X線CT装置及び画像処理プログラム
【課題】被検体の大きさに対応したFOVよりも広いFOVで撮影した場合においても、CT値のシフトに伴う画像の劣化を防止する。
【解決手段】所定の範囲に爆紗されたX線の強度を示すデータを第1のデータとして各チャンネルに出力する撮影部と、各チャンネルに出力されるX線の強度を示すデータを複数の異なる範囲について補正するためのキャリブレーションデータを、複数の範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部と、所定の範囲と異なる第2の範囲を特定することで、第1のデータのうち、第2の範囲内の各チャンネルにおけるX線の強度を示すデータを第2のデータとして特定する範囲決定部と、第2の範囲に対応したキャリブレーションデータを補正データ記憶部から抽出し、抽出したキャリブレーションデータにより第2のデータを補正し出力する最終データ補正部と、最終データ補正部の出力を基に画像データを生成する再構成処理部とを備える。
【解決手段】所定の範囲に爆紗されたX線の強度を示すデータを第1のデータとして各チャンネルに出力する撮影部と、各チャンネルに出力されるX線の強度を示すデータを複数の異なる範囲について補正するためのキャリブレーションデータを、複数の範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部と、所定の範囲と異なる第2の範囲を特定することで、第1のデータのうち、第2の範囲内の各チャンネルにおけるX線の強度を示すデータを第2のデータとして特定する範囲決定部と、第2の範囲に対応したキャリブレーションデータを補正データ記憶部から抽出し、抽出したキャリブレーションデータにより第2のデータを補正し出力する最終データ補正部と、最終データ補正部の出力を基に画像データを生成する再構成処理部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体にX線を曝射して得られた投影データに基づいて被検体内部の画像を生成する技術に係り、特に、被検体を透過したX線の範囲に応じて純生データに含まれるX線の強度を補正する技術に関する。また、被検体を透過したX線の範囲に応じて純生データに含まれるX線の強度を補正する画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影装置(以降、「X線CT装置」と呼ぶ)は、被検体へX線を照射するとともに、被検体を透過したX線を検出することにより、被検体内でのX線吸収係数からなる投影データを得る。X線CT装置では、この投影データに基づいて、被検体内の画像を再構成する。そのため、被検体を透過したX線の強度を忠実に電気信号に変換することが重要である。
【0003】
X線CT装置においてX線は、X線検出器およびデータ収集部を経て検出されることになる。そのためX線の検出感度は、X線の光への変換特性、光から電気への光電変換特性および電気信号の増幅精度などによって決定される。そして、これらX線の光への変換特性、光電変換特性および増幅精度は、温度などの雰囲気や経時変化によってチャンネル毎にドリフトする。そのため、チャンネル毎に感度特性の変化の影響を取り除くための補正が施される。
【0004】
このX線の検出感度の補正は、予め作成した補正データを利用して行われる。すなわち、感度特性の変化が温度などの雰囲気や経時変化によって生ずるので、定期的にその感度特性の変化に沿った補正データを作成する必要がある。
【0005】
一方で、X線CT装置による撮影時には、被検体の撮影部位(例えば頭部、胸部、腹部等)に応じて、FOV(Field Of View)と呼ばれる撮影領域の大きさを設定する。これは、被検体の体型によってそのX線透過量も異なるため、被検体の体幅に応じてX線検出器で検出された信号を適切に増幅するためである。図8(a)〜(e)には、一般的に用いられるFOVの例が示されている。例えば、直径180mmのFOVaは、乳児の撮影に用いられる。また、直径240mmのFOVbは、主に頭部の撮影に用いられる。FOVc〜FOVeは、主に胸部や腹部の撮影に用いられ、被検体の体型にあわせて使い分けられる。
【0006】
前述した補正データは、このFOV(つまり撮影部位の大きさ)に応じて取得しておく必要がある。具体的には、当該FOVとほぼ同じ大きさのファントムを使用して、撮影部位に応じた補正データを取得することになる。例えば、図8(a)〜(e)に示すように、FOVとしてFOVa〜FOVeまでを設定可能な場合、各FOVに対応したキャリブレーションデータCa〜Ceをあらかじめ用意しておくこととなる。
【0007】
この補正データは、キャリブレーションデータと呼ばれ、ファントム(疑似模型)をスキャンすることであらかじめ生成される。前記ファントムの例としては、水ファントムやエアーファントムが知られている。
【0008】
特許文献1には図9にしめすような従来のX線CT装置の構成について開示されている。X線CT装置は回転リング2を収容するガントリ1、および、円錐形のX線ビームを発生するX線源3、X線フィルタ4を含む。ガントリ1は、1次元または2次元に配置された検出素子を含むアレイタイプのX線検出器5を有する。
【0009】
X線源3とX線検出器5は、回転リング2上に設置され、スライド式寝台6の上に横になった被検体(図示せず)の反対側に位置する。X線検出器5を構成する各検出素子5Aに各チャンネルが対応付けられている。X線源(X線発生部)3はX線フィルタ4を介して被検体に対峙される。X線コントローラ8からトリガ信号が供給されると、高電圧装置7はX線源3を駆動する。高電圧装置7は、トリガ信号を受信するタイミングでX線源3に高電圧を印加する。これにより、X線がX線源3で発生され、ガントリ/寝台コントローラ9は、ガントリ1の回転リング2の回転と、スライド式寝台6のスライドを同期的に制御する。システムコントローラ10は全システムの制御中心を構成し、X線コントローラ8、ガントリ/寝台コントローラ9、スライド式寝台6を制御し、X線源3からX線を照射している間、被検体の周囲の所望の経路で回転リング2を回転させる。このときシステムコントローラ10は、後述するデータ処理部12の動作もあわせて制御する。
【0010】
X線検出器5を構成する検出素子5Aは、被検体がX線源3と検出素子5Aの間に介在する場合、及び、介在しない場合の双方において、X線源3が発生するX線の強度を測定することができる。したがって、各検出素子(通常、1チャンネル/1素子)5Aは、少なくとも1つのX線強度を測定し、この強度に対応するアナログ出力信号を出力する。各検出素子5Aからの出力信号はデータ収集部11に供給される。データ収集部11は各検出素子5Aの信号を増幅し、デジタル信号に変換する。それによりデジタル投影データが生成される。デジタル投影データはデータ収集部11から出力され、データ処理部12に供給される。データ処理部12は、まず各チャンネルに対応するデジタル投影データに対し、感度補正を行う。なお、前述したX線源3、X線検出器5を含むガントリ1、及びデータ収集部11が「撮影部」に相当する。
【0011】
次にデータ処理部12は、感度補正を行ったデジタル投影データを基に、スライド式寝台6に横になっている被検体に対応する画像の再構成を行う(デジタル投影データの補正及び画像の再構成の詳細については後述する)。なお以降では、データ処理部12よる補正が行われる前の前記デジタル投影データを「純生データ」と呼ぶ。また、データ処理部12により補正された純生データを「生データ」と呼ぶ。
【0012】
データ処理部12の詳細な構成について図10を参照しながら説明する。図10は、従来のX線CT装置のデータ処理部のブロック図である。
【0013】
データ処理部12は、前処理部121と、生データ記憶部122と、再構成処理部123とで構成される。また、前処理部121は、データ補正部1211と、補正データ記憶部1212とで構成される。
【0014】
X線検出器5で検出されるX線は、検出素子の位置により密度が異なる。具体的には、体軸を中心とした体幅方向において、中央付近はX線の密度が高く、中央付近から両端部に向けて離れるほどX線の密度が低くなる。そのためX線CT装置では、このX線の密度の違いを均一化するために、純生データに対し感度補正が行われる。この感度補正はデータ補正部1211により行わる。
【0015】
データ補正部1211は、データ収集部11から純生データを受信し、キャリブレーションデータを用いて純生データに対する感度補正を行う。この感度補正により、受信した純生データにおいて、各チャンネルで検出されたX線の強度を補正する。そのため、この補正に用いるキャリブレーションデータとして、前述したX線の密度の違いを均一化するために、図8(a)〜(e)に示すキャリブレーションデータCa〜Ceのように、中央付近のチャンネルから両端のチャンネルに向けて、X線の強度が異なるデータが用いられる。
【0016】
このキャリブレーションデータは、X線CT装置で使用可能なFOVごとにあらかじめ生成され、補正データ記憶部1212に記憶される。例えば、図8(a)〜(e)に示すように、X線CT装置にてFOVa〜FOVeまでを設定可能な場合、各FOVに対応したキャリブレーションデータCa〜Ceがあらかじめ生成され補正データ記憶部1212に記憶されることになる。
【0017】
以下に、データ補正部1211による純生データの補正について図11(a)〜(c)を参照しながら具体的に説明する。図11は、従来のX線CT装置における純生データの補正に関する処理を説明するための図である。図11(a)〜(c)は、FOV1を設定し取得した被検体Oの純生データを補正する場合の例を示している。図11(a)は、FOV1を設定した場合における、FOV1と被検体Oとの関係を示している。また図11(b)は、FOV1を選択した場合の、被検体Oの投影データにより生成されるサイノグラムS1を示している。また図11(c)は、FOV1を選択した場合の、キャリブレーションデータによる純生データの補正を説明するための図である。
【0018】
まずデータ補正部1211は、データ収集部11から、純生データを図11(b)に示すようなサイノグラムS1として受信する。サイノグラムS1は、縦軸方向が回転角度、横軸方向が体幅方向のチャンネルを示すものとする。なお以降は、この図11(b)の縦軸方向を「プロジェクション方向」と呼び、図11(b)の横軸方向を「チャンネル方向」と呼ぶ。サイノグラムS1には、あらかじめ決められた角度単位で取得された純生データが複数含まれている。例えば図11(c)では、サイノグラムS1の角度P0における純生データがD0−1として示されている。図11(c)の縦軸方向はX線強度に伴う濃度を示しており、上方向はX線強度が低いため薄く、下方向はX線強度が高いため濃くなる。また、図11(c)の横軸方向は体幅方向のチャンネルを示している。
【0019】
次にデータ補正部1211は、純生データを取得したFOV(図11(a)におけるFOV1)を、システムコントローラ10からの指示に従い特定する。データ補正部1211は、FOVを特定すると、補正データ記憶部1212から、該FOVに対応するキャリブレーションデータ(図11(c)におけるキャリブレーションデータC1)を抽出する。なおデータ収集部11が、システムコントローラ10からの指示を受けて、FOVを純生データに属性としてあらかじめ付加しておくことで、データ補正部1211が、該属性からFOVを特定する構成としてもよい。また、データ補正部1211が、純生データのチャンネル方向の幅を基に対応するキャリブレーションデータを特定する構成としてもよい。
【0020】
データ補正部1211は、純生データD0−1のX線強度に、キャリブレーションデータC1のX線強度を加算することで補正し、生データR0−1として出力する。なお、データ補正部1211は、角度P0に限らず、サイノグラムS1を構成する全ての純生データに対して前述した補正処理を施す。
【0021】
生データ記憶部122は、生データを記憶する記憶領域である。データ補正部1211により出力された生データは、この生データ記憶部122に記憶される。
【0022】
再構成処理部123は、主にFeldkamp法と呼ばれる再構成アルゴリズムを利用して、生データを生データ記憶部122から読み出して逆投影し、被検体O内を画像データとして再構成する。再構成に係る処理は一般的に知られているため詳細な説明は省略する。再構成処理部123により再構成された画像データは、表示部13に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2006−26410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
一方で、頭部から腹部までを一連の画像データとして取得することを目的として、腹部用の広いFOVを用いて、頭部から腹部までのCT画像を取得する場合がある。この場合、頭部等は本来使用するFOVよりも広いFOVで純生データが取得され、該純生データは広いFOVに対応するキャリブレーションデータで補正されることになる。
【0025】
以下に、図11(a)〜(f)を参照しながら具体的に説明する。例えば図11(a)〜(c)は、頭部を被検体Oとして、腹部の撮影に用いるFOV1で撮影した場合における純生データの補正の概要を示している。また図11(d)〜(f)は、頭部を被検体Oとして、頭部の撮影に用いるFOV2で撮影した場合における純生データの補正の概要を示している。図11(a)は、FOV1を設定した場合における、FOV1と被検体Oとの関係を示している。また図11(b)は、FOV1を選択した場合の、被検体Oの投影データにより生成されるサイノグラムS1を示している。また図11(c)は、FOV1を選択した場合の、キャリブレーションデータによる純生データの補正を説明するための図である。また図11(d)は、FOV2を設定した場合における、FOV2と被検体Oとの関係を示している。また図11(e)は、FOV2を選択した場合の、被検体Oの投影データにより生成されるサイノグラムS2を示している。また図11(f)は、FOV2を選択した場合の、キャリブレーションデータによる純生データの補正を説明するための図である。
