説明

WRN結合分子を用いる治療方法

本発明は、シグナル伝達経路を調節する組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、とりわけ、テロメアが引き起こす老化、アポトーシス、タンニング、および他のDNA損傷応答を調節する組成物および方法に関する。本発明は、とりわけ、スピロオキシンドール(SPOX)クラスのメンバーなど、WRNに結合する非DNA小分子を含む有効量の組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与することにより、哺乳動物における各種の疾患および障害を治療する組成物および方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、シグナル伝達経路を調節する組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、とりわけ、テロメアが引き起こす老化、アポトーシス、タンニング、および他のDNA損傷応答を調節する組成物および方法に関する。
【0002】
(関連する出願への相互参照)
本願は、2006年8月29日に出願された米国仮特許出願第60/823,876号の利益を主張し、米国仮特許出願第60/823,876号の内容は本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
人口が老化するに従い、先進世界では、ヒトにおける癌の頻度が上昇している。広範な研究にもかかわらず、診断時における癌の一部の種類および疾患段階に関して、近年では罹患率および死亡率がさほど改善していない。癌の進行時において、腫瘍細胞は、正常細胞の組織特異的な環境との相互作用がどのように調節されるかについての重要な側面である、老化およびアポトーシスに対する抵抗性を含む、負の調節的制御からますます独立してゆく。
【0004】
生殖系列細胞および大半の癌細胞において、不死性は、染色体端部の3’端にTTAGGG反復配列を付加する酵素複合体であるテロメラーゼによるテロメア長の維持に関連する。TTAGGGのタンデム反復配列であるテロメアは、テロメア反復配列結合因子(TRF)、特に、TRF2により近接するテロメア二本鎖DNA内に挿入され安定化する、約150〜300塩基の3’側一本鎖突出を有するループ構造で終止する。TRF2のドミナントネガティブ型(TRF2DN)の異所性発現は、テロメアループ構造を破壊し、3’側突出を露出させ、DNA損傷応答を引き起こす。次いで、細胞は、細胞型に応じ、初代線維芽細胞、線維肉腫細胞、および他の複数の悪性細胞型の場合は老化を受け、リンパ球の場合はアポトーシスを受ける。
【0005】
証拠は、進行するテロメアの短縮化(染色体の3’側端部を複製できないことにより生じる)、または、老化におけるテロメア機能不全の他の一部の形態に関与する。テロメア長を酵素的に維持または構築する、テロメラーゼ逆転写酵素触媒サブユニット(TERT)の異所性発現が、老化を回避し、結果として、一部のヒト細胞型の不死化をもたらすことは、分裂寿命のテロメア依存的な機構を強く示唆する。さらに、悪性細胞は、TERTを発現し、かつ/また、該細胞に老化応答を回避させ、正常な老化細胞よりも短いテロメアを有することが多いにもかかわらず、該細胞を無際限に増殖させる変異を含有するのが通例である。しかし、一部の腫瘍細胞が、各種の抗癌剤に応じて老化を受けることは、不死性の獲得が、DNA損傷に対する細胞のこの基本的な応答の消失を必ずしも含意しないことを示す。
【0006】
ヒト細胞における老化およびアポトーシスは、大部分がp53経路に依存している。癌抑制遺伝子p53は、各種の異なる刺激、例えば、DNA損傷、転写または複製の調節異常、癌遺伝子による形質転換、および一部の化学療法薬剤により引き起こされる微小管の調節異常を、細胞増殖の停止またはアポトーシスに転換することにより、細胞ストレスへの応答機構において重要な役割を果たす。活性化されると、p53は、細胞増殖の停止またはプログラムされた細胞の自死(アポトーシス)を引き起こし、これが、ゲノムの安定性にとって重要な制御機構として作用する。特に、p53は、細胞集団から遺伝子損傷を受けた細胞を除去することによってゲノムの安定性を制御するので、その主要な機能の1つは、腫瘍形成を阻止することである。
【0007】
完全な癌抑制遺伝子pRb経路もまた、腫瘍形成の阻止に寄与する。野生型のp53を含有しないpRb−/−腫瘍細胞においても、pRbの導入が老化を誘導する。子宮頸癌細胞は、野生型のp53遺伝子およびpRb遺伝子を保持することが多いが、HPV E6タンパク質および同E7タンパク質が、それぞれ、p53経路およびpRb経路に干渉する。ウイルスE2タンパク質の異所性発現が、HPV E6およびE7の遺伝子転写を抑制し、子宮頸癌細胞系における迅速かつ著明な老化応答を誘導し、ここでもまた、癌細胞の老化におけるp53およびpRbの重要な役割を確認する。
【0008】
p53経路またはpRb経路を抑制するだけでは、線維芽細胞が分裂寿命を回避するのに十分でない。実際、SV40のT抗原をトランスフェクトしたか、またはアデノウイルスE1A+E1B、もしくは、p53経路およびpRb経路をともに抑制するHPV E6+E7の組み合わせを形質導入したヒト線維芽細胞は、寿命が延びて、分裂寿命を回避する。
【0009】
DNA二本鎖の切断は、哺乳動物細胞にとって、極めて細胞傷害性である。高度に保存されたMre11−Rad50−NBS(p95)(MRN)複合体は、真核生物における二本鎖切断の修復に関与する。MRN複合体は、その形成直後に、二本鎖切断部位に付着する。MRN複合体は、また、細胞周期のS期においてテロメアに移動し、テロメア反復配列結合因子(TRF)と会合する。
【0010】
MRN複合体は、Mre11、Rad50、およびNBS(p95)からなる。Mre11は、Mre11/P95/Rad50複合体の一部として、細胞周期のS期において、テロメアと会合する。Mre11は、DNA鎖の3’端に対する選好を有するエキソヌクレアーゼである。Mre11の活性は、ATPアーゼであるRad50との相互作用に依存すると考えられている。Nbs1は、MRN複合体の核局在化のほか、二重鎖切断部位におけるその凝集にも関与すると考えられる。
【0011】
ウェルナー症候群において変異するタンパク質であるWRNタンパク質は、MRN複合体と相互作用することが知られている(Chengら、2004年)。ウェルナー症候群は、早発性老化、悪性腫瘍の増大、およびゲノムの不安定性の増大を特徴とする、常染色体劣性障害である。WRNは、ヘリカーゼドメインおよび3’側から5’側へのエキソヌクレアーゼドメインをともに含有する核内タンパク質である(非特許文献1)。現在のところ、ウェルナー症候群において同定されたすべての変異は、該タンパク質のCOOH端からの核局在化シグナルを除去する、WRNの切断である(非特許文献1)。したがって、ウェルナー症候群におけるWRN変異は、該タンパク質が核内におけるその作用部位に到達することを阻止することにより、機能的なヌル表現型を産生すると考えられる。ウェルナー症候群患者に由来する細胞は、ベースラインおよびDNA損傷後のいずれにおいても、欠失レベルおよび転位レベルの上昇を示し、WRNタンパク質が、DNAの修復、複製、および組換えに関与することを示唆する(非特許文献2)。ウェルナー症候群の細胞は、また、年齢を合わせた対照と比べて老化が早発し(非特許文献3)、また、テロメア短縮の加速化を示す(非特許文献4)。
【0012】
MRN複合体との相互作用に加えて、WRNは、DNA損傷応答およびDNA修復/複製に関与する他のタンパク質であるDNA−PK/Ku(非特許文献5)、p53(非特許文献6)、および、早発性老化症候群であるブルーム症候群において変異するヘリカーゼであるBLM(非特許文献7)と相互作用することが知られる。さらに、WRNは、テロメア反復配列結合因子2であるTRF2と相互作用し、この相互作用は、WRNエキソヌクレアーゼ活性の特異性を変化させて、テロメアDNAの3’側から5’側への消化を促進する(非特許文献8;非特許文献9)。まとめると、これらのデータは、DNA代謝およびテロメア維持におけるWRNの極めて重要な役割を裏付ける。しかし、これらの経路におけるWRNの正確な役割は理解されていない。
【0013】
癌は、化学療法および放射線療法など、正常であれ悪性であれすべての増殖細胞を同等に損傷する傷害性の高い治療法により治療することが通例である。こうした治療の副作用は、リンパ系、造血系、および消化器上皮に対する重度の損傷のほか、脱毛も含む。かつて、本発明者らは、参照によりその全体において組み込まれる特許文献1において示した通り、増殖停止、アポトーシス、および増殖寿命を誘導するのに用いうるWRN調節物質のスクリーニング法を開示した。本発明者らは、かつて、また、テロメア相同体であるオリゴヌクレオチド(Tオリゴ)が、テロメアループ構造の破壊を模し、したがって、培養物中の細胞に、または、完全体動物の局所もしくは全身に供給されると、細胞内における生得的な癌回避機構を活性化することも発見した。悪性細胞におけるこれらのDNA損傷様応答の活性化は、これらの細胞にアポトーシスまたは老化を受けさせるが、正常細胞には一過性の増殖停止および「適応的分化」のみを引き起こす。したがって、Tオリゴは、多種多様な癌を予防および治療する新規で極めて選択的な手法のほか、保護的な「分化」応答(例えば、サンレスタンニング、DNA修復能の向上、ならびに乾癬および湿疹治療のための一過性の免疫抑制)の刺激を介して、未だ満たされない他の医療的および美容的必要に取り組む手段を提供すると思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際特許出願第PCT/US2005/017553号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Oshima,J.、2002年、Bioessays、第22巻、894〜901頁
【非特許文献2】Opreskoら、2003年、Carcinogenesis、第24巻、791〜802頁
【非特許文献3】Martinら、1970年、Lab Invest、第23巻、86〜92頁
【非特許文献4】Schulzら、1996年、Hum Genet、第97巻、750〜754頁
【非特許文献5】Karmakarら、2002年、Nucleic Acid Res、 第30巻、3583〜3591頁
【非特許文献6】Broshら、2001年、J Biol Chem、第276巻、35093〜35102頁
【非特許文献7】von Kobbeら、2002年、J Biol Chem、第277巻、22035〜22044頁
【非特許文献8】Machweら、2004年、Oncogene、第23巻、149〜156頁
【非特許文献9】Opreskoら、2002年、J Biol Chem、第277巻、41110〜41119頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、哺乳動物における過剰増殖性障害を治療する方法であって、スピロオキシンドール(SPOX)を含む有効量の組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法を目的とする。SPOX化合物は、WRNと結合または相互作用する能力を有する、SPOX−1、SPOX−2、またはSPOXクラスの他の任意のメンバーでよい。また、哺乳動物における過剰増殖性障害を治療するのに用いる、有効量のSPOX化合物を含む組成物も提供される。哺乳動物は、ヒトであることが好ましい。
【0017】
本発明は、また、新規のSPOX化合物も提供する。より具体的には、本発明は、以下の一般式:
【0018】
【化1】

