説明

ごみ供給装置

【課題】ランニングコストの増加を来たすことなく、上がり傾斜部を有するごみ搬送コンベアにおけるごみ玉生成を防止し、ごみの滞留をなくしてごみを連続的に焼却炉へ供給することのできるごみ供給装置を提供する。
【解決手段】ごみ供給装置1を構成するごみ搬送コンベア2のごみ搬送ベルト4の上がり傾斜部4bの傾斜開始部4bの近傍に、前記ごみ搬送ベルト4の移動方向と平行に、このごみ搬送ベルト4上のごみを、このごみ搬送ベルト4の幅方向に分けると共に、前記上がり傾斜部4bから傾斜開始部4b側へのごみの逆流を防止するごみ逆流防止手段5をごみ搬送ベルト4の移動方向と直交する幅方向に、ごみの大きさを勘案した所定の間隔を隔てて複数配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ焼却設備に設けられるごみ供給装置の改善に係り、より詳しくは、ごみ焼却炉や、ごみガス化炉等のごみ処理炉へのごみ供給が停滞することなく、安定的に連続供給することを可能ならしめるようにしたごみ供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみを焼却処理するためのごみ処理設備は、ごみ処理炉の他に、ごみを前処理して前記ごみ処理炉に供給するごみ供給装置を有するごみ供給部を備えると共に、前記ごみ処理炉から排出される排ガスの減温、集じん等を行う排ガス処理部を備えている。前記ごみ供給部は、ごみを破砕するごみ破砕機と、このごみ破砕機で破砕されたごみを前記ごみ処理炉に供給する給じん装置とを備えている。さらに、このごみ供給装置には、前記ごみ破砕機を低位置に配設するために、ごみ破砕機により破砕されたごみを前記ごみ処理炉のごみ投入口よりも高い位置まで搬送する上がり傾斜部を有するごみ搬送コンベアが設けられることが多い。
【0003】
上記のような構成になるごみ供給装置のごみ搬送コンベアとしては、例えば、複数の板状のエプロン(エプロン板)を搬送方向に向かって隙間なく(または一部重なるように)配列したエプロンコンベアが採用されることが多い。このエプロンコンベアには、搬送中のごみが落下しないように、エプロン板に対して垂直に板が配置されることによりエプロンパンが形成されている。しかしながら、上がり傾斜部が形成されているため、エプロンコンベア上のごみがエプロンパンを超えて下方へ転がり落ちる場合がある。ごみが下方へ転がると、毛玉状に成長し、ごみ搬送コンベアが過負荷になるため、ごみ搬送コンベアがトリップしたり、また毛玉状に成長したごみがそのままごみ処理炉に供給されたりする結果、急激なごみ(可燃物)供給量の増大による燃焼不具合を起こす等、ごみの安定供給ができないという問題があった。
【0004】
そのため、ごみの下方への転がりを防止して、ごみの安定供給を可能ならしめるようにしたエプロンコンベアを備えたごみ供給装置が提案されており、例えば後述する構成になるごみ供給装置が公知である。以下、この従来例に係るごみ供給装置を、添付図面を順次参照しながら説明する。図4は、従来例1に係るごみ供給設備のごみ供給装置の構成を示す図である。
【0005】
即ち、ごみ粉砕機103を経由して供給されるごみは、ごみ搬送コンベア104の下方水平部のエプロンコンベア109上に投入される。ごみはエプロンコンベア109の働きに従って下方水平部から傾斜部を上った後に上方水平部に達し、その後に、流動床焼却炉にごみを供給する給じん装置の、図示しないごみ供給ホッパへ供給される。前記エプロンコンベア109には、コンベアにごみを所定量収容するためのエプロンパン110がベルト(エプロンコンベア)の周上に多数設けられている。そして、ローラ108が、エプロンパン110の上方部に所定の隙間Pを保持して、上がり傾斜部開始近傍に設けられている。前記ローラ108は、ごみ搬送コンベアの上面ケーシングまたは側面ケーシングにばね支持されて取り付けられている。
【0006】
