説明

[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸又は薬学的に許容されるその塩を合成するための新規な方法

【課題】 [R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸、又は薬学的に許容されるその塩を製造するための改良された合成法を提供し、併せて本方法で用いられる新規中間体を提供するものである。
【解決手段】 本方法は、3,5−ジヒドロキシ−6−シアノヘキサン酸アルキル(例えばtert−ブチル)を出発原料とし、シクロペンタノンまたはシクロヘキサノンとの反応を経て中間体の例えばtert−ブチルシクロペンチリデンニトリルまたはtert−ブチルシクロヘキシリデンニトリル(新規中間体)を得、これを還元し、アトルバスタチンジケトンと縮合させ目的化合物を得るものである。
本発明の方法により製造される化合物は、高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、前立腺肥大症又はアルツハイマー病の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸、又は薬学的に許容されるその塩を製造するための改良された合成、並びに本方法で用いられる他の価値のある中間体を説明する。
【背景技術】
【0002】
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)の、メバロナートへの転換は、コレステロールの生合成経路における初期の、そして律速の段階である。この段階は、酵素HMG−CoAレダクターゼにより触媒される。スタチンは、HMG−CoAレダクターゼのこの転換の触媒作用を阻害する。スタチンは、それ自体、総合的に効力のある高脂血症治療薬である。
【0003】
アトルバスタチン及び薬学的に許容されるその塩は、HMG−CoAレダクターゼの選択的、拮抗的阻害剤である。アトルバスタチンカルシウムは、現在リピトール(登録商標)として販売され、その化学名は、[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)・三水和物であり、その式は
【化1】

である。アトルバスタチンカルシウムは、それ自体、効力のある脂質低下化合物であり、従って、脂質低下剤及び/又はコレステロール低下剤として有用である。アトルバスタチンカルシウムは、又、骨粗鬆症、前立腺肥大症(BPA)及びアルツハイマー病の治療に有用である。
【0004】
アトルバスタチン、アトルバスタチンの処方、並びにアトルバスタチン製造のための方法及び重要中間体を記載している、数多くの特許及び国際特許出願公報が発行されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸、又は薬学的に許容されるその塩を製造するための改良法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アトルバスタチン又は薬学的に許容されるその塩を製造するための方法であって、以下の工程:
(i)式(I):
【化2】

ここで、Rはアルキル基であり;或いは、RはC1−C4アルキル基であり;或いは、Rはイソプロピル又はtert−ブチルであり;或いは、Rはイソプロピルであり;或いは、Rはtert−ブチルである;
の化合物を好適な反応条件下で反応させて、式(II):
【化3】

ここで、Rは上記で定義した通りであり、そして、R1及びR2は、それらが結合している原子と一緒になって、シクロペンチリデン又はシクロヘキシリデン基を形成する;
の化合物を形成し;
【0007】
(ii)式(II)の化合物を好適な条件下で反応させて、式(III):
【化4】

ここで、R、R1及びR2は、それぞれ上記で定義した通りである;
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を形成し;
【0008】
(iii)式(III)の化合物を好適な条件下で反応させて、式(IV):
【化5】

ここで、Rは、H又は上記で定義した通りであり、R1及びR2は、それぞれ上記で定義した通りである;
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を形成し;そして
【0009】
(iv)式(IV)の化合物を好適な条件下で反応させて、2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸 (V):
【化6】

ここで、Rは、H又は上記で定義した通りであり、R1及びR2は、それぞれ上記で定義した通りである;
又は薬学的に許容されるその塩を形成する;
を含む方法を提供する。
【0010】
上記の本発明の方法によれば、化合物(I)〜(V)のC−3及びC−5のキラル中心は、同一の又は異なるR若しくはS配位を取ることができ、又はそれぞれの製造工程は、ラセミ又はその他の混合物を用いて行うことができる。
【0011】
本発明は、[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸、又は薬学的に許容されるその塩の製造方法であって、以下の工程:
(i)式(Ia):
【化7】

ここで、Rは上記の式(I)の化合物で定義した通りである;
の化合物を好適な反応条件下で反応させて、式(IIa):
【化8】

ここで、Rは上記の式(II)の化合物で定義した通りであり、そして、R1及びR2は、それらが結合している原子と一緒になって、シクロペンチリデン又はシクロヘキシリデン基を形成する;
の化合物を形成し;
【0012】
(ii)式(IIa)の化合物を、好適な反応条件下で反応させて、式(IIIa):
【化9】

ここで、R、R1及びR2は、上記式(III)の化合物で定義した通りである;
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を形成し;
【0013】
(iii)式(IIIa)の化合物を、好適な反応条件下で反応させて、式(IVa):
【化10】

