説明

X線検査装置およびX線検査方法

【課題】高速検査のためのX線検査装置を用いて不良解析検査を実現する。
【解決手段】X線検査装置が実行する処理は、高速撮像を実行するステップ(S315)と、再構成処理を実行して検査画像を作成するステップ(S320)と、自動検査(S325)が合格の場合に検査結果を表示するステップ(S330)と、自動検査が不合格の場合に、撮像条件を切り換えて不良解析用の撮像を実行するステップ(S340)と、不良解析用の再構成処理を実行して画像を作成するステップ(S345)と、不良解析用の画像を出力するステップ(S350)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線を用いた検査技術に関し、より特定的には、高速撮像による検査と、検査結果に応じた解析撮像と実行するためのX線検査装置およびX線検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板のはんだ接合部検査のための外観基板検査装置においては、自動検査の結果「不良」に分類された部品の半田接合部は、顕微鏡等の拡大手段を用いて解析されている。
【0003】
基板の検査に関し、たとえば、特開2008−216265号公報(特許文献1)は、垂直スライスイメージングを利用した検査方法を開示している。特開2009−198463号公報(特許文献2)は、ボイドの形状に基づいて画像処理することにより効率よく被検体を検査するための技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−216265号公報
【特許文献2】特開2009−198463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、外観による可視光学的検査が不可能なBGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)のはんだ接合部をX線検査装置で自動検査した場合、不良と判断された箇所は顕微鏡等の可視光学的手段では観察することができない。そこで、解析のためには、切断断面の観察または詳細解析のためのX線解析装置が必要になる。
【0006】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、検査効率を低下させることなく詳細解析を可能にするX線検査装置を提供することである。
【0007】
他の目的は、検査効率を低下することなく詳細解析を行なうことができるX線検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、一実施の形態に従うと、対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、検査対象領域の断層画像の再構成処理を実行するためのX線検査装置が提供される。このX線検査装置は、X線検査装置の動作条件であって、対象物を検査するために使用される標準の動作条件を格納するための標準条件記憶手段と、対象物が不良品である場合の再検査に使用するための、標準の動作条件とは異なる1つ以上の再検査動作条件を格納するための再検査条件記憶手段と、複数の検出面で撮像するためのX線検出機構と、X線検出機構を移動するためのX線検出機構移動手段と、対象物を移動するための対象物移動手段と、検査対象領域を透過したX線が、1の検出面にあるX線検出機構に入射するようにX線を出力するX線出力手段と、X線検査装置の動作を制御するための制御手段とを備える。制御手段は、標準の動作条件に基づいて、対象物が良品であるか不良品であるかを判定するための判定手段と、対象物が不良品である場合に、X線検査装置の動作条件を、標準の動作条件から再検査動作条件に切り換えて、再検査動作条件に基づいてX線検査装置の動作を制御する解析動作制御手段を含む。
【0009】
好ましくは、再検査動作条件は、対象物について再検査の対象となる不良の種別によって規定された条件である。解析動作制御手段は、不良の種別に基づいた動作条件によってX線検査装置の動作を制御する。
【0010】
好ましくは、解析動作制御手段は、標準の動作条件によって撮像される画像よりも高い拡大率の画像をX線検出機構が取得するために、X線検出機構と対象物移動手段との間の距離、または、X線出力手段と対象物移動手段との間の距離を変更するように、X線検査装置の動作を制御する。
【0011】
好ましくは、解析動作制御手段は、標準の動作条件に従って取得される画像の枚数よりも多い枚数の画像を取得するために、標準の動作条件に従って撮像するための複数の位置よりも多い位置において撮像するように、X線検査装置の動作を制御する。
【0012】
好ましくは、解析動作制御手段は、対象物の不良の原因に応じて予め定められた基準に従って、X線の照射角度を変更するように、X線検査装置の動作を制御する。
【0013】
好ましくは、解析動作制御手段は、対象物およびX線検出機構の軌道を、標準の動作条件について予め定められた第1の軌道から、再検査動作条件として予め定められた第2の軌道に変更するように、X線検査装置の動作を制御する。
【0014】
好ましくは、解析動作制御手段は、標準の動作条件の下で取得される画像のコントラストよりも高いコントラストを得るために、再検査動作条件に基づいて、管電圧、管電流または露光時間を調整するように、X線検査装置の動作を制御する。
【0015】
好ましくは、解析動作制御手段は、標準の動作条件として予め定められたX線の第1の焦点径から、再検査動作条件として予め定められ、かつ、第1の焦点径よりも小さな第2の焦点径で撮像が行なわれるように、X線検査装置の動作を制御する。
【0016】
好ましくは、X線検査装置は、X線撮像によって得られた画像を再構成するための再構成手段をさらに備える。制御手段は、画像を再構成するためのアルゴリズムを、標準の動作条件下の画像を再構成するために用いられる第1のアルゴリズムから、再検査動作条件下の画像を再構成するために用いられる第2のアルゴリズムに変更するためのアルゴリズム変更手段をさらに含む。
【0017】
好ましくは、X線検査装置は、標準の動作条件で不良と判断された結果と、標準の動作条件で不良と判定された箇所について再検査動作条件で撮像された画像とを表示するための表示手段をさらに備える。
【0018】
他の実施の形態に従うと、対象物の検査対象領域を透過したX線を検出面で受光することにより、X線検査装置として機能するコンピュータが、検査対象領域の像の再構成処理を実行するためのX線検査方法が提供される。この方法は、対象物を検査するために使用される標準の動作条件を、コンピュータのメモリにロードするステップと、対象物が不良品である場合の再検査に使用するための、標準の動作条件とは異なる1つ以上の再検査動作条件をメモリにロードするステップとを備える。1つ以上の再検査動作条件は、検査の対象となる不良の種別に応じて規定されている。この方法は、さらに、検査対象領域を透過したX線が、撮像位置にあるX線検出機構に入射するようにX線を出力するステップと、X線検査装置の動作を制御するステップとを備える。制御するステップは、標準の動作条件に基づいて、対象物が良品であるか不良品であるかを判定するステップと、対象物が不良品である場合に、X線検査装置の動作条件を、標準の動作条件から再検査動作条件に切り換えて、再検査動作条件に基づいてX線検査装置の動作を制御するステップを含む。
【0019】
好ましくは、この方法は、X線撮像によって得られた画像を再構成するステップをさらに備える。制御するステップは、アルゴリズムを、標準の動作条件下の画像を再構成するために用いられる第1のアルゴリズムから、再検査動作条件下の画像を再構成するために用いられる第2のアルゴリズムに変更するステップをさらに含む。
【0020】
この方法は、標準の動作条件で不良と判断された結果と、標準の動作条件で不良と判定された箇所について再検査動作条件で撮像された画像とを表示するステップをさらに備える。
【0021】
なお、上記において、動作条件は、撮像条件、画像再構成処理のアルゴリズム、対象物の検査の基準を含む。撮像条件は、X線の照射角度、対象物の移動経路、X線検出機構の移動経路、撮像の枚数などのうちの1つ以上を含む。
【0022】
検査の対象は、たとえば、はんだ付けの状態、ボイドの有無、ずれの有無、ブリッジ等を含むが、これらに限られず、その他の検査も含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施の形態に係るX線検査装置100の概略ブロック図である。
【図2】X線検査装置100の構成を説明するための図である。
【図3】X線検査装置100による処理の概要を表わすフローチャートである。
