X線検査装置
【課題】X線の外部漏洩を効果的に抑制することが可能なX線検査装置を得る。
【解決手段】X線検査装置1は、シールドボックス2,3と、シールドボックス2,3内に配置されたX線照射部及びX線検出部と、物品100がX線照射部とX線検出部との間のX線照射経路60を通過するように、物品100を搬送するベルトコンベアユニット8と、X線照射部の下方においてベルトコンベアユニット8に取り付けられ、X線照射方向に関するX線照射経路60の一部を取り囲む、X線遮蔽部材19とを備える。
【解決手段】X線検査装置1は、シールドボックス2,3と、シールドボックス2,3内に配置されたX線照射部及びX線検出部と、物品100がX線照射部とX線検出部との間のX線照射経路60を通過するように、物品100を搬送するベルトコンベアユニット8と、X線照射部の下方においてベルトコンベアユニット8に取り付けられ、X線照射方向に関するX線照射経路60の一部を取り囲む、X線遮蔽部材19とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術に係るX線検査装置が、例えば下記特許文献1に開示されている。X線源の出力部にX線絞り筒が連結されており、X線絞り筒の周囲を覆うように反射X線除去円筒板が配置されている。X線源は、筐体の天井の上面上方に配置されている。X線絞り筒は、筐体の天井を貫通して配置されている。反射X線除去円筒板は、筐体の天井の下面に固定されている。また、筐体には、物品の搬入口及び搬出口が形成されている。下記特許文献1によると、反射X線除去円筒板を配置することによって、X線の外部漏洩が防止されると述べられている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−347424号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたX線検査装置によると、筐体の天井の下面に反射X線除去円筒板が配置されている。従って、筐体の天井(X線絞り筒)から筐体内部に向かって出射されるX線の放射角は、反射X線除去円筒板によって制限される。そのため、筐体の天井から出射されたX線が直接的に搬入口及び搬出口から外部に漏洩することは、防止可能と考えられる。
【0005】
しかしながら、X線検査装置においては、X線源から出射されて被検物に照射されたX線が、被検物によって散乱される場合がある。この場合、上記特許文献1に開示されたような、筐体の天井の下面に配置された反射X線除去円筒板によっては、被検物から搬入口又は搬出口に向かって進行する散乱X線の外部漏洩を防止できない。つまり、上記特許文献1に開示されたX線検査装置によると、X線(特に散乱X線)の外部漏洩に対する対策が不十分であるという問題がある。
【0006】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、X線の外部漏洩を効果的に抑制することが可能なX線検査装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るX線検査装置は、検査対象である物品にX線を照射し、前記物品を透過したX線を検出することにより、前記物品に対する検査を実行するX線検査装置であって、シールドボックスと、前記シールドボックス内に配置されたX線照射部及びX線検出部と、前記物品が前記X線照射部と前記X線検出部との間のX線照射経路を通過するように、前記物品を搬送する搬送部と、前記X線照射部の下方において前記搬送部に取り付けられ、X線照射方向に関する前記X線照射経路の一部を取り囲む、X線遮蔽部材とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係るX線検査装置によれば、X線遮蔽部材は、X線照射部の下方において搬送部に取り付けられている。つまり、シールドボックスの天井に配置される場合と比較すると、物品により近い位置にX線遮蔽部材が配置されている。従って、X線照射部から物品に照射されたX線が物品によって散乱された場合であっても、散乱X線の少なくとも一部をX線遮蔽部材によって遮蔽することができる。その結果、シールドボックスの外部にX線が漏洩する事態を、回避又は抑制することが可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様に係るX線検査装置は、第1の態様に係るX線検査装置において特に、前記搬送部は、前記シールドボックスに着脱自在に取り付けられ、前記X線遮蔽部材は、前記搬送部に着脱自在に取り付けられることを特徴とするものである。
【0010】
第2の態様に係るX線検査装置によれば、清掃時においては、シールドボックスから搬送部を取り外すことにより、搬送部に伴ってX線遮蔽部材もシールドボックスから取り出され、その状態で、搬送部からX線遮蔽部材を取り外すことができる。このように、X線遮蔽部材の取り外し作業が容易であるため、X線遮蔽部材の清掃性を高めることが可能となる。
【0011】
本発明の第3の態様に係るX線検査装置は、第2の態様に係るX線検査装置において特に、前記X線遮蔽部材の上端と前記X線照射部の下端との間には隙間が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
第3の態様に係るX線検査装置によれば、横方向にスライドさせて搬送部をシールドボックスから引き抜く際に、X線遮蔽部材とX線照射部とが互いに接触しない。従って、この接触に起因してX線遮蔽部材又はX線照射部が破損する事態を、回避することが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様に係るX線検査装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係るX線検査装置において特に、前記X線遮蔽部材が前記シールドボックス内の所定の箇所に位置しているか否かを検出する検出手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0014】