【0026】
本来は図11(d)〜(f)に示すように、頭部用のFOV2を設定したうえで純生データD0−2を取得し、FOV2に対応するキャリブレーションデータC2で補正し生データR0−2を生成することが望ましい。
【0027】
しかしながら、頭部から腹部までを一連の画像データとして取得する場合、図11(a)〜(c)に示すように、腹部の撮影に用いるFOV1で頭部を撮影することとなる。そのため、頭部の純生データD0−1は、腹部用のFOV1に対応するキャリブレーションデータC1で補正され、生データR0−1として出力される。
【0028】
このとき、本来よりも広い腹部用のFOV1を適用することで、頭部用のFOV2を適用した場合よりも被検体Oに対応する部分により多くのエネルギーがかかり、CT値のシフトが発生する。このCT値のシフトにより、コントラストが損なわれる等の問題が発生する。具体的には、頭蓋骨の内側に相当する部分が白飛びする等の画像の劣化が生じ、出血箇所を特定できなくなる等の問題が生じる。
【0029】
本発明は上記問題を解決するものであり、被検体の大きさに対応したFOVよりも広いFOVを使用し撮影した場合においても、取得した純生データを被検体の大きさに対応したキャリブレーションデータで補正することで、CT値のシフトに伴う画像の劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記目的を達成するために、この発明の第1の形態は、被検体を一部に含む所定の範囲にX線を爆射するX線源と、前記被検体を挟んで前記X線源と対向配置され、前記X線源から爆射されたX線を複数のX線検出素子で検出するX線検出器とを備え、検出したX線の強度を示すデータを第1のデータとして、各X線検出素子に対応するチャンネルに出力する撮影部と、前記チャンネルそれぞれに出力されるX線の強度を示すデータを複数の異なる範囲について前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部と、前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定することで、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして特定する範囲決定部と、前記複数の異なる範囲の中から前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを前記補正データ記憶部から抽出し、前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータにより前記第2のデータを補正し出力する最終データ補正部と、前記最終データ補正部の出力を基に、画像データを生成する再構成処理部とを備えたことを特徴とするX線CT装置である。
また、この発明の第3の形態は、被検体を一部に含む所定の範囲にX線を爆射するX線源と、前記被検体を挟んで前記X線源と対向配置され、前記X線源から爆射されたX線を複数のX線検出素子で検出するX線検出器とを備え、検出したX線の強度を示すデータを第1のデータとして、各X線検出素子に対応するチャンネルに出力する撮影部と、前記チャンネルそれぞれに出力されたX線の強度を示すデータを複数の異なる範囲について前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部と、前記撮影部から前記第1のデータを受けて、前記所定の範囲に対応したキャリブレーションデータを初期キャリブレーションデータとして前記補正データ記憶部から抽出し、前記初期キャリブレーションデータにより前記第1のデータを補正し、中間データとして出力する初期データ補正部とを備えたX線CT装置であって、あらかじめ出力された前記中間データを、前記初期キャリブレーションデータで逆補正して、前記第3のデータとして出力するデータ変換部と、前記第3のデータを前記データ変換部から受けて、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定することで、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルに出力された前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして特定する範囲決定部と、前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを最終キャリブレーションデータとして前記補正データ記憶部から抽出し、前記最終キャリブレーションデータにより前記第2のデータを補正し出力する最終データ補正部と、前記最終データ補正部の出力、又は前記中間データを基に、画像データを生成する再構成処理部とを備えたことを特徴とするX線CT装置である。
また、この発明の第7の形態は、画像処理装置に、X線源から被検体を一部に含む所定の範囲に爆射され、X線検出器を構成する複数のX線検出素子で検出されたX線の強度を示すデータを、第1のデータとして各X線検出素子に対応するチャンネルで受け、前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定する機能と、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして出力する機能と、前記チャンネルごとのデータを前記所定範囲にわたり前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、前記所定範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部から、前記第2の範囲に対応したキャリブレーションデータを抽出する機能と、前記キャリブレーションデータにより、前記第2のデータを補正し出力する機能と、前記キャリブレーションデータにより補正された前記第2のデータを受けて、画像データを生成する機能とを実行させるための画像処理プログラムである。
また、この発明の第8の形態は、画像処理装置に、X線源から被検体を一部に含む所定の範囲に爆射され、X線検出器を構成する複数のX線検出素子で検出されたX線の強度を示すデータを、第1のデータとして各X線検出素子に対応するチャンネルで受け、前記チャンネルそれぞれで検出されたX線の強度を示すデータを前記所定の範囲にわたり前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の前記所定の範囲に対応して、範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部から、前記所定の範囲に対応する前記キャリブレーションデータを初期キャリブレーションデータとして抽出する機能と、抽出した前記初期キャリブレーションデータにより、前記第1のデータを補正し中間データとして出力する機能と、あらかじめ出力された前記中間データを前記初期キャリブレーションデータで逆補正して、前記第1のデータとして出力する機能と、前記中間データが逆補正され出力された前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定する機能と、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして出力する機能と、前記補正データ記憶部から、前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを最終キャリブレーションデータとして抽出する機能と、前記最終キャリブレーションデータにより、前記第2のデータを補正し出力する機能と、前記最終キャリブレーションデータにより補正された前記第2のデータを基に、画像データを生成する機能とを実行させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0031】
被検体の大きさに対応したFOVよりも広いFOVを使用し撮影した場合においても、被検体の大きさに対応したキャリブレーションデータにより補正を行うことが可能となる。そのため、頭部から腹部までを一連の画像データとして取得するような場合においても、より広いFOVで撮影したことによるCT値のシフトを抑止し、画像の劣化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部のブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るX線CT装置の範囲決定部の処理を説明するための図である。
【図3】第1の実施形態に係るX線CT装置の範囲決定部及び最終データ補正部の処理を説明するための図である。
【図4】第1の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】変形例1に係るX線CT装置のデータ処理部のブロック図である。
【図6】第2の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部のブロック図である。
【図7】第2の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】一般的なX線CT装置におけるFOV及び該FOVに対応するキャリブレーションデータの例である。
【図9】従来のX線CT装置のブロック図である。
【図10】従来のX線CT装置のデータ処理部のブロック図である。
【図11】従来のX線CT装置における純生データの補正に関する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るX線CT装置は、図9及び図10に示した従来のX線CT装置と、前処理部121の構成が異なる。本説明では、従来のX線CT装置と異なる前処理部121の構成及びデータ処理部12の動作に着目して説明する。まず、図1を参照しながら、第1の実施形態に係るX線CT装置の前処理部121の構成について説明する。
【0034】
第1の実施形態に係る前処理部121は、補正データ記憶部1212と、範囲決定部1213と、最終データ補正部1214とを備える。なお、補正データ記憶部1212の構成は従来と同様のため説明は省略する。
【0035】
範囲決定部1213は、データ収集部11から純生データを受信し、被検体を透過したX線が検出されたチャンネル(以降は「検出チャンネル」と呼ぶ)の範囲を特定する(具体的な特定方法については後述する)。このとき、範囲決定部1213は、CT画像の形成に用いられる少なくとも1回転分の純生データが含まれるサイノグラムに対し、被検体を透過したX線が検出されたチャンネルの範囲を特定する。なお、データ収集部11から受信した純生データが「第1のデータ」に相当する。
【0036】
範囲決定部1213の具体的な動作について、図2を参照しながら説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線CT装置の範囲決定部1213の処理を説明するための図である。図2(a)は、FOV1を設定した場合における、FOV1と被検体Oとの関係を示している。また図2(b)は、FOV1を選択した場合の、被検体Oの投影データにより生成されるサイノグラムS1を示している。また図2(c)は、FOV1を選択した場合の、範囲決定部1213の処理を説明するための図である。
【0037】
範囲決定部1213は、データ収集部11から、撮影時のFOVの設定、つまりFOV1で取得された純生データをサイノグラムS1として受信する。サイノグラムS1には、あらかじめ決められた角度単位で取得された純生データが複数含まれている。範囲決定部1213は、受信したサイノグラムS1を、少なくとも1回転分の純生データを含むように、プロジェクション方向で分割して処理する。以降は、この分割されたデータのプロジェクション方向の幅をPW1とする。また、FOV1で取得されたサイノグラムS1、及び、サイノグラムS1に含まれる純生データのチャンネル方向の幅をCW1とする。
【0038】
まず範囲決定部1213は、PW1の範囲に含まれる純生データを遂次取り出し、該純生データの各チャンネルにおけるX線強度を参照する。このとき範囲決定部1213は、被検体を透過していない部分のX線強度を、ファントム(疑似模型)のスキャンによりあらかじめd0として求めておき、d0よりもX線強度の低いチャンネルを検出チャンネルとして特定する。具体的には、図2(c)において、X線強度がd0よりも上側にある部分に対応するチャンネルが、検出チャンネルに対応することになる。
【0039】
範囲決定部1213は、この操作をPW1の範囲に含まれる全ての純生データに対して実行し、全ての検出チャンネルが包含される範囲を、範囲CW2として特定する。例えば図2(c)では、角度P1及び角度P3における純生データD1及びD3の場合に、チャンネル方向において最も外側に検出チャンネルが存在する。そのため範囲決定部1213は、純生データD1及びD3の検出チャンネルを包含するチャンネル方向の範囲を、範囲CW2として特定することになる。
【0040】
このとき範囲決定部1213は、例えば、チャンネル方向の中心から最も遠い検出チャンネルを特定し、中心から特定した検出チャンネルまでの距離を基に、範囲CW2を特定するとよい。この場合、チャンネル方向の中心から両端それぞれに向けて、特定した距離の広がりを持つ範囲が、範囲CW2となる。
【0041】