ここで、R、R1及びR2は、上記式(IV)の化合物で定義した通りである;
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を形成し、そして
【0014】
(iv)式(IVa)の化合物を、好適な反応条件下で反応させて、[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプ
タン酸(Va):
【化11】

ここで、Rは、上記式(V)の化合物で定義した通りである;
又は薬学的に許容されるその塩を形成する;
を含む方法を提供する。
【0015】
本発明の1つの実施態様において、[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸(Va)は、薬学的に許容されるその塩、即ち、式(VI):
【化12】

の化合物である。式(VI)の化合物は、又、アトルバスタチンカルシウム、又は[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)・三水和物として知られている。
【0016】
本発明は、更に、Rがtert−ブチルであり;そして、R1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン基を形成する、上記の方法を提供する。
本発明は、更に、Rがイソプロピルであり;そして、R1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン基を形成する、上記の方法を提供する。
本発明は、更に、Rがtert−ブチルであり;そして、R1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロヘキシリデン基を形成する、上記の方法を提供する。
本発明は、更に、Rがイソプロピルであり;そして、R1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロヘキシリデン基を形成する、上記の方法を提供する。
【0017】
本発明は、更に、それぞれが本明細書に記載した通りである、式(I)〜(VI)の化合物、及び(Ia)〜(Va)の化合物を提供する。
【0018】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(I):
【化13】

ここで、R、R1及びR2は、それぞれ本明細書において式(I)の化合物で定義した通りである;
の化合物を提供する。
【0019】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(II):
【化14】

ここで、R、R1及びR2は、それぞれ本明細書において式(II)の化合物で定義した通りである;
の化合物を提供する。
【0020】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(III):
【化15】

ここで、R、R1及びR2は、それぞれ本明細書において式(III)の化合物で定義した通りである;
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0021】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(IV):
【化16】

ここで、R、R1及びR2は、それぞれ本明細書において式(IV)の化合物で定義した通りである;
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0022】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(V):
【化17】

ここで、Rは、本明細書において式(V)の化合物で定義した通りである;
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0023】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(VI):
【化18】

の化合物を提供する。
【0024】
本発明によれば、式(I)〜(VI)の化合物におけるC−3及びC−5位のキラル中心は、それぞれ、同一の又は異なるR若しくはS配位を取ることができる。
【0025】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(IIa):
【化19】

ここで、R、R1及びR2は、それぞれ本明細書において式(II)の化合物で定義した通りである;
の化合物を提供する。
【0026】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(IIIa):
【化20】

ここで、R、R1及びR2は、それぞれ本明細書において式(III)の化合物で定義した通りである;
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0027】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(IVa):
【化21】

ここで、R、R1及びR2は、それぞれ本明細書において式(IV)の化合物で定義した通りである;
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0028】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(Va):
【化22】

ここで、R、R1及びR2は、それぞれ本明細書において式(V)の化合物で定義した通りである;
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0029】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(VI):
【化23】

