説明

X線管、X線発生器、X線検査装置

【課題】 金属外囲器12と陰極1との絶縁距離を確保とX線管の小型化を達成する。
【解決手段】 所定の電源が供給されたフィラメントからの熱電子ビームを放射する陰極1と、この陰極部によって放射された熱電子ビームを衝突させるターゲットを有する陽極2と、この陽極2と陰極1に所定の電界を印加し、前記印加された電界によって陰極1により放出された熱電子を加速して陽極2のターゲット7に衝突させることでターゲット7よりX線を発生させるX線発生用高圧電源19と、このX線発生用高圧電源19、陽極2及び陰極1を真空気密して収容する外囲器3及び金属外囲器12と、を備え、X線発生用高圧電源19は、陽極2に印加される直流の正電位の充電部分の位置と金属外囲器12との間の絶縁距離と陰極1に印加される直流の負電位の充電部分の位置と金属外囲器12との間の絶縁距離に応じて陽極2又は陰極1のそれぞれに印加される電圧を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源が供給されたフィラメントからの熱電子ビームを所定の加速電界によって加速して放射し、該放射された加速熱電子ビームをターゲットに衝突させることによりX線を発生するX線管に係り、特に加速電界が形成される電極の配置によりX線管本体を小型化したX線管に関する。
また、上記X線管を有したX線発生器に関する。
さらにまた、上記X線発生器を有したX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、焦点が数ミクロンであるマイクロフォーカスX線管が注目されている。マイクロフォーカスX線管は、半導体集積回路のボンディングワイヤ、半田ボールなどの微細な構造検査やラットの脳の組織検査など細胞レベルまでの高分解能のX線透過像を得ることが期待されている。
しかし、画像化のための拡大率は数ミリの焦点の普及のX線管と比較して格段に大きくしなければならないので、陰極、陽極とこれらに印加する高電圧回路の絶縁回避について工夫しなければ、前記普及X線管よりも大きな構造が必要になってしまう。
【0003】
そこで、このような問題に対処するため、特許文献1には、マイクロフォーカスX線管を中性点接地方式とし、マイクロフォーカスを形成するために配置された複数のグリッド電極に印加するグリッド電圧を高電圧発生回路の負の高電圧発生部から分圧した電圧を使用してグリッド電圧発生回路で生成し、グリッド電圧発生回路は制御部のグリッド電圧制御部からの光信号によって制御され、グリッド電圧発生回路とグリッド電圧制御部との間は光ケーブルで接続され、X線管を中性点接地方式にしたことにより、焦点とX線放射窓(外囲器)との間隔を小さくすることができ、高拡大率撮影が可能となるものを開示されている。
【0004】
また、金属外囲器を用いたX線管に供給するためのインバータ式X線装置としては、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2003−317996号公報
【特許文献2】特開平5−316085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1は、外囲器がステンレス、銅を含む金属などが導電物で形成されているとき、グリッド電極(加速電極)との絶縁距離の確保について何ら言及していない。
【0006】
また、上記特許文献2は、金属外囲器を有するX線管に供給する電源の陽極アース電圧と陰極アース電圧を均衡に保っての高圧側の回路の整流器等を破壊しないものである。本発明には、寧ろ不均衡であることを考慮した電源を採用するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のX線管装置は、所定の電源が供給されたフィラメントからの熱電子ビームを放射する陰極部と、この陰極部によって放射された熱電子ビームを衝突させるターゲットを有する陽極部と、この陽極部と前記陰極部に所定の電界を印加し、前記印加された電界によって前記陰極により放出された熱電子を加速して前記陽極のターゲットに衝突させることで前記ターゲットよりX線を発生させる加速電界発生部と、この加速電界発生部、前記陽極部及び前記陰極部を真空気密して収容する外囲器と、を備えたX線管において、前記加速電界発生部は、前記陽極に印加される直流の正電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離と前記陰極に印加される直流の負電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離に応じて前記陽極又は前記陰極のそれぞれに印加される電圧を設定する電圧設定手段を備える。
