説明

X線管装置

【課題】信頼性の高いX線管装置を提供する。
【解決手段】X線管装置は、アノード11、フィラメント17及びグリッド18を有したカソード10並びに真空外囲器19を含んだX線管1と、筐体20と、絶縁油9と、フィラメント端子31及びグリッド端子32を有したレセプタクル16aと、フィラメント回路3と、グリッド回路4とを備えている。絶縁油9を介したフィラメント回路3及びグリッド回路4間の放電開始電圧は、レセプタクル16aのフィラメント端子31及びグリッド端子32間の絶縁破壊電圧未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線管装置は、医療診断システムや工業診断システム等に用いられている。X線管装置は、X線を放射するX線管と、X線管を収容した筐体と、筐体内に充填された絶縁油とを備えている。X線管は、電子を放出するフィラメント及びグリッドを有したカソード、フィラメントから放出された電子が衝突されることによりX線を放出するアノード、並びにカソード及びアノードを収容した真空外囲器を有している。
【0003】
筐体には、アノード用のレセプタクルと、カソード用のレセプタクルとがそれぞれ取付けられている(例えば、特許文献1参照)。例えば、カソード用のレセプタクルは、フィラメント端子及びグリッド端子を有している。
【0004】
フィラメントにはフィラメント回路が接続され、フィラメント回路はX線管の外側に引き出され、絶縁油中を通ってフィラメント端子に接続されている。グリッドにはグリッド回路が接続され、グリッド回路はX線管の外側に引き出され、絶縁油中を通ってグリッド端子に接続されている。
【0005】
アノードには、高電圧電源からアノード給電高圧ケーブル及びアノード用のレセプタクルを介してアノード電圧が供給される。フィラメントには、高電圧電源のマイナス側からカソード給電高圧ケーブル、フィラメント端子及びフィラメント回路を介してフィラメント電圧が供給される。グリッドには、高電圧電源のマイナス側からカソード給電高圧ケーブル、グリッド端子及びグリッド回路を介してグリッド電圧が供給される。このため、上記カソード給電高圧ケーブルは、内部に互いに絶縁された2つの芯導線を含んでいる。なお、グリッドにはさらにバイアス電圧が給電されている。
【特許文献1】特開平5−152093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記グリッド及びアノード間で放電が生じる場合がある。放電が生じた場合、グリッドに高電圧が誘起されるため、フィラメント(フィラメント回路)との間に大きな電位差が生じる。放電が生じた瞬間のグリッド及びフィラメント間の電位差は、最大で高圧電源電圧の値に達する。このため、カソード用のレセプタクル内のグリッド端子及びフィラメント端子間に絶縁破壊が生じてしまう恐れがある。
【0007】
これに耐えるようにグリッド端子及びフィラメント端子間の絶縁耐力を高める為に、グリッド端子及びフィラメント端子間に十分な距離を設けたり、高絶縁耐力の材料を使用したり、或いは、フィラメント回路及びグリッド回路間にバリスタやアレスタ等のサージアブソーバーを組み込むなどの手段で対策を講じることが考えられる。しかし、寸法的な制約或いはサージアブソーバーの耐久性、信頼性から上記手段を採用することは、実用的には困難を極めるものである。信頼性の高いX線管装置を提供する為に、グリッド用端子及びフィラメント用端子間の絶縁破壊を確実に防止することが求められる。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、信頼性の高いX線管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係るX線管装置は、
電子が衝突されることによりX線を放出するアノード、前記アノードに衝突される電子を放出するフィラメント及び前記フィラメントから前記アノードに向かう電子の軌道を取り囲んで設けられたグリッドを有したカソード、並びに前記アノード及びカソードを収容した真空外囲器を含んだX線管と、
前記X線管を収容した筐体と、
前記筐体の内部に充填された絶縁油と、