第4の態様に係るX線検査装置によれば、X線遮蔽部材がシールドボックス内の所定の箇所に位置していないことを検出手段が検出した場合には、アラームによって作業者に報知すること等により、検査を実行させないことができる。その結果、不適切な状態で検査が実行されてX線が外部に漏洩する事態を、回避することが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様に係るX線検査装置は、第1〜第4のいずれか一つの態様に係るX線検査装置において特に、前記X線遮蔽部材には、前記搬送部の搬送面の直上に、物品通過用の窓が設けられており、前記シールドボックスには、物品搬送方向に関する前記搬送面の端部に対応する箇所に、物品通過用の開口部が設けられており、前記開口部は前記窓よりも下方に位置していることを特徴とするものである。
【0016】
第5の態様に係るX線検査装置によれば、シールドボックスの開口部は、X線遮蔽部材の窓よりも下方に位置している。従って、物品からの散乱X線が窓を通過してX線遮蔽部材の外部に漏洩した場合であっても、その散乱X線が開口部を通過してシールドボックスの外部に漏洩する事態を、回避又は抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、X線の外部漏洩を効果的に抑制することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係るX線検査装置1の構成を示す正面図である。なお、本明細書においては、図中に示した座標軸のX軸に平行な方向からX線検査装置1(又はその部分)を眺めた図を正面図とし、Y軸に平行な方向から眺めた図を側面図とする。
【0020】
図1に示すように、X線検査装置1は、シールドボックス2〜5、下部筐体6、及びベルトコンベアユニット8を備えて構成されている。シールドボックス2〜5は、X線がX線検査装置1の外部に漏洩することを防止する。シールドボックス2の前面板2Aには、タッチパネル機能付きのモニタ11が取り付けられている。シールドボックス3〜5のそれぞれの内部空間は繋がっており、ベルトコンベアユニット8は、シールドボックス3〜5の内部空間に跨って配設されている。
【0021】
シールドボックス3の前面板12の中央下端部は、支持板13の上端部に固定されている。支持板13の下端部は、下部筐体6に取り付けられている。支持板13は、その下辺に沿った水平軸を中心として回転自在である。図1の状態から前面板12を手前側に倒すことにより、シールドボックス3の内部を露呈させることができる。シールドボックス4,5は、シールドボックス12に対して着脱自在に取り付けられている。下部筐体6の内部には、X線検査装置1の動作制御及びデータ処理を行うためのコンピュータ14が配設されている。下部筐体6は、その側面に固定された支持脚7によって支持されている。
【0022】
図2は、前面板2A及びシールドボックス4,5を取り外し、かつ前面板12を手前側に倒した状態のX線検査装置1を示す正面図である。シールドボックス2の内部には、X線源15及び案内筒16が配設されている。案内筒16は、X線源15によって発生されたX線を下方に導く。シールドボックス3の上面には、スリット17が形成されている。案内筒16の下端から出射されたX線は、スリット17を通過することによって扇形状に成形されて、シールドボックス3内に下方向(図中のZ軸方向)に向かって照射される。つまり、X線源15、案内筒16、及びスリット17は、シールドボックス3内にX線を照射するためのX線照射部として機能する。
【0023】
ベルトコンベアユニット8は、両端部よりも中央部が高い台形状の外形をなしている。ベルトコンベアユニット8の外周には、ベルト44が巻装されている。ベルトコンベアユニット8の内部には、X線検出部として機能するX線センサ18が配設されている。また、ベルトコンベアユニット8には、スリット17の下方の位置にX線遮蔽部材19が取り付けられている。X線遮蔽部材19の詳細については後述する。
【0024】
ベルトコンベアユニット8は、支持脚9によって支持されている。支持脚9の下端部には、キャスター10が固定されている。図2の状態からベルトコンベアユニット8を手前方向(図中のX軸方向)にスライドさせることにより、シールドボックス3内からベルトコンベアユニット8を引き抜くことができる。
【0025】
図3は、ベルトコンベアユニット8が引き抜かれた状態のX線検査装置1を示す正面図であり、図4は、引き抜かれたベルトコンベアユニット8を示す正面図である。X線遮蔽部材19はベルトコンベアユニット8に取り付けられているため、図3,4に示すように、ベルトコンベアユニット8を引き抜くことによって、X線遮蔽部材19も併せてシールドボックス3内から引き抜かれる。
【0026】
以下、図2を参照して、X線検査装置1の動作の概要について説明する。但し、実際には、シールドボックス4,5が取り付けられ、かつ前面板12が閉じられた状態(つまり図1の状態)で、検査が実行される。
【0027】
検査対象物である物品100は、X線検査装置1の上流側(図2では左側)から、ベルトコンベアユニット8の上流端(図2では左端)に供給される。物品100は、例えば食品であり、より具体的には、パッケージングされていない生のミンチ肉等である。
【0028】
供給された物品100は、ベルト44上を上流から下流に向かって搬送され、いずれスリット17とX線センサ18との間のX線照射経路を通過する。X線センサ18は、スリット17から照射されて物品100を透過してきたX線を検出する。X線センサ18から出力された検出信号は、図1に示したコンピュータ14に入力される。物品100内に異物が混入していると、その異物の混入箇所において、X線センサ18が検出するX線の強度が極端に低下する。コンピュータ14は、X線センサ18から入力された検出信号に基づいて、物品100内における異物の有無、大きさ、混入箇所等を判定する。判定結果は、図1に示したモニタ11上に表示される。
【0029】