従って、ごみ搬送コンベア104の下方水平部において、エプロンパン110より高いごみが存在しても、ローラ108を通過する時にエプロンコンベア109との間に押し付けられるので、その後の傾斜部でのごみ搬送時にごみが下方へ落下して逆流することなく、ごみの供給が継続される。また、ごみが一度に集中的に供給された場合であっても、ローラ108が自由回転する構成になっていることと、ローラ支持にばね式を採用していることとにより、ごみがローラで詰まったり、またごみ処理炉へのごみ供給に支障を来たしたりするような恐れがない。
【0007】
なお、この従来例においては、従来例2に係るごみ供給設備のごみ供給装置の構成を示す図の図5に示すように、ごみ搬送コンベア104の上がり開始部付近の上面ケーシングにばね式支持のローラ8を2個取り付け、この2個のローラ108にベルト111を巻き付けた構成のものも開示している。この形態によると、ごみ搬送コンベア104の傾斜部でのごみの安定度が増すと共に、仮に、ローラ108の円周より長い長物が存在しても、ベルト111の長さの方がローラの円周より長いためベルト111には巻き付きにくいという効果を期待することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−44873
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来例に係るごみ供給装置の場合には、ローラ108の円周より長い長物が存在しても、ベルト111の長さの方がローラの円周より長いためベルト111には巻き付きにくいという効が得られるとしているが、下記のような問題が発生する結果、ごみを安定的に供給することができなくなる恐れがある。
(1)より長いビニールテープ等の紐状ごみや針金が供給されてきた場合には、巻付いてしまう恐れがある。具体的には、巻付いたごみが針金である場合、装置自体が損傷する恐れがあり、また巻付いたごみがニールテープ等の紐状ごみである場合、ローラの肥大化によりごみ搬送コンベアの運転に支障を来たす恐れがあるため、除去作業をしなければならず、稼働率が低下する恐れがある。
(2)搬送中のごみはばね支持されたローラの外周面よって押圧されるため、例えば粘着性のごみが混入している場合、破砕されたごみ同士が押圧により大きくなり、分散することなく大きなごみとしてそのまま搬送されてしまう恐れがある。
(3)ごみの硬さが硬く、かつごみの大きさが大きい場合、ローラを通過することができず、ローラの上流側でごみが滞留する恐れがある。
(4)ローラの回転支持軸の給脂が必要であるため、ランニングコストが増加する。
【0009】
従って、本発明の目的は、ランニングコストの増加を来たすことなく、上がり傾斜部を有するごみ搬送コンベアにおけるごみ玉生成を防止し、ごみの滞留をなくしてごみを連続的に焼却炉へ供給することのできるごみ供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って、上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るごみ供給装置が採用した手段は、ケーシング内に配設され、下部水平部と、上がり傾斜部と、上部水平部とが形成され、ごみ投入ホッパ、ごみ破砕機を経て供給されたごみを前記下部水平部で受けとり、受け取ったごみを上がり傾斜部を介して前記上部水平部に搬送すると共に、搬送されたごみを前記上部水平部から給じん装置に供給するごみ搬送ベルトを有するごみ搬送コンベアを備えてなるごみ供給装置において、前記ごみ搬送コンベアのごみ搬送ベルトの上がり傾斜部の傾斜開始部の近傍に、前記ごみ搬送ベルトの移動方向と平行に、前記ごみ搬送ベルト上のごみを、このごみ搬送ベルトの幅方向に分けると共に、前記上がり傾斜部から傾斜開始部側へのごみの逆流を防止するごみ逆流防止手段が前記ごみ搬送ベルトの移動方向と直交する幅方向に、ごみの大きさを勘案した所定の間隔を隔てて複数配設されてなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