説明

VCAM−1に特異的に結合し、白血球と内皮細胞間の接合及び透過を阻害する組換えヒト単一クローン抗体

本発明は、ヒト血管細胞接合分子−1(VCAM−1)に特異的に結合して白血球及び活性化された内皮細胞間の接合及び前記活性化された内皮細胞への白血球の透過を阻害することを特徴とする組換えヒト単一クローン抗体及びそれを含む炎症性疾患または癌の予防及び治療用組成物に関する。本発明による組換えヒト単一クローン抗体は、ヒト内皮細胞で発現されたVCAM−1に対して強い親和力を示し、VCAM−1で媒介される白血球及び活性化された内皮細胞間の接合及び前記活性化された内皮細胞への白血球の透過を効果的に阻害するので、喘息及び関節炎のような炎症性疾患、臓器移植拒否、心血管疾患及び癌のような疾患の予防及び治療に使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト血管細胞接合分子−1(VCAM−1)に特異的に結合して白血球と活性化された内皮細胞との間の接合及び前記活性化された内皮細胞への白血球の透過を阻害する組換えヒト単一クローン抗体、並びにこれを含む炎症性疾患または癌の予防及び治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
白血球を含む兔疫細胞などは、血管から組織へ移動する間、活性化された内皮細胞を通過して免疫反応を起こすようになり、このような白血球の内皮細胞への接合と組織への移動にはインテグリン(integrin)、セレクチン(selectin)、ICAM(intracellular adhesion molecule)、VCAM(vascular cell adhesion molecule)などの多くの細胞接合分子(CAMs)が関与する。細胞接合分子は、機能的に白血球と内皮細胞間の相互作用に関与するセレクチン類、白血球の内皮細胞への接合に関与するインテグリン類、そして、ICAM、VCAMのような兔疫グロブリンなどに分けられる。これらの細胞接合分子などは、免疫作用、炎症、血栓症のような多くの生理反応に重要な役割を果たしている。
【0003】
VCAM−1は好中球を除いたほとんどの白血球の表面に発現されるインテグリン(VLA−4)と相互作用する血管内皮細胞接合分子の一種である。VCAM−1は炎症信号などによって発現され、白血球の血管内皮細胞への付着を固定させ、以後、白血球のダメージ組織への血管外遊出(transendothelial migration)を誘発する。
【0004】
VCAM−1−VLA−4相互作用に対する最近の関心にもかかわらず、VCAM−1を中和させる抗体の開発は盛んに研究されていない。最近、マウスVCAM−1に対する単一クローン抗体であるM/K−2.7が開発され、コラーゲン誘導性関節炎マウスモデルにおいて関節炎を抑制する効果を示したが、この抗体はマウスモデルのみに特異的であるので、臨床適用のための抗体の有用性がさらに研究されなければならない。
【0005】
また、VCAM−1は、IgG−類似ドメインの7つから構成され、ドメイン1とドメイン4のリガンドであるインテグリン(α4β1またはα4β7)と結合する時、実質的にドメイン1とドメイン4が関与する(1995, PNAS, 92:p5714; 1995, The journal of immunology, 155: p3135 et al.)。
【0006】
このような観点で、VCAM−1抗原とインテグリンとの間の相互作用を阻害して白血球の内皮細胞への接合及び透過を効果的に阻害しながら、免疫原性リスクを最小限に抑えることができる完全ヒト単一クローン抗体の開発が至急である。
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明者らは、ヒト内皮細胞の表面に発現されたVCAM−1を特異的に認識し、VCAM−1抗原のドメイン1または2に結合しながらU937前単核白血球(promonocytic leukocyte)及び活性化された内皮細胞間の相互作用を阻害する強い活性を有するヒト由来の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)ドメインを有したヒトVCAM−1に特異的な組換えヒト単一クローン抗体を開発し、本発明を完成するようになった。
【0008】
本発明の目的は、ヒト血管細胞接合分子−1(VCAM−1)に特異的に結合して白血球及び活性化された内皮細胞との間の接合並びに前記活性化された内皮細胞への白血球の透過を阻害することを特徴とする組換えヒト単一クローン抗体を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、炎症性疾患または癌が疑われる個体の生物学的試料で組換えヒト単一クローン抗体とVCAM−1との間の抗原−抗体反応を介して検出する段階を含む炎症性疾患、心血管疾患や癌の診断に必要な情報の提供方法を提供することである。
【0010】
本発明のまだ別の目的は、組換えヒト単一クローン抗体を用いて白血球と活性化された内皮細胞の間の接合及び前記活性化された内皮細胞への白血球の透過を阻害する方法を提供することである。
【0011】
本発明のまだ別の目的は、組換えヒト単一クローン抗体を含む炎症性疾患、心血管疾患や癌の診断用組成物を提供することである。
【0012】
本発明のまだ別の目的は、組換えヒト単一クローン抗体及び薬剤学的に許容可能な担体を含む炎症性疾患、心血管疾患や癌の予防または治療用組成物を提供することである。
【0013】
本発明のまだ別の目的は、炎症性疾患や癌の予防または治療用組成物を投与する段階を含む炎症性疾患、心血管疾患や癌の治療方法を提供することである。
【0014】
本発明による組換えヒト単一クローン抗体は、ヒト内皮細胞で発現されたVCAM−1に対して強い親和力を示し、VCAM−1で媒介される白血球と活性化された内皮細胞との間の接合及び前記活性化された内皮細胞への白血球の透過を効果的に阻害するので、喘息及び関節炎のような炎症性疾患、臓器移植拒否、心血管疾患及び癌のような疾患の予防及び治療に有用に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による組換えヒト単一クローン抗体の可変領域のアミノ酸配列を示したものである。
【図2】図2は、ヒトVCAM−1ドメインによって抗原に特異的な抗VCAM−1ヒト単一クローン抗体などの抗原に対する親和度を示したELISA(Enzyme-linked immuno-sorbent assay)の結果であり、ここで、VD2は、組換えヒトVCAM−1ドメインD1−D2/Fcキメラを示し、VD4は、組換えヒトVCAM−1ドメインD11−D44/Fcキメラを示し、VD7は、組換えヒトVCAM−1ドメインD1−D7/Fcキメラを示したものである。
【図3】図3は、ヒトVCAM−1抗原に特異的な抗VCAM−1ヒト単一クローン抗体などの抗原に対する結合能または親和度を示したものであって、ビアコア(BIACORE AB, Sweden)を用いて抗原−抗体親和度を1:1結合モード方法で測定し、該当抗原−抗体間の親和度定数であるKD値を計算した。
【図4】図4は、抗VCAM−1ヒト単一クローン抗体によって精製されたヒト組換えVCAM−1抗原とヒト白血球細胞間の接合阻害能を分析したものであって、抗体を処理しない群に比べて蛍光強度がどのくらい減少したかを計算して阻害能を決定した。
【図5】図5は、TNF−α(Tumor necrosis factor-α)によって活性化されたヒト内皮細胞とヒト白血球細胞間の接合に対する抗VCAM−1ヒト単一クローン抗体の阻害能を分析した結果であって、抗体を処理しない群に比べて蛍光強度がどのくらい減少したかを計算して阻害能程度を決定した。
【図6】図6は、TNF−α(Tumor necrosis factor-α)によって活性化されたヒト内皮細胞の間をヒト白血球細胞が透過することに対する抗VCAM−1ヒト単一クローン抗体の阻害能を分析した結果であって、抗体を処理しない群に比べて透過した白血球細胞の数がどのくらい減少したかを測定して阻害能を決定した。
【図7】図7は、本発明の一実施形態によるRhoA(Ras homolog gene family,member A)活性阻害能を分析した結果を示した図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態によるROS(Reactive oxygen species)活性阻害能を分析した結果を示した図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態による内在化(internalization)確認実験結果を示したものである。
【図10】図10は、本発明の一実施形態による組換えヒト単一クローン抗体の重鎖配列及びCDR配列を示す。
【図11】図11は、本発明の一実施形態による組換えヒト単一クローン抗体の軽鎖配列及びCDR配列を示す。
【図12】図12は、本発明の一実施形態による動物実験の概要を示した模式図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態によるインビトロ(in vitro)付着分析を介したVCAM−1Abの炎症細胞付着抑制効果を分析した結果を示したものである。(A)付着した単核球細胞数のグラフ(B)代表写真。
【図14】図14は、本発明の一実施形態によるインビトロ透過分析を介したVCAM−1Abの炎症細胞透過抑制効果を分析した結果を示したものである。(A)4時間後に透過された細胞数のグラフ(B)18時間後に透過された細胞数のグラフ。
【図15】図15は、本発明の一実施形態によるVCAM−1Ab(7HT)のインビボ(in vivo)結合力テストのためのエンフェース(en face)共焦点顕微鏡の結果を示したものである。(A)PBS、(B)高用量対照群抗体、(C)低用量VCAM−1抗体、(D)高用量VCAM−1抗体。
【図16】図16は、本発明の一実施形態によるマウスの体重変化及び飼料消費量の変化を測定した結果を示したものである。
【図17】図17は、本発明の一実施形態によるマウス血液分析結果を示したものである。(A)総コレステロール水準(T−CHO)、HDL−コレステロール水準(HDL−C)及びLDL−コレステロール水準(LDL−C)。(B)トリグリセリド水準(TG)及びグルコース水準(GLU)。(C)グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ水準(GOT)及びグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ水準(GPT)。(D)アルブミン水準(ALB)。
【図18】図18は、本発明の一実施形態による大動脈弓に形成された粥状硬化斑の確認及びそのサイズを測定した結果を示したものである。
【図19】図19は、本発明の一実施形態による大動脈に形成された粥状硬化斑のエンフェース技法を介して病変を分析した結果をグラフで示したものである。
【図20】図20は、本発明の一実施形態による大動脈に形成された粥状硬化斑のエンフェース技法を介して病変を分析した結果を示したグラフである。
【図21】図21は、本発明の一実施形態によるVCAM−1抗体投与による毒性可否を確認するための肝臓切片のH&E染色による病理学的分析結果を示したものである。
【図22】図22は、本発明の一実施形態によるVCAM−1抗体投与による毒性可否を確認するための腎臓切片のH&E染色による病理学的分析結果を示したものである。
【図23】図23は、本発明の一実施形態によるVCAM−1抗体投与による毒性可否を確認するための脾臓切片のH&E染色による病理学的分析結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明する。しかし、下記の実施例はただ本発明を例示するための目的として提供されるものであって、それに応じて本発明の内容が実施例に限定されるのではない。
【0017】
前記の目的を達成するための一つの態様において、本発明は、ヒト血管細胞接合分子−1(VCAM−1)に特異的に結合して白血球及び活性化された内皮細胞の間の接合並びに前記活性化された内皮細胞への白血球の透過を阻害することを特徴とする組換えヒト単一クローン抗体に関する。
【0018】
下記用語の定義は、本明細書をより深く理解するようにするために提供されるものであって、本願で使用された用語は、ただ特定実施形態を記述するためのものであり、これらの用語に限定することに意図されない。本明細書及び添付された特許請求の範囲で使用された単数形の用語は、文脈的で明確に別に指示しない限り複数の指示対象を含むことを周知しなければならない。
【0019】
本明細書で使用される用語“抗体”とは、特定抗原と免疫学的に反応する兔疫グロブリン分子に対する言及を含み、多クーロン抗体及び単一クローン抗体を全て含む。また、前記用語は、キメラ性抗体(例えば、ヒト化ミューリン抗体)及びヘテロ共役抗体(例えば、二重特異性抗体)のような遺伝工学によって生産された形態を含む。
【0020】
