説明

p21により調節される遺伝子の発現を同定および調節するための試薬および方法

【課題】細胞周期進行、成長促進段階、アポトーシスの調節、細胞の老化、および加齢に関与する遺伝子を同定するための方法および試薬、およびp21によって調節される、細胞の老化を阻害または増強する化合物を同定する方法を提供する。
【解決手段】誘導性p21遺伝子を含む哺乳動物繊維肉腫細胞。該細胞を使用した哺乳類細胞での老化を阻害する化合物の同定方法。老化を阻害する化合物と細胞を接触させることによる笹井棒の老化、加齢関連疾患または加齢関連遺伝子産物を阻害する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本出願は、1999年11月29日に提出された米国特許出願番号第09/449,589号、および1999年4月9日に提出された米国特許出願番号第60/128,676号に対する優先権を主張し、その各々の開示は、ここに参照して明白に組込まれる。
【0002】
1.(発明の分野)
本発明は、細胞の老化および老化に付随する細胞の遺伝子発現における変化に関する。特に、本発明は、その発現が、老化の開始時に細胞中に誘導される細胞の遺伝子産物p21によって調節される遺伝子の同定に関する。さらに詳細には、本発明は、その発現が、p21によって誘導または抑制されている遺伝子である細胞の老化のマーカーを提供する。本発明は、これらのマーカー遺伝子の抑制または誘導の阻害を検出することによって細胞の老化を阻害または増強する化合物を同定する方法を提供する。さらに提供されるのは、実験的に誘導性であるp21をコードする組換え発現構築物を含有する組換え哺乳類細胞、およびp21に調節される遺伝子についてのプロモーターの転写制御下にレポーター遺伝子を発現する組換え発現構築物を含有する組換え哺乳類細胞である試薬である。
【背景技術】
【0003】
2.(関連技術の要約)
p21WAF1/CIP1/SDHは、哺乳類細胞における成長停止および老化の重大なメディエーターである。p21は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)を結合および阻害するタンパク質(Harperら、Cell 75巻:805−816頁、1993年)として、野生型p53により上方調節された遺伝子(el−Deiryら、Cancer Res.55巻:2910−2919頁、1993年)として、および老化線維芽細胞で過剰発現される成長阻害遺伝子(Nodaら、Exp.Cell.Res.211巻:90−98頁、1994年)として数種の群によって独立に同定された。p53で調節された成長停止におけるその中心的な役割のため、p21は、通常、腫瘍サプレッサーと考えられる。それにもかかわらず、ヒト癌におけるp21突然変異はまれであり(HallおよびPeters、Adv.Cancer Res.68巻:67−108頁、1996年)、そしてp21ノックアウトマウスは、正常に発育し、そして腫瘍誘発の速度が増加したことを示さなかった(Dengら、Cell 82巻:675−684頁、1995年)。
【0004】
p21の細胞のレベルは、DNA−損傷および分化剤を含めた多様な刺激に応答して増加される。これらの応答のいくつかは、p53によってp21遺伝子の転写活性化を通して仲介されるが、しかしp21は、多様なp53独立因子によっても調節される(GartelおよびTyner、Exp.Cell Res.227巻:171−181頁、1999年で再検討)。p21発現が増加されたことで、細胞成長停止に至り(Nodaら、1994年、上記)、そしてそれは、G1およびG2の両方で起こり(Niculescuら、1998年、Mol.Cell.Biol.18巻:629−643頁)、そして老化の形態学および表現型マーカーの開発に伴って起った(Vogtら、Cell Growth Differ.9巻、1998年:139−146頁;McConnellら、Curr.Biol.8巻:351−354頁、1998年;Batesら、Oncogene 17巻:1691−1703頁、1998年;Fangら、Oncogene 18巻:2789−2797頁、1999年)。
【0005】
p21の一過性誘導は、細胞にDNA損傷を修復させる一過性停止、ならびに生来の成長停止(「促進された老化」とも称される)を含めた、様々な形態の損傷誘導成長停止を仲介し、そしてそれは、正常な線維芽細胞(DiLeonardoら、1994年、Genes Develop.8巻:2540−2551頁;RoblesおよびAdami、1998年、Oncogene 16巻:1113−1123頁)およびDNA損傷または癌遺伝子RAS(Serranoら、Cell 88巻:593−602頁、1997年)の導入による腫瘍細胞(Changら、Cancer Res.59巻:3761−3767頁、1999年)で誘導される。p21発現の高まりも、加齢の線維芽細胞の反復性老化の間の終結成長停止(Nodaら、1994年、上記;Alcortaら、Proc.Natl.Acad.Sci USA 93巻:13742−13747頁、1996年;Steinら、Mol.Cell.Biol. 19巻:2109−2117頁、1999年)および有糸分裂後の細胞の終結分化(El−Deiryら、1995年、上記;Gartelら、Exp.Cell Res. 246巻:280−289頁、1996年)の開始と同時発生する。p21(p21−/−同種接合体)を発現できない細胞の分析は、正常な線維芽細胞の反復性老化(Brownら、Science 277巻:831−834頁、1997年)における、および腫瘍細胞の促進された老化(Changら、Oncogene 18巻:4804−4818頁、1999年)における、一過性G1およびG2停止(Dengら、1995年、上記;Waldmanら、Cancer Res. 55巻:5187−5190頁、1995年;Bunzら、Science 282巻:1497−1501頁、1998年)でのp21の必要性を示した。
【0006】
p21が、それ自身の転写因子でない場合、それは、それの細胞の機能における役割を果しうる遺伝子発現における間接的効果を示す。p21の最高の公知生化学的機能は、細胞周期の異なる相の間の一過性を調節するCDK複合体の阻害である(GartelおよびTyner、1998年、INHIBITORS OF CELL GROWTH,PROGESS IN MOLECULAR AND SUBCELLULAR BIOLOGY,20巻(A.Macieir−Coelho編)で、「p21の成長調節の役割(WAF1/CIP1)」、スプリンガー−ベルラグ:ベルリン・ハイデルベルグ、43−71頁で再検討)。CDK阻害の結果の1つは、Rbの脱リン酸化であり、そしてそれは、順次、DNA複写および細胞周期進行に関与した多くの遺伝子を調節するE2F転写因子を阻害する(Nevins、Cell Growth Differ.9巻:585−593頁、1998年)。p21発現細胞(p21+/+)およびp21−非発現細胞(p21−/−)の比較は、数種のE2F調節細胞の遺伝子における放射線誘導阻害にp21に関係があるとした(de Toledoら、Cell Growth Differ.9巻:887−896頁、1998年)。p21によるCDK阻害の別の結果は、NFκBを増大する転写コファクターp300の刺激である(Perkinsら、Science 275巻:523−527頁、1988年)。多くの誘導性転写因子を増強するヒストンアセチルトランスフェラーゼp300の活性化は、遺伝子発現に多面発現性効果を示しうる(SnowdenおよびPerkins、Biochem.Pharmacol.55巻:1947−1954頁、1988年)。p21は、CDK以外のタンパク質とのそれの相互作用を通して遺伝子発現に影響を及ぼし得る。例えば、p21は、ケラチン細胞分化マーカーの発現を阻害することが分かった;この効果は、CDK阻害について必要とされないが、しかし増殖細胞核の抗原に結合することが知られているp21のC−末端部分に依存した(Di Cuntoら、Science 280巻:1069−1072頁、1998年)。p21は、JNKキナーゼ(Shimら、Nature 381巻:804−807頁、1996年)、アポトーシスシグナル調節キナーゼ1(Asadaら、EMBO J.18巻:1223−1234頁、1999年)およびGadd45(Kearseyら、Oncogene 11巻:1675−1683頁、1995年)に結合することも報告された;これらの相互作用は、対応の経路によって調節される遺伝子の発現に影響を及ぼしうる。
【0007】
その発現が、p21遺伝子発現の誘導によって調節される遺伝子を同定する当業界における必要性が残る。細胞の老化、発癌および加齢関連疾患における化合物の効果を評価する標的を開発する当業界における必要性もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(発明の要約)
本発明は、その発現が、p21遺伝子発現の誘導により調節される遺伝子を同定する試薬および方法を提供する。本発明は、細胞の老化、発癌および加齢関連疾患を防止するため、または抗癌治療の効力を増加するための合理的薬剤設計での第一の段階として、細胞の遺伝子発現におけるp21の効果を阻害または増強する化合物を同定する試薬および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の態様で、本発明は、誘導性p21遺伝子を含む哺乳類細胞を提供する。好ましい実施形態で、哺乳類細胞は、誘導性p21遺伝子をコードする組換え発現構築物を包含する組換え哺乳類細胞である。さらに詳細には、構築物は、誘導性プロモーターの転写制御下で、p21、もっとも好ましくはヒトp21をコードするヌクレオチド配列を包含する。選択的実施形態で、構築物は、CDK結合ドメインを包含するp21のアミノ−末端部分をコードするヌクレオチド配列を包含し、より好ましくはp21アミノ酸配列のアミノ酸1から78を包含する。より好ましい実施形態で、誘導性プロモーターは、誘導性プロモーターから転写を誘導する誘導剤、最も好ましくは生理学上の天然の誘導性薬剤と細胞を接触させることによって、またはこのようなプロモーターから転写を阻害する剤を除去することによって誘導されうる。好ましい実施形態では、哺乳類細胞は、線維肉腫細胞である。
【0010】
本発明の第一の態様の実施形態では、レポーター遺伝子が、その発現がp21によって調節される細胞の遺伝子から誘導されるプロモーターの転写制御下にある組換え発現構築物を含む組換え哺乳類細胞が提供される。好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現が、p21によって抑制される細胞の遺伝子から誘導される。これらの実施形態では、プロモーターは、表Iに同定される遺伝子から最も好ましく誘導される。最も好ましくは、プロモーターは、ORC1、PRC1、XRCC9、CDC2、サイクリンB1、AIK1、CENP−A、CENP−F、MAD2、BUBR1、MCAK、HSET、CHL1、サイモポイエチンα、MPP2、MPP5、CDC47/MCM7、CDC21/MCM4、DNAリガーゼI、DNAポリメラーゼα、Rad54、エキソヌクレアーゼHEX1/RAD2、PLK1、DHFRまたはシトロンキナーゼから誘導される。他の好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現がp21によって誘導される細胞の遺伝子から誘導される。これらの実施形態では、プロモーターは、最も好ましくは、表IIに同定される遺伝子から誘導される。最も好ましくは、プロモーターは、血清アミロイドA、補体C3、結合性組織成長因子、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、プロサポシン、Mac2結合タンパク質、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、グラヌリン/エピセリン、p66shc、リソソームのβ−ガラクトシダーゼ、またはカテプシンBから誘導される。本発明の組換え発現構築物を包含する好ましいレポーター遺伝子としては、ホタル・ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、またはアルカリ性ホスファターゼが挙げられる。
【0011】
別の好ましい実施形態で、本発明は、その発現がp21によって調節される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子をコードする第一の組換え発現構築物、およびp21の発現が、それにより哺乳類細胞で実験的に誘導される哺乳類p21遺伝子をコードする第二の組換え発現構築物を含む哺乳類細胞を提供する。好ましい実施形態では、哺乳類p21遺伝子をコードする組換え発現構築物は、組換え発現構築物からp21の発現が、組換え細胞を、誘導性プロモーターから転写を誘導する誘導剤と接触させることによって、またはこのようなプロモーターから転写を阻害する剤を除去することによって仲介されることを特徴とする誘導性異種プロモーターの転写制御下にある。好ましくは、構築物は、p21、最も好ましくはヒトp21をコードするヌクレオチド配列を包含する。代替の実施形態では、構築物は、CDK−結合ドメインを含むp21のアミノ末端部分をコードするヌクレオチド配列を包含し、さらに好ましくはp21アミノ酸配列のアミノ酸1から78を包含する。好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現が、p21によって抑制される細胞の遺伝子から誘導される。これらの実施形態では、プロモーターは、最も好ましくは、表Iに同定される遺伝子から誘導される。他の好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現が、p21によって誘導される細胞の遺伝子から誘導される。これらの実施形態では、プロモーターは、最も好ましくは、表IIに同定される遺伝子から誘導される。本発明の組換え発現構築物を包含する好ましいレポーター遺伝子としては、ホタル・ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、またはアルカリ性ホスファターゼが挙げられる。好ましい実施形態では、哺乳類細胞は、線維肉腫細胞である。
【0012】
第二の態様では、本発明は、培地が、p21を発現する細胞によって調整される調整細胞培養用培地、および上記調整培地を生成する方法を提供する。好ましい実施形態では、調整培地は、哺乳類細胞培養用培地、最も好ましくは血清添加剤を含有しない合成培地中でp21発現細胞を培養することによって生成される。本発明のこの態様に有用なp21発現としては、誘導性プロモーターの転写制御下でp21をコードする組換え発現構築物の内在性p21発現および誘導性発現の両方が挙げられる。好ましい細胞としては、哺乳類細胞、好ましくは齧歯類または霊長類細胞、そしてさらに好ましくはマウスまたはヒト細胞が挙げられる。特に好ましい実施形態は、線維肉腫細胞、さらに好ましくはヒト線維肉腫細胞および最も好ましくはヒトHT1080線維肉腫細胞株およびそれらの誘導体である。
【0013】
本発明のこの態様は、哺乳類細胞における有糸分裂または抗アポトーシス因子のp21誘導発現を阻害する化合物を同定するスクリーニング法を提供する。好ましい実施形態では、その方法は、化合物の存在または不在下で、細胞中のp21の発現を誘導すること、そして調整培地中で有糸分裂または抗アポトーシス性化合物あるいはそれらの複数の発現を比較することを包含する。阻害剤は、化合物の不在下でより、化合物の存在下で調整培地中に少ない量の有糸分裂または抗アポトーシス性化合物あるいはそれらの複数を有することによって同定される。本発明のこの態様で供される方法で、任意のp21発現細胞が、有用であり、そしてこのような細胞におけるp21発現は、内因性p21を誘導することによるか、または本発明による誘導性p21発現構築物を含有する細胞を使用することによって達成されうる。好ましい細胞としては、哺乳類細胞、好ましくは齧歯類または霊長類細胞、そしてさらに好ましくはマウスまたはヒト細胞が挙げられる。特に好ましい実施形態では、線維肉腫細胞、さらに好ましくは、ヒト繊維肉腫細胞および最も好ましくはヒトHT1080線維肉腫細胞株およびそれらの誘導体である。
【0014】
代替の実施形態では、本発明は、細胞が、p21によって誘導される細胞の遺伝子のプロモーターの転写制御下で、レポーター遺伝子をコードする組換え発現構築物を包含することを特徴とする、哺乳類細胞中の有糸分裂または抗アポトーシス因子のp21誘導発現を阻害する化合物を同定する方法を提供する。好ましい実施形態では、プロモーターとしては、CTGF、アクチビンA、エピセリン/グラヌリン、ガレクチン−3およびプロサポシンが挙げられる。好ましいレポーター遺伝子としては、それに限定されないが、ホタル・ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼおよび緑色蛍光タンパク質が挙げられる。これらの実施形態では、レポーター遺伝子発現のp21仲介誘導の阻害は、p21発現細胞における有糸分裂または抗アポトーシス因子の誘導を阻害する化合物を同定するために使用される。
【0015】
この実施形態では、本発明は、有糸分裂または抗アポトーシス因子の産生を阻害する化合物と細胞を接触させる段階を包含し、該化合物が、本発明のこの態様の前述の方法によって同定されることを特徴とする、哺乳類細胞での有糸分裂または抗アポトーシス因子または化合物の産生を阻害する方法も提供する。好ましい実施形態では、有糸分裂または抗アポトーシス因子の産生が、阻害される阻害化合物と接触される哺乳類細胞は、線維芽細胞、最も好ましくは間質の線維芽細胞である。
【0016】
第3の態様では、本発明は、細胞の遺伝子発現のp21仲介調節を阻害する化合物を同定する方法を提供する。これらの方法は、哺乳類細胞におけるp21を誘導またはさもなければ産生すること;その発現がp21によって調節される細胞の遺伝子の発現における変化について、化合物の存在下で細胞を分析すること;および細胞の遺伝子の発現が、化合物の不在下でより、化合物の存在下で少ない範囲に変化される場合に細胞の遺伝子発現のp21仲介調節を阻害する化合物を同定する段階を包含する。好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21によって抑制され、そして阻害剤は、p21が、化合物の不在下で発現されるときに検出されものより大きなレベルで、遺伝子の発現を検出することによって検出される。好ましい実施形態では、遺伝子は、表Iに同定される。代替の好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21によって誘導され、そして阻害剤は、p21が、化合物の不在下で発現されるときに検出されものより少ないレベルで、遺伝子の発現を検出することによって検出される。好ましい実施形態では、遺伝子は、表IIに同定される。別の代替の実施形態では、その方法は、その発現がp21によって調節される遺伝子から誘導されるプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子を包含する組換え哺乳類細胞を使用して行われる。p21によって抑制される遺伝子から誘導されるプロモーターを包含する構築物を使用するこれらの実施形態では、レポーター遺伝子産物は、化合物が、p21遺伝子発現調節の阻害剤であるときに化合物の不在下でより、存在下で大きなレベルで産生される。これらの実施形態では、プロモーターは、最も好ましくは、表Iに同定される遺伝子から誘導される。最も好ましくは、プロモーターは、ORC1、PRC1、XRCC9、CDC2、サイクリンB1、AIK1、CENP−A、CENP−F、MAD2、BUBR1、MCAK、HSET、CHL1、サイモポイエチンα、MPP2、MPP5、CDC47/MCM7、CDC21/MCM4、DNAリガーゼI、DNAポリメラーゼα、Rad54、エキソヌクレアーゼHEX1/RAD2、PLK1、DHFRまたはシトロンキナーゼから誘導される。p21によって誘導される遺伝子から誘導されるプロモーターを含む構築物を使用する場合、レポーター遺伝子産物は、化合物が、p21遺伝子発現調節の阻害剤であるときに化合物の不在より存在下で少ないレベルで産生される。これらの実施形態では、プロモーターは、最も好ましくは、表IIに同定される遺伝子から誘導される。さらに好ましくは、プロモーターは、血清アミロイドA、補体C3、結合性組織成長因子、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、プロサポシン、Mac2結合タンパク質、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、グラヌリン/エピセリン、p66shc、リソソームのβ−ガラクトシダーゼ、またはカテプシンBから誘導される。本発明の組換え発現構築物を含む好ましいレポーター遺伝子としては、ホタル・ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、またはアルカリ性ホスファターゼが挙げられる。他の好ましい実施形態では、細胞は、その発現が、p21によって調節される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子をコードする第一の組換え発現構築物、および哺乳類p21遺伝子をコードする第二の組換え発現構築物を包含し、p21の発現が、それにより哺乳類細胞中で実験的に誘導される。p21により誘導または抑制されるレポーター遺伝子または内因性遺伝子の産生は、遺伝子産物の活性について分析することにより、または相補的核酸にハイブリッド形成することによって、免疫学上の試薬を用いて検出される。
【0017】
