説明

X線CT装置および医用撮像システム

【課題】CTガントリと、CTガントリと組み合わせて使用する装置との間で、アイソセンタの高さ位置をより簡便に一致させることを可能にする。
【解決手段】CTガントリ10と組み合わせて使用する装置、例えば、血管撮影装置20、放射線治療装置30、手術装置40等における個々のアイソセンタ高さ位置を記憶する記憶部15を設け、ガントリ制御部19が、CTガントリ10のアイソセンタ高さ位置を、上記記憶された高さ位置のうちいずれか1つに一致させるべく、ガントリ上下駆動部12を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT(Computed Tomography)装置および医用撮像システム(system)に関し、特に、装置の高さ調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CT撮影と血管造影撮影との間を迅速に移行できるように、CTガントリ(gantry)と血管撮影装置とを組み合わせて構成されたCT/Angioシステムや、CT撮影と放射線治療との間を迅速に移行できるように、CTガントリと放射線治療装置とを組み合わせて構成されたCT/RT(Radio Therapy)システム等が知られている。
【0003】
一般に、上記のようにCTガントリと他の装置とを組み合わせたシステムでは、CTガントリとその他の装置とで用いる処理空間の座標を共有あるいは相互利用できるよう、装置のアイソセンタ(iso-center)の高さ位置を互いに一致させる。上記の他の装置は、アイソセンタの高さ位置を調整する機構を有していないことが多いため、例えば、CTガントリの高さ調整機構(特許文献1等参照)を利用して、アイソセンタの位置合せを行う。
【特許文献1】特開平8−107893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、CTガントリのアイソセンタ高さ位置を何らかの事情で変化させてしまった場合には、オペレータ(operator)または作業者がCTガントリの高さを目視および手動操作で再び調整してアイソセンタの高さの位置合せを行う必要がある。
【0005】
また、近年は、複数のモダリティ(modality)や装置を利用した診断方法や治療方法の開発が進められており、将来的には、1台のCTガントリと複数の他の装置とを組み合わせたシステムも考えられる。このようなシステムで問題となるのが、CTガントリと他の装置との間でのアイソセンタの位置合せである。他の装置は、通常、それぞれ固有のアイソセンタを有しており、高さ調整機構を有していないことが多い。したがって、このようなシステムでは、CTガントリと組み合わせて使用する装置を別の装置に切り換える度に、オペレータ(operator)または作業者がCTガントリの高さを目視および手動操作で調整してアイソセンタの高さの位置合せを行う必要があり、その作業は非常に煩雑である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、CTガントリと、CTガントリと組み合わせて使用する装置との間で、アイソセンタの高さ位置をより簡便に一致させることができるX線CT装置および医用撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点では、本発明は、アイソセンタを有するCTガントリと、アイソセンタを有しており前記CTガントリと組み合わせて使用される装置におけるアイソセンタ高さ位置を記憶するアイソセンタ高さ位置記憶手段と、前記CTガントリのアイソセンタ高さ位置が、前記アイソセンタ高さ位置記憶手段に記憶されているアイソセンタ高さ位置と一致するよう、前記CTガントリを上下方向に移動させるガントリ移動手段とを備えるX線CT装置を提供する。
【0008】
第2の観点では、本発明は、前記CTガントリと組み合わせて使用される装置が、複数の装置であり、前記アイソセンタ高さ位置記憶手段が、前記複数の装置における個々のアイソセンタ高さ位置を記憶し、操作者からの入力情報に基づいて、前記複数の装置の中から前記CTガントリと組み合わせて使用する装置を選択する使用装置選択手段をさらに備え、前記ガントリ移動手段が、前記CTガントリのアイソセンタ高さ位置が前記選択された装置のアイソセンタ高さ位置と一致するよう前記CTガントリを移動させる上記第1の観点のX線CT装置を提供する。
【0009】
第3の観点では、本発明は、前記複数の装置が、血管撮影装置、放射線治療装置および手術装置のうち少なくとも1つを含む上記第1の観点または第2の観点のX線CT装置を提供する。
【0010】
第4の観点では、本発明は、前記CTガントリにおけるボア(bore)の開口を有する面に設けられた、作業者が乗り降りする踏み段をさらに備える上記第1の観点から第3の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
【0011】
第5の観点では、本発明は、前記踏み段を少なくとも上下方向に移動可能にする踏み段移動手段をさらに備える上記第4の観点のX線CT装置を提供する。
【0012】
第6の観点では、本発明は、1以上の踏み段位置を記憶する踏み段位置記憶手段をさらに備え、前記踏み段移動手段が、前記踏み段を前記1以上の踏み段位置のうちいずれか1つの踏み段位置に移動させる上記第5の観点のX線CT装置を提供する。
【0013】
第7の観点では、本発明は、作業者の身長を含む作業者情報に基づいて、設定すべき踏み段高さ位置を導出する踏み段位置導出手段をさらに備え、前記踏み段移動手段が、前記踏み段を前記導出された踏み段高さ位置に移動させる上記第5の観点のX線CT装置を提供する。
【0014】
第8の観点では、本発明は、作業者の利き腕の左右の別を含む作業者情報に基づいて、設定すべき踏み段左右位置を導出する踏み段位置導出手段をさらに備え、前記踏み段移動手段が、前記踏み段を左右方向にも移動可能とし、前記踏み段を前記導出された踏み段左右位置に移動させる上記第5の観点のX線CT装置を提供する。
【0015】
