説明

α−アミノオキシケトン/α−アミノオキシアルデヒド及びα−ヒドロキシケトン/α−ヒドロキシアルデヒド化合物の製造方法並びに環式α,β−不飽和ケトン基質及びニトロソ基質からの反応生成物の製造方法

本発明は、α−アミノオキシケトン及びアルファ−ヒドロキシケトン化合物を製造する方法を対象とする。合成経路は通常、式(IV):


[上式中、X〜Xは独立に、窒素、炭素、酸素又はイオウを表し、Zは、置換基を伴うか伴わない4〜10員環を表す]の触媒の存在下に、アルデヒド又はケトン基質とニトロソ基質とを反応させるステップ及び場合によって、生じたα−アミノオキシケトン化合物をαヒドロキシケトン化合物に変換させるさらなるステップを必要とする。本発明は、α−アミノオキシケトン及びアルファ−ヒドロキシケトン化合物を高いエナンチオ選択性及び高純度で生じさせる。本発明はさらに、触媒による不斉O−ニトロソアルドール/マイケル反応を対象とする。この反応の基質は通常、環式α,β−不飽和ケトン基質及びニトロソ基質である。この方法論は通常、プロリンベースの触媒の存在下に環式α,β−不飽和ケトン基質とニトロソ基質とを反応させて、複素環式生成物を得ることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年2月20日に出願された日本特許出願第 号明細書及び2004年4月20日に提出された米国仮出願第60/564048号明細書の権益を主張する。
【0002】
前記の出願並びにその出願明細書又はその審査の間に挙げられたすべての文献(「出願引用文献」)及び出願引用文献に挙げられているか参照されているすべての文献及びさらにその文献に挙げられているか参照されているすべての文献(「引用−引用文献(herein cited documents) 」)及び引用−引用文献に挙げられているか参照されているすべての文献は、そこで挙げられているか、参照により援用される何らかの文献に挙げられている製品に関する製造者指示、記載、製品明細及び製品シートと共に、参照により本明細書に援用され、本発明を実施する際に使用することができる。
【0003】
本出願の主題は一部、米国国立衛生研究所により資金供給を受けた(GM068433−01)。本発明に対して、政府は一定の権利を有しうる。
【0004】
本発明は、高いエナンチオ選択性及び高い純度でα−アミノキシケトン又はα−ヒドロキシケトンを製造する方法に関し、さらに、α−アミノキシケトン又はα−ヒドロキシケトンの製造方法に関する触媒方法を記載している。さらに本発明は、触媒による不斉O−ニトロソアルドール/マイケル反応を対象としている。この反応の基質は通常、環式α,β−不飽和ケトン基質及びニトロ基質である。この方法は通常、環式α,β−不飽和ケトン基質とニトロソ化合物とをプロリンベースの触媒の存在下に反応させて、複素環式生成物を産生することを含む。
【背景技術】
【0005】
α−ヒドロキシケトン化合物は、天然産物及び医薬化合物の分子骨格に見られる。これらは、アルドース化合物、例えば、ペントース及びヘキソースの合成等価体であり、様々な生理活性物質、医薬品及び液晶材料の合成における中間体になりうる非常に重要な合成ビルディングブロックである。
【0006】
α−ヒドロキシケトンは、カルボニル化合物の不斉酸化により高純度で容易に得ることができる。しかしながら、従来の方法でのカルボニル基のα位の不斉酸化は、2段階プロセスを必要とする。初めに、エノラートを調製及び単離し、次いで、比較的高価な酸素導入試薬を使用するが、これは、原子効率が低いという問題を伴う。
【0007】
エノラートを単離することなく、キラルα−ヒドロキシケトンを直接的に調製する他の方法が報告されている。
【0008】
触媒としてアミノ酸プロリン及び酸素導入試薬としてニトロソベンゼンを使用して、α−アミノオキシケトンを調製する方法が、既に開示されている(例えば、Brown, S. P., Brochu, M. P., Sinz, C. J. & MacMillan, D. W. C. (2003) J. Am. Chem. Soc. 125, 10808-10809; Zhong, G. (2003) Angew. Chem. Int. Ed. 42, 4247-4250; Hayashi, Y., Yamaguchi, J., Hibino, K. &Shoji, M. (2003) Tetrahedron Lett. 44, 8293-8296参照)。しかしながら、この方法では、触媒効率の不足(10から20モル%の触媒が必要である)及び一貫した結果を再現することができないことを含む、多くの問題が未解決のままである。さらに、第2のニトロソベンゼン当量との副反応を介して、第2の望ましくない酸素原子が導入されうることが知られている。
【0009】
また、ルイス酸触媒としてアルキルシリルトリフレートを用いるとアルキルシリルエーテル及びニトロソベンゼンから(例えば、Momiyama, N., Yamamoto, H. (2002) Angew. Chem. Int. Ed. 41, 2986-2987参照)、さらに、触媒としてAg−BINAPを用いるとアルキルスズエノレート及びニトロソベンゼンから(例えば、Momiyama, N., Yamamoto, H. (2003) J. Am. Chem. Soc. 125, 6038-6039)、高収率でα−アミノオキシケトンを得ることができると報告されている。
【0010】
加えて、(1)液体CO又は超臨界COを溶媒として用いてエーテル又はアルコールユニットを分子内に有する基質を使用するか(例えば、特開2002―284729号明細書);(2)ホウ素酸又は相転移触媒又はブレンステッド酸を使用して、水中で反応を実施するか(例えば、特開2002―275120号明細書参照);(3)キラルなクラウンエーテルと共にランタニドトリフレートを使用することにより(例えば、特開2002―200428号明細書参照)、カルボニル化合物の縮合反応から、アルドール生成物を製造する他の方法も開示されている。
【特許文献1】特開2002―284729号明細書
【特許文献2】特開2002―275120号明細書
【特許文献3】特開2002―200428号明細書
【非特許文献1】Brown, S. P., Brochu, M. P., Sinz, C. J. & MacMillan, D. W. C. (2003) J. Am. Chem. Soc. 125, 10808-10809
【非特許文献2】Zhong, G. (2003) Angew. Chem. Int. Ed. 42, 4247-4250
【非特許文献3】Hayashi, Y., Yamaguchi, J., Hibino, K. &Shoji, M. (2003) Tetrahedron Lett. 44, 8293-8296
【非特許文献4】Momiyama, N., Yamamoto, H. (2002) Angew. Chem. Int. Ed. 41, 2986-2987
【非特許文献5】Momiyama, N., Yamamoto, H. (2003) J. Am. Chem. Soc. 125, 6038-6039
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
α−アミノオキシケトン又はα−ヒドロキシケトン化合物を合成するためのこれら多くの方法にもかかわらず、十分なエナンチオ選択性、純度及び/又は結果の再現性を伴ってα−アミノオキシケトン又はα−ヒドロキシケトン化合物を製造して、合成ビルディングブロック又は合成プロセスにおける中間体として使用するためにこれらの化合物が適しているようにする方法が、当技術分野では未だに必要とされている。
【0012】
現在化学合成において最も熱心に研究されている分野の1つが、新規の触媒を用いる高エナンチオ選択的なプロセスの開発である。特に、ヘテロディールスアルダー反応は今日、最も強力な合成構成法の1つである。プロリンベースの触媒を使用することにより、我々は、α,β−不飽和環式ケトンとニトロソ化合物とを反応させて、窒素及び酸素ヘテロ原子を含有するビシクロケトンを触媒により不斉合成する方法をもたらす反応プロセスを発見したが、この生成物の位置化学は、通常のニトロソディールスアルダー反応の逆である。
【0013】
本出願での文献の列挙又は同定はいずれも、このような文献が本発明に対する先行技術として利用することができることを認めるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は一部では、高エナンチオ選択性及び高純度でα−アミノキシケトン又はα−ヒドロキシケトンを製造する方法並びにα,β−不飽和環式ケトンとニトロソ化合物とを反応させて、窒素及び酸素ヘテロ原子を含有するビシクロケトンを調製する方法を出願人が開発したこと基づいており、この生成物の位置化学は、通常のニトロソディールスアルダー反応の逆である。
【0015】
本発明の目的は、α−アミノオキシケトン(α−ヒドロキシケトンの前駆体である)を調製し、糖関連化合物を製造するか、化合物をグリコシル化する新規合成経路、特に抗癌効果又は抗HIV効果を有する化合物を開発する方法を提供する。
【0016】
本発明の目的は、α−アミノオキシケトン(α−ヒドロキシケトンの前駆体である)を調製する方法を提供し、糖関連化合物を製造するか、化合物をグリコシル化する新規合成経路、特に抗癌効果又は抗HIV効果を有する化合物を開発することである。
【0017】
本発明の他の目的は、α,β−不飽和環式ケトンとニトロソ化合物とを反応させて、窒素及び酸素ヘテロ原子を含有するビシクロケトンを調製する方法を提供することであり、この生成物の位置化学は、通常のニトロソディールスアルダー反応の逆である。
【0018】
本開示、特に、請求項及び/又はパラグラフでは、「含む」、「含まれる」、「含まれている」などの用語は、米国特許法に基づく意味を有してよく;例えば、これらは、「包含する」、「包含される」、「包含されている」などの意味を有してよく;「から本質的になる」及び「から本質的になっている」などの用語は、米国特許法に基づく意味を有してよく;例えば、これらは、明白に挙げられていない要素を考慮に入れるが、先行技術に認められるか、本発明の基礎的又は新規な特性に影響を及ぼしうる要素は除外することを特記する。
【0019】
これらの実施形態及び他の実施形態は開示されているか、次の詳細な説明から明らかであり、それらに包含される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、α−アミノオキシケトン(α−ヒドロキシケトンの前駆体である)を調製する方法を提供するが、この方法は、式(I)のアルデヒド又は式(II)のケトンと
【化1】


