説明

VEGF拮抗剤及び降圧剤の治療的組み合わせ

血管新生に関連する疾患又は状態を血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤及び1つ以上の降圧剤によって処置するための組成物及び方法を開示する。本発明の方法は、VEGF阻害剤で処置した被験体における高血圧の進行を抑止し、及び/又は高血圧を軽減するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
発明の分野
本発明の分野は、血管内皮増殖因子(VEGF)拮抗剤を1つ以上の降圧剤と組み合わせて使用し哺乳動物における疾患を処置する治療法に関連する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
血管内皮増殖因子(VEGF)は、病理学的状態における主要な血管新生刺激因子であると認識されている。VEGFをブロックする方法への取り組みとしては、可溶性受容体構築物、アンチセンス分子、RNAアプタマー、及び抗体がある。VEGF受容体ベースの拮抗剤の説明については、例えば、PCT WO/0075319を参照のこと。
【0003】
抗VEGF抗体及び化学療法剤(例えば、パクリタキセル(TAXOL(商標)))を用いた併用療法が知られている(例えば、U.S. 6,342,219を参照のこと)。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
1つの局面において、本発明は、高親和性の血管内皮細胞増殖因子(VEGF)拮抗剤、1つ以上の降圧治療剤、及び薬学的に許容される坦体を含む薬学的組成物を特徴とする。
【0005】
より具体的には、VEGF拮抗剤は、VEGF受容体Flt1の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2及びVEGF受容体Flk1又はFlt4のIgドメイン3、並びに多量体化要素を有する融合ポリペプチドを含む高親和性融合蛋白質二量体(又は「トラップ」)である。さらに具体的には、VEGF拮抗剤は、Flt1D2.Flk1D3.FcΔC1(a)(配列番号:1〜2)、VEGFR1R2-FcΔC1(a)(配列番号:3〜4)、又はこれらの機能等価物からなる群より選択される融合ポリペプチドを含む。
【0006】
具体的な態様において、1つ以上の降圧治療剤は、ACE阻害剤(ACCUPRIL(商標)(Parke-Davis);ALTACE(商標)(Monarch);CAPTOPRIL(商標)(Mylan);ENALAPRILATE(商標)(Baxter);LOTENSIN(商標)(Novartis);MAVIK(商標)(Bristol-Myers Squibb);PRINIVIL(商標)(Merck);UNIVASC(商標)(Schwarz);VASOTEC(商標)(Merck);カルシウムチャネル拮抗剤(例えば、ニフェジピン)、βアドレナリン受容体拮抗剤(例えば、プロパナロール、ソタロール);アンジオテンシンII受容体拮抗剤;αアドレナリン受容体拮抗剤;直接作用性の血管拡張剤;及び高血圧の処置に用いられる利尿剤からなる群より選択される。好ましい態様において、降圧治療剤は、ACE阻害剤又はβアドレナリン受容体遮断剤(ブロッカー)である。
【0007】
第二の局面において、本発明は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)拮抗剤、1つ以上の降圧治療剤、及び薬学的に許容される坦体を含み、VEGF拮抗剤は、VEGF受容体Flt1の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2及びVEGF受容体Flk1又はFlt4のIgドメイン3並びに多量体化要素を各々有する2つの融合蛋白質で構成される二量体である薬学的組成物を特徴とする。具体的な態様において、VEGF拮抗剤は、Flt1D2.Flk1D3.FcΔC1(a)(配列番号:1〜2)、VEGFR1R2-FcΔC1(a)(配列番号:3〜4)、又はこれらの機能等価物からなる群より選択される。
【0008】
第三の局面において、本発明は、VEGF拮抗剤により改善、阻害、軽減されるヒトの疾患又は状態を処置する方法であって、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)拮抗剤及び少なくとも1つの降圧剤の組み合わせを投与することを包含する方法を特徴とする。
【0009】
本発明の併用療法は、最大限の抗血管新生作用を達成しつつ、抗血管新生剤による処置に起因する既知の副作用、具体的には高血圧、を最小限に抑制する。抗血管新生剤とACE阻害剤又はアンジオテンシン受容体遮断剤の組み合わせはまた、蛋白尿の危険のある被験体においてこれを抑止するのにも使用され得る。
【0010】
本発明の組み合わせによる処置により改善、阻害、又は軽減される疾患及び/若しくは状態、又はこれらの再発は、VEGF阻害剤(例えば、上記のVEGFトラップ)を用いて処置される疾患等である。例えば、VEGF阻害剤による処置により改善される状態としては、癌又は糖尿病のような疾患がある。本発明の併用療法による処置により改善、阻害、抑止、又は軽減される状態としては、血管透過性、浮腫、又は炎症(例えば、外傷、発作、若しくは腫瘍に関連する脳浮腫、炎症性障害(例えば、乾癬若しくは関節炎)に関連する浮腫、喘息、火傷に関連する浮腫、腫瘍、炎症、若しくは心的外傷に関連する腹水及び胸水貯留、慢性気道炎症、毛細管漏出症候群、蛋白質漏出の亢進に関連する敗血症性腎臓疾患、眼障害(例えば、眼科黄斑変性及び糖尿病性網膜症)、異常な血管新生(例えば、多嚢胞性卵巣疾患、子宮内膜症(entometriosis)、及び子宮内膜癌))がある。VEGF阻害剤はまた、既に存在する腫瘍又は転移癌、糖尿病の退行又はその大きさの縮小を誘導するために、腫瘍性新血管形成を減少させるために、移植角膜生存時間を向上させるために、角膜移植拒絶反応又は角膜のリンパ脈管新生(lympangiogenesis)及び血管新生を阻害するために使用され得る。