第4の態様では、本発明は、哺乳類細胞での老化を阻害する化合物を同定する方法を提供する。これらの方法は、化合物の存在下で哺乳類細胞を、剤で処理するか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養すること;p21遺伝子発現により抑制または誘導される遺伝子の抑制または誘導について哺乳類細胞を分析すること;および化合物の存在下で、p21によって抑制される遺伝子が、抑制されないか、またはp21によって誘導される遺伝子が、誘導されない場合に老化の阻害剤として化合物を同定する段階を包含する。好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21により抑制され、そして老化阻害剤は、p21が、化合物の不在下で発現されるときに検出されるものより大きなレベルで、遺伝子の発現を検出することによって同定される。好ましい実施形態では、遺伝子は、表Iに同定される。代替の好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21によって誘導され、そして老化阻害剤は、p21が化合物の不在下に発現されるときに検出されるものより少ないレベルで、遺伝子の発現を検出することによって検出される。好ましい実施形態では、遺伝子は、表IIに同定される。別の代替の実施形態では、方法は、その発現がp21によって調節される遺伝子から由来したプロモーターの転写制御下で、レポーター遺伝子を包含する組換え哺乳類細胞を使用して行われる。これらの実施形態では、p21によって抑制される遺伝子から由来したプロモーターを含む構築物を使用したときに、化合物の不在下でより存在下で大きなレベルにあるか、またはp21によって誘導される遺伝子から由来したプロモーターを含む構築物を使用したときに、化合物の不在下でより存在下で小さなレベルにあるレポーター遺伝子の産物の産生は、化合物が老化の阻害剤であるときに検出される。プロモーターは、好ましくは、表I(p21によって抑制される遺伝子については)または表II(p21によって誘導される遺伝子については)で同定される遺伝子から誘導される。p21抑制遺伝子については、プロモーターは、最も好ましくは、ORC1、PRC1、XRCC9、CDC2、サイクリンB1、AIK1、CENP−A、CENP−F、MAD2、BUBR1、MCAK、HSET、CHL1、サイモポイエチンα、MPP2、MPP5、CDC47/MCM7、CDC21/MCM4、DNAリガーゼI、DNAポリメラーゼα、Rad54、エキソヌクレアーゼHEX1/RAD2、PLK1、DHFRまたはシトロンキナーゼから誘導される。p21誘導遺伝子については、プロモーターは、最も好ましくは、アミロイドA、補体C3、結合性組織成長因子、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、プロサポシン、Mac2結合タンパク質、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、グラヌリン/エピセリン、p66shc、リソソームのβ−ガラクトシダーゼ、またはカテプシンBから誘導される。他の好ましい実施形態では、細胞は、その発現が、p21によって調節される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子をコードする第一の組換え発現構築物、および哺乳類p21遺伝子をコードする第二の組換え発現構築物を包含し、そしてp21の発現が、それにより哺乳類細胞中で実験的に誘導される。p21によって誘導または抑制されるレポーター遺伝子または内因性遺伝子の産生は、遺伝子産物の活性について分析することによるか、または相補的核酸にハイブリッド形成させることにより免疫学上の試薬を使用して検出される。
【0018】
第5の態様で、本発明は、本発明の前述の態様に供される方法を使用して測定される場合、老化を阻害する化合物と細胞を接触させる段階を包含することを特徴とする細胞の老化、加齢関連疾患または加齢関連遺伝子産物を阻害する方法を提供する。
【0019】
第6の態様で、本発明は、哺乳類細胞中の老化を増強する化合物を同定する方法を提供する。これらの方法は、化合物の存在および不在下で哺乳類細胞中の21を誘導すること;p21遺伝子発現によって抑制または誘導される遺伝子の抑制または誘導について哺乳類腫瘍細胞を分析すること;および化合物の存在下で、p21によって抑制される遺伝子が、より大きな範囲に抑制されるか、またはp21によって誘導される遺伝子が、より大きな範囲まで誘導されるかで、老化のポテンシエーターとして化合物を同定する段階を包含する。好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21によって抑制され、そしてポテンシエーターは、p21が、化合物の不在下で発現される時に検出されるものより少ないレベルで、細胞の遺伝子の発現を検出することによって検出される。好ましい実施形態では、遺伝子は、表Iに同定される。代替の好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21によって誘導され、そしてポテンシエーターは、p21が、化合物の不在下で発現される時に検出されるものより大きなレベルで、細胞の遺伝子の発現を検出することによって検出される。好ましい実施形態では、遺伝子は、表IIに同定される。別の代替の実施形態では、細胞が、その発現がp21によって調節される遺伝子から由来したプロモーターの転写制御下で、レポーター遺伝子を有する構築物を包含することを特徴とする、その発現がp21によって調節される遺伝子から誘導されるプロモーターの転写制御下で、レポーター遺伝子を含む組換え哺乳類細胞を使用して行われる。これらの実施形態では、p21によって抑制される遺伝子から由来したプロモーターを含む構築物を使用したときに、化合物の不在下でより存在下で低いレベルにあるか、またはp21によって誘導される遺伝子から由来したプロモーターを含む構築物を使用したときに、化合物の不在下でより存在下で大きなレベルにあるレポーター遺伝子の産物の産生は、化合物が老化のポテンシエーターであるときに検出される。好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現がp21によって抑制される遺伝子から誘導され、最も好ましくは表Iに同定される遺伝子である。最も好ましくは、プロモーターは、ORC1、PRC1、XRCC9、CDC2、サイクリンB1、AIK1、CENP−A、CENP−F、MAD2、BUBR1、MCAK、HSET、CHL1、サイモポイエチンα、MPP2、MPP5、CDC47/MCM7、CDC21/MCM4、DNAリガーゼI、DNAポリメラーゼα、Rad54、エキソヌクレアーゼHEX1/RAD2、PLK1、DHFRまたはシトロンキナーゼから誘導される。代替の好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現がp21によって誘導される遺伝子、最も好ましくは表IIに同定される遺伝子から誘導される。最も好ましくは、プロモーターは、血清アミロイドA、補体C3、結合性組織成長因子、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、プロサポシン、Mac2結合タンパク質、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、グラヌリン/エピセリン、p66shc、リソソームのβ−ガラクトシダーゼ、またはカテプシンBから誘導される。他の好ましい実施形態では、細胞は、その発現が、p21によって調節される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子をコードする第一の組換え発現構築物、および哺乳類p21遺伝子をコードする第二の組換え発現構築物を包含し、そしてp21の発現が、それにより哺乳類細胞中で実験的に誘導される。p21によって誘導または抑制されるレポーター遺伝子または内因性遺伝子の産生は、遺伝子産物の活性について分析することによるか、または相補的核酸にハイブリッド形成させることにより免疫学上の試薬を使用して検出される。
【0020】
第7の態様で、本発明は、本発明の前述の態様に供される方法を使用して測定されるときに、老化を増強する化合物と細胞を接触させる段階を包含することを特徴とする、過剰増殖のため、腫瘍細胞、増殖性細胞または病理学または疾病原因である任意の細胞型で細胞の老化を促進または増強する方法を提供する。
【0021】
第8の態様で、本発明は、ここに開示されるとおり本発明の方法のいずれかを使用して同定される化合物を提供する。
【0022】
第9の態様で、本発明は、細胞周期進行に関与する遺伝子について富化される複数の核酸種を得る方法を提供する。これらの方法は、哺乳類細胞でのp21の発現を誘導すること;p21誘導の前、およびp21が誘導され、そして細胞成長が停止された後に、哺乳類細胞から細胞のmRNAを得ること;および細胞周期進行に関与する遺伝子について富化された複数の核酸種を得る段階を包含する。好ましい実施形態では、細胞周期進行遺伝子について富化された複数の核酸種は、当業界に知られる消去式ハイブリッド形成法によって得られ、それによりp21を発現する細胞で過少表現される核酸種は、選択的に富化された。
【0023】
第10の態様で、本発明は、パラ分泌機能を有する分泌タンパク質および老化および加齢関連疾病に関与するタンパク質をコードする遺伝子について富化される複数の核酸種を得る方法を提供する。これらの方法は、哺乳類細胞でのp21の発現を誘導すること;p21が誘導される前および後に、哺乳類細胞から細胞のmRNAを得ること;およびp21が誘導された後に、その発現が細胞中で増加される遺伝子について富化された複数の核酸種を得る段階を包含する。好ましい実施形態では、タンパク質のパラ分泌機能は、有糸分裂および抗アポトーシス効果である。好ましい実施形態では、パラ分泌機能を有する分泌タンパク質および老化および加齢関連疾病に関与するタンパク質をコードする遺伝子について富化される複数の核酸種は、当業界で知られる消去式ハイブリッド形成方法によって得られ、それによりp21を発現する細胞で過剰表現される核酸種は、選択的に富化される。
【0024】
第11の態様で、本発明は、哺乳類細胞の第一の集団でのp21の発現を産生することにより老化を誘導し、そして哺乳類細胞の第二の集団での静止を誘導すること;細胞の各集団からmRNAを得ること;細胞中のp21の誘導の前および後の細胞での遺伝子発現のパターンを、細胞が静止になる前および後の細胞での遺伝子発現のパターンと比較すること;p21が誘導された後の細胞で強力に誘導される複数の遺伝子を、静止している細胞で強力に誘導される複数の遺伝子と比較すること;および静止している細胞で強力に誘導されはしないp21を産生する細胞で強力に誘導される遺伝子を同定する段階を包含することを特徴とする、細胞の老化のマーカーである遺伝子を同定する方法を提供する。
【0025】
第12の態様で、本発明は、哺乳類細胞における老化を検出する方法を提供する。これらの方法は、老化についてのマーカーである遺伝子の発現を検出する段階を包含する。好ましい実施形態では、老化の好ましいマーカーとしては、結合性組織成長因子(CTGF)、血清アミロイドA、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、Mac2結合タンパク質、または組織トランスグルタミナーゼが挙げられる。
【0026】
第13の態様で、本発明は、哺乳類細胞中で老化の誘導を促進する化合物を同定する方法を提供する。これらの方法は、哺乳類細胞を剤で処理すること、または化合物の存在下で老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養すること;p21遺伝子発現によって抑制または誘導される遺伝子の抑制または誘導について哺乳類腫瘍細胞を分析すること;および化合物の存在下で、p21によって抑制される遺伝子が、さらに抑制される場合に、すなわち、より大きな範囲に、またはp21によって誘導される遺伝子がさらに誘導される、すなわち、より大きな範囲に、老化のポテンシエーターとして化合物を同定する段階を包含する。好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21によって抑制され、そして老化の誘導を促進する化合物は、p21が、化合物の不在下で発現される場合に検出されるものより小さいレベルで、細胞の遺伝子の発現を検出することによって検出される。好ましい実施形態で、遺伝子は、表Iに同定される。代替の好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21によって誘導され、そして老化の誘導を促進する化合物は、p21が、化合物の不在下で発現される場合に検出されるものより大きなレベルで、細胞の遺伝子の発現を検出することによって検出される。好ましい実施形態では、遺伝子は、表IIに同定される。さらに代替の好ましい実施形態では、その方法は、細胞が、その発現がp21によって調節される遺伝子から得られるプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子を有する構築物を包含することを特徴とする、その発現がp21によって調節される遺伝子から誘導されるプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子含む組換え哺乳類細胞を使用して行われる。これらの実施形態では、p21によって抑制される遺伝子から誘導されるプロモーターを含む構築物を使用する時に化合物の不在下でより存在下でより低いレベルで、またはp21によって誘導される遺伝子から誘導されるプロモーターを含む構築物を使用する時に化合物の不在下でより存在下で大きいレベルで、レポーター遺伝子の産物の産生は、化合物が、老化の誘導を促進するときに検出される。好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現がp21によって抑制される遺伝子、最も好ましくは表Iに同定される遺伝子から誘導される。最も好ましくは、プロモーターは、ORC1、PRC1、XRCC9、CDC2、サイクリンB1、AIK1、CENP−A、CENP−F、MAD2、BUBR1、MCAK、HSET、CHL1、サイモポイエチンα、MPP2、MPP5、CDC47/MCM7、CDC21/MCM4、DNAリガーゼI、DNAポリメラーゼα、Rad54、エキソヌクレアーゼHEX1/RAD2、PLK1、DHFRまたはシトロンキナーゼから誘導される。代替の好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現がp21によって誘導される遺伝子、最も好ましくは表IIに同定される遺伝子から誘導される。最も好ましくは、プロモーターは、血清アミロイドA、補体C3、結合性組織成長因子、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、プロサポシン、Mac2結合タンパク質、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、グラヌリン/エピセリン、p66shc、リソソームのβ−ガラクトシダーゼ、またはカテプシンBから誘導される。他の好ましい実施形態では、細胞は、その発現が、p21によって調節される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子をコードする第一の組換え発現構築物、および哺乳類p21遺伝子をコードする第二の組換え発現構築物を包含し、そしてp21の発現が、それにより哺乳類細胞中で実験的に誘導される。p21によって誘導または抑制されるレポーター遺伝子または内因性遺伝子の産生は、遺伝子産物の活性について分析することによるか、または相補的核酸にハイブリッド形成させることにより免疫学上の試薬を使用して検出される。
【0027】
第14の態様で、本発明は、哺乳類細胞中で老化を誘導する化合物を同定する方法を提供する。これらの方法は、p21遺伝子発現によって抑制または誘導される遺伝子の抑制または誘導について、化合物の存在および不在下で哺乳類細胞を分析すること;および化合物の存在下で、p21によって抑制される遺伝子が、抑制される場合に、またはp21によって誘導される遺伝子が誘導される場合に、老化を誘導する化合物を同定する段階を包含する。好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21によって抑制され、そして老化を誘導する化合物は、化合物の不在下で検出されるものより小さいレベルで細胞の遺伝子の発現を検出することによって検出される。好ましい実施形態で、遺伝子は、表Iに同定される。代替の好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21によって誘導され、そして老化を誘導する化合物は、化合物の不在下で検出されるものより大きなレベルで、細胞の遺伝子の発現を検出することによって検出される。好ましい実施形態では、遺伝子は、表IIに同定される。さらに代替の実施形態では、その方法は、細胞が、その発現がp21によって調節される遺伝子から得られるプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子を有する構築物を包含することを特徴とする、その発現がp21によって調節される遺伝子から誘導されるプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子を含む組換え哺乳類細胞を使用して行われる。これらの実施形態では、p21によって抑制される遺伝子から誘導されるプロモーターを含む構築物を使用する時に、化合物の不在下でより存在下で低いレベルで、またはp21によって誘導される遺伝子から誘導されるプロモーターを含む構築物を使用する時に化合物の不在下でより存在下で大きいレベルで、レポーター遺伝子の産物の産生は、化合物が、老化を誘導するときに検出される。好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現がp21によって抑制される遺伝子、最も好ましくは表Iに同定される遺伝子から誘導される。最も好ましくは、プロモーターは、ORC1、PRC1、XRCC9、CDC2、サイクリンB1、AIK1、CENP−A、CENP−F、MAD2、BUBR1、MCAK、HSET、CHL1、サイモポイエチンα、MPP2、MPP5、CDC47/MCM7、CDC21/MCM4、DNAリガーゼI、DNAポリメラーゼα、Rad54、エキソヌクレアーゼHEX1/RAD2、PLK1、DHFRまたはシトロンキナーゼから誘導される。代替の好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現がp21によって誘導される遺伝子、最も好ましくは表IIに同定される遺伝子から誘導される。最も好ましくは、プロモーターは、アミロイドA、補体C3、結合性組織成長因子、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、プロサポシン、Mac2結合タンパク質、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、グラヌリン/エピセリン、p66shc、リソソームのβ−ガラクトシダーゼ、またはカテプシンBから誘導される。p21によって誘導または抑制されるレポーター遺伝子または内因性遺伝子の産物は、遺伝子産物の活性について分析すること、または相補的核酸にハイブリッド形成することによって免疫学上の試薬を使用して検出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の特に好ましい実施形態は、特定の好ましい実施形態および請求項の以下のいっそう詳細な説明から明らかになる。
【0029】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、p21で誘導した細胞の老化を仲介することに関与した遺伝子を同定する試薬および方法、および哺乳類細胞における老化または静止を阻害または増強する能力のある化合物を提供する。
【0030】
本発明の目的について、「細胞」または「複数の細胞」に言及されるのは、等価であることが意図され、そして特に、哺乳類細胞成長のインビトロ培養を包含し、そして当業界で知られるとおり維持される。
【0031】
本発明の目的について、複数で「細胞の遺伝子」に言及されるのは、単独遺伝子、ならびに2つまたはそれ以上の遺伝子を包含することが意図される。細胞の遺伝子発現の調節効果、または細胞の遺伝子から誘導されるプロモーターの転写制御下でレポーター構築物は、第一の遺伝子で検出でき、そしてその後、その効果は、第二または任意の数の追加の遺伝子、またはレポーター遺伝子構築物を試験することによって複製されることも、当業者によって理解される。代わりに、2つまたはそれ以上の遺伝子またはレポーター遺伝子の発現は、本発明の範囲内で同時に分析されうる。
【0032】
本発明の目的について、語句「静止」は、血清不足の条件下で培養された哺乳類細胞で起こるような細胞成長およびDNA複製の一時的中止を包含すると解釈される。
【0033】
本発明の目的について、語句「老化」は、正常な細胞の増殖性寿命の終点で、または細胞毒性薬剤、DNA損傷または他の細胞のインサルト(insult)に応答して正常あるいは腫瘍細胞で起こるような、成長因子によって逆行されないDNA複製および細胞成長の恒常的中止を包含すると解釈される。
【0034】
老化は、多数の方法により哺乳類細胞で誘導されうる。第一に、インビボまたはインビトロのいずれかで、正常な細胞成長の自然の結果である。正常な細胞が、老化になる前に受ける可能性のある限定された数の細胞分裂、継代または世代がある。正確な数は、細胞の型および起源の種によって変化する(HayflickおよびMoorhead、1961年、Exp.Cell Res.25巻:585−621頁)。任意の細胞型に老化を誘導する別の方法は、ほとんどの抗癌薬剤、放射線および細胞の分化剤のような細胞毒性薬剤を用いた処理である。Changら、Cancer Res.59巻:3761−3767頁、1999年参照。老化も、その細胞に、腫瘍サプレッサー遺伝子(p53、p21、p16またはRbのような)を形質導入させ、そしてそこに遺伝子を発現させることによって任意の哺乳類細胞に迅速に誘導されうる。Sugrueら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94巻:9648−9653頁、1997年;Uhrbomら、Oncogene 15巻:505−514頁、1997年;Xuら、Oncogene 15巻:2589−1596頁、1997年;Vogtら、Cell Growth Differ.9巻:139−146頁、1998年参照。
【0035】
本発明の試薬としては、任意の哺乳類細胞、好ましくは齧歯類または霊長類細胞、さらに好ましくはマウス細胞、および最も好ましくはこのような遺伝子が、遺伝子操作によって導入される内在性遺伝子または外来性遺伝子のいずれかであることを特徴とするp21遺伝子の発現を誘導しうるヒト細胞が挙げられる。実施例は、このような誘導性p21遺伝子をコードする組換え発現構築物を包含する組換え哺乳類細胞を開示するが、これらの実施形態が、単に実験的設計選択および都合よさの問題であるだけであること、および本発明が、内因性p21の誘導を十分に包含することが分かる。
【0036】