の化合物を提供する。
【0030】
本発明は、更に、本発明の方法によって、本明細書に記載したように製造される、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(Ia)、(IIa)、(IIIa)、(IVa)又は(Va)の化合物、及び薬学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0031】
本発明によれば、本明細書で使用される用語「好適な反応条件」とは、本明細書に記載されたものを含めて、当業者に公知であり、述べられた反応又は転換を遂行するのに必要であると理解されている反応条件を意味する。
【0032】
式(II)又は式(IIa)の化合物は、それぞれ、式(I)又は式(Ia)の化合物から、当業者に公知の好適なジオール保護反応のいずれかを用いて製造することができる。1,2−又は1,3−ジオールから、環状アセタールを形成するために、1,1−ジアルコキシアルカン又はシクロアルカンを使用することは良く知られている(例えば、Corey et al, J. Amer. Chem. Soc. 123, 1877 (2001)を参照)。それ故、式(II)又は(IIa)の化合物は、酸触媒の存在下で、適切な1,1−ジメトキシシクロアルカンを添加することにより製造することができる。
【0033】
式(III)又は式(IIIa)の化合物は、それぞれ、式(II)又は式(IIa)の化合物から、選択的にシアノ(CN)基をアミノメチル基に還元する当業者に公知の好適な還元反応のいずれかを用いて製造することができる。シアノ基のアミノメチル基への還元は公知であり、そして、最も良く知られた触媒は、ラネーニッケル又はスポンジニッケルである。例えば、国際特許公開第8907598(A2)号を参照されたい。
式(IV)又は(IVa)の化合物は、それぞれ、式(III)又は式(IIIa)の化合物から、当業者に公知の好適なPaal−Knorr反応条件のいずれかを用いて製造することができる(例えば、国際特許公開第89/07598(A2)号及び国際特許公開第2004/046105号を参照)。
【0034】
式(V)、(Va)及び(VI)の化合物は、それぞれ、式(IV)又は式(IVa)の化合物から、例えば、加水分解反応条件を含む、当業者に公知の方法を用いて製造することができる。本発明の方法は、先行技術の方法に対して著しい利点を提供する。本発明の方法は、本明細書に記載の通り、式(I)の化合物を最終の所望する生成物に転換するために必要な合成工程数を著しく減少させる。本発明の方法によれば、その様な転換反応は、4又は5段階の合成操作を必要とするのみであり、これに対して従来法は、同一の転換反応に対して、8工程又は9工程もの多くの合成工程から成る。合成工程の数の減少は、より経済的であるのみならず、より少ない試剤及び有機溶媒が使用されるので、より環境にやさしい方法であるという利点をもたらす。本発明の方法は、又、オペレーターが曝される有機溶媒や試薬がより少ないので、オペレーターに対して健康上の便益を提供する。本発明の方法は、又、大規模合成になじみ易い。
【0035】
より卓越した簡便性と効率に加えて、本発明の方法により提供される別の利点は、式(II)又は(IIa)の化合物のより優れた収率であり、ワンポット合成において、典型的には>90%の収率で得ることができる。本発明の方法によれば、式(II)又は(IIa)の化合物は反応混合物への溶解性が一層低いことが見出されており、式(I)又は(Ia)のジオールに適切な1,1−ジメトキシシクロアルカンを加えることにより、対応する式(II)又は(IIa)の化合物が急速に沈殿又は析出した。式(I)又は(Ia)のジオールは、又、それぞれ上記で説明した通り、オルトギ酸トリメチルと事前に反応させ、次いでシクロペンタノン又はシクロヘキサノンと反応させて、式(II)又は(IIa)の固体化合物を得ることができる。結果として、式(II)又は(IIa)の化合物は、ジオール保護工程において、即ち、式(I)又は(Ia)の化合物を、式(II)又は(IIa)の化合物へ転換する工程において、より簡便な非水後処理の利点を提供する。式(II)又は(IIa)の化合物の溶解性が驚く程低いことが、又、その後の工程におけるより高い収率と単離効率をもたらす。
【0036】
定義
特に指示のない限り下記の用語は以下の通り定義する。
本明細書で用いられる冠詞「a」又は「an」は、言及する対象の単数形及び複数形の両者を意味する。
本明細書で用いられる、用語「含む」は、「含むが、それに限定されない」ことを意味する。
【0037】
本明細書で用いられる、用語「アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素を意味し、そして、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル及びヘキシルを包含する。アルキル基は、更に、化学反応に悪影響を与えない、如何なる置換基、例えば、ハロ、アルコキシ及びアルキル置換基によって置換されても良い。
【0038】
本明細書で用いられる用語「立体異性体」は、本発明の化合物の、幾何異性体(例えば、シス及びトランス異性体)及び/又は光学異性体(例えば、R及びSエナンチオマー)の両者を意味する。その様な異性体のラセミ混合物、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物及びエピマー混合物、並びに個々のエナンチマー、ジアステレオマー及びエピマーも、本発明に含まれる。
【0039】
本明細書で用いられる、用語「薬学的に許容される塩」は、信頼できる医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを示さずに患者の組織に接触する用途に好適であり、合理的な利便/リスク比を有して釣り合いが取れた、そして目的とする用途に対して効果的な、本発明の化合物の酸付加塩及び/又は塩基付加塩、並びに、可能であれば、本発明の化合物の両性イオンの形態を意味する。用語「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物の、相対的に非毒性の、無機若しくは有機酸又は塩基付加塩を意味する。これらの塩は、化合物の最終的な単離及び精製の間にその場で製造することができ、又は別途遊離形態の精製した化合物を、好適な有機若しくは無機の酸又は塩基と反応させ、かくして生成した塩を単離することにより製造することができる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩などが挙げられる。これらは、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属、及びアルカリ土類金属に基づくカチオン、並びに非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、及び、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むがこれらに限定されないアミンカチオンを含むことができる(例えば、Berge S.M., et al., “Pharmaceutical Salts,” J. Pharm. Sci., 1977;66:1 19を参照、この文献は、参照することにより、本明細書に取り入れられている)。遊離の塩基形態は、塩形態を塩基と接触させることにより再生できる。遊離の塩基は、塩形態と溶解性などの物理的特性に関して異なるが、塩は、本発明の目的のためには、それぞれの遊離の塩基と等価である。
【0040】
本発明のある種の化合物は、非溶媒和の形態、並びに水和物の形態を含む溶媒和の形態として存在することもできる。一般的に、水和物の形態を含む溶媒和の形態は非溶媒和の形態と等価であり、そして本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0041】
本発明のある種の化合物は、1つ又はそれ以上のキラル中心を有し、そして、それぞれの中心は、R又はS配位として存在することができる。例えば、式(I)〜(VI)及び式(Ia)〜(Va)の化合物は、(3R,5S)、(3S,5S)、(3S,5R)又は(3R,5R)の配位を取ることができる。もし、本発明の化合物が、更に別のキラル中心を含む場合は、その中心は、独立にR又はS配位を取ることが可能である。本発明は、全てのジアステレオマー、エナンチオマー、及びエピマー形態、並びにその適切な混合物も包含する。その様な立体異性体は、必要に応じて、例えば、キラルクロマトグラフィー用カラムによる、及びキラル合成による立体異性体の分離を含む、当業者に公知の方法により得ることができる。
【0042】
本発明は、有機合成における当業者に良く知られた多くの方式により合成可能な化合物を包含する。以下に示す非限定の反応スキームは、本発明の化合物の製造を例示する。特に指示のない限り、反応スキームにおけるあらゆる変数及びそれに伴う考察は、上記で定義した通りである。又、全ての溶媒及び試薬は、特に指示のない限り市販されているものである。当業者は理解していると思われるが、種々の官能基に適応させるため、個々の化合物は、条件の操作を必要とすることがある。当業者に公知の種々の保護基を必要とすることがある。精製は、必要に応じて、シリカゲル・カラム上で、適切な溶媒系を用いて溶出することにより、達成することができる。又、逆相HPLC又は再結晶化、並びに当業者に公知のその他の従来法が採用できる。以下のスキーム1及び2において、「ジケトン」は以下の化合物:
【化24】