これによって、金属外囲器と加速電極との絶縁距離を確保とX線管の小型化が実現できる。
【0008】
本発明のX線発生器は、X線を発生するX線管と、このX線管が絶縁媒体により油密されるように収容する収容器と、この収容器に前記X線管へ高電圧を供給する高圧電源と、を備えたX線発生器であって、前記X線管は、所定の電源が供給されたフィラメントからの熱電子ビームを放射する陰極部と、この陰極部によって放射された熱電子ビームを衝突させるターゲットを有する陽極部と、この陽極部と前記陰極部に所定の電界を印加し、前記印加された電界によって前記陰極により放出された熱電子を加速して前記陽極のターゲットに衝突させることで前記ターゲットよりX線を発生させる加速電界発生部と、この加速電界発生部、前記陽極部及び前記陰極部を真空気密して収容する外囲器と、を具備したX線発生器において、前記加速電界発生部は、前記陽極に印加される直流の正電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離と前記陰極に印加される直流の負電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離に応じて前記陽極又は前記陰極のそれぞれに印加される電圧を設定する電圧設定手段を備える。
これによって、X線管の金属外囲器と加速電極との絶縁距離を確保とX線発生器の小型化が図れる。
【0009】
本発明のX線検査装置は、被検査物にX線を照射するX線発生器と、このX線発生器と対向配置され前記被検査物の透過X線を検出するX線検出器と、このX線検出器により検出された透過X線を画像として出力する表示器と、を備え、前記X線発生器は、X線を発生するX線管と、このX線管が絶縁媒体により油密されるように収容する収容器と、この収容器に前記X線管へ高電圧を供給する高圧電源と、を備えたX線発生器であって、前記X線管は、所定の電源が供給されたフィラメントからの熱電子ビームを放射する陰極部と、この陰極部によって放射された熱電子ビームを衝突させるターゲットを有する陽極部と、この陽極部と前記陰極部に所定の電界を印加し、前記印加された電界によって前記陰極により放出された熱電子を加速して前記陽極のターゲットに衝突させることで前記ターゲットよりX線を発生させる加速電界発生部と、この加速電界発生部、前記陽極部及び前記陰極部を真空気密して収容する外囲器と、を具備したX線発生器において、前記加速電界発生部は、前記陽極に印加される直流の正電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離と前記陰極に印加される直流の負電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離に応じて前記陽極又は前記陰極のそれぞれに印加される電圧を設定する電圧設定手段を備える。
これによって、X線管の金属外囲器と加速電極との絶縁距離を確保とX線検査装置の小型化が図れる。
【0010】
また、本発明の望ましい一実施形態によれば、前記電圧設定手段は、前記正電位の充電部分の位置と前記外囲器との絶縁距離が前記負電位の充電部分の位置と前記外囲器との絶縁距離より短くなるように、前記陽極又は前記陰極のそれぞれに印加される電圧を設定する。
これによって、特にマイクロフォーカスX線管において、X線焦点からの被検査物までの拡大率が設定しやすい構造となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属外囲器12と陰極1との絶縁距離を確保ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態について図面を用いて説明する。この第1の実施形態は、X線管とそのX線管を有したX線発生器について説明する。
図1は本発明で採用されるX線管の構成例を示す図である。図1(a)は回転陽極型マイクロフォーカスX線管の構造例を示し、図1(b)は固定陽極型マイクロフォーカスX線管の構造例を示す。
【0013】
両方の型に共通するマイクロフォーカスX線管は、図1に示されるように、陰極1と、陰極1に対向配置される陽極2と、陰極1と陽極2を収容する外囲器3と、を有している。
【0014】
陰極1は熱電子4の発生源である。具体的には陰極1は熱電子4の放出源となるフィラメント(カソード)5と、放出された熱電子4を収束するためのグリッド電極6とから構成されている。陰極1全体は陽極2と比較して負の電位になっており、この電位が陰極1の基準電位となっている。これに対してグリッド電極6は陰極1の基準電位に対して数キロボルト分正電位となるように電位が調整されており、この調整された電位と基準電位の差によりカソード5から放出された熱電子4を収束する。陰極1と陽極2間には、X線発生用高圧電源19によってカソード5から放出された熱電子を加速するために高電圧(以下、「管電圧」という)が印加される。この印加される高電圧によりフィラメントから放出される熱電子が陽極2に到達するまでに加速され、熱電子4が陽極2に衝突し、X線10を発生する。
