説明

rhPDGF−BB及び生体適合性マトリックスを用いた顎顔面骨強化

本発明は、従来技術の方法に関連した問題を有さない顎顔面骨強化、特に顎堤強化のための有効な新規の方法並びにそのための組成物の使用を提供する。一つの実施形態では、これらの材料としては、ヒト組換え血小板由来成長因子(rhPDGF−BB)及び生体適合性マトリックスが挙げられる。別の実施形態では、これらの材料としては、rhPDGF−BB、脱タンパク骨ブロック又はリン酸カルシウム、及び生体吸収性膜が挙げられる。本発明の方法におけるこれらの材料の使用は、顎顔面骨を再生するのに、そして安定なオッセオインテグレーテッド・インプラントの達成を促進するのに有効である。下顎骨又は上顎骨は強化のための好ましい骨であり、そして顎堤の強化は本発明の好ましい一つの実施形態である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顎顔面骨強化のための組成物、並びにPDGF溶液及び生体適合性マトリックスを含み、任意に生体適合性結合剤を含む組成物を用いた顎顔面骨強化法を含む。
【背景技術】
【0002】
顎顔面骨強化は、例えば顎堤強化(水平及び垂直顎堤強化を含む)、抜歯窩、上顎洞の骨壁における骨槽及び骨欠損部の修復を含む多くの状況において必要とされる。
【0003】
誘導骨再生(GBR)は、天然歯周囲の誘導組織再生(GTR)に基づく再生手法であり、オッセオインテグレーテッド・インプラント埋め込み前又は同時に顎堤強化に用いられる。そもそも、誘導組織再生の生物学的原理は、1980年代初頭にNyman及びKarringにより発見された。その外科的手法は、血餅を保護し、骨欠損部周囲に隔離空間を作って、他の組織と競合することなく骨再生を可能にするための細胞閉塞性バリア膜の埋め込みを含む。
【0004】
正常な骨成長及び発達のパターンと密接に並行して進む一連の生物学的ステップを通して、プログラムされた順序で新たに再生された骨が発達する方法を、Schenk他は実証した(Int. J. Oral Maxillofac. Implants, 1994; 9(1); 13-29)。これらの知見は、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)チタン強化膜を用いた同様のイヌモデルにより、Simion他により確認された(Clin. Oral Implants Res., 1999; 10(2): 73-84)。臨床試験から導き出された証拠は、再生骨が機能力により発揮される咬合荷重に耐えることができ、長期にわたり安定である、ということも示唆する(Mayfield他, Clin. Oral Implants Res., 1998; 9(5), 297-302))。
【0005】
GBRについてはかなりの実証がされており、研究により水平及び垂直顎堤の強化手法におけるGBRの高効率性及び予測可能性が証明されている。全てのGBR手法の中で技術的に最も要求されるものであると考えられるこの最新の手法は、1994年にSimion他により最初に提唱された(Int. J. Periodontic Restorative Dent., 1994; 14(6): 496-511)。骨高がインプラントの埋め込み、長期安定性のために不十分である場合、あるいは補綴的リハビリテーションにより過剰に長い歯冠及び好ましくないインプラント/歯冠比が生じる場合に必要とされる。
【0006】
GBR原理を適用する場合、骨代用材及び膜のために種々の材料が利用可能である。ヒトにおける臨床試験は、e−PTFE膜を充填材料(自家骨(Tinti他, Int. J. Periodontics Restorative Dent., 1996; 16(3): 220-9、Tinti他, Int. J. Periodontics Restorative Dent., 1998; 18(5): 434-43)及び脱灰凍結乾燥骨同種異系移植片(DFDBA)(Simion他, Int. J. Periodontics Restorative Dent., 1998; 18(1): 8-23))と組み合せて用いることにより、垂直骨強化がもたらされる可能性を示した。
【0007】
顎堤強化手法に関する大きな問題の1つは、局所感染及び不完全骨再生を生じて、最終結果を悪化させる、柔組織裂開による未成熟な膜の露出である。これらの問題を克服するために、GBRに用いられる材料及び適用される外科的手法は、しばしば修正、適切化されてきた(Simion他, Int. J. Periodontics Restorative Dent., 1994; 14(2): 166-80、Simion他, J. Clin. Periodontol., 1995; 22(4); 321-31)。
【0008】
垂直堤強化は、下顎骨及び上顎骨の両方にとって必要とされる。従って、必要とされるものは、安定なオッセオインテグレーテッド・インプラントが達成されるよう、従来技術
の方法に関連する問題を有さず、骨強化において、特に顎顔面骨、中でも顎堤の強化に有効な新たな方法及び材料である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、目的の顎顔面骨部位において骨を強化するための組成物の使用を提供する。本発明は、従来技術の方法に関連する問題を有さず、骨強化、特に顎顔面骨強化に有効な新たな方法及び組成物を提供する。このような方法としては、上顎骨又は下顎骨における骨強化が挙げられるが、これらに限定されない。このような骨強化部位としては、顎堤強化部、抜歯窩の修復部、洞挙上部、及び上顎洞に隣接する上顎骨の欠損部が挙げられるが、これらに限定されない。顎堤強化は本発明の一つの実施形態であり、水平(側方)及び垂直堤強化を含む。
【0010】
これらの方法に用いられる組成物としては、組換えヒト血小板由来成長因子(rhPDGF)のような血小板由来成長因子(PDGF)、生体適合性マトリックス、及び任意の吸収性膜が挙げられる。本発明におけるこれらの組成物の使用は、骨の再生、及び安定したオッセオインテグレーテッド・インプラントの達成を促進するのに有効である。任意の骨が本発明を用いて強化され得るが、下顎骨及び上顎骨は強化するのに好ましい骨である。下顎骨及び/又は上顎骨における顎堤の強化は、本発明の好ましい一つの実施形態である。
【0011】
一つの態様では、本発明により提供される骨強化を促進するための組成物は、PDGFを含む溶液及び生体適合性マトリックスを含み、当該溶液は生体適合性マトリックス中に混合される。いくつかの実施形態では、PDGFは約0.01mg/ml〜10mg/ml、約0.05mg/ml〜5mg/ml、又は約0.1mg/ml〜1.0mg/mlの範囲の濃度で溶液中に存在する。溶液中のPDGFの濃度は、上記の濃度範囲のいずれかの範囲内である。
【0012】
本発明の実施形態では、PDGFは、PDGF−AA、PDGF−BB、PDGF−AB、PDGF−CC、PDGF−DDを含むPDGFホモ二量体及びヘテロ二量体、並びにその混合物及び誘導体を含む。一つの実施形態では、PDGFはPDGF−BBを含む。別の実施形態では、PDGFは、rhPDGF−BBのような組換えヒト(rh)PDGFを含む。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、PDGFはPDGF断片を含む。一つの実施形態では、rhPDGF−Bは以下の断片を含む:全B鎖のアミノ酸配列1〜31、1〜32、33〜108、33〜109及び/又は1〜108。PDGFのB鎖の全アミノ酸配列(1〜109)は、米国特許第5,516,896号の図15に示されている。本発明のrhPDGF組成物は、完全なrhPDGF−B(1〜109)とその断片との組み合わせを含んでもよいと理解されるべきである。米国特許第5,516,896号に開示されたもののような、PDGFの他の断片を用いることができる。好ましい実施形態によれば、rhPDGF−BBは、rhPDGF−Bの全アミノ酸配列(1〜109)の少なくとも65%を含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、生体適合性マトリックスは、骨ブロックのような骨足場材料を含む。いくつかの実施形態では、骨ブロックは脱灰されている。いくつかの実施形態では、骨足場材料はリン酸カルシウムを含む。一つの実施形態では、リン酸カルシウムはβ−トリカルシウムホスフェートを含む。
【0015】
別の態様では、本発明は、骨ブロック及び生体適合性結合剤を含む生体適合性マトリッ
クス中に混合されたPDGF溶液を含む、骨強化手法を促進するための組成物を提供する。PDGF溶液は、上記のようなPDGFの濃度を有する。いくつかの実施形態では、骨足場材料はリン酸カルシウムを含む。一つの実施形態では、リン酸カルシウムはβ−トリカルシウムホスフェートを含む。
【0016】
更に、本発明のいくつかの実施形態によれば、生体適合性結合剤はタンパク質、多糖、核酸、炭水化物、合成ポリマー又はそれらの混合物を含む。一つの実施形態では、生体適合性結合剤はコラーゲンを含む。別の実施形態では、生体適合性結合剤はヒアルロン酸を含む。
【0017】
別の態様では、本発明は、生体適合性マトリックスを含む第一のパッケージ、及びPDGFを含有する溶液を含む第二のパッケージを含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、溶液は予め決められた濃度のPDGFを含む。PDGFの濃度は、実施されている外科的手法によって予め決められる。更に、いくつかの実施形態では、生体適合性マトリックスは、予め決められた量でキット中に含まれていてもよい。キットにより提供される生体適合性マトリックスの量は、実施される外科的手法によって決められる。いくつかの実施形態では、PDGF溶液を含む第二のパッケージは注射器を含む。注射器は、骨強化手法における骨融合の部位のような外科的部位における適用のための生体適合性マトリックス中へのPDGF溶液の混合を促進する。いくつかの実施形態では、キットは、本発明の方法に用いられる吸収性膜を含む。