である。3,5−ジヒドロキシ−6−シアノヘキサン酸tert−ブチルは、当業者に公知の方法に従って製造することができる。Brower, Philip L.; Butler, Donald E.; Deering, Carl F.; Le, Tung V.; Millar, Alan; Nanninga, Thomas N.; Roth, Bruce D. Parke-Davis Pharm. Res. Div., Warner Lambert Co., Holland, MI, USA, “The synthesis of (4R-cis)-1,1-dimethylethyl 6-cyanomethyl-2,2-dimethyl-1,3-dioxane-4-acetate, a key intermediate for the preparation of CI-981, a high potent, tissue selective inhibitor of HMG-CoA reductase”, Tetrahedron Letters (1992), 33(17), 2279-82を参照。
【0043】
【化25】

【0044】
【化26】

【0045】
〔実施例1〕
tert−ブチルシクロペンチリデンニトリル(1)の合成
方法1
【化27】

3,5−ジヒドロキシ−6−シアノヘキサン酸tert−ブチル(50g、活性、0.218mol)、オルトギ酸トリメチル(92.55g、0.87mol)、メタンスルホン酸(MSA)(1.05g、5mol%)、及びn−ヘキサン(500mL)を、500mLの反応フラスコに投入した(所望するpH<2)。得られた反応混合物を、窒素雰囲気下で0〜10℃に冷却した。シクロペンタノン(73.35g、0.87mmol)を、ゆっくり、15〜20分掛けて加えた。シクロペンタノンを添加した後、所望の生成物、tert−ブチルシクロペンチリデンニトリル(1)が溶液から析出した。反応混合物を1〜2時間、20〜25℃で撹拌した。トリエチルアミン(1.10g、5mol%)を、MSAを中和するために反応フラスコに投入し、そして反応混合物を20〜25℃で30分間撹拌した。上記反応系を加熱して頂部温度を38〜40℃とし、蒸留物(約100ml)を集めた。反応系を40〜45℃に1時間保持し、次いで1時間かけて20〜25℃まで冷却した。次いで、反応系を0〜5℃に冷却し、そしてこの温度に2時間保持した。生成物(1)を濾過して回収し、そしてヘプタン(200mL)で洗浄した。乾燥した生成物(1)の収率は、57.1g(3,5−ジヒドロキシ−6−シアノヘキサン酸tert−ブチルから89%)であった。
(1)のNMRデータ:
1HNMR:δH(ppm,CDCl3):1.31−1.92(17H,m),2.36−2.55(6H,m),4.03−4.22(2H,sym m)。
13CNMR:δC(ppm):22.42,24.32,24.78,28.06,31.20,35.46,40.05,42.28,66.52,67.30,80.79,111.11,116.83,169.84。
【0046】
方法2
シクロペンタノン(56.53g、0.61mmol)及びメタンスルホン酸 (1.05g、8.6mmol、5mol%)を、500mLの反応フラスコに投入した。得られた溶液を0℃に冷却し、オルトギ酸トリメチル(71.38g、0.67mol)を、ゆっくり、1時間かけて加えた。この添加の間、約20℃の温度上昇が見られた。得られた反応混合物を1時間撹拌した。ヘプタン(150mL)中の3,5−ジヒドロキシ−6−シアノヘキサン酸tert−ブチル(50g、0.168mol)を、反応混合物に1時間かけて加えた。この添加の終りの方になるに従って、生成物が溶液から析出した。反応混合物を常温で1時間撹拌し、次いでトリエチルアミン(0.85g、8.4mmol)を加えて反応をクエンチした。ヘプタン(200mL)を加えてスラリーを流動し易くし、反応混合物を徐々に−50℃まで冷却して1時間保持した。生成物、tert−ブチルシクロペンチリデンニトリル(1)を濾過して回収し、そしてヘプタン(100mL)で洗浄した。次いで回収したtert−ブチルシクロペンチリデンニトリル(1)を乾燥した(41.2g、ジオールから88%)。スペクトル特性は、上記で報告した、方法1で作成したtert−ブチルシクロペンチリデンニトリル(1)のそれと一致した。
【0047】
〔実施例2〕
tert−ブチルシクロペンチリデンアミン(2)のtert−ブチルシクロペンチリデンニトリル(1)からの製造
【化28】

