説明

XYステージのスライダ

【課題】バーミラーに当接する箇所の平面度または高さの均一性を容易に調節にすることができるXYステージのスライダを提供する。
【解決手段】XYステージ用のスライダ10によれば、第1当接箇所11および第2当接箇所12のそれぞれが、スライダ10の上面において他の箇所よりも上方に突出している。また、第1当接箇所11および第2当接箇所12のそれぞれが、スライダ10の上面に平行な方向について間欠的に配置され、かつ、スライダ10の上面の他の箇所よりも上方に突出している複数の島110,120により構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置や液晶パネル製造装置等に使用される被加工物を2次元位置決めするXYステージのスライダに関する。
【背景技術】
【0002】
XYステージの被加工物等が載置されるスライダの上面において、X軸端部およびY軸端部のそれぞれにバーミラーが固定される。レーザ干渉計によりバーミラーに対して照射され、バーミラーによって反射されたビームのレーザ干渉計による検知結果に基づいてスライダのX軸およびY軸方向の位置が測定される。そして、当該測定結果に応じてスライダのX軸およびY軸方向の位置が調節される(特許文献1参照)。スライダの高精度な位置決めのためには、バーミラーが固定される箇所の平面度または高さの均一性を高める必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−009952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、スライダの平坦な上面の一部にバーミラーが当接した状態で当該バーミラーが固定されるため、バーミラー当接箇所の平面度または高さの均一性を高くするためには、当該スライダの上面を全体的に研磨加工する必要があった。このため、スライダの上面を全体的に研磨加工するためには比較的大掛かりの道具または治具が必要であるとともに、無視できない程度の時間および労力を要していた。
【0005】
そこで、本発明は、バーミラーに当接する箇所の平面度または高さの均一性を容易に調節にすることができるXYステージのスライダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明のXYステージのスライダは、XYステージにおいてX軸方向およびY軸方向の位置が調節されるスライダであって、前記スライダの上面においてX軸バーミラーに当接する第1当接箇所およびY軸バーミラーに当接する第2当接箇所のうち一方または両方が、前記スライダの上面の他の箇所よりも上方に突出して形成されていることを特徴とする。
【0007】
第1発明のXYステージのスライダによれば、第1当接箇所および第2当接箇所のうち少なくとも一方が、スライダの上面において他の箇所よりも上方に突出している。このため、スライダの上面が全体的に研磨加工される場合に比べて、バーミラー当接箇所の平面度または高さの均一性を調節するための研磨加工対象となる箇所の面積が著しく小さくなる。したがって、バーミラー当接箇所の平面度または高さの均一性が容易に調節されうる。
【0008】
第2発明のXYステージのスライダは、第1発明のXYステージのスライダにおいて、前記第1当接箇所および前記第2当接箇所のうち一方または両方が、前記スライダの上面に平行な方向について間欠的に配置され、かつ、前記スライダの上面の他の箇所よりも上方に突出して形成されている複数の島により構成されていることを特徴とする。
【0009】
第2発明のXYステージのスライダによれば、第1当接箇所および第2当接箇所のうち少なくとも一方が、スライダの上面に平行な方向について間欠的に配置され、かつ、スライダの上面の他の箇所よりも上方に突出している複数の島により構成されている。このため、第1当接箇所および第2当接箇所のうち少なくとも一方が、当該複数の島がつながっているような連続的な島により構成されている場合に比べて、研磨加工対象となる箇所の面積が小さくなる。したがって、バーミラー当接箇所の平面度または高さの均一性が容易に調節されうる。
【0010】
第3発明のXYステージのスライダは、第1または第2発明のXYステージのスライダにおいて、前記第1当接箇所および前記第2当接箇所のうち一方または両方の上端部のうち少なくとも一部が、前記第1当接箇所および前記第2当接箇所のうち一方または両方における他の箇所よりも上方に突出している複数のピンまたは格子状の突出部の上端部により構成されていることを特徴とする。
【0011】
第3発明のXYステージのスライダによれば、第1当接箇所および第2当接箇所のうち少なくとも一方の上端部のうち少なくとも一部が、複数のピンの上端部または格子状の突出部の上端部により構成されている。このため、第1当接箇所および第2当接箇所のうち少なくとも一方の上端部のすべてが平面により構成されている場合と比較して、研磨加工対象となる箇所の面積が小さくなる。したがって、バーミラー当接箇所の平面度または高さの均一性が容易に調節されうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態としてのスライダを示す斜視図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】バーミラー当接箇所を構成する島を上から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
XYステージの全体的な構成については、前記特許文献1等に詳細に開示されているので、本明細書では重複して説明することを避け、本発明の特徴であるスライダの構成について説明する。
【0014】
