説明

X線診断装置

【課題】アブレーション治療中のX線画像に縞状のノイズが発生することを抑止する。
【解決手段】X線診断装置1は、被検体PにX線を照射するX線照射器3aと、被検体Pを透過したX線を電荷として蓄積し、蓄積した電荷を読み出して検出する検出器であって、被検体Pに挿入されたアブレーションカテーテル7aに対する電流印加により発生する磁界の影響を受けるX線平面検出器3bと、アブレーションカテーテル7aに電流を印加するアブレーション装置7とX線平面検出器3bとの同期を取り、X線平面検出器3bの電荷読み出しタイミングとアブレーション装置7の電流印加タイミングとを調整する制御装置8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線診断装置に関し、例えば、被検体の注目部位のX線画像を撮像するX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置は、寝台の天板上の被検体(例えば患者や受検者など)を撮像する撮像部やその撮像部を保持するCアームなどを備えており、天板上の被検体に対する撮像位置に撮像部を移動させ、その撮像部により被検体の所定部位のX線画像を撮像し、撮像した画像をモニタに表示する(例えば、特許文献1参照)。なお、撮像部は、X線を照射するX線照射器及びそのX線を検出するX線平面検出器を具備しており、X線照射器により被検体にX線を照射し、その被検体を透過したX線量をX線平面検出器により検出するものである。
【0003】
前述のX線診断装置は、例えば不整脈の治療を行う際に用いられている。この不整脈の治療の一つとして、肺静脈内心筋と左房筋との伝導を肺静脈開口部への焼灼によりブロックすることによって心房細動の根治治療を目指したアブレーション(肺静脈隔離アブレーション)が行われている。このとき、肺静脈開口部などの位置がX線画像を用いて医師などにより確認される。なお、アブレーションは、体内に挿入されたアブレーションカテーテルと患者の体表に貼られた対極板との間に約300〜750kHzで10〜70Wの程度の電流を流すことにより、カテーテル先端温度を高温化して目的部位を焼灼する手技である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−33083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のアブレーション治療では、アブレーションカテーテルに電流が印加されると、その電流印加により磁界が発生するため、発生した磁界がX線平面検出器(特に、X線平面検出器が備える電荷信号読み出し回路)に影響を与えるので、アブレーション治療中のX線画像に縞状のノイズが発生してしまう。
【0006】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、その目的は、アブレーション治療中のX線画像に縞状のノイズが発生することを抑止することができるX線診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るX線診断装置は、被検体にX線を照射するX線照射器と、被検体を透過したX線を電荷として蓄積し、蓄積した電荷を読み出して検出する検出器であって、被検体に挿入されたアブレーションカテーテルに対する電流印加により発生する磁界の影響を受けるX線平面検出器と、アブレーションカテーテルに電流を印加するアブレーション装置とX線平面検出器との同期を取り、X線平面検出器の電荷読み出しタイミングとアブレーション装置の電流印加タイミングとを調整する制御装置とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るX線診断装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すX線診断装置が備えるX線平面検出器の概略構成を示す図である。
【図3】図1に示すX線診断装置が備える制御装置による制御を説明するためのブロック図である。
【図4】図3に示す制御装置が行う制御に用いる各種信号を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るX線診断装置が備える制御装置が行う制御に用いる各種信号を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図1ないし図4を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るX線診断装置1は、患者などの被検体Pが載置される寝台2と、その寝台2上の被検体Pを撮像する撮像部3と、その撮像部3に供給する高電圧を発生させる高電圧発生装置4と、撮像部3を保持して撮像位置まで移動させる移動装置5と、X線画像などの画像を表示する表示部6と、アブレーションカテーテル7aを有するアブレーション装置7と、各部を制御する制御装置8とを備えている。
【0011】