前記フィラメントにフィラメント電圧を供給するフィラメント端子及び前記グリッドにグリッド電圧を供給するグリッド端子を有し、前記筐体に取付けられた絶縁性のレセプタクルと、
前記フィラメントに接続されているとともに前記X線管の外側に引き出され、前記絶縁油中を通って前記フィラメント端子に接続されたフィラメント回路と、
前記グリッドに接続されているとともに前記X線管の外側に引き出され、前記絶縁油中を通って前記グリッド端子に接続されたグリッド回路と、を備え、
前記絶縁油を介した前記フィラメント回路及びグリッド回路間の放電開始電圧は、前記レセプタクルの前記フィラメント端子及びグリッド端子間の絶縁破壊電圧未満である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、信頼性の高いX線管装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態に係るX線管装置について詳細に説明する。
図1、図2及び図3に示すように、X線管装置は、X線管1、筐体20、絶縁油9、アノードコネクタ14、カソードコネクタ16、アノード給電高圧ケーブル13、カソード給電高圧ケーブル15、フィラメント回路3、グリッド回路4及び高電圧電源12を備えている。この実施の形態において、X線管1は回転アノード型X線管である。
【0011】
X線管1は、回転体5、固定体6、カソード10、アノード11及び真空外囲器19を備えている。
回転体5は、筒状に形成され、一端部が閉塞されている。回転体5は、この回転体の回転動作の中心軸となる回転軸に沿って延出している。回転体5は、上記回転軸を中心に回転可能である。回転体5は、Fe(鉄)やMo(モリブデン)等の材料で形成されている。
【0012】
固定体6は柱状に形成されている。固定体6の直径は回転体5の内径より小さい。固定体6は、回転体5と同軸的に設けられ、回転軸に沿って延出している。固定体6は、FeやMo等の材料で形成されている。固定体6は、回転体5に嵌合され、また、真空外囲器19に固定されている。なお、図示しないが、回転体5及び固定体6間の隙間にガリウム・インジウム・錫合金(GaInSn)等の金属潤滑剤が充填されている。このため、X線管1はすべり軸受けを使っている。
【0013】
アノード11は、回転軸に沿った方向に、固定体6の一端部に対向配置されている。アノード11は、アノードの外面に位置したターゲット層11aを有している。アノード11は、回転体5の閉塞された一端部にナット7で固定されている。アノード11は、形状が円環状であり、重金属等の材料で形成されている。アノード11は、例えばMoで形成されている。
【0014】
アノード11は、回転体5及び固定体6と同軸的に設けられている。アノード11は、回転軸を中心に回転可能である。アノード11は、カソード10から放出される電子が衝突されることによりX線を放出するものである。アノード11には、相対的に正の電圧が供給される。
【0015】
カソード10は、フィラメント17及びグリッド18を有している。カソード10は、アノード11のターゲット層11aに間隔を置いて対向配置されている。フィラメント17はアノード11に衝突される電子を放出するものである。グリッド18は、フィラメント17からアノード11に向かう電子の軌道を取り囲んで設けられている。フィラメント17及びグリッド18には、相対的に負の電圧と電流が与えられる。これにより、上記のようにフィラメント17は電子(熱電子)を放出する。
【0016】
真空外囲器19は、アノード11及びカソード10を収容している。真空外囲器19は、ガラス及びセラミックなどの絶縁材又は、絶縁材と金属などの導電部材との組合せで形成されている。真空外囲器19は密閉され、内部は真空状態に維持されている。真空外囲器19は、カソード10と対向したターゲット層11a付近にX線を透過させるX線透過窓19aを有している。
【0017】
筐体20は、X線管1、フィラメント回路3及びグリッド回路4を収容している。筐体20は、カソード10と対向したターゲット層11a付近にX線を透過させるX線透過窓20aを有している。筐体20の内部には、X線管1等が収容されている他、冷却液としての絶縁油9が充填されている。
【0018】
