説明

gp120に親和性を有するペプチド

【課題】HIVの最外殻を構成するgp120分子に対して親和性を有しており、しかも安定性にも優れたペプチドの提供。
【解決手段】式(1):H−A1-A2−A3−A4−A5−R(式中、Hは、水素原子を示し、A1は、Asp、Lys、Val、Glu、Gly、Asn、またはTyrの残基、A2は、Val、Asp、Trp、Lys、Phe、Ile、Leu、またはTyrの残基、A3は、Lys、Val、Asp、Arg、Ala、またはTrpの残基、A4は、Ala、Trp、Glyの残基、A5は、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Met、Asn、Gln、His、Lys、Arg、Phe、Trp、Pro、またはTyrの残基、Rは、カルボキシル基由来のOHまたは酸アミド基由来のNHである)で表されるペプチドであり、特定のアミノ酸配列からなるgp120に対して親和性を有するペプチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(humanimmnodeficiency virus:HIV)の最外殻を構成するgp120分子に対して親和性を有するペプチドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
HIV感染症に対する治療法としては、ヌクレオシド誘導体である3'-azido-2',3'-dideoxythymidine(AZT)に代表される如く、主に化学療法が用いられている。上記AZT或いはその後開発されたプロテアーゼ阻害剤による治療法によって、HIV感染者の延命効果は見られたものの、化学療法自体に起因する様々な問題は依然として回避されていない。
【0003】
かかる問題としては、第1に、長期投与により慢性毒性が表れること;第2に、治療中に薬剤耐性HIV株が出現すること;第3に、延命効果が見られた患者に悪性腫瘍が多発すること;第4に、治療の最終目標である免疫応答の回復が得られないこと;第5に、治療効果のモニター方法がないこと等が挙げられる。この様に化学療法は、HIV感染を根本的に治療し得る治療法とはなり得ないことから、ワクチンの開発が期待されている。
【0004】
一般にワクチンと言えば、ウイルス等の微生物を化学処理することにより、その構造を変えることなく不活性化したもの(不活性化ワクチン);病原性を失った弱毒株や天然痘ウイルスに対する牛痘ウイルス等の様に、ヒトに致死的作用を及ぼさない類似株(生ワクチン)が使用されている。しかしながら、HIVそのものは、元来弱毒株であるにもかかわらず、宿主細胞に一旦進入すると長期間滞在し得、次第に該宿主細胞の機能を破壊することが知られており、しかもHIVの宿主細胞が、主に免疫機能を司るリンパ球であること;更にHIVが凍結乾燥血液製剤を介して血友病患者に蔓延したこと等を考慮すれば、不活性化・弱毒化のいずれかの途を選択するにせよ、HIVそのものをワクチンに用いることは、安全性の面で問題が多い。
【0005】
従って、HIVワクチンの開発に当たっては、ウイルス最外殻の一部を使ってペプチドワクチンを作製することにより感染を防止するのが理想的である。
【0006】
この様な観点から、多くの研究者が、ウイルス最外殻を構成するgp120分子のエピトープ解析を行っており、上記gp120分子のエピトープとしてV3領域(3rd hypervariable region)に注目したが、この領域は非常に変異の激しい領域であった[Palker T.J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2709-2713,1988; Rusche J.R., et al., ibid 85:3198-3202,1988; Gouddsmit J., etal., ibid 85:4478-4482.1988; Matsushita S., et al., J Virol. 62:2107-2114,1988]。その後、この領域の一部を用いてペプチド抗原を作製し、猿を用いたHIV感染阻止実験[Emini E.A., et al., Nature 355: 728-730, 1992]が行われたが、有効な臨床結果はまだ報告されていない。
【0007】
また、上記ペプチド抗原の免疫源性を高める工夫もされている(Tam et al.,特表平3-503539号)が、V3領域等のエピトープとして好適なV領域の大部分は、変異や欠失が頻繁に生じることから、所望とするワクチンを未だ得るに至っていない。
【0008】
更に、V3領域の一部を抗原に作製した抗体を使って、HIVのリンパ球感染阻止を狙った所謂中和抗体の開発も行われている。例えば特願昭63−171385号公報には、上記領域の部分ペプチドを抗原として用い、マウスでモノクローナル抗体を作製し、そのFab'をタンパク質レベルで、或いは遺伝子工学的手法により結合させて、最終的にヒト抗体分子とマウス抗体分子をハイブリッドした抗HIVキメラ抗体を作製する方法が報告されている。しかしながら、この様な中和抗体にしても、HIVのリンパ球への感染阻止能は実験室レベルのものに過ぎず、実用上、有用な中和抗体は未だ得られていないのが現状である。
【0009】
一方、前述した通り、化学療法では薬剤耐性や副作用発生等の問題があることから、かかる問題のない血漿交換療法により、HIVを生体から除去しようという考えもある。具体的には、血漿交換用に使われる濾過膜のポアーサイズを小さくして該HIVを除去する方法が考えられるが、HIVは約70nmとかなり小さいことから、ポアーサイズを均一にすることが困難であること;また、血漿濾過時における目詰まりが生じること等の可能性があり、その結果、濾過膜の耐圧性が劣化する等、解決すべき技術的課題が多い。そこで、HIVに特異的な親和性を持つリンパ球由来のCD4タンパク質を血漿交換用吸着担体に利用する方法も考えられるが、CD4は高圧滅菌により変性し、親和性を喪失する為、医療用具として使用することはできない。また、上記CD4に代わり、HIVに親和性のある高分子ポリマーや、色素リガンドの如く高圧滅菌耐性のものを使用する方法もあるが、これらは元々、HIVに対する特異性がない為、HIVが吸着する前に血液成分が該ポリマー等に非特異的に吸着してしまい、HIVの吸着が阻害されてしまうので使用することはできない。
【0010】
この様に、HIV治療剤の開発を目的として、ワクチンや中和抗体を作製する研究が盛んに行われているが、未だ有用な治療剤は得られていない。
【0011】
この様な現状に着目し、本発明者らは、抗体と同等か、或いはそれ以上にgp120に強い特異性を有し、しかも耐高圧滅菌性にも優れたペプチドを開発し、既に出願を済ませている(特願平8-351474および特願平8-351475)。このペプチドは、基本的に3個のアミノ酸配列からものであるが、その後の研究により、当該ペプチドのgp120に対する親和性は、それに連なるアミノ酸の種類や数により低下することが分かった。そこで、より安定性に優れたペプチドの提供が切望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的は、HIVの最外殻を構成するgp120分子に対して親和性を有しており、しかも安定性にも優れた新規なペプチド、及び該ペプチドを用いた様々な利用態様を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決することのできた本発明の第1のペプチドとは、式(1):H−A1-A2−A3−A4−A5−R(式中、Hは、水素原子を示し、A1は、アスパラギン酸、リジン、バリン、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、またはチロシンの残基、A2は、バリン、アスパラギン酸、トリプトファン、リジン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、またはチロシンの残基、A3は、リジン、バリン、アスパラギン酸、アルギニン、アラニン、またはトリプトファンの残基、A4は、アラニン、トリプトファン、グリシンの残基、A5は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、またはチロシンの残基、Rは、カルボキシル基由来のOHまたは酸アミド基由来のNHである)で表されるgp120に対して親和性を有するペプチドであるところに要旨を有するものである。
【0014】