【0011】
処置される被験体は好ましくは、先に列挙した状態のうちの一つを患っているか、高血圧に苦しんでいるか、高血圧の進行の危険があるか、又は高血圧の処置若しくは阻害が望まれる被験体(例えば、心血管系疾患の危険のある被験体、65歳以上の被験体、又は本法以外の方法では高血圧の進行を伴わずに適当投与量のVEGF拮抗剤による処置を行うことができない被験体)である。
【0012】
VEGF阻害剤及び降圧剤は、同時に、個別に、若しくは組み合わせて、又は比較的短期間に(例えば、数分内、数時間内、若しくは数日内に)連続して投与され得る。
【0013】
第四の局面において、本発明は、高血圧の危険のある患者において血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤による処置の間に高血圧が進行するのを抑止する方法であって、VEGF拮抗剤及び少なくとも1つの降圧剤の組み合わせを投与する工程を包含する方法を特徴とする。
【0014】
第五の局面において、本発明は、高血圧の危険のある患者において血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤による処置の間に高血圧を処置する方法であって、VEGF拮抗剤及び少なくとも1つの降圧剤の組み合わせを投与する工程を包含する方法を特徴とする。
【0015】
第六の局面において、本発明は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の阻害により改善される疾患又は状態の処置のための医薬の調製における、VEGF拮抗剤及び降圧剤の組み合わせの使用を特徴とする。好ましい態様において、VEGF拮抗剤はVEGFR1R2-FcΔC1(a)(配列番号:4)であり、降圧剤は、上記のように、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、カルシウムチャネル拮抗剤、βアドレナリン受容体拮抗剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、αアドレナリン受容体拮抗剤、血管拡張剤及び利尿剤のうちの一つから選択される。好ましくは、本発明の使用の被験体は、ヒト被験体である。
【0016】
関連する局面において、本発明は、癌を処置するための医薬の調製における、癌を処置するためのVEGF拮抗剤及び降圧剤の組み合わせの使用であって、この組み合わせがVEGF拮抗剤に起因する血圧の上昇を軽減又は排除する、使用を特徴とする。
【0017】
他の目的及び利点は、以下の詳細な説明を精査すれば明らかとなろう。
【0018】
詳細な説明
本発明の方法及び組成物について説明する前に、本発明は記載された特定の方法及び実験条件に限定されないこと、従って方法及び条件は変更され得ることを理解すべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであるから、本明細書で使用される専門用語は特定の態様を説明する目的のみを有しており限定を意図しないこともまた理解されるべきである。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「1つ(a、an)」、及び「その、この(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、複数の参照をも包含する。従って、例えば、「(1つの)方法」に対する参照は、1つ以上の方法、並びに/又は本明細書に記載されている及び/若しくは本開示を読めば当業者に明らかとなるであろう類型のうちの1つ以上の段階等を包含する。
【0020】
そうでないことが規定されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する分野における当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本発明の実施又は試験においては本明細書に記載されたのと類似又は等価な任意の方法及び材料が使用できるが、ここには好ましい方法及び材料を記載する。
【0021】
一般論
正常な哺乳動物において血圧は、生理学的因子の複雑なシステムによって厳密に制御されている。これは生存する上で重要なことである、というのも、高い血圧(高血圧)は、多くの有害な医学的事象及び状態(例えば、発作、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、及び腎不全)に繋がり得るからである。VEGFは、インビトロで冠動脈を一過的に拡張し(Ku et. al. (1993) Am J Physiol 265: H585-592)、低血圧を誘導する(Yang et. al. (1996) J Cardiovasc Pharmacol 27: 838-844)ことが報告されている。子癇及び子癇前症(preemclampsia)を処置する方法は公知であり(例えば、米国特許出願公開第2003/0220262号、WO98/28006、WO00/13703を参照のこと)、VEGFのような血管新生因子又はその刺激剤(アゴニスト)の有効量を患者に投与することを包含する高血圧処置法が記載されている。米国特許出願公開第2003/0144298号は、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤の高レベル投与が、慢性的に投与された場合に、ラットにおいて持続的な血圧上昇を導くことを示している。
【0022】
VEGF拮抗剤及びVEGF特異的融合ポリペプチドトラップ
好ましい態様において、VEGF拮抗剤は、VEGFと高い親和性で結合することができ、ヒトIgG1のFc部分に融合されたヒトVEGFR1及びVEGFR2受容体の細胞外ドメインの主要なリガンド結合部分からなる二つの受容体−Fc融合蛋白質で構成される二量体融合蛋白質(「VEGFトラップ」と称する)である。具体的には、VEGFトラップは、VEGFR1由来のIgドメイン2がVEGFR2由来のIgドメイン3と融合され、次いでこれがIgG1のFcドメインと融合されたものからなる(配列番号:2)。