次に範囲決定部1213は、範囲CW2を包含し、かつ、チャンネル方向の範囲が最も狭いキャリブレーションデータC2を特定し、キャリブレーションデータC2に対応するチャンネル方向の範囲CW3を特定する。この処理について以降に具体的に説明する。
【0042】
以降の処理について図3を参照しながら説明する。図3は、第1の実施形態に係るX線CT装置の範囲決定部1213及び後述する最終データ補正部1214の処理を説明するための図である。図3(a)は、FOV1を設定した場合における、FOV1と被検体Oとの関係を示している。また図3(b)は、FOV1を選択した場合の、被検体Oの投影データにより生成されるサイノグラムS1を示している。また図3(c)は、FOV1を選択した場合の、範囲決定部1213及び最終データ補正部1214による処理を説明するための図である。
【0043】
まず範囲決定部1213は、範囲CW2を包含し、かつ、チャンネル方向の範囲が最も狭いキャリブレーションデータC2を補正データ記憶部1212から特定する。
【0044】
具体的には、範囲決定部1213は、各FOVに対応したキャリブレーションデータのチャンネル方向の幅と、範囲CW2とを比較する。この比較により、最終データ補正部1214は、範囲CW2を包含するチャンネル方向の範囲に対応したキャリブレーションデータの集合を特定する。最終データ補正部1214は、この集合の中から、チャンネル方向の範囲が最も狭いキャリブレーションデータを、キャリブレーションデータC2として特定することになる。
【0045】
範囲決定部1213は、特定したキャリブレーションデータC2のチャンネル方向の幅をCW3として特定する。このとき、CW3≧CW2の関係が成り立つことになる。なお、この範囲CW3が「第2の範囲」に相当する。
【0046】
次に範囲決定部1213は、範囲決定部1213から受信したPW1の範囲に含まれる各純生データから、範囲CW3に含まれる純生データを抽出する。具体的に、角度P0の純生データD0−1を例に説明する。純生データD0−1は、範囲CW1に含まれるチャンネルが検出したデータで構成される。最終データ補正部1214は、この純生データD0−1から、範囲CW3に含まれるチャンネルが検出したデータのみを取り出し、純生データD0−2とする。この純生データD0−2が、「第2のデータ」に相当する。
【0047】
範囲決定部1213は、取り出した純生データD0−2を、最終データ補正部1214に送信する。また範囲決定部1213は、補正データ記憶部1212から範囲CW3に対応するキャリブレーションデータC2を、最終データ補正部1214に出力するように前処理部121の制御部(図示しない)に指示する。
【0048】
最終データ補正部1214は、受信した純生データD0−2のX線強度に、補正データ記憶部1212から出力されたキャリブレーションデータC2のX線強度を加算することで補正し、生データR0−2を生成する。この補正による生データの生成に係る処理を、受信した全ての純生データに施す。これにより、例えば、PW1の範囲に含まれる純生データが、頭部を被検体として取得されたものとした場合、頭部を被検体とする場合のFOV2に対応したキャリブレーションデータC2が抽出されることになる。生成した各生データは、再構成処理部123に出力され、再構成処理部123で画像に変換される。
【0049】
次に、図4を参照しながら、第1の実施形態に係るデータ処理部12の動作について説明する。図4は、第1の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部12の動作を説明するためのフローチャートである。
【0050】
(ステップS01)
まず、データ収集部11からデータ処理部12に送信された純生データは、データ処理部12内の前処理部121で受信される。
【0051】
(ステップS02)
データ収集部11から送信された純生データは範囲決定部1213により処理される。範囲決定部1213は、まずサイノグラムS1として受信した純生データを、少なくとも1回転分の純生データを含むように、プロジェクション方向の幅PW1で分割し、PW1ごとに検出チャネルの範囲CW2を特定する。
【0052】
次に範囲決定部1213は、特定した範囲CW2を基に、範囲CW2を包含し、かつ、最も狭いチャンネル方向の幅を持つキャリブレーションデータC2を補正データ記憶部1212から特定する。このキャリブレーションデータC2は、変更後のFOV(FOV2)に対応するキャリブレーションデータとなる。
【0053】
次に、範囲決定部1213は、特定したキャリブレーションデータC2のチャンネル方向の幅を、範囲CW3として特定する。
【0054】
(ステップS03)
次に、範囲決定部1213は、受信した純生データから、範囲CW3に対応するチャンネルの純生データを取り出す。例えば図3(c)に示すように、角度P0の純生データD0−1から、範囲CW3に対応するチャンネルの純生データD0−2を取り出すことになる。範囲決定部1213は、取り出した純生データD0−2を、最終データ補正部1214に送信する。また範囲決定部1213は、補正データ記憶部1212から範囲CW3に対応するキャリブレーションデータC2を、最終データ補正部1214に出力するように前処理部121の制御部(図示しない)に指示する。
【0055】
最終データ補正部1214は、受信した純生データD0−2を、補正データ記憶部1212から出力されたキャリブレーションデータC2で補正し、生データR0−2を生成する。この純生データの補正による生データの作成の処理を、PW1の範囲に含まれる全ての純生データに施す。作成した生データは再構成処理部123に出力する。
【0056】
(ステップS04)
再構成処理部123は、最終データ補正部1214から受信した生データを逆投影して、被検体内の画像データとして再構成する。再構成処理部123が再構成した画像データは、表示部13に表示される。
【0057】
以上で説明したように、第1の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部12は、データ収集部11から受信した純生データに対し、検出チャンネルの範囲を特定し、この範囲に対応するキャリブレーションデータで該純生データを補正する。そのため、被検体の大きさに対応したFOVよりも広いFOVを使用し撮影した場合においても、取得した純生データを被検体の大きさに対応したキャリブレーションデータで補正することが可能となる。これにより、広いFOVで撮影したことによるCT値のシフトを抑止し、画像の劣化を防止することが可能となる。
【0058】
なお上記説明では、範囲決定部1213が範囲CW2を特定し、範囲CW2を基に範囲CW3を特定したうえで、純生データD0−2を取り出し、最終データ補正部1214が純生データD0−2を補正する例について説明した。しなしながら、処理と構成の対応は、必ずしも上記に限定されるものではない。一連の処理が上述した順序で実行されるのであれば、各処理が実行される構成は限定しない。例えば、範囲CW2の特定に係る処理を範囲決定部1213が行い、最終データ補正部1214が範囲CW2を基にした範囲CW3の特定、純生データD0−2の取り出し、及び、純生データD0−2の補正を行う構成としてもよい。
【0059】
また上記説明では、範囲決定部1213からの指示により、補正データ記憶部1212から範囲CW3に対応するキャリブレーションデータC2が、最終データ補正部1214に出力される構成について説明した。しかしながら、キャリブレーションデータC2の出力に係る処理はこれに限定するものではない。例えば、最終データ補正部1214が、範囲決定部1213から受信した純生データD0−2のチャンネル方向の幅を基に、対応するキャリブレーションデータC2を補正データ記憶部1212から抽出する構成としてもよい。
【0060】
(変形例1)
次に第1の実施形態に係るX線CT装置の変形例について図5を参照しながら説明する。図5は、変形例1に係るX線CT装置のデータ処理部12のブロック図である。
【0061】
変形例1に係るX線CT装置は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成に加え、データ補正部1211と、生データ記憶部122とを更に備えている。本説明では、第1の実施形態と異なる再構成処理部123の動作に着目して説明する。なお、データ補正部1211及び補正データ記憶部1212の構成及び動作は従来のX線CT装置と同様のため説明は省略する。
【0062】
変形例1に係るX線CT装置は、範囲決定部1213及び最終データ補正部1214の動作と平行して、データ補正部1211が動作する。このとき、データ補正部1211は、データ収集部11から出力された純生データを、該純生データを取得したFOVに対応するキャリブレーションデータで補正し生データとして出力する。データ補正部1211により出力された生データは、生データ記憶部122に記憶される。この、データ補正部1211及び生データ記憶部122の動作は、従来のX線CT装置と同様である。
【0063】
変形例1に係る再構成処理部123は、システムコントローラ10からの指示を受けて、生データ記憶部122に記憶された生データ、又は、最終データ補正部1214から受信する生データを基に画像データを再構成する。
【0064】
以上で説明したように、変形例1に係るX線CT装置においては、システムコントローラ10からの指示により、第1の実施形態に係るX線CT装置による画像、又は、従来のX線CT装置による画像を選択的に切り替えて出力することが可能となる。これにより、例えば、頭部から腹部までを一連の画像として確認したり、一部(例えば頭部)を劣化の少ない(高精細な)画像として確認したりする作業を、選択的に切り替えて実施することが可能となる。
【0065】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態に係るX線CT装置について図を参照しながら説明する。第2の実施形態に係るX線CT装置は、あらかじめ生成され生データ記憶部122に保存された生データに対しても、操作者からの指示に従い、第1の実施形態に係るX線CT装置と同様に、被検体の大きさに対応したキャリブレーションデータで補正し直すことを可能とする。
【0066】
第2の実施形態に係るX線CT装置は、第1の実施形態に係るX線CT装置と、前処理部121の構成が異なる。本説明では、第1の実施形態に係るX線CT装置と異なる前処理部121の構成及びデータ処理部12の動作に着目して説明する。まず、図6を参照しながら、第1の実施形態に係るX線CT装置の前処理部121の構成について説明する。図6は、第2の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部12のブロック図である。
【0067】
第2の実施形態に係る前処理部121は、データ補正部1211と、補正データ記憶部1212と、範囲決定部1213と、最終データ補正部1214と、純生データ変換部1215とを備える。なお、データ補正部1211及び補正データ記憶部1212の構成は従来のX線CT装置と同様のため説明は省略する。
【0068】
純生データ変換部1215は、生データを、該生データに対応するキャリブレーションデータを基に、該生データに補正する前の純生データに変換する機能ブロックである。以下に、純生データ変換部1215の処理について具体的に説明する。
【0069】
まず、純生データ変換部1215は、あらかじめ撮影され生データ記憶部122に記憶された生データを、操作者による操作部(図示しない)からの指示に従い抽出する。
【0070】
次に純生データ変換部1215は、操作者による操作部(図示しない)から指定されたFOVを、抽出した生データに対応するFOVとして特定する。なおデータ収集部11が、システムコントローラ10からの指示を受けて、FOVを純生データに属性としてあらかじめ付加しておくことで、純生データ変換部1215が、該属性からFOVを特定する構成としてもよい。また、純生データ変換部1215が、生データのチャンネル方向の幅を基に対応するキャリブレーションデータを特定する構成としてもよい。
【0071】
純生データ変換部1215はFOVを特定すると、補正データ記憶部1212から該FOVに対応するキャリブレーションデータ抽出する。
【0072】
次に純生データ変換部1215は、生データのX線強度からキャリブレーションデータのX線強度を減算することで逆補正し、純生データを生成する。つまり、純生データ変換部1215は、データ補正部1211で実行される、純生データとキャリブレーションデータとから生データを生成する処理の逆変換に相当する処理を実行することになる。これにより、抽出された生データが、該生データに対応するキャリブレーションデータを基に、該生データを純生データに変換される。なお、この純生データ変換部1215が、「データ変換部」に相当する。
【0073】
純生データ変換部1215は、生成した純生データを範囲決定部1213に出力する。範囲決定部1213は、純生データ変換部1215から受信した純生データを基に、検出チャンネルの範囲CW2を特定し、特定した範囲CW2を基に、範囲CW3を特定したうえで純生データD0−2を取り出す。以降、範囲決定部1213及び最終データ補正部1214の動作は、第1の実施形態に係るX線CT装置と同様であり、詳細な説明は省略する。なお、データ補正部1211が「初期データ補正部」に相当する。
【0074】
次に、図7を参照しながら、第2の実施形態に係るデータ処理部12の動作について説明する。図7は、第2の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部12の動作を説明するためのフローチャートである。
【0075】
(ステップS01)
