説明

X線検査装置

【課題】清潔に保つことが可能なX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線検査装置は、搬送装置によって搬送される物品に検査室内でX線を照射して検査を行うX線検査装置であって、検査室へ物品を搬入出するための開口部に配置されX線漏洩防止部材700と、開口部を開放または閉塞する位置にX線漏洩防止部材700を回転させる回転軸720Rと、を備えている。そして、回転軸720Rは、鉛直方向(矢印Z方向)から傾斜して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査室へ物品を搬入出するための開口部に配置されるX線漏洩防止部材を備えるX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品内の異物を検出するためにX線検査装置等が使用されている。これらのX線検査装置に関して、日々研究開発が行われている。
【0003】
特許文献1には、被検査物のX線遮蔽部材通過時の衝突抵抗を緩和して被検査物が転倒することを防止するとともに、筺体外にX線が漏洩することを防止するX線検査装置が開示されている。この特許文献1に記載のX線検査装置では、被検査物の搬送路を遮断するように配置される遮蔽板が、閉状態となるように常時付勢されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−122007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に記載のX線検査装置では、遮蔽板を閉状態にする付勢機構(例えば、遮蔽板に戻り力を付与する戻りバネ等)が必要であった。しかしながら、食品等の検査を行う場合、当該機構に食品のカス等が溜まったり、当該機構の存在により清掃が困難になったりする等、遮蔽板の付勢機構が検査室内を清潔に保つ妨げになっていた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、検査室内を清潔に保つことが可能なX線検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)
本発明に係るX線検査装置は、搬送装置によって搬送される物品に検査室内でX線を照射して検査を行うX線検査装置であって、検査室へ物品を搬入出するための開口部に配置されるX線漏洩防止部材と、開口部を開放または閉塞する位置にX線漏洩防止部材を回転させる回転軸と、を備えている。そして、回転軸は、鉛直方向から傾斜して設けられている。
【0008】
上記構成によれば、X線漏洩防止部材の回転軸が鉛直方向から傾斜することによって、物品がX線漏洩防止部材を通過するときに、当該X線漏洩防止部材を斜め上方に回転させても、物品の通過後、自重によりX線漏洩防止部材が斜め下方に回転する。つまり、物品に当接して回転したX線漏洩防止部材が自重により元の位置に戻るので、X線漏洩防止部材を元の位置に戻す機構(例えば、X線漏洩防止部材に戻り力を付与する戻りバネ等)が必要ない。これにより、X線漏洩防止部材を回転させる機構が簡略化されるので、物品のカス等が詰まり難くなる。その結果、X線漏洩防止部材を回転させる機構が簡略化されることで、検査室内の清掃が容易になる。したがって、検査室内を清潔に保つことが可能となる。
【0009】
(2)
上記したX線検査装置において、X線漏洩防止部材は、回転軸の上端部が物品の搬送方向の上流側に位置し、かつ当該下端部が物品の搬送方向の下流側に位置するように回転軸が鉛直方向から傾斜して設けられる。
【0010】
上記構成によれば、物品に当接したX線漏洩防止部材が重力に抗して斜め上方に回転する。これにより、物品が当該X線漏洩防止部材を通過した後、回転したX線漏洩防止部材が自重により斜め下方に回転して元の位置に戻る。
また、上記構成によれば、回転軸を物品の搬送方向に沿って配置することができる。これにより、物品が通過する範囲である搬送領域側に回転軸が傾斜するのを防止することができる。その結果、搬送領域が回転軸により制限されるのを防止することができる。
【0011】
(3)
上記したX線検査装置において、X線漏洩防止部材は、水平方向又は回転軸から離れるにつれて下降する方向に分割されており、当該分割された複数のX線漏洩防止部材は、それぞれ個別に回転する。
【0012】
上記構成によれば、X線漏洩防止部材が水平方向又は前記回転軸から離れるにつれて下降する方向に分割され、その分割されたX線漏洩防止部材が個別に回転する。これにより、物品がX線漏洩防止部材を通過するとき、物品に当接したX線漏洩防止部材だけが回転するので、当該物品が通過するのに必要な大きさの空間が形成される。その結果、物品がX線漏洩防止部材を通過するときに、X線が外部に漏洩するのを抑制することができる。
また、物品がX線漏洩防止部材を通過するときに、物品に当接するX線漏洩防止部材のみが回転する。すなわち、分割されたX線漏洩防止部材の全てが回転する場合に比べて、回転するX線漏洩防止部材の重量が軽くなる。その結果、搬送装置により搬送される物品が、X線漏洩防止部材に当接してX線漏洩防止部材を回転させる際に、当該X線漏洩防止部材からの反力を受けて、物品が転倒するのを抑制できる。転倒のおそれがある物品(例えば、起立姿勢で搬送される物品)を検査するX線検査装置では、非常に有効である。
【0013】
(4)
上記したX線検査装置において、水平方向に分割されたX線漏洩防止部材は、同一平面上に配置される。
【0014】
上記構成によれば、分割されたX線漏洩防止部材を同一平面上に並べることにより、複数のX線漏洩防止部材を隙間なく配置することができる。これにより、隣接するX線漏洩防止部材の間からX線が漏洩するのを抑制することができる。
【0015】
(5)
上記したX線検査装置において、分割された各X線漏洩防止部材は、ブラインド状に配置される。
【0016】
上記構成によれば、複数のX線漏洩防止部材が鉛直方向に沿って整列されるので、X線漏洩防止部材の設置範囲が大きくなるのを抑制することができる。これにより、X線検査装置の小型化を図ることができる。
【0017】
(6)