ラネーニッケル(12.5g、活性)、tert−ブチルシクロペンチリデンニトリル(1)(100g、0.34mol;実施例1に従って製造した)、トルエン(600mL)、メタノール(66mL)、及びアンモニアのメタノール溶液 (7N、81.2mL)を水素添加装置に投入した。得られた懸濁液を、約3〜4バール、350℃で5時間、又は水素の吸収が完了するまで水素化を行った。水素添加装置内を排気し、次いで窒素でパージした。ラネーニッケルを濾過して除去した。得られた濾液を、元の体積の約半分になるまで、そして溶液が透明になるまで、減圧下で蒸留した。トルエン溶液を25℃に冷却した。事前に調製したブライン溶液(NaCl=45g/水=150mL)をトルエン溶液に加え、次いで10分間激しく撹拌した。水層と有機層を分離させた。次いで、有機トルエン層を集め、そして蒸留し、tert−ブチルシクロペンチリデンアミン(2)を油状物質として得た。残留したトルエンを含む油状のアミン(2)を直接、実施例3に例示した次の工程に投入した。
(2)のNMRデータ:
1HNMR:δH(ppm,CDCl3):1.27−1.96(25H,m),2.32−2.41(2H,m),3.87(1H,bs),4.17(1H, bs)。
13CNMR:δC(ppm):22.42,24.33,28.05,31.19,36.62,40.28,46.11,67.62,69.32,66.71,80.43,110.56,170.21。
【0048】
〔実施例3〕
アトルバスタチンシクロペンチリデンアセタールt−ブチルエステル(3)のtert−ブチルシクロペンチリデンアミン(2)からの製造
【化29】

油状のtert−ブチルシクロペンチリデンアミン(2)(50.0g、0.17mol;実施例2に従って製造した)、アトルバスタチンジケトン(72.29g、0.175mol、当業者に公知の手順、例えば、Baumann, Kelvin L., Tetrahedron Letters (1992), 33(17), 2283-4を含む、に従って製造した)、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(73g)、THF(146g)及びトリエチルアミン(17.01g、0.17mol)を、1,000mLの二口丸底フラスコに投入し、そして内容物を50℃に加熱した。ピバル酸(17.17g、0.23mol)を加え、そして反応混合物を、Dean-Stark条件及び不活性雰囲気下で96時間加熱還流した。反応溶液を<30℃までアルゴン雰囲気下で冷却した。反応混合物をペースト状になるまで蒸留し、生成物をイソプロピルアルコール(IPA)(200mL)に取り込み、得られたスラリーを60℃に加熱し、そしてこの温度に0.5時間保持した。スラリーを−5℃に冷却し、1時間保持した。所望の生成物、アトルバスタチンシクロペンチリデンアセタールt−ブチルエステル(3)を灰色を帯びた白色固体(71g、62%)として得た。
(3)のNMRデータ:
1HNMR:δH(ppm,CDCl3):1.43(9H,s),1.41−1.92(18H,m),2.26−2.39(2H,m),3.56−3.63(2H,m),3.79−3.86(1H,m),4.03−4.11(2H,m),6.87−7.26(14H,ArH)。
13CNMR:δC(ppm):21.58,21.67,22.42,24.37,26.06,31.15,36.02,37.87,40.18,40.92,42.3,67.64,67.99,80.67,98.72,115.33(d),119.52,121.73,123.47,126.54,128.20,128.23(d),128.77,130.48,133.11(d),133.09,133.21,162.32(d),164.77,170.17。
【0049】
〔実施例4〕
アトルバスタチンカルシウム(4)の、アトルバスタチンシクロペンチリデンアセタールt−ブチルエステル(3)からの製造
【化30】

