説明

X線検査装置

【課題】X線発生部が発生するX線の出力が低くても高感度に異物を検出することができるX線検査装置を提供すること。
【解決手段】X線検出器10は、搬送路21上を搬送される被検査物WにX線を照射するX線発生部9と、被検査物Wの搬送方向(方向X)の平面上で搬送方向に直交する主走査方向(方向Y)に直線状に配置された複数の検出素子101a、101b、・・・からなる検出素子列101〜108を搬送方向に複数段有し、複数の検出素子列101〜108の段ごとに各検出素子から得た検出データを時間遅延積分により合成して合成データを出力するX線検出器10と、X線検出器10により出力される合成データに基づいて被検査物W中の異物の有無を判定する判定部44と、を備える。また、被検査物Wの厚さ情報に応じて、X線検出器10により行われる時間遅延積分の対象となる検出素子列の段数を設定する段数設定部46を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉、魚、加工食品、医薬品等の被検査物中に混入した異物を検出するX線検査装置に関し、特に、X線発生器から照射されて被検査物を透過したX線を検出するX線検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば食品などの被検査物への異物の混入の有無を検出するために、従来からX線検査装置が用いられている。この種の従来のX線検査装置は、装置本体の上側にX線発生部を配置し、且つ、X線発生部の下方の搬送ベルトの下部となる位置にX線検出器を取り付け、X線発生部から照射されたX線をX線検出部にて受けるようにしている。
【0003】
この種のX線検査装置においては、1つのX線発生部に対し、X線発生部からのX線を受けるライン状のセンサモジュールを搬送方向に並べて配置するとともに、X線発生部から各X線センサに至るそれぞれのX線の線質を異ならせるX線可変体を設け、被検査物を透過した互いに線質の異なる各X線を各センサモジュールで検出することにより、これらX線の透過量から被検査物中の異物を、X線を透過し易い異物と、X線を透過しにくい異物とに区別して検出するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このX線検査装置は、例えば、複数のセンサモジュールにより取得した高エネルギー画像と低エネルギー画像との差分を算出することにより、異物のみを高感度に検出することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−168803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたものは、異物を高感度に検出することができるが、X線発生部が発生するX線の出力が従来のX線検査装置と同等の強度またはそれ以上であった。このため、例えば、X線の出力が小さい場合と比較して、被検査物が受けるX線の被爆量が高いという問題、動作時のX線発生部の発熱が大きいために冷却手段が必要となったり食品の検査には不向きであるという問題があった。また、X線発生部の寿命が短いという問題、X線漏洩防止のための遮蔽構造を強固にするために装置が大型化してしまうという問題があった。
【0006】
すなわち、X線発生部が発生するX線の出力を低下させるとX線検出器の検出出力が低下して異物を高感度に検出することが困難になるという問題があり、一方、異物を高感度に検出するためにはX線の出力を維持または増加することに伴う上記のような問題が発生してしまっていた。
【0007】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、X線発生部が発生するX線の出力が低くても高感度に異物を検出することができるX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るX線検査装置は、搬送路上を搬送される被検査物にX線を照射するX線発生器と、前記被検査物の搬送方向の平面上で搬送方向に直交する主走査方向に直線状に配置された複数の検出素子からなる検出素子列を前記搬送方向に複数段有し、前記複数の検出素子列の段ごとに各検出素子から得た検出データを時間遅延積分により合成して合成データを出力するX線検出器と、前記X線検出器により出力される合成データに基づいて前記被検査物中の異物の有無を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成により、X線検出器が、検出データを時間遅延積分により合成して出力することにより高感度にX線を検出することができるので、X線発生器が照射するX線の出力を小さくすることができる。
【0010】
したがって、X線発生部が発生するX線の出力が低くても高感度に異物を検出することができる。
【0011】
これにより、X線発生器が照射するX線の出力を小さくすることにより、被検査物に対するX線の照射量やX線発生器の発熱を低下し、X線発生器の寿命を延ばし、X線漏えい防止用の遮蔽構造を小型化することができる。
