に記載のような)高リスク対象では、選択されたパーセントは任意で50%であり、糖尿病対象の場合、選択されたパーセントは任意で約35%である。低リスク対象の場合、任意で、パーセントはこれより低い。
【0117】
一部の態様において、十分に応答しない対象は、少なくとも、(例えば、本明細書に記載のような)選択されたカットオフレベルの血漿LDLコレステロールレベル(例えば、空腹時レベル)、または少なくとも、選択されたパーセント(例えば、50%)だけ減少しない血漿LDLレベルにより特徴付けられる。
【0118】
例えば、(例えば、本明細書に記載のような)高リスク対象では、対象は、任意で、血漿LDLレベルが少なくとも50%減少しなければ、および70mg/dLより少ないレベルまで減少しなければ十分に応答しないとみなされる。
【0119】
別の例において、糖尿病対象は、任意で、血漿LDLレベルが少なくとも35%減少しなければ、および70〜80mg/dLより少ないレベルまで減少しなければ、十分に応答しないとみなされる。
【0120】
LDLレベルは、直接的な測定を含む当技術分野において一般的に用いられる任意の方法によって、および当技術分野において一般的に行われるような他のパラメータの測定から評価することができる。例えば、LDLコレステロール濃度は、以下の式:
[LDLコレステロール]=[総コレステロール]-[HDLコレステロール]-(0.2x[トリグリセリド])
によって見積もることができる。
【0121】
一部の態様において、十分に応答しない対象は、少なくとも、選択されたカットオフレベルのLp-PLA2レベルにより特徴付けられる。任意で、カットオフレベルは、少なくとも約200mg/dL(例えば、約200mg/dL、約235mg/dL)である。
【0122】
一部の態様において、十分に応答しない対象は、少なくとも、選択されたカットオフレベルのアポリポタンパク質B100レベルにより特徴付けられる。任意で、カットオフレベルは少なくとも約125mg/dL(例えば、125mg/dL)である。
【0123】
一部の態様において、十分に応答しない対象は、選択されたカットオフレベルより少ないアポリポタンパク質Aレベルにより特徴付けられる。任意で、カットオフレベルは約100mg/dL以下(例えば、100mg/dL)である。
【0124】
一部の態様において、十分に応答しない対象は、少なくとも、選択されたカットオフレベルの血中トリグリセリドレベルにより特徴付けられる。任意で、カットオフレベルは少なくとも約150mg/dL(例えば、150mg/dL)である。
【0125】
一部の態様において、十分に応答しない対象は、少なくとも選択されたカットオフレベルのリポタンパク質(a)レベルにより特徴付けられる。任意で、カットオフレベルは、少なくとも約14mg/dL(例えば、14mg/dL)、任意で、少なくとも約30mg/dL(例えば、約30mg/dL、約50mg/dL)である。
【0126】
一部の態様において、十分に応答しない対象は、選択されたカットオフレベルより少ない高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルにより特徴付けられる。任意で、カットオフレベルは、約60mg/dL以下、任意で、女性対象において55mg/dL以下(例えば、約55mg/dL、約50mg/dL)であり、任意で、女性対象において45mg/dL以下(例えば、約45mg/dL、約40mg/dL)である。
【0127】
一部の態様において、十分に応答しない対象は、少なくとも、選択されたカットオフレベルの総血漿コレステロールレベルにより特徴付けられる。任意で、カットオフレベルは少なくとも200mg/dL(例えば、200mg/dL)である。
【0128】
任意で、本明細書に記載のカットオフレベルは対象の個々の心血管疾患リスクに従って選択されてもよい。
【0129】
対象が、本明細書に記載の複数の任意の基準に基づいて十分に応答しないとみなされた時、任意で、少なくとも1つの基準に適合する時はいつでも十分に応答しないとみなされる。または、それぞれの基準に適合する時にだけ、対象は十分に応答しないとみなされる。
【0130】
従って、本発明の態様によれば、VB-201は、特に、VB-201から利益を得る可能性が特に高い対象、例えば、スタチン単独投与に十分に応答しない対象に投与される。
【0131】
本明細書に記載のスタチンの投与は任意の投与量のスタチンを含んでもよい。
【0132】
一部の態様において、前記方法は、本発明の態様に従って投与された治療的有効量より多い投与量のスタチンの有害作用に対して対象が脆弱であるかどうか決定する工程をさらに含む。任意で、投与された量のスタチンに十分に応答せず、本明細書に記載の投与された治療的有効量より多い投与量のスタチンの有害作用に対して脆弱である対象に、本明細書に記載のVB-201の治療的有効量は投与される。
【0133】
従って、本発明のこのような態様によれば、VB-201は、VB-201から利益を得る可能性が特に高い対象(例えば、スタチン単独投与に十分に応答しない対象)、および重篤な有害作用リスクを生じることなく、スタチン投与量を増やすことによって効果的に治療することができない対象に投与される。
【0134】
一部の態様において、対象が有害作用に対して脆弱であるかどうか決定する工程は、ある投与量のスタチンを対象に投与し、対象における有害作用を特定し、それによって、このような投与量のスタチンの有害作用に対して対象が脆弱であることを決定することによる。このような態様において、次いで、対象に投与されるスタチン投与量は、本明細書に記載の治療的有効量まで(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%)減らされる。
【0135】
任意で、投与量は、有害作用が観察されないレベルに到達するまで減らされる。
【0136】
または、投与量は、軽度の有害作用が観察されるレベルまで減らされる。
【0137】
スタチンによって引き起こされ得る関連する有害事象の例には、1種または複数種の肝臓酵素の高い血中濃度、筋肉痛、筋痙攣、多発ニューロパチー、筋炎、ミオパチー、横紋筋融解症、および急性腎不全が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0138】
一部の有害事象(例えば、比較的有害でない有害事象)は、任意で、ある特定の重篤度に達した時にしか考慮されない場合があることが理解されるはずである。例えば、本発明の態様の目的で、軽度の筋痙攣(例えば、生活の質を大きく損なわない筋痙攣)および中程度の肝臓酵素レベルの増加(例えば、対象の健康に対して大きな害を示さない増加)は、任意で、有害事象とみなされない場合があるが、重篤な筋痙攣および劇的な肝臓酵素増加は有害事象とみなされるだろう。いつ有害作用が重篤になるかを決定する(例えば、対象の健康および/または生活の質に対して大きなリスクを示す)ことは当業者の能力の範囲内である。
【0139】
一部の態様では、投与された量がスタチンの最大許容投与量の近く、またはスタチンの最大許容投与量である(例えば、本明細書に記載の最大許容投与量の50%〜100%の範囲にある)時に、対象は、投与された治療的有効量より多い投与量のスタチンの有害作用に対して脆弱であると決定される。
【0140】
一部の態様では、対象が投与量に十分に応答しないと決定された時に、段階的に増大させた投与量のいずれにも対象が十分に応答しなければ、最終的に、さらなる段階的増加が望ましくないとみなされる点に到達するように、例えば、さらなる段階的増加によって最大許容投与量を上回る投与量となれば、さらなる段階的増加が望ましくないとみなされる点に到達するように、段階的に増大した投与量のスタチンが投与される。
【0141】
本明細書において「最大許容投与量」は、投与のために許容されると認められた最も高い投与量、例えば、有害事象が予想されない最も高い投与量、または対象の治療に許容されるレベルであると予想される最も高い投与量を指す。最大許容レベルは、任意で、年齢、性別、医学的状態(例えば、治療されている疾患の重篤度、有害な副作用の重篤度および/もしくは対象の全体的な健康状態、ならびに対象に及ぼす任意の副作用の影響)、遺伝的プロファイル、ならびに/または対象の民族性に左右されることがある。
【0142】
最大許容レベルは、任意で、報告された文献(例えば、医学教科書、医学雑誌)、規則(例えば、病院規則、政府規則)、および/または認められた組織もしくは機関の助言に基づいて決定されてもよい。
【0143】
任意で、最大許容投与量は、認められている組織または機関(例えば、米食品医薬品局(FDA)および/または欧州医薬品庁)の最大推奨投与量である。
【0144】
このような組織または機関がある範囲の投与量を推奨している場合、「最大推奨投与量」はこの範囲の中の最も高い投与量を指し、1つの投与量が推奨されている場合、「最大推奨投与量」は推奨投与量を指す。
【0145】
本明細書で使用する「スタチン」は、当技術分野においてスタチンおよび/またはHMG-CoA還元酵素阻害剤と認められている任意の化合物、ならびにこのような化合物の任意の組み合わせを含む。現在販売されているおよび/または規制当局により認可されているスタチンの例には、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバストスチン(rosuvaststin)、およびシンバスタチンが含まれるが、それに限定されるわけではない。さらなる公知のスタチンには、セリバスタチンおよびメバスタチンが含まれる。
【0146】
本願から成立しつつある特許の期間中に、多くの関連するスタチンが開発されることが予想される。「スタチン」という用語の範囲は、このような全ての新化合物をアプリオリに含むことが意図される。
【0147】
一部の態様において、スタチンの最大許容投与量は、80mg/日(例えば、80mg/日のアトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、またはシンバスタチン)である。
【0148】
一部の態様において、最大許容投与量は40mg/日のプラバスタチンまたはロスバスタチンである。
【0149】
任意で、本明細書に記載のようにスタチンに十分に応答しない対象(例えば、コレステロールレベルを低減できないことによって決定される対象)がスタチンおよびさらなる薬剤の併用治療に十分に応答しないように、本明細書に記載の「治療的有効量のスタチン」は1種または複数種のさらなる薬剤と組み合わせて投与される。
【0150】
スタチンと組み合わせて投与され得る薬剤の例には、粘膜アジュバント、コルチコステロイド、ステロイド性抗炎症性薬物、非ステロイド性抗炎症性薬物、鎮痛剤、増殖因子、毒素、熱ショックタンパク質、β-2-糖タンパク質I、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)アゴニスト、抗アテローム性動脈硬化症薬、抗増殖剤、ニコチン酸、胆汁酸捕捉剤、コレステロール吸収阻害剤(トリグリセリド吸収阻害剤を含む)、コレステロール生合成阻害剤(例えば、スクアレン阻害剤)、ApoE Milano、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、カプトプリル、エナラプリル、またはリシノプリル)、抗不整脈薬(例えば、アミオダロン)、抗凝血薬、抗血小板薬、または血栓溶解薬(例えば、アスピリン)、中枢作用性降圧薬(例えば、クロニジン、グアンファシン、またはメチルドパ)、ジギタリス薬物(例えば、ジゴキシン)、利尿薬(例えば、クロルサリドン)、硝酸塩(例えば、ニトログリセリン)、末梢アドレナリン拮抗薬(例えば、レセルピン)、および血管拡張剤(例えば、ヒドララジン)、ならびに任意の誘導体および類似体が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0151】