第9の観点では、本発明は、前記CTガントリのアイソセンタ高さ位置に基づいて、設定すべき踏み段高さ位置を導出する踏み段位置導出手段をさらに備え、前記踏み段移動手段が、前記踏み段を前記導出された踏み段高さ位置に移動させる上記第5の観点のX線CT装置を提供する。
【0016】
第10の観点では、本発明は、前記踏み段が、前記ボアの開口を有する面の左右両側にそれぞれ設けられる第1の踏み段と第2の踏み段とを含み、前記踏み段移動手段が、前記第1の踏み段および前記第2の踏み段のうち少なくとも一方を移動させる上記第5の観点のX線CT装置を提供する。
【0017】
第11の観点では、本発明は、前記踏み段の補助階段をさらに有し、前記踏み段移動手段が、前記補助階段を前記踏み段の高さ位置に応じて移動させる上記第5の観点から第10の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
【0018】
第12の観点では、本発明は、前記踏み段が、前記CTガントリ側に折り畳み可能または前記CTガントリ内に収納可能に設けられている上記第4の観点から第11の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
【0019】
第13の観点では、本発明は、アイソセンタを有するCTガントリと、アイソセンタを有しており前記CTガントリと組み合わせて使用される装置と、前記CTガントリと前記装置とで使用する共通寝台と、前記装置におけるアイソセンタ高さ位置を記憶するアイソセンタ高さ位置記憶手段と、前記CTガントリのアイソセンタ高さ位置が、前記アイソセンタ高さ位置記憶手段に記憶されているアイソセンタ高さ位置と一致するよう、前記CTガントリを上下方向に移動させるガントリ移動手段とを備える医用撮像システムを提供する。
【0020】
第14の観点では、本発明は、前記CTガントリと組み合わせて使用される装置が、複数の装置であり、前記アイソセンタ高さ位置記憶手段が、前記複数の装置における個々のアイソセンタ高さ位置を記憶し、操作者からの入力情報に基づいて、前記複数の装置の中から前記CTガントリと組み合わせて使用する装置を選択する使用装置選択手段をさらに備え、前記ガントリ移動手段が、前記CTガントリのアイソセンタ高さ位置が前記選択された装置のアイソセンタ高さ位置と一致するよう前記CTガントリを移動させる上記第13の観点の医用撮像システムを提供する。
【0021】
第15の観点では、本発明は、前記CTガントリにおけるボアの開口を有する面に設けられた、作業者が乗り降りする踏み段をさらに備える上記第13の観点または第14の観点の医用撮像システムを提供する。
【0022】
第16の観点では、本発明は、前記装置が、血管撮影装置、放射線治療装置および手術装置のうち少なくとも1つを含む上記第13の観点から第15の観点のいずれか1つの観点の医用撮像システムを提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、CTガントリと組み合わせて使用する装置におけるアイソセンタ高さ位置を記憶しておき、CTガントリのアイソセンタ高さ位置が、上記記憶された高さ位置に一致するよう、CTガントリを上下方向に移動させるので、CTガントリのアイソセンタを、目視および手動による高さ調整をすることなく、相手方の装置のアイソセンタと同じ高さ位置に瞬時に移動させることができ、CTガントリと、CTガントリと組み合わせて使用する装置との間で、アイソセンタ高さ位置をより簡便に一致させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
これより、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による医用撮像システム1の機能ブロック(block)図であり、図2は、第1の実施形態による医用撮像システム1の概観図である。この医用撮像システム1は、CT撮影と血管造影撮影との間、CT撮影と放射線治療との間、あるいは、CT撮影と手術との間を迅速に移行できるよう構成されたシステムである。医用撮像システム1は、図1および図2に示すように、CT撮影するためのCTガントリ10と、血管造影撮影するためのAngio装置(血管撮影装置)20と、放射線治療を行うためのRT装置(放射線治療装置)30と、手術を行うためのOPE装置(手術装置)40と、被検体を載置する共通寝台50と、これらを制御するための操作コンソール(console)60とを有している。
【0026】
Angio装置20、RT装置30、およびOPE装置40は、CTガントリ10と組み合わせて使用される他の装置である。CTガントリ10、Angio装置20、RT装置30、およびOPE装置40は、共通寝台50を囲むように配置されており、それぞれ、共通寝台50と退避位置との間を直線状のレール(rail)71〜74に沿って自走可能である。
【0027】
図3は、各装置のアイソセンタの一例を示す図である。図3に示すように、CTガントリ10、Angio装置20、RT装置30、およびOPE装置40は、それぞれ固有のアイソセンタIct,Iangio,Irt,Iopeを有しており、通常、これらアイソセンタの高さ位置は互いに異なっている。アイソセンタは、装置が扱う処理空間の基準位置であり、例えば、CTガントリ10のアイソセンタIctは撮像空間の中心位置と考えることができる。
【0028】
CTガントリ10は、被検体が搬出入されるボア10Bを有する。また、CTガントリ10は、そのボア10Bを挟んで設けられたX線管とX線検出器、X線検出器の出力信号をAD変換して投影データ(data)として収集するデータ収集部を有し、これらはボア10Bの回りを一体となって回転するようCTガントリ10の筐体に回転可能に支持されている。
【0029】
CTガントリ10は、ボア10Bの直径が70センチメートル(centimeter)以上である、いわゆる大口径型ガントリである。
【0030】
