説明

ZOTおよびゾニューリンに対するレセプターのアゴニストペプチド

レセプタータンパク質のアゴニストポリペプチドが、同定された。このアゴニストは、薬物および抗原の吸収を促進するために使用され得る。適当な投与方法としては、経口投与、経鼻投与、経皮投与および静脈投与が挙げられる。薬学的処方物は、上記アゴニストポリペプチドと組み合わせて、治療剤もしくは免疫原性剤を含み得る。本願は、ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターの、アゴニストペプチドを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年7月15日に出願された、仮出願番号60/487,889の利益を主張するものであり、その仮出願の開示は本明細書中に明示的に援用される。
(発明の技術分野)
本発明は、診断剤、治療剤、薬剤、薬物開発、および免疫療法の分野に関連している。とりわけ、本発明は、上記Zot/ゾニューリン(Zonulin)/レセプターシステムを操作および使用することによって、健康を改善することに関係している。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
腸の接着結合機能障害は、食物アレルギー、胃腸管の感染症、自己免疫疾患、および炎症性腸疾患を含む、多様な臨床状態において発生する(42)。インタクトな接着結合を備えた健常な、成熟した腸粘膜は、高分子の通過に対する中心的な関門として作用する。健常な状態の間に、少量の免疫学的に活性な抗原が、腸の関門を通過する。これらの抗原は、少なくとも2つの経路を通して、上記粘膜の中に吸収される。吸収されたタンパク質の圧倒的多数(90%まで)は、経細胞経路を経て腸の関門を通過し、続いてリソソームによる分解により、もっと小さな非免疫原性のペプチドへと、タンパク質を変換する。これら残余のペプチドは、インタクトなタンパク質として、傍細胞経路を経て輸送される。これは、細胞間接着結合の微妙であるが精巧な調節を伴い、結果として抗原寛容をもたらす。未熟であること、または放射線、化学療法、および/もしくは毒素にさらされることにより、上記接着結合システムの統合性が損なわれた場合、環境性の抗原に対する有害な免疫応答(自己免疫疾患および食物アレルギーを含む)を誘発し得る。このような疾患および状態を、診断および処置することが、当該分野において継続して必要である。このような疾患の処置のための新しい薬物を同定することが、当該分野において継続して必要である。
【0003】
いくつかの微生物は、上皮細胞に対して不可逆的な細胞変性効果を発揮し、この効果は、細胞骨格組織および接着結合機能に影響する。これらの細菌は、直接的に(すなわち、腸病原性大腸菌)、または毒素の生成を通じて(例えば、Clostridium difficile、Bacteroides fragilis)、腸の透過性を変化させる(43)。コレラ菌ファージCTXφ ZOTタンパク質は、ヒトタンパク質ゾニューリンを模倣し、接着結合調節の生理的な機序を利用する。Zotは、コレラ菌ファージCTXφの形態形成ファージペプチドとして、および腸の接着結合を調節するエンテロトキシンとしての、このタンパク質の二重の機能を可能にする、複数のドメインを持っている。Zotの作用は、傍細胞経路を調節するために戦略的に局在化したPKCα依存的なアクチン細糸の重合を導く、細胞内事象のカスケードによって媒介される(38)。上記毒素は、腸内細胞の表面と相互作用することによって、その効果を発揮する。Zotの場合は、腸の範囲内で異なり、空腸および遠位回腸で検出可能であり、絨毛の陰窩軸に沿って減少し、結腸では検出されない(44)。この結合の分布は、腸透過性に対するZotの局所的な効果と一致し(44)、絨毛の成熟細胞内のZotより誘導される優先的なF−アクチンの再分布と一致する(38)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明の第一の実施形態は、ゾニューリンとコレラ菌(Vibrio cholerae)ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターの、アゴニストペプチドである。上記アゴニストポリペプチドは、アミノ酸配列FCIGRL(配列番号4)を含む。上記ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満である。
【0005】
本発明の第二の実施形態は、疾患を処置するための薬学的組成物である。上記組成物は、上記疾患を処置するための治療剤、および、ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドを含む。上記アゴニストポリペプチドは、アミノ酸配列FCIGRL(配列番号4)を含む。上記ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満である。
【0006】
本発明の第三の実施形態は、標的組織へ治療剤を送達する方法である。疾患を処置するための治療剤、および、ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドが、上記疾患を伴う患者に投与される。上記アゴニストポリペプチドは、アミノ酸配列FCIGRL(配列番号4)を含む。上記ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満である。
【0007】
本発明の第四の実施形態は、標的組織へ治療剤を送達する方法である。疾患を処置するための治療剤、および、ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドが、上記疾患を伴う患者の鼻を経由して、投与される。上記アゴニストポリペプチドは、アミノ酸配列FCIGRL(配列番号4)を含む。上記ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満である。
【0008】
本発明の第五の実施形態は、標的組織へ治療剤を送達する方法である。疾患を処置するための治療剤、および、ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドが、上記疾患を伴う患者の口を経由して、投与される。上記アゴニストポリペプチドは、アミノ酸配列FCIGRL(配列番号4)を含む。上記ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満である。
【0009】
本発明の第六の実施形態は、標的組織へ治療剤を送達する方法である。疾患を処置するための治療剤、および、ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドが、上記疾患を伴う患者の皮膚を経由して、投与される。上記アゴニストポリペプチドは、アミノ酸配列FCIGRL(配列番号4)を含む。上記ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満である。
【0010】
本発明の第七の実施形態は、標的組織へ治療剤を送達する方法である。疾患を処置するための治療剤、および、ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドが、上記疾患を伴う患者の血液を経由して、投与される。上記アゴニストポリペプチドは、アミノ酸配列FCIGRL(配列番号4)を含む。上記ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満である。
【0011】
本発明の第八の実施形態は、ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターを同定または精製するための方法である。1つ以上のタンパク質を含有するサンプルを、抗体抗原結合に適した条件下において抗体と接触させる。上記抗体は、配列番号5にて示されたアミノ酸SLIGKVDGTSHVTGに対して惹起された抗体である。上記サンプル中において上記抗体に結合していないタンパク質は、除去される。上記抗体に結合しているタンパク質を、ゾニューリンとZotとに対するヒトレセプターとして、もしくは上記レセプターが濃縮された調製物を形成するとして、同定する。
【0012】
本発明の第九の実施形態は、疾患を処置するための薬物候補をスクリーニングする方法である。抗体SAM11によって同定された第一ヒトタンパク質を、コレラ菌ファージCTXφ Zot、ヒトゾニューリン、およびMyD88からなる群より選択される第二タンパク質と接触させる。上記接触させる工程は、試験物質の存在下および非存在下において、別々に実施される。上記試験物質の存在下における、上記第二タンパク質に結合している第一タンパク質の量と、試験物質の非存在下における結合の量とを比較する。第二タンパク質に結合している第一タンパク質の量が減少する場合に、試験物質は薬物候補として同定される。
【0013】
本発明の第十の実施形態は、免疫応答を誘導するためのワクチン組成物である。上記ワクチン組成物は、免疫応答を誘導するための免疫原性剤、およびゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストを含む。上記アゴニストポリペプチドは、アミノ酸配列FCIGRL(配列番号4)を含む。上記ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満である。
【0014】
本発明の第十一の実施形態は、患者における自己免疫疾患を診断する方法である。上記患者由来の第一身体サンプルを、配列番号5にて示されたアミノ酸SLIGKVDGTSHVTGに対して惹起された抗体と接触させる。上記第一身体サンプルに結合している上記抗体の量と、自己免疫疾患を有さない健常な対照の第二身体サンプルに結合している抗体の量とを比較する。上記第二身体サンプルが結合するよりも多くの抗体に上記第一身体サンプルが結合する場合に、自己免疫疾患が上記患者において同定される。
【0015】
本発明の第十二の実施形態は、健常な対象の個体に対してゾニューリンの発現が増加した患者を処置する方法である。上記患者に対して、配列番号5にて示されたアミノ酸SLIGKVDGTSHVTGに対して惹起された抗体を投与する。それによって、上記疾患の症状は軽減する。
【0016】