式(IIIa)又は(IIIb)のニトロソ化合物とを
【化2】


溶媒及び(式IV)の触媒の存在下に反応させるステップを含む。
【化3】


[上式中、
R、R及びRは独立に、水素;置換又は非置換のアルキル基;置換又は非置換のアルコキシ基;置換又は非置換のアルコキシカルボニル基;置換又は非置換のアリール基を表すか;或いは
及びRは一緒に、シクロアルキル環を形成し;
はそれぞれ、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NR、−NO、−NR、−NRC(O)R、−NRCO、−NRS(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択され;R及びRはそれぞれ、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択されてよく;
nは、0〜5の整数であり;
は、置換又は非置換のアルキルであり;
、X及びXは独立に、酸素;イオウ;置換又は非置換の窒素;或いは置換又は非置換の炭素を表し;
Zは、さらに3個までのヘテロ原子を含有してもよい置換又は非置換の4員〜10員環を表す]
【0021】
本発明の他の実施形態では、
R、R及びRが独立に、水素;置換又は非置換のC1−8アルキル基;置換又は非置換のC1−8アルコキシ基;置換又は非置換のC1−8アルコキシカルボニル基;置換又は非置換のアリール基を表し、基が置換されている場合には、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NR、−NO、−NR、−NRC(O)R、−NRCO、−NRS(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から選択される基により置換されているか;或いは
及びRが一緒に、C3−8シクロアルキル環を形成し;
がそれぞれ、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NR、−NO、−NR、−NRC(O)R、−NRCO、−NRS(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択され;ここで、R及びRはそれぞれ独立に、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から選択されていてもよく;
が、置換又は非置換のC1−8アルキルであり、置換されている場合には、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NR、−NO、−NR、−NRC(O)R、−NRCO、−NRS(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8−アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から選択される基により置換されており;R及びRはそれぞれ、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択されてよく;
nが、0〜3の整数であり;
、X及びXが独立に、酸素;イオウ;置換又は非置換の窒素;或いは置換又は非置換の炭素を表し、基が置換されている場合には、水素、ハロゲン及びC1−8アルキルから選択される基により置換されており;
Zが、置換又は非置換のC−C10員の環を表し、該環は、酸素及び窒素からなる群から選択されるさらに1個のヘテロ原子を含有し、基が置換されている場合には、水素、ハロゲン、C1−8アルキル及びC1−8アルコキシにより置換されている。
【0022】
本発明の他の実施形態では、R、Rのための有利なアルキル基には、1〜30個の炭素を含む直鎖又は環式アルキル基が含まれ、これには、これらに限られないが、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル又はシクロデシルが含まれる。
【0023】
本発明の他の実施形態では、R、R、Rのための有利なアルコキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリール基は、これらに限られないがメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、フェニルオキシが含まれる1〜30個の炭素を含むアルコキシ基;これらに限られないがメトキシ−カルボニル、エトキシ−カルボニル、ブトキシ−カルボニル、ペンチルオキシ−カルボニルが含まれる1〜30個の炭素を含むアルコキシカルボニル基;及びこれらに限られないがフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、ベンジル又はフェニルが含まれる6〜30個の炭素原子を有するアリール基である。
【0024】
本発明の他の実施形態では、R、R、Rのための有利なアルキル基、アルコキシ基、アルコキシ−カルボニル基及びアリール基は、これらに限られないが、アルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルであり;アリール基としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、1−フェナントリル、ベンジルであり;有利な置換基には、これらに限られないが、ハロゲン基としてF、Cl又はBr;アルコキシ基としてメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ;ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アミノ、チオ又はニトロ基が含まれる。
【0025】
本発明の他の実施形態では、R、Rのための有利な環系には、これらに限られないが、アルキル基としてはシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン;又は芳香族としてはベンゼン、ナフタレン、アントラセン;又は複素芳香族としてはピリジン、ピロリジン、ピペリジン、フラン、ピラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランが含まれる。
【0026】
本発明の他の実施形態では、有利な式(I)のアルデヒドには、これらに限られないが、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、カプロアルデヒド、ヘプトアルデヒド、カプリル酸アルデヒド、カプリル酸アルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ラウルアルデヒド、トリデシルアルデヒド、ペンタデシルアルデヒド、パルミチン酸アルデヒド、ステアリン酸アルデヒド、スクエア酸アルデヒドが含まれる。
【0027】
本発明の他の実施形態では、有利な式(II)のケトンには、これらに限られないが、アセトン、エチルメチルケトン、プロピルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、ブチルメチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、2−ウンデカノン、フルオロアセトン、クロロアセトン、2,4−ペンタジオン、シクロブタノン、シクロペンタノン、2−メチルシクロヘキサノン、シクロデカノン、2−ノルボルナノン、2−アダマンタノン、テトラヒドロピラン−4−オン、スピロ[4,5]−1,4−ジオキシ−デカン−8−オン、1−ベンジルカルボニルピペリジン−4−オン、1−インダノン、2−インダノン、α−テトラロン、β−テトラロン、7−メトキシ−2−テトラロン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンジルフェノン、ジベンジルケトン、3,4−ジメチルアセトフェノン、2−アセトフェノン、2−クロロアセトフェノンが含まれる。
【0028】
本発明の有利な実施形態では、アルデヒド(式(I))又はケトン(式(II))は、次からなる群から選択される:
【化4】