項2に係るごみ供給装置が採用した手段は、請求項1に記載のごみ供給装置において、前記ごみ逆流防止手段は、前記ごみ搬送ベルトとの間の間隔が、前記上がり傾斜開始部側から上方に離れるに連れて狭まる下部ロッド状部材と、この下部ロッド状部材の前記上がり傾斜開始部側の上流側から前記ケーシングの上部板部材側に延びる上流側ロッド状部材と、前記上がり傾斜開始部側から上方に離れた下流側から前記ケーシングの上部板部材側に延びる下流側ロッド状部材とからなるUの字状に形成されてなり、少なくとも前記上流側ロッド状部材の先端が前記ケーシングの上部板部材に設けた取付け装置に取付けられてなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項3に係るごみ供給装置が採用した手段は、請求項2に記載のごみ供給装置において、前記取付け装置は、前記ごみ逆流防止手段の取付け長さ調整機能を具備してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1乃至3に係るごみ供給装置では、ごみ搬送コンベアのごみ搬送ベルトの上がり傾斜部の傾斜開始部の近傍に、ごみ搬送ベルトの移動方向と平行に、ごみ搬送ベルト上のごみを、ごみ搬送ベルトの幅方向に分けると共に、上がり傾斜部から傾斜開始部側へのごみの逆流を防止するごみ逆流防止手段がごみ搬送ベルトの移動方向と直交する幅方向に、ごみの大きさを勘案した所定の間隔を隔てて複数配設されている。
【0014】
従って、本発明の請求項1乃至3に係るごみ供給装置によれば、下記のとおりの効果を得ることができる。
(1)ごみ逆流防止手段を通過して、ごみ逆流防止手段よりも上方に搬送されたごみが転げてもごみ逆流防止手段よって転がりが防止され、ごみ搬送ベルトの下部水平部まで転がり落ちるのを抑制することができる。
(2)ごみ逆流防止手段はローラと異なり回転しないため、このごみ逆流防止手段にごみが巻付いてしまう恐れがない。
(3)ごみ搬送ベルト上のごみはごみ逆流防止手段によりごみ搬送ベルトの幅方向に分けられ、そしてごみ搬送ベルトの幅方向の全面に沿って押圧されることがないので、粘着性のごみが混入していてもごみが大きくなるようなことがない。
(4)ごみ逆流防止手段同士の間隔は、ごみの大きさを勘案した所定の間隔に設定されているので、硬いごみであっても搬送することができる。
(5)ごみ逆流防止手段は給脂を要する可動部がないため、ランニングコストが増加するような恐れがない。
【0015】
本発明の請求項2に係るごみ供給装置では、ごみ逆流防止手段は、ごみ搬送ベルトとの間の間隔が、上がり傾斜開始部側から上方に離れるに連れて狭まる下部ロッド状部材と、この下部ロッド状部材の前記上がり傾斜開始部側の上流側からケーシングの上部板部材側に延びる上流側ロッド状部材と、上がり傾斜開始部側から上方に離れた下流側からケーシングの上部板部材側に延びる下流側ロッド状部材とからなるUの字状に形成されてなり、少なくとも上流側ロッド状部材の先端が前記ケーシングの上部板部材に設けた取付け装置により取付けられている。
【0016】
従って、本発明の請求項2に係るごみ供給装置によれば、ごみ搬送ベルト上のごみがごみ逆流防止手段の下流側ロッド状部材と下部ロッド状部材とによってごみ搬送ベルトの幅方向に分けられながら搬送される。また、ごみ逆流防止手段よりも上方に搬送されたごみは、下流側ロッド状部材によってごみ搬送ベルトの下部水平部まで転がり落ちるのが抑制される。
【0017】
本発明の請求項3に係るごみ供給装置では、取付け装置は、前記ごみ逆流防止手段の取付け長さ調整機能を具備している。従って、本発明の請求項3に係るごみ供給装置によれば、ごみ逆流防止手段の取付け長さを、ごみ質に応じた長さに自由自在に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係るごみ供給装置を、添付図面を順次参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態に係るごみ供給装置を備え、流動床式ごみガス化炉より下流側の灰溶融炉および排ガス処理設備を省略して示すごみ処理設備の模式的構成説明図であり、図2は本発明の実施の形態に係るごみ供給装置のごみ逆流防止手段の側面形状および取付け状態を示す図であり、図3は図2のA矢視方向から見たごみ逆流防止手段の配設近傍の平面図である。
