説明

VoIP通信装置

【課題】音声データRTPストリームパケット通信において非音声データの通信を可能とするVoIP通信装置を提供する。
【解決手段】本発明によるVoIP通信装置は、通信ネットワークへ送信すべき音声データRTPパケットのストリームを受信若しくは生成することにより準備し、当該準備した音声データRTPパケットと異なるデータサイズの非音声データRTPパケットを生成し、当該準備した音声データRTPパケットの内の少なくとも1つを当該非音声データRTPパケットに置き換えて、当該置き換えた非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットのストリームを当該通信ネットワークに送信する。また、本発明によるVoIP通信装置は、通信ネットワークから受信した音声データRTPパケットのストリームに含まれる非音声データRTPパケットを当該非音声データRTPパケットのデータサイズに基づいて抽出し、当該抽出した非音声データRTPパケットに含まれる情報を読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音声データRTPパケットのストリームを送受信して通信を行うVoIP通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
VoIP(Voice Over Internet Protocol)通信装置にて音声をストリーミング再生するための伝送プロトコルとして音声RTP(Real-time Transport Protocol)が知られている。音声データRTPパケットのストリーミングによる音声データの通信と併行した非音声データの通信が要望される場合がある。例えばインターネットなどのネットワークを通じて音声などのデジタルデータをやり取りする際に、通信途中で第三者に盗み見られたり改ざんされたりしないように暗号化することが多いが、この場合、暗号鍵という非音声データを通信することになる。RTPパケットの暗号化についてはIETF(Internet Engineering Task Force)により発行されたRFC(Request For Comments)3711にてSRTP(The Secure Real-time Transport Protocol)として標準化されている。ここでは暗号化のために必要な暗号鍵は予め登録するかあるいは別のプロトコルを使用して交換する方法が採用されている。RTPパケットの暗号通信では、暗号化のために必要な暗号鍵情報を、通信を行う装置に予め設定しない場合には、適宜、通信相手の端末に暗号鍵情報を送信する必要がある。非音声データの通知方法として例えば、特許文献1にはRTPとは別のプロトコルであるRTCP(RTP Control Protocol)を使用する通信装置及び暗号通信方法が開示されている。ここでの非音声データ(暗号鍵)通信方法は、通信装置自身のセッション鍵および当該鍵の識別情報を通話相手の公開鍵で暗号化し、これをRTCPパケットに格納して通話相手へ送信する。また、通話相手から受信したRTCPパケットに格納されている暗号化された通話相手のセッション鍵および当該鍵の識別情報を通信装置自身の秘密鍵で復号化する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−159959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、RTCPはデータの送受信チェックや送信者/受信者間などの付随情報を伝達するために用いられ、RTPのサブプロトコルとして位置付けられる。セキュリティの観点から、RTCPの如き付随情報を通信するために利用されるプロトコルによる情報通信を制限しているネットワークがしばしば見られる。RTCPパケットの通信路内に、RTCPプロトコルを利用した情報通信を制限しているネットワークが1つでも存在した場合、特許文献1に開示される通信方法を適用できず、暗号鍵などの非音声データを通信できないという問題点があった。
【0004】
本発明は上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、音声データRTPストリームパケット通信において非音声データの通信を可能とするVoIP通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるVoIP通信装置は、通信ネットワークを介して音声データRTPパケットのストリームを送受信するVoIP通信装置であって、前記通信ネットワークへ送信すべき音声データRTPパケットのストリームを受信若しくは生成して準備する送信音声データRTPストリームパケット準備手段と、当該準備した音声データRTPパケットのデータサイズと異なるデータサイズの非音声データRTPパケットを生成する非音声データRTPパケット生成部と、当該準備した音声データRTPパケットの内の少なくとも1つを前記非音声データRTPパケットに置き換える非音声データRTPパケット挿入部と、当該置き換えた非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットのストリームを前記通信ネットワークに送信するRTPストリームパケット送信手段と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、本発明によるVoIP通信装置は、通信ネットワークを介して音声データRTPパケットのストリームを送受信するVoIP通信装置であって、前記通信ネットワークから受信した音声データRTPパケットのストリームに含まれる非音声データRTPパケットを当該非音声データRTPパケットのデータサイズに基づいて抽出する非音声データRTPパケット抽出部と、当該抽出した非音声データRTPパケットに含まれる情報を読み取る非音声データRTPパケット読取部と、を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は本発明によるVoIP通信装置を通信ネットワークと共に表すブロック図である。VoIP通信装置100は、RTP制御部110と、非音声データ読取生成部120と、DSP部130と、WANポート140と、SLIC部150と、を含む。
【0009】
RTP制御部110は、RTPパケット送受信部111と、非音声データRTPパケット挿入部112と、非音声データRTPパケット抽出部113と、を含む。
【0010】
RTPパケット送受信部111は、WANポート140経由でインターネットなどの通信ネットワーク200を介して、音声データRTPパケットのストリームを送受信する。RTPパケット送受信部111は、WANポート140経由で通信ネットワーク200から音声データRTPパケットを受信したら、これをRTPパケット送受信部111に供給する。RTPパケット送受信部111は、音声データRTPパケットのストリーム内に非音声データRTPパケットが含まれていれば、これもRTPパケット送受信部111に供給する。また、RTPパケット送受信部111は、非音声データRTPパケット挿入部112から供給され且つ非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットのストリームをWANポート140経由で通信ネットワーク200に送信する。なお、本実施例におけるRTPパケットはIETF(Internet Engineering Task Force)によって発行されたRFC(Request For Comments)1889の規定に準拠したものであれば良い。