まず、データ収集部11からデータ処理部12に送信された純生データは、前処理部121で受信され、データ補正部1211により処理される。なお第1の実施形態と同様に、データ収集部11からデータ処理部12に送信された純生データが、「第1のデータ」に相当する。
【0076】
(ステップS11、ステップS12)
データ補正部1211は、まず、システムコントローラ10からの指示に従い純生データを取得したFOVを特定し、該FOVに対応するキャリブレーションデータC1を補正データ記憶部1212から抽出する。データ補正部1211は、純生データのX線強度をキャリブレーションデータC1で補正し、生データとして出力する。データ補正部1211が出力した生データは、生データ記憶部122に記憶される。なお、このとき生データ記憶部122に記憶される生データが「中間データ」に相当する。また、生データの生成に用いたキャリブレーションデータC1が、「初期キャリブレーションデータ」に相当する。
【0077】
(ステップS13)
生データ記憶部122に記憶に記憶された生データは、操作者による操作部(図示しない)からの指示に従い、純生データ変換部1215により抽出される。
【0078】
(ステップS14)
次に純生データ変換部1215は、操作部(図示しない)からの指示を受けて、抽出した生データに対応するFOVを特定する。FOVを特定したら、純生データ変換部1215は、該FOVに対応するキャリブレーションデータを補正データ記憶部1212から抽出する。純生データ変換部1215は、抽出した生データに対応するキャリブレーションデータを基に、該生データを純生データに変換する。純生データ変換部1215は、生成した純生データを範囲決定部1213に出力する。この純生データ変換部1215が出力した純生データが、「第3のデータ」に相当する。なお、第3のデータは、第1のデータと実質的に同一のものとなる。
【0079】
(ステップS02)
範囲決定部1213は、範囲決定部1213から受信した純生データを少なくとも1回転分の純生データを含むように、プロジェクション方向の幅PW1で分割し、PW1ごとに検出チャネルの範囲CW2を特定する。
【0080】
次に、範囲決定部1213は、特定した範囲CW2を基に、範囲CW2を包含し、かつ、最も狭いチャンネル方向の幅を持つキャリブレーションデータC2を補正データ記憶部1212から特定する。このキャリブレーションデータC2は、変更後のFOV(FOV2)に対応するキャリブレーションデータとなる。
【0081】
次に、範囲決定部1213は、特定したキャリブレーションデータC2のチャンネル方向の幅を、範囲CW3として特定する。なお、範囲CW3が「第2の範囲」に相当する。また、キャリブレーションデータC2が「最終キャリブレーションデータ」に相当する。
【0082】
(ステップS03)
次に、範囲決定部1213は、受信した純生データから、範囲CW3に対応するチャンネルの純生データを取り出す。例えば図3(c)に示すように、角度P0の純生データD0−1から、範囲CW3に対応するチャンネルの純生データD0−2を取り出すことになる。なお第1の実施形態と同様に、この純生データD0−2が、「第2のデータ」に相当する。範囲決定部1213は、取り出した純生データD0−2を、最終データ補正部1214に送信する。また範囲決定部1213は、補正データ記憶部1212から範囲CW3に対応するキャリブレーションデータC2を、最終データ補正部1214に出力するように前処理部121の制御部(図示しない)に指示する。
【0083】
最終データ補正部1214は、受信した純生データD0−2を、補正データ記憶部1212から出力されたキャリブレーションデータC2で補正し、生データR0−2を生成する。最終データ補正部1214は、この純生データの補正による生データの作成の処理を、PW1の範囲に含まれる全ての純生データに施す。最終データ補正部1214は、作成した生データを再構成処理部123に出力する。
【0084】
(ステップS04)
再構成処理部123は、最終データ補正部1214から受信した生データを逆投影して、被検体内の画像データとして再構成する。再構成処理部123は、読み出した生データを逆投影して、被検体内の画像データとして再構成する。再構成処理部123が再構成した画像データは、表示部13に表示される。
【0085】
以上で説明したように、第2の実施形態に係るX線CT装置においては、あらかじめ生成され生データ記憶部122に保存された生データに対しても、被検体の大きさに対応したキャリブレーションデータで補正し直すことが可能となる。これにより、あらかじめ撮影された画像に対しても、広いFOVで撮影したことによるCT値のシフトによる画像の劣化を改善することが可能となる。
【0086】
なお、本実施形態に係る範囲決定部1213は、第1の実施形態に係る範囲決定部1213と同様に、データ収集部11から純生データを直接受信し処理する構成としてもよい。また上記では、データ補正部1211と最終データ補正部1214を異なる構成として説明したが、最終データ補正部1214で実行される処理を、データ補正部1211に実行させる構成としてもよい。
【0087】
また、従来のX線CT装置と同様に、再構成処理部123が、生データ記憶部122に記憶された生データを基に、画像データを再構成する構成としてもよい。この場合、再構成処理部123は、システムコントローラ10からの指示を受けて、生データ記憶部122に記憶された生データ、及び、最終データ補正部1214から受信する生データのいずれかを基に、画像データを再構成することが可能となる。これにより、例えば、頭部から腹部までを一連の画像として確認したり、一部(例えば頭部)を劣化の少ない(高精細な)画像として確認したりする作業を、選択的に切り替えて実施することが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1 ガントリ 2 回転リング 3 X線源 4 X線フィルタ
5 X線検出器 6 スライド式寝台 7 高電圧装置
8 X線コントローラ 9 ガントリ/寝台コントローラ
10 システムコントローラ 11 データ収集部
12 データ処理部
121 前処理部 1211 データ補正部 1212 補正データ記憶部
1213 範囲決定部 1214 最終データ補正部
1215 純生データ変換部 122 生データ記憶部 123 再構成処理部
13 表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体にX線を曝射して得られた投影データに基づいて被検体内部の画像を生成する技術に係り、特に、被検体を透過したX線の範囲に応じて純生データに含まれるX線の強度を補正する技術に関する。また、被検体を透過したX線の範囲に応じて純生データに含まれるX線の強度を補正する画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影装置(以降、「X線CT装置」と呼ぶ)は、被検体へX線を照射するとともに、被検体を透過したX線を検出することにより、被検体内でのX線吸収係数からなる投影データを得る。X線CT装置では、この投影データに基づいて、被検体内の画像を再構成する。そのため、被検体を透過したX線の強度を忠実に電気信号に変換することが重要である。
【0003】
X線CT装置においてX線は、X線検出器およびデータ収集部を経て検出されることになる。そのためX線の検出感度は、X線の光への変換特性、光から電気への光電変換特性および電気信号の増幅精度などによって決定される。そして、これらX線の光への変換特性、光電変換特性および増幅精度は、温度などの雰囲気や経時変化によってチャンネル毎にドリフトする。そのため、チャンネル毎に感度特性の変化の影響を取り除くための補正が施される。
【0004】
このX線の検出感度の補正は、予め作成した補正データを利用して行われる。すなわち、感度特性の変化が温度などの雰囲気や経時変化によって生ずるので、定期的にその感度特性の変化に沿った補正データを作成する必要がある。
【0005】
一方で、X線CT装置による撮影時には、被検体の撮影部位(例えば頭部、胸部、腹部等)に応じて、FOV(Field Of View)と呼ばれる撮影領域の大きさを設定する。これは、被検体の体型によってそのX線透過量も異なるため、被検体の体幅に応じてX線検出器で検出された信号を適切に増幅するためである。図8(a)〜(e)には、一般的に用いられるFOVの例が示されている。例えば、直径180mmのFOVaは、乳児の撮影に用いられる。また、直径240mmのFOVbは、主に頭部の撮影に用いられる。FOVc〜FOVeは、主に胸部や腹部の撮影に用いられ、被検体の体型にあわせて使い分けられる。
【0006】
前述した補正データは、このFOV(つまり撮影部位の大きさ)に応じて取得しておく必要がある。具体的には、当該FOVとほぼ同じ大きさのファントムを使用して、撮影部位に応じた補正データを取得することになる。例えば、図8(a)〜(e)に示すように、FOVとしてFOVa〜FOVeまでを設定可能な場合、各FOVに対応したキャリブレーションデータCa〜Ceをあらかじめ用意しておくこととなる。
【0007】
この補正データは、キャリブレーションデータと呼ばれ、ファントム(疑似模型)をスキャンすることであらかじめ生成される。前記ファントムの例としては、水ファントムやエアーファントムが知られている。
【0008】
特許文献1には図9にしめすような従来のX線CT装置の構成について開示されている。X線CT装置は回転リング2を収容するガントリ1、および、円錐形のX線ビームを発生するX線源3、X線フィルタ4を含む。ガントリ1は、1次元または2次元に配置された検出素子を含むアレイタイプのX線検出器5を有する。
【0009】
X線源3とX線検出器5は、回転リング2上に設置され、スライド式寝台6の上に横になった被検体(図示せず)の反対側に位置する。X線検出器5を構成する各検出素子5Aに各チャンネルが対応付けられている。X線源(X線発生部)3はX線フィルタ4を介して被検体に対峙される。X線コントローラ8からトリガ信号が供給されると、高電圧装置7はX線源3を駆動する。高電圧装置7は、トリガ信号を受信するタイミングでX線源3に高電圧を印加する。これにより、X線がX線源3で発生され、ガントリ/寝台コントローラ9は、ガントリ1の回転リング2の回転と、スライド式寝台6のスライドを同期的に制御する。システムコントローラ10は全システムの制御中心を構成し、X線コントローラ8、ガントリ/寝台コントローラ9、スライド式寝台6を制御し、X線源3からX線を照射している間、被検体の周囲の所望の経路で回転リング2を回転させる。このときシステムコントローラ10は、後述するデータ処理部12の動作もあわせて制御する。
【0010】
X線検出器5を構成する検出素子5Aは、被検体がX線源3と検出素子5Aの間に介在する場合、及び、介在しない場合の双方において、X線源3が発生するX線の強度を測定することができる。したがって、各検出素子(通常、1チャンネル/1素子)5Aは、少なくとも1つのX線強度を測定し、この強度に対応するアナログ出力信号を出力する。各検出素子5Aからの出力信号はデータ収集部11に供給される。データ収集部11は各検出素子5Aの信号を増幅し、デジタル信号に変換する。それによりデジタル投影データが生成される。デジタル投影データはデータ収集部11から出力され、データ処理部12に供給される。データ処理部12は、まず各チャンネルに対応するデジタル投影データに対し、感度補正を行う。なお、前述したX線源3、X線検出器5を含むガントリ1、及びデータ収集部11が「撮影部」に相当する。
【0011】
次にデータ処理部12は、感度補正を行ったデジタル投影データを基に、スライド式寝台6に横になっている被検体に対応する画像の再構成を行う(デジタル投影データの補正及び画像の再構成の詳細については後述する)。なお以降では、データ処理部12よる補正が行われる前の前記デジタル投影データを「純生データ」と呼ぶ。また、データ処理部12により補正された純生データを「生データ」と呼ぶ。
【0012】
データ処理部12の詳細な構成について図10を参照しながら説明する。図10は、従来のX線CT装置のデータ処理部のブロック図である。
【0013】
データ処理部12は、前処理部121と、生データ記憶部122と、再構成処理部123とで構成される。また、前処理部121は、データ補正部1211と、補正データ記憶部1212とで構成される。
【0014】
X線検出器5で検出されるX線は、検出素子の位置により密度が異なる。具体的には、体軸を中心とした体幅方向において、中央付近はX線の密度が高く、中央付近から両端部に向けて離れるほどX線の密度が低くなる。そのためX線CT装置では、このX線の密度の違いを均一化するために、純生データに対し感度補正が行われる。この感度補正はデータ補正部1211により行わる。
【0015】
データ補正部1211は、データ収集部11から純生データを受信し、キャリブレーションデータを用いて純生データに対する感度補正を行う。この感度補正により、受信した純生データにおいて、各チャンネルで検出されたX線の強度を補正する。そのため、この補正に用いるキャリブレーションデータとして、前述したX線の密度の違いを均一化するために、図8(a)〜(e)に示すキャリブレーションデータCa〜Ceのように、中央付近のチャンネルから両端のチャンネルに向けて、X線の強度が異なるデータが用いられる。
【0016】
このキャリブレーションデータは、X線CT装置で使用可能なFOVごとにあらかじめ生成され、補正データ記憶部1212に記憶される。例えば、図8(a)〜(e)に示すように、X線CT装置にてFOVa〜FOVeまでを設定可能な場合、各FOVに対応したキャリブレーションデータCa〜Ceがあらかじめ生成され補正データ記憶部1212に記憶されることになる。
【0017】