寝台2は、被検体Pを載せる長方形状の天板2aと、その天板2aを支持して水平方向及び鉛直方向に移動させる天板駆動部2bとを備えている。天板駆動部2bは、天板2aを移動させる移動機構やその移動のための駆動力を供給する駆動源(いずれも図示せず)などを有している。この天板駆動部2bは制御装置8に電気的に接続されており、その駆動が制御装置8により制御される。このような寝台2は、天板駆動部2bにより天板2aを所定の高さまで移動させ、さらに、その天板2aを水平方向に移動させて天板2a上の被検体Pを所定位置まで移動させる。
【0012】
撮像部3は、寝台2の天板2a上の被検体Pに対してX線を照射するX線照射器3aと、その被検体Pを透過したX線を検出するX線平面検出器3bとを備えている。この撮像部3は、寝台2の天板2aの周囲を移動可能に設けられており、撮像位置まで移動してその撮像位置から天板2a上の被検体Pの注目部位のX線画像を撮像する。このX線画像としては、例えば、血管などの透視画像が撮像される。
【0013】
X線照射器3aは、X線を出射するX線管及びそのX線管から出射されたX線を絞るX線絞り器(いずれも図示せず)などを備えている。X線絞り器としては、例えばコリメータなどが用いられる。このX線照射器3aは、高電圧発生装置4を介して制御装置8に電気的に接続されており、その駆動が制御装置8により制御される。このようなX線照射器3aは、X線管によりX線を出射し、そのX線をX線絞り器によって絞り、寝台2の天板2a上の被検体Pに照射する。
【0014】
X線平面検出器3bは、X線照射器3aに対向させて移動装置5に設けられており、対向するX線照射器3aに対して接離方向に移動可能に形成されている。このX線平面検出器3bは制御装置8に電気的に接続されており、天板2a上の被検体Pを透過したX線を電荷として蓄積し、蓄積した電荷を読み出し、その電荷信号を制御装置8に送信する(詳しくは、後述する)。X線平面検出器3bとしては、直接変換方式や間接変換方式などのフラットパネルディテクタ(FPD)が用いられる。
【0015】
高電圧発生装置4は、X線照射器3aに供給する高電圧を発生させる装置であり、制御装置8から与えられる電圧を昇圧及び整流し、その電圧をX線照射器3aに供給する。なお、制御装置8は電圧の波形、すなわち振幅やパルス幅などを制御する。
【0016】
移動装置5は、X線照射器3a及びX線平面検出器3bを対向させて保持する保持アーム5aと、その保持アーム5aをスライド移動可能に支持するアーム支持部5bと、そのアーム支持部5bを回動可能に支持する支柱5cとを備えている。この移動装置5は制御装置8に電気的に接続されており、その移動が制御装置8により制御される。
【0017】
保持アーム5aは、例えばC字形状のCアームであり、そのアームが伸びる方向にスライド移動可能にアーム支持部5bに設けられている。この保持アーム5aの長手方向の一端にX線照射器3aが設けられおり、その他端にX線平面検出器3bが設けられている。アーム支持部5bは支柱5cに回動可能に設けられており、その支柱5cは床面に立設されている。
【0018】
表示部6は、X線画像などの各種画像を表示する表示装置であり、図1では、一例として二台設けられている。この表示部6は制御装置8に電気的に接続されており、その制御装置8から送られたX線画像などの各種画像を表示する。表示部6としては、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどが用いられる。
【0019】
アブレーション装置7は、天板2a上の被検体Pの体内に挿入されるアブレーションカテーテル7aを備えており、そのアブレーションカテーテル7aに電流、例えば高周波電流を供給する。このアブレーションカテーテル7aに対応する対極板7bは、患者などの被検体Pの体表に貼られている。このアブレーション装置7は制御装置8に電気的に接続されており、その駆動が制御装置8により制御される。
【0020】
ここで、アブレーション治療では、アブレーションカテーテル7aが天板2a上の被検体Pの体内に挿入され、その状態で、アブレーションカテーテル7aと被検体Pの体表に貼られた対極板7bとの間に約300〜750kHzで10〜70Wの程度の電流が流される。これにより、カテーテル先端温度が高温となり、目的部位が焼灼される。
【0021】
制御装置8は、寝台2や移動装置5の駆動を制御する駆動制御ユニット8aと、X線画像を収集するX線画像収集装置8bと、X線平面検出器3bを制御する検出器制御ユニット8cとを備えている。
【0022】
駆動制御ユニット8aは、各部の駆動を制御する制御部、各種プログラムやデータを記憶する記憶部及び術者や助手などの操作者からの入力操作を受け付ける入力部(いずれも図示せず)を有している。この駆動制御ユニット8aは、入力部に対する操作者の入力操作に応じて寝台2や移動装置5の移動を制御するものである。操作者は入力部を入力操作し、寝台2の天板2aや、撮像部3を構成するX線照射器3a及びX線平面検出器3bを所望の撮影位置に移動させる。なお、入力部としては、例えば、各種ボタンやジョイスティックなどの入力デバイスが用いられる。
【0023】