【図4】X線検査装置100による処理の詳細を表わすフローチャート(その1)である。
【図5】X線検査装置100による処理の詳細を表わすフローチャート(その2)である。
【図6】はんだ付け検査、ボイド検査、ずれ検査およびブリッジ検査のための動作条件の設定画面を表わす図である。
【図7】検査対象領域を表わす図である。
【図8】記憶部90に格納される解析モード設定テーブル800の構成を表わす図である。
【図9】記憶部90におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図10】演算部70が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【図11】撮像倍率を上げる場合におけるX線検査装置100の動作条件を表わす図である。
【図12】不良解析のために撮像枚数を多くする態様を表わす図である。
【図13】不良解析用の撮像のために照射角度を変更する態様を表わす図である。
【図14】ボイド検査におけるX線の照射角度を説明するための図である。
【図15】高速検査によって得られた画像と不良検査によって得られた画像とを並べて表わす図である。
【図16】予め規定された照射角度による照射と、当該照射角度よりも大きな照射角度による照射との対応を表わす図である。
【図17】高速検査および不良解析検査によって得られたボール中心断層の画像と接合面断層の画像とをそれぞれ表わす図である。
【図18】撮像ポイントが格子状または斜めの格子状である場合における軌道を表わす。
【図19】第2の実施の形態に係るX線検査装置100を用いた処理を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部分には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。また、本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸とは、互いに直行する軸を言うものとする。
【0025】
[第1の実施の形態]
<構成の概略>
図1を参照して、第1の実施の形態に係るX線検査装置100の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るX線検査装置100の概略ブロック図である。
【0026】
X線検査装置100は、X線18を出力するX線源10と、X線検出器23と、画像取得制御機構30と、検査対象1の位置を移動する検査対象位置駆動機構110とを備える。さらに、X線検査装置100は、入力部40と、出力部50と、表示部55と、X線源制御部60と、検査対象位置制御機構120と、演算部70と、記憶部90とを備える。
【0027】
検査対象1は、X線源10とX線検出器23との間に配置される。本実施の形態においては、検査対象1は、部品が実装された回路基板であるとする。なお、図1では、下から順にX線源10、検査対象1、X線検出器23が設置されているが、X線源の保守性の観点より、下から順に、X線検出器23、検査対象1、X線源10との並びでこれらを配置してもよい。
【0028】
X線源10は、X線源制御部60によって制御され、検査対象1に対して、X線18を照射する。本実施の形態では、検査対象1は、回路部品を実装した基板であるものとする。
【0029】
検査対象1は、検査対象位置駆動機構110により移動される。検査対象位置駆動機構110の具体的な構成については、後述する。検査対象位置制御機構120は、演算部70からの指示に基づいて、検査対象位置駆動機構110の動作を制御する。
【0030】
X線検出器23は、X線源10から出力され、検査対象1を透過したX線を検出して画像化する2次元X線検出器である。X線検出器23としては、I.I.(Image Intensifier)管や、FPD(フラットパネルディテクタ)を用いることができる。設置スペースの観点からは、X線検出器23には、FPDを用いることが望ましい。また、インライン検査で使うことができるようにX線検出器23は、高感度であることが望ましく、CdTe素子等を利用した直接変換方式のFPDであることが特に望ましい。他の局面において、X線検査装置100は、複数のX線検出器23を備えていてもよい。
【0031】
画像取得制御機構30は、検出器駆動制御機構32と、画像データ取得部34とを含む。検出器駆動制御機構32は、演算部70からの指示に基づき、X線検出器駆動部22の動作を制御し、X線検出器23を移動する。画像データ取得部34は、演算部70から指定されたX線検出器23の画像データを取得する。
【0032】
入力部40は、ユーザからの指示入力等を受け付ける。入力部40は、ユーザの操作入力を受け付けるための機器(たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル等)、あるいは、ネットワーク(図示しない)を介してX線検査装置100の外部から与えられる信号の入力を受けるインターフェイスを含む。
【0033】
出力部50は、検査結果等を外部に出力するためのインターフェイスを含む。インターフェイスは、たとえば、ネットワーク通信のためのインターフェイスを含む。
【0034】
表示部55は、検査結果等を表示する。ある局面において、表示部55は、標準の動作条件で不良と判断された結果と、標準の動作条件で不良と判定された箇所について再検査動作条件で撮像された画像とを表示する。本実施の形態では、表示部55は、演算部70で構成されたX線画像等を表示するためのディスプレイである。
【0035】
すなわち、ユーザは、入力部40を介して様々な入力を実行することができ、演算部70の処理によって得られる種々の演算結果が表示部55に表示される。表示部55に表示される画像は、ユーザによる目視の良否判定のために出力されてもよいし、あるいは、後で説明する良否判定部78の良否判定結果として出力されてもよい。
【0036】
X線源制御部60は、X線源の出力を制御するX線源制御部62を含む。X線源制御部62は、演算部70から、X線焦点位置、X線出力条件(管電圧、管電流、出力タイミング)の指定を受ける。指定されるX線出力条件は、検査対象の構成によって異なる。
【0037】
演算部70は、記憶部90に格納されたプログラム96を実行して各部を制御し、また、所定の演算処理を実行する。演算部70は、X線源制御部72と、画像取得制御部74と、再構成部76と、良否判定部78と、検査対象位置制御部80と、X線焦点位置計算部82と、撮像条件設定部84と、検査情報生成部86とを含む。
【0038】
X線源制御部72は、X線焦点位置、X線出力条件を決定し、X線源制御部62に指令を送る。
【0039】
画像取得制御部74は、X線検出器23が画像を取得するように、画像取得制御機構30に指令を送る。また、画像取得制御部74は、画像取得制御機構30から、画像データを取得する。
【0040】
再構成部76は、画像取得制御部74により取得された複数の画像データから3次元データを再構成する。
【0041】
良否判定部78は、部品が実装される基板表面の高さ(基板高さ)を求め、基板高さの断層画像をもとに検査対象の良否を判定する。なお、良否判定を行なうアルゴリズム、あるいは、アルゴリズムへの入力情報は、検査対象によって異なるため、良否判定部78は、これらを撮像条件情報94から入手する。
【0042】
検査対象位置制御部80は、検査対象位置制御機構120を介し、検査対象位置駆動機構110を制御する。
【0043】
X線焦点位置計算部82は、検査対象1のある検査エリアを検査する際に、その検査エリアに対するX線焦点位置や照射角などを計算する。
【0044】
撮像条件設定部84は、検査対象1に応じて、X線源10からX線を出力する際の条件(たとえば、X線源に対する印加電圧、撮像時間等)を設定する。
【0045】
記憶部90は、X線焦点位置情報92と、撮像条件情報94と、上述した演算部70が実行する各機能を実現するためのプログラム96と、X線検出器23が撮像した画像データ98とを含む。X線焦点位置情報92には、X線焦点位置計算部82によって計算されたX線焦点位置が含まれる。撮像条件情報94は、撮像条件設定部84によって設定された撮像条件や、良否判定を行なうアルゴリズムに関する情報を含む。
【0046】
記憶部90は、データを蓄積することができるものであればよい。記憶部90は、例えば、RAM(Random Access Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read-Only Memory)やHDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置により構成される。