上記したX線検査装置において、X線漏洩防止部材は、複数のX線漏洩防止板を備え、
複数のX線漏洩防止板のそれぞれは、複数の回転軸で連結されている。
【0018】
上記構成によれば、X線漏洩防止部材に設けられる回転軸により当該X線漏洩防止部材の一部(X線漏洩防止板)を回転させることができる。これにより、物品がX線漏洩防止部材を通過するとき、物品に当接したX線漏洩防止部材の一部だけが回転するので、当該物品が通過するのに必要な大きさの空間が形成される。その結果、物品がX線漏洩防止部材を通過するときに、X線が外部に漏洩するのを抑制することができる。
また、物品がX線漏洩防止部材を通過するときに、物品に当接するX線漏洩防止部材の一部のみが回転する。すなわち、X線漏洩防止部材の全体が回転する場合に比べて、回転するX線漏洩防止部材の重量が軽くなる。その結果、搬送装置により搬送される物品が、X線漏洩防止部材に当接してX線漏洩防止部材を回転させる際に、当該X線漏洩防止部材からの反力を受けて、物品が転倒するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係るX線検査装置の正面図である。
【図2】図1に示したX線検査装置の側面図である。
【図3】X線源、コンベア、ラインセンサ、X線漏洩防止部材を示した斜視図である。
【図4(a)】物品の通過前におけるX線漏洩防止部材の正面図である。
【図4(b)】図4に示したX線漏洩防止部材の側面図である。
【図5(a)】物品の通過中におけるX線漏洩防止部材の正面図である。
【図5(b)】図4に示したX線漏洩防止部材の側面図である。
【図6(a)】物品の通過後におけるX線漏洩防止部材の正面図である。
【図6(b)】図4に示したX線漏洩防止部材の側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るX線漏洩防止部材の側面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るX線漏洩防止部材の正面図である。
【図9(a)】サイズの小さい物品の通過中におけるX線漏洩防止部材の正面図である。
【図9(b)】サイズの小さい物品の通過中におけるX線漏洩防止部材の平面図である。
【図10(a)】サイズの大きい物品の通過中におけるX線漏洩防止部材の正面図である。
【図10(b)】サイズの大きい物品の通過中におけるX線漏洩防止部材の平面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係るX線漏洩防止部材の正面図である。
【図12】本発明の変形例に係るX線漏洩防止部材の側面図である。
【図13(a)】図12における上流側に配置されるX線漏洩防止部材の正面図である。
【図13(b)】図12における下流側に配置されるX線漏洩防止部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るX線検査装置について図面を参照しながら説明する。
【0021】
(第1実施形態)
<X線検査装置の全体構成>
第1実施形態に係るX線検査装置100は、図1および図2に示すように、被検査物である物品B(例えば、菓子、パン、レトルト食品、缶詰など)の生産ラインにおいて、当該物品BのX線検査を行う装置である。このX線検査装置100は、上流側の搬入コンベア101から搬送される物品Bに対して、X線を照射することによって、当該物品Bを透過したX線を検知して物品Bの不良判断を行う。なお、前述した「不良判断」とは、物品Bに異物が混入しているか否かの判断(異物検査)、物品Bを構成する内容物が規定レベルを満たすか否かの判断(欠品検査、レベルチェック)など、を言う。
【0022】
本実施形態に係るX線検査装置100は、従来のX線検査装置(管電圧:25kV〜70kV)に比べて、高出力タイプ(管電圧:100kV以上)のX線検査装置であって、高精度のX線検査が可能である。具体的には、X線検査装置100は、X線源300から照射される高エネルギー帯のX線と低エネルギー帯のX線とをそれぞれ検知して、高エネルギー帯のX線を検知して得られたX線透過画像と低エネルギー帯のX線を検知して得られたX線透過画像とに画像処理を施して、画像処理が施された両X線透過画像を用いて高精度のX線検査を行う。このX線検査装置100は、図1および図2に示すように、脚部110、及び、脚部110に固定される本体部120を備えている。そして、図2および図3に示すように、本体部120は、主として、シールドボックス200と、X線源300と、ラインセンサ400と、コンベア500と、X線遮蔽扉600と、X線漏洩防止部材700と、を備えている。
【0023】
<シールドボックス>
シールドボックス200は、X線検査装置100の筺体であって、X線遮蔽構造を有している。このシールドボックス200には、図1に示すように、検査室Kに物品Bを搬入するための搬入口201が形成されていると共に、検査室Kに物品Bを搬出するための搬出口202が形成されている。検査室Kは、シールドボックス200の内部に形成される空間であって、後述するX線源300からのX線が物品Bに照射される箇所である。なお、この搬入口201および搬出口202のそれぞれには、図2に示すように、X線漏洩防止部材700が設けられている。このシールドボックス200の内部は、物品BにX線を照射する検査室Kになっており、図3に示すように、X線源300、ラインセンサ400、コンベア500、および、X線漏洩防止部材700等が収容されている。
【0024】
<X線源>
X線源300は、物品BにX線を照射するために設けられている。本実施形態では、X線源300は、高エネルギー帯のX線を照射するために、X線源300の管電圧を100kV以上に設定することが可能である。本実施形態では、図3に示すように、X線源300は、下方に向けてX線を照射するように固定配置されている。
【0025】
<ラインセンサ>
ラインセンサ400は、図3に示すように、上記したX線源300の下方であって、コンベア500の搬送面Mの下方に配置されている。ラインセンサ400は、上下2段に配置されるデュアルセンサであって、この2段のラインセンサによって、X線源300から照射される低エネルギー帯のX線と高エネルギー帯のX線とを検知する。
