説明

X線検査装置

【課題】基準値(しきい値)の設定を変更する際の指標を作業者に提供することにより、基準値の設定の変更作業を効率的に行うことが可能な、X線検査装置を得る。
【解決手段】X線検査装置1は、複数の物品100に関する検査によってX線検出部5で取得された、X線の強度に関する複数の検出データS1を蓄積する蓄積手段22と、所定の基準値として、複数の物品100に関する検査で用いられた実基準値とは異なる仮想基準値を設定する設定手段24と、仮想基準値と、蓄積手段22に蓄積されている各検出データS1との比較結果に基づいて、各物品100内への異物の混入の有無を判定する判定手段25と、複数の物品100の総数における、判定手段25によって異物が混入されていると判定された物品100の個数の割合として、仮想異物混入率を算出する算出手段26と、仮想異物混入率を表示部9に表示させる表示制御手段27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線検査装置においては、X線源から物品にX線が照射され、物品を透過した透過X線がX線センサによって検出される。そして、X線センサで検出された透過X線の強度と、予め設定された所定のしきい値とが比較され、その比較の結果に基づいて物品の良/不良が判定される(例えば下記特許文献1参照)。物品内に異物が混入していると、異物の混入箇所において透過X線の強度が極端に低下する。そのため、透過X線の強度がしきい値未満となる物品を不良品(異物混入品)として検出することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−98653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通り、X線検査装置においては、透過X線の強度としきい値との比較結果に基づいて物品の良/不良が判定される。従って、適切な検査を行うためには、しきい値のレベルを適切に設定する必要がある。しきい値のレベルを低く設定し過ぎると、異物が混入している物品が良品と判定される。一方、しきい値のレベルを高く設定し過ぎると、信号のノイズ等が異物として検出されて、異物が混入していない物品が不良品と判定され、その結果、不良率(検査物品総数のうち不良品の占める割合)が上昇する。
【0005】
検査基準を一定に保つためには、物品の製造ラインが一旦稼働されると、製造ラインの稼働中にしきい値の設定を変更することはできない。従って、設定された基準値が不適切であった場合、例えば、しきい値のレベルを低く設定し過ぎて不良率が異常に高くなっている場合には、しきい値の設定を変更するために製造ラインの稼働を一旦停止させる必要がある。これによって製造ラインの稼働率が低下する。しかも、作業者の勘と経験だけでしきい値の設定を変更したとしても、変更後のしきい値が依然として不適切であった場合には、製造ラインの稼働を再び停止する必要が生じ、稼働率がさらに低下する。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、基準値(しきい値)の設定を変更する際の指標を作業者に提供することにより、基準値の設定の変更作業を効率的に行うことが可能な、X線検査装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るX線検査装置は、X線照射部から物品にX線を照射し、物品を透過したX線をX線検出部によって検出し、前記X線検出部で検出されたX線の強度と所定の基準値との比較結果に基づいて物品の良/不良を判定する、X線検査装置であって、複数の物品に関する検査によって前記X線検出部で取得された、X線の強度に関する複数の検出データを蓄積する蓄積手段と、前記所定の基準値として、前記複数の物品に関する検査で用いられた実基準値とは異なる仮想基準値を設定する設定手段と、前記仮想基準値と、前記蓄積手段に蓄積されている各検出データとの比較結果に基づいて、各物品内への異物の混入の有無を判定する判定手段と、前記複数の物品の総数における、前記判定手段によって異物が混入されていると判定された物品の個数の割合として、仮想異物混入率を算出する算出手段と、前記仮想異物混入率を表示部に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係るX線検査装置によれば、蓄積手段は、複数の物品に関する検査によってX線検出部で取得された、X線の強度に関する複数の検出データを蓄積し、設定手段は、所定の基準値として、複数の物品に関する検査で用いられた実基準値とは異なる仮想基準値を設定し、判定手段は、仮想基準値と、蓄積手段に蓄積されている各検出データとの比較結果に基づいて、各物品内への異物の混入の有無を判定し、算出手段は、複数の物品の総数における、判定手段によって異物が混入されていると判定された物品の個数の割合として、仮想異物混入率を算出する。そして、表示制御手段は、仮想異物混入率を表示部に表示させる。従って、実基準値の設定を変更する必要が生じた場合、作業者は、設定手段によって仮想基準値を所望に設定することにより、その仮想基準値に応じた仮想異物混入率が表示部に表示される。その結果、作業者は、表示部に表示された仮想異物混入率を指標として用いて、実基準値の設定の変更作業を効率的に行うことが可能となる。しかも、仮想異物混入率は、シミュレーション等による予測ではなく、複数の物品に関する実際の検査によって取得された複数の検出データに基づいて算出されるため、正確な仮想異物混入率を作業者に提供することが可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様に係るX線検査装置は、第1の態様に係るX線検査装置において特に、前記複数の物品は、実稼働されている製造ラインにおいて前記X線検査装置によって検査された物品であることを特徴とするものである。