また、用語“抗体”は、抗原結合能力を有する断片(例えば、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fv及びrIgG)を含む、抗体の抗原結合形態を含む。また、前記用語は、組換え単一鎖Fv断片(scFv)を指す。また、用語“抗体”とは、二価または二重特異性分子、ダイアボディー、トリアボディー及びテトラボディーを含む。二価及び二重特異性分子は、例えば、Kostelny et al. (1992, J. Immunol. 148:15467), Pack and Pluckthun (1992, Biochemistry 31:1579), Hollinger et al. (1993, supra), Gruber et al. (1994, J. Immunol.: 5368), Zhu et al. (1997, Protein Sci. 6:781), Hu et al. (1996, Cancer Res. 56:3055), Adams et al. (1993, Cancer Res. 53:4026 and McCartney et al. (1995, Protein Eng. 8:301)に記述されている。
【0021】
また、本明細書で使用される用語“単一クローン抗体”とは、実質的に同一の抗体集団から得られた抗体分子を指し、このような単一クローン抗体は、特定エピトープに対して単一結合特異性及び親和度を示す。
【0022】
典型的に、兔疫グロブリンは重鎖及び軽鎖を持つ。各々の重鎖及び軽鎖は、不変領域及び可変領域(前記領域は、“ドメイン”としてまた知られている)を含む。軽鎖及び重鎖の可変領域は、“相補性決定領域”(以下、“CDR”という)と呼ばれる3つの高度可変領域及び4つの“構造領域”を含む。前記CDRは、主に抗原のエピトープに結合する役割を果たす。各々の鎖のCDRは、典型的にN−末端から始めて順次にCDR1、CDR2、CDR3と呼ばれ、また、特定CDRが位置している鎖によって識別される。
【0023】
また、本願で使用される用語“ヒト化抗体”とは、ヒト兔疫グロブリンから由来する分子であって、相補性決定領域及び構造領域を含む抗体を構成するすべてのアミノ酸配列全体がヒトの兔疫グロブリンから構成されていることを意味する。用語、“組換えヒト単一クローン抗体”とは、ヒト兔疫グロブリンから由来する単一分子組成の抗体分子を指す。
【0024】
ヒト化抗体は、一般的にヒトの治療に使用するのに当たって少なくとも3つ以上の潜在的な利点を持つ。先ず、これはヒト免疫体系とより良好に相互作用して、例えば、補体−依存性細胞毒性(CDC)または抗体−依存性細胞性細胞毒性(ADCC)によって目的細胞をより効率的に破壊する。第二に、ヒト免疫体系は前記抗体を異物として認識しない。第三に、ヒト循環系内半減期が天然発生ヒト抗体と似ているため、より少ない量、より少ない頻度の薬物を投与することができるようにする。従って、本発明によるヒト単一クローン抗体などは、ヒト内皮細胞に発現されたVCAM−1に対して強い親和力を示し、VCAM−1を発現する活性化された内皮細胞に白血球が接合することを効果的に阻害する。それだけでなく、重鎖及び軽鎖ドメインのすべてがヒト由来であるから低い免疫原性を示すので、本発明によるヒト単一クローン抗体は、炎症性疾患または癌の治療に使用されることができ、前記炎症性疾患は、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患、大腸疾患、動脈硬化、及び心筋梗塞から選択されることができ、好ましくは、喘息、糖尿病、ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、敗血症、内毒素ショック、血流力学ショック、敗血症症侯群、虚血性再灌流損傷、マラリア感染、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症疾病、カヘキシー、移植拒否、癌、自己免疫疾病、エイズ関連日和見感染症、関節炎、リウマチ性脊椎炎、痛風、強直性痛風炎、クローン疾病、潰瘍性膀胱三角炎、多発性硬化症、癩性結節性紅斑(ENL)、放射線障害及び酸素過多性肺胞損傷からなる群から選択され得る。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR1;配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR2;及び配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域を含むことができる。一方、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、前記の相補性決定領域(CDR)に公知の治療用抗体の構造領域(FR)を接合させて製造することができる。より好ましくは、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号1で定義される重鎖アミノ酸配列を含む組換えヒト単一クローン抗体であり得る(図1参照)。
【0026】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1;配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR2;及び配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含むことができる。一方、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、前記の相補性決定領域(CDR)に公知の治療用抗体の構造領域(FR)を接合させて製造することができる。より好ましくは、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号5で定義される軽鎖アミノ酸配列を含む組換えヒト単一クローン抗体であり得る(図1参照)。
【0027】
より好ましくは、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、前記の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域をすべて含むヒト単一クローン抗体であるかも知れない。すなわち、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号2で定義された重鎖CDR1;配列番号3で定義された重鎖CDR2;及び配列番号4で定義された重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号6で定義された軽鎖CDR1;配列番号7で定義された軽鎖CDR2;及び配列番号8で定義された軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含むことができる。一方、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、前記の相補性決定領域(CDR)に公知の治療用抗体の構造領域(FR)を接合させて製造することができる。最も好ましくは、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号1で定義された重鎖アミノ酸配列と配列番号5で定義された軽鎖アミノ酸配列を含む組換えヒト単一クローン抗体であり得る(図1参照)。
【0028】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2;及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域を含むことができる。一方、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、前記の相補性決定領域(CDR)に公知の治療用抗体の構造領域(FR)を接合させて製造することができる。より好ましくは、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号9で定義される重鎖アミノ酸配列を含む組換えヒト単一クローン抗体であり得る(図10参照)。
【0029】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR1;配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR2;及び配列番号16のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含むことができる。一方、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、前記の相補性決定領域(CDR)に公知の治療用抗体の構造領域(FR)を接合させて製造することができる。より好ましくは、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号13で定義される軽鎖アミノ酸配列を含む組換えヒト単一クローン抗体であり得る(図11参照)。
【0030】
より好ましくは、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、前記の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域をすべて含むヒト単一クローン抗体であるかも知れない。すなわち、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号10で定義された重鎖CDR1;配列番号11で定義された重鎖CDR2;及び配列番号12で定義された重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号14で定義された軽鎖CDR1;配列番号15で定義された軽鎖CDR2;及び配列番号16で定義された軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含むことができる。一方、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、前記の相補性決定領域(CDR)に公知の治療用抗体の構造領域(FR)を接合させて製造することができる。最も好ましくは、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号9で定義された重鎖アミノ酸配列と配列番号13で定義された軽鎖アミノ酸配列を含む組換えヒト単一クローン抗体であり得る(図11参照)。
【0031】
これに関して、前記組換えヒト単一クローン抗体は、ヒトVCAM−1に対する親和度を提供する。本発明の一実施形態によれば、組換えヒト単一クローン抗体のヒトVCAM−1抗原に対する結合/解離定数(KD値)は、0.1×10-9M−7.0×10-9Mであることができ、これは、ビアコア分析を用いて各抗体などとヒトVCAM−1に対する結合/解離定数(KD値)を求めることによって得られることができる。すなわち、ビアコア機器を用いてヒトVCAM−1抗原をリガンドとしてセンサーチップ(Sensor chip CM5, BIACORE, BR-1003-99)に固定化させた後、抗体を濃度別に希釈し、固定化されたリガンドに適用して抗原−抗体間の結合及び解離を誘導することによって、結合(Ka)/解離(Kd)定数KD値を確認し、分析の信頼度に関連した統計学的数値であるカイ二乗△(χ2)値を確認した。
【0032】
本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、公知の単一クローン抗体製造技術で容易に製造され得る。例えば、単一クローン抗体を製造する方法は、兔疫された動物から得られたB白血球を用いてハイブリドーマを製造することにおって行われることができるとか(Koeher and Milstein,1976,Nature,256:495)、ファージディスプレイ方法を用いることによって行われることができるが、これに制限されるのではない。
【0033】
ファージディスプレイを用いた抗体ライブラリーは、ハイブリドーマを製作なしにすぐBリンパ球から抗体遺伝子を得てファージ表面に抗体を発現させる方法である。ファージディスプレイ技術を用いると、B−細胞不滅化によって単一クローン抗体を生成するのに関連付けられている多い難しさなどが克服され得る。
【0034】
従来のファージディスプレイ技術は、1)ファージの外皮タンパク質pIII (またはpIV)N−末端に該当する遺伝子部位にランダムな配列を有したオリゴヌクレオチドを挿入する段階;2)天然型の外皮タンパク質の一部と前記ランダムな配列を有したオリゴヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの融合タンパク質を発現させる段階;3)前記オリゴヌクレオチドによってコードされたポリペプチドと結合できる受容体物質を処理する段階;4)受容体に結合されたペプチド−ファージ粒子などを低いpHまたは結合競争力を有する分子を用いて溶出させる段階;5)パニングによって溶出されたファージを宿主細胞内で増幅させる段階;6)所望のファージの量を得るために前記方法を繰り返す段階;及び7)パニングによって選別されたファージクローンなどのDNA配列から活性があるペプチドの配列を決定する段階から構成される。