本発明の第十三の実施形態は、配列番号5にて示されたアミノ酸SLIGKVDGTSHVTGに対して惹起された抗体である。上記抗体は、CaCo2細胞にて発現されるタンパク質と結合し、上記タンパク質は、合成インヒビターペプチドFZ1/0(配列番号3にて表示される)と結合したタンパク質とともに局在化する。上記抗体は、組換えヒトPAR−2を発現するヒト細胞にもラット細胞にも結合しない。上記抗体は、SAM11ではない。
【0017】
本発明の第十四の実施形態は、CaCo2細胞にて発現されるタンパク質と結合する抗体である。CaCo2細胞にて発現される上記タンパク質は、合成インヒビターペプチドFZ1/0(配列番号3にて表示される)と結合したタンパク質とともに局在化する。上記抗体は組換えヒトPAR−2を発現するヒト細胞にもラット細胞にも結合しない。上記抗体は、SAM11ではない。
【0018】
本発明の第十五の実施形態は、ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドである。上記アゴニストポリペプチドは、Xaa Cys Ile Gly Arg Leu(配列番号7)、Phe Xaa Ile Gly Arg Leu(配列番号8)、Phe Cys Xaa Gly Arg Leu(配列番号9)、Phe Cys Ile Xaa Arg Leu(配列番号10)、Phe Cys Ile Gly Xaa Leu(配列番号11)、およびPhe Cys Ile Gly Arg Xaa(配列番号12)からなる群より選択される配列を含む。上記ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満である。Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、Tyr、およびMetからなる群より選択され;Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、およびGlnからなる群より選択され;Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群より選択され;Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、Ala、およびGlnからなる群より選択され;Xaaは、LysおよびHisからなる群より選択され;Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群より選択される。
【0019】
本発明の第十六の実施形態は、ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドである。上記アゴニストポリペプチドは、Xaa Xaa Ile Gly Arg Leu(配列番号13)、Xaa Cys Xaa Gly Arg Leu(配列番号14)、Xaa Cys Ile Xaa Arg Leu(配列番号15)、Xaa Cys Ile Gly Xaa Leu(配列番号16)、Xaa Cys Ile Gly Arg Xaa(配列番号17)、Phe Xaa Xaa Gly Arg Leu(配列番号18)、Phe Xaa Ile Xaa Arg Leu(配列番号19)、Phe Xaa Ile Gly Xaa Leu(配列番号20)、Phe Xaa Ile Gly Arg Xaa(配列番号21)、Phe Cys Xaa Xaa Arg Leu(配列番号22)、Phe Cys Xaa Gly Xaa Leu(配列番号23)、Phe Cys Xaa Gly Arg Xaa(配列番号24)、Phe Cys Ile Xaa Xaa Leu(配列番号25)、Phe Cys Ile Xaa Arg Xaa(配列番号26)、およびPhe Cys Ile Gly Xaa Xaa(配列番号27)からなる群より選択される配列を含む。上記ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満である。Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、Tyr、およびMetからなる群より選択され;Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、およびGlnからなる群より選択され;Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群より選択され;Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、Ala、およびGlnからなる群より選択され;Xaaは、LysおよびHisからなる群より選択され;Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群より選択される。
【0020】
本明細書を読むと当業者にとって明らかであるこれらの実施形態および他の実施形態は、疾患の処置、疾患の診断、薬物開発のための、試薬および方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明者は、ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドを、開発した。上記ポリペプチドは、アミノ酸配列FCIGRL(配列番号4)を含む。上記ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満であるか、もしくは、50アミノ酸残基未満、40アミノ酸残基未満、30アミノ酸残基未満、20アミノ酸残基未満、10アミノ酸残基未満、または8アミノ酸残基未満である。上記ポリペプチドは、上記6アミノ酸FCIGRL(配列番号4)のみを含み得るか、上記ポリペプチドは付加的なアミノ酸を有し得る。上記他のアミノ酸は、例えば抗原タグといった、精製を容易にする、他の機能を提供し得る。
【0022】
上記アゴニストポリペプチドは、治療剤もしくは免疫原性剤の吸着を容易にするために使用し得る。上記アゴニストポリペプチドは、腸、血液脳関門、皮膚、および鼻の粘膜を通した吸収を容易にする。このようにして、上記アゴニストポリペプチドは、腸、脳、皮膚、鼻を標的とした治療剤、もしくは免疫原性剤とともに、処方され得るかもしくはともに投与し得る。本発明に従う薬学的組成物は、投与の前の前混合を必要としないが、2薬剤が互いに24時間のうちに投与された場合、インビボで形成され得る。好ましくは、上記2薬剤は、互いに12時間、8時間、4時間、2時間、もしくは1時間のうちに投与される。
【0023】
本発明による治療剤は、ヒトもしくは哺乳動物を処置するために使用し得る任意の治療剤である。上記薬剤は、例えば、抗体もしくは抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)、単鎖抗体(ScFv))、抗癌剤、抗生物質、ホルモン、もしくはサイトカインとしてであり得る。上記治療剤は、心臓、脳、腸、もしくは腎臓のような、身体のどの組織へも作用し得る治療剤であり得る。本発明により処置され得る疾患は、食物アレルギー、胃腸の感染症、自己免疫疾患、炎症性腸疾患、セリアック病、胃腸の炎症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
脳へ送達するための静脈内投薬組成物は、当該分野では周知である。このような静脈内投薬組成物は、一般に、生理的希釈剤(例えば、蒸留水もしくは0.9%(w/v)食塩水)を含む。
【0025】
「鼻」送達組成物は、「腸」送達組成物と異なっており、後者は、胃における活性な薬剤(例えば、ゾニューリンレセプターアゴニストおよび上記治療剤)の酸性分解を防ぐために胃抵抗特性を有さなければならないが、前者は一般に、粘膜線毛クリアランスを減少させるため、および上記経鼻投与される薬剤の再現性のあるバイオアベイラビリティーを達成するために、直径約50μmの水溶性ポリマーを含む。「静脈内」送達組成物は、上記「鼻」送達組成物および上記「腸」送達組成物の双方と異なっており、「静脈内」送達組成物においては、胃抵抗特性の必要性も水溶性ポリマーの必要性も無い。
【0026】
上記投与の様式は、本発明にとって重大ではない。上記投与の様式は、腸送達のための経口投与様式;鼻への送達のための鼻腔内投与様式、および血液脳関門を通した送達のための静脈投与様式であり得る。当該分野で公知の他の投与様式もまた使用され得、この投与様式としては、髄腔内送達、筋内送達、気管支内送達、直腸内送達、眼内送達、および鞘膜内送達が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
小腸送達のための経口投薬組成物は、当該分野では周知である。このような経口投薬組成物は、胃抵抗性錠剤もしくはカプセル剤を含み得る(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol編、Mack Publishing Co.、Chapter 89(1980);Digenisら、J.Pharm.Sci.、83:915−921(1994);Vantiniら、Clinica Terapeutica、145:445−451(1993);Yoshitomiら、Chem.Parm.Bull.、40:1902−1905(1992);Thomaら、Pharmazie、46:331−336(1991);Morishitaら、Drug Design and Delivery、7:309−319(1991);およびLinら、Pharmaceutical Res.、8:919−924(1991);上記のそれぞれは、本明細書中に参考としてその全体が援用される)。
【0028】
錠剤は、例えば、酢酸フタル酸セルロースまたは酢酸テレフタル酸セルロースのいずれかの添加によって、胃抵抗特性にされる。
【0029】
カプセル剤は、生理的活性成分(または複数の生理的活性成分)が硬質もしくは軟質の可溶性容器もしくはゼラチンのシェルに封入された、固体の投薬形態である。カプセル剤の製造に使用されるゼラチンは、加水分解によって膠原性物質から獲得される。ゼラチンには、2つの型がある。A型ゼラチンは、ブタの皮膚より酸処置により誘導され、そしてB型ゼラチンは、骨組織および動物の皮膚のアルカリ処置によって、獲得される。硬質ゼラチンカプセル剤を使用することは、個々の被験体のために最良に考慮された正確な投薬レベルにて1つの生理的活性成分もしくはそれらの組み合わせを処方する際の選択を、可能にする。上記硬質ゼラチンカプセル剤は典型的に、2つの部分からなり、一方の部分がもう一方の部分の上にかぶることにより、上記生理的活性成分を完全に囲っている。これらのカプセル剤は、上記生理的活性成分もしくは生理的活性成分を含む胃抵抗性ビーズを、そのカプセル剤の長い方の端部に導入することによって充填され、次いでキャップをかぶらせる。硬質ゼラチンカプセルは、大部分がゼラチン、FD&C着色料、および時折二酸化チタンのような不透明剤から作られる。米国薬局方は、製造する間の分解を防ぐため、この目的のための上記ゼラチンに0.15%(w/v)二酸化硫黄を含ませることを、許可している。