【0023】
好ましい態様において、VEGFトラップをコードする発現プラスミドがCHO細胞にトランスフェクトされ、このCHO細胞が、培養培地にVEGFトラップを分泌する。得られるVEGFトラップは、蛋白質分子量97kDaの二量体糖蛋白質であり、15%以下のグリコシル化を含むことで総分子量が115kDaとなる。
【0024】
VEGFトラップは、高親和性受容体の結合ドメインによってそのリガンドに結合するので、モノクローナル抗体よりもVEGFに対して高い親和性を有する。VEGFトラップは、VEGF-A(KD=1.5pM)、PLGF1(KD=1.3nM)、及びPLGF2(KD=50pM)に結合する(他のVEGFファミリーメンバーへの結合は現時点では十分に特徴付けられていない)。
【0025】
降圧治療剤
本発明は、VEGF阻害剤(好ましくはUS 6,833,349に記載されるVEGFトラップ)及び血圧を低下させることのできる薬剤を用いて実施され得る。降圧剤としては、カルシウムチャネル遮断剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)、アンジオテンシンII受容体拮抗剤(A-II拮抗剤)、利尿剤、βアドレナリン受容体遮断剤、血管拡張剤、及びαアドレナリン受容体遮断剤がある。
【0026】
カルシウムチャネル遮断剤としては、アムロジピン;ベプリジル;クレンチアゼム;ジルチアゼム;フェンジリン;ガロパミル;ミベフラジル;プレニルアミン;セモチアジル;テロジリン;ベラパミル;アラニジピン;バルニジピン;ベニジピン;シルニジピン;エホニジピン;エルゴジピン;フェロジピン;イスラジピン;ラシジピン;レルカニジピン;マニジピン;ニカルジピン;ニフェジピン;ニルバジピン;ニモジピン;ニソルジピン;ニトレンジピン;シンナリジン;フルナリジン;リドフラジン;ロメリジン;ベンシクラン;エタフェノン;及びペルヘキシリンがある。
【0027】
アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)としては、アラセプリル;ベナゼプリル;カプトプリル;セロナプリル;デラプリル;エナラプリル;ホシノプリル;イミダプリル;リシノプリル;モベルチプリル;ペリンドプリル;キナプリル;ラミプリル;スピラプリル;テモカプリル;及びトランドラプリルがある。
【0028】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤としては、カンデサルタン(US 5,196,444);エプロサルタン;イルベサルタン;ロサルタン;及びバルサルタンがあるがこれらに限定されない。
【0029】
β遮断剤としては、アセブトロール;アルプレノロール;アモスラロール;アロチノロール;アテノロール;ベフノロール;ベタキソロール;ベバントロール(bevantolot);ビソプロロール;ボピンドロール;ブクモロール;ブフェトロール;ブフラロール;ブニトロロール;ブプラノロール;塩酸ブチドリン;ブトフィロロール;カラゾロール;カルテオロール;カルベジロール;セリプロロール;セタモロール;クロラノロールジレバロール;エパノロール;インデノロール;ラベタロール;レボブノロール;メピンドロール;メチプラノロール;メトプロロール;モプロロール;ナドロール;ナドキソロール;ネビバロール;ニプラジロール;オクスプレノロール;ペンブトロール;ピンドロール;プラクトロール;プロネタロール;プロプラノロール;ソタロール;スルフィナロール;タリノロール;テルタトロール;チリソロール;チモロール;トリプロロール;及びキシベノロールがあるがこれらに限定されない。
【0030】
α遮断剤としては、アモスラロール;アロチノロール;ダピプラゾール;ドキサゾシン;フェンスピリド;インドラミン;ラベトロール;ナフトピジル;ニセルゴリン;プラゾシン;タムスロシン;トラゾリン;トリマゾシン;及びヨヒンビンがあるがこれらに限定されない。
【0031】
血管拡張剤としては、脳血管拡張剤、冠血管拡張剤、及び抹消血管拡張剤がある。脳血管拡張剤としては、ベンシクラン;シンナリジン;シチコリン;シクランデレート;シクロニカート;ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン;エブルナモニン;ファスジル;フェノキセジル;フルナリジン;イブジラスト;イフェンプロジル;ロメリジン;ナフロニル;ニカメタート;ニセルゴリン;ニモジピン;パパベリン;チノフェドリン;ビンカミン;ビンポセチン;及びビキジルがある。
【0032】
冠血管拡張剤としては、アモトリフェン;ベンダゾール;ベンフロジルヘミスクシナート;ベンズヨーダロン;クロラシジン;クロモナール;クロベンフラール;クロニトラート;クロリクロメン;ジラゼプ;ジピリダモール;ドロプレニラミン;エフロキサート;四硝酸エリトリチル;エタフェノン;フェンジリン;フロレジル;ガングレフェン;ヘキセストロールビス(βジエチルアミノエチル)エーテル;ヘキソベンジン;イトラミントシレート;ケリン;リドフラジン;六硝酸マンニトール;メジバジン;ニトログリセリン;四硝酸ペンタエリスリトール;ペントリニトロール;ペルヘキシリン;ピメフィリン;プレニルアミン;硝酸プロパチル;トラピジル;トリクロミル;トリメタジジン;リン酸トロールニトラート;ビスナジンがあるがこれらに限定されない。
【0033】
抹消血管拡張剤としては、ニコチン酸アルミニウム;バメタン;ベンシクラン;ベタヒスチン;ブラジキニン;ブロビンカミン;ブフェニオド;ブフロメジル;ブタラミン;セチエジル;シクロニカート;シネパジド;シンナリジン;シクランデレート;ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン;エレドイシン;フェノキセジル;フルナリジン;ヘプロニカート;イフェンプロジル;イロプロスト;イノシトールナイアシネート;イソクスプリン;カリジン;カリクレイン;モキシシリト;ナフロニル;ニカメタート;ニセルゴリン;ニコフラノース;ナイリドリン;ペンチフィリン;ペントキシフィリン;ピリベジル;プロスタグランジンE1;スロクチジル;トラゾリン;及びキサンチノールナイアシネートがあるがこれらに限定されない。