【0029】
本発明の他の実施形態では、式(III)の有利なニトロソ化合物には、これらに限られないが、ニトロソ置換が3級炭素に位置するアルキルニトロソ化合物、例えば、2−ニトロソ−イソブタン、2−ニトロソ−2−メチルペンタンが含まれる。有利な置換アリールニトロソ化合物には、これらに限られないが、置換ニトロソベンゼン又は2−ニトロソナフタレンが含まれる。アルキルニトロソ触媒のための有利な置換基には、これらに限られないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、フェネチルオキシなどのアルコキシ基又はF、Cl、Br、Iなどのハロゲンが含まれる。ニトロベンゼンのための有利な置換には、これらに限られないが、o−ニトロソトルエン、m−ニトロソトルエン、p−ニトロソトルエン、3,5−ジメチルニトロソベンゼン、o−ニトロソエチルベンゼン、o−ニトロソスチレン、o−ニトロソアニソール、p−ニトロソアニソール、o−ニトロソフェノール、m−ニトロソフェノール、o−フルオロニトロソベンゼン、m−フルオロニトロソベンゼン、p−フルオロニトロソベンゼン、o−クロロニトロソベンゼン、m−クロロニトロソベンゼン、p−クロロニトロソベンゼン、o−ブロモニトロソベンゼン、m−ブロモニトロソベンゼン、p−ブロモニトロソベンゼンが含まれる。
【0030】
本発明の有利な実施形態では、ニトロソ化合物は、Ph−N=Oである。
【0031】
本発明の他の実施形態では、式(IV)の触媒は、N−H酸−N−H塩基の組合せ触媒であり、ここで、複素環の位置にあるNH基は、酸として作用し、アルキル複素環化合物の位置にあるNH基は、塩基として作用する。5員環複素環(酸として作用する)には、これらに限られないが、テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、イミダゾール、イミダゾリン、チオトリアゾリン、オキサトリアゾリンが含まれる。有利には、5員環は、下記の式(IVa)で開示されるようなテトラゾールである。
【化5】


5〜10員の複素環(塩基として作用する)には、これらに限られないが、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、オキサゾリン、オキサゾールが含まれ、これらの複素環のための置換基には、これらに限られないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチルなどのアルキル基又はメトキシ又はエトキシなどのアルコキシ基が含まれる。嵩だかなものは、方法の収率を下げるので、小さい置換基が有利である。
【0032】
有利には、式(IV)の触媒には、これらに限られないが、5−(2’−ピロリジニル)−1H−1,2,3,4−テトラゾール、5−(4H,5H−2’−オキサゾリル)−1H−1,2,3,4−テトラゾール、5−(2’−ピペリジニル)−1H−1,2,3,4−テトラゾール、5−ベンゾ[c]−2’−ピペリジニル−1H−1,2,3,4−テトラゾール、5−2’−ピロリジニル−1H−1,2,3−トリアゾール、5−2’−ピロリジニル1H−1,2,4−トリアゾール、2−2’−ピロリジニル−1H−イミダゾール、5−2’−ピロリジニル−1H−イミダゾール、5−2’−ピロリジニル−1H,4H,5H−1,2,3,4−チオトリアゾリン、5−2’ピロリジニル−4H,5H−ピラゾリンが含まれる。構造(IVb)で示される5−(2’−ピロリジニル)−1H−1,2,3,4−テトラゾールが、さらに有利である。
【化6】

【0033】
本発明の他の実施形態では、本発明の方法により生じたα−アミノオキシケトン及びα−アミノオキシアルデヒド化合物のエナンチオ選択性は、約90%eeより高い。有利には、エナンチオ選択性は、約95%eeより高い。さらに有利には、エナンチオ選択性は、99%eeより高い。
【0034】
本発明の他の実施形態では、本発明の方法により生じたα−アミノオキシケトン及びアルファ−アミノオキシアルデヒドの純度は、約90%より高い。有利には、純度は、約95%より高い。さらに有利には、純度は、99%より高い。
【0035】
本発明の他の実施形態では、本発明の方法により生じたα−アミノオキシケトン及びα−アミノオキシアルデヒド化合物の生成物収率は、約80%より高い。有利には、生成物収率は、約85%より高い。さらに有利には、生成物収率は、90%より高い。
【0036】
本発明の他の実施形態では、本発明の方法で使用される式(IV)の触媒の量は、約10モル%未満であるが、0モル%より多い。有利には、式(IV)の触媒の量は、約2モル%から約5モル%の範囲である。さらに有利には、式(IV)の触媒の量は、約5モル%である。
【0037】
本発明の他の実施形態では、アルデヒド(式(I)の化合物)又はケトン(式(II)の化合物)出発物質と式(IIIa)又は(IIIb)のニトロソ化合物とのモル比は、約10:1から約1:2である。有利には、アルデヒド(式(I)の化合物)又はケトン(式(II)の化合物)出発物質と式(IIIa)又は(IIIb)のニトロソ化合物とのモル比は、約5:1から約1:1である。さらに有利には、アルデヒド(式(I)の化合物)又はケトン(式(II)の化合物)出発物質と式(IIIa)又は(IIIb)のニトロソ化合物とのモル比は、約3:1である。
【0038】
本発明の他の実施形態では、本発明の方法で使用される溶媒は、式(IV)の触媒の存在下に、アルデヒド又はケトン出発物質とニトロソ化合物との反応を容易にする任意の溶媒であってよい。有利な例には、これらに限られないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル(MeCN)、ピリジン(Py)及びジメチルホルムアミド(DMF)が含まれる。
【0039】
本発明の他の実施形態では、公知の方法を使用して溶液中でα−アミノオキシケトン又はアルデヒドをCuSOで処理することにより、本発明のα−アミノオキシケトン及びアルデヒドをベースとする対応するα−ヒドロキシケトンを合成することができる。可能な溶媒には、メタノール及びエタノールなどのアルコールが含まれる。反応温度は、約0℃〜25℃であってよく、反応時間は、約3〜10時間であってよい。
【0040】
α−アミノオキシケトンを合成するための本発明は、一般構造(I)で示される触媒又は好ましくはテトラゾール誘導体(III)の存在下にカルボニル化合物とニトロソ化合物とを反応させることを含む。ニトロソ化合物の量は、カルボニル化合物に対して2〜4当量の範囲内であってよく、好ましくは、2.5〜3.5当量であり、スキーム(III)に示されている触媒の量は、1〜10モル%、好ましくは2〜20モル%であってよい。溶媒は、水、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのクロロアルカン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル、アセトニトリルなどのニトリル又はジメチルスルホキシドであってよく、好ましくは、ジメチルスルホキシド又はアセトニトリルである。溶媒の量は、15〜30容量であるが、反応を、溶媒なしで行うこともできる。反応温度は、0〜50℃、好ましくは20〜30℃であってよいが、反応を室温で行うこともできる。反応時間は、30分から3時間であってよく、例えば、反応を大気中で攪拌しながら1時間行うこともできる。反応は非常に穏やかであり、さらに、水は反応を阻害しないので、出発物質及び触媒を脱水する必要はなく、反応は制御が容易である。反応が完了したら、生成物を酢酸エチルで抽出し、次いで乾燥させ、公知の方法で精製することができる。
【0041】
他に記載されていない限り、下記の変数、式番号、表及び図番号は、環式α,β−不飽和ケトン基質及びニトロソ基質から反応生成物を製造する方法のみに関する。
【0042】
環式α,β−不飽和ケトン基質及びニトロソ基質から反応生成物を製造する方法(触媒による不斉O−ニトロソアルドール/マイケル反応とも称される)は、次のように示すことができる。
【化7】