【0030】
小腸送達のための経口投薬組成物もまた液体組成物を含み得、その液体組成物は水性緩衝剤を必要に応じて含み得、その水性緩衝剤は、胃内の胃液によって上記治療剤およびアゴニストポリペプチドが有意に不活性化されることを防ぎ、それによって、上記生理活性成分およびアゴニストポリペプチドを活性な形態で小腸まで到達させる。本発明で使用され得るこのような水性緩衝剤の例としては、炭酸水素塩緩衝液(pH 5.5〜8.7、好ましくは約pH 7.4)を含む。
【0031】
上記経口投薬組成物が液体組成物である場合、上記組成物は、安定性の問題を最小にするために投与直前に調製されることが、好ましい。この場合、上記液体組成物は、凍結乾燥された治療剤およびアゴニストポリペプチドを、上記の液体緩衝剤の中において溶解させることによって、調製され得る。
【0032】
鼻送達のための経鼻投薬組成物は、当該分野において周知である。このような経鼻投薬組成物は、一般に、薬学的投薬形態を調製するため広範に使用されている水溶性ポリマーを含み(Martinら、Physical Chemical Principles of Pharmaceutical Sciences、第3版、592−638頁(1983)を参照)、そのポリマーは経鼻投与のためのペプチドのキャリアーとして機能し得る(Davis、Delivery Systems for Peptide Drugs、125:1−21(1986)を参照)。ポリマーマトリックスに包埋したペプチドの経鼻吸収は、鼻粘膜線毛クリアランスの遅延を通じて亢進されることが示されている(Illumら、Int.J.Pharm.、46:261−265(1998)を参照)。他の可能である亢進メカニズムには、濃度勾配の増加もしくはペプチド類吸収のための拡散経路の減少が挙げられる(Tingら、Pharm.Res.、9:1330−1335(1992)を参照)。しかしながら、粘膜線毛クリアランス率の低下は、経鼻投与された全身性薬剤の再現性あるバイオアベイラビリティー達成に向かう、優れたアプローチであると予想されている(Gondaら、Pharm.Res.、7:69−75(1990)を参照)。直径約50μmの微粒子は、鼻腔において沈着することが予期され(Bjorkら、Int.J.Pharm.、62:187−192(1990);およびIllumら、Int.J.Pharm.、39:189−199(1987)を参照)、一方、直径10μm未満の微粒子は、鼻の濾過系を逸脱し得、そして気道下位へ蓄積し得る。直径200μmより大きな微粒子は、経鼻投与後、鼻の中で保持されない(Lewisら、Proc.Int.Symp.Control Rel.Bioact.Mater.、17:280−290(1990)を参照)。
【0033】
使用される特定の水溶性ポリマーは、本発明にとって重要ではなく、そして経鼻投与形態で使用される周知のどんな水溶性ポリマーからも選択され得る。鼻送達において有用な水溶性ポリマーの典型的一例は、ポリビニルアルコール(PVA)である。この材料は、膨潤可能な親水性ポリマーであって、その物理的特性は分子量、加水分解度、架橋密度、および結晶性によって決まる(Peppasら、Hydrogels in Medicine and Pharmacy、3:109−131(1987)を参照)。PVAは相分離、噴霧乾燥、噴霧包埋、および噴霧高密度化(spray−densation)を通して、分散材料のコーティング剤として使用され得る(Tingら、前出を参照)。
【0034】
本発明の「皮膚」送達組成物は、治療剤もしくは免疫原性剤に加え、上記治療剤もしくは免疫原性剤の経皮送達に有害な影響を及ぼさない限り、芳香剤、乳剤、軟膏剤、着色剤、および他の化合物を含み得る。従来の薬学的に受容可能な乳化剤、界面活性剤、懸濁剤、酸化防止剤、浸透圧亢進剤、増量剤、希釈剤、および防腐剤も、添加され得る。水溶性ポリマーもまた、キャリアーとして使用され得る。
【0035】
使用される特定の治療剤もしくは免疫原性剤は、本発明にとって重要ではなく、そして例えば、任意の薬物化合物、生理的活性ペプチド、ワクチン、もしくはサイズにも電荷にも関係なく、経細胞経路を通して吸収されない他の任意の成分であり得る。
【0036】
本発明において使用され得る薬物化合物の例としては、心血管系に作用する薬物、中枢神経系に作用する薬物、抗腫瘍性薬物、および抗生物質が挙げられる。本発明において使用され得る心血管系に作用する薬物の例としては、リドカイン、アデノシン、ドブタミン、ドパミン、エピネフリン、ノルエピネフリン、およびフェントラミンが挙げられる。当該分野において周知の他の薬物もまた、使用され得る。
【0037】
本発明において使用され得る中枢神経系に作用する薬物の例としては、ドキサプラム、アルフェンタニル、デゾシン、ナルブフェン、ブプレノルフィン、ナロキソン、ケトロラク、ミダゾラム、プロポフォール、メタクリン(metacurine)、ミバクリウム、およびスクシニルコリンが挙げられる。当該分野において周知の他の薬物もまた、使用され得る。
【0038】
本発明において使用され得る抗腫瘍性薬物の例としては、シタラビン、マイトマイシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびビンブラスチンが挙げられる。当該分野において周知の他の薬物もまた、使用され得る。
【0039】
本発明において使用され得る抗生物質の例としては、メチシリン、メズロシリン、ピペラシリン、セトキシチン(cetoxitin)、セフォニシド、セフメタゾール、およびアズトレオナムが挙げられる。当該分野において周知の他の薬物もまた、使用され得る。
【0040】
本発明において使用され得る生理的活性ペプチドの例としては、ホルモン、リンフォカイン、グロブリン、およびアルブミンが挙げられる。本発明において使用され得るホルモンの例としては、テストステロン、ナンドロロン(nandrolene)、メノトロピン、インシュリン、および尿性卵胞性刺激ホルモン(urofolltropin)が挙げられる。当該分野において周知の他の薬物もまた、使用され得る。生理的活性成分がインシュリンである場合、本発明における経口投与組成物は、糖尿病の処置において有用である。本発明において使用され得るリンフォカインの例としては、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−4、およびインターロイキン−8が挙げられる。
【0041】
本発明において使用され得るグロブリンの例としては、α−グロブリン、β−グロブリン、およびγ−グロブリン(免疫グロブリン)が挙げられる。本発明において使用され得る免疫グロブリンの例としては、多価のIgGもしくは特異的IgG、IgA、およびIgM、例えば、抗破傷風抗体が挙げられる。本発明において使用され得るアルブミンの例は、ヒト血清アルブミンである。当該分野において周知の他の薬物もまた、使用され得る。
【0042】
本発明において使用され得るワクチンの例としては、ペプチド抗原、弱毒化微生物、および弱毒化ウィルスが挙げられる。本発明において使用され得るペプチド抗原の例としては、腸毒性大腸菌の非耐熱性腸毒素のBサブユニット、コレラ毒素のBサブユニット、腸内病原体の莢膜抗原、腸内病原体の采またはピリ線毛、HIV表面抗原、塵埃アレルゲン、およびコナダニアレルゲンが挙げられる。当該分野において周知の他の薬物もまた、使用され得る。
【0043】
本発明において使用され得る弱毒化微生物、および弱毒化ウィルスの例としては、腸毒性大腸菌、腸病原性大腸菌、コレラ菌、フレクスナー赤痢菌、チフス菌、およびロタウィルスの弱毒化微生物、および弱毒化ウィルスが挙げられる(Fasanoら、Le Vaccinazioni in Pediatria、Vierucciら編、CSH、Milan、109−121頁(1991);Guandaliniら、Management of Digestive and Liver Disorders in Infants and Children、Elsevior、Butzら編、Amsterdam、25章(1993);Levineら、Sem.Ped.Infect.Dis.、5:243−250(1994);およびKaperら、Clin.Micrbiol.Rev.、8:48−86(1995)、上記のそれぞれは、本明細書中に参考としてその全体が援用される)。
【0044】
使用される治療剤もしくは免疫原性剤の量は、本発明にとって重要ではなく、そして選択される特定の成分、処置される疾患もしくは状態、ならびに処置される被験体の年齢、体重、および性別次第で変動する。
【0045】
使用されるZOTレセプターアゴニストポリペプチドの量もまた、本発明にとって重要ではなく、そして処置される被験体の年齢、体重、および性別次第で変動する。一般に、腸による生理的活性成分の吸収を促進するために本発明において使用されるZOTレセプターアゴニストポリペプチドの最終濃度は、約10−5M〜10−10Mの範囲内であり、好ましくは約10−6〜5.0×10−5Mの範囲内である。腸においてこのような最終濃度を達成するために、上記ZOTレセプターアゴニストポリペプチドの本発明の単回経口投薬組成物の量は、一般に約4.0ng〜1000ngであり、好ましくは約40ng〜80ngである。
【0046】
治療剤もしくは免疫原性剤のZOTレセプターアゴニストポリペプチドに対して使用される割合は、本発明にとって重要ではなく、そして選択された期間に送達される生理的活性成分の量次第で変動する。一般に、本発明において使用される、治療剤もしくは免疫原性剤のZOTレセプターアゴニストポリペプチドに対する重量の割合は、約1:10〜3:1の範囲内であり、好ましくは約1:5〜2:1である。
【0047】