【0035】
好ましい一つの実施形態において、本発明の組換えヒト単一クローン抗体の製造方法は、ファージディスプレイ方法を用いて行われることができる。当業者は公知のファージディスプレイ技術、例えば、Barbasら(METHODS : A Companion to Methods in Enzymology 2: 119,1991 and J.Virol.2001 Jul;75(14):6692-9)及びWinterら(Ann.Rev.Immunol.12:433、 1994)の論文などに公知された方法を参考して、前記本発明の製造方法の各段階を容易に行うことができる。抗体ライブラリーを構築するために使用され得るファージは、例えば、フィラメント性ファージとして、fd、M13、f1、If1、Ike、Zj/Z、Ff、Xf、Pf1及びPf3があるが、これに制限されるのではない。また、前記フィラメント性ファージの表面上に異種遺伝子の発現のために使用され得るベクターには、例えば、fUSE5、fAFF1、fd−CAT1またはfdtetDOGなどのファージベクター、またはpHEN1、pComb3、pComb8またはpSEXなどのファージミドベクターがあるが、これに制限されるのではない。
【0036】
さらに、増幅のための組換えファージの成功的な再感染のために要求される野生型外皮タンパク質を提供するために使用され得るヘルパーファージには、例えば、M13K07またはVSCM13などがあるが、これに制限されるのではない。
【0037】
本発明の具体的な実施例では、ヒトVCAM−1に特異的なヒト抗体をファージ表出技術を用いてscFvとして取得し、単一ファージクローン形態でスクリーニングすることによって、ヒトVCAM−1に特異的な20種の単一クローンファージを取得した。
【0038】
本発明の具体的な実施例では、組換え技術で取得したVCAM−1の分子量及び純度を確認した後、単一クローン抗体の製造に用いた。前記VCAM−1を多様性を有したヒト未加工scFvライブラリー細胞から製造したライブラリーファージと反応した後、パニングとVCAM−1抗原に強く結合する単一クローン抗体をスクリーニングした(表1参照)。前記選別された単一クローン抗体などをフィンガープリントによって確認した後、それぞれの配列を分析して抗体のVHとVLのCDR領域を確認した。前記抗体と生殖系列抗体群との間の相同性をNCBIウェブサイトのIg BLASTプログラム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)を用いて確認した。その結果、VCAM−1に特異的な20種のファージ抗体を得た。
【0039】
さらに、本発明の具体的な実施例によれば、前記選別された20種のヒト抗体ファージの重鎖及び軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片をエンコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを製作した。前記発現ベクターの製作時には、前記ヒト抗体の軽鎖及び重鎖またはその断片を生産しようとする宿主細胞の種類に応じてプロモーター、ターミネーター、エンハンサーのような発現調節因子及び膜標的化または分泌のための配列を適切に選択し、目的のために多様に組み合わせるのに使用することができる。
【0040】
本発明の発現ベクターは、プラスミドベクター、コズミドベクター、バクテリオファージベクター及びウイルスベクターなどを含むが、これに制限されない。適当な発現ベクターは、プロモーター、オペレータ、開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーのような発現調節因子の他にも膜標的化または分泌のためのシグナル配列またはリーダー配列を含み、その目的に応じて多様な形態で製造され得る。
【0041】
さらに、本発明の一つの実施形態によれば、本発明は、前記組換えヒト単一クローン抗体と結合するヒトVCAM−1抗原のドメインの位置を確認する方法を提供する。VCAM−1は、IgG−類似ドメイン7つから構成されており、実質的に、その相手リガンドであるインテグリン(α4β1またはα4β7)と結合する時は、そのドメイン1とドメイン4が主に関与する。従って、本発明による組換えヒト単一クローン抗体に対するVCAM−1抗原のエピトープを確認するために、下記の過程が具体的な実施例で行われた。
【0042】
本発明者らは、ヒトVCAM−1抗原をドメイン別(VD2、VD4、VD7)で発現及び精製した後、酵素免疫吸着法(ELISA)を用いて20種に対する抗体などの抗原結合領域を分析した。その結果、抗体種類によって抗原結合領域が異なり、それらのうち、ドメイン1または2に結合する抗体H6及び7HTを得た(図2参照)。
【0043】
さらに、本発明による組換えヒト単一クローン抗体は、ヒトVCAM−1抗原に対する親和度を提供する。本発明の具体的な実施例で、ビアコア分析によって抗体のヒトVCAM−1抗原に対する結合/解離定数(KD)を求めることによって、親和度を確認することができた。H6抗体及び7HT抗体は、ヒトVCAM−1に強い親和度を有していることと確認された(図3参照)。その結果、ヒトVCAM−1抗原に対してH6抗体が約0.6nM水準の優れた結合力を有しており、7HT抗体はヒトVCAM−1抗原に対して約6.3nM水準の結合力を有することと確認された。
【0044】
従って、本発明による組換えヒト単一クローン抗体は、生物学的試料内の組換えヒト単一クローン抗体とVCAM−1の間の抗原−抗体反応を介して検出する段階を含むVCAM−1検出方法及び検出用組成物で使用することができる。
【0045】
さらに、本発明の具体的な実施例では、白血球と活性化された内皮細胞間の相互作用がVCAM−1によって媒介されるから、本発明による組換えヒト単一クローン抗体(H6)がヒト白血球(U937細胞)と組換えヒトVCAM−1またはヒトTNF−αで刺激したヒト内皮細胞(HUVEC)間の接合を阻害させ得ることを確認した。本発明の一つの実施形態によれば、ヒトVCAM−1が固定化された固体支持体であるプレートまたはHUVEC単層プレートに前記の抗体などを濃度別に処理する。蛍光標識されたU937細胞が抗原に結合することを阻害することができるかどうかを確認してみるために、蛍光強度を測定した。その結果、前記抗体が接合阻害能を示した。特に、前記抗体は低い抗体濃度でも強い阻害能を示した(図4及び図5参照)。
【0046】
また、本発明では、白血球と活性化された内皮細胞間の相互作用がVCAM−1によって媒介されるから、本発明による組換えヒト単一クローン抗体がヒト白血球(U937細胞)とヒトTNF−αで刺激させたヒト内皮細胞(HUVEC)間の相互作用の中でヒト白血球細胞のヒト内皮細胞単層透過を阻害させ得ることを確認した。本発明の実施例において、トランスウェル(transwell)プレートに敷かれたHUVEC単層に前記の抗体を処理した後、U937細胞による HUVEC単層透過性をトランスウェルの下端に集められたU937細胞数を計数して確認した。その結果、前記抗体が強い透過阻害能を示した(図6参照)。
【0047】
さらに、VCAM−1抗体(7HT)をVCAM−1を発現するマウス大動脈内皮細胞に処理した時、炎症細胞の付着及び透過が効果的に抑制されることを確認した。その後、高脂質食餌を実施したマウスにVCAM−1抗体(7HT)を腹腔投与時、大動脈内皮細胞に特異的に付着することを確認した(図11)。VCAM−1抗体(7HT)の心血管疾患での治療効果可否を調査するために、ApoE−/−マウスを4つのグループに分けた。1グループでは、一般食餌と共にPBSを週2回投与し、2グループは、高脂質食餌と共に対照群抗体として4BT(10mg/kg)を週2回投与し、3グループは、高脂質食餌と共にVCAM−1抗体として7HT(低濃度である1mg/kg)を週2回投与し、4グループは、高脂質食餌とVCAM−1抗体として7HT(高濃度である10mg/kg)を週2回ずつ12週間投与した。その後、動脈硬化症分析のために、大動脈病変に対するエンフェース技法を行い、2グループに比べて4グループで動脈硬化症が有意的に減少することを確認することができた(図17及び18)。また、大動脈弓に形成された動脈硬化症を確認するために、心臓凍結切片を順次に用意して分析した。その結果、3、4グループで動脈硬化症が減少したことを確認した(図19〜図21)。血液分析によってこのような結果がコレステロール代謝/排出による影響ではないということを確認した(図15)。また、実験期間中に測定した体重及び食餌飼料量の有意的な差がなかった(図14)。実験後、抗体によって肝臓毒性を示すのか確認するために、毒性テストを実施した(図15)。VCAM−1抗体(7HT)がVCAM−1機能を抑制することによって、動脈硬化症を緩和させたこととして確認した。
【0048】
従って、このような本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、ヒト内皮細胞に発現されるVCAM−1と強い親和度を有するため、VCAM−1に対する抗原認識を要求する任意の適用で使用され得る。特に、活性化された内皮細胞に対する白血球の接合と透過を効果的に阻害させるので、炎症性疾患、心血管疾患及び癌などのようなVCAM−1媒介性疾患に対する効果的な診断及び治療方法を提供する。
【0049】
従って、別の実施形態によって、本発明は、炎症性疾患または癌が疑われる個体の生物学的試料内で組換えヒト単一クローン抗体とVCAM−1との間の抗原−抗体反応を介して検出する段階を含む炎症性疾患、心血管疾患または癌の診断に必要な情報の提供方法及び炎症性疾患、心血管疾患または癌の診断用組成物を提供する。
【0050】
つまり、ヒトVCAM−1に特異的に結合する単一クローン抗体を含む診断用組成物を使用してVCAM−1の発現と関連した疾患またはVCAM−1媒介される疾患、例えば、炎症性疾患、心血管疾患または癌を診断することができる。
【0051】
前記炎症性疾患は、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患及び大腸疾患から構成される群から選択され得るが、これに制限されるのではない。好ましくは、前記腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患は、喘息、糖尿病、ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、敗血症、内毒素ショック、血流力学ショック、敗血症症侯群、虚血性再灌流損傷、マラリア感染、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症疾病、カヘキシー、移植拒否、自己免疫疾病、エイズ関連日和見感染症、関節炎、リウマチ性脊椎炎、痛風、強直性痛風炎、クローン疾病、潰瘍性膀胱三角炎、多発性硬化症、癩性結節性紅斑(ENL)、放射線障害及び酸素過多性肺胞損傷からなる群から選択され得る。
【0052】
さらに、前記心血管疾患は、心筋梗塞、心臓麻痺、脳卒中、不整脈、高血圧、高脂血症及び動脈硬化から構成される群から選択され得る。
【0053】
さらに、前記癌は、脳脊髓腫瘍、頭頸部癌、肺癌、乳房癌、胸腺種、中皮腫、食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、前立腺癌、睾丸癌、生殖細胞腫、卵巣癌、子宮頚部癌、子宮内膜癌、リンパ腫、急性白血病、慢性白血病、多発性骨髄腫、肉腫、悪性黒色腫、及び皮膚癌からなる群から選択され得る。
【0054】
さらに、前記診断用組成物には、本発明による組換えヒト単一クローン抗体を含むことができる。
【0055】
本明細書で使用された用語“生物学的試料”とは、組織、細胞、全血、血清、血漿、組織剖検試料(脳、皮膚、リンパ節、脊髓など)、細胞培養上澄液、破裂した真核細胞及び細菌発現系を挙げることができるが、これに制限されるのではない。これらの生物学的試料を操作するとか操作しない状態で本発明の抗体と反応させ、VCAM−1タンパク質の存在またはVCAM−1媒介性疾患の有無を確認することができる。
【0056】
本明細書で使用された用語“抗原−抗体複合体”とは、試料中のVCAM−1抗原とこの抗原を認識する本発明による単一クローン抗体の結合物を意味する。このような抗原−抗体複合体の形成は、比色法、電気化学法、蛍光法、発光法 (luminometry)、粒子計数法、目視測定法(visual assessment)及び閃光計数法(scintillation counting method)からなる群から選択される任意の方法で検出することができる。しかし、この方法は、前記例などに制限されず多様な応用が可能である。
