説明

X線撮影装置

【課題】心臓の診断に適した情報を提供することが可能なX線撮影装置を提供する。
【解決手段】画像取得部1は、複数回、X線を照射することで、複数フレームのX線画像データを取得する。輪郭抽出部41は、各フレームのX線画像データのそれぞれに基づいて、被検体の肺の輪郭を特定する。幅算出部42は、各フレームの肺の輪郭に基づいて、フレームごとに肺幅と心臓幅とを求める。心胸郭比算出部43は、肺幅と心臓幅との比である心胸郭比をフレームごとに求める。表示制御部5は、各フレームにおける心胸郭比を表示部61に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検体をX線で撮影して、その撮影で得られたX線画像に基づいて心臓の診断に用いる情報を生成するX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば心臓肥大や肥大型心筋症などの診断を行う場合に、被検体の胸部をX線で撮影し、その撮影で得られたX線画像を用いて、肺の幅と心臓の幅とを求め、それらの比(心胸郭比=心臓幅/肺幅)(CTR)を算出することが行われている。この心胸郭比(CTR)は、心臓の拡大の程度を示している。
【0003】
従来においては、X線撮影で得られた静止画像に表された心臓の陰影から、心胸郭比(CTR)を求めていた。また、X線の静止画像に基づいて、心胸郭比(CTR)を自動的に算出する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−109550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、X線の静止画像から心胸郭比(CTR)を求める方法では、心臓の鼓動による動きが考慮に入れられていないため、X線撮影を行った時点における心胸郭比(CTR)のみが算出される。そのため、心臓が収縮状態にあるときにX線撮影が行われて、収縮状態の心臓を表すX線画像が得られた場合には、収縮状態における心胸郭比(CTR)が求められることになる。この場合、X線画像に表されている心臓は収縮状態にあるため、そのX線画像から求められた心胸郭比(CTR)を用いて診断を行うと、心臓肥大などの症状を適切に診断できないおそれがあった。
【0006】
この発明は上記の問題を解決するものであり、従来よりも心臓の診断に適した情報を提供することが可能なX線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、X線を照射するX線発生手段と、被検体を間にして前記X線発生手段に対向する位置に配置され、前記X線発生手段から照射されたX線を検出するX線検出手段と、前記X線検出手段によって検出されたX線に基づいてX線画像データを生成するX線画像生成手段と、前記X線発生手段に所定期間内に複数回、X線を照射させることで、前記X線画像生成手段に複数フレームのX線画像データを生成させる制御手段と、前記複数フレームのX線画像データのそれぞれに基づいて、フレームごとに前記被検体の肺幅と心臓幅との比である心胸郭比を前記フレームごとに求める画像処理手段と、前記心胸郭比の時間的変化を表す情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、を有することを特徴とするX線撮影装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によると、複数フレームのX線画像データを取得し、フレームごとに心胸郭比を求めることで、複数の時点における心胸郭比を提供することが可能となる。そのことにより、複数の時点における心胸郭比を比較しながら診断を行うことが可能となる。このように、この発明によると、従来よりも心臓の診断に適した情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施形態に係るX線撮影装置を示すブロック図である。
【図2】肺の輪郭を示す模式図である。
【図3】時間に対する心胸郭比(CTR)の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施形態に係るX線撮影装置について図1を参照して説明する。図1は、この発明の実施形態に係るX線撮影装置を示すブロック図である。
【0011】
この実施形態に係るX線撮影装置は、画像取得部1と、記憶部2と、被検体情報取得部3と、画像処理部4と、表示制御部5と、ユーザインターフェース(UI)6と、主制御部7と、高電圧制御部8とを備えている。
【0012】
(画像取得部1)
画像取得部1は、高電圧発生部11と、X線発生部12と、立位撮影装置13と、立位平面検出器14と、臥位撮影装置15と、臥位平面検出器16と、X線画像生成部17とを備えている。X線発生部12は、X線を発生する図示しないX線管と、X線の照射野を成形する図示しないX線絞り器とを備えている。X線発生部12には高電圧発生部11が接続されている。高電圧発生部11は高電圧制御部8の制御の下、X線発生部12のX線管に管電圧を印加し、管電流を供給する。これによりX線発生部12のX線管からX線が発生させられる。立位撮影装置13には立位平面検出器14が備えられ、臥位撮影装置15には臥位平面検出器16が備えられている。立位平面検出器14と臥位平面検出器16は、X線画像生成部17に接続されている。立位平面検出器14及び臥位平面検出器16からの画像情報が、X線画像生成部17に出力される。なお、図中の破線にて示された矢印は、曝射されるX線を模式的に表したものであり、立位撮影装置13と臥位撮影装置15とに対して操作者の指示により曝射を制御する。なお、X線発生部12が、この発明の「X線発生手段」の1例に相当する。また、立位平面検出器14又は臥位平面検出器16が、この発明の「X線検出手段」の1例に相当する。