【0010】
第2の態様に係るX線検査装置によれば、実稼働されている製造ラインのX線検査装置によって取得された検出データを用いて、仮想異物混入率を求めることができる。従って、仮想異物混入率を求めるために、製造ラインの実稼働を停止してテスト稼働を行う必要がない。その結果、製造ラインの稼働率を上げることが可能となる。
【0011】
本発明の第3の態様に係るX線検査装置は、第1又は第2の態様に係るX線検査装置において特に、前記表示部には、前記実基準値に基づいて算出された実異物混入率と、前記仮想異物混入率とが、併せて表示されることを特徴とするものである。
【0012】
第3の態様に係るX線検査装置によれば、表示部には、実異物混入率と仮想異物混入率とが併せて表示される。従って、作業者は、現在の実異物混入率と基準値変更後の仮想異物混入率とを、表示部上で目視によって容易に比較することができる。その結果、基準値の設定の変更作業を効率的に行うことが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様に係るX線検査装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係るX線検査装置において特に、前記X線検査装置は、複数の検出アルゴリズムを用いて、各検出アルゴリズムごとに異物の検出が可能であり、前記設定手段は、各検出アルゴリズムごとに前記仮想基準値を設定可能であり、前記判定手段は、各検出アルゴリズムごとに異物の混入の有無を判定し、前記算出手段は、各検出アルゴリズムごとに前記仮想異物混入率を算出し、前記表示部には、各検出アルゴリズムごとの前記仮想異物混入率が表示されることを特徴とするものである。
【0014】
第4の態様に係るX線検査装置によれば、設定手段によって各検出アルゴリズムごとに仮想基準値を所望に設定することにより、各検出アルゴリズムごとの仮想異物混入率が表示部に表示される。その結果、作業者は、表示部に表示された各検出アルゴリズムごとの仮想異物混入率を指標として用いて、各検出アルゴリズムごとの実基準値の設定の変更作業を効率的に行うことが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様に係るX線検査装置は、第4の態様に係るX線検査装置において特に、前記X線検査装置は、各検出アルゴリズムごとの異物の混入の有無の判定結果に基づいて、物品の良/不良を判定し、前記表示部には、各検出アルゴリズムごとの前記仮想異物混入率と、物品の不良率とが、併せて表示されることを特徴とするものである。
【0016】
第5の態様に係るX線検査装置によれば、表示部には、各検出アルゴリズムごとの仮想異物混入率と、物品の不良率とが、併せて表示される。従って、作業者は、表示部上に表示されたこれらの情報を目視で確認しながら、目標とする不良率を達成するための各検出アルゴリズムごとの仮想基準値の組合せを探索することが可能となる。
【0017】
本発明の第6の態様に係るX線検査装置は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係るX線検査装置において特に、前記設定手段は、前記表示部上で前記仮想基準値を設定可能であり、前記表示部には、前記仮想基準値の設定が許容される限界値が表示されることを特徴とするものである。
【0018】
第6の態様に係るX線検査装置によれば、表示部には、仮想基準値の設定が許容される限界値が表示される。従って、許容範囲を逸脱する非現実的な基準値が作業者によって設定されることに起因して、X線検査装置の検査精度が極端に低下することを、予め回避することが可能となる。
【0019】
本発明の第7の態様に係るX線検査装置は、第1〜第6のいずれか一つの態様に係るX線検査装置において特に、前記表示部には、前記X線照射部から照射されたX線の強度が表示されることを特徴とするものである。
【0020】
第7の態様に係るX線検査装置によれば、表示部には、X線照射部から照射されたX線の強度が表示される。従って、X線照射部のX線源に故障や経時劣化等のトラブルが発生している場合には、作業者は、表示部に表示されたX線の強度に関する情報を参照することにより、X線源にトラブルが発生していることを知ることができる。その結果、X線源のトラブルを知らずに基準値の変更作業が無駄に行われることを、予め回避することが可能となる。
【0021】
