説明

X線検査装置

【課題】転倒しやすい被検査物を安定的に搬送でき、X線漏洩のおそれが少なく、機長が過大とならず設置スペースが小さくて済むX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線発生手段及び検知手段を有する筐体2の前段から後段に搬送手段6,8 で被検査物を搬送する。筐体外の搬送手段8を覆っているカバー9の端面11は閉止され、端面の近傍であって搬送方向に平行なカバーの壁面の一方に開口12が形成され、ここで外部搬送手段7の端部と搬送手段8の端部が並列している。ここに設けられた案内手段15により、開口を経て外部搬送手段と搬送手段との間で被検査物が乗り移る。カバーの機長を短くしても開口からX線が漏洩する可能性は低く、かつ略Z型の経路で被検査物は安定して乗り移れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の内部でX線により被検査物の検査を行なうために、被検査物の筐体に対する搬入と搬出を搬送手段で行なうX線検査装置に係り、特に搬送中に転倒しやすい被検査物を安定して搬送でき、かつ全体の機長も過大とならず、設置スペースが小さくて済むコンパクトな構成のX線検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にX線検査装置は、X線遮蔽構造の筐体の内部に、被検査物にX線を照射するX線発生手段と、この被検査物を透過したX線を検知するX線検知手段とを備えており、さらに筐体の前段から筐体を通過して筐体の後段へ被検査物を搬送する搬送手段を有している。また、筐体の内部には、検査位置の前後両位置にX線遮蔽構造のカーテンがそれぞれ設けられている。これらのカーテンは、被検査物の入口及び出口である筐体の各開口の近傍にそれぞれ設けられて各開口からX線が漏洩するのを防止する部材であり、搬送手段の搬送方向に交差する配置で複数枚ずつ搬送手段の上方にそれぞれ垂下されている。かかる構成において、搬送手段で被検査物を筐体内に運び込み、搬送しながら被検査物にX線を照射して透過したX線を検知することにより、被検査物の内部に異物があるか否か等の検査を行なうことができる。
【0003】
このような構成のX線検査装置において、例えば紙パックの牛乳やプラスチック容器のドレッシング等、底面の寸法形状に比して相対的に高さが大きく、搬送中に倒れ易い被検査物を検査する場合がある。このような場合に、X線遮蔽用のカーテンを筐体内に装備したままにしておくと、搬送手段で移動していく被検査物がカーテンを潜り抜ける際にカーテンから力を受けてバランスを崩し、転倒してしまうことがある。このため、このような転倒し易い被検査物を検査する場合は、X線遮蔽用のカーテンを取り外し、その代わりにX線遮蔽構造のカバーに覆われた乗り継ぎ用の搬送手段を筐体及び搬送手段に連続して取り付け、遮蔽されている搬送ラインの長さを長くしていた。この乗り継ぎ用の搬送手段は、そのカバーの端面の開口において、被検査物の生産ラインを構成する外部搬送手段に直列に隣接しており、開口を経て外部搬送手段から被検査物を受けいれる。
【0004】
前記X線検査装置は、上述したように被検査物の生産ラインの一部に設けられることが多いが、被検査物の生産ラインでは、搬送手段としてトップチェーンコンベアを用いる場合がある。トップチェーンコンベアは、その上に載置した搬送物がすべり易い滑性の高い樹脂製の板材を長体状に連結したトップと呼ばれる部材をチェーンに取り付けてトップチェーンを構成し、これを駆動手段で循環して駆動する搬送手段であり、被搬送物はトップの上に載置されて搬送される。
【0005】
下記特許文献1には、トップチェーンコンベアのような生産ラインのコンベアによって搬送されている生産物を、検査のために検査手段の搬送手段に乗換えさせるための構成が開示されている。すなわち、特許文献1に記載の発明においては、前段コンベアで搬送されてきた物品は、対向する搬送面を備えた物品移送装置に挟持されて助走コンベアに搬入され、各種検査装置によって検査を受けるように構成されている。