【0013】
主制御部7は、ユーザインターフェース(UI)6に接続されている。操作者がユーザインターフェース6を用いてX線照射指示を与えると、そのX線照射指示はユーザインターフェース6から主制御部7に出力される。主制御部7は、X線照射指示に従って、X線発生トリガ信号を継続的に発生する。高電圧制御部8は、主制御部7からX線発生トリガ信号を受けている期間中、高電圧発生部11からX線発生部12のX線管に対してパルス状の管電圧を繰り返し印加するための制御信号を発生する。すなわち、高電圧制御部8は、X線発生トリガ信号を受けている期間中、X照射の時間間隔及びX線画像データの収集時間間隔を示す撮影レート(フレームレート)と管電圧値と管電流値とを含む制御信号を発生する。高電圧発生部11は、高電圧制御部8から出力された制御信号が示す撮影レートに従って、管電圧をX線発生部12のX線管に印加する。これにより、X線発生部12は、撮影レートに従って一定の周期でX線を照射し、複数フレームのX線画像データが生成される。なお、操作者は操作部62を用いて、撮影レート、管電圧値、及び管電流値を変更することができる。
【0014】
主制御部7は、後述する心電計31から出力された心電波形、又は、後述する呼吸検出器32から出力された呼吸状態を示す信号に従って、X線発生部12によるX線照射のタイミングを制御しても良い。
【0015】
被検体を透過したX線は、立位平面検出器14又は臥位平面検出器16にて検出される。主制御部7は、X線の発生と同期して、立位平面検出器14又は臥位平面検出器16とX線画像生成部17とを制御する。X線画像生成部17は、X線発生部12によるX線の照射に同期して、X線の1照射に対して1フレームのX線画像データを生成する。X線画像生成部17は、X線画像データを記憶部2に出力する。なお、X線画像生成部17が、この発明の「X線画像生成手段」の1例に相当する。
【0016】
この実施形態では、1例としてX線撮影装置を用いて被検体の胸部を撮影することで、胸部におけるX線画像データを取得する。例えば画像取得部1は、主制御部7によるX線照射の制御に従ってX線の照射を複数回行うことで、被検体の胸部における複数フレームのX線画像データを生成する。そして、画像取得部1は、胸部における複数フレームのX線画像データを記憶部2に出力する。
【0017】
例えば、操作者が操作部62を用いて、撮影を行う時間の長さ(以下、「撮影期間」と称する)を指定すると、撮影期間を示す情報がユーザインターフェース(UI)6から主制御部7に出力される。主制御部7は、指定された撮影期間中、撮影レートに従ってX線発生部12にX線を照射させる。これにより、画像取得部1は、操作者によって指定された撮影期間中、撮影レートに従って一定の時間間隔でX線を照射することで、その撮影期間における複数フレームのX線画像データを生成する。なお、主制御部7が、この発明の「制御手段」の1例に相当する。
【0018】
また、操作者は操作部62を用いて、撮影を行う回数を指定しても良い。この場合、画像取得部1は、撮影レートに従って一定の時間間隔で、指定された回数、X線を照射することで複数フレームのX線画像データを生成する。
【0019】
(記憶部2)
記憶部2は、X線画像生成部17から出力されたX線画像データを記憶する。この実施例では、被検体の胸部におけるX線画像データが記憶部2に記憶される。
【0020】
(被検体情報取得部3)
被検体情報取得部3は、心電計31と呼吸検出器32とを備えている。なお、被検体情報取得部3は、心電計31のみを備えていても良いし、呼吸検出器32のみを備えていても良い。
【0021】
心電計31は、被検体の心電波形(ECG信号)を取得して、心電波形を主制御部7と表示制御部5とに出力する。心電計31には公知の心電計を用いることができる。また、呼吸検出器32は、被検体の呼吸状態を示す信号を取得して、その呼吸状態を示す信号を主制御部7と表示制御部5とに出力する。呼吸検出器32には公知の呼吸検出器を用いることができる。例えば、呼吸検出器32は、サーミスタや加速度センサなどのセンサを備えて、鼻気流又は口気流による温度や圧力の変化を検出することで、被検体の呼吸状態を示す信号を取得する。例えば、鼻気流又は口気流による圧力の時間変化が、呼吸状態を示す信号に該当する。なお、心電波形又は呼吸状態を示す信号が、被検体情報の1例である。
【0022】
(画像処理部4)
画像処理部4は、輪郭抽出部41と、幅算出部42と、心胸郭比算出部43とを備えている。
【0023】
(輪郭抽出部41)
輪郭抽出部41は、胸部におけるX線画像データを記憶部2から読み出して、そのX線画像データに表されている肺の輪郭を特定する。例えば、輪郭抽出部41は、X線画像データの画素値(輝度値)に基づいて、そのX線画像データに表されている肺の輪郭の位置を特定する。この実施形態では、画像取得部1は複数フレームのX線画像データを取得し、記憶部2には複数フレームのX線画像データが記憶されている。輪郭抽出部41は、複数フレームのX線画像データを記憶部2から読み出して、各フレームのX線画像データに表されている肺の輪郭の位置を特定する。すなわち、輪郭抽出部41は、各フレームにおける肺の輪郭の位置を特定する。
【0024】