【0012】
また、本発明に係るX線検査装置は、前記被検査物の厚さを入力する厚さ入力手段と、前記厚さ入力手段により入力された前記被検査物の厚さに応じて、前記X線検出器により行われる時間遅延積分の対象となる前記検出素子列の段数を設定する段数設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この構成により、段数設定手段で設定した段数分だけ時間遅延積分を行うことにより、X線検出器から得られた合成データの画像の空間分解能が低下することを抑制することができる。
【0014】
また、本発明に係るX線検査装置は、前記被検査物の厚さを検出し、検出した厚さを前記厚さ入力手段に入力する厚さ検出手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成により、利用者が被検査物の厚さを測って入力することなく、被検査物の厚さが検出される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、X線発生部が発生するX線の出力が低くても高感度に異物を検出することができるX線検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るX線検査装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るX線検査装置の側面および内部構成を示す図である。
【図3】X線検査装置のX線検出器の構成を示す図である。
【図4】X線検出器および出力データの時間遅延積分を説明する図である。
【図5】X線検出器の横方向の構成を示す図であり、被検査物の通過途中の状態を示す図である。
【図6】X線検出器の横方向の構成を示す図であり、被検査物の通過途中の状態を示す図である。
【図7】被検査物へのX線の透過経路の変遷を示す図である。
【図8】X線検出器の横方向の構成を示す図であり、時間遅延積分の段数を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
まず構成について説明する。
【0020】
図1に示すように、X線検査装置1は、搬送部2と検出部3とを筐体4の内部に備え、表示部5を筐体4の前面上部に備えている。
【0021】
搬送部2は、被検査物Wを所定間隔をおいて順次搬送するものである。この搬送部2は、例えば筐体4の内部に水平に配置されたベルトコンベアにより構成されている。搬送部2は、図1に示す駆動モータ6の駆動により予め設定された搬送速度で搬入口7から搬入された被検査物Wを搬出口8側(図中X方向)に向けて搬送面としてのベルト面2a上を搬送させるようになっている。筐体4の内部においてベルト面2a上を搬入口7から搬出口8まで貫通する空間は搬送路21を形成している。
【0022】
検出部3は、順次搬送される被検査物Wに対し、搬送路21の途中の検査空間22においてX線を照射するとともに被検査物Wを透過するX線を検出するものであり、搬送路21途中の検査空間22の上方に所定高さ離隔して配置されたX線発生部9と、搬送部2内にX線発生部9と対向して配置されたX線検出器10を備えている。
【0023】
X線発生源としてのX線発生部9は、金属製の箱体11の内部に設けられた円筒状のX線管12を図示しない絶縁油に浸漬した構成を有しており、X線管12の陰極からの電子ビームを陽極のターゲットに照射させてX線を生成している。X線管12は、その長手方向が被検査物Wの搬送方向(X方向)となるよう配置されている。X線管12により生成されたX線は、下方のX線検出器10に向けて、図示しないスリットにより略三角形状のスクリーン状(図3参照)となって搬送方向(X方向)を横切るように照射されるようになっている。
【0024】
図2に示すように、搬送路21内の天井部21aには、搬送方向(X方向)に沿って複数個所にX線遮蔽用の遮蔽カーテン16が吊り下げ配置されている。遮蔽カーテン16は、X線を遮蔽する鉛粉を混入したゴムシートをのれん状(上部が繋がっており下部が帯状に分割された状態)に加工したものから構成されており、検査空間22から搬送路21を介してX線が筐体4の外部に漏えいすることを防止するものである。遮蔽カーテン16は、本実施の形態では、搬入口7と検査空間22との間、および検査空間22と搬出口8との間にそれぞれ2枚ずつ設けられており、1つの遮蔽カーテン16が被検査物Wと接触して弾性変形して隙間が生じた場合でも、他の遮蔽カーテン16がX線を遮蔽するので漏えい基準量を超えることなくX線の漏えいを防止できるようになっている。搬送路21における遮蔽カーテン16により囲まれた内側の空間が検査空間22を構成している。
【0025】
X線検査装置1は、X線検出器10からのX線透過データが入力されるとともに被検査物W中の異物の有無を検査する制御部40と、制御部40による検査結果等を表示出力する表示部5と、制御部40への各種パラメータ等の設定入力を行う設定部45とを備えている。