【特許文献1】特開平7−60199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術で説明したように、X線検査装置において、相対的に高さが大きく搬送中に倒れ易い被検査物を検査する場合において、X線遮蔽用のカーテンを取り外した場合には、その代わりにX線遮蔽構造のカバーに覆われた乗り継ぎ用の搬送手段を取り付ける必要があるが、その場合には遮蔽されている搬送ラインの長さが長くなってしまうという問題があった。すなわち、この乗り継ぎ用の搬送手段のカバーは、内部の搬送手段を外部搬送手段に直列に隣接させるために端面に開口が形成されているが、この開口からX線を漏洩させないためには、この開口はなるべく筐体から遠い位置に配置する必要があり、結局遮蔽されている搬送ラインを長くしてX線検査装置としての全体の機長を長くしなければならず、広い設置スペースが必要になってしまうのである。
【0007】
また、背景技術で説明した物品を左右の対向する搬送面で挟持して移送する特許文献1の物品移送装置は、一般に抱き込みコンベアとも称されている搬送手段であり、径の異なる2つのコンベアの端部を直列に突き合わせて物品を乗り移らせる場合に、コンベア同士の隙間部分に別途配置して乗り移りの補助として使用されるものである。すなわち、例えば大径のトップチェーンコンベアと、小径のコンベアとを、同一直線上に並べ、各端部が微少間隔をおいて対向するように配置し、トップチェーンコンベアから小径のコンベアへ物品を乗り移らせるようにすると、両コンベアの間にはコンベア端部の曲率のために隙間が生じてしまい、物品が隙間に落ち込んで乗り移りがうまくいかないという問題が生じることがある。前記抱き込みコンベアは、このような場合にコンベアの乗り移り部分に設けられる。
【0008】
前述したように、X線検査装置が被検査物の生産ラインの一部に設けられ、この生産ラインで搬送手段としてトップチェーンコンベアが用いられている場合には、トップチェーンコンベアからX線検査装置の搬送手段に被検査物を乗り移らせなければならないが、この場合にも上述したように両コンベアの間に生じる隙間に物品が落ち込んで乗り移りがうまくいかないという問題が生じることが考えられる。
【0009】
しかも、このX線検査装置において、被検査物として上述したような背の高い物品を被検査物とすると、安定性が良くないことから、コンベアの受渡し位置で被検査物は倒れ易く、受渡しがうまくいかない可能性は一層高くなる。
【0010】
そこで、このようにトップチェーンコンベアから、カバーを備えたX線検査装置の搬送手段に被検査物を乗り移らせる部分に、前述したような所謂抱き込みコンベアを設置することを検討すると、抱き込みコンベアの全部又は一部をカバー内に配置する構成とした場合には、カバーの端面の開口が大きくなってX線遮蔽の都合上好ましくない。そこで、搬送手段の一部をカバー外に突出させ、この突出した部分とトップチェーンコンベアの端部との間に抱き込みコンベアを設ける構成をとらざるを得ない。しかし、このようにすれば、カバー外に突出した搬送手段の一部と、ここに設けられた抱き込みコンベアの部分も含めたX線検査装置の機長は伸び、設置するのに長いスペースが必要になってしまう。
【0011】
そこで本発明は、以上説明したX線検査装置乃至搬送装置における各種の問題点に鑑みてなされたものであり、搬送中に転倒しやすい被検査物を特に安定的に搬送でき、かつX線の漏洩のおそれが少なく、さらに全体の機長も過大とならず、設置スペースが小さくて済むコンパクトな構成のX線検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載されたX線検査装置1は、
X線遮蔽構造の筐体2と、前記筐体2に設けられて前記筐体2内に搬入された被検査物にX線を照射するX線発生手段と、前記筐体2に設けられて被検査物を透過したX線を検知するX線検知手段と、前記筐体2の前段から前記筐体2を通過して前記筐体2の後段に被検査物を搬送する搬送手段6,8と、前記筐体2の外部にある前記搬送手段8を覆うX線遮蔽構造のカバー9とを備えたX線検査装置1において、