好ましい実施形態では、本発明は、誘導性哺乳類p21遺伝子をコードする組換え発現構築物を含有する哺乳類細胞を提供する。好ましい実施形態では、p21遺伝子は、ここに参照して組込まれた米国特許番号第5,424,400号に規定されるとおりヌクレオチドおよびアミノ酸配列を有するヒトp21である。代替の実施形態では、p21遺伝子は、ヒトp21遺伝子のアミノ末端部分であり、好ましくは生来のヒトp21タンパク質のアミノ酸残渣1から78を包含し(米国特許番号第5,807,692号で開示されるとおりであり、参照して組込まれる)、そしてさらに好ましくは生来のヒトp21タンパク質のアミノ酸21−71を含むCDK結合ドメインを包含する(Nakanishiら、EMBO J.14巻:555−563頁、1995年)。好ましい宿主細胞としては、哺乳類細胞、好ましくは齧歯類または霊長類細胞、そしてさらに好ましくはマウスまたはヒト細胞が挙げられる。特に好ましい実施形態は、線維肉腫細胞、さらに好ましくはヒト線維肉腫細胞、そして最も好ましくはヒトHT1080線維肉腫細胞株およびそれの誘導体である。最も好ましい培養細胞株は、2000年4月6日に、受託番号第 号の下に米国バージニア州マナサスのジ・アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(the American Type Culture Collection)に寄託されたp21−9として同定されるHT1080線維肉腫細胞株誘導体である。
【0037】
組換え発現構築物は、当業者によって理解されるとおり、適切な哺乳類細胞に導入されうる。上記構築物の好ましい実施形態は、伝達性ベクター、さらに好ましくはウイルス性ベクター、そして最も好ましくは当業界で知られるとおりのレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、およびワクシニアウイルスベクターで産生される。一般に、MAMMALIAN CELL BIOTECHNOLOGY:A PRACTICAL APPROACH(Butler編)、オックスフォード・ユニバーシティー・プレス:ニューヨーク、1991年、57−84頁参照。
【0038】
さらに好ましい実施形態では、本発明の組換え細胞は、その遺伝子が、誘導性プロモーターの転写制御下にあることを特徴とする誘導性p21遺伝子をコードする構築物を含む。さらに好ましい実施形態では、誘導性プロモーターは、その効果が、誘導剤によって調節されうるトランス作用因子に応答性がある。誘導剤は、温度、そして最も好ましくは誘導剤の存在または不在を含めた実験的に操作されうる任意の因子でありうる。好ましくは、誘導剤は、化学的化合物、最も好ましくはトランス作用因子に特異的である生理学的に中性の化合物である。ここに開示されるとおり誘導性プロモーターを含む構築物の使用で、組換え発現構築物から得られるp21の発現は、誘導性プロモーターから転写を誘導する誘導剤に、組換え細胞を接触させることによるか、またはこのようなプロモーターから転写を阻害する剤を除去することによって仲介される。細胞培養の温度を増加させることによって活性化されうるヒートショックプロモーター、そしてさらに好ましくは、tetプロモーターおよび哺乳類転写因子(米国特許番号第5,654,168号、第5,851,796号、および第5,968,773号)とのそれの融合、そしてラクトースオペロンの細菌性lacプロモーターおよびそれの同族体lacIレプレッサータンパク質のようなプロモーター/因子対を含めた多様な誘導性プロモーターおよび同族体トランス作用因子は、先行技術で知られている。好ましい実施形態では、組換え細胞は、lacIレプレッサータンパク質、および1つまたは複数のlac−応答性要素を含むプロモーターの制御下でヒトp21をコードする組換え発現構築物を発現し、p21の発現は、細胞を、生理学的に中性の誘導剤イソプロピルチオ−β−ガラクトシドと接触させることによって誘導されうることを特徴とする。この好ましい実施形態では、lacIレプレッサーは、3’SS(ストラタジーンから市販で入手可能である、カリフォルニア州ラホーラ)として同定される組換え発現構築物によってコードされる。
【0039】
本発明は、レポーター遺伝子が、その発現がp21によって調節される遺伝子のプロモーターの転写制御下にあることを特徴とする組換え発現構築物も提供する。これらとしては、その発現がp21によって誘導される遺伝子、およびその発現がp21によって抑制される遺伝子が挙げられる。好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現がp21によって抑制される遺伝子から由来し、そして表Iに同定される。最も好ましくは、プロモーターは、ORC1、PRC1、XRCC9、CDC2、サイクリンB1、AIK1、CENP−A、CENP−F、MAD2、BUBR1、MCAK、HSET、CHL1、サイモポイエチンα、MPP2、MPP5、CDC47/MCM7、CDC21/MCM4、DNAリガーゼI、DNAポリメラーゼα、Rad54、エキソヌクレアーゼHEX1/RAD2、PLK1、DHFRまたはシトロンキナーゼから誘導される。別の好ましい実施形態では、プロモーターは、その発現がp21によって誘導されるか、さもなければ増加される遺伝子から誘導され、そして表IIIで同定される。最も好ましくは、プロモーターは、アミロイドA、補体C3、結合性組織成長因子、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、プロサポシン、Mac2結合タンパク質、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、グラヌリン/エピセリン、p66shc、リソソームのβ−ガラクトシダーゼ、またはカテプシンBから誘導される。これらのレポーター遺伝子は、その後、p21誘導の効果の感受性および都合のよい指標として使用され、そして哺乳類細胞におけるp21発現の効果を阻害または増強する化合物が、容易に同定されることを可能にする。これらの構築物についての宿主としては、p21遺伝子発現が誘導されうる任意の細胞が挙げられ、そして好ましくは、上に記述されるとおり誘導性p21遺伝子を含有する組換え発現構築物をも含む細胞が挙げられる。本発明のこの態様の実施に有用なレポーター遺伝子は、それに限定されないが、ホタル・ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、またはアルカリ性ホスファターゼが挙げられる。
【0040】
好ましい実施形態では、本発明による細胞は、その発現がp21によって調節される哺乳類細胞についてのプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子をコードする第一の組換え発現構築物、およびp21発現が、哺乳類細胞中でそれにより実験的に誘導性であることを特徴とする哺乳類細胞p21遺伝子をコードする第二の組換え発現構築物の両方を包含する。
【0041】
代替の実施形態では、本発明は、プロモーターが、ORC1、PRC1、XRCC9、CDC2、サイクリンB1、AIK1、CENP−A、CENP−F、MAD2、BUBR1、MCAK、HSET、CHL1、サイモポイエチンα、MPP2、MPP5、CDC47/MCM7、CDC21/MCM4、DNAリガーゼI、DNAポリメラーゼα、Rad54、エキソヌクレアーゼHEX1/RAD2、PLK1、DHFRまたはシトロンキナーゼから得られることを特徴とする、その発現がp21によって抑制される哺乳類細胞についてのプロモーターの転写制御下で、レポーター遺伝子をコードする組換え発現構築物を含む哺乳類細胞を提供する。別の代替の実施形態では、本発明は、プロモーターが、遺伝子結合性組織成長因子、血清アミロイドA、補体C3、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、プロサポシン、Mac2結合タンパク質、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、グラヌリン/エピセリン、p66shc、リソソームのβ−ガラクトシダーゼ、またはカテプシンBから得られることを特徴とし、その発現がp21によって誘導される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下での、レポーター遺伝子をコードする組換え発現構築物を含む哺乳類細胞を提供する。
【0042】
本発明は、培地が、p21を発現する細胞によって調整されることを特徴とする調整された細胞培養様培地、および上記調整培地を生成する方法を提供する。ここに使用される場合、語句「調整培地」は、有糸分裂または抗アポトーシス因子を含むp21発現細胞の成長によって調整された細胞培養用培地を包含することが意図される。調整培地は、哺乳類細胞の培養用培地、最も好ましくは、血清添加物を含有しない合成培地中でp21発現細胞を培養することによって好ましい実施形態で生成される。任意のp21発現細胞は、上記調整培地の生成のために有用であり、そしてこのような細胞におけるp21発現は、内因性p21を誘導することによる(DNA損傷剤、放射線を用いた処理によるような)か、または本発明による誘導性p21発現構築物を含む細胞を使用し、そして生理学的に中性の誘導剤で細胞を培養することによって達成されうる。好ましい細胞としては、哺乳類細胞、好ましくは齧歯類または霊長類細胞、そしてされに好ましくはマウスまたはヒト細胞が挙げられる。特に好ましい実施形態は、線維肉腫細胞、さらに好ましくはヒト線維肉腫細胞、そして最も好ましくはヒトHT1080線維肉腫細胞株およびそれらの誘導体である。
【0043】
本発明は、哺乳類細胞での有糸分裂または抗アポトーシス因子のp21誘導発現を阻害する化合物を同定するスクリーニング法も提供する。好ましい実施形態では、p21発現は、有糸分裂または抗アポトーシス因子のp21誘導発現の阻害剤として同定されるべき化合物の存在または不在下で哺乳類細胞培養物中において誘導される。化合物は、細胞中のp21の発現を誘導し、そして化合物の存在下での有糸分裂または抗アポトーシス因子、あるいはそれらの複数の発現の範囲を、化合物の不在下での発現と比較することによって、阻害剤として同定され、そして阻害剤は、化合物の存在下で有糸分裂または抗アポトーシス因子、あるいはそれらの複数の発現の減少量を示す化合物として同定される。任意のp21発現細胞は、上記調整培地の生成のために有用であり、そしてこのような細胞におけるp21発現は、内因性p21を誘導することによる(DNA損傷剤および他の細胞毒性化合物、および放射線を用いた処理によるような)か、または本発明による誘導性p21発現構築物を含有する細胞を使用し、そして生理学的に中性の誘導剤中で細胞を培養することによって達成されうる。好ましい細胞としては、哺乳類細胞、好ましくは齧歯類または霊長類細胞、そしてさらに好ましくはマウスまたはヒト細胞が挙げられる。特に好ましい実施形態は、線維肉腫細胞、さらに好ましくはヒト線維肉腫細胞、および最も好ましくはヒトHT1080線維肉腫細胞株およびそれの誘導体が挙げられる。哺乳類細胞のこの特に好ましい実施形態による例示の培養細胞株は、2000年4月6日に、受託番号第 号の下に米国バージニア州マナサスのジ・アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託されたp21−9として同定されたHT1080線維肉腫細胞株誘導体である。
【0044】
代替の実施形態では、本発明は、細胞が、p21によって誘導される細胞遺伝子のプロモーターの転写制御下で、レポーター遺伝子をコードする組換え発現構築物を包含することを特徴とする、哺乳類細胞における有糸分裂または抗アポトーシス因子のp21誘導発現を阻害する化合物を同定する方法を提供する。好ましい実施形態では、プロモーターは、CTGF、アクチビンA、エピセリン/グラヌリン、ガレクチン−3およびプロサポシンが挙げられる。好ましいレポーター遺伝子としては、それに限定されないが、ホタル・ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼおよび緑色蛍光タンパク質が挙げられ、その全ては、市販で入手できる。これらの実施形態では、p21発現は、その細胞で誘導され、そして化合物の存在下でのレポーター遺伝子の発現の範囲を、化合物の不在下での発現と比較する。阻害剤は、化合物の存在下でのレポーター遺伝子の発現の減少した量を供する化合物として同定される。任意のp21発現細胞は、本発明のこの態様に有用であり、そしてこのような細胞におけるp21発現は、内因性p21(例えば、DNA損傷剤または他の細胞毒性化合物、または放射線での処理によって)を誘導することによって、または本発明による誘導性p21発現構築物を含有する細胞を使用し、そして生理学的に中性の誘導剤中で細胞を培養することによって達成されうる。好ましい細胞としては、哺乳類細胞、好ましくは齧歯類または霊長類細胞、およびさらに好ましくはマウスまたはヒト細胞が挙げられる。特に好ましい実施形態は、線維肉腫細胞、さらに好ましくは、ヒト繊維肉腫細胞および最も好ましくはヒトHT1080線維肉腫細胞株およびそれらの誘導体である。
【0045】
本発明は、老化を阻害または促進する方法を提供し、それにより化合物の効果は、その化合物が、その発現がp21によって調節される遺伝子の誘導または抑制を阻害または増強するかどうかを決定することによって分析される。本発明の方法の実施では、p21が誘導されうる培養哺乳類細胞が、例えば、放射線処理、または細胞毒性薬剤を用いた処理によって処理されてp21を誘導するか、またはp21をコードする伝達性ベクターで形質移入され。さらに好ましくは、p21が、IPTGと細胞を接触させることによって誘導されうるp21−9細胞が使用される。全般的に、細胞は、適切な培養用培地(例えば、p21−9細胞のための10%牛胎児血清(FCS)で補足されたDMEM)で育成される。p21遺伝子発現は、約50μMの濃度でIPTGを培養用培地に添加することによって、p21−9で誘導される。全般的に、p21は、哺乳類細胞の方法によって試験されるべき化合物の存在または不在下でこれらの細胞中に誘導される。その後、mRNAは、p21が誘導される細胞から単離され、そしてp21によって調節される遺伝子の発現が分析される。p21が化合物の存在下で誘導される発現を、化合物の不在下で誘導される発現と比較され、そして差異は、ここに規定される方法によって細胞の遺伝子発現に影響を及ぼす化合物を同定するために使用される。特定の実施形態では、細胞の遺伝子発現は、市販で入手可能であるような(例えば、ゲノム・システムズ,インク.(Genome Systems,Inc.)、ミズーリー州セントルイスから得られる)オリゴヌクレオチドまたは細胞のcDNAのマイクロアレイを使用して分析される。代替の実施形態では、p21によって誘導または抑制されることが知られている遺伝子が分析される。遺伝子発現は、細胞のmRNAまたはタンパク質を、1つまたは複数のいずれかのp21調節遺伝子について分析することによって、分析されうる。最も好ましくは、これらのアッセイに使用される遺伝子は、表IおよびIIに同定される遺伝子である。
【0046】
代替の実施形態では、このような化合物は、p21指向性実験的操作に独立して同定される。このようなアッセイで、細胞が処理されて、上に開示される方法のいずれかで老化を誘導し、それに限定されないが、細胞毒性薬剤、放射線または細胞の分化剤、または腫瘍抑制剤の導入が挙げられる。p21によって抑制または誘導される遺伝子の発現は、試験化合物の存在または不在下で分析される。最も好ましくは、これらのアッセイに使用される遺伝子は、遺伝子発現分析について上で検討されたmRNAおよびタンパク質アッセイの型を使用して、表IおよびIIで同定される遺伝子である。
【0047】
代替の実施形態では、p21が誘導される細胞は、さらに、p21によって誘導または抑制される細胞遺伝子のプロモーターの転写制御下で、レポーター遺伝子をコードする組換え発現構築物を包含する。好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21によって抑制される遺伝子であり、そしてプロモーターは、表Iに同定される遺伝子から由来する。このような遺伝子についての公知プロモーターの例は、ORC1、PRC1、XRCC9、CDC2、サイクリンB1、AIK1、CENP−A、CENP−F、MAD2、BUBR1、MCAK、HSET、CHL1、サイモポイエチンα、MPP2、MPP5、CDC47/MCM7、CDC21/MCM4、DNAリガーゼI、DNAポリメラーゼα、RAD54、HEX1/RAD2、PLK1、DHFRまたはシトロンキナーゼが挙げられる。好ましい実施形態では、細胞の遺伝子は、p21によって誘導される遺伝子であり、そして、プロモーターは、表IIに同定される遺伝子から由来する。このような遺伝子についての公知プロモーターの例としては、結合性組織成長因子、血清アミロイドA、補体C3、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、プロサポシン、Mac2結合タンパク質、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、グラヌリン/エピセリン、p66shc、リソソームのβ−ガラクトシダーゼ、またはカテプシンBが挙げられる。好ましいレポーター遺伝子としては、ホタル・ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼおよび緑色蛍光タンパク質が挙げられ、その全ては、市販で入手可能である。
【0048】
本発明は、p21で誘導された細胞の老化の効果を仲介する遺伝子を同定する方法も提供する。p21の誘導は、老化、末端分化および細胞の損傷に対する応答に関連した細胞成長停止の絶対に必要な部分であることがわかる。下の実施例で記述されるとおり、cDNAアレイハイブリッド形成は、これらの効果が、遺伝子配列におけるp21で誘導される変化によるかどうかを調査するために使用された。この分析は、p21が、有糸分裂の制御、DNA複製、分離および修復に関与した複数の遺伝子を選択的に阻害することを示した。これらの実験でp21によって誘導される多くのタンパク質は、老化および加齢に関連したか、または硬化症、アルツハイマー病、アミロイド症および関節炎を含めた加齢関連疾病に関与していることを示した。これらの知見は、p21誘導の累積効果が、癌および加齢関連疾病の病因に起因しうることを示唆する。さらに、多くのp21活性化遺伝子は、細胞成長およびアポトーシスにおける強力なパラ分泌効果を示す分泌タンパク質をコードする。この観察と一致して、p21誘導細胞から得られる調整培地は、有糸分裂および抗アポトーシス活性を示した。
【0049】
下の実施例で開示される分析は、細胞周期進行遺伝子の阻害が、単にp21−誘導成長停止の結果でないことを示した。これらの遺伝子の内、いくつかの締め出しは、細胞成長停止と共に起こり、そしてp21からの放出による全ての試験遺伝子の抑制は、細胞周期への細胞の再登場に先行した。ORC1(DNA複製の開始について必要とされる)、トポイソメラーゼII(G2でのDNA分離に重要である)、およびPLK1(有糸分裂の開始に関与した)のような即時応答遺伝子の特性は、それらの発現の阻害は、p21による成長停止の誘導における原因的役割を実際に果しうることを示唆した。これらの観察は、本発明の方法の一態様についての根拠を形成し、そしてそれは、哺乳類細胞での細胞周期進行に関与した遺伝子を同定する方法を提供する。
【0050】
さらに、即時および早期応答遺伝子の両方についての生物学上の機能は、それらの閉じ込めが、p21で誘導された成長停止を維持する役割を果すことを示す。哺乳類細胞の試薬および方法の使用は、p21−誘導成長停止からの放出が、内性複製および有糸分裂の異常性を生じることを例示した。DNA複製および有糸分裂は、全てのp21−阻害遺伝子が、再発現されるまで、IPTGからの放出の後に再び始まらず、そしてDNA複製は、有糸分裂の相当前に再び始まった。下の実施例で開示される結果は、長期化したp21誘導が、複製または有糸分裂の「品質制御」に関与した多数のタンパク質を含めて、細胞周期進行に関与した多くのタンパク質の衰退に至ることを示す。細胞が、p21から放出された後に細胞周期に再登場した時間までに、このようなタンパク質の貯蔵を再生させるのに失敗している結果として、異常な複製および異常な有糸分裂が続いて起こった。例えば、倍数体細胞の産生は、長期化されたp21誘導細胞成長停止から開放された後に観察される。細胞の倍数体化に至るプロセスである内性複製は、有糸分裂の確認点制御を廃止したことの結果であり得(Hixonら、Mol.Cell Biol.18巻:6224−37頁、1998年)、そしてそれは、MAD2およびBUBR1のようなp21阻害確認点制御タンパク質の欠乏から生じうる。さらに、倍数体細胞は、細胞質分裂に関連したタンパク質Prc1、Aim1およびシトロンキナーゼの欠乏によって誘発されうる細胞質分裂の不全により生じ得て、そしてそれは、p21によって阻害されることがわかった。
【0051】
p21から放出された後に観察された、異なる有糸分裂の異常性は、MAD2、BUBR1、PLK1、AIK1、CENP−A、CHL1およびMCAK(LiおよびBenezra、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93巻:10436−10440頁、1996年;Gloverら、Genes Develop. 12巻:3777−3787頁、1998年;Chanら、J.Cell Biol. 146巻:941−954頁、1999年)のような、このようなp21−阻害遺伝子の産物のような、適切な染色体整列および分離を制御するタンパク質の突然変異または阻害から生じることが先に見られた。p21−誘導有糸分裂の異常性におけるこのようなタンパク質の役割は、有糸分裂制御タンパク質の減退および再合成の時間経過の分析によって支持される。したがって、再開した有糸分裂の時間(放出の36時間後)に、有糸分裂の開始について要求されるCdc2およびPlk1の貯蔵は、未処理細胞に匹敵するレベルまで再生される(図7Bに示されるとおり)。対照的に、その機能は、染色体が有糸分裂の紡錘体に適切に付着している限り、後期を防止するMAD2は、いっそう効率が低く再合成される(図7B)。さらに、IPTG処理の1日後に残るMAD2レベルは、3日またはそれ以上の後よりいっそう高く(図7B)、そしてそれは、p21誘導の1日後に放出される細胞中の異常な有糸分裂の頻度が低いことと一致する。
【0052】
p21過剰発現は、DNA修復を阻害することが報告されている(Panら、J.Biol.Chem.270巻:22008−22016頁、1995年;Umarら、Cell 87巻:65−73頁、1996年)。我々の結果の点で、p21のこの効果は、XRCC9、RAD54、HEX1/RAD2、RAD21相同体およびDNAリガーゼIのようなDNA修復遺伝子の阻害に起因しうる。DNA修復の阻害は、p21誘導成長停止から回復する細胞における突然変異の頻度を増加させるようでもあり、それにより、このような細胞の全体的な遺伝的不安定性に起因する。
【0053】