を有する化合物、または、その薬学的に許容できる塩[式中、R1は、ヒドロキシ;低級アルキル;ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルなどの低級ヒドロキシアルキル;メトキシ、エトキシ、プロポキシなどの低級アルコキシ;および2−ヒドロキシエトキシなどのヒドロキシ置換低級アルコキシを含むがこれに限定されないオルト、メタ、または好ましくはパラ位にありうる官能基であり;R2は、水素;低級アルキル;ヨードメタンなどのハロゲン化低級アルキル;塩素、臭素、または好ましくはヨウ素などのハロゲン;低級アルケニル;および好ましくは低級アルキニル基、より好ましくは置換低級アルキニル基、例えば、アリール、アリール複素環など1つまたは複数の官能基を含むアルキニル;ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、およびカルボキサミドアミノなどの置換アミノ、エステル、カルボキサミド、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびシクロアルケニルを含むがこれに限定されない官能基であり;R3は、ヒドロキシ、低級アルキル;低級アルキニル;低級アルケニル;アミノ;アルケニルアミノ、好ましくはアリルアミノなどの置換アミノ;複素環;アリール複素環;低級アルコキシ;および低級アルケノキシ、好ましくはアリルオキシを含むがこれに限定されない官能基である]を提供する。新規のSPOX化合物は、本発明に従って使用することができる。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、該一般式および薬学的に許容できる担体からなるSPOX化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、有効量のSPOX化合物を含む組成物をヒトに投与するステップを含み、ヒトにおける癌細胞の増殖を阻害する方法に関する。本実施形態の方法は、癌細胞において、処置された細胞におけるS期の停止の後、テロメラーゼの存在または活性と独立でありp53を必要としないアポトーシスおよび/または老化をもたらしうる。本発明によるSPOX化合物により処置しうる例示的な癌細胞は、黒色腫細胞、乳癌細胞、リンパ腫細胞、骨肉腫細胞、白血病細胞、扁平上皮癌細胞、子宮頸癌細胞、卵巣癌細胞、膵癌細胞、肺癌細胞、および線維肉腫細胞を含む。別の実施形態において、SPOX化合物は、対象とする細胞に対して該化合物を送達することが好ましいターゲティング分子と連結してよい。また、ヒトにおける癌細胞の増殖を阻害するのに用い、有効量のSPOX化合物を含む組成物も提供される。
【0021】
本発明はまた、哺乳動物において悪性細胞の分化を促進する方法であって、SPOX化合物を含む有効量の組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法にも関する。SPOX化合物は、増殖因子と組み合わせて、組織工学への適用における幹細胞培養物の分化を向上させうる。また、哺乳動物における悪性細胞の分化を促進するのに用いる、有効量のSPOX化合物を含む組成物も提供される。
【0022】
本発明はまた、ヒトの癌細胞においてアポトーシスを誘導する方法であって、SPOX化合物を含む有効量の組成物をヒトに投与するステップを含む方法にも関する。例示的には、該方法によって処置される癌細胞は、黒色腫細胞、または、他の任意の癌細胞、例えば、上述の癌細胞でありうる。また、ヒトの癌細胞においてアポトーシスを誘導するのに用いる、有効量のSPOX化合物を含む組成物も提供される。
【0023】
本発明はまた、ヒトの癌細胞において老化を誘導する方法であって、SPOX化合物を含む有効量の組成物をヒトに投与するステップを含む方法にも関する。例示的に、該方法によって処置される癌細胞は、黒色腫細胞、または、他の任意の癌細胞、例えば、上述の癌細胞でありうる。また、ヒトの癌細胞において老化を誘導するのに用いる、有効量のSPOX化合物を含む組成物も提供される。
【0024】
本発明はまた、哺乳動物における皮膚障害を治療および/または予防する方法であって、SPOX化合物を含む有効量の組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法にも関する。皮膚障害は、海綿状態、水胞形成、異常角化症(サンバーン);黒色腫;日光性角化症;ボーエン病;尋常性白斑;扁平上皮癌;または基底細胞癌を含みうるがこれに限定されない。また、哺乳動物における皮膚障害を治療するのに用いる、有効量のSPOX化合物を含む組成物も提供される。
【0025】
本発明はまた、ヒトにおけるサンレスタンニングの方法であって、SPOX化合物を含む有効量の組成物をヒトに投与するステップを含む方法にも関する。本発明は、また、タンニングを含む光老化を軽減し、皮膚に対する酸化損傷を軽減するのに用いる、SPOX化合物を含む美容組成物をも目的とする。
【0026】
本発明はまた、治療作用物質を同定する方法であって、候補作用物質をWRNタンパク質またはMRN複合体の1つもしくは複数のタンパク質と接触させるステップと、WRNタンパク質またはMRN複合体の1つもしくは複数のタンパク質に対する候補作用物質の結合を測定するステップであって、WRNタンパク質またはMRN複合体の1つもしくは複数のタンパク質に対するその結合能により治療作用物質が同定されるステップとを含む方法も目的とする。
【0027】
本発明は、また、WRNタンパク質またはMRN複合体の1つもしくは複数のタンパク質に結合する化合物および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物も目的とする。該組成物は、前出の方法のいずれによっても有用でありうる。
【0028】
本発明のこれらの実施形態および他の実施形態を、本明細書において以下でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1B】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1C】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1D】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1E】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1F】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1G】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1H】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1I】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1J】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1K】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1L】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1M】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1N】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1O】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1P】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1Q】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1R】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1S】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1T】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1U】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1V】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1W】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1X】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1Y】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図1Z】WRNに結合することが知られるSPOX化合物の化学構造を示す図である。
【図2A】SPOX−1、SPOX−2、SPOX−343、SPOX−338、およびSPOX−337の化学構造を示す図である。
【図2B】SPOX−1、SPOX−2、SPOX−343、SPOX−338、およびSPOX−337の化学構造を示す図である。
【図2C】SPOX−1、SPOX−2、SPOX−343、SPOX−338、およびSPOX−337の化学構造を示す図である。
【図2D】SPOX−1、SPOX−2、SPOX−343、SPOX−338、およびSPOX−337の化学構造を示す図である。
【図2E】SPOX−1、SPOX−2、SPOX−343、SPOX−338、およびSPOX−337の化学構造を示す図である。
【図3】ヒト線維芽細胞におけるγH2AXの形成に対する、Tオリゴおよび希釈液単独と比べたSPOX−1の効果を、免疫蛍光顕微鏡法により示す図である。
【図4】ヒト線維芽細胞におけるγH2AXの形成に対する、Tオリゴおよび希釈液単独と比べたSPOX−1の効果を、免疫蛍光顕微鏡法により示す図である。
【図5】新生線維芽細胞の増殖に対する、Tオリゴと比べたSPOX−1およびSPOX−2の効果を示す図である。
【図6】希釈液のみ、Tオリゴ、SPOX−1、およびSPOX−2で処置し、ヨウ化プロピジウムで染色した、MM−ANヒト黒色腫細胞のFACS解析を示す図である。
【図7】MM−ANヒト黒色腫細胞の増殖に対するSPOX−1およびSPOX−2の効果を示す図である。
【図8】MM−ANヒト黒色腫細胞中のセリン1981におけるATMのリン酸化に対する、Tオリゴおよび希釈液単独と比べたSPOX−2の効果を示す図である。
【図9】MCF−7細胞の増殖に対するSPOX−1およびSPOX−2の効果を示す図である。
【図10】γH2AXの発現に対するSPOX−1およびSPOX−2の効果を、ウェスタンブロット解析により示す図である。
【図11】切断されたおよび切断されないポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)の発現に対するSPOX−1およびSPOX−2の効果を、ウェスタンブロット解析により示す図である。
【図12】陽性対照および陰性対照ならびにSPOX−1で処置し、ヨウ化プロピジウムで染色した、WRN+ U20S細胞およびWRN− U20S細胞のFACS解析を示す図である。
【図13】ヒト皮膚移植におけるメラニン形成に対するSPOX−1およびSPOX−2の効果を示す図である。
【図14】図12に示したデータのグラフ表示である。
【図15】H460ヒト肺癌細胞におけるサバイビン発現に対する、Tオリゴと比べたSPOX−1およびSPOX−2の効果を示す図である。
【図16】H460ヒト肺癌細胞の増殖に対するSPOX−1およびSPOX−2の効果を示す図である。
【図17】MCF−7細胞の増殖に対するSPOX化合物SPOX−337、SPOX−338、およびSPOX−343の効果を示す図である。
【図18】希釈液のみ、Tオリゴ、SPOX化合物SPOX−337およびSPOX−338およびSPOX−343で処置し、ヨウ化プロピジウムで染色した、MM−ANヒト黒色腫細胞のFACS解析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、複数の実施形態を有するが、以下に記載される実施形態の説明は、本開示が、本発明の例示として考えられるべきであり、例示される特定の実施形態に本発明を限定することを意図するものではないことを理解した上でなされる。見出しは、便宜のためにのみ提供され、いかなる形であれ、本発明を限定することを意図するものではない。どの見出しの下に例示される実施形態も、他の任意の見出しの下に例示される実施形態と組み合わせてよい。
【0031】
本出願において指定される各種の範囲における数値の使用は、別段に明示されない限り、言及された範囲内における最小値および最大値が、ともに、その前に「約」という語を伴うと仮定した場合の近似として言及される。こうして、言及された範囲を上回るわずかな変化、および同範囲を下回るわずかな変化は、該範囲内の値と実質的に同じ結果を達成するのに用いうる。また、範囲の開示は、それが、列挙された最小値および最大値の間の各値を含む連続的な範囲の開示であると仮定した場合のほか、こうした値により形成することのできる任意の範囲をも意図する。
【0032】