このため、X線管1、フィラメント回路3及びグリッド回路4等は絶縁油9に浸漬されている。なお、図示しないが、筐体20の内部には、回転体5を回転させるステータコイルも収容されている。
【0019】
アノードコネクタ14は、レセプタクル14a及びプラグ14bを有している。レセプタクル14a及びプラグ14bは、着脱可能に形成されている。レセプタクル14aは、筐体20に気密に取付けられている。レセプタクル14aは、絶縁性の材料として、例えば樹脂で形成されている。アノードコネクタ14は、アノード11に接続され、アノード11にアノード電圧を供給するものである。
【0020】
カソードコネクタ16は、レセプタクル16a及びプラグ16bを有している。レセプタクル16a及びプラグ16bは、着脱可能に形成されている。レセプタクル16aは、レセプタクル14aとは独立して筐体20に気密に取付けられている。レセプタクル16aは、絶縁性の材料として、例えば樹脂で形成されている。
【0021】
レセプタクル16aは、フィラメント17にフィラメント電圧を供給するフィラメント端子31及びグリッド18にグリッド電圧を供給するグリッド端子32を有している。フィラメント端子31は、フィラメント17に接続され、フィラメント17にフィラメント電圧を供給するものである。グリッド端子32は、グリッド18に接続され、グリッド18にグリッド電圧を供給するものである。
【0022】
フィラメント回路3は、フィラメント17に接続されているとともにX線管1の外側に引き出され、絶縁油9中を通ってフィラメント端子31に接続されている。グリッド回路4は、グリッド18に接続されているとともにX線管1の外側に引き出され、絶縁油9中を通ってグリッド端子32に接続されている。
【0023】
高電圧電源12は、アノード11及びカソード10に高電圧を供給するためのものである。この実施の形態において、高電圧電源12は、アノード11側に70kVの電圧を供給し、カソード10側に−70kVの電圧を供給している。高電圧電源12は、2つの電源部12aを備えている。電界強度を一定にするため、電源部12a間の導線は接地されている。
【0024】
アノード給電高圧ケーブル13は、高電圧電源12のプラス側及びアノードコネクタ14に接続されている。アノード給電高圧ケーブル13は、高電圧電源12からアノードコネクタ14にアノード電圧を供給するものである。
【0025】
カソード給電高圧ケーブル15は、高電圧電源12のマイナス側及びカソードコネクタ16に接続されている。より詳しくは、カソード給電高圧ケーブル15は、内部に互いに絶縁された2つの芯導線を含んでいる。これら芯導線の一端は、高電圧電源12のマイナス側に接続されている。芯導線の一方の他端はフィラメント端子31に接続され、芯導線の他方の他端はグリッド端子32に接続されている。カソード給電高圧ケーブル15は、高電圧電源12からフィラメント端子31にフィラメント電圧を、グリッド端子32にグリッド電圧をそれぞれ供給する。
【0026】
なお、フィラメント端子31に接続された芯導線に、フィラメント電源22が接続されている。グリッド端子32に接続された芯導線に、バイアス電源21が接続されている。このため、グリッド18には、フィラメント17に対して約3kVの負のバイアス電圧が給電される。
【0027】
X線管1は、絶縁油9に接し、フィラメント回路3及びグリッド回路4が取付けられたステム部2をさらに備えている。フィラメント回路3は、ステム部2に取付けられた絶縁部24aと、絶縁部24aで囲まれたフィラメント用のリード線25aとを有している。グリッド回路4は、ステム部2に取付けられた絶縁部24bと、絶縁部24bで囲まれたグリッド用のリード線25bとを有している。絶縁部24a、24bは、例えば複数のセラミック材で形成されている。リード線25a、25bは、例えばニッケルで形成されている。
【0028】
絶縁油9を介したフィラメント回路3及びグリッド回路4間の放電開始電圧は、レセプタクル16aのフィラメント端子31及びグリッド端子32間の絶縁破壊電圧未満である。より詳しくは、絶縁油9及び両絶縁部24a、24bを介したフィラメント回路3及びグリッド回路4間の放電開始電圧は、レセプタクル16aのフィラメント端子31及びグリッド端子32間の絶縁破壊電圧未満である。言い方を変えると、上記放電開始電圧は、フィラメント回路3及びグリッド回路4を絶縁する絶縁部24a、24bの油中沿面の絶縁破壊電圧である。