物品100は、X線照射経路を通過した後、ベルトコンベアユニット8の下流端(図2では右端)から排出される。図2では図示を省略しているが、X線検査装置1の下流側(図2では右側)には任意の振分機構が配設されており、不良品と判定された物品100は、振分機構によって正常ルートから排除される。
【0030】
以下、X線遮蔽部材19について詳細に説明する。図5、図6、及び図7はそれぞれ、X線遮蔽部材19の構造を示す斜視図、側面図、及び上面図である。X線遮蔽部材19は、概ね、中空の直方体の形状を有している。直方体の4つの側面は4枚の遮蔽板20〜23によって構成されており、直方体の上面及び底面はいずれも開口している。遮蔽板22の下部には、切り欠き部26と、直方体の内側に向けて突き出た突出部28とが形成されている。遮蔽板20,21の下端部には、直方体の内側に向けて折り曲げられた曲げ部24,25がそれぞれ形成されている。また、遮蔽板20,21の下方には、物品100を通過させるための窓29,30がそれぞれ形成されている。遮蔽板23の下部には、フック構造27が固定されている。
【0031】
図8〜10は、ベルトコンベアユニット8の構造を示す上面図である。図8を参照して、筐体31の内部には、X線センサ18(図8には現れない)が配設されている。筐体31の上面には、X線センサ18の配設箇所の上方に、筐体31の上面を貫通する溝43が形成されている。また、筐体31の上面には、X線遮蔽部材19を取り付けるべき箇所に、凹部42が形成されている。筐体31には、X線遮蔽部材19を取り付けるべき箇所に、支持台40が固定されている。支持台40には、パチン錠41が固定されている。筐体31の上面上には、ベルト44(図8では省略)を支持するためのローラ32〜35及びフレーム36〜39が配設されている。溝43は、フレーム37とフレーム38との間の隙間から露呈している。
【0032】
図8の構造にベルト44を巻き付けたものが、図9となる。また、図9の構造にX線遮蔽部材19を取り付けたものが、図10となる。
【0033】
図11は、X線遮蔽部材19の取り付け構造を示す側面図である。フレーム38(及びフレーム37)の端部には突出部50が形成されており、この突出部50を遮蔽板22の切り欠き部26に嵌め込むことにより、遮蔽板22とフレーム38(及びフレーム37)とが互いに固定される。また、遮蔽板23を支持台40上に載置して、遮蔽板23のフック構造27にパチン錠41のアーム部を通した後に、パチン錠41をロックすることにより、遮蔽板23と支持台40とが互いに固定される。このように、遮蔽板22がフレーム38(及びフレーム37)に固定され、遮蔽板23が支持台40に固定されることにより、X線遮蔽部材19はベルトコンベアユニット8に取り付けられる。また、パチン錠41のロックを解除することにより、X線遮蔽部材19をベルトコンベアユニット8から取り外すことも可能である。つまり、X線遮蔽部材19はベルトコンベアユニット8に着脱自在に取り付けられている。
【0034】
図12は、X線遮蔽部材19とX線照射経路60との位置関係を模式的に示す斜視図である。図12に示すように、X線遮蔽部材19は、X線照射経路60の一部(Z軸方向に関する一部)を取り囲むように配置されている。換言すれば、Z軸方向に関するX線照射経路60の一部が、遮蔽板20〜23によって取り囲まれている。
【0035】
図13は、X線センサ18の配設箇所に関して、ベルトコンベアユニット8の断面構造を示す断面図である。X線センサ18は、X軸方向に沿って並ぶ複数のX線検出素子を有している。
【0036】
X線センサ18を構成する複数のX線検出素子のうち、X線センサ18の一端部に位置するX線検出素子18Aは、X線遮蔽部材19がシールドボックス3内の正しい箇所にセットされているか否かを検出するための検出手段として使用される。X線遮蔽部材19が正しい箇所にセットされていると、X線照射経路60の端部の経路61は、X線遮蔽部材19の突出部28によって遮られる。従って、X線検出素子18AがX線を検出しない(あるいは検出したX線の強度が著しく低い)ことにより、X線遮蔽部材19が正しい箇所にセットされていることを検出することができる。
【0037】
同様に、X線センサ18を構成する複数のX線検出素子のうち、X線センサ18の他端部に位置するX線検出素子18Bは、ベルトコンベアユニット8がシールドボックス3内の正しい箇所にセットされているか否かを検出するための検出手段として使用される。ベルトコンベアユニット8が正しい箇所にセットされていると、X線照射経路60の端部の経路62は、筐体31の上面によって遮られる。従って、X線検出素子18BがX線を検出しない(あるいは検出したX線の強度が著しく低い)ことにより、ベルトコンベアユニット8が正しい箇所にセットされていることを検出することができる。
【0038】
このように本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、例えば図2に示したように、X線遮蔽部材19は、スリット17(X線照射部)の下方においてベルトコンベアユニット8(搬送部)に取り付けられている。つまり、シールドボックス3の天井に配置される場合と比較すると、物品100により近い位置にX線遮蔽部材19が配置されている。従って、X線照射部から物品100に照射されたX線が物品100によって散乱された場合であっても、散乱X線の少なくとも一部をX線遮蔽部材19によって遮蔽することができる。その結果、シールドボックス3〜5の外部にX線が漏洩する事態を、回避又は抑制することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、ベルトコンベアユニット8はシールドボックス3に着脱自在に取り付けられており、X線遮蔽部材19はベルトコンベアユニット8に着脱自在に取り付けられている。従って、清掃時においては、シールドボックス3からベルトコンベアユニット8を取り外すことにより、ベルトコンベアユニット8に伴ってX線遮蔽部材19もシールドボックス3から取り出される。そして、その状態で、ベルトコンベアユニット8からX線遮蔽部材19を取り外すことができる。このように、X線遮蔽部材19の取り外し作業が容易であるため、X線遮蔽部材19の清掃性を高めることが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、例えば図2に示したように、X線遮蔽部材19の上端とX線照射部との間には隙間が設けられている。従って、横方向にスライドさせてベルトコンベアユニット8をシールドボックス3から引き抜く際に、X線遮蔽部材19とX線照射部とが互いに接触しない。従って、この接触に起因してX線遮蔽部材19又はX線照射部が破損する事態を、回避することが可能となる。