【0026】
制御部40は、CPUやメモリなどを備えて構成されており、X線検出器10から受け取ったデータを記憶する記憶部42と、記憶部42から読み出したデータに対して合成や各種フィルタ等の画像処理を施す画像処理部43と、画像処理されたデータに対して被検査物Wと異物との判別を行って異物の混入の有無を判定する判定部44と、を備えている。
【0027】
設定部45は、ユーザが操作する複数のキーやスイッチ等で構成され、制御部40への各種パラメータ等の設定入力や動作モードの選択を行うものである。また、設定部45からは利用者の操作により、被検査物Wの厚さ情報が入力されるようになっている。また、設定部45には、後述する厚さ検出センサ60が検出した被検査物Wの厚さ情報が入力されるようになっている。
【0028】
また、制御部40は、X線検出器10により行われる時間遅延積分の対象となる検出素子列101〜108(図3参照)の段数を、設定部45に入力された被検査物Wの厚さ情報に基づいて設定する段数設定部46を備えている。
【0029】
表示部5は、平面ディスプレイ等から構成されており、制御部40による検査結果の表示を行うようになっている。また、表示部5は、被検査物Wの良否判定結果を「OK」や「NG」等の文字または記号で表示するとともに、総検査数、良品数、NG総数などの検査結果を、既定設定として、または、設定部45からの所定のキー操作による要求に基づいて表示するようになっている。
【0030】
また、X線検査装置1は、被検査物Wの厚さを検出する厚さ検出センサ60を搬送路21内に備えており、厚さ検出センサ60が検出した被検査物Wの厚さ情報は設定部45に出力されるようになっている。厚さ検出センサ60は、被検査物Wの厚さを光学的に検出したり、音波を用いて検出するようになっている。
【0031】
X線検出器10は、図3に示すように、幅方向、すなわち搬送される被検査物Wの搬送方向(X方向)の平面上で搬送方向と直交するY方向に複数の検出素子101a、101b、101c、・・・、102a、102b、102c、・・・、が一直線上に配置されてなる検出素子列101〜108を、搬送方向に複数段並べたものであり、ラインセンサとして構成されている。
【0032】
X線検出器10には、被検査物Wを透過したX線が入射するようになっており、X線検出器10の検出素子101a、101b、101c、・・・、102a、102b、102c、・・・、は、入射するX線の強度に基づいて、X線透過データを出力するようになっている。
【0033】
具体的には、一例として、各検出素子は、図示しないシンチレータとフォトダイオード等の受光素子とを密着したものから構成されており、X線をシンチレータで光に変換し、この光を受光素子で受光して電気信号に変換し、X線透過データとして出力するようになっている。また、他の例として、テルル化カドミウム(CdTe)のような半導体を用いて、X線を直接的に効率良く電気信号に変換するようになっていてもよい。
【0034】
また、X線検出器10は、検出素子列101〜108から出力されるX線透過データを時間遅延積分により所定の段数分合成して合成データとして出力する合成部100a(図2参照)を備えている。
【0035】
具体的には、合成部100aは、図4において、例えば、時間遅延積分を行う段数が3段で検出素子列101、102、103からのX線透過データを時間遅延積分により合成するときは、検出素子列101が時刻T1に検出したX線透過データと、検出素子列102が時刻T2に検出したX線透過データと、検出素子列102が時刻T3に検出したX線透過データとを、被検査物Wの下面における位置が一致するように遅延させて合成するようになっている。合成部100aは、各検出素子列101〜108のうち所定の段数分のX線透過データを時間遅延積分により合成する。
【0036】
このように、X線検出器10が、合成部100aにより、各検出素子列101〜108のうち所定の段数分のX線透過データを時間遅延積分により合成することによって、X線の検出感度およびS/N比を向上することができる。したがって、X線発生部9のX線出力を減少させても十分な感度で被検査物W中の異物を検出することができるため、X線発生部9のX線出力を減少させることにより、被検査物が受けるX線の被爆量を減少することができ、動作時のX線発生部の発熱を減少できるので冷却手段を別途設けることを不要にすることができ、食品の検査に適したX線検査装置とすることができる。また、X線発生部9のX線出力を減少させることにより、X線発生部9の寿命を長くすることができ、X線漏洩防止のための遮蔽構造を簡易にすることにより装置を小型化することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、説明を簡単にするためにX線検出器10が8段の検出素子列101〜108から構成される例を用いて説明しているが、8段に限定されるものではない。
【0038】