正常な細胞におけるp21誘導遺伝的動揺化は、強力な発癌効果をも示しうる。老化細胞の成長停止は、一過性p21誘導によって誘発される一方で、別のCDK阻害剤p16は、p21の衰退の後、成長停止を維持する原因であるようである(Alcortaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93巻:13742−13747頁、1996年)。p16(p21に対する強烈な対照で)は、本研究で使用されたHT1080線維肉腫を含めてヒト腫瘍中で頻繁に突然変異される(HallおよびPeters、Adv.Cancer Res.68巻:67−108頁、1996年)。p16突然変異の一次発癌効果が、発育不全の老化である場合、それにより突然変異p16を発現する細胞は、長期化したp21有糸分裂に出会う。ここに開示される結果と一致して、これらの条件下の細胞周期への再登場は、核型の異常性の発生を生じると予想される。p16と異なり、p21は、このプロセスにおける腫瘍サプレッサーとしてより癌遺伝子としてより作用し、そして癌におけるp21突然変異の希少性を説明できる。
【0054】
したがって、本発明は、p21誘導細胞周期停止を阻害することによって、抗発癌性効果を示す化合物を同定する方法を提供する。これらの方法によって生成される化合物は、核型の異常性を示す細胞の発生を最小にできると予想され、そしてそれは、順次、このような細胞が、悪性疾病に発展する見込みを減じることが予想される。
【0055】
本発明は、老化を誘導または促進する化合物を同定する方法を提供する。この態様では、本発明は、p21発現によって阻害される遺伝子の阻害を増加する化合物を提供する。細胞分裂および細胞周期進行制御遺伝子の阻害は、細胞がp21誘導後の細胞周期の再登場することを防止し、そして不可逆の成長停止を生じることがここに示される。したがって、このような遺伝子のp21誘導抑制を誘導または増強する化合物は、細胞老化および末端成長停止を促進する上で有効である。したがって、本発明は、細胞周期進行を制御する細胞の遺伝子、最も好ましくは表Iに同定される遺伝子を阻害する化合物を同定する方法を提供する。好ましい実施形態では、化合物は、哺乳類細胞、最も好ましくは腫瘍細胞、増殖性細胞または過剰増殖のため病理学または疾病を引起す任意の細胞型の老化を促進するために使用される。哺乳類細胞のこの態様の好ましい実施形態では、哺乳類細胞は、化合物の存在または不在下で、哺乳類細胞中でp21を誘導する;p21によって抑制される遺伝子の発現について細胞を分析する;そして遺伝子が、化合物の不在下でより化合物の存在下で大きな範囲に抑制される場合に、老化のポテンシエーターとして化合物を同定する段階を包含する。本発明の方法の他の態様では、哺乳類細胞中で老化を促進する化合物は、例えば、上に開示される方法のいずれかで細胞中の老化を誘導することによりp21指向性の実験的操作から独立に同定される。老化が、p21不足細胞でさえ誘導されうること(Changら、Oncogene 18巻:4808−4818頁、1999年、およびPantojaら、Oncogene 18巻:4974−4982頁、1999年)、および全てのトランスレチン酸を用いたMCF−7細胞の処理(Changら、Cancer Res. 59巻:3761−3767頁、1999年)のような、ある種の老化誘導処理が、p21の細胞のレベルにおける増加よりむしろ減少に関連すること(Zhuら、Exp.Cell Res. 234巻:293−299頁、1997年)は当業界で知られている。
【0056】
本発明は、本発明の方法によって同定される化合物に細胞を接触させる段階を包含することを特徴とする、哺乳類細胞中の老化を増強する方法も提供する。好ましい実施形態では、哺乳類細胞は、腫瘍細胞、増殖性細胞または過剰増殖により病理学または疾病を引起す任意の細胞型である。代替の実施形態では、方法は、放射線または抗癌、細胞毒性、または抗増殖性薬剤と細胞を接触させる追加の段階を包含する。
【0057】
遺伝子発現におけるp21誘導の観察される効果は、細胞老化および生物の加齢に関連した変化との膨大な相互関係を示す。これらの相互関係は、p21で阻害される遺伝子の分析から来る。したがって、老化線維芽細胞は、我々がp21誘導によっても観察されたとおり、低いRbのレベルを表すことが報告された(Steinら、Mol.Cell Biol.19巻:2109−2117頁、1999年)。3つのp21阻害遺伝子CHL1、CDC21およびRAD54は、ヘリカーゼファミリーの構成員をコードすることも興味がある。ヘリカーゼ基の別のタンパク質における欠乏は、ワーナー症候群、早発の加齢に関連した臨床的症状の原因、そして細胞のレベルで、培養物中の細胞の促進された老化として同定された(Grayら、Nature Genet.17巻:100−103頁、1997年)。
【0058】
しかし、老化表現型との最強の相互関係は、p21誘導遺伝子の同定から来て、そしてその多くは、複製的老化または生物加齢の間、それらの濃度を増加することが知られている。ECMタンパク質の過剰発現は、反復性老化の公知優良の証明であり、これらの群中の2つのp21誘導遺伝子フィブロネクチン1およびプラスミノーゲンアクチベーター阻害剤1(PAI−1)は、細胞の老化に頻繁に関連してきた(CrisofaloおよびPignolo、Exp.Geromol.31巻:111−123頁、1996年で再検討)。老化線維芽細胞で過剰発現されるとも報告された他のp21誘導遺伝子としては、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)(Westら、Exp.Gerontol.31巻:175−193頁、1996年)、カテプシンB(diPaoloら、Exp.Cell Res.201巻:500−505頁、1992年)、インテグリンβ3(Hashimotoら、Biochem.Biophys.Res.Commun.240巻:88−92頁、1997年)、およびAPP(Adlerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88巻:16−20頁、1991年)が挙げられる。数種のp21誘導タンパク質の発現は、t−PAおよびPAI−1(Hashimotoら、Thromb.Res.46巻:625−633頁、1987年)、カテプシンB(Bernsteinら、Brain Res.Bull 24巻:43−549頁、1990年)、アクチビンA(Loriaら、Eur.J.Endocrinol. 139巻:487−492頁、1998年)、プロサポシン(Mathurら、Biochem.Mol.Biol.Int.34巻:1063−1071頁、1994年)、APP(Ogomoriら、J.Gerontol.43巻:B157−B162頁、1988年)、SAA(RosenthalおよびFranklin、J.Clin.Invest.55巻:746−753頁、1975年)およびt−TGエース(Singhalら、J.Investig.Med.45巻:567−575頁、1997年)を含めた生物加齢に相互関係することが示された。
【0059】
細胞老化の最も一般的に使用されるマーカーは、SA−β−gal活性である(Dimriら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92巻:9363−9367頁、1995年)。この遺伝子は、IPTGで処理されたp21−9細胞で強力に上昇される(Changら、Oncogene 18巻:4804−4818頁、1999年)。SA−β−galは、活性が増加され、そしてリソソームのβ−ガラクトシダーゼの改変配置を示すことが示唆され(Dimriら、1995年、上記)、そして他の研究は、老化細胞中のリソソーム活性が上昇されたことを記述した(CristofaloおよびKabakijan、Mech.Aging Dev.4巻:19−28頁、1995年)。5つのリソソームの酵素は、表IIに表され、N−アセチルガラクトサミン−6−スルフェートスルファターゼ(GALNS)、カテプシンB、酸α―グルコシダーゼ、酸リパーゼAおよびリソーマル(lysomal)ペプスタチン−不感受性プロテアーゼが挙げられる。p21も、ミトコンドリアのタンパク質SOD2、メタジンおよび2,4−ジエノイル−CoAレダクターゼの遺伝子を上方調節し、そしてそれらは、老化細胞中で過剰発現される、異なるミトコンドリアの遺伝子の報告に相互に関係している(Doggettら、Mech.Aging Dev.65巻:239−255頁、1992年;Kodamaら、Exp.Cell Res.219巻:82−86頁、1995年;Kumazakiら、Mech.Aging Dev.101巻:91−99頁、1998年)。
【0060】
以下の実施例で開示されるとおり、p21−9細胞でのp21誘導の効果と、正常な線維芽細胞での老化と関連した変化との間に多くの類似性がある。特に、老化細胞は、転移を促進しうる様々な成長因子およびECMタンパク質を過剰生成することが示された(Campisiら、J.Investig.Dermatol.Symp.Proc.3巻:1−5頁、1998年)。数種の成長因子および成長因子レセプターは、強力なp21誘導の条件下で、p53−依存性手段での照射により誘導される遺伝子の中でも同定された(Komarovaら、Ongogene 17巻:1089−1096頁、1998年)。興味深いことに、これら遺伝子の内のほとんどは、それらのプロモーター中にp53−結合部位を含まなかった。我々の結果は、p53による成長因子の誘導が、p21誘導を通して仲介される間接的効果でありうることを示唆する。
【0061】
したがって、本発明は、細胞の老化に関係する遺伝子、特に、老化の間に、そして特にp21発現により誘導される遺伝子を同定する方法を提供する。本発明は、このような遺伝子のp21−仲介誘導を阻害しうる化合物を同定する方法も提供する。このような化合物は、遺伝子配列のp21−仲介誘導におけるそれらの効果により細胞の老化を減少、抑制または逆行させる許容性を示すことが予想される。
【0062】
印象的なことに、我々がp21により誘導されると知見した多くの遺伝子の産物は、アルツハイマー病、アミロイド症、硬化症および関節炎を含めた加齢関連疾病に繋がった。したがって、APPは、アルツハイマーのアミロイドプラークの主要成分であるβ−アミロイドペプチドを生み出す。補体C3(Veehuisら、Virchows Arch.426巻:603−610頁、1995年)およびAMPデアミナーゼ(Simsら、Neurobiol.Aging 19巻:385−391頁、1998年)は、アルツハイマー病で役割を果すことも示唆された。p21によって最も迅速に誘導され、そして細胞分化、癌誘発、アポトーシスおよび加齢の多面発現性メディエーターとして記述されたt−TGエース(Parkら、J.Gerontol.A.Biol.Sci.54巻:B78−B83頁、1999年)が、アルツハイマー病およびアミロイド症の両方に関連したプラークの形成に関与している(DudekおよびJohnson、Brain Res.651巻:129−133頁、1994年)ことは特に興味深い。後者の疾病は、別のp21誘導異性体産物SAAの沈殿作用により、そしてそれは、硬化症、変形性関節症、リューマチ様関節炎に係わり合いになってもいた(JensenおよびWhitehead、Biochem.J.334巻:489−503頁、1998年)。2つの他のp21−上方調節された分泌タンパク質、結合性組織成長因子(CTGF)およびガレクチン3は、硬化症に関与する(Oemarら、Circulation 95巻:831−839頁、1997年;Nachtigalら、Am.J.Pathol.152巻:1199−1208頁、1998年)。さらに、カテプシンB(Howieら、J.Pathol.145巻:307−314頁、1985年)、PAI−1(Cerinicら、Life Sci.63巻:441−453頁、1998年)、フィブロネクチン(Chevalier、Semin.Arthritis Rheum.22巻:307−318頁、1993年)、GALNSおよびMac−2結合タンパク質(Sekiら、Arthritis Rheum.41巻:1356−1364頁、1998年)は、変形性関節症および/またはリューマチ様関節炎に関連した。さらに、PAI−1発現が増加したことのような、ECMタンパク質での老化関連の変化は、皮膚および他の組織の構造における年齢特異的な破壊を生じることが提案された(Campisiら、J.Investig.Dermatol.Symp.Proc.3巻:1−5頁、1998年)。加齢細胞によるフィブロネクチン産生が増加したことも、ECMにおけるフィブロネクチンネットワークの密度を増加することが示唆され、そしてそれは、高齢の個人におけるゆっくりとした創傷治癒に寄与しうる(Albiniら、Coll.Relat.Res.8巻:23−37頁、1988年)。
【0063】
ここに開示される結果は、p21誘導が、癌または加齢関連疾病の発生の可能性を増加しうる方法で、細胞の遺伝子発現に影響を及ぼすことを示す。p21発現の高まりは、正常な反復性老化でのみならず、細胞損傷に応答しても起こる;両方の場合に、p21誘導の歓迎されない効果は、年齢依存性手段で促進することが予想される。遺伝子発現におけるp21のこれらの効果に起因する特異的分子の相互関係および調節経路の説明は、癌および加齢関連疾病の防止に対する新たなアプローチ法を示唆しうる。
【0064】
したがって、本発明は、加齢関連疾病に関連した遺伝子を同定する方法を提供する。本発明は、このような遺伝子のp21仲介誘導を阻害しうる化合物を同定する方法をも提供する。このような化合物は、加齢関連疾病を防止、妨害または逆行する治療的許容性を示すことが予想される。
【0065】
その発現がp21によって調節される遺伝子を同定する方向に向けられた本発明の方法は、p21発現を実験的に誘導する能力を利用する。誘導性p21遺伝子を含む本発明により提供される場合の細胞は、p21発現による誘導、抑制および開放された遺伝子の発現状況に反映する細胞のmRNAを単離するために使用されうる。p21が、誘導されない投薬を受けたことのない細胞は、細胞のmRNAの比較、対照源を供する。複数の核酸、最も好ましくは、消去式ハイブリッド形成法を用いて分化cDNAライブラリーを構築することによって誘導または抑制遺伝子のいずれかについて特異的である細胞のmRNAのcDNAコピーが得られうる。例えば、Diatchenkoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93巻:6025−6030頁、1996年参照。p21誘導の前後に単離されたmRNAまたはcDNAは、アレイ化または非アレイ化cDNAライブラリーのいずれかを使用することによりハイブリッド形成分析のためのプローブとしても使用でき、そして分化的に発現された遺伝子は、このようなハイブリッド形成から同定されうる。一般に、Sambrockら、MOLECULAR CLONING:A LABORTORY MANUAL,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨーク、1990年参照。代わりに、消去されたcDNA集団の示差表示が行われて、p21発現によって上方調節または下方調節のいずれかをされる遺伝子の集団を生じうる。
【0066】
追加の実施形態では、p21発現によって上方調節または下方調節される遺伝子は、当業界で十分に知られた分子クローニング技術を使用して単離されうる。Sambrookら、上記。上に記述されるとおり生成された示差cDNAライブラリーは、適切なcDNA集団についてのプローブを富化する消去式ハイブリッド形成法を使用して、p21により誘導または抑制される遺伝子に特異的なプローブを用いてスクリーニングしうる。代わりに、このようなプローブは、全長または全長に近いcDNAを含むコロニーの含有率を最大にし、p21で調節された遺伝子、特に本発明の方法を使用して同定された新規遺伝子のクローニングを促進するために構築された従来的に作成されたcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用されうる。上記遺伝子も、本発明の範囲内に入ることが意図される。
【0067】
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態をさらに例示するが、特性で制限しないことが意図される。
【実施例1】
【0068】
誘導性p21遺伝子を含む哺乳類細胞の産生
ヒト線維肉腫細胞株HT1080の組換え誘導体p21−9を、Changら(Oncogene 18巻:4808−4818頁、1999年)により基本的に生成された。この培養細胞株は、イソプロピル−β−チオガラクトシド(IPTG)により調節されるプロモーターの転写制御下でp21コーディング配列を含有した。p21の発現は、十分な量のIPTGの存在下でこれらの細胞を培養し、それによりp21発現の後遺症を、内因性p21遺伝子の誘導が、刺激する可能性あるあらゆる追加の効果の不在下で研究させうる。この培養細胞株は、2000年4月6日に、受託番号第 号の下に米国バージニア州マナサスのジ・アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(A.T.C.C)に寄託された。
【0069】
簡便には、プラスミド3’SS(ストラタジーン)(ChangおよびRoninson、Gene 33巻:703−709頁、1996年に記述され、参照して組込まれる)によってコードされるネズミの環境親和性レトロウイルスレセプターおよび修飾された細菌性lacIリプレッサーを発現するHT1080のサブラインを、その構造が図1に示される組換えレトロウイルスLNp21CO3を含むレトロウイルスの粒子で感染させた。このレトロウイルスベクターは、レトルウイルスの長い末端反復プロモーターの転写制御下で、細菌のネオマイシン耐性遺伝子(neo)を含有する。p21コード化配列は、neo遺伝子の転写方向と反対の方向で、そして修飾されたヒトサイトメガロウイルスプロモーターの制御下でクローン化する。特にCMVプロモーターは、細胞中で発現されるlacIリプレッサーに感受性のあるプロモーターから発現させる細菌のlacオペレーター配列と比べて、3倍の反復を含む。LNp21CO3は、本来のベクターLNXCO3(ChangおよびRoninson、上記で開示された)のNotIおよびBglII部位に21pコーディング配列を含む492bpのDNAの断片をクローニングすることによって構築された。
【0070】
感染後、LNXCO3ベクターで感染した細胞が、400μg/mL G418(メリーランド州ゲーザースバーグのBRL−GIBCOから得た)の存在下で細胞を培養することによって選択された。クローナルラインp21−9は、クローナル細胞株が得られるまで終点希釈によってLNp21CO3形質導入G418耐性細胞株から誘導された。
【実施例2】
【0071】
細胞成長アッセイ
実施例1で記述されたとおり産生されたp21−9細胞は、p21が細胞中で発現されたときに、細胞成長におけるどのような変化が起こったかを決定する細胞成長アッセイで使用された。
【0072】
p21−9細胞でのLNp21CO3ベクターから得られるp21発現が、10%牛胎児血清(ハイクローン(Hyclone)、ユタ州ローガン)およびIPTGを含有するDMEM培地中で細胞を培養することによって誘導された。これらのアッセイの結果は、図2Aおよび2bで示された。図2Aは、50μM IPTGの存在下で培養された細胞中のp21タンパク質産物の時間経過を示す。p21遺伝子発現は、成長培地中へのIPTGの導入の後、6および12時間の間、増加し、そしてその発現は、約24時間誘導後にピークに達した。IPTG含有培地から細胞を取出すことによって、p21発現は、それが生じたのとほとんど同じくらい迅速に上昇し、IPTGが除去された後の約24時間にレベル予め誘導に戻した(図2B)。
【0073】
IPTGの存在下で細胞成長は、3つの方法で分析された:H−チミジン取込み(「標識指数」と称される)を測定すること;顕微鏡により培養物中の有糸分裂細胞の数(「有糸分裂指数」と称される)を観察すること、および様々な比率の細胞周期で、培養細胞の分布(「細胞周期分布」と称される)を測定すること。これらの結果は、図3Aから3Cに示される。
【0074】
H−チミジン取込みアッセイは、Dimriら(Proc.Natl.Sci.USA 92巻:9363−9367頁、1995年)によって記述されるとおり実質的に行われた。細胞は、3時間、H−チミジンの存在下で培養され、そしてその後、オートラジオグラフィーによって分析された。オートラジオグラフィーによって測定されるときのDNA複製は、培養用培地にIPTGを添加した9時間後までに全体的に起こった(図3A)。有糸分裂指数は、細胞を顕微鏡下で観察し、そして5μg/mLの4,6−ジアミノ−2−フェニルインドール(DAPI)で染色した後に有糸分裂中の細胞の数を計算することによって測定され、そして画像は、ライカDMIRB蛍光顕微鏡およびバイテク(Vaytek)(アイオワ州フェアーフィールド)の画像システムを使用して収集された。顕微鏡で検出可能な有糸分裂細胞は、2つの段階で、IPTGの存在下でこれらの培養物から消えた:第一は、IPTG添加の0−4時間の間(有糸分裂指数は、未処理細胞で約15%から、IPTG−処理細胞で約5%まで下降した)に、そしてその後再びIPTG添加の約10−14時間後の間(有糸分裂指数は、IPTG添加の約13時間後にゼロに下降した)に起こる(図3B)。
【0075】
細胞周期分布は、ベクトン・ディキンソンのFACSortを使用して、Jordanら(Cancer Res.56巻:816−825頁、1996年)により記述されるとおりヨウ化プロピジウムで染色した後、DNA含量のFACS分析を使用して測定された。細胞周期分布は、IPTG処理の24時間後に安定化した(図3Cで示された)。この時までに、42−43%のIPTG処理細胞は、それぞれ、G1およびG2で停止され、そして約15%の細胞は、S期DNA含量で停止された。
【0076】
p21発現の効果は、p21の効果から細胞を開放し、細胞培養用培地からIPTGを除去することによっても調査された。IPTG−処理p21−9細胞は、形態学上の老化マーカーを示すことが知られている(Changら、上記、1999年)。図2Bに示されるとおり、p21−9細胞におけるp21遺伝子発現レベルは、IPTGの除去後の24時間以内に基本のレベルに返った。ここで、IPTG−処理p21−9細胞が、IPTGの除去後にクローン性許容量の全ての損失を示すかどうかが決定された。これらの実験の結果は、図4Aから4Dに示される。
【0077】