本発明の第8の態様に係るプログラムは、X線照射部から物品にX線を照射し、物品を透過したX線をX線検出部によって検出し、前記X線検出部で検出されたX線の強度と所定の基準値との比較結果に基づいて物品の良/不良を判定するX線検査装置に、内蔵又は外部接続されるコンピュータを、複数の物品に関する検査によって前記X線検査部で取得された、X線の強度に関する複数の検出データを蓄積する蓄積手段と、前記所定の基準値として、前記複数の物品に関する検査で用いられた実基準値とは異なる仮想基準値を設定する設定手段と、前記仮想基準値と、前記蓄積手段に蓄積されている各検出データとの比較結果に基づいて、各物品内への異物の混入の有無を判定する判定手段と、前記複数の物品の総数における、前記判定手段によって異物が混入されていると判定された物品の個数の割合として、仮想異物混入率を算出する算出手段と、前記仮想異物混入率を表示部に表示させる表示制御手段ととして機能させることを特徴とするものである。
【0022】
第8の態様に係るプログラムによれば、蓄積手段は、複数の物品に関する検査によってX線検出部で取得された、X線の強度に関する複数の検出データを蓄積し、設定手段は、所定の基準値として、複数の物品に関する検査で用いられた実基準値とは異なる仮想基準値を設定し、判定手段は、仮想基準値と、蓄積手段に蓄積されている各検出データとの比較結果に基づいて、各物品内への異物の混入の有無を判定し、算出手段は、複数の物品の総数における、判定手段によって異物が混入されていると判定された物品の個数の割合として、仮想異物混入率を算出する。そして、表示制御手段は、仮想異物混入率を表示部に表示させる。従って、実基準値の設定を変更する必要が生じた場合、作業者は、設定手段によって仮想基準値を所望に設定することにより、その仮想基準値に応じた仮想異物混入率が表示部に表示される。その結果、作業者は、表示部に表示された仮想異物混入率を指標として用いて、実基準値の設定の変更作業を効率的に行うことが可能となる。しかも、仮想異物混入率は、シミュレーション等による予測ではなく、複数の物品に関する実際の検査によって取得された複数の検出データに基づいて算出されるため、正確な仮想異物混入率を作業者に提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、基準値の設定を変更する際の指標を作業者に提供することにより、基準値の設定の変更作業を効率的に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係るX線検査装置1の構成例を示す正面図である。シールドボックス2には、検査対象である食品等の物品100を外部からシールドボックス2内に搬入するための物品搬入口3Aと、検査後の物品100をシールドボックス2から外部に搬出するための物品搬出口3Bとが形成されている。なお、図2では、シールドボックス2の内部の構造を明示するために、シールドボックス2の前面板を取り外した状態の装置構造を示している。
【0026】
シールドボックス2の内部には、X線照射部4とX線検出部5とが配置されている。X線検出部5は、ラインセンサ6を有している。ラインセンサ6は、紙面の奥行き方向に沿って延在している。X線照射部4は、ラインセンサ6に向かって扇形状にX線を照射する。つまり、X線照射部4とラインセンサ6との間の空間が、X線照射経路として規定される。
【0027】
また、シールドボックス2内には、搬送コンベア7が配置されている。搬送コンベア7は、駆動ローラを含む複数のローラ上に巻装されたコンベアベルト8を有している。搬送コンベア7は、コンベアベルト8の物品搬送面上に載置された物品100を、当該物品100がX線照射部4とラインセンサ6との間のX線照射経路を通過するように搬送する。図1に示した例では、物品100は、搬送コンベア7によって矢印D1で示す方向に搬送される。つまり、紙面の左側が物品搬送方向の上流側であり、右側が下流側である。
【0028】
また、X線検査装置1は、タッチパネル機能付きの表示部9を備えている。X線検査装置1による物品100の検査結果は、表示部9に表示される。また、X線検出部5による検出データを処理するとともに、X線検査装置1の動作を制御するためのコンピュータ10が、X線検査装置1に内蔵されている。
【0029】
検査対象物である物品100は、X線検査装置1の上流側(図1では左側)から、コンベアベルト8の上流端(図1では左端)に供給される。コンベアベルト8上に載置された物品100は、シールドボックス2内を上流から下流に向かって搬送され、いずれX線照射経路を通過する。X線照射部4から照射されて物品100を透過したX線は、X線検出部5のラインセンサ6によって検出される。物品100内に異物が混入していると、その異物の混入箇所において、ラインセンサ6が検出する透過X線の強度が極端に低下する。従って、ラインセンサ6によって検出される透過X線の強度分布に基づいて、物品100内における異物の有無、大きさ、混入箇所等を判定することができる。
【0030】
図2は、X線検査装置1の他の構成例を示す正面図である。図1に示した構成例とは異なり、コンピュータ10は、X線検査装置1に内蔵されるのではなく、信号ケーブルを介してX線検査装置1に外部接続されている。
【0031】