【0029】
次に、ステム部2について詳細に説明する。
ガラスバルブ28にはコバールリング29が溶着されている。コバールリング29の端部はカソードホルダ27に気密に接合されている。カソードホルダ27、ガラスバルブ28及びコバールリング29は、真空外囲器19の一部を構成している。ステム基板23には絶縁部24aが金属製の絶縁部ホルダ26aを介して溶接及び、ろう付けにより植設されている。同様に、ステム基板23には絶縁部24bが金属製の絶縁部ホルダ26bを介して溶接及び、ろう付けにより植設されている。
【0030】
リード線25a、25bは、絶縁部24a、24bの中心部を貫通し、互いに絶縁を保ちながらX線管1内部のグリッド18及びフィラメント17に給電を可能としている。X線管1は筐体20内を満たす絶縁油9中に置かれるので、絶縁部24a、24bもまた筐体20内を満たす絶縁油9中にある。これにより、絶縁部24a、24b間に、十分に高い絶縁が得られる。
【0031】
絶縁油9及び両絶縁部24a、24bを介したフィラメント回路3及びグリッド回路4間の放電開始電圧の値は、絶縁部24a、24bの高さと絶縁油9の特性で決まるものであり、グリッド18及びフィラメント17間に印加されるバイアス電圧3kVに十分耐える絶縁能力を得るように設定(設計)されている。
【0032】
通常、X線管1内部のグリッド18及びアノード11間で放電が発生した場合、グリッド18及びフィラメント17の間には高圧電源電圧に近い電位差が生じるが、ステム基板23を含むカソードホルダ27はグリッド18と同電位となるよう接続されているので、絶縁部24a、24bは直接この誘起電圧に晒される。一方、絶縁油9及び両絶縁部24a、24bを介したフィラメント回路3及びグリッド回路4間の放電開始電圧の値は、この値を下回るから、絶縁油9中での絶縁破壊(放電)を誘発させることができる。
【0033】
この実施の形態において、絶縁部24a、24bの高さは2.2mmである。高電圧電源12が直流電圧を出力した場合のフィラメント回路3及びグリッド回路4間の放電開始電圧の分布する範囲は17乃至23kVであり、バイアス電圧3kVに対しては十分に高い値(範囲)となっている。一方、レセプタクル16aのフィラメント端子31及びグリッド端子32間の絶縁破壊電圧は、35乃至49kVの範囲となる。フィラメント端子31及びグリッド端子32間の絶縁破壊電圧の値は、フィラメント回路3及びグリッド回路4間の放電開始電圧の値を完全に超えているため、レセプタクル16aの絶縁破壊を完全に防止することができる。
【0034】
次に、上記のように構成されたX線管装置を用いてX線を放出する場合について説明する。
まず、高電圧電源12は、アノード11にアノード電圧を供給し、フィラメント17にフィラメント電圧を供給し、グリッド18にグリッド電圧を供給する。バイアス電源21は、グリッド18にバイアス電圧を供給する。
【0035】
これにより、フィラメント17及びアノード11間にX線管電圧(以下、管電圧と称する)が加えられる。より詳しくは、フィラメント電流により、フィラメント17からターゲット層11aの焦点に流れるX線管電流(以下、管電流と称する)の値が制御され、グリッド18に印加されるバイアス電圧により、管電流のON/OFFが制御される。
【0036】
このため、フィラメント17から放出された電子は、加速され、アノード11のターゲット層11aに衝突される。アノード11は電子と衝突するときにX線を放出し、放出されたX線は、X線透過窓19a、20aを介して筐体20の外部に放出される。
上記のように、X線管装置はX線を放出することができる。
【0037】
以上のように構成されたX線管装置によれば、X線管装置は、ステム部2を有したX線管1と、筐体20と、絶縁油9と、フィラメント端子31及びグリッド端子32を有したレセプタクル16aと、フィラメント回路3と、グリッド回路4とを備えている。フィラメント回路3は、ステム部2に取付けられた絶縁部24aと、絶縁部24aで囲まれたリード線25aとを有している。グリッド回路4は、ステム部2に取付けられた絶縁部24bと、絶縁部24bで囲まれたリード線25bとを有している。