【0057】
本発明では、抗原−抗体複合体を検出するために様々な標識体を使用することができる。その具体的な例としては、酵素、蛍光物、リガンド、発光物、微粒子及び放射性同位元素からなる群から選択され得るが、それらに限定されるのではない。
【0058】
標識として使用され得る物質などの好適な例は、酵素としてアセチルコリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ及びβ−ラクタマーゼ;蛍光物としてフルオレセイン、Eu3+、Eu3+キレート及びクリブテート;リガンドとしてビオチン誘導体;発光物としてアクリジニウムエステル、イソルミノール誘導体;微粒子としてコロイド金、着色されたラテックス;放射性同位元素として57Co、3H、125I、125I−ボルトンハンター(Bonton Hunter)試薬を含む。
【0059】
好ましくは、抗原−抗体複合体を酵素免疫吸着法(ELISA)を用いて検出することができる。ELISA技法には、支持体に付着した抗原を認識する標識された抗体を用いる直接的ELISA;支持体に付着した抗原である抗原−抗体の複合体で捕獲抗体を認識する標識された2次抗体を用いる間接的ELISA;支持体に付着した抗原−抗体の複合体で抗原を認識する標識された別の抗体を用いる直接的サンドイッチELISA;及び固体支持体に付着した抗体と抗原の複合体で抗原を認識する別の抗体と反応させた後、この抗体を認識する標識された2次抗体を用いる間接的サンドイッチELISAを含む。前記単一クローン抗体は、検出標識を持つことができ、検出標識を持たない場合はこれらの単一クローン抗体を捕獲することができ、検出標識を持つ他の抗体を処理して抗原−抗体複合体を確認することができる。
【0060】
ヒトのVCAM−1と特異的に結合する本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、単独で、または通常の薬剤学的に許容される担体とともに炎症性疾患、心血管疾患または癌に対する予防及び治療用薬剤学的組成物の形態で使用可能である。
【0061】
従って、さらに別の実施形態において、本発明は、組換えヒト単一クローン抗体及び薬剤学的に許容可能な担体を含む炎症性疾患、心血管疾患または癌の予防または治療用組成物及び前記組成物を個体に投与する段階を含む炎症性疾患、心血管疾患または癌の治療方法を提供する。
【0062】
本明細書で使用された用語“個体”とは、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、サル、モルモット(guinea pigs)、ラット、マウス、トカゲ、ヘビ、羊、牛、魚及び鳥を含んで任意の動物(例えば、ヒト)を意味する。
【0063】
本明細書で使用される用語“予防”とは、本発明による組換えヒト単一クローン抗体及び薬剤学的に許容可能な担体を含む組成物の投与によって前記疾患の発病を抑制または遅延させるすべての行為を意味する。
【0064】
本明細書で使用される用語“治療”とは、本発明による組換えヒト単一クローン抗体及び薬剤学的に許容可能な担体を含む組成物の投与によって前記疾患の症状が好転するとか良いに変更するすべての行為を意味する。
【0065】
本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、多様な目的のために他の抗体、生物学的活性を有する製剤または物質と組み合わせて使用され得る。例えば、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、内皮細胞でVCAM−1発現によって特徴付けられる疾患などの治療で他の抗VCAM−1抗体と組み合わせて使用され得る。また、本発明の組換えヒト単一クローン抗体は、炎症反応で示される他の内皮細胞受容体(例えば、ELAM1、ICAM1など)を認識する抗体などと公知の炎症性疾患治療薬物と組み合わせて使用され得る。
【0066】
前記炎症性疾患は、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患、及び大腸疾患から構成される群から選択されるものであり得るが、これに制限されるのではない。好ましくは、前記腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患は、喘息、糖尿病、ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、敗血症、内毒素ショック、血流力学ショック、敗血症症侯群、虚血性再灌流損傷、マラリア感染、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症疾病、カヘキシー、移植拒否、自己免疫疾病、エイズ関連日和見感染症、関節炎、リウマチ性脊椎炎、痛風、強直性痛風炎、クローン疾病、潰瘍性膀胱三角炎、多発性硬化症、癩性結節性紅斑(ENL)、放射線障害及び酸素過多性肺胞損傷からなる群から選択され得る。
【0067】
さらに、前記心血管疾患は、心筋梗塞、心臓麻痺、脳卒中、不整脈、高血圧、高脂血症及び動脈硬化から構成される群から選択され得る。
【0068】
さらに、前記癌は、脳脊髓腫瘍、頭頸部癌、肺癌、乳房癌、胸腺種、中皮腫、食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、前立腺癌、睾丸癌、生殖細胞腫、卵巣癌、子宮頚部癌、子宮内膜癌、リンパ腫、急性白血病、慢性白血病、多発性骨髄腫、肉腫、悪性黒色腫、及び皮膚癌からなる群から選択され得る。
【0069】
本発明の組換えヒト単一クローン抗体を含む組成物は、薬剤学的に有効な量で単一または複数回用量投与され得る。この時、組成物は、液剤、散剤、エアロゾル、カプセル剤、腸溶皮錠剤またはカプセル剤または坐剤の形態で投与することができる。多様な種類の投与経路としては、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下内投与、内皮投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与及び直腸内投与が考慮され得るが、本発明はこれらの例示された投与方法に制限されない。しかし、経口投与の時、ペプチドは消化されるから経口用組成物は活性薬剤をコーティングするとか胃での分解から保護されるように製剤化されなければならない。
【0070】
さらに、製薬組成物は、活性物質が標的細胞に移動することができる任意の装置を使用して投与され得る。
【0071】
本発明の組換えヒト単一クローン抗体を含む組成物は、薬剤学的に有効な量で投与され得る。“薬剤学的に有効な量”とは、医学的治療または予防に適用可能な合理的なアドバンテージ/リスクの割合で疾患を治療または予防するのに十分な量を意味する。有効用量水準は、疾患の重症度;薬物の活性;患者の年齢、体重、健康及び性別;患者の薬物に対する敏感度;使用された本発明組成物の投与時間、投与経路及び排出の割合;治療期間;または使用された本発明の組成物と配合または同時に使用される薬物を含んだ要素及びその他の医学分野によく知られている他の要素に応じて決定され得る。さらに、本発明の単一クローン抗体組成物は、個別治療剤で投与するとか他の治療剤と組み合わせて投与されることができ、また、従来の治療剤とは順次または同時に投与され得る。
【0072】
本発明の薬剤学的組成物を薬剤学的に有効な量で投与する場合、VCAM−1と強い親和度を有した本発明の組換えヒト単一クローン抗体が内皮細胞に発現されたVCAM−1に特異的に結合することによって、VCAM−1を中和させる。結局、本発明の組換えヒト単一抗体が前記内皮細胞に白血球が接合することを阻害し、内皮細胞内に白血球が透過することを阻害することによって、炎症性疾患、心血管疾患及び癌を治療することができる。前記炎症性疾患は、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患、及び大腸疾患から構成される群から選択されることができ、これに制限されるのではない。好ましくは、前記腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患は、喘息、糖尿病、ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、敗血症、内毒素ショック、血流力学ショック、敗血症症侯群、虚血性再灌流損傷、マラリア感染、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症疾病、カヘキシー、移植拒否、自己免疫疾病、エイズ関連日和見感染症、関節炎、リウマチ性脊椎炎、痛風、強直性痛風炎、クローン疾病、潰瘍性膀胱三角炎、多発性硬化症、癩性結節性紅斑(ENL)、放射線障害及び酸素過多性肺胞損傷からなる群から選択され得る。
【0073】
さらに、前記心血管疾患は、心筋梗塞、心臓麻痺、脳卒中、不整脈、高血圧、高脂血症及び動脈硬化から構成される群から選択され得る。
【0074】
さらに、前記癌は、脳脊髓腫瘍、頭頸部癌、肺癌、乳房癌、胸腺種、中皮腫、食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、前立腺癌、睾丸癌、生殖細胞腫、卵巣癌、子宮頚部癌、子宮内膜癌、リンパ腫、急性白血病、慢性白血病、多発性骨髄腫、肉腫、悪性黒色腫、及び皮膚癌からなる群から選択され得る。
【0075】
さらに、本発明のさらに別の実施形態によれば、本発明は、本発明による組換えヒト単一クローン抗体を用いて白血球及び活性化された内皮細胞間の接合及び前記活性化された内皮細胞への白血球の透過を阻害する方法を提供する。つまり、VCAM−1は炎症及び免疫拒否において活性化された白血球上に発現されるVLA−4(very late antigen-4)及びα4β1インテグリンと結合し、内皮細胞と単核球及びT細胞を含む白血球の間の相互作用を促進させる重要な役割を果たす。本発明による単一クローン抗体は、このようなVCAM−1に特異的に結合して、白血球及び活性化された内皮細胞間の接合及び前記活性化された内皮細胞への白血球の透過を阻害させる。
【0076】
本明細書で引用された多様な文献などは、その全部が参考文献として組み込まれる。当該技術の分野における熟練者らはただ通常的な実験によって、多数の均等な実施形態などが本明細書で考慮され得ることを認識または認めるだろう。従って、このような均等なものなどは本特許請求の範囲に含まれる。
【実施例】
【0077】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、ただし、本発明を例示するための目的として提供されるもので、本発明が下記実施例に限定されるのではない。
【0078】
1.ヒト及びマウスVCAM−1抗原の製作
1.1.ヒトVCAM−1のクローニング
韓国生命工学研究院(KRIBB)人間遺伝体機能研究事業団のKUGI(Korean UniGene Information)からヒトVCAM−1遺伝子を含有するプラスミド(hMU012650)(Kugi # IRAU−75−G02)を分譲受けた。前記プラスミドを鋳型DNAとして使用し、前記VCAM−1のD1−D2ドメインとD1−D4ドメインのみを発現させるために、VCAM−1のD1−D2ドメインの場合、正方向プライマー(5’−CAGGGGGCCGTGGGGGCCTTTAAAATCGAGACCACCCC−3’)及び逆方向プライマー(5’−TAGCGGCCGACGCGGCCAATTGCAATTCTTTTACAGCCTG−3’)を使用し、VCAM−1のD1−D4の場合、正方向プライマー(5’−CAGGGGGCCGTGGGGGCCTTTAAAATCGAGACCACCCC−3’)と逆方向プライマー(5’−TAGCGGCCGACGCGGCCAAGAGCTCCACCTGGATTCCCT−3’)を使用して各遺伝子を増幅した。sfiIで処理した後、リガーゼを用いてpYK602−FcベクターとpYK602−His onlyベクター(KRIBBで製造したベクター)にそれぞれクローニングした。PCR産物などは、次のような条件で取得した:全体反応液が50μlの時、鋳型は100ngになるように入れ、94℃で2分間反応させた後、94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分30秒(D1−D4)、45秒(D1−D2)で30サイクル、その後、72℃で10分間反応させた。また、前記クローニングされたpYK602−FC−VCAM−1−D1−D2、pYK602−His−VCAM−1−D1−D2、pYK602−FC−VCAM−1−D1−D4及びpYK602−His−VCAM−1−D1−D4ベクターなどの塩基配列を確認した。
【0079】
1.2.VCAM−1タンパク質の発現及び精製
様々なタンパク質のうち、分子全体を含むhVCAM−Fc−キメラ(R&D system, cat#: 862-VC)とmVCAM−1−Fcキメラ(R&D systems, Cat#: 643-VM)とは、商業的に購買し、VCAM−1ドメイン別の断片の発現及び精製は以下のように行われた。