【0011】
非音声データRTPパケット挿入部112は、音声データRTPパケット生成部131から受け取った音声データRTPパケットの内の少なくとも1つを、非音声データRTPパケット生成部121から受け取った非音声データRTPパケットに置き換える。非音声データRTPパケット挿入部112は、好ましいタイミングにて音声データRTPパケットを非音声データRTPパケットに置き換えれば良い。非音声データRTPパケット挿入部112は、当該置き換えた非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットのストリームをRTPパケット送受信部111に供給する。
【0012】
非音声データRTPパケット抽出部113は、RTPパケット送受信部111から受け取った音声データRTPパケットのストリームに含まれる非音声データRTPパケットを当該非音声データRTPパケットのデータサイズに基づいて抽出する。非音声データRTPパケット抽出部113は、当該抽出した非音声データRTPパケットを非音声データRTPパケット読取部122に供給する。また、非音声データRTPパケット抽出部113は、当該抽出した非音声データRTPパケット以外の音声データRTPパケットのストリームを音声信号変換部132に供給する。
【0013】
パケットのデータサイズはペイロード部分に含まれるデータ量によって異なってくる。通常、パケットのヘッダ内にパケット全体のサイズ情報が格納されている。非音声データRTPパケット抽出部113は、当該サイズ情報を参照するなどしてパケットのデータサイズを判別することができる。非音声データRTPパケット抽出部113は、音声データRTPパケットの所定データサイズを予め記憶しておく。非音声データRTPパケット抽出部113は、音声データRTPパケットまたは非音声データRTPパケットを受け取る度に、当該受け取ったRTPパケットのヘッダ内に格納されているサイズ情報を参照するなどして、パケットのデータサイズを判別する。非音声データRTPパケット抽出部113は、当該判別したサイズが予め記憶してある所定データサイズと異なる場合に、受け取ったRTPパケットが非音声データRTPパケットであると判別して、これを抽出する。
【0014】
例えば、非音声データRTPパケット抽出部113は、音声データRTPパケットの所定データサイズを1000バイトとして予め記憶しておく。非音声データRTPパケット抽出部113は、音声データRTPパケットまたは非音声データRTPパケットを受け取る度に、当該受け取ったRTPパケットのヘッダ内に格納されているサイズ情報を参照し、当該サイズ情報が予め記憶してある所定データサイズの1000バイトと一致するか否かを判別する。例えば当該判別したサイズが1400バイトであった場合、受け取ったRTPパケットが非音声データRTPパケットであると判別して、これを抽出する。
【0015】
非音声データ読取生成部120は、非音声データRTPパケット生成部121と、非音声データRTPパケット読取部122と、を含む。
【0016】
非音声データRTPパケット生成部121は、音声データRTPパケット生成部131が生成している音声データRTPパケットと異なるデータサイズの非音声データRTPパケットを生成する。非音声データRTPパケット生成部121は、生成すべき非音声データRTPパケットの所定データサイズを予め記憶しておき、当該所定データサイズの非音声データRTPパケットを生成する。非音声データRTPパケットのサイズは、音声データRTPパケット生成部131が生成する音声データRTPパケットのサイズと異なるサイズであれば良く、音声データRTPパケットのサイズと比較した場合の大小は問わない。パケットのデータサイズはペイロード部分に含まれるデータ量によって異なるため、非音声データRTPパケットにおいて当該データ量を音声データRTPパケットのそれと異なるデータ量にすれば良い。
【0017】
例えば、非音声データRTPパケット生成部121は、生成すべき非音声データRTPパケットの所定データサイズを1400バイトとして予め記憶しておき、データサイズが1400バイトの非音声データRTPパケットを生成する。非音声データRTPパケット生成部121は好ましいタイミングにて非音声データRTPパケットを生成すれば良い。非音声データRTPパケット生成部121がペイロード部分に含めるデータは、例えば、端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などである。
【0018】
端末識別情報とは例えば、当該VoIP通信装置の識別情報などであり、IPアドレスやMACアドレスなども含む。また、通信相手となるVoIP通信装置の同情報を確認情報として含むこともありうる。端末使用状況情報とは例えばアナログ電話端末300の使用状況や応答状況などである。サービス対応状況情報とはアナログ電話端末300がファクシミリやテレビ電話などのサービスに対応しているか否かを表す情報である。VoIP装置100は予めアナログ電話端末300からこれらの情報を入手しておくなどして、好ましいタイミングにて当該端末識別情報を含む非音声データRTPパケットを生成する。非音声データRTPパケットを受信する側のVoIP通信装置は、当該パケットに含まれる端末識別情報を送信する側のVoIP通信装置の認証処理などに利用できる。
【0019】
非音声データRTPパケット読取部122は、非音声データRTPパケット抽出部113から供給された非音声データRTPパケットに含まれる情報を読み取る。当該情報は例えば、上述した端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などである。VoIP通信装置100は、非音声データRTPパケット読取部122が読み取った端末識別情報に基づいて、送信側のVoIP通信装置の認証処理などを行うことができる。
【0020】
DSP(Digital Signal Processor)部130は、音声データRTPパケット生成部131と、音声信号変換部132と、を含む。
【0021】
音声データRTPパケット生成部131は、SLIC部150から供給された音声信号に基づいて音声データRTPパケットのストリームを生成する。音声データRTPパケット生成部131は、当該生成によって準備した音声データRTPパケットを非音声データRTPパケット挿入部112に供給する。音声データRTPパケット生成部131は、生成すべき音声データRTPパケットの所定データサイズを予め記憶しておき、当該所定データサイズの音声データRTPパケットを生成する。例えば、音声データRTPパケット生成部131は、生成すべき音声データRTPパケットの所定データサイズを1000バイトとして予め記憶しておき、1000バイトの音声データRTPパケットを生成する。