【0018】
本発明は更に、骨強化手法に用いるための組成物の製造方法、並びに骨強化手法を実施するための方法を提供する。一つの実施形態では、組成物の製造方法は、PDGFを含む溶液の提供、生体適合性マトリックスの提供及び生体適合性マトリックス中に溶液を混合することを含む。
【0019】
別の実施形態では、骨強化手法を実施する方法は、生体適合性マトリックス中に混合されたPDGF溶液を含む組成物の提供、及び当該組成物を目的の骨強化の少なくとも1つの部位に適用することを含む。いくつかの実施形態では、当該方法は、下顎骨又は上顎骨の顎堤の強化を含む。強化された顎堤が作製され、オッセオインテグレーテッド・インプラントを受容できる。
【0020】
このように、骨強化、特に顎顔面骨強化を促進するのに有用な、生体適合性マトリックス中にPDGFを含む組成物の使用を提供することは、本発明の一つの目的である。
【0021】
骨強化、特に顎顔面骨強化を促進するのに有用な薬剤の調製における、生体適合性マトリックス中にPDGFを含む組成物の使用を提供することは、本発明の一つの目的である。
【0022】
骨強化を促進するのに有用な、生体適合性マトリックス中にPDGFを含む組成物を提供することは、本発明の一つの目的である。
【0023】
顎顔面骨強化を促進するのに有用な、生体適合性マトリックス中にPDGFを含む組成物を提供することは、本発明の一つの目的である。
【0024】
上顎骨又は下顎骨における骨強化を促進するのに有用な、生体適合性マトリックス中にPDGFを含む組成物を提供することは、本発明の別の目的である。
【0025】
本発明の更に別の目的は、インプラントが上顎骨又は下顎骨中に挿入されるように、上顎骨又は下顎骨における骨強化を促進するのに有用な、生体適合性マトリックス中にPD
GFを含む組成物を提供することである。
【0026】
本発明の別の目的は、インプラントが上顎骨又は下顎骨中に安定的に挿入されるよう、上顎骨又は下顎骨における顎堤強化を促進するのに有用な、生体適合性マトリックス中にPDGFを含む組成物を提供することである。
【0027】
本発明の別の目的は、特に上顎骨及び/又は下顎骨における垂直又は水平骨強化のための方法を提供することである。
【0028】
本発明の更に別の目的は、上顎骨又は下顎骨における顎堤の強化方法を提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、PDGF及び生体適合性マトリックスを含み、任意に吸収性膜を含むキットを提供することである。
【0030】
本発明におけるこれら及びその他の実施形態は、以下の詳細な説明で更に詳細に記載される。本発明のこれら及びその他の目的、特徴及び利点は、開示された実施形態及び特許請求の範囲の以下の詳細な説明を検討した後に明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、目的の顎顔面部位における骨強化における、生体適合性マトリックス中に混合されたPDGFの溶液を含む組成物の新たな使用を提供する。生体吸収性膜は、任意に本発明の使用とともに用いられる。本発明のこれらの使用は、コラーゲンのような生体適合性結合剤を含む組成物を更に包含する。本発明のこれらの使用は、生体適合性マトリックス中に混合されたPDGFの溶液を含み、更に生理活性剤を含む組成物を包含する。本発明のこれらの用途としては、顎堤、骨欠損部、上顎洞の壁又は抜歯窩のような目的部位での顎顔面骨強化が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物は、目的部位での顎顔面骨強化のための薬剤の調製において用いられる。
【0032】
本発明は、従来技術の方法に関連した問題を有さず、骨強化、特に顎顔面骨強化に有効な新たな方法及び組成物を提供する。このような方法としては、上顎骨又は下顎骨における骨強化が挙げられるが、これらに限定されない。このような骨強化部位としては、顎堤強化部、抜歯窩の修復部、洞挙上部、及び上顎洞に隣接する上顎骨の欠損部が挙げられるが、これらに限定されない。顎堤強化は本発明の好適な一つの実施形態であり、水平(側方)及び垂直堤強化を含む。水平堤という用語は側方堤と同義であり、頬、舌及び口蓋を含む。垂直堤という用語は、下顎骨垂直顎堤及び上顎骨垂直顎堤を含む。
【0033】
一つの実施形態では、骨強化のための組成物は、PDGFを含む溶液及び生体適合性マトリックスを含み、当該溶液は生体適合性マトリックス中に混合される。別の実施形態では、組成物は生体適合性マトリックス中に混合されたPDGF溶液を含み、当該生体適合性マトリックスは骨足場材料及び生体適合性結合剤を含む。一つの実施形態では、PDGFは酢酸塩溶液中のrhPDGF−BBである。
【0034】
本発明は、生体適合性マトリックスを含む第一のパッケージ及びPDGFを含み調製手段として用いられる第二のパッケージ中にキットも提供する。いくつかの実施形態では、溶液は予め決められた濃度のPDGFを含む。いくつかの実施形態では、PDGFの濃度は、本明細書中に提示される値と一致する。PDGFの濃度は、実施されている外科的手法によって予め決定される。更に、いくつかの実施形態では、生体適合性マトリックスは、予め決められた量でキット中に含まれる。キットにより提供される生体適合性マトリックスの量は、実施されている外科的手法によっている。特定の実施形態では、生体適合性
マトリックスは、骨ブロック又はβ−トリカルシウムホスフェートである。いくつかの実施形態では、PDGF溶液を含有する第二のパッケージは、注射器のような調製手段を含む。注射器は、目的の骨強化部位のような外科的部位における適用のための、生体適合性マトリックス中へのPDGF溶液の混合を助ける。別の実施形態では、キットは別の容器中に含まれる吸収性膜も含む。
【0035】
ここで、本発明の種々の実施形態に含まれる構成成分に目を向けると、本発明の組成物はPDGFを含む溶液を含む。
【0036】
PDGF
PDGFは、細胞の増殖及び分裂を調節する際に重要な役割を担う。PDGFは、他の成長因子を用いた場合と同様に、受容体チロシンキナーゼの細胞外ドメインと結合するよう操作可能である。これらの膜貫通タンパク質とPDGFの結合は、膜の細胞質側に位置するそれらの触媒ドメインのキナーゼ活性を切り替える。標的タンパク質のチロシン残基をリン酸化することにより、キナーゼは、細胞成長及び細胞外マトリックス産生を含む種々の細胞過程を誘導する。
【0037】
一つの態様では、本発明により提供される組成物は、PDGFを含む溶液及び生体適合性マトリックスを含み、当該溶液は生体適合性マトリックス中に混合される。いくつかの実施形態では、PDGFは、約0.01mg/ml〜10mg/ml、約0.05mg/ml〜5mg/ml、又は約0.1mg/ml〜1.0mg/mlの範囲の濃度で溶液中に存在する。PDGFは、これらの記述された範囲内の任意の濃度で存在する。他の実施形態では、PDGFは、約0.05mg/ml、約0.1mg/ml、約0.15mg/ml、約0.2mg/ml、約0.25mg/ml、約0.3mg/ml、約0.35mg/ml、約0.4mg/ml、約0.45mg/ml、約0.5mg/ml、約0.55mg/ml、約0.6mg/ml、約0.65mg/ml、約0.7mg/ml、約0.75mg/ml、約0.8mg/ml、約0.85mg/ml、約0.9mg/ml、約0.95mg/ml、又は約1.0mg/mlのうちのいずれか1つの濃度で溶液中に存在する。これらの濃度は単に特定の実施形態の例に過ぎず、PDGFの濃度は上記の濃度範囲内のいずれかであると理解されるべきである。
【0038】
種々の量のPDGFが、本発明の組成物中に用いられる。用いられるPDGFの量は、約1μg〜50mg、約10μg〜25mg、約100μg〜10mg、及び約250μg〜5mgの範囲の量を含む。PDGFは、更なる骨刺激因子及び/又は薬剤、例えば破骨細胞活性の阻害のためのビスホスホネートと一緒に用いられると理解されるべきである。
【0039】
本発明の実施形態におけるPDGF又は他の成長因子の濃度は、当業者に既知の方法、例えば米国特許第6,221,625号、同第5,747,273号及び同第5,290,708号に記載されたような酵素結合イムノアッセイを用いることにより決定される。当該技術分野で既知の他のアッセイは、PDGF濃度を決定するために用いられる。本明細書中に提供される場合、PDGFのモル濃度はPDGF二量体(例えばPDGF−BB;MW約25kDa)の分子量(MW)に基づいて決定される。
【0040】
本発明の実施形態では、PDGFは、PDGF−AA、PDGF−BB、PDGF−AB、PDGF−CC、PDGF−DDを含むPDGFホモ二量体及びヘテロ二量体、並びにその混合物及び誘導体を含む。一つの実施形態では、PDGFはPDGF−BBを含む。別の実施形態では、PDGFはrhPDGF−BBのような組換えヒト(rh)PDGFを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、PDGFは天然供給源から得られる。他の実施形態では、PDGFは組換えDNA技術により生成される。他の実施形態では、PDGF又はその断片は、固相ペプチド合成のような当業者に既知のペプチド合成手法を用いて産生される。天然供給源から得られる場合、PDGFは生体液から得られる。いくつかの実施形態によれば、生体液は、血液を含む生物体に関連した、処理済又は非処理の液体を含む。
【0042】
別の実施形態では、生体液は、濃縮血小板(PC)、アフェレーシス血小板、多血小板血漿(PRP)、血漿、血清、新鮮凍結血漿(FFP)及びバフィーコート(BC)を含む血液構成成分も含む。更なる実施形態では、生体液は血漿から分離され、生理溶液中に再懸濁された血小板を含む。
【0043】