幅算出部42は、輪郭抽出部41によって特定された肺の輪郭に基づいて、肺の幅(肺幅)と心臓の幅(心臓幅)とを求める。この実施形態では、輪郭抽出部41によって各フレームにおける肺の輪郭が特定されるため、幅算出部42は、各フレームにおける肺の輪郭に基づいて、各フレームにおける肺幅と心臓幅とを求める。
【0025】
ここで、肺幅と心臓幅とについて図2を参照して説明する。図2は、肺の輪郭を示す模式図である。図2に示す輪郭Pa、Pbは、輪郭抽出部41によって特定された肺の輪郭である。幅算出部42は、1例として図2に示す肺の輪郭Pa、Pbに基づいて、肺幅と心臓幅とを求める。
【0026】
心臓幅は、一方の輪郭Paの内側の輪郭位置aと、他方の輪郭Pbの内側の輪郭位置bとの間の長さD1として定義される。すなわち、肺の輪郭Paと輪郭Pbとによって囲まれた内側の空間の横幅が、心臓幅に相当する。また、肺幅は、一方の輪郭Paの外側の輪郭位置cと、他方の輪郭Pbの外側の輪郭位置dとの間の長さD2として定義される。すなわち、肺の輪郭Paと輪郭Pbとを合わせた輪郭の横幅が、肺幅に相当する。
【0027】
例えば、操作者が操作部62を用いて、心臓幅を測定する箇所と肺幅を測定する箇所とを指定しても良い。図2に示す例では、基準線L1が、心臓幅D1を測定する箇所を指定するための基準線である。また、基準線L2が、肺幅D2を測定する箇所を指定するための基準線である。基準線L1と基準線L2とは、肺の輪郭Paと輪郭Pbとを横方向に貫く線である。基準線L1と輪郭Paとの交点が輪郭位置aに該当し、基準線L1と輪郭Pbとの交点が輪郭位置bに該当する。また、基準線L2と輪郭Paとの交点が輪郭位置cに該当し、基準線L2と輪郭Pbとの交点が輪郭位置dに該当する。すなわち、基準線L1によって、輪郭Pa、Pbの内側の輪郭位置が指定され、基準線L2によって、輪郭Pa、Pbの外側の輪郭位置が指定される。操作者は、操作部62を用いて基準線L1の位置を指定することで、心臓幅を測定する箇所を指定することができる。また、操作者は、操作部62を用いて基準線L2の位置を指定することで、肺幅を測定する箇所を指定することができる。
【0028】
また、輪郭Paにおける輪郭位置aは、輪郭Paにおいて最も内側の輪郭位置として定義されても良い。輪郭Paにおける輪郭位置cは、輪郭Paにおいて最も外側の輪郭位置として定義されても良い。同様に、輪郭Pbにおける輪郭位置bは、輪郭Pbにおいて最も内側の輪郭位置として定義されても良い。輪郭Pbにおける輪郭位置dは、輪郭Pbにおいて最も外側の輪郭位置として定義されても良い。
【0029】
ここで、操作者が、心臓幅を測定する箇所と肺幅を測定する箇所とを指定する場合について説明する。この場合、輪郭抽出部41は、X線画像データに基づいて肺の輪郭を特定すると、その肺の輪郭を表す輪郭画像データを表示制御部5に出力する。表示制御部5は、輪郭画像データに基づいて、肺の輪郭Paと輪郭Pbとを表示部61に表示させる。また、表示制御部5は、基準線L1と基準線L2とを、輪郭Paと輪郭Pbとに重ねて表示部61に表示させる。表示制御部5は、基準線L1を表す画像データと、基準線L2を表す画像データとを予め記憶している。表示制御部5は、それら画像データに基づいて、基準線L1と基準線L2とを、輪郭Paと輪郭Pbとに重ねて表示部61に表示させる。
【0030】
操作者は、表示部61に表示されている肺の輪郭を参照し、操作部62を用いて心臓幅を測定する箇所と、肺幅を測定する箇所とを指定する。具体的には、操作者は、操作部62を用いて基準線L1の位置を指定することで、心臓幅を測定する箇所を指定する。また、操作者は、操作部62を用いて基準線L2の位置を指定することで、肺幅を測定する箇所を指定する。操作者によって基準線L1の位置と基準線L2の位置とが指定されると、基準線L1の位置を示す座標情報と、基準線L2の位置を示す座標情報とが、ユーザインターフェース(UI)6から表示制御部5を介して幅算出部42に出力される。
【0031】
幅算出部42は、基準線L1の座標情報を受けて、輪郭Paと基準線L1との交点の位置を求め、輪郭Pbと基準線L1との交点の位置を求める。すなわち、幅算出部42は、輪郭Paと基準線L1との交点である輪郭位置aを求め、輪郭Pbと基準線L1との交点である輪郭位置bを求める。輪郭Paと基準線L1との交点は2つあるが、幅算出部42は、2つの交点のうち、輪郭Paの内側にある交点の位置を輪郭位置aとして求める。同様に、輪郭Pbと基準線L2との交点は2つあるが、幅算出部42は、2つの交点のうち、輪郭Pbの内側にある交点の位置を輪郭位置bとして求める。例えば、幅算出部42は、輪郭Paと輪郭Pbとの間に基準となる仮想線Tを規定する。幅算出部42は、輪郭Paと基準線L1とが交差する2つの交点のうち、仮想線Tから距離が近い交点の位置を、輪郭位置aとして求める。同様に、幅算出部42は、輪郭Pbと基準線L1とが交差する2つの交点のうち、仮想線Tから距離が近い交点の位置を、輪郭位置bとして求める。
【0032】
また、幅算出部42は、基準線L2の座標情報を受けて、輪郭Paと基準線L2との交点の位置を求め、輪郭Pbと基準線L2との交点の位置を求める。すなわち、幅算出部42は、輪郭Paと基準線L2との交点である輪郭位置cを求め、輪郭Pbと基準線L2との交点である輪郭位置dを求める。輪郭Paと基準線L2との交点は2つあるが、幅算出部42は、2つの交点のうち、輪郭Paの外側にある交点の位置を輪郭位置cとして求める。同様に、輪郭Pbと基準線L2との交点は2つあるが、幅算出部42は、2つの交点のうち、輪郭Pbの外側にある交点の位置を輪郭位置dとして求める。例えば、幅算出部42は、輪郭Paと基準線L2とが交差する2つの交点のうち、仮想線Tから距離が遠い交点の位置を、輪郭位置cとして求める。同様に、幅算出部42は、輪郭Pbと基準線L2とが交差する2つの交点のうち、仮想線Tから距離が遠い交点の位置を、輪郭位置dとして求める。