【0047】
一実施の形態において、記憶部90は、検査対象1を検査するために使用される標準の撮像条件と、検査対象1が不良品である場合の再検査に使用される再検査撮像条件とを格納している。演算部70は、標準の撮像条件に基づいて、検査対象1が良品であるか不良品である否かを判定し、検査対象1が不良品である場合に、X線検査装置の動作条件を、標準の撮像条件から再検査撮像条件に切り換え、再検査撮像条件に基づいてX線検査装置の動作を制御する。
【0048】
好ましくは、演算部70は、標準の撮像条件によって撮像される画像よりも高い拡大率の画像をX線検出器23が取得するために、X線検出器23と対象物位置駆動機構110との間の距離、または、X線源10と対象物位置駆動機構110との間の距離を変更するように、X線検査装置100の動作を制御する。
【0049】
好ましくは、演算部70は、標準の撮像条件に従って取得される画像の枚数よりも多い枚数の画像を取得するために、標準の撮像条件に従って撮像するための複数の位置よりも多い位置において撮像するように、X線検査装置100の動作を制御する。
【0050】
好ましくは、演算部70は、検査対象1の不良の原因に応じて予め定められた基準に従って、X線の照射角度を変更するように、X線検査装置100の動作を制御する。
【0051】
好ましくは、演算部70は、検査対象1およびX線検出器23の軌道を、標準の撮像条件について予め定められた第1の軌道から、再検査撮像条件として予め定められた第2の軌道に変更するように、X線検査装置100の動作を制御する。
【0052】
好ましくは、演算部70は、標準の撮像条件の下で取得される画像のコントラストよりも高いコントラストを得るために、再検査撮像条件に基づいて、管電圧、管電流または露光時間を調整するように、X線検査装置100の動作を制御する。
【0053】
好ましくは、演算部70は、標準の撮像条件として予め定められたX線の第1の焦点径から、再検査撮像条件として予め定められ、かつ、第1の焦点径よりも小さな第2の焦点径で撮像が行なわれるように、X線検査装置100の動作を制御する。
【0054】
好ましくは、演算部70は、X線撮像によって得られた画像を再構成するように構成されている。演算部70は、アルゴリズムを、標準の撮像条件下の画像を再構成するために用いられる第1のアルゴリズムから、再検査撮像条件下の画像を再構成するために用いられる第2のアルゴリズムに変更するように構成されている。
【0055】
なお、X線検査装置100の構成は、図1に示されるものに限られず、後述するように、標準検査のための撮像条件と、不良解析のための撮像条件とを切り換えて撮像可能な装置であればよい。
【0056】
<具体的構成>
図2を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置100の具体的構成について説明する。図2は、本実施の形態に係るX線検査装置100の構成を説明するための図である。なお、図2において、図1と同一部分には、同一符号を付している。また、図2では、図1に示した部分のうち、X線焦点位置の制御、X線検出器位置の制御、検査対象位置の制御等に直接関係し、説明に必要な部分を抜き出して記載している。
【0057】
X線源10は、X線源制御機構62を介した演算部70からの命令に従って、X線を発生させる。
【0058】
X線源10は、密閉型のX線源であり、X線検査装置100の上部もしくは下部に据え付けられている。なお、X線源10のターゲットは透過型であってもよいし、反射型であってもよい。X線源10は、稼動部(図示しない)に取り付けられており、垂直方向に移動可能であるものとする。
【0059】
X線検出器23は、検査対象1(基板)を挟むようにX線源10と対向した位置に配置される。X線検出器23は、X線源10から照射されたX線を画像化する。また、X線検出器23は、X線検出器駆動部22に取り付けられている。X線検出器駆動部22は、3次元ステージであって、X線検出器23を、水平方向(たとえば、X−Y軸方向)および垂直方向(たとえば、Z軸方向)に移動可能である。
【0060】
検査対象位置駆動機構110は、X線源10とX線検出器23との間に設置される。検査対象位置駆動機構110は、ステージ111a,111b、および、ステージ111a,111bに付属されている基板レール112a,112bを含む。ステージ111a,111bは、検査対象1を水平方向に平行移動可能である。基板レール112a,112bは、各々、検査対象1を上下からはさみこむことで基板を固定している。
【0061】
ステージ111a,111bおよび基板レール112a,112bの動作は、基板駆動制御機構126によって制御される。
【0062】
図2を参照して、X線検査装置100は、変位計114を備える。変位計114は、基板までの距離を測定する。したがって、変位計114は、後で詳述する基板の反りを計測することが可能である。X線による撮像時には、変位計114は、X線に被爆しないように、退避機構(図示していない)により、X線が照射されない領域に退避される。
【0063】
以上の構成により、X線検査装置100は、線源−基板間距離と線源−X線検出器23間の距離との比(拡大率)を変更することができる。その結果、X線検査装置100は、X線検出器23で撮像される検査対象1の大きさ(したがって、分解能)を変更できる。
【0064】
また、X線検査装置100は、様々な方向から基板を撮像できるように、基板とX線検出器23とを稼動できる。本実施の形態では、この様々な方向からの撮像結果を基に、CT(Computed Tomography)と呼ばれる3次元データ生成手法を用いて、検査対象1の3次元データを生成する。
【0065】
また、本実施の形態では、X線検査装置100は、インライン検査に用いられる。インライン検査のために、検査対象位置駆動機構110は、基板を搬入および搬出するための搬送機構(図示しない)をさらに含む。搬送機構としては、基板レール上に配置したベルトコンベアが用いられるのが一般的である。あるいは搬送機構として、プッシャと呼ばれる棒を用いてもよい。プッシャにより基板をレール上で滑らせることにより、基板を移動させることができる。
【0066】
演算部70としては、一般的な中央演算装置(CPU(Central Processing Unit))を用いることができる。記憶部90は、主記憶部90aと補助記憶部90bとを含む。主記憶部90aとしてはメモリを、補助記憶部90bとしてはHDD(ハードディスクドライブ)を、例えば用いることができる。つまり、演算部70および記憶部90としては、一般的なコンピュータを使用可能である。
【0067】
<制御構造>
図3から図5を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置100の処理について説明する。図3は、X線検査装置100による処理の概要を表わすフローチャートである。図4および図5は、X線検査装置100による処理の詳細を表わすフローチャートである。
【0068】
図3を参照して、ステップS310にて、X線検査装置100は、検査対象となる基板を製造ラインから予め定められた位置に搬入する。たとえば、X線検査装置100は、検査対象位置駆動機構110を用いて、X線検査装置100の内部において予め定められた位置に、基板を設置する。撮像中に検査対象も移動される場合には、検査対象位置駆動機構110は、複数の位置のうちの予め定められた初期位置に、当該基板を配置する。
【0069】
ステップS315にて、演算部70は、X線源制御機構60および画像取得制御機構30を制御して、基板についての高速撮像を実行する。撮像枚数は、検査対象となる基板に応じて異なるが、たとえば、32枚程度が望ましいが、それ以上の枚数であっても又はそれ以下の枚数であってもよい。
【0070】
ステップS320にて、演算部70は、再構成部76として、X線検出器23から送られた信号を用いて、周知の再構成処理を実行して、検査画像を作成する。演算部70は、その作成したデータを主記憶部90aに書き込む。具体的には、再構成部76は、高速撮像によって得られた複数のX線画像を合成し、対象物の断層の集合(3次元データ)を作成する。再構成部76は、断層の集合から、良・不良の検査に適した断層を抽出する。抽出する断層は、検査対象の不良種によって変えても良い。なお、再構成処理は、様々な方法が提案されており、たとえば、Feldkamp法を用いることができるが、この方法に限られない。
【0071】