任意で、さらなる薬剤は、コレステロールレベルを下げるための薬剤である。
【0152】
PPARアゴニストはフィブラートとも知られ、脂質代謝およびグルコース代謝において重要な役割を果たす核受容体スーパーファミリーの脂肪酸活性化メンバーであり、高脂血症、インスリン抵抗性、および冠動脈疾患などの肥満関連代謝疾患に結びつけられてきた。フィブラートは、一般的に、高い血漿トリグリセリドおよびコレステロールの低下において有効であり、PPARアゴニストとして作用する。フィブラートの最もはっきりしている作用には、血漿トリグリセリドリッチリポタンパク質(TRL)の減少が含まれる。LDLコレステロールのレベルは、一般的に、高いベースライン血漿中濃度を有する個体において減少し、HDLコレステロールレベルは、通常、ベースライン血漿中濃度が低い時には増加する。一般的に処方されるフィブラートの非限定的な例には、ベザフィブラート、ゲムフィブロジル、およびフェノフィブラートが含まれる。
【0153】
コレステロール吸収阻害剤の代表例にはエゼチミベが含まれる。エゼチミベは、トリグリセリドまたは脂溶性ビタミンの吸収に影響を及ぼすことなく、腸上皮の刷子縁において食事コレステロール吸収および胆汁コレステロール吸収を強力かつ選択的に阻害する新種のコレステロール吸収阻害剤のなかで初めてのものである。従って、エゼチミベは肝臓への全体のコレステロール送達を低減し、二次的に、LDL受容体の高発現を誘導して、血漿からのLDLコレステロールの除去を増加させる。
【0154】
コレステロール吸収はまた、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤の影響も受けることがある。コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤は、マクロファージおよび動脈壁の中のコレステリルエステル蓄積を低減し、従って、泡沫細胞形成を低減し、コレステロール吸収に影響を及ぼすことによってアテローム発生において大きな役割を果たす。現在知られている最も有望なCETP阻害剤はアナセトラピブである。
【0155】
胆汁酸捕捉剤は、体内のコレステロールレベルを枯渇させることによって身体からコレステロールを無くすのを助けるコレステロール降下剤の一種である。胆汁は肝臓から放出され、脂肪の乳化を助ける。コレステロールは胆汁の主成分であり、胆汁に由来するコレステロールの大部分は小腸において再吸収されて血流に入る。胆汁酸捕捉剤は小腸レベルで働き、胆汁との結合において機能し、従って、コレステロールが再吸収されて循環中に入らないようにする。その代わりに、この薬および胆汁は不溶性複合体を形成し、大便の中に排泄される。一般的に処方される胆汁酸捕捉剤の例には、コレスチラミン(例えば、Questran(登録商標))、コレセベラム、およびコレスチポール(例えば、Colestid(登録商標))が含まれる。
【0156】
コレステロール生合成阻害剤の代表例には、スクアレン阻害剤(例えば、スクアレンモノオキシゲナーゼ阻害剤およびスクアレン合成酵素阻害剤)が含まれる。スクアレンは、βカロチンと構造上類似するイソプレノイド化合物であり、コレステロール合成における中間代謝物である。ヒトにおいて、食事スクアレンの約60パーセントは吸収される。スクアレンは、一般的に、超低密度リポタンパク質と結合して血清中に輸送され、ヒト組織において広範に分布し、皮膚で最高濃度である。皮膚では、スクアレンは皮膚表面脂質の主成分の1つである。スクアレン阻害剤(例えば、スクアレンモノオキシゲナーゼ阻害剤およびスクアレン合成酵素阻害剤)はコレステロール生合成阻害剤として働く。
【0157】
水溶性Bビタミンであるニコチン酸(またはナイアシン)は、総コレステロール、LDL-コレステロール、およびトリグリセリドレベルを下げるのに対して、HDL-コレステロールレベルを上げる公知の薬剤である。3種類のニコチン酸薬物:即時放出型、時限放出型、および徐放型がある。ニコチン酸は、ビタミン必要量をかなり上回る用量で与えられた時に全てのリポタンパク質を改善する。
【0158】
前記のレジメンは、個々の対象におけるスタチンおよびVB-201の有効な同時投与に適するようにデザインされる。
【0159】
本発明の態様に従って治療され得る心血管疾患は、任意で、炎症性心血管疾患または炎症性心血管障害である。適切な炎症性心血管疾患または炎症性心血管障害には、閉塞性疾患または閉塞性障害、アテローム性動脈硬化症、心弁膜症、狭窄、再狭窄、ステント内狭窄、心筋梗塞、冠動脈疾患、急性冠状動脈症候群、うっ血性心不全、狭心症、心筋虚血、血栓症、ウェゲナー肉芽腫症、高安動脈炎、川崎症候群、抗第VIII因子自己免疫疾患または抗第VIII因子自己免疫障害、壊死性細小血管炎(necrotizing small vessel vasculitis)、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、ポウチイミューン型巣状壊死性糸球体腎炎(pauci-immune focal necrotizing glomerulonephritis)、半月体形成性糸球体腎炎、抗リン脂質症候群、抗体誘導性心不全、血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、心臓自己免疫、シャーガス病またはシャーガス障害、および抗ヘルパーTリンパ球自己免疫が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0160】
狭窄は、一般的にアテローム斑および高い血小板活性によって引き起こされる脈管構造の閉塞性疾患であり、冠状脈管構造にもっとも重大な影響を及ぼす。
【0161】
再狭窄は、狭窄脈管構造の中にある閉塞が小さくなった後によく起こる進行性の再閉塞である。脈管構造の開通にステントの機械的支持体が必要とされる場合、ステント内狭窄が起こり、治療された血管を再閉塞することがある。
【0162】
レジメンに対する対象の応答性のモニタリングはまた、特定の個体のVB-201の治療的有効量を決定するために用いられてもよい。最も治療効果のある投与量は個体間で異なる可能性が高いので、このような治療的有効量を決定することは有益である。結果として、各個体に適したレジメンをデザインすれば、治療効果がさらに強くなる、および/または有害な副作用が弱くなる可能性がある。
【0163】
従って、本発明の態様の別の局面によれば、対象において投与するためのVB-201の治療的有効量を決定する方法が提供される。前記方法は、ある投与量のVB-201を対象に投与する工程、前記投与量のVB-201に対する対象の応答性を決定する工程であって、それによって、対象が前記投与量のVB-201に十分に応答しないかどうか決定する、工程、ならびに(対象が前の投与量に十分に応答しなければ)対象が投与量に十分に応答するまで、および/または最大投与量に達するまで、対象に投与されるVB-201投与量を段階的に増大させる工程を含む。
【0164】
決定されるVB-201の治療的有効量は、任意で、炎症性疾患または炎症性障害を治療するための治療的有効量である。従って、応答性は、任意で、このような疾患または障害の症状の緩和を含む。
【0165】
説明された投与の段階的増大は、任意で、投与量の段階的増大ごとに投与量を25%〜300%、任意で、50%〜100%、任意で、約100%増やす工程を含む。
【0166】
任意で、前記方法は、VB-201が投与された対象において起こった有害作用をモニタリングする工程をさらに含む。
【0167】
一部の態様において、最大投与量は、対象におけるVB-201の最高耐性投与量である。
【0168】
本明細書で使用する「耐性を示す」という用語は、対象において有害作用が無いこと、または耐容できる有害作用(例えば、軽度の副作用)が存在することを指す。任意で投与量が耐容されるかどうかを決定する目的では、(例えば、本明細書に記載のような)軽度の有害作用は考慮されない。
【0169】
VB-201の最高耐性投与量は、任意で、さらに多い投与量のVB-201を対象に投与し、対象における有害作用を特定し、次いで、投与量を最高耐性投与量まで低減することによって決定されてもよい。
【0170】
最高耐性投与量はまた、任意で、VB-201の最大許容投与量(例えば、FDA最大許容投与量および/または欧州医薬品庁最大許容投与量)に基づいて決定されてもよい。任意で、最高耐性投与量は、最大許容投与量の50%〜200%、任意で75%〜150%、任意で約100%の範囲にある。
【0171】
一部の態様において、最大投与量は、それに対する対象の応答性が、さらに高い投与量に対する対象の応答性と少なくとも同程度である投与量である。例えば、投与量をある特定の量を超えて段階的に増大させても対象の応答性が増加しない、飽和効果が観察されることがある。ある範囲の投与量が対象において、ほぼ同じ効果(例えば、応答性)をもたらす場合、例えば、起こり得る有害作用の可能性および/または重篤度を最小限にするために、この範囲内の少ない投与量(例えば、最も少ない投与量)を使用することが一般的に望ましい。
【0172】
一部の態様において、最大投与量は、
a)最高耐性投与量(本明細書において説明される);および/または
b)それに対する対象の応答性が、さらに高い投与量に対する対象の応答性と少なくとも同程度である投与量(本明細書において説明される)
であり、いずれか少ない方である。
【0173】
応答性は、任意で、対象における状態のバイオマーカー、例えば、炎症バイオマーカーの存在および/またはレベルを決定することによって(例えば、血液検査によって)決定される。本明細書に記載のように、炎症バイオマーカーとして高いhs-CRPレベル(例えば、1.1mg/L以上)が任意で用いられてもよい。
【0174】
一部の態様において、VB-201は単独で投与される。任意で、このような態様によって決定される治療的有効量は、VB-201を単独で投与するためのVB-201の治療的有効量である。
【0175】
別の態様において、VB-201は、さらなる治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与される。任意で、このような態様によって決定される治療的有効量は、さらなる治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与するためのVB-201の治療的有効量である。さらなる治療上活性のある薬剤は、VB-201と組み合わせて投与するのに適していると本明細書において説明された、および/または他の任意の薬剤を含んでもよい。
【0176】
「さらなる治療上活性のある薬剤」という句は、複数種の治療上活性のある薬剤の組み合わせを含むと意図されることが理解されるはずである。
【0177】
下記の実施例の項において例示されるように、本発明者らは、一般的な対象集団に適するようにデザインされた、VB-201およびさらなる治療剤(例えば、スタチン)の同時投与を含む一般的なレジメンを実現するための方法をさらに考案した。
【0178】
従って、本発明の別の局面によれば、さらなる治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与するためのVB-201の治療的有効量を決定する方法が提供される。前記方法は、対象に異なる投与量のVB-201を投与する工程であって、各対象には特定の投与量が与えられ、対象の一部にはVB-201の代わりにプラセボが投与される工程を含む。対象は、治療的有効量のさらなる治療上活性のある薬剤(本明細書においては単に「治療上活性のある薬剤」とも呼ばれる)を用いて治療され、(本明細書において定義されたように)治療的有効量の治療上活性のある薬剤に対して十分に応答しない対象として選択される。
【0179】