CTガントリ10は、自走用のガントリ水平駆動部11と、CTガントリ10のボア10Bを含む主要部を上下方向に移動させるガントリ上下駆動部12と、CTガントリ10の水平位置および高さ位置を制御するための操作を可能にする操作パネル(panel)17と、CTガントリ10の各駆動部等を制御するガントリ制御部19とを有している。
【0031】
なお、ガントリ上下駆動部12とガントリ制御部19は、本発明のガントリ移動手段として機能する。
【0032】
ガントリ水平駆動部11は、例えば、CTガントリ10の底部に設けられており、CTガントリ10のボア10Bを含む主要部を支持するベース(base)部材に設けられた不図示の車輪と、この車輪を回転させる不図示のモータ(motor)とを有し、このモータがその車輪をレール71上で回転させることによりCTガントリ10を走行させる。
【0033】
ガントリ上下駆動部12は、例えば、ガントリ水平駆動部11の上部に設けられており、上下方向に伸縮する伸縮機構等によりCTガントリ10の主要部を上下に移動させる。
【0034】
ガントリ制御部19は、操作パネル17の所定の操作により、CTガントリ10の主要部を前後上下に手動で移動させたり、後述のアイソセンタ高さ位置記憶部64に記憶されているアイソセンタ高さ位置に基づいて、CTガントリ10のアイソセンタIctがその高さ位置と一致するよう、CTガントリ10の主要部を上下方向に自動で移動させたりするよう、ガントリ水平駆動部11およびガントリ上下駆動部12等を制御する。
【0035】
Angio装置20は、Angio制御部21と、Angio水平駆動部22とを有している。Angio制御部21は、メイン(main)制御61からの制御信号やAngio装置に設けられた不図示の操作パネルによる操作に基づいて、Angio装置20を構成する各部を制御する。具体的には、例えば、Angio制御部21は、メイン制御部61からの制御信号におりAngio水平駆動部22を制御して、Angio装置20を共通寝台50と退避位置との間をレール72に沿って走行させる。
【0036】
RT装置30は、RT制御部31と、RT水平駆動部32とを有している。RT制御部31は、メイン制御61からの制御信号やRT装置30に設けられた不図示の操作パネルによる操作に基づいて、RT装置30を構成する各部を制御する。具体的には、例えば、RT制御部31は、メイン制御部61からの制御信号におりRT水平駆動部32を制御して、RT装置30を共通寝台50と退避位置との間をレール73に沿って走行させる。
【0037】
OPE装置40は、OPE制御部41と、OPE水平駆動部42とを有している。OPE制御部41は、メイン制御61からの制御信号やOPE装置40に設けられた不図示の操作パネルによる操作に基づいて、OPE装置20を構成する各部を制御する。具体的には、例えば、OPE制御部41は、メイン制御部61からの制御信号におりOPE水平駆動部42を制御して、OPE装置40を共通寝台50と退避位置との間をレール74に沿って走行させる。
【0038】
共通寝台50は、水平方向に直線的にスライド(slide)可能に設けられた天板51と、共通寝台50の各部を制御する寝台制御部52と、天板51を水平方向に繰り出す天板駆動部53と、天板51の高さ位置を上下方向に変化させる昇降駆動部54と、寝台50を水平方向に360度回転させる回転駆動部55とを有している。寝台制御部52は、操作コンソール60のメイン制御部61から送られてくる制御信号や、共通寝台50に設けられた不図示の操作パネルによる所定の操作に基づく制御信号により、これらの駆動部を制御する。
【0039】
操作コンソール60は、例えば、いわゆるワークステーション(workstation)で構成されており、CTガントリ10、Angio装置20、RT装置30、手術装置40、および共通寝台50を制御するメイン制御部61と、CTガントリ10と組み合わせて使用する装置(以下、使用装置ともいう)を選択する使用装置選択部62と、アイソセンタ高さ位置記憶部63とを有している。なお、図示はしないが、操作コンソール60は、キーボード(keyboard)やマウス(mouse)等の入力装置、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶パネル等のモニタ(monitor)を具備しており、適宜、情報の入出力を行うことができる。
【0040】
医用撮像システム1は、処理モード(mode)の設定を可能とし、CT撮影モード、血管造影撮影モード、放射線治療モード、および手術モードに切り換えることができる。
【0041】
メイン制御部61は、CT撮影モードが設定されると、CTガントリ10を共通寝台50側に自走させるとともに、これ以外の装置を退避位置に移動させ、さらに、共通寝台50の天板51の繰り出し方向がCTガントリ10側を向くように共通寝台50を回転させる。また、血管造影撮影モードが設定されると、Angio装置20を共通寝台50側に自走させるとともに、これ以外の装置を退避位置に移動させ、さらに、共通寝台50の天板51の繰り出し方向がAngio装置20側を向くように共通寝台50を回転させる。また、放射線治療モードが設定されると、RT装置30を共通寝台50側に自走させるとともに、これ以外の装置を退避位置に移動させ、さらに、共通寝台50の天板51の繰り出し方向がRT装置30側を向くように共通寝台50を回転させる。また、手術モードが設定されると、OPE装置40を共通寝台50側に自走させるとともに、これ以外の装置を退避位置に移動させ、さらに、共通寝台50の天板51の繰り出し方向がOPE装置40側を向くように共通寝台50を回転させる。
【0042】
使用装置選択部62は、操作コンソール60の入力装置を介してオペレータから入力された情報に基づいて、Angio装置20、RT装置30、およびOPE装置40の中から使用装置を選択する。
【0043】
アイソセンタ高さ位置記憶部63は、CTガントリ10と組み合わせて使用される複数の装置、すなわち、Angio装置20、RT装置30、およびOPE装置40における装置ごとのアイソセンタ高さ位置を記憶する。これらのアイソセンタ高さ位置は、例えば、各装置の仕様を参照したり、各装置にてファントム(phantom)等を用いて実測したりして求めて記憶させる。