【0022】
音声信号変換部132は、非音声データRTPパケット抽出部113から供給された音声データRTPパケットのストリームを音声信号に変換してSLIC部150に供給する。また、音声信号変換部132は、PLC(packet Loss Concealment)などの補間機能を備えており、非音声データRTPパケット抽出部113によって抽出された非音声データRTPパケットを穴埋めするための音声データを生成できる。
【0023】
WAN(World Area Network)ポート140は、RTPパケット送受信部111と通信ネットワーク200との間にあって音声データRTPパケットを中継する。
【0024】
SLIC(Subscriber Line Interface Circuit)部150は、アナログ電話端末300から受信した音声信号を音声データRTPパケット生成部131に供給する。また、SLIC部150は、音声信号変換部132から供給された音声信号をアナログ電話端末300に送信する。
【0025】
図2A〜2Cは送信時における非音声データRTPパケット挿入部でのRTPパケットのストリームの一例を表す図である。
【0026】
図2Aは非音声データRTPパケット挿入部112が音声データRTPパケット生成部131から受け取った音声データRTPパケットのストリームである。当該音声データRTPパケットのストリームは、アナログ電話端末300から送信された音声信号をSLIC部150が受信し、当該音声信号に基づいて音声データRTPパケット生成部131が生成したものである。非音声データRTPパケット挿入部112は音声データRTPパケットP1〜P5を音声データRTPパケット生成部131から順次、受け取る。
【0027】
図2Bは非音声データRTPパケット挿入部112が音声データRTPパケット生成部131から受け取った音声データRTPパケットP3を、非音声データRTPパケット生成部121から受け取った非音声データRTPパケットD3に置き換えるときの音声データRTPパケットのストリームである。このとき、非音声データRTPパケット挿入部112は音声データRTPパケットP3を破棄して、当該破棄した箇所に非音声データRTPパケットD3を挿入することによって非音声データRTPパケットD3に置き換える。非音声データRTPパケット挿入部112は、好ましいタイミングにて音声データRTPパケットを非音声データRTPパケットに置き換えれば良い。ここでは、音声データRTPパケットを1つだけ置き換えているが、本発明には音声データRTPパケットを置き換える個数にかかる制限は無く、非音声データRTPパケット生成部121が複数の非音声データRTPパケットを生成し、非音声データRTPパケット挿入部112がこれらと複数の音声データRTPパケットとを置き換えても良い。非音声データRTPパケットD3には非音声データRTPパケット生成部121により端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの非音声データが含められている。非音声データRTPパケットD3のデータサイズは音声データRTPパケットP1、P2、P4、P5の各々のデータサイズと異なる。
【0028】
図2Cは非音声データRTPパケット挿入部112が音声データRTPパケットP3を非音声データRTPパケットD3に置き換えた後の音声データRTPパケットのストリームである。非音声データRTPパケット挿入部112は音声データRTPパケットP1、P2、非音声データRTPパケットD3、音声データRTPパケットP4、P5をRTPパケット送受信部111に順次、供給する。RTPパケット送受信部111はこれらのRTPパケットを順次、WANポート140経由で通信ネットワーク200に送信する。
【0029】
上記したように音声データRTPパケットのストリーム送信において、RTPパケットでの非音声データの送信が可能となる。受信側の装置では非音声データRTPパケットD3を含む音声データRTPパケットのストリームを受信することにより、端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの情報を得ることができる。
【0030】
図3A及び3Bは受信時における非音声データRTPパケット抽出部でのRTPパケットのストリームの一例を表す図である。図3Cは受信時における音声信号変換部での音声データのストリームの一例を表す図である。
【0031】
図3Aは非音声データRTPパケット抽出部113がRTPパケット送受信部111から受け取った音声データRTPパケットのストリームである。当該音声データRTPパケットのストリームは、RTPパケット送受信部111がWANポート140経由で通信ネットワーク200から受信したものであり、非音声データRTPパケットD3が含まれている。非音声データRTPパケットD3のデータサイズは音声データRTPパケットP1、P2、P4、P5の各々のデータサイズと異なる。非音声データRTPパケット抽出部113は音声データRTPパケットP1、P2、非音声データRTPパケットD3、音声データRTPパケットP4、P5をRTPパケット送受信部111から順次、受け取る。
【0032】
図3Bは非音声データRTPパケット抽出部113がRTPパケット送受信部111から受け取った非音声データRTPパケットD3を抽出するときの音声データRTPパケットのストリームである。このとき、非音声データRTPパケット抽出部113はパケットデータサイズに基づいて非音声データRTPパケットD3を抽出して、これを非音声データRTPパケット読取部122に供給する。非音声データRTPパケット抽出部113はRTPパケット送受信部111から音声データRTPパケットまたは非音声データRTPパケットを受け取る度に、当該受け取ったRTPパケットのヘッダ内に格納されているサイズ情報を参照するなどして、パケットのデータサイズを判別する。非音声データRTPパケット抽出部113は、当該判別したデータサイズ(例えば1400バイト)が予め記憶してある音声データRTPパケットの所定データサイズ(例えば1000バイト)と異なる場合に、受け取ったRTPパケットが非音声データRTPパケットであると判別して、これを抽出する。
【0033】
非音声データRTPパケットD3には例えば、端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの非音声データが含められている。非音声データRTPパケット読取部122は供給された非音声データRTPパケットD3に含まれるこれらの情報を読み取ることができる。
【0034】
非音声データRTPパケット抽出部113は、音声データRTPパケットP1、P2、P4及びP5を音声信号変換部132に順次、供給する。音声信号変換部132は、非音声データRTPパケット抽出部113から受け取った音声データRTPパケットP1、P2、P4及びP5を順次、音声データS1、S2、S4及びS5に変換する。
【0035】