前記筐体2の前段と後段の少なくとも一方において、
前記搬送手段8による被検査物の搬送方向と交差する前記カバー9の端面11が閉止され、かつ前記端面11の近傍であって前記搬送方向に平行な前記カバー9の一対の壁面の一方に開口12が形成され、
前記搬送手段8の前記搬送方向と平行かつ一致しない搬送方向に沿って前記X線検査装置1に被検査物を供給する外部搬送手段7の端部に、前記カバー9の前記開口12を介して前記搬送手段8の端部が並設しており、
前記開口12を経て前記外部搬送手段7と前記搬送手段8との間で被検査物が乗り移るように構成されたことを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載されたX線検査装置1は、請求項1記載のX線検査装置1において、
前記筐体2の前段と後段の両方に前記カバー9がそれぞれ設けられており、前記筐体2の前段と後段にある前記各カバー9の各一対の壁面の各背面側にそれぞれ前記開口12が形成されており、前記筐体2の前段に配置された外部搬送手段7の搬送方向と前記筐体2の後段に配置された外部搬送手段7の搬送方向とが一致していることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載されたX線検査装置1は、請求項1又は2に記載のX線検査装置1において、前記外部搬送手段7の端部と、前記カバー9の前記開口12と、前記搬送手段8の端部の間にある被検査物の搬送経路に沿って、被検査物の搬送を案内する案内手段15が設けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載されたX線検査装置によれば、筐体の外部で搬送手段を覆うX線遮蔽構造のカバーの端面が閉止され、かつ端面の近傍であって搬送方向に平行なカバーの壁面に開口が形成され、搬送手段と平行な外部搬送手段の端部が、搬送方向と交差する方向について搬送手段の端部と開口を介して並んでいるので、カバーの機長を短くしても開口からX線が漏洩する可能性は低く、かつ外部搬送手段から開口を経て搬送手段に至る被検査物が落ち込む隙間のない略Z型の経路で被検査物が安定して乗り移ることができる。
【0016】
請求項2に記載されたX線検査装置によれば、請求項1記載のX線検査装置による効果において、筐体の前段と後段の両方に設けた各カバーの各背面側にそれぞれ開口を形成し、筐体の前段と後段に配置した各外部搬送手段の搬送方向を一致させた構成としたので、既設の連続した外部搬送手段の中途を分離して本X線検査装置を設置する構成を採用することができる。
【0017】
請求項3に記載されたX線検査装置によれば、請求項1又は2に記載のX線検査装置による効果において、外部搬送手段から開口を経て搬送手段に至る略Z型の経路に沿って被検査物の搬送を案内する案内手段を設けたので、被検査物を外部搬送手段から開口を経て搬送手段に安定的に案内・搬送させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明の実施形態に係るX線検査装置の正面図、図2は同平面図、図3は同右側面図、図4はカバーを外した状態の平面図、図5はカバーと選別部を外した後段側の乗継用の搬送手段の平面図、図6はカバーと選別部を外した後段側の乗継用の搬送手段の背面図、図7はカバーと選別部を外した後段側の乗継用の搬送手段の右側面図である。
【0019】
図1〜図3に示すように、本実施形態のX線検査装置1は、X線遮蔽構造の筐体2を備えている。筐体2は機高の大きい中央部3と、中央部3に連通する機高が小さい両側の入口部4及び出口部5とによって構成されている。両側の入口部4及び出口部5の内部には前述した遮蔽カーテンを吊るすことができるが、本例では相対的に高さが大きく搬送中に倒れ易い被検査物を検査することとなっており、そのために筐体2の両側の入口部4及び出口部5の各内部にはカーテンは設けておらず、その代わりに後述する乗継ぎコンベアとしての搬送手段8及びカバー9が筐体2の前段及び後段にそれぞれ設けられている。
【0020】