即ち、本発明の第1のペプチドは、上記A1、A2、A3、A4およびA5からなる5個のアミノ酸配列を基本構成とするペプチドであり、この様なアミノ酸配列を含むペプチドは、全て本発明の範囲に包含される。従って、式(2):A1’−A2−A3−A4−A5−R(式中、A1’は、アスパラギン酸、リジン、バリン、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、またはチロシンの残基、若しくは、該アミノ酸を始端として、そのN末端側に任意のアミノ酸が配列したポリペプチド残基、A2、A3、A4、A5およびRは前と同じ意味)で表されるgp120に対して親和性を有するペプチドや、或いは、式(3):H−A1−A2−A3−A4−A5’−R(式中、A5’は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、またはチロシンの残基、若しくは、該アミノ酸を始端として、そのC末端側に任意のアミノ酸が配列したポリペプチド残基、H、A1、A2、A3、A4およびRは前と同じ意味)で表されるgp120に対して親和性を有するペプチドも、全て本発明の一態様であると言うことができる。
【0015】
また、上記課題を解決することのできた本発明の第2のペプチドとは、式(4):H−a1−a2−a3−a4−a5−R(式中、Hは、 水素原子を示し、a1は、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、グリシン、トリプトファン、ヒスチジン、またはアスパラギン酸の残基、a2は、アルギニン、チロシン、トリプトファン、アラニン、バリン、グルタミン、ヒスチジン、またはリジンの残基、a3は、リジン、チロシン、アルギニン、グルタミン酸、メチオニン、またはトリプトファンの残基、a4は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンの残基、a5は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンの残基、Rは、カルボキシル基由来のOHまたは酸アミド基由来のNHである)で表されるgp120に対して親和性を有するペプチドであるところに要旨を有するものである。
【0016】
即ち、本発明の第2のペプチドは、上記a1、a2、a3、a4およびa5からなる5個のアミノ酸配列を基本構成とするペプチドであり、この様なアミノ酸配列を含むペプチドは、全て本発明の範囲内に包含される。従って、式(5):a1’−a2−a3−a4−a5−R(式中、a1’は、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、グリシン、トリプトファン、ヒスチジン、またはアスパラギン酸の残基、若しくは、該アミノ酸を始端としてそのN末端側に任意のアミノ酸が配列したポリペプチド残基、a2、a3、a4、a5およびRは前と同じ意味)で表されるgp120に対して親和性を有するペプチドや、或いは、式(6):H−a1−a2−a3−a4−a5’(式中、a5’は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンの残基、若しくは、該アミノ酸及びアミノ酸誘導体を始端として、そのC末端側に任意のアミノ酸が配列したポリペプチド残基、H、a1、a2、a3およびa4は前と同じ意味)で表されるgp120に対して親和性を有するペプチドも、全て本発明の一態様であると言うことができる。
【0017】
また、上記第1若しくは第2のペプチドに、官能基を有する高分子化合物及び/又は医薬活性物質が結合した化合物または医薬として許容されるその塩類も本発明の範囲内に包含される。
【0018】
尚、これらのペプチド性化合物や化合物を含有するものは、換言すれば、gp120に対する親和剤と呼ぶことができる。
【0019】
更に、上記ペプチドまたは医薬として許容されるその塩類、並びに薬学的に許容される担体及び/又は医薬活性物質を含有する組成物も本発明の範囲内に包含される。また、上記のペプチドを用いてHIV等のウイルスを検出、診断、除去等する様々な態様(例えば、HIV診断検査薬若しくは該検査薬を含む検査キットに利用したり、HIV吸着除去剤に利用したり、血漿交換療法に利用したりする等の態様)も本発明の範囲内に包含される。
【0020】
尚、本発明に用いられる「ペプチド」には、ペプチドのC末端がCOOHであるものの他、酸アミドやエステル等になっているものも含み、また、結合するアミノ酸の数にしても、特に明記しない限り、アミノ酸が10個以下のオリゴペプチドから、それ以上のポリペプチドまで包含するものとする。
【0021】
また、上記ペプチドを構成するアミノ酸には、官能基を保護基で保護したアミノ酸誘導体も含まれる。この様なアミノ酸誘導体として、ペプチド骨格そのものを代えることなく側鎖の官能基が置換若しくは修飾されたもの;炭素鎖の鎖長を代えたもの等、各種アミノ酸に対応した保護アミノ酸誘導体が市販されているが、本発明では、これらの各種アミノ酸を使用することができる。例えばチロシンの誘導体として、クロル基を側鎖に持つ2,6-dichloro-L-tyrosine、フェニルアラニンの側鎖のフェニル基のp位の水酸基をニトロ基に置換したp-Nitro-L-phenylalanine、該水酸基をクロル基に置換した4-chloro-L-phenylalanine等が挙げられ、また、バリンの誘導体としては、Norvaline:N-α-L-norvaline、或いはMeVal:N-α-methyl-L-valine等が挙げられる。
【発明の効果】
【0022】
上述した通り、本発明のペプチドはgp120に対し、安定して優れた親和性を有するものであり、従来の抗体分子に匹敵するだけの中和活性を持った抗HIV剤として、その凝集能を用いたHIV診断薬として、更には、抗体分子にない物理的な安定性を活用した、高圧滅菌を必要とするHIV除去用デバイス等の医療用具として、極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明者らは、従来のHIV治療剤を用いたのでは、ワクチンにしても中和抗体にしても、実用レベルの成果が何ら得られなかった理由として、生体が抗原として認識できるHIVの領域が、その最外殻を構成するgp120の変異の激しいV領域であることに最大の問題があるという観点に基づき、生体が作製する抗体に代わって、gp120に親和性を有するペプチドを得ることに着目し、鋭意検討してきた。その結果、抗体と同等か、或いはそれ以上にgp120に強い特異性を有し、しかも耐高圧滅菌性にも優れたペプチドを開発し、既に出願を済ませている(特願平8-351474および特願平8-351475)。
【0024】
ところがその後の研究により、上記ペプチドのgp120に対する親和性は、それに連なるアミノ酸の種類や数により低下するという知見が得られた。そこで、より安定性に優れたペプチドを提供すべく更に検討を重ねた結果、本発明を完成したのである。
【0025】
尚、本発明における「親和性」とは、静電力や、水素結合、Van der Waals力、疎水性結合等の共有結合以外の弱い相互作用が合わさった特異的な強い結合を表す。
【0026】
本発明のペプチドは、上記の様に構成されており、基本的には、(i)式(1):H−A1-A2−A3−A4−A5−R(式中、A1,A2,A3,A4,A5およびRは前と同じ意味)或いは、(ii)式(4):H−a1−a2−a3−a4−a5−R(式中、a1,a2,a3,a4,a5およびRは前と同じ意味)で表される5個のアミノ酸残基から成るペプチドである。これらのペプチドは、この様に独立した分子であっても良いし、或いはポリペプチド中に、上記(i)のペプチドにおいては、式(2):A1' −A2−A3−A4−A5;若しくは式(3):A1−A2−A3−A4−A5'のアミノ酸配列が、また、上記(ii)のペプチドにおいては、式(5):a1' −a2−a3−a4−a5;若しくは式(6):a1−a2−a3−a4−a5'(式中、A1' ,A2,A3,A4,A5' ,a 1' ,a2,a3,a4,a5' は夫々前と同じ意味)のアミノ酸配列が、夫々この順序でN末端側から配されたものであっても構わない。勿論、そのなかには、A1' −A2' −A3' −A4' −A5' やa1' −a2' −a3' −a4' −a5' がこの順序で繰り返し配してなるペプチドも含まれる。要するに、上述した5個のアミノ酸残基からなるペプチドを含み、gp120に対して親和性を有するペプチドは、全て本発明の範囲内に包含されるのである。
【0027】