【0026】
<コンベア>
コンベア500は、X線検査装置100の上流側に配置される搬入コンベア101から受け取った物品Bを、X線検査装置100の下流側に配置される搬出コンベア102まで搬送し、その途中で上記したX線源300からのX線が照射される位置において、物品BのX線検査を行う。
【0027】
<X線遮蔽扉>
X線遮蔽扉600は、図2に示すように、X線検査装置100の前面に開閉可能に取り付けられている。X線遮蔽扉600は、コンベア500の清掃時に開放されると共に、X線源300からX線が照射されるX線検査時に閉鎖される。
【0028】
<X線遮蔽漏洩防止部材>
X線漏洩防止部材700は、搬入口201および搬出口202に配置されている。そして、本実施形態では、図3に示すように、搬入口201側に2つのX線漏洩防止部材700が配置されると共に、搬出口202側に2つのX線漏洩防止部材700が配置される。搬入口201に配置されるX線漏洩防止部材700と、搬出口202に配置されるX線漏洩防止部材700とは、同様の構成であるので、ここでは、搬入口201に配置されるX線漏洩防止部材700について詳細に説明する。このX線漏洩防止部材700は、後述する回転軸720回りに回転して、搬入口201を開放する位置、または、搬入口201を閉塞する位置に配置される。
【0029】
本実施形態に係るX線漏洩防止部材700は、図4(a)に示すように、物品Bの搬送方向(矢印X1方向(図1参照))に対して右側(矢印Y1方向)に配置される右遮蔽板710Rと、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に対して左側(矢印Y2方向)に配置される左遮蔽板710Lと、を有している。なお、以下で使用する「右」および「左」の意義は、それぞれ、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に対して「右」および物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に対して「左」である。
【0030】
右遮蔽板710Rは、水平方向(矢印Y方向)に分割されており、右上段遮蔽板711R、右中段遮蔽板712R、及び、右下段遮蔽板713Rを有している。また、左遮蔽板710Lも、水平方向に分割されており、左上段遮蔽板711L、左中段遮蔽板712L、及び、左下段遮蔽板713Lを有している。右遮蔽板710R(711R〜713R)および左遮蔽板710L(711L〜713L)は、同一平面上に配置されている。そして、右上段遮蔽板711R、右中段遮蔽板712R、右下段遮蔽板713R、左上段遮蔽板711L、左中段遮蔽板712L、及び、左下段遮蔽板713Lは、互いに隙間なく配置されている。
【0031】
そして、右遮蔽板710Rは、コンベア500の右側に配置される右回転軸720Rに回転可能に支持されている。この右回転軸720Rは、右上段遮蔽板711Rを回転可能に支持する右上段回転軸721R、右中段遮蔽板712Rを回転可能に支持する右中段回転軸722R、及び、右下段遮蔽板713Rを回転可能に支持する右下段回転軸723R、を有している。すなわち、右上段遮蔽板711R、右中段遮蔽板712R、及び、右下段遮蔽板713Rは、それぞれ、右上段回転軸721R、右中段回転軸722R、及び、右下段回転軸723Rの回りに個別に回転する。
【0032】
また、左遮蔽板710Lも同様に、コンベア500の左側に配置される左回転軸720Lに回転可能に支持されている。この左回転軸720Lは、左上段遮蔽板711Lを回転可能に支持する左上段回転軸721L、左中段遮蔽板712Lを回転可能に支持する左中段回転軸722L、及び、左下段遮蔽板713Lを回転可能に支持する左下段回転軸723L、を有している。すなわち、左上段遮蔽板711L、左中段遮蔽板712L、及び、左下段遮蔽板713Lは、それぞれ、左上段回転軸721L、左中段回転軸722L、及び、左下段回転軸723Lの回りに個別に回転する。
なお、上記した右回転軸720Rおよび左回転軸720Lを総称して、以下適宜、回転軸720とする。
【0033】
そして、右遮蔽板710Rと左遮蔽板710Lとは、互いに反対方向に回転可能に支持されている。具体的には、右遮蔽板710Rは、矢印R1方向(図4(a)参照)に回転し、左遮蔽板710Lは、矢印R2方向(図4(a)参照)に回転する。すなわち、遮蔽板710は、その中央から両側へ開閉する。
【0034】
ここで、本実施形態では、図4(b)に示すように、上記した右回転軸720R(右上段回転軸721R、右中段回転軸722R、右下段回転軸723R)は、鉛直方向(矢印Z方向)から傾斜して設けられている。また、左回転軸720L(左上段回転軸721L、左中段回転軸722L、左下段回転軸723L)も、右回転軸720Rと平行であって、鉛直方向から傾斜して設けられている。具体的には、右回転軸720Rおよび左回転軸720Lは、その上端部が物品Bの搬送方向の上流側に位置し、かつその下端部が物品Bの搬送方向の下流側に位置する。
【0035】
そして、本実施形態では、図4(a)に示すように、上記した遮蔽板711R〜713Rおよび遮蔽板711L〜713Lは、それぞれ、幅方向の長さL1を有し、高さ方向の長さL2を有している。また、遮蔽板711R〜713Rおよび遮蔽板711L〜713Lは、0.05mm以上2mm以下の厚みを有している。また、図4(b)に示すように、回転軸720は、搬送面Mに対してθ1傾いている。そして、回転軸720およびX線漏洩防止部材700は、当該θ1の方向の長さL3を有している。
【0036】
<X線漏洩防止部材の開閉動作について>
まず、図5(a)および図5(b)に示すように、X線漏洩防止部材700は、コンベア500によって搬送される物品Bに当接することにより、傾斜した回転軸720の回りに回転する。具体的には、右遮蔽板710Rは、右回転軸720Rの回りに矢印R1方向に回転すると共に、左遮蔽板710Lは、左回転軸720Lの回りに矢印R2方向に回転する。これにより、搬入口201の一部が開放されて、物品Bが当該開放された領域を通過する。この際、右遮蔽板710R及び左遮蔽板710Lは、斜め上方(矢印D1方向)に回転する。