また、本明細書に記載の任意の値またはデータにより形成しうる任意の範囲、比率、および比率の範囲は、本発明のさらなる実施形態を代表するということも理解されたい。これは、有限の上限および/または下限を含むかまたは含まずに形成しうる範囲を含む。
SPOX化合物
6000種類のSPOX化合物ライブラリーを、そのWRNへの結合能について調べることにより、Tオリゴの非DNA代替物に関するスクリーニングを実施した。WRNに結合する化合物のスクリーニングは、例えば、Koehlerら、J.American Chem.Soc.、2003年、第125巻、8420〜8421頁、および、Bradnerら、2006年、Chemistry and Biology、第13巻、493〜504頁に記載の小分子マイクロアレイアッセイを用いて実施された。略述すると、候補化合物のライブラリーを、Koehlerら、およびBradnerらが記載の方法によりスライドガラス上にプリントした。精製されたWRNタンパク質を、スライドガラス上のライブラリーに曝露した。適切なインキュベーション期間の後、スライドガラスを洗浄して、すべての非結合WRNを除去した。ライブラリメンバーへのWRNの結合は、WRNに結合する抗体を用いて検出した。候補治療物質は、そのWRNへの結合能により同定した。
【0033】
これらのアレイにおいて、26種類のSPOX化合物が、WRNに固有かつ再現的に結合することを見出した。これらの化合物は、WRNに結合するか、または、悪性細胞の増殖停止およびアポトーシスなどの治療的応答を開始することが、以前は知られていなかった。図1は、小分子マイクロアレイアッセイにより同定された多数のSPOX化合物の化学構造を示す。図2Aは、「SPOX−1」と称する化合物を示す。
【0034】
6000種類のSPOX化合物ライブラリーは、驚くべきことに、スピロオキシンドールコアを共有する35,000種類の化合物のサブセットが、WRNに結合することを決定した、多数の異なる供給源に由来し複数の異なる骨格(コア構造)を含む35,000種類の化合物に対する初期スクリーニングに基づき選択された。
【0035】
アポトーシス、増殖停止、および色素発現の誘導において、SPOX−1の有効性を特定のTオリゴの有効性と比較する試験を実施した。WRN活性を調節する能力を有するTオリゴは、参照により本明細書に組み込まれる、同時係属の2002年4月12日付け米国特許出願第10/122,630号で開示された。
【0036】
SPOX−1は、悪性細胞の増殖停止能および/またはアポトーシス能を有する、複数の追加的なSPOX化合物の同定をもたらす化学改変の出発点として使用した。図2B〜Eは、これらの化合物の例を示す。図2Bは、SPOX−1の光学異性体である、SPOX−2を示す。SPOX−2は、とりわけ、図2C〜Eに示したSPOX−337、SPOX−338、およびSPOX−343をもたらすさらなる改変の基礎として使用した。SPOX−1またはSPOX−2のいずれも、理想的な「薬剤化可能性」特性、すなわち、投与、分布、代謝、および排出に関する良好な薬学的特性を示さない。例えば、SPOX−1が712の分子量を有するのに対して、薬剤の分子量は主に200〜500の間の分子量を有する。SPOX−1が6.88のclog(計算値対数)Pを有するのに対し、薬剤は主に2〜5の間のclog P値を示す。Pとは、1−オクタノール中における溶解度に対する、水中における化合物の溶解度の比である。よって、clog Pは、親油性の尺度である。一般に、過度に水溶性である(clog Pの低い)化合物は、細胞膜内に入ることがなく、過度に親油性である(clog Pの高い)化合物は、細胞膜から消失することがない。こうして、高分子量および親油性が局所的塗布に有利でありうるにもかかわらず、SPOX−1およびSPOX−2は、その薬学的特性により劣る。
【0037】
SPOX−2に対する改変は、SPOX−1およびSPOX−2の生物活性を保持するかまたは向上させ、「薬剤化可能性」に関する望ましい特性を達成することを意図する。2〜5の間のclog P値と、200〜500の間の分子量とは、候補化合物の「薬剤化可能性」を改善する特性の例であることを理解されたい。化合物SPOX−337、SPOX−338、およびSPOX−343は、SPOX−1およびSPOX−2よりも小さな分子量と、低いclog P値を有し、悪性細胞の増殖を停止させる能力を保持する。
【0038】
上述の方法は、腫瘍細胞の増殖を阻害する能力、腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘導する能力、およびメラニン形成を誘導する能力など、TオリゴおよびSPOXに見られる場合と同様の治療的効果を有することが可能で、本発明によりWRNと相互作用する他のクラスまたは種類の分子を同定するのに用いてよい。
【0039】
本発明は、また、WRNタンパク質に対するその結合能力の点から治療化合物を同定する方法であって、WRNを候補治療化合物に接触させるステップと、該化合物に対するWRNの結合またはその逆の結合を測定するステップとを含む方法も目的とする。治療作用物質は、WRNに対するその結合能により同定される。WRNに結合する治療作用物質は、また、他の生理学的経路によってもその治療的効果を及ぼしうる一方で、それにもかかわらず、WRNに対する結合能を有することに注目されたい。
【0040】
MRN複合体は、WRNと相互作用することが知られる。本明細書に記載の小分子マイクロアレイアッセイなどの方法により、MRE11、Rad50、NBS(p95)を含むMRN複合体の1つまたは複数のタンパク質との候補治療分子の結合または相互作用を測定することにより、治療物質を同定する類似のスクリーニング法を企図してもよい。
【0041】
本発明は、また、本発明に従って用いることが可能であり、以下の一般式:
【0042】
【化2】

を有する新規のSPOX化合物、またはその薬学的に許容できる塩[式中、R1は、ヒドロキシ;低級アルキル;ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルなどの低級ヒドロキシアルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシなどの低級アルコキシ;および、2−ヒドロキシエトキシなどのヒドロキシ置換低級アルコキシを含むがこれに限定されないオルト、メタ、または好ましくはパラ位にありうる官能基であり;R2は、水素;低級アルキル;ヨードメタンなどのハロゲン化低級アルキル;塩素、臭素、または好ましくはヨウ素などのハロゲン;低級アルケニル;および好ましくは低級アルキニル、より好ましくは置換低級アルキニル、例えば、アリール、アリール複素環など1つまたは複数の官能基を含むアルキニル;ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、およびカルボキサミドアミノなどの置換アミノ、エステル、カルボキサミド、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびシクロアルケニルを含むがこれに限定されない官能基であり;R3は、ヒドロキシ、低級アルキル;低級アルキニル;低級アルケニル;アミノ;アルケニルアミノ、好ましくはアリルアミノなどの置換アミノ;複素環;アリール複素環;低級アルコキシ;および低級アルケノキシ、好ましくはアリルオキシを含むがこれに限定されない官能基である]も目的とする。
【0043】
「低級アルキル」という用語は、直鎖部分、環部分、または分枝部分を有し、1〜6個の炭素を有する一価飽和脂肪族ラジカルを指す。本発明において有用なアルキルラジカルの例は、メチルラジカル、エチルラジカル、n−プロピルラジカル、イソプロピルラジカル、n−ブチルラジカル、イソブチルラジカル、ペンチルラジカル、ヘキシルラジカルなどを含む。
【0044】
「低級アルケニル」という用語は、少なくとも1か所の炭素−炭素二重結合を有し、1〜6個の炭素を有する不飽和脂肪族部分を指し、前記アルケニル部分のE異性体およびZ異性体を含む。アルケニルラジカルの例は、エテニルラジカル、プロペニルラジカル、ブテニルラジカルなどを含む。
【0045】
「低級アルキニル」という用語は、少なくとも1か所の炭素−炭素三重結合を有し、1〜6個の炭素を有する不飽和脂肪族部分を指し、直鎖および分枝鎖のアルキニル基を含む。アルキニルラジカルの例は、エチニルラジカル、プロピニルラジカル、ブチニルラジカルなどを含む。
【0046】
「低級アルコキシ」という用語は、Rが1〜6個の炭素を有するアルキル基であり、Rが置換低級アルキル(例えば、ヒドロキシエトキシ)でありうる−OR基を指す。
【0047】
「低級アルケノキシ」という用語は、Rが1〜6個の炭素を有するアルケニルであり、Rが置換低級アルケニルでありうる−OR基を指す。
【0048】
本明細書における「ハロゲン」という用語は、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、およびヨウ素原子を指すのに用いる。
【0049】
本明細書における「ヒドロキシ」という用語は、−OH基を指すのに用いる。
【0050】
本明細書における「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどを含むがこれに限定されない1つまたは2つの芳香環を有する単環式または二環式の炭素環系を指すのに用いる。アリールは、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、好ましくはメトキシ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノなどから独立に選択される1つ、2つ、または3つの置換基により置換されうる。
【0051】
本明細書における「複素環」という用語は、複素環の一部でない原子に結合する少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、または、好ましくは、窒素原子を含有する、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、または10員の任意の飽和非芳香環または不飽和環を指す。複素環は、また、3,4−メチレンジオキシフェニル−2−メチル、ベンジル、フェノキシ、メトキシなどの他の基によっても置換されうる。複素環の例としては、オクタヒドロアゾシニル、4−(3,4−メチレンジオキシフェニル−2−メチル)ピペラジニルなどを含むピペラジニル基などを挙げることができる。
【0052】
本明細書における「アリール複素環」という用語は、アリール基の隣接する2つの炭素を介して前記の複素環に付加された前記のアリール環を含む、二環または三環を指す。アリール複素環は、また、3,4−メチレンジオキシフェニル−2−メチル、ベンジル、フェノキシ、メトキシなど他の基によっても置換されうる。アリール複素環の例としては、6,7−ジメトキシイソキノリニルを含むイソキノリニルなどを挙げることができる。
【0053】
一般式内における特定の実施形態、すなわち、
R1が、オルト位、メタ位、またはパラ位にあり、−OHまたは−O−CH−CH−OHであり;
R2が、
【0054】
【化3】

からなる群から選択され;
R3が、−OH、−NH、−O−CH−CH=CH、−NH−CH−CH=CH
【0055】
【化4】

からなる群から選択される
実施形態が好ましい。
【0056】
R1が、パラ位にあり、−OHまたは−O−CH−CH−OHである実施形態;R2が、−Hまたは−Iである実施形態;および、R3が、−O−CH−CH=CHである実施形態が、一般式内において具体的に好ましい。R1が、パラ位にあり、−O−CH−CH−OHであり;R2が、−Hであり;R3が、−O−CH−CH=CHである化合物が、より具体的に好ましい。R1が、パラ位にあり、−OHであり;R2が、−Hであり;R3が、−O−CH−CH=CHである化合物が、さらにより具体的に好ましい。R1が、パラ位にあり、−O−CH−CH−OHであり;R2が、−Iであり;R3が、−O−CH−CH=CHである化合物が、さらにより具体的に好ましい。R1が、パラ位にあり、−OHであり;R2が、−Iであり;R3が、−O−CH−CH=CHである化合物が、最も具体的に好ましい。
【0057】
本発明は、一般式の化合物の各種の異性体形態のすべておよび任意の割合におけるその混合物を含むことを理解されたい。したがって、一般式の化合物の純光学異性体、2つの光学異性体のラセミ混合物および同不等量混合物は本発明に含まれ、本発明に従い用いられてよい。また、すべての可能なジアステレオマー形態が、本発明の範囲内にあることも理解されたい。
【0058】