アミノ酸SLIGKVDGTSHVTG(配列番号5)に対して惹起された抗体によって同定されるタンパク質と結合する抗体は、診断に、治療に、そして研究の道具として使用され得る。このような抗体のひとつはSAM11であり、この抗体はZymed Laboratories、South San Francisco、Californiaより入手可能である。このような抗体は他に、モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体を惹起する標準的な技術を使用することにより、容易に作製され得る。疾患におけるゾニューリンレセプターのアップレギュレーションは、上記SAM11抗体もしくは同様のヒトタンパク質に結合する他の抗体を使用することにより、検出され得る。上記抗体は、診断上検出可能な標識と結合され得る。治療用途において、上記抗体は、放射性核種、抗腫瘍性薬剤などを含めた治療剤もしくは毒性薬剤と結合され得る。
【0048】
上記ゾニューリンとZotとに対するレセプタータンパク質に対する結合パートナーの同定は、結合を阻害する試験物質のアッセイを可能にする。今日までに同定された結合パートナーとしては、MyD88、ゾニューリン、Zot、およびΔGが挙げられる。2つのタンパク質の結合についての任意のアッセイが使用され得る。これらは、インビトロもしくはインビボのアッセイであり得る。上記アッセイは、抗体もしくは固相結合基質が使用し得る。当該分野において公知である、任意のこようなアッセイが使用され得る。
【0049】
あるアミノ酸が同様の特性を有する別のアミノ酸と交換される保存的置換は、配列番号4の配列を有するアゴニストポリペプチドにおいて行われ得る。保存的置換の例としては、Gly←→Ala、Val←→Ile←→Leu、Asp←→Glu、Lys←→Arg、Asn←→Gln、およびPhe←→Trp←→Tyrが挙げられるが、これらに限定されない。保存的アミノ酸置換は、約1〜2アミノ酸残基の範囲内に典型的に入る。生理的活性もしくは免疫学的活性を失うことなく置換され得るアミノ酸残基を決定する際のガイダンスは、DNASTARソフトウェアもしくはDayhoffらの(1978)Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.Washington,D.C.)といった、当該分野では周知のコンピュータプログラムを使用して見出され得る。
【0050】
アミノ酸置換は、1対1のアミノ酸交換と定義される。それらは、置換されたアミノ酸が同様の構造特性、および/もしくは化学特性を有する場合、性質が保存的である。保存的置換の例は、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンでの置換、アスパラギン酸のグルタミン酸での置換、あるいはスレオニンのセリンでの置換である。
【0051】
特に好ましいオリゴペプチドアナログとしては、性質が保存的である置換、例えば、アミノ酸側鎖が関連するアミノ酸ファミリーの範囲内でおこる置換が挙げられる。具体的には、アミノ酸は以下のファミリーへ一般に分けられる:(1)酸性アミノ酸−−アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性アミノ酸−−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性アミノ酸−−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイソン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;(4)非極性アミノ酸−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、およびチロシン;および(5)芳香族アミノ酸−−フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシン。例えば、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンへの孤立した交換、アスパラギン酸のグルタミン酸への孤立した交換、スレオニンのセリンへの孤立した交換、もしくはあるアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸での類似の保存的交換は、生理的活性に重要な影響は及ぼさないことは、合理的に予測可能である。
【0052】
当該分野において公知である任意のアッセイは、ZOTレセプターアゴニストの生理的活性を測定するために使用され得る。例として、上記アッセイには(1)Fasanoら、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、8:5242−5246(1991)に記載されている通りのUssingチャンバーに取り付けた回腸の、組織抵抗(Rt)減少のアッセイ;(2)以下に記載された通りのUssingチャンバーにおける腸上皮細胞単層の組織抵抗(Rt)減少のアッセイ;もしくは(3)WO 96/37196;1995年5月24日に出願された米国特許出願番号08/443,864;1996年2月9日に出願された米国特許出願番号08/598,852;および1997年1月9日に出願された米国特許出願番号08/781,057に記載された通りの、腸もしくは鼻における治療剤もしくは免疫原性剤の吸収亢進のアッセイ、が挙げられる。
【0053】
ZOTレセプターのアゴニストは、可逆的でかつ再現性のある様式で接着結合を急速に開き、そしてそれゆえ、腸のもしくは鼻の吸収エンハンサーとして使用されるZOTと同様の様式で、腸のもしくは鼻の治療剤または免疫原性剤の吸収エンハンサーとして使用され得、このことはWO 96/37196;1995年5月24日に出願された米国特許出願番号08/443,864;1996年2月9日に出願された米国特許出願番号08/598,852;および1997年1月9日に出願された米国特許出願番号08/781,057に記載されている通りである。
【0054】
上記zot/ゾニューリンレセプターに対する抗体は、腸の透過性増加を起こさせる胃腸炎症の処置のための抗炎症性剤として使用され得る。従って、本発明の上記抗体は、例えば蛋白喪失性腸症によって引き起こされる腸の状態の処置に、有用である。蛋白喪失性腸症は:炎症、例えばC.difficile感染、腸炎、細菌性赤痢、ウィルス性胃腸炎、寄生生物感染、細菌過成長、ホウィップル病;粘液性びらんもしくは潰瘍を有する疾患、例えば胃炎、胃癌、コラーゲン蓄積大腸炎、炎症性腸疾患;リンパ管閉塞症が顕著な疾患、例えば先天性腸リンパ管拡張症、サルコイドーシスリンパ腫、腸間膜結核症、および先天性心疾患のフォンタン手術による外科的矯正;潰瘍を伴わない粘膜疾患、例えばメネトリエ病、セリアック病、好酸球性胃腸炎;および免疫疾患、例えば全身性エリテマトーデスもしくは主として乳に対する食物アレルギー(Pediatric Gastrointestinal Disease Pathophysiology Diagnosis Management、Wyllieら編、Saunders Co.(1993)536−543頁の表40−2もまた参照;上記のそれぞれは、本明細書中に参考としてその全体が援用される)が原因で起こり得る。上記抗体は癌、自己免疫疾患、脈管の疾患、細菌感染、セリアック病、喘息、および過敏性腸症候群を患う患者へ、投与され得る。
【0055】
上述の開示は、本発明を一般的に記載している。本明細書中で開示される全ての参考文献は、参考として明確に援用される。より完全な理解は、本明細書中に例示の目的でのみ提供され、そして本発明の範囲を限定することを意図しない、下記の詳細な実施例を参照することにより、獲得され得る。
【実施例】
【0056】
(実施例1)
ラットの小腸組織を、ゲル濾過クロマトグラフィーおよびゾニューリンELISAの組み合わせによって、分析した。ラット腸ホモジネートを、セファクリルカラム(長さ90cm、直径2.6cm、標準分子量マーカーを用いて校正したもの)上にロードし、そして画分を収集し、そしてゾニューリン濃度を定量するためにゾニューリンELISAによって分析した。試験した6画分(F1〜F6)のうち、F5画分にもっとも高い濃度のゾニューリンが含有されていた。各画分はSDS−PAGEによって分離し、転移し、そしてゾニューリン免疫反応性、抗Zot抗体により免疫ブロットした(図1B)。ウェスタン分析により、ゾニューリン陽性画分であるF5において、見かけの分子量約24,000および分子量約23,000に移動した、2つの主要なバンドを明らかにした。一方、ゾニューリン陰性画分であるF1〜F4、F6では、各々ただ1つの免疫活性なバンド(約24kDa)のみが明らかになった。それゆえ、F5画分からの上記約23kDaのバンド(図1B矢印参照)を、クマシーブルー染色されたゲルより切り出し、そしてマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析法に供した。タンパク質マッチについてProfound検索エンジン(ドメイン129.85.19.192、ディレクトリprofound_bin;プログラムWebProFound.exe?FORM=1)を使用した検索によって、このタンパク質と、ラットマスト細胞プロテアーゼII1との高い類似性(推定Zスコア1.58)を明らかにした。マスト細胞プロテアーゼは、トリプシン様(トリプターゼ)およびキモトリプシン様(カイメース)特性を有する、マスト細胞顆粒内に含まれるセリンプロテアーゼ特性である(46)。粘膜性マスト細胞(MMC)は主にプロテアーゼII(MCP−II)を含有するのに対し、結合組織マスト細胞は主にプロテアーゼIを含有する(46)。MCP−IIは、肺の粘膜および胃腸の粘膜(47)に特に大量に存在する。胃腸管における、MCP−IIの非常に良く特徴づけられた生理活性の一つは、線虫外寄生後の粘膜上皮透過率の調節である(48)。インビトロでの研究は、MCP−IIが接着結合複合体を分断させることにより、上皮関門を開けることを示唆する。それゆえ、本発明者らの提唱する上記ゾニューリンシステムの仮説モデル、およびMCP−IIの確立された機能には、著しい互換性がある。しかしながら、本発明者らは、ゾニューリンとMCP−IIとの間の主要な相違を認めた。それは、それらの起源(ゾニューリンは腸細胞(49)およびマクロファージに存在している)およびそれらの放出のための刺激(MCP−IIについては腸内寄生虫の外寄生[48]、およびゾニューリンについては細菌およびグリアジン[49])が、挙げられる。
【0057】