図3は、図1又は図2に示したコンピュータ10の構成を示すブロック図である。コンピュータ10は、CPU20と、RAM等のメモリ21と、ハードディスク等の蓄積手段22とを備えて構成されている。蓄積手段22は、CPU20の内部メモリであっても良い。メモリ21には、所定のプログラム23が格納されている。CPU20がメモリ21からプログラム23を読み出して実行することにより、CPU20は、設定手段24、判定手段25、算出手段26、及び表示制御手段27として機能する。つまり、プログラム23は、コンピュータ10を、蓄積手段22、設定手段24、判定手段25、算出手段26、及び表示制御手段27として機能させるプログラムである。
【0032】
本実施の形態に係るX線検査装置1の動作は、現在設定されているしきい値を用いて物品100の検査を行う動作(以下「通常時動作」と称す)と、設定されているしきい値を変更する際の動作(以下「しきい値変更時動作」と称す)とに大別される。
【0033】
通常時動作において、CPU20には、X線検出部5で取得された透過X線の強度に関する検出データS1が入力される。判定手段25は、検出データS1で表される透過X線の強度を、現在設定されているしきい値(以下「実基準値」と称す)と比較することにより、物品100内への異物の混入の有無を判定する。表示制御手段27は、検査結果を表示部9に表示するための画像信号S2を生成して出力する。
【0034】
X線検査装置1は、前段の装置から連続的又は間欠的に供給されてくる複数の物品100に対して、同様の検査を繰り返し実行する。蓄積手段22は、直近の所定期間内に検査が実行された複数の物品100(以下「対象物品100」と称す)に関してX線検出部5で取得された、複数の検出データS1を蓄積する。
【0035】
しきい値変更時動作において、ユーザの操作によって、設定手段24は所望の仮想基準値を設定する。本明細書において、仮想基準値とは、対象物品100に関する実際の検査で用いられた実基準値とは異なるしきい値を意味する。つまり、実基準値を変更する際の変更候補のしきい値が仮想基準値であり、仮想基準値への変更が確定することにより、その後は仮想基準値が実基準値となる。
【0036】
判定手段25は、設定手段24によって設定された仮想基準値と、蓄積手段22に蓄積されている各検出データS1とを比較する。そして、その比較の結果に基づいて、実基準値ではなく仮想基準値が設定されていたと想定した場合の、各対象物品100内への異物の混入の有無を判定する。
【0037】
算出手段26は、対象物品100の総数と、判定手段25によって異物が混入されていると判定された物品100の個数とに基づいて、異物混入率(以下「仮想異物混入率」と称す)を算出する。つまり、算出手段26は、対象物品100の総数における、仮想基準値が設定されていたとの想定の下で判定手段25によって異物が混入されていると判定された物品100の個数の割合として、仮想異物混入率を算出する。
【0038】
表示制御手段27は、算出手段26によって算出された仮想異物混入率を含む画像を表示部9に表示させるための画像信号S2を生成して出力する。表示部9への画像の表示例については、後に詳述する。
【0039】
図4は、しきい値の設定例を示す図である。図中に示したグラフの横軸は、コンベアベルト8の幅方向の位置であり、縦軸は、X線検出部5によって検出された透過X線の強度である。透過X線の強度分布K1においては、物品100の形状に対応して、透過X線の強度が低下する。また、強度分布K1には、異物の混入箇所に対応して、透過X線の強度が低くなる方向のピークP1が生じている。また、強度分布K1には、信号のノイズに対応するピークP2が生じている。
【0040】
X線検出部5においては、強度分布K1におけるX線強度の最小値が、検出データS1として得られる。図4に示した例では、ピークP1の先端箇所での強度値が、その物品100に関する検出データS1の値として得られる。
【0041】
判定手段25は、検出データS1の値がしきい値以上である場合には、その物品100には異物が混入されていないと判定し、一方、検出データS1の値がしきい値未満である場合には、その物品100には異物が混入されていると判定する。
【0042】
従って、しきい値がH1に設定されている場合には、仮にピークP1が生じていないとしても、検出データS1の値(ピークP2の先端箇所での強度値)はしきい値H1未満となる。従って、この場合には、信号のノイズが異物として誤検出されてしまう。
【0043】
しきい値がH3に設定されている場合には、検出データS1の値(ピークP1の先端箇所での強度値)はしきい値H3以上となる。従って、この場合には、異物の検出漏れが生じてしまう。
【0044】
しきい値がH2に設定されている場合には、検出データS1の値(ピークP1の先端箇所での強度値)はしきい値H2未満となる。従って、異物を正しく検出することができる。また、仮にピークP1が生じていない場合には、検出データS1の値(ピークP2の先端箇所での強度値)はしきい値H2以上となる。従って、信号のノイズが異物として誤検出されてしまうことはない。よって、図4に示した例では、最も適切なしきい値はしきい値H2ということになる。
【0045】
但し、食品の製造メーカーによっては、消費者に害を与えない軽微な異物(以下「許容異物」と称す)の混入を許容している場合もある。従って、ピークP1を生じさせる異物が許容異物である場合には、不良率(検査物品総数のうち不良品の占める割合)を低下させる観点から、しきい値をH3に設定することが望ましい。
【0046】