【0044】
なお、使用装置選択部62にて使用装置が選択されると、メイン制御部61は、アイソセンタ高さ位置記憶部63からこの選択された使用装置のアイソセンタ高さ位置を読み出し、その情報をCTガントリ10に送る。CTガントリ10のガントリ制御部19は、CTガントリ10のアイソセンタ高さ位置がその使用装置のアイソセンタ高さ位置と一致するよう、ガントリ上下駆動部12を制御してCTガントリ10のボア10Bを含む主要部の高さ位置を調整する。
【0045】
これより、本実施形態による医用撮像システム1における動作の流れについて説明する。
【0046】
まず、準備段階として、CTガントリ10と組み合わせて使用する装置ごとに、その装置のアイソセンタ高さ位置を仕様書等に基づいて求め、アイソセンタ高さ位置記憶部63に記憶させる。
【0047】
上記準備が整った状態において、作業者は、被検体を共通寝台50に載置する。そして、オペレータは操作コンソール60の入力装置を介して使用装置を指定して入力する。使用装置選択部62は、その入力情報に基づいて使用装置を選択する。メイン制御部61は、選択された使用装置のアイソセンタ高さ位置を、アイソセンタ高さ位置記憶部63から読み出して、CTガントリ10に送信する。
【0048】
CTガントリ10のガントリ制御部19は、CTガントリ10のアイソセンタIctの高さ位置が、受信したアイソセンタ高さ位置と一致するように、ガントリ上下駆動部12を制御する。
【0049】
ここで、作業者は、操作コンソール60を操作して、CT撮影モードか使用装置による実行モードに設定する。
【0050】
このモード設定において、CT撮影モードが設定された場合には、メイン制御部61は、各装置や共通寝台50に制御信号を送り、CTガントリ10を共通寝台50側に自走させるとともに、共通寝台50の天板51の繰り出し方向がCTガントリ10側を向くように共通寝台50を回転させる。そして、操作コンソール60を操作して、CT撮影の条件等を確認した後、CT撮影を開始する旨の指令を入力する。メイン制御部61は、この指令に応答してCTガントリ10および共通寝台50を制御し、CT撮影が成される。
【0051】
一方、上記モード設定において、使用装置による実行モードが設定された場合には、操作コンソール60のメイン制御部61は、各装置や共通寝台50に制御信号を送り、使用装置を共通寝台50側に自走させるとともに、共通寝台50の天板51の繰り出し方向が使用装置側を向くように共通寝台50を回転させる。作業者は、操作コンソール60を操作して、使用装置の実行条件等を確認した後、使用装置による処理を開始する旨の指令を入力する。メイン制御部61は、この指令に応答して使用装置および共通寝台50を制御し、使用装置による処理が成される。
【0052】
上記モード設定の切換えは必要に応じて繰返し行われ、CTガントリ10によるCT撮影と使用装置による処理とが交互に繰り返される。また、使用装置を切り換える場合には、オペレータは操作コンソール60の入力装置を介して使用装置を指示する情報を入力し直す。
【0053】
このような第1の実施形態によれば、CTガントリ10と組み合わせて使用する装置におけるアイソセンタ高さ位置を記憶しておき、CTガントリ10のアイソセンタIctが、記憶されたアイソセンタ高さ位置に一致するよう、CTガントリ10を上下方向に移動させるので、CTガントリ10のアイソセンタIctを、目視および手動による高さ調整をすることなく、相手方の装置のアイソセンタと同じ高さ位置に瞬時に移動させることができ、CTガントリ10とその相手方の装置との間でアイソセンタの高さ位置をより簡便に一致させることができる。
【0054】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態による医用撮像システム1の機能ブロック図である。第1の実施形態では、操作コンソール60がアイソセンタ高さ位置記憶部63を有し、メイン制御部61が使用装置選択部62により選択された使用装置のアイソセンタ高さ位置をアイソセンタ高さ位置記憶部63から読み出して、CTガントリ10のガントリ制御部19に送っている。一方、第2の実施形態では、CTガントリ10がアイソセンタ高さ位置記憶部63を有し、アイソセンタ高さ位置記憶部63は、CTガントリ10と相手方の装置との間におけるアイソセンタ高さ位置の実際の位置合せ結果に基づいて、各装置のアイソセンタ高さ位置を記憶され、ガントリ制御部19が、オペレータまたは作業者による操作パネル17の操作に基づいて、使用装置のアイソセンタ高さ位置をアイソセンタ高さ位置記憶部63から読み出す。
【0055】
図5は、操作パネル17の一例を示す図である。操作パネル17は、例えば、図5に示すように、プリセット(preset)番号Zctを指定するときに押下するプリセット番号ボタン(button)17aと、CTガントリ10のアイソセンタIctの現在の高さ位置を、指定されたプリセット番号Zctと対応付けて記憶させるときに押下する位置登録ボタン17bと、CTガントリ10を手動で前後上下に移動させるときに押下する移動ボタン17cと、指定されたプリセット番号Zctと対応付けて記憶されたアイソセンタ高さ位置を読み出してアイソセンタIctをその読み出したアイソセンタ高さ位置に移動させるときに押下する読出移動ボタン17dを具備している。ここでは、CTガントリ10と組み合わせて使用する各装置ごとに異なるプリセット番号Zctが割り当てられている。
【0056】
例えば、オペレータまたは作業者は、操作パネル17を用いて、CTガントリ10の主要部を上下方向に手動で移動させながら、CTガントリ10のアイソセンタIctの高さ位置と相手方の装置のアイソセンタの高さ位置とが幾何学的に一致するCTガントリ10の位置を探索し、その時のアイソセンタIctの高さ位置を、その相手方の装置に対応したプリセット番号Zctを指定して位置登録し記憶させる。
【0057】