【0080】
先ず、150mm直径ディッシュ10枚に5×106293E細胞を播いた後、翌日に前記クローニングされたpYK602−VCAM−1−D1−D2ベクターとpYK602−VCAM−1−D1−D4ベクターとをそれぞれ20μgずつPEI(23966:Polysciences,Inc, USA)を処理して形質転換した。翌日培地を無血清DMEMに置き換えた後、二日ごとに上澄液を得て10%SDS−PAGEゲルで電気泳動した後、ウエスタンブロットで発現量を確認した。
【0081】
hVCAM−1−D1−D2−FcとhVCAM−1−D1−D4−Fcとの発現が確認された上澄液を集めた後、0.22μmトップフィルター(Millipore,Cat#:SCGP T05 RE)を使用してろ過した後、先ず、十分なタンパク質量を確保した。前記タンパク質などは精製した後に使用し、精製過程は次の通りである。まず、エコノカラム(Econo-column)(Bio-Rad Cat.No 737-1006,1×5cm)をPBSで洗浄した後、タンパク質A(Amersham Cat.No.17-1279-30)500μlをパッキングする。パッキングする間、PBS(pH7.4)10mlをカラムに適用させ、ビーズを洗浄し、結合バッファーである20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)30mlを流した。その後、得られた上澄液をペリスタルティック・ポンプ(Peri-staltic pump)(Bio-Rad Cat.No.731-8142)を用いて流量0.5ml/分程度に適用させた。カラムに結合させた後、PBSで流量2ml/分で1時間程度洗浄した後、溶出した。0.1Mグリシン−HCl(pH2.5)500μlで溶出し、1/10体積の1Mトリス−HCl(pH9.0)を入れて中和させた。6つの溶出分画の中でタンパク質は#1〜#2分画に大部分溶出された。これら2つの分画は、10K透析膜に入れて4LのPBSでo/n透析した。前記のすべての過程は、4℃のコールドルームで行われた。定量後、生成物などをアリコットして−70℃に保管した。精製した後、生成物を10%SDS−PAGEゲルで確認した。hVCAM−1−D1−D2−FcとhVCAM−1−D1−D4−Fcに対して、それぞれ2.8mgと800μgの量を得た。hVCAM−1−D1−D2−hisとhVCAM−1−D1−D4−hisの発現が確認された上澄液を収集した後、0.22μmのトップフィルター(Millipore,Cat#: SCGP T05 RE)を使用してろ過した後、LabScale TFF System(Millipore,Cat#: XX42LSS11)のpellicon XL membrane(Millipore,8K,cat #: PXB0 08A 50)を用いて1/10体積で濃縮した。10倍体積のIMAC緩衝溶液(300mMのKCl、50mMのKH2PO4、5mMのイミダゾール、pH8.0)を濃縮物に添加し、IMAC緩衝溶液に置き換えた。ProfiniaTMタンパク質精製システム(Bio-Rad)のBio−Scle Mini profinity IMAC cartridge(cat#:732-4610)を使用して1ml/分の速度で製造社のマニュアルによって精製した。前記溶出液をメンブレン(10K,132574:SPECTRAPOR,USA)に入れた後、4℃で4LのPBS溶液に4時間以上緩衝溶液を置き換えた後、再び予め冷たくしておいた4LのPBS溶液に入れて一晩透析して緩衝溶液を置き換えた。一晩透析した後、その産物をe−チューブに移し、ブラッドフォード(Bradford)方法でタンパク質濃度を測定した。その結果、400μgのhVCAM−1−D1−D4−his、hVCAM−1−D1−D2−Fcタンパク質を得り、10%SDS−PAGEゲルで確認した。
【0082】
2.ライブラリーファージの製造
多様性を持ったヒトscFvライブラリー細胞2×1010個をアンピシリン50μg/ml、2%グルコースを含むSB培地[バクトトリプトン30g、イースト抽出物20g、MOPS10g、pH7.0]で37℃で2〜3時間培養した(OD600=0.5)。その後、細胞をVCSM13ヘルパーファージに感染させた後、カナマイシンを70μg/mlで追加した培地で1mMのIPTGを添加して30℃で16時間培養した。培養した細胞を遠心分離(4500rpm、15分、4℃)した後、上澄液を得て、4%PEG6000と3%のNaClが添加された溶液に溶解した後、氷中で1時間反応させた。前記反応物を再び遠心分離(8000rpm、20分、4℃)した。ペレットにPBSを添加して溶解した後、遠心分離(12000rpm、10分、4℃)した。その結果、ライブラリーファージを含む上澄液を得り、これを新しいチューブに入れて4℃で保管した。
【0083】
3.ファージディスプレイによるバイオパニング
7つのIgG−類似ドメインから構成されているVCAM−1は、そのリガンドであるα4β1インテグリン(α4β1 integrin)と結合する時、そのドメイン1とドメイン4が結合モチーフとして機能をすると知られている。従って、VCAM−1全体分子だけでなくヒトVCAM−1−D1−D4(hVCAM−1−D1−D4)を用いてパニングを進行した。本実施例では、hVCAM−1−D1−D4に対するパニング方法と結果が記載されるだろう。
【0084】
3.1.hVCAM−1−D1−D2抗原とhVCAM−1−D1−D4抗原に対するバイオパニング
ヒト組換えVACM−1(R&D system,809-VR)抗原が10μg/mlでコーティングされたImmunosorbチューブ(Nunc470319)をスキムミルク/PBSで先に遮断させた後、室温で1〜2時間上記で製造したライブラリーファージ(1×1012cfu)とともに培養した。前記チューブをTBST(0.05%)で3回洗浄した。結合されたファージを室温で10分間1mlの新たに製造した100mMのトリエチルアミンの溶液を使用して溶出させた。溶出されたファージなどを1Mのトリス(pH7.4)溶液で中和した後、大腸菌(ER2537)に感染させて37℃で1時間培養した。感染された大腸菌は、2%グルコースとアンピシリンが含まれたLB−アガロース培地プレート(直径15cm)に塗布して、37℃で16時間培養した。培養された大腸菌を5mlのSBに分散し、このうち、50mlをSB−アンピシリン−グルコース20mlに接種し、<1.ライブラリーファージの製造>の方法によって結合型ファージを含む溶液を得て次数のパニングに使用した。1次パニングの以後2次〜4次パニングではImmunosorbチューブにhVCAM−1−D1−D2抗原とhVCAM−1−D1−D4抗原をそれぞれコーティングして、それぞれのパニングを進行した(表1参照)。
【0085】
【表1】

【0086】
3.2.hVCAM−1−D1−D4抗原に対する単一クローン抗体選別
4次パニングの後、アウトプットタイタープレートから単一コロニーを滅菌されたトゥースピック(toothpick)を使用してそれぞれ抜き取って、SB−アンピシリン培地(200μl/ウェル)が入っている96ウェルプレートにそれぞれ接種した後、37℃で2〜3時間(OD600=0.5〜0.7)培養した。以後、各ウェルに20μlの10mMのIPTGを入れて30℃で16時間培養した。96ウェル免疫プレート(Costar3690)の各ウェルにhVCAM−1−D1−D4抗原をウェル当り250ngずつ37℃で1時間コーティング緩衝溶液で処理してコーティングした後、PBSに溶解したスキムミルク(3%)を使用して各ウェルを遮断した。4次パニングscFvファージを先に遠心分離した後(3000rpm、15分)、上澄液を除去した。TESバッファー60μlずつ各ウェルに添加した後、氷中で30分間培養した。その後、遠心分離し(3000rpm、15分)、それぞれの上澄液を3%スキムミルク/PBSが除去されたVCAM−1−D1−D4抗原がコーディングされた96ウェル免疫プレートにウェル当り25μlずつ入れた。
【0087】
各ウェルごとにPBS−tween20(0.05%)0.2mlで4回洗浄した後、3%スキムミルク/PBSに1:3000の割合で希釈された二次抗体抗−HA−HRP(Santa Cruz,SC-7392)を各ウェルごとに25μlずつ添加した後、1時間反応じた。PBS−tween20(0.05%)0.2mlで4回洗浄した後にTMB溶液を各ウェル当り25μlずつ添加した後、5分間放置した。反応後、すぐに1MのH2SO4溶液を25μlずつ各ウェルに入れて反応を停止させた後、450nmで吸光度を分光光度計(MolecularDevice,USA)を用いて測定した。
【0088】
その結果、hVCAM−1−D1−D4抗原に対する78個の単一ファージクローンなどの結合能を比較確認し、それらの種類をフィンガープリントと配列分析で確認した。最後に、20種の互いに異なるファージ抗体を選別した。
【0089】
4.全体IgG形態へのクローニング
hVCAM−1に対する単一クローンファージ抗体などをファージからIgG全体ベクターに転換するために、重鎖を得るために単一クローンDNA1μlと10pmole/μlの重鎖正方向プライマーと重鎖逆方向プライマー、10×バッファー5μl、10mMのdNTPミックス1μl、pfuDNA重合酵素(Solgent,2.5U/μl)0.5μl及び蒸溜水を使用してコロニーPCR(iCycler iQ,BIO-RAD)を行った。また、軽鎖を得るために軽鎖正方向及び逆方向プライマー を使用して同様の方法でコロニーPCRを行った。
【0090】
PCRから取得した重鎖DNAをDNA−ゲル抽出キット(Qiagen)を用いて精製した後、pNATAB Hベクター1μl(10ng)、重鎖(100〜200ng)15μl、10×バッファー2μl、リガーゼ(1U/μl)1μl、及び蒸溜水を混合し、室温で1〜2時間放置して前記ベクターと連結した。前記ベクターをコンピテント細胞(XL1−blue)に添加した後、氷に30分間放置した後、42℃で90秒間ヒートショックを与えて形質導入した。この混合物を再び氷に5分間放置した後、LB培地1mlを追加した。37℃で1時間培養した後、細胞をLB Amp固体培地に塗抹した後、37℃で16時間培養した。得られた単一コロニーをLB Amp液体培地5mlに接種した後、37℃で16時間培養した。前記培養培地からDNA−prep.キット(Nuclogen)を用いてDNAを抽出した。また、軽鎖DNAは、pNATAB Lベクターを使用して前記と同様の方法でDNAを抽出した。前記取得したDNAの塩基配列分析は、CMVproFプライマー(AAA TGG GCG GTA GGC GTG)(Solgent)を用いて行われた。その結果、全体IgGに転換した多様なVCAM−1に対する9個のクローンの重鎖と軽鎖の配列がファージ抗体の配列と同一であることを確認した。
【0091】
5.抗体の臨時遺伝子発現
前記クローニングされた全体IgG重鎖DNAと軽鎖DNAから臨時遺伝子発現を行った。
【0092】
臨時遺伝子発現に対する宿主細胞としてCHO(Chinese Hamster Ovary)−S細胞を使用してリポフェクタミン2000(Cat no.11668-019,Invitrogen):DNAの1:1割合でOpti−MEMI(GIBCO31985,Invitrogen)混合溶液から形質転換を誘導した。臨時発現を最大化させるために、重鎖と軽鎖のDNA量の割合は1:1で構成した。形質転換用培地としては、RPMI1640(GIBCO 22400,Invitrogen)培地を使用し、細胞濃度は2×106細胞/mlで使用した。混合溶液を20分間反応した後、形質転換用培地に1:9割合で混合し、これをCO25%、37℃に設定された培養器に110rpmで4時間培養させた。以後、8mMグルタミン(GIBCO 25030, L-Glutamine 200 mM, 100×, Invitrogen)とHTS(GIBCO, HT Supplement, Cat no. 11067-030, Invitrogen)が含まれたCD−CHO培地(GIBCO 10743,Invitrogen)に形質転換された体積と同一体積の培地を添加した。フラスコはCO28%、37℃に設定された培養器で100rpmで4日間培養した。このように培養試料は、8、000gで15分間遠心分離して細胞残骸を除去した後、上澄液は0.22μmのろ過器(Corning)でろ過して抗体の分離及び精製のための培養液を準備した。
【0093】
6.抗体の分離及び精製
実施例5で準備した上澄液を平衡化緩衝液(50mMトリス−HCl(pH7.4)、100mMのNaCl)で平衡化させた組換えタンパク質−Aセファロースカラム(Hitrap rProteinA FF, 5 mL, GE healthcare)に通過させた。カラムに結合された抗体を0.1MのNa−シトラート(citrate)(pH3.0)、100mMのNaCl溶液で溶出させた後、1Mのトリス−HCl(pH9.0)で中和させ、PBS(phosphate buffered saline,pH7.4,Welgene)緩衝液で透析させた。精製された抗体をBis−トリス 4−12%濃度勾配SDS−ポリアクリルアミドゲル(NuPAGE gel,Invitrogen)上で還元条件で電気泳動した。その結果、約55kDaの重鎖と約25kDaの軽鎖が観察された。