【0033】
そして、幅算出部42は、輪郭位置aと輪郭位置bとの間の距離D1を心臓幅として求め、輪郭位置cと輪郭位置dとの間の距離D2を肺幅として求める。
【0034】
幅算出部42は、各フレームにおける輪郭Paと輪郭Pbとに基づいて、各フレームにおける心臓幅と肺幅とを求める。例えば操作者によって基準線L1と基準線L2とが指定されると、幅算出部42は、各フレームにおける輪郭Pa及び輪郭Pbと、基準線L1及び基準線L2とに基づいて、各フレームにおける心臓幅D1と肺幅D2とを求める。
【0035】
なお、操作者は、操作部62を用いてフレームごとに基準線L1と基準線L2とを指定しても良い。この場合、幅算出部42は、フレームごとに指定された基準線L1と基準線L2とを用いて、各フレームにおける心臓幅D1と肺幅D2とを求める。
【0036】
または、操作者によって基準線L1と基準線L2とが一度指定されると、幅算出部42は、一度指定された基準線L1と基準線L2と用いて、各フレームにおける心臓幅D1と肺幅D2とを求めても良い。この場合、幅算出部42は、同じ基準線L1と基準線L2とを用いて、各フレームにおける心臓幅D1と肺幅D2とを求める。
【0037】
幅算出部42は、各フレームにおける心臓幅D1の値と肺幅D2の値を心胸郭比算出部43に出力する。
【0038】
心胸郭比算出部43は、心臓幅D1の値と肺幅D2の値とを幅算出部42から受けて、心臓幅D1と肺幅D2との比である心胸郭比(CTR)を求める。心胸郭比(CTR)は、以下の式で求められる。
CTR(%)=(心臓幅D1/肺幅D2)×100
心胸郭比算出部43は、各フレームにおける心臓幅D1の値と肺幅D2の値とを幅算出部42から受けて、上記の式に従って、各フレームにおける心胸郭比を求める。
心胸郭比算出部43は、各フレームにおける心胸郭比を表示制御部5に出力する。
なお、画像処理部4が、この発明の「画像処理手段」の1例に相当する。
【0039】
(表示制御部5)
表示制御部5は、グラフ作成部51を備えている。表示制御部5は、記憶部2からX線画像データを読み出して、X線画像データに基づくX線画像を表示部61に表示させる。また、表示制御部5は、心胸郭比を心胸郭比算出部43から受けて、その心胸郭比を表示部61に表示させる。なお、表示制御部5が、この発明の「表示制御手段」の1例に相当する。
【0040】
表示制御部5は、X線画像を静止画像として表示部61に表示させても良いし、複数のX線画像によって動画像を表示部61に表示させても良い。例えば、操作者が操作部62を用いて所望のフレームのX線画像データを指定すると、表示制御部5は、操作者によって指定されたフレームのX線画像データを記憶部2から読み出して、そのX線画像データに基づくX線画像を静止画像として表示部61に表示させる。また、操作者が操作部62を用いて所望の期間を指定すると、表示制御部5は、指定された期間に取得された複数フレームのX線画像データを記憶部2から読み出して、各フレームのX線画像データに基づくX線画像を時間順に表示部61に表示させる。これにより、複数のX線画像が動画像として表示部61に表示される。
【0041】
(グラフ作成部51)
グラフ作成部51は、画像処理部4の心胸郭比算出部43から出力された各フレームにおける心胸郭比に基づいて、時間に対する心胸郭比の変化を示すグラフを作成する。表示制御部5は、心胸郭比の変化を示すグラフを表示部61に表示させる。
【0042】
また、表示制御部5は、各フレームにおける心臓幅D1の値と肺幅D2の値とを表示部61に表示させても良い。この場合、幅算出部42は、各フレームにおける心臓幅D1の値と肺幅D2の値とを表示制御部5に出力する。グラフ作成部51は、幅算出部42からの出力に基づいて、時間に対する心臓幅D1の変化を示すグラフと、時間に対する肺幅D2の変化を示すグラフとを作成する。表示制御部5は、心臓幅D1の変化を示すグラフと、肺幅D2の変化を示すグラフとを表示部61に表示させる。
【0043】
各グラフの1例を図3に示す。図3は、時間に対する心胸郭比(CTR)の変化を示すグラフである。横軸が時間を示し、一方の縦軸が心胸郭比(CTR)を示し、他方の縦軸が心臓及び肺の幅(cm)を示している。グラフ100は、時間に対する心胸郭比(CTR)の変化を示している。グラフ200は、時間に対する肺幅D2の変化を示している。グラフ300は、時間に対する心臓幅D1の変化を示している。表示制御部5は、心胸郭比の変化を示すグラフ100のみを表示部61に表示させても良いし、グラフ100、グラフ200、及びグラフ300を同時に表示部61に表示させても良い。
【0044】
(心電波形などの表示)
表示制御部5は、心電波形を心電計31から受けて、その心電波形を表示部61に表示させても良い。また、表示制御部5は、呼吸状態を示す信号を呼吸検出器32から受けて、その呼吸状態を示す波形を表示部61に表示させても良い。表示制御部5は、心電波形と呼吸状態を示す波形とを同時に表示部61に表示させても良いし、いずれか一方の波形を表示部61に表示させても良い。
【0045】