【0043】
この反応は、複素環式生成物VIIを触媒により不斉合成する方法を提供し、この生成物の位置化学は、下記の式VIIaにより示される通常のニトロソディールス−アルダー反応の位置化学とは逆である。
【0044】
【化8】

【0045】
一実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、式(I)、(II)、(IIa)、(III)、(IV)又は(XII)により示すことができる
【化9】

[上式中、R、R、R、R、R10、R18、X、X、X、X、X、X、X、X、X15、X16及びnは、下記と同様に定義される]。
【0046】
一実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(I)を有していてもよい
【化10】

[上式中、
はそれぞれ、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NRii、−NO、−NRii、−NRC(O)R、−NRCOii、−NRS(O)ii、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NRii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
はそれぞれ独立に、−CR−、−NR−、−O−又は−S−を表し;
及びRは、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NRii、−NO、−NRii、−NRC(O)Rii、−NRCOii、−NRS(O)ii、−SR、−S(O)Rii、−S(O)、−S(O)NRii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
及びRはそれぞれ、それらが結合している原子と一緒になって、5員、6員又は7員の複素環を形成してもよく;
は、−C−又は−S−を表し;
及びRiiはそれぞれ、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択することができる]。
【0047】
他の実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(I)を有していてもよく、式中、
はそれぞれ、水素、C1−8アルキル、Cアリール及び5員環のヘテロシクリルから独立に選択される置換基を表してもよく、
はそれぞれ独立に、−CR−を表してもよく;
及びRは、水素、C1−8アルキル、Cアリール及び5員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表してもよく;
は、−C−を表してもよい。
【0048】
一実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(II)を有してもよい
【化11】

[上式中、
はそれぞれ、水素、ハロゲン、−ORiii、−OC(O)Riii、−CN、−C(O)Riii、−COiii、−C(O)NRiiiiv、−NO、−NRiiiiv、−NRiiiC(O)Riv、−NRiiiCOiv、−NRiiiS(O)iv、−SRiii、−S(O)Riii、−S(O)iii、−S(O)NRiiiiv、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
は独立に、−CR−、−NR−、−O−又は−S−を表し;
及びRは、水素、ハロゲン、−ORiii、−OC(O)Riii、−CN、−C(O)Riii、−COiii、−C(O)NRiiiiv、−NO、−NRiiiiv、−NRiiiC(O)Riv、−NRiiiCOiv、−NRiiiS(O)iv、−SRiii、−S(O)Riii、−S(O)iii、−S(O)NRiiiiv、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
及びRはそれぞれ、それらが結合している原子と一緒になって、5員、6員又は7員環の複素環を形成してもよく;
はC又はSを表し;
iii及びRivはそれぞれ独立に、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択することができる]。
【0049】
他の実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(II)を有していてもよく、式中、
はそれぞれ、水素、C1−8アルキル、Cアリール及び5員環のヘテロシクリルから独立に選択される置換基を表してもよく、
はそれぞれ独立に、−CR−を表してもよく;
及びRは、水素、C1−8アルキル、Cアリール及び5員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表してもよく;
は、−C−を表してもよい。
【0050】
一実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(IIa)を有してもよい
【化12】

[上式中、
はそれぞれ、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)Rc、−CO、−C(O)NR、−NO、−NR、−NRC(O)R、−NRCO、−NRS(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
nは、0、1、2又は3であり;
及びRはそれぞれ独立に、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択することができる]。
【0051】
他の実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(IIa)を有していてもよく、式中、
はそれぞれ、水素、C1−8アルキル、Cアリール及び5員環のヘテロシクリルから独立に選択される置換基を表してもよく、
nは、0又は1である。
【0052】
一実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(III)を有してもよい
【化13】

[上式中、
はそれぞれ、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NRVi、−NO、−NRVi、−NRC(O)Rvi、−NRCOVi、−NRS(O)Vi、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NRVi、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
はそれぞれ独立に、−CR−、−NR−、−O−又は−S−を表し;
及びRは、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NRvi、−NO、−NRvi、−NRC(O)Rvi、−NRCOvi、−NRS(O)vi、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NRvi、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
及びRはそれぞれ、それらが結合している原子と一緒になって、5員、6員又は7員環の複素環を形成してもよく;
は、C又はSを表し;
及びRviはそれぞれ、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択することができる]。
【0053】
他の実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(III)を有していてもよく、式中、
はそれぞれ、水素、C1−8アルキル、Cアリール及び5員環のヘテロシクリルから独立に選択される置換基を表してもよく、
はそれぞれ独立に、−CR−を表してもよく;
及びRは、水素、C1−8アルキル、Cアリール及び5員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表してもよく;
は、−C−を表してもよい。
【0054】
一実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(IV)を有していてもよい
【化14】

[上式中、
10は、水素、ハロゲン、−ORVi、−OC(O)RVii、−CN、−C(O)RVii、−COVii、−C(O)NRViiViii、−NO、−NRViiViii、−NRviiC(O)Rviii、−NRViiCOViii、−NRViiS(O)Viii、−SRVii、−S(O)RVii、−S(O)Vii、−S(O)NRViiViii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
はそれぞれ独立に、−CR1112−、−NR13−、−O−又は−N−を表し;
11及びR12は、水素、ハロゲン、−ORvi、−OC(O)Rvii、−CN、−C(O)Rvii、−COvii、−C(O)NRviiviii、−NO、−NRviviii、−NRviiC(O)Rviii、−NRviiCOviii、−NRviiS(O)viii、−SRvii、−S(O)Rvii、−S(O)vii、−S(O)NRviiviii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
11及びR12はそれぞれ、それらが結合している原子と一緒になって、5員、6員又は7員環の複素環を形成してもよく;
は、−C−又は−S−を表し;
vii及びRviiiはそれぞれ、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される]。
【0055】
他の実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(IV)を有していてもよく、式中、
10はそれぞれ、水素、C1−8アルキル、Cアリール及び5員環のヘテロシクリルから独立に選択される置換基を表してもよく、
はそれぞれ独立に、−CR1112−を表してもよく;
及びRは、水素、C1−8アルキル、Cアリール及び5員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表してもよく;
は、−C−を表してもよい。
【0056】
一実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(XII)を有していてもよい
【化15】