【0094】
7.抗体の抗原親和度分析
7.1.抗原ドメインに対する親和度
7つのドメインから構成されたVCAM−1で抗VCAM−1抗体が結合する位置をELISAによって確認した。組換えヒトVCAM−1ドメイン1〜2/Fcキメラ(以下、‘VD2’という、A&R therapeutics)、VCAM−1ドメイン1〜4/Fcキメラ(以下、‘VD4’という、A&R therapeutics)及びVCAM−1ドメイン1〜7/Fcキメラ(以下、‘VD7’という、R&D,862-VC)をそれぞれ2μg/ml濃度でマイクロプレートのウェルに一晩4℃でコーティングした。PBSを使用して前記プレートを1回洗浄した後、3%BSA(bovine serum albumin)が添加されたPBSを使用して2時間37℃で遮断させ、7H抗体を含んでいる細胞培養培地(1:50)を入れて2時間37℃で培養した。0.05%のTween20を含むPBSを使用してプレートを4回洗浄した後、組換えヒトVCAM−1抗原に結合した抗VCAM−1抗体の量を抗−Fab単一クローン抗体ホースラディッシュペルオキシダーゼが共役された(conjugated)抗−F(ab′)2抗体で検出した。プレートはTMB基質溶液(3、3、5、5−テトラメチルベンジジン)を使用して室温で約5分間反応させ、1N(ノーマル)硫酸溶液で反応を止めた後、光学密度450nmで測定した。H6抗体の場合、精製された抗体を100〜125ng/mlに希釈し、反応させた後、ホースラディッシュペルオキシダーゼが共役された抗−カッパ軽鎖抗体の作用によって検出した。
【0095】
図2に示されたように、H6は、VCAM−1ドメイン1〜2(VD2)、1〜4(VD4)、1〜7(VD7)のすべてに強い結合能を持っていることを確認した。特に、H6抗体は、VCAM−1の7つドメインのうち、1〜2ドメイン(VD2)に優れた結合能を持っていることを確認した。また、7H抗体もVCAM−1ドメインのうち、1〜2ドメイン(VD2)に優れた結合能を持っていることとして確認された。
【0096】
7.2.ビアコアによる親和度分析
ヒトVCAM−1抗原に対する抗VCAM−1抗体H6と7HTの結合親和度を確認するために、各抗原をリガンドとしてセンサーチップ(Sensor chip CM5,BIACORE,BR-1003-99)に固定化させた後、ヒト抗体を濃度別に希釈してビアコアを用いて固定化されたリガンドに適用させて抗原−抗体間の結合及び解離反応を誘導することによって、該当抗原−抗体間の結合力を示す結合/解離定数Kd値を確認した。これに対する結果を図3に示した(参考文献:Thomas Hofer, Wisit Tangkeangsirisin, Michael G. Kennedy, Rose G. Mage, Stephen J. Raiker, Karthik Venkatesh, Hakjoo Lee, Roman J. Giger, Christoph Rader Chimeric rabbit/human Fab and IgG specific for members of the Nogo-66 receptor family selected for species cross-reactivity with an improved phage display vector Journal of Immunological Methods 318 (2007) 75.87; Paula Gomes a, David Andreu Direct kinetic assay of interactions between small peptides and immobilized antibodies using a surface plasmon resonance biosensor Journal of Immunological Methods 259, 2002.217-230, and Kikuchi Y, Uno S, Nanami M, Yoshimura Y, Iida S, Fukushima N, Tsuchiya M. Determination of concentration and binding affinity of antibody fragments by use of surface plasmon resonance. Journal of Bioscience and Bioengineering Vol. 100, No. 3, 311-317, 2005)。
【0097】
ビアコア分析は、1)センサーチップとリガンド間のカップリング条件を決定する緩衝液選別段階;2)リガンドをセンサーチップに固定化させる段階;及び3)固定化されたリガンドに分析物質を結合させる段階の3段階から構成される。
【0098】
1)緩衝液選別段階
本試験で、通常該当の実験用として使用されるビアコアセンサーチップであるCM5センサーチップ(BIACORE,BR-1003-99)を使用し、リガンドをチップに固定化させる前に、リガンドとセンサー表面間の静電気的相互作用をカップリング緩衝液として使用するpH4.0〜5.5間の酢酸ナトリウム溶液を用いて決定した。
【0099】
2)リガンド固定化段階
センサーチップCM5にリガンドを固定化させるために、最初にチップを活性化させなければならず、このためにN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)とN−エチル−N’−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Amine Coupling Kit,BR-1000-50)を混合してアミノ基と非常に反応性が良いNHS−エステル活性化されたチップに作った。固定化させようとする1mg/ml濃度リガンドを酢酸ナトリウム溶液(pH4.0〜5.5間)97μlに3/100の希釈割合で希釈した後、流速を10μl/分にして約3分間注入した(陰性対照群としてリガンドをランニングバッファー(running buffer)であるHBS−EP緩衝液(BIACORE AB, Sweden)を用いて同一の方式で希釈する)。リガンドを予め設定した値であるターゲットRU(resonance unit)で固定化させるために、ターゲットRUに逹するまで自動で順次に注入される。リガンドが固定化されたチップを不活性化させるために、1Mエタノールアミン(Amine Coupling Kit, BR-1000-50)を流速10μl/分にして約3分間注入した。最終のRU値は、エタノールアミン注入前後のRU値の差に対して提供する固定化レポートによって決定された。
【0100】
3)固定化されたリガンドに分析物質を結合させる段階
該当の試験で非特異的結合を除去させるために、ビアコア機器によって提供されるフローセル2−フローセル1方法を使用した。この時、フローセル2にはリガンドとして組換えVCAM1/Fc抗原を固定化させ、フローセル1にはBSA(Bovine Serum Albumin)を固定化させた。その後、分析試料である抗VCAM−1抗体であるH6を同時にフローセル1及び2に流した。フローセル2のセンソグラム(sensogram)RUからフローセル1のセンソグラムRUを自動的に除去した。以後、流速を30μl/分にして約3分間分析試料を適用し、再び120秒間解離を誘導させた。このような過程を介して、該当抗原と抗体との結合/解離曲線を得り、以後、BIAevaluationプログラム(BIACORE AB, Sweden)によって図3のように、結合/解離定数KD値を算出した。その結果、ヒトVCAM−1抗原に対してH6抗体が約0.6nMの優れた結合力を持っており、7HT抗体は約6.3nM水準の結合力を有することとして確認された。
【0101】
8.抗体の白血球細胞接合阻害効果
8.1.ヒトVCAM−1抗原と白血球との間の接合阻害効果
96−ウェルプレート(Maxisorp,Nunc)の各ウェルに組換えヒトVCAM−1(10μg/ml, Cat. No.: 809-VR-200, R&D systems)100μlを入れて1時間コーティングした後、抗体H6をそれぞれ0.01、0.1、1.0及び10.0μgずつVCAM−1がコーティングされたウェルに添加して1時間抗原に結合するようにした。この時、陽性対照群として4B2マウス抗−ヒトVCAM−1単一クローン抗体(Cat.No.:BBA5,R&D)を使用し、陰性対照群として抗体処理をせず抗原のみを処理した。抗原と抗体間の結合が進行される間に、ヒト白血球細胞であるU937(Cat.No.:CRL-1593.2,ATCC)の蛍光染色を5μMのBCECF−AM(Cat.No.:216254,Calbiochem)を使用して行った。次に、U937細胞表面にあるFc受容体を不活性化させるためにU937細胞に100%ヒト血清(Cat.No.:H4522,Sigma)を処理した。蛍光染色とFc受容体不活性化過程を経た白血球細胞を1%子牛血清が含まれたRPMI1640(Cat.No.:22400-089,Invitrogen)培地に1.0×106細胞/mlの密度になるように浮遊させた。準備されたU937細胞を抗原と抗体が処理されたプレートに各ウェルに100μlずつ入れて37℃、5%CO2培養器で15分間培養させた後、1%子牛血清が含まれたRPMI1640培地をウェルに満ちるまで入れてシールテープで培地を密閉した。プレートをひっくり返した後、200×重力で5分間遠心分離した。ひっくり返られた遠心分離したプレートからシールテープを除去した。培地及び接着していないU937細胞を完全に除去した後、細胞溶解緩衝液(50mMのトリス−HCl(pH8.5)、0.1%SDS)を各ウェルに150μlずつ入れて15分間接着されているU937細胞を溶解した。その後、プレートを蛍光分析機(GeminiX,Molecular Device)に挿入し、吸収波長485nm/放出波長530nmで蛍光強度を測定した。3回測定(各実験条件当り)の平均値を算出し、抗体を処理しない群に比べて蛍光強度がどのくらい減少したかを計算して阻害率を分析した。その結果、H6抗体は1μg以上で80%以上の阻害を示した(図4参照)。
【0102】
8.2.ヒト内皮細胞と白血球細胞との間の接合阻害効果
96−ウェルプレート(Microtest tissue culture 96-well plate,BD-Falcon)の各ウェルにヒト内皮細胞であるHUVEC細胞を2×104個ずつ施し、約3日間EGM−2培地(Lonza)で製造社の指示に従って培養した。顕微鏡で細胞単層が観察される時、ヒトTNF−αを20ng/mlの濃度で24時間細胞を刺激させた。以後に、TNF−αを除去するために、各ウェルをEGM−2培地200μlで2回洗浄した後、抗体H6をそれぞれ0.01、0.1、1.0、10.0μgずつHUVEC単層が施されたウェルに添加した。前記プレートを抗原−抗体結合を誘導するために1時間培養した。この時、陽性対照群として0.5及び5.0μgの4B2マウス抗−ヒトVCAM−1単一クローン抗体(Cat. No.:BBA5,R&D)とマウス抗−α4インテグリン抗体を使用し、陰性対照群として抗体処理をせず抗原のみを処理した。抗体と抗原間の結合が進行される間にヒト白血球細胞であるU937(Cat. No.:CRL-1593.2,ATCC)の蛍光染色を5μMのBCECF−AM(Cat. No.:216254,Calbiochem)を用いて行った。次に、U937細胞表面にあるFc受容体を不活性化させるためにU937細胞に100%ヒト血清(Cat. No.:H4522,Sigma)を処理した。蛍光染色とFc受容体不活性化過程を経たU937細胞を1%子牛血清が含まれたRPMI1640(Cat.No.:22400-089,Invitrogen)培地に1.0×106細胞/mlの密度になるように浮遊させた。準備されたU937細胞を抗体が結合されたHUVECにウェル当り100μlずつ入れてアルミホイル で光を遮断した。プレートを37℃、5%CO2培養器で10分間培養した後、培地及び接着しない細胞を除去するためにプレートをひっくり返した。1%牛胎児血清が含まれたRPMI1640培地を各ウェルに満ちるまで入れ、シールテープでしっかりと密封した。プレートをひっくり返したまま400×重力で5分間遠心分離した。遠心分離したプレートをひっくり返したままシールテープを除去した。培地及び接着しないU937細胞を完全に除去した後、細胞溶解緩衝液(50mMトリス−HCl(pH8.5)、0.1%SDS)を各ウェルに150μlずつ入れて15分間接着されたU937細胞を溶解した。その後、プレートを蛍光分析機(GeminiX,Molecular Device)に挿入し、吸収波長485nm/放出波長530nmで蛍光強度を測定した。3回測定(各実験条件当り)の平均値を算出し、抗体を処理しない群に比べて蛍光強度がどのくらい減少したかを計算して阻害率を分析した。その結果、H6は0.1〜10.0μgで約25〜65%の阻害を示した(図5参照)。この結果は、実施例8.1のVCAM−1抗原と白血球細胞接合阻害効果分析結果と類似した。