IPTG処理からの回収についてのコロニーアッセイは、DMEM/10%FCS中で、そしてIPTGの存在または不在下で10cm培養皿当たり約2、000のp21−9細胞を平板に載せることによって行われた。それらのコロニー許容量が測定され前に10日間、細胞にコロニーを形成させた。p21−9細胞を、3つの濃度のIPTG:0.5μM、5μMおよび50μMで処理した。これらの処理は、p21遺伝子発現で、それぞれ、基本のp21レベル(0.5μM)、半分−極大(5μM)または極大の増加(50μM)よりなんら測定可能な増加を誘導しなかった。図4Aで示されるとおり、0.5μM IPTGを用いたp21−9細胞の処理は、コロニー形成を阻害しなかった。対照的に、5μMまたは50μMのIPTGへの細胞の継続的露出は、p21−9細胞のコロニー誘発性を、それぞれ80%および100%まで減少させた。IPTGが、12または14時間後に除去されるときに、5μM IPTGで処理した細胞は、実質的に低下していないコロニー形成を示した。しかし、50μM IPTG−処理細胞は、コロニー誘発性で58−63%の減少を示した。3−5日の処理後、5μM IPTGで培養される細胞は、55−58%の減少したコロニー誘発性を示し、そして5μM IPTGで処理した細胞は、95−99%の減少したコロニー誘発性を示した。これらの結果は、p21遺伝子発現が衰退した後に回復する細胞の能力が、誘導されたp21のレベルに、そしてp21誘導の期間に逆に関連したことを示す。この結果は、他の細胞培養システムで他方によって得られる結果と一致した(Fangら、Oncogene 18巻:2789−2797頁、1999年)。
【0078】
コロニー誘発性の損失の原因は、以下のとおり調査された。DNA複製の再開は、上に記述されるとおり、H−チミジン取込みアッセイを用いてIPTGから開放された約20時間後に最初に検出された。これらの結果は、図4Bに示される。これらの細胞における有糸分裂の再開は、上に記述されるとおり、有糸分裂指数から測定されるとおり、IPTG開放の約30時間後に最初に検出された。これらの結果は、図4Cに示される。細胞周期のSまたはM期に入る細胞の率は、5日間より1日間(図4Bおよび4Cでそれぞれについての曲線を比較する)、IPTGで処理された細胞でより高かったが、しかし差異は、図4Aで示されるとおりクローン性回復での対応の差異を占めるほど明らかに十分ではなかった。
【0079】
クローン誘発アッセイから得られる培養平板の顕微鏡実験は、3またはそれ以上の日数50μM IPTGで処理した平板は、コロニーに発達することに失敗した膨大な単細胞および小型細胞クラスターを含有することを示した。さらに、IPTGからの開放は、IPTG開放後の最初の2日間は、浮遊する細胞の外観に繋がり、そして細胞が、1日後よりIPTGの3日後に放出されたときにより高かった(図4Dに示されるとおり)。これらの浮遊細胞のほとんどは、トリパンブルー染色およびコロニー誘発性における100−1,000倍減少によって示されるとおり、死滅した。
【0080】
これらの細胞におけるp21誘導の効果は、長期化したIPTG処理からの放出の後、現れた成長妨害および死滅細胞のDNA計数を実験することによって、さらに研究された。成長妨害された細胞は、細胞膜に安定に組込み、そして娘細胞の間に均等に分割される親油性発蛍光団であるPKH2の滞留が増加されたことに基づいて、FACSを使用して単離された:これは、細胞分裂の各経路で細胞の蛍光における比例した減少に、そして非分裂または死滅細胞における減少に至る(HoranおよびSlezak、Nature 340巻:167−168頁、1989年)。これらのアッセイは、Changら(Cancer Res.59巻:3761−3767頁、1999年)に記述されるとおりに行われた。未処理p21−9細胞および5日間、50μm IPTGで処理した細胞を、PKH2で標識し、IPTG不含培地に載せ、そしてそれらのPKH2蛍光を、連続した日に分析した。図5Aに示されるとおり、IPTG−処理細胞は、対照細胞より後に分裂を開始し、そして増殖細胞の発生ピーク、および高いPKH2蛍光を示す成長を妨害された細胞の肩を伴い、異種PKH2プロファイルを発生した。成長妨害細胞は、老化細胞について特徴づけられる上昇した側面散乱を示した(Changら、1999年、上記)。増殖(PKH2loSSlo)および成長妨害(PKH2hiSShi)細胞集団は、IPTGからの放出の6日後FACSによって分離され、そしてそれらのDNA含量は、PI染色によって分析された。成長妨害フラクションは、高いG2/Mフラクションおよび4C DNA含有量より大きいことを示す多数の細胞を示す上で増殖細胞と異なった(図5Bに示される)。後者の細胞の倍数体特性は、染色体18および21について特異的なプローブを用いて、間期核の蛍光in situハイブリッド形成(FISH)によって確認された;これらの実験は、Changら(1999年、上記)で記述されるとおり行われた。高い倍数体およびG2/Mフラクションも、IPTGからの開放の後に収集された浮遊する死滅細胞の中で観察された(図5Cで示された);顕微鏡分析は、これらの死滅細胞の多くが、有糸分裂中であることを示した。
【0081】
倍数体細胞の起源を調査するために、IPTGからの開放の後に全体の細胞集団のDNA含量における変化の時間経過を測定した。倍数体細胞の数は、DNA合成の再開と同時に(図4Bを比較)、放出の24−28時間後に非常に増加した(図5Dに示されるとおり)。この結果は、放出細胞の多くが、DNA複製の不定期経路である内性重複を受けていることを示した。しかし、内性重複の時間経過および規模は、IPTGの1日後(図5D)に、または3−5日後に放出された細胞の非常に類似した。
【0082】
しかし、5日間阻害されたものと比較して、1日間、IPTGによって阻害された細胞の間の主要な差異は、IPTGから開放された1−2日後に生じる付着した有糸分裂細胞の形態学が、試験されたときに発生した。これらの結果は、図6に示された。未処理の細胞における圧倒的主要な有糸分裂図が、形態学的に正常に見えた(図6、左)一方で、IPTG処理の後に放出された細胞における有糸分裂図のほとんどは、多数の中心を持つ有糸分裂、不均一な染色体分布および前期停止を含めた膨大な異常性を示した(図6、右)。1日および5日IPTGで処理された細胞における正常な有糸分裂の含有率は、それぞれ、45%および2%であり、そしてそれは、クローン性回復についての対応する値に密接である(38%および1%)。これらの結果は、異常な有糸分裂が、内性重複と一緒に、p21から放出された後のコロニー誘発性の損失に起因することを示唆する。
【0083】
これらの結果は、p21の誘導した発現が、遺伝子が発現されるときの細胞における激しい効果でのみならず、細胞周期および成長への細胞の正常な回復になかなか消えず、そして干渉する効果も示すことを示した。
【実施例3】
【0084】
p21遺伝子発現により調節された遺伝子発現の分析
実施例2で開示された結果は、p21誘導の形態学上のおよび細胞周期の結果は、細胞周期進行を制御する遺伝子の抑制の結果でありうることを示唆した。細胞の遺伝子発現におけるp21誘導の効果は、以下のとおり実験された。
【0085】
逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)分析は、細胞周期調査点進行の制御に関与することが知られた遺伝子の発現を調査するために行われた。細胞周期制御およびDNA複製に関与した27の遺伝子の予備RT−PCR分析は、これらの遺伝子の内の8つが、p21−9細胞中のIPTGによって阻害されることを示した。総RNAは、様々な時点で、IPTG処理および開放の間に収集されたp21−9細胞から抽出された。下方調節された遺伝子についての遺伝子発現における変化のRT−PCR分析は、基本的に、Noonanら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87巻:7160−7164頁、1990年)によって記述されるとおり行われた。
【0086】
いっそう総括的な分析が、未処理p21−9から、および3日間、50μm IPTGで処理された細胞からポリ(A)RNAを単離することによって行われた。cDNAは、ポリ(A)RNAから製造され、そしてヒトUniGEM V cDNAマイクロアレイを用いたディフィレンシャルハイブリダイゼーションのためのプローブとして使用され(ミズーリー州セントルイスのゲノム・システムズ,インク.により行われるとおり)、そしてそれは、4,000配列以上で実証された公知ヒト遺伝子および3,000ESTを含む。2,500以上の遺伝子およびESTは、未処理およびIPTG処理p21−9細胞の両方から得られたプローブを用いた測定可能なハイブリッド形成シグナルを示した。平衡差次的発現2.5で下方調節されるか、または平衡差次的発現2.0で上方調節された遺伝子は、それぞれ、表IおよびIIに列記される。
【0087】
これら遺伝子のうち69の発現が、マイクロアレイに存在するcDNAクローンの挿入物から誘導されるプローブを用いたRT−PCRまたはノーザンハイブリッド形成によって個別に試験された;これらのcDNAは、ゲノム・システムズ,インク.から得られた。さらに、p21タンパク質の酵素連結免疫ソルベントアッセイ(ELISA)測定が、記述された(Changら、Oncogene 18巻:4808−4818頁、1999年)とおり、WAF1 ELISAキット(ニューヨーク州ユニオンドールのオンコジーン・サイエンスから得られた)を用いて行われた。以下の一次抗体を、免疫ブロッティングのために使用した:Cdc2(サンタ・クルーズ)、サイクリンA(ネオマーカー)、Plk 1(ザイムド(Zymed))およびRb(ファルミンゲン(PharMingen))に対するマウスのモノクローナル抗体;MAD2(BadCo)、p107(サンタ・クルーズ)、CTGF(図12;L.Lau博士の寄贈)、Prc1(W.Jiang博士およびT.Hunter博士の寄贈)およびトポイソメラーゼIIα(Ab0284;W.T.Beck博士の寄贈)に対するウサギのポリクローナル抗体、およびSOD2(カルバイオケム(Calbiochem))に対するヒツジのポリクローナル抗体。使用された西洋ワザビペルオキシダーゼ(HRP)接合二次抗体は、ヤギ抗−マウスおよびヤギ抗−ウサギIgG(サンタ・クルーズ)およびウサギ抗−ヒツジIgG(KPL)であった。全てのサンプルにおけるタンパク質濃度は、バイオラッドのタンパク質アッセイキットを用いた測定の後に等しくされた。免疫ブロッティングは、標準手段によって行われ、そしてシグナルは、LumiGlo(KPL)を用いて化学発光によって検出された。
【0088】
これらの結果は、図7Aから7Cに示される。上に記述されるマイクロアレイアッセイによって推定された遺伝子発現における変化は、38/39下方調節および27/30上方調節された遺伝子について確認された。試験遺伝子のほとんどについてのノーザンハイブリッド形成またはRT−PCRにおける観察されたシグナル差異(図7Aから7C)は、cDNAアレイから測定される平衡差異発現の値(表IおよびII)より高いように見え、それによりcDNAアレイハイブリッド形成は、遺伝子発現におけるp21効果の規模を過少概算する傾向にあることが示唆された。6つの下方調節および4つの上方調節遺伝子の発現における変化は、免疫ブロッティング(図7B)またはザイモグラフィー(示されず)によりタンパク質レベルでも試験され、そして試験された全ての場合で確認された。
【0089】
遺伝子発現におけるp21−仲介変化が、p21−誘導細胞成長停止に続く近々の効果および長期の効果から構成されることが確認された。この目的のために、IPTGの添加および除去の後のp21−阻害(図7B)およびp21−誘導遺伝子(図7C)の副集団のRNAレベルにおける変化の時間経過が測定された。免疫ブロッティングは、Rbリン酸化(電気泳動移動性により示されるとおり)における、そしてcDNAアレイによりp21によって阻害されるRbおよび数種のタンパク質の細胞レベルにおける、p21−誘導された変化の時間経過を分析するために使用された;これらの結果は、図7Bに示される。Rbは、IPTGの添加の1.6時間後と同じくらい早くに、脱リン酸化を受けることが分かった。さらに、Rbタンパク質レベルは、12−24時間の間鋭く減少した(図7Bで示された)が、しかし、明らかな変化は、RB mRNAレベルで検出されなかった(データは示されず)。同様の減少が、Rb−関連タンパク質p107について観察された(図7Aで示された)。
【0090】
1.p21によって阻害された遺伝子発現
全ての試験されたp21阻害遺伝子は、p21誘導および放出に迅速な応答を示した。これらの遺伝子の内5つ(トポイソメラーゼIIα、ORC1、PLK1、PRC1およびXRCC9)は、IPTGの添加の4および8時間後の間にRNAおよびタンパク質レベルの両方で明らかな阻害を示した(図7B)。このパターンは、細胞成長停止およびRb脱リン酸化の速度論に匹敵する「即時応答」と称された。他のp21−阻害遺伝子(CDC2またはDHFRのような)は、IPTGの添加のわずか12時間後に検出可能なmRNAレベルにおける主要な減少を伴い、DNA複製および有糸分裂の休止の後わすかに遅れる「早期応答」パターンを示した。しかし、全てのp21−阻害遺伝子は、細胞がなお成長停止されているとき、およびDNA複製および有糸分裂の再開の前に、IPTGの除去の21−16時間後にそれらの発現を再開した。この分析は、p21−阻害遺伝子の発現における変化が、p21誘導および放出の近々の効果であり、そして細胞成長停止および回復の結果ではないことを示した。
【0091】
要約すれば、69の遺伝子および3つのESTは、2.5−12.6の平行分化発現と共に、p21−誘導細胞で下方調節されるときにcDNAマイクロアレイによって同定された(表1A);IPTG処理細胞で下方調節されるときに我々の早期アッセイにより同定される5つの別の遺伝子は、表1Bに列記される。cDNAアレイによって同定された下方調節された遺伝子の目だって高いフラクション(69の内43)は、有糸分裂、DNA複製、分離および修復、そしてクロマチン構築に関連し、それにより、遺伝子発現のp21−仲介阻害の非常に選択的特性を示した。
【0092】
p21−下方調節された遺伝子の最大の群は、有糸分裂のシグナル発生、実行および制御にかかわり合いになっていたことである。これらの遺伝子としては、有糸分裂開始複合体を形成するCDC2およびサイクリンB1、有糸分裂、有糸分裂観察点制御および細胞質分裂(Cloverら、Genes Develop.12巻:3777−3787頁、1998年)の発生における役割を果すポロ様キナーゼ(PLK1)、および有糸分裂観察点制御の標的(Hixonら、Mol.Cell Biol.18巻:6224−37頁、1998年)であるCDC2−相互作用タンパク質CKsHs1が挙げられる。この群にある他の遺伝子は、キセノプス・コンデンシンタンパク質XCAP−Hの相同体、娘染色分体凝集力に関与したRad21修復タンパク質の相同体(Losadaら、Genes Develop.12巻:1986−1997頁、1998年)、および有糸分裂組換え(McKayら、Genomics 36巻:305−315頁、1996年)、紡錘体形成に関与した中心体結合キナーゼAIK1(Kimuraら、J.Biol.Chem.272巻:13766−13771頁、1997年)、動原体タンパク質CENP−AおよびCENP−F、ならびに紡錘体観察点制御で中心的役割を果すMAD2およびBUBR1タンパク質(LiおよびBenezra、Science 274巻:246−248頁、1996年;Chanら、J.Cell Biol.146巻:941−954頁、1999年)、有糸分裂の動原体結合キネシン(MCAK)、間期中心体および有糸分裂の紡錘体に配置されるキネシン様タンパク質HSET、CHL1ヘリカーゼ(有糸分裂の間に適切な染色体分布における役割を果す酵母タンパク質の相同体;Gerringら、EMBO J.9巻:4347−4358頁、1990年)、および細胞質分裂に関与した3つのタンパク質、Prc1、Aim1/Aik2およびシトロンキナーゼ(Jiangら、Mol.Cell 2環:877−885頁、1998年;Teradaら、EMBO J.17巻:667−676頁、1998年;Madauleら、Nature 394巻:491−494頁、1988年)をコードする。p21は、核のエンベロープ遺伝子ラミンB1およびラミンB2、核の構築に関与したラミン関連ポリペプチドα(サイモポイエチンα)、およびM期ホスホタンパク質MPP2およびMPP5をコードする遺伝子も阻害する。上記タンパク質の多くでの欠乏は、我々がIPTGからの放出の後のp21−9細胞で観察した同じ事象である、異常な染色体分離および倍数体化を生じることが知られている。
【0093】
多くのp21阻害遺伝子は、DNA複製および分離、クロマチン構築およびDNA修復に関与する。これらの遺伝子のいくつかは、リボヌクレオチドレダクターゼサブユニットM1およびM2、チミジンキナーゼ、チミジン酸シンターゼ、ウリジンホスホリラーゼ、およびジヒドロ葉酸レダクターゼを含めたヌクレオチド生合成に関与した酵素をコードする。他のタンパク質は、DNA複製に関与し、それにより複製認可因子Cdc47/Mcm4、Cdc45相同体、起点認識複合体のOrc1タンパク質、DNAポリメラーゼα、B−Myb、37kDサブユニットの複製因子C、およびDNAリガーゼIの成分を包含する。この群としては、複製DNAの分離に関与した遺伝子(トポイソメラーゼIIα)、後成的に決定される染色体の状態の遺伝形質(クロマチン構築因子−Iのp60サブユニット)、および高移動性群タンパク質1および2のような他のクロマチン成分も挙げられる。数種のp21阻害遺伝子は、DNA後複製修復または細胞周期観察点制御(deWinterら、Nat Genet.20巻:281−283頁、1998年)に関与しうるXRCC9、Rad54組換え修復タンパク質、エキソヌクレアーゼHex1/Rad2、および上記Rad21相同体およびDNAリガーゼIを含めたDNA修復に関連する。
【0094】
cDNAアレイ中のp21阻害遺伝子の60%以上は、有糸分裂、DNA複製、分離および修復に関与する。このような生理学上の選択性は、大規模発現プロファイル研究で先例がない。この観察に対する推論は、その機能が今のところ知られていないp21阻害遺伝子が、細胞周期進行で役割を果すようであることである。実際に、6つのp21阻害遺伝子は、ESTまたは未知機能を示す遺伝子としてcDNAアレイに元来列記されていたが、しかし、データベース調査は、DNA修復の細胞分裂にそれらの産物の3つを結合させた。1つの場合には、元来同定されたESTは、シトロンキナーゼのコーディング配列にゲノムクローン3’で地図作成することが分かった;その後、p21によるシトロンキナーゼ遺伝子の阻害は、そのコーディング配列に基づいてRT−PCRによって例示された。追加のp21阻害遺伝子のクローニングは、哺乳類細胞の分裂に役割を果す新規遺伝子を得るようである。
【0095】
これらの結果も、治療上の介入のための標的であるp21誘導老化の細胞プログラムの成分を発見するさらなる機会を示唆する。遺伝子発現のp21介在阻害が、E2F阻害の結果であることが示唆された(de Toledoら、Cell Growth Differ.9巻:887−896頁、1998年)。この解釈と一致して、我々のp21−阻害遺伝子(例えば、CDC2、ORC1、DHFR、サイクリンA1)の小集団は、それらのプロモーター中にE2F部位を含む。他方、E2F部位は、いくつかのp21−阻害遺伝子(例えば、サイクリンB1)のプロモーターで見出される可能性があり、そしていくつかのE2F−依存性遺伝子(例えば、サイクリンE)は、p21誘導により影響を受けなかった(データは示されず)。したがって、E2Fに加えて、まだ同定されていない調節因子としていくつかは、遺伝子発現のp21−仲介阻害に関与しうる。このような追加の因子は、新規製薬学上の標的を表し、上記標的の存在および同定は、哺乳類細胞によって提供される方法および試薬を使用した説明のために利用できる。
【0096】
2.p21により誘導される遺伝子発現
p21発現により抑制される遺伝子に加えて、上に記述されるアッセイは、p21によって誘導される遺伝子を検出した。p21−誘導遺伝子の遺伝子発現のパターンは、表7Cに示される。p21−阻害遺伝子とは対照的に、p21−上方調節された遺伝子は、IPTGの添加、すなわち、全ての細胞での成長停止の開始後の48時間後にそれらの発現を増加した。1つの試験遺伝子、組織トランスグルタミナーゼ(t−TGエース)が、IPTGの添加の12時間後に、検出可能な増加を示したが、しかしその発現は、ただ48時間まで極大に達した(図7Cで示されるとおり)。さらに、全ての試験遺伝子(t−TGエース以外に)の上昇した発現は、IPTGから開放された後少なくとも3日間、細胞周期の再開の十分に後に、続いた(示されず)。この「後期応答」速度論は、このような遺伝子のp21誘導は、p21仲介成長停止に比べて遅延した効果であることを示した。
【0097】
48個の公知遺伝子および6個のESTまたは未知機能を示す遺伝子は、p21−誘導細胞で、2.0−7.8の平衡差次的発現と共に、p21−誘導細胞で上方調節されたときに同定された(表II)。この群の同定可能な遺伝子の非常に高いフラクション(20/48)は、細胞外マトリックス(ECM)成分(例えば、フィブロネクチン1、ラミニンα2、Mac−2結合タンパク質)、他の分泌タンパク質(例えば、アクチビンA、結合組織成長因子、血清アミロイドA)、またはECMレセプター(インテグリンβ3のような)をコードする。これらの分泌タンパク質の内数種、ならびにp21−誘導細胞内タンパク質の大きな群(表II)は、ストレス応答性の様々な形態で誘導されるか、またはストレス関連シグナル形質導入で役割を果すことが知られている。注目すべきことに、p21によって誘導されることが分かった多くの遺伝子も、細胞の老化、生物の加齢、または様々な加齢関係疾病で上方調節される。
【0098】
p21−阻害遺伝子と対照的に、p21によって誘導されることが分かった遺伝子で、細胞成長停止を誘発しうる任意の公知機能を示すものはない。さらに、このような遺伝子の誘導は、成長停止の開始のはるか後に遅れる後期応答である。興味深くは、数種のp21−誘導遺伝子は、スーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)(Jonesら、Mol.Cell Biol.17巻:6970−6981頁、1997年)、t−TGエース(Mirzaら、Amer.J.Physiol.272巻:G281−G288頁、1997年)、アルツハイマー病のβアミロイド前駆体タンパク質(APP)(Grilliら、J.Biol.Chem.271巻:15002−15007頁、1996年)および炎症タンパク質血清アミロイドA(SAA)(JensenおよびWhitehead、Biochem J.334巻:489−503頁、1998年)を含めたNFκBにより積極的に調節される。p21は、転写コファクターp300におけるその効果を通してNFκB依存性転写を活性化する(Perkinsら、Science 275巻:523−527頁、1997年)ので、p300または関連転写コファクターの活性化が、上方調節された遺伝子のいくつかにおけるp21の効果に起因しうることが可能である。しかし、遺伝子発現のp21−仲介誘導の遅延した速度論は、この誘導が、p21の即時効果のかなり下流で起こることを示唆する。