組換えDNA技術により生成される場合、いくつかの実施形態では、単一単量体(例えばPDGFのB鎖又はA鎖)をコードするDNA配列は、培養された原核又は真核生物細胞中に発現のために挿入されて、ホモ二量体(例えばPDGF−BB又はPDGF−AA)を産生する。他の実施形態では、PDGFへテロ二量体は、ヘテロ二量体の両方の単位単量体をコードするDNA配列を、培養された原核又は真核生物細胞中に挿入して、翻訳された単位単量体を細胞によってプロセシングしてヘテロ二量体(例えばPDGF−AB)を産生することにより生成される。市販のGMP組換えPDGF−BBは、Chiron Corporation(エメリービル, カリフォルニア)から市販されている。研究に用いられる等級のrhPDGF−BBは、R&D Systems, Inc.(ミネアポリス, ミネソタ)、BD Biosciences(サンノゼ, カリフォルニア)及びChemicon International(テメキュラ, カリフォルニア)を含む多数の供給元から入手できる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、PDGFはPDGF断片を含む。一つの実施形態では、rhPDGF−Bは、全B鎖のアミノ酸配列1〜31、1〜32、33〜108、33〜109及び/又は1〜108の断片を含む。PDGFのB鎖の完全アミノ酸配列(1〜109)は、米国特許第5,516,896号の図15に示されている。本発明のrhPDGF組成物は、完全なrhPDGF−B(1〜109)とその断片との組み合わせを含むと理解されるべきである。米国特許第5,516,896号に開示されたもののようなPDGFの他の断片が用いられる。好ましい実施形態によれば、rhPDGF−BBは、完全なrhPDGF−B(1〜109)の少なくとも65%を含む。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、PDGFは精製される。本願において用いられる場合、精製されたPDGFは、本発明の溶液中に混合される前に、約95重量%より多くのPDGFを有する組成物を含む。溶液は、任意の薬学的に許容可能な溶液である。他の実施形態では、PDGFは実質的に精製される。本願において用いられる場合、実質的に精製されたPDGFは、本発明の溶液中に混合される前に、約5〜95重量%のPDGFを有する組成物を含む。一つの実施形態では、実質的に精製されたPDGFは、本発明の溶液中に混合される前に、約65〜95重量%のPDGFを有する組成物を含む。他の実施形態では、実質的に精製されたPDGFは、本発明の溶液中に混合される前に、約70〜95重量%、約75〜95重量%、約80〜95重量%、約85〜95重量%、又は約90〜95重量%のPDGFを有する組成物を含む。精製されたPDGF及び実質的に精製されたPDGFは、足場及び結合剤中に混合される。
【0046】
更なる実施形態では、PDGFは部分的に精製される。本願において用いられる場合、部分的に精製されたPDGFは、多血小板血漿(PRP)、新鮮凍結血漿(FFP)又はPDGFを産生するために回収及び分離を要する任意の他の血液産物と混合した状態のPDGFを有する組成物を含む。本発明の実施形態は、ホモ二量体及びへテロ二量体を含む、本明細書中に記載されるPDGFアイソフォームのいずれかが精製されるか又は一部精製されるよう意図される。PDGF混合物を含有する本発明の組成物は、部分的に精製さ
れた比率で、PDGFアイソフォーム又はPDGF断片を含有する。いくつかの実施形態では、部分的に精製されたPDGF及び精製されたPDGFは、米国特許出願第10/965,319号及び同第11/159,533号(公開番号:20060084602)に記載されたように調製される。
【0047】
いくつかの実施形態では、PDGFを含む溶液は、1つ又は複数の緩衝液中にPDGFを可溶化することにより生成される。本発明のPDGF溶液に用いるのに適した緩衝液は、炭酸塩、リン酸塩(例えばリン酸塩緩衝生理食塩水)、ヒスチジン、酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)、酢酸及び塩酸のような酸性緩衝液、並びにリジン、トリス緩衝液(例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノエタン)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)及び3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)のような有機緩衝液を含むが、これらに限定されない。緩衝液は、PDGFとの生体適合性並びに望ましくないタンパク質修飾を妨げる緩衝液の能力に基づいて選択される。緩衝液は更に、宿主組織との適合性に基づいて選択される。好ましい実施形態では、酢酸ナトリウム緩衝液が用いられる。緩衝液は、異なるモル濃度、例えば約0.1mM〜100mM、約1mM〜50mM、約5mM〜40mM、約10mM〜30mM、又は約15mM〜25mM、あるいはこれらの範囲内の任意のモル濃度で用いられる。一つの実施形態では、酢酸塩緩衝液は、約20mMのモル濃度で用いられる。
【0048】
別の実施形態では、PDGFを含む溶液は、水中に凍結乾燥PDGFを可溶化することにより生成され、可溶化前にPDGFは適切な緩衝液から凍結乾燥される。
【0049】
本発明の実施形態によれば、PDGFを含む溶液は、約3.0〜8.0の範囲のpHを有する。一つの実施形態では、PDGFを含む溶液は、約5.0〜8.0、より好ましくは約5.5〜7.0、最も好ましくは約5.5〜6.5の範囲、又はこれらの範囲内の任意の値のpHを有する。いくつかの実施形態では、PDGFを含む溶液のpHは、PDGF又は任意の他の目的の生理活性剤の長期安定性及び効率と適合している。PDGFは一般的に、酸性環境においてより安定である。従って、一つの実施形態によれば、本発明はPDGF溶液の酸性保存処方物を含む。この実施形態によれば、PDGF溶液は、好ましくは約3.0〜7.0、より好ましくは約4.0〜6.5のpHを有する。しかしながらPDGFの生理活性は、中性pH範囲を有する溶液中で最適化される。従って、更なる実施形態では、本発明はPDGF溶液の中性pH処方物を含む。この実施形態によれば、PDGF溶液は、好ましくは約5.0〜8.0、より好ましくは約5.5〜7.0、最も好ましくは約5.5〜6.5のpHを有する。本発明の一つの方法によれば、酸性PDGF溶液は中性pH組成物に再処方され、このような組成物は、成長を促進するために骨を処置するために用いられる。本発明の好ましい実施形態によれば、当該溶液中に利用されるPDGFはrhPDGF−BBである。
【0050】
いくつかの実施形態では、PDGFを含む溶液のpHは本明細書中に列挙される緩衝液により制御される。種々のタンパク質は、それぞれが異なる安定pH範囲を示す。タンパク質の安定性は主に、タンパク質の等電点及び電荷により反映される。pH範囲は、タンパク質の立体配座構造並びにタンパク質分解、加水分解、酸化、及びタンパク質の構造及び/又は生理活性に対して修飾を生じるその他のプロセスに対するタンパク質の感受性に影響を及ぼすことがある。
【0051】
いくつかの実施形態では、PDGFを含む溶液は更なる構成成分を含む。他の実施形態では、PDGFを含む溶液は細胞培養液、アルブミンのような他の安定化タンパク質、抗菌剤、プロテアーゼ阻害剤(例えばEDTA、EGTA、アプロチニン、EACA等)及び/又はFGF、EGF、TGF、KGF、IGF BMPのようなその他の成長因子、又はPDGF−AA、PDGF−BB、PDGF−AB、PDGF−CC及び/又はPD
GF−DDを含むその他のPDGFを更に含む。
【0052】
PDGFを含む溶液に加え、本発明の組成物はPDGF溶液を混合するための生体適合性マトリックスも含み、生体適合性マトリックスを添加した又は添加しない生体適合性結合剤も含む。
【0053】
生体適合性マトリックス
骨足場材料
本発明の実施形態によれば、生体適合性マトリックスは骨足場材料を含む。骨足場材料は、新規の骨又は組織成長が起きるための枠組み又は足場を提供する。
【0054】
いくつかの実施形態では、骨足場材料は骨ブロックを含む。骨ブロックは異なる供給源から得られる。一つの実施形態では、脱タンパクウシ骨ブロックが用いられる(Bio-Oss Block, Geistlich biomaterials)。脱タンパクウシ骨は、有機構成成分を含まないように加工処理された異種材料である。その効力は、長期安定性に関して歯周及びインプラントの文献の両方で十分に立証されている(Sarton他, Clin Oral implants Res., 2003, Jun: 14(3): 369-72)。脱タンパク骨は、非限定的にヒトを含む他の種から得られ、本発明に用いられる。
【0055】
平均直径0.1mm〜100mmを有する自家皮質、海綿質及び皮質−海綿質骨ブロック及び粒状移植片のような他のマトリックス材料が本発明に用いられる。更に、平均直径0.1mm〜100mmを有する同種異系、異種間、皮質、海綿質及び皮質−海綿質骨ブロック及び骨片も本発明に用いられる。
【0056】
いくつかの実施形態では、骨足場材料は多孔性構造を含む。いくつかの実施形態によれば、多孔性骨足場材料は約1μm〜1mmの範囲の直径を有する孔を含む。一つの実施形態では、骨足場材料は約100μm〜1mmの範囲の直径を有するマクロポアを含む。別の実施形態では、骨足場材料は約10μm〜100μmの範囲の直径を有するメソポアを含む。更なる実施形態では、骨足場材料は約10μm未満の直径を有するミクロポアを含む。本発明の実施形態は、マクロポア、メソポア及びミクロポア、又はその任意の組み合わせを含む骨足場材料を意図している。
【0057】
一つの実施形態では、多孔性骨足場材料は約25%より大きい多孔率を有する。別の実施形態では、多孔性骨足場材料は約50%より大きい多孔率を有する。更なる実施形態では、多孔性骨足場材料は約90%より大きい多孔率を有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、骨足場材料は少なくとも1つのリン酸カルシウムを含む。他の実施形態では、骨足場材料は複数のリン酸カルシウムを含む。本発明の実施形態では、骨足場材料として用いるのに適したリン酸カルシウムは0.5〜2.0の範囲のカルシウム対リン原子比を有する。