図3Cは音声信号変換部132における音声データRTPパケットS1、S2、C3、S4及びS5のストリームを表す図である。音声信号変換部132はPLC(Packet Loss Concealment)などの補間機能を備えており、抽出された非音声データRTPパケットD3を穴埋めするための音声データC3を生成する。音声信号変換部132は、生成した音声データC3を含む音声データS1、S2、C3、S4、S5をSLIC部150に順次、供給する。また、SLIC部150は、音声信号変換部132から供給された音声データをアナログ電話端末300に送信する。
【0036】
上記したように音声データRTPパケットのストリーム受信において、RTPパケットでの非音声データの受信が可能となる。非音声データRTPパケットD3には端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの情報が含まれており、受信側の装置では非音声データRTPパケットD3を含む音声データRTPパケットのストリームを受信することにより、これらの情報を得ることができる。
【0037】
上記した如く本実施例によれば、音声データRTPパケットのストリーム送受信において、RTPパケットでの非音声データの送受信が可能となる。例えばVoIP通信装置100が非音声データRTPパケットに自身の識別情報を含めて送信すれば、受信側の装置において当該識別情報を受信することができる。なお、ここでの受信側の装置とは本発明によるVoIP通信装置でも良いし、他の装置でも良い。これにより、通信ネットワーク内にRTPとは異なるプロトコル(例えばRTCPなど)による通信を制限しているネットワークが存在した場合でも、識別情報の送受信が可能となる。受信側の装置は当該識別情報を送信側のVoIP通信装置の認証処理に利用することができる。また、送信側の端末(例えばアナログ電話端末300)の使用状況やファクシミリ及びTV電話などのサービスの対応の有無を表すデータを非音声データRTPパケットに含めて送信することにより、受信側の装置がこれらの情報を受信することができる。仮に受信側の装置が本発明によるVoIP通信装置ではない場合、非音声データRTPパケットは不完全なパケットと判別され、当該RTPパケットは破棄される。受信側の装置がPLCなどの補間機能を備えていれば、当該破棄されたRTPパケットに代えて音声データが補間されるため、聴感上の影響は最小限に止められる。
【実施例2】
【0038】
図4はLANポート及び無線LANポートを含むVoIP通信装置を表すブロック図である。他のブロックは図1に示されるのと同様である。実施例1と同様にSLIC部150は、DSP部130を介して非音声データRTPパケット挿入部112及び非音声データRTPパケット抽出部113と音声データをやり取りする。それに対して、LANポート160及び無線LANポート170はDSP部130を介さずに非音声データRTPパケット挿入部112及び非音声データRTPパケット抽出部113とそれぞれ接続される。
【0039】
非音声データRTPパケット挿入部112は、LANポート160または無線LANポート170から受け取った音声データRTPパケットの内の少なくとも1つを、非音声データRTPパケット生成部121から受け取った非音声データRTPパケットに置き換える。非音声データRTPパケット挿入部112は、当該置き換えた非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットのストリームをRTPパケット送受信部111に供給する。
【0040】
非音声データRTPパケット抽出部113は、RTPパケット送受信部111から受け取った音声データRTPパケットのストリームに含まれる非音声データRTPパケットを当該非音声データRTPパケットのデータサイズに基づいて抽出する。非音声データRTPパケット抽出部113は、当該抽出した非音声データRTPパケットを非音声データRTPパケット読取部122に供給する。また、非音声データRTPパケット抽出部113は、当該抽出した非音声データRTPパケット以外の音声データRTPパケットのストリームをLANポート160または無線LANポート170に供給する。
【0041】
LANポート160は、IP電話端末400から音声データRTPパケットのストリームを受信する。LANポート160は、当該受信によって準備した音声データRTPパケットのストリームを非音声データRTPパケット挿入部112に供給する。また、LANポート160は、非音声データRTPパケット抽出部113から供給された音声データRTPパケットのストリームをIP電話端末400に送信する。
【0042】
無線LANポート170は、無線IP電話端末500から音声データRTPパケットのストリームを受信する。無線LANポート170は、当該受信によって準備した音声データRTPパケットのストリームを非音声データRTPパケット挿入部112に供給する。また、無線LANポート170は、非音声データRTPパケット抽出部113から供給された音声データRTPパケットのストリームを無線IP電話端末500に送信する。
【0043】
再び図2A〜2Cを参照しつつ、IP電話端末400または無線IP電話端末500から受信した音声データRTPパケットのストリームを通信ネットワーク200へ送信する場合における非音声データRTPパケット挿入部112でのRTPパケットのストリームについて説明する。
【0044】
図2Aは非音声データRTPパケット挿入部112がLANポート160または無線LANポート170から受け取った音声データRTPパケットのストリームである。非音声データRTPパケット挿入部112は音声データRTPパケットP1〜P5をLANポート160または無線LANポート170から順次、受け取る。
【0045】
図2Bは非音声データRTPパケット挿入部112がLANポート160または無線LANポート170から受け取った音声データRTPパケットP3を、非音声データRTPパケット生成部121から受け取った非音声データRTPパケットD3に置き換えるときの音声データRTPパケットのストリームである。このとき、非音声データRTPパケット挿入部112は実施例1と同様に音声データRTPパケットP3を破棄して、当該破棄した箇所に非音声データRTPパケットD3を挿入することによって非音声データRTPパケットD3に置き換える。
【0046】
図2Cは非音声データRTPパケット挿入部112が音声データRTPパケットP3を非音声データRTPパケットD3に置き換えた後の音声データRTPパケットのストリームである。実施例1と同様に非音声データRTPパケット挿入部112は音声データRTPパケットP1、P2、非音声データRTPパケットD3、音声データRTPパケットP4、P5をRTPパケット送受信部111に順次、供給する。RTPパケット送受信部111はこれらのRTPパケットを受け取った順に順次、WANポート140経由で通信ネットワーク200に送信する。
【0047】
上記したようにIP電話端末400や無線IP電話端末500から受信した音声データRTPパケットの内の少なくとも1つを非音声データRTPパケットに置き換えて通信ネットワーク200へ送信することにより、RTPパケットでの非音声データの送信が可能となる。
【0048】