ここで、X線検出器10の上を搬送される被検査物WをX線が透過する角度は、例えば、図5に示すように、X線発生部9の直下を被検査物Wが通過するときと、図5の状態から所定時間経過後(例えば、4秒後)の状態である図6に示すように、X線発生部9の直下よりも搬送方向下流の位置を被検査物Wが通過するときとで異なる。
【0039】
被検査物W内を透過するX線の角度が異なると、図7に示すように、搬送される被検査物Wを横から見たときに、被検査物Wの下面を基準にした場合、被検査物Wの下面の中央を透過するX線は、被検査物Wの上面においては、X線検出器10の上を被検査物Wが搬送されて移動するのに伴いその位置が変化することになる。
【0040】
また、図7で、被検査物WがX線発生部9の直下を通過するときは、X線が被検査物Wの下面を透過する水平方向の位置と上面を透過する水平方向の位置が等しいが、被検査物WがX線発生部9の直下以外の位置を通過するときは、X線が被検査物Wの下面を透過する水平方向の位置と上面を透過する水平方向の位置が異なり、この透過位置の差異は、被検査物WがX線発生部9の直下から離れるほど大きくなる。
【0041】
このため、X線検出器10から得られた合成データの画像は、時間遅延積分により合成する検出素子列の段数を増やすと、高感度化できてS/N比が向上する一方で空間分解能は低下する。また、X線検出器10から得られた合成データの画像は、被検査物Wの厚さが大きいほど、空間分解能が低いものとなってしまう。換言すると、被検査物Wの厚さが大きいほど、X線検出器10から得られた画像のコントラストが低下してぼやけた状態となってしまう。コントラストは、例えば、MTF(Modulation Transfer Function)の値として客観的に計測される。
【0042】
そこで、本実施の形態では、空間分解能の低下を抑制するために、8段の検出素子列101〜108(図3参照)のうち時間遅延積分を行う段数を、被検査物Wの厚さ情報に基づいて段数設定部46により設定するようになっている。
【0043】
具体的には、図8に示すように、被検査物Wの厚さをh、X線発生部9から被検査物Wまでの距離をL、検出素子列101〜108の片側段数をn、検出素子列101〜108のピッチをp、画像ズレをΔxとすると、画像ズレΔxと片側段数nの関係は、Δx=hnp/Ldの数式で表される。例えば、許容する最大の画像ズレ2Δxをピッチpの25%以下にする場合は、2Δx=2hnp/L≦0.25pの数式を解き、片側段数nは、n≦L/8hとなる。すなわち、n≦L/8hとなるように、片側段数nを設定することにより、最大の画像ズレ2Δxをピッチpの25%以下にすることができる。
【0044】
なお、ピッチpは、各検出素子列101〜108の中心間の間隔であり、画像ズレΔxは、被検査物Wの上面のX線透過位置と下面のX線透過位置の水平方向の距離である。
【0045】
このように、許容する最大の画像ズレ2Δxを予め定めておき、これを満足するように片側段数nを設定することにより、X線検出器10から得られる画像のコントラストの低下を抑制することができる。
【0046】
上記構成のX線検査装置1の異物検出動作について説明する。
【0047】
被検査物Wが搬送部2によって搬送される途中位置で被検査物WにX線発生部9からX線が照射される。このX線の照射に伴って被検査物Wを透過してくるX線は、X線検出器10において、各検出素子列101〜108によって検出され、合成部100aにより時間遅延積分される。
【0048】
被検査物Wの厚さ情報は、利用者により計測された被検査物Wの高さ方向の寸法(h)が予め設定部45から入力されるか、または、搬送時に厚さ検出センサ60が検出した被検査物Wの高さ方向の寸法(h)が設定部45から入力される。
【0049】
段数設定部46は、設定部45から取得した被検査物Wの厚さに基づいて、上記のΔx=hnp/Ldの数式から時間遅延積分の段数を算出し、この段数をX線検出器10の合成部100aに設定する。
【0050】
X線検出器10の合成部100aは、各検出素子列101〜108が検出したX線透過データのうち、段数設定部46により設定された段数分のX線透過データを時間遅延積分により合成する。
【0051】
合成された合成データは、記憶部42により記憶され、画像処理部43により画像処理が施された後、判定部44により、被検査物Wと異物との判別が行われて異物の混入の有無を判定される。
【0052】
なお、被検査物Wの形状により、高さ方向の寸法(h)が一様でない場合には、最大値(ha)や最小値(hb)等が設定部45により入力されて、段数設定部46がそれらの平均値(hc)を用いて時間遅延積分の段数を設定するようにしてもよい。
【0053】
また、厚さ検出センサ60により被検査物Wの厚さ段階(h[n]:h[1]〜h[5])が検出されるようになっていてもよい。このとき、段数設定部46は、検出された厚さレベル(h[n])に予め対応付けられた時間遅延積分の段数を設定する。
【0054】