【0019】
図1に示す符号10は、本発明の実施の形態に係るごみ供給装置を備えてなるごみ処理設備である。このごみ処理設備10は、図示しないごみピット内のごみが投入されるごみ投入ホッパ20、このごみ投入ホッパ20から排出されるごみを所定範囲の大きさに破砕するごみ破砕機30、このごみ破砕機30から排出されるごみを受取り、受取ったごみを搬送するごみ搬送コンベアを備えた、後述するごみ供給装置1、このごみ供給装置1からごみが供給される給じん装置40、この給じん装置40からごみが供給され、供給されたごみをガス化する流動床式ごみガス化炉50を備えている。
【0020】
前記ごみ供給装置1のごみ搬送コンベア2は図1乃至3に示すように構成されている。
即ち、前記ごみ搬送コンベア2はケーシング3と、このケーシング3内に配設されてなるごみ搬送ベルト4を備えている。このごみ搬送ベルト4には、下部水平部4aと、上がり傾斜部4bと、上部水平部4cとが形成されている。前記ごみ搬送ベルト4は、前記ごみ投入ホッパ20、ごみ破砕機30を経て供給されたごみを前記下部水平部4aで受けとり、受け取ったごみを上がり傾斜部4bを介して前記上部水平部4cに搬送すると共に、搬送されたごみを前記上部水平部4cから前記給じん装置40に供給する働きをするものである。
【0021】
ところで、本実施の形態に係るごみ搬送コンベア2としては、エプロンコンベアが使用される。前記ごみ搬送ベルト4は、具体的には一対のチェーンと、これらチェーン同士を幅方向(搬送方向と直交する方向)につなぐ複数枚の板状のエプロン(エプロン板)からなり、これらのエプロン板が前記搬送方向に沿って隙間なく配列されている。前記エプロン板上には、外方に突出する複数の針状部材が植設されている。なお、エプロンコンベアは針状部材が植設されたエプロン板だけが配列された構成であっても良いし、また、針状部材が植設されたエプロン板と、針状部材が植設されていないエプロン板とが交互に配列された構成であっても良い。また、これに限らず、従来例に係るごみ供給装置のように、エプロン板上に板状の部材(エプロンパン)を取付けた構成のエプロンコンベアであっても良い。
【0022】
前記ごみ搬送ベルト4の上がり傾斜部4bの傾斜開始部4bの近傍に、前記ごみ搬送ベルト4の移動方向と平行に、前記ごみ搬送ベルト4上のごみを、このごみ搬送ベルト4の幅方向に分けると共に、前記上がり傾斜部4bから傾斜開始部4b側へのごみの逆流を防止する、後述する構成になるごみ逆流防止手段5が前記ごみ搬送ベルト4の移動方向と直交する幅方向に、ごみの大きさを勘案した所定の間隔Lを隔てて複数(この実施の形態では3セット)配設されている。なお、本実施の形態においては、ごみ逆流防止手段5の配設数は3セットであるが、3セットに限定されるものではなく、ごみ搬送コンベア2の幅と、ごみの大きさによって適宜設定されるべきものである。
【0023】
前記ごみ逆流防止手段5は、外径が42.7mmの3本のパイプと外径が42.7mmの2個のベントパイプが溶接されることによりUの字状に形成されている。より詳しくは、図2に示すように、このごみ逆流防止手段5は、前記ごみ搬送ベルト4との間の間隔Sが、前記上がり傾斜開始部4bから上方に離れるに連れて狭まる下部パイプ(下部ロッド状部材)5aを備えている。また、前記下部パイプ5aの上がり傾斜開始部4b側の上流側にベントパイプ5dを介して、前記ケーシング3の着脱自在なケースカバー3aの上部板部材3b側に延びる上流側パイプ(上流側ロッド状部材)5bと、さらに上がり傾斜開始部4b側から上方に離れた下流側にベントパイプ5dを介して、前記ケーシング3のケースカバー3aの上部板部材3b側に延びる下流側パイプ(下流側ロッド状部材)5cを備えている。なお、ごみ逆流防止手段5を拘泥するパイプやベントパイプの外径は具体例に過ぎず、特に42.7mmに限定されるものではない。