図5は、しきい値の他の設定例を示す図である。図4に示したような一定値のしきい値H1〜H3ではなく、図5に示すように、良品の強度分布K1に対応する強度分布を有するしきい値H4を設定することもできる。
【0047】
図6は、蓄積手段22に蓄積されている複数の検出データS1をグラフ化して示す図である。例えば、しきい値がH2に設定されている場合には、しきい値H2よりも透過X線の強度が高い領域(左側の領域)に属する物品100は全て良品ということになり、しきい値H2よりも透過X線の強度が低い領域(右側の領域)に属する物品100は全て不良品ということになる。
【0048】
図7は、しきい値変更時動作において表示部9に表示される画像の例を示す図である。項目40には、対象物品100の総数が、検査総数として表示される。つまり、直近の所定期間内に検査が実行され、検出データS1が蓄積手段22内に蓄積されている物品100の総数が表示される。
【0049】
項目41には、現在設定されているしきい値(実基準値)と、実基準値に対応するNG数(不良数)及びNG発生率(不良率)と、変更後のしきい値(仮想基準値)と、仮想基準値に対応するNG数(不良数)及びNG発生率(不良率)とが表示される。これらの情報は、作業者が比較をしやすいように、現在の値と変更後の値とが各情報別に上下に並んで表示されている。
【0050】
項目42には、図6に示したグラフを模式的に示した図形43が表示される。また、図形43中には、実基準値を示すライン45と、仮想基準値を示すライン46とが表示される。図形43の斜め下には、左方向を指す方向指示図形48と、右方向を指す方向指示図形49とが表示されている。
【0051】
作業者が方向指示図形48にタッチすると、その情報がCPU20に入力され、設定手段24は、仮想基準値をより高い値に変更する。逆に、作業者が方向指示図形49にタッチすると、その情報がCPU20に入力され、設定手段24は、仮想基準値をより低い値に変更する。判定手段25は、変更後の仮想基準値に基づいて、各対象物品100内への異物の混入の有無を判定する。また、算出手段26は、対象物品100の総数(検査総数)と、判定手段25によって異物が混入されていると判定された物品100の個数(NG数)とに基づいて、仮想異物混入率(NG発生率)を算出する。また、表示制御手段27は、図形43中においてライン46を左方向又は右方向にシフトするとともに、項目41において、変更後のしきい値と、それに対応するNG数及びNG発生率とをそれぞれ表示する。
【0052】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1においては、仮想基準値を設定することができる範囲の限界値(下限値)が、許容異物の程度に応じて予め設定されている。そして、その限界値を示すライン47が、図形43中に表示されている。作業者が方向指示図形49にタッチし続けることによってライン46がライン47に重なると、作業者がさらに方向指示図形49にタッチしても、ライン46はそれ以上右方向にはシフトしない。これにより、仮想基準値を限界値未満の値に設定することが規制される。
【0053】
作業者が方向指示図形48,49へのタッチを行う度に、それに応じて、図形43中においてライン46がシフトするとともに、項目41において、変更後のしきい値、NG数、及びNG発生率の値が更新される。従って、作業者は、これらの情報を参照することによって、例えば、目標の不良率を達成し得る仮想基準値を探索することができる。適切な仮想基準値が見つかると、作業者は、表示部9に表示されている決定ボタン50にタッチする。これにより、その仮想基準値が、その後は実基準値として採用されて、新たな検査が実行されることとなる。
【0054】
このように本実施の形態に係るX線検査装置1及びプログラム23によれば、蓄積手段22は、対象物品100に関する検査によってX線検出部5で取得された、透過X線の強度に関する複数の検出データS1を蓄積する。また、しきい値変更時動作において、設定手段24は、対象物品100に関する検査で用いられた実基準値とは異なる仮想基準値を設定し、判定手段25は、仮想基準値と、蓄積手段22に蓄積されている各検出データS1との比較結果に基づいて、各物品100内への異物の混入の有無を判定し、算出手段26は、対象物品100の総数における、判定手段25によって異物が混入されていると判定された物品100の個数の割合として、仮想異物混入率を算出する。そして、表示制御手段27は、仮想異物混入率を表示部9に表示させる。
【0055】
従って、実基準値の設定を変更する必要が生じた場合、設定手段24によって仮想基準値を所望に設定することにより、その仮想基準値に応じた仮想異物混入率が表示部9に表示される。その結果、作業者は、表示部9に表示された仮想異物混入率を指標として用いて、実基準値の設定の変更作業を効率的に行うことが可能となる。しかも、仮想異物混入率は、シミュレーション等による予測ではなく、対象物品100に関する実際の検査によって取得された複数の検出データS1に基づいて算出されるため、正確な仮想異物混入率を作業者に提供することが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、実稼働されている製造ラインのX線検査装置1によって取得された検出データS1を用いて、仮想異物混入率を求めることができる。