【0037】
そして、図6(a)および図6(b)に示すように、斜め上方に回転したX線漏洩防止部材700は、物品Bの当接が解除されたときに、当該X線漏洩防止部材700の自重により、斜め下方(矢印D2方向)に回転する。具体的には、右遮蔽板710Rは、右回転軸720Rの回りに矢印−R1方向に回転すると共に、左遮蔽板710Lは、左回転軸720Lの回りに矢印−R2方向に回転する。これにより、開放していた搬入口201の一部が閉鎖されて、X線が搬入口201から外部に漏洩するのを防止する。
【0038】
<本実施形態のX線検査装置の特徴>
(A)
上記実施形態に係るX線検査装置100では、X線漏洩防止部材700の回転軸720が鉛直方向から傾斜することによって、物品BがX線漏洩防止部材700を通過するときに当該X線漏洩防止部材700が斜め上方(矢印D1方向)に回転しても、物品Bの通過後、自重によりX線漏洩防止部材700が斜め下方(矢印D2方向)に回転する。つまり、回転したX線漏洩防止部材700が自重により元の位置に戻るので、X線漏洩防止部材700を元の位置に戻す機構(例えば、X線漏洩防止部材700に戻り力を付与する戻りバネ等)が必要ない。これにより、X線漏洩防止部材700を回転させる機構が簡略化されるので、物品Bのカス等が溜まり難くなる。そして、X線漏洩防止部材700を回転させる機構が簡略化されるので、X線検査装置の清掃が容易になる。その結果、X線検査装置を清潔に保つことが可能となる。
【0039】
(B)
また、本実施形態に係るX線検査装置100では、回転軸720の上端部が物品Bの搬送方向(矢印X1方向)の上流側に位置し、かつ当該下端部が物品Bの搬送方向(矢印X1方向)の下流側に位置するように、回転軸720を鉛直方向から傾斜させることにより、物品Bに当接したX線漏洩防止部材700が重力に抗して斜め上方(矢印D1方向)に回転する。これにより、物品Bが当該X線漏洩防止部材700を通過した後、X線漏洩防止部材700が自重により自動で斜め下方(矢印D2方向)に回転して元の位置に戻る。
【0040】
(C)
また、本実施形態に係るX線検査装置100では、回転軸720の上端部が物品Bの搬送方向(矢印X1方向)の上流側に位置し、かつ当該下端部が物品Bの搬送方向(矢印X1方向)の下流側に位置するように、回転軸720を鉛直方向から傾斜させることにより、回転軸720を物品Bの搬送方向(矢印X方向)に沿って配置することができる。これにより、物品Bが通過する範囲である搬送領域側に回転軸720が傾斜するのを防止することができる。その結果、搬送領域が回転軸720により制限されるのを防止することができる。
【0041】
(D)
また、本実施形態に係るX線検査装置100では、X線漏洩防止部材700を水平方向に分割することによって、その分割されたX線漏洩防止部材700(遮蔽板711R,712R,713R,711L,712L,713L)が回転軸720で個別に回転する。これにより、物品BがX線漏洩防止部材700を通過するとき、物品Bに当接した遮蔽板712R,713R,712L及び713Lだけが回転するので、当該物品Bが通過するのに必要な大きさの空間が形成される。その結果、物品BがX線漏洩防止部材700を通過するときに、X線が外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0042】
(E)
また、本実施形態に係るX線検査装置100では、X線漏洩防止部材700を水平方向に分割することによって、物品BがX線漏洩防止部材700を通過するときに、物品Bに当接した遮蔽板712R,713R,712L及び713Lのみが回転する。すなわち、分割されたX線漏洩防止部材700の全てが回転する場合に比べて、回転するX線漏洩防止部材700の重量が軽くなる。その結果、コンベア500により搬送される物品Bが、X線漏洩防止部材700に当接してX線漏洩防止部材700を回転させる際に、当該X線漏洩防止部材700からの反力を受けて、転倒するのを抑制できる。転倒のおそれがある物品B(例えば、起立姿勢で搬送される物品等)を検査するX線検査装置100には、非常に有効である。
【0043】
(F)
また、本実施形態に係るX線検査装置100では、分割された遮蔽板711R,712R,713R,711L,712Lおよび713Lを同一平面上に並べることにより、複数の遮蔽板711R,712R,713R,711L,712Lおよび713Lを隙間なく配置することができる。これにより、隣接するX線漏洩防止部材700の間からX線が外部に漏洩するのを防止することができる。
【0044】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては、X線検査装置100が「X線検査装置」に相当し、X線漏洩防止部材700が「X線漏洩防止部材」に相当し、搬入口201および搬出口202の少なくとも一方が「開口部」に相当し、回転軸720が「回転軸」に相当し、右上段遮蔽板711R、右中段遮蔽板712R、右下段遮蔽板713R、左上段遮蔽板711L、左中段遮蔽板712L、及び、左下段遮蔽板713Lは、「分割されたX線漏洩防止部材」に相当する。
【0045】
(第2実施形態)
図7を参照して、第2実施形態に係るX線検査装置について説明する。この第2実施形態に係るX線検査装置は、略同一平面上に配置されたX線漏洩防止部材700を備える第1実施形態に係るX線検査装置100とは異なり、ブラインド状に配置されたX線漏洩防止部材700Aを備えている。ここで、上記した「ブラインド状」とは、分割されたX線漏洩防止部材のそれぞれの上端が鉛直方向に並び、且つ、分割されたX線漏洩防止部材のそれぞれの下端が鉛直方向に並ぶ状態を言う。なお、X線漏洩防止部材700A以外の構成は、第1実施形態と同様であるので、その説明を割愛する。
【0046】
第2実施形態に係るX線漏洩防止部材700Aは、図7に示すように、水平方向に分割されており、上段遮蔽板711A、中段遮蔽板712A、及び、下段遮蔽板713Aを有している。そして、本実施形態では、上段遮蔽板711A、中段遮蔽板712A、及び、下段遮蔽板713Aが、ブラインド状に配置されている。すなわち、上段遮蔽板711A、中段遮蔽板712A、及び、下段遮蔽板713Aは、鉛直方向(矢印Z方向)に沿って整列されている。そして、各遮蔽板711A〜713Aは、略平行に配置されている。また、各遮蔽板711A〜713Aは、回転した時に互いに干渉しないように所定の間隔を隔てて配置されている。