【0059】
骨足場材料として用いるのに適したリン酸カルシウムの非限定的な例としては、非晶性リン酸カルシウム、リン酸モノカルシウム一水和物(MCPM)、無水リン酸モノカルシウム(MCPA)、リン酸ジカルシウム二水和物(DCPD)、無水リン酸ジカルシウム(DCPA)、リン酸オクタカルシウム(OCP)、α−リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト(OHAp)、難結晶性ヒドロキシアパタイト、リン酸テトラカルシウム(TTCP)、へプタカルシウムデカリン酸塩、メタリン酸カルシウム、ピロ燐酸カルシウム二水和物、ピロ燐酸カルシウム、炭酸リン酸カルシウム、及びそれらの混合物を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、骨足場材料は複数の粒子を含む。骨足場材料は、例えば、複
数のリン酸カルシウム粒子を含む。一つの実施形態では、骨足場粒子は約1μm〜5mmの範囲の平均直径を有する。一つの実施形態では、骨足場粒子は約1μm〜2mmの範囲の平均直径を有する。一つの実施形態では、骨足場粒子は約1mm〜2mmの範囲の平均直径を有する。他の実施形態では、粒子は約250μm〜1000μmの範囲の平均直径を有する。他の実施形態では、粒子は約250μm〜750μmの範囲の平均直径を有する。別の実施形態では、骨足場粒子は約100μm〜300μmの範囲の平均直径を有する。別の実施形態では、骨足場粒子は約100μm〜400μmの範囲の平均直径を有する。更なる実施形態では、粒子は約75μm〜300μmの範囲の平均直径を有する。更なる実施形態では、骨足場粒子は約1μm未満、いくつかの場合では約1mm未満の平均直径を有する。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、骨足場材料は移植に適した形状(例えば球形、円筒形又はブロック)で提供される。他の実施形態では、骨足場材料は成形可能である。成形可能な骨足場材料は、骨中の標的部位及びその周囲における本発明の組成物の効率的な埋め込みを促進する。いくつかの実施形態では、成形可能な骨足場材料は、へら又は同様の道具を用いて目的の骨強化の部位に適用される。いくつかの実施形態では、骨足場材料は流動性を有する。いくつかの実施形態では、流動性を有する骨足場材料は注射器及び針又はカニューレにより骨融合部位に適用される。いくつかの実施形態では、骨足場材料はin vivoで硬化する。
【0062】
いくつかの実施形態では、骨足場材料は生体吸収性である。一つの実施形態では、骨足場材料はin vivo移植後1年以内に再吸収される。別の実施形態では、骨足場材料は、in vivo移植後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月又は9ヶ月以内に再吸収される。生体吸収可能性は(1)マトリックス材料の性質(即ち、その化学的構造、物理的構造及びサイズ)、(2)マトリックスが埋め込まれる身体内の位置、(3)用いられるマトリックス材料の量、(4)患者の代謝状態(糖尿病性/非糖尿病性、骨粗鬆症性、喫煙者、老齢、ステロイド使用等)、(5)治療される損傷の程度及び/又はタイプ、並びに(6)他の骨の同化作用因子、異化作用因子及び抗異化作用因子のようなマトリックス以外の他の材料の使用によっている。
【0063】
β−トリカルシウムホスフェートを含む骨足場
生体適合性マトリックスとして用いるための骨足場材料は、β−トリカルシウムホスフェート(β−TCP)を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、β−TCPは種々の直径の多方向性及び相互連結孔を有する多孔性構造を含む。一つの実施形態では、β−TCPの多孔性構造は、約100μm〜1mmの範囲の直径を有するマクロポア、約10μm〜100μmの範囲の直径を有するメソポア、及び約10μm未満の直径を有するミクロポアを含む。β−TCPのマクロポア及びミクロポアは骨誘導性及び骨伝導性を促進するが、マクロポア、メソポア及びミクロポアは、流体の連絡及び栄養の輸送を可能にし、β−TCP生体適合性マトリックスを介した骨再成長サポートする。
【0064】
いくつかの実施形態では、多孔性構造を含む場合、β−TCPは25%より高い多孔率を有する。他の実施形態では、β−TCPは50%より高い多孔率を有する。更なる実施形態では、β−TCPは90%より高い多孔率を有する。
【0065】
いくつかの実施形態では、骨足場材料はβ−TCP粒子を含む。一つの実施形態では、β−TCP粒子は約1μm〜5mmの範囲の平均直径を有する。一つの実施形態では、β−TCP粒子は約1μm〜2mmの範囲の平均直径を有する。一つの実施形態では、β−TCP粒子は約1mm〜2mmの範囲の平均直径を有する。他の実施形態では、β−TCP粒子は約250μm〜1000μmの範囲の平均直径を有する。他の実施形態では、β−TCP粒子は約250μm〜750μmの範囲の平均直径を有する。別の実施形態では
、β−TCP粒子は約100μm〜400μmの範囲の平均直径を有する。別の実施形態では、β−TCP粒子は約100μm〜300μmの範囲の平均直径を有する。更なる実施形態では、β−TCP粒子は約75μm〜300μmの範囲の平均直径を有する。更なる実施形態では、β−TCP粒子は25μm未満の平均直径を有し、いくつかの実施形態では1mm未満の平均直径を有する。更なる実施形態では、β−TCP粒子は1μm未満の平均直径を有し、いくつかの実施形態では1mm未満の平均直径を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、β−TCP骨足場材料を含む生体適合性マトリックスは移植に適した形状(例えば球形、円筒形又はブロック)で提供される。他の実施形態では、β−TCP骨足場材料は成形可能であり、上顎骨又は下顎骨のような目的の骨強化の部位におけるマトリックスの埋め込みを促進する。流動性マトリックスは、注射器、管又はへらにより適用される。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、β−TCP骨足場材料は生体吸収性である。一つの実施形態では、β−TCP骨足場材料はin vivo移植後1年で少なくとも75%再吸収される。別の実施形態では、β−TCP骨足場材料はin vivo移植後1年で90%より多く再吸収される。
【0068】
骨足場材料及び生体適合性結合剤
別の実施形態では、生体適合性マトリックスは骨足場材料及び生体適合性結合剤を含む。生体適合性結合剤を更に含む生体適合性マトリックスの実施形態における骨足場材料は、上記の本明細書中で提供されたものと一致する。
【0069】
いくつかの実施形態では、生体適合性結合剤は結合する材料間の粘着を促進するよう操作可能な材料を含む。例えば生体適合性結合剤は、生体適合性マトリックスの形成における骨足場材料の粒子間の接着を促進する。ある特定の実施形態では、材料が結合する材料間の粘着を促進し、新規の骨成長ための枠組みを提供する場合、同一の材料が足場材料及び結合剤の両方として機能する。
【0070】
いくつかの実施形態では、生体結合性結合剤はコラーゲン、種々の架橋度のコラーゲン、多糖、核酸、炭水化物、タンパク質、ポリペプチド、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物−co−イミド)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(α−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ホスホエステル)、ポリ乳酸、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、ポリ(γ−ブチロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(エチレンイミン)、ポリプロピレンフマレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリウレタン類、ポリメタクリル酸メチル、炭素繊維、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド)−co−ポリ(プロピレンオキシド)ブロック共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリアミド、並びにそれらの共重合体及び混合物を含む。
【0071】
他の実施形態では、生体適合性結合剤は、アルギン酸、アラビアガム、グァーガム、キサンタンガム、ゼラチン、キチン、キトサン、キトサン酢酸塩、キトサン乳酸塩、コンドロイチン硫酸、レシチン、N,O−カルボキシメチルキトサン、ホスファチジルコリン誘
導体、デキストラン(例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン又はデキストラン硫酸ナトリウム)、フィブリン接着剤、グリセロール、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、セルロース(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース)、グルコサミン、プロテオグリカン、デンプン(例えば、ヒドロキシエチルデンプン又は可溶性デンプン)、乳酸、プルロニック酸、グリセロリン酸ナトリウム、グリコーゲン、ケラチン、絹、及びそれらの誘導体及び混合物、並びに整形外科的に用いられる当業者に既知の結合剤を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、生体適合性結合剤は水溶性である。水溶性結合剤は、移植直後に生体適合性マトリックスから溶解され、生体適合性マトリックスにマクロポアを導入する。本明細書中に上記したように、マクロポアはアクセスを強化することによりインプラント材料の骨伝導性を増大し、インプラント部位での破骨細胞及び骨芽細胞のリモデリング活性を増大する。