再び図3A〜3Cを参照しつつ、通信ネットワーク200から受信した音声データRTPパケットのストリームをIP電話端末400または無線IP電話端末500へ向けて送信する場合における非音声データRTPパケット抽出部113でのRTPパケットのストリームについて説明する。
【0049】
実施例1と同様に非音声データRTPパケット抽出部113は、図3Aに示される如き音声データRTPパケットP1、P2、非音声データRTPパケットD3、音声データRTPパケットP4、P5をRTPパケット送受信部111から順次、受け取る。
【0050】
実施例1と同様に非音声データRTPパケット抽出部113は、図3Bに示される如くRTPパケット送受信部111から受け取った非音声データRTPパケットD3を抽出し、これを非音声データRTPパケット読取部122に供給する。
【0051】
非音声データRTPパケット抽出部113は音声データRTPパケットP1、P2、P4及びP5をLANポート160または無線LANポート170に順次、供給する。LANポート160は、非音声データRTPパケット抽出部113から受け取った音声データRTPパケットを順次、IP電話端末400に送信する。また、無線LANポート170は非音声データRTPパケット抽出部113から受け取った音声データRTPパケットを順次、無線IP電話端末500に送信する。IP電話端末400または無線IP電話端末500は受信した音声データRTPパケットP1、P2、P4及びP5を順次、音声データS1、S2、S4及びS5に変換する。
【0052】
図3CはIP電話端末400または無線IP電話端末500における音声データS1、S2、C3、S4及びS5に変換した後の音声データのストリームを表す図である。IP電話端末400及び無線IP電話端末500はPLCなどの補間機能によって、抽出された非音声データRTPパケットD3を穴埋めするための音声データC3を生成できる。IP電話端末400及び無線IP電話端末500は生成した音声データC3を含む音声データS1、S2、C3、S4及びS5を順次、音声出力する。
【0053】
上記したように通信ネットワーク200から受信した音声データRTPパケットの内の少なくとも1つを非音声データRTPパケットに置き換えてIP電話端末400や無線IP電話端末500へ送信することにより、RTPパケットでの非音声データの送信が可能となる。
【0054】
上記した如く本実施例によれば、音声データRTPパケットのストリームを受信し、当該音声データRTPパケットの内の少なくとも1つを非音声データRTPパケットに置き換えて送信することにより、RTPパケットでの非音声データの送信が可能となる。非音声データRTPパケットに端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの非音声データを含めて送受信すれば、実施例1で述べたのと同様の効果を得ることができる。
【0055】
実施例1及び2ではアナログ電話端末300、IP電話端末400及び無線IP電話端末500の各々を各1台としたが、本発明にはかかる電話端末数の制限は無い。また、通常、アナログ電話端末300とSLIC部とはアナログ通信回線で、IP電話端末とLANポート160とはLAN網で、無線IP電話端末500と無線LANポート170とは無線LAN網で接続されるが、本発明にはかかる接続形態の制限は無い。
【0056】
実施例1及び2では、RTP制御部100、非音声データ読取生成部120及びDSP部130がそれぞれ独立した構成となっているが、例えば、音声データ及び非音声データRTPパケットの判別をDSP部130にて実施することも可能である。
【0057】
非音声データRTPパケットのサイズは音声データRTPパケットのサイズより大きくても小さくても良く、また、サイズ自体にも特に制限は無い。
【実施例3】
【0058】
図5は識別無音データ管理部123を含むVoIP通信装置100を表すブロック図である。VoIP通信装置100が、非音声データRTPパケット生成部121、非音声データRTPパケット挿入部112及び非音声データRTPパケット抽出部113を含まず、識別無音データ管理部123を含む点が実施例1と異なる。以下、実施例1と異なる部分を主として説明する。
【0059】
識別無音データ管理部123は、RTPパケットのペイロードに含めるべき識別無音データを管理している。ITU−Tの勧告により規定されているG.711符号化規格においては、データ0x7F及び0xFFは無音を示すデータとして定められている。識別無音データ管理部123は、例えばデータ0x7Fを論理値0、データ0xFFを論理値1に対応付けて管理する。この場合、識別無音データ管理部123は、例えば0x7F、0xFF、0x7F、0xFF、・・・に対応する識別無音データ0101・・・を記憶している。識別無音データ0101・・・は、例えば20msフレームであれば160bit分からなる。当該識別無音データは、受信側のVoIP通信装置100において非音声データRTPパケットを識別するために利用される。識別無音データ管理部123は、音声データRTPパケット生成部131へ識別無音データを適宜、与える。また、識別無音データ管理部123は、端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの端末サービス情報を記憶しており、端末サービス情報を識別無音データと共に音声データRTPパケット生成部131へ与える。
【0060】
音声データRTPパケット生成部131は、SLIC部150からの音声信号をG.711符号化規格に従って変換して音声データRTPパケットを生成しつつ、識別無音データ管理部123から識別無音データを受け取った場合には、当該識別無音データを変換して得られた識別非音声データを含む非音声データRTPパケットを生成する。図6は識別非音声データを含むRTPパケットの例を表す図である。RTPヘッダ部分には図6に示されるように通常、ヘッダに含まれるべきデータが含まれていれば良い。RTPペイロードには、音声データRTPパケット生成部131が識別無音データ管理部123からの識別無音データをG.711符号化規格において無音を表すデータ0x7F及び0xFFに変換して得られた識別非音声データが含まれている。識別無音データ管理部123からの識別無音データが010・・・010であった場合、音声データRTPパケット生成部131は、論理値0をデータ0x7Fに、論理値1をデータ0xFFに、それぞれ変換して識別非音声データ0x7F、0xFF、0x7F、・・・、0x7F、0xFF、0x7Fを得て、これを図6に示される如くRTPペイロードに含む非音声データRTPパケットを生成する。このとき、音声データRTPパケット生成部131は、識別無音データと共に識別無音データ管理部123から受け取った端末サービス情報を当該非音声データRTPパケットに含める。音声データRTPパケット生成部131は、当該生成により得られた非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットストリームをRTPパケット送受信部111へ与える。
【0061】