【0024】
ところで、ごみ逆流防止手段5同士の間の間隔Lは、破砕ごみの大きさとごみ玉の大きさを勘案して決定されるが、この間隔Lは200〜300mmが最適である。
【0025】
前記ごみ逆流防止手段5の前記上流側パイプ5bと、下流側パイプ5cの前記ケースカバー3aの上部板部材3bからの突出端側は、前記ケースカバー3aの外側に突設され、前記ごみ逆流防止手段5の取付け長さ調整機能を具備する、後述する取付け装置6により位置調整自在に固定されている。なお、前記ごみ逆流防止手段5の前記上流側パイプ5bと、下流側パイプ5cとの突出端面に横架されてなる部材は、このごみ逆流防止手段5の取付け長さ調整に際して用いる取手5eである。
【0026】
前記取付け装置6は、前記ケースカバー3aの上部板部材3bに突設され、前記上流側パイプ5b、または下流側パイプ5cが嵌挿されるパイプ部材6aと、このパイプ部材6aの長手方向に沿って固着され、このパイプ部材6aより長尺の板部材6bとを備えている。そして、前記板部材6bのパイプ部材6aからの突出側に明けられた穴に通されると共に、前記パイプ部材6aに嵌挿された前記上流側パイプ5b、または下流側パイプ5cをパイプ部材6aに引寄せるUの字状のクランプ6cと、前記板部材6bから突出するこのクランプ6cの一対のねじのそれぞれに螺着されるナット6dとから構成されている。
なお、ケースカバー3aの上部板部材3bの前記上流側パイプ5bよりも上流側に設けられ、開閉自在な蓋により閉蓋されてなる穴は、点検用窓3cである。
【0027】
ところで、本発明の実施の形態においては、上記のとおり、前記ごみ逆流防止手段5の上流側パイプ5bと、下流側パイプ5cは前記取付け装置6により共に固定されている。
しかしながら、少なくとも上流側パイプ5bが取付け装置6に固定されていれば良く、下流側パイプ5cは必ずしも固定する必要がないものである。なお、この場合には、下流側パイプ5cを嵌挿するパイプ部材だけが、前記ケースカバー3aの上部板部材3bに突設されていれば良い。
【0028】
以下、本発明の実施の形態に係るごみ供給装置1の作用態様を説明する。即ち、図示しないごみピット内のごみが、図示しないごみクレーンによりごみ投入ホッパ20に投入される。ごみ投入ホッパ20に投入されたごみはプッシャー21に押されてごみ破砕機30に供給され、ごみ破砕機30で破砕されたごみがごみ供給装置1のごみ搬送コンベア2で搬送されると共に、このごみ供給装置1から、流動床式ごみガス化炉50にごみを供給する給じん装置40にごみが供給される。
【0029】
本発明の実施の形態に係るごみ供給装置1によれば、ごみピット内のごみは上記のようにして搬送されるのであるが、ごみ搬送コンベア2のごみ搬送ベルト4の上がり傾斜部4bの傾斜開始部4bの近傍に設けられ、ごみ搬送ベルト4の移動方向と平行に、ごみ搬送ベル4上のごみを、ごみ搬送ベルト4の幅方向に分けると共に、上がり傾斜部4bから傾斜開始部4b側へのごみの逆流を防止するごみ逆流防止手段5の働きにより、下記のとおりの優れた効果を得ることができる。
【0030】
本発明の実施の形態に係るごみ供給装置1によれば、ごみ逆流防止手段5を通過して、このごみ逆流防止手段5よりも上方に搬送されたごみが転げても、このごみ逆流防止手段5の下流側パイプ5cよって転がりが防止され、ごみ搬送ベルト4の下部水平部4aまで転がり落ちるのが抑制される。従って、ごみが毛玉状に成長し難くなり、ごみの安定供給が可能になるので、流動床式ごみガス化炉50が急激なごみ供給量の増大により燃焼不具合を起こすようなことがない。
【0031】