以下に、データ補正部1211による純生データの補正について図11(a)〜(c)を参照しながら具体的に説明する。図11は、従来のX線CT装置における純生データの補正に関する処理を説明するための図である。図11(a)〜(c)は、FOV1を設定し取得した被検体Oの純生データを補正する場合の例を示している。図11(a)は、FOV1を設定した場合における、FOV1と被検体Oとの関係を示している。また図11(b)は、FOV1を選択した場合の、被検体Oの投影データにより生成されるサイノグラムS1を示している。また図11(c)は、FOV1を選択した場合の、キャリブレーションデータによる純生データの補正を説明するための図である。
【0018】
まずデータ補正部1211は、データ収集部11から、純生データを図11(b)に示すようなサイノグラムS1として受信する。サイノグラムS1は、縦軸方向が回転角度、横軸方向が体幅方向のチャンネルを示すものとする。なお以降は、この図11(b)の縦軸方向を「プロジェクション方向」と呼び、図11(b)の横軸方向を「チャンネル方向」と呼ぶ。サイノグラムS1には、あらかじめ決められた角度単位で取得された純生データが複数含まれている。例えば図11(c)では、サイノグラムS1の角度P0における純生データがD0−1として示されている。図11(c)の縦軸方向はX線強度に伴う濃度を示しており、上方向はX線強度が低いため薄く、下方向はX線強度が高いため濃くなる。また、図11(c)の横軸方向は体幅方向のチャンネルを示している。
【0019】
次にデータ補正部1211は、純生データを取得したFOV(図11(a)におけるFOV1)を、システムコントローラ10からの指示に従い特定する。データ補正部1211は、FOVを特定すると、補正データ記憶部1212から、該FOVに対応するキャリブレーションデータ(図11(c)におけるキャリブレーションデータC1)を抽出する。なおデータ収集部11が、システムコントローラ10からの指示を受けて、FOVを純生データに属性としてあらかじめ付加しておくことで、データ補正部1211が、該属性からFOVを特定する構成としてもよい。また、データ補正部1211が、純生データのチャンネル方向の幅を基に対応するキャリブレーションデータを特定する構成としてもよい。
【0020】
データ補正部1211は、純生データD0−1のX線強度に、キャリブレーションデータC1のX線強度を加算することで補正し、生データR0−1として出力する。なお、データ補正部1211は、角度P0に限らず、サイノグラムS1を構成する全ての純生データに対して前述した補正処理を施す。
【0021】
生データ記憶部122は、生データを記憶する記憶領域である。データ補正部1211により出力された生データは、この生データ記憶部122に記憶される。
【0022】
再構成処理部123は、主にFeldkamp法と呼ばれる再構成アルゴリズムを利用して、生データを生データ記憶部122から読み出して逆投影し、被検体O内を画像データとして再構成する。再構成に係る処理は一般的に知られているため詳細な説明は省略する。再構成処理部123により再構成された画像データは、表示部13に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2006−26410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
一方で、頭部から腹部までを一連の画像データとして取得することを目的として、腹部用の広いFOVを用いて、頭部から腹部までのCT画像を取得する場合がある。この場合、頭部等は本来使用するFOVよりも広いFOVで純生データが取得され、該純生データは広いFOVに対応するキャリブレーションデータで補正されることになる。
【0025】
以下に、図11(a)〜(f)を参照しながら具体的に説明する。例えば図11(a)〜(c)は、頭部を被検体Oとして、腹部の撮影に用いるFOV1で撮影した場合における純生データの補正の概要を示している。また図11(d)〜(f)は、頭部を被検体Oとして、頭部の撮影に用いるFOV2で撮影した場合における純生データの補正の概要を示している。図11(a)は、FOV1を設定した場合における、FOV1と被検体Oとの関係を示している。また図11(b)は、FOV1を選択した場合の、被検体Oの投影データにより生成されるサイノグラムS1を示している。また図11(c)は、FOV1を選択した場合の、キャリブレーションデータによる純生データの補正を説明するための図である。また図11(d)は、FOV2を設定した場合における、FOV2と被検体Oとの関係を示している。また図11(e)は、FOV2を選択した場合の、被検体Oの投影データにより生成されるサイノグラムS2を示している。また図11(f)は、FOV2を選択した場合の、キャリブレーションデータによる純生データの補正を説明するための図である。
【0026】
本来は図11(d)〜(f)に示すように、頭部用のFOV2を設定したうえで純生データD0−2を取得し、FOV2に対応するキャリブレーションデータC2で補正し生データR0−2を生成することが望ましい。
【0027】
しかしながら、頭部から腹部までを一連の画像データとして取得する場合、図11(a)〜(c)に示すように、腹部の撮影に用いるFOV1で頭部を撮影することとなる。そのため、頭部の純生データD0−1は、腹部用のFOV1に対応するキャリブレーションデータC1で補正され、生データR0−1として出力される。
【0028】
このとき、本来よりも広い腹部用のFOV1を適用することで、頭部用のFOV2を適用した場合よりも被検体Oに対応する部分により多くのエネルギーがかかり、CT値のシフトが発生する。このCT値のシフトにより、コントラストが損なわれる等の問題が発生する。具体的には、頭蓋骨の内側に相当する部分が白飛びする等の画像の劣化が生じ、出血箇所を特定できなくなる等の問題が生じる。
【0029】
本発明は上記問題を解決するものであり、被検体の大きさに対応したFOVよりも広いFOVを使用し撮影した場合においても、取得した純生データを被検体の大きさに対応したキャリブレーションデータで補正することで、CT値のシフトに伴う画像の劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記目的を達成するために、この発明の第1の形態は、被検体を一部に含む所定の範囲にX線を爆射するX線源と、前記被検体を挟んで前記X線源と対向配置され、前記X線源から爆射されたX線を複数のX線検出素子で検出するX線検出器とを備え、検出したX線の強度を示すデータを第1のデータとして、各X線検出素子に対応するチャンネルに出力する撮影部と、前記チャンネルそれぞれに出力されるX線の強度を示すデータを複数の異なる範囲について前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部と、前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定することで、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして特定する範囲決定部と、前記複数の異なる範囲の中から前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを前記補正データ記憶部から抽出し、前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータにより前記第2のデータを補正し出力する最終データ補正部と、前記最終データ補正部の出力を基に、画像データを生成する再構成処理部とを備えたことを特徴とするX線CT装置である。
また、この発明の第3の形態は、被検体を一部に含む所定の範囲にX線を爆射するX線源と、前記被検体を挟んで前記X線源と対向配置され、前記X線源から爆射されたX線を複数のX線検出素子で検出するX線検出器とを備え、検出したX線の強度を示すデータを第1のデータとして、各X線検出素子に対応するチャンネルに出力する撮影部と、前記チャンネルそれぞれに出力されたX線の強度を示すデータを複数の異なる範囲について前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部と、前記撮影部から前記第1のデータを受けて、前記所定の範囲に対応したキャリブレーションデータを初期キャリブレーションデータとして前記補正データ記憶部から抽出し、前記初期キャリブレーションデータにより前記第1のデータを補正し、中間データとして出力する初期データ補正部とを備えたX線CT装置であって、あらかじめ出力された前記中間データを、前記初期キャリブレーションデータで逆補正して、前記第3のデータとして出力するデータ変換部と、前記第3のデータを前記データ変換部から受けて、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定することで、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルに出力された前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして特定する範囲決定部と、前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを最終キャリブレーションデータとして前記補正データ記憶部から抽出し、前記最終キャリブレーションデータにより前記第2のデータを補正し出力する最終データ補正部と、前記最終データ補正部の出力、又は前記中間データを基に、画像データを生成する再構成処理部とを備えたことを特徴とするX線CT装置である。
また、この発明の第7の形態は、画像処理装置に、X線源から被検体を一部に含む所定の範囲に爆射され、X線検出器を構成する複数のX線検出素子で検出されたX線の強度を示すデータを、第1のデータとして各X線検出素子に対応するチャンネルで受け、前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定する機能と、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして出力する機能と、前記チャンネルごとのデータを前記所定範囲にわたり前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、前記所定範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部から、前記第2の範囲に対応したキャリブレーションデータを抽出する機能と、前記キャリブレーションデータにより、前記第2のデータを補正し出力する機能と、前記キャリブレーションデータにより補正された前記第2のデータを受けて、画像データを生成する機能とを実行させるための画像処理プログラムである。
また、この発明の第8の形態は、画像処理装置に、X線源から被検体を一部に含む所定の範囲に爆射され、X線検出器を構成する複数のX線検出素子で検出されたX線の強度を示すデータを、第1のデータとして各X線検出素子に対応するチャンネルで受け、前記チャンネルそれぞれで検出されたX線の強度を示すデータを前記所定の範囲にわたり前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の前記所定の範囲に対応して、範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部から、前記所定の範囲に対応する前記キャリブレーションデータを初期キャリブレーションデータとして抽出する機能と、抽出した前記初期キャリブレーションデータにより、前記第1のデータを補正し中間データとして出力する機能と、あらかじめ出力された前記中間データを前記初期キャリブレーションデータで逆補正して、前記第1のデータとして出力する機能と、前記中間データが逆補正され出力された前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定する機能と、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして出力する機能と、前記補正データ記憶部から、前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを最終キャリブレーションデータとして抽出する機能と、前記最終キャリブレーションデータにより、前記第2のデータを補正し出力する機能と、前記最終キャリブレーションデータにより補正された前記第2のデータを基に、画像データを生成する機能とを実行させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0031】
被検体の大きさに対応したFOVよりも広いFOVを使用し撮影した場合においても、被検体の大きさに対応したキャリブレーションデータにより補正を行うことが可能となる。そのため、頭部から腹部までを一連の画像データとして取得するような場合においても、より広いFOVで撮影したことによるCT値のシフトを抑止し、画像の劣化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部のブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るX線CT装置の範囲決定部の処理を説明するための図である。
【図3】第1の実施形態に係るX線CT装置の範囲決定部及び最終データ補正部の処理を説明するための図である。
【図4】第1の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】変形例1に係るX線CT装置のデータ処理部のブロック図である。
【図6】第2の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部のブロック図である。