ステップS325にて、演算部70は、良否判定部78として、当該基板についての自動検査を実行し、合否を判定する。すなわち、良否判定部78は、良・不良の検査に適した断層の画像検査を実行し、対象部品の良または不良を判断し、対象部品が不良である場合には不良箇所(例、座標値、ピン番号等)を検出する。使用する断層は、単一の断層でもよいし、複数断層の比較から不良を判断してもよい。詳細には、良否判定の方法は、3次元データを直接用いる方法や2次元データ(断層画像)、1次元データ(プロファイル)を用いる等の方法が考えられる。これらの良否判定手法は周知であるため、検査項目に適した良否判定手法を用いればよい。したがって、詳細な説明は、繰り返さない。
【0072】
以下に、良否判定の一例について説明する。まず、良否判定部78は、3次元再構成画像を一定の値で2値化する。良否判定部78は、CADデータ等の設計情報から、再構成画像内で部品(たとえば、BGAの半田ボール)のある位置を特定する。2値化画像から部品のある位置に隣接した画素の体積を計算し、部品の有無を判断することができる。
【0073】
演算部70は、その基板について行なわれた処理の検査結果が合格であると判断すると(ステップS325にて合格)、制御をステップS330に切り換える。そうでない場合には(ステップS325にて不合格)、演算部70は、制御をステップS335に切り換える。
【0074】
ステップS330にて、X線検査装置100は、演算部70の制御に基づき、検査結果を表示部55に表示する。たとえば、表示部55は、当該基板が「良品」であること、検査日時、基板が属するロット番号、処理の名称等を表示する。なお、検査結果を示すデータが記憶部90に格納されてもよい。あるいは、他の局面において、検査結果は、X線検査装置100に接続されている他の装置に伝送されてもよい。
【0075】
ステップS335にて、X線検査装置100は、演算部70の制御に基づき、検査結果を表示部55に表示する。具体的には、表示部55は、当該基板が「不良品」であること、検査日時、基板が属するロット番号、処理の名称等を表示する。なお、表示される内容は、ステップS330の場合と同様に、データが記憶部90に格納されてもよい。あるいは、他の局面において、検査結果は、X線検査装置100に接続されている他の装置に伝送されてもよい。
【0076】
ステップS340にて、X線検査装置100は、不良解析用の撮像を実行する。すなわち、X線検査装置100は、後述する方法のいずれか1つの方法、または複数の方法の組み合わせによって、検出された不良部の特徴をより詳細に観察できる再構成画像の生成に用いられる画像を得るために、撮像条件を再検査のための条件に変更して、変更後の条件のもとでX線撮像する。不良解析用の撮像に用いられる方法は、X線検査装置100のユーザによって設定される。なお、複数の方法が組み合わされる場合、その組み合わせは、基板の種類に応じて予め設定されてもよく、あるいは、不良の態様に応じてユーザによって適宜選択されてもよい。
【0077】
詳細には、たとえば、演算部70は、X線源制御機構60および画像取得制御機構30を制御して、当該基板を再度撮影する。このとき、演算部70は、記憶部90に保存されているデータに基づいて、撮像条件を変更した上で撮像を実行する。撮像条件の変更は、たとえば、撮像倍率を高速検査時よりも上げること、撮像枚数を高速検査時の枚数よりも多くすること、X線の照射角度を変更すること、X線検出器23の軌道を円軌道以外の軌道(たとえばX−Y方向への移動による軌道など)において撮像すること等を含む。
【0078】
ステップS345にて、演算部70は、撮像によって得られた信号を用いて、不良解析用の再構成処理を実行して画像を作成する。演算部70は、不良解析用の撮像(ステップS340)によって得られた複数のX線画像を合成し、不良部を含む対象箇所の断層の集合(3次元データ)を作成する。このときの処理は、ステップS320における処理と同様の処理でなくてもよい。たとえば、画質の向上に有効とされる反復的方法が用いられてもよい。
【0079】
ステップS350にて、演算部70は、不良解析用の画像を表示部55に出力する。
ステップS355にて、X線検査装置100は、搬送機構(図示しない)を駆動して、X線検査装置100から基板を搬出する。
【0080】
図4を参照して、ステップS410にて、演算部70は、入力部40に対する入力に基づいて、基板の種類を選択するための入力を受け付ける。演算部70は、その入力に基づいて、記憶部90に格納されているデータを参照し、選択された基板の種類に対応する条件を主記憶部90aにロードする(ステップS415)。
【0081】
ステップS420にて、X線検査装置100は、基板を搬入する。この処理は、ステップS310における処理と同じである。
【0082】
ステップS425にて、X線検査装置100は、搬入された基板のID(Identification)を読み取る。IDは、たとえば、基板の表面に付されている。この読み取りは、たとえばX線検査装置100が備えるCCD(Charged Coupled Device)カメラその他の撮像素子(図示しない)を用いて行なわれる。この読み取りにより、搬入された基板の特定が行なわれ、ロードされたデータとの照合が可能になる。他の局面において、無線タグが、IDとして用いられてもよい。
【0083】
ステップS430にて、演算部70は、X線源制御機構62および画像取得制御機構30を駆動して、複数のX線透過画像の撮影を実行する。このとき撮影される基板が予め良品であることがわかっていれば、撮影結果は、検査の標準として設定される。一方、検査対象となる基板についての撮影が行なわれた場合には、これらの撮影結果は、後述する検査のための画像を再構成するために用いられる。
【0084】
ステップS435にて、演算部70は、CT(Computed Tomography)を実行し、三次元のデータを生成する。
【0085】
ステップS440にて、演算部70は、はんだ付けの検査を実施するか否かを判断する。この判断は、たとえば記憶部90に格納されている検査の特定データに基づいて行なわれる。演算部70は、はんだ付け検査を実施すると判断すると(ステップS440にてYES)、制御をステップS445に切り換える。そうでない場合には(ステップS440にてNO)、演算部70は、制御をステップS460に切り換える。
【0086】
ステップS445にて、演算部70は、ステップS435において得られたデータと、記憶部90に格納されている標準のデータとを用いて、はんだ付け検査を実行する。記憶部90に格納されているデータは、前述のように予め良品であることが確認されている基板の撮影によって得られたデータに基づいて取得されている。ステップS450にて、演算部70は、当該基板がはんだ付け検査を合格したか否かを判断する。演算部70は、当該基板がはんだ付け検査に合格したと判断すると(ステップS450にてYES)、制御をステップS460に切り換える。そうでない場合には(ステップS450にてNO)、演算部70は、制御をステップS455に切り換える。
【0087】
ステップS455にて、演算部70は、X線検査装置100の動作モードを変更する。具体的には、演算部70は、X線検査装置100の動作条件を「はんだ付け検査:NG時」に変更する。その後演算部70は、検査対象が不合格であるときの撮影および検査を実行する。具体的には、ステップS335からS350に示される処理(図3)を実行する。
【0088】
ステップS460にて、演算部70は、記憶部90に格納されているデータに基づいて、当該基板についてボイド検査を実施するか否かを判断する。演算部70は、ボイド検査を実施すると判断すると(ステップS460にてYES)、制御をステップS465に切り換える。そうでない場合には(ステップS460にてNO)、演算部70は、制御をステップS480に切り換える。
【0089】
ステップS465にて、演算部70は、ボイド検査を実行する。具体的には、演算部70は、ステップS430において得られたデータおよびステップS435において得られたデータを用いてボイド検査を実行する。ステップS470にて、演算部70は、当該基板がボイド検査に合格したか否かを判断する。演算部70は、当該基板がボイド検査に合格したと判断すると(ステップS470にてYES)、制御をステップS480に切り換える。そうでない場合には(ステップS470にてNO)、演算部70は、制御をステップS475に切り換える。
【0090】
ステップS475にて、演算部70は、X線検査装置100の動作条件を変更する。具体的には、演算部70は、X線検査装置100が実行する撮像条件(倍率、位置など)を「ボイド検査:NG時」に変更する。その後、X線検査装置100は、当該基板の検査結果が不合格であるときの処理を再度実行する。具体的には、X線検査装置100は、ステップS335からステップS350に示される処理を実行する。その後、演算部70は、制御をステップS480に切り換える。