従って、仮想異物混入率を求めるために、製造ラインの実稼働を停止してテスト稼働を行う必要がない。その結果、製造ラインの稼働率を上げることが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、表示部9には、実異物混入率(図7の項目41における現在のNG発生率)と仮想異物混入率とが併せて表示される。従って、作業者は、現在の実異物混入率と基準値変更後の仮想異物混入率とを、表示部9上で目視によって容易に比較することができる。その結果、基準値の設定の変更作業を効率的に行うことが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、表示部9には、仮想基準値の設定が許容される限界値(図7の項目42におけるライン47)が表示される。従って、許容範囲を逸脱する非現実的な基準値が作業者によって設定されることに起因して、X線検査装置1の検査精度が極端に低下することを、予め回避することが可能となる。
【0059】
<第1の変形例>
第1の変形例に係るX線検査装置1は、複数の検出アルゴリズムを用いて、各検出アルゴリズムごとに異物の検出処理を実行可能である。
【0060】
図8は、第1の変形例に係る判定手段25の構成を示すブロック図である。判定手段25は、フィルタ50A〜50C、比較部51A〜51C、及び判定部52を有して構成されている。例えば、フィルタ50A及び比較部51Aは、2mm以下の異物を検出しやすい検出アルゴリズムによって異物検出を行う。また、フィルタ50B及び比較部51Bは、2〜4mmの異物を検出しやすい検出アルゴリズムによって異物検出を行う。また、フィルタ50C及び比較部51Cは、4mm以上の異物を検出しやすい検出アルゴリズムによって異物検出を行う。
【0061】
フィルタ50A〜50Cには、X線検出部5によって検出された透過X線に基づいて作成されたX線透過画像に関する画像信号が、検出データS1として入力される。フィルタ50A〜50Cは、検出アルゴリズムごとに異なるフィルタ係数を用いて、画像信号に対してフィルタ処理をそれぞれ実行し、フィルタ処理後の画像信号に関する検出データS1A〜S1Cをそれぞれ出力する。検出データS1A〜S1Cは、比較部51A〜51Cにそれぞれ入力される。
【0062】
また、比較部51A〜51Cには、しきい値HA〜HCがそれぞれ入力されている。しきい値HA〜HCは、検出アルゴリズムごとに個別に設定可能である。比較部51A〜51Cは、各検出データS1A〜S1Cで表される透過X線の強度と、各しきい値HA〜HCとをそれぞれ比較することにより、各検出アルゴリズムごとに物品100内への異物の混入の有無をそれぞれ判定する。各比較部51A〜51Cによる判定の結果に関するデータS3A〜S3Cは、判定部52に入力される。
【0063】
また、判定部52には、判定ルールに関するデータRが入力されている。判定ルールの内容は、例えば食品の製造メーカーによって所望に設定することができる。判定部52は、データRと、比較部51A〜51Cから入力されたデータS3A〜S3Cとに基づいて、物品100の良/不良を判定し、その判定の結果に関するデータS4を出力する。
【0064】
例えば、2mm以下の異物は許容異物として設定するという判定ルールが採用されている場合には、データS3Aにおいて異物の混入が有りとされていても、データS3B,S3Cにおいて異物の混入が無しとされていれば、判定部52は、その物品100を良品として扱う。また、許容異物を設定しないという判定ルールが採用されている場合には、データS3A〜S3Cのいずれかにおいて異物の混入が有りとされていれば、判定部52は、その物品100を不良品として扱う。
【0065】
図9は、しきい値変更時動作において表示部9に表示される画像の例を示す図である。項目41には、各検出アルゴリズムに対応する項目41A〜41Cが含まれる。項目41に表示されている「レベル1」は2mm以下の異物を検出しやすい検出アルゴリズムに対応し、「レベル2」は2〜4mmの異物を検出しやすい検出アルゴリズムに対応し、「レベル3」は4mm以上の異物を検出しやすい検出アルゴリズムに対応する。各項目41A〜41Cの内容は、図7に示した項目41と同様である。
【0066】
項目42には、各検出アルゴリズムに対応する図形43A〜43Cが含まれる。各図形43A〜43Cの内容は、図7に示した図形43と同様である。また、各図形43A〜43Cに対応する決定ボタン50A〜50Cが表示されている。
【0067】
さらに、項目41と項目42との間には、項目55,56が表示されている。項目55には、実基準値に基づいて判定された現在の不良数と、仮想基準値に基づいて判定された変更後の不良数とが、上下に並んで表示されている。項目56には、実基準値に基づいて算出された現在の不良率と、仮想基準値に基づいて算出された変更後の不良率とが、上下に並んで表示されている。
【0068】
第1の変形例に係るX線検査装置1においては、設定手段24は各検出アルゴリズムごとに仮想基準値を設定可能であり、判定手段25は各検出アルゴリズムごとに異物の混入の有無を判定し、算出手段26は、各検出アルゴリズムごとに仮想異物混入率を算出する。また、表示部9には、各検出アルゴリズムごとの仮想異物混入率(NG発生率)と、物品100の不良率とが併せて表示される。