なお、医用撮像システム1を実際に使用する際には、オペレータまたは作業者は、CTガントリ10の操作パネル17を操作して使用装置に対応するプリセット番号Zctを選択する。ガントリ上下移動部12は、上記のようにして選択されたプリセット番号Zctのアイソセンタ高さ位置情報を、アイソセンタ高さ位置記憶部19から読み出して、CTガントリ10アイソセンタIctの高さ位置が、読み出したアイソセンタ高さ位置情報による高さ位置と一致するよう、CTガントリ10の主要部を上下方向に移動させる。
【0058】
このような第2の実施形態によれば、事前にアイソセンタ高さ位置の位置合せを実際に行って、各装置のアイソセンタ高さ位置を記憶させるので、医用撮像システム1を使用する際に、アイソセンタの高さ位置の位置合せをより高い精度で行うことができる。
【0059】
(第3の実施形態)
ところで、X線CT装置を用いたCT撮影では、撮影技師は、被検体が撮影空間の適切な位置に搬送されるよう、CTガントリに対する被検体の位置を撮影前に調整する。例えば、撮影技師は、CTガントリから照射される光ビーム(beam)等を頼りに、CTガントリのボアを覗き込むようにして、寝台に載置された被検体の位置や姿勢を確認し、被検体を適正な姿勢へと誘導したり、寝台の高さを手動操作で調整したりしている。
【0060】
また、X線CT装置を用いたIVR(interventional radiology)手技では、医師は、CT画像誘導下にて被検体に生検や治療を施す。例えば、医師は、CT撮影によって所定の時間間隔で得られる画像をその場で参照しながら、CTガントリのボア内に搬送されている被検体に対して、穿刺針やカテーテル(catheter)などを挿入する。
【0061】
このように、撮影技師や医師等の作業者は、X線CT装置におけるCTガントリのボア付近、特にアイソセンタ近傍で所定の作業を行うことが多く、この場合、作業者は、CTガントリや寝台が設置されている床面に立って作業する。
【0062】
一方、第1の実施形態によるCTガントリ10は、上述のように、大口径型ガントリであり、また、その底部にガントリ水平駆動部11およびガントリ上下駆動部12を有しているため、アイソセンタIctの高さ位置は、ボアの直径が60センチメートル程度であり水平駆動部を有しない一般的なCTガントリと比較して、より高い位置にある。つまり、撮影技師や医師等の作業者にとって、CTガントリ10のボア付近、特にアイソセンタIct近傍での作業は容易でない場合が想定される。
【0063】
そこで、第3の実施形態は、作業者がこれらの作業を容易に行うことができるよう構成されている。
【0064】
図6は、第3の実施形態による医用撮像システム1の機能ブロック図であり、図7は、第3の実施形態による医用撮像システム1の概観図である。ここでのCTガントリ10は、CTガントリ10におけるボア10Bの開口を有する面であって被検体が搬出入される側の面(以下、CTガントリ10の正面とも言う)に設けられた、作業者が乗り降りするビューイングステップ(viewing-step;踏み段)13と、ビューイングステップ13の位置として設定すべき1以上のステップ(step)位置を記憶するステップ位置記憶部(踏み段位置記憶手段)15と、ビューイングステップ13を上下方向に移動させるためのステップ上下駆動部16aと、ビューイングステップ13を左右方向に移動させるためのステップ左右駆動部16bと、ビューイングステップ13の位置を制御するための操作を可能にするステップ用リモコン(remote-controller)18とを有している。
【0065】
ステップ上下駆動部16aおよびステップ左右駆動部16bの駆動方式としては、例えば、油圧駆動、モータ駆動、ギア・ベルト(gear and belt)による駆動等を考えることができる。
【0066】
なお、ステップ上下駆動部16a、ステップ左右駆動部16bおよびガントリ制御部19は、本発明の踏み段移動手段として機能する。
【0067】
ガントリ制御部19は、入力された情報に基づいて、ステップ上下駆動部16aおよびステップ左右駆動部16bを制御することにより、ビューイングステップ13を上下左右に移動させる。例えば、ガントリ制御部19は、ステップ用リモコン18での所定の操作による入力情報に基づいて、ステップ上下駆動部16aおよびステップ左右駆動部16bを制御することにより、ビューイングステップ13を所望の位置へ手動で移動させたり、ステップ位置記憶部15に記憶されているステップ位置を読み出して、ビューイングステップ13をその読み出したステップ位置に自動で移動させたりすることができる。ビューイングステップ13の移動範囲は、少なくとも安全上の観点等から制限されるのが好ましく、例えば、上下方向はボア10Bより下方、左右方向はCTガントリ10の左右方向の幅を超えない範囲とする。
【0068】
ステップ位置記憶部15には、作業者の身長や利き腕の左右の別を考慮した、作業者ごとの最適なステップ位置を記憶させることができる。例えば、作業者がステップ用リモコン18を用いて、ビューイングステップ13を上下左右に手動で移動させながら、作業者自身にとって最も作業がし易い最適な位置を探索し、ビューイングステップ13をその位置で停止させる。そして、作業者は、ステップ用リモコン18により、プリセット(preset)番号Zstを指定して現在のステップ位置を記憶させる。これを作業者ごとにプリセット番号を変えて繰り返し行うことにより、作業者ごとの最適ステップ位置を記憶させることができる。なお、ビューイングステップ13の最適ステップ位置は、身長が比較的高い作業者にとっては比較的低い位置になることが想定され、逆に、身長が比較的低い作業者にとっては比較的高い位置になることが想定される。また、ビューイングステップ13の最適ステップ位置は、作業者の利き腕の左右の別や好みによって、CTガントリ10の正面に向かって右側または左側の位置になることが想定される。
【0069】
図8は、ビューイングステップ13の構成の一例を示す図である。ビューイングステップ13は、例えば、図8に示すように、作業者1人が十分乗れる程度の面積を有する金属製あるいは硬質プラスチック製等の平板であり、その平板に作業者が掌握することのできる手すり13pが設けられている。ステップ用リモコン18は、操作者による操作のし易さを考慮して、手すり13pに装着するようにしてもよい。