X線画像収集装置8bは、マイクロプロセッサなどの制御部、各種プログラムやデータを記憶する記憶部及び術者や助手などの操作者からの入力操作を受け付ける入力部(いずれも図示せず)を有している。このX線画像収集装置8bは、X線照射器3aにより天板2a上の被検体Pに対してX線を照射し、その後、X線平面検出器3bからのX線画像信号に基づいてX線画像を生成し、生成したX線画像を記憶部などに保管し、さらに、表示部6に表示する。操作者は入力部を入力操作し、X線画像の撮像に係る情報を入力したり、撮像モードなどを選択したりする。なお、入力部としては、例えば、キーボードやマウスなどの入力デバイスが用いられる。
【0024】
検出器制御ユニット8cは、X線平面検出器3bに対し、蓄積した電荷を読み出す読み出しタイミングを通知する。この検出器制御ユニット8cはX線画像収集装置8bに電気的に接続されており、X線平面検出器3bが読み出した電荷信号をX線画像信号としてX線画像収集装置8bに送信する。
【0025】
次に、X線平面検出器3bについて図2を参照して詳しく説明する。
【0026】
図2に示すように、X線平面検出器3bには、電荷信号読み出し回路3b1が設けられている。この電荷信号読み出し回路3b1は、電源装置11と、行方向(例えば図2中の横方向)及び列方向(例えば図2中の縦方向)にアレイ状に配列された複数の画素12と、それらの画素12に制御信号を与えるゲートドライバ13と、電荷信号を増幅する複数の増幅部14と、それらの増幅部14からのパラレス信号をシリアル信号に変換するマルチプレクサ15と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部16などを備えている。
【0027】
各画素12はそれぞれ、X線を電荷に変換するX線検出部12a、TFT(薄膜トランジスタ)などの半導体スイッチ12b及び電荷を蓄積するコンデンサなどの電荷蓄積部12cにより構成されている。半導体スイッチ12bのドレイン電極がX線検出部12a及び電荷蓄積部12cに電気的に接続されている。半導体スイッチ12bのゲート電極が走査線17に電気的に接続されている。半導体スイッチ12bのソース電極が信号線18に電気的に接続されている。この半導体スイッチ12bは、電荷蓄積部12cにより蓄積された電荷を増幅部14に読み出す読み出しスイッチとして機能する。
【0028】
ゲートドライバ13は、各走査線17にそれぞれ制御信号を供給することにより、行単位で半導体スイッチ12bのオンオフを制御する。このゲートドライバ13が行単位で各半導体スイッチ12bを動作させる駆動回路として機能する。
【0029】
増幅部14は、例えば演算増幅器14aなどにより構成されており、その一方の入力端子に信号線18が接続され、その他方の入力端子は接地されている。信号線18につながる入力端子と出力端子との間にはコンデンサ14bが接続されており、増幅部14は積分機能を有している。また、コンデンサ14bに並列にスイッチ14cが接続されており、増幅部14はスイッチ14cを閉じてコンデンサ14bに残った電荷を放電する。
【0030】
マルチプレクサ15は、各増幅部14から入力された電荷信号を順次選択し、各増幅部14からのパラレル出力をシリアル出力に変換し、後段のA/D変換部16に送り出す。
【0031】
A/D変換部16は、マルチプレクサ15から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、X線画像収集装置8bに検出器制御ユニット8cを介してX線画像信号として送信する。
【0032】
このようなX線平面検出器3bでは、高周波電流がアブレーションカテーテル7aに印加されると、アブレーションカテーテル7aにより発生した磁界は、電荷信号読み出し回路3b1、特に電源装置11に影響を及ぼす。この磁界により、画素12にゲートドライバ13を介して印加される電圧にノイズが発生し、そのノイズにより変動して読み出された電荷信号は増幅部14により増幅され、マルチプレクサ15を介してA/D変換部16に入力され、そのA/D変換部16によりデジタル信号に変換されて後段に出力される。ノイズは、ゲートドライバ13により時系列的にオンオフが切り替えられる各行に配置されている画素毎に、その振幅が異なっているため、縞状のノイズとなる。
【0033】
このように、X線平面検出器3bは、X線照射器3aにより照射されて天板2a上の被検体Pを透過したX線を電荷として蓄積し、蓄積した電荷を読み出して検出する検出器であって、被検体Pに挿入されるアブレーションカテーテル7aにより発生する磁界の影響を受ける検出器である。
【0034】
そこで、電荷信号の読み出し期間中には、アブレーションカテーテル7aに対する高周波電流の印加を停止する制御を行う。これにより、非変動の電荷信号を後段に出力することが可能となる。したがって、アブレーションカテーテル7aに電流を供給するアブレーション装置7とX線平面検出器3bとの同期を取り、X線平面検出器3bが蓄積した電荷を読み出す電荷読み出しタイミングとアブレーション装置7がアブレーションカテーテル7aに電流を印加する電流印加タイミングとを調整する必要がある。