【0069】
以下、代表的にレベル1に関するしきい値変更時動作について説明する。説明は省略するが、レベル2及びレベル3についても同様である。
【0070】
作業者が方向指示図形48Aにタッチすると、その情報がCPU20に入力され、設定手段24は、レベル1に関する仮想基準値をより高い値に変更する。逆に、作業者が方向指示図形49Aにタッチすると、その情報がCPU20に入力され、設定手段24は、レベル1に関する仮想基準値をより低い値に変更する。判定手段25は、レベル1に関する変更後の仮想基準値に基づいて、各対象物品100内への異物の混入の有無を判定する。また、算出手段26は、対象物品100の総数(検査総数)と、レベル1に関して判定手段25によって異物が混入されていると判定された物品100の個数(NG数)とに基づいて、レベル1に関する仮想異物混入率(NG発生率)を算出する。また、表示制御手段27は、図形43A中においてライン46Aを左方向又は右方向にシフトするとともに、項目41Aにおいて、レベル1に関する変更後のしきい値と、それに対応するNG数及びNG発生率とをそれぞれ表示する。
【0071】
作業者が方向指示図形48A,49Aへのタッチを行う度に、それに応じて、図形43A中においてライン46Aがシフトするとともに、項目41Aにおいて、レベル1に関する変更後のしきい値、NG数、及びNG発生率の値が更新される。また、項目55,56において、変更後の不良数及び不良率が更新される。従って、作業者は、これらの情報を参照することによって、例えば、目標の不良率を達成し得る、レベル1に関する仮想基準値を探索することができる。レベル1に関する適切な仮想基準値が見つかると、作業者は決定ボタン50Aにタッチする。これにより、その仮想基準値が、その後はレベル1に関する実基準値として採用されて、新たな検査が実行されることとなる。
【0072】
このように第1の変形例に係るX線検査装置1によれば、設定手段24によって各検出アルゴリズムごとに仮想基準値を所望に設定することにより、各検出アルゴリズムごとの仮想異物混入率が表示部9に表示される。その結果、作業者は、表示部9に表示された各検出アルゴリズムごとの仮想異物混入率を指標として用いて、各検出アルゴリズムごとの実基準値の設定の変更作業を効率的に行うことが可能となる。
【0073】
また、第1の変形例に係るX線検査装置1によれば、表示部9には、各検出アルゴリズムごとの仮想異物混入率と、物品の不良率とが、併せて表示される。従って、作業者は、表示部9上に表示されたこれらの情報を目視で確認しながら、目標とする不良率を達成するための各検出アルゴリズムごとの仮想基準値の組合せを探索することが可能となる。
【0074】
<第2の変形例>
図10は、経時劣化によってX線照射部4から照射されるX線の強度が低下した状況を示す図である。破線で示す強度分布K1は、初期状態におけるX線照射部4から照射されたX線に基づく強度分布であり、実線で示す強度分布K1は、経時劣化したX線照射部4から照射されたX線に基づく強度分布である。図10に示すように、経時劣化によってX線照射部4から照射されるX線の強度が低下すると、X線検出部5によって検出される透過X線の強度も全体的に低下する。その結果、物品100に異物が混入されていない場合であっても、強度分布K1の一部がしきい値H2未満となるため、異物として誤検出されてしまう。
【0075】
そこで、第2の変形例では、X線照射部4から照射されたX線の強度を検出し、その情報を表示部9に表示することにより、X線照射部4のX線源に故障や経時劣化が生じていることを作業者が知ることができるようにする。
【0076】
X線照射部4から照射されたX線の強度は、例えば、物品100に重ならない部分のラインセンサの電流値を検出し、その電流値をX線の強度値に換算することによって求めることができる。図10に示すように、初期状態におけるX線照射部4から照射されたX線の強度は、強度値M1として検出され、経時劣化後のX線照射部4から照射されたX線の強度は、強度値M2として検出される。
【0077】
図11は、図7に対応させて、しきい値変更時動作において表示部9に表示される画像の例を示す図である。また、図12は、図9に対応させて、しきい値変更時動作において表示部9に表示される画像の例を示す図である。表示部9には、項目60が追加表示されている。項目60には、X線照射部4から照射されたX線の強度に関して、初期値と現在の値とが上下に並んで表示されている。
【0078】
このように第2の変形例に係るX線検査装置1によれば、表示部9には、X線照射部4から照射されたX線の強度が表示される。従って、X線照射部4のX線源に故障や経時劣化等のトラブルが発生している場合には、作業者は、表示部9に表示されたX線の強度に関する情報を参照することにより、X線源にトラブルが発生していることを知ることができる。その結果、X線源のトラブルを知らずに基準値の変更作業が無駄に行われることを、予め回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に係るX線検査装置の構成例を示す正面図である。
【図2】X線検査装置の他の構成例を示す正面図である。
【図3】コンピュータの構成を示すブロック図である。