図1に示すように、筐体2の下部には、搬送手段6が水平に配置されている。また詳細は図示しないが、前記筐体2の中央部3の搬送手段の上方には、搬送手段で筐体2内に搬入された被検査物にX線を照射するX線発生手段が設けられている。また前記筐体2の中央部3の内部下方であって、搬送手段の上側のベルトの略直下位置には、搬送手段6で運ばれてきた被検査物を透過したX線を検知するX線検知手段が設けられている。搬送手段6によって筐体2内を搬送される被検査物にはX線発生手段からX線が照射され、X線検知手段が被検査物を透過したX線を検知して検知信号を出力する。X線検知手段が出力する検知信号は図示しない制御手段に送られて解析され、被検査物に異物が混入しているか否かの異物検査や、また被検査物の質量その他の検査が行なわれる。
【0021】
筐体2の前段及び後段には、筐体2に設けられた搬送手段6と、被検査物の製造ラインの一部であるトップチェーンコンベアのような外部搬送手段7との間で、被検査物の乗り継ぎを行わせる乗継ぎコンベアとしての搬送手段8が設けられている。乗継ぎコンベアとしての搬送手段8は、被検査物の乗り継ぎを円滑に行なわせるため、そのベルトは例えばポリエステルコーティングされている等して搬送する物品がすべり易く抵抗なく移動できるような性質を与えられている。そして筐体2の外部にある前述した乗継ぎコンベアとしての搬送手段8は、X線遮蔽構造のカバー9によって覆われている。これら乗継ぎコンベアである搬送手段8及びX線遮蔽構造のカバー9は、前段と後段で構造は略同一であるが、図2に示すように、後段のカバー9には、筐体2内で検査を受けた被検査物を検査結果に応じて選択するための選別機10が付設されており、この点において前段と構造が異なる。
【0022】
図1〜図3に示すように、乗継ぎコンベアとしての搬送手段8のカバー9は全体として角筒状であり、筐体2の入口部4及び出口部5の図示しない開口を介して筐体2に直列に接続連通している。そして、図4に示すように、カバー9の内部にある乗継ぎコンベアとしての搬送手段8は、筐体2内にある搬送手段6の両端に、同一搬送ライン上で直列に配置されており、被検査物の生産ラインの外部搬送手段7から被検査物を受け取り、筐体2の前段から筐体2を通過して筐体2の後段に被検査物を搬送し、後段側の外部搬送手段7に被搬送物を送り出すことができる。なお、乗り継ぎコンベアとしての搬送手段8と筐体2内にある搬送手段6は、ともに小径のコンベアとしているので直列に突き合わせた場合の隙間を小さくすることができ、直列配置しても被検査物の乗り移りが支障なく行なえるようになっている。
【0023】
図1〜図3に示すように、乗継ぎコンベアである搬送手段8のカバー9は、搬送手段8による被検査物の搬送方向と交差する端面11が閉止されており、筐体2内に遮蔽カーテンがなくても、筐体2の側から来るX線と交差する端面11によって安全性を確保できる程度に遮蔽できるよう構成されている。また、前記端面11の近傍であって前記搬送方向に平行な前記カバー9の一対の壁面(搬送方向の両側面)の背面側には開口12が形成されており、筐体2の側から来るX線の外部への漏洩を最小限に抑えつつ、この側面側の開口12から被検査物の乗り移りを行なえるようになっている。
【0024】
図4〜図7に示すように、乗継ぎコンベアである搬送手段8の隣には、本装置1に被検査物を供給する生産ラインの外部搬送手段7が並行して設置されている。すなわち、外部搬送手段7の搬送方向は、乗継ぎコンベアである搬送手段8の前記搬送方向と平行であるが、一致はしておらず、外部搬送手段7の端部と、乗継ぎコンベアである搬送手段8の端部とは、各搬送方向について所定寸法の重なりをもつように隣接して配置されている。
ここで特に図5に示すように、搬送方向について所定寸法の重なりをもって隣接配置されている外部搬送手段7の端部と搬送手段8の端部においては、搬送手段8のフレーム20のうち、外部搬送手段7の端部に隣接する部分が除去されているため、搬送方向と直交する方向(コンベアのベルトの幅方向)についての外部搬送手段7と搬送手段8の隙間がきわめて狭く設定されている。このため、外部搬送手段7と搬送手段8の間で被検査物の乗り移りが行なわれる場合には、被検査物が両者の間に落ち込んで転倒する等して乗り移りに失敗するおそれが少なく、円滑な乗り移りが可能となる。