アトルバスタチンシクロペンチリデンアセタールt−ブチルエステル(3)(20.4g、30.5mmol;実施例3に従って製造した)、メタノール(45mL)及びMTBE(91ml)を、温度計及びコンデンサーを装備した500mLの三口丸底フラスコに加えた。フラスコの内容物を50℃に加熱した。次いで水(6mL)中37%塩酸(0.66g)の溶液を投入し、フラスコの内容物を撹拌しながら還流下で加熱し、この温度に5時間保持した。5時間後、脱イオン水(DIW)中の水酸化ナトリウム10%溶液(1.69g)を加え、pHをチェックして確実にpH>13とした。フラスコの内容物を50℃で、1時間加熱した。反応溶液を25〜35℃に冷却し、そしてpHをチェックして確実にpH>10とした。相を分離させ、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(68mL)を底部の水相に投入し、混合物を25〜35℃で約1時間撹拌した。底部の水相を分離し、次いで、これをMTBE(68mL)で更に2回洗浄した。別のフラスコに、DIW(81mL)中酢酸カルシウム半水和物(2.63g)の溶液を調製した。酢酸カルシウム溶液を上記反応系に60〜90分かけて、47〜57℃で投入し、その5分後添加を止め、反応溶液にアトルバスタチンカルシウム(300mg)を播種した。反応混合物を47〜57℃で0.5時間撹拌し、そして15〜25℃に冷却した。生成物(4)を濾過して単離し、そしてDIW(66mL)/MeOH(34mL)の混合物で洗浄し、次いでDIW(100mL)で洗浄した。生成物をKarl Fischer滴定(KF)の結果が<4.8%になるまで、60〜70℃で乾燥した。アトルバスタチンシクロペンチリデンアセタールt−ブチルエステル(3)に基づいて、アトルバスタチンカルシウム(4)を白色固体(17.3g、94%)として得た。
HPLC分析:生成物(4)は、HPLCにより(面積で)純度99%であることが示された。本発明の方法により製造された生成物(4)の保持時間は、従来法で製造されたものと同等であった。
【0050】
アトルバスタチンシクロペンチリデンアセタールt−ブチルエステル(3)から誘導された(4)の、代表的な粉末X線回折プロファイルの概要を以下に示す。
【表1】

【0051】
〔実施例5〕
tert−ブチルシクロヘキシリデンニトリル(5)の合成
【化31】

シクロヘキサノン(59.98、0.61mmol)及びメタンスルホン酸(7.65mmol、5mol%)を500mLの反応フラスコに投入した。オルトギ酸トリメチル(64.87g、0.61mol)をゆっくり1時間かけて加えた。この添加の間、約20℃の温度上昇が観察された。得られた反応混合物を1時間撹拌した。3,5−ジヒドロキシ−6−シアノヘキサン酸tert−ブチル(50g;0.153mol)を反応混合物に加えた。反応混合物を常温で4時間撹拌し、次いで、トリエチルアミン(0.77g、7.65mmol)を加えて反応をクエンチした。1,1−ジメトキシシクロヘキサン(約42mL)及びギ酸メチルを、減圧下、85〜90℃で蒸留して取り除いた。ヘプタン(100mL)を熱い溶液に加え、そして、反応混合物をゆっくり−50℃に冷却し、1時間保持した。生成物、tert−ブチルシクロヘキシリデンニトリル(5)を濾過して回収し、ヘプタン(100mL)で洗浄した。乾燥したtert−ブチルシクロヘキシリデンニトリル(5)の収率は、47.3g(91%:3,5−ジヒドロキシ−6−シアノヘキサン酸tert−ブチルから)であった。
(5)のNMRデータ:
1HNMR:δH(ppm,CDCl3):1.25−1.80(20H,m),1.99(1H,dd),2.30−2.47(2H,sym,m),2.52(2H,d),4.16−4.33(2H,sym,m)。
13CNMR:δC(ppm):22.25,24.97,25.15,28.05,28.43,35.61,38.44,46.04,64.21,64.88,80.77,99.52,116.93,170.02。
【0052】
〔実施例6〕
tert−ブチルシクロヘキシリデンアミン(6)のtert−ブチルシクロヘキシリデンニトリル(5)からの製造
【化32】