【0041】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、図13に示したように、X線検出素子18Aによって、X線遮蔽部材19がシールドボックス3内の所定の箇所に位置しているか否かを検出することができる。従って、X線遮蔽部材19が所定の箇所に位置していないことを検出した場合には、アラームによって作業者に報知すること等により、検査を実行させないことができる。その結果、不適切な状態で検査が実行されてX線が外部に漏洩する事態を、回避することが可能となる。
【0042】
図5〜7に示したように、X線遮蔽部材19には物品通過用の窓29,30が形成されている。そのため、物品100からの散乱X線の一部は、この窓29,30を通ってX線遮蔽部材19の外部に漏洩し得る。以下では、X線遮蔽部材19の外部に漏洩した散乱X線の対策について説明する。
【0043】
図14は、X線遮蔽部材19の窓29,30と、シールドボックス4,5の開口部70,71との位置関係を示す図である。シールドボックス4の下部には、物品100をX線検査装置1内に搬入すべく、物品100を通過させるための開口部70が形成されている。また、シールドボックス5の下部には、物品100をX線検査装置1から搬出すべく、物品100を通過させるための開口部71が形成されている。また、詳細には図5〜7に示したように、X線遮蔽部材19には、物品100を通過させるための窓29,30が形成されている。
【0044】
図14に示すように、開口部70の下端の高さをH1、上端の高さをH2とし、窓29の下端の高さをH3、上端の高さをH4とすると、高さH2は高さH3よりも低い。つまり、開口部70は窓29よりも下方に位置している。同様に、開口部71の下端の高さをH5、上端の高さをH6とし、窓30の下端の高さをH7、上端の高さをH8とすると、高さH6は高さH7よりも低い。つまり、開口部71は窓30よりも下方に位置している。
【0045】
従って、物品100からの散乱X線L1,L2が窓29,30を通過してX線遮蔽部材19の外部に漏洩した場合であっても、散乱X線L1,L2が開口部70,71を通過してシールドボックス4,5の外部に漏洩する事態を、回避又は抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係るX線検査装置の構成を示す正面図である。
【図2】X線検査装置の内部構造を示す正面図である。
【図3】ベルトコンベアユニットが引き抜かれた状態のX線検査装置を示す正面図である。
【図4】引き抜かれたベルトコンベアユニットを示す正面図である。
【図5】X線遮蔽部材の構造を示す斜視図である。
【図6】X線遮蔽部材の構造を示す側面図である。
【図7】X線遮蔽部材の構造を示す上面図である。
【図8】ベルトコンベアユニットの構造を示す上面図である。
【図9】ベルトコンベアユニットの構造を示す上面図である。
【図10】ベルトコンベアユニットの構造を示す上面図である。
【図11】X線遮蔽部材の取り付け構造を示す側面図である。
【図12】X線遮蔽部材とX線照射経路との位置関係を模式的に示す斜視図である。
【図13】ベルトコンベアユニットの断面構造を示す断面図である。
【図14】X線遮蔽部材の窓とシールドボックスの開口部との位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 X線検査装置
2〜5 シールドボックス
8 ベルトコンベアユニット
15 X線源
16 案内筒
17 スリット
18 X線センサ
18A X線検出素子
19 X線遮蔽部材
20〜24 遮蔽板
28 突出部
29,30 窓
60 X線照射経路
70,71 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術に係るX線検査装置が、例えば下記特許文献1に開示されている。X線源の出力部にX線絞り筒が連結されており、X線絞り筒の周囲を覆うように反射X線除去円筒板が配置されている。X線源は、筐体の天井の上面上方に配置されている。X線絞り筒は、筐体の天井を貫通して配置されている。反射X線除去円筒板は、筐体の天井の下面に固定されている。また、筐体には、物品の搬入口及び搬出口が形成されている。下記特許文献1によると、反射X線除去円筒板を配置することによって、X線の外部漏洩が防止されると述べられている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−347424号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたX線検査装置によると、筐体の天井の下面に反射X線除去円筒板が配置されている。従って、筐体の天井(X線絞り筒)から筐体内部に向かって出射されるX線の放射角は、反射X線除去円筒板によって制限される。そのため、筐体の天井から出射されたX線が直接的に搬入口及び搬出口から外部に漏洩することは、防止可能と考えられる。
【0005】
しかしながら、X線検査装置においては、X線源から出射されて被検物に照射されたX線が、被検物によって散乱される場合がある。この場合、上記特許文献1に開示されたような、筐体の天井の下面に配置された反射X線除去円筒板によっては、被検物から搬入口又は搬出口に向かって進行する散乱X線の外部漏洩を防止できない。つまり、上記特許文献1に開示されたX線検査装置によると、X線(特に散乱X線)の外部漏洩に対する対策が不十分であるという問題がある。