【図7】第2の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】一般的なX線CT装置におけるFOV及び該FOVに対応するキャリブレーションデータの例である。
【図9】従来のX線CT装置のブロック図である。
【図10】従来のX線CT装置のデータ処理部のブロック図である。
【図11】従来のX線CT装置における純生データの補正に関する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るX線CT装置は、図9及び図10に示した従来のX線CT装置と、前処理部121の構成が異なる。本説明では、従来のX線CT装置と異なる前処理部121の構成及びデータ処理部12の動作に着目して説明する。まず、図1を参照しながら、第1の実施形態に係るX線CT装置の前処理部121の構成について説明する。
【0034】
第1の実施形態に係る前処理部121は、補正データ記憶部1212と、範囲決定部1213と、最終データ補正部1214とを備える。なお、補正データ記憶部1212の構成は従来と同様のため説明は省略する。
【0035】
範囲決定部1213は、データ収集部11から純生データを受信し、被検体を透過したX線が検出されたチャンネル(以降は「検出チャンネル」と呼ぶ)の範囲を特定する(具体的な特定方法については後述する)。このとき、範囲決定部1213は、CT画像の形成に用いられる少なくとも1回転分の純生データが含まれるサイノグラムに対し、被検体を透過したX線が検出されたチャンネルの範囲を特定する。なお、データ収集部11から受信した純生データが「第1のデータ」に相当する。
【0036】
範囲決定部1213の具体的な動作について、図2を参照しながら説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線CT装置の範囲決定部1213の処理を説明するための図である。図2(a)は、FOV1を設定した場合における、FOV1と被検体Oとの関係を示している。また図2(b)は、FOV1を選択した場合の、被検体Oの投影データにより生成されるサイノグラムS1を示している。また図2(c)は、FOV1を選択した場合の、範囲決定部1213の処理を説明するための図である。
【0037】
範囲決定部1213は、データ収集部11から、撮影時のFOVの設定、つまりFOV1で取得された純生データをサイノグラムS1として受信する。サイノグラムS1には、あらかじめ決められた角度単位で取得された純生データが複数含まれている。範囲決定部1213は、受信したサイノグラムS1を、少なくとも1回転分の純生データを含むように、プロジェクション方向で分割して処理する。以降は、この分割されたデータのプロジェクション方向の幅をPW1とする。また、FOV1で取得されたサイノグラムS1、及び、サイノグラムS1に含まれる純生データのチャンネル方向の幅をCW1とする。
【0038】
まず範囲決定部1213は、PW1の範囲に含まれる純生データを遂次取り出し、該純生データの各チャンネルにおけるX線強度を参照する。このとき範囲決定部1213は、被検体を透過していない部分のX線強度を、ファントム(疑似模型)のスキャンによりあらかじめd0として求めておき、d0よりもX線強度の低いチャンネルを検出チャンネルとして特定する。具体的には、図2(c)において、X線強度がd0よりも上側にある部分に対応するチャンネルが、検出チャンネルに対応することになる。
【0039】
範囲決定部1213は、この操作をPW1の範囲に含まれる全ての純生データに対して実行し、全ての検出チャンネルが包含される範囲を、範囲CW2として特定する。例えば図2(c)では、角度P1及び角度P3における純生データD1及びD3の場合に、チャンネル方向において最も外側に検出チャンネルが存在する。そのため範囲決定部1213は、純生データD1及びD3の検出チャンネルを包含するチャンネル方向の範囲を、範囲CW2として特定することになる。
【0040】
このとき範囲決定部1213は、例えば、チャンネル方向の中心から最も遠い検出チャンネルを特定し、中心から特定した検出チャンネルまでの距離を基に、範囲CW2を特定するとよい。この場合、チャンネル方向の中心から両端それぞれに向けて、特定した距離の広がりを持つ範囲が、範囲CW2となる。
【0041】
次に範囲決定部1213は、範囲CW2を包含し、かつ、チャンネル方向の範囲が最も狭いキャリブレーションデータC2を特定し、キャリブレーションデータC2に対応するチャンネル方向の範囲CW3を特定する。この処理について以降に具体的に説明する。
【0042】
以降の処理について図3を参照しながら説明する。図3は、第1の実施形態に係るX線CT装置の範囲決定部1213及び後述する最終データ補正部1214の処理を説明するための図である。図3(a)は、FOV1を設定した場合における、FOV1と被検体Oとの関係を示している。また図3(b)は、FOV1を選択した場合の、被検体Oの投影データにより生成されるサイノグラムS1を示している。また図3(c)は、FOV1を選択した場合の、範囲決定部1213及び最終データ補正部1214による処理を説明するための図である。
【0043】
まず範囲決定部1213は、範囲CW2を包含し、かつ、チャンネル方向の範囲が最も狭いキャリブレーションデータC2を補正データ記憶部1212から特定する。
【0044】
具体的には、範囲決定部1213は、各FOVに対応したキャリブレーションデータのチャンネル方向の幅と、範囲CW2とを比較する。この比較により、最終データ補正部1214は、範囲CW2を包含するチャンネル方向の範囲に対応したキャリブレーションデータの集合を特定する。最終データ補正部1214は、この集合の中から、チャンネル方向の範囲が最も狭いキャリブレーションデータを、キャリブレーションデータC2として特定することになる。
【0045】
範囲決定部1213は、特定したキャリブレーションデータC2のチャンネル方向の幅をCW3として特定する。このとき、CW3≧CW2の関係が成り立つことになる。なお、この範囲CW3が「第2の範囲」に相当する。
【0046】
次に範囲決定部1213は、範囲決定部1213から受信したPW1の範囲に含まれる各純生データから、範囲CW3に含まれる純生データを抽出する。具体的に、角度P0の純生データD0−1を例に説明する。純生データD0−1は、範囲CW1に含まれるチャンネルが検出したデータで構成される。最終データ補正部1214は、この純生データD0−1から、範囲CW3に含まれるチャンネルが検出したデータのみを取り出し、純生データD0−2とする。この純生データD0−2が、「第2のデータ」に相当する。
【0047】
範囲決定部1213は、取り出した純生データD0−2を、最終データ補正部1214に送信する。また範囲決定部1213は、補正データ記憶部1212から範囲CW3に対応するキャリブレーションデータC2を、最終データ補正部1214に出力するように前処理部121の制御部(図示しない)に指示する。
【0048】
最終データ補正部1214は、受信した純生データD0−2のX線強度に、補正データ記憶部1212から出力されたキャリブレーションデータC2のX線強度を加算することで補正し、生データR0−2を生成する。この補正による生データの生成に係る処理を、受信した全ての純生データに施す。これにより、例えば、PW1の範囲に含まれる純生データが、頭部を被検体として取得されたものとした場合、頭部を被検体とする場合のFOV2に対応したキャリブレーションデータC2が抽出されることになる。生成した各生データは、再構成処理部123に出力され、再構成処理部123で画像に変換される。
【0049】
次に、図4を参照しながら、第1の実施形態に係るデータ処理部12の動作について説明する。図4は、第1の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部12の動作を説明するためのフローチャートである。
【0050】
(ステップS01)
まず、データ収集部11からデータ処理部12に送信された純生データは、データ処理部12内の前処理部121で受信される。
【0051】
(ステップS02)
データ収集部11から送信された純生データは範囲決定部1213により処理される。範囲決定部1213は、まずサイノグラムS1として受信した純生データを、少なくとも1回転分の純生データを含むように、プロジェクション方向の幅PW1で分割し、PW1ごとに検出チャネルの範囲CW2を特定する。
【0052】
次に範囲決定部1213は、特定した範囲CW2を基に、範囲CW2を包含し、かつ、最も狭いチャンネル方向の幅を持つキャリブレーションデータC2を補正データ記憶部1212から特定する。このキャリブレーションデータC2は、変更後のFOV(FOV2)に対応するキャリブレーションデータとなる。
【0053】
次に、範囲決定部1213は、特定したキャリブレーションデータC2のチャンネル方向の幅を、範囲CW3として特定する。
【0054】
(ステップS03)
次に、範囲決定部1213は、受信した純生データから、範囲CW3に対応するチャンネルの純生データを取り出す。例えば図3(c)に示すように、角度P0の純生データD0−1から、範囲CW3に対応するチャンネルの純生データD0−2を取り出すことになる。範囲決定部1213は、取り出した純生データD0−2を、最終データ補正部1214に送信する。また範囲決定部1213は、補正データ記憶部1212から範囲CW3に対応するキャリブレーションデータC2を、最終データ補正部1214に出力するように前処理部121の制御部(図示しない)に指示する。
【0055】
最終データ補正部1214は、受信した純生データD0−2を、補正データ記憶部1212から出力されたキャリブレーションデータC2で補正し、生データR0−2を生成する。この純生データの補正による生データの作成の処理を、PW1の範囲に含まれる全ての純生データに施す。作成した生データは再構成処理部123に出力する。
【0056】
(ステップS04)
再構成処理部123は、最終データ補正部1214から受信した生データを逆投影して、被検体内の画像データとして再構成する。再構成処理部123が再構成した画像データは、表示部13に表示される。
【0057】
以上で説明したように、第1の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部12は、データ収集部11から受信した純生データに対し、検出チャンネルの範囲を特定し、この範囲に対応するキャリブレーションデータで該純生データを補正する。そのため、被検体の大きさに対応したFOVよりも広いFOVを使用し撮影した場合においても、取得した純生データを被検体の大きさに対応したキャリブレーションデータで補正することが可能となる。これにより、広いFOVで撮影したことによるCT値のシフトを抑止し、画像の劣化を防止することが可能となる。
【0058】
なお上記説明では、範囲決定部1213が範囲CW2を特定し、範囲CW2を基に範囲CW3を特定したうえで、純生データD0−2を取り出し、最終データ補正部1214が純生データD0−2を補正する例について説明した。しなしながら、処理と構成の対応は、必ずしも上記に限定されるものではない。一連の処理が上述した順序で実行されるのであれば、各処理が実行される構成は限定しない。例えば、範囲CW2の特定に係る処理を範囲決定部1213が行い、最終データ補正部1214が範囲CW2を基にした範囲CW3の特定、純生データD0−2の取り出し、及び、純生データD0−2の補正を行う構成としてもよい。
【0059】
また上記説明では、範囲決定部1213からの指示により、補正データ記憶部1212から範囲CW3に対応するキャリブレーションデータC2が、最終データ補正部1214に出力される構成について説明した。しかしながら、キャリブレーションデータC2の出力に係る処理はこれに限定するものではない。例えば、最終データ補正部1214が、範囲決定部1213から受信した純生データD0−2のチャンネル方向の幅を基に、対応するキャリブレーションデータC2を補正データ記憶部1212から抽出する構成としてもよい。
【0060】
(変形例1)
次に第1の実施形態に係るX線CT装置の変形例について図5を参照しながら説明する。図5は、変形例1に係るX線CT装置のデータ処理部12のブロック図である。
【0061】
変形例1に係るX線CT装置は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成に加え、データ補正部1211と、生データ記憶部122とを更に備えている。本説明では、第1の実施形態と異なる再構成処理部123の動作に着目して説明する。なお、データ補正部1211及び補正データ記憶部1212の構成及び動作は従来のX線CT装置と同様のため説明は省略する。
【0062】
変形例1に係るX線CT装置は、範囲決定部1213及び最終データ補正部1214の動作と平行して、データ補正部1211が動作する。このとき、データ補正部1211は、データ収集部11から出力された純生データを、該純生データを取得したFOVに対応するキャリブレーションデータで補正し生データとして出力する。データ補正部1211により出力された生データは、生データ記憶部122に記憶される。この、データ補正部1211及び生データ記憶部122の動作は、従来のX線CT装置と同様である。
【0063】
変形例1に係る再構成処理部123は、システムコントローラ10からの指示を受けて、生データ記憶部122に記憶された生データ、又は、最終データ補正部1214から受信する生データを基に画像データを再構成する。
【0064】