[上式中、
18はそれぞれ、水素、ハロゲン、−ORxi、−OC(O)Rxi、−CN、−C(O)Rxi、−COxi、−C(O)NRxixii、−NO、−NRxixii、−NRxiC(O)R、−NRxiCOxii、−NRxiS(O)xii、−SRxi、−S(O)Rxi、−S(O)xi、−S(O)NRxixii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
15はそれぞれ独立に、−CR1920−、−NR19−、−O−又は−S−を表し;
19及びR20は、水素、ハロゲン、−ORxi、−OC(O)Rxi、−CN、−C(O)Rxi、−COxi、−C(O)NRxixii、−NO、−NRxixii、−NRxiC(O)R、−NRxiCOxii、−NRxiS(O)xii、−SRxi、−S(O)Rxi、−S(O)xi、−S(O)NRxixii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
19及びR20はそれぞれ、それらが結合している原子と一緒になって、5員、6員又は7員の複素環を形成してもよく;
16は、C又はSを表し;
xi及びRxiiはそれぞれ、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択することができる]。
【0057】
他の実施形態では、環式α,β−不飽和ケトン基質は、構造(XII)を有していてもよく、式中、
18はそれぞれ、水素、C1−8アルキル、Cアリール及び5員環のヘテロシクリルから独立に選択される置換基を表してもよく、
15はそれぞれ独立に、−CR1920−を表してもよく;
19及びR20は、水素、C1−8アルキル、Cアリール及び5員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表してもよく;
16は、−C−を表してもよい。
【0058】
一実施形態では、環式α,β−不飽和ケトンは、次のものからなる群から選択することができる。
【化16】

一実施形態では、ニトロソ基質は、構造(V)により表すことができる
【化17】

[上式中、
13は、水素、ハロゲン、−ORix、−OC(O)Rix、−CN、−C(O)Rix、−COix、−C(O)NRix、−NO、−NRix、−NRixC(O)R、−NRixCO、−NRixS(O)、−SRix、−S(O)Rix、−S(O)ix、−S(O)NRix、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立に選択される1から5個の置換基を表し;
ix及びRはそれぞれ、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択することができる]。
【0059】
本発明の他の実施形態では、ニトロソ基質は、構造(V)により表すことができ、式中、
13は、水素、ハロゲン及びC1−8アルキルからなる群から独立に選択される1から5個の置換基を表してもよい。
【0060】
本発明の他の実施形態では、ニトロソ基質は、次のものからなる群から選択することができる。
【化18】

【0061】
一実施形態では、プロリンベースの触媒は、次の構造(VI)により表すことができる。
【化19】

14置換基は、次のものからなる群から選択することができる。
【化20】

15は、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から選択される置換基であってよい。
【0062】
本発明の他の実施形態では、式の触媒は、N−H酸−N−H塩基の組合せ触媒であり、ここで、複素環の位置にあるNH基は、酸として作用し、アルキル複素環化合物の位置にあるNH基は塩基として作用する。5員環複素環(酸として作用する)には、これらに限られないが、テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、イミダゾール、イミダゾリン、チオトリアゾリン、オキサトリアゾリンが含まれる。有利には、5員環は、下式で示されるテトラゾールである。
【化21】

5〜10員複素環(塩基として作用する)には、これらに限られないが、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、オキサゾリン、オキサゾールが含まれ、これらの複素環のための置換基には、これらに限られないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチル基などのアルキル基或いはメトキシ又はエトキシなどのアルコキシ基が含まれる。嵩高な置換基は、プロセスの収率を下げるので、より小さいものが有利である。
【0063】
有利には、式(IV)の触媒には、これらに限られないが、5−(2’−ピロリジニル)−1H−1,2,3,4−テトラゾール、5−(4H,5H−2’−オキサゾリル)−1H−1,2,3,4−テトラゾール、5−(2’−ピペリジニル)−1H−1,2,3,4−テトラゾール、5−ベンゾ[c]−2’−ピペリジニル−1H−1,2,3,4−テトラゾール、5−2’−ピロリジニル−1H−1,2,3−トリアゾール、5−2’−ピロリジニル1H−1,2,4−トリアゾール、2−2’−ピロリジニル−1H−イミダゾール、5−2’−ピロリジニル−1H−イミダゾール、5−2’−ピロリジニル−1H,4H,5H−1,2,3,4−チオトリアゾリン、5−2’ピロリジニル−4H,5H−ピラゾリンが含まれる。下記の構造で示される5−(2’−ピロリジニル)−1H−1,2,3,4−テトラゾールが、さらに有利である。
【化22】

本発明の有利な実施形態では、プロリンベースの触媒は、次のものからなる群から選択することができる。
【化23】

【0064】
本発明のプロリンベースの触媒は、参照により援用される「α−アミノオキシケトン/α−アミノオキシアルデヒド及びアルファ−ヒドロキシケトン/α−ヒドロキシアルデヒドを製造する方法の詳細な説明」及び「α−アミノオキシケトン/α−アミノオキシアルデヒド及びアルファ−ヒドロキシケトン/α−ヒドロキシアルデヒドを製造する方法の例」で前記した方法及びプロセスを介して得ることができる。
【0065】
一実施形態では、複素環式生成物は、次の構造(VII)により表すことができる。
【化24】