本発明に従って用いうる他のSPOX化合物は、参照により本明細書にも組み込まれる、米国特許第6,774,132号に開示された化合物を含む。
【0059】
本発明に従って用いうるSPOX化合物は、参照により本明細書に組み込まれる、Loら、J.Am.Chem.Soc.、2004年、第126巻、16077〜16086頁に開示された技法など、当技術分野で知られた合成化学の技法を用いて合成することができる。多くの有用なオキシンドール合成法が、参照により本明細書に組み込まれる、Org.Prep.Proced.Int.、1993年、第25巻、481〜513頁において、G.M.Karpにより概説されている。特定の官能基が、特定の反応条件下において、他の反応物質または試薬に干渉する場合があり、したがって、一時的な保護を必要とする場合があることを理解されたい。保護基の使用は、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第2版、T.W.Greene & P.G.M.Wutz著、Wiley−Interscience社、1991年に説明されている。
【0060】
一実施形態において、本発明の組成物は、1つもしくは複数のSPOX化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む。本明細書における「非DNA SPOX化合物」または「SPOX化合物」という用語は、WRNに結合する能力を有するスピロオキシンドール環を有する任意の非DNA化合物を指す。一実施形態において、SPOX化合物は、WRNのアゴニストまたは部分的なアゴニストである。
【0061】
製法条件に応じて、得られるSPOX化合物は、中性形態または塩形態のいずれでもありうる。塩形態は、水和物および他の溶媒和物を含み、結晶多形も含む。これら最終生成物の遊離塩基および塩の両方が、本発明の範囲内にある。
【0062】
SPOX化合物の酸添加塩は、それ自体として既知のやり方で、アルカリなどの塩基性作用物質を用いるか、またはイオン交換法により、遊離塩基に転換されうる。得られた遊離塩基は、また、有機酸または無機酸により塩を形成しうる。
【0063】
酸添加塩の調製では、薬学的に許容できる塩を適切に形成する酸を用いることが好ましい。こうした酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、フマル酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、エンボン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、フェニル酢酸、マンデリン酸、ハロゲンベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、またはナフタレンスルホン酸などの脂肪酸、脂環式カルボン酸、またはスルホン酸である。結晶多形はすべて、本発明の範囲内にある。
【0064】
R3が−OHである一般式のSPOX化合物は、対応するエステル、例えば、アリルエステルと比べて、改善された安定性および水溶性を有すると予測される。これらのSPOX化合物の薬学的に許容できる塩基付加塩が提供され、それは遊離酸の形態を十分量の所望塩基と接触させ、既存の方法で塩を産生することにより調製しうる。遊離酸の形態は、該塩形態を酸と接触させ、既存の方法で遊離酸を単離することにより再生しうる。薬学的に許容できる塩基付加塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミンなどの金属またはアミンにより形成される。陽イオンとして用いられる金属の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどである。適切なアミンの例は、リシン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミンなどのアミノ酸である。
【0065】
SPOX化合物は、本発明の組成物中に任意の適量、例えば、約0.1mg〜約1000mg、約0.5mg〜約800mg、約1mg〜約750mg、約5〜約500mg存在しうる。別の実施形態において、SPOX化合物は、本発明の組成物中に、組成物重量の約1%〜約75%、約5%〜約60%、または約10%〜約50%の量で存在する。
剤形
本発明の組成物は、剤形、例えば、固体、液体、半固体、または他の剤形として調合することができる。一実施形態において、こうした組成物は、個別の用量単位または投与単位の形態にある。本明細書における「用量単位」および/または「投与単位」という用語は、治療効果を提供する単回投与に適する治療作用物質の量を含む医薬組成物の分量を指す。こうした投与単位は、1日当たり1回から少数(すなわち、1から約6)回を投与してもよく、治療応答を引き起こすのに必要なだけの回数を投与してもよい。特定の剤形を選択して、指定された1日の用量を達成するのに所望される任意の投与回数を提供することができる。通例では、1用量単位または少数(すなわち、最大で約6)の用量単位が、所望の応答または効果をもたらすのに十分な量の有効な薬剤を提供する。
【0066】
本発明の組成物は、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸投与、経粘膜投与、または局所的投与に適する1つまたは複数の用量単位の形態で調製してよい。非経口投与は、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、髄腔内投与、および関節内投与を含むがこれに限定されない。
【0067】
本明細書における「経口投与」または「経口送達できる」という用語は、対象への治療作用物質またはその組成物の任意の形態の送達であって、該作用物質または組成物が、嚥下の有無によらず対象の口腔内に置かれる送達を含む。こうして、「経口投与」は、口腔内投与および舌下投与のほか、食道内(例えば、吸入)投与も含む。
【0068】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、ココアバターまたはグリセリドを含むがこれに限定されない坐薬ベースを含有しうる直腸坐薬として調合される。
【0069】
本発明の組成物は、また、吸入用に調合してもよく、これは、乾燥粉末、または、ジクロロジフルオロメタンもしくはトリクロロフルオロメタンなどの高圧ガスを用いるエアゾールの形態で投与しうる溶液、懸濁液、または乳剤を含むがこれに限定されない形態でありうる。
【0070】
本発明の組成物は、また、経皮送達、例えば、クリーム、軟膏、ローション、ペースト、ゲル、医薬プラスター、パッチ、またはメンブレン用にも調合しうる。こうした組成物は、任意の適切な賦形剤、例えば、浸透促進剤などを含みうる。
【0071】
本発明の組成物は、また、注射または連続的注入による投与を含むがこれに限定されない非経口投与用にも調合しうる。注射用製剤は、油性媒体または水性媒体中の懸濁液、溶液、または乳剤の形態でありうる。こうした組成物は、また、滅菌水、発熱物質非含有水、注射用水などを含むがこれに限定されない適切な媒体による再構成用の粉末形態でも提供されうる。
【0072】
本発明の組成物は、また、植え込みまたは筋肉内注射により投与しうるデポ製剤としても調合しうる。こうした組成物は、適切なポリマー材料または疎水性材料(例えば、許容できる油中の乳剤など)、イオン交換樹脂により、または難溶性の誘導体(例えば、難溶性の塩など)として調合しうる。
【0073】
本発明の組成物は、また、リポソーム製剤としても調合しうる。リポソーム製剤は、対象とする細胞または角質層に浸透し、細胞膜と融合し、細胞内へのリポソーム内容物の送達をもたらすリポソームを含みうる。例えば、Yaroshによる米国特許第5,077,211号、Redziniakらによる米国特許第4,621,023号、またはRedziniakらによる米国特許第4,508,703号に記載のリポソームなどのリポソームを用いうる。本発明の組成物が、皮膚病態を標的とすることを意図する場合、こうした組成物は、紫外線または酸化損傷を引き起こす作用物質への哺乳動物皮膚の曝露前、曝露中、または曝露後に投与しうる。他の適切な製剤は、ニオソームを用いてよい。ニオソームは、リポソームに類似する脂質小胞であり、大半が非イオン性脂質からなる膜を有し、その一部の形態は、角質層を超えて化合物を輸送するのに有効である。
固体剤形
本発明の組成物は、錠剤(例えば、懸濁物錠剤、懸濁物錠剤の断片、急速分散型錠剤、チュアブル錠剤、発泡性錠剤、二層型錠剤など)、カプレット剤、カプセル(例えば、軟性または硬性ゼラチンカプセル)剤、粉末(例えば、パッケージング済み粉末、分包可能粉末、または発泡性粉末)剤、ドロップ剤、小袋剤、カシェ剤、トローチ剤、ペレット剤、顆粒剤、微粒剤、封入済み微粒剤、粉末エアゾール製剤、または投与への適用が妥当な他の任意の固体剤形などの固体投与単位の形態でありうる。
【0074】
錠剤は、多数の関連するよく知られた製薬手法のいずれかにより調製しうる。一実施形態において、錠剤または他の固体剤形は、(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)製粉、(4)乾式または非水性造粒、(5)湿式造粒、または(6)融合を含むがこれに限定されない方法の1つまたは組み合わせを用いる過程により調製しうる。
【0075】
錠剤調製の湿式造粒過程における各ステップは、製粉、および、成分のふるい分け、乾燥粉末の混合、湿式マッシング、造粒、および最終グラインディングを含むのが典型的である。乾式造粒は、強力回転式打錠機において、粉末混合物を粗型錠剤または「スラグ」に圧縮するステップを含む。次いで、スラグは、通常、振動式造粒機を通過させることによるグラインディング作業により、顆粒粒子に破砕される。各ステップは、粉末を混合するステップ、圧縮(スラギング)するステップ、およびグラインディングする(スラグを還元または造粒化する)ステップを含む。湿式結合剤または水分は、該ステップのいずれにも関与しないのが通例である。
【0076】
別の実施形態において、固体剤形は、1つまたは複数の医薬賦形剤を有するSPOX化合物を混合して、実質的に均質なプレフォーミュレーションブレンドを形成することにより、調製することができる。次いで、プレフォーミュレーションブレンドは、分割され、場合によっては、任意の所望の剤形にさらに加工(例えば、圧縮、封入、パッケージング、分散など)される。
【0077】
圧縮された錠剤は、本発明の粉末または造粒化組成物を圧縮することにより調製することができる。「圧縮された錠剤」という用語は、一般に、単回の圧縮または圧縮前タッピングに続く最終圧縮により調製され、経口服用に適する、無加工の無被覆錠剤を指す。本発明の錠剤は、被覆または他の手法を組み合わせて、取り扱いの特性または保存の特性が改善された利点をもたらす剤形を供給しうる。一実施形態において、任意のこうした被覆は、対象への投与時において、本発明の組成物の治療効果の開始を実質的に遅延させないように選択されるであろう。本明細書で使用される「懸濁物錠剤」という用語は、水中に入れた後で、速やかに分解される圧縮錠剤を指す。
液体剤形または半固体剤形
本発明の組成物に適する液体剤形は、溶液剤、水性懸濁液剤または油性懸濁液剤、エリキシル剤、シロップ剤、乳剤、液体エアゾール製剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤などを含む。こうした組成物は、また、使用前の水または他の適切な媒体による構成のための乾燥生成物としても調合しうる。
【0078】
一実施形態において、半固体組成物の液体は、室温、冷蔵(例えば、約5〜10℃)温度、または冷凍温度で、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12カ月間にわたり保管される密閉容器内における保存時に、該実施形態中に存在するもとのSPOX化合物の少なくとも約90%、少なくとも約92.5%、少なくとも約95%、または少なくとも約97.5%を示す。
医薬賦形剤
本発明の組成物は、所望の場合、1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含みうる。本明細書における「賦形剤」という用語は、それ自体は治療作用物質でないが、対象への治療作用物質の送達用の担体または媒体として用いられるか、または、医薬組成物に添加されてその取り扱いの特性または保存の特性を改善するか、または、組成物の単位用量の形成を可能にするもしくは容易にする任意の物質を意味する。賦形剤は、希釈剤、崩壊剤、結合剤、粘着剤、保湿剤、潤滑剤、流動促進剤、界面改変剤または界面活性剤、芳香剤、懸濁剤、乳化剤、非水性媒体、防腐剤、抗酸化剤、粘着剤、pH調節剤および浸透圧調節剤(例えば、緩衝剤)、防腐剤、増粘剤、甘味剤、香味剤、味質遮蔽剤、着色剤または染料、浸透促進剤、ならびに組成物の外見を改善するのに添加される物質を含むが、例示の目的であり限定の目的ではない。