【0006】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、X線の外部漏洩を効果的に抑制することが可能なX線検査装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るX線検査装置は、検査対象である物品にX線を照射し、前記物品を透過したX線を検出することにより、前記物品に対する検査を実行するX線検査装置であって、シールドボックスと、前記シールドボックス内に配置されたX線照射部及びX線検出部と、前記物品が前記X線照射部と前記X線検出部との間のX線照射経路を通過するように、前記物品を搬送する搬送部と、前記X線照射部の下方において前記搬送部に取り付けられ、X線照射方向に関する前記X線照射経路の一部を取り囲む、X線遮蔽部材とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係るX線検査装置によれば、X線遮蔽部材は、X線照射部の下方において搬送部に取り付けられている。つまり、シールドボックスの天井に配置される場合と比較すると、物品により近い位置にX線遮蔽部材が配置されている。従って、X線照射部から物品に照射されたX線が物品によって散乱された場合であっても、散乱X線の少なくとも一部をX線遮蔽部材によって遮蔽することができる。その結果、シールドボックスの外部にX線が漏洩する事態を、回避又は抑制することが可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様に係るX線検査装置は、第1の態様に係るX線検査装置において特に、前記搬送部は、前記シールドボックスに着脱自在に取り付けられ、前記X線遮蔽部材は、前記搬送部に着脱自在に取り付けられることを特徴とするものである。
【0010】
第2の態様に係るX線検査装置によれば、清掃時においては、シールドボックスから搬送部を取り外すことにより、搬送部に伴ってX線遮蔽部材もシールドボックスから取り出され、その状態で、搬送部からX線遮蔽部材を取り外すことができる。このように、X線遮蔽部材の取り外し作業が容易であるため、X線遮蔽部材の清掃性を高めることが可能となる。
【0011】
本発明の第3の態様に係るX線検査装置は、第2の態様に係るX線検査装置において特に、前記X線遮蔽部材の上端と前記X線照射部の下端との間には隙間が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
第3の態様に係るX線検査装置によれば、横方向にスライドさせて搬送部をシールドボックスから引き抜く際に、X線遮蔽部材とX線照射部とが互いに接触しない。従って、この接触に起因してX線遮蔽部材又はX線照射部が破損する事態を、回避することが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様に係るX線検査装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係るX線検査装置において特に、前記X線遮蔽部材が前記シールドボックス内の所定の箇所に位置しているか否かを検出する検出手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0014】
第4の態様に係るX線検査装置によれば、X線遮蔽部材がシールドボックス内の所定の箇所に位置していないことを検出手段が検出した場合には、アラームによって作業者に報知すること等により、検査を実行させないことができる。その結果、不適切な状態で検査が実行されてX線が外部に漏洩する事態を、回避することが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様に係るX線検査装置は、第1〜第4のいずれか一つの態様に係るX線検査装置において特に、前記X線遮蔽部材には、前記搬送部の搬送面の直上に、物品通過用の窓が設けられており、前記シールドボックスには、物品搬送方向に関する前記搬送面の端部に対応する箇所に、物品通過用の開口部が設けられており、前記開口部は前記窓よりも下方に位置していることを特徴とするものである。
【0016】
第5の態様に係るX線検査装置によれば、シールドボックスの開口部は、X線遮蔽部材の窓よりも下方に位置している。従って、物品からの散乱X線が窓を通過してX線遮蔽部材の外部に漏洩した場合であっても、その散乱X線が開口部を通過してシールドボックスの外部に漏洩する事態を、回避又は抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、X線の外部漏洩を効果的に抑制することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係るX線検査装置1の構成を示す正面図である。なお、本明細書においては、図中に示した座標軸のX軸に平行な方向からX線検査装置1(又はその部分)を眺めた図を正面図とし、Y軸に平行な方向から眺めた図を側面図とする。
【0020】
図1に示すように、X線検査装置1は、シールドボックス2〜5、下部筐体6、及びベルトコンベアユニット8を備えて構成されている。シールドボックス2〜5は、X線がX線検査装置1の外部に漏洩することを防止する。シールドボックス2の前面板2Aには、タッチパネル機能付きのモニタ11が取り付けられている。シールドボックス3〜5のそれぞれの内部空間は繋がっており、ベルトコンベアユニット8は、シールドボックス3〜5の内部空間に跨って配設されている。
【0021】
シールドボックス3の前面板12の中央下端部は、支持板13の上端部に固定されている。支持板13の下端部は、下部筐体6に取り付けられている。支持板13は、その下辺に沿った水平軸を中心として回転自在である。図1の状態から前面板12を手前側に倒すことにより、シールドボックス3の内部を露呈させることができる。シールドボックス4,5は、シールドボックス12に対して着脱自在に取り付けられている。下部筐体6の内部には、X線検査装置1の動作制御及びデータ処理を行うためのコンピュータ14が配設されている。下部筐体6は、その側面に固定された支持脚7によって支持されている。