表示制御部5は、心胸郭比の変化を示すグラフ100と、心電波形とを同時に表示部61に表示させても良いし、グラフ100と呼吸状態を示す波形とを同時に表示部61に表示させても良い。また、表示制御部5は、グラフ100と、心電波形と、呼吸状態を示す波形とを同時に表示部61に表示させても良い。また、表示制御部5は、グラフ100〜300と、心電波形と、呼吸状態を示す波形とを同時に表示部61に表示させても良い。操作者が操作部62を用いて、表示の対象となるグラフや心電波形などを指定することができるようにしても良い。この場合、表示制御部5は、ユーザインターフェース(UI)6から操作者の指示を受けて、操作者によって指定されたグラフや心電波形などを表示部61に表示させる。
【0046】
(最大値の表示)
また、表示制御部5は、各フレームにおける心胸郭比(CTR)のうちの最大値を特定し、その最大値を表示部61に表示させても良い。例えば図3に示すように、表示制御部5は、グラフ100の最大値110を特定し、その最大値110を表示部61に表示させる。また、表示制御部5は、心胸郭比が最大値となる時点に取得されたX線画像データを記憶部2から読み出して、そのX線画像データに基づくX線画像を表示部61に表示させても良い。例えば、表示制御部5は、心胸郭比の最大値と、心胸郭比が最大値となる時点に取得されたX線画像とを同時に表示部61に表示させる。また、表示制御部5は、心胸郭比が最大値となる時点における心臓幅D1と肺幅D2とを表示部61に表示させても良い。
【0047】
以上のように、複数フレームのX線画像データを取得して、各フレームにおける心胸郭比を求めることで、複数の時点における心胸郭比を表示することが可能となる。すなわち、様々な状態における心胸郭比を表示することが可能となる。そのことにより、様々な状態における心胸郭比を比較して、総合的に診断することが可能となる。また、心胸郭比の最大値を求めることで、心臓肥大などの症状を見落とす可能性が低くなるという効果がある。
【0048】
(被検体情報に基づく撮影)
主制御部7は、被検体情報取得部3によって取得された被検体情報に基づいて、X線発生部12によるX線照射のタイミングを制御しても良い。例えば、主制御部7は、心電波形を心電計31から受けて、その心電波形に従って、X線発生部12によるX線照射のタイミングを制御する。または、主制御部7は、呼吸状態を示す信号を呼吸検出器32から受けて、その呼吸状態を示す信号に従って、X線発生部12によるX線照射のタイミングを制御する。以下、X線照射のタイミング制御の具体例について説明する。
【0049】
(心拍数に基づくX線照射のタイミング制御)
例えば、主制御部7は、被検体の心拍数によってX線照射のタイミングを制御しても良い。すなわち、主制御部7は、心電波形に従って任意の数の心拍の間、X線発生部12にX線を照射させる。例えば、操作者が操作部62を用いてX線を照射する心拍数を指定すると、指定された心拍数を示す情報が、ユーザインターフェース(UI)6から主制御部7に出力される。主制御部7は、心電波形に基づいて、操作者によって指定された心拍数に相当する期間中、撮影レートに従ってX線発生部12に一定の時間間隔でX線を照射させる。例えば、主制御部7はカウンタによって心拍数をカウントし、指定された心拍数に相当する期間中、X線発生部12に一定の時間間隔でX線を照射させる。これにより、画像取得部1は、操作者によって指定された心拍数に相当する期間中、撮影レートに従って一定の時間間隔でX線を照射することで、その期間における複数フレームのX線画像データを生成する。画像処理部4は、各フレームにおける心臓幅D1と肺幅D2とを求め、さらに、各フレームにおける心胸郭比を求める。すなわち、画像処理部4は、指定された心拍数に相当する期間に含まれる各時点における心胸郭比を求める。そして、表示制御部5は、時間に対する心胸郭比の変化を示すグラフを作成して、そのグラフを表示部61に表示させる。これにより、指定された心拍数に相当する期間における心胸郭比のグラフが、表示部61に表示される。また、表示制御部5は、指定された心拍数に相当する期間における心胸郭比の最大値を求めて、その最大値を表示部61に表示させても良い。
【0050】
例えば操作者が操作部62を用いて1心拍を指定すると、1心拍を示す情報が、ユーザインターフェース(UI)6から主制御部7に出力される。主制御部7は、心電波形に基づいて1心拍をカウントし、その1心拍に相当する期間中、撮影レートに従ってX線発生部12に一定の時間間隔でX線を照射させる。これにより、画像取得部1は、1心拍に相当する期間中、撮影レートに従って一定の時間間隔でX線を照射することで、1心拍に相当する期間における複数フレームのX線画像データを生成する。そして、画像処理部4は、1心拍に相当する期間に含まれる各時点における心胸郭比を求める。表示制御部5は、1心拍に相当する期間における心胸郭比のグラフを作成して、そのグラフを表示部61に表示させる。また、表示制御部5は、1心拍に相当する期間における心胸郭比の最大値を求めて、その最大値を表示部61に表示させても良い。
【0051】
(心臓の拡張期などにおけるX線照射)
また、主制御部7は、心臓の拡張期又は収縮期に、X線発生部12にX線を照射させても良い。例えば、操作者が操作部62を用いて、心胸郭比を求める期間として心臓の拡張期を指定する。拡張期を示す情報が、ユーザインターフェース(UI)6から主制御部7に出力される。主制御部7は、心電波形に基づいて心臓の拡張期を特定し、拡張期の間、撮影レートに従ってX線発生部12に一定の時間間隔でX線を照射させる。なお、拡張期を特定する方法は、従来に係る方法を用いることができる。これにより、画像取得部1は、拡張期の間、撮影レートに従って一定の時間間隔でX線を照射することで、拡張期における複数フレームのX線画像データを生成する。画像処理部4は、拡張期に含まれる各時点における心胸郭比を求める。そして、表示制御部5は、拡張期における心胸郭比の変化を示すグラフを作成し、そのグラフを表示部61に表示させる。これにより、拡張期における心胸郭比のグラフが、表示部61に表示される。また、表示制御部5は、拡張期における心胸郭比の最大値を求めて、その最大値を表示部61に表示させても良い。