前記方法は、(例えば、本明細書に記載のように)投与された投与量のVB-201と、投与された治療的有効量の治療上活性のある薬剤に対する対象の応答性および対象においた生じた有害作用をモニタリングする工程、ならびに対象が応答性を示す少なくとも1つの投与量を特定する工程をさらに含む。
【0180】
一部の態様において、対象は群としてモニタリングされる。ここで、各群は、同じ投与量のVB-201および/もしくは治療上活性のある薬剤、またはそれぞれ選択されたの範囲内にある投与量のVB-201および/もしくは治療上活性のある薬剤が投与された複数の対象を含む。このような対象グループ化は、モニタリング結果の統計解析を可能にする(例えば、平均および平均からの標準偏差の入手を可能にする)。任意で、各群は、少なくとも5つの対象、任意で少なくとも10の対象、任意で少なくとも20の対象を含む。
【0181】
任意で、対象には、比較的高い投与量の治療上活性のある薬剤、例えば、治療上活性のある薬剤の(本明細書において定義された)最大許容投与量の少なくとも25%、任意で少なくとも50%、任意で少なくとも75%の治療上活性のある薬剤が投与される。
【0182】
治療上活性のある薬剤は、任意で、炎症性疾患または炎症性障害(例えば、本明細書に記載の炎症性疾患または炎症性障害)を治療するのに適切なように選択される。任意で、治療上活性のある薬剤は、心血管疾患、例えば、本明細書に記載の心血管疾患を治療するための薬剤である。
【0183】
例示的な態様において、治療上活性のある薬剤は、極めて強力なスタチン(例えば、本明細書に記載のスタチン)である。スタチンの例示的な投与量には、少なくとも20mg/日のアトルバスタチン、少なくとも10mg/日のロスバスタチン、および少なくとも40mg/日のシンバスタチンが含まれる。
【0184】
治療上活性のある薬剤(例えば、スタチン)が炎症(例えば、炎症性心血管疾患)を治療するための薬剤である態様の場合、治療上活性のある薬剤に対する対象の応答性(例えば、本明細書に記載のように、治療的有効量の薬剤に十分に応答しない対象を特定するため)、ならびに/または治療上活性のある薬剤およびVB-201の同時投与に対する対象の応答性(例えば、本明細書に記載のように、対象が応答性を示すVB-201投与量を特定するため)は、任意で、炎症バイオマーカー、例えば、hs-CRP、IL-Iβ、IL-6、IL-12、IL-17、IL-22、IL-23、IFN-α、IFN-γ、TNF-α、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、IL-12 p40、IL-12 p70、MPO、SAA、および/またはIL-8を(例えば、本明細書に記載のように)測定することによって特徴付けることができる。任意で、応答性は、医師によって決定されるような望ましいエンドポイントに対する炎症バイオマーカーの低減によって特徴付けられる。
【0185】
一部の態様において、応答性は、本明細書に記載のカットオフレベルより少ないCRPレベル(例えば、1.1mg/L)および/またはベースラインレベルからのCRPレベルの任意の有意な(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%)低減によって特徴付けられる。
【0186】
一部の態様において、治療上活性のある薬剤(例えば、スタチン)は炎症性心血管疾患を治療するための薬剤であり、治療上活性のある薬剤に対する対象の応答性(例えば、本明細書に記載のように、治療的有効量の薬剤に十分に応答しない対象を特定するため)は、本明細書に記載のように、LDL、Lp-PLA2、APOB100、APOA、トリグリセリド、リポタンパク質(a)、HDLおよび/または総コレステロールレベルを測定することによって特徴付けられるが、治療上活性のある薬剤およびVB-201の同時投与に対する対象の応答性は特徴付けられない。
【0187】
一部の態様において、応答性は、治療されている疾患(例えば、心血管疾患)の進行がないことによって特徴付けられる。
【0188】
前記のように、および下記の実施例の項において例示されるように、VB-201は、酢酸グラチラマーと同時投与された時に相乗的な抗炎症作用を示す。
【0189】
従って、本発明の態様の別の局面によれば、炎症性疾患または炎症性障害を治療する方法であって、治療的有効量のVB-201および治療的有効量の酢酸グラチラマーを同時投与する工程を含む方法が提供される。
【0190】
任意で、酢酸グラチラマーの治療的有効量は、2〜200mg/日、任意で4〜100mg/日、任意で10〜50mg/日、任意で約20mg/日の範囲にある。
【0191】
酢酸グラチラマーは、酢酸グラチラマーを投与するために当技術分野において用いられる技法(例えば、注射)に従って投与される。
【0192】
「酢酸グラチラマー」という用語は、グルタミン酸、リジン、アラニン、およびチロシンからなる構造上関連する全てのコポリマーを含むことが意図され、その酢酸塩に限定されると解釈してはならない。
【0193】
本明細書に記載のように、酢酸グラチラマーは、投与開始直後に有効な抗炎症作用をもたらすが(投与の間、VB-201は強い効果を示さないことがある)、この後に、利益をほとんどもたらさないか、または任意の利益をもたらすことがある。
【0194】
従って、一部の態様によれば、前記方法は、酢酸グラチラマーの投与を中止する工程(例えば、酢酸グラチラマーが有意な治療利益をもたらし続けると予想されない時)および長期間にわたって治療効果をもたらすと予想される治療的有効量のVB-201を投与し続ける工程をさらに含む。
【0195】
任意で、同時投与は、少なくとも1週間、任意で少なくとも2週間の範囲にある期間にわたって行われる。任意で、同時投与は、1年まで、任意で6ヶ月まで、任意で3ヶ月まで、任意で1ヶ月またはそれ未満である。
【0196】
持続的なVB-201単独投与(すなわち、酢酸グラチラマーの投与が終了した後)は、必要に応じて、任意の期間にわたるものでもよい(一生の間でもよい)。
【0197】
一部の態様において、酢酸グラチラマーおよびVB-201の同時投与は、必要に応じて、任意の期間にわたるものでもよい(一生の間でもよい)。
【0198】
本明細書において議論されるように、および実施例の項において例示されるように、投与用のVB-201の治療的有効量は、100mg/日を上回る投与量(例えば、120mg/日、160mg/日、240mg/日)と決定されてもよい。
【0199】
従って、本発明の一部の態様の一局面によれば、炎症性疾患または炎症性障害を治療または予防する方法が提供される。前記方法は、炎症性疾患または炎症性障害の治療または予防を必要とする対象に、少なくとも治療的有効量のVB-201を経口投与する工程であって、治療的有効量は、100mg/日を超える、任意で、101mg〜1グラム/日、任意で、101mg〜300mg/日である工程を含む。
【0200】
一部の態様において、治療的有効量は101mg〜140mg/日の範囲にあり、任意で、約120mg/日である。
【0201】
一部の態様において、治療的有効量は120mg〜200mg/日の範囲にあり、任意で、約160mg/日である。任意で、このような治療的有効量を用いる方法は、慢性関節リウマチなどの炎症性疾患または炎症性障害を治療するための方法である。
【0202】
一部の態様において、治療的有効量は200mg〜280mg/日の範囲にあり、任意で、約240mg/日である。
【0203】
本明細書に記載の治療的有効量は、成人対象に投与するための治療的有効量を指す。任意で、小児に投与されるVB-201量は、例えば、小児の体重に応じて調節される。
【0204】
一部の態様によれば、本明細書に記載の治療的有効量は絶対的なものであり、任意に、体重が成人平均から離れている対象(例えば、小児)を除き、対象の体重に左右されない。
【0205】
別の態様によれば、本明細書に記載の治療的有効量は、平均体重(例えば、70kg)の対象に適した治療的有効量と考えられ、投与される量は、VB-201を受ける対象の体重に応じて調節される。例えば、本明細書において列挙された240mg/日の投与量は、任意で、1日に70kg体重につき240mgの投与量(すなわち、3.43mg/kg)を指すと理解される。
【0206】
多くの態様において、1日に投与される治療的有効量は、複数回の(例えば、2回または3回)の投与に、例えば、予め決められた間隔の投与に分割される。
【0207】
一部の態様において、治療的有効量の投与は、1日1回、VB-201を投与することによって行われる。1日1回、VB-201を投与すると、典型的には、比較的安定したVB-201血漿中濃度が得られる。比較的安定したVB-201血漿中濃度は、治療の間、望ましいことが多い。
【0208】
一部の態様において、治療的有効量の投与は、1日に少なくとも2回、任意で1日2回、VB-201を投与することによって行われる。これによって、さらに安定した血漿中濃度が得られることがある。
【0209】
本発明の態様による治療的有効量のVB-201は、本明細書に記載の治療的有効量のVB-201の簡単かつ簡便な投与のために設計された医用薬剤(例えば、薬学的組成物)の単位剤形として製剤化されてもよい。
【0210】
従って、本発明の態様の別の局面によれば、100mgを超えるVB-201(任意で、101mg〜1グラム、任意で、101mg〜300mg)および薬学的に許容される担体を含み、経口投与用に製剤化された薬学的組成物単位剤形が提供される。
【0211】
一部の態様において、治療的有効量は101mg〜140mgの範囲にあり、任意で、約120mgである。
【0212】
一部の態様において、治療的有効量は200mg〜280mgの範囲にあり、任意で、約240mgである。
【0213】
本明細書に記載の方法による100mg/日を超えるVB-201の投与は、都合よく、1日に1つまたは2つの本明細書に記載の単位剤形を投与することによって行われてもよい。例えば、約120mgのVB-201を含む単位剤形は、約120mg/日のVB-201(1日に1つの単位剤形が投与される時)または約240mg/日のVB-201(1日に2つの単位剤形が投与される時)を投与するのに適している。
【0214】
本明細書に記載の方法はまた、例えば、VB-201が1日に2回またはそれより多い回数で投与される態様では、101mg未満のVB-201を含む単位剤形を用いて行われてもよい。従って、例えば、160mg/日のVB-201の投与は、(例えば、日中、異なる時間で)80mgのVB-201を含む剤形を2つ投与することによって行われてもよい。120mg/日VB-201の投与は、60mg VB-201を含む剤形を2つ投与することによって行われてもよく、80mg VB-201を含む剤形を1つおよび40mg VB-201を含む剤形を1つ投与することによって行われてもよい。
【0215】
100mg未満のVB-201の様々な剤形は、例えば、米国特許仮出願第61/292,226号および同第61/282,250号ならびに本願と同時出願された発明の名称「TREATMENT WITH VB-201」のPCT国際特許出願、代理人事件番号50377に記載されている。前記の全ての開示は、本明細書において十分に示されるように参照により組み入れられる。
【0216】
従って、例えば、本発明の態様のこの局面の一部の態様では、1日投与量は、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、および/または100mgのVB-201を含む複数の単位剤形を投与することによってなされる。複数回の1日投与によって100mgを超える1日投与量となる、このような単位剤形の任意の組み合わせが意図される。
【0217】