【0022】
図2は、前面板2A及びシールドボックス4,5を取り外し、かつ前面板12を手前側に倒した状態のX線検査装置1を示す正面図である。シールドボックス2の内部には、X線源15及び案内筒16が配設されている。案内筒16は、X線源15によって発生されたX線を下方に導く。シールドボックス3の上面には、スリット17が形成されている。案内筒16の下端から出射されたX線は、スリット17を通過することによって扇形状に成形されて、シールドボックス3内に下方向(図中のZ軸方向)に向かって照射される。つまり、X線源15、案内筒16、及びスリット17は、シールドボックス3内にX線を照射するためのX線照射部として機能する。
【0023】
ベルトコンベアユニット8は、両端部よりも中央部が高い台形状の外形をなしている。ベルトコンベアユニット8の外周には、ベルト44が巻装されている。ベルトコンベアユニット8の内部には、X線検出部として機能するX線センサ18が配設されている。また、ベルトコンベアユニット8には、スリット17の下方の位置にX線遮蔽部材19が取り付けられている。X線遮蔽部材19の詳細については後述する。
【0024】
ベルトコンベアユニット8は、支持脚9によって支持されている。支持脚9の下端部には、キャスター10が固定されている。図2の状態からベルトコンベアユニット8を手前方向(図中のX軸方向)にスライドさせることにより、シールドボックス3内からベルトコンベアユニット8を引き抜くことができる。
【0025】
図3は、ベルトコンベアユニット8が引き抜かれた状態のX線検査装置1を示す正面図であり、図4は、引き抜かれたベルトコンベアユニット8を示す正面図である。X線遮蔽部材19はベルトコンベアユニット8に取り付けられているため、図3,4に示すように、ベルトコンベアユニット8を引き抜くことによって、X線遮蔽部材19も併せてシールドボックス3内から引き抜かれる。
【0026】
以下、図2を参照して、X線検査装置1の動作の概要について説明する。但し、実際には、シールドボックス4,5が取り付けられ、かつ前面板12が閉じられた状態(つまり図1の状態)で、検査が実行される。
【0027】
検査対象物である物品100は、X線検査装置1の上流側(図2では左側)から、ベルトコンベアユニット8の上流端(図2では左端)に供給される。物品100は、例えば食品であり、より具体的には、パッケージングされていない生のミンチ肉等である。
【0028】
供給された物品100は、ベルト44上を上流から下流に向かって搬送され、いずれスリット17とX線センサ18との間のX線照射経路を通過する。X線センサ18は、スリット17から照射されて物品100を透過してきたX線を検出する。X線センサ18から出力された検出信号は、図1に示したコンピュータ14に入力される。物品100内に異物が混入していると、その異物の混入箇所において、X線センサ18が検出するX線の強度が極端に低下する。コンピュータ14は、X線センサ18から入力された検出信号に基づいて、物品100内における異物の有無、大きさ、混入箇所等を判定する。判定結果は、図1に示したモニタ11上に表示される。
【0029】
物品100は、X線照射経路を通過した後、ベルトコンベアユニット8の下流端(図2では右端)から排出される。図2では図示を省略しているが、X線検査装置1の下流側(図2では右側)には任意の振分機構が配設されており、不良品と判定された物品100は、振分機構によって正常ルートから排除される。
【0030】
以下、X線遮蔽部材19について詳細に説明する。図5、図6、及び図7はそれぞれ、X線遮蔽部材19の構造を示す斜視図、側面図、及び上面図である。X線遮蔽部材19は、概ね、中空の直方体の形状を有している。直方体の4つの側面は4枚の遮蔽板20〜23によって構成されており、直方体の上面及び底面はいずれも開口している。遮蔽板22の下部には、切り欠き部26と、直方体の内側に向けて突き出た突出部28とが形成されている。遮蔽板20,21の下端部には、直方体の内側に向けて折り曲げられた曲げ部24,25がそれぞれ形成されている。また、遮蔽板20,21の下方には、物品100を通過させるための窓29,30がそれぞれ形成されている。遮蔽板23の下部には、フック構造27が固定されている。
【0031】
図8〜10は、ベルトコンベアユニット8の構造を示す上面図である。図8を参照して、筐体31の内部には、X線センサ18(図8には現れない)が配設されている。筐体31の上面には、X線センサ18の配設箇所の上方に、筐体31の上面を貫通する溝43が形成されている。また、筐体31の上面には、X線遮蔽部材19を取り付けるべき箇所に、凹部42が形成されている。筐体31には、X線遮蔽部材19を取り付けるべき箇所に、支持台40が固定されている。支持台40には、パチン錠41が固定されている。筐体31の上面上には、ベルト44(図8では省略)を支持するためのローラ32〜35及びフレーム36〜39が配設されている。溝43は、フレーム37とフレーム38との間の隙間から露呈している。
【0032】
図8の構造にベルト44を巻き付けたものが、図9となる。また、図9の構造にX線遮蔽部材19を取り付けたものが、図10となる。
【0033】
図11は、X線遮蔽部材19の取り付け構造を示す側面図である。フレーム38(及びフレーム37)の端部には突出部50が形成されており、この突出部50を遮蔽板22の切り欠き部26に嵌め込むことにより、遮蔽板22とフレーム38(及びフレーム37)とが互いに固定される。また、遮蔽板23を支持台40上に載置して、遮蔽板23のフック構造27にパチン錠41のアーム部を通した後に、パチン錠41をロックすることにより、遮蔽板23と支持台40とが互いに固定される。このように、遮蔽板22がフレーム38(及びフレーム37)に固定され、遮蔽板23が支持台40に固定されることにより、X線遮蔽部材19はベルトコンベアユニット8に取り付けられる。また、パチン錠41のロックを解除することにより、X線遮蔽部材19をベルトコンベアユニット8から取り外すことも可能である。つまり、X線遮蔽部材19はベルトコンベアユニット8に着脱自在に取り付けられている。