【0052】
以上のように心臓の拡張期に撮影を行って、拡張期における心胸郭比を表示することで、心臓肥大や肥大型心筋症などの診断に適した情報を提供することが可能となる。
【0053】
また、操作者は操作部62を用いて、心胸郭比を求める期間として心臓の収縮期を指定しても良い。この場合、画像取得部1は、収縮期における複数フレームのX線画像データを取得する。画像処理部4は、収縮期に含まれる各時点おける心胸郭比を求める。そして、表示制御部5は、収縮期における心胸郭比のグラフを作成して、そのグラフを表示部61に表示させる。また、表示制御部5は、収縮期における心胸郭比の最大値を求めて、その最大値を表示部61に表示させても良い。
【0054】
(呼吸数に基づくX線照射のタイミング制御)
主制御部7は、被検体の呼吸状態によってX線照射のタイミングを制御しても良い。すなわち、主制御部7は、呼吸状態を示す信号に従って任意の数の呼吸の間、X線発生部12にX線を照射させる。例えば、操作者が操作部62を用いてX線を照射する呼吸数を指定すると、指定された呼吸数を示す情報が、ユーザインターフェース(UI)6から主制御部7に出力される。主制御部7は、呼吸状態を示す信号に基づいて、操作者によって指定された呼吸数に相当する期間中、撮影レートに従ってX線発生部12に一定の時間間隔でX線を照射させる。例えば、主制御部7はカウンタによって呼吸数をカウントし、指定された呼吸数に相当する期間中、X線発生部12に一定の時間間隔でX線を照射させる。1例として、主制御部7は、呼吸状態を示す信号(1例として、鼻気流又は口気流による圧力の時間変化)に基づき、カウンタによって呼吸数をカウントする。これにより、画像取得部1は、操作者によって指定された呼吸数に相当する期間中、撮影レートに従って一定の時間間隔でX線を照射することで、その期間における複数フレームのX線画像データを生成する。画像処理部4は、各フレームにおける心臓幅D1と肺幅D2とを求め、さらに、各フレームにおける心胸郭比を求める。すなわち、画像処理部4は、指定された呼吸数に相当する期間に含まれる各時点おける心胸郭比を求める。そして、表示制御部5は、時間に対する心胸郭比の変化を示すグラフを作成して、そのグラフを表示部61に表示させる。これにより、指定された呼吸数に相当する期間における心胸郭比のグラフが、表示部61に表示される。また、表示制御部5は、指定された呼吸数に相当する期間における心胸郭比の最大値を求めて、その最大値を表示部61に表示させても良い。
【0055】
例えば操作者が操作部62を用いて1呼吸を指定すると、1呼吸を示す情報が、ユーザインターフェース(UI)6から主制御部7に出力される。主制御部7は、呼吸状態を示す信号に基づいて1呼吸をカウントし、その1呼吸に相当する期間中、撮影レートに従ってX線発生部12に一定の時間間隔でX線を照射させる。これにより、画像取得部1は、1呼吸に相当する期間中、撮影レートに従って一定の時間間隔でX線を照射することで、1呼吸に相当する期間における複数フレームのX線画像データを生成する。そして、画像取得部1は、1呼吸に相当する期間に含まれる各時点における心胸郭比を求める。表示制御部5は、1呼吸に相当する期間における心胸郭比のグラフを作成して、そのグラフを表示部61に表示させる。また、表示制御部5は、1呼吸に相当する期間における心胸郭比の最大値を求めて、その最大値を表示部61に表示させても良い。
【0056】
(呼吸の吸気期間などにおけるX線照射)
また、主制御部7は、被検体の呼吸の吸気期間又は呼気期間に、X線発生部12にX線を照射させても良い。吸気期間は、被検体が空気を吸う期間である。呼気期間は、被検体が空気を吐く期間である。例えば、操作者が操作部62を用いて、心胸郭比を求める期間として呼吸の吸気期間を指定する。吸気期間を示す情報が、ユーザインターフェース(UI)6から主制御部7に出力される。主制御部7は、呼吸状態を示す信号に基づいて吸気期間を特定し、吸気期間の間、撮影レートに従ってX線発生部12に一定の時間間隔でX線を照射させる。例えば主制御部7は、呼吸信号を示す信号(1例として、鼻気流又は口気流による圧力の時間変化)に基づいて、吸気期間を特定し、その吸気期間の間、X線発生部12に一定の時間間隔でX線を照射させる。これにより、画像取得部1は、吸気期間の間、撮影レートに従って一定の時間間隔でX線を照射することで、吸気期間に含まれる各時点における心胸郭比を求める。そして、表示制御部5は、吸気期間における心胸郭比の変化を示すグラフを作成し、そのグラフを表示部61に表示させる。これにより、吸気期間における心胸郭比のグラフが、表示部61に表示される。また、表示制御部5は、吸気期間における心胸郭比の最大値を求めて、その最大値を表示部61に表示させても良い。
【0057】
以上のように吸気期間に撮影を行って、吸気期間における心胸郭比を表示することで、心臓肥大や肥大型心筋症などの診断に適した情報を提供することが可能となる。また、表示制御部5は、呼気期間における心胸郭比の最大値を求めて、その最大値を表示部61に表示させても良い。
【0058】