【0047】
そして、本実施形態では、上記したX線漏洩防止部材700Aは、回転軸720Aに回転可能に支持されている。この回転軸720Aは、上段遮蔽板711Aを回転可能に支持する上段回転軸721A、中段遮蔽板712Aを回転可能に支持する中段回転軸722A、及び、下段遮蔽板713Aを回転可能に支持する下段回転軸723A、を有している。すなわち、上段遮蔽板711A、中段遮蔽板712A、及び、下段遮蔽板713Aは、それぞれ、上段回転軸721A、中段回転軸722A、及び、下段回転軸723Aの回り(矢印R1方向)に個別に回転する。
【0048】
ここで、本実施形態では、上記した回転軸720A(上段回転軸721A、中段回転軸722A、下段回転軸723A)は、鉛直方向(矢印Z方向)から傾斜して設けられている。具体的には、回転軸720A(上段回転軸721A、中段回転軸722A、下段回転軸723Aの各々)は、その上端部が物品Bの搬送方向(矢印X1方向)の上流側に位置し、かつその下端部が物品Bの搬送方向の下流側に位置する。なお、上記したX線漏洩防止部材700Aが、第1実施形態に係るX線漏洩防止部材700(右遮蔽板710R、左遮蔽板710L)と同様に、左右に分割することができる。
【0049】
<本実施形態のX線検査装置の特徴>
また、第2実施形態に係るX線漏洩防止部材700Aを備えたX線検査装置でも、第1実施形態に係るX線検査装置100と同様に、X線漏洩防止部材700Aの回転軸720Aが鉛直方向から傾斜することによって、物品BがX線漏洩防止部材700Aを通過するときに当該X線漏洩防止部材700Aが斜め上方に回転しても、物品Bの通過後、自重によりX線漏洩防止部材700Aが斜め下方に回転する。つまり、回転したX線漏洩防止部材700Aが自重により元の位置に戻るので、X線漏洩防止部材700Aを元の位置に戻す機構(例えば、X線漏洩防止部材700Aに戻り力を付与する戻りバネ等)が必要ない。これにより、X線漏洩防止部材700Aを回転させる機構が簡略化されるので、物品Bのカス等が溜まり難くなる。そして、X線漏洩防止部材700Aを回転させる機構が簡略化されるので、X線検査装置の清掃が容易になる。その結果、X線検査装置を清潔に保つことが可能となる。
【0050】
上記第2実施形態に係るX線検査装置100では、水平方向に分割された遮蔽板711A,712A,713Aをブラインド状に配置することによって、当該遮蔽板711A,712A,713Aが鉛直方向に沿って整列されるので、X線漏洩防止部材700Aの設置範囲(図7参照)が大きくなるのを抑制することができる。これにより、X線検査装置の小型化を図ることができる。
【0051】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては、X線漏洩防止部材700Aは、「X線漏洩防止部材」に相当し、回転軸720Aは、「回転軸」に相当し、上段遮蔽板711A、中段遮蔽板712Aおよび下段遮蔽板713Aは、「分割されたX線漏洩防止部材」に相当する。
【0052】
(第3実施形態)
図8〜図10(b)を参照して、第3実施形態に係るX線検査装置について説明する。この第3実施形態では、X線漏洩防止部材700Bは、複数のX線漏洩防止板P1〜P18を備えており、それらのX線漏洩防止板P1〜P18のそれぞれは複数の回転軸Q1〜Q12で連結されている。なお、X線漏洩防止部材700B以外の構成は、第1実施形態と同様であるので、その説明を割愛する。
【0053】
図8に示すように、第3実施形態に係るX線漏洩防止部材700Bは、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に対して右側に配置される右遮蔽板710BRと、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に対して左側に配置される左遮蔽板710BLと、を有している。右遮蔽板710BRは、水平方向に分割されており、右上段遮蔽板711BR、右中段遮蔽板712BR、及び、右下段遮蔽板713BRを有している。
【0054】
そして、本実施形態では、右上段遮蔽板711BRは、3つのX線漏洩防止板P1〜P3を有しており、X線漏洩防止板P1とP2とは、回転軸Q1により連結され、且つ、X線漏洩防止板P2とP3とは、回転軸Q2により連結されている。
また、右中段遮蔽板712BRは、3つのX線漏洩防止板P4〜P6を有しており、X線漏洩防止板P4とP5とは、回転軸Q3により連結され、且つ、X線漏洩防止板P5とP6とは、回転軸Q4により連結されている。
また、右下段遮蔽板713BRは、3つのX線漏洩防止板P7〜P9を有しており、X線漏洩防止板P7とP8とは、回転軸Q5により連結され、且つ、X線漏洩防止板P8とP9とは、回転軸Q6により連結されている。
【0055】
また、左遮蔽板710BLも同様に、水平方向に分割されており、左上段遮蔽板711BL、左中段遮蔽板712BL、及び、左下段遮蔽板713BLを有している。
【0056】
そして、本実施形態では、左上段遮蔽板711BLは、3つのX線漏洩防止板P10〜P12を有しており、X線漏洩防止板P10とP11とは、回転軸Q7により連結され、且つ、X線漏洩防止板P11とP12とは、回転軸Q8により連結されている。
また、左中段遮蔽板712BLは、3つのX線漏洩防止板P13〜P15を有しており、X線漏洩防止板P13とP14とは、回転軸Q9により連結され、且つ、X線漏洩防止板P14とP15とは、回転軸Q10により連結されている。
また、左下段遮蔽板713BLは、3つのX線漏洩防止板P16〜P18を有しており、X線漏洩防止板P16とP17とは、回転軸Q11により連結され、且つ、X線漏洩防止板P17とP18とは、回転軸Q12により連結されている。
【0057】