【0070】
また、ビューイングステップ13は、図8に示すように、補助ステップ(補助階段)13sを付帯しており、ビューイングステップ13はこの補助ステップを移動させる補助ステップ駆動部を有している。ガントリ制御部19は、ビューイングステップ13の高さ位置に応じて補助ステップ13sを適当な位置に移動させるよう補助ステップ駆動部を制御する。例えば、床面からビューイングステップ13までの高さが基準値以下のときには、ガントリ制御部19は、補助ステップ13sが退避位置、例えばビューイングステップ13の裏面付近の位置に移動するよう補助ステップ駆動部を制御する。一方、床面からビューイングステップ13までの高さが基準値を超えたときには、ガントリ制御部19は、補助ステップ13sがビューイングステップ13と床面との間の所定の位置に移動するよう補助ステップ駆動部を制御する。これにより、作業者は、ビューイングステップ13の高さ位置が比較的高い位置に移動したときには、その補助ステップ13sを介してビューイングステップ13に容易に乗り降りでき、ビューイングステップ13の高さ位置が比較的低い位置に移動したときは、余分な補助ステップなしで乗り降りできる。
【0071】
なお、ビューイングステップ13は、収納可能な構造であることが好ましい。
【0072】
図9は、ビューイングステップ13の収納可能な構造の一例を示す図である。ビューイングステップ13は、例えば、図9に示すように、ビューイングステップ13のCTガントリ10寄りの一端辺を軸として回動する折り畳み構造や、ビューイングステップ13が水平方向にスライド(slide)してCTガントリ10の内部に格納される構造を有してもよい。これにより、ビューイングステップ13を使用しないときには、これを収納し、例えば、被検体に接続された医用具や計器等を傍らに置いても邪魔にならないようにすることができる。なお、ビューイングステップ13を収納するための駆動部を設ける場合には、安全上の観点から、さらにロック(lock)機能を設ける方がよい。例えば、ビューイングステップ13上に押圧センサ等を設け、そのセンサ出力に基づいて作業者がビューイングステップ13に乗っているか否かを判定し、作業者が乗っていると判定されたときにはビューイングステップ13が収納できないようにロックする機能を設けるようにしてもよい。
【0073】
図10は、ステップ用リモコン18の一例を示す図である。ステップ用リモコン18は、例えば、図10に示すように、プリセット番号Zstを指定するときに押下するプリセット番号ボタン18aと、ビューイングステップ13の現在位置を、指定されたプリセット番号Zstと対応付けて記憶させるときに押下する位置登録ボタン18bと、ビューイングステップ13を手動で上下左右に移動させるときに押下する移動ボタン18cと、指定されたプリセット番号Zstと対応付けて記憶されたステップ位置情報を読み出してビューイングステップ13をそのステップ位置情報が表す位置に移動させるときに押下する読出移動ボタン18dを具備している。
【0074】
これより、第3の実施形態による医用撮像システム1におけるCT撮影時の動作の流れについて説明する。なお、ここでは、既に使用装置が選択され、CTガントリ10と使用装置との間でのアイソセンタ高さ位置の位置合せが完了していることを想定して説明する。
【0075】
作業者は、ステップ用リモコン18により、既に記憶されている複数のステップ位置の中から、自分自身の最適ステップ位置が記憶されているプリセット番号を指定して確定する。
【0076】
すると、CTガントリ制御部19は、確定されたプリセット番号と対応付けて記憶されているステップ位置をステップ位置記憶部15から読み出して、ステップ上下駆動部16aおよびステップ左右駆動部16bに制御信号を送り、ビューイングステップ13をその読み出したステップ位置に移動させる。ガントリ制御部19は、ビューイングステップ13の高さ位置が基準値を越えたときには、補助ステップ13sを床面とビューイングステップ13との間に位置するよう移動させる。
【0077】
ここで、作業者は、ビューイングステップ13に乗り込み、CTガントリ10のアイソセンタIctの近傍で所定の作業、例えば、被検体が撮影空間の適当な位置に搬送されるよう、共通寝台50の操作パネル17を操作して、共通寝台50の高さ調整を行う。
【0078】
作業者は、作業終了後、ビューイングステップ13から降りて、操作コンソール60を操作し、CT撮影の条件等を確認した後、CT撮影を開始する旨の指令を入力する。メイン制御部61は、この指令に応答してCTガントリ10および共通寝台50を制御し、CT撮影が成される。
【0079】
このような第3の実施形態によれば、CTガントリ10のボア10Bの開口を有する面にビューイングステップ13を有しているので、アイソセンタ高さ位置の位置合せによりCTガントリ10のアイソセンタ高さ位置が比較的高い位置に移動した場合であっても、作業者はこのビューイングステップ13に乗って、CTガントリ10のアイソセンタIct近傍での作業を容易に行うことができる。
【0080】
また、当該実施形態によれば、ガントリ制御部19がステップ上下駆動部16aを制御してそのビューイングステップ13を少なくとも上下方向に移動させてビューイングステップ13の位置を変化させるので、ビューイングステップ13を作業者が乗って作業し易い所望の高さ位置に自由に移動させることができ、CTガントリ10のアイソセンタIctの高さ位置や作業者の身長によらず、作業者がCTガントリ10のアイソセンタIct近傍での作業を容易に行うができる。
【0081】
また、当該実施形態によれば、作業者の最適ステップ位置を予め記憶させることができるステップ位置記憶部15を有しているので、ビューイングステップ13を作業者の最適ステップ位置に瞬時に移動させることができる。
【0082】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではない。
【0083】