【0079】
本発明の組成物に場合によって用いられる賦形剤は、固体、半固体、液体、またはこれらの組み合わせでありうる。賦形剤を含有する本発明の組成物は、賦形剤を薬剤または治療作用物質と混合するステップを含む、任意の既知の製薬法により調製しうる。
【0080】
本発明の組成物は、場合によっては、1つまたは複数の、賦形剤として薬学的に許容できる希釈剤を含む。適切な希釈剤は、無水ラクトースおよびラクトース一水和物を含むラクトース;直接に圧縮可能なデンプンおよび加水分解したデンプンを含むデンプン(例えば、Celutab(商標)およびEmdex(商標));マンニトール;ソルビトール;キシリトール;デキストロース(例えば、Cerelose(商標)2000)およびデキストロース一水和物;二塩基性リン酸カルシウム二水和物;スクロースに基づく希釈剤;業務用砂糖;一塩基性リン酸カルシウム一水和物;硫酸カルシウム二水和物;顆粒状乳酸カルシウム三水和物;デキストレート;イノシトール;加水分解された穀類固体;アミロース;微晶質セルロース、αセルロースおよびアモルファスセルロース(例えば、Rexcel(商標))ならびに粉末セルロースの食品グレード供給源を含むセルロース;炭酸カルシウム;グリシン;ベントナイト;ポリビニルピロリドンなどを、個別にまたは組み合わせにおいて例示的に含む。こうした希釈剤は、存在する場合、組成物の総重量の約5%〜約99%、約10%〜約85%、または約20%〜約80%を総量で占める。任意の希釈剤または選択された希釈剤は、好ましくは適切な流動特性を示し、錠剤が所望の場合は、圧縮性を示す。
【0081】
顆粒外微晶質セルロース(すなわち、乾燥ステップ後に湿潤した顆粒化組成物に添加された微晶質セルロース)を用いて、硬度(錠剤の場合)および/または崩壊時間を改善することができる。
【0082】
本発明の組成物は、場合によっては、特に、錠剤、カプセル、または他の固体製剤用の賦形剤として、1つまたは複数の薬学的に許容できる崩壊剤を含む。適切な崩壊剤は、個別にまたは組み合わせにおいて、デンプングリコール酸ナトリウム(例えば、Pen West社製のExplotab(商標))およびα化したコーンスターチ(例えば、National(商標)1551、National(商標)1550、およびColocorn(商標)1500)を含むデンプン、粘土(例えば、Veegum(商標)HV)、精製セルロース、微晶質セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム(例えば、FMC社製のAc−Di−Sol(商標))などのセルロース、アルギニン酸、クロスポビドン、および、寒天ガム、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、ペクチンガム、およびトラガカントガムなどのガムを含む。
【0083】
崩壊剤は、組成物の調製時、特に、顆粒化ステップ前、または、圧縮前の潤滑化ステップ時の任意の適切なステップにおいて添加しうる。こうした崩壊剤は、存在する場合、組成物の総重量の約0.2%〜約30%、約0.2%〜約10%、または約0.2〜約5%を総量で占める。
【0084】
本発明の組成物は、場合によっては、特に、錠剤製剤用の賦形剤として、1つまたは複数の薬学的に許容できる結合剤または粘着剤を含む。こうした結合剤および粘着剤は、サイジング、潤滑化、圧縮、およびパッケージングなどの通常の加工作業を可能とするが、依然として、錠剤の崩壊、および摂取後の吸収も可能とするのに十分な凝集力を、打錠される粉末に与えることが好ましい。適切な結合剤および粘着剤は、個別にまたは組み合わせにおいて、アラビアガム;トラガカントガム;スクロース;ゼラチン;グルコース;α化したデンプン(例えば、National(商標)1511およびNational(商標)1500)などであるがこれに限定されないデンプン;メチルセルロースおよびカルメロースナトリウム(例えば、Tylose(商標))などであるがこれに限定されないセルロース;アルギニン酸およびアルギニン酸塩;ケイ酸マグネシウムアルミニウム;PEG;グアーガム;多糖酸;ベントニト;ポビドン、例えば、ポビドンK−15、K−30、およびK−29/32;ポリメタクリレート;HPMC;ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(商標));およびエチルセルロース(例えば、Ethocel(商標))を含む。こうした結合剤および/または接着剤は、存在する場合、組成物総重量の約0.5%〜約25%、約0.75%〜約15%、または約1%〜約10%を総量で占める。
【0085】
本発明の組成物は、場合によっては、賦形剤として、1つまたは複数の薬学的に許容できる保湿剤を含む。本発明の組成物において保湿剤として用いうる界面活性剤の非限定的な例は、第四アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾトニウム、および塩化セチルピリジニウム、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、例えば、ノノキシノール9、ノノキシノール10、およびオクトキシノール9、ポロキサマー(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび油、例えば、ポリオキシエチレン(8)カプリル/カプリンモノグリセリドおよび同ジグリセリド(例えば、Gattefosse社製のLabrasol(商標))、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油およびポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレン(20)ケトステアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン(40)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えば、ポリソルベート20およびポリソルベート80(例えば、ICIのTween(商標)80)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、例えば、プロピレングリコールラウレート(例えば、Gattefosse社製のLauroglycol(商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、その脂肪酸および塩、例えば、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム、およびオレイン酸トリエタノラミン、グリセリル脂肪酸エステル、例えば、グリセリルモノステアレート、ソルビタンエステル、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノパルミテート、およびソルビタンモノステアレート、チロキサポール、およびその混合物を含む。こうした保湿剤は、存在する場合、組成物総重量の約0.25%〜約15%、約0.4%〜約10%、または約0.5%〜約5%を総量で占める。
【0086】
本発明の組成物は、場合によっては、賦形剤として、1つまたは複数の薬学的に許容できる潤滑剤(抗粘着剤および/または流動促進剤)を含む。適切な潤滑剤は、個別にまたは組み合わせにおいて、グリセリルベハペート(例えば、Compritol(商標)888);マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム)、ステアリン酸カルシウム、およびステアリン酸ナトリウムを含む、ステアリン酸およびその塩;水素化植物油(例えば、Sterotex(商標));コロイド状シリカ;タルク;ろう;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;塩化ナトリウム;DL−ロイシン;PEG(例えば、Carbowax(商標)4000およびCarbowax(商標)6000);オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;およびラウリル硫酸マグネシウムを含む。こうした潤滑剤は、存在する場合、組成物総重量の約0.1%〜約10%、約0.2%〜約8%、または約0.25%〜約5%を総量で占める。
【0087】
適切な抗粘着剤は、タルク、コーンスターチ、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、およびステアリン酸金属塩を含む。タルクは、例えば、製剤の器具表面への粘着を軽減し、また、ブレンド中における静電気を軽減するのに用いる抗粘着剤または流動促進剤である。1つまたは複数の抗粘着剤は、存在する場合、組成物の総重量の約0.1%〜約10%、約0.25%〜約5%、または約0.5%〜約2%を総量で占める。
【0088】
流動促進剤は、固体製剤の粉末流動性を促進するのに用いることができる。適切な流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、タルク、三塩基性リン酸カルシウム、粉末状セルロース、および三ケイ酸マグネシウムを含む。コロイド状二酸化ケイ素が、特に好ましい。
【0089】
本発明の組成物は、1つまたは複数の抗発泡剤を含む。シメチコンが、例示的な抗発泡剤である。抗発泡剤は、存在する場合、組成物の総重量の約0.001%〜約5%、約0.001%〜約2%、または約0.001%〜約1%を総量で占める。
【0090】
本発明において用いる例示的な抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニゾール、メタ重亜硫酸カリウムなどを含むがこれに限定されない。1つまたは複数の抗酸化剤が所望される場合、重量で約0.01%〜約2.5%、例えば、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約1.5%、約1.75%、約2%、約2.25%、または約2.5%の量において、本発明の組成物中に存在することが通例である。
【0091】
各種の実施形態において、本発明の組成物は、防腐剤を含みうる。適切な防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、もしくはブチルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、ベンゼトニウム、メチルp−ヒドロキシベンゾアートもしくはプロピルp−ヒドロキシベンゾアート、およびソルビン酸、またはこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない。任意選択の防腐剤は、重量により、約0.01%〜約0.5%、または約0.01%〜約2.5%の量で存在することが通例である。
【0092】
一実施形態において、本発明の組成物は、場合によっては、緩衝剤を含む。緩衝剤は、pH変化を軽減する作用物質を含む。本発明の各種の実施形態において用いられる緩衝剤の例示的なクラスは、例えば、IA族金属の重炭酸塩、IA族金属の炭酸塩を含むIA族金属の塩、アルカリ金属緩衝剤またはアルカリ土類金属緩衝剤、アルミニウム緩衝剤、カルシウム緩衝剤、ナトリウム緩衝剤、またはマグネシウム緩衝剤を含む。適切な緩衝剤は、前出の任意の金属の炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、フタル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、例えば、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウム、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウム、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウム、および炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムを含む。
【0093】