また、操作者は操作部62を用いて、心胸郭比を求める期間として呼吸の呼気期間を指定しても良い。この場合、画像取得部1は、呼気期間における複数フレームのX線画像データを取得する。画像処理部4は、呼気期間に含まれる各時点における心胸郭比を求める。そして、表示制御部5は、呼気期間における心胸郭比のグラフを作成して、そのグラフを表示部61に表示させる。
【0059】
(ユーザインターフェース6)
ユーザインターフェース(UI)6は、表示部61と操作部62とを備えている。表示部61は、CRTや液晶ディスプレイなどのモニタで構成されており、X線画像や心胸郭比を表示する。操作部62は、ジョイスティックやトラックボールなどのポインティングデバイス、スイッチ、各種ボタン、又はキーボードなどで構成されている。操作者は操作部62を用いて、撮影期間や撮影レートを指定することができる。
【0060】
なお、画像処理部4、表示制御部5、及び主制御部7は、1例として、図示しないCPUと、ROM、RAMなどの図示しない記憶装置とによって構成されていても良い。記憶装置には、画像処理部4の機能を実行するための画像処理プログラム、表示制御部5の機能を実行するための表示制御プログラム、及び主制御部7の機能を実行するための主制御プログラムが記憶されている。また、画像処理プログラムには、輪郭抽出部41の機能を実行するための輪郭抽出プログラム、幅算出部42の機能を実行するための幅算出プログラム、及び心胸郭比算出部43の機能を実行するための心胸郭算出プログラムが含まれている。また、表示制御プログラムには、グラフ作成部51の機能を実行するためのグラフ作成プログラムが含まれている。そして、CPUが、各プログラムを実行することで、各部の機能が実行される。
【0061】
(動作)
次に、上記の構成を有するX線撮影装置による動作の1例について説明する。
【0062】
(ステップS01)
まず、操作者は操作部62を用いて、撮影期間を指定する。操作者は、所望の心拍数を撮影期間として指定しても良いし、所望の呼吸数を指定しても良い。または、操作者は、心臓の拡張期又は収縮期を指定しても良いし、呼吸の吸気期間又は呼気期間を指定しても良い。または、操作者は、任意の長さの時間を撮影期間としても良い。
【0063】
操作者によって撮影期間が指定されると、その撮影期間を示す情報が、ユーザインターフェース(UI)6から主制御部7に出力される。
【0064】
(ステップS02)
主制御部7は、操作者によって指定された撮影期間中、撮影レートに従ってX線発生部12にX線を照射させる。これにより、画像取得部1は、その撮影期間中、撮影レートに従って一定の時間間隔でX線を照射することで、その撮影期間における複数フレームのX線画像データを生成する。
【0065】
例えば、操作者によって心臓の拡張期が指定された場合、主制御部7は、心電計31によって取得された心電波形に基づいて心臓の拡張期を特定し、拡張期の間、撮影レートに従ってX線発生部12に一定の時間間隔でX線を照射させる。これにより、画像取得部1は、拡張期の間、一定の時間間隔でX線を照射することで、拡張期における複数フレームのX線画像データを生成する。操作者によって心臓の収縮期が指定された場合には、画像取得部1は、収縮期の間、撮影することで、収縮期における複数フレームのX線画像データを生成する。
【0066】
また、操作者によって呼吸の吸気期間が指定された場合、主制御部7は、呼吸検出器32によって取得された呼吸状態を示す信号(1例として、圧力の時間変化)に基づいて呼吸の吸気期間を特定し、吸気期間の間、撮影レートに従ってX線発生部12に一定の時間間隔でX線を照射させる。これにより、画像取得部1は、吸気期間の間、一定の時間間隔でX線を照射することで、吸気期間における複数フレームのX線画像データを生成する。操作者によって呼吸の呼気期間が指定された場合には、画像取得部1は、呼気期間の間、撮影することで、呼気期間における複数フレームのX線画像データを生成する。
【0067】
(ステップS03)
ステップS02によって取得された複数フレームのX線画像データは、記憶部2に記憶される。画像処理部4の輪郭抽出部41は、複数フレームのX線画像データを記憶部2から読み出して、各フレームにおける肺の輪郭を特定する。幅算出部42は、各フレームにおける輪郭に基づいて、各フレームにおける心臓幅D1と肺幅D2を求める。そして、心胸郭比算出部43は、各フレームにおける心臓幅D1と肺幅D2とに基づいて、各フレームにおける心胸郭比(CTR)を求める。
【0068】
1例として、心臓の拡張期における複数フレームのX線画像データが取得されている場合、画像処理部4は、その拡張期に含まれる各時点における心胸郭比を求める。また別の例として、呼吸の吸気期間における複数フレームのX線画像データが取得されている場合、画像処理部4は、その吸気期間に含まれる各時点における心胸郭比を求める。
【0069】
(ステップS04)
ステップS03によって各フレームにおける心胸郭比が求められると、表示制御部5は、その心胸郭比を表示部61に表示させる。具体的には、表示制御部5のグラフ作成部51は、各フレームにおける心胸郭比に基づいて、時間に対する心胸郭比の変化を示すグラフを作成し、そのグラフを表示部61に表示させる。例えば図3に示すように、表示制御部5は、時間に対する心胸郭比の変化を示すグラフ100を表示部61に表示させる。また、表示制御部5は、各フレームにおける心胸郭比のうちの最大値を特定し、その最大値を表示部61に表示させても良い。
【0070】