【0099】
これらの結果、および表IIで規定される遺伝子の特性は、これらの遺伝子の発現が、p21の成長停止機能に関与しないことを示す。しかし、豊富なp21−活性化遺伝子の産物の中で我々が見出した分泌タンパク質が、重要な生理学上の結果を示す。下の実施例5に開示されるとおり、p21−誘導細胞から得られる調整培地は、p21−上方調節遺伝子の特性によって推定される2つの生物学上の効果を示す:細胞成長の刺激およびアポトーシスの抑制。p21−誘導細胞での上で検討された遺伝的不安定と一緒にして、この知見は、p21の「パラ分泌」効果が、近隣細胞における腫瘍促進効果を通して、癌誘発に寄与しうることを示唆する。これは、p21で仲介された遺伝子誘導の抑制が、抗癌誘発効果を達成する方法を提供しうるという、そしてp21−仲介遺伝子誘導経路が、癌防止薬剤の新たな発生のための合理的薬剤設計の標的であるという可能性を生じる。
【0100】
観察されたp21誘導のパラ分泌、抗−アポトーシス効果は、プロサポシンおよびガレクチン−3、我々がp21によって誘導されると知見した分泌タンパク質(表II)の報告された活性と一致する。抗−アポトーシス活性は、p21−誘導された細胞内タンパク質SOD2(Mannaら、J.Biol.Chem.273巻:13245−13254頁、1998年)およびR−Ras(Suzukiら、FEBS Lett.437巻:112−116頁、1998年)に関連した。逆説的に、p21−誘導t−TGエースおよびカテプシンB(Singhalら、J.Investig.Med.45巻:567−575頁、1997年)は、後アポトーシス機能にあるとされた。アポトーシスにおけるp21の効果に関する文献に反対する報告がある。ある種のシステムでは、p21過剰発現は、アポトーシスを誘導した(Prabhuら、Clin.Cancer Res.2巻:1221−1229頁、1996年;Tsaoら、J.Virol.73巻:4983−4990頁、1999年)が、しかし他の研究では、p21は、数種の型の処理によって誘導されるアポトーシスから細胞を保護した(Gorospeら、Oncogene 14巻:929−935頁、1997年;Luら、Oncogene 16巻:705−712頁、1998年;BissonnetteおよびHunting、Oncogene 16巻:3461−3469頁、1998年)。ここに開示される結果は、抗−アポトーシスおよび後アポトーシスの遺伝子の両方が、アポトーシスにおけるp21の効果における矛盾した報告を説明しうることを誘導する。
【実施例4】
【0101】
IPTG−処理および血清−不足p21−9細胞を比較することによるp21誘導の特異斉の同定
細胞成長停止の結果であるようである細胞の遺伝子発現におけるp21−誘導された変化の同一性は、以下の通り決定される。類似の実験は、p21の切断形態(アミノ酸1−90を包含する)を使用することによって行われ、そして同一の結果が得られた。
【0102】
成長停止(静止)は、4日間、血清不含培地中で細胞を培養することによって生じた血清不足によって、p21−9細胞で誘導された。血清不足細胞で、IPTG処理p21−9細胞と異なり、細胞は、老化形態学を発生せず、そしてただ非常に弱いSA−β−gal発現を示した。血清不足細胞におけるp21レベルは、IPTG処理細胞で見られる15−20倍増加に対峙するように、ほんの約2倍に増加された。図7Dは、血清不含培地で4日、または50μM IPTGの存在下で3日後に成長が停止されたp21−9細胞でのp21−阻害およびp21−誘導遺伝子の群の発現について、上に記述されるとおりに行われたRT−PCR分析を示す。培養用培地が、50μM IPTGを含有する場合に、p21−9細胞で完全に阻害された遺伝子は、血清不足細胞でも阻害されたが、しかしこれらの細胞のほとんどは、IPTG−処理細胞でより小さな範囲に阻害された。
【0103】
その発現がp21に誘導される遺伝子は、3つの固有のパターンを示した。第一の群は、その発現が、老化を示す細胞でと同じくらい静止細胞で強力に誘導される遺伝子である。これらとしては、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、補体C3およびプロサポシンが挙げられ、それによりそれらの導入は、細胞成長停止の結果であったこと、またはこのような遺伝子が、わずかに上昇したp21レベルに見事に感受性があったことを示す。第二の群は、静止細胞で上方調節されたが、老化を示す細胞でと同様に強力でない遺伝子である。これらの遺伝子としては、フィブロネクチン−1、Mac2結合タンパク質およびアルツハイマー前駆体タンパク質血清アミロイドAが挙げられる。第三の群は、静止細胞で検出可能には誘導されないが、老化を示す細胞で強力に誘導される遺伝子である。これらの遺伝子としては、CTGF、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤1、組織トランスグルタミナーゼまたはナチュラルキラー細胞マーカータンパク質NK4、インテグリン・ベータ3およびアクチビンAが挙げられる。
【0104】
血清不足による静止の誘導に対するある種の遺伝子の応答と、p21のIPTG−誘導過剰発現を通した細胞の老化との間の差異は、老化の診断用マーカーとしてこれらの遺伝子を同定した。さらに新規老化マーカーは、現在は、p21−発現と静止細胞の間でのそれらの発現を比較することによって同定できる。
【実施例5】
【0105】
有糸分裂因子を含む調整培地の生成および有糸分裂の活性アッセイ
数種のp21−上方調節された分泌タンパク質は、CTGF(Bradhamら、J.Cell Biol.114巻:1285−1294頁、1991年)、アクチビンA(Sakuraiら、J.Biol.Chem.269巻:14118−14122頁、1994年)、エピセリン/グラヌリン(Shoyabら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87巻:7912−7916頁、1990年)およびガレクチン−3(Inoharaら、Exp Cell Res.245巻:294−302頁、1998年)を含めた成長因子として、そして小さな範囲のクルステリン(Koch−BrandtおよびMorgans、Prog.Mol.Subcell.Biol.16巻:130−149頁、1996年)、プロスタサイクリン−刺激因子(PSF;Yamauchiら、Biochem.J.303巻:591−598頁、1994年)、血管の上皮成長因子−C(VEGF−C;Joukovら、EMBO J.15巻:290−298頁、1996年)、ゲルソリン(Ohtsuら、EMBO J.16巻:4650−4656頁、1997年)およびメタロプロテイナーゼ−1(TIMP−1;Hayakawaら、FEBS Lett.298巻:29−32頁、1992年)組織阻害剤に作用する。これらの結果は、p21誘導が、パラ分泌有糸分裂効果を引起しうることを示唆した。さらに、ガレクチン−3(Akahaniら、Cancer Res.57巻:5272−5276頁、1997年)およびプロサポシン(Hiraiwaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94巻:4778−4781頁、1997年)は、抗−アポトーシス活性を示すことが示された。IPTG−処理p21−9細胞から得た調整培地を、それが、細胞成長およびアポトーシスにおける効果を示すかどうかを調べるために試験された。
【0106】
これらの実験で、調整培地は、DMEM/10%FCSの存在下で15cm平板当たり10個のp21−9細胞を載せることによって製造した。次の日に、IPTGを、50μMの最終濃度に添加し、そしてこの培地を、3日後に、0.5%FCSおよび50μM IPTGで補足したDMEMに交換した。2日後(IPTG処理の3−5日後)、この調整培地を、収集し、そして使用の15日前まで4℃で保存した。未処理細胞成長に、IPTG−処理細胞と同じ密度までIPTG不含DMEM/0.5%FCSを添加し、そしてその2日後に培地を収集することによって、対照培地を製造した。
【0107】
ゆっくりと成長するヒト線維肉腫細胞株HS15.Tは、これらの調整培地での有糸分裂活性に向けるために使用された。有糸分裂活性アッセイについて、両方の型の調整培地、ならびに新鮮培地、および調整培地および新鮮培地の1:1混合物を、有糸分裂活性を試験するために使用した。これらの実験で、調整培地は、1%または2%FCSで補足された。簡便には、HS15.T細胞を、ウエル当たり15.000細胞で12−ウエル平板に載せた。2日後、これらの細胞を、様々な型の培地で培養した。細胞を、調整培地で、60時間育成し、そして3.13μCi/mLの濃度でH−チミジンを添加し、そして24時間インキュベートした。その後、細胞を収集し、そしてそれらのH−チミジン組込みを、Moscaら(Mol.Cell Biol.12巻:4375−4383頁、1992年)によって記述されるとおり測定した。
【0108】
新鮮培地にIPTGを添加することは、このアッセイに効果を示さなかった(示されず)。図8Aに示されるとおり、新鮮培地でと、未処理p21−9細胞から得られる調整培地での細胞成長の明らかな差異はなかった。対照的に、IPTG−処理細胞から得られた調整培地は、3倍までH−チミジン組込みを増加した(図8A)。IPTG−処理細胞から得られる調整培地によるHS15.Tの成長刺激が、メチレンブルー染色によっても検出可能であった(データは示されず)。
【0109】
アポトーシスにおけるこの調整培地の効果も、測定された。これらの実験は、マウス胚線維芽ラインC8を使用し、E1Aによって固定した。この細胞株は、血清不足(Loweら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91巻:2026−2030頁、1994年)を含めた様々の刺激によって誘導されるアポトーシスを非常に受けやすい(Loweら、Science 266巻:807−810頁、1994年;Nikiforvら、Oncogene 13巻:1709−1719頁、1996年)。アポトーシスは、6cm平板当たり3×10個C8細胞を載せ、そして続く日に、その培地を、0.4%血清で補足した新鮮培地、または調整培地(新鮮な血清は添加されず)に交換することによって分析された。DNA含量の分析およびDAPI染色を、24時間および48時間後に行い、そして相対的細胞数を、低血清培地中で48時間の後に、メチレンブルー染色(Perryら、Mutat.Res.276巻:189−197頁、1992年)によって測定した。
【0110】
IPTG−処理または未処理細胞から得た低血清新鮮培地または調整培地の添加は、DAPI染色後に、細胞の大半で検出可能な細胞脱離およびアポトーシス形態学により明らかにされるとおり(示されず)、C8細胞でのアポトーシスを迅速に誘導した。しかし、IPTG−処理細胞から得た調整培地が、48時間後に付着したままであった細胞のメチレンブルー染色によって測定されるとおり、未処理細胞から得られる新鮮培地および調整培地に比べて生存の細胞を強力に増加した(図8Bで示されるとおり)。p21−誘導細胞から得られる調整培地の効果は、細胞のDNA含量のFACS分析でよりいっそう明らかであり、そしてそれは、培地交換の24時間および48時間後に付着および浮遊C8細胞を合せて行った(図8B)。多くの他の培養細胞株と異なり、C8細胞のアポトーシスは、DNAの(sub−G1)量を減少しながら、ただ少数の細胞を生成し、そしてG2/M DNA含量で細胞の選択的消失によって特徴づけられる(Nikiforovら、1996年、上記)。IPTG−処理した細胞から得られる調整培地中の血清不足の細胞は、G2/Mフラクションを保持し、そして血清富化培地での対照細胞成長に類似する細胞周期プロファイルを示した(図8B)。それ自身によるIPTGの添加は、C8細胞でのアポトーシスにおける効果をなんら示さなかった。したがって、HT1080細胞におけるp21誘導は、p21−未調節遺伝子の特性により推定されるとおり、有糸分裂および抗−アポトーシス因子の分泌を生じる。
【実施例6】
【0111】
p21−応答性プロモーターにより発現されるレポーター遺伝子を含む組換え発現構築物の産生
プロモーター−レポーター構築物を、以下のとおり、ヒトPLK1.NK4およびSAAプロモーターから作成した。プロモーター特異的DNAのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を、テンプレートとしてHT1080p21−9細胞を用いて、ゲノムDNAを用いて行った。PCRを、PfuTurboDNAポリメラーゼ(ストラタジーン)および表IIIaに列記されるプライマー・セットを使用して行った。各プライマーセットについてのPCR条件は、表IIIbに記述される。PCR産物が得られ、そしてTOPO TAクローニングベクターpCR2.1/TOPO(PLK1およびSAAについては)またはpCRII/TOPO(NK4については)にクローニングした。これらの構築物は、配列決定によって認証され、そしてその後、正しい方向でプロモーターを含むKpn I−Xho断片を、標準組換え遺伝子技術(Sambrookら、上記)を用いて、ルシフェラーゼレポーターベクターpGL2基本(プロメガ、ウィスコンシン州マディソン)中のKpnIおよびXhoI部位に挿入した。
【0112】
各プロモーター構築物の2つの別々に単離されたプラスミドクローンを、一過性形質移入アッセイによって、p21−調節について試験した。各プロモーター−ルシフェラーゼ構築物を、1:1比でpCMV−β−gal(プロメガ)プラスミドと共に混合し、そしてLIPOFECTAMINE2000(リポフェクタミン2000)(ライフ・テクノロジーズ,インク、メリーランド州ゲーザースバーグ)によってHT1090p21−9細胞に導入した。6から8時間後に、50μM IPTGを伴うか、または伴わない培地を、形質移入細胞に添加し、そして細胞抽出物を、これらの細胞60−72時間後から作成し、そしてルシフェラーゼ活性について分析した(ルシフェラーゼ・アッセイ・システム、プロメガ)。β−ガラクトシダーゼアッセイを、形質移入効率についての補正対照として使用した。
【0113】
図9は、これらの実験の結果を示す。形質移入細胞中のp21−誘導により、p21−阻害遺伝子PLK1から作成されるプロモーター構築物から得られる発現が減少され(3から5倍)、そしてp21−誘導遺伝子NK4およびSAAから作成されたプロモーター構築物からの発現は、増加された(NK4については7から10倍、そしてSAAについては30倍)。このような結果は、p21が、それらのプロモーターを調節することによって、これらの遺伝子の発現を上方調節または下方調節すること、およびこのような遺伝子のプロモーター構築物は、遺伝子発現のp21−仲介調節について分析するために使用されうることを示す。
【表1】

【0114】
前述の開示は、本発明のある種の特別の実施形態を包含すると、そして全ての修飾またはそれらの代替的等価物は、付随の請求項に規定されるとおり本発明の概念および範囲内にあると解釈されるべきである。
【表2】

【0115】

【表3】

【0116】

【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】ヒトHT1080線維肉腫培養細胞株異性体p21−9を産生するために使用されるIPTG調節レトロウイルス性ベクターLNp21CO3の模式図である。
【図2】図2Aは、p21レベルが、ELISAによって測定される、50μM IPTGの添加後のp21誘導の時間経過のグラフである。図2Bは、IPTGの除去後のp21衰退の時間経過のグラフである。
【図3】図3Aは、50μM IPTGの添加後のH−チミジン標識指数(オートラジオグラフィーによって測定されるとおり)における変化の時間経過のグラフである。図3Bは、50μM IPTGの添加後の有糸分裂指数(DAPI染色後に顕微鏡によって測定されるとおり)における変化の時間経過のグラフである。図3Cは、50μM IPTGの添加後の細胞周期分布(ヨウ化プロピジウムに続く蛍光活性化細胞選別(FACS)分析によって測定される)における変化の時間経過のグラフである;−●−:細胞周期のG1期にある細胞;−○−:細胞周期のG2/M期にある細胞;−▼−:細胞周期のS期にある細胞。
【図4】図4Aは、p21−9細胞によるコロニー形成での様々な用量のIPTGを用いた処置の期間の効果を示すグラフである;−●−:0.5μM IPTG;−○−:5μM IPTG;−▼−:50μM IPTG。図4Bは、50μM IPTGの除去後のH−チミジン標識指数(オートラジオグラフィーによって測定されるとおり)における変化の時間経過のグラフである;−●−:1日;−○−:5日。図4Cは、50μM IPTGの除去後の有糸分裂指数(顕微鏡によって測定されるとおり)における変化の時間経過のグラフである;−●−:1日;−○−:5日。図4Dは、1日または3日の処置に続く50μM IPTGの除去後の浮遊細胞の含有率における変化の時間経過のグラフである;未処置;−●−:1日;−○−:−▼−:3日。
【図5】図5Aは、FACSによって測定されるとおり、未処理細胞(左)、および5日間、50μM IPTGで処理され、そしてIPTG不含培地に放出された細胞(右)のPKH2蛍光プロファイルにおける変化を示す度数分布図である。図5Bは、50μM IPTGを用いた5日間の処理、PKH2標識、およびIPTGなしの6日の成長の後、FACSによって単離されたPKH2loSSlo(細線)およびPKH2hiSShi(太線)細胞集団のDNA含有量のFACSプロファイルの図形表現である。図5Cは、50μM IPTGを用いた3日間の処理(左)から、そして未処理の細胞(右)から放出された48時間後、収集される浮遊細胞のDNA含有量のFACSプロファイルの図形表現である。図5Dは、1日のIPTG処理から放出された後、0時間、12時間、24時間、28時間、36時間および48時間で付着した細胞のDNA含有量のFACSプロファイルの図形表現である。
【図6】図6は、IPTGから放出された1−2日後に観察された正常な(左)および異常な(右)の有糸分裂図の例を示す顕微鏡写真である(DAP1染色;1,000×倍率で撮影された)。
【図7A−C】図7Aは、注目される遺伝子の発現におけるIPTGで誘導された変化についての、RT−PCR実験(左)、細胞のmRNA発現のノーザンブロット分析(中央)および免疫ブロッティングアッセイのゲル電気泳動パターンの写真である;C:対照の未処理p21−9細胞;I:50μM IPTGで3日間処理した細胞。β2−マイクログロブリン(β2−M)は、RT−PCRについての補正対照,およびノーザンハイブリッド形成についてのS14リボソームのタンパク質遺伝子として使用された。図7Bは、IPTG添加および放出による、注目されるp21で阻害された遺伝子の発現における変化の時間経過を示すRT−PCR実験(左)および免疫ブロッティング分析(右)のゲル電気泳動の写真である。図7Cは、IPTG添加による、注目されるp21で誘導された遺伝子の発現における変化の時間経過のRT−PCR実験(左)、およびノーザンハイブリッド形成分析(右)のゲル電気泳動パターンの写真である。
【図7D】図7Dは、未処理対照p21−9細胞(C)、血清不足静止細胞(Q)およびIPTG処理老化細胞(I)における遺伝子発現の比較である。
【図8】図8Aは、HS15.T細胞によるH−チミジン組込みにおける、新鮮な培地(F)、IPTG処理から得た調整培地(I)または未処理p21−9細胞(U)、および1%または2%血清で補足した調整ならびに新鮮培地の1:1混合物(I/FおよびU/F)の効果を示す度数分布図である。図8Bは、10%血清(対照)で、低血清新鮮培地(F)で、またはIPTG処理(I)から、または未処理(U)p21−9細胞で得られる調整培地での24時間または48時間インキュベーション後の付着および浮遊の合せたC8細胞のDNA含有量のFACSプロファイルの図形表現である。同じ培地中の48時間のインキュベーション後の付着細胞(メチレンブルー染色により測定されるとおり)の相対数は、各集合の度数分布図の下に列記される。
【図9】図9は、ルシフェラーゼの発現がp21によって調節される遺伝子から得られるプロモーターの転写制御下にある構築物を含む、細胞中のルシフェラーゼ活性の度数分布図である。p21発現の不在(IPTGなし、空の棒線として示される)および存在(50μM IPTGの添加で、影付棒線で示される)下における発現は、ポロ様キナーゼ(PLK1)、ナチュラルキラー細胞タンパク質4(NK4)、および血清アミロイドA(SAA)から得られるプロモーターを含む実施例6により製造される構築物について示される;各プロモーター構築物は、2つの独立の構築物クローンを使用して試験された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
p21が線維肉腫細胞中でそれによって発現される、哺乳類p21遺伝子をコードする組換え発現構築物を包含する、組換え哺乳類線維肉腫細胞。
【請求項2】
組換え発現構築物からのp21の発現が、組換え細胞を、誘導性プロモーターから転写を誘導する誘導剤と接触させることによって、またはこのようなプロモーターから転写を阻害する剤を除去することによって仲介されることを特徴とする誘導性異型プロモーターによって転写で制御される哺乳類p21遺伝子をコードする組換え発現構築物を包含する組換え哺乳類線維肉腫細胞。
【請求項3】
ヒトHT1080である請求項1または2に記載の組換え哺乳類線維肉腫細胞。
【請求項4】
哺乳類p21遺伝子が、ヒトp21遺伝子またはそれらのCDK−結合断片である、請求項1または2に記載の組換え哺乳類線維肉腫細胞。
【請求項5】
転写を哺乳類プロモーターによって制御される哺乳類p21遺伝子をコードする組換え発現構築物が、ラクトースレプレッサー応答性プロモーター要素を包含し、そしてp21の転写が、該ラクトースレプレッサー応答性プロモーター要素によって制御され、そして組換え発現構築物からのp21の発現が、組換え細胞を、ラクトースレプレッサー特異的誘導剤に接触させることによって仲介されることを特徴とする、さらに、細菌のラクトースレプレッサーをコードする組換え発現構築物を包含する、請求項2に記載の組換え哺乳類線維肉腫細胞。
【請求項6】
細胞が、ヒトHT1080線維肉腫細胞である、請求項5に記載の組換え哺乳類線維肉腫細胞。
【請求項7】
細菌のラクトースレプレッサーをコードする組換え発現構築物が、3’SSである、請求項5に記載の組換え哺乳類線維肉腫細胞。
【請求項8】