【0091】
ステップS480にて、演算部70は、当該基板についてずれ検査を実施するか否かを判断する。演算部70は、ずれ検査を実施すると判断すると(ステップS480にてYES)、制御をステップS485に切り換える。そうでない場合には(ステップS480にてNO)、演算部70は、制御をステップS510(図5)に切り換える。
【0092】
ステップS485にて、演算部70は、ずれ検査を実施する。具体的には、演算部70は、検査標準として設定されたデータ(ステップS430)と実際に検査対象の撮影によって得られたデータ(ステップS435)とに基づいてずれ検査を実行する。ステップS490にて、演算部70は、当該基板がずれ検査に合格したか否かを判断する。演算部70は、当該基板がずれ検査に合格したと判断すると(ステップS490にてYES)、制御をステップS510に切り換える。そうでない場合には(ステップS490にてNO)、演算部70は、制御をステップS495に切り換える。
【0093】
ステップS495にて、演算部70は、X線検査装置100の動作条件を変更する。具体的には、演算部70は、解析モード設定テーブル800を参照して、X線検査装置100の条件を「ずれ検査:NG時」に変更する。その後、X線検査装置100は、変更された動作条件に従って、当該基板の検査結果が不合格であるときの処理を実行する。具体的には、X線検査装置100は、ステップS335からステップS350の処理を実行する。
【0094】
図5を参照して、ステップS510にて、演算部70は、記憶部90に格納されているデータに基づいて、ブリッジ検査を実施するか否かを判断する。演算部70は、ブリッジ検査を実施すると判断すると(ステップS510にてYES)、制御をステップS520に切り換える。そうでない場合には(ステップS510にてNO)、演算部70は、制御をステップS550に切り換える。
【0095】
ステップS520にて、演算部70は、ブリッジ検査を実施する。具体的には、演算部70は、検査標準として設定されたデータ(ステップS430)と、当該基板を撮影することによって得られたデータ(ステップS435)とに基づいてブリッジ検査を実施する。ステップS530にて、演算部70は、当該基板がブリッジ検査に合格したか否かを判断する。演算部70は、当該基板がブリッジ検査に合格したと判断すると(ステップS530にてYES)、制御をステップS550に切り換える。そうでない場合には(ステップS530にてNO)、演算部70は、制御をステップS540に切り換える。
【0096】
ステップS540にて、演算部70は、X線検査装置100の動作条件を変更する。具体的には、演算部70は、解析モード設定テーブル800に含まれるデータに基づいて、X線検査装置100の動作条件を通常の設定から「ブリッジ検査:NG時」に変更する。その後、X線検査装置100は、変更された動作条件に従って当該基板の撮影を再度実行する。具体的には、演算部70は、ステップS335からステップS350の処理を実行する。その後、演算部70は、制御をステップS550に切り換える。
【0097】
ステップS550にて、演算部70は、不良であると判定した基板についての高さおよびその基板のXY断面画像を出力する。具体的には、X線検査装置100は、表示部55に、当該高さおよび画像を表示する。またX線検査装置100は、出力部50を介して、検査結果を、X線検査装置100に接続されている他の情報処理通信装置(図示しない)に出力することもできる。さらに、X線検査装置100は、当該基板の検査結果および計測値全体を表示部55に表示し、また、それらのデータを出力部50を介して外部の情報処理通信装置に出力する。
【0098】
ステップS560にて、X線検査装置100は、搬送機構に命令を与えて、検査が終了した基板を搬出する。
【0099】
ステップS570にて、演算部70は、同じ種類の基板が終了したか否かを判断する。この判断は、たとえば、検査対象の数として予め設定された数と、実際に検査が完了した基板の数とを比較することにより行なわれる。演算部70は、同じ種類の基板の検査が終了したと判断すると(ステップS570にてYES)、検査を終了する。そうでない場合には(ステップS570にてNO)、演算部70は、制御をステップS420に戻す。X線検査装置100は、搬送機構を駆動して検査が行なわれていない基板を搬入し再びX線検査を実行する。
【0100】
なお、図4および図5に示されるように複数の検査が行なわれる場合、各検査の順序は、上述の順序(はんだ付け検査→ボイド検査→ずれ検査→ブリッジ検査)に限られない。また、断層画像を用いた検査は、図4および図5に示される検査に限られない。この場合、新たな検査は、ステップS435とステップS550との間に追加できる。
【0101】
図6および図7を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置100における動作条件の設定について説明する。図6は、はんだ付け検査、ボイド検査、ずれ検査およびブリッジ検査のための動作条件の設定画面を表わす図である。図7は、検査対象領域を表わす図である。
【0102】
図6を参照して、X線検査装置100のユーザが入力部40を操作すると、表示部55は、演算部70の制御に基づき設定画面を表示する。設定画面は、はんだ付け検査の条件を設定するための領域610と、ボイド検査の条件を設定するための領域620と、ずれ検査の条件を設定するための領域630と、ブリッジ検査の条件を設定するための領域640とを含む。
【0103】
一実施の形態において、はんだ付け検査は、面積基準と真円度基準とに基づいて行なわれる。ボイド検査は、ボイド率の値に基づいて行なわれる。ずれ検査は、ずれ量の値に基づいて行なわれる。ブリッジ検査は、基板の種類に応じてブリッジ検査を行なうか否かの設定が与えられる。領域610,620,630,640のそれぞれに設定されるチェックボックスにチェックを入力することにより、当該検査の実行が指定される。また、複数の検査を実行する場合に、各検査を実行する順序は、当該基板に応じて設定可能であってもよい。
【0104】
また、各領域に示されるデータ入力領域に値を入力することにより、当該基準のデータが入力される。入力されたデータは、補助記憶部90bに保存され、検査される基板の種類に応じて補助記憶部90bから読み出されて主記憶部90aにロードされる。
【0105】
図7を参照して、ユーザが、検査対象領域の設定のための入力を入力部40に与えると、表示部55は、演算部70の制御に基づき、XY断層画像の検査領域を設定するための領域710と、XZ断層画像の検査領域を設定するための領域740とを表示する。
【0106】
領域710は、一実施の形態として、1度の撮影において撮像可能な視野の中に、検査ウインドウ711から718を表示している。検査ウインドウの数は、検査対象となる基板の種類、あるいは検査対象の大きさに応じて異なる。各検査ウインドウは、検査対象となる画像を囲むように設定される。たとえば、検査ウインドウ711は、画像721を少なくとも含むように設定される。他の検査ウインドウ712から718についても同様である。
【0107】
領域740は、領域710に示されるAB断面を表わす図である。高さ方向の検査のために、検査高さ(すなわちマスク圧)が設定される。具体的には、検査高さ741,742が指定される。これらの指定値は、記憶部90に格納される。
【0108】
<データ構造>
図8および図9を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置100のデータ構造について説明する。図8は、記憶部90に格納される解析モード設定テーブル800の構成を表わす図である。図9は、記憶部90におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【0109】
図8を参照して、解析モード設定テーブル800は、検査項目810と、分解能820と、撮影輝度830と、撮影枚数840と、照射角度850と、リザーブ領域860とを含む。一実施の形態において主たる項目として、検査項目810は、「検査標準」と、「はんだ付け検査:NG時」と、「ボイド検査:NG時」と、「ずれ検査:NG時」と、「ブリッジ検査:NG時」とを含む。分解能、撮影輝度、撮影枚数、照射角度についての具体的な設定値は、基板の種類、検査対象となる不良部等に応じて設定される。解析モード設定テーブル800に示されるデータは、ユーザが入力部40に対してデータを入力することにより設定変更が可能である。また、他の局面において、X線検査装置100に接続されている情報処理通信装置がデータをX線検査装置100に送信することにより、オンラインで条件を変更することも可能である。