本発明のペプチドは、固相合成法等の公地の方法により製造することができる。例えば、A1−A2−A3−A4−A5からなる本発明第1のペプチドを合成する場合、A5がグリシン残基の場合は、N−保護グリシンのカルボキシル基をカルボキシル基と結合し得る官能基をカップリングさせた不溶性樹脂の様な担体に結合させた後、A2からA5までの各保護アミノ酸を固相合成法により順次結合させ、次いで、上記不溶性樹脂およびアミノ酸の保護基を脱離させることにより、所望のペプチドを得ることができる。尚、A5のアミノ酸残基のカルボキシル基末端は、フリー(即ち、Rが−OHに相当)であっても良いし、或いは酸アミド(即ち、Rが−NHに相当)に変換されていても良い。また、A5のカルボキシル基末端は、必要に応じて該カルボキシル基に結合しているスペーサーのカルボキシル基と共に、合成高分子や生体高分子等、官能基を有する繁用の高分子化合物と結合しても良い(後記する)。尚、上記固相合成法に使用されるアミノ酸は、共通してL体であっても良いし、或いは共通してD体であっても構わない。より好ましくはL体である。
【0028】
上記の場合において、固相合成法に使用される担体としては、そのアミノ基を介してC末端のN−保護グリシンのカルボキシル基、または該カルボキシル基と結合可能であり、しかも結合後に脱離可能なものであれば制限されず、例えば、クロロメチル樹脂(クロロメチル化スチレン−ジニビニルベンゼン共重合体等)やオキシメチル樹脂(オキシメチルスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等)等が挙げられる。また、カルボキシル基と結合し得る官能基及び該カルボキシル基を有するスペーサーを介して、アミノ基を有する不溶性樹脂に結合させた4−(オキシメチル)フェニルアセタミドメチル樹脂等の樹脂、ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、アミノ基を有する不溶性樹脂であるベンズヒドリルアミン樹脂、メチルベンズヒドロキシリルアミン樹脂、アミノメチルフェノキシメチル樹脂、ジメトキシベンズヒドリルアミン(DMBHA)樹脂、およびこれらの誘導体等が挙げられる。このうち、ベンズヒドリルアミン樹脂、メチルベンズヒドロキシリルアミン樹脂、アミノメチルフェノキシメチル樹脂、およびDMBHA樹脂は、結合後、開裂することにより直接酸アミドが得られる。収率の観点からすれば、アミノメチル樹脂の使用が好ましい。
【0029】
また、カルボキシル基と結合し得る官能基および該カルボキシル基を有するスペーサーとしては、例えばグリシンのカルボキシル基をp−カルボキシメチルベンジルエステルに変換し得るものが挙げられる。
【0030】
また、上記「保護アミノ酸」とは、官能基を公知の方法により保護基で保護したアミノ酸を意味し、各種の保護アミノ酸が市販されている。本発明のペプチドを合成するには、以下に示す保護基のいずれかを使用するのが好ましい。
【0031】
例えばアミノ酸のα−アミノ基の保護基としては、Boc(t−ブチルオキシカルボニル)またはFmoc(9−フルオレノメチルオキシカルボニル);リジンのξ−アミノ基の保護基としては、Z(ベンジルオキシカルボニル),Cl・Z(2−クロロベンジルオキシカルボニル),Boc,Npys(3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル);チロシンの水酸基の保護基としては、Bzl(ベンジル),Cl2・Bzl(2,6−ジクロロベンジル)或いはt−Bu(t−ブチル)が挙げられるが、該チロシンの水酸基は上記保護基で保護されていなくても良い;アルギニンのグアニジノ基の保護基としては、Tos(トシル),NO2(ニトロ),Mtr(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル)またはpmc(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマンー6ースルホニル);グルタミン酸のカルボキシル基の保護基としては、Bzlエステル,t−Buエステル,cHx(エステルサイクロヘキシルエステル);グルタミンのアミド基の保護基としては、Trt(トリチル)が挙げられるが、該保護基で保護されていなくても良い;トリプトファンのインドール基の保護基としては、ホルミル基またはBocが挙げられるが、該保護基で保護されていなくても良い。これらの保護基は、ペプチドの合成条件に応じて最も適切なものを、適宜選択して使用することができる。
【0032】
保護アミノ酸の結合は、通常の縮合法、例えばDCC(ジクロロヘキシカルボジイミド)法(R.B. Merrifield: Biochemistry,3,1385,1964),DICDI(ジイソプロピルカルボジイミド)法(D. Sarantakis,et al: Biochem. Biophys.Res. Commun., 73, 336, 1976),活性エステル法(F. Weygand, et al : Z. Naturforsch., B, 21, 1141, 1966),混合或いは対称酸無水物法(D. Yamashiro,et. al: Proc. Natl.Acad.Sci. USA, 71, 4945, 1945),カルボニルジイミダゾール法,DCC−HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)法(Keonig,W., et al.; Chem. Ber., 103: 788, 1970),ジフェニルホスホリルアジド法等に従って行うことができるが、なかでもDCC法、DCC−HOBt法、DICDI−HOBt法、対称酸無水物法を使用することが好ましい。これらの縮合反応は、通常、ジクロロメタンやジメチルホルムアミド等の有機溶媒、またはそれらの混合液中で行われる。
【0033】
尚、α−アミノ基の保護基の脱離試薬としては、トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン,HCl/ジオキサン,ピペリジン/ジメチルホルムアミド等が用いられ、使用する保護基の種類により適宜選択することができる。また、合成の各段階における縮合反応の進行の程度は、ニンヒドリン反応法(E. Kaiser, et al, Anal. Biocehm., 34: 595, 1970)により確認することができる。
【0034】
この様にして、上式で表されるアミノ酸配列を有する保護ペプチド樹脂を得た後、不溶性樹脂およびアミノ酸の保護基を脱離させることにより、所望のペプチドを得ることができる。具体的には、例えば、不溶性樹脂としてクロロメチル樹脂誘導体を用いた場合にはアニソールを添加してフッ化水素で処理すれば良い。また、不溶性樹脂としてベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、DMBHA樹脂(Funakoshi, S., J.Chem.Soc.,Chem. Commun.,198:382,1988)を用いた場合には、フッ化水素、TFMSA(トリフルオロメタンスルホン酸)、TMSOTF(トリメチルシリルトリフルラート)、またはTMSBr(トリメチルシリルブロミド)等で処理することにより、該樹脂および保護基を同時に脱離させることができる。
【0035】
この様にして得られたペプチドは、各種クロマトグラフィー(ゲル濾過、イオン交換、分配、吸着、逆相),電気泳動,限外濾過等の公知手段により単離精製することができる。
【0036】
また本発明では、上記ペプチドを遺伝子組換え法によって得られる類似蛋白質(抗体、レセプター、酵素等の活性中心や結合ドメイン)で置換させたものも、本発明のペプチドとして用いることができる。例えば、ヒト型抗gp120抗体を遺伝子組換え法により製造する場合には、米国特許第114632号に記載の方法に準じて、ヒトイムノグロブリンのV遺伝子領域中、エピトープの認識に関係していると言われているVH31から35番までのCDR(complementaritydetermination region)−1の全領域、CDR−2のVH50から52番まで、及び/又はCDR−2のVH58から60番までの3つの超可変群(Hypervariable cluster )のアミノ酸(Ohno, S., Mori, N. & Matunaga, T.; Proc. Nat.Acad. Sci. USA, 82, 2945, 1985)に、上記本発明のペプチドを導入する等すればよい。
【0037】
この様に上記本発明のペプチドを、その目的に応じて遺伝子組換え法により置換させることにより、gp120結合型の蛋白質を作製することができる。
【0038】