適切な緩衝剤の非限定的な例は、アルミニウム、水酸化マグネシウム、グリシン酸アルミニウム、酢酸カルシウム、重炭酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、フタル酸カルシウム、リン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、酢酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、フタル酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、ホウ酸カリウム、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、フタル酸カリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、コハク酸カリウム、酒石酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、合成ヒドロタルサイト、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、およびトロメタモールを含む(Merck Index、ニュージャージー州ラーウェイ、Merck & Co.社、2001年に提供された一覧に部分的に基づく)。さらに、上述の2つ以上の任意の緩衝材の組み合わせまたは混合物を、本明細書に記載の医薬組成物中で用いることができる。1つまたは複数の緩衝剤は、存在する場合、重量で約0.01%〜約5%または約0.01%〜約3%の量において、本発明の組成物中に存在する。
【0094】
各種の実施形態において、本発明の組成物は、粘性を増大させる1つまたは複数の作用物質を含みうる。粘性を増大させる例示的な作用物質は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、カラギーナン、カルボポール、および/またはこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない。1つまたは複数の粘性増加剤は、所望の場合、重量で約0.1%〜約10%、または約0.1%〜約5%の量において、本発明の組成物中に存在することが通例である。
【0095】
各種の実施形態において、本発明の組成物は、組成物の感覚刺激特性を改善する「感覚刺激剤」を含む。本明細書における「感覚刺激剤」という用語は、本発明の組成物の味質もしくは香気を改善する、または本発明の組成物の不快な味質もしくは香気を遮蔽するのに役立ちうる任意の賦形剤を指す。こうした作用物質は、甘味剤、芳香剤、および/または味質遮蔽剤を含む。適切な甘味料および/または芳香剤は、医薬組成物に甘味または香気を与える任意の作用物質を含む。任意選択の感覚刺激剤は、約0.1mg/ml〜約10mg/ml、約0.5mg/ml〜5mg/ml、または約1mg/mlの量において、本発明の組成物中に存在することが通例である。
【0096】
例示的な甘味剤または芳香剤は、アラビアガムシロップ、アネトール、アニス油、芳香族エリキシル剤、ベンズアルデヒド、ベンズアルデヒドエリキシル剤、シクロデキストリン、カラウェイ、カラウェイ油、カルダモン油、カルダモン種子、カルダモンスピリット、カルダモンチンキ剤、チェリージュース、チェリーシロップ、シナモン、シナモン油、シナモン水、クエン酸、クエン酸シロップ、チョウジ油、ココア、ココアシロップ、コリアンダー油、デキストロース、エリオディクティオン属植物、エリオディクティオン属植物の流エキス剤、エリオディクティオン属植物のシロップ、芳香植物、エチル酢酸、エチルバニリン、ウイキョウ油、ショウガ、ショウガ流エキス剤、ショウガオレオレジン、デキストロース、グルコース、砂糖、マルトデキストリン、グリセリン、カンゾウ、カンゾウエリキシル剤、カンゾウ抽出物、カンゾウ純抽出物、カンゾウ流体抽出物、カンゾウシロップ、蜂蜜、イソアルコールエリキシル剤、ラベンダー油、レモン油、レモンチンキ剤、マンニトール、サリチル酸メチル、ナツメグ油、ダイダイエリキシル剤、ダイダイ油、橙花油、橙花水、オレンジ油、苦橙皮、甘橙皮チンキ液、オレンジスピリット、オレンジシロップ、ペパーミント、ペパーミント油、ペパーミントスピリット、ペパーミント水、フェニルエチルアルコール、ラズベリージュース、ラズベリーシロップ、ローズマリー油、バラ油、強力バラ水、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、サルサパリラシロップ、サルサパリラ、ソルビトール溶液、スペアミント、スペアミント油、スクロース、スクラロースシロップ、タイム油、トルーバルサム、トルーバルサムシロップ、バニラ、バニラチンキ剤、バニリン、セイヨウミザクラシロップ、またはこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない。
【0097】
例示的な味質遮蔽剤は、シクロデキストリン、シクロデキストリン乳化剤、シクロデキストリン粒子、シクロデキストリン複合体、またはこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない。
【0098】
例示的な懸濁剤は、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/砂糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、および水素化食用脂を含むがこれに限定されない。
【0099】
例示的な乳化剤は、レクチン、ソルビタンモノオレアート、およびアラビアガムを含むがこれに限定されない。非水溶性媒体は、食用油、アーモンド油、ヤシ油、油性エステル、プロピレングリコール、およびエチルアルコールを含むがこれに限定されない。
【0100】
前出の賦形剤は、当技術分野において知られる複数の役割を有しうる。例えば、デンプンは、充填剤のほか、崩壊剤としても役立ちうる。上述の賦形剤の分類は、いかなる形であれ、限定することを意図するものではない。
【0101】
一実施形態において、本発明の組成物は、核特異的なターゲティング分子または担体、例えば、核タンパク質を含む。本明細書における「核特異的な担体またはターゲティング分子」とは、細胞核に分子を輸送する能力を有する分子を指す。こうした分子は、血管内皮プロテインC受容体、転写因子、SV−40ウイルスの核局在化シグナル、SV−40ラージT抗原、HIV1型TATの核局在化ドメインを含むがこれに限定されない。
投与
本発明の組成物は、単独で、または他のモダリティーとの組み合わせにおいて用いて、増殖停止、アポトーシス、または増殖寿命の不全に関連する病態を治療および/または予防しうる。こうした病態の代表的な例は、癌、および、例えば、乾癬もしくは線維芽細胞肥厚性瘢痕およびケロイドにおける角質細胞、または、各種の自己免疫障害の場合におけるリンパ球の特定のサブセットなど、正常な範囲を超える良性の細胞増殖などの過剰増殖性疾患を含むがこれに限定されない。これらの方法により治療すべき癌は、体内の各種の細胞型および器官において生じ、例えば、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、神経膠芽細胞腫、気道腫瘍、気管支癌、大細胞癌、尿生殖路腫瘍、腺癌、乳頭癌、肝細胞癌、子宮頸癌、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、大細胞リンパ腫、またはびまん性リンパ種などのリンパ種、骨肉腫、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、黒色腫、および、皮膚に生じる他の癌、ならびに、急性白血病および慢性白血病を含む、血液細胞および関連細胞の腫瘍が挙げられる。本発明の組成物は、また、乳癌、肺癌、肝癌、前立腺癌、膵癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、結腸癌、脳腫瘍、食道癌、胃癌、および甲状腺癌を治療および/または予防するのにも用いうる。本発明の組成物は、また、タンニングを誘導し、細胞分化を促進するのに、また、免疫抑制、例えば、器官移植に関連する免疫抑制にも用いうる。
【0102】
一実施形態において、本発明の組成物は、SPOX−1を含み、リンパ種、神経膠芽細胞腫、骨肉腫、黒色腫、白血病、および皮膚癌、乳癌、肺癌、肝癌、前立腺癌、子宮頸癌、膵癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、結腸癌、食道癌、胃癌、および甲状腺癌からなる群から選択される癌を治療するのに用いられる。
【0103】
本明細書で用いる「治療する」または「治療」という用語は、増殖停止、アポトーシス、または増殖寿命の不全に関連する障害または疾患の任意の治療を指し、障害もしくは疾患を阻害すること、障害もしくは疾患の発症を停止すること、障害もしくは疾患を軽減すること、例えば、障害もしくは疾患の退縮を引き起こすこと、または、疾患もしくは障害により引き起こされる病態を軽減すること、疾患もしくは障害の症状を軽減することを含むがこれに限定されない。
【0104】
増殖停止、アポトーシス、または増殖寿命の不全に関連する障害または疾患との関連における「予防する」または「予防」という用語は、何も起こらない場合、障害もしくは疾患の発症の開始を予防すること、または、障害もしくは疾患が既に存在する場合、障害もしくは疾患の発症をさらに予防することを意味する。例えば、本発明の組成物を用いて、腫瘍の再発を予防しうる。腫瘍の再発は、その後臨床的に検出可能な腫瘍に拡大する腫瘍細胞の残留微小群または病巣のために生じうる。
【0105】
本発明の組成物は、経口投与、非経口投与、舌下投与、経皮投与、直腸投与、経粘膜投与、局所的投与、吸入投与、口腔内投与、またはこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない任意の方法で投与しうる。非経口投与は、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、髄腔内投与、関節内投与、嚢内投与、および脳室内投与を含むがこれに限定されない。
【0106】
治療における使用に必要な組成物の治療有効量は、他の因子にもまして、治療される病態の性質、活性が所望される時間の長さ、ならびに治療される患者の年齢および病態により変化し、担当医師により最終的に決定される。しかし、一般には、ヒトでの治療に用いられる用量は、1日当たり約0.001mg/kg〜約200mg/kg、例えば、1日当たり約1μg/kg〜約1mg/kg、または1日当たり約1μg/kg〜約100μg/kgの範囲にあることが通例である。所望の用量は、単回の用量により投与するのが好都合な場合もあり、適切な間隔において投与される複数回の用量、例えば1日当たり2、3、4回以上の亜用量として投与するのが好都合な場合もある。
【0107】
例示的に、本発明の組成物を対象に投与して、体重当たり約1μg/kg〜約1mg/kg、例えば、体重当たり約1μg/kg、約25μg/kg、約50μg/kg、約75μg/kg、約100μg/kg、約125μg/kg、約150μg/kg、約175μg/kg、約200μg/kg、約225μg/kg、約250μg/kg、約275μg/kg、約300μg/kg、約325μg/kg、約350μg/kg、約375μg/kg、約400μg/kg、約425μg/kg、約450μg/kg、約475μg/kg、約500μg/kg、約525μg/kg、約550μg/kg、約575μg/kg、約600μg/kg、約625μg/kg、約650μg/kg、約675μg/kg、約700μg/kg、約725μg/kg、約750μg/kg、約775μg/kg、約800μg/kg、約825μg/kg、約850μg/kg、約875μg/kg、約900μg/kg、約925μg/kg、約950μg/kg、約975μg/kg、約1mg/kgの量で、SPOX化合物を対象に供給しうる。
【0108】
当業者は、本発明の開示により、多数の他の実施形態、改変、および等価物が意図および包含されることを容易に理解するであろう。
【0109】
本明細書で参照されるすべての特許、特許出願、および刊行物は、本明細書により、法の下に許容される最大限度において、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0110】
以下の実施例は、本発明の各種の態様を例示するものであり、いかなる形であれ、本発明の範囲を限定するものとして意図するものではない。
【0111】
(実施例1)
ヒト線維芽細胞におけるSPOXによるH2AXのリン酸化、増殖停止の誘導