本発明者らは、生殖細胞、赤血球、および粘膜性マスト細胞に多面的な欠損を持ち、そしてそれゆえ、MCP−IIを欠くWBB6/F1−W/Wvマウス(55)において、マイクロスナップウェル(microsnapwell)実験を実施した。マイクロスナップウェルシステムに取り付けられ、ゾニューリン放出刺激に増加する時間間隔(3時間まで)で曝露された組織は、TEERの減少を示し(無処置組織−43±11Ω/cmに対し、−170±15.8Ω/cm)、ゾニューリン放出の平行した増加を示し(無処置組織0.2±0.7ng/mgタンパク質に対し、10.0±0.8ng/mgタンパク質)、これは野生型の動物で観察されたもの(それぞれ−120±20Ω/cm、および15.1±3.1ng/mgタンパク質)と同様であった。
【0058】
まとめると、本発明者らのデータは、ゾニューリンがMCP−IIと区別され、そしてPAR−2もしくはPAR−2の改変体の、いくつかの生理的活性化因子の一つを表し得ることを、示唆している。膵臓トリプシンは、PAR−2の最も効率的な活性化因子であるが、膵臓トリプシンの有効性とPAR−2の分布との間には、矛盾がある(47)。生理的活性トリプシンは小腸の管腔に存在し、そこで腸細胞の頂端膜においてPAR−2を活性化させ得るが(47)、PAR−2もまた、今のところはまだ同定されていない生理的活性化因子によってPAR−2が活性化されるはずである多くの組織で発見されている(50)。ゾニューリンは、そのようなPAR−2活性化因子の強い候補を表し、そして腸組織と腸外組織の両方において単離されているので、この見かけ上の矛盾を調整し得る(51)。
【0059】
(実施例2)
本発明者らは、Zotがウサギ腸管上皮の表面に結合すること、そして上記腸の異なる領域に沿ってこの結合が変動することを、以前に明らかにしていた(44)。この結合の分布は、腸透過性に対するZotの局所的な効果、および絨毛の成熟細胞においてZotより誘導される優先的なF−アクチンの再分布と一致する(38、44)。上記Zotレセプターをさらに特徴付けるため、本発明者らは以下の実験を実施した。
【0060】
(A.結合実験)
結合実験を、(IEC6(ラット、腸)細胞、CaCo2(ヒト、絨毛様腸細胞)細胞、T84(ヒト、陰窩様腸細胞)細胞、MDCK(イヌ、腎臓)細胞、およびウシ肺動脈(BPA)内皮細胞が挙げられる)いくつかの上皮細胞系を用いて実施した。免疫蛍光分析のため、スライドガラス上のコンフルエントな単層(2.0×10)を、増加する時間間隔(5分、30分、60分)の間、5×10−9M Zotもしくは陰性コントロールとともに、4℃もしくは37℃で、インキュベートした。単層をZot(0.2μM)とともに37℃にて15分間インキュベートした後、細胞を冷たいPBSで10回洗浄し、懸濁および溶解した。細胞溶解物をSDS−PAGEによって分離し、PVDF膜へ転移し、そして抗Zot抗体でプローブした。Zot結合の特異性を確立するため、放射標識されたZotを使用した。これらの実験は、10倍もしくは50倍モル濃度過剰な非放射性の非標識Zotの非存在下もしくは存在下において、実施した。増加する時間間隔の間Zotタンパク質とともにインキュベートした場合、陰性コントロールに曝露された細胞と比較して、CaCo2細胞およびIEC6腸上皮細胞ならびに内皮細胞は、細胞表面において結合を表した。対照的に、His−Zotとともに最大で60分間までインキュベーションした後のT84細胞でもMDCK細胞でも、染色は観察されなかった。Zot結合の細胞特異性が、免疫ブロッティング分析において確認された。Zotは、IEC6細胞、CaCo2細胞、およびBPA細胞へは結合するが、T84細胞およびMDCK細胞へは結合しない。
【0061】
(B.Zot結合タンパク質の精製)
His−Zot親和性カラムを、1.0mgの精製されたHis−Zotを前活性化ゲル(Aminolink、Pierce)に対して室温で終夜固定化することによって、調製した。上記カラムをPBSで洗浄し、次いで10個のIEC6細胞もしくはCaCo2細胞のどちらかを使用して獲得した粗製細胞溶解物を充填した。室温での90分間のインキュベーションの後、上記カラムは14mlのPBSで5回洗浄し、そしてHis−Zotへ結合した上記タンパク質を、50mMグリシン(pH2.5)、150mM塩化ナトリウム、および0.1%(v/v)Triton X−100からなる溶液4.0mlを用いて、上記カラムから溶出した。その1.0ml溶出画分のpHを、1.0N水酸化ナトリウムを用いて直ちに中和した。集めた画分を、還元条件下で6.0%〜15.0%(w/v)勾配SDS−PAGEに供した。分離した上記タンパク質を、ニトロセルロース膜へ転移し、そしてPerkin−Elmer Applied Biosystems Apparatus Model 494を使用してNH末端微量配列決定に供した。IEC6細胞およびCaCo2細胞の両方から得た溶出画分は、還元条件下でSDS−PAGEによって観察された、見かけ上の分子量66kDaの単一タンパク質バンドを含んだ。ノイラミニダーゼ処置により、推定Zotレセプターのサイズが35kDaまで減少した。このことは、このレセプターがシアル酸付加されていることを示唆している(51)。
【0062】
(C.Zot/ゾニューリンレセプターの特性付け)
ゾニューリンは構造的にマスト細胞プロテアーゼ(MCP)−IIと類似していることを示唆している本発明者らの最近のデータによって、上記Zot/ゾニューリンレセプターが、上記MCP−IIプロテイナーゼ活性化レセプター(PAR−2)と同一ではない場合にしても類似し得ると、本発明者らは仮説した。PAR−2は、Zot/ゾニューリンレセプターについて、本発明者らが記述した特徴と共通したいくつかの特性を持っている。具体的には、成熟PAR−2は、68kDa〜80kDaの糖タンパク質であり、それは脱グリコシル化することにより36kDa〜40kDaへ減少する(47)。同様に、上記Zot/ゾニューリンレセプターは、66kDaの分子量を有しており、それは脱グリコシル化することにより35kDaに減少する(51)。胃腸管におけるPAR−2の分布(47)は、腸におけるZot/ゾニューリンレセプターの分布(44)と、一致する。PAR−2細胞内シグナル伝達には、ホスホリパーゼC(PLC)の活性化、プロテインキナーゼC(PKC)(52)の活性化、および細胞骨格再配列を導くアクチン重合(53)の活性化が関与する。Zotおよびゾニューリンは、共通の腸表面レセプターを介して、これらの同じ細胞内シグナル伝達経路を活性化する(38)。腸における上記Zot/ゾニューリンの効果と同様に、腸のPAR−2の活性化は、腸透過性増加をもたらす(54)。最終的に、PAR−2は、トリプシンによるその細胞外ドメインの切断によって活性化され、「係留リガンド(tethered ligand)」として作用する新規N末端を生成する。タンパク質分解的に活性化された、新しく生成されたN末端に対応するペプチドSLIGRL(PAR−2 AP)の外因性付加もまた、レセプター切断と独立的にPAR−2を活性化する(52)。12kDaの生理的活性Zotフラグメント(ΔG)のN末端は、宿主の腸管内でコレラ菌によりタンパク質分解的に切断されるZot細胞外ドメイン(アミノ酸残基288〜399)を含む。このΔG N末端は、PAR−2のアゴニストリガンドモチーフと構造的に類似したペプチド(FCIGRLアミノ酸残基288〜293)を含む。標的レセプターの関与および活性化に構造上要求されるものをより正確に定義するために、2つのΔG改変体が、推定PAR−2結合モチーフ(ΔG291)またはリガンドモチーフのすぐ下流領域(ΔG298)のいずれかを変異することにより、合成された。これらのペプチドを、それらがIEC−6細胞へ結合する能力、ならびにUssingチャンバーに装着されたラット小腸での生理的活性について、ΔGと比較した。ΔG291(G291V)とともにインキュベートされたIEC6細胞は、ΔGとインキュベートしたときと比較して、IEC6細胞への結合の減少を示した。一方、ΔG298ペプチド(G298V)とともにインキュベートされたIEC6細胞に関して、結合は観察されなかった。Ussingチャンバーにおける生理的アッセイは、ΔG291は、tj分解に対して、残存するが統計学的には有意ではない効果しか有さないことを示した。一方、ΔG298は、いかなる検出可能な浸透効果も誘発しなかった。これらの結果は、この結合アッセイにおいてこれら2つの改変体を用いて観察された効果と平行しており、そして291位におけるG残基および、もっとも重要なことは、298位におけるG残基が、おそらくタンパク質立体構造の変化を通じ、ΔG結合およびその標的レセプターの活性化において重大な役割を果たし得ることを、示唆した。現在、生理的環境下および病理的環境下の両方でのPAR−2機能の研究において、主要な制限のうちの1つは、特異的PAR−2インヒビターを欠くことである(52)。本発明者らの構造−機能分析に基づいて、本発明者らが変異誘発のための標的としていた上記2つのG残基を含むが、上記推定リガンドモチーフの初めの3アミノ酸残基(288〜290)を欠いた合成オクタペプチド(Zotアミノ酸残基291〜298に対応する)を、本発明者らは設計した。この合成ペプチドFZI/0を、単独でかまたはZot、ΔGもしくはゾニューリンと組み合わせてかのいずれかで、Ussingチャンバーに装着された回腸組織に関して、試験した。FZI/0または混合オクタペプチド(FZI/1)のいずれかに曝された組織のRtでは、何の変化も観察されなかった。FZI/0による回腸組織の、実験期間の前、およびその間全体にわたる処理は、Zot、ΔG、およびゾニューリンに対して応答するRtの変化を防いだ。一方、上記の3つのタンパク質の浸透効果は、FZI/1の前処置によって影響されなかった。これらのデータは、Zotおよびゾニューリンが同一のレセプターを標的とするという本発明者らの仮説を補強し、そしてFZI/0はこのレセプターを活性化することによってではなく、このレセプターに結合することによって、その抑制的な効果を発揮し得ることを示唆する。この最後の仮説を試験するため、本発明者らは、フルオレセイン標識されたFZI/0またはフルオレセイン標識されたFZI/1のどちらかとともにインキュベートされたラット小腸を使用して、インサイチュ結合実験を実施した。FZI/0に曝露された組織では、多数の蛍光粒子が示された。一方、FZI/1とともにインキュベートされた組織では、シグナルは検出されなかった。
【0063】
(実施例3)