【0015】
陽極2は熱電子4が衝突するターゲット7を有しており、回転陽極型(図1(a))ではターゲット7を回転させる回転機構8が併設される。加速された熱電子4はターゲット7に衝突する。この衝突面はX線の焦点9と言われる。
【0016】
また、固定陽極型(図1(b))ではターゲット7が回転せずに固定される。この両者の違いは、加速熱電子がターゲットに衝突する面が常に一定である固定型よりも前記衝突面が異動する回転型の方が、より高い管電圧や大きい管電流、すなわちより大きなエネルギーのX線を発生させるのに有利である点である。
【0017】
外囲器3は陰極1と陽極2を収容している。陰極1と陽極2の間には、X線発生の際に数百キロボルトの電位差が発生しているので、外囲器3内での放電を防止する必要性から、外囲器3内部はほぼ真空に保たれている。
【0018】
また、外囲器3にはX線10を放射するためのベリリウム製の放射窓11が設けられ、その放射窓11を固定するために外囲器3の一部に金属部分が設けられる。この金属部分は金属外囲器12という。
【0019】
次に、図1(a)のマイクロフォーカスX線管13を含むX線発生装置について、図2を用いて説明する。
図2は、図1(a)の回転陽極型マイクロフォーカスX線管を含むX線発生器の構成例を示す図である。
【0020】
X線発生装置22は、図2に示されるように、図1(a)で示されるマイクロフォーカスX線管12と、マイクロフォーカスX線管12の陽極2を回転可能とするように取り付けられるステータコイル14と、マイクロフォーカスX線管13を収容容器17に取り付ける管球支持部材15と、を有している。
【0021】
ステータコイル14は、陽極2を回転軸として誘導電動機のように回転するために電力が供給される。
管球支持部材15は、絶縁油16やフロリナートなどの電気的に絶縁する絶縁媒体に満たされた収容容器17内にマイクロフォーカスX線管13を取り付ける。
また、この収納容器17内部には放射窓以外からのX線10が漏洩を防止するために鉛18で覆われている。
【0022】
また、収納容器17には、X線発生用高圧電源19と、X線制御用電源20とを収納して、X線管と電源を一体化し、モノタンクと呼ばれるものとして取扱いを容易にする場合もある。
さらに、収納容器17は、回転陽極型マイクロフォーカスX線管13を搭載する場合、ステータコイル用のスタータ電源21が収納される。
【0023】
ここで、陰極1と陽極2の間に印加する管電圧は150kVとしている。管電圧は予め決められた絶縁距離に基づき電圧設定され、電圧設定された結果により、各々陽極2に正電位100kV、陰極1に負電位の50kVを印加することとする。150kVの管電圧はこの印加条件を採用すると、75kVずつ二等分した場合と比較し、陰極1の基準電位が75kVから50kVへ低下することになる。このため、陰極1の負電位が充電された位置と金属外囲器12の絶縁距離を67%にまで縮小できる。
これによって、陰極1と金属外囲器12の配置をターゲット7の配置方向の距離を短くできることとなり、金属外囲器12の寸法のターゲット7の配置方向を小さくできるから、X線管の小型化に寄与できることとなる。
ここでの正電位及び負電位への印加条件は一例であり、前記二等分を除くものであれば、あらゆる組み合わせを含むものとする。
【0024】
またこの場合、陽極2の正電位の充電部分の位置と金属外囲器12との絶縁距離が、陰極1の負電位の充電部分の位置と金属外囲器12との絶縁距離より短くなるようにしている。これによって、金属外囲器12と陽極2との絶縁距離を大きくとれば、それだけ図面下方にターゲット7を配置させることとなり、そのターゲット7とX線放射窓11との間の距離を大きくとることが可能となるから、特にマイクロフォーカスX線管において、X線焦点からの被検査物までの拡大率が設定しやすい構造となる。
【0025】