テロメア突出反復配列に相同であるオリゴヌクレオチド(Tオリゴ)は、かつて、参照により本明細書に組み込まれる、2002年4月12日付けの米国特許出願第10/122,633号において、増殖停止、アポトーシスを誘導し、分化を促進することが示された。以下の実験において、TオリゴをSPOXと比較し、該非DNA小分子が同一の効果を有するかどうかを判定した。
【0112】
ヒストンH2AXのリン酸化(γH2AXを形成する)は、多くの状況においてDNA損傷のマーカーであり、また、細胞が老化に入るとき、テロメアにおいて観察される。図3および図4において示す通り、SPOX−1および(11mer:5’GTTAGGGTTAG3’;配列番号1の)Tオリゴはともに、ヒト線維芽細胞において、同様の濃度でγH2AX発現を誘導する。いずれの実験においても、細胞は、免疫蛍光顕微鏡法用に加工する前に、SPOX−1および11mer Tオリゴの存在下において、48時間にわたりインキュベートした。
【0113】
ヒト線維芽細胞の増殖に対するSPOX化合物の効果は、新生線維芽細胞の培養物を用いて調べた。略述すると、35mmのディッシュ当たり20,000個の細胞を播種した。96時間後に、希釈剤(ジメチルスルホキシド(DMSO))のみ、SPOX−1(40μM)、SPOX−2(40μM)、または11mer Tオリゴ(配列番号1)を含有する培地を導入し、播種の2日後および4日後に増殖を判定した。図5に示す通り、SPOX−1およびSPOX−2は、ともに、ヒト線維芽細胞の増殖を阻害した。
【0114】
(実施例2)
SPOX化合物は、ヒト黒色腫細胞においてアポトーシスおよび増殖停止を誘導し、ATMを活性化する
MM−ANヒト黒色腫細胞の培養物を、希釈液(水またはDMSO)のみ、Tオリゴ(16mer:5’GTTAGGGTTAGGGTTA3’;配列番号2)、SPOX−1またはSPOX−2により96時間にわたり処置し、次いで、回収し、FACS解析用に処理した。1種類の濃度のTオリゴ(20μM)および3種類の濃度の各SPOX化合物(10μM、40μM、および80μM)を調べた。図6に結果を示す。各バーは、トリプリケートディッシュの平均+/−平均の標準誤差(SEM)である。FACSプロファイルは、図の上部に示す。見られる通り、いずれのSPOX化合物ともにアポトーシスを誘導したが、SPOX−1の方がより大きな効果を有した。結果は、各化合物ともに、黒色腫細胞におけるアポトーシスの誘導に対する16mer Tオリゴの効果を模倣する能力を有したことを示す。
【0115】
MM−AN細胞の培養物を用いて、ヒト黒色腫細胞の増殖に対するSPOX化合物の効果を調べた。略述すると、35mmディッシュあたり20,000個のMM−AN細胞を播種した。96時間後に、希釈液(DMSO)のみ、SPOX−1またはSPOX−2(40μM)を含有する培地を導入し、処置の2、3、および4日後に増殖を判定した。図7に示す通り、SPOX−1およびSPOX−2ともに、MM−AN細胞の増殖を阻害した。
【0116】
セリン1981におけるATM(毛細血管拡張性運動失調変異)キナーゼのリン酸化は、DNA損傷のマーカーであり、テロメア3’側突出の露出後に生じることが示されている。リン酸化したATMは、p53をリン酸化することにより活性化する。MM−AN細胞は、希釈液(培地またはDMSO)のみ、40μMの11mer Tオリゴ(配列番号2)または40μMのSPOX−2により48時間にわたり処置し、次いで回収し、ATMホスホセリン1981に対する抗体を用いるウェスタンブロット法により解析した。図8に示す通り、SPOX−2および11mer Tオリゴはともに、MM−AN細胞において、同様の濃度で、ATMのリン酸化を誘導する。
【0117】
(実施例3)
SPOX化合物は、ヒト乳癌細胞において増殖停止およびアポトーシスを誘導する
MCF−7細胞の培養物を用いて、ヒト乳癌細胞の増殖およびアポトーシスに対するSPOX化合物の効果を調べた。細胞増殖に対する効果は、35mmディッシュあたり20,000個の細胞を播種することにより調べた。96時間後に、希釈液(DMSO)のみ、SPOX−1またはSPOX−2(10μM、40μM、および80μM)を含有する培地を導入し、播種の8日後に増殖を判定した。図9に示す通り、SPOX−1およびSPOX−2ともに、用量依存的にMCF−7細胞の増殖を阻害し、より高濃度の40μMおよび80μMでは、ほぼ完全な増殖の阻害をもたらした。
【0118】
DNA損傷のマーカーとして、ヒストンH2AXのリン酸化(γH2AXを形成する)を評価した。ウェスタンブロット解析によりアポトーシスを測定し、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)の切断を示した。PARPは、アポトーシスを媒介する酵素であるカスパーゼ3の基質であり、したがって、カスパーゼ3によるPARPの切断は、進行中のアポトーシスの指標である。図10は、SPOX−1およびSPOX−2ともに、γH2AXを形成するヒストンタンパク質H2AXのリン酸化を、陽性対照である16mer Tオリゴ(配列番号2)と同等に引き起こすことを示す。図11は、また、SPOX−1およびSPOX−2ともに、この経路を介してアポトーシスを引き起こすことが知られる陽性対照化合物であるTNF−αと同等に、PARP切断(カスパーゼ3を媒介とする)を引き起こすことも示す。こうして、いずれのSPOX化合物ともに、MCF−7乳癌細胞系において、アポトーシス、および、DNA損傷様応答のマーカーとしてのγH2AXの形成を誘導する。
【0119】
(実施例4)
SPOX−1はWRNから独立してアポトーシスを誘導する
WRN+およびWRN− U20Sヒト骨肉腫細胞の培養物は、希釈液(水またはDMSO)のみ、16mer Tオリゴ(配列番号2)、またはSPOX−1により96時間にわたり処置し、次いで、回収し、FACS解析用に加工した。1種類の濃度である20μMの16mer Tオリゴ、ならびに、3種類の濃度である10μM、40μM、および80μMのSPOX−1を調べた。図12は、16mer Tオリゴが、完全なWRNを有するU20S細胞におけるよりも、WRN− U20S細胞において、アポトーシスを誘導する効果が低かったことを示す。これに対して、SPOX−1もまた、WRN+ U20S細胞におけるアポトーシスを用量依存的に誘導したが、40μMおよび80μMの濃度では、WRN− U20S細胞においてもアポトーシスが見られたことは、SPOX−1が、WRNに依存する経路およびWRNから独立する経路を介してアポトーシスを誘導する能力を有しうることを示唆する。あるいは、WRN− U20S細胞も、大幅な低濃度ではあるが、検出可能な濃度のWRNを含むので、SPOX−1が、これらの細胞において、おそらくはWRNに加えてMRN複合体の1つまたは複数の成分との相互作用を介して、Tオリゴよりも少量のWRNをより有効に用いうる可能性がある。
【0120】
(実施例5)
SPOX化合物はヒト皮膚においてメラニン形成を誘導する
美容整形時に56歳の白人女性から除去した正常顔面皮膚を、約5×5mmの断片に注意深く切断した。該断片を、少なくとも1週間にわたり、生理的刺激に応答する良好な状態に維持することが知られる条件下(Aradら、FASEB J.、2006年7月28日、[Epub])において、組織培養ディッシュ内の標準的な培地に入れた。48時間後において、35mmディッシュ当たり少なくとも3片ずつ断片を配置し、ディッシュ1枚ずつに、希釈液(DMSO)のみ(Dil)、または、各80uMのSPOX−1もしくはSPOX−2、または陽性対照としての100uMチミジンジヌクレオチド(pTT)を含有する新鮮な培地を供給した。さらに24、48、および72時間後、異なる処置群を代表するディッシュの各々から、各回1つずつの組織断片を除去し、急速冷凍し、フォンタナマッソン染色法により染色してメラニンを示し(図13)、コンピュータ支援型画像解析を施し、メラニンにより占められる表皮百分率を決定した(図14)。72時間の希釈液(Dil)対照試料は、細菌汚染されていると判断され、全体の組織学的解析および見かけのメラニン含量の両方に影響したが、早期の実験に基づくならば、24および48時間後と同じであると予測されるであろう。他のすべての試料は、健康であり、処置に対する応答を正確に代表すると考えられた。図13および図14から見られる通り、いずれのSPOX化合物ともに、pTTと同等のタンニングを引き起こした。
【0121】
(実施例6)
SPOX化合物は、ヒト肺癌細胞においてサバイビン発現を低下させ、増殖停止を誘導する
SPOX化合物がアポトーシスタンパク質阻害因子(IAP)ファミリーのメンバーであるサバイビンの発現を阻害する能力を、希釈液(DMSO)のみ、SPOX−1(20μM、40μM)、SPOX−2(20μM、40μM)、およびTオリゴ(16mer:5’GGTTGGTTGGTTGGTT3’;配列番号3)(20μM、40μM)で2日間にわたり、または、SPOX−1(80μM)もしくはSPOX−2(80μM)で24時間にわたり、H460ヒト肺癌細胞を処置することにより判定した。処置後、細胞を回収し、カウントし、サバイビン発現について分析した。図15に結果を示す。いずれのSPOX化合物についても、16mer Tオリゴについて観察されたのと同様に、サバイビン発現の用量依存的な低下が2日後に観察され、40μM投与時には、サバイビンがほとんど検出されなかった。24時間後でも、いずれのSPOX化合物の80μM投与ともに、サバイビン発現をほぼ検出不能なレベルにまで低下させた。
【0122】
H460細胞の培養物を用いて、ヒト肺癌細胞の増殖に対するSPOX化合物の効果を調べた。略述すると、35mmディッシュ当たり20,000個のH460細胞を播種した。96時間後に、希釈液(DMSO)のみ、SPOX−1またはSPOX−2(40μM)を含有する培地を導入し、播種の1、2、3、および4日後に増殖を判定した。図16に示す通り、SPOX−1およびSPOX−2ともに、H460細胞の増殖を阻害した。
【0123】
(実施例7)
SPOX−337、SPOX−338、およびSPOX−343は、ヒト乳癌細胞において増殖停止を誘導し、ヒト黒色腫細胞においてアポトーシスを誘導する
MCF−7細胞の培養物を用いて、ヒト乳癌細胞の増殖に対するSPOX化合物の効果を調べた。35mmディッシュ当たり20,000個の細胞を播種することにより、細胞増殖に対する効果を調べた。96時間後に、希釈液(水またはDMSO)のみ、SPOX−337、SPOX−338、SPOX−343(10μM、40μM、および80μM)、または16mer Tオリゴ(配列番号2)を含有する培地を導入し、播種の3日後に増殖を判定した。図17に示す通り、SPOX−337、SPOX−338、およびSPOX−343は、MCF−7細胞の増殖を用量依存的に阻害し、最高濃度の80μMでは、ほぼ完全な増殖の阻害をもたらした。
【0124】
MM−ANヒト黒色腫細胞の培養物を、希釈液(水またはDMSO)のみ、16mer Tオリゴ(配列番号2)、SPOX−337、SPOX−338、またはSPOX−343で72時間にわたり処置し、次いで、回収し、FACS解析用に加工した。1種類の濃度のTオリゴ(20μM)および3種類の濃度の各SPOX化合物(10μM、40μM、および80μM)を調べた。図18に結果を示す。見られる通り、SPOX−337、SPOX−338、およびSPOX−343は、アポトーシスを誘導し、SPOX−337およびSPOX−343が、最大の効果を有した。結果は、各化合物とも、黒色腫細胞におけるアポトーシスの誘導に対する16mer Tオリゴの効果を模倣する能力を有したことを示す。
【0125】
(実施例8)
SPOX−1およびSPOX−2は、ヒト線維芽細胞においてp53およびp21を誘導する
ヒト線維芽細胞を、希釈液(水またはDMSO)のみ、SPOX−1、SPOX−2、または16mer Tオリゴ(配列番号2)で48時間にわたり処置し、その後、総細胞内タンパク質を回収し、抗p53抗体および抗p21抗体を用いて、ウェスタンブロット解析を行った。希釈液のみと比べ、SPOX−1およびSPOX−2は、p53レベルを16mer Tオリゴと同程度まで誘導し、p53に依存する下流のエフェクタータンパク質であるp21のレベルも16mer Tオリゴと同程度まで誘導した。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図1−4】

【図1−5】

【図1−6】

【図1−7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化5】