【0035】
このタイミング調整について図3及び図4を参照して詳しく説明する。
【0036】
図3に示すように、X線平面検出器3bには、電荷信号を読み出す前述の電荷信号読み出し回路3b1が設けられており、高電圧発生装置4には、X線照射器3aに印加するパルスX線を発生させるパルスX線生成部4aが設けられている。また、アブレーション装置7には、電流の印加タイミングを制御する電流印加コントローラ7a1が設けられている。さらに、X線画像収集装置8bには、選択部8b1、マスタークロック発生部8b2、パルスX線クロック生成部8b3、遅延時間設定値メモリ8b4及びアブレーションパルス生成部8b5が設けられている。検出器制御ユニット8cには、読み出しクロック生成部8c1が設けられている。
【0037】
選択部8b1は、入力部に対する操作者の入力操作に応じて撮像モードを選択する。マスタークロック発生部8b2は、選択部8b1により選択された撮像モードに基づいて、主となるマスタークロックを発生させる。パルスX線クロック生成部8b3は、発生したマスタークロックに基づいて、例えば図4に示すようなパルスX線クロック信号を生成し、高電圧発生装置4のパルスX線生成部4aに送信する。パルスX線生成部4aは、受信したパルスX線クロック信号に基づいて、例えば図4に示すようなパルスX線信号を生成し、X線照射器3aに送信する。X線照射器3aは、受信したパルスX線信号に基づいて天板2a上の被検体PにX線を照射する。
【0038】
また、選択部8b1は、前述の選択に応じて、選択した撮像モードに対応する遅延時間bを遅延時間設定値メモリ8b4に設定する。読み出しクロック生成部8c1は、遅延時間設定値メモリ8b4に設定された遅延時間b及びマスタークロックに基づいて、例えば図4に示すような読み出しクロック信号を生成し、X線平面検出器3bの電荷信号読み出し回路3b1に送信する。読み出しクロック信号は、図4に示すように、パルスX線クロック信号が立ち上がってから遅延時間b後に立ち上がるように生成される。電荷信号読み出し回路3b1は、受信した読み出しクロック信号に基づいてゲートドライバ13を介して各半導体スイッチ12bを制御し、電荷信号の読み出しを行う。
【0039】
遅延時間b及びマスタークロックはアブレーションパルス生成部8b5に送信されて、アブレーションパルス生成部8b5は、受信した遅延時間b及びマスタークロックに基づいて、例えば図4に示すようなアブレーションパルス信号を生成し、アブレーション装置7の電流印加コントローラ7a1に送信する。アブレーションパルス信号は、図4に示すように、読み出しクロック信号に同期し、電荷の蓄積期間でオン状態(電流印加状態)になり、電荷の読み出し期間でオフ状態(電流印加停止状態)になるように生成される。電流印加コントローラ7a1は、受信したアブレーションパルス信号に基づいてアブレーションカテーテル7aに対する電流の印加を制御する。
【0040】
このようにして、X線平面検出器3bがX線を電荷として蓄積する蓄積期間中には、アブレーションカテーテル7aに対する電流印加が行われ、X線平面検出器3bが蓄積した電荷を読み出す読み出し期間中には、アブレーションカテーテル7aに対する電流印加が停止される。これにより、アブレーションカテーテル7aに対する電流印加による磁界の発生は蓄積期間である非読み出し期間に限定されるため、読み出し期間中には磁界が発生しなくなる。このため、読み出し期間中、電荷信号読み出し回路3b1に対する磁界の影響を回避することが可能となるので、X線画像に縞状のノイズが発生することを確実に防止することができる。
【0041】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、アブレーションカテーテル7aに電流を印加するアブレーション装置7とX線平面検出器3bとの同期が取られ、X線平面検出器3bの電荷読み出しタイミングとアブレーション装置7の電流印加タイミングとが調整される。これにより、アブレーションカテーテル7aに対する電流印加により発生する磁界によってX線平面検出器3bの電荷信号読み出し回路3b1が影響を受けることを抑えることが可能となるので、アブレーション治療中のX線画像に縞状のノイズが発生することを抑止することができる。その結果、良好なX線画像を提供することが可能となり、検査時間の短縮や被曝の減少を実現することができる。
【0042】
特に、X線平面検出器3bがX線を電荷として蓄積する蓄積期間中には、アブレーションカテーテル7aに対する電流印加が行われ、X線平面検出器3bが蓄積した電荷を読み出す読み出し期間中には、アブレーションカテーテル7aに対する電流印加が停止される。これにより、読み出し期間中には、アブレーションカテーテル7aに対する電流印加による磁界が発生しないため、電荷信号読み出し回路3b1に対する磁界の影響を回避することが可能になるので、X線画像に縞状のノイズが発生することを確実に防止することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図5を参照して説明する。
【0044】