【0034】
利尿剤としては、利尿性ベンゾチアジアジン誘導体;利尿性有機水銀;利尿性プリン;利尿性ステロイド;利尿性スルホンアミド誘導体;利尿性ウラシル;及びその他の利尿剤(例えば、アマノジン;アミロライド;アルブチン;クロラザニル;エタクリン酸;エトゾリン;ヒドラカルバジン;イソソルビド;マンニトール;メトカルコン;ムゾリミン;ペルヘキシリン;チクリナフェン;トリアムテレン;及び尿素)があるがこれらに限定されない。
【0035】
処置集団
好ましくは本明細書に記載の併用療法によって処置されるヒト被験体は、抗血管新生剤による処置に起因する1つ以上の副作用(例えば、高血圧、蛋白尿)を抑止又は軽減することが望まれる被験体である。特に好ましい被験体は、高血圧に苦しむ被験体、65歳以上の被験体、又は望ましくない副作用を軽減又は抑止することで他の方法では被験体を有害な医学的事象の危険にさらすことなく使用することができないような最大投与量の抗血管新生剤の使用が可能となる被験体である。腎細胞癌、膵癌、進行した乳癌、結腸直腸癌、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、卵巣癌、又は黒色種に苦しむ患者は、本発明の併用療法で処置され得る。本発明の併用療法による処置によって改善、阻害、軽減される疾患及び/若しくは状態、又はそれらの再発としては、癌、糖尿病、血管透過性、浮腫、又は炎症(例えば、外傷、発作、若しくは腫瘍に関連する脳浮腫、炎症性障害(例えば、乾癬又は関節炎)に関連する浮腫、喘息、火傷に関連する浮腫、腫瘍、炎症、若しくは心的外傷に関連する腹水及び胸水貯留、慢性気道炎症、毛細管漏出症候群、蛋白質の漏出亢進に関連する敗血症性腎臓疾患、眼障害(例えば、眼科黄斑変性及び糖尿病性網膜症)、異常な血管新生(例えば、多嚢胞性卵巣疾患、子宮内膜症(entometriosis)、及び子宮体癌))がある。VEGF阻害剤はまた、既に存在する腫瘍又は転移癌、糖尿病の退行又はその大きさの縮小を誘導するために、腫瘍性新血管形成を減少させるために、移植角膜生存時間を向上させるために、角膜移植拒絶反応又は角膜のリンパ脈管新生(lympangiogenesis)及び血管新生を阻害するために使用され得る。
【0036】
併用療法
多くの態様において、VEGF拮抗剤は、1つ以上のさらなる化合物又は治療(第二のVEGF拮抗剤分子を含む)と組み合わせて投与され得る。併用療法としては、VEGF拮抗剤及び1つ以上のさらなる薬剤をその独自別個の薬学的投与処方物において投与するものだけでなく、VEGF拮抗剤及び1つ以上のさらなる薬剤を含有する単一の薬学的投与処方物の投与がある。例えば、VEGF拮抗剤及び細胞障害性薬剤、化学療法剤、又は増殖阻害剤は、患者に対して、単一の投与組成物(例えば、併用処方物)において一緒に投与され得るし、また、各々の薬剤は、別個の投与処方物において投与され得る。別個の投与処方物が用いられる場合、本発明のVEGF特異的融合蛋白質及び1つ以上のさらなる薬剤は、同時に、又は別のずらした時間に、すなわち連続的に、投与され得る。
【0037】
本明細書で用いられる用語「細胞障害性薬剤」は、細胞の機能を阻害又は抑止し、及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質をいう。この用語は、放射性同位体(例えば、I131、I125、Y90、及びRe186)、化学療法剤、及び毒素(例えば、細菌、真菌、植物若しくは動物起源の酵素活性を有する毒素、又はそのフラグメント)を包含することを意図する。
【0038】
「化学療法剤」は、癌の処置に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例としては、アルキル化剤(例えば、チオテパ及びシクロスホスファミド(cyclosphosphamide)(CYTOXAN(登録商標)));アルキルスルホン酸(例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン);アジリジン(例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メトウレドパ(meturedopa)、及びウレドパ(uredopa));エチレンイミン及びメチルメラミン(methylamelamine)(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含む);ナイトロジェンマスタード(例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノべムビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード);ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン);抗生物質(例えば、アクラシノミシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カリチアマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6ージアゾー5ーオキソーL−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン);代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート及び5−フルオロウラシル);葉酸アナログ(例えば、デノプテリン(denopterin)、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキサート);プリンアナログ(例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン);ピリミジンアナログ(例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン);アンドロゲン(例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン);抗副腎剤(例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン);葉酸補充剤(例えば、フォリン酸(frolinic