本明細書に記載の薬学的単位剤形は、任意で、炎症性疾患または炎症性障害(例えば、本明細書に記載の疾患または障害)の治療または予防における使用のために、包装材料の中に入れられ、かつ包装材料の中または上で印刷により特定される。一部の態様において、炎症性疾患または炎症性障害の治療または予防における使用のために、複数の単位剤形が包装材料の中に入れられ、かつ包装材料の中または上で印刷により特定される。
【0218】
本発明の態様の別の局面によれば、炎症性疾患または炎症性障害(例えば、本明細書に記載の疾患または障害)を治療または予防するための医用薬剤の単位剤形であって、(例えば、本明細書に記載のように)100mgを超えるVB-201を含み、経口投与用に製剤化された単位剤形の製造におけるVB-201の使用が提供される。
【0219】
本明細書で使用する「薬学的組成物」は、(活性成分として)VB-201またはその生理学的に許容される塩もしくはプロドラッグと、生理学的に適切な担体、賦形剤、潤滑剤、緩衝剤、抗菌剤、増量剤(例えば、マンニトール)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム)などを含むが、これに限定されない他の化学成分の調製物を指す。薬学的組成物の目的は、対象へのVB-201の投与を容易にすることである。
【0220】
本明細書で使用する「単位剤形」という用語は、物理的に別個の単位について述べている。各単位は、望ましい治療効果を生じるように計算された予め決められた量のVB-201と、少なくとも1種類の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、またはその組み合わせを含有する。
【0221】
本明細書において「生理学的に許容される担体」および「薬学的に許容される担体」という句は同義に用いられ、対象に対して大きな刺激を引き起こさず、VB-201の生物学的活性および生物学的特性を阻止しない担体または希釈剤について述べている。
【0222】
本明細書で使用する用語「担体」という用語は、治療剤と一緒に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。
【0223】
本明細書において「賦形剤」という用語は、活性成分の投与をさらに容易にするための、薬学的組成物に添加される不活性物質を指す。
【0224】
一部の態様による薬学的組成物単位剤形は、VB-201と当技術分野において周知の薬学的に許容される担体を組み合わせることによって容易に製剤化することができる。このような担体を用いて、活性成分(VB-201)は、例えば、サシェ、丸剤、カプレット、カプセル、錠剤、糖衣錠コア、あるいは散剤、顆粒剤、または水もしくは非水性媒体に溶解した懸濁液もしくは溶液の別個の(例えば、別々に包装された)単位として製剤化される。増粘剤、希釈剤、着香剤、分散助剤、乳化剤、または結合剤が望ましい場合もある。
【0225】
経口使用のための薬理学的調製物は、固体賦形剤を用いて、任意で、結果として生じた混合物を粉砕し、所望であれば、適切な補助剤を添加した後に顆粒混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアを得ることによって作ることができる。適切な賦形剤は、特に、増量剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、もしくはソルビトールを含む糖;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム;および/または生理学的に許容されるポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)である。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤が添加されてもよい。
【0226】
糖衣錠コアには適切なコーティングが施される。この目的のために、任意で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有してもよい濃縮糖液が用いられてもよい。活性用量の異なる組み合わせを特定するために、または活性用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤コーティングまたは糖衣錠コーティングに染料または色素が添加されてもよい。
【0227】
経口で使用することができる薬学的組成物には、ゼラチンから作られたプッシュフィット(push-fit)カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールから作られた軟らかい密封カプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、増量剤、例えば、ラクトース、結合剤、例えば、デンプン、潤滑剤、例えば、タルクもしくはステアリン酸マグネシウム、任意に、安定剤と混合した活性成分を含有してもよい。軟カプセルにおいて、活性成分は、適切な液体、例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールに溶解または懸濁されてもよい。さらに、安定剤が添加されてもよい。好ましくは、経口投与用の製剤は、GI管内での調製物の保護またはGI管内での調製物の酵素分解の遅延を目的とした保護コーティングをさらに含む。
【0228】
本態様による組成物単位剤形は、所望であれば、VB-201を含有する1つまたは複数の単位剤形を含み得るパックまたはディスペンサー装置、例えば、FDA(米食品医薬品局)によって認可されたキットに入れられてもよい。パックまたはディスペンサー装置は、例えば、ブリスター包装などがあるが、これに限定されない金属箔またはプラスチック箔を含んでもよい。パックまたはディスペンサー装置には投与説明書が添付されてもよい。パックには、薬の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって定められた形式で容器に付随し、ヒト投与のための組成物の剤形が機関によって許可されたことを示すお知らせも添付されてもよい。このようなお知らせは、例えば、処方薬が米食品医薬品局によって許可されたことをラベル表示したものでもよく、認可された製品の差し込み物でもよい。適合する薬学的担体の中に製剤化されたVB-201を含む組成物単位剤形はまた適切な容器の中で調製されてもよく、適切な容器に入れられてもよく、本明細書において定義されたような炎症性疾患または炎症性障害の治療についてラベル表示されてもよい。
【0229】
本明細書に記載の本発明の態様の任意の局面の一部の態様によれば、炎症性疾患または炎症性障害は内因性酸化脂質と関連する。
【0230】
本明細書で使用する「内因性酸化脂質」という句は、炎症細胞および他の細胞を介したプロセスまたは体液を介したプロセスの結果としてインビボに存在する、またはインビボで形成された1つまたは複数の酸化脂質を指す。酸化型低密度リポタンパク質(酸化型LDL)は、炎症性疾患または炎症性障害と関連する内因性酸化脂質の一例である。
【0231】
本発明の態様に従って治療可能な代表的な炎症性疾患および炎症性障害には、例えば、下記で詳述されるような、特発性炎症性疾患または特発性炎症性障害、慢性炎症性疾患または慢性炎症性障害、急性炎症性疾患または急性炎症性障害、自己免疫疾患または自己免疫障害、感染性疾患または感染性障害、炎症性悪性疾患または炎症性悪性障害、炎症性移植関連疾患または炎症性移植関連障害、炎症性変性疾患または炎症性変性障害、過敏症に関連した疾患または障害、炎症性心血管疾患または炎症性心血管障害(例えば、本明細書に記載のような炎症性心血管疾患または炎症性心血管障害)、炎症性脳血管疾患または炎症性脳血管障害、末梢血管疾患または末梢血管障害、炎症性腺疾患または炎症性腺障害、炎症性胃腸疾患または炎症性胃腸障害、炎症性皮膚疾患または炎症性皮膚障害、炎症性肝臓疾患または炎症性肝臓障害、炎症性神経学的疾患または炎症性神経学的障害、炎症性筋骨格疾患または炎症性筋骨格障害、炎症性腎臓疾患または炎症性腎臓障害、炎症性生殖疾患または炎症性生殖障害、炎症性全身疾患または炎症性全身障害、炎症性結合組織疾患または炎症性結合組織障害、炎症性腫瘍、壊死、炎症性移植片関連疾患または炎症性移植片関連障害、炎症性加齢プロセス、免疫不全疾患または免疫不全障害、増殖性疾患および増殖性障害、ならびに炎症性肺疾患または炎症性肺障害が含まれる。
【0232】
過敏症の非限定的な例には、I型過敏症、II型過敏症、III型過敏症、IV型過敏症、即時型過敏症、抗体媒介過敏症、免疫複合体媒介過敏症、Tリンパ球媒介過敏症、遅延型過敏症、ヘルパーTリンパ球媒介過敏症、細胞傷害性Tリンパ球媒介過敏症、TH1リンパ球媒介過敏症、およびTH2リンパ球媒介過敏症が含まれる。
【0233】
脳血管疾患または脳血管障害の非限定的な例には、脳卒中、脳血管炎症、脳出血、および椎骨動脈不全が含まれる。
【0234】
末梢血管疾患または末梢血管障害の非限定的な例には、壊疽、糖尿病血管障害、虚血性腸疾患、血栓症、糖尿病性網膜症、および糖尿病性腎症が含まれる。
【0235】
自己免疫疾患または自己免疫障害の非限定的な例には、免疫応答、例えば、自己抗原などに対する自己抗体または細胞性免疫によって引き起こされる疾患の全てが含まれる。代表例は、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、硬皮症、混合性結合組織病、結節性多発動脈炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、シェーグレン症候群、ベーチェット病、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、橋本病、乾癬、原発性粘液水腫、悪性貧血、重症筋無力症、慢性活動性肝炎、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、ブドウ膜炎、脈管炎、およびヘパリン起因性血小板減少症である。
【0236】
炎症性腺疾患または炎症性腺障害の非限定的な例には、膵臓疾患または膵臓障害、I型糖尿病、甲状腺疾患または甲状腺障害、グレーブス病、甲状腺炎、自発性自己免疫性甲状腺炎、橋本甲状腺炎、特発性粘液水腫、卵巣自己免疫、自己免疫性抗精子不妊、自己免疫性前立腺炎、およびI型多腺性自己免疫症候群が含まれる。
【0237】
炎症性胃腸疾患または炎症性胃腸障害の非限定的な例には、大腸炎、回腸炎、クローン病、慢性炎症性腸疾患、炎症性腸候群、炎症性腸疾患、セリアック病、潰瘍性大腸炎、潰瘍、皮膚潰瘍、褥瘡、胃潰瘍、消化管潰瘍、頬潰瘍、鼻咽頭潰瘍、食道潰瘍、十二指腸潰瘍、および胃腸潰瘍が含まれる。
【0238】
炎症性皮膚疾患または炎症性皮膚障害の非限定的な例には、ざ瘡、自己免疫水疱性皮膚病、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、落葉状天疱瘡、接触性皮膚炎、および薬物発疹が含まれる。
【0239】
炎症性肝臓疾患または炎症性肝臓障害の非限定的な例には、自己免疫性肝炎、肝硬変、および胆汁性肝硬変が含まれる。
【0240】
炎症性神経学的疾患または炎症性神経学的障害の非限定的な例には、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、重症筋無力症、運動性ニューロパチー、ギラン・バレー症候群、自己免疫性ニューロパチー、ランバート・イートン筋無力症症候群、腫瘍随伴性神経学的疾患または腫瘍随伴性神経学的障害、腫瘍随伴性小脳萎縮、非腫瘍随伴性の全身硬直症候群、進行性小脳萎縮、ラスムッセン脳炎、筋萎縮性側索硬化症、シデハム舞踏病(Sydeham chorea)、ジルドラトゥーレット症候群、自己免疫性多腺性内分泌障害、ディスイミューンニューロパシー(dysimmune neuropathy)、後天性神経性筋強直症、多発性関節拘縮症、ハンチントン病、AIDS関連認知症、筋萎縮性側索硬化症(AML)、多発性硬化症、脳卒中、炎症性網膜疾患または炎症性網膜障害、炎症性眼疾患または炎症性眼障害、視神経炎、海綿状脳症、片頭痛、頭痛、群発性頭痛、および全身硬直症候群が含まれる。