ここで、本実施形態では、右遮蔽板710BRは、コンベア500の右側に配置される右回転軸720BRに回転可能に支持されている。この右回転軸720BRは、右上段遮蔽板711BRを回転可能に支持する右上段回転軸721BR、右中段遮蔽板712BRを回転可能に支持する右中段回転軸722BR、及び、右下段遮蔽板713BRを回転可能に支持する右下段回転軸723BR、を有している。すなわち、右上段遮蔽板711BR、右中段遮蔽板712BR、及び、右下段遮蔽板713BRは、それぞれ、右上段回転軸721BR、右中段回転軸722BR、及び、右下段回転軸723BRの回りに個別に回転する。
【0058】
また、左遮蔽板710BLも同様に、コンベア500の左側に配置される左回転軸720BLに回転可能に支持されている。この左回転軸720BLは、左上段遮蔽板711BLを回転可能に支持する左上段回転軸721BL、左中段遮蔽板712BLを回転可能に支持する左中段回転軸722BL、及び、左下段遮蔽板713BLを回転可能に支持する左下段回転軸723BL、を有している。すなわち、左上段遮蔽板711BL、左中段遮蔽板712BL、及び、左下段遮蔽板713BLは、それぞれ、左上段回転軸721BL、左中段回転軸722BL、及び、左下段回転軸723BLの回りに個別に回転する。
なお、上記した右回転軸720BRおよび左回転軸720BLを総称して、以下適宜、回転軸720Bとする。
【0059】
そして、右遮蔽板710BRと、左遮蔽板710BLとは、互いに反対方向に回転可能に支持されている。具体的には、右遮蔽板710BRは、矢印R1方向に回転し、左遮蔽板710BLは、矢印R2方向に回転する。すなわち、遮蔽板710Bは、中央から両側へ開閉する。
【0060】
ここで、本実施形態では、上記した右回転軸720BR(右上段回転軸721BR、右中段回転軸722BR、右下段回転軸723BR)は、鉛直方向(矢印Z方向)から傾斜して設けられている。また、左回転軸720BL(左上段回転軸721BL、左中段回転軸722BL、左下段回転軸723BL)も、鉛直方向(矢印Z方向)から傾斜して設けられている。上記した右回転軸720BRおよび左回転軸720BLの傾斜方向は、第1実施形態に係る右回転軸720Rおよび左回転軸720Lと同様である。
【0061】
<X線漏洩防止部材の開閉について>
以下、図9(a)及び(b)、並びに、図10(a)及び(b)を参照して、大きさが異なる物品B1およびB2が搬送されたときのX線漏洩防止部材700の開閉について説明する。
【0062】
まず、物品B1(物品B2より小さいサイズの物品)が搬送されたとき、図9(a)および図9(b)に示すように、物品B1に当接する右中段遮蔽板712BR、右下段遮蔽板713BR、左中段遮蔽板712BL、及び、左下段遮蔽板713BLが回転する。ここで、本実施形態では、上記した遮蔽板712BR、713BR、712BL、713BLの全体が回転する訳ではない。すなわち、右中段遮蔽板712BRは、回転軸Q4の回りにX線漏洩防止板P6が回転し、右下段遮蔽板713BRは、回転軸Q6の回りにX線漏洩防止板P9が回転し、左中段遮蔽板712BLは、回転軸Q10の回りにX線漏洩防止板P15が回転し、左下段遮蔽板713BRは、回転軸Q12の回りにX線漏洩防止板P18が回転する。
【0063】
すなわち、物品B1が搬送されるとき、X線漏洩防止部材700Bの中央の中段および下段の4つのX線漏洩防止板P6、P9、P15及びP18が開閉する。
【0064】
次に、物品B2(物品B1より大きなサイズの物品)が搬送されたとき、図10(a)および図10(b)に示すように、物品B2に当接する右中段遮蔽板712BR、右下段遮蔽板713BR、左中段遮蔽板712BL、及び、左下段遮蔽板713BLが回転する。ここで、本実施形態では、上記した遮蔽板712BR、713BR、712BL、713BLの全体が回転する訳ではない。つまり、右中段遮蔽板712BRは、回転軸Q3の回りに回転し、右下段遮蔽板713BRは、回転軸Q5の回りに回転し、左中段遮蔽板712BLは、回転軸Q9の回りに回転し、左下段遮蔽板713BRは、回転軸Q11の回りに回転する。
【0065】
すなわち、物品B1が搬送されるとき、X線漏洩防止部材700Bの中央の中段および下段の8つのX線漏洩防止板P5、P6、P8、P9、P14、P15、P17及びP18が開閉する。
【0066】
<本実施形態のX線検査装置の特徴>
また、第3実施形態に係るX線漏洩防止部材700Bを備えたX線検査装置でも、第1実施形態に係るX線検査装置100と同様に、X線漏洩防止部材700Bの回転軸720Bが鉛直方向から傾斜することによって、物品BがX線漏洩防止部材700Bを通過するときに当該X線漏洩防止部材700Bが斜め上方に回転しても、物品Bの通過後、自重によりX線漏洩防止部材700Bが斜め下方に回転する。つまり、回転したX線漏洩防止部材700Bが自重により元の位置に戻るので、X線漏洩防止部材700Bを元の位置に戻す機構(例えば、X線漏洩防止部材700Bに戻り力を付与する戻りバネ等)が必要ない。これにより、X線漏洩防止部材700Bを回転させる機構が簡略化されるので、物品Bのカス等が溜まり難くなる。そして、X線漏洩防止部材700Bを回転させる機構が簡略化されるので、X線検査装置の清掃が容易になる。その結果、X線検査装置を清潔に保つことが可能となる。
【0067】
上記第3実施形態に係るX線検査装置100では、X線漏洩防止部材700が複数のX線漏洩防止板P1〜P18を有し、それらのX線漏洩防止板P1〜P18が複数の回転軸Q1〜Q12により連結されることによって、物品B1,B2がX線漏洩防止部材700Bを通過するとき、物品B1,B2に当接したX線漏洩防止部材700Bの一部(物品B1の場合:P6、P9、P15及びP18の4つの遮蔽板、物品B2の場合:P5、P6、P8、P9、P14、P15、P17及びP18の8つの遮蔽板)だけが回転する。これにより、物品B1,B2が通過するのに必要な大きさの空間が形成される。その結果、物品がX線漏洩防止部材700Bを通過するときに、X線が外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0068】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては、X線漏洩防止部材700Bが「X線漏洩防止部材」に相当し、X線漏洩防止板P1〜P18が「複数のX線漏洩防止板」に相当し、回転軸Q1〜Q12が「複数の回転軸」に相当する。