acid));アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン;エフロールニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメト(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’ートリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン(例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標);Aventis Antony, France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン);ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン;レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;並びに上記いずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体がある。この定義にはまた、腫瘍に対するホルモンの作用を調節又は阻害するよう作用する抗ホルモン剤(例えば、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)ーイミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン(keoxifen)、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston));並びに抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン))並びに上記いずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体も含まれる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「増殖阻害剤」は、インビトロ又はインビボのいずれかで、細胞、特に癌細胞の増殖を阻害する化合物又は組成物をいう。増殖阻害剤の例としては、細胞周期の進行を(S期以外の時期で)遮断する薬剤、例えば、G1停止及びM期停止を誘導する薬剤がある。古典的なM期遮断剤としては、ビンカ類(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、TAXOL(登録商標)、並びにトポII阻害剤(例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシン)がある。G1停止させる薬剤はまた、S期の停止にも影響する(例えば、DNAアルキル化剤(例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、及びara-C))。
【0040】
投与法
本発明は、VEGF拮抗剤(例えば、VEGF拮抗剤)及び降圧剤を含む組成物及び処置方法を提供する。多種の送達系が公知であり、これらは本発明の組成物を投与するのに使用され得る。例えば、リポソーム被包、微粒子、マイクロカプセル、本化合物を発現する組み換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262: 4429-4432を参照のこと)、レトロウイルス又は他のベクターの一部としての核酸の構築等。導入法は経腸、非経口的であり、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、眼内、及び経口の経路があるがこれらに限定されない。本化合物は、都合の良い任意の経路により、例えば、注入又はボーラス注射により上皮又は粘膜皮膚の内張り(例えば、口腔粘膜、直腸腸管粘膜等)を通じた吸収により投与され得、そして他の生物学的活性薬剤と共に投与され得る。投与は、全身的又は局所的なものであり得る。投与は、急性的若しくは慢性的(例えば、日ごと、週ごと、月ごと等)な投与、又は他の薬剤と組み合わせての投与であり得る。肺投与もまた採用され得る(例えば、吸入器又は噴霧器の使用によるもの、及びエアロゾル化薬剤を含む処方によるもの)。
【0041】
別の態様において、活性薬剤は、ベシクル(特にリポソーム)、放出制御系、又はポンプによって送達され得る。本発明の活性薬剤が蛋白質をコードする核酸である別の態様において、核酸は、その核酸を適切な核酸発現ベクターの一部として構築しそれが細胞内に入るよう投与することにより(例えば、レトロウイルスベクターの使用により(例えば、米国特許第4,980,286号を参照のこと)、直接注射により、又は微粒子銃の使用により)、又は脂質若しくは細胞表面受容体若しくはトランスフェクション試薬でコーティングすることにより、又は核に進入することが知られているホメオボックス様ペプチドと連結して投与することにより、そのコードする蛋白質の発現を促進するようインビボで投与され得る。
【0042】
具体的な態様において、処置の必要のある領域に局所的に本発明の薬学的組成物を投与することが所望され得る。このことは、例えば(そして限定されることなく)、手術中の局所注入、局所適用により(例えば、注射により、カテーテルにより)、又は多孔性、非多孔性、若しくはゼラチン質の材料の移植片(メンブレン(例えば、シラスティックメンブレン)、線維、又は市販の皮膚代用物がある)により達成され得る。
【0043】
本発明の方法を実施する上で有用な組成物は、本発明の薬剤を溶液として、懸濁液として、又はその両方として含む液体であり得る。用語「溶液/懸濁液」は、活性薬剤の第一部分が溶液中に存在し、活性薬剤の第二部分が粒子形態で、液体マトリクス中に懸濁して存在する液体組成物をいう。液体組成物はまた、ゲルを含む。液体組成物は、水性であっても軟膏の形態であってもよい。