上記Zot/ゾニューリン合成インヒビターFZI/0は、PAR−2へ結合する。FZI/0がPAR−2へ結合するかどうかを証明するため、二重標識共局在化免疫蛍光顕微鏡検査法を、Caco2細胞の単層において実施した。手短に言えば、細胞は、FITC−FZI/0またはマウスモノクローナル抗ヒトPAR−2抗体のいずれかとともに、増加する時間間隔でインキュベートした後、ローダミン標識された抗マウスIgG抗体とともにインキュベーションした。その後、細胞をPBSで3回洗浄し、PBS中の3.7%パラホルムアルデヒド(pH7.4)において15分間室温にて細胞を固定し、pH8.0でグリセロール−PBS(1:1)とともにカバーガラスを装着し、そして蛍光顕微鏡(ZEISS)により分析した。免疫蛍光粒子は、FITC−FZI/0曝露細胞および抗PAR−2抗体曝露細胞の両方において、可視化した(図3)。2つのイメージを重ねることによって、上記PAR−2レセプターとFZI/0との共局在化が明白であることが、示された(図3)。
【0064】
(実施例4)
(FZI/0−PAR−2 AP競合結合実験)
PAR−2の活性化には、トリプターゼにより生成されたその切断N末端部分もしくは上記合成ペプチド等価物PAR−2 APのいずれかと、上記レセプターの細胞外ループ2(ECL2)との結合が、必要とされる(47)。FZI/0が同じレセプタードメインへ結合するかどうかを証明するため、競合結合実験をCaco2細胞において行った。細胞単層を、過剰のPAR−2 AP(10−6M)もしくは混合ペプチドのいずれかの存在下で、FITC−FZI/0(2×10−8M)とともにインキュベーションし、次いで蛍光顕微鏡により分析した。過剰のPAR−2 APに曝露された細胞では、上記混合ペプチドに曝露された単層と比較し、有意なFZI/0免疫蛍光染色粒子の減少が示され(図4)、FZI/0はPAR−2へ結合すること、およびPAR−2 APによって競合的に置換され得ることが、示唆された。
【0065】
(PAR−2 AP誘導アクチン再配列におけるZot/ゾニューリンインヒビターFZI/0の効果)
PAR−2 APによるPAR−2レセプターの活性化が、細胞骨格の再構築を促進することが、最近報告されていた(53)。この効果が、上記合成的Zot/ゾニューリンペプチドインヒビターFZI/1によって阻害され得るかどうかを証明するため、Caco2細胞単層において免疫蛍光研究を行った。10−6MのPAR−2 APに曝露された細胞(図5A)では、張線維の分解を表したのに対し、BSA処理された単層では、張線維の分解を表さなかった(図5B)。2×10−6MのFZI/0とともにプレインキュベートすることによって、これらの細胞骨格の変化はブロックされたが(図5C)、混合ペプチドFZI/0とのプレインキュベーションによっては、細胞骨格の変化はブロックされなかった(図5D)。したがって、PAR−2 APよびFZI/0は、腸細胞の同一構造へ結合するようにみえる。
【0066】
(実施例5)
(腸透過性に対するPAR−2 APおよびMCP−IIの効果)
PAR−2は、腸細胞の頂端膜において高度に発現され、そしておそらく、1つ以上の腸細胞機能を調節している(52)。本発明者らは、これらの機能のうちの1つは、細菌定着に応答する腸透過性のゾニューリン仲介性調節であり得るかどうかを求めた。この仮説を検討するため、本発明者らは、マイクロスナップウェルアッセイにおいて、マウス腸の小腸に対する、MCP−II処理およびPAR−2 AP処理の両方の効果を試験した。10−6MのPAR−2 APもしくはMCP−II(10−8M)を腸の管腔側面へ添加することにより、無処理の組織と比較してTEERが減少し、そしてこのPAR−2依存的減少は、FZI/0で前処理することによって、完全に阻害された(図6)。これらの結果は、PAR−2はZotおよびゾニューリンの両方の標的レセプターであるという上記仮説を支持するための一連の証明をまた1つ提供し、そしてこのレセプターもまた、細胞間接着結合の調節に関与することを、示唆している。
【0067】
(実施例6)
(PAR−2シグナル伝達におけるMyD88の関与)
多くの微生物の構造(例えば、細菌性リポ多糖類もしくはRSウィルス(Respriatory Syncytial Virus)に由来する融合タンパク質)ならびに特定の内在性タンパク質は、Toll様レセプター(TLR;55)によって開始される細胞質内シグナル伝達を通じ、先天免疫系細胞を活性化する。現在までに、10種の哺乳動物のTLRが同定されている。TLRの細胞質内ドメイン内、ならびにインターロイキン−1レセプターおよびインターロイキン−18レセプターの細胞質内ドメイン内に、「Toll−IL−1レセプター」ドメインもしくは「TIR」ドメインと呼ばれる、相同領域がある。上記TIRドメインは、骨髄性分化因子88(MyD88)のような重要アダプター分子の結合を担う。PAR−2活性化に関与するシグナル伝達経路、およびTLR(例えば、NF−κB、など;52)に関与するシグナル伝達経路の著しい類似性によって、上記TLRファミリーのメンバーもしくは近接して関連するタンパク質をzot/ゾニューリンが関与し得ると、本発明者らは仮説した。したがって、本発明者らは、野生型マウスおよび上記MyD88遺伝子において標的化変異(ノックアウト、KO)を有するマウスにおいて試験された腸経上皮電気抵抗(TEER)において、ZotおよびPAR−2 APが変化を誘導する能力について試験した(図7Aおよび図7B)。図7Aの中のデータは、野生型の組織では、PAR−2 APおよびΔGの両方が、腸の抵抗において時間をかけ同等の低下を誘導することを示す。その低下は、阻害性zotペプチドFZI/0とともにプレインキュベーションすることにより、逆転した。対照的に、MyD88ノックアウトマウスに由来する腸組織は、TEERにおける減少を示すいずれの刺激にも応答できなかった。
【0068】
まとめると、これらの結果は、おそらく2つの異なる機序を通じ、Zotおよびゾニューリンが同じレセプター(PAR−2変異体もしくはPAR−2ホモログ)を活性化することを示唆している(図8)。本発明者らのデータは、ZotはPAR−2(変異体もしくはホモログ)ECL2へ直接的に結合し、そして上記レセプターシグナル伝達を活性化するという概念を、支持している。一方、ゾニューリンは、MCP−IIアナログと同様に、標的レセプターのN末端を切断することにより、標的レセプターを活性化し得る(図8)。さらに、本発明者らは、PAR−2(変異体もしくはホモログ)は、TIR様ドメインを通じてMyD88に直接的に関与し得ると、提唱する。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

引用された各参考文献の開示は、本明細書中に明示的に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1Aおよび1B。腸組織溶解物から獲得された6つのHPLC画分の、クマシー(Comassie)(図1A)、および、ウェスタン免疫ブロット法(図1B)。このゾニューリン陽性画分F5は、他の5画分には存在していない約23kDaを示した。
【図2】図2Aおよび2B。フルオレセイン標識されたFZI/0(図2A)、またはフルオレセイン標識されたFZI/1(図2B)に曝露されたラット小腸の、インサイチュ免疫蛍光顕微鏡検査。上記Zot/ゾニューリンレセプターが最初に記載された絨毛上部3分の1における上記蛍光分布に、注意されたい(参考文献44を参照)。
【図3】図3A〜3C。PAR−2−FZI/0の共局在化。Caco 2細胞は、FITC−FZI/0(図3A)またはマウス抗ヒトPAR2モノクローナル抗体(図3B)のいずれかによって、免疫染色された。2つのイメージの重なり(図3C)は、PAR−2とFZI/0免疫蛍光粒子とが、ともに局在化していることを示した。
【図4】図4A〜4D。FZI/0−PAR−2 APの競合的結合実験。FITC標識されたFZI/0に曝露されたCaco2細胞(図4B)は、培地対照に曝露された上記Caco2細胞(図4A)と比較して、有意な数の蛍光粒子を示した。過剰のPAR2−AP(100x)は、FZI/0(図4C)とを置換した。一方、100xの混合ペプチドはPZI/0を置換しなかった(図4D)。
【図5】図5A〜5D。PAR2−APに曝露されたCaco2細胞におけるアクチン細胞骨格配列(図5A)、BSAによる曝露(図5B)、PAR2−AP+FZI/0による曝露(図5C)、あるいはPAR−2 AP+FZI/1による曝露(図5D)。
【図6】図6A〜6B。マウス腸TEERに対するMCP−II(図6A)およびPAR2−AP(図6B)の効果。MCP−II(○)およびPAR−2 AP(△)は、TEERにおいて、対照組織(◇)と比較して有意な低下を誘導した。これらの変化は、ΔGによって誘導された変化(■)に匹敵し、FZI/0(x)とのプレインキュベーションによって、完全に阻止された。
【図7】図7A〜7B。野生型(図7A)マウス、およびMyD88ノックアウト(図7B)マウスの腸のTEERに対する、PAR−2 APの効果。野生型のマウスでは、PAR−2 AP(△)およびΔG(■)ともに、対照組織(◇)と比較して、TEERにおいて有意な低下を誘導し、その低下は、FZI/0(x)とのプレインキュベーションによって、完全に阻害された。どの処置条件下においても、MyD88ノックアウトマウスでは、TEERの変化は認められなかった。
【図8】図8。Zotとゾニューリンによる、レセプターの活性化案。MCP−IIアナログとして、ゾニューリンは、上記レセプターのN末端を切断することにより、上記レセプターを活性化する。一方、Zotは、上記レセプターに直接的に結合し、そのレセプターのPAR−2 AP相同性N末端モチーフを介して上記レセプターを活性化する。MCP−IIおよびPAR−2 APによるPAR−2の活性化、もしくはゾニューリンおよびΔGによる上記ゾニューリンレセプターの活性化は、競合的結合インヒビターであるFZI/0によって、ブロックされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドであって、該アゴニストペプチドは、FCIGRL(配列番号4)を含有し、該ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満である、ポリペプチド。
【請求項2】
請求項1のアゴニストポリペプチドであって、該ポリペプチドは、アミノ酸残基FCIGRL(配列番号4)からなる、アゴニストポリペプチド。