【0103】
9.白血球のヒト内皮細胞への透過阻害効果
ヒト内皮細胞(human umbilical vein endothelial cell)(HUVEC),Cambrex,C2517A)2×104細胞/300μl(EGM−2培地)をトランスウェル(6.5mm insert, 5μm polycarbonate membrane, Corning, 3421)のインサートで約4日間単一膜を形成するまで培養した。VCAM−1の発現誘導因子であるヒトTNF−α(20ng/ml,abcam,ab9642)を細胞に処理して、14〜16時間VCAM−1の発現を誘導させた。継代1〜5の間のHUVEC細胞を使用した。
【0104】
ヒト前単球(U937,CRL-1593.2 TM)は、1%FBS/RPMI1640(Gibco, 22400)培地で2回洗浄(1100rpm、3分間遠心分離)した後、5×106細胞/mlの密度でヒト血清(Sigma,H4522)に懸濁し、室温で15分間培養してFc受容体を遮断した。HUVECがあるインサートからTNF−αが添加された培地を除去した後、抗体H6をそれぞれ1%FBS/RPMI培地100μlに入れ、Fc受容体が遮断されたU937細胞の一部は、抗−α4インテグリン抗体または組換えヒトVCAM−1抗原に懸濁して、30分間37℃で前処理した。前処理が終わったHUVECに1%FBS/RPMI培地のU937細胞(5×105細胞/200μl)を添加し、抗−α4インテグリン抗体に懸濁したU937も同じ細胞数をまたHUVECに添加した。この時、U937白血球の内皮透過移動を誘導するために、各ウェルに10nMのC5a(R&D,2037C5)400μlずつ入れ、37℃培養器で2〜6時間培養した。以後、インサートを除去し、底ウェルに移動した白血球をe−チューブに回収した。1、500rpmで3分間遠心分離して培地を除去した後、1×PBS600μlに細胞ペレットを懸濁して細胞数を数えた(細胞計数器、Beckman Coulter TM,Vi-Cell XR 2.03)。
【0105】
TNF−αを処理したHUVEC実験群(ヒトIgG対照群処理群)のC5a処理による白血球の移動数から未処理実験群(TNF−α及びC5a未処理)の非特異的に移動した白血球数を差し引いて、これを100%移動として計算した。各試験抗体の移動阻害(%)を算出した。その結果、H6抗体が25%程度の透過阻害を示すことを確認した(図6参照)。
【0106】
10.RhoA(Ras homolog gene family,member A)活性阻害効果
HUVEC(ヒト臍帯血管内皮細胞)2×105個を6−ウェルプレートに接種し、単一膜を形成するまで約3日間培養した。培養培地に存在する血清を除去するために、EBM−2培地(Cat. No.:CC-3156,Lonza)で1回洗浄し、ヒトTNF−αを20ng/mlの濃度で0.25%の牛胎児血清が含まれたEBM−2培地に希釈して入れた後、14〜16時間処理してVCAM−1の発現を誘導した。培養液を除去した後、抗体H6と対照抗体(IgG4,Cat.No.:I4764,Sigma)を10μg/ml濃度で入れた後、30分間37℃で培養した。細胞表面のVCAM−1をクロスリンクさせるのに使用される抗VCAM−1抗体(Cat. No.:BBA5,R&D)を10μg/ml濃度で添加して30分間37℃で培養した。HRP 共役された抗−マウス抗体(Cat. No.:A9917,Sigma)を1:100の割合で添加して15分間37℃で培養させた。反応が完全に終わった後、すぐ氷の上にプレートを移して培地を除去した後、冷たいPBSで1回洗浄した。プレートから残余PBSを完全に除去した後、RhoA活性キット(Cat. No.:BK124,Cytoskeleton)に含まれた細胞溶解緩衝液を各ウェルに100μlずつ入れて溶解された細胞を回収した。以後の過程はキットのマニュアルに従って実験を進行し、3回繰り返した。
【0107】
その結果、細胞表面に発現されたVCAM−1をクロスリンクさせることによって、誘導されたRhoA活性はH6抗体によって約56%阻害されることとして確認された。
【0108】
11.ROS(Reactive oxygen species)活性阻害効果
HUVEC(ヒト臍帯血管内皮細胞)2×105個を6−ウェルプレートに接種し、単一膜を形成するまで約3日間培養した。培養培地に存在する血清を除去するために、EBM−2培地(Cat. No.:CC-3156,Lonza)で1回洗浄し、ヒトTNF−αを20ng/mlの濃度で0.25%の牛胎児血清が含まれたEBM−2培地に希釈して入れた後、14〜16時間VCAM−1の発現を誘導した。培養液を除去し、EBM−2培地で2回洗浄した後、抗体H6と対照抗体(IgG4,Cat. No.:I4764,Sigma)を10μg/ml濃度で入れた後、30分間37℃で培養した。各ウェルをEBM−2培地で2回洗浄した後、細胞表面のVCAM−1をクロスリンクさせるのに使用される抗VCAM−1抗体(Cat. No.:BBA5,R&D)を10μg/ml濃度で入れて30分間37℃で培養した。各ウェルをEBM−2培地で2回洗浄し、HRP 共役された抗−マウス抗体(Cat. No.:A9917,Sigma)を1:100の割合で入れた後、37℃で30分間培養した。各ウェルをEBM−2培地で2回洗浄した。培地を完壁に除去した後、EBM−2培地に希釈した10μMのDCF(2’,7’−ジクロロフルオレセインジアセテート)を150μlずつ各ウェルに処理した。その後、蛍光値(測定波長495nm−527nm)を10分ごとに3時間観察して、3時間目に測定された値で抗体の効能を評価した。前記実験を3回繰り返した。
【0109】
その結果、細胞表面に発現されたVCAM−1をクロスリンクさせることによって、誘導されたROS活性はH6抗体によって約33%阻害率を示すことを確認した。
【0110】
12.内在化分析
HUVEC(ヒト臍帯血管内皮細胞)2×105個を6−ウェルプレートに接種し、単一膜を形成するまで約3日間培養した。ヒトTNF−α(20ng/ml,Cat. No.:ab9642,abcam)を14〜16時間処理してVCAM−1の発現を誘導した。1〜5継代の間のHUVECを使用した。ヒトTNF−αを除去するために、細胞をPBSで1回洗浄した後、プレートを4℃に20分間放置した。BSAが添加されたPBSに希釈した抗体H6(10μg/ml)をHUVECに処理した後、結合を誘導するために4℃で30分間培養した。その後、細胞をPBSで1回洗浄した。プレートを37℃でそれぞれ2、10、30、60分間放置してVCAM−1に結合された抗体の内在化を誘導した後、洗浄した。VCAM−1発現確認実験の実験群を除いて、各実験群に酸性PBS(pH2.5)1mlを入れ、5分間室温に放置して細胞表面の抗体を除去した後、洗浄した。細胞をトリプシン(Cat. No.:CC-5034,Clonetics)処理して回収した後、4%ホルムアルデヒド(PBSに希釈)を入れて室温で10分間反応させた。PBSで細胞を1回洗浄した後、0.2%トリトンX−100(PBSに希釈)を入れて10分間反応させ、PBSで1回洗浄した。FITCが共役されたヤギ抗−ヒトIgG抗体(Cat. No.:F9512,Sigma)を入れて4℃で30分間結合を誘導した。その後、細胞をPBSで1回洗浄し、フローサイトメトリーで分析した。本実験は、2回繰り返した。
【0111】
その結果、アイソタイプコントロール(isotype control)(グレー)に比べて細胞表面にVCAM−1が発現された(矢印、スカイブルー)程度が明らかだった。また、各時間別に内在化を誘導した結果、VCAM−1に抗体が結合してから2分目から内在化が進行されて30分目に最大に達することを確認した。
【0112】
13.インビトロ接合分析を通したVCAM−1抗体の炎症細胞付着抑制効果分析
VCAM−1抗体が血管内皮細胞に付着することによって、炎症細胞の接合を抑制することができるかどうかを確認するために、C57BL/6マウスの大動脈血管内皮細胞をマトリゲル方法で分離した後、培養した。その後、24ウェル培養ディッシュに1×105個細胞を接種した後、TNF−αを処理してVCAM−1発現を誘導した。GFP(緑色蛍光タンパク質(green fluorescence protein))形質転換マウスの骨髓から由来した単核球をその表面マーカーであるCD11bを取るマグネチックビーズを使用して分離し、血管内皮細胞に1×106個ずつ処理した。30分間培養した後、結合しない細胞をPBS洗浄によって除去した。4%パラホルムアルデヒドで10分間固定し、再びPBSで洗浄した。その後、結合した単核球のイメージを蛍光顕微鏡によって獲得し、イメージ分析ソフトウェアによって細胞数を計数して分析した。
【0113】
その結果、対照群抗体を(4BT、10μg/ml)処理した血管内皮細胞よりVCAM−1抗体を(7HT、10μg/ml)処理した血管内皮細胞で結合された単核球の数が約20%減少したことを確認した(図9)。
【0114】
14.インビトロ透過分析を介したVCAM−1抗体の炎症細胞透過抑制効果分析
VCAM−1Abが血管内皮細胞に付着することによって、炎症細胞の透過を抑制することができるかどうかを確認するために、C57BL/6マウスの大動脈血管内皮細胞をマトリゲル方法で分離して培養した。トランスウェルの上部チャンバーに5×104個の細胞を接種し、TNF−αを処理してVCAM−1発現を誘導した。マウスの骨髓細胞を分離して血管内皮細胞に1×105個細胞を処理した後、4時間と18時間後に下部チャンバーに透過した細胞数を数えた。その結果、4時間後に細胞数を数えた時、対照群抗体を(4BT、10μg/ml)処理した群よりVCAM−1抗体(7HT、10μg/ml)を処理した群で約25%の減少を示し、18時間後では約29%の減少を示すことを確認することができた(図10)。
【0115】
15.VCAM−1抗体(7HT)のインビボ付着検査のためのエンフェース共焦点顕微鏡分析
VCAM−1抗体の心血管疾病に対する治療剤としての効果を確認するために、実験群をPBS、対照群抗体(4BT、10mg/kg)、VCAM−1抗体(7HT、1mg/kg)、VCAM−1抗体(7HT、10mg/kg)の4つのグループに分け、VCAM−1抗体をマウスに注入時、VCAM−1を発現する動脈血管内皮細胞に特異的に結合するかどうかを確認した。2週間4回を腹腔内注射を介する注入と高脂質食餌を並行した後、各マウスの動脈を回収してAlexa594標識された抗−ヒトIgG2次抗体と反応させた。血管内皮細胞のVCAM−1発現可否を再確認するために、動脈をヤギ抗−mVCAM−1抗体とAlexa488が標識された抗−ヤギIgG2次抗体と反応させた。その後、動脈の薄片を共焦点顕微鏡で確認した。その結果、各マウスの動脈でVCAM−1の発現が明確に観察され、ただ高濃度のVCAM−1抗体(7HT、10mg/kg)を注入したマウスにおいてのみが抗体がよく付いていることを確認することができた(図11)。
【0116】
16.体重及び食餌飼料量の変化測定
12週間抗体投与によるマウスの食餌飼料量及び体重の変化を測定するために、週1回各グループのマウス体重と食餌飼料量を測定した。その結果、一般食餌を実施した1グループを除いて高脂質食餌を実施した2〜4グループは、グループ間の差は示さなかった。食餌飼料量も有意的な差を示さなかった(図12)。
【0117】
17.血液分析結果
各実験群の動物の血液を分離するために、ヘパリン処理されたチューブで血液を採取して13、000rpmで15分間遠心分離した。血液内総コレステロール(CHL)、トリグリセリド(TG)、高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)の測定は自動生化学分析器(HITACHI 7150,Japan)を用いて分析した。
【0118】
【表2】

【0119】
一般食餌とPBS投与を実施した1グループでは、総コレステロール(T−CHO)平均及び標準偏差が615.20±61.67(mg/dl)で最も少ない水準を示し、高脂質食餌と4BT抗体(10mg/kg)を投与した2グループでは、総コレステロール(T−CHO)平均及び標準偏差が1380.00±237.03(mg/dl)、高脂質食餌と7HT抗体(1mg/kg)を投与した3グループでは、総コレステロール(T−CHO)平均及び標準偏差が1367.20±143.68(mg/dl)、そして、高脂質食餌と7HT抗体(10mg/kg)を投与した4グループでは、総コレステロール(T−CHO)平均及び標準偏差が1323.60±209.38(mg/dl)を示した。対照群(2グループ)に比べて、総コレステロールが減少する有意的な差を示さなかったし、HDL−及びLDL−コレステロールも有意的な差を示さなくて7HT抗体の投与によるコレステロール代謝/排出には影響がないことを確認した。しかし、中性脂質及びブドウ糖数値が4グループで減少し、肝臓毒性確認のためのGOT、GPT及びALB水準では差を示さなかった(図13)。