【0073】
いくつかの実施形態では、生体適合性結合剤はマトリックスの約5重量%〜50重量%の範囲の量で生体適合性マトリックス中に存在する。他の実施形態では、生体適合性結合剤は生体適合性マトリックスの約10重量%〜40重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態では、生体適合性結合剤は生体適合性マトリックスの約15重量%〜35重量%の範囲の量で存在する。更なる実施形態では、生体適合性結合剤は生体適合性マトリックスの約20重量%の量で存在する。
【0074】
いくつかの実施形態によると、骨足場材料及び生体適合性結合剤を含む生体適合性マトリックスは、流動性、成形性及び/又は押出し性を有する。このような実施形態では、生体適合性マトリックスはペースト状又はパテ状である。一つの実施形態では、ペースト状又はパテ状の生体適合性マトリックスは、生体適合性結合剤により接着される骨足場材料の粒子を含む。
【0075】
ペースト状又はパテ状の生体適合性マトリックスは目的のインプラント形状に成形可能であり、又は移植部位の外形に成形可能である。一つの実施形態では、ペースト状又はパテ状の生体適合性マトリックスは、注射器又はカニューレで移植部位に注入される。
【0076】
いくつかの実施形態では、ペースト状又はパテ状の生体適合性マトリックスは、移植後に硬化せず、流動性及び成形性を有する形態を保持する。他の実施形態では、ペースト又はパテは移植後に硬化し、マトリックス流動性及びマトリックス成形性が低減する。
【0077】
いくつかの実施形態では、骨足場材料及び生体適合性結合剤を含む生体適合性マトリックスは、ブロック、球形若しくは円筒形、又は任意の目的の形状、例えば金型若しくは適用部位により限定される形状を含む予め決められた形状でも提供される。
【0078】
いくつかの実施形態では、骨足場材料及び生体適合性結合剤を含む生体適合性マトリックスは生体吸収性である。このような実施形態では、生体適合性マトリックスはin vivo移植後1年以内に再吸収される。別の実施形態では、骨足場材料及び生体適合性結合剤を含む生体適合性マトリックスは、in vivo移植後1、3、6又は9ヶ月以内に再吸収される。生体吸収可能性は、(1)マトリックス材料の性質(即ち化学的構造、物理的構造及びサイズ)、(2)マトリックスが埋め込まれる身体内の位置、(3)用いられるマトリックス材料の量、(4)患者の代謝状態(糖尿病性/非糖尿病性、骨粗鬆症性、喫煙者、老齢、ステロイド使用等)、(5)治療される損傷の程度及び/又はタイプ;並びに(6)他の骨の同化作用因子、異化作用因子及び抗異化作用因子のようなマトリックス以外の他の材料の使用によっている。
【0079】
β−TCP及びコラーゲンを含む生体適合性マトリックス
いくつかの実施形態では、生体適合性マトリックスはβ−TCP骨足場材料及び生体適合性コラーゲン結合剤を含む。コラーゲン結合剤と組み合わせるのに適したβ−TCP骨足場材料は、上記の本明細書中で提供されたものと一致する。
【0080】
いくつかの実施形態では、コラーゲン結合剤はI型コラーゲン、II型コラーゲン及びIII型コラーゲンを含む任意の型のコラーゲンを含む。用いられるコラーゲンは、種々の程度に架橋される。一つの実施形態では、コラーゲン結合剤はI型コラーゲン及びII型コラーゲンの混合物を含むコラーゲンの混合物を含む。他の実施形態では、コラーゲン結合剤は生理学的条件化で可溶性である。骨又は筋骨格組織中に存在する他の型のコラーゲも用いることができる。組換え、合成及び天然形態のコラーゲンも本発明に用いることができる。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、生体適合性マトリックスはコラーゲン結合剤で互いに接着した複数のβ−TCP粒子を含む。一つの実施形態では、コラーゲン結合剤と組み合わせるのに適したβ−TCP粒子は、上記のような平均直径を有する。
【0082】
いくつかの実施形態では、β−TCP粒子は、多孔性構造を有する生体適合性マトリックスを生じるよう、コラーゲン結合剤により互いに接着される。いくつかの実施形態では、β−TCP粒子及びコラーゲン結合剤を含む生体適合性マトリックスは、約1μm〜1mmの範囲の直径を有する孔を含む。β−TCP粒子及びコラーゲン結合剤を含む生体適合性マトリックスは、約100μm〜1mmの範囲の直径を有するマクロポア、約10μm〜100μmの範囲の直径を有するメソポア、約10μm未満の直径を有するミクロポアを含む。
【0083】
β−TCP粒子及びコラーゲン結合剤を含む生体適合性マトリックスは、約25%より大きい多孔率を有する。別の実施形態では、生体適合性マトリックスは、約50%より大きい多孔率を有する。更なる実施形態では、生体適合性マトリックスは、約90%より大きい多孔率を有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、β−TCP粒子を含む生体適合性マトリックスは、マトリックスの約5重量%〜50重量%の範囲の量でコラーゲン結合剤を含む。他の実施形態では、コラーゲン結合剤は、生体適合性マトリックスの約10重量%〜40重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態では、コラーゲン結合剤は、生体適合性マトリックスの約15重量%〜35重量%の範囲の量で存在する。更なる実施形態では、コラーゲン結合剤は、生体適合性マトリックスの約20重量%の量で存在する。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、β−TCP粒子及びコラーゲン結合剤を含む生体適合性マトリックスは、流動性、成形性及び/又は押出し性を有する。このような実施形態では、生体適合性マトリックスはペースト状又はパテ状である。ペースト又はパテは目的のインプラント形状に成形されるか、移植部位の外形に成形される。一つの実施形態では、β−TCP粒子及びコラーゲン結合剤を含むペースト状又はパテ状の生体適合性マトリックスは、注射器又はカニューレで移植部位に注入される。
【0086】
いくつかの実施形態では、β−TCP粒子及びコラーゲン結合剤を含むペースト状又はパテ状の生体適合性マトリックスは、移植時に流動性及び成形性を有する形態を保持する。他の実施形態では、ペースト又はパテは移植後に硬化し、マトリックス流動性及びマトリックス成形性が低減する。
【0087】
いくつかの実施形態では、β−TCP粒子及びコラーゲン結合剤を含む生体適合性マトリックスは、ブロック、球形又は円筒形のような予め決められた形状で提供される。
【0088】
β−TCP粒子及びコラーゲン結合剤を含む生体適合性マトリックスは、再吸収可能である。一つの実施形態では、β−TCP粒子及びコラーゲン結合剤を含む生体適合性マトリックスは、in vivo移植後1年で少なくとも75%再吸収される。別の実施形態では、β−TCP粒子及びコラーゲン結合剤を含む生体適合性マトリックスは、in vivo移植後1年で90%より多く再吸収される。
【0089】
PDGFを含む溶液は、特に本発明の実施形態による垂直顎堤の骨強化を促進するための組成物を産生するために、生体適合性マトリックス中に混合される。
【0090】
吸収性膜
GBR手法の治療結果及び予測可能性を改善するために、このような手法において起こる問題は低減されるか除かれるべきである。起こり得るものであって、実際に観察され、最も恐るべき負の結果のうちの1つは、細菌汚染を伴う未熟な膜の露出であり、GBR手法の失敗又は不完全な成功をもたらす(Simion他, Int. J. Periodontics Restorative Dent., 1994; 14(2): 166-80、Simion他, J. Clin Periodentol., 1995; 22(4); 321-31、Simion他, Clin. Oral Implants Res., 1997; 8(1): 23-31)。非吸収性膜、例えばGORE−TEX(登録商標)を用いる場合これは特に明白である。これらの膜を使用する主な利点は、治癒プロセスを起こすために、必要な時間in situでそれらを保持することが可能な点である。例えばコラーゲン又はポリラクチド及び/又はポリグリコリドのような天然又は合成ポリマーから作製される吸収性膜も用いることができる。これらの膜は長時間にわたって徐々に吸収し、それらを外科的に除去する必要性がないという利点を有する。実施例1に記載される検討では、コラーゲン膜が用いられている。外科的部位に適切に合わせるために、これらの膜は湿潤されなければならない。実施例1の結果は、PDGFを有するウシブロックを受容している動物とPDGF及びコラーゲン吸収性膜を有するウシブロックを受容している動物との間のチタンインプラント周囲の骨強化における差を示さなかった。従って吸収性膜は任意に、本発明の実施に用いられる。
【0091】
生体適合性マトリックスへのPDGF溶液混合
本発明は、骨強化手法に用いるための組成物の製造方法を提供する。一つの実施形態では、骨の融合を促進するための組成物の製造方法は、PDGFを含む溶液を提供すること、生体適合性マトリックスを提供すること、及び生体適合性マトリックス中に溶液を混合することを含む。組み合せに適したPDGF溶液及び生体適合性マトリックスは、本明細書中に上記したものと一致する。
【0092】
一つの実施形態では、PDGF溶液は、PDGF溶液中に生体適合性マトリックスを浸漬することにより、生体適合性マトリックス中に混合される。別の実施形態では、PDGF溶液は、PDGF溶液を生体適合性マトリックスに注入することにより生体適合性マトリックス中に混合される。いくつかの実施形態では、PDGF溶液の注入は、注射器中にPDGF溶液を入れること、及び生体適合性マトリックス中にPDGF溶液を押出して、生体適合性マトリックスに染み込ませることを含む。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、PDGF溶液を受容する前は、生体適合性マトリックスは、レンガ形又は円筒形のような予め決められた形状で存在する。PDGF溶液を受容後、生体適合性マトリックスは、流動性、押出し性及び/又は注入性を有するペースト状又はパテ状を有する。他の実施形態では、生体適合性マトリックスは、PDGFを含む溶液を受容する前に、流動可能なペースト状又はパテ状を予め示していてもよい。