本実施形態によれば、所定の電源が供給されたフィラメントからの熱電子ビームを放射する陰極1と、この陰極部によって放射された熱電子ビームを衝突させるターゲットを有する陽極2と、この陽極2と陰極1に所定の電界を印加し、前記印加された電界によって陰極1により放出された熱電子を加速して陽極2のターゲット7に衝突させることでターゲット7よりX線を発生させるX線発生用高圧電源19と、このX線発生用高圧電源19、陽極2及び陰極1を真空気密して収容する外囲器3及び金属外囲器12と、を備えたX線管において、X線発生用高圧電源19は、陽極2に印加される直流の正電位の充電部分の位置と金属外囲器12との間の絶縁距離と、陰極1に印加される直流の負電位の充電部分の位置と金属外囲器12との間の絶縁距離が異なって位置されるように、陽極2又は陰極1のそれぞれに印加される電圧を設定することよって、金属外囲器12と陰極1との絶縁距離を確保とX線管の小型化が達成できる。
【0026】
また、上記X線管13と、X線管13が絶縁媒体により油密されるように収容する収納容器17と、収納容器17にX線管13へ高電圧を供給する高圧電源と、を備えたX線発生器によって、金属外囲器12と陰極1との絶縁距離を確保とX線発生器の小型化が達成できる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態について図面を用いて説明する。この第1の実施形態は、第1の実施形態のX線発生器を有したX線検査装置について説明する。
図3は図2のX線発生器を採用したX線検査装置の構成例を示す図である。
【0028】
X線検査装置29は、図3に示すように、被検査物24にX線を照射するマイクロフォーカスX線管13を含むX線発生器22と、このX線発生器22と対向配置され被検査物24の透過X線を検出するX線検出器23と、X線発生器22とX線検出器23をX線遮蔽する遮蔽体26と、X線検出器23と電気的に接続されるモニタ部27と、X線発生器22、X線検出器23及びモニタ部27を制御する制御部28と、を有する。
【0029】
X線発生器22は、観察台25に乗った被検査物24にX線を照射する。X線検出器23は、被検査物24の透過X線を検出するもので、イメージ・インテンシファイアやフラット・パネル・ディテクタなどによってX線検出される。被検体24は半導体の集積回路である。観察台25は被検体24を乗せ、被検体24を任意の位置、角度に移動できるターンテーブルのような構造を持ち、様々な角度から観察が可能となっている。遮蔽体26はこれらのX線発生器22、X線検出器23、観察台25を収容し、周囲へのX線防護を行う。モニタ部27はX線検出器23で検出した画像信号を表示出力する。制御部28はX線発生器22のX線条件や観察台25の位置制御を行う。
【0030】
X線検査装置29で採用する拡大率は、光学的拡大率を用いる。画像処理による拡大率ではX線検出器23で得られた画像信号に基づき拡大を行うため、画像の劣化要因となるからである。これに対して光学的拡大ではX線10の焦点9と被検査物24、X線検出器23の幾何形状により決定されるものである。
ここで、焦点と被検査物間の距離(Focus Object Distance:以下「FOD」という)30とし、焦点9とX線検出器23との距離(Focus Detector Distance:以下「FDD」という)31とすると、光学的拡大率はFDD31をFOD30で除算することにより決定される。
この光学的拡大率を大きくするためにはFOD30を可能な限り小さくすることが必要となるが、FOD30を小さくすると、X線管の陰極1及び陽極2は放射窓11を含む金属外囲器12に接近することになる。金属外囲器12は通常アース電位に固定されているため、FOD30は陰極1、陽極2及び金属外囲器12により形成される電界の電界強度により、その絶縁が維持される状態の範囲内となる。
【0031】
本実施形態によれば、被検査物24にX線を照射する第1の実施形態のX線発生器22と、このX線発生器22と対向配置され被検査物24の透過X線を検出するX線検出器23と、X線検出器23により検出された透過X線を画像として出力するモニタ部27と、を備えるので、X線管の金属外囲器と加速電極との絶縁距離を確保とX線検査装置の小型化が図れる。
【0032】
また、上記実施形態で説明したもののほか、特許請求の範囲に記載された技術を実現できるあらゆる構成は、本発明の技術思想に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明で採用されるX線管の構成例を示す図。
【図2】図1(a)の回転陽極型マイクロフォーカスX線管を含むX線発生器の構成例を示す図。
【図3】図2のX線発生器を採用したX線検査装置の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0034】