【0110】
他の局面において、さらに、解析モード設定テーブル800は、各検査項目について設定されたCTアルゴリズム(反復的再構成アルゴリズム)を含んでもよい。
【0111】
図9を参照して、記憶部90は、基板情報テーブル910と、検査結果テーブル920と、ウインドウ毎の検査結果テーブル930と、検査時に得られた三次元データ950と、解析用の三次元データ960とを格納している。
【0112】
基板情報テーブル910は、たとえば少なくとも基板名と、基板の横幅と基板の縦幅とを含む。
【0113】
検査結果テーブル920は、たとえば少なくとも基板IDと、基板名と、検査した装置名と検査を開始した時刻と、部品名と、部品毎の検査結果と、検査ウインドウの数と、ウインドウ毎の検査結果の先頭IDとを含む。
【0114】
ウインドウ毎の検査結果テーブル930は、たとえば少なくとも、ウインドウ毎の検査結果IDと、次のウインドウ毎の検査結果IDと、ウインドウの検査結果と、検査時の三次元データへのファイルパスと、はんだ付け検査の結果と、解析用三次元データへのファイルパス(はんだ付けNG時)と、ボイド検査の結果と、解析用三次元データへのファイルパス(ボイドNG時)と、ずれ検査の結果と、解析用三次元データへのファイルパス(ずれNG時)と、ブリッジ検査の結果と、解析用三次元データへのファイルパス(ブリッジNG時)とを含む。
【0115】
基板情報テーブル910と、検査結果テーブル920とは、たとえば基板名により相互に関連付けられている。検査結果テーブル920と、ウインドウ毎の検査結果テーブル930とは、たとえばウインドウ毎の検査結果IDによって、互いに関連付けられている。
【0116】
検査時の三次元データへのファイルパスは、検査時の三次元データ950へのアクセスを可能にする。解析用三次元データへの各ファイルパスは、解析用の三次元データ960へのアクセスを実現する。
【0117】
図10を参照して、X線検査装置100によって得られたデータを用いた解析について説明する。図10は、演算部70が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。なお、以下の処理は、X線検査装置100が備える演算部70によって実行される態様に限られず、周知の構成を有する通常のコンピュータによっても実現可能である。
【0118】
ステップS1010にて、演算部70は、基板のIDを読み取ったデータの入力を受け付ける。IDは、たとえばQRコードに含まれる。IDの読み取りは、したがって、ハンディスキャナのようなスキャン装置によって行なわれる。なお、IDはQRコードに含まれるものに限られず、シール、レーザマーキングされたもの等でもよい。
【0119】
ステップS1015にて、演算部70は、当該基板のIDに基づいて、当該基板に対応する検査結果を記憶部90から検索する。
【0120】
ステップS1020にて、演算部70は、記憶部90の解析モード設定テーブル800から、検査結果に対応した基板について検査のために設定されたデータ(検査設定情報)を検索する。
【0121】
ステップS1025にて、演算部70は、不良であると判定した部品およびウインドウの一覧を表示部55に表示する。ステップS1035にて、演算部70は、入力部40に対する入力操作に基づいて、確認したいウインドウの選択を受け付ける。ステップS1040にて、演算部70は、その選択に基づいて、ウインドウの検査時の三次元データ(3Dデータ)を記憶部90から読み出して、その読み出したデータを表示部55に表示する。なお、3Dデータのみが表示の対象となるわけではない。他の局面において、二次元データ(2Dデータ)が表示されてもよい。この場合、表示部55は、演算部70の制御に基づき、3Dデータの中から、検査に用いられたXY断層の画像、XZ断層の画像、ZY断層の画像の1つ以上の画像を表示することができる。
【0122】
ステップS1045にて、演算部70は、不良判定項目を表示部55に表示する。
ステップS1050にて、演算部70は、入力部40に対する選択操作に基づいて、解析の対象となる不良判定項目の選択を受け付ける。
【0123】
ステップS1055にて、演算部70は、選択された不良判定項目の解析用の三次元データを記憶部90から読み出し、その読み出したデータを表示部55に表示する。
【0124】
ステップS1060にて、演算部70は、その読み出したデータに基づいて当該検査について予め指定された解析処理を実行する。具体的には、目視などによる確認のみならず、検査時の計測(面積や真円度など)やそれ以外の計測を行い、定量的に解析できることが望ましい。定量的な解析は、市販の画像処理ツールで行ってもよい。
【0125】
なお、他の局面において、この解析処理は、X線検査装置100のユーザによる入力に基づいても行なわれ得る。すなわち、X線検査装置100のユーザは、目視の検査の結果をX線検査装置100に入力してもよい。この場合、演算部70は、入力されたデータと当該基板とを関連付けて記憶部90に格納する。
【0126】
図11から図13を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置100における不良解析のための撮像条件の変更について説明する。
【0127】
図11は、撮像倍率を上げる場合におけるX線検査装置100の動作条件を表わす図である。図11(A)を参照して、通常の検査(すなわち高速検査)が行なわれる場合には、X線検査装置100のX線源10と、検査対象位置駆動機構110と、X線検出器23との位置は、たとえば予め定められた仕様に従って設定される。
【0128】
これに対して、図11(B)に示されるように、不良解析のための撮像が行なわれる場合には、不良検出箇所1100の画像を拡大して撮影するために、X線源10と検査対象位置駆動機構110との間の距離に対してX線検出器23と検査対象位置駆動機構110との距離が長くなるように検査対象位置駆動機構110は移動される。倍率変更のための移動は、たとえば、予め設定された動作条件として撮像条件情報94に格納されている。検査対象位置制御部80は、この動作条件に基づき、検査対象位置制御機構120に対して、検査対象位置駆動機構110を移動させる。
【0129】
図12は、不良解析のために撮像枚数を多くする態様を表わす図である。図12(A)を参照して、たとえば一実施の形態において、高速検査時(すなわち通常検査)の場合には、16枚の画像が撮像されるように構成されている。この場合、X線検出器23と検査対象位置とは、たとえば予め設定された16箇所の位置に移動するように、X線検出器駆動部22および検査対象位置駆動機構110は、演算部70によって制御される。
【0130】
一方、図12(B)を参照して、不良解析のための撮像条件としてたとえば64枚の画像が撮影される場合には、X線検出器23と検査対象位置との位置が、同一円周上において64箇所となるように、X線検出器駆動部22および検査対象位置駆動機構110は、演算部70によって制御される。
【0131】
図13は、不良解析用の撮像のために照射角度を変更する態様を表わす図である。図13(A)を参照して、高速検査時(すなわち通常検査)の場合には、前述のようにX線源10と検査対象位置駆動機構110とX線検出器23とは、検査対象位置の基板に応じて予め設定された位置に配置される。一実施の形態において、X線源10から照射されるX線の照射方向と垂直方向との間の角度は、たとえば45度となるように構成されている。
【0132】
これに対して、図13(B)に示されるように、たとえばボイド、外形状異常、異物など断層中の水平方向に、よりよく特徴が現れる不良を解析する場合には、X線源10は、通常よりも浅い照射角度でX線を照射するように、検査対象位置駆動機構110は演算部70によって移動される。この場合、たとえば、照射方向と垂直方向との間の角度は、上記の45度よりも小さな値(たとえば30度など)となり得る。これにより、X線検査装置100は、高速検査時よりも正確に断層中の不良形状を表示することができる場合がある。当該角度は、1つの値に限られず、また、検査の対象となる項目などに応じて、ユーザによって設定可能である。
【0133】
また、図13(C)に示されるように、他の局面において、検査対象位置駆動機構110は、X線が検査対象位置に対して深い照射角度で照射されるように、演算部70によって移動される。たとえば、はんだボールの接合面の不濡れなど、断層中の垂直方向によりよく特徴が現れる不良である場合には、深い照射角度で撮像することにより、図13(A)に示される高速検査時の照射角度よりも正確に断層中の不良形状を観察できる。この場合、たとえば、照射方向と垂直方向との間の角度は、上記の45度よりも大きな値(たとえば60度など)となり得る。これにより、X線検査装置100は、高速検査時よりも正確に断層中の不良形状を表示することができる場合がある。当該角度は、1つの値に限られず、また、検査の対象となる項目などに応じて、ユーザによって設定可能である。