本発明第1のペプチドの具体例としては例えば表1〜2に示すものが、また、本発明第2のペプチドの具体例としては例えば表3〜4に示すものが夫々挙げられる。尚、表中の*は、後記する実施例に記載の方法に基づいて凝集試験及び中和試験を実施した場合、凝集若しくは中和が見られたことを意味する。尚、表1のNo.24は本発明第1のペプチドにも該当するし、本発明第2のペプチドにも該当するものである。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】
式中の各アミノ酸記号は、国際的に認められた三文字表示によるアミノ酸残基を示すものであり、その詳細は下記の通りである。
Tyr:チロシン
Lys:リジン
Trp:トリプトファン
Arg:アルギニン
Glu:グルタミン酸
Gln:グルタミン
His:ヒスチジン
Ala:アラニン
Phe:フェニルアラニン
Gly:グリシン
Met:メチオニン
Asp:アスパラギン酸
Asn:アスパラギン
Val:バリン
Ser:セリン
Cys:システイン
Thr:トレオニン
Ile:イソロイシン
Leu:ロイシン
Pro:プロリン
【0044】
この様なアミノ酸配列を有するペプチドは、gp120に対して優れた親和性を有しており、以下に示す化合物または組成物の形態をとることによって、抗HIV剤として有効に用いることができる。
【0045】
本発明の化合物は、上記ペプチドに、官能基を有する高分子化合物及び/又は医薬活性物質が結合したものであり、医薬として許容されるその塩類も本発明のなかに包含される。
【0046】
ここで、「医薬として許容される塩類」としては、例えば以下の様な常用の無毒性の塩類が挙げられる。
【0047】
(a)無機塩基等の塩基との塩として、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩;(b)有機塩基塩等の塩基との塩として、有機アミン塩(例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N' −ジベンジルエチレンジアミン塩等);(c)無機酸等の酸との塩として、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸等;(d)有機酸等の酸との塩として、有機カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸等)、有機スルホン酸(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、酸性糖(グルクロン酸、ガラクトン酸、グルコン酸、アスコルビン酸等)。
【0048】
また、本発明に用いられる「官能基を有する高分子化合物」は、本発明のペプチドと結合することのできる官能基を有するものであれば特に限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。
【0049】
(1)合成高分子化合物
上記高分子化合物としては、直鎖状ポリマー、分岐状ポリマー、環状ポリマー等任意のものが用いられ、例えばポリリジン,ポリグルタミン酸等のアミノ酸ホモポリマー,或いは環状ポリアミン,サイクロデキストリン,環状ペプチドの他,ポリスチレン,ポリプロピレン,ナイロン,シリカゲル,ポリエチレングリコール,セルロース,ポリアクリルアミド等の不溶性の固相担体を使用することができる。
【0050】
このうち分岐状ポリマーは、ポリマー中の分子の一部が分岐することにより、単位当たりの官能基濃度が、通常の直鎖状ポリマーよりも高いものである。例えばDenkewalter により開示されたリジンコアー等の様に、少なくとも2個以上の官能基を有するコアー分子に由来する2本以上の同一分子鎖に基づくポリマー(米国特許No.4,289,872号)、或いはTomaliaらによって提唱されている同一分子が連続的に反応することによりポリマーサイズが厳密な規則性を有するスターバーストデンドリマー(Starburst dendrimer )の様なものであっても良いし、或いは、同一/異なった分子が不連続に反応することによりサイズが不規則に形成された分子であっても構わない。また、上記直鎖状/分岐状ポリマーは、充分な大きさを有する担体分子である必要はなく、通常はコアーとは認識されない様な3個程度のモノマーを含むものも包含され、その大きさや導入数によって何ら制限されるものではない。但し、上式のペプチドを多数導入させる場合には、いずれのポリマーであっても、分岐数が多いポリマーの使用が推奨される。本発明のペプチドを上述したポリマーに結合させるに当たっては、分岐した官能基からそのまま直接的/間接的に、上記ペプチドを合成して伸長させても良いし、或いは、別途新規に合成したペプチドを、該ポリマーの官能基に直接的/間接的にコンジュゲートしても良い。
【0051】
また、環状ポリアミン,サイクロデキストリン,環状ペプチド等の環状ポリマーを結合させるに当たっては、その同一官能基から上式のペプチドを直接合成して伸長させても良いし、或いは、別途新規に合成したペプチドを、該環状ポリマーの官能基に直接的/間接的に結合させても良い。また、シリカゲル等の不溶性担体を結合させるに当たっては、予め同一官能基を上記担体に導入した後、その官能基から直接上式のペプチドを合成して伸長させても良いし、或いは、別途新規に合成したペプチドを、該不溶性担体の官能基に直接的/間接的にコンジュゲートしても良い。また、この同一官能基を有する担体の大きさや形状は特に限定されず、球状、中空糸状、繊維状等の形状のものを使用目的により適宜選択して使用すれば良く、大きさや形状、導入された官能基の数によって何ら制限されるものではない。
【0052】
(2)生体高分子
上記生体高分子としては、例えばヘパリン、ヒアルロン酸、キトサン、キチン等の直鎖状多糖類;プロテオグリカン類,ペプチドホルモン;ゼラチン,アルブミン,抗体,抗体断片等のタンパク質等が挙げられる。
【0053】
このうち直鎖状ポリマーの大きさは、使用目的に応じて適宜選択すれば良く、通常はポリマーとは認識されない様な3個程度のモノマーを含むものも包含され、その大きさや官能基の数によって何ら制限されるものではない。上式のペプチドをこの直鎖状ポリマーに結合させるに当たっては、その同一官能基から上記ペプチドを直接合成して伸長させても良いし、或いは、別途新規に合成したペプチドを、該直鎖状ポリマーの官能基に直接的/間接的にコンジュゲートしても良い。
【0054】
また、ペプチドホルモンやタンパク質を結合させる場合には、上式のペプチドのいずれか末端にシステインを結合させて、上記ペプチドホルモン/タンパク質中のシステイン残基とS−S結合させるか、或いは、上式のペプチドの官能基とペプチドホルモン/タンパク質中の官能基を直接的/間接的にコンジュゲートしても良い。この様に、これらの結合方法は、使用目的に応じて適宜選択することができるし、また、その種類や上式のペプチドの導入数にしても同様である。
【0055】
また、本発明に用いられる医薬活性物質としては、例えば抗HIV阻害剤として知られているヌクレオシド誘導体のAZT,HIVプロテアーゼ阻害剤として知られている3,4-Dihydroxy-2,5-di[N-methyl-(2-pyridylmethyl)carbamoyl]valylamino]−1,6-diphenylhexane 等があげられる。これらの医薬活性物質は、本発明のペプチドの活性部位を避けて直接的/間接的にコンジュゲートすることにより、副作用がなく、HIVに特異的な製剤を得ることができる。従って、この様な製剤は、HIVを特異的に治癒することのできる治療剤として有用である。
【0056】
更に、上述した本発明のペプチドまたは医薬として許容されるその塩類、並びに薬学的に許容される担体及び/又は医薬活性物質を含有する組成物も本発明の範囲内に包含される。
【0057】
上記の「薬学的に許容される担体」としては、賦形剤(崩壊剤、滑沢剤、増量剤等)、着色料、着香料、保存料、安定剤、その他常用の担体を適宜使用することができる。具体的には、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、食用色素、芳香性精油類等が挙げられる。
【0058】
以下実施例に基づいて本発明を詳述する。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
【実施例】
【0059】
合成例1:本発明ペプチドにポリエチレングリコールを結合させた化合物