1…陰極 2…陽極 3…外囲器 11…放射窓 12…金属外囲器 13…マイクロフォーカスX線管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電源が供給されたフィラメントからの熱電子ビームを放射する陰極部と、この陰極部によって放射された熱電子ビームを衝突させるターゲットを有する陽極部と、この陽極部と前記陰極部に所定の電界を印加し、前記印加された電界によって前記陰極により放出された熱電子を加速して前記陽極のターゲットに衝突させることで前記ターゲットよりX線を発生させる加速電界発生部と、この加速電界発生部、前記陽極部及び前記陰極部を真空気密して収容する外囲器と、を備えたX線管において、
前記加速電界発生部は、前記陽極に印加される直流の正電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離と前記陰極に印加される直流の負電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離に応じて前記陽極又は前記陰極のそれぞれに印加される電圧を設定する電圧設定手段を備えたことを特徴とするX線管。
【請求項2】
前記電圧設定手段は、前記正電位の前記外囲器との絶縁距離が前記負電位の前記外囲器との絶縁距離より短くなるように、前記陽極又は前記陰極のそれぞれに印加される電圧を設定することを特徴とする請求項1に記載のX線管。
【請求項3】
X線を発生するX線管と、このX線管が絶縁媒体により油密されるように収容する収容器と、この収容器に前記X線管へ高電圧を供給する高圧電源と、を備えたX線発生器であって、
前記X線管は、所定の電源が供給されたフィラメントからの熱電子ビームを放射する陰極部と、この陰極部によって放射された熱電子ビームを衝突させるターゲットを有する陽極部と、この陽極部と前記陰極部に所定の電界を印加し、前記印加された電界によって前記陰極により放出された熱電子を加速して前記陽極のターゲットに衝突させることで前記ターゲットよりX線を発生させる加速電界発生部と、この加速電界発生部、前記陽極部及び前記陰極部を真空気密して収容する外囲器と、を具備したX線発生器において、
前記加速電界発生部は、前記陽極に印加される直流の正電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離と前記陰極に印加される直流の負電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離に応じて前記陽極又は前記陰極のそれぞれに印加される電圧を設定する電圧設定手段を備えたことを特徴とするX線発生器。
【請求項4】
前記電圧設定手段は、前記正電位の前記外囲器との絶縁距離が前記負電位の前記外囲器との絶縁距離より短くなるように、前記陽極又は前記陰極のそれぞれに印加される電圧を設定することを特徴とする請求項3に記載のX線発生器。
【請求項5】
被検査物にX線を照射するX線発生器と、このX線発生器と対向配置され前記被検査物の透過X線を検出するX線検出器と、このX線検出器により検出された透過X線を画像として出力する表示器と、を備え、
前記X線発生器は、X線を発生するX線管と、このX線管が絶縁媒体により油密されるように収容する収容器と、この収容器に前記X線管へ高電圧を供給する高圧電源と、を備えたX線発生器であって、
前記X線管は、所定の電源が供給されたフィラメントからの熱電子ビームを放射する陰極部と、この陰極部によって放射された熱電子ビームを衝突させるターゲットを有する陽極部と、この陽極部と前記陰極部に所定の電界を印加し、前記印加された電界によって前記陰極により放出された熱電子を加速して前記陽極のターゲットに衝突させることで前記ターゲットよりX線を発生させる加速電界発生部と、この加速電界発生部、前記陽極部及び前記陰極部を真空気密して収容する外囲器と、を具備したX線発生器において、
前記加速電界発生部は、前記陽極に印加される直流の正電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離と前記陰極に印加される直流の負電位の充電部分の位置と前記外囲器との間の絶縁距離に応じて前記陽極又は前記陰極のそれぞれに印加される電圧を設定する電圧設定手段を備えたことを特徴とするX線検査装置。
【請求項6】
前記電圧設定手段は、前記正電位の前記外囲器との絶縁距離が前記負電位の前記外囲器との絶縁距離より短くなるように、前記陽極又は前記陰極のそれぞれに印加される電圧を設定することを特徴とする請求項5に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−24480(P2006−24480A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202527(P2004−202527)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】