【0069】
(第4実施形態)
図11を参照して、第4実施形態に係るX線検査装置について説明する。この第4実施形態では、回転軸720C(右回転軸720RCおよび左回転軸720LC)が鉛直方向(矢印Z方向)からコンベア500の幅方向(矢印Y方向)に傾斜している。なお、X線漏洩防止部材700C以外の構成は、第1実施形態と同様であるので、その説明を割愛する。
【0070】
第4実施形態に係るX線漏洩防止部材700Cは、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に対して右側に配置される右遮蔽板710CRと、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に対して左側に配置される左遮蔽板710CLと、を有している。
【0071】
右遮蔽板710CRは、コンベア500の中央側に向かって下降するように斜め下方に分割されており、右上段遮蔽板711CR、右中段遮蔽板712CR、及び、右下段遮蔽板713CRを有している。また、左遮蔽板710CLも、コンベア500の中央側に向かって下降するように斜め下方に分割されており、左上段遮蔽板711CL、左中段遮蔽板712CL、及び、左下段遮蔽板713CLを有している。右遮蔽板710CR(711CR〜713CR)および左遮蔽板710CL(711CL〜713CL)は、同一平面上に配置されている。そして、右上段遮蔽板711CR、右中段遮蔽板712CR、右下段遮蔽板713CR、左上段遮蔽板711CL、左中段遮蔽板712CL、及び、左下段遮蔽板713CLは、互いに隙間なく配置されている。
【0072】
ここで、本実施形態では、右遮蔽板710CRは、コンベア500の右側に配置される右回転軸720CRに回転可能に支持されている。この右回転軸720CRは、右上段遮蔽板711CRを回転可能に支持する右上段回転軸721CR、右中段遮蔽板712CRを回転可能に支持する右中段回転軸722CR、及び、右下段遮蔽板713CRを回転可能に支持する右下段回転軸723CR、を有している。すなわち、右上段遮蔽板711CR、右中段遮蔽板712CR、及び、右下段遮蔽板713CRは、それぞれ、右上段回転軸721CR、右中段回転軸722CR、及び、右下段回転軸723CRの回りに個別に回転する。
【0073】
また、左遮蔽板710CLも同様に、コンベア500の左側に配置される左回転軸720CLに回転可能に支持されている。この左回転軸720CLは、左上段遮蔽板711CLを回転可能に支持する左上段回転軸721CL、左中段遮蔽板712CLを回転可能に支持する左中段回転軸722CL、及び、左下段遮蔽板713CLを回転可能に支持する左下段回転軸723CL、を有している。すなわち、左上段遮蔽板711CL、左中段遮蔽板712CL、及び、左下段遮蔽板713CLは、それぞれ、左上段回転軸721CL、左中段回転軸722CL、及び、左下段回転軸723CLの回りに個別に回転する。
なお、上記した右回転軸720CRおよび左回転軸720CLを総称して、以下適宜、回転軸720Cとする。
【0074】
そして、右遮蔽板710CRと、左遮蔽板710CLとは、互いに反対方向に回転可能に支持されている。具体的には、右遮蔽板710CRは、矢印CR1方向に回転し、左遮蔽板710CLは、矢印CR2方向に回転する。すなわち、遮蔽板710は、中央から両側へ開閉する。
【0075】
ここで、本実施形態では、上記した右回転軸720CR(右上段回転軸721CR、右中段回転軸722CR、右下段回転軸723CR)は、鉛直方向から傾斜して設けられている。また、左回転軸720CL(左上段回転軸721CL、左中段回転軸722CL、左下段回転軸723CL)も、鉛直方向から傾斜して設けられている。この第4実施形態では、右回転軸720CRが、鉛直方向に対してコンベア500の幅方向の内側(矢印Y1方向)に傾斜している。また、左回転軸720CLが、鉛直方向に対してコンベア500の幅方向の内側(矢印Y2方向)に傾斜している。
【0076】
<本実施形態のX線検査装置の特徴>
また、第4実施形態に係るX線漏洩防止部材700Cを備えたX線検査装置でも、第1実施形態に係るX線検査装置100と同様に、X線漏洩防止部材700Cの回転軸720Cが鉛直方向から傾斜することによって、物品CがX線漏洩防止部材700Cを通過するときに当該X線漏洩防止部材700Cが斜め上方に回転しても、物品Cの通過後、自重によりX線漏洩防止部材700Cが斜め下方に回転する。つまり、回転したX線漏洩防止部材700Cが自重により元の位置に戻るので、X線漏洩防止部材700Cを元の位置に戻す機構(例えば、X線漏洩防止部材700Cに戻り力を付与する戻りバネ等)が必要ない。これにより、X線漏洩防止部材700Cを回転させる機構が簡略化されるので、物品Cのカス等が溜まり難くなる。そして、X線漏洩防止部材700Cを回転させる機構が簡略化されるので、X線検査装置の清掃が容易になる。その結果、X線検査装置を清潔に保つことが可能となる。
【0077】
また、上記第4実施形態では、回転軸720Cがコンベア500の幅方向に傾斜している。このため、物品の搬送方向(矢印X1方向)に傾斜する第1〜第3実施形態に係る回転軸とは異なり、回転軸720Cの設置範囲が搬送方向に広がるのを防止することができる。その結果、第4実施形態に係るX線漏洩防止部材700Cを用いたX線検査装置の小型化を図ることができる(矢印X方向(図1参照)の長さ小さくすることができる)。
【0078】
以上、本発明の実施形態および実施例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0079】