【0066】
他の実施形態では、複素環式生成物は、次の構造(VIII)により表すことができる。
【化25】

【0067】
他の実施形態では、複素環式生成物は、次の構造(VIIIa)により表すことができる。
【化26】

【0068】
他の実施形態では、複素環式生成物は、次の構造(IX)により表すことができる。
【化27】

【0069】
他の実施形態では、複素環式生成物は、次の構造(X)により表すことができる。
【化28】

【0070】
本発明の他の実施形態では、本発明の方法により生じたα−アミノオキシケトン及びα−アミノオキシアルデヒドのエナンチオ選択性は、約90%eeより高い。有利には、エナンチオ選択性は、約95%eeより高い。さらに有利には、エナンチオ選択性は、99%eeより高い。
【0071】
本発明の他の実施形態では、本発明の方法で使用されるプロリンベースの触媒の量は、約40モル%未満であるが、0モル%より多い。有利には、プロリンベースの触媒の量は、約10モル%から約30モル%の範囲である。さらに有利には、プロリンベース触媒の量は、約20モル%である。
【0072】
本発明の他の実施形態では、ニトロソ化合物とα,β−不飽和環式ケトン(エノン)との量のモル比は、約10:1から約0.5:1である。有利には、ニトロソ化合物とα,β−不飽和環式ケトン(エノン)との量のモル比は、約4:1から約1:1である。さらに有利には、ニトロソ化合物とα,β−不飽和環式ケトン(エノン)との量のモル比は、約2:1である。
【0073】
本発明はさらに、本明細書に記載のα−アミノオキシケトン、α−ヒドロキシケトン及び環式α,β−不飽和ケトンを含有する薬剤組成物を包含する。有利な実施形態では、本発明は、α−アミノオキシケトン、α−ヒドロキシケトン及び環式α,β−不飽和ケトン又はこれらの誘導体を含有していてよい抗癌組成物又は抗ウイルス組成物並びにこれらを投与する方法を包含する。
【0074】
一実施形態では、本発明のα−アミノオキシケトンは、その天然等価体の代わりになりうる。このような代替は、当技術分野の専門家には明らかであろう。他の実施形態では、本発明のα−アミノオキシケトンは、α−ヒドロキシケトン及びその等価体の代わりになりうる。このような代替は、当技術分野の専門家に明らかであろう。他の実施形態では、本発明のα−ヒドロキシケトンは、その天然アルドース等価体の代わりになりうる。このような代替は、当技術分野の専門家に明らかであろう。
【0075】
本発明の化合物は、これらに限られないが、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄性単球性、単球性、赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性、(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病を含む白血病、真性赤血球増加症、これらに限られないがホジキン病、非ホジキン病を含むリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、H鎖病、これらに限られないが肉腫及び癌腫を含む充実性腫瘍、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索種、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ内皮腫、滑膜腫、中皮腫、骨髄原発性肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起細胞腫、髄膜腫、メラノーマ及び神経芽細胞腫網膜芽細胞腫を含む様々な癌を治療又は予防するために使用することができる。
【0076】
本発明の化合物は、これらに限られないが、B型肝炎、C型肝炎、ロタウイルス、I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−I)、II型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−II)、I型ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−I)、II型ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−II)、AIDS、B型肝炎及びC型肝炎ウイルスなどのDNAウイルス;アデノ関連ウイルス及びサイトメガロウイルスなどのパルボウイルス;パピローマウイルス、ポリオーマウイルス及びSV40などのパポバウイルス;アデノウイルス;I型単純ヘルペス(HSV−I)、II型単純ヘルペス(HSV−II)及びエプスタイン−バーウイルスなどのヘルペスウイルス;痘瘡(天然痘)及び痘疹ウイルスなどのポックスウイルス;及びI型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−I)、II型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−II)、I型ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−I)、II型ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−II)、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、狂犬病ウイルス、センダイウイルス、ポリオウイルスなどのピコルナウイルス、コクサッキーウイルス、ライノウイルス、レオウイルス、風疹ウイルス(風疹)などのトガウイルス及びセムリキ森林熱ウイルス、アルボウイルス及びA型肝炎ウイルスなどのRNAウイルスでの感染により惹起されるものを含む様々なウイルス感染を治療又は予防するために使用することができる。
【0077】
有利な実施形態では、本発明の化合物又はその誘導体は、これらに限られないが、痘瘡、サル痘及びウシ痘などのオルソポックスウイルスに対する抗ウイルス薬として使用することができる(例えば、Chu et al., Bioorg Med Chem Lett. 2003 Jan 6; 13(1): 9-12参照)。他の有利な実施形態では、本発明の環式α,β−不飽和ケトン又はその誘導体は、抗ウイルス治療薬として使用することができるヌクレオシド、ヌクレオチド又はその誘導体を合成する際に使用することができる(例えば、Jin & Chu, Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids. 2003 May-Aug; 22(5-8): 771-3)。
【0078】
本発明の化合物は、これらに限られないが、湿疹、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、喘息、乾癬、虚血/再灌流障害、潰瘍性大腸炎及び急性呼吸窮迫症を含むいくつかのタイプの炎症を治療又は予防するために使用することができる。有利な実施形態では、本発明の化合物又はその誘導体を、インターロイキン−1生合成の阻害剤として使用することもできる(例えば、Batt et al., J Med Chem. 1993 May 14; 36(10): 1434-42参照)。
【0079】
他の実施形態では、本発明の化合物は、潰瘍を治療又は予防するために使用することができる。例えば、ウレアーゼ阻害剤は最近、有望な新規の抗潰瘍薬としてかなり注目を集めている(例えば、Amtul et al., Curr Med Chem. 2002 Jul; 9(14): 1323-48参照)。したがって、本発明の化合物は、ウレアーゼ活性の阻害剤として使用することもできる(例えば、Tanaka et al., Bioorg Med Chem. 2004 Jan 15; 12(2): 501-5参照)。
【0080】
他の実施形態では、本発明の化合物は、アルツハイマー病を治療又は予防するために使用することができる。したがって、本発明の化合物は、アミロイドベータ(Aベータ)タンパク質産生の阻害剤として、したがってアルツハイマー病の有望な治療として使用することができる(例えば、Wallace et al., Bioorg Med Chem Lett. 2003 Mar 24; 13(6): 1203-6参照)。
【0081】
他の実施形態では、本発明の化合物は、鎮痛薬として使用することもできる。例えば、複素環ビシクロ[3.3.1]ノナン−9−オンは、カッパオピオイド受容体に対して高い親和性を有することが判明している(例えば、Brandt et al., Arch Pharm (Weinheim). 1996 Jun; 329(6): 311-23参照)。他の例では、2,4−ジ−2−ピリジル−置換7−メチル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン−9−オン−1,5−ジエステルは、適度なカッパアゴニスト活性を有することが判明している(例えば、Holzgrabe & Erciyas, Arch Pharm (Weinheim). 1992 Oct; 325(10): 657-63参照。
【0082】
他の実施形態では、本発明の化合物は、これらに限られないが、高血圧、心不全、肺高血圧症及び腎疾患などの心臓血管疾患を予防又は治療する際に使用することができる。例えば、エンドセリン受容体アンタゴニストであるボセンタンは、食品薬品局(FDA)により肺動脈高血圧で使用するための認可を受けている(例えば、Vatter et al., Methods Find Exp Clin Pharmacol. 2004 May; 26(4): 277-86参照)。本発明の化合物又はその誘導体は、エンドセリン受容体アンタゴニストとして使用することもできる(例えば、Niiyama et al., Bioorg Med Chem. 2002 Nov; 10(11): 3437-44参照)。
【0083】
その活性により、本発明の化合物は、獣医学及びヒト医学において有利に使用することができる。
【0084】
患者に投与する場合には、本発明の化合物を好ましくは、薬学的に許容される媒体を場合によって含有する組成物の成分として投与する。本発明の化合物を含有する本発明の組成物を好ましくは、経口投与する。本発明の組成物はさらに、他の慣用の経路により、例えば、注入又はボーラス注射により、上皮又は粘膜皮膚の内側(例えば、経口粘膜、直腸及び胃腸粘膜など)を介して吸収させることを介して投与することもでき、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与することもできる。投与は、全身的でも局所的でもあってよい。様々な輸送システム、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどへのカプセル封入が知られており、本発明の化合物を投与するために使用することができる。