【0044】
本発明の方法を実施するのに有用な水性懸濁液又は溶液/懸濁液は、懸濁剤として1つ以上のポリマーを含み得る。有用なポリマーとしては、水溶性ポリマー(例えば、セルロースポリマー)及び水不溶性ポリマー(例えば、架橋カルボキシル含有ポリマー)がある。本発明の水性懸濁液又は溶液/懸濁液は、好ましくは、粘稠性若しくは粘膜付着性であり、又は、さらに好ましくは、その両方、粘稠性かつ粘膜付着性である。
【0045】
薬学的組成物
本発明は、VEGF拮抗剤、降圧剤、及び薬学的に許容される坦体を含む薬学的組成物を提供する。用語「薬学的に許容される」は、連邦政府又は州政府の監督官庁に承認されていること、又は動物、特にヒトにおける使用についての米国薬局方又は他の一般的に認知されている薬局方に列挙されていることを意味する。用語「坦体」は、治療を施す際に用いる希釈剤、免疫賦活剤、賦形剤、又は溶媒をいう。このような薬学的坦体は、無菌の液体(例えば、水及び油(石油、動物、植物、又は合成起源のものがある(例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油等)))であり得る。適切な薬学的賦形剤としては、澱粉、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等がある。必要な場合、組成物はまた、微量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含み得る。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放処方物等の形態を採り得る。適切な薬学的坦体の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0046】
本発明の組成物は、中性の形態又は塩形態として処方され得る。薬学的に許容される塩としては、遊離アミノ基(例えば、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等由来のもの)と形成された塩、及び遊離カルボキシル基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等由来のもの)と形成された塩がある。
【0047】
その意図する治療用途に対して有効な本発明の組成物の量は、本明細書に基づき標準的な臨床技術により決定され得る。さらに、任意で、最適な用量範囲の同定を補助するのにインビトロアッセイが用いられ得る。一般的には、静脈内投与に適した用量範囲は、概ね体重1キログラムあたり活性化合物約20〜500マイクログラムである。鼻腔内投与に適した用量範囲は、概ね約0.01pg/kg体重〜1mg/kg体重である。有効用量は、インビトロ系又は動物モデル試験系から得た用量応答曲線から推定され得る。
【0048】
全身投与については、治療有効用量は、まずインビトロアッセイから概算され得る。例えば、用量は、細胞培養物において決定されたIC50を含む循環濃度範囲を達成するよう動物モデルにおいて処方され得る。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するのに使用され得る。初期用量はまた、当技術分野で周知の技術を用いて、インビボデータ(例えば、動物モデル)からも概算され得る。当業者は、動物データに基づきヒトへの投与を容易に最適化し得る。
【0049】
用量及び投与間隔は、治療効果を維持するのに十分な化合物の血漿レベルを提供するよう個別に調節され得る。局所投与又は選択的取込の場合、化合物の有効局所濃度は、血漿濃度と関連しないこともある。当業者は、過度の実験を行うことなく治療的に有効な局所用量を最適化し得る。
【0050】
投与される化合物の量は、当然、処置される被験体、被験体の体重、苦痛の重篤度、投与様式、及び処方医の判断に依存する。治療は、その症候が検出可能である間又はそれらが検出可能でない場合でさえも断続的に反復され得る。治療は、それ単独で又は他の薬物と組み合わせて提供され得る。
【0051】
キット
本発明はまた、包装部材及びその包装部材に収容された薬学的薬剤を含む製品を提供する(ここで、薬学的薬剤は、少なくとも1つのVEGF拮抗剤及び少なくとも1つの降圧剤を含み、そして包装部材は、VEGF拮抗剤及び降圧剤がVEGFの阻害により阻害又は改善される疾患又は状態を処置するのに使用され得ることを示すラベル又は添付文書を含む。)。
【0052】
本発明の他の特徴は、以下の典型的な態様を説明する過程で明らかとなろう。これらの態様は、本発明の説明のために与えられるものであり、その範囲を限定することを意図していない。
【0053】
実施例
以下の実施例は、本発明の方法及び組成物の製造方法及び使用方法の完全な開示及び説明を当業者に提供する目的で提供されるものであり、発明者らが本発明とみなす範囲を限定することを意図しない。使用された数値(例えば、量、温度等)に関しては正確性を確保するよう努めているが、ある程度の実験誤差及び偏差は酌量されるべきである。そうでないことが示されない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、そして圧力は大気圧又は大気圧付近である。
【0054】
実施例1.悪性の胸水貯留の処置及び高血圧の抑止
全身化学療法に適し、治療的なドレイナージ(排液法)を必要とするMPEも有する、IIIB〜IV期のNSCLCであると病理学的診断をされた成人患者が、本研究への参加に適している。他の薬剤を用いた化学療法を受けている患者、又はVEGF阻害による化学療法を以前に受けた患者、又は活動期の若しくは未処置の脳腫瘍転移を有する患者は排除する。VEGF拮抗剤(配列番号:4)による処置は、300〜5000mg/kgの静脈内用量であり、降圧剤は、例えば、ACE阻害剤又はβアドレナリン受容体遮断剤である。降圧治療剤は、VEGF拮抗剤と別々に若しくは組み合わせて、VEGF拮抗剤の投与前に、同時に、又はVEGF拮抗剤の投与後に与えられ得る。