1例として、心臓の拡張期における心胸郭比が求められている場合、表示制御部5は、拡張期における心胸郭比の変化を示すグラフを作成し、そのグラフを表示部61に表示させる。また、表示制御部5は、拡張期における心胸郭比のうちの最大値を特定し、その最大値を表示部61に表示させても良い。また別の例として、呼吸の吸気期間における心胸郭比が求められている場合、表示制御部5は、吸気期間における心胸郭比の変化を示すグラフを作成し、そのグラフを表示部61に表示させる。また、表示制御部5は、吸気期間における心胸郭比のうちの最大値を特定し、その最大値を表示部61に表示させても良い。
【0071】
また、表示制御部5は、心臓幅D1のグラフや肺幅D2のグラフを作成して、それらのグラフを表示部61に表示させても良い。また、表示制御部5は、心電波形や呼吸状態を示す信号を表示部61に表示させても良い。
【0072】
以上のように、撮影期間中、撮影を行うことで複数フレームのX線画像データを取得して、複数フレームにおける心胸郭比を求めることで、複数の時点における心胸郭比を提供することが可能となる。そのことにより、様々な状態における心胸郭比を参照して、総合的に診断することが可能となる。その結果、心臓肥大などの症状を見落とす可能性を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 画像取得部
2 記憶部
3 被検体情報取得部
4 画像処理部
5 表示制御部
6 ユーザインターフェース(UI)
7 主制御部
8 高電圧制御部
41 輪郭抽出部
42 幅算出部
43 心胸郭比算出部
51 グラフ作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射するX線発生手段と、
被検体を間にして前記X線発生手段に対向する位置に配置され、前記X線発生手段から照射されたX線を検出するX線検出手段と、
前記X線検出手段によって検出されたX線に基づいてX線画像データを生成するX線画像生成手段と、
前記X線発生手段に所定期間内に複数回、X線を照射させることで、前記X線画像生成手段に複数フレームのX線画像データを生成させる制御手段と、
前記複数フレームのX線画像データのそれぞれに基づいて、フレームごとに前記被検体の肺幅と心臓幅との比である心胸郭比を前記フレームごとに求める画像処理手段と、
前記心胸郭比の時間的変化を表す情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とするX線撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記被検体の心電波形を受けて、前記心電波形に基づいて前記X線発生手段にX線を照射させる前記所定期間を制御することを特徴とする請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記心電波形に基づいて心臓の拡張期を特定して、前記拡張期を前記所定期間とすることを特徴とする請求項2に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記心電波形と前記心胸郭比とを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記被検体の呼吸状態を示す信号を受けて、前記呼吸状態を示す信号に基づいて前記X線発生手段にX線を照射させる前記所定期間を制御することを特徴とする請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記呼吸状態を示す信号に基づいて吸気期間を特定して、前記吸気期間を前記所定期間とすることを特徴とする請求項5に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記呼吸状態と前記心胸郭比とを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記心胸郭比、前記肺幅、及び前記心臓幅を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のX線撮影装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記フレームごとに求められた心胸郭比のうちの最大値を特定して、前記最大値を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のX線撮影装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記心胸郭比の最大値と、前記心胸郭比が最大となる時点に取得されたX線画像データに基づくX線画像とを、前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項9に記載のX線撮影装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、操作者によって指定された時点に取得されたX線画像データに基づいて求められた心胸郭比を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のX線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−125385(P2011−125385A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283864(P2009−283864)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】