本発明の実施の形態に係るごみ供給装置1によれば、ごみ逆流防止手段5は、従来例に係るごみ供給装置のように、自由回転するローラを具備していなため、このごみ逆流防止手段5にごみが巻付いてしまう恐れがない。従って、装置自体が損傷したり、またごみ搬送コンベアの運転に支障を来たしたりするようなことがない。
【0032】
本発明の実施の形態に係るごみ供給装置1によれば、ごみ搬送ベルト4上のごみはごみ逆流防止手段5の上流側パイプ5bと下部パイプ5aとによりごみ搬送ベルト4の幅方向に分けられ、そしてごみ搬送ベルト4の幅方向の全面に沿って押圧されることがないので、粘着性のごみが混入していてもごみが大きくなるようなことがない。従って、ごみの安定供給に大いに寄与することができる。さらに、ごみ逆流防止手段5はパイプ製であるため、ごみ逆流防止手段5自体がごみ搬送の際に抵抗となることを低減することができる。
【0033】
本発明の実施の形態に係るごみ供給装置1によれば、ごみ逆流防止手段5同士の間の間隔Lは、ごみの大きさを勘案した所定の間隔Lに設定されているので、硬いごみでもごみ逆流防止手段5同士の間の間隔Lを通して搬送することができる。従って、ごみの安定供給に大いに寄与することができる。
【0034】
本発明の実施の形態に係るごみ供給装置1によれば、ごみ逆流防止手段5は給脂を要する可動部がないため、ランニングコストが増加するような恐れがない。
【0035】
本発明の実施の形態に係るごみ供給装置1によれば、取付け装置6は、ごみ逆流防止手段5の取付け長さ調整機能を具備しているので、ごみ逆流防止手段6の取付け長さを、ごみ質に応じた長さに調整することができる。従って、ごみ質の変化に対応してごみ逆流防止手段6の取付け長さを調整することにより、ごみ質の如何にかかわらず、ごみを安定供給することができる。
【0036】
因みに、本発明の実施の形態に係るごみ供給装置1(本例)の傾斜開始部における毛玉状に成長したごみの滞留トラブルのために人的復旧作業(滞留した毛玉状に成長したごみの除去作業)の回数は、ごみ逆流防止手段が設けられていないごみ搬送装置(比較例)に比べ、20%以下まで減少(80%以上の低減)した。上記のとおり、人的復旧作業回数の減少により、ごみ処理設備の稼働率の向上と、ランニングコストの低減が可能になることを示している。
【0037】
また、ごみ処理設備の場合は、排ガスの一酸化炭素の含有量が30ppm以下になるように管理しているが、毛玉状に成長したごみが焼却炉に供給されると、急激なごみ(可燃物)供給量の増大による燃焼不具合を起こす恐れがある。そこで、本発明を適用した場合、毛玉状に成長したごみが焼却炉に供給されることを抑制でき、その結果排ガス中の一酸化炭素の含有量が30ppmを超える回数を大幅に減少させることができた。なお、一酸化炭素の含有量の計測には富士電機(株)製の非分散型赤外線式一酸化炭素計を用いた。
【0038】
以上では、3本のパイプと、2個のベントパイプとが溶接されることによりUの字状に形成されてなる構成のごみ逆流防止手段6を例として説明した。しかしながら、この形態のごみ逆流防止手段5に限るものではなく、下部ロッド状部材と、この下部ロッド状部材の前記上がり傾斜開始部側の上流側から前記ケーシングの上部板部材側に延びる上流側ロッド状部材とからなるLの字状に形成された部材から構成されるものや、下部ロッド状部材と、この下部ロッド状部材の下流側から前記ケーシングの上部板部材側に延びる下流側ロッド状部材とからなるLの字状に形成された部材から構成されるものも利用することができる。
【0039】