【0094】
生理活性剤を更に含む組成物
いくつかの実施形態によれば、骨強化を促進する及び/又は促進するための組成物は、PDGFの他に1つ又は複数の生理活性剤を更に含む。PDGFの他に本発明の組成物中に組入れられ得る生理活性剤としては、有機分子、無機材料、タンパク質、ペプチド、核酸(例えば遺伝子、遺伝子断片、遺伝子調節配列及びアンチセンス分子)、核タンパク質、多糖(例えばヘパリン)、糖タンパク質及びリポタンパク質が挙げられる。例えば抗癌剤、抗生物質、鎮痛剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、酵素阻害剤、抗ヒスタミン剤、ホルモン、筋肉弛緩剤、プロスタグランジン、栄養因子、骨誘導タンパク質、成長因子及びワクチンを含む、本発明の組成物中に組入れられ得る生理活性化合物の非限定的な例は、米国特許出願第10/965,319号及び同第11/159,533号(公開番号20060084602)に開示されている。本発明の組成物中に組入れられ得る好ましい生理活性化合物としては、インスリン様成長因子、繊維芽細胞成長因子又はその他のPDGFのような骨誘導性因子が挙げられる。他の実施形態によれば、本発明の組成物中に組入れられ得る生理活性化合物としては、好ましくは骨形態形成タンパク質(BMP)、BMP模倣物、カルシトニン、カルシトニン模倣物、スタチン、スタチン誘導体、又は上皮小体ホルモンのような骨誘導性及び骨刺激性因子が挙げられる。好ましい因子としては、プロテアーゼ阻害剤、並びにビスホスホネートを含む、骨吸収を低減する骨粗鬆症治療剤、及びNF−kBリガンド受容体(RANK)リガンドに対する抗体も挙げられる。
【0095】
更なる生理活性剤の送達のための標準プロトコール及びレジメンは、当該技術分野で既知である。更なる生理活性剤は、インプラント部位への適切な投与量の作用物質の送達を可能にする量で、本発明の組成物中に導入される。ほとんどの場合、投与量は、専門家に既知のガイドラインを用いて決められ、当該特定作用物質に適用される。本発明の組成物中に含まれる更なる生理活性剤の量は、症状の種類及び程度、特定患者の全体的な健康状態、生理活性剤の処方物、放出動態、並びに生体適合性マトリックスの生体吸収性といった変数による。標準的な臨床試験は、任意の特定の更なる生理活性剤の用量及び投与頻度を最適化するために用いられる。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、骨強化を促進するための組成物は、自家骨髄、自家血小板抽出物及び合成骨基質物質を含めたPDGFを伴うその他の骨移植物質を更に含む。
【0097】
骨強化手法の実施方法
本発明は、骨強化手法の実施方法も提供する。一つの実施形態では、骨強化手法の実施方法は、生体適合性マトリックス中に混合されたPDGF溶液を含み、任意に生体適合性結合剤を含有する組成物を提供すること、及び骨強化の対象となる少なくとも1つの部位に組成物を適用することを含む。いくつかの実施形態では、骨強化手法の実施方法は、上顎骨又は下顎骨における少なくとも1つの骨強化部位に組成物を適用することを含む。例えば生体適合性マトリックス中に混合されたPDGF溶液を含む組成物は、上顎骨又は下顎骨中の目的の骨強化部位に埋め込まれる。別の実施形態では、生体適合性マトリックス中に混合されたPDGF溶液を含む組成物を移植部位に埋め込む前、任意にその後に、PDGF溶液は移植部位に適用される。上顎骨又は下顎骨中の骨の沈着を強化することにより、その後インプラントを受容するために、顎堤は強化される。このようなインプラントは、歯又は他の歯科用デバイスの支持を含む種々の目的のため、並びに抜歯窩、洞挙上及び顎堤強化を含む種々の口腔及び顎顔面骨用として用いられる。
【0098】
キット
本発明は、生体適合性マトリックスを含む第一の容器、及びPDGFを含有する溶液を含み調製手段として用いられる第二の容器を含むキットも提供する。いくつかの実施形態では、溶液は予め決められた濃度のPDGFを含む。いくつかの実施形態では、PDGFの濃度は、本明細書中で示される値と一致する。PDGFの濃度は、実施される外科的手
法によって予め決定される。更に、いくつかの実施形態では、生体適合性マトリックスは、予め決められた量でキット中に存在する。キット中に提供される生体適合性マトリックスの量は、実施される外科的手法による。いくつかの実施形態では、PDGF溶液を含有する第二のパッケージは、注射器又は圧縮管のような調整手段を含む。注射器又は圧縮管は、目的の骨強化部位のような外科的部位における適用のための生体適合性マトリックス中のPDGF溶液の混合を助ける。別の実施形態では、キットは、別の容器中に生体吸収性膜も含む。一つの実施形態では、生体吸収性膜はコラーゲン生体吸収性膜を含む。
【0099】
一つの実施形態では、キットは、生体適合性マトリックスを含有する第一の容器を含む。一つの実施形態では、生体適合性マトリックスはリン酸カルシウムである。好ましい実施形態では、生体適合性マトリックスはβ−トリカルシウムホスフェートである。別の好ましい実施形態では、生体適合性マトリックスは、骨ブロック、例えば異種間、自家皮質、海綿質又は皮質−海綿質骨ブロックである。このような骨ブロックは、本出願で前述したように脱灰されていてもよい。第一の容器中に含まれる同種異系、異種間、皮質、海綿質、及び皮質−海綿質骨ブロック及び骨片の平均直径は0.1mm〜100mmである。キット中の骨ブロックの特定サイズは、特定用途によっている。
【0100】
キットは、PDGFを含有する第二の容器を含む。一つの実施形態では、PDGFは、乾燥形態、例えば粉末又は凍結乾燥形態で、骨強化に用いるために適した選択量で存在する。PDGFが乾燥形態で存在する場合、生体適合性マトリックスへの適用前にPDGFを溶解するための溶液を含有する別の容器がキット中に存在する。別の実施形態では、PDGFは、本出願で前述したように溶液中に存在する。この第二の容器は、生体適合性マトリックスへの溶液中のPDGFの送達を助けるために、注射器又は圧縮管のような調整容器の形態を採る。PDGFは任意のPDGFであるが、本出願で前述したように、好ましい実施形態では、PDGFはPDGF−BBである。別の好ましい実施形態では、PDGF−BBはrhPDGF−BBである。好ましい実施形態では、第二の容器は、約5.5〜6.5のpHで、約15mM〜25mM、好ましくは約20mMの酢酸溶液中にrhPDGF−BBを含む。
【0101】
第二の容器中のPDGFの量は、目的の用途によって変わる。第二の容器中のPDGFの総量は、約1μg〜50mg、約10μg〜25mg、約100μg〜10mg、及び約250μg〜5mg、又はこれらの範囲内の任意の特定量である。いくつかの実施形態では、PDGFは、約0.01mg/ml〜10mg/ml、約0.05mg/ml〜5mg/ml、又は約0.1mg/ml〜1.0mg/mlの範囲の濃度、あるいはこれらの範囲内の任意の特定濃度で溶液中に存在する。他の実施形態では、PDGFは以下の濃度、すなわち、約0.05mg/ml、約0.1mg/ml、約0.15mg/ml、約0.2mg/ml、約0.25mg/ml、約0.3mg/ml、約0.35mg/ml、約0.4mg/ml、約0.45mg/ml、約0.5mg/ml、約0.55mg/ml、約0.6mg/ml、約0.65mg/ml、約0.7mg/ml、約0.75mg/ml、約0.8mg/ml、約0.85mg/ml、約0.9mg/ml、約0.95mg/ml、又は約1.0mg/mlのうちの任意の1つの濃度で溶液中に存在する。
【0102】
以下の実施例は本発明を更に例示するためのものであり、同時に本発明はこれらに限定されない。換言すれば、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の実施形態、修正形態及びその等価物が本発明に含まれることは、本明細書中の説明を読めば、当業者に明らかになると明確に理解されるべきである。実施例1は、イヌの下顎骨における垂直顎堤強化の試験を記載する。実施例2は、ヒトの上顎骨における垂直顎堤強化の試験を記載する。
[実施例]
【実施例1】
【0103】
rhPDGF−BB及び脱タンパクウシ骨ブロックを単独で又は吸収性膜と一緒に用いたイヌにおける垂直顎堤強化の方法
この試験の主な目的は、以下の通りである:1)垂直顎堤強化においてrhPDGF−BB及び脱タンパクウシ骨ブロックを吸収性膜と一緒に利用する可能性を臨床的及び放射線学的に評価すること;2)rhPDGF−BBにより媒介される骨再生における吸収性膜の役割を臨床的及び組織学的に評価すること;3)生体適合性、骨伝導性、骨誘導性、分解可能性及び置換に関して、垂直骨欠損治療のための膜の非存在下でrhPDGF及び骨ブロックを用いる安全性及び有効性を臨床的、放射線学的及び組織学的に評価すること;4)試験部位における治癒パターンを組織学的に分析すること;並びに5)2つの異なるインプラント表面の再生骨の骨−インプラント接触(BIC)を評価すること。
【0104】
これは、同じ動物において、人工的に作製された歯槽欠損隆起における垂直顎堤強化に関して、臨床的、放射線学的及び組織学的結果を比較するスプリット・マウス法を用いたオープン・ラベルなプロスペクティブ対照研究であった。試験部位を3つの異なる群に分けて、各々を互いに比較した。
群1:4部位は、脱タンパクウシ骨ブロック(Bio-Oss Block, Geistlich biomaterials)、rhPDGF−BB(BioMimetic Therapeutics)及び吸収性膜(Bio-Gide, Geistlich biomaterials)を組み合わせて受容させた(図1)。