哺乳類p21遺伝子が、ヒトp21遺伝子またはそれらのCDK−結合断片である、請求項5に記載の組換え哺乳類線維肉腫細胞。
【請求項9】
第二の発現構築物がLNp21CO3である、請求項5に記載の組換え哺乳類線維肉腫細胞。
【請求項10】
ラクトースレプレッサー特異的誘導剤が、β−ガラクトシドである、請求項5に記載の組換え哺乳類線維肉腫細胞。
【請求項11】
ATCC受託番号 (p21−9)によって同定される請求項5に記載の組換え哺乳類線維肉腫細胞。
【請求項12】
以下の段階を包含することを特徴とする、細胞の遺伝子発現のp21仲介調節を阻害する化合物を同定する方法。
(a)哺乳類細胞中でp21の発現を生じる;
(b)その発現が、p21によって調節される細胞の遺伝子の発現における変化について、化合物の存在下で細胞をアッセイする;および
(c)サブパート(b)の細胞の遺伝子の発現が、化合物の存在下でより少ない範囲まで変化される場合に、細胞の遺伝子発現のp21仲介調節の阻害剤として化合物を同定する。
【請求項13】
哺乳類細胞が請求項2に記載の細胞であり、p21発現が、細胞を誘導性プロモーターから転写を誘導する誘導剤に接触させるか、またはプロモーターから転写を阻害する剤を除去することによって発生される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
細胞の遺伝子の発現がp21により抑制される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
細胞の遺伝子が表Iに同定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
細胞の遺伝子の発現がp21により誘導される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
細胞の遺伝子が表IIに同定される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
細胞の遺伝子の発現が免疫学上の試薬を使用して検出される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
細胞の遺伝子の発現が、細胞の遺伝子産物の活性についてのアッセイによって検出される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
細胞の遺伝子の発現が、相補的核酸に対しハイブリッド形成させることにより検出される、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
発現がp21によって調節される哺乳類遺伝子についての、プロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子をコードする第一の組換え発現構築物、および哺乳類p21遺伝子をコードする第二の組換え発現構築物を包含し、p21の発現が、それにより哺乳類細胞中で実験的に誘導されることを特徴とする哺乳類細胞。
【請求項22】
哺乳類p21遺伝子をコードする組換え発現構築物が、誘導性異種プロモーターの転写制御下にあり、組換え発現構築物から得たp21の発現が、組換え細胞を、誘導性プロモーターから転写を誘導する誘導剤に接触させることによるか、またはこのようなプロモーターから転写を阻害する剤を除去することによって仲介される請求項21に記載の哺乳類細胞。
【請求項23】
レポーター遺伝子が、ホタル・ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、またはアルカリ性ホスファターゼをコードする請求項21に記載の哺乳類細胞。
【請求項24】
レポーター遺伝子は、その発現が、p21により抑制される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下にある請求項21に記載の哺乳類細胞。
【請求項25】
哺乳類遺伝子プロモーターが、表Iに同定される哺乳類遺伝子のプロモーターである、請求項24に記載の哺乳類細胞。
【請求項26】
レポーター遺伝子は、その発現が、p21により誘導される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下にある、請求項21に記載の哺乳類細胞。
【請求項27】
哺乳類遺伝子プロモーターが、表IIに同定される哺乳類遺伝子のプロモーターである、請求項26に記載の哺乳類細胞。
【請求項28】
プロモーターが、遺伝子ORC1、PRC1、XRCC9、CDC2、サイクリンB1、AIK1、CENP−A、CENP−F、MAD2、BUBR1、MCAK、HSET、CHL1、サイモポイエチンα、MPP2、MPP5、CDC47/MCM7、CDC21/MCM4、DNAリガーゼI、DNAポリメラーゼα、Rad54、エキソヌクレアーゼHEX1/RAD2、PLK1、DHFRまたはシトロンキナーゼから得られることを特徴とする、発現がp21によって阻害される哺乳類遺伝子についての、プロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子をコードする、組換え発現構築物を包含することを特徴とする哺乳類細胞。
【請求項29】
プロモーターが、遺伝子血清アミロイドA、補体C3、結合性組織成長因子、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、プロサポシン、Mac2結合タンパク質、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、グラヌリン/エピセリン、p66shc、リソソームのβ−ガラクトシダーゼ、またはカテプシンBから得られることを特徴とし、発現がp21によって誘導される哺乳類遺伝子についての、プロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子をコードする組換え発現構築物を包含する哺乳類細胞。
【請求項30】
以下の段階を包含する、細胞の遺伝子発現のp21−仲介調節を阻害する化合物を同定する方法。
(a)化合物の存在または不在下で、請求項21に記載の哺乳類細胞におけるp21の発現を生じること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の存在下でより小さな範囲に変化される場合に、細胞の遺伝子発現のp21仲介調節の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項31】
レポーター遺伝子が、その発現がp21によって抑制される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下にある、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
哺乳類遺伝子プロモーターが、表Iに同定される哺乳類遺伝子のプロモーターである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
レポーター遺伝子は、その発現がp21により誘導される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下にある、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
哺乳類遺伝子プロモーターが、表IIに同定される哺乳類遺伝子のプロモーターである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
レポーター遺伝子の発現が、免疫学上の試薬を使用して検出される、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
レポーター遺伝子の発現が、レポーター遺伝子産物の活性についてアッセイすることによって検出される、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
レポーター遺伝子の発現が、相補的核酸にハイブリッド形成させることにより検出される、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
以下の段階を包含する、細胞の遺伝子発現のp21−仲介調節を阻害する化合物を同定する方法。
(a)化合物の存在または不在下で、請求項28に記載の哺乳類細胞におけるp21の発現を生じること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の存在下でより小さな範囲に変化される場合に、細胞の遺伝子発現のp21仲介調節の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項39】
以下の段階を特徴とする、細胞の遺伝子発現のp21−仲介調節を阻害する化合物を同定する方法。
(a)化合物の存在または不在下で、請求項29に記載の哺乳類細胞におけるp21の発現を生じること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の存在下でより小さな範囲に変化される場合に、細胞の遺伝子発現のp21仲介調節の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項40】
以下の段階を包含する、哺乳類細胞における老化を阻害する化合物を同定する方法。
(a)化合物の存在および不在下で哺乳類細胞を剤で処理するか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養すること;
(b)p21遺伝子発現により抑制または誘導される遺伝子の抑制または誘導について哺乳類細胞のアッセイを行うこと;および
(c)化合物の不在でより化合物の存在下で、p21によって抑制される遺伝子が、より小さな範囲に抑制されるか、またはp21によって誘導される遺伝子が、より小さな範囲に誘導される場合に老化の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項41】
哺乳類細胞が、p21によって誘導される遺伝子についてアッセイされる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
遺伝子が表IIに同定される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
哺乳類細胞がp21により抑制される遺伝子についてアッセイされる、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
遺伝子が表Iに同定される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
細胞の遺伝子の発現が免疫学上の試薬を使用して検出される、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
細胞の遺伝子の発現が、細胞の遺伝子産物の活性についてのアッセイにより検出される、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
細胞の遺伝子の発現が、相補的核酸にハイブリッド形成させることにより検出される、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
以下の段階を包含する、哺乳類細胞中の老化を阻害する化合物を同定する方法。
(a)細胞は、その発現がp21によって調節される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下で、レポーター遺伝子を包含することを特徴とする、化合物の存在または不在下にある哺乳類細胞を、剤と接触させるか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養させること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の不在下でより、化合物の存在下で小さな程度に変化される場合に、老化の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項49】
レポーター遺伝子が、その発現がp21によって誘導される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下にある、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
哺乳類遺伝子プロモーターが、表IIに同定される哺乳類遺伝子のプロモーターである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
レポーター遺伝子は、その発現がp21により抑制される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下にある、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
哺乳類遺伝子プロモーターが、表Iに同定される哺乳類遺伝子のプロモーターである、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
細胞の遺伝子の発現が、免疫学上の試薬を使用して検出される、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
細胞の遺伝子の発現が、細胞の遺伝子産物の活性についてのアッセイにより検出される、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
細胞の遺伝子の発現が、相補的核酸にハイブリッド形成させることにより検出される、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
以下の段階を包含する、哺乳類細胞での老化を阻害する化合物を同定する方法。
(a)化合物の存在または不在下にある哺乳類細胞を、剤と接触させるか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養させること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の不在下でより、化合物の存在下で小さな程度に変化される場合に、老化の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項57】
以下の段階を包含する、哺乳類細胞中の老化を阻害する化合物を同定する方法。
(a)化合物の存在または不在下にある請求項29に記載の哺乳類細胞を、剤と接触させるか、または老化を誘導する条件下で該哺乳類細胞を培養させること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の不在下でより、化合物の存在下で小さな程度に変化される場合に、老化の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項58】
請求項12の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、細胞の老化を阻害する方法。
【請求項59】
請求項30の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、細胞の老化を阻害する方法。
【請求項60】
請求項38の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、細胞の老化を阻害する方法。
【請求項61】
請求項39の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、細胞の老化を阻害する方法。
【請求項62】
請求項40の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、細胞の老化を阻害する方法。
【請求項63】
請求項48の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、細胞の老化を阻害する方法。
【請求項64】
請求項56の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、細胞の老化を阻害する方法。
【請求項65】
請求項57の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、細胞の老化を阻害する方法。
【請求項66】
請求項12の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、哺乳類細胞中の疾病関連遺伝子産物の産生を阻害する方法。
【請求項67】
請求項30の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、哺乳類細胞中の疾病関連遺伝子産物の産生を阻害する方法。
【請求項68】
請求項38の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、哺乳類細胞中の疾病関連遺伝子産物の産生を阻害する方法。
【請求項69】
請求項39の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、哺乳類細胞中の疾病関連遺伝子産物の産生を阻害する方法。
【請求項70】
請求項40の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、哺乳類細胞中の疾病関連遺伝子産物の産生を阻害する方法。
【請求項71】
請求項48の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、哺乳類細胞中の疾病関連遺伝子産物の産生を阻害する方法。
【請求項72】
請求項56の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、哺乳類細胞中の疾病関連遺伝子産物の産生を阻害する方法。
【請求項73】
請求項57の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、哺乳類細胞中の疾病関連遺伝子産物の産生を阻害する方法。
【請求項74】
以下の段階を包含する、細胞の遺伝子発現のp21仲介調節の効果を増強する化合物を同定する方法。
(a)哺乳類細胞中でp21の発現を生じること;
(b)その発現が、p21で誘導または抑制される細胞の遺伝子の発現における変化について、化合物の存在および不在下にある細胞のアッセイを行うこと;および
(c)サブパート(b)の細胞の遺伝子の発現が、化合物の不在下でより、化合物の存在下で大きな範囲に誘導または抑制される場合に、細胞の遺伝子発現のp21仲介調節のポテンシエーターとして化合物を同定すること。
【請求項75】
哺乳類細胞が、請求項2に記載の細胞であり、p21発現が誘導性プロモーターから転写を誘導する誘導剤と細胞を接触させることによって発生される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
細胞の遺伝子の発現がp21によって抑制される、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
細胞の遺伝子が表Iに同定される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
細胞の遺伝子の発現がp21によって誘導される、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
細胞の遺伝子が表IIに同定される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
細胞の遺伝子の発現、免疫学上の試薬を使用して検出される、請求項74に記載の方法。
【請求項81】
細胞の遺伝子の発現が細胞の遺伝子産物の活性についてのアッセイにより検出される、請求項74に記載の方法。
【請求項82】
細胞の遺伝子の発現が相補的核酸にハイブリッド形成させることにより検出される、請求項74に記載の方法。
【請求項83】
p21は、その効果が細胞中のp21発現の最大効果より少ない範囲まで細胞中で産生される、請求項74に記載の方法。
【請求項84】
以下の段階を包含する老化を増強する化合物を同定する方法。
(a)細胞は、その発現がp21によって調節される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下で、レポーター遺伝子を包含することを特徴とする、化合物の存在または不在下にある哺乳類細胞を、剤と接触させるか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養させること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の不在下でより、化合物の存在下で大きな範囲に変化する場合に、老化のポテンシエーターとして化合物を同定すること。
【請求項85】
哺乳類細胞が、請求項2に記載の細胞であり、老化が誘導性プロモーターからp21転写を誘導する誘導剤と細胞を接触させることによって発生される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
レポーター遺伝子が、その発現がp21によって誘導される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下にある、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
遺伝子が表IIに同定される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
レポーター遺伝子は、その発現がp21により抑制される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下にある、請求項84に記載の方法。
【請求項89】
遺伝子が表Iに同定される、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
レポーター遺伝子の発現が免疫学上の試薬を使用して検出される、請求項84に記載の方法。
【請求項91】
レポーター遺伝子の発現が、細胞の遺伝子産物の活性についてのアッセイにより検出される、請求項84に記載の方法。
【請求項92】
レポーター遺伝子の発現が、相補的核酸にハイブリッド形成させることにより検出される、請求項84に記載の方法。
【請求項93】
以下の段階を包含する、哺乳類細胞における老化の誘導を促進する化合物を同定する方法。
(a)哺乳類細胞を剤で処理するか、または化合物の存在下で老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養すること;