さらに、パイプ状のものに限定されず、例えば外形がUの字の内側に嵌込み得る形状に切断した平板と、この平板の上端面に突設され、例えば取付け装置6に固定される取付け用ロッドとからなる構成にすることができる。また、流動床式ガス化炉50にごみを供給する給じん装置にごみを供給するごみ供給装置1を例として説明したが、ごみ焼却炉にごみを供給する給じん装置にごみを供給するごみ供給装置に対しても、本発明の技術的思想を適用することができる。従って、ごみ供給装置1の形態は、上記実施の形態に係るごみ供給装置1の形態に限定されるものではなく、また本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内における設計変更等は自由自在である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係るごみ供給装置を備え、流動床式ごみガス化炉より下流側の灰溶融炉および排ガス処理設備を省略して示すごみ処理設備の模式的構成説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るごみ供給装置のごみ逆流防止手段の側面形状および取付け状態を示す図である。
【図3】図2のA矢視方向から見たごみ逆流防止手段の配設近傍の平面図である。
【図4】従来例1に係るごみ供給設備のごみ供給装置の構成を示す図である。
【図5】従来例2に係るごみ供給設備のごみ供給装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1…ごみ供給装置
2…ごみ搬送コンベア
3…ケーシング,3a…ケースカバー,3b…上部板部材,3c…点検用窓
4…ごみ搬送ベルト,4a…下部水平部,4b…上がり傾斜部,4b…傾斜開始部,4c…上部水平部
5…ごみ逆流防止手段,5a…下部パイプ,5b…上流側牌部,5c…下流側パイプ,5d…ベントパイプ,5e…取手
6…取付け装置,6a…パイプ部材,6b…板部材,6c…クランプ,6d…ナット
10…ごみ処理設備
20…ごみ投入ホッパ,21…プッシャー
30…ごみ破砕機
40…給じん装置
50…流動床式ごみガス化炉
L…ごみ逆流防止手段同士の間の間隔
S…ごみ逆流防止手段の下部パイプとごみ搬送ベルトとの間の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に配設され、下部水平部と、上がり傾斜部と、上部水平部とが形成され、ごみ投入ホッパ、ごみ破砕機を経て供給されたごみを前記下部水平部で受けとり、受け取ったごみを上がり傾斜部を介して前記上部水平部に搬送すると共に、搬送されたごみを前記上部水平部から給じん装置に供給するごみ搬送ベルトを有するごみ搬送コンベアを備えてなるごみ供給装置において、
前記ごみ搬送コンベアのごみ搬送ベルトの上がり傾斜部の傾斜開始部の近傍に、前記ごみ搬送ベルトの移動方向と平行に、前記ごみ搬送ベルト上のごみを、このごみ搬送ベルトの幅方向に分けると共に、前記上がり傾斜部から傾斜開始部側へのごみの逆流を防止するごみ逆流防止手段が前記ごみ搬送ベルトの移動方向と直交する幅方向に、ごみの大きさを勘案した所定の間隔を隔てて複数配設されてなることを特徴とするごみ供給装置。
【請求項2】
前記ごみ逆流防止手段は、前記ごみ搬送ベルトとの間の間隔が、前記上がり傾斜開始部側から上方に離れるに連れて狭まる下部ロッド状部材と、この下部ロッド状部材の前記上がり傾斜開始部側の上流側から前記ケーシングの上部板部材側に延びる上流側ロッド状部材と、前記上がり傾斜開始部側から上方に離れた下流側から前記ケーシングの上部板部材側に延びる下流側ロッド状部材とからなるUの字状に形成されてなり、少なくとも前記上流側ロッド状部材の先端が前記ケーシングの上部板部材に設けた取付け装置に取付けられてなることを特徴とする請求項1に記載のごみ供給装置。
【請求項3】
前記取付け装置は、前記ごみ逆流防止手段の取付け長さ調整機能を具備してなることを特徴とする請求項2に記載のごみ供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−286530(P2009−286530A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138354(P2008−138354)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】