【0120】
18.大動脈弓に形成された粥状硬化斑の確認及び面積測定
12週間高脂質(脂肪20%、コレステロール0.15%)食餌を投与したApoE−/−マウスを犠牲させ、心臓及び上行大動脈から胸部大動脈まで切除してホルマリンで固定した。その後、心臓をトリミングした後、OCT化合物に包埋して超低温冷凍庫で凍結させた。大動脈弓を凍結切片機で6の厚さで切ってスライドを製作した。脂肪染色のために、スライドを蒸溜水に浸漬してから、純粋プロピレングリコールに1分間浸漬した後、オイルレッド(Oil-red)溶液で16時間染色した。その後、85%プロピレングリコールに2分間浸漬し、蒸溜水で洗浄した後、水性封入剤で封入して光学顕微鏡で観察した。粥状硬化斑の面積測定のために、それぞれの組織を撮影した後、イメージ測定ソフトウェア(Axio Vision,Carl Zeiss)を用いて面積を測定して比較した。
【0121】
一般食餌とPBS投与を実施した1グループでは、平均病変面積及び標準偏差が88.55±21.65(103μm2)で最も少ない病変を形成し、高脂質食餌と4BT Ab(10mg/kg)を投与した2グループでは、平均病変面積及び標準偏差が345.20±74.03(103μm2)で最大の病変形成率を示し、高脂質食餌と7HT Ab(1mg/kg)を投与した3グループでは、平均病変面積及び標準偏差が323.68±86.02(103μm2)、高脂質食餌と7HT Ab(10mg/kg)を投与した4グループでは、平均病変面積及び標準偏差が294.78±2.62(103μm2)で対照群(2グループ)に比べて面積が減少する傾向性を確認した(図14)。
【0122】
19.動脈に形成された粥状硬化斑のエンフェース方法による病変分析
心臓から大腿動脈まで切除した後、周辺の脂肪組織と外膜部位を完全に除去し、心臓基底部の動脈を切断して心臓と分離した。微細はさみと微細ピンセットを用いて動脈を切開して、動脈内部が見えるように広げた後ピンで固定した。動脈を10%中性緩衝ホルマリン溶液で16時間固定した後、純粋プロピレングリコールに1分間浸漬した後、オイルレッド溶液で16時間染色した。その後、標本を85%プロピレングリコールに2分間浸漬し、蒸溜水で洗浄した。解剖顕微鏡(Leica)を用いてイメージを獲得した後、アキシオビジョン(Axio Vision)ACイメージプログラムで動脈総面積に対する病変割合を測定した。
【0123】
一般食餌とPBS投与を実施した1グループでは、平均病変面積及び標準偏差が1.75±0.47(%)で最も少ない値を示し、高脂質食餌と4BT抗体(10mg/kg)を投与した2グループでは、平均病変面積及び標準偏差が8.01±4.25(%)で最大値を示し、高脂質食餌と7HT抗体(1mg/kg)を投与した3グループでは、平均病変面積及び標準偏差が7.02±3.64(%)、そして、高脂質食餌と7HT抗体(10mg/kg)を投与した4グループでは、平均病変面積及び標準偏差が5.43±1.61(103μm2)で対照群(2グループ)に比べて有意的に減少することを確認した(P<0.05)(図15及び図16)。
【0124】
20.VCAM−1抗体投与による毒性可否を確認するための主要臓器の病理学的分析
腹腔に注射した抗体による毒性可否を判別するために、各グループの肝臓、腎臓及び脾臓を10%ホルムアルデヒドに固定してパラフィンブロックを製作し、ミクロトーム(microtome)を使用して組織切片を得た。核と細胞質染色のためにヘマトキシリン&エオシン染色を実施した後、観察した。その結果、高脂質食餌を介して肝臓で見える脂肪肝以外の炎症細胞浸潤または組織壊死のような毒性による表現型は見えなかった(図17)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト血管細胞接合分子−1(VCAM−1)に特異的に結合して白血球及び活性化された内皮細胞との間の接合及び前記活性化された内皮細胞への白血球の透過を阻害することを特徴とする組換えヒト単一クローン抗体。
【請求項2】
前記組換えヒト単一クローン抗体は、ヒト血管細胞接合分子−1(VCAM−1)のドメイン1または2に結合することを特徴とする、請求項1に記載の組換えヒト単一クローン抗体。
【請求項3】
前記組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号2で定義される重鎖CDR1;配列番号3で定義される重鎖CDR2;及び配列番号4で定義される重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号6で定義される軽鎖CDR1;配列番号7で定義される軽鎖CDR2;及び配列番号8で定義される軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む、請求項2に記載の組換えヒト単一クローン抗体。
【請求項4】
前記組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号1で定義される重鎖アミノ酸配列を含む、請求項2に記載の組換えヒト単一クローン抗体。
【請求項5】
前記組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号5で定義される軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項2に記載の組換えヒト単一クローン抗体。
【請求項6】
前記組換えヒト単一クローン抗体のヒトVCAM−1抗原に対する結合/解離定数(KD値)が0.1×10-9M〜7.0×10-9Mであることを特徴とする、請求項2に記載の組換えヒト単一クローン抗体。
【請求項7】
前記組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号10で定義される重鎖CDR1;配列番号11で定義される重鎖CDR2;及び配列番号12で定義される重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号14で定義される軽鎖CDR1;配列番号15で定義される軽鎖CDR2;及び配列番号16で定義される軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む、請求項2に記載の組換えヒト単一クローン抗体。
【請求項8】
前記組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号9で定義される重鎖アミノ酸配列を含む、請求項2に記載の組換えヒト単一クローン抗体。
【請求項9】
前記組換えヒト単一クローン抗体は、配列番号13で定義される軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項2に記載の組換えヒト単一クローン抗体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項の組換えヒト単一クローン抗体を用いて炎症性疾患または癌が疑われる個体の生物学的試料内のVCAM−1を抗原−抗体反応を介して検出する段階を含む、炎症性疾患、心血管疾患または癌の診断に必要な情報の提供方法。
【請求項11】
前記炎症性疾患は、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患、及び大腸疾患からなる群から選択されるものである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患は、喘息、糖尿病、ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、敗血症、内毒素ショック、血流力学ショック、敗血症症侯群、虚血性再灌流損傷、マラリア感染、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症疾病、カヘキシー、移植拒否、癌、自己免疫疾病、エイズ関連日和見感染症、関節炎、リウマチ性脊椎炎、痛風、強直性痛風炎、クローン疾病、潰瘍性膀胱三角炎、多発性硬化症、癩性結節性紅斑(ENL)、放射線障害及び酸素過多性肺胞損傷からなる群から選択されるものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記心血管疾患は、心筋梗塞、心臓麻痺、脳卒中、不整脈、高血圧、高脂血症及び動脈硬化から構成される群から選択されるものである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか一項の組換えヒト単一クローン抗体を用いて白血球及び活性化された内皮細胞間の接合及び前記活性化された内皮細胞への白血球の透過を阻害する方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか一項の組換えヒト単一クローン抗体を含む、炎症性疾患、心血管疾患または癌の診断用組成物。
【請求項16】
前記炎症性疾患は、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患、及び大腸疾患からなる群から選択されるものである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患は、喘息、糖尿病、ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、敗血症、内毒素ショック、血流力学ショック、敗血症症侯群、虚血性再灌流損傷、マラリア感染、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症疾病、カヘキシー、移植拒否、癌、自己免疫疾病、エイズ関連日和見感染症、関節炎、リウマチ性脊椎炎、痛風、強直性痛風炎、クローン疾病、潰瘍性膀胱三角炎、多発性硬化症、癩性結節性紅斑(ENL)、放射線障害及び酸素過多性肺胞損傷からなる群から選択されるものである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記心血管疾患は、心筋梗塞、心臓麻痺、脳卒中、不整脈、高血圧、高脂血症及び動脈硬化からなる群から選択されるものである、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
請求項1〜9のいずれか一項の組換えヒト単一クローン抗体及び薬剤学的に許容可能な担体を含む、炎症性疾患、心血管疾患または癌の予防または治療用組成物。
【請求項20】
前記炎症性疾患は、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患及び大腸疾患からなる群から選択されるものである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記腫瘍壊死因子−α(TNF−α)媒介性疾患は、喘息、糖尿病、ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、敗血症、内毒素ショック、血流力学ショック、敗血症症侯群、虚血性再灌流損傷、マラリア感染、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症疾病、カヘキシー、移植拒否、癌、自己免疫疾病、エイズ関連日和見感染症、関節炎、リウマチ性脊椎炎、痛風、強直性痛風炎、クローン疾病、潰瘍性膀胱三角炎、多発性硬化症、癩性結節性紅斑(ENL)、放射線障害及び酸素過多性肺胞損傷からなる群から選択されるものである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記心血管疾患は、心筋梗塞、心臓麻痺、脳卒中、不整脈、高血圧、高脂血症及び動脈硬化からなる群から選択されるものである、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
請求項19に記載の組成物を個体に投与する段階を含む炎症性疾患、心血管疾患または癌の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2013−508356(P2013−508356A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535139(P2012−535139)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007303
【国際公開番号】WO2011/049412
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(501242664)ハンファ ケミカル コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】