(b)p21遺伝子発現により抑制または誘導される遺伝子の抑制または誘導について哺乳類細胞のアッセイを行うこと;および
(c)化合物の存在下で、p21によって抑制される遺伝子が、さらに抑制されるか、またはp21によって誘導される遺伝子が、さらに誘導される場合に老化の誘導を促進する化合物を同定すること。
【請求項94】
哺乳類細胞が、p21により誘導される遺伝子についてのアッセイをうける、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
遺伝子が表IIに同定される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
哺乳類細胞が、p21により抑制される遺伝子についてのアッセイをうける、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
遺伝子が表Iに同定される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
細胞の遺伝子の発現が免疫学上の試薬を使用して検出される、請求項93に記載の方法。
【請求項99】
細胞の遺伝子の発現が、細胞の遺伝子産物の活性についてのアッセイにより検出される、請求項93に記載の方法。
【請求項100】
細胞の遺伝子の発現が、相補的核酸にハイブリッド形成させることにより検出される、請求項93に記載の方法。
【請求項101】
以下の段階を包含する、哺乳類細胞中の老化の誘導を促進する化合物を同定する方法。
(a)細胞は、その発現がp21によって調節される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下で、レポーター遺伝子を包含することを特徴とする、化合物の存在または不在下にある哺乳類細胞を、剤と接触させるか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養させること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の不在下でより、化合物の存在下で大きな範囲に変化する場合に、老化の誘導を促進する化合物を同定すること。
【請求項102】
レポーター遺伝子が、その発現がp21によって誘導される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下にある、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
遺伝子が、表IIに同定される請求項102に記載の方法。
【請求項104】
レポーター遺伝子は、その発現がp21により抑制される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下にある、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
遺伝子が表Iに同定される、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
細胞の遺伝子の発現が免疫学上の試薬を使用して検出される、請求項101に記載の方法。
【請求項107】
細胞の遺伝子の発現が、細胞の遺伝子産物の活性についてアッセイすることによって検出される、請求項101に記載の方法。
【請求項108】
細胞の遺伝子の発現が、相補的核酸にハイブリッド形成させることにより検出される、請求項101に記載の方法。
【請求項109】
以下の段階を包含する、哺乳類細胞における老化の誘導を促進する化合物を同定する方法。
(a)化合物の存在または不在下で請求項28に記載の哺乳類細胞を剤と接触させるか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養すること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の不在下でより、化合物の存在下でより大きな範囲に変化する場合に、老化の誘導を促進する化合物を同定すること。
【請求項110】
以下の段階を包含する、哺乳類細胞における老化の誘導を促進する化合物を同定する方法。
(a)化合物の存在または不在下で請求項29に記載の哺乳類細胞を剤と接触させるか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養すること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の不在下でより、化合物の存在下でより大きな範囲に変化する場合に、老化の誘導を促進する化合物を同定すること。
【請求項111】
請求項74の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含する、細胞中の老化を促進する方法。
【請求項112】
細胞が、腫瘍細胞、増殖性細胞、または過剰増殖のため病原性であるか、あるいは疾病原因の細胞である、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
請求項84の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含することを特徴とする、細胞中の老化を促進する方法。
【請求項114】
細胞が、腫瘍細胞、増殖性細胞、または過剰増殖のため病原性であるかあるいは疾病原因の細胞である、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
請求項93の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含することを特徴とする、細胞中の老化を促進する方法。
【請求項116】
細胞が、腫瘍細胞、増殖性細胞、または過剰増殖のため病原性であるかあるいは疾病原因である細胞である、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
請求項101の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含することを特徴とする、細胞中の老化を促進する方法。
【請求項118】
細胞が、腫瘍細胞、増殖性細胞、または過剰増殖のため病原性であるかあるいは疾病原因である細胞である、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
請求項109の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含することを特徴とする、細胞中の老化を促進する方法。
【請求項120】
細胞が、腫瘍細胞、増殖性細胞、または過剰増殖のため病原性であるかあるいは疾病原因である細胞である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
請求項110の方法により生成される化合物と細胞を接触させる段階を包含することを特徴とする、細胞中の老化を促進する方法。
【請求項122】
細胞が、腫瘍細胞、増殖性細胞、または過剰増殖のため病原性であるかあるいは疾病原因である細胞である、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
以下の段階による方法で生成される、細胞の遺伝子発現のp21調節を阻害する化合物。
(a)哺乳類細胞中のp21の発現を誘導すること;
(b)その発現が、p21によって調節される細胞の遺伝子の発現における変化について、化合物の存在または不在下にある細胞のアッセイを行うこと;および
(c)サブパート(b)の細胞の遺伝子の発現が、化合物の不在下でより、化合物の存在下でより少ない範囲に変化される場合に、細胞の遺伝子発現のp21−仲介調節の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項124】
以下の段階による方法で生成される、細胞の遺伝子発現のp21調節を阻害する化合物。
(a)化合物の存在または不在下で、請求項21に記載の哺乳類細胞中のp21の発現を生じること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の存在下でより少ない範囲に変化される場合に、細胞の遺伝子発現のp21−仲介調節の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項125】
以下の段階による方法で生成される、哺乳類細胞中の老化を阻害する化合物。
(a)化合物の存在下にある哺乳類細胞を剤で処理するか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養すること;
(b)p21遺伝子発現により抑制または誘導される遺伝子の抑制または誘導について哺乳類細胞のアッセイを行うこと;および
(c)化合物の存在下で、p21により抑制される遺伝子が、より少ない範囲に抑制されるか、またはp21により誘導される遺伝子が、より少ない範囲に誘導される場合に、老化の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項126】
以下の段階による方法で生成される、哺乳類細胞における老化を阻害する化合物。
(a)細胞が、その発現がp21によって調節される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子を包含することを特徴とする、化合物の存在または不在下で哺乳類細胞を剤と接触させるか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養すること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の存在下でより少ない範囲に変化される場合に、老化の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項127】
以下の段階による方法で生成される、哺乳類細胞における老化を増強する化合物。
(a)哺乳類細胞中でp21の発現を生じること;
(b)その発現が、p21により誘導または抑制される細胞の遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)サブパート(b)の細胞の遺伝子の発現が、化合物の不在下でより、化合物の存在下でより大きな範囲に誘導または抑制される場合に、老化の阻害剤として化合物を同定すること。
【請求項128】
以下の段階による方法で生成される、哺乳類細胞中の老化を増強する化合物。
(a)化合物の存在下にある哺乳類細胞を剤で処理するか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養すること;
(b)p21遺伝子発現により抑制または誘導される遺伝子の抑制または誘導について哺乳類細胞のアッセイを行うこと;および
(c)化合物の存在下で、p21により抑制される遺伝子が、より大きい範囲に抑制されるか、またはp21により誘導される遺伝子が、より大きな範囲に誘導される場合に、老化のポテンシエーターとして化合物を同定すること。
【請求項129】
以下の段階による方法で生成される、哺乳類細胞における老化を増強する化合物。
(a)細胞が、その発現がp21によって調節される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子を包含することを特徴とする、化合物の存在または不在下で哺乳類細胞を剤と接触させるか、または老化を誘導する条件下で哺乳類細胞を培養すること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)レポーター遺伝子の発現が、化合物の不在下でより化合物の存在下でより大きな範囲に変化する場合に、老化のポテンシエーターとして化合物を同定すること。
【請求項130】
哺乳類細胞でのp21発現を生じ、そして抗アポトーシスまたは有糸分裂因子を産生するのに十分な時間、細胞培養用培地中で細胞を培養する段階を包含することを特徴とする、哺乳類細胞から抗アポトーシスまたは有糸分裂因子を生じる方法。
【請求項131】
哺乳類細胞が、請求項2に記載の哺乳類細胞であり、そしてp21発現が、誘導性プロモーターから転写を誘導する誘導剤を含む培養用培地中で哺乳類細胞を培養するか、またはこのようなプロモーターからの転写を阻害する剤を除去することによって誘導される、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
哺乳類細胞によって生じた抗アポトーシスまたは有糸分裂性化合物が、その発現がp21によって誘導される化合物である、請求項130に記載の方法。
【請求項133】
p21を発現する哺乳類細胞の成長によって調節される哺乳類細胞の培養用培地。
【請求項134】
哺乳類細胞が、請求項2に記載の哺乳類細胞であり、そしてp21発現が、誘導性プロモーターから転写を誘導する誘導剤を含む培養用培地中で哺乳類細胞を培養するか、またはこのようなプロモーターからの転写を阻害する剤を除去することによって誘導される、請求項133に記載の哺乳類細胞の培養用培地。
【請求項135】
以下の段階を包含する、細胞周期進行に関与する遺伝子について富化される複数の核酸種を得る方法。
(a)哺乳類細胞でのp21の発現を誘導すること;
(b)p21が段階(a)により誘導される前および後に、哺乳類細胞から細胞のmRNAを得ること;
(c)p21が誘導される前に細胞から得られた細胞のmRNAの発現を、p21が誘導された後に細胞のmRNAの発現と比較すること;および
(d)p21発現が誘導された後に、その発現が、細胞中で抑制される遺伝子について富化された複数の核酸種を得ること。
【請求項136】
以下の段階を包含する、パラ分泌機能を有する分泌タンパク質、ならびに老化および加齢関連疾病に関与するタンパク質をコードする遺伝子について富化される複数の核酸種を得る方法。
(a)哺乳類細胞でのp21の発現を誘導すること;
(b)p21が誘導される前および後に、哺乳類細胞から細胞のmRNAを得ること;および
(c)p21が誘導された後に、その発現が細胞中で誘導される遺伝子について富化された複数の核酸種を得ること。
【請求項137】
以下の段階を包含する、細胞の老化のマーカーである複数の細胞の遺伝子を同定する方法。
(a)哺乳類細胞の第一の集団でのp21の発現、および哺乳類細胞の第二の集団での静止を誘導すること;
(b)細胞の各集団からmRNAを得ること;
(c)p21が誘導される前および後の第一の集団中の細胞での遺伝子発現のパターンを、細胞が静止になる前および後の第二の集団中の細胞での遺伝子発現のパターンと比較すること;
(d)p21誘導細胞で強力に誘導される複数の遺伝子を、静止している細胞で強力に誘導される複数の遺伝子と比較すること;および
(e)静止している細胞で強力に誘導されはしないp21誘導細胞で強力に誘導される遺伝子を同定すること。
【請求項138】
結合性組織成長因子、血清アミロイドA、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、Mac2結合タンパク質、または組織トランスグルタミナーゼである遺伝子から構成される群から選択される遺伝子の発現を検出する段階を包含することを特徴とする哺乳類細胞中の老化を検出する方法。
【請求項139】
以下の段階を包含する、哺乳類細胞中で老化を誘導する化合物を同定する方法。
(a)その発現がp21によって調節される遺伝子の発現について、化合物の存在および不在下で哺乳類細胞のアッセイを行うこと;および
(b)化合物の存在下で、p21によって抑制される遺伝子の発現が、細胞中で抑制されるか、p21によって誘導される遺伝子の発現が、細胞中で増加されるときに、老化を誘導する化合物を同定すること。
【請求項140】
遺伝子がp21によって誘導される、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
遺伝子が表IIに同定される、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
遺伝子がp21によって抑制される、請求項139に記載の方法。
【請求項143】
遺伝子が表Iに同定される、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
遺伝子の発現が免疫学上の試薬を用いて検出される、請求項139に記載の方法。
【請求項145】
遺伝子の発現が細胞の遺伝子産物の活性についてアッセイすることによって検出される、請求項139に記載の方法。
【請求項146】
遺伝子の発現が相補的核酸にハイブリッド形成することによって検出される、請求項139に記載の方法。
【請求項147】
サブパート(a)でのアッセイが抗癌剤の存在で行われる、請求項139に記載の方法。
【請求項148】
哺乳類細胞が誘導性p21遺伝子を包含し、そしてサブパート(a)でのアッセイが、多量のp21発現を誘導する剤の存在で行われ、それによりp21誘導の範囲が、p21によって阻害される遺伝子の完全な阻害のためには不十分である、請求項139に記載の方法。
【請求項149】
以下の段階を包含する、哺乳類細胞における老化を誘導する化合物を同定する方法。
(a)細胞が、その発現がp21によって調節される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子を包含することを特徴とする、哺乳類細胞を化合物と接触させること;
(b)レポーター遺伝子の発現における変化について細胞のアッセイを行うこと;および
(c)細胞が、化合物と接触される場合に、レポーター遺伝子の発現が、p21によって抑制される遺伝子からプロモーターの転写制御下にあるときに減少されるか、またはレポーター遺伝子の発現が、p21によって誘導される遺伝子の転写制御下にあるときに増加される場合に老化を誘導する化合物を同定すること。
【請求項150】
レポーター遺伝子が、その発現がp21によって誘導される哺乳類細胞についてのプロモーターの転写抑制下にある、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
遺伝子が、表IIに同定される、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
レポーター遺伝子が、その発現がp21によって抑制される哺乳類細胞についてのプロモーターの転写抑制下にある、請求項149に記載の方法。
【請求項153】
遺伝子が、表Iに同定される、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
レポーター遺伝子の発現が、免疫学上の試薬を用いて検出される、請求項149に記載の方法。
【請求項155】
レポーター遺伝子の発現が、細胞の遺伝子産物の活性についてアッセイすることによって検出される、請求項149に記載の方法。
【請求項156】
レポーター遺伝子の発現が、相補的核酸にハイブリッド形成することによって検出される、請求項149に記載の方法。
【請求項157】
その発現がp21によって阻害される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子をコードする組換え発現構築物。
【請求項158】
プロモーターが、遺伝子ORC1、PRC1、XRCC9、CDC2、サイクリンB1、AIK1、CENP−A、CENP−F、MAD2、BUBR1、MCAK、HSET、CHL1、サイモポイエチンα、MPP2、MPP5、CDC47/MCM7、CDC21/MCM4、DNAリガーゼI、DNAポリメラーゼα、Rad54、エキソヌクレアーゼHEX1/RAD2、PLK1、DHFRまたはシトロンキナーゼから得られたものである、請求項157に記載の組換え発現構築物。
【請求項159】
その発現が、p21によって誘導される哺乳類遺伝子についてのプロモーターの転写制御下でレポーター遺伝子をコードする組換え発現構築物。
【請求項160】
プロモーターが、遺伝子血清アミロイドA、補体C3、結合性組織成長因子、インテグリンβ―3、アクチビンA、ナチュラルキラー細胞タンパク質4、プロサポシン、Mac2結合タンパク質、ガレクチン−3、スーパーオキシドジスムターゼ2、グラヌリン/エピセリン、p66shc、リソソームのβ−ガラクトシダーゼ、またはカテプシンBから得られる、請求項159に記載の組換え発現構築物。
【請求項161】
請求項12の方法により生成される化合物と細胞を接触される段階を包含することを特徴とする哺乳類細胞中の有糸分裂または抗アポトーシス性化合物の産生を阻害する方法。
【請求項162】
請求項30の方法により生成される化合物と細胞を接触される段階を包含することを特徴とする哺乳類細胞中の有糸分裂または抗アポトーシス性化合物の産生を阻害する方法。
【請求項163】
請求項38の方法により生成される化合物と細胞を接触される段階を包含することを特徴とする哺乳類細胞中の有糸分裂または抗アポトーシス性化合物の産生を阻害する方法。
【請求項164】
請求項39の方法により生成される化合物と細胞を接触される段階を包含することを特徴とする哺乳類細胞中の有糸分裂または抗アポトーシス性化合物の産生を阻害する方法。
【請求項165】
請求項40の方法により生成される化合物と細胞を接触される段階を包含することを特徴とする哺乳類細胞中の有糸分裂または抗アポトーシス性化合物の産生を阻害する方法。
【請求項166】
請求項48の方法により生成される化合物と細胞を接触される段階を包含することを特徴とする哺乳類細胞中の有糸分裂または抗アポトーシス性化合物の産生を阻害する方法。
【請求項167】
請求項56の方法により生成される化合物と細胞を接触される段階を包含することを特徴とする、哺乳類細胞中の有糸分裂または抗アポトーシス性化合物の産生を阻害する方法。
【請求項168】
請求項57の方法により生成される化合物と細胞を接触される段階を包含することを特徴とする、哺乳類細胞中の有糸分裂または抗アポトーシス性化合物の産生を阻害する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A−C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−340722(P2006−340722A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−203083(P2006−203083)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【分割の表示】特願2006−67928(P2006−67928)の分割
【原出願日】平成12年4月7日(2000.4.7)
【出願人】(501394136)ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニヴァースティ オブ イリノイ (2)
【Fターム(参考)】