【0241】
炎症性結合組織疾患または炎症性結合組織障害の非限定的な例には、自己免疫性筋炎、原発性シェーグレン症候群、平滑筋自己免疫疾患または平滑筋自己免疫障害、筋炎、腱炎、靱帯炎症、軟骨炎、関節炎、滑膜炎症、手根管症候群、関節炎、慢性関節リウマチ、変形性関節症、強直性脊椎炎、骨格炎症、自己免疫耳疾患または自己免疫性耳障害、および内耳の自己免疫疾患または自己免疫障害が含まれる。
【0242】
炎症性腎臓疾患または炎症性腎臓障害の非限定的な例には、自己免疫性間質性腎炎および/または腎臓癌が含まれる。
【0243】
炎症性生殖疾患または炎症性生殖障害の非限定的な例には、反復性の胎児消失、卵巣嚢胞、または月経関連疾患もしくは月経関連障害が含まれる。
【0244】
炎症性全身疾患または炎症性全身障害の非限定的な例には、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、敗血症ショック、毒素性ショック症候群、および悪液質が含まれる。
【0245】
感染性疾患または感染性障害の非限定的な例には、慢性感染性疾患または慢性感染性障害、亜急性感染性疾患または亜急性感染性障害、急性感染性疾患または急性感染性障害、ウイルス疾患またはウイルス障害、細菌疾患または細菌障害、原生動物疾患または原生動物障害、寄生生物疾患または寄生生物障害、真菌疾患または真菌障害、マイコプラズマ疾患またはマイコプラズマ障害、壊疽、敗血症、プリオン疾患またはプリオン障害、インフルエンザ、結核、マラリア、後天性免疫不全症候群、および重症急性呼吸器症候群が含まれる。
【0246】
炎症性移植関連疾患または炎症性移植関連障害の非限定的な例には、移植片拒絶反応、慢性移植片拒絶反応、亜急性移植片拒絶反応、急性移植片拒絶反応、超急性移植片拒絶反応、および移植片対宿主病または移植片対宿主障害が含まれる。例示的な移植片には、プロテーゼ移植片、乳房移植片、シリコーン移植片、歯科インプラント、陰茎移植片、心臓移植片、人工関節、骨折修復装置、骨交換移植片、薬物送達移植片、カテーテル、ペースメーカー、人工心臓、人工心臓弁、薬物放出移植片、電極、および人工呼吸器チューブが含まれる。
【0247】
炎症性腫瘍の非限定的な例には、悪性腫瘍、良性腫瘍、固形腫瘍、転移性腫瘍、および非固形腫瘍が含まれる。
【0248】
炎症性肺疾患または炎症性肺障害の非限定的な例には、喘息、アレルギー喘息、気腫、慢性閉塞性肺疾患または慢性閉塞性肺障害、類肉腫症、および気管支炎が含まれる。
【0249】
増殖性疾患または増殖性障害の一例は癌である。
【0250】
任意で、炎症性疾患または炎症性障害は、酢酸グラチラマーによって治療されるような、医学分野において特徴付けられる疾患または障害である。任意で、炎症性疾患または炎症性障害は、多発性硬化症、大腸炎、マラリアに関連した炎症(例えば、大脳マラリア)、およびドライ型加齢黄斑変性からなる群より選択される。
【0251】
本明細書に記載の方法および治療レジメンの全てにおいて、VB-201は、任意に経口投与される。任意で、VB-201の投与量は1μg/日〜1グラム/日の範囲にある。任意で、投与されるVB-201投与量は、米国特許仮出願第61/292,226号および同第61/282,250号ならびに本願と同時出願された発明の名称「TREATMENT WITH VB-201」のPCT国際特許出願、代理人事件番号50377に記載の治療量である。前記の全ての開示は、本明細書において十分に示されるように参照により組み入れられる。
【0252】
従って、例えば、本発明の態様のこの局面の一部の態様において、投与されるVB-201投与量は、例えば、1日当たり10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、または100mgのVB-201である。
【0253】
本発明の態様のさらなる局面によれば、本明細書に記載の方法による使用のために、包装材料の中に入れられ、かつ包装材料の中または上で特定された薬が提供される。
【0254】
本発明の態様の一局面によれば、薬学的組成物は、(例えば、本明細書に記載のように)炎症性疾患または炎症性障害の治療のために、酢酸グラチラマーと併用するために特定される。
【0255】
治療的有効量のVB-201を含む薬学的組成物を製剤化するための適切な技法は、本明細書において十分に示されるように参照により組み入れられる、国際特許出願番号PCT/IL2004/000453(国際公開公報第04/106486号)に記載されている。
【0256】
任意の態様によれば、薬学的組成物は、VB-201の経口投与用に製剤化される。
【0257】
本発明の態様のさらなる局面によれば、VB-201以外の酸化型リン脂質を含む、本明細書に記載の方法および薬学的組成物が提供される。VB-201と構造上関連し、従って、類似の活性を示す適切な酸化型リン脂質は、例えば、本明細書において十分に示されるように参照により組み入れられる、国際特許出願PCT/IL2004/000453およびPCT/IL2009/001049(それぞれ、国際公開公報第2004/106486号および国際公開公報第2010/052718号)に記載されている。
【0258】
本態様は、前記の化合物(例えば、VB-201および他の酸化型リン脂質)の任意の鏡像異性体、ジアステレオマー、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、水和物、および溶媒和化合物をさらに含む。
【0259】
本発明の態様によるVB-201(1-ヘキサデシル-2-(4'-カルボキシブチル)-グリセロール-3-ホスホコリン)は、1-ヘキサデシル-2-(4'-カルボキシブチル)-グリセロール-3-ホスホコリンのキラル鏡像異性体、すなわち、(R)-鏡像異性体((R)-1-ヘキサデシル-2-(4'-カルボキシブチル)-sn-グリセロール-3-ホスホコリン)もしくは(S)-鏡像異性体((S)-1-ヘキサデシル-2-(4'-カルボキシブチル)-グリセロール-3-ホスホコリン)のいずれか、またはその混合物(例えば、ラセミ体)でもよい。例示的な態様によれば、VB-201は、(R)-1-ヘキサデシル-2-(4'-カルボキシブチル)-sn-グリセロール-3-ホスホコリンである。
【0260】
「プロドラッグ」という用語は、インビボで活性化合物(活性のある親薬物)に変換される薬剤を指す。プロドラッグは、典型的には、親薬物の投与を容易にするのに有用である。プロドラッグは、例えば、経口投与によって生物利用可能になり得るのに対して、親薬物は生物利用可能にならない。プロドラッグはまた、薬学的組成物において親薬物と比較して改善した溶解性を有することがある。プロドラッグはまた、インビボで活性化合物を徐放するために用いられることが多い。プロドラッグの一例は、1つまたは複数のカルボン酸部分を有し、エステル(「プロドラッグ」)として投与される本明細書に記載の化合物であるが、それに限定されるわけではない。このようなプロドラッグはインビボで加水分解され、それによって、遊離化合物(親薬物)が生じる。選択されたエステルは、プロドラッグの溶解特性および加水分解速度の両方に影響を及ぼすことがある。
【0261】
「薬学的に許容される塩」という句は、親化合物の荷電種およびその対イオンを指し、典型的には、投与された化合物の生物学的活性および生物学的特性を阻止せずに、親化合物の溶解特性を改変するために、および/または親化合物による生物への大きな刺激を低減するために用いられる。薬学的に許容される塩の一例は、カルボン酸アニオン、およびアンモニウム、ナトリウム、カリウムなどがあるが、これに限定されないカチオンであるが、それに限定されるわけではない。
【0262】
「溶媒和化合物」という用語は、溶質(本態様の化合物)および溶媒によって形成される様々な化学量論(例えば、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサなど)の複合体を指す。ここで、溶媒は溶質の生物学的活性を妨げない。適切な溶媒には、例えば、エタノール、酢酸などが含まれる。
【0263】
「水和物」という用語は、溶媒が水である、前記で定義された溶媒和化合物を指す。
【0264】
本明細書で使用する用語「約」という用語は±10%を指す。
【0265】
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびこれらの活用形は、「を含むが、これに限定されない(including but not limited to)」を意味する。
【0266】
「からなる(consisting of)」という用語は、「を含み、かつこれに限定される(including and limited to)」を意味する。
【0267】
「例示的な」という単語は、「一例として、実例として、または例示として役立つ」ことを意味するために本明細書において用いられる。「例示」として述べられた任意の態様は、必ずしも、他の態様より好ましい、もしくは有利であると解釈されるとは限らない、および/または他の態様からの特徴の組み込みを排除するとは限らない。
【0268】
「任意で」という単語は、「一部の態様において提供され、かつ他の態様において提供されない」ことを意味するために本明細書において用いられる。本発明の任意の特定の態様は、このような特徴が矛盾しない限り複数の「任意の」特徴を含んでもよい。
【0269】
本明細書で使用する単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、特に文脈によってはっきりと規定されていない限り複数の指示物を含む。例えば、「1つの化合物」または「少なくとも1つの化合物」という用語は、その混合物を含む複数の化合物を含んでもよい。
【0270】
本願全体を通じて、本発明の様々な態様は範囲の形で提示することができる。範囲の形での説明は単なる便宜および簡略のためのものであり、本発明の範囲に対する融通の利かない限定として解釈してはならないと理解されるはずである。従って、範囲の説明は、可能性のある全ての部分範囲(subrange)ならびにその範囲内にある個々の数値を具体的に開示したとみなされるはずである。例えば、1〜6などの範囲の説明は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの部分範囲、ならびにその範囲内にある個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示したとみなされるはずである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0271】
数値範囲が本明細書において示される時はいつでも、示された範囲の中にある引用された任意の数字(分数または整数)を含むことが意図される。1番目に示された数と2番目に示された数「との間に及んでいる/に及ぶ」、および1番目に示された数「から」2番目に示された数「に及んでいる/に及ぶ」という句は本明細書において同義に用いられ、1番目に示された数および2番目に示された数ならびにこの間にある全ての分数および整数を含むことが意図される。
【0272】
本明細書で使用する「方法」という用語は、化学、薬理学、生物学、生化学、および医学の当業者に公知の手法、手段、技法、および手順、または化学、薬理学、生物学、生化学、および医学の当業者によって、公知の手法、手段、技法、および手順から容易に開発される手法、手段、技法、および手順を含むが、これに限定されない、所定のタスクを達成するための手法、手段、技法、および手順を指す。
【0273】