以上のように、本実施の形態に係るX線検出器10は、搬送路21上を搬送される被検査物WにX線を照射するX線発生部9と、被検査物Wの搬送方向(方向X)の平面上で搬送方向に直交する主走査方向(方向Y)に直線状に配置された複数の検出素子101a、101b、・・・からなる検出素子列101〜108を搬送方向に複数段有し、複数の検出素子列101〜108の段ごとに各検出素子から得た検出データを時間遅延積分により合成して合成データを出力するX線検出器10と、X線検出器10により出力される合成データに基づいて被検査物W中の異物の有無を判定する判定部44と、を備えたことを特徴とする。
【0055】
この構成により、X線検出器10が、検出データを時間遅延積分により合成して出力することにより高感度にX線を検出することができるので、X線発生部9が照射するX線の出力を小さくすることができる。
【0056】
したがって、X線発生部9が発生するX線の出力が低くても高感度に異物を検出することができる。
【0057】
これにより、X線発生部9が照射するX線の出力を小さくすることにより、被検査物Wに対するX線の照射量やX線発生部9の発熱を低下し、X線発生部9の寿命を延ばし、X線漏えい防止用の遮蔽構造を小型化することができる。
【0058】
また、本実施の形態に係るX線検出器10は、被検査物Wの厚さ情報を入力する設定部45と、設定部45により入力された被検査物Wの厚さ情報に応じて、X線検出器10により行われる時間遅延積分の対象となる検出素子列101〜108の段数を設定する段数設定部46と、を備えたことを特徴とする。
【0059】
この構成により、段数設定部46で設定した段数分だけ時間遅延積分を行うことにより、X線検出器10から得られた合成データの画像の空間分解能が低下することを抑制することができる。
【0060】
また、本実施の形態に係るX線検出器10は、被検査物Wの厚さ情報を検出し、検出した厚さ情報を設定部45に入力する厚さ検出センサ60を備えたことを特徴とする。
【0061】
この構成により、利用者が被検査物Wの高さ方向の寸法を測って入力することなく、被検査物Wの厚さ情報を検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明に係るX線検査装置は、X線発生部が発生するX線の出力が低くても高感度に異物を検出することができるという効果を有し、X線発生器から照射されて被検査物を透過したX線を検出するX線検査装置として有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 X線検査装置
2 搬送部
2a ベルト面
3 検出部
4 筐体
5 表示部
6 駆動モータ
7 搬入口
8 搬出口
9 X線発生部(X線発生器)
10 X線検出器
11 箱体
12 X線管
16 遮蔽カーテン
21 搬送路
21a 天井部
22 検査空間
40 制御部
42 記憶部
43 画像処理部
44 判定部(判定手段)
45 設定部(厚さ入力手段)
46 段数設定部(段数設定手段)
60 厚さ検出センサ(厚さ検出手段)
100a 合成部
101〜108 検出素子列
101a〜108a、101b〜108b、・・・ 検出素子
W 被検査物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路(21)上を搬送される被検査物(W)にX線を照射するX線発生器(9)と、
前記被検査物の搬送方向(方向X)の平面上で搬送方向に直交する主走査方向(方向Y)に直線状に配置された複数の検出素子(101a、101b、・・・)からなる検出素子列(101〜108)を前記搬送方向に複数段有し、前記複数の検出素子列の段ごとに各検出素子から得た検出データを時間遅延積分により合成して合成データを出力するX線検出器(10)と、
前記X線検出器により出力される合成データに基づいて前記被検査物中の異物の有無を判定する判定手段(44)と、を備えたことを特徴とするX線異物検出装置。
【請求項2】
前記被検査物の厚さを入力する厚さ入力手段(45)と、
前記厚さ入力手段により入力された前記被検査物の厚さに応じて、前記X線検出器により行われる時間遅延積分の対象となる前記検出素子列の段数を設定する段数設定手段(46)と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のX線異物検査装置。
【請求項3】
前記被検査物の厚さを検出し、検出した厚さを前記厚さ入力手段に入力する厚さ検出手段(60)を備えたことを特徴とする請求項2に記載のX線異物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−242374(P2011−242374A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117438(P2010−117438)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】