ポリエチレングリコール(MW.20,000)の水酸基に無水コハク酸を反応させることによりカルボキシル基を導入した後、MBS(m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミド)と反応させることにより、マレイミド化したポリエチレングリコールを合成した。
【0060】
それに、前記表1におけるNo.1のペプチドのC末端にシステインを導入したペプチドをペプチド結合させることにより、ペプチド−ポリエチレングリコール結合化合物を得た。得られた化合物をリン酸緩衝液で懸濁した後、gp120結合担体によるアフィニティー、及びゲルクロマトグラフィー等を行って精製した。
【0061】
合成例2:本発明ペプチドにサイクロデキストリンを結合させた化合物
α−サイクロデキストリンの水酸基に無水コハク酸を反応させることによりカルボキシル基を導入した後、MBS(m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミド)と反応させることにより、マレイミド化したサイクロデキストリンを合成した。
【0062】
一方、前記表3におけるNo.12のペプチドのC末端にシステインをペプチド結合させたペプチドを固相合成法で合成した後、得られたペプチドと、上記マレイミド化したサイクロデキストリンを反応させることにより環状生成物を得た。
【0063】
合成例3:本発明ペプチドに分岐状ポリマーを結合させた化合物(1)
MAPs(Multiple antigenic peptide)のN末端アミノ酸側を前記表1におけるNo.1のペプチドで伸長し、分岐状ポリマーに結合させた化合物を得た。得られた化合物をリン酸緩衝液で懸濁した後、gp120結合担体によるアフィニティクロマトグラフィー、及びゲルクロマトグラフィー等を行って精製した。
【0064】
合成例4:本発明ペプチドに分岐状ポリマーを結合させた化合物(2)
MAPsのN末端アミノ酸側を前記表3におけるNo.12のペプチドで伸長し、分岐状ポリマーに結合させた化合物を得た。得られた化合物をリン酸緩衝液で懸濁した後、gp120結合担体によるアフィニティクロマトグラフィー、及びゲルクロマトグラフィー等を行って精製した。
【0065】
合成例5:本発明ペプチドにAZTを結合させた化合物
ブロモ酢酸にクロロギ酸イソブチルを反応させて混合無水とした後、これをAZTの水酸基と反応させてエステル化することによりブロモアセチルエステル−AZTを合成した。
【0066】
一方、前記表3におけるNo.12のペプチドのC末端にシステインをペプチド結合させたペプチドを固相合成法で合成した後、得られたペプチドと、上記のブロモアセチルエステル−AZTを反応させることにより、該ペプチドとAZTの架橋生成物を得た。
【0067】
合成例6:本発明ペプチドに、不活性化したアルカリホスファターゼを結合した化合物
不活性化したアルカリホスファターゼ(Alp)にMBS(m−マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミド)を反応させることにより、マレイミド化したアルカリホスファターゼを合成した。そして、そのマレイミド基にC末端側にシステインを導入した前記表3におけるNo.8のペプチドを結合させ、アルカリホスファターゼ結合化合物を得た。尚、アルカリホスファターゼの不活性化は、基質としてp−ニトリルフェニルリン酸を用い、p−ニトリルフェノールの生成がないことを確かめることにより確認した。
【0068】
合成例7:本発明ペプチドをセファデックス6MBに結合させた吸着除去用担体(1)
前記表1におけるNo.1のペプチドを、スペーサーを介して予め活性化されたSephadex 4Bに共有結合させ、ペプチド/Sepharose 6MB(1μmol of gp120/ml in bed volum)を作製した。未反応のペプチドは、リン酸緩衝液を用いて室温で10分間(12,000rpm)遠心し、上清を吸引除去する操作を繰り返すことにより、未反応ペプチドを除去した。
【0069】
合成例8:本発明ペプチドをセファデックス6MBに結合させた吸着除去用担体(2)
前記表3におけるNo.12のペプチドを、スペーサーを介して予め活性化されたSephadex 4Bに共有結合させ、ペプチド/Sepharose 6MB(1μmolのgp120/ml in bed volume)を作製した。未反応のペプチドは、リン酸緩衝液を用いて室温で10分間(12,000rpm)遠心し、上清を吸引除去するという操作を繰返すことにより除去した。
【0070】
合成例9:本発明ペプチドをセファデックス4Bに結合させた吸着除去用担体
前記表3におけるNo.12のペプチドを、予め活性化されたSephadex 4Bに共有結合させ、ペプチド/Sepharose 4B(1μmolのgp120/ml in bed volume)を作製した。未反応のペプチドは、リン酸緩衝液を用いて室温で10分間(12,000rpm)遠心し、上清を吸引除去するという操作を繰返すことにより除去した。
【0071】
合成例10:本発明ペプチドをセルロース系担体に結合した吸着除去用担体
前記表3におけるNo.12のペプチドをペルオキシ化したセルロース担体と反応させてセルロースに共有結合させ,グリシンによってブロッキングした後、炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH8)およびリン酸緩衝液(pH4)で充分洗浄し、作成した。
【0072】
実施例1:中和活性の測定
本実施例では、表5及び表6に示す種々のペプチドを使用し、HIV−1に対する中和活性を調べた。
【0073】
具体的には、96ウエルのマイクロプレート中に、上記ペプチドを50μL;ウイルス液として、200TCID50のHTLV−III B(実験室株)、200TCID50のKK−1株(新鮮分離株,大竹徹ら、感染症雑誌、64, 1284〜1294, 1990 )を夫々50μL;および正確に段階的に2倍希釈した上記ペプチドを50μL加えて混合した。尚、陽性対照としてはAZTを使用した。
【0074】
37℃で30分間反応させた後、更に3×10個のMT−4細胞浮遊液を100μL加え、湿度98%,5%CO2 の存在下にて37℃で6日間培養した。培養後、HIV−1の増殖による細胞変性効果(CPE)、即ち、薬剤を段階的に希釈して加え、感染した細胞が集合してアイランドを形成する状態(フォーカス形成)になったとき、この希釈倍率の前段階を中和活性量(感染阻止濃度)として判定した。これらの結果を表5及び表6に併記する。
【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
表5および表6の結果から明らかな様に、本発明の要件を満足しないペプチドはいずれもHIV−1株に対して中和活性を示さないのに対し、本発明の要件を満足するペプチドはいずれも、HIV−1株に対して優れた中和活性を示すことが分かった。尚、表5に示す本発明ペプチドは本発明第1のペプチドを、表6に示す本発明ペプチドは本発明第2のペプチドを夫々示す。また、これらの本発明ペプチドを用いれば、実験室株のみならず新鮮分離株を使用した場合にも優れた中和活性が認められることから、本発明のペプチドは、実験室レベルを超えた実用レベルでも極めて有用であることが示唆される。
【0078】
実施例2:凝集試験
本実施例では、表7〜10に示すペプチドを使用し、gp120に対する親和性を凝集試験により評価した。
【0079】
1%活性化ラテックスビーズ(Polyscience 社製,粒子径0.2mm)懸濁液およびアビジン(10mg/mL)を等量混和した後、37℃で1時間反応させた。反応終了後、ウシ血清アルブミン(BSA,1mg/mL)を加え、未反応活性部位のブロッキング化を37℃で30分間行った。次いで、遠心操作を繰り返すことにより未反応物を除去した後、ビオチニル化させた各ペプチド(10mg/mLのリン酸緩衝液,pH7.5)を添加し、37℃で1時間反応させることにより、抗gp120凝集検査試薬を得た。
【0080】
陽性対照としては、バキュロウイルスで発現させたリコンビナントgp120を標識した金コロイド(Immuno Diagnostics, Inc.社製,粒子径30nm)を使用し、一方、陰性対照には、該当するリコンビナントgp120をリン酸緩衝液に溶解したものを使用した。
【0081】
凝集板に、上記凝集検査試薬と陽性対照を夫々20μずつ加えて混和し、10分間静置した後、肉眼で凝集の有無を判定した。これらの結果を表7〜10に併記する。尚、本実施例では、陽性対照の代わりに陰性対照を使用した場合には、凝集は見られなかったことを確認している。
【0082】
【表7】