以上で説明したように、変形例1に係るX線CT装置においては、システムコントローラ10からの指示により、第1の実施形態に係るX線CT装置による画像、又は、従来のX線CT装置による画像を選択的に切り替えて出力することが可能となる。これにより、例えば、頭部から腹部までを一連の画像として確認したり、一部(例えば頭部)を劣化の少ない(高精細な)画像として確認したりする作業を、選択的に切り替えて実施することが可能となる。
【0065】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態に係るX線CT装置について図を参照しながら説明する。第2の実施形態に係るX線CT装置は、あらかじめ生成され生データ記憶部122に保存された生データに対しても、操作者からの指示に従い、第1の実施形態に係るX線CT装置と同様に、被検体の大きさに対応したキャリブレーションデータで補正し直すことを可能とする。
【0066】
第2の実施形態に係るX線CT装置は、第1の実施形態に係るX線CT装置と、前処理部121の構成が異なる。本説明では、第1の実施形態に係るX線CT装置と異なる前処理部121の構成及びデータ処理部12の動作に着目して説明する。まず、図6を参照しながら、第1の実施形態に係るX線CT装置の前処理部121の構成について説明する。図6は、第2の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部12のブロック図である。
【0067】
第2の実施形態に係る前処理部121は、データ補正部1211と、補正データ記憶部1212と、範囲決定部1213と、最終データ補正部1214と、純生データ変換部1215とを備える。なお、データ補正部1211及び補正データ記憶部1212の構成は従来のX線CT装置と同様のため説明は省略する。
【0068】
純生データ変換部1215は、生データを、該生データに対応するキャリブレーションデータを基に、該生データに補正する前の純生データに変換する機能ブロックである。以下に、純生データ変換部1215の処理について具体的に説明する。
【0069】
まず、純生データ変換部1215は、あらかじめ撮影され生データ記憶部122に記憶された生データを、操作者による操作部(図示しない)からの指示に従い抽出する。
【0070】
次に純生データ変換部1215は、操作者による操作部(図示しない)から指定されたFOVを、抽出した生データに対応するFOVとして特定する。なおデータ収集部11が、システムコントローラ10からの指示を受けて、FOVを純生データに属性としてあらかじめ付加しておくことで、純生データ変換部1215が、該属性からFOVを特定する構成としてもよい。また、純生データ変換部1215が、生データのチャンネル方向の幅を基に対応するキャリブレーションデータを特定する構成としてもよい。
【0071】
純生データ変換部1215はFOVを特定すると、補正データ記憶部1212から該FOVに対応するキャリブレーションデータ抽出する。
【0072】
次に純生データ変換部1215は、生データのX線強度からキャリブレーションデータのX線強度を減算することで逆補正し、純生データを生成する。つまり、純生データ変換部1215は、データ補正部1211で実行される、純生データとキャリブレーションデータとから生データを生成する処理の逆変換に相当する処理を実行することになる。これにより、抽出された生データが、該生データに対応するキャリブレーションデータを基に、該生データを純生データに変換される。なお、この純生データ変換部1215が、「データ変換部」に相当する。
【0073】
純生データ変換部1215は、生成した純生データを範囲決定部1213に出力する。範囲決定部1213は、純生データ変換部1215から受信した純生データを基に、検出チャンネルの範囲CW2を特定し、特定した範囲CW2を基に、範囲CW3を特定したうえで純生データD0−2を取り出す。以降、範囲決定部1213及び最終データ補正部1214の動作は、第1の実施形態に係るX線CT装置と同様であり、詳細な説明は省略する。なお、データ補正部1211が「初期データ補正部」に相当する。
【0074】
次に、図7を参照しながら、第2の実施形態に係るデータ処理部12の動作について説明する。図7は、第2の実施形態に係るX線CT装置のデータ処理部12の動作を説明するためのフローチャートである。
【0075】
(ステップS01)
まず、データ収集部11からデータ処理部12に送信された純生データは、前処理部121で受信され、データ補正部1211により処理される。なお第1の実施形態と同様に、データ収集部11からデータ処理部12に送信された純生データが、「第1のデータ」に相当する。
【0076】
(ステップS11、ステップS12)
データ補正部1211は、まず、システムコントローラ10からの指示に従い純生データを取得したFOVを特定し、該FOVに対応するキャリブレーションデータC1を補正データ記憶部1212から抽出する。データ補正部1211は、純生データのX線強度をキャリブレーションデータC1で補正し、生データとして出力する。データ補正部1211が出力した生データは、生データ記憶部122に記憶される。なお、このとき生データ記憶部122に記憶される生データが「中間データ」に相当する。また、生データの生成に用いたキャリブレーションデータC1が、「初期キャリブレーションデータ」に相当する。
【0077】
(ステップS13)
生データ記憶部122に記憶に記憶された生データは、操作者による操作部(図示しない)からの指示に従い、純生データ変換部1215により抽出される。
【0078】
(ステップS14)
次に純生データ変換部1215は、操作部(図示しない)からの指示を受けて、抽出した生データに対応するFOVを特定する。FOVを特定したら、純生データ変換部1215は、該FOVに対応するキャリブレーションデータを補正データ記憶部1212から抽出する。純生データ変換部1215は、抽出した生データに対応するキャリブレーションデータを基に、該生データを純生データに変換する。純生データ変換部1215は、生成した純生データを範囲決定部1213に出力する。この純生データ変換部1215が出力した純生データが、「第3のデータ」に相当する。なお、第3のデータは、第1のデータと実質的に同一のものとなる。
【0079】
(ステップS02)
範囲決定部1213は、範囲決定部1213から受信した純生データを少なくとも1回転分の純生データを含むように、プロジェクション方向の幅PW1で分割し、PW1ごとに検出チャネルの範囲CW2を特定する。
【0080】
次に、範囲決定部1213は、特定した範囲CW2を基に、範囲CW2を包含し、かつ、最も狭いチャンネル方向の幅を持つキャリブレーションデータC2を補正データ記憶部1212から特定する。このキャリブレーションデータC2は、変更後のFOV(FOV2)に対応するキャリブレーションデータとなる。
【0081】
次に、範囲決定部1213は、特定したキャリブレーションデータC2のチャンネル方向の幅を、範囲CW3として特定する。なお、範囲CW3が「第2の範囲」に相当する。また、キャリブレーションデータC2が「最終キャリブレーションデータ」に相当する。
【0082】
(ステップS03)
次に、範囲決定部1213は、受信した純生データから、範囲CW3に対応するチャンネルの純生データを取り出す。例えば図3(c)に示すように、角度P0の純生データD0−1から、範囲CW3に対応するチャンネルの純生データD0−2を取り出すことになる。なお第1の実施形態と同様に、この純生データD0−2が、「第2のデータ」に相当する。範囲決定部1213は、取り出した純生データD0−2を、最終データ補正部1214に送信する。また範囲決定部1213は、補正データ記憶部1212から範囲CW3に対応するキャリブレーションデータC2を、最終データ補正部1214に出力するように前処理部121の制御部(図示しない)に指示する。
【0083】
最終データ補正部1214は、受信した純生データD0−2を、補正データ記憶部1212から出力されたキャリブレーションデータC2で補正し、生データR0−2を生成する。最終データ補正部1214は、この純生データの補正による生データの作成の処理を、PW1の範囲に含まれる全ての純生データに施す。最終データ補正部1214は、作成した生データを再構成処理部123に出力する。
【0084】
(ステップS04)
再構成処理部123は、最終データ補正部1214から受信した生データを逆投影して、被検体内の画像データとして再構成する。再構成処理部123は、読み出した生データを逆投影して、被検体内の画像データとして再構成する。再構成処理部123が再構成した画像データは、表示部13に表示される。
【0085】
以上で説明したように、第2の実施形態に係るX線CT装置においては、あらかじめ生成され生データ記憶部122に保存された生データに対しても、被検体の大きさに対応したキャリブレーションデータで補正し直すことが可能となる。これにより、あらかじめ撮影された画像に対しても、広いFOVで撮影したことによるCT値のシフトによる画像の劣化を改善することが可能となる。
【0086】
なお、本実施形態に係る範囲決定部1213は、第1の実施形態に係る範囲決定部1213と同様に、データ収集部11から純生データを直接受信し処理する構成としてもよい。また上記では、データ補正部1211と最終データ補正部1214を異なる構成として説明したが、最終データ補正部1214で実行される処理を、データ補正部1211に実行させる構成としてもよい。
【0087】
また、従来のX線CT装置と同様に、再構成処理部123が、生データ記憶部122に記憶された生データを基に、画像データを再構成する構成としてもよい。この場合、再構成処理部123は、システムコントローラ10からの指示を受けて、生データ記憶部122に記憶された生データ、及び、最終データ補正部1214から受信する生データのいずれかを基に、画像データを再構成することが可能となる。これにより、例えば、頭部から腹部までを一連の画像として確認したり、一部(例えば頭部)を劣化の少ない(高精細な)画像として確認したりする作業を、選択的に切り替えて実施することが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1 ガントリ 2 回転リング 3 X線源 4 X線フィルタ
5 X線検出器 6 スライド式寝台 7 高電圧装置
8 X線コントローラ 9 ガントリ/寝台コントローラ
10 システムコントローラ 11 データ収集部
12 データ処理部
121 前処理部 1211 データ補正部 1212 補正データ記憶部
1213 範囲決定部 1214 最終データ補正部
1215 純生データ変換部 122 生データ記憶部 123 再構成処理部
13 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を一部に含む所定の範囲にX線を爆射するX線源と、前記被検体を挟んで前記X線源と対向配置され、前記X線源から爆射されたX線を複数のX線検出素子で検出するX線検出器とを備え、検出したX線の強度を示すデータを第1のデータとして、各X線検出素子に対応するチャンネルに出力する撮影部と、
前記チャンネルそれぞれに出力されるX線の強度を示すデータを複数の異なる範囲について前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部と、
前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定することで、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして特定する範囲決定部と、
前記複数の異なる範囲の中から前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを前記補正データ記憶部から抽出し、前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータにより前記第2のデータを補正し出力する最終データ補正部と、
前記最終データ補正部の出力を基に、画像データを生成する再構成処理部とを備えたことを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
前記撮影部から前記第1のデータを受けて、前記所定の範囲に対応したキャリブレーションデータを初期キャリブレーションデータとして前記補正データ記憶部から抽出し、前記初期キャリブレーションデータにより前記第1のデータを補正し、中間データとして出力する初期データ補正部を更に備え、
前記再構成処理部が、前記最終データ補正部の出力、又は前記中間データを基に、画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
被検体を一部に含む所定の範囲にX線を爆射するX線源と、前記被検体を挟んで前記X線源と対向配置され、前記X線源から爆射されたX線を複数のX線検出素子で検出するX線検出器とを備え、検出したX線の強度を示すデータを第1のデータとして、各X線検出素子に対応するチャンネルに出力する撮影部と、
前記チャンネルそれぞれに出力されたX線の強度を示すデータを複数の異なる範囲について前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部と、
前記撮影部から前記第1のデータを受けて、前記所定の範囲に対応したキャリブレーションデータを初期キャリブレーションデータとして前記補正データ記憶部から抽出し、前記初期キャリブレーションデータにより前記第1のデータを補正し、中間データとして出力する初期データ補正部とを備えたX線CT装置であって、
あらかじめ出力された前記中間データを、前記初期キャリブレーションデータで逆補正して、前記第3のデータとして出力するデータ変換部と、