【0055】
実施例2.固形腫瘍の処置及び高血圧の抑止
難治性の固形腫瘍又は非ホジキンリンパ腫を有し、それらの癌に対して同時期に処置を受けていない患者を、以下の通り、VEGFトラップ(配列番号:4)で処置する。用量レベルは、皮下に100〜5000mg/kgの範囲である。各患者は、初期用量のVEGFトラップを一回受け、その後、必要用量レベルを週ごとに注射される。血圧をモニターし、前記毎週投与期間の開始時及び終了時に全身腫瘍組織量を評価する。疾患の安定、部分的又は完全な反応をみせた患者には、継続研究においてさらに最大6ヶ月間の投与を継続する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の阻害により改善される被験体の疾患又は状態の処置のための医薬の調製における、VEGF拮抗剤及び降圧剤の組み合わせの使用。
【請求項2】
VEGF拮抗剤が、VEGF受容体Flt1の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2及びVEGF受容体Flk1又はFlt4のIgドメイン3、並びに多量体化要素で構成される融合ポリペプチドである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
VEGF拮抗剤がVEGFR1R2-FcΔC1(a)(配列番号:4)である、請求項1〜2のいずれか一項記載の使用。
【請求項4】
降圧剤が、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、カルシウムチャネル拮抗剤、βアドレナリン受容体拮抗剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、αアドレナリン受容体拮抗剤、血管拡張剤、及び利尿剤のうちの一つから選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用。
【請求項5】
ACE阻害剤が、アラセプリル;ベナゼプリル;カプトプリル;セロナプリル;デラプリル;エナラプリル;ホシノプリル;イミダプリル;リシノプリル;モベルチプリル;ペリンドプリル;キナプリル;ラミプリル;スピラプリル;テモカプリル;及びトランドラプリルからなる群より選択される、請求項4記載の使用。
【請求項6】
カルシウムチャネル遮断剤が、アムロジピン、ベプリジル、クレンチアゼム、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニルアミン、セモチアジル、テロジリン、ベラパミル、アラニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、エホニジピン、エルゴジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、シンナリジン、フルナリジン、リドフラジン、ロメリジン、ベンシクラン、エタフェノン、及びペルヘキシリンからなる群より選択される、請求項4記載の使用。
【請求項7】
βアドレナリン受容体拮抗剤が、アセブトロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、塩酸ブチドリン、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロールジレバロール、エパノロール、インデノロール、ラベタロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ネビバロール、ニプラジロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロプラノロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、チモロール、トリプロロール、及びキシベノロールからなる群より選択される、請求項4記載の使用。
【請求項8】
αアドレナリン受容体拮抗剤が、アモスラロール、アロチノロール、ダピプラゾール、ドキサゾシン、フェンスピリド、インドラミン、ラベトロール、ナフトピジル、ニセルゴリン、プラゾシン、タムスロシン、トラゾリン、トリマゾシン、及びヨヒンビンからなる群より選択される、請求項4記載の使用。
【請求項9】
血管拡張剤が、脳血管拡張剤、冠血管拡張剤、及び/又は末梢血管拡張剤である、請求項4記載の使用。
【請求項10】
脳血管拡張剤が、ベンシクラン、シンナリジン、シチコリン、シクランデレート、シクロニカート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、エブルナモニン、ファスジル、フェノキセジル、フルナリジン、イブジラスト、イフェンプロジル、ロメリジン、ナフロニル、ニカメタート、ニセルゴリン、ニモジピン、パパベリン、チノフェドリン、ビンカミン、ビンポセチン、及びビキジルのうちの一つから選択される、請求項9記載の使用。
【請求項11】
冠血管拡張剤が、アモトリフェン、ベンダゾール、ベンフロジルヘミスクシナート、ベンズヨーダロン、クロラシジン、クロモナール、クロベンフラール、クロニトラート、クロリクロメン、ジラゼプ、ジピリダモール、ドロプレニラミン、エフロキサート、四硝酸エリトリチル、エタフェノン、フェンジリン、フロレジル、ガングレフェン、ヘキセストロールビス(βジエチルアミノエチル)エーテル、ヘキソベンジン、イトラミントシレート、ケリン、リドフラジン、六硝酸マンニトール、メジバジン、ニトログリセリン、四硝酸ペンタエリスリトール、ペントリニトロール、ペルヘキシリン、ピメフィリン、プレニルアミン、硝酸プロパチル、トラピジル、トリクロミル、トリメタジジン、リン酸トロールニトラート、ビスナジンのうちの一つから選択される、請求項9記載の使用。
【請求項12】