【0038】
絶縁油9を介したフィラメント回路3及びグリッド回路4間の放電開始電圧は、レセプタクル16aのフィラメント端子31及びグリッド端子32間の絶縁破壊電圧未満である。より詳しくは、絶縁油9及び両絶縁部24a、24bを介したフィラメント回路3及びグリッド回路4間の放電開始電圧は、レセプタクル16aのフィラメント端子31及びグリッド端子32間の絶縁破壊電圧未満である。
【0039】
X線管1内のグリッド18とアノード11との間で放電が生じた場合、絶縁部24a、24bの油中沿面で絶縁破壊が生じるが、実質的に一時的な油の絶縁破壊であり放電が治まれば絶縁は回復するので、X線管装置としての機能を損なうことは全く起こらない。ここで、本願発明者等が上述したX線管装置を用いて調査したところ、レセプタクル16aが絶縁破壊する事故は皆無であった。上記のように、X線管装置は、回復可能な油中絶縁破壊を利用して回復不可能なレセプタクル16aの絶縁破壊を防止することができる。
上記したことから、信頼性の高いX線管装置を得ることができる。
【0040】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施の形態に係るX線管装置を示す概略構成図。
【図2】図1に示したX線管装置の一部を示す断面図であり、特に、X線管、筐体、絶縁油、フィラメント回路、グリッド回路及びレセプタクルを取出して示す図。
【図3】図2に示したステム部を示す拡大断面図。
【符号の説明】
【0042】
1…X線管、2…ステム部、3…フィラメント回路、4…グリッド回路、5…回転体、6…固定体、9…絶縁油、10…カソード、11…アノード、11a…ターゲット層、12…高電圧電源、13…アノード給電高圧ケーブル、14…アノードコネクタ、14a…レセプタクル、14b…プラグ、15…カソード給電高圧ケーブル、16…カソードコネクタ、16a…レセプタクル、16b…プラグ、17…フィラメント、18…グリッド、19…真空外囲器、20…筐体、21…バイアス電源、22…フィラメント電源、23…ステム基板、24a,24b…絶縁部、25a,25b…リード線、31…フィラメント端子、32…グリッド端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子が衝突されることによりX線を放出するアノード、前記アノードに衝突される電子を放出するフィラメント及び前記フィラメントから前記アノードに向かう電子の軌道を取り囲んで設けられたグリッドを有したカソード、並びに前記アノード及びカソードを収容した真空外囲器を含んだX線管と、
前記X線管を収容した筐体と、
前記筐体の内部に充填された絶縁油と、
前記フィラメントにフィラメント電圧を供給するフィラメント端子及び前記グリッドにグリッド電圧を供給するグリッド端子を有し、前記筐体に取付けられた絶縁性のレセプタクルと、
前記フィラメントに接続されているとともに前記X線管の外側に引き出され、前記絶縁油中を通って前記フィラメント端子に接続されたフィラメント回路と、
前記グリッドに接続されているとともに前記X線管の外側に引き出され、前記絶縁油中を通って前記グリッド端子に接続されたグリッド回路と、を備え、
前記絶縁油を介した前記フィラメント回路及びグリッド回路間の放電開始電圧は、前記レセプタクルの前記フィラメント端子及びグリッド端子間の絶縁破壊電圧未満であるX線管装置。
【請求項2】
前記X線管は、前記絶縁油に接し、前記フィラメント回路及びグリッド回路が取付けられたステム部をさらに備え、
前記フィラメント回路は、前記ステム部に取付けられた絶縁部と、前記絶縁部で囲まれたフィラメント用のリード線と、を有し、
前記グリッド回路は、前記ステム部に取付けられた絶縁部と、前記絶縁部で囲まれたグリッド用のリード線と、を有し、
前記絶縁油及び両絶縁部を介した前記フィラメント回路及びグリッド回路間の放電開始電圧は、前記レセプタクルの前記フィラメント端子及びグリッド端子間の絶縁破壊電圧未満である請求項1に記載のX線管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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