本明細書で使用する「治療する」という用語は、状態の進行を妨げる、実質的に阻害する、遅延する、もしくは逆転させる、状態の臨床症状もしくは審美的症状を実質的に寛解させる、または状態の臨床症状もしくは審美的症状の出現を実質的に阻止することを含む。
【0274】
理解しやすくするために別々の態様の文脈において説明された本発明のある特定の特徴は、1つの態様において組み合わされて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために1つの態様の文脈において説明された本発明の様々な特徴は、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで、または本発明の他の任意の説明された態様において適切なように提供されてもよい。様々な態様の状況において説明された、ある特定の特徴は、これらの要素がなければ態様が機能しない限り、これらの態様の必須の特徴とみなしてはならない。
【0275】
前記で説明され、下記のクレームの項において請求される本発明の様々な態様および局面は、以下の実施例において実験上の裏付けを見出す。
【実施例】
【0276】
今から、以下の実施例について言及する。以下の実施例は、前記の説明と共に本発明の一部の態様を非限定的に例示する。
【0277】
材料および方法
材料:
アトルバスタチンはPfizerから入手した。
【0278】
エタノールはBio Labから入手した。
【0279】
PBS(ダルベッコリン酸緩衝食塩水)はBiological Industriesから入手した。
【0280】
VB-201を、0.5%エタノール(Bio-Lab, Israel)を含むリン酸緩衝食塩水(PBS)(Biological Industries, Israel)に2.7mg/mlの濃度で溶解した。
【0281】
大動脈病変面積の測定:
屠殺時に大動脈を収集した。Image-Pro Plusソフトウェア(Media Cybernetics)を用いて、病変組織に付着しているSudan IV染色液の強度をスキャンすることによって病変面積を求めた。大動脈(大動脈弓、胸大動脈、および腹大動脈)の3つの異なる切片において病変面積を計算した。総大動脈病変面積(3つ全ての切片にある病変面積の合計)を3つ全ての切片面積の合計に対するパーセントとして計算した。
【0282】
血漿コレステロールアッセイ:
血漿コレステロールレベルは、Bert W. Strassburger Lipid Center(Sheba Medical Center, Israel)において、Cobas Mira分析器(Roche)およびコレステロール試薬(Roche/Hitach)を用いて決定した。
【0283】
血液化学的性質アッセイ:
血液化学的性質は、Pathological Chemistry Institute Laboratory (Sheba Medical Center, Israel)によってAU2700(登録商標)分光光度計(Olympus)および適切なOlympus試薬を用いてアッセイした。評価したパラメータは、尿素、クレアチニン、グルコース、カリウム、ナトリウム、塩素イオン、総カルシウム、リン(phopshorus)、尿酸、ビリルビン、SGOT、SGPT、LDH、総CPK、CPK-MB、CK-MB%、総タンパク質、アルブミン、グロブリン、アルカリホスファターゼ、および重量オスモル濃度レベルであった。
【0284】
安全性評価:
VB-201レジメンの安全性および耐容性は、以下の測定値における異常知見の発生率を評価することによって判断した:
生命徴候:収縮期血圧および拡張期血圧、脈拍数、呼吸数、体温;
理学的検査;
12誘導心電図;
以下についての血液試料臨床検査:ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン濃度、赤血球数、白血球数、白血球百分率、血小板数、好中球数、LDL-コレステロールおよびHDL-コレステロール、総コレステロール、トリグリセリド、グルコース、尿素、ナトリウム、カリウム、クレアチニン、カルシウム、塩素イオン、無機リン酸、クレアチニンホスホキナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、アラニントランスアミナーゼ、γ-グルタミルトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、総タンパク質、アルブミン、総ビリルビンおよび間接型ビリルビン;
日常的な尿検査;ならびに
全ての有害事象が、Good Clinical Practiceの基準に従って、重篤とみなされるかどうか、治験薬との関連性があるかどうか。
【0285】
有害事象は、投与と有害事象の発生との間に妥当でない時間関係がない時、治療と有害事象との間に生物学的に妥当と思われる因果関係がない時、および/または有害事象の明らかに可能性の高い別の説明がある時はいつでも治療と関連性があると定義される。
【0286】
実施例1
アテローム性動脈硬化症に対するアトルバスタチンおよびVB-201の併用治療
雄のニュージーランドホワイトウサギ(hsdIF:NZ, Harlan)に高コレステロール飼料(0.5%w/wコレステロール)を14週間与えることによって、アテローム性動脈硬化症を誘導した。ウサギを、4つの治療群(1群当たり7匹または8匹の動物):a)アトルバスタチン治療;b)VB-201治療;c)アトルバスタチン+VB-201併用治療;およびd)0.5%エタノールを含むPBS(対照群)に割り当てた。
【0287】
飼料に50mg/kgアトルバスタチンを添加することによって、アトルバスタチンを投与した。これは、ウサギ1匹につき約125グラムの一日摂食量および2.5kgの平均体重に基づいて約2.5mg/kgの一日量に相当する。
【0288】
約4mg/kgの用量に相当する、1.5ml/kg体重の体積の原液(2.7mg/ml)を強制経口投与することによって、VB-201を毎日(5日/週)投与した。
【0289】
14週間の終わりに、ウサギを屠殺し、大動脈病変面積および血漿コレステロールレベルの測定ならびに日常的な血液化学的特性の評価(前記)によって治療効果を評価した。5週間の高コレステロール飼料後にも、血漿コレステロールレベルを決定した。
【0290】
図1に示したように、対照群と比較して、アトルバスタチン治療によって大動脈病変面積は33%小さくなり、VB-201治療によって大動脈病変面積は39%小さくなったのに対して、対照群と比較して、アトルバスタチン+VB-201併用治療によって大動脈病変面積は53%小さくなった。
【0291】
以下の表1に示したように、アトルバスタチンは(単独で、またはVB-201と組み合わせて)コレステロールレベルを大幅に低減したのに対して、VB-201それ自体はコレステロールレベルを低減しなかった。
【0292】
(表1)5週間または14週間の高コレステロール飼料後の平均コレステロールレベル

**統計的に有意である(対照と比較);
統計学的に有意でない(対照と比較)
【0293】
アトルバスタチンを与えた両群をひとまとめにして考えると、屠殺時の総血漿コレステロールレベルと病変面積との間に有意な(p<0.05)正の相関関係(R2=0.3)が示された。このことから、アトルバスタチンによる病変面積の縮小はコレステロールレベルの低減によるものであったことが分かる。
【0294】
以下の表2に示したように、アトルバスタチンは単独で投与されても(p<0.05対照と比較、SGPTレベルおよびアルカリホスファターゼレベルの両方)、VB-201と共に投与されても(p<0.05対照と比較、SGPTレベル)、SGPT(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)レベルおよびアルカリホスファターゼレベルを大幅に増加させたのに対して、VB-201は、SGPTレベルにもアルカリホスファターゼレベルにも明らかな効果がなく、アトルバスタチンによって誘導されるアルカリホスファターゼレベル増加を弱めるようにさえ見えた。
【0295】
(表2)14週間の高コレステロール後の平均SGPTレベルおよび平均アルカリホスファターゼレベル

【0296】
前記の結果から、VB-201はスタチンの治療機構であるコレステロールレベル低減に寄与しないが、驚いたことにかつ相乗的に、スタチンが病変成長を阻害する能力を増強することが分かる。
【0297】
さらに、前記の結果から、VB-201はアトルバスタチンより安全であり、VB-201とアトルバスタチンの同時投与はアトルバスタチンの有害な副作用を悪化せず、最小限にすることが分かる。
【0298】
実施例2
デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性大腸炎モデルにおける酢酸グラチラマーおよびVB-201による併用治療
炎症障害モデルとして役立つように、マウスにおいてデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を用いて大腸炎を誘導した。実験の0〜4日目、19〜23日目、および32〜36日目に、2%DSS溶液をマウス飲料水に入れて投与した。
【0299】
疾患誘導(すなわち、DSS投与の初日)の5日前から、0.04mg/kg、0.4mg/kg、または4mg/kgの一日量を強制経口投与することによってVB-201を投与した。別の治療では、0日目から毎日、マウス1匹につき2mgの酢酸グラチラマーを皮下投与した。各治療群には20匹のマウスが含まれた。負の対照として、疾患誘導の5日前から、強制経口投与によって15匹のマウスにビヒクル(0.5%エタノールを含むPBS)を投与した。正の対照として、疾患誘導の5日前から、強制経口投与によって8匹のマウスにDSS処置なしでビヒクル(0.5%エタノールを含むPBS)を投与し、5匹のマウスには全く治療をしなかった。マウスを39日目に屠殺し、マウスの大腸の長さおよび重量を測定した。
【0300】
以下の通りに、重量減少、便の硬さ、および出血の平均スコアに基づく疾患活動指数(DAI)に従って、マウスをスコア付けした。

【0301】
図2に示したように、酢酸グラチラマー治療によって生存率は23日目まで100%であり、39日目までに対照マウスの生存率より低い生存率まで減少した。これに対して、全ての試験用量のVB-201治療によって、39日目の生存率は少なくとも80%であった。
【0302】
同様に、図3に示したように、酢酸グラチラマーによって、マウスのDAIは約20日目(急性期)まで低減し、その後に低減しなかった。これに対して、全ての試験用量のVB-201によって、マウスDAIは約20日目(慢性期)の後に低減し、これより前に低減しなかった。
【0303】
さらに、VB-201は17〜24日目にわたって体重減少を軽減したのに対して、酢酸グラチラマーは8〜22日目にわたって体重減少を軽減した。
【0304】
図4に示したように、試験した全ての用量のVB-201が、DSSによって誘導される大腸長の短縮を部分的に逆転したのに対して、酢酸グラチラマーには効果がなかった。興味深いことに、0.04mg/kg VB-201による治療は、さらに高いVB-201用量より効果が高かった。
【0305】
図5に示したように、試験した全ての用量のVB-201が、DSSによって誘導される大腸重量/大腸長比の増加を部分的に逆転した。酢酸グラチラマーには類似の効果があった。
【0306】
前記の結果から、酢酸グラチラマーおよびVB-201には、互いに補う合う可能性のある異なる有益な効果があることが分かる。
【0307】