末梢血管拡張剤が、ニコチン酸アルミニウム、バメタン、ベンシクラン、ベタヒスチン、ブラジキニン、ブロビンカミン、ブフェニオド、ブフロメジル、ブタラミン、セチエジル、シクロニカート、シネパジド、シンナリジン、シクランデレート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、エレドイシン、フェノキセジル、フルナリジン、ヘプロニカート、イフェンプロジル、イロプロスト、イノシトールナイアシネート、イソクスプリン、カリジン、カリクレイン、モキシシリト、ナフロニル、ニカメタート、ニセルゴリン、ニコフラノース、ナイリドリン、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ピリベジル、プロスタグランジンE1、スロクチジル、トラゾリン、及びキサンチノールナイアシネートのうちの一つから選択される、請求項9記載の使用。
【請求項13】
利尿剤が、ベンゾチアジアジン誘導体、利尿性有機水銀、利尿性プリン、利尿性ステロイド、利尿性スルホンアミド誘導体、利尿性ウラシル、アマノジン、アミロライド、アルブチン、クロラザニル、エタクリン酸、エトゾリン、ヒドラカルバジン、イソソルビド、マンニトール、メトカルコン、ムゾリミン、ペルヘキシリン、チクリナフェン、トリアムテレン、及び尿素のうちの一つから選択される、請求項4記載の使用。
【請求項14】
被験体がヒト被験体である、請求項1〜13のいずれか一項記載の使用。
【請求項15】
処置される疾患又は状態が、癌、糖尿病、血管透過性、浮腫、乾癬、関節炎、喘息、腹水、胸水貯留、慢性気道炎症、毛細管漏出症候群、敗血症、眼障害、異常な血管新生、転移癌、角膜移植片拒絶、角膜リンパ脈管新生、及び血管新生からなる群より選択される、請求項14記載の使用。
【請求項16】
ヒト被験体が、高血圧を患っているか、高血圧の進行の危険を有するか、高血圧の抑止又は阻害が望まれる被験体である、請求項15記載の使用。
【請求項17】
被験体が、心血管系疾患の危険を有するか、65歳以上であるか、又は他の方法では高血圧の進行を伴わずに適当用量のVEGF拮抗剤による処置を行うことができない被験体である、請求項16記載の使用。
【請求項18】
降圧剤の同時投与によるVEGFの阻害による改善される疾患又は状態の処置のための医薬の製造における、VEGF拮抗剤の使用。
【請求項19】
VEGF拮抗剤がVEGFR1R2-FcΔC1(a)(配列番号:4)である、請求項18項記載の使用。
【請求項20】
降圧剤が、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、カルシウムチャネル拮抗剤、βアドレナリン受容体拮抗剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、αアドレナリン受容体拮抗剤、血管拡張剤、又は利尿剤のうちの一つから選択される、請求項18又は19記載の使用。
【請求項21】
ヒト又は動物体の処置における個別使用、同時使用、又は連続使用のための、血管内皮増殖因子(VEGF)拮抗剤及び降圧剤を含む製品。
【請求項22】
VEGF拮抗剤がVEGFR1R2-FcΔC1(a)(配列番号:4)であり、降圧剤が、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、カルシウムチャネル拮抗剤、βアドレナリン受容体拮抗剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、αアドレナリン受容体拮抗剤、血管拡張剤、又は利尿剤のうちの一つである、請求項21記載の製品。
【請求項23】
癌の処置のための医薬の調製における、癌の処置のためのVEGF拮抗剤及び降圧剤の組み合わせの使用であって、当該組み合わせがVEGF拮抗剤に起因する血圧の上昇を軽減又は排除する、使用。
【請求項24】
VEGF拮抗剤がVEGFR1R2-FcΔC1(a)(配列番号:4)であり、降圧剤が、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、カルシウムチャネル拮抗剤、βアドレナリン受容体拮抗剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、αアドレナリン受容体拮抗剤、血管拡張剤、又は利尿剤のうちの一つである、請求項23項記載の使用。
【請求項25】
血管内皮増殖因子(VEGF)拮抗剤、降圧剤、及び薬学的に許容される坦体又は賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項26】
ヒト被験体におけるVEGF拮抗剤により改善、阻害、又は軽減される疾患又は状態を処置する方法であって、血管内皮増殖因子(VEGF)拮抗剤及び少なくとも1つの降圧剤の組み合わせを投与する工程を包含する、方法。
【請求項27】
処置される疾患又は状態が、癌、糖尿病、血管透過性、浮腫、乾癬、関節炎、喘息、腹水、胸水貯留、慢性気道炎症、毛細管漏出症候群、敗血症、眼障害、異常な血管新生、転移癌、角膜移植片拒絶、角膜リンパ脈管新生、及び血管新生からなる群より選択される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
ヒト被験体が、高血圧を患っているか、高血圧の進行の危険を有するか、高血圧の抑止又は阻害が望まれる被験体である、請求項26記載の方法。
【請求項29】
被験体が、心血管系疾患の危険を有するか、65歳以上であるか、又は他の方法では高血圧の進行を伴わずに適当用量のVEGF拮抗剤による処置を行うことができない被験体である、請求項26記載の方法。

【公表番号】特表2008−537538(P2008−537538A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555214(P2007−555214)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/004557
【国際公開番号】WO2006/086544
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(597160510)リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】