RTPパケット送受信部111は、音声データRTPパケット生成部131からの非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットストリームをWANポート140経由で通信ネットワーク200へ送信する。
【0062】
音声信号変換部132は、RTPパケット送受信部111から非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットのストリームを受け取り、当該音声データRTPパケットの各々についてRTPペイロードに識別非音声データが含まれているか否かを判別する。音声信号変換部132は、RTPペイロードに識別非音声データを含む音声データRTPパケットを非音声データRTPパケットと識別する。音声信号変換部132は、RTPペイロード部分に含まれているデータ0x7F及び0xFFをそれぞれ識別する機能を有しており、データ0x7Fを論理値0、データ0xFFを論理値1へそれぞれデコードする。
【0063】
音声信号変換部132は、送信側のVoIP通信装置100の識別無音データ管理部123において管理されている識別無音データと同一の識別無音データを予め記憶している。例えば、送信側のVoIP通信装置100の識別無音データ管理部123において管理されている識別無音データが0101・・・0101である場合、音声信号変換部132は、同じく識別無音データが0101・・・0101を予め記憶している。音声信号変換部132は、RTPパケット送受信部111からの音声データRTPパケットの各々についてRTPペイロードに含まれているデータをデコードし、当該デコードによって得られたデータ0101・・・0101が、自身が予め記憶している識別無音データ0101・・・0101と一致した場合に、当該音声データRTPパケットを非音声データRTPパケットと識別する。音声信号変換部132は、非音声データRTPパケットを非音声データRTPパケット読取部122へ与える。
【0064】
非音声データRTPパケット読取部122は非音声データRTPパケットに含まれている端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの端末サービス情報を読み取る。
【0065】
図7は、音声データRTPパケットストリームの送信側及び受信側のVoIP通信装置100の動作を表すシーケンス図である。以下、図7を参照しつつ、音声データRTPパケットストリームの送信側及び受信側のVoIP通信装置100の動作について説明する。
【0066】
送信側のVoIP通信装置100は以下のように動作する。識別無音データ管理部123は、自身が管理している識別無音データ及び端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの端末サービス情報を音声データRTPパケット生成部131へ適宜、与える(ステップS101)。
【0067】
音声データRTPパケット生成部131は、SLIC部150からの音声信号をG.711符号化規格に従って変換して音声データRTPパケットを生成しつつ、識別無音データ管理部123から識別無音データを受け取った場合には、当該識別無音データを変換して得られた識別非音声データを含む非音声データRTPパケットを生成する(ステップS102)。当該非音声データRTPパケットのRTPペイロードには、例えば図6に示されるようにG.711規格において無音を表すデータ0x7F及び0xFFのからなる識別非音声データが含まれる。このとき、音声データRTPパケット生成部131は、識別無音データ管理部123からの端末サービス情報も併せて当該非音声データRTPパケットに含める。
【0068】
音声データRTPパケット生成部131は、当該生成により得られた非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットストリームをRTPパケット送受信部111へ与える。RTPパケット送受信部111は、音声データRTPパケット生成部131からの非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットストリームをWANポート140経由で通信ネットワーク200へ送信する(ステップS103)。
【0069】
受信側のVoIP通信装置100は以下のように動作する。音声信号変換部132は、RTPパケット送受信部111から非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットのストリームを受け取り(ステップS104)、RTPペイロードに識別非音声データが含まれている音声データRTPパケットを非音声データRTPパケットと識別する。このとき、音声信号変換部132は、RTPペイロード部分に含まれているデータ0x7Fを論理値0、データ0xFFを論理値1へそれぞれデコードして得られたデータ列と、自身が予め記憶している識別無音データと、が一致した場合に当該音声データRTPパケットを非音声データRTPパケットと識別する(ステップS105)。
【0070】
音声信号変換部132は、非音声データRTPパケットを非音声データRTPパケット読取部122へ与える。非音声データRTPパケット読取部122は非音声データRTPパケットに含まれている端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの端末サービス情報を読み取る(ステップS106)。
【0071】
上記したように本実施例による送信側のVoIP通信装置100は、G.711符号化規格において無音を表すデータ0x7F及び0xFFのデータ列からなる識別非音声データをRTPペイロードに含めて非音声データRTPパケットを生成し、これを音声データRTPパケットのストリームと共に送信する。当該非音声データRTPパケットには端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの端末サービス情報も含められて送信される。受信側のVoIP通信装置100は、RTPペイロードに識別非音声データを含む音声データRTPパケットを非音声データRTPパケットであると識別し、当該非音声データRTPパケットに含まれている端末サービス情報を取得する。このように送信側のVoIP通信装置100は、G.711符号化規格に規定される無音データからなる識別非音声データをRTPパケットに含めて非音声データRTPパケットを生成する。受信側のVoIP通信装置100は、識別非音声データに基づいて非音声データRTPパケットを識別し、当該非音声データRTPパケットに含まれている端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの情報を得ることができる。
【0072】