第1の実施形態では、アイソセンタ高さ位置記憶部63が操作コンソール60内にあり、メイン制御部61は、使用装置のアイソセンタ高さ位置をそのアイソセンタ高さ位置記憶部63から読み出しているが、例えば、各装置のアイソセンタ高さ位置がその装置自身の記憶部にそれぞれ記憶されており、メイン制御部61が使用装置の記憶部からそのアイソセンタ高さ位置を読み出すようにしてもよい。
【0084】
また、第2の実施形態では、オペレータまたは作業者が、CTガントリ10の操作パネル17を操作して使用装置に対応するプリセット番号Zctを選択しているが、例えば、ガントリ制御部19が、操作コンソール60から送られてくる使用装置を特定する情報に基づいて、使用装置に対応するプリセット番号Zctを自動的に選択するようにしてもよい。
【0085】
また、上記第3の実施形態では、作業者の最適ステップ位置をステップ位置記憶部15に記憶させ、ガントリ制御部19がその最適ステップ位置を読み出してビューイングステップ13をその位置に移動させているが、例えば、作業者が各自携帯するIDカード等の記憶媒体にその作業者の最適ステップ位置を記憶させ、ガントリ制御部19が、CTガントリ10の操作パネル等を介してその記憶媒体に記憶されている最適ステップ位置を読み出してビューイングステップ13をその位置に移動させてもよい。
【0086】
また、第3の実施形態では、作業者ごとの最適ステップ位置をステップ位置記憶部15に予め記憶させておき、その中から実際に作業を行う作業者の最適ステップ位置を選択することで、ビューイングステップ13をその最適ステップ位置に移動させているが、例えば、作業者ごとの身長や利き腕の左右の別を表す作業者情報に基づいて、設定すべきステップ位置を導出するステップ位置導出部を設け、ガントリ制御部19がビューイングステップ13をその導出されたステップ位置に移動させるようにしてもよい。
【0087】
この場合は、各作業者の作業者情報が記憶されている作業者情報記憶部を操作コンソール60やCTガントリ10に設け、ステップ位置導出部が、選択された作業者の作業者情報をその作業者情報記憶部から読み出すようにしてもよいし、作業者が各自携帯するIDカード等の記憶媒体にその作業者の作業者情報を記憶させるとともに、その記憶媒体の記憶情報を読み取る読取機を操作コンソール60やCTガントリ10に設け、ステップ位置導出部がこの読取機を介して作業者情報を読み取るようにしてもよい。
【0088】
また、第3の実施形態では、ビューイングステップ13の高さ位置を、予め記憶された高さ位置のいずれかと一致させるようにしているが、例えば、ビューイングステップ13の高さ位置を、CTガントリ10のアイソセンタIctの高さ位置に基づく所定の位置に一致させるよう、ビューイングステップ13を移動させてもよい。すなわち、使用装置の選択に連動してビューイングステップ13の高さ位置が変化するようにしてもよい。例えば、CTガントリ10のアイソセンタ高さ位置が高くなるほど、ビューイングステップ13の高さ位置も高くなるようにステップ高さ位置を導出する。これにより、CTガントリ10の高さによらず、常に作業者に対して最適な位置を保持することができる。
【0089】
この場合、ステップ位置導出部66は、CTガントリ10のアイソセンタ高さ位置に基づいて、設定すべきステップ高さ位置を導出し、ガントリ制御部19が、ビューイングステップ13をそのステップ高さ位置に移動させるようにしてもよい。例えば、CTガントリ10の高さ位置が高くなるほど、ビューイングステップ13の高さ位置も高くなるようにステップ高さ位置を導出する。これにより、CTガントリ10のアイソセンタ高さ位置によらず、常に作業者に対して最適なステップ位置を保持することができる。
【0090】
また、ステップ位置導出部66は、CTガントリ10のアイソセンタ高さ位置と作業者情報の両方に基づいて、設定すべきステップ高さ位置を導出し、ガントリ制御部19が、ビューイングステップ13をそのステップ高さ位置に移動させるようにしてもよい。これにより、ビューイングステップ13に対する乗り降りのし易さを考慮しつつ、作業者のビューイングステップ13上での作業のし易さを考慮して、ビューイングステップ13のステップ高さ位置を設定することができる。
【0091】
また、第3の実施形態では、ビューイングステップ13を1つのみ有しているが、例えば、CTガントリ10の正面の左右それぞれに1つずつ設け、ガントリ制御部19が、これらのうち少なくとも1つを移動させるようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1の実施形態による医用撮像システムの機能ブロック図である。
【図2】第1の実施形態による医用撮像システムの概観図である。
【図3】各装置のアイソセンタの一例を示す図である。
【図4】第2の実施形態による医用撮像システムの機能ブロック図である。
【図5】CTガントリの操作パネルの一例を示す図である。
【図6】第3の実施形態による医用撮像システムの機能ブロック図である。
【図7】第3の実施形態による医用撮像システムの概観図である。
【図8】ビューイングステップの構成の一例を示す図である。
【図9】ビューイングステップの収納可能な構造の一例を示す図である。
【図10】ステップ用リモコンの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1 医用撮像システム(医用撮像システム)
10 CTガントリ(CTガントリ)
10B ボア
11 ガントリ水平駆動部
12 ガントリ上下駆動部(ガントリ移動手段)
13 ビューイングステップ(踏み段)
13p 手すり
13s 補助ステップ(補助階段)
15 ステップ位置記憶部(踏み段位置記憶手段)
16a ステップ上下駆動部(踏み段移動手段)
16b ステップ左右駆動部(踏み段移動手段)
17 操作パネル
18 ステップ用リモコン
19 ガントリ制御部
20 Angio装置(血管撮影装置)
21 Angio制御部
22 Angio水平駆動部
30 RT装置(放射線治療装置)
31 RT制御部
32 RT水平駆動部