群2:4部位は、脱タンパクウシ骨ブロック及びrhPDGF−BBを組み合わせて受容させた(図2)。
群3:4部位は、脱タンパクウシ骨ブロック及び吸収性膜を組み合わせて受容させた(図3)。
【0105】
更に、2つのチタンインプラント(Nobel Biocare, MKIII、3.3x10mm)を、全ての部位で治療開始時に挿入した(近心的及び遠心的)。2つのインプラントは、表面特質が異なり、Machined及びTi-Unite加工面であった。術後4ヶ月目に、挿入インプラント及びそれらの周囲組織の生検を、試験のために摘出した。
【0106】
予備的手法で、再エントリー手術の治療開始時に、放射線学的評価により、試験部位をモニタリングした。
動物無作為化:各試験群を他の全てのものと同時間評価するために、以下の組み合わせを適用した。各条件で、イヌ2匹を評価した。
【0107】
【表1】

【0108】
動物組入れ基準:以下の組入れ基準を満たしている合計6匹のイヌを、試験に組入れた:1)矯正骨成熟度に達しているために最低8〜9月齢であること;2)第一生歯が存在していないこと;並びに3)ベースラインでの体重が25kg未満であること。
【0109】
実験手順
予備的手順 治療開始2週間前及び実験手順の2週間前に、手動及び超音波器具を利用して口腔予防を実施した。
【0110】
麻酔後に、以下の治療開始時測定を実施した:1. 欠損領域の口腔内写真(任意);2. 骨欠損部の近心−遠心、頬−舌及び歯根尖−歯冠寸法;並びに3. 挿入された場合、インプラント肩から骨稜までの距離。
【0111】
外科的手順(B1)
治療開始時処置;抜歯及び欠損部の作製
全身及び局所麻酔の後、放射線学的評価を行なった。第一小臼歯に続いて第一大臼歯まで、右左の両方の下顎骨の後領域において、溝内切開を行なった。第一小臼歯に対して近心側で、近心側放出切開を行なった。第一大臼歯に対して近心側で、遠心側放出切開を行なった。全層皮弁を持ち上げて、4つの前臼歯を摘出した。同じ部位で、欠陥顎堤を模するために、下顎骨の後領域に沿ってダイアモンドバーにより、垂直欠損部を人工的に作製した。欠損部は以下の直径を有した:遠心−近心方向に30mmそして歯根尖−歯冠方向に7mm。高さは、下歯槽神経のトポグラフィーによっている。幅(頬−舌)は下顎骨の全幅であり、動物の下顎骨の天然の幅によって多少変更された。結節4/0シルク縫合糸で歯槽頂全体にわたって皮弁を縫合した。標準的な術後感染制御(アモキシシリン クラブラン酸 2gm/日及びニメスリド 100mgを12時間毎に3日間)を動物に施し
た。二次手術前に、3ヶ月の治癒期間を要した。
【0112】
二次外科的手順/試験手順;T1(4部位)
全身及び局所麻酔の後、放射線学的評価を行なった。近心側から遠心側に、第一大臼歯に対して遠心側に伸ばして歯槽頂切開を行なった。頬及び舌/口蓋皮弁を全層持ち上げて、歯槽頂を露出した。余分な軟質結合組織を除いた。直径2mmのダイヤモンド丸型バーで皮質穿孔を行ない、骨髄腔を曝露し、出血を可能にした。次に術中測定を行なった。その多孔性特質のためにブロックが浸漬されるように、rhPDGF−BB(液体形態で利用可能)を吸引下でウシブロックに添加した。液体rhPDGF−BBを含有する50mlプラスチック製滅菌注射器中にウシブロックを入れて、圧力下で浸透性ブロックを浸漬することにより、これを実施した。rhPDGFを充填した注射器中に約10分間、ブロックを放置した。
【0113】
本発明の研究では、大口径注射器を用いて吸引下で、0.3mg/mlの濃度のrhPDGFの溶液中に、2cm×1cm×1cmの寸法の骨ブロックを浸漬した。1.67mlの染料溶液により、ブロックの1.56ml実飽和状態として、骨ブロックの理論的な空隙容量を算出した。その結果、ブロック中のrhPDGFの総量は、約(0.3mg/ml)(1.67ml)=0.501mgであった。手術中、これらのブロックを削って整形して、骨欠損部内に適合させたところ、元のサイズと比較した場合、最終サイズは約30%まで変化した。
【0114】
本発明の研究では、コラーゲン膜を用いた。これらの膜は、外科的部位に適合させるために湿潤させる必要がある。この試験では、0.3mg/mlのrhPDGFを含有する溶液をコラーゲン膜に染み込ませた後、外科的部位に移植した。
【0115】
次に、骨を残りの骨欠損部位の歯槽骨上に載せて、ブロックに続いて皮質下顎骨を貫く2つのチタンインプラントにより安定化した。2つのチタンインプラント(Nobel Biocare, MKIII、3.3×10mm、Machined及びTi-Unite加工面)を標準的なBranemarkプロトコールに従って遠心位置及び近心位置に挿入して、2つの間を10mmという最小距離にさせた。次に、rhPDGF溶液に浸漬した吸収性膜(Bio Gide、30×40mm)を添加して、充填材料及びインプラントを被覆した。
【0116】
当業者に一般的に既知の他のアタッチメント手段が用いられ得ると理解されるべきである。別の実施形態では、ブロックがレシピエントの空間に圧入される場合、アタッチメント手段は必要でない。
【0117】
組織の一次受動的閉鎖を確保するための結節縫合前に、内部水平マットレス縫合で皮弁を閉鎖した。頬皮弁が更に可動せず閉鎖が達成されなかった場合には、骨膜切開により歯根尖方向に頬全層皮弁を更に伸ばした。5−0ゴアテックス縫合糸を用いた。放射線学的評価の他に、皮弁閉鎖の完了後に頬及び舌写真を撮影した。
【0118】
試験手順;T2(4部位)
用いた外科的手法は、吸収性膜を除いた他は、上記(T1)と同一であった。
【0119】
試験手順;T3(4部位)
用いた外科的手法は、rhPDGF−BBを除いた他は、上記(T1)と同じであった。
【0120】
動物屠殺:(B2)
試験(二次)外科手順の4ヵ月後に動物6匹を屠殺して、治癒過程を生じさせた。頬及
び舌の写真を撮影した。再エントリー手順;試験及び対照部位の近心−遠心側生検;(イヌ6匹)。全身及び局所麻酔後、放射線学的評価を行なった。下顎骨の全ブロック切片を採取して、10%ホルマリン溶液を有する滅菌容器中に入れて、組織学的に評価した。
【0121】
【表2】

【0122】
結果
rhPDGFを受容する両群は、rhPDGFを用いない他の試験群と比較して、より良好な軟質組織治癒及び硬質組織治癒を示した。臨床的及び放射線学的に有意量の垂直顎堤強化は、PDGFを受容した8部位のうちの7部位で見られたが、PDGFの非存在下では、4部位のうちの1つだけが有意の骨再生を示した(図1〜3は、3つの処置群に関して得られた放射線学的結果の要約を示す)。軟質組織は、PDGFを受容した1つを除いて、全ての部位で順調に治癒した。それに対して、1つの部位を除いた全ての部位は、PDGFの非存在下で軟質組織裂開及び感染を受けた。膜の存在は、結果を改善するようには見えなかった。即ち、PDGFは、膜の非存在下でも有益な作用を示した。従ってPDGFの使用は、GBRを実施する必要性を除くと考えられる。
【0123】
rhPDGF及び脱タンパク骨ブロックの組み合わせ、並びに吸収性膜の存在の有無は、骨、特に下顎骨又は上顎骨における欠損部を治療するために有用であり、金属インプラントの挿入のための垂直顎堤強化手段を提供する。
【実施例2】
【0124】
上顎骨欠損部における骨形成を刺激するための洞挙上
この試験の目的は、補助的骨強化材料の使用を含めた標準的な臨床方法に従って、骨性構造の安定性に固有でない上顎骨又は下顎骨における空隙又は間隙に関して、β−TCP又は他の許容される骨空隙充填マトリックスと組み合わせたrhPDGF−BBの臨床的有用性を評価することである。
【0125】
投与量及び投与方法:全ての治療キットは、0.25gmのβ−TCP(粒子サイズ250〜1000ミクロン)及び0.3mg/mLのrhPDGF−BB(群I)又は1.0mg/mLのrhPDGF−BB(群II)を含む0.5mLの酢酸ナトリウム緩衝液を含有する。外科的部位の適切な調製後、PDGF強化マトリックスを受容するために、移植片材料が十分に飽和されるよう、溶液を滅菌容器中でβ−TCP又は他の許容される骨空隙充填剤と混合した。水和移植片を注意深く骨性欠損部中に詰め込んだ。いくつかの場合、歯周手術に伴って一般に実施されるような吸収性コラーゲンバリア膜で充填欠損部を被覆した。次に組織皮弁を入れ替えて、歯間縫合で固定して、外科的部位を完全に被覆した。
【0126】
安全性の結果の要約:試験中に経験されたデバイス関連の有害な事象又は重篤な有害な事象は認められなかった。規制に沿わなかったため、1被験者は試験を中断した。有害な事象のために試験への参加を中止した被験者はいなかった。安全性の分析において、許容
されるマトリックスのいずれかを用いた場合、どちらのrhPDGF−BB濃度であっても、安全性の危険率が増大することはなかった。
【0127】
性能結果の要約:研究者の臨床的有用性の査定により、GEM21S療法の有効性及び安全性結果を確認した。歯周手術後6ヶ月の両治療群において、臨床的付着レベル、歯周探針深度(PD)及び骨充填(>3mm)の改善が観察された。両rhPDGF−BB治療群の患者の100%が「優れた」結果を示す、ということが研究結果から明らかになった。つまり、許容された骨空隙充填マトリックスと組み合わせたrhPDGF−BBは、歯周骨欠損部、欠陥上顎骨歯槽顎堤高、インプラントに関連した骨欠損部、及び抜歯窩を含む全ての型の欠損部の治療のための術後6ヶ月の患者において臨床的有効性及び放射線学的有効性をもたらすことが示された。補助的骨移植材料の使用は、rhPDGF+β−TCP(GEM21S(Biomimetic Therapeutics, Inc., Franklin, TN)とも呼ばれる)のデバイスの利点を変えることはなかった。
【0128】
結論:骨性構造の安定性に固有でない上顎骨又は下顎骨中の空隙又は間隙のためのβ−TCP又は他の許容される骨空隙充填マトリックスと組み合わせたrhPDGF−BBは、抜歯窩、洞挙上及び顎堤強化を含む種々の口腔及び顎顔面骨用途のための安全かつ臨床的に有益な治療様式であると、この試験から結論づけられる。
【0129】