【0134】
図14を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置100によるボイド検査について説明する。図14は、ボイド検査におけるX線の照射角度を説明するための図である。
【0135】
図14(A)を参照して、はんだ1400は、ボイド1410を含む場合がある。この場合、ボイド1410を検査するためには、垂直方向1440にX線を照射することによって得られた撮像よりも、垂直方向に対して傾きを有する照射方向1420,1430に沿ってX線を照射することによって得られた画像を用いた再構成画像が好ましい場合がある。これは、検査対象となる基板の種類によって、はんだ1400の上部にさらに別の部品が配置されている場合に当該別の部品とボイドとを分離することができない時があるためである。
【0136】
図14(B)を参照して、たとえば照射方向1420,1430の照射方向のシリーズからX線を照射することによって得られた画像による断層再構成画像は、背面部品(すなわち、はんだ1400の上部に配置される部品)1450とは分離されて表示される。
【0137】
図15を参照して、高速検査時に得られる画像と不良解析のために得られる画像との相違について説明する。図15は、高速検査によって得られた画像と不良検査によって得られた画像とを並べて表わす例である。画像1510は、高速検査によって得られた画像に相当する。画像1510は、はんだの画像1515の中にボイドを表す領域1520を含む。画像1530は、不良解析のためにX線検査装置100の動作条件を変更することによって得られた画像を表わす。画像1530は、はんだを表わす画像1535を表示している。画像1535は、ボイドを表わす領域1540を含む。この場合、不良解析のための検査によって得られた画像1530中の領域1540の面積は、高速検査によって得られた画像1510中の領域1520と比較して、高い信頼性を有する。たとえば、高速検査による画像1510中の領域1520の面積の繰り返し測定精度は、±10μm2であるのに対して、不良解析検査による画像1530の領域1540の面積の繰り返し測定精度は、±2μm2である。
【0138】
図16を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置100における照射角度の変更について説明する。図16は、予め規定された照射角度による照射と、当該照射角度よりも大きな照射角度による照射との対応を表わす図である。図16(A)を参照して、X線検査装置100は、高速検査時には、垂直方向1600に対して予め設定された照射角度1620に基づいて照射方向1610に沿ってX線を照射するように構成されている。このとき得られる断面積に関し、円の直径として直径1630,1640に近い値が得られる。これに対して、図16(B)を参照して、照射角度1620よりも大きな照射角度1660に基づいて照射方向1650の方向にX線が照射される。このとき得られる直径1670,1680は、直径1630,1640と異なる。ここで、直径1630から直径1640への変化率よりも直径1670から直径1680への変化率の方が大きいため、それに応じてZ方向の面積の変化率も大きくなる。したがって、高速検査時よりも不良解析時における画像によって、より正確な不良解析が可能となる。
【0139】
図17を参照して、照射角度の相違による面積の変化について説明する。図17は、高速検査および不良解析検査によって得られたボール中心断層の画像と接合面断層の画像とをそれぞれ表わす図である。画像1710は、高速検査によって得られた画像を表わす。画像1710は、ボール中心の断層を表わす。画像1720は、不良解析の検査において撮像されたボール中心の断層を表わす。画像1730は、高速検査において撮像された接合面の断層を表わす。画像1740は、不良検査において撮像された接合面の断層を表わす。
【0140】
図16に示されるように、高速検査の場合のX線の照射角度と、不良解析検査の場合のX線の照射角度とは、異なる。その結果、画像1730,1740から明らかなように、直径が異なる画像として撮像される。このようにすると、接合面の接合不良がどの程度であるかを精度良く検出することができる。
【0141】
図18を参照して、円軌道以外の軌道を用いて撮像する場合について説明する。図18(A)は、撮像ポイントが格子状である場合における軌道を表わす図である。図18(B)は、撮像ポイントが斜めの格子状である場合における軌道を表わす。
【0142】
以上のようにして、本実施の形態に係るX線検査装置100は、通常の検査時の撮像条件と不良解析のための撮像条件とを切り換えて、X線撮像する。通常の検査時の場合には、X線検査装置100は、高速な検査を実現するために予め設定された条件で作動する。不良解析の場合には、X線検査装置100は、詳細な撮像画像を得るために設定された条件で作動する。このようにすると、X線検査の効率を低下させることなく、高速検査と不良解析のためのX線検査とが、同一のX線検査装置100によって実現される。
【0143】
[第2の実施の形態]
<制御構造>
図19を参照して、第2の実施の形態に係るX線検査装置100の制御構造について説明する。図19は、本実施の形態に係るX線検査装置100を用いた処理を表わすフローチャートである。本実施の形態に係るX線検査装置を用いた検査は、不合格となった情報を不揮発性のメモリに保存しておき、当該基板を改めて搬入した後に再度不良解析のための撮像および検査を行なう点で、前述の第1の実施の形態に係るX線検査装置と異なる。なお、本実施の形態に係るX線検査装置100は、第1の実施の形態に係るX線検査装置100を実現するためのハードウェアを用いて実現可能である。したがって、ハードウェアの説明は、繰り返さない。
【0144】
また、以下に説明する処理以外の処理および特徴は、第1の実施の形態に係るX線検査装置100に係る処理および特徴と同様である。したがって、それらの説明は繰り返さない。
【0145】
ステップS1900にて、X線検査装置100は、検査に合格したと判断されて搬出された基板(S355)を、良品棚(図示しない)に搬送する。演算部70は、その基板のIDと、良品棚における保存場所とを関連付けることにより、当該基板の配置場所の情報を記憶部90に格納する。
【0146】
ステップS1910にて、演算部70は、自動検査において不合格であると判定された基板についての検査結果を不良情報として記憶部90に保存する。具体的には、当該基板のIDと検査結果の内容とが関連付けられる。なお、不良情報の格納場所は、X線検査装置100の内部(記憶部90)に限られない。たとえば、当該不良情報は、X線検査装置100にネットワーク接続された記憶装置に格納されてもよい。
【0147】
ステップS1920にて、X線検査装置100は、基板を搬出する。
ステップS1930にて、搬出された基板は、不良品棚(図示しない)へ格納される。なお、不良品棚と良品棚とは、別個になっていることが望ましいが、良品用の領域と、不良品用の領域とに分けられた棚が用いられてもよい。
【0148】
ステップS1940にて、演算部70は、入力部40に対する入力に基づいて、不良解析の対象となる基板を選定する。具体的には、演算部70は、基板のIDに関連付けられた検査結果(ステップS1910)を参照して、当該検査結果が「不良」となっている基板を検索する。演算部70は、検査結果を内部メモリのワーク領域で保持する。
【0149】
ステップS1950にて、X線検査装置100は、搬送機構(図示しない)を用いて、不良解析の対象となる基板の搬入を受け付ける。具体的には、演算部70は、ワーク領域に保持されているデータを参照して、再検査の対象となる基板の保存場所を特定し、その保存場所から当該基板を搬入する命令を、搬送機構に与える。搬送機構は、その命令に応じて基板をX線検査装置100に搬入する。なお、複数の基板が不良である場合には、搬入の順序は、検査が完了した順、基板ID順、不良の項目の順などにしたがって、順次搬入される。その後、当該基板について、不良解析用の撮像(ステップS340)、画像の作成(ステップS345)、画像の出力(ステップS350)が行なわれる。
【0150】
ステップS1960にて、X線検査装置は、不良解析のための撮像が終了した基板を搬出する。搬送機構は、当該基板を、元の不良品棚に格納する。
【0151】