【図4】しきい値の設定例を示す図である。
【図5】しきい値の他の設定例を示す図である。
【図6】蓄積手段に蓄積されている複数の検出データをグラフ化して示す図である。
【図7】しきい値変更時動作において表示部に表示される画像の例を示す図である。
【図8】第1の変形例に係る判定手段の構成を示すブロック図である。
【図9】しきい値変更時動作において表示部に表示される画像の例を示す図である。
【図10】経時劣化によってX線照射部から照射されるX線の強度が低下した状況を示す図である。
【図11】図7に対応させて、しきい値変更時動作において表示部に表示される画像の例を示す図である。
【図12】図9に対応させて、しきい値変更時動作において表示部に表示される画像の例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 X線検査装置
4 X線照射部
5 X線検出部
9 表示部
10 コンピュータ
22 蓄積手段
23 プログラム
24 設定手段
25 判定手段
26 算出手段
27 表示制御手段
100 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線照射部から物品にX線を照射し、物品を透過したX線をX線検出部によって検出し、前記X線検出部で検出されたX線の強度と所定の基準値との比較結果に基づいて物品の良/不良を判定する、X線検査装置であって、
複数の物品に関する検査によって前記X線検出部で取得された、X線の強度に関する複数の検出データを蓄積する蓄積手段と、
前記所定の基準値として、前記複数の物品に関する検査で用いられた実基準値とは異なる仮想基準値を設定する設定手段と、
前記仮想基準値と、前記蓄積手段に蓄積されている各検出データとの比較結果に基づいて、各物品内への異物の混入の有無を判定する判定手段と、
前記複数の物品の総数における、前記判定手段によって異物が混入されていると判定された物品の個数の割合として、仮想異物混入率を算出する算出手段と、
前記仮想異物混入率を表示部に表示させる表示制御手段と
を備える、X線検査装置。
【請求項2】
前記複数の物品は、実稼働されている製造ラインにおいて前記X線検査装置によって検査された物品である、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記表示部には、前記実基準値に基づいて算出された実異物混入率と、前記仮想異物混入率とが、併せて表示される、請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記X線検査装置は、複数の検出アルゴリズムを用いて、各検出アルゴリズムごとに異物の検出が可能であり、
前記設定手段は、各検出アルゴリズムごとに前記仮想基準値を設定可能であり、
前記判定手段は、各検出アルゴリズムごとに異物の混入の有無を判定し、
前記算出手段は、各検出アルゴリズムごとに前記仮想異物混入率を算出し、
前記表示部には、各検出アルゴリズムごとの前記仮想異物混入率が表示される、請求項1〜3のいずれか一つに記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記X線検査装置は、各検出アルゴリズムごとの異物の混入の有無の判定結果に基づいて、物品の良/不良を判定し、
前記表示部には、各検出アルゴリズムごとの前記仮想異物混入率と、物品の不良率とが、併せて表示される、請求項4に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記表示部上で前記仮想基準値を設定可能であり、
前記表示部には、前記仮想基準値の設定が許容される限界値が表示される、請求項1〜5のいずれか一つに記載のX線検査装置。
【請求項7】
前記表示部には、前記X線照射部から照射されたX線の強度が表示される、請求項1〜6のいずれか一つに記載のX線検査装置。
【請求項8】
X線照射部から物品にX線を照射し、物品を透過したX線をX線検出部によって検出し、前記X線検出部で検出されたX線の強度と所定の基準値との比較結果に基づいて物品の良/不良を判定するX線検査装置に、内蔵又は外部接続されるコンピュータを、
複数の物品に関する検査によって前記X線検査部で取得された、X線の強度に関する複数の検出データを蓄積する蓄積手段と、
前記所定の基準値として、前記複数の物品に関する検査で用いられた実基準値とは異なる仮想基準値を設定する設定手段と、
前記仮想基準値と、前記蓄積手段に蓄積されている各検出データとの比較結果に基づいて、各物品内への異物の混入の有無を判定する判定手段と、
前記複数の物品の総数における、前記判定手段によって異物が混入されていると判定された物品の個数の割合として、仮想異物混入率を算出する算出手段と、
前記仮想異物混入率を表示部に表示させる表示制御手段と
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−54380(P2010−54380A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220434(P2008−220434)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】