【0085】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、1種又は複数の本発明の化合物を含有してもよい。
【0086】
投与方法には、これらに限られないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、経口、舌下、鼻内、大脳内、膣内、経皮、直腸で、吸入により、又は、特に耳、鼻、目又は皮膚への局所が含まれる。投与方法は、担当医の裁量に任される。例えば、投与により、本発明の化合物を血流中に放出させる。
【0087】
具体的な実施形態では、局所による本発明の化合物が望ましい。これは例えば、これらに限られないが、手術中の局所注入、例えば、手術後に創傷被覆材と組み合わせる局所投与により、注射により、カテーテルを用いて、座薬を用いて、又はインプラントを用いて達成することができるが、前記のインプラントは、多孔性か、非多孔性か、サイラスティック膜などの膜又は繊維を含むゼラチン様材料であってよい。
【0088】
一定の実施形態では、脳室内、くも膜下及び硬膜外注射を含む適切な経路により、本発明の化合物を中枢神経系に導入することが望ましい。例えば、オマヤレザバーなどのレザバーに備えられている脳室内カテーテルにより、脳室内注射は容易になる。
【0089】
例えば、吸入器又はネブライザー並びにエアロゾル化剤を伴う処方物を使用することにより、又はフルオロカーボン又は合成肺界面活性物質中での灌流を介して、肺投与を使用することもできる。一定の実施形態では、本発明の化合物は、慣用の結合剤及びトリグリセリドなどの媒体を含む座薬として処方することもできる。
【0090】
他の実施形態では、本発明の化合物を、ベシクル、特にリポソーム中で輸送することができる(Langer, 1990. Science 249: 1527-1533; Treat et al, in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, N. Y., pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, 同書, pp. 317-327参照;通常は、同書参照)。
【0091】
さらに他の実施形態では、本発明の化合物を、制御放出システム中で輸送することができる(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, pp. 115-138 (1984) 参照)。Langer(1990, Science 249: 1527-1533)による概観で検討されている他の制御放出システムを使用することもできる。一実施形態では、ポンプを使用することもできる(上記のLanger; Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14: 201; Buchwald et al., 1980, Surgery 88: 507 Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321: 574参照)。他の実施形態では、ポリマー材料を使用することもできる(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, Fla. (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, N. Y. (1984); Ranger and Peppas, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23: 61; see also Levy et al., 1985, Science 228: 190; During et al., 1989, Ann. Neurol. 25: 351; Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71: 105参照)。さらに他の実施形態では、制御放出システムを、本発明の化合物のターゲットに隣接して置くことができるが、そうすると、全身用量の一部のみが必要になる。
【0092】
本発明の組成物は場合によって、患者に正確に投与するための形態が得られるように、適切な量の薬学的に許容できる媒体を含有してもよい。
【0093】
具体的な実施形態では、「薬学的に許容できる」との用語は、動物、ほ乳類、さらに特にはヒトに使用するために連邦政府又は州政府の規定機関により認められているか、米国薬局方又は他の通常認められる薬局方に列記されていることを意味する。「媒体(vehicle)」との用語は、本発明の化合物をそれと共に投与する希釈剤、補助剤、賦形剤又は担持剤を指している。このような薬剤媒体は、水並びに石油、動物、植物又は合成由来のもの、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含むオイルなどの液体であってよい。薬剤媒体は、生理食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、尿素などであってよい。加えて、助剤、安定剤、増粘剤、滑剤及び着色剤を使用することもできる。患者に投与する場合、薬学的に許容できる媒体は好ましくは、無菌である。本発明の化合物を静脈内投与する場合には、水が好ましい媒体である。生理食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液を、液体媒体、特に、注射可能な溶液として使用することもできる。適切な薬剤媒体にはさらに、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリル、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。必要に応じて、本発明の組成物は、少量の湿潤又は乳化剤或いは緩衝剤を含有してもよい。
【0094】
本発明の組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体含有カプセル、粉末、持続放出処方物、座薬、エマルション、エアロゾル、スプレー、懸濁液又は使用に適した他の形態を取ってよい。一実施形態では、薬学的に許容できる媒体は、カプセルである(例えば、米国特許第5698155号明細書参照)。適切な薬剤媒体の他の例は、参照により本明細書に援用されるRemington's Pharmaceutical Sciences(Alfonso R. Gennaro ed., Mack Publishing Co. Easton, Pa., 19th ed., 1995, pp. 1447-1676)に記載されている。
【0095】
好ましい実施形態では、本発明の化合物を一般的な手順に従い、ヒトに経口投与するために適した薬剤組成物として処方する。経口輸送用の組成物は例えば、錠剤、ロゼンジ(lozenge)、水性又は油性懸濁液、顆粒、粉末、エマルション、カプセル、シロップ又はエリキシルの形態であってよい。経口投与される組成物は、薬学的に嗜好性のある製剤を提供するために、1種又は複数の薬剤、例えば、フルクトース、アスパルテーム又はサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント又はウィンターグリーン又はサクラの油などの香料;着色剤;及び防腐剤を含有してもよい。さらに、錠剤又は丸薬の形態では、組成物をコーティングして、胃腸管での分解及び吸収を遅延させて、長期間にわたる持続作用を提供することもできる。浸透活性な駆動化合物を囲む選択透過膜も、経口投与組成物に適している。これら後者のプラットフォームでは、カプセルを取り囲む環境からの液体が、駆動化合物に吸収されると、この駆動化合物は、膨潤して、空孔を介して薬剤又は薬剤組成物を放出する。これらの輸送プラットフォームは、即時放出処方物のスパイク状プロファイルとは逆に、実質的にゼロ次輸送プロファイルをもたらしうる。モノステアリン酸グリセロール又はステアリン酸グリセロールなどの時間遅延材料を使用することもできる。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な媒体を含有してもよい。このような媒体は好ましくは、薬剤レベルである。通常、静脈内投与するための組成物は、無菌等張性水性緩衝剤を含有する。必要な場合には、組成物は、可溶化剤を含有してもよい。
【0096】
他の実施形態では、本発明の化合物を、静脈内投与のために処方することもできる。静脈内投与するための組成物は場合によって、注射部位での痛みを低減するためにリグノカインなどの局所麻酔薬を含有してもよい。通常、成分を別々に、又は混合して一緒に、単位剤形で、例えば、乾燥凍結乾燥粉末又は無水濃縮物として、活性剤の量が明示されているアンプル又はサッシェなどの密閉シーリングされている容器に供給する。本発明の化合物を注入により投与すべき場合には、これらを例えば、無菌の薬学的レベルの水又は生理食塩粋を含有する注入ボトルを用いて分取することができる。本発明の化合物を注射により投与する場合には、注射用の無菌水又は生理食塩水のアンプルを用意して、投与前に、成分を混合することができるようにする。
【0097】
本明細書に開示されている特定の疾患又は状態を治療する際に有効であろう本発明の化合物の量は、疾患又は状態の性質によって異なり、通常の臨床技術により決定することができる。加えて、場合によっては、最適な用量範囲の同定を助けるために、インビトロ又はインビボアッセイを使用することもできる。使用すべき正確な用量は、投与経路並びに疾患又は障害の重度によって異なり、担当医及びそれぞれの患者の周囲の判断に従い決定すべきである。しかしながら、経口投与の適切な用量範囲は通常、1日当たり体重1kg当たり、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩約0.001ミリグラムから約200ミリグラムである。本発明の具体的な好ましい実施形態では、経口用量は、1日当たり体重1kg当たり約0.01ミリグラムから約100ミリグラム、さらに好ましくは1日当たり体重1kg当たり約0.1ミリグラムから約75ミリグラム、さらに好ましくは1日当たり体重1kg当たり約0.5ミリグラムから約5ミリグラムである。本明細書に記載の用量は、投与される全量を指しており、即ち、1種を超える本発明の化合物を投与する場合、又は本発明の化合物を治療薬と共に投与する場合には、好ましい用量は、投与される全量に相当する。経口組成物は好ましくは活性成分、約10重量%から約95重量%を含有する。