本発明の第2の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0045】
図5に示すように、本発明の第2の実施形態では、X線照射器3aがX線を照射しなかった場合の蓄積期間の直後の読み出し期間中、アブレーションカテーテル7aに対する電流印加を行う。すなわち、図5に示すように、アブレーションパルス信号は、第1の実施形態と同様に、読み出しクロック信号に同期し、電荷の蓄積期間でオン状態(電流印加状態)になり、電荷の読み出し期間でオフ状態(電流印加停止状態)になるように生成されるが、X線照射器3aがX線を照射しなかった場合の蓄積期間の直後の読み出し期間でも、オン状態になるように生成される。
【0046】
具体的には、パルスX線クロック信号が立ち上がったか否かを判断し、パルスX線クロック信号が立ち上がったと判断した場合には、その直後の読み出し期間でアブレーションパルス信号がオフ状態にされ、一方、パルスX線クロック信号が立ち上がらなかったと判断した場合には、その直後の読み出し期間でアブレーションパルス信号がオン状態にされる。
【0047】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、X線照射器3aがX線を照射しなかった場合の蓄積期間の直後の読み出し期間中、アブレーションカテーテル7aに対する電流印加が行われる。これにより、第1の実施形態に比べ、アブレーションパルス信号でのオン状態の期間を長くすることが可能となるので、その分だけアブレーション治療にかかる治療時間を短縮することができる。
【0048】
(他の実施形態)
なお、本発明に係る前述の実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。前述の実施形態は種々変更可能であり、例えば、前述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素が削除されても良く、さらに、異なる実施形態に係る構成要素が適宜組み合わされても良い。
【0049】
例えば、前述の実施形態においては、X線画像収集装置8bにマスタークロック発生部8b2を設けているが、これに限るものではなく、アブレーション装置7やX線平面検出器3b、検出器制御ユニット8cなどの他の装置に設けるようにしても良く、いずれがマスターとなっても良い。
【0050】
また、前述の実施形態においては、アブレーション装置7を用いた場合を一例に説明しているが、これに限るものではなく、不整脈治療で近年使用されるようになってきた三次元マッピング装置を使用する際にも前述の実施形態の内容を適用することが可能である。三次元マッピング装置は三次元マッピング画像を生成する過程で動磁場を発生させるものである。したがって、前述の実施形態と同じように動磁場の発生をX線平面検出器3bの非読み出し期間に限定することで、X線画像にノズルが発生することを抑止することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 X線診断装置
3a X線照射器
3b X線平面検出器
7 アブレーション装置
7a アブレーションカテーテル
8 制御装置
P 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を照射するX線照射器と、
前記被検体を透過した前記X線を電荷として蓄積し、蓄積した電荷を読み出して検出する検出器であって、前記被検体に挿入されたアブレーションカテーテルに対する電流印加により発生する磁界の影響を受けるX線平面検出器と、
前記アブレーションカテーテルに電流を印加するアブレーション装置と前記X線平面検出器との同期を取り、前記X線平面検出器の電荷読み出しタイミングと前記アブレーション装置の電流印加タイミングとを調整する制御装置と、
を備えることを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記X線平面検出器が前記X線を電荷として蓄積する蓄積期間中、前記アブレーション装置による前記アブレーションカテーテルに対する電流印加を行い、前記X線平面検出器が蓄積した前記電荷を読み出す読み出し期間中、前記アブレーション装置による前記アブレーションカテーテルに対する電流印加を停止することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記X線照射器が前記X線を照射しなかった場合の前記蓄積期間の直後の前記読み出し期間中、前記アブレーション装置による前記アブレーションカテーテルに対する電流印加を行うことを特徴とする請求項2記載のX線診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−223368(P2012−223368A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93631(P2011−93631)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】