【0083】
【表8】

【0084】
【表9】

【0085】
【表10】

【0086】
表7〜10の結果より、本発明のペプチドはいずれもgp120に対して優れた親和性を有することが確認された。尚、表7及び表8に示す本発明ペプチドは本発明第1のペプチドを、表9及び表10に示す本発明ペプチドは本発明第2のペプチドを夫々示す。
【0087】
実施例3:本発明ペプチド中、A4及びA5の凝集能に及ぼす影響
表7におけるNo.1のペプチドの鎖長を変えて、その凝集能に及ぼす影響を調べた。尚、凝集能は、実施例2と同様にして測定した。これらの結果を表11に併記する。表中、±は「痕跡程度に凝集」を意味する。
【0088】
【表11】

【0089】
表11より、アミノ酸数が3個しかないNo.3(a4及びa5のアミノ酸がない)、及びアミノ酸数が4個しかないNo.2(a5のアミノ酸がない)は、いずれもアミノ酸数が5個のNo.1に比べ、中和活性が著しく低下することが分かる。即ち、アミノ酸数の減少により中和活性は低下する傾向があり、なかでも、アミノ酸数が3個のNo.3では中和活性を完全に消失した。
【0090】
実施例4:本発明ペプチド中、a4及びa5の中和活性に及ぼす影響
表9におけるNo.8のペプチドの鎖長を変えて、その中和活性に及ぼす影響を調べた。尚、中和活性は、実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表12に記載する。表中、NEは「陰性」を意味する。
【0091】
【表12】