従って、前記のDSS誘導性大腸炎モデルを用いて、VB-201と酢酸グラチラマーの組み合わせの効果を試験した。1つの群には、疾患誘導の5日前から、強制経口投与によって一日量0.4mg/kgのVB-201を投与した。次の群には、0日目から、マウス1匹当たり2mgの一日量の酢酸グラチラマーを皮下投与した。もう1つの群には、前記のようにVB-201および酢酸グラチラマーを両方与えた。各治療群には20匹のマウスが含まれた。対照として、疾患誘導の5日前から、DSS処置マウス(20匹のマウス;負の対照)またはDSS処置のないマウス (7匹のマウス;正の対照)に強制経口投与によってビヒクル(0.5%エタノールを含むPBS)を投与した。
【0308】
図6に示したように、VB-201と酢酸グラチラマーの組み合わせは、DSSによって誘導される大腸長の短縮を、VB-201単独または酢酸グラチラマー単独よりかなり大きく逆転した。(DSS誘導性大腸炎を有する対照マウスと比較した)VB-201+酢酸グラチラマーを用いて得られた大腸長の増加は、VB-201単独および酢酸グラチラマー単独を用いて得られた大腸長の増加の合計より大きかった。
【0309】
前記の結果から、VB-201および酢酸グラチラマーの組み合わせは相乗的な抗炎症作用を示すことが分かる。
【0310】
実施例3
高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベルの高い患者におけるVB-201とスタチンの効力
実施例1に示したように、VB-201とスタチンの組み合わせを用いた治療はアテローム性動脈硬化症に対して特に有効である。さらに、VB-201は、健常ヒトにおいて、炎症マーカーであるC反応性タンパク質(CRP)レベルの低減において有効であることが以前に示された。従って、スタチンを用いて治療された患者においてVB-201が炎症を低減する効力を調べる。
【0311】
CRPレベルが高く、VB-201と併用スタチンが与えられた対象において、スタチンのみが与えられた対象と比較して無作為化二重盲式第II相試験が行われる。
【0312】
2回の別々の試験において(高感度CRPアッセイによって求められた)CRPレベルが2〜10mg/lであり、安定した高用量のスタチンが少なくとも3ヶ月間与えられている対象が選択される。高用量のスタチンには、>20mg/日アトルバスタチンまたは>10mg/日ロスバスタチンまたは>40mg/日シンバスタチンが含まれる。
【0313】
スクリーニングおよびベースライン確立の後に、5mg/日、20mg/日、40mg/日、80mg/日、120mg/日、もしくは240mg/日のVB-201、またはプラセボを4週間与えるために、資格のある対象が無作為に割り当てられる。用量は朝食時に経口投与される。試験参加前に用いられた同用量のスタチンを、全ての対象に与え続ける。
【0314】
プラセボと比較した、それぞれの投与量レベルのVB-201の効力は、2週目、4週目、および8週目に、高感度CRPアッセイ値の絶対値およびベースラインからのパーセント変化を測定することによって決定される。
【0315】
さらなる基準には、2週目、4週目、および8週目での、さらなる炎症バイオマーカー(例えば、IL-1β、IL-6、IL-12、IL-17、IL-22、IL-23、IFN-α、IFN-γ、TNF-α、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、IL-12 p40、IL-12 p70、MPO、SAA、および/またはIL-8)のレベルのベースラインからの変化が含まれる。
【0316】
VB-201投与の安全性は、理学的検査、有害作用の発生率、生命徴候、臨床化学、血液学、尿検査、および心電図によって前記のように評価される。
【0317】
統計比較は、5%有意水準での両側比較を用いて行われる。
【0318】
本発明は本発明の特定の態様と共に説明されたが、多くの選択肢、変更、およびバリエーションが当業者に明らかなことは明白である。従って、添付のクレームの精神および広い範囲の中にあるこのような全ての選択肢、変更、およびバリエーションを含むことが意図される。
【0319】
本明細書において述べられた全ての刊行物、特許、および特許出願は、その全体が、個々のそれぞれの刊行物、特許、または特許出願が本明細書に参照により組み入れられるように詳細かつ個別に示されるのと同じ程度に本明細書に参照により組み入れられる。さらに、本願における任意の参考文献の引用または特定は、このような参考文献が本発明の先行技術として利用できることが認められると解釈されないものとする。節の見出しが用いられる範囲内で、これらは必ず限定するものであると解釈してはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心血管疾患を治療する必要のある対象において心血管疾患を治療する方法であって:
a)治療的有効量のスタチンを対象に投与する工程;
b)該治療的有効量のスタチンに対する対象の応答性を決定する工程であって、それによって、対象が該治療的有効量に対して十分に応答しないかどうか決定する、工程;および
c)対象が該治療的有効量に対して十分に応答しないと決定されたら、治療的有効量のVB-201を対象に投与する工程を含み、
それによって、心血管疾患を治療する、方法。
【請求項2】
治療的有効量より多い投与量のスタチンの有害作用に対して対象が脆弱であるかどうか決定する工程、および治療的有効量のVB-201を、該治療的有効量のスタチンに十分に応答しない該対象に投与する工程であって、該対象が、該治療的有効量より多い投与量のスタチンの該有害作用に対して脆弱である、工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
治療的有効量より多い投与量のスタチンの有害作用に対して対象が脆弱であるかどうか決定する工程が、該治療的有効量より多い投与量の該スタチンを該対象に投与し、該対象における該有害作用を特定することによって行われ、該対象に投与される該スタチンの投与量を該治療的有効量まで低減する工程をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
治療的有効量より多い投与量のスタチンの有害作用に対して対象が脆弱であるかどうか決定する工程が、該スタチンの最大許容投与量の50%〜100%の範囲にある治療的有効量の該スタチンを投与することによって行われる、請求項2記載の方法。
【請求項5】
最大許容投与量が、FDA最大推奨投与量および欧州医薬品庁最大推奨投与量からなる群より選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチンからなる群より選択される、請求項4記載の方法。
【請求項7】
有害作用が、高い肝臓酵素レベル、筋肉痛、筋痙攣、多発ニューロパチー、筋炎、ミオパチー、横紋筋融解症、および急性腎不全からなる群より選択される、請求項2〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象が、該治療的有効量の該スタチンの投与後、1.1mg/L以上のhs-CRPレベルにより特徴付けられる、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象が、該治療的有効量の該スタチンの投与後、予め決められたカットオフレベルを上回る低密度リポタンパク質(LDL)レベルにより特徴付けられ、該カットオフレベルは70〜190mg/dLの範囲にある、かつ/または該治療的有効量の該スタチンの投与前の該対象における低密度リポタンパク質(LDL)レベルの50%〜65%の範囲にある、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
予め決められたカットオフレベルが、高い心血管事象リスクにより特徴付けられる対象では70mg/dLである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
対象が糖尿病により特徴付けられ、かつ予め決められたカットオフレベルが70〜80mg/dLの範囲にある、かつ/または前記治療的有効量のスタチンの投与前の該対象における低密度リポタンパク質(LDL)レベルの65%である、請求項9記載の方法。
【請求項12】
予め決められたカットオフレベルが、血管事象の既往および/または証明された心血管疾患により特徴付けられる対象では100mg/dLである、請求項9記載の方法。
【請求項13】
予め決められたカットオフレベルが、少なくとも2つの心血管疾患リスク因子により特徴付けられる対象では100〜130mg/dLの範囲にある、請求項9記載の方法。
【請求項14】
予め決められたカットオフレベルが、2つより少ない心血管疾患リスク因子により特徴付けられる対象では130〜190mg/dLの範囲にある、請求項9記載の方法。
【請求項15】
カットオフレベルが、治療的有効量のスタチン投与前の対象における低密度リポタンパク質(LDL)レベルの50%である、請求項9〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象が、該治療的有効量の該スタチンの投与後、少なくとも200mg/dLのLp-PLA2レベルにより特徴付けられる、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象が、該治療的有効量の該スタチンの投与後、少なくとも125mg/dLのアポリポタンパク質B100レベルにより特徴付けられる、請求項1〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象が、該治療的有効量の該スタチンの投与後、100mg/dL未満のアポリポタンパク質Aレベルにより特徴付けられる、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象が、該治療的有効量の該スタチンの投与後、少なくとも150mg/dLの血中トリグリセリドレベルにより特徴付けられる、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象が、該治療的有効量の該スタチンの投与後、少なくとも30mg/dLのリポタンパク質(a)レベルにより特徴付けられる、請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象が、該治療的有効量の該スタチンの投与後、男性対象の場合は45mg/dL未満の高密度リポタンパク質(HDL)レベル、または女性対象の場合は55mg/dL未満の高密度リポタンパク質(HDL)レベルにより特徴付けられる、請求項1〜20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
治療的有効量のスタチンに十分に応答しない対象が、該治療的有効量の該スタチンの投与後、心血管疾患の進行により特徴付けられる、請求項1〜21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
対象において投与するためのVB-201の治療的有効量を決定する方法であって:
a)ある投与量のVB-201を対象に投与する工程;
b)該投与量のVB-201に対する対象の応答性を決定する工程であって、それによって、対象が該投与量のVB-201に十分に応答しないかどうか決定する工程;ならびに
c)該対象が十分に応答するまで、および/または最大投与量に達するまで、該対象に投与されるVB-201の該投与量を段階的に増大させる工程を含み、
それによって、対象において投与するためのVB-201の治療的有効量を決定する、方法。
【請求項24】
ある投与量のVB-201が投与された対象において起こる有害作用をモニタリングする工程であって、最大投与量が該対象の最高耐性投与量である、工程をさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
最大投与量は、それに対する対象の応答性が、さらに高い投与量に対する該対象の応答性と少なくとも同程度である投与量である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