ラネーニッケル(19g、活性)、tert−ブチルシクロヘキシリデンニトリル(5)(148.2g、0.48mol、実施例5に従って製造した)、トルエン(900mL)、メタノール(100mL)、及びアンモニアのメタノール溶液(7N、121.8mL)を水素添加装置に投入した。得られた懸濁液を50〜60℃で23時間、又は水素の吸収が完了するまで、水素化を行った。水素添加装置内を排気し、次いで窒素でパージした。ラネーニッケルを濾過して除去した。得られた濾液を、元の体積の約半分になるまで、そして溶液が透明になるまで減圧下で蒸留した。トルエン溶液を25℃に冷却した。事前に調製したブライン溶液(NaCl=45g/水=150mL)をトルエン溶液に加え、次いで、10分間強力に撹拌した。水層と有機層を分離させた。有機トルエン層を蒸留し、tert−ブチルシクロヘキシリデンアミン(6)を油状物質として得た。残留トルエンを含む油状のtert−ブチルシクロヘキシリデンアミン(6)を、直接次の工程に投入した。
(6)のNMRデータ:
1HNMR:δH(ppm,CDCl3):1.15−1.90(25H,m),2.24−2.43(2H,m),2.82(1H,bs),3.90−4.02(1H,m),4.25−4.32(1H,m)。
13CNMR:δC(ppm):22.44,22.58,28.06,28.53, 36.85,38.75,42.85,65.30,66.11,66.71,80.40,98.61,170.23。
【0053】
〔実施例7〕
アトルバスタチンシクロヘキシリデンアセタールt−ブチルエステル(7)のtert−ブチルシクロヘキシリデンアミン(6)からの製造
【化33】

油状のtert−ブチルシクロヘキシリデンニトリル(6)(72.0g、0.23mol、実施例6に従って製造された)、アトルバスタチンジケトン(98.9g、0.24mol)、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE;98.0g)、テトラヒドロフラン(THF;63.0g)及びトリエチルアミン(23.3g、0.23mol)を1,000mLの二口丸底フラスコに投入し、そして内容物を50℃に加熱した。ピバル酸(23.3g、0.23mol)を加え、反応混合物を、Dean-Stark条件及び不活性雰囲気下で、96時間還流下で加熱した。反応溶液を<30℃になるまでアルゴン雰囲気下で冷却した。反応混合物をペースト状になるまで蒸留し、生成物をIPA(144mL)に取り込み、得られたスラリーを60℃に加熱し、そしてこの温度に0.5時間保持した。スラリーを−5℃に冷却し、1時間保持した。アトルバスタチンシクロヘキシリデンアセタールt−ブチルエステル(7)を灰色を帯びた白色固体(116g、73%)として得た。
(7)のNMRデータ
1HNMR:δH(ppm,CDCl3):1.44(9H,s),1.53(8H,dd),1.64−1.49(4H,m)2.16−2.41(2H,m),3.59−3.89(3H,m),4.17−4.29(2H,m),6.85−7.26(14H,ArH)。
13CNMR:δC(ppm):21.55,21.66,22.42,25.64,26.03,28.06,28.41,36.24,38.19,38.67,40.99,42.62,65.09,65.50,80.65,98.72,115.33(d),119.52,121.71,123.46,126.54,128.21,128.23(d),133.1(d),128.81,130.49,133.09,133.20,162.25(d),164.77,170.32。
【0054】
〔実施例8〕
アトルバスタチンカルシウム(4)のアトルバスタチンシクロヘキシリデンアセタールt−ブチルエシテル(7)からの製造
【化34】