本実施例は0x7Fを論理値0に、0xFFを論理値1に、それぞれ対応させた例であるが、0x7F及び0xFFに対応させるべき値に制限は無い。また、本実施例においては図6に示されるような識別非音声データ0x7F、0xFF、0x7F、・・・、0x7F、0xFF、0x7Fとしたが、識別非音声データを構成するデータ0x7F及び0xFFの並び順には特に制限は無く、送信側及び受信側の各々のVoIP通信装置で共通の識別非音声データが設定されていれば良い。また、本実施例においては0x7F及び0xFFのデータ列全体で1つの識別用の識別非音声データを表したが、識別非音声データを構成する個々のデータに意味を持たせても良い。例えば、識別非音声データの、先頭のデータは機種を表すデータ、2番目のデータは機能1の有無を表すデータ、3番目のデータは機能2を表すデータ、・・・、などの意味を持たせる。このとき受信側のVoIP通信装置100は、識別非音声データを構成する個々のデータを読み取ることにより、機種及び機能の有無についての情報を得ることができる。
【実施例4】
【0073】
本実施例によるVoIP通信装置100は図1に示される構成である。以下、実施例1と異なる部分を主として説明する。
【0074】
非音声データRTPパケット生成部121は、予め識別非音声データを記憶しており、当該識別非音声データを含む非音声データRTPパケットを生成する。当該識別非音声データは、例えば図6のRTPペイロードに示されるように0x7F及び0xFFのデータ列からなる0x7F、0xFF、0x7F、・・・、0x7F、0xFF、0x7Fなどのデータ列であり、受信側のVoIP通信装置100の非音声データRTPパケット抽出部113に設定されている識別非音声データと同一である。また、このとき、非音声データRTPパケット生成部121は、当該非音声データRTPパケットに端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの端末サービス情報も含める。
【0075】
非音声データRTPパケット挿入部112は、SLIC部150からの音声信号をG.711符号化規格に従って変換して音声データRTPパケットを生成しつつ、識別無音データ管理部123から識別非音声データを含む非音声データRTPパケットを受け取った場合には、当該音声データRTPパケットの内の少なくとも1つを、当該非音声データRTPパケットに置き換え、当該非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットのストリームをRTPパケット送受信部111に供給する。
【0076】
非音声データRTPパケット抽出部113は、RTPパケット送受信部111から受け取った音声データRTPパケットのストリームに含まれる非音声データRTPパケットをRTPペイロードに含まれているデータに基づいて抽出する。非音声データRTPパケット抽出部113は、送信側のVoIP通信装置100の非音声データRTPパケット生成部121に設定されている識別非音声データと同一の識別非音声データを予め記憶しており、RTPペイロードに当該識別非音声データが含まれている音声データRTPパケットを非音声データRTPパケットであると識別してこれを抽出する。当該識別非音声データは例えば図6のRTPペイロードに示されるように0x7F及び0xFFのデータ列からなる0x7F、0xFF、0x7F、・・・、0x7F、0xFF、0x7Fなどのデータ列である。非音声データRTPパケット抽出部113は、当該非音声データRTPパケットを非音声データRTPパケット読取部122に与える。また、非音声データRTPパケット抽出部113は、当該抽出した非音声データRTPパケット以外の音声データRTPパケットのストリームを音声信号変換部132に供給するようにしても良い。
【0077】
図8は音声データRTPパケットストリームの送信側及び受信側のVoIP通信装置100の動作を表すシーケンス図である。以下、図8を参照しつつ、音声データRTPパケットストリームの送信側及び受信側のVoIP通信装置100の動作について説明する。
【0078】
送信側のVoIP通信装置100は以下のように動作する。非音声データRTPパケット生成部121は、予め識別非音声データを記憶しており、当該識別非音声データを含む非音声データRTPパケットを生成する(ステップS201)。なお、当該識別非音声データは、受信側のVoIP通信装置100の非音声データRTPパケット抽出部113に設定されている識別非音声データと同一である。また、このとき、非音声データRTPパケット生成部121は、当該非音声データRTPパケットに端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの端末サービス情報も含める。
【0079】
非音声データRTPパケット挿入部112は、SLIC部150からの音声信号をG.711符号化規格に従って変換して音声データRTPパケットを生成しつつ、識別無音データ管理部123から識別非音声データを含む非音声データRTPパケットを受け取った場合には、当該音声データRTPパケットの内の少なくとも1つを破棄し、当該非音声データRTPパケットを当該破棄の箇所に挿入する(ステップS202)。非音声データRTPパケット挿入部112は、当該非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットのストリームをRTPパケット送受信部111に供給する。
【0080】
RTPパケット送受信部111は当該非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットのストリームをWANポート140経由で通信ネットワーク200へ送信する(ステップS203)。
【0081】
送信側のVoIP通信装置100は以下のように動作する。非音声データRTPパケット抽出部113は、RTPパケット送受信部111から音声データRTPパケットのストリームを受け取り(ステップS204)、当該ストリームに含まれる非音声データRTPパケットを、RTPペイロードに含まれているデータに基づいて抽出する(ステップS205)。非音声データRTPパケット抽出部113は、自身に予め設定されている識別非音声データと同一の識別非音声データRTPがペイロードに含まれている音声データRTPパケットを非音声データRTPパケットであると識別してこれを抽出する。非音声データRTPパケット抽出部113は、当該非音声データRTPパケットを非音声データRTPパケット読取部122に与える。このとき、非音声データRTPパケット抽出部113は、当該非音声データRTPパケットを音声信号変換部132にも供給するようにしても良い。
【0082】
非音声データRTPパケット読取部122は、非音声データRTPパケット抽出部113から供給された非音声データRTPパケットに含まれる端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの端末サービス情報を読み取る(ステップS206)。VoIP通信装置100は、非音声データRTPパケット読取部122が読み取った端末識別情報に基づいて、送信側のVoIP通信装置の認証処理などを行うことができる。
【0083】
音声信号変換部132は、非音声データRTPパケット抽出部113から供給された音声データRTPパケットのストリームを音声信号に変換してSLIC部150に供給する。音声信号変換部132は、PLCなどの補間機能を備えており、非音声データRTPパケット抽出部113によって抽出された非音声データRTPパケットを穴埋めするための音声データを生成し、当該抽出された箇所に挿入する。また、音声信号変換部132は、非音声データRTPパケット抽出部113から非音声データRTPパケットを受け取った場合には、当該非音声データRTPパケットを変換して得られた無音声信号をSLIC部150に供給する。このとき、アナログ電話端末300は、SLIC部150からの無音声信号に基づいて無音の音声を再生する。なお、無音となる時間は一瞬であるため、通話への影響は無い。