【請求項3】
請求項1のアゴニストポリペプチドであって、該ポリペプチドは、配列番号1の残基294〜298を含有しない、アゴニストポリペプチド。
【請求項4】
請求項1のアゴニストポリペプチドであって、該ポリペプチドは、長さが50アミノ酸残基未満である、アゴニストポリペプチド。
【請求項5】
請求項1のアゴニストポリペプチドであって、該ポリペプチドは、長さが40アミノ酸残基未満である、アゴニストポリペプチド。
【請求項6】
請求項1のアゴニストポリペプチドであって、該ポリペプチドは、長さが30アミノ酸残基未満である、アゴニストポリペプチド。
【請求項7】
請求項1のアゴニストポリペプチドであって、該ポリペプチドは、長さが20アミノ酸残基未満である、アゴニストポリペプチド。
【請求項8】
請求項1のアゴニストポリペプチドであって、該ポリペプチドは、長さが10アミノ酸残基未満である、アゴニストポリペプチド。
【請求項9】
請求項1のアゴニストポリペプチドであって、該ポリペプチドは、長さが8アミノ酸残基未満である、アゴニストポリペプチド。
【請求項10】
疾患を処置するための薬学的組成物であって、
該疾患を処置するための治療剤;および
請求項1のアゴニストポリペプチド
を含む、薬学的組成物。
【請求項11】
疾患を処置するための薬学的組成物であって、
該疾患を処置するための治療剤;および
請求項2のアゴニストポリペプチド
を含む、薬学的組成物。
【請求項12】
請求項10の薬学的組成物であって、前記疾患は、食物アレルギーである、薬学的組成物。
【請求項13】
請求項10の薬学的組成物であって、前記疾患は、胃腸の感染症である、薬学的組成物。
【請求項14】
請求項10の薬学的組成物であって、前記疾患は、自己免疫疾患である、薬学的組成物。
【請求項15】
請求項10の薬学的組成物であって、前記疾患は、炎症性腸疾患である、薬学的組成物。
【請求項16】
請求項10の薬学的組成物であって、前記疾患は、セリアック病である、薬学的組成物。
【請求項17】
請求項10の薬学的組成物であって、前記疾患は、胃腸の炎症である、薬学的組成物。
【請求項18】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は、薬物である、薬学的組成物。
【請求項19】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は、生理活性ペプチドである、薬学的組成物。
【請求項20】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は、抗体である、薬学的組成物。
【請求項21】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は、抗体フラグメントである、薬学的組成物。
【請求項22】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は、単鎖抗体(ScFv)である、薬学的組成物。
【請求項23】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は、抗癌剤である、薬学的組成物。
【請求項24】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は、抗生物質である、薬学的組成物。
【請求項25】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は、ホルモンである、薬学的組成物。
【請求項26】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は、サイトカインである、薬学的組成物。
【請求項27】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤と前記アゴニストポリペプチドの比は、1:10〜5:1である、薬学的組成物。
【請求項28】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤と前記アゴニストポリペプチドの比は、1:5〜2:1である、薬学的組成物。
【請求項29】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は心臓を標的とする、薬学的組成物。
【請求項30】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は脳を標的とする、薬学的組成物。
【請求項31】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は腸を標的とする、薬学的組成物。
【請求項32】
請求項10の薬学的組成物であって、前記治療剤は腎臓を標的とする、薬学的組成物。
【請求項33】
請求項10の薬学的組成物であって、前記アゴニストポリペプチドは、心臓における前記治療剤の吸収を増強するのに十分な量で存在する、薬学的組成物。
【請求項34】
請求項10の薬学的組成物であって、前記アゴニストポリペプチドは、脳における前記治療剤の吸収を増強するのに十分な量で存在する、薬学的組成物。
【請求項35】
請求項10の薬学的組成物であって、前記アゴニストポリペプチドは、腸における前記治療剤の吸収を増強するのに十分な量で存在する、薬学的組成物。
【請求項36】
請求項10の薬学的組成物であって、前記アゴニストポリペプチドは、腎臓における前記治療剤の吸収を増強するのに十分な量で存在する、薬学的組成物。
【請求項37】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項12の組成物を、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項38】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項13の組成物を、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項39】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項14の組成物を、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項40】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項15の組成物を、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項41】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項16の組成物を、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項42】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項17の組成物を、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項43】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項33の組成物を、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項44】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項34の組成物を、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項45】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項35の組成物を、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項46】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項36の組成物を、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項47】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項10の組成物を、患者の鼻を経由して、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項48】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項10の組成物を、患者の口を経由して、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項49】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項10の組成物を、患者の皮膚を経由して、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項50】
標的組織へ治療剤を送達する方法であって、該方法は、
請求項10の組成物を、患者の血液を経由して、前記疾患を伴う患者に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項51】
ゾニューリンとコレラ菌ファージCTXφ Zotとに対するヒトレセプターを同定または精製するための方法であって、該方法は、
1つ以上のタンパク質を含有するサンプルを、配列番号5にて示されたアミノ酸SLIGKVDGTSHVTGに対して惹起された抗体と、抗体抗原結合に適した条件下において接触させる工程、
該サンプル中において該抗体に結合していないタンパク質を除去する工程であって、該抗体に結合しているタンパク質を、ゾニューリンとZotとに対するヒトレセプターとして、もしくは該レセプターが濃縮された調製物を形成するとして、同定する工程
を包含する、方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法であって、該方法は、
前記レセプターが濃縮された調製物で哺乳動物を免疫する工程、
該哺乳動物から抗体を採取して、前記レセプターに結合する抗体調製物を形成する工程
をさらに包含する、方法。
【請求項53】