例えば、上記実施形態では、搬入口201に対して1つのX線漏洩防止部材700を設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に沿って複数のX線漏洩防止部材を配置することができる。一例として、図12に示す変形例に係るX線検査装置では、物品の搬送方向(矢印X1方向)に沿って2つのX線漏洩防止部材700D及び700Eが配置されている。このX線漏洩防止部材700Dは、鉛直方向(矢印Z方向)から傾斜した回転軸720Dによって回転可能に支持されている。また、X線漏洩防止部材700Eも、鉛直方向(矢印Z方向)から傾斜した回転軸720Eによって回転可能に支持されている。X線漏洩防止部材700DとX線漏洩防止部材700Eとは、X線漏洩防止部材700Dが回転してもX線漏洩防止部材700Eに干渉しない位置に設けられている。
【0080】
このとき、2つのX線漏洩防止部材700Dおよび700Eを以下のように構成することができる。
【0081】
図13(a)に示すように、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)の上流側に配置されるX線漏洩防止部材700Dは、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に対して右側に配置される右遮蔽板710DR、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に対して左側に配置される左遮蔽板710DLと、を有している。この際、右遮蔽板710DRの幅方向(矢印Y方向)の長さL1が、左遮蔽板710DLの幅方向(矢印Y方向)の長さL2より短くなっている。
【0082】
これに対して、図13(b)に示すように、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)の下流側に配置されるX線漏洩防止部材700Eは、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に対して右側に配置される右遮蔽板710ER、物品Bの搬送方向(矢印X1方向)に対して左側に配置される左遮蔽板710ELと、を有している。この際、右遮蔽板710ERの幅方向(矢印X1方向)の長さL3が、左遮蔽板710ELの幅方向(矢印X1方向)の長さL4より短くなっている。
【0083】
また、上記実施形態では、搬入口201にX線漏洩防止部材700を設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、搬出口202に上記したX線漏洩防止部材700を設けることができる。
【0084】
また、上記実施形態では、X線漏洩防止部材700がSUSから構成される例について説明したが、本発明はこれに限らず、鉛やカーボンなどの他の材料からなるX線漏洩防止部材を用いることができる。
【符号の説明】
【0085】
100 X線検査装置
201 搬入口
202 搬出口
700,700A,700B,700C,700D,700E X線漏洩防止部材
710R,710BR,710CR,710DR,710ER 右遮蔽板
710L,710BL,710CL,710DL,710EL 左遮蔽板,
711R,711BR,711CR 右上段遮蔽板
712R,712BR,712CR 右中段遮蔽板
713R,713BR,713CR 右下段遮蔽板
711L,711BL,711CL 左上段遮蔽板
712L,712BL,712CL 左中段遮蔽板
713L,713BL,713CL 左下段遮蔽板
711A 上段遮蔽板
712A 中段遮蔽板
713B 下段遮蔽板
720,720A,720B,720C,720D,720E 回転軸
P1〜P18 X線遮蔽漏洩防止板
Q1〜Q12 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置によって搬送される物品に検査室内でX線を照射して検査を行うX線検査装置であって、
前記検査室へ物品を搬入出するための開口部に配置されるX線漏洩防止部材と、
前記開口部を開放または閉塞する位置に前記X線漏洩防止部材を回転させる回転軸と、を備え、
前記回転軸は、鉛直方向から傾斜して設けられたことを特徴とする、X線検査装置。
【請求項2】
前記回転軸の上端部が前記物品の搬送方向の上流側に位置し、かつ前記回転軸の下端部が前記物品の搬送方向の下流側に位置することを特徴とする、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記X線漏洩防止部材は、水平方向又は前記回転軸から離れるにつれて下降する方向に分割されており、
当該分割された複数のX線漏洩防止部材は、それぞれ個別に回転することを特徴とする、請求項1または2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記分割された前記X線漏洩防止部材は、同一平面上に配置されることを特徴とする、請求項3に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記分割された各X線漏洩防止部材は、ブラインド状に配置されることを特徴とする、請求項3に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記X線漏洩防止部材は、複数のX線漏洩防止板を備え、
前記複数のX線漏洩防止板のそれぞれは、複数の回転軸で連結されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図11】
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【図12】
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【図13(a)】
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【図13(b)】
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【公開番号】特開2012−185110(P2012−185110A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49865(P2011−49865)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】