【0025】
図2〜図4から分かるように、外部搬送手段7の端部と、乗継ぎコンベアである搬送手段8の端部とは、カバー9の開口12の部分において並列している。そして、図2及び図3に示すように、乗継ぎコンベアである搬送手段8の端部に隣接している外部搬送手段7の端部は、カバー9に取り付けられた遮蔽部材13で覆われている。この遮蔽部材13は、カバー9の開口12に面する側と、外部搬送手段7が被検査物を搬入又は搬出する側と、下面側が開放されている他は閉止されている。
【0026】
図4〜図7に示すように、外部搬送手段7の端部と搬送手段8の端部の間には、被検査物の搬送を案内する案内手段15が設けられている。案内手段15は、外部搬送手段7及び搬送手段8の幅に略合致した間隔で配置された一対の案内レールからなり、外部搬送手段7及び搬送手段8の上方の所定高さに配置されている。この高さは、搬送すべき被検査物の高さに合わせて設定する。案内手段15の平面視形状は、図5に示す平面図から明らかなように、搬送手段8の搬送方向と外部搬送手段7の搬送方向とを緩やかにつなぐカーブとなっている。また、搬送手段8の側の案内手段15の入口16は拡げられており、搬送されてくる被検査物を受け入れやすいように構成されている。
【0027】
従って、搬送手段8で搬送されている被検査物は、入口16から案内手段15に入って接触して案内されることで進路を変え、カバー9の内部から開口12を経てカバー9の外に出て外部搬送手段7に乗り移り、外方へ搬出されていくことができる。なお、ここで説明した図5は被検査物の搬送方向について筐体2の後段側にある乗継ぎコンベアとしての搬送手段8及び外部搬送手段7を示しており、筐体2の前段側にある搬送手段8及び外部搬送手段7の場合であれば、外部搬送手段7で搬送されてきた被検査物は、案内手段15に案内されて進路を変え、カバー9の外部から開口12を経てカバー9の内部に入り、搬送手段8に乗り移って本装置の筐体2へと搬送されていくことになる。
なお、図5に示す案内手段は、被検査物を挟むように被検査物の両側に平行して存在しているが、被検査物がプラスチック容器のドレッシング等のように略円柱状の物であれば、案内手段は、搬送手段8と外部搬送手段7との間で被検査物が乗り移るようなガイドを片側に用意してもよい。
【0028】
本実施形態のX線検査装置1によれば、筐体2の外部で搬送手段8を覆っているカバー9は、X線発生手段がある筐体2から直線的に連続している構造ではあるが、その端面11は閉止されており、被検査物が出入りするカバー9の開口12はX線が放射されてくる方向について概ね平行な背面側に形成してあるので、カバー9の機長を短くしても開口12からX線が漏洩する可能性は低く、X線の遮蔽は確実に行なわれる。
【0029】
また、このようにカバー9の端面11が閉止されているため、外部搬送手段7で送られてくる被検査物をカバー9内に搬入し、またカバー9内を搬送手段8で搬送されている被検査物をカバー9外に搬出して外部搬送手段7に載せるためには、被検査物の進行方向を変える必要があるが、そのために被検査物が出入りするカバー9の開口12は、上述したように前段側及び後段側の両カバー9,9の背面側にそれぞれ設け、同一搬送方向の外部搬送手段7に対して各カバー9内の搬送手段8を各開口12を介して並列させるとともに、両者の間には被検査物を円滑に移動させるための案内手段15を設けたので、コンベア間を乗り移る被検査物がコンベア間の隙間に落ち込むといったことはなく、被検査物の搬入及び搬出は略Z型にオフセットした経路で安定して行なわれ、被検査物の搬送が滞ることはない。
【0030】
また、上述した通り、筐体2の前段と後段の両方に設けた各カバー9の各背面側にそれぞれ開口12を形成し、筐体2の前段と後段に配置した各外部搬送手段7の搬送方向を一致させた構成としたので、被検査物の生産ライン等に既に設けられている連続した外部搬送手段7の中途を分離し、その間に本X線検査装置1を設置することができるので、生産ラインにおける検査工程の配置の自由度が高い。