請求項51に記載の方法であって、該サンプルは、腸管の細胞、腸細胞、内皮細胞、マクロファージ、リンパ球、およびその溶解物からなる群より選択される、サンプル。
【請求項54】
疾患を処置するための薬物候補をスクリーニングする方法であって、該方法は、
抗体SAM11によって同定された第一ヒトタンパク質を、コレラ菌ファージCTXφ Zot、ヒトゾニューリン、およびMyD88からなる群より選択される第二タンパク質と接触させる工程であって、該接触する工程は、該試験物質の存在下および非存在下において、別々に実施される、工程、
該試験物質の存在下における、該第二タンパク質に結合している該第一タンパク質の量と、試験物質の非存在下における結合の量とを比較する工程、
第二タンパク質に結合している第一タンパク質の量が減少する場合に、試験物質を薬物候補として同定する工程
を包含する、方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法であって、前記第二タンパク質がZotである、方法。
【請求項56】
請求項54に記載の方法であって、前記第二タンパク質がゾニューリンである、方法。
【請求項57】
請求項54に記載の方法であって、前記第二タンパク質がMyD88である、方法。
【請求項58】
請求項54に記載の方法であって、前記第二タンパク質がZotのΔGフラグメント(配列番号6)である、方法。
【請求項59】
免疫応答を誘導するためのワクチン組成物であって、該ワクチン組成物は、
免疫応答を誘導するための免疫原性剤および;
請求項1のアゴニストポリペプチド
を含む、ワクチン組成物。
【請求項60】
患者における自己免疫疾患を診断する方法であって、該方法は、
該患者由来の第一身体サンプルを、配列番号5にて示されたアミノ酸SLIGKVDGTSHVTGに対して惹起された抗体と接触させる工程、
該第一身体サンプルに結合している該抗体の量と、自己免疫疾患を有さない健常な対照の第二身体サンプルに結合している該抗体の量とを比較する工程、
該第二身体サンプルが結合するよりも多くの該抗体に該第一身体サンプルが結合する場合に、自己免疫疾患を同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項61】
健常な対照の個体に対してゾニューリンの発現が増加した患者を処置する方法であって、該方法は、
該患者に対して、配列番号5にて示されたアミノ酸SLIGKVDGTSHVTGに対して惹起された抗体を投与することによって疾患の症状が軽減する工程、
を包含する、方法。
【請求項62】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患が癌である、方法。
【請求項63】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患が自己免疫疾患である、方法。
【請求項64】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患が脈管の疾患である、方法。
【請求項65】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患が細菌感染である、方法。
【請求項66】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患が胃炎である、方法。
【請求項67】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患が胃癌である、方法。
【請求項68】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患がコラーゲン蓄積大腸炎である、方法。
【請求項69】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患が炎症性腸疾患である、方法。
【請求項70】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患がセリアック病である、方法。
【請求項71】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患が全身性エリテマトーデスである、方法。
【請求項72】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患が食物アレルギーである、方法。
【請求項73】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患が喘息である、方法。
【請求項74】
請求項61に記載の方法であって、前記疾患が過敏性腸症候群である、方法。
【請求項75】
配列番号5にて示されたアミノ酸SLIGKVDGTSHVTGに対して惹起された抗体であって、該抗体はCaCo2細胞にて発現されるタンパク質と結合し、該タンパク質は、合成インヒビターペプチドFZ1/0(配列番号3にて表示される)と結合したタンパク質とともに局在化し、該抗体は、組換えヒトPAR−2を発現するヒト細胞にもラット細胞にも結合せず、該抗体はSAM11ではない、抗体。
【請求項76】
CaCo2細胞にて発現されるタンパク質と結合する抗体であって、CaCo2細胞にて発現される該タンパク質は、合成インヒビターペプチドFZ1/0(配列番号3にて表示される)と結合したタンパク質とともに局在化し、該抗体は組換えヒトPAR−2を発現するヒト細胞にもラット細胞にも結合せず、該抗体はSAM11ではない、抗体。
【請求項77】
ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドであって、該アゴニストポリペプチドは、
Xaa Cys Ile Gly Arg Leu(配列番号7)、
Phe Xaa Ile Gly Arg Leu(配列番号8)、
Phe Cys Xaa Gly Arg Leu(配列番号9)、
Phe Cys Ile Xaa Arg Leu(配列番号10)、
Phe Cys Ile Gly Xaa Leu(配列番号11)、
Phe Cys Ile Gly Arg Xaa(配列番号12)、
からなる群より選択される配列を含み、
該ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満であり、Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、Tyr、およびMetからなる群より選択され、Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、およびGlnからなる群より選択され、Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群より選択され、Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、Ala、およびGlnからなる群より選択され、Xaaは、LysおよびHisからなる群より選択され、Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群より選択される、アゴニストペプチド。
【請求項78】
請求項77に記載のアゴニストポリペプチドであって、該ポリペプチドは、6アミノ酸残基からなる、アゴニストポリペプチド。
【請求項79】
ゾニューリンとコレラ菌ファージのCTXφ ZOTタンパク質とに対するヒトレセプターのアゴニストペプチドであって、該アゴニストポリペプチドは、
Xaa Xaa Ile Gly Arg Leu(配列番号13)、
Xaa Cys Xaa Gly Arg Leu(配列番号14)、
Xaa Cys Ile Xaa Arg Leu(配列番号15)、
Xaa Cys Ile Gly Xaa Leu(配列番号16)、
Xaa Cys Ile Gly Arg Xaa(配列番号17)、
Phe Xaa Xaa Gly Arg Leu(配列番号18)、
Phe Xaa Ile Xaa Arg Leu(配列番号19)、
Phe Xaa Ile Gly Xaa Leu(配列番号20)、
Phe Xaa Ile Gly Arg Xaa(配列番号21)、
Phe Cys Xaa Xaa Arg Leu(配列番号22)、
Phe Cys Xaa Gly Xaa Leu(配列番号23)、
Phe Cys Xaa Gly Arg Xaa(配列番号24)、
Phe Cys Ile Xaa Xaa Leu(配列番号25)、
Phe Cys Ile Xaa Arg Xaa(配列番号26)、および
Phe Cys Ile Gly Xaa Xaa(配列番号27)、
からなる群より選択される配列を含み、
該ポリペプチドは、長さが100アミノ酸残基未満であり、Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、Tyr、およびMetからなる群より選択され、Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、およびGlnからなる群より選択され、Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群より選択され、Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、Ala、およびGlnからなる群より選択され、Xaaは、LysおよびHisからなる群より選択され、Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群より選択される、アゴニストペプチド。
【請求項80】
請求項79に記載のアゴニストポリペプチドであって、該ポリペプチドは、6アミノ酸残基からなる、アゴニストポリペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−534621(P2007−534621A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520330(P2006−520330)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022753
【国際公開番号】WO2005/010022
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(301033248)ユニバーシティ オブ メリーランド, ボルチモア (7)
【Fターム(参考)】