【0092】
表12より、アミノ酸数が3個しかないNo.3(a4及びa5のアミノ酸がない)、及びアミノ酸数が4個しかないNo.2(a5のアミノ酸がない)は、いずれもアミノ酸数が5個のNo.1に比べ、中和活性が著しく低下することが分かる。即ち、アミノ酸数の減少により中和活性は低下する傾向があり、なかでも、アミノ酸数が3個のNo.3では中和活性を完全に消失した。
【0093】
実施例5:本発明ペプチド中、a4及びa5の中和活性に及ぼす影響
表13中、No.1のペプチドを陽性対照として用い、当該ペプチド中、a4のアミノ酸種類を同じ疎水性アミノ酸であるロイシンに代えたペプチド(No.2)、またはプロリンに代えたペプチド(No.3)を用い、これらの中和活性に及ぼす影響を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表13に併記する。
【0094】
【表13】

【0095】
表13より、No.1において、a4及びa5のアミノ酸種類を本発明で特定するアミノ酸とは異なる種類に置換すると、中和活性が低下または消失することが分かる。これらの結果より、a4及びa5のアミノ酸種類は中和活性の発現に重要な影響を及ぼすことが示唆される。
【0096】
実施例6:本発明ペプチド中、A4及びA5の凝集能に及ぼす影響
表14中、No.1のペプチドを陽性対照として用い、当該ペプチド中、A4のアミノ酸の種類を同じ疎水性アミノ酸であるプロリンに代えたペプチド(No.2)、または酸性アミノ酸であるアスパラギン酸に代えたペプチド(No.3);同様に、A5のアミノ酸の種類をプロリンに代えたペプチド(No.4)、またはグルタミン酸に代えたペプチド(No.5)を用い、これらの凝集能に及ぼす影響を実施例2と同様にして測定した。これらの結果を表14に併記する。表中、±は「痕跡程度」を意味する。
【0097】
【表14】

【0098】
表14より、No.1においてA4及びA5のアミノ酸の種類を異なるアミノ酸数に置換すると、凝集能は陰性か、若しくは殆ど痕跡程度に低下することが分かる。これらの結果より、A4及びA5のアミノ酸の種類は凝集能の重要な影響を及ぼすことが示唆される。
【0099】
実施例7:高分子化による中和活性に及ぼす影響
合成例6で作製した不活性アルカリホスファターゼ(Alp)結合ペプチドのHIV中和活性を、実施例1と同様にして測定した。尚、表3におけるNo.8のペプチドを陽性対照とし、未反応な不活性アルカリホスファターゼを陰性対照として用いた。これらの結果を表15に併記する。表中、NEは「陰性」を意味する。
【0100】
【表15】

【0101】
表15より、本発明のペプチドを既知のタンパク質と結合させ、高分子化を図ることにより可溶性が高まり、中和活性も上昇することが分かる。
【0102】
実施例8:複数のペプチド導入による抗体分子様作用
ヒト血清中に、合成例2で作製したペプチド結合α−サイクロデキストリンを懸濁し、市販のHIV診断薬(ダイナボット社製「HIV−1/HIV−2EIA」)で検出できるか調べた。当該HIV診断薬の判定原理は、患者血清に形成された抗HIV抗体を検出するものであり、特に感染初期に出現するIgM抗体を検出できることを特徴とするものである。その結果を図1に示す。
【0103】
図1に示す様に、HIV患者血清中に存在する抗HIV抗体のみを検出する上記診断薬により、ヒト血清中に懸濁したHIV−gp120に親和性を有するペプチドを複数個導入した結合α−デキストリンを濃度依存的に検出できることが分かる。この結果より、本発明のペプチドがHIVに親和性を有すること、及び本発明ペプチドを複数個導入することにより、抗体様作用を示すことが明らかになった。
【0104】
実施例9:gp120に対する親和性(1)
合成例7で作製したペプチド結合Sephadex6MBを、予め種々の濃度に調整した西洋わさび由来ペルオキシダーゼ(HRP)標識HIV−1-gp120(Immuno Diagnostic 社)及び酵素未標識HIV−1-gp120を夫々加え、Schacherd Plotを作成することにより本発明ペプチドの解離定数(kd)を求めたところ、kd=2.14×10-10Mであった。
【0105】
この結果より、本発明ペプチドは、抗体と同等か、若しくはそれ以上の親和性を有することが明らかである。
【0106】
実施例10:gp120に対する親和性(2)
合成例8で作製したペプチド結合Sephadex4Bを、予め種々の濃度に調整したHRP標識HIV−1-gp120(Immuno Diagnostic 社)及び酵素未標識HIV−1-gp120を夫々加え、Schacherd Plotを作成することにより本発明ペプチドの解離定数(kd)を求めたところ、kd=4.97×10-10Mであった。
【0107】
この結果より、本発明ペプチドは、抗体と同等か、若しくはそれ以上の親和性を有することが明らかである。
【0108】
実施例11:gp120の認識部位
本発明ペプチドの特異性を確かめる為に、表1のNo.1及び表3のNo.6のペプチドを、赤色ラテックスビーズ(ポリサイエンス社、直径200nm)に標識した「ペプチド標識ラテックスビーズ」を作製した。このラテックスビーズ液20μlに同量の偽HIV−1(gp120標識金コロイド)液を加えると、肉眼で、直ちに且つ容易に観察可能な赤色の凝集像を生じた。これに対し、金コロイドに標識していない未標識gp120液(1μg protein/ml)を加えても全く凝集しないことから、本発明ペプチドは、gp120の唯一1カ所の部位に結合することが推察された。尚、これらの結果を表16に示す。
【0109】
【表16】

【0110】
実施例12:特異性試験
実施例7で作製した2種類のペプチド(表1のNo.1及び表3のNo.6)のラテックス凝集試験試薬「ペプチド標識ラテックスビーズ」を用い、他の病原ウイルスに対する非特異的吸着の有無を調べた。本実施例に用いたウイルスは、増悪期のC型あるいはB型肝炎患者から採取した血清、実験室株、新鮮分離株等である。また、ウイルスlysateは、予め金コロイドに標識して使用した。使用したウイルスの感染力価若しくは数、及び凝集の有無を表17に示す。
【0111】
【表17】