図1に示されているスライダ10の上面においてX軸バーミラー21が固定されるX軸方向の端部の一部が、このX軸バーミラー21に当接する第1当接箇所11として、図2に示されているようにスライダ10の上面のその他の箇所104よりも上方に突出して形成されている。図1に示されているスライダ10の上面においてY軸バーミラー22が固定されるY軸端部の一部が、このY軸バーミラー22に当接する第2当接箇所12として、同様にスライダ10の上面のその他の箇所104よりも上方に突出して形成されている。
【0015】
図1および図3に示されているように、第1当接箇所11はY軸方向について間欠的に配置され、かつ、前記のようにスライダ10の上面の他の箇所よりも上方に突出した3つの島110により構成されている。第2当接箇所12はX軸方向について間欠的に配置され、かつ、前記のようにスライダ10の上面の他の箇所よりも上方に突出した3つの島120により構成されている。島110および島120の数および相互の間隔は任意に変更されうる。
【0016】
また、第1当接箇所11および第2当接箇所12のうち一方または両方の少なくとも一部の上端部が、上から見たときに図4(a)に示されているように配置され、かつ、第1当接箇所11および第2当接箇所12のうち一方または両方において他の箇所よりも上方に突出している複数のピンの上端部(斜線部分参照)により構成されていてもよい。そのほか、第1当接箇所11および第2当接箇所12のうち一方または両方の少なくとも一部の上端部が、上から見たときに図4(b)に示されているような格子状に形成され、かつ、第1当接箇所11および第2当接箇所12のうち一方または両方において他の箇所よりも上方に突出している格子状の突出部の上端部(斜線部分参照)により構成されていてもよい。ピンの配置パターン、形状、面積、高さおよび密度、ならびに、格子の形状は任意に変更されうる。
【0017】
前記構成のXYステージ用のスライダ10によれば、第1当接箇所11および第2当接箇所12のそれぞれが、スライダ10の上面において他の箇所よりも上方に突出している。このため、スライダ10の上面が全体的に研磨加工される場合に比べて、バーミラー当接箇所の平面度または高さの均一性を調節するための研磨加工対象となる箇所の面積が著しく小さくなる。
【0018】
また、第1当接箇所11および第2当接箇所12のそれぞれが、スライダ10の上面に平行な方向について間欠的に配置され、かつ、スライダ10の上面の他の箇所よりも上方に突出している複数の島110,120により構成されている。このため、第1当接箇所11および第2当接箇所12のうち一方または両方が、当該複数の島110,120がつながっているような連続的な島により構成されている場合に比べて、研磨加工対象となる箇所の面積が小さくなる。
【0019】
さらに、第1当接箇所11および第2当接箇所12のうち少なくとも一方の上端部のうち少なくとも一部が、複数のピンの上端部または格子状の突出部の上端部により構成されている(図4参照)。このため、第1当接箇所11および第2当接箇所12のうち少なくとも一方の上端部のすべてが平面により構成されている場合と比較して、研磨加工対象となる箇所の面積が小さくなる。
【0020】
したがって、バーミラー当接箇所の平面度または高さの均一性が容易に調節されうる。
【0021】
なお、第1当接箇所11および第2当接箇所12のうち一方が省略され、スライダ10の上面においてX軸バーミラー21およびY軸バーミラー22のうち一方に当接する箇所が、スライダ10の他の箇所と同じ高さであってもよい。
【0022】
また、第1当接箇所11および第2当接箇所12のうち一方または両方が、複数の島110,120ではなく、ひとつながりの島により構成されていてもよい。
【0023】
さらに、第1当接箇所11および第2当接箇所12のうち一方または両方においてピン(図4(a)参照)および格子状の突出部(図4(b)参照)が省略され、第1当接箇所11および第2当接箇所12のうち一方または両方の上端部が平面により構成されていてもよい。
【0024】
なお、上記説明ではスライダ10の上面の第1当接箇所11および第2当接箇所12にピンおよび格子状の突出部を構成したが、X軸バーミラー21およびY軸バーミラー22に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0025】
10…スライダ、11…第1当接箇所、12…第2当接箇所、21…X軸バーミラー、22…Y軸バーミラー、110…島、120…島

【特許請求の範囲】
【請求項1】
XYステージにおいてX軸方向およびY軸方向の位置が調節されるスライダであって、
前記スライダの上面においてX軸バーミラーに当接する第1当接箇所およびY軸バーミラーに当接する第2当接箇所のうち一方または両方が、前記スライダの上面の他の箇所よりも上方に突出して形成されていることを特徴とするXYステージのスライダ。
【請求項2】
請求項1記載のXYステージのスライダにおいて、
前記第1当接箇所および前記第2当接箇所のうち一方または両方が、前記スライダの上面に平行な方向について間欠的に配置され、かつ、前記スライダの上面の他の箇所よりも上方に突出して形成されている複数の島により構成されていることを特徴とするXYステージのスライダ。
【請求項3】
請求項1または2記載のXYステージのスライダにおいて、
前記第1当接箇所および前記第2当接箇所のうち一方または両方の上端部のうち少なくとも一部が、前記第1当接箇所および前記第2当接箇所のうち一方または両方における他の箇所よりも上方に突出している複数のピンまたは格子状の突出部の上端部により構成されていることを特徴とするXYステージのスライダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−206066(P2010−206066A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51808(P2009−51808)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【出願人】(391005824)株式会社日本セラテック (200)
【Fターム(参考)】