を有する化合物、またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R1は、オルト、メタ、またはパラ位にあり、ヒドロキシ、低級アルコキシ、およびヒドロキシ置換低級アルコキシからなる群から選択されるメンバーであり、
R2は、水素、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン、低級アルキニル、および置換低級アルキニルからなる群から選択されるメンバーであり、
R3は、ヒドロキシ、アミノ、置換アミノ、複素環、アリール複素環、低級アルコキシ、および低級アルケノキシからなる群から選択されるメンバーである]。
【請求項2】
R1が、パラ位にあり、ヒドロキシまたはヒドロキシ置換低級アルコキシであり、
R2が、水素、ハロゲン、または置換低級アルキニルであり、
R3が、低級アルケノキシまたはアミノである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、パラ位にあり、ヒドロキシ置換低級アルコキシであり、
R2が、水素またはハロゲンであり、
R3が、低級アルケノキシである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R3が、−O−CH−CH=CHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R1が、パラ位にあり、ヒドロキシ基であり、
R2が、水素であり、
R3が、−O−CH−CH=CHである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R1が、パラ位にあり、−O−CH−CH−OHであり、
R2が、水素であり、
R3が、−O−CH−CH=CHである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R1が、パラ位にあり、−O−CH−CH−OHであり、
R2が、ヨウ素であり、
R3が、−O−CH−CH=CHである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
SPOX−1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から7または8のいずれかに記載の化合物の光学異性体。
【請求項10】
SPOX−2である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1から9または10のいずれかに記載の化合物および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
哺乳動物における過剰増殖性障害を治療する方法であって、スピロオキシンドール(SPOX)を含む有効量の組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与するステップを含む方法。
【請求項13】
前記SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記SPOXが、SPOX−1である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記SPOXが、SPOX−2である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
投与するステップが、局所的投与、経口投与、または静脈内投与を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
投与するステップが、経口投与を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
スピロオキシンドールが、核特異的な担体またはターゲティング分子と連結している、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
核特異的な担体またはターゲティング分子が、プロタミン血管内皮プロテインC受容体、転写因子、SV−40ラージT抗原、SV−40ウイルスの核局在化シグナル、HIV1型TATの核局在化ドメインからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、約1μM〜約500μMの濃度のスピロオキシンドールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
ヒトにおいて癌細胞の増殖を阻害する方法であって、生理学的に有効な用量のスピロオキシンドール(SPOX)をヒトに投与するステップを含む方法。
【請求項22】
癌細胞が、黒色腫細胞、乳癌細胞、リンパ腫細胞、骨肉腫細胞、白血病細胞、扁平上皮癌細胞、子宮頸癌細胞、卵巣癌細胞、膵癌細胞、および線維肉腫細胞から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記SPOXが、SPOX−1である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記SPOXが、SPOX−2である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
哺乳動物において悪性細胞の分化を誘導する方法であって、スピロオキシンドールおよび少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む有効量の医薬組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法。
【請求項27】
前記悪性細胞が、黒色腫細胞である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
哺乳動物においてメラニン形成を誘導する方法であって、スピロオキシンドールおよび少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む有効量の組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法。
【請求項30】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ヒトの癌細胞においてアポトーシスを誘導する方法であって、スピロオキシンドールおよび少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む有効量の組成物をヒトに投与するステップを含む方法。
【請求項32】
前記癌細胞が、黒色腫細胞である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
哺乳動物において癌細胞の増殖を阻害する方法であって、前記細胞におけるテロメラーゼの存在または活性と独立であり、スピロオキシンドールを含む有効量の組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法。
【請求項35】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
哺乳動物において癌細胞の増殖を阻害する方法であって、スピロオキシンドールを含む有効量の組成物を哺乳動物に投与するステップを含み、前記投与ステップが、前記細胞におけるp53の存在または活性を必要としない方法。
【請求項37】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
哺乳動物において癌細胞の増殖を阻害する方法であって、前記細胞の少なくとも一部においてS期の停止をもたらし、スピロオキシンドールおよび少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む有効量の組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法。
【請求項39】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
紫外線への曝露後における哺乳動物の皮膚において、海綿状態、水胞形成、または異常角化症(サンバーン)を予防する方法であって、スピロオキシンドールおよび少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む有効量の組成物を皮膚に塗布するステップを含む方法。
【請求項41】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
ヒトにおいて皮膚癌の発生を低下させる方法であって、スピロオキシンドールおよび少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む有効量の組成物を皮膚に塗布するステップを含む方法。
【請求項43】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
色素性乾皮症または皮膚癌への他の遺伝的素因を有するヒトにおいて皮膚癌の発生を低下させる方法であって、スピロオキシンドールを含む有効量の組成物を皮膚に投与するステップを含む方法。
【請求項45】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ヒトの皮膚に対する紫外線照射により誘導される損傷の修復を促進する方法であって、スピロオキシンドールおよび少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む有効量の組成物を皮膚に塗布するステップを含む方法。
【請求項47】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
哺乳動物における酸化損傷を軽減する方法であって、スピロオキシンドールおよび少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む有効量の組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法。
【請求項49】
前記投与するステップが、前記哺乳動物の皮膚に組成物を塗布するステップを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
哺乳動物において黒色腫を治療する方法であって、スピロオキシンドールおよび少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む有効量の組成物を哺乳類に投与するステップを含む方法。
【請求項52】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
ヒトの皮膚における角化細胞の増殖を軽減する方法であって、スピロオキシンドールおよび少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む有効量の組成物を皮膚に投与するステップを含む方法。
【請求項54】
ヒトが、日光性角化症、ボーエン病、扁平上皮癌、または基底細胞癌を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
哺乳動物の細胞におけるDNA損傷を予防または軽減する方法であって、前記DNA損傷が、放射線またはDNAを損傷する化学物質により引き起こされ、前記細胞をスピロオキシンドールおよび少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む有効量の組成物と接触させるステップを含む方法。
【請求項57】
SPOXが、請求項1に記載の化合物である、請求項56に記載の方法。

【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−502644(P2010−502644A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526894(P2009−526894)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/077147
【国際公開番号】WO2008/027990
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(595094600)トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティ (37)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【Fターム(参考)】