前記第3のデータを前記データ変換部から受けて、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定することで、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルに出力された前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして特定する範囲決定部と、
前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを最終キャリブレーションデータとして前記補正データ記憶部から抽出し、前記最終キャリブレーションデータにより前記第2のデータを補正し出力する最終データ補正部と、
前記最終データ補正部の出力、又は前記中間データを基に、画像データを生成する再構成処理部とを備えたことを特徴とするX線CT装置。
【請求項4】
前記キャリブレーションデータは、被検体の体軸から体幅の外側にあるチャンネルほど、強度が増すデータであり、
前記最終データ補正部は、前記第2のデータに前記キャリブレーションデータを加算することで補正することを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記キャリブレーションデータは、被検体の体軸から体幅の外側にあるチャンネルほど、強度が増すデータであり、
前記初期データ補正部は、前記第1のデータに前記初期キャリブレーションデータを加算することで補正し、
前記最終データ補正部は、前記第2のデータに前記キャリブレーションデータを加算することで補正することを特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記キャリブレーションデータは、被検体の体軸から体幅の外側にあるチャンネルほど、強度が増すデータであり、
前記初期データ補正部は、前記第1のデータに前記初期キャリブレーションデータを加算することで補正し、
前記データ変換部は、前記中間データから前記初期キャリブレーションデータを減算することで逆補正し、
前記最終データ補正部は、前記第2のデータに前記最終キャリブレーションデータを加算することで補正することを特徴とする請求項3に記載のX線CT装置。
【請求項7】
画像処理装置に、
X線源から被検体を一部に含む所定の範囲に爆射され、X線検出器を構成する複数のX線検出素子で検出されたX線の強度を示すデータを、第1のデータとして各X線検出素子に対応するチャンネルで受け、前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定する機能と、
前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして出力する機能と、
前記チャンネルごとのデータを前記所定範囲にわたり前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、前記所定範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部から、前記第2の範囲に対応したキャリブレーションデータを抽出する機能と、
前記キャリブレーションデータにより、前記第2のデータを補正し出力する機能と、
前記キャリブレーションデータにより補正された前記第2のデータを受けて、画像データを生成する機能とを実行させるための画像処理プログラム。
【請求項8】
画像処理装置に、
X線源から被検体を一部に含む所定の範囲に爆射され、X線検出器を構成する複数のX線検出素子で検出されたX線の強度を示すデータを、第1のデータとして各X線検出素子に対応するチャンネルで受け、前記チャンネルそれぞれで検出されたX線の強度を示すデータを前記所定の範囲にわたり前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の前記所定の範囲に対応して、範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部から、前記所定の範囲に対応する前記キャリブレーションデータを初期キャリブレーションデータとして抽出する機能と、
抽出した前記初期キャリブレーションデータにより、前記第1のデータを補正し中間データとして出力する機能と、
あらかじめ出力された前記中間データを前記初期キャリブレーションデータで逆補正して、前記第1のデータとして出力する機能と、
前記中間データが逆補正され出力された前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定する機能と、
前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして出力する機能と、
前記補正データ記憶部から、前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを最終キャリブレーションデータとして抽出する機能と、
前記最終キャリブレーションデータにより、前記第2のデータを補正し出力する機能と、
前記最終キャリブレーションデータにより補正された前記第2のデータを基に、画像データを生成する機能とを実行させるための画像処理プログラム。
【請求項1】
被検体を一部に含む所定の範囲にX線を爆射するX線源と、前記被検体を挟んで前記X線源と対向配置され、前記X線源から爆射されたX線を複数のX線検出素子で検出するX線検出器とを備え、検出したX線の強度を示すデータを第1のデータとして、各X線検出素子に対応するチャンネルに出力する撮影部と、
前記チャンネルそれぞれに出力されるX線の強度を示すデータを複数の異なる範囲について前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部と、
前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定することで、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして特定する範囲決定部と、
前記複数の異なる範囲の中から前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを前記補正データ記憶部から抽出し、前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータにより前記第2のデータを補正し出力する最終データ補正部と、
前記最終データ補正部の出力を基に、画像データを生成する再構成処理部とを備えたことを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
前記撮影部から前記第1のデータを受けて、前記所定の範囲に対応したキャリブレーションデータを初期キャリブレーションデータとして前記補正データ記憶部から抽出し、前記初期キャリブレーションデータにより前記第1のデータを補正し、中間データとして出力する初期データ補正部を更に備え、
前記再構成処理部が、前記最終データ補正部の出力、又は前記中間データを基に、画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
被検体を一部に含む所定の範囲にX線を爆射するX線源と、前記被検体を挟んで前記X線源と対向配置され、前記X線源から爆射されたX線を複数のX線検出素子で検出するX線検出器とを備え、検出したX線の強度を示すデータを第1のデータとして、各X線検出素子に対応するチャンネルに出力する撮影部と、
前記チャンネルそれぞれに出力されたX線の強度を示すデータを複数の異なる範囲について前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部と、
前記撮影部から前記第1のデータを受けて、前記所定の範囲に対応したキャリブレーションデータを初期キャリブレーションデータとして前記補正データ記憶部から抽出し、前記初期キャリブレーションデータにより前記第1のデータを補正し、中間データとして出力する初期データ補正部とを備えたX線CT装置であって、
あらかじめ出力された前記中間データを、前記初期キャリブレーションデータで逆補正して、前記第3のデータとして出力するデータ変換部と、
前記第3のデータを前記データ変換部から受けて、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定することで、前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルに出力された前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして特定する範囲決定部と、
前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを最終キャリブレーションデータとして前記補正データ記憶部から抽出し、前記最終キャリブレーションデータにより前記第2のデータを補正し出力する最終データ補正部と、
前記最終データ補正部の出力、又は前記中間データを基に、画像データを生成する再構成処理部とを備えたことを特徴とするX線CT装置。
【請求項4】
前記キャリブレーションデータは、被検体の体軸から体幅の外側にあるチャンネルほど、強度が増すデータであり、
前記最終データ補正部は、前記第2のデータに前記キャリブレーションデータを加算することで補正することを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記キャリブレーションデータは、被検体の体軸から体幅の外側にあるチャンネルほど、強度が増すデータであり、
前記初期データ補正部は、前記第1のデータに前記初期キャリブレーションデータを加算することで補正し、
前記最終データ補正部は、前記第2のデータに前記キャリブレーションデータを加算することで補正することを特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記キャリブレーションデータは、被検体の体軸から体幅の外側にあるチャンネルほど、強度が増すデータであり、
前記初期データ補正部は、前記第1のデータに前記初期キャリブレーションデータを加算することで補正し、
前記データ変換部は、前記中間データから前記初期キャリブレーションデータを減算することで逆補正し、
前記最終データ補正部は、前記第2のデータに前記最終キャリブレーションデータを加算することで補正することを特徴とする請求項3に記載のX線CT装置。
【請求項7】
画像処理装置に、
X線源から被検体を一部に含む所定の範囲に爆射され、X線検出器を構成する複数のX線検出素子で検出されたX線の強度を示すデータを、第1のデータとして各X線検出素子に対応するチャンネルで受け、前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定する機能と、
前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして出力する機能と、
前記チャンネルごとのデータを前記所定範囲にわたり前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、前記所定範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部から、前記第2の範囲に対応したキャリブレーションデータを抽出する機能と、
前記キャリブレーションデータにより、前記第2のデータを補正し出力する機能と、
前記キャリブレーションデータにより補正された前記第2のデータを受けて、画像データを生成する機能とを実行させるための画像処理プログラム。
【請求項8】
画像処理装置に、
X線源から被検体を一部に含む所定の範囲に爆射され、X線検出器を構成する複数のX線検出素子で検出されたX線の強度を示すデータを、第1のデータとして各X線検出素子に対応するチャンネルで受け、前記チャンネルそれぞれで検出されたX線の強度を示すデータを前記所定の範囲にわたり前記被検体の体幅方向に沿って補正するためのキャリブレーションデータを、複数の前記所定の範囲に対応して、範囲ごとにあらかじめ記憶する補正データ記憶部から、前記所定の範囲に対応する前記キャリブレーションデータを初期キャリブレーションデータとして抽出する機能と、
抽出した前記初期キャリブレーションデータにより、前記第1のデータを補正し中間データとして出力する機能と、
あらかじめ出力された前記中間データを前記初期キャリブレーションデータで逆補正して、前記第1のデータとして出力する機能と、
前記中間データが逆補正され出力された前記第1のデータを基に、前記所定の範囲のうち前記所定の範囲と異なる第2の範囲を特定する機能と、
前記第1のデータのうち、前記第2の範囲内の各チャンネルにおける前記X線の強度を示すデータを第2のデータとして出力する機能と、
前記補正データ記憶部から、前記第2の範囲に対応した前記キャリブレーションデータを最終キャリブレーションデータとして抽出する機能と、
前記最終キャリブレーションデータにより、前記第2のデータを補正し出力する機能と、
前記最終キャリブレーションデータにより補正された前記第2のデータを基に、画像データを生成する機能とを実行させるための画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−172728(P2011−172728A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38776(P2010−38776)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
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