アトルバスタチンシクロヘキシリデンアセタールt−ブチルエステル(7)(5g、7.2mmol、実施例7に従って製造した)及びメタノール(50mL)を、温度計及びコンデンサーを装備した500mLの三口丸底フラスコに加えた。水(5mL)中37%塩酸(0.5mL)の溶液を投入し、フラスコの内容物を撹拌しながら加熱還流し、この温度に18時間保持した。反応溶液を常温まで冷却し、次いで、DIW(0.48mL)中水酸化ナトリウム(0.24g)の溶液を加えた。反応溶液をペースト状になるまで蒸留し、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(23mL)及びメタノール(10.5mL)を加え、次いで、脱イオン水(DIW)(48mL)中水酸化ナトリウム(0.29g)の溶液を加えた。フラスコの内容物を47〜52℃に加熱し、そして、この温度に少なくとも1時間保持した。反応はアルゴン雰囲気下、暗所で行った。反応溶液を25〜35℃に冷却し、pHをチェックした(pHは>10でなければならない)。相を分離させ、MTBE(20mL)を底部の水相に投入し、混合物を25〜35℃で約1時間撹拌した。底部の水相を分離し、次いでこれをMTBE(20mL)で更に2回洗浄した。別のフラスコに、DIW(28mL)中酢酸カルシウム半水和物(0.91g)の溶液を調製した。酢酸カルシウム溶液を、上記反応系に60〜90分かけて47〜57℃で投入し、5分後、添加を止め、反応溶液にアトルバスタチンカルシウム(300mg)を播種した。反応混合物を47〜57℃で0.5時間撹拌し、そして15〜25℃に冷却した。生成物を濾過して単離し、そしてDIW(12mL)/MeOH(9mL)の混合物で洗浄し、次いでDIW(25mL)で洗浄した。生成物をKarl Fischer滴定(KF)の結果が<4.8%になるまで、60〜70℃で乾燥した。アトルバスタチンカルシウム(4)を、白色固体(3.90g、90%)として得た。
生成物は、HPLCにより(面積で)純度98%であることが示された。本発明の方法により製造された生成物の保持時間は、従来法で製造されたものと同等であった。
【0055】
本出願に引用された付与済み特許、特許出願、及び学術論文を含むがそれらに限定されない全ての刊行物は、参照することによりそれらの全文が本明細書に取り込まれている。
【0056】
本発明は、開示した実施態様を参照しながらこれまで説明してきたが、当業者は、具体的な詳しい実験が、単に本発明を説明するためのものであることを容易に理解するであろう。従って、本発明は以下の特許請求範囲によってのみ限定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式(I):
【化1】

(ここで、Rはアルキル基である)
の化合物を好適な反応条件下で反応させて、式(II):
【化2】


(ここで、Rは上記で定義した通りであり、R1及びR2は、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン又はシクロヘキシリデン基を形成する)
の化合物を形成し、
(ii)式(II)の化合物を、好適な反応条件下で反応させて、式(III):
【化3】

(ここで、R、R1及びR2は、それぞれ上記で定義した通りである)
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を形成し、
(iii)式(III)の化合物を、好適な反応条件下で反応させて、式(IV):
【化4】

(ここで、RはH又は上記で定義した通りであり、R1及びR2は、それぞれ上記で定義した通りである)
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を形成し、そして
(iv)式(IV)の化合物を好適な反応条件下で反応させて、2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(
フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸(V):
【化5】

(ここで、RはH又は上記で定義した通りである)
又は薬学的に許容されるその塩を形成する;
工程を含む方法。
【請求項2】
RがC1−C4アルキル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rがイソプロピル又はtert−ブチルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Rがtert−ブチルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン基を形成する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロヘキシリデン基を形成する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
Rがイソプロピルである、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン基を形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン基を形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
(i)式(Ia):
【化6】

(ここで、Rはアルキル基である)
の化合物を好適な反応条件下で反応させて、式(IIa):
【化7】

(ここで、Rは上記で定義した通りであり、そしてR1及びR2は、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン又はシクロヘキシリデン基を形成する)
の化合物を形成し;
(ii)式(IIa)の化合物を好適な反応条件下で反応させて、式(IIIa):
【化8】

(ここで、R,R1及びR2は、それぞれ上記で定義した通りである)
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を形成し、
(iii)式(IIIa)の化合物を好適な反応条件下で反応させて、式(IVa):
【化9】

(ここで、RはH又は上記で定義した通りであり、R1及びR2は、それぞれ上記で定義した通りである)
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を形成し、そして
(iv)式(IVa)の化合物を好適な反応条件下で反応させて、[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸(Va):
【化10】

(ここで、RはH又は上記で定義した通りである)
又は薬学的に許容されるその塩を形成する;
工程を含む方法。
【請求項11】
RがC1−C4アルキル基である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Rがイソプロピル又はtert−ブチルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Rがtert−ブチルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン基を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロヘキシリデン基を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
Rがイソプロピルである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン基を形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン基を形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
式(Va)の化合物が、式(VI):
【化11】

の化合物、又は[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)・三水和物である、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
式(II):
【化12】

(ここで、Rはアルキル基であり、そしてR1及びR2は、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン又はシクロヘキシリデン基を形成する)
の化合物。
【請求項21】
RがC1−C4アルキル基である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Rがイソプロピル又はtert−ブチルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Rがtert−ブチルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン基を形成する、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロヘキシリデン基を形成する、請求項23に記載の化合物。
【請求項26】
Rがイソプロピルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項27】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン基を形成する、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
1及びR2が、それらが結合している原子と一緒になってシクロペンチリデン基を形成する、請求項26に記載の化合物。

【公開番号】特開2008−150376(P2008−150376A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−325500(P2007−325500)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】