【0112】
表17より、本発明のペプチドによるgp120に対する親和性はHIV−1に特異的であることが分かる。
【0113】
実施例13:HIV吸着カラムによる血清中のHIVの除去
合成例9で作製した本発明ペプチド/Sepharose4B担体を用い、HIV−1の吸着除去能について検討した。尚、上記担体に標識された本発明ペプチドの導入量は、ベッド容量1ml当たり約5mgであった。
【0114】
まず、予めPBS緩衝液(pH7.2)に懸濁した上記吸着体100μl(1容)をテストチューブに入れた後、121℃で30分間高圧滅菌し、自然減圧したものを供試担体した。また、偽HIV−1ウイルスモデルとして、gp120のタンパク質量を1.5mg/mLに調整したgp120標識金コロイド液を使用した。この偽HIV液を、100%ヒト血清に懸濁したもの(血清最終のうど96%)を供試ウイルス液とし、一方、同濃度の偽HIV液をPBS緩衝液に懸濁したもの(pH7.2,血清濃度0%)を対照液とした。抗体1容(100μl)に対し、供試ウイルス液24容(2.4mL)をテストチューブに添加し、37℃に設定した恒温水槽で2時間浸透懇話した。反応終了後、このテストチューブを取出して室温に静置し、30分後、上澄み液を偽ウイルス未吸着サンプルとして採取した。この様にして得られたサンプルの540nmにおける吸光度を比色し、血清濃度0%での吸着率100%としたときの、血清濃度94%の吸着率を算出した。これらの結果を表18に示す。
【0115】
【表18】

【0116】
実施例14:HIV吸着カラムによる血清中のHIVの除去
合成例7で作製した本発明ペプチドで標識されたセルロース系担体を使って、HIV−1の吸着除去について検討した。ここでこの担体に標識された本発明のペプチドの導入量は、ベッド容量1mL当たり約5mgであった。
【0117】
まず、予めPBS緩衝液(pH7.2)に懸濁した上記吸着体100μl(1容)をテストチューブに入れた後、121℃で30分間高圧滅菌し、自然減圧したものを供試カラムとした。一方、HIV−1ウイルス液は、国内エイズ患者から大竹ら(感染症雑誌,64:1284-1294, 1990)が新鮮分離し、凍結保存したkk−1株を用いた。このkk−株(1×105 TCID50)を急速融解した後、超遠心機にかけ、予め非動化した培養用100%ヒト血清に懸濁したものを供試ウイルス液とした。次に、カラム中の担体1容に対して、供試ウイルス液24容をカラムに流した。添加終了後、カラムに残った未反応ウイルスを洗浄する為に、担体の5倍容の正常ヒト血清を流した。尚、ウイルス量の測定は、p24 Antigen ELISA Kit(Cellular products Inc.)を用いて測定し、キットに添付された計算式によりCut off値を求め、S/COを算出した。測定した試料は、供試試料(ウイルス液)、素通り試料、洗浄液、及び担体を可溶化して抽出した液(カラム吸着画分)であり、カラム素通り各部画分は、このうち素通り試料及び洗浄液を含む画分とした。これらの結果を表19に示す。
【0118】
【表19】

【0119】
表19より、供試ウイルス量の約10%弱が、カラムに吸着したことが分かる。
【0120】
尚、本実施例において、ウイルス量を評価するのに上記のp24量を測定する方法を採用した理由について述べる。
【0121】
本実施例では、ウイルス液として患者の状態に最も近いと思われる100%ヒト血清に懸濁した新鮮分離株KK−1株を用いたが、その量を正確に評価することは極めて困難である。gp120 ELISA Kit は実験室株に使えても、HIV−1の様な新鮮分離株には使用できない。むしろ、これがこのウイルス株を使った理由でもある。従って、一次構造上コンセンサスな配列を持つコアータンパク質であるp24量をEIA法で測定するか、或いは、RT−PCR法で想定することが考えられるが、これらの方法はいずれも、分解物も含んで測定してしまうという欠点がある。前述の様に、HIVそのものが極めて不安定であり、操作中にも分単位で壊れていく為、実験に使ったウイルス液中には、ウイルス分解物が存在するのみならず、該分解物が操作中に益々増加していることも考えられるので、これらの方法を採用し、吸着量に比べ分解物の増加量が多ければ、その結果が判らないものとなる。従って、ウイルス量を正確に判定するには、感染実験による判定が望ましい。しかし、本実施例で使用した新鮮分離株KK−1は、HIV−1III B等の実験室株の様に感染が容易でないこと、とりわけ感染実験には、カラム吸着量を遙かに超える位の、非常に高濃度のウイルス液が必要であることを考慮すると、実験することは極めて困難である。そこで、ウイルス液を或る程度希釈しなければ吸着量も判りにくいことから、本実施例ではp24量を測定することにし、他のデータと比較できる様にS/COを算出することにしたのである。
【0122】
実施例15:ラテックス標識ペプチドによるHIVの結合
表17のNo.2のウイルス/No.1のペプチド−ラテックスビーズによるHIVの凝集の様子を電子顕微鏡で撮影した。詳細には、実験室株HIV−1LAV1に上記凝集試験薬を加えて凝集させた後、4℃で6時間放置した。次いで、この凝集液を電子顕微鏡支持膜に載せて、酢酸ウラニルでネガティブ染色した後、観察した。参考までに、この電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0123】
図2より、HIVウイルスは、HIV−gp120親和性ペプチドを標識したラテックスビーズに強固に結合し、それらのビーズ同士を強固に結合して凝集していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】実施例8の結果を示すグラフである。
【図2】実施例15の結果を示す電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):H−A1-A2−A3−A4−A5−R(式中、Hは、水素原子を示し、A1は、アスパラギン酸、リジン、バリン、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、またはチロシンの残基、A2は、バリン、アスパラギン酸、トリプトファン、リジン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、またはチロシンの残基、A3は、リジン、バリン、アスパラギン酸、アルギニン、アラニン、またはトリプトファンの残基、A4は、アラニン、トリプトファン、グリシンの残基、A5は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、またはチロシンの残基、Rは、カルボキシル基由来のOHまたは酸アミド基由来のNHである)で表されるペプチドであり、
前記ペプチドは、表1のNo.1〜19、22〜27、および表2のNo.28〜40に記載のアミノ酸配列からなるgp120に対して親和性を有するペプチド。
【請求項2】
式(2):A1’−A2−A3−A4−A5−R(式中、A1’は、アスパラギン酸、リジン、バリン、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、またはチロシンの残基、若しくは、該アミノ酸を始端として、そのN末端側に任意のアミノ酸が配列したポリペプチド残基、A2、A3、A4、A5およびRは前と同じ意味)で表されるペプチドであり、
前記ペプチドは、表1のNo.20〜21に記載のアミノ酸配列からなるgp120に対して親和性を有するペプチド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のペプチドに、官能基を有する高分子化合物および/または医薬活性物質が結合した化合物。
【請求項4】
吸着除去用担体に用いられるものである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1または2に記載のペプチドを用いたウイルス凝集診断検査薬若しくは該診断検査薬を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−328071(P2006−328071A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145605(P2006−145605)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【分割の表示】特願2000−6182(P2000−6182)の分割
【原出願日】平成12年1月11日(2000.1.11)
【出願人】(504422737)ASPION株式会社 (5)
【Fターム(参考)】