ある投与量のVB-201が投与された対象において起こる有害作用をモニタリングする工程であって、最大投与量が該対象の最高耐性投与量である、かつ/または、それに対する該対象の応答性が、さらに高い投与量に対する該対象の応答性と少なくとも同程度である投与量である、工程をさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項27】
ある投与量に対する対象の応答性を決定する工程が、炎症バイオマーカーの存在および/またはレベルを決定する工程を含む、請求項23〜26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
炎症バイオマーカーが高いhs-CRPレベルである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
高いhs-CRPレベルが1.1mg/L以上である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
投与量を段階的に増大させる工程が、該投与量を25%〜300%増加させる工程を含む、請求項23〜29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
対象において投与するためのVB-201の治療的有効量が、炎症性疾患または炎症性障害を治療するための治療的有効量であり、かつ前記応答性は該疾患または障害の症状を緩和することを含む、請求項23〜30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
対象において投与するためのVB-201の治療的有効量が、心血管疾患または心血管障害を治療するための治療的有効量であり、かつ前記応答性は該疾患または障害の症状を緩和することを含む、請求項23〜30のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
ある投与量のVB-201が、さらなる治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与され、かつ対象において投与するためのVB-201の治療的有効量は、該さらなる治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与するための治療的有効量である、請求項23〜31のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
さらなる治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与するためのVB-201の治療的有効量を決定する方法であって:
a)治療的有効量の該さらなる治療上活性のある薬剤を用いて治療されている対象に、異なる投与量のVB-201を投与する工程であって、該対象は、該治療的有効量の該治療上活性のある薬剤に十分に応答しないと決定されており、該対象の一部にはVB-201の代わりにプラセボが投与される、工程;
b)該治療的有効量の該治療上活性のある薬剤と組み合わせた該投与量のVB-201または該プラセボに対する該対象の応答性をモニタリングする工程;および
c)該治療的有効量の該治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与された該投与量のVB-201に該対象が応答性になる、少なくとも1つのVB-201投与量を特定する工程を含み、
それによって、さらなる治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与するためのVB-201の治療的有効量を決定する、方法。
【請求項35】
治療的有効量の治療上活性のある薬剤と共に、ある投与量のVB-201が投与された対象において起こる有害作用をモニタリングする工程であって、該治療的有効量の該治療上活性のある薬剤と組み合わせて投与された該投与量のVB-201が該対象において有害作用を増加しないように、該対象が応答性になる少なくとも1つのVB-201投与量が選択される、工程をさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
治療上活性のある薬剤の治療的有効量が、該治療上活性のある薬剤の最大許容投与量の少なくとも25%である、請求項34〜35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
最大許容投与量が、FDA最大推奨投与量および欧州医薬品庁最大推奨投与量からなる群より選択される、請求項36載の方法。
【請求項38】
さらなる治療上活性のある薬剤が、心血管疾患を治療するための薬剤である、請求項34〜37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
さらなる治療上活性のある薬剤がスタチンである、請求項34〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチンからなる群より選択される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
スタチンが、アトルバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチンからなる群より選択される、請求項39記載の方法。
【請求項42】
治療的有効量の治療上活性のある薬剤に対する対象の応答性およびある投与量のVB-201と該治療的有効量の該治療上活性のある薬剤の組み合わせに対する対象の応答性が、心血管疾患の進行が無いことによって特徴付けられる、請求項38〜41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
治療的有効量の治療上活性のある薬剤に対する対象の応答性およびある投与量のVB-201と該治療的有効量の該治療上活性のある薬剤の組み合わせに対する対象の応答性が、炎症バイオマーカーレベルの低減によって特徴付けられる、請求項34〜42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
応答性が、1.1mg/L未満のhs-CRPレベルによって特徴付けられる、請求項43記載の方法。
【請求項45】
VB-201の投与量が1μg/日〜1グラム/日の範囲にある、請求項34〜44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
炎症性疾患または炎症性障害を治療する方法であって、治療的有効量のVB-201および治療的有効量の酢酸グラチラマーを同時投与する工程を含み、それによって、炎症性疾患または炎症性障害を治療する、方法。
【請求項47】
VB-201の治療的有効量が1μg/日〜1グラム/日の範囲にある、請求項46記載の方法。
【請求項48】
酢酸グラチラマーの治療的有効量が2〜200mg/日の範囲にある、請求項46〜47のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
炎症性疾患または炎症性障害の治療のための、酢酸グラチラマーとの併用用の、VB-201を含む薬学的組成物であって、包装材料の中に入れられ、かつ該包装材料の中または上で特定されている、薬学的組成物。
【請求項50】
100mgを超えるVB-201および薬学的に許容される担体を含み、経口投与用に製剤化された、薬学的組成物単位剤形。
【請求項51】
炎症性疾患または炎症性障害を治療または予防するための医用薬剤の単位剤形であって、100mgを超えるVB-201を含み、かつ経口投与用に製剤化された、単位剤形の製造におけるVB-201の使用。
【請求項52】
単位剤形が101mg〜1グラムのVB-201を含む、請求項50〜51のいずれか一項記載の薬学的組成物単位剤形または使用。
【請求項53】
単位剤形が約120mgのVB-201を含む、請求項52記載の薬学的組成物単位剤形または使用。
【請求項54】
単位剤形が約240mgのVB-201を含む、請求項52記載の薬学的組成物単位剤形または使用。
【請求項55】
炎症性疾患または炎症性障害の治療または予防における使用のための、包装材料の中に入れられ、かつ該包装材料の中または上で印刷により特定されている、請求項50および52のいずれか一項記載の薬学的組成物単位剤形。
【請求項56】
炎症性疾患または炎症性障害を治療または予防する方法であって、炎症性疾患または炎症性障害を治療または予防する必要のある対象に、治療的有効量のVB-201を経口投与する工程であって、該治療的有効量が100mg/日を超える、工程を含む、方法。
【請求項57】
治療的有効量が101mg〜1グラム/日の範囲である、請求項56記載の方法。
【請求項58】
治療的有効量が約120mg/日である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
治療的有効量が約160mg/日である、請求項57記載の方法。
【請求項60】
治療的有効量が約240mg/日である、請求項57記載の方法。
【請求項61】
投与する工程が1日に少なくとも2回行われる、請求項56〜60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
請求項50および52〜55のいずれか一項記載の薬学的組成物単位剤形の単位を投与する工程を含む、請求項56〜61のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
炎症性疾患または炎症性障害が内因性酸化脂質と関連している、請求項51および55〜62のいずれか一項記載の薬学的組成物単位剤形、使用、または方法。
【請求項64】
炎症性疾患または炎症性障害が、特発性炎症性疾患または特発性炎症性障害、慢性炎症性疾患または慢性炎症性障害、急性炎症性疾患または急性炎症性障害、自己免疫疾患または自己免疫障害、感染性疾患または感染性障害、炎症性悪性疾患または炎症性悪性障害、炎症性移植関連疾患または炎症性移植関連障害、炎症性変性疾患または炎症性変性障害、過敏症に関連した疾患または障害、炎症性心血管疾患または炎症性心血管障害、炎症性脳血管疾患または炎症性脳血管障害、末梢血管疾患または末梢血管障害、炎症性腺疾患または炎症性腺障害、炎症性胃腸疾患または炎症性胃腸障害、炎症性皮膚疾患または炎症性皮膚障害、炎症性肝臓疾患または炎症性肝臓障害、炎症性神経学的疾患または炎症性神経学的障害、炎症性筋肉-骨疾患または炎症性筋肉-骨障害、炎症性腎臓疾患または炎症性腎臓障害、炎症性生殖疾患または炎症性生殖障害、炎症性全身疾患または炎症性全身障害、炎症性結合組織疾患または炎症性結合組織障害、炎症性腫瘍、壊死、炎症性移植片関連疾患または炎症性移植片関連障害、炎症性加齢プロセス、免疫不全疾患または免疫不全障害、増殖性疾患または増殖性障害、ならびに炎症性肺疾患または炎症性肺障害からなる群より選択される、請求項51および55〜62のいずれか一項記載の薬学的組成物単位剤形、使用、または方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−516457(P2013−516457A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547588(P2012−547588)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【国際出願番号】PCT/IL2011/000010
【国際公開番号】WO2011/083467
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512176406)バスキュラー バイオジェニックス リミテッド (5)
【Fターム(参考)】