【0084】
上記したように本実施例による送信側のVoIP通信装置100は、G.711符号化規格において無音を表すデータ0x7F及び0xFFのデータ列からなる識別非音声データをRTPペイロードに含めて非音声データRTPパケットを生成する。VoIP通信装置100は、アナログ電話端末300からの音声信号をG.711符号化規格に従って変換して音声データRTPパケットを生成しつつ、当該音声データRTPパケットの内の少なくとも1つを破棄して当該非音声データRTPパケットを当該破棄の箇所に挿入し、これを音声データRTPパケットのストリームとして送信する。VoIP通信装置100は、当該非音声データRTPパケットに端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの端末サービス情報も含めて送信する。受信側のVoIP通信装置100は、RTPペイロードに識別非音声データを含む音声データRTPパケットを非音声データRTPパケットであると識別し、当該非音声データRTPパケットに含まれている端末サービス情報を取得する。このように送信側のVoIP通信装置100は、G.711符号化規格に規定される無音データからなる識別非音声データをRTPパケットに含めて非音声データRTPパケットを生成する。受信側のVoIP通信装置100は、識別非音声データに基づいて非音声データRTPパケットを識別し、当該非音声データRTPパケットに含まれている端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報などの情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】VoIP通信装置を通信ネットワークと共に表すブロック図である。
【図2A】送信時における非音声データRTPパケット挿入部でのRTPパケットのストリームの一例を表す図である。
【図2B】送信時における非音声データRTPパケット挿入部でのRTPパケットのストリームの一例を表す図である。
【図2C】送信時における非音声データRTPパケット挿入部でのRTPパケットのストリームの一例を表す図である。
【図3A】受信時における非音声データRTPパケット抽出部でのRTPパケットのストリームの一例を表す図である。
【図3B】受信時における非音声データRTPパケット抽出部でのRTPパケットのストリームの一例を表す図である。
【図3C】受信時における音声信号変換部、IP電話端末及び無線IP電話端末のいずれかでの音声データのストリームの一例を表す図である。
【図4】LANポート及び無線LANポートを含むVoIP通信装置を表すブロック図である。
【図5】実施例3におけるVoIP通信装置を通信ネットワークと共に表すブロック図である。
【図6】識別非音声データを含むRTPパケットの例を表す図である。
【図7】実施例3における音声データRTPパケットストリームの送信側及び受信側のVoIP通信装置の動作を表すシーケンス図である。
【図8】実施例4における音声データRTPパケットストリームの送信側及び受信側のVoIP通信装置の動作を表すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0086】
100 VoIP通信装置
110 RTP制御部
111 RTPパケット送受信部
112 非音声データRTPパケット挿入部
113 非音声データRTPパケット抽出部
120 非音声データ読取生成部
121 非音声データRTPパケット生成部
122 非音声データRTPパケット読取部
123 識別無音データ管理部
130 DSP部
131 音声データRTPパケット生成部
132 音声信号変換部
140 WANポート
150 SLIC部
160 LANポート
170 無線LANポート
200 通信ネットワーク
300 アナログ電話端末
400 IP電話端末
500 無線IP電話端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して音声データRTPパケットのストリームを送受信するVoIP通信装置であって、
前記通信ネットワークへ送信すべき音声データRTPパケットのストリームを受信若しくは生成して準備する送信音声データRTPストリームパケット準備手段と、
当該準備した音声データRTPパケットのデータサイズと異なるデータサイズの非音声データRTPパケットを生成する非音声データRTPパケット生成部と、
当該準備した音声データRTPパケットの内の少なくとも1つを前記非音声データRTPパケットに置き換える非音声データRTPパケット挿入部と、
当該置き換えた非音声データRTPパケットを含む音声データRTPパケットのストリームを前記通信ネットワークに送信するRTPストリームパケット送信手段と、を含むことを特徴とするVoIP通信装置。
【請求項2】
通信ネットワークを介して音声データRTPパケットのストリームを送受信するVoIP通信装置であって、
前記通信ネットワークから受信した音声データRTPパケットのストリームに含まれる非音声データRTPパケットを当該非音声データRTPパケットのデータサイズに基づいて抽出する非音声データRTPパケット抽出部と、
当該抽出した非音声データRTPパケットに含まれる情報を読み取る非音声データRTPパケット読取部と、を含むことを特徴とするVoIP通信装置。
【請求項3】
前記非音声データRTPパケットは、端末識別情報、端末使用状況情報及びサービス対応状況情報の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のVoIP通信装置。
【請求項4】
前記非音声データRTPパケット生成部は、前記非音声データRTPパケットの生成に代えて識別非音声データを含めて生成したRTPパケットを前記非音声データRTPパケットとすることを特徴とする請求項1に記載のVoIP通信装置。
【請求項5】
前記非音声データRTPパケット抽出部は、前記非音声データRTPパケットの抽出に代えて前記非音声データRTPパケットを当該非音声データRTPパケットに含まれている識別非音声データに基づいて抽出することを特徴とする請求項2に記載のVoIP通信装置。
【請求項6】
前記識別非音声データは、G.711符号化規格における無音データからなることを特徴とする請求項4又は5に記載のVoIP通信装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−283667(P2008−283667A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34717(P2008−34717)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】