【0031】
以上説明したように、本実施形態のX線検査装置1によれば、被検査物の安定的な搬送と、X線の漏洩防止を両立できる。その結果、筐体2の外部にある搬送手段8を覆うために筐体2に連続して設けられるカバー9の長さを短くでき、装置の設置面積が小さくなり、装置全体の構成がコンパクトになって設置スペースを短縮することができる。
【0032】
本実施形態によれば、被検査物の高さが高く倒れ易い物品であるほど上述した効果が得られる。すなわち、背の高い物品である場合は上述したように筐体2内からX線遮蔽用のカーテンを取り去り、その代わりに筐体2外のカバー9を長く設定する必要があるが、本例のようにカバー9の端面11を閉止して背面に開口12を設け、略Z形の屈曲した経路で被検査物を乗り継ぎさせる構造であれば、その構造によってX線遮蔽能力が高まるので、それだけケース長を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るX線検査装置1の正面図である。
【図2】図2は同平面図である。
【図3】図3は同右側面図である。
【図4】図4は同カバーを外した状態の平面図である。
【図5】図5は同カバーと選別部を外した後段側の乗継用の搬送手段の平面図である。
【図6】図6は同カバーと選別部を外した後段側の乗継用の搬送手段の背面図である。
【図7】図7は同カバーと選別部を外した後段側の乗継用の搬送手段の右側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1…X線検査装置
2…筐体
6…筐体内にある搬送手段
7…外部搬送手段
8…筐体外にある乗継ぎコンベアとしての搬送手段
9…カバー
11…カバーの端面
12…カバーの開口
15…案内手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線遮蔽構造の筐体(2)と、前記筐体に設けられて前記筐体内に搬入された被検査物にX線を照射するX線発生手段と、前記筐体に設けられて被検査物を透過したX線を検知するX線検知手段と、前記筐体の前段から前記筐体を通過して前記筐体の後段に被検査物を搬送する搬送手段(6,8)と、前記筐体の外部にある前記搬送手段(8)を覆うX線遮蔽構造のカバー(9)とを備えたX線検査装置(1)において、
前記筐体の前段と後段の少なくとも一方において、
前記搬送手段による被検査物の搬送方向と交差する前記カバーの端面(11)が閉止され、かつ前記端面の近傍であって前記搬送方向に平行な前記カバーの一対の壁面の一方に開口(12)が形成され、
前記搬送手段の前記搬送方向と平行かつ一致しない搬送方向に沿って前記X線検査装置に被検査物を供給する外部搬送手段(7)の端部に、前記カバーの前記開口を介して前記搬送手段の端部が並設しており、
前記開口を経て前記外部搬送手段と前記搬送手段との間で被検査物が乗り移るように構成されたことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記筐体(2)の前段と後段の両方に前記カバー(9)がそれぞれ設けられており、前記筐体の前段と後段にある前記各カバーの各一対の壁面の各背面側にそれぞれ前記開口(12)が形成されており、前記筐体の前段に配置された外部搬送手段(7)の搬送方向と前記筐体の後段に配置された外部搬送手段(7)の搬送方向とが一致していることを特徴とする請求項1記載のX線検査装置(1)。
【請求項3】
前記外部搬送手段(7)の端部と、前記カバー(9)の前記開口(12)と、前記搬送手段(8)の端部の間にある被検査物の搬送経路に沿って、被検査物の搬送を案内する案内手段(15)が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−91324(P2010−91324A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259758(P2008−259758)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】