【0034】
図12は、X線遮蔽部材19とX線照射経路60との位置関係を模式的に示す斜視図である。図12に示すように、X線遮蔽部材19は、X線照射経路60の一部(Z軸方向に関する一部)を取り囲むように配置されている。換言すれば、Z軸方向に関するX線照射経路60の一部が、遮蔽板20〜23によって取り囲まれている。
【0035】
図13は、X線センサ18の配設箇所に関して、ベルトコンベアユニット8の断面構造を示す断面図である。X線センサ18は、X軸方向に沿って並ぶ複数のX線検出素子を有している。
【0036】
X線センサ18を構成する複数のX線検出素子のうち、X線センサ18の一端部に位置するX線検出素子18Aは、X線遮蔽部材19がシールドボックス3内の正しい箇所にセットされているか否かを検出するための検出手段として使用される。X線遮蔽部材19が正しい箇所にセットされていると、X線照射経路60の端部の経路61は、X線遮蔽部材19の突出部28によって遮られる。従って、X線検出素子18AがX線を検出しない(あるいは検出したX線の強度が著しく低い)ことにより、X線遮蔽部材19が正しい箇所にセットされていることを検出することができる。
【0037】
同様に、X線センサ18を構成する複数のX線検出素子のうち、X線センサ18の他端部に位置するX線検出素子18Bは、ベルトコンベアユニット8がシールドボックス3内の正しい箇所にセットされているか否かを検出するための検出手段として使用される。ベルトコンベアユニット8が正しい箇所にセットされていると、X線照射経路60の端部の経路62は、筐体31の上面によって遮られる。従って、X線検出素子18BがX線を検出しない(あるいは検出したX線の強度が著しく低い)ことにより、ベルトコンベアユニット8が正しい箇所にセットされていることを検出することができる。
【0038】
このように本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、例えば図2に示したように、X線遮蔽部材19は、スリット17(X線照射部)の下方においてベルトコンベアユニット8(搬送部)に取り付けられている。つまり、シールドボックス3の天井に配置される場合と比較すると、物品100により近い位置にX線遮蔽部材19が配置されている。従って、X線照射部から物品100に照射されたX線が物品100によって散乱された場合であっても、散乱X線の少なくとも一部をX線遮蔽部材19によって遮蔽することができる。その結果、シールドボックス3〜5の外部にX線が漏洩する事態を、回避又は抑制することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、ベルトコンベアユニット8はシールドボックス3に着脱自在に取り付けられており、X線遮蔽部材19はベルトコンベアユニット8に着脱自在に取り付けられている。従って、清掃時においては、シールドボックス3からベルトコンベアユニット8を取り外すことにより、ベルトコンベアユニット8に伴ってX線遮蔽部材19もシールドボックス3から取り出される。そして、その状態で、ベルトコンベアユニット8からX線遮蔽部材19を取り外すことができる。このように、X線遮蔽部材19の取り外し作業が容易であるため、X線遮蔽部材19の清掃性を高めることが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、例えば図2に示したように、X線遮蔽部材19の上端とX線照射部との間には隙間が設けられている。従って、横方向にスライドさせてベルトコンベアユニット8をシールドボックス3から引き抜く際に、X線遮蔽部材19とX線照射部とが互いに接触しない。従って、この接触に起因してX線遮蔽部材19又はX線照射部が破損する事態を、回避することが可能となる。
【0041】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、図13に示したように、X線検出素子18Aによって、X線遮蔽部材19がシールドボックス3内の所定の箇所に位置しているか否かを検出することができる。従って、X線遮蔽部材19が所定の箇所に位置していないことを検出した場合には、アラームによって作業者に報知すること等により、検査を実行させないことができる。その結果、不適切な状態で検査が実行されてX線が外部に漏洩する事態を、回避することが可能となる。
【0042】
図5〜7に示したように、X線遮蔽部材19には物品通過用の窓29,30が形成されている。そのため、物品100からの散乱X線の一部は、この窓29,30を通ってX線遮蔽部材19の外部に漏洩し得る。以下では、X線遮蔽部材19の外部に漏洩した散乱X線の対策について説明する。
【0043】
図14は、X線遮蔽部材19の窓29,30と、シールドボックス4,5の開口部70,71との位置関係を示す図である。シールドボックス4の下部には、物品100をX線検査装置1内に搬入すべく、物品100を通過させるための開口部70が形成されている。また、シールドボックス5の下部には、物品100をX線検査装置1から搬出すべく、物品100を通過させるための開口部71が形成されている。また、詳細には図5〜7に示したように、X線遮蔽部材19には、物品100を通過させるための窓29,30が形成されている。
【0044】
図14に示すように、開口部70の下端の高さをH1、上端の高さをH2とし、窓29の下端の高さをH3、上端の高さをH4とすると、高さH2は高さH3よりも低い。つまり、開口部70は窓29よりも下方に位置している。同様に、開口部71の下端の高さをH5、上端の高さをH6とし、窓30の下端の高さをH7、上端の高さをH8とすると、高さH6は高さH7よりも低い。つまり、開口部71は窓30よりも下方に位置している。