40 OPE装置(手術装置)
41 OPE制御部
42 OPE水平駆動部
50 共通寝台(共通寝台)
51 天板
52 寝台制御部
53 天板駆動部
54 昇降駆動部
55 回転駆動部
60 操作コンソール
61 メイン制御部
62 使用装置選択部(使用装置選択手段)
63 アイソセンタ高さ位置記憶部(アイソセンタ高さ位置記憶手段)
71〜74 レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイソセンタを有するCTガントリと、
アイソセンタを有しており前記CTガントリと組み合わせて使用される装置におけるアイソセンタ高さ位置を記憶するアイソセンタ高さ位置記憶手段と、
前記CTガントリのアイソセンタ高さ位置が、前記アイソセンタ高さ位置記憶手段に記憶されているアイソセンタ高さ位置と一致するよう、前記CTガントリを上下方向に移動させるガントリ移動手段とを備えるX線CT装置。
【請求項2】
前記CTガントリと組み合わせて使用される装置は、複数の装置であり、
前記アイソセンタ高さ位置記憶手段は、前記複数の装置における個々のアイソセンタ高さ位置を記憶し、
操作者からの入力情報に基づいて、前記複数の装置の中から前記CTガントリと組み合わせて使用する装置を選択する使用装置選択手段をさらに備え、
前記ガントリ移動手段は、前記CTガントリのアイソセンタ高さ位置が前記選択された装置のアイソセンタ高さ位置と一致するよう前記CTガントリを移動させる請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記装置は、血管撮影装置、放射線治療装置および手術装置のうち少なくとも1つを含む請求項1または請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記CTガントリにおけるボアの開口を有する面に設けられた、作業者が乗り降りする踏み段をさらに備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記踏み段を少なくとも上下方向に移動可能にする踏み段移動手段をさらに備える請求項4に記載のX線CT装置。
【請求項6】
1以上の踏み段位置を記憶する踏み段位置記憶手段をさらに備え、
前記踏み段移動手段は、前記踏み段を前記1以上の踏み段位置のうちいずれか1つの踏み段位置に移動させる請求項5に記載のX線CT装置。
【請求項7】
作業者の身長を含む作業者情報に基づいて、設定すべき踏み段高さ位置を導出する踏み段位置導出手段をさらに備え、
前記踏み段移動手段は、前記踏み段を前記導出された踏み段高さ位置に移動させる請求項5に記載のX線CT装置。
【請求項8】
作業者の利き腕の左右の別を含む作業者情報に基づいて、設定すべき踏み段左右位置を導出する踏み段位置導出手段をさらに備え、
前記踏み段移動手段は、前記踏み段を左右方向にも移動可能とし、前記踏み段を前記導出された踏み段左右位置に移動させる請求項5に記載のX線CT装置。
【請求項9】
前記CTガントリのアイソセンタ高さ位置に基づいて、設定すべき踏み段高さ位置を導出する踏み段位置導出手段をさらに備え、
前記踏み段移動手段は、前記踏み段を前記導出された踏み段高さ位置に移動させる請求項5に記載のX線CT装置。
【請求項10】
前記踏み段は、前記ボアの開口を有する面の左右両側にそれぞれ設けられる第1の踏み段と第2の踏み段とを含み、
前記踏み段移動手段は、前記第1の踏み段および前記第2の踏み段のうち少なくとも一方を移動させる請求項5に記載のX線CT装置。
【請求項11】
前記踏み段の補助階段をさらに有し、
前記踏み段移動手段は、前記補助階段を前記踏み段の高さ位置に応じて移動させる請求項5から請求項10のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項12】
前記踏み段は、前記CTガントリ側に折り畳み可能または前記CTガントリ内に収納可能に設けられている請求項4から請求項11のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項13】
アイソセンタを有するCTガントリと、
アイソセンタを有しており前記CTガントリと組み合わせて使用される装置と、
前記CTガントリと前記装置とで使用する共通寝台と、
前記装置におけるアイソセンタ高さ位置を記憶するアイソセンタ高さ位置記憶手段と、
前記CTガントリのアイソセンタ高さ位置が、前記アイソセンタ高さ位置記憶手段に記憶されているアイソセンタ高さ位置と一致するよう、前記CTガントリを上下方向に移動させるガントリ移動手段とを備える医用撮像システム。
【請求項14】
前記CTガントリと組み合わせて使用される装置は、複数の装置であり、
前記アイソセンタ高さ位置記憶手段は、前記複数の装置における個々のアイソセンタ高さ位置を記憶し、
操作者からの入力情報に基づいて、前記複数の装置の中から前記CTガントリと組み合わせて使用する装置を選択する使用装置選択手段をさらに備え、
前記ガントリ移動手段は、前記CTガントリのアイソセンタ高さ位置が前記選択された装置のアイソセンタ高さ位置と一致するよう前記CTガントリを移動させる請求項13に記載の医用撮像システム。
【請求項15】
前記CTガントリにおけるボアの開口を有する面に設けられた、作業者が乗り降りする踏み段をさらに備える請求項13または14に記載の医用撮像システム。
【請求項16】
前記装置は、血管撮影装置、放射線治療装置および手術装置のうち少なくとも1つを含む請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の医用撮像システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−153579(P2009−153579A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332215(P2007−332215)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】