以上のようにして、本実施の形態に係るX線検査装置100は、検査対象となる全ての基板について高速検査を実行し、不良と判断される基板を検出した場合には、当該基板のIDと検査結果と保存場所とを関連付けて記憶部90に保持する。X線検査装置100は、高速検査が完了した後に、不良と判断された基板について、解析のための撮像を実行する。このようにすると、良品と判断された基板は、当該X線検査の終了後、次の工程に速やかに搬送される。その結果、完成品までのリードタイムがさらに短くなり得る。
【0152】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0153】
1 検査対象、10 走査型X線源、18 X線、20 検査対象、22 X線検出器駆動部、23 X線検出器、30 画像取得制御機構、32 検出器駆動制御機構、34 画像データ取得部、40 入力部、50 出力部、55 表示部、60 X線源制御機構、62 X線源制御部、70 演算部、72 X線源制御部、74 画像取得制御部、76 再構成部、78 良否判定部、80 検査対象位置制御部、82 X線焦点位置計算部、84 撮像条件設定部、86 検査情報生成部、90 記憶部、90a 主記憶部、90b 補助記憶部、92 X線焦点位置情報、94 撮像条件情報、96 プログラム、98 画像データ、100 X線検査装置、110 検査対象駆動機構、111a,111b ステージ、112a,112b 基板レール、114 変位計、124 変位計制御機構、126 基板駆動制御機構、800 解析モードテーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、前記検査対象領域の断層画像の再構成処理を実行するためのX線検査装置であって、
前記X線検査装置の動作条件であって、対象物を検査するために使用される標準の動作条件を格納するための標準条件記憶手段と、
前記対象物が不良品である場合の再検査に使用するための、前記標準の動作条件とは異なる1つ以上の再検査動作条件を格納するための再検査条件記憶手段と、
前記複数の検出面で撮像するためのX線検出機構と、
前記X線検出機構を移動するためのX線検出機構移動手段と、
前記対象物を移動するための対象物移動手段と、
前記検査対象領域を透過したX線が、1の検出面にある前記X線検出機構に入射するようにX線を出力するX線出力手段と、
前記X線検査装置の動作を制御するための制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記標準の動作条件に基づいて、前記対象物が良品であるか不良品であるかを判定するための判定手段と、
前記対象物が不良品である場合に、前記X線検査装置の動作条件を、前記標準の動作条件から前記再検査動作条件に切り換えて、前記再検査動作条件に基づいて前記X線検査装置の動作を制御する解析動作制御手段を含む、X線検査装置。
【請求項2】
前記再検査動作条件は、前記対象物について再検査の対象となる不良の種別によって規定された条件であり、
前記解析動作制御手段は、不良の種別に基づいた動作条件によって前記X線検査装置の動作を制御する、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記解析動作制御手段は、前記標準の動作条件によって撮像される画像よりも高い拡大率の画像を前記X線検出機構が取得するために、前記X線検出機構と前記対象物移動手段との間の距離、または、前記X線出力手段と前記対象物移動手段との間の距離を変更するように、前記X線検査装置の動作を制御する、請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記解析動作制御手段は、前記標準の動作条件に従って取得される画像の枚数よりも多い枚数の画像を取得するために、前記標準の動作条件に従って撮像するための複数の位置よりも多い位置において撮像するように、前記X線検査装置の動作を制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記解析動作制御手段は、前記対象物の不良の原因に応じて予め定められた基準に従って、X線の照射角度を変更するように、前記X線検査装置の動作を制御する、請求項1から4のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記解析動作制御手段は、前記対象物および前記X線検出機構の軌道を、前記標準の動作条件について予め定められた第1の軌道から、前記再検査動作条件として予め定められた第2の軌道に変更するように、前記X線検査装置の動作を制御する、請求項1から5のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項7】
前記解析動作制御手段は、前記標準の動作条件の下で取得される画像のコントラストよりも高いコントラストを得るために、前記再検査動作条件に基づいて、管電圧、管電流または露光時間を調整するように、前記X線検査装置の動作を制御する、請求項1から6のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項8】
前記解析動作制御手段は、前記標準の動作条件として予め定められたX線の第1の焦点径から、前記再検査動作条件として予め定められ、かつ、前記第1の焦点径よりも小さな第2の焦点径で撮像が行なわれるように、前記X線検査装置の動作を制御する、請求項1から7のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項9】
X線撮像によって得られた画像を再構成するための再構成手段をさらに備え、
前記制御手段は、画像を再構成するためのアルゴリズムを、前記標準の動作条件下の画像を再構成するために用いられる第1のアルゴリズムから、前記再検査動作条件下の画像を再構成するために用いられる第2のアルゴリズムに変更するためのアルゴリズム変更手段をさらに含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項10】
前記標準の動作条件で不良と判断された結果と、前記標準の動作条件で不良と判定された箇所について前記再検査動作条件で撮像された画像とを表示するための表示手段をさらに備える、請求項1から9のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項11】
対象物の検査対象領域を透過したX線を検出面で受光することにより、X線検査装置として機能するコンピュータが、前記検査対象領域の断層画像の再構成処理を実行するためのX線検査方法であって、
対象物を検査するために使用される標準の動作条件を、前記コンピュータのメモリにロードするステップと、
前記対象物が不良品である場合の再検査に使用するための、前記標準の動作条件とは異なる1つ以上の再検査動作条件を前記メモリにロードするステップとを備え、前記1つ以上の再検査動作条件は、検査の対象となる不良の種別に応じて規定されており、
前記検査対象領域を透過したX線が、撮像位置にあるX線検出機構に入射するようにX線を出力するステップと、
前記X線検査装置の動作を制御するステップとを備え、
前記制御するステップは、
前記標準の動作条件に基づいて、前記対象物が良品であるか不良品であるかを判定するステップと、
前記対象物が不良品である場合に、前記X線検査装置の動作条件を、前記標準の動作条件から前記再検査動作条件に切り換えて、前記再検査動作条件に基づいて前記X線検査装置の動作を制御するステップを含む、X線検査方法。
【請求項12】
X線撮像によって得られた画像を再構成するステップをさらに備え、
前記制御するステップは、前記アルゴリズムを、前記標準の動作条件下の画像を再構成するために用いられる第1のアルゴリズムから、前記再検査動作条件下の画像を再構成するために用いられる第2のアルゴリズムに変更するステップをさらに含む、請求項11に記載のX線検査方法。
【請求項13】
前記標準の動作条件で不良と判断された結果と、前記標準の動作条件で不良と判定された箇所について前記再検査動作条件で撮像された画像とを表示するステップをさらに備える、請求項11または12に記載のX線検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図15】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−191180(P2011−191180A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57540(P2010−57540)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】