考察及び全体的結論:β−TCPと組み合わせたrhPDGF−BB(0.3又は1.0mg/ml)は、一般的な骨欠損部を有する被験者におけるこの盲検化ブリッジング臨床試験(一連の症例)において安全で臨床的に有益であることが示された。治療方式の臨床的利点は、1、2及び3つの壁欠損部、並びに外周欠損部を含めた全ての型の欠損部において観察された。更に、試験に用いられる材料は、抜歯窩、洞挙上、顎堤強化、及びインプラント周囲欠損において臨床的に有用であることが示された。試験結果から、β−TCPと組み合わせたrhPDGF−BB(0.3又は1.0mg/ml)は、歯周骨欠損部、洞挙上、インプラント及び抜歯窩の治療において骨及び軟質組織を再生する、ということが示された。試験デバイスに起因する有害な事象は認められず、該デバイスは安全であることが明らかになった。
【0130】
この試験から、β−TCPと組み合わせたrhPDGF−BB(0.3又は1.0mg/ml)は、抜歯窩、洞挙上及び顎堤強化を含めた広範囲の口腔及び顎顔面骨適用のために安全で臨床的に有益な治療様式であると結論づけられる。更にrhPDGF−BB(0.3又は1.0mg/ml)は、異種移植片、同種異系移植片及び/又は生体吸収性誘導組織再生(GTR)膜のような移植材料と適合性であることが示された。
【0131】
洞挙上試験
洞強化手順を用いて、左後上顎骨における不十分な歯槽顎堤高に関して、被験者10−06を処置した。側方ウインドウアプローチを利用して、凍結乾燥骨同種異系移植片(FDBA)及び異種移植片(Bio Oss粒状材料)中に0.3mg/mlのrhPDGF−BBの移植片を埋め込んだ。移植片の埋め込み後、コラーゲンバリア膜を側方アクセスウインドウ全体に埋め込んだ。主に縫合並びに治療部位内への試験薬剤の閉じ込めにより軟質組織皮弁を閉鎖した軟質組織閉鎖は、研究者に優れていると評価された。軟質組織治癒は追跡調査された全ての外来で、優れていると評価された。術後1週間で、縫合糸を除去した。術後2ヶ月目及び6ヶ月目に得た放射線写真は、正常治癒を示し、いかなる病態徴候も伴わなかった。更に、移植を行なった手術後6ヶ月目に得た骨コア試料の組織学的評価は、広範囲にわたって類骨を伴う新しい骨中の移植片粒子の存在、及び移植片粒子を架橋する新しい骨を示した。術後6ヶ月目に、治療結果の臨床的な有用性の査定は、効能、安全性及び全体的査定に関して優れていると研究者により評価され、患者の受容及び患者の許容は良好と評価された。
【0132】
後上顎骨の歯槽顎堤高(両側性)が不十分であったため、被験者10−09を治療した。治療は、0.3mg/mlのrhPDGF−BBを含むFDBA並びに異種移植片による洞床の強化から成る。皮弁閉鎖の前に、コラーゲンバリア膜は洞「ウインドウ」を覆って埋め込まれた。病変内の試験薬剤閉じ込め及び軟質組織閉鎖は、研究者により優れていると評価された。軟質組織治癒は、術後1ヶ月から6ヶ月の観察期間全体を通して、最初に良好、次に優れていると評価された。術後2週目に縫合糸を除去した。手術直後及び術後3ヶ月目に左側の放射線写真を得たところ、洞床の垂直骨高の増大を示した。この被験者は6回目及び7回目の追跡調査外来(術後18及び24週目)に応じることができず、試験を完了せず、治療結果の臨床的な有用性は査定は評価されなかった。
【0133】
後上顎骨の不十分な垂直骨高(ほぼ含気された洞)の治療のため、被験者10−05が来院した。治療は、側方洞アプローチを利用する洞強化手順から成る。1.0mg/mlのrhPDGF−BBを含むFDBA並びに異種移植片により、欠陥顎堤を強化した。皮弁閉鎖前に、コラーゲンバリア膜で側方ウインドウを被覆した。研究者により病変内の試験薬剤閉じ込めは優れていると評価され、軟質組織閉鎖は良好であると評価された。軟質組織治癒は、3回目の外来で良好であると評価されたのを除いて、追跡調査外来に関しては優れていると評価された。術後1及び3週目に縫合糸を除去した。術後3、4及び6ヶ月目の放射線写真は、病態の徴候を伴わずに洞床の垂直骨高が増大した。更に、移植部位内の骨梁状突起の増大が観察されたが、これは移植領域内の骨成熟を示す。移植手術の時点で移植部位から得られた骨コアは、新しい骨及び類骨により取り囲まれる移植粒子による、当該部位全体の広範囲にわたる新規の骨形成を示す。骨及び/又は類骨による粒子の架橋も、強化部位全体を通して観察された。術後6ヶ月目に、治療結果の臨床的な有用性の査定は、効能、安全性、患者容認及び全体的査定に関して優れていると評価された。患者の受容は良好であると評価された。
【0134】
上記の特許、出版物及び要約は全て、それらの記載内容が参照により本明細書中で援用される。上記は本発明の好ましい実施形態のみに関するものであり、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り、多数の修正又は変更がなされ得ると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】PDGFを伴わない、吸収性コラーゲン膜で被覆された脱タンパクウシブロックを受容している3例の対照動物の放射線写真結果を示す。白色放射線不透過性チタンインプラント(10)が、下顎骨(20)中に埋め込まれている。チタンインプラント間の部位(30)は放射線透過性であり、骨成長をほとんど又は全く示さない。直近の歯(40)が示されている。
【図2】PDGFを伴う脱タンパクウシブロックを受容している4例の実験動物の放射線写真結果を示す。白色放射線不透過性チタンインプラント(10)が、下顎骨(20)中に埋め込まれている。チタンインプラント間の部位(30)は相対的に放射線不透過性であり、骨成長を示す。直近の歯(40)が示されている。
【図3】PDGFを伴う、吸収性コラーゲン膜で被覆された脱タンパクウシブロックを受容している4例の実験動物の放射線写真結果を示す。白色放射線不透過性チタンインプラント(10)が、下顎骨(20)中に埋め込まれている。チタンインプラント間の部位(30)は相対的に放射線不透過性であり、骨成長を示す。直近の歯(40)が示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的部位における顎顔面骨強化のための、PDGF溶液及び生体適合性マトリックスを含む組成物の使用。
【請求項2】
前記目的部位が顎堤、骨欠損部、上顎洞壁又は抜歯窩を含む請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記目的部位が下顎骨又は上顎骨である請求項1記載の使用。
【請求項4】
前記組成物が生体適合性結合剤を更に含む請求項1記載の使用。
【請求項5】
前記生体適合性結合剤がコラーゲンである請求項4記載の使用。
【請求項6】
前記生体適合性マトリックスがリン酸カルシウム又は骨ブロックを含む前記いずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記PDGFがPDGFホモ二量体、PDGFヘテロ二量体、PDGF−AA、PDGF−BB、PDGF−AB、PDGF−CC、PDGF−DD又はそれらの断片、あるいはそれらの組み合わせ、並びにそれらの混合物及び誘導体である請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記PDGF断片がPDGFの全B鎖のアミノ酸配列1〜31、1〜32、33〜108、33〜109及び1〜108から成る群から選択される請求項7記載の使用。
【請求項9】
前記PDGFが組換えヒトPDGF−BBである請求項1記載の使用。
【請求項10】
前記PDGFが約0.01mg/ml〜10mg/mlの濃度で溶液中に存在する請求項1記載の使用。
【請求項11】
前記PDGFが約0.3mg/ml〜1.0mg/mlの濃度で溶液中に存在する請求項1記載の使用。
【請求項12】
生体適合性マトリックスを含む第一の容器;及び
PDGFを含む第二の容器
を包含するキット。
【請求項13】
生体吸収性膜を含む第三の容器を更に包含する請求項12記載のキット。
【請求項14】
前記第二の容器がPDGFを含有する緩衝液を含む請求項12記載のキット。
【請求項15】
前記PDGFがrhPDGF−BBであり、前記緩衝液が酢酸塩緩衝液である請求項14記載のキット。
【請求項16】
前記生体適合性マトリックスが生体適合性結合剤を更に含む請求項12記載のキット。
【請求項17】
前記生体適合性結合剤がコラーゲンを含む請求項12記載のキット。
【請求項18】
前記生体適合性マトリックスがリン酸カルシウム又は骨ブロックを含む請求項12に記載のキット。
【請求項19】
生体適合性マトリックス中に混合されたPDGF溶液を含む組成物であって、該生体適合性マトリックスがリン酸カルシウム又は骨ブロックを含む組成物。
【請求項20】
生体適合性結合剤を更に含む請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記生体適合性結合剤がコラーゲンを含む請求項20記載の組成物。
【請求項22】
前記PDGFがPDGF−BBである請求項19記載の組成物。
【請求項23】
前記PDGF−BBがヒト組換えPDGF−BBである請求項22記載の組成物。
【請求項24】
前記PDGFが約0.01mg/ml〜10.0mg/mlの濃度で溶液中に存在する請求項19記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−515668(P2009−515668A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541379(P2008−541379)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/044766
【国際公開番号】WO2007/061889
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(508148954)バイオミメティック セラピューティクス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】