【0045】
従って、物品100からの散乱X線L1,L2が窓29,30を通過してX線遮蔽部材19の外部に漏洩した場合であっても、散乱X線L1,L2が開口部70,71を通過してシールドボックス4,5の外部に漏洩する事態を、回避又は抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係るX線検査装置の構成を示す正面図である。
【図2】X線検査装置の内部構造を示す正面図である。
【図3】ベルトコンベアユニットが引き抜かれた状態のX線検査装置を示す正面図である。
【図4】引き抜かれたベルトコンベアユニットを示す正面図である。
【図5】X線遮蔽部材の構造を示す斜視図である。
【図6】X線遮蔽部材の構造を示す側面図である。
【図7】X線遮蔽部材の構造を示す上面図である。
【図8】ベルトコンベアユニットの構造を示す上面図である。
【図9】ベルトコンベアユニットの構造を示す上面図である。
【図10】ベルトコンベアユニットの構造を示す上面図である。
【図11】X線遮蔽部材の取り付け構造を示す側面図である。
【図12】X線遮蔽部材とX線照射経路との位置関係を模式的に示す斜視図である。
【図13】ベルトコンベアユニットの断面構造を示す断面図である。
【図14】X線遮蔽部材の窓とシールドボックスの開口部との位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 X線検査装置
2〜5 シールドボックス
8 ベルトコンベアユニット
15 X線源
16 案内筒
17 スリット
18 X線センサ
18A X線検出素子
19 X線遮蔽部材
20〜24 遮蔽板
28 突出部
29,30 窓
60 X線照射経路
70,71 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象である物品にX線を照射し、前記物品を透過したX線を検出することにより、前記物品に対する検査を実行するX線検査装置であって、
シールドボックスと、
前記シールドボックス内に配置されたX線照射部及びX線検出部と、
前記物品が前記X線照射部と前記X線検出部との間のX線照射経路を通過するように、前記物品を搬送する搬送部と、
前記X線照射部の下方において前記搬送部に取り付けられ、X線照射方向に関する前記X線照射経路の一部を取り囲む、X線遮蔽部材と
を備える、X線検査装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記シールドボックスに着脱自在に取り付けられ、
前記X線遮蔽部材は、前記搬送部に着脱自在に取り付けられる、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記X線遮蔽部材の上端と前記X線照射部の下端との間には隙間が設けられている、請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記X線遮蔽部材が前記シールドボックス内の所定の箇所に位置しているか否かを検出する検出手段をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一つに記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記X線遮蔽部材には、前記搬送部の搬送面の直上に、物品通過用の窓が設けられており、
前記シールドボックスには、物品搬送方向に関する前記搬送面の端部に対応する箇所に、物品通過用の開口部が設けられており、
前記開口部は前記窓よりも下方に位置している、請求項1〜4のいずれか一つに記載のX線検査装置。
【請求項1】
検査対象である物品にX線を照射し、前記物品を透過したX線を検出することにより、前記物品に対する検査を実行するX線検査装置であって、
シールドボックスと、
前記シールドボックス内に配置されたX線照射部及びX線検出部と、
前記物品が前記X線照射部と前記X線検出部との間のX線照射経路を通過するように、前記物品を搬送する搬送部と、
前記X線照射部の下方において前記搬送部に取り付けられ、X線照射方向に関する前記X線照射経路の一部を取り囲む、X線遮蔽部材と
を備える、X線検査装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記シールドボックスに着脱自在に取り付けられ、
前記X線遮蔽部材は、前記搬送部に着脱自在に取り付けられる、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記X線遮蔽部材の上端と前記X線照射部の下端との間には隙間が設けられている、請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記X線遮蔽部材が前記シールドボックス内の所定の箇所に位置しているか否かを検出する検出手段をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一つに記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記X線遮蔽部材には、前記搬送部の搬送面の直上に、物品通過用の窓が設けられており、
前記シールドボックスには、物品搬送方向に関する前記搬送面の端部に対応する箇所に、物品通過用の開口部が設けられており、
前記開口部は前記窓よりも下方に位置している、請求項1〜4のいずれか一つに記載のX線検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−288200(P2009−288200A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143801(P2008−143801)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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