【0098】
静脈内(i. v.)投与での適切な用量は、1日当たり体重1kg当たり約0.01ミリグラムから約100ミリグラム、1日当たり体重1kg当たり約0.1ミリグラムから約35ミリグラム、1日当たり体重1kg当たり約1ミリグラムから約10ミリグラムである。鼻内投与での適切な用量範囲は通常、1日当たり約0.01pg/体重kgから1日当たり約1mg/体重kgである。座薬は通常、1日当たり体重1kg当たり本発明の化合物約0.01ミリグラムから約50ミリグラムを含有し、活性成分を約0.5重量%から約10重量%の範囲内で含有する。
【0099】
皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、硬膜外、舌下、脳内、膣内、経皮投与又は吸入による投与での推奨される用量は、1日当たり体重1kg当たり約0.001ミリグラムから約200ミリグラムであり、局所投与のための適切な用量は、投与面積に応じて、約0.001ミリグラムから約1ミリグラムの範囲である。インビトロ又は動物モデル試験系に由来する用量応答曲線から、有効用量を推定することができる。このような動物モデル及び系は、当技術分野でよく知られている。
【0100】
さらに本発明は、1種又は複数の本発明の化合物を含有する1つ又は複数の容器を備えた薬剤パック又はキットを提供する。場合によって、このような容器は、薬剤又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関により規定された形態の注意書きを伴ってもよく、その際、この注意書きは、ヒトに投与するための製造、使用又は販売に関する機関による承認を示す。一定の実施形態では、キットは、1種より高い本発明の化合物を含有する。他の実施形態では、キットは、治療剤及び本発明の化合物を含有する。
【0101】
本発明の化合物を好ましくは、ヒトで使用する前に、所望の治療又は予防活性に関してインビトロ及びインビボでアッセイする。例えば、インビトロアッセイを使用して、本発明の化合物を単独で、又は本発明の他の化合物及び/又は治療薬と組み合わせて投与することが好ましいかどうかを決定することができる。動物モデル系を使用して、安全性及び有効性を決定することもできる。
【0102】
他の方法も、当業者には知られており、本発明の範囲内である。
【0103】
本発明のある実施形態では、本発明の化合物を、少なくとも1種の他の治療薬との併用療法で使用することができる。本発明の化合物と治療薬は相加的に、さらに好ましくは相乗的に作用しうる。好ましい実施形態では、同じ組成物の一部であってよいか、本発明の化合物を含有する組成物とは別の組成物中にあってよい他の治療薬の投与と同時に、本発明の化合物を含有する組成物を投与する。他の実施形態では、本発明の化合物を含有する組成物を、他の治療薬を投与する前に、又はそれに続いて投与する。本発明の化合物がその治療に役立つ多くの障害は慢性であるので、一実施形態では、併用療法は、本発明の化合物を含有する組成物と他の治療薬を含有する組成物を交互に投与して、例えば、特定の薬物に関連する毒性を最小限にすることを必要とする。本発明の化合物又は治療薬の投与期間は例えば、1カ月、3カ月、6カ月、1年又はさらに長い期間であってよい。一定の実施形態では、これらに限られないが毒性を含む有害な副作用をもたらすかもしれない他の治療薬と同時に、本発明の化合物を投与する場合には、その治療薬を有利には、副作用が誘発される閾値未満である用量で投与することができる。
【0104】
治療薬は、抗癌剤であってよい。有効な抗癌剤には、これらに限られないが、メトトレキセート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン、エトポシド、カンパテシン(campathecin)、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタクセル及びドセタキセル、γ放射線、シクロホスファミド、イホスファミド、トロフォスファミド、クロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU)などのニトロソウレア、ブスルファン及びトレオスルファンなどのアルキルスルホネート、ダカルバジンなどのトリアゼンを含むアルキル化剤、シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金含有化合物、ビンカアルカロイド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビン(vinorelbine)を含む植物アルカロイド、パクリタクセル及びドセタキソール(docetaxol)を含むタキソイド(taxoid)、エトポシド、テニポシド、トポテカン、9−アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン及びクリスナトールなどのエピポドフィリンを含むDNAトポイソメラーゼ阻害剤、マイトマイシンC及びマイトマイシンCなどのマイトマイシン、DHFR阻害剤、メトトレキセート及びトリメトトレキセートなどの抗葉酸薬を含む代謝拮抗物質、マイコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、EICARを含むIMPデヒドロゲナーゼ阻害剤、ヒドロキシウレア、デフェロキサミンなどのリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、ウラシル類似体、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジン及びラチトレキセド(ratitrexed)を含むピリミジン類似体、シタラビン(ara C)、シトシンアラビノシド及びフルダラビンなどのシトシン類似体、メルカプトプリンなどのプリン類似体、チオグアニン、受容体アンタゴニスト、抗エストロゲンタモキシフェン、ラロキシフェン及びメゲストロールを含むホルモン治療、ゴスクルクリン(goscrclin)及び酢酸ロイプロリドなどのLHRHアゴニスト、フルタミド及びビカルタミドなどの抗アンドロゲン、レチノイド/デルトイド(deltoid)、EB1089、CB1093及びKH1060を含むビタミンD3類似体、ベルトポルフィン(BPD−MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、デメトキシ−ヒポクレリン(hypocrellin)A(2BA−2−DMHA)を含む光動力治療、インターフェロンα、インターフェロンγ、腫瘍壊死因子を含むサイトカイン、さらに、ロバスタチンなどのイソプレニル化阻害剤、1−メチル−4−フェニルピリジニウムイオンなどのドーパミン作動性神経毒、スタウロスポリンなどの細胞周期阻害剤、アクチノマイシンD及びダクチノマイシンなどのアクチノマイシン、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2及びペプロマイシンなどのブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン(Zorubicin)及びマイトキサントロンなどのアンスラサイクリン、ベラパミルなどのMDR阻害剤並びにサプシガルギンなどのCa2+ATPアーゼを含む抗腫瘍活性を有する他の化合物が含まれる。
【0105】
治療薬は、抗ウイルス薬であってもよい。有効な抗ウイルス薬には、これらに限られないが、ジドブジン、アシクロビル、ガングシクロビル(gangcyclovir)、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン及びリバビリンなどのヌクレオシド類似体、さらに、フォスカルネット、アマンタジン、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル及びアルファ−インターフェロンが含まれる。
【0106】
治療薬は、抗炎症薬であってもよい。有効な抗炎症薬には、これらに限られないが、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、ジフルニサル、サルサレート、オルサラジン、スルファサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、メフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、トルメチン、ケトロラク、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ピロキシカム、メロキシカム、アムピロキシカム、ドロキシカム、ピボキシカム(pivoxicam)、テノキシカム、ナブメトム、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アンチピリン、アミノピリン、アパゾン及びニメスリドなどの非ステロイド系抗炎症薬;これらに限られないが、ジレウトン、アウロチオグルコース、チオリンゴ酸ナトリウム金及びアウラノフィンを含むロイコトリエンアンタゴニスト;並びにこれらに限られないがコルヒチン、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン及びベンズブロマロンを含む他の抗炎症薬が含まれる。
【0107】
次の非限定的実施例により、本発明をさらに詳述する。
[実施例]
【0108】
当技術分野で既に知られている方法を使用して、式(IV)の触媒を合成することができる。複素環化合物は、天然又は合成プロリンから合成することができた。式(IVa)で示されるテトラゾール誘導体は、報告されている方法により合成することができた(Tetrahedron Lett., vol. 36, 7115-7118, (1995); and J. Med. Chem., vol. 28, 1067-1071, (1985))。例えば、アンモニアと反応させることを介して、市販のN−(ベンジルオキシカルボニル)−L−プロリンをアミドに変換し、オキシ塩化リンを用いて脱水すると、ニトリルが得られる。得られたニトリルをアジ化ナトリウムで処理すると、テトラゾールが得られ、Cbz(ベンジルオキシカルボニル)基をHBr/AcOH又はPd/C、Hを用いて脱保護すると、式(IVa)で示されるテトラゾール誘導体が得られる。この調製スキームの例を、下記に示す:
【0109】
L−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾール(式(IVa)の触媒)の調製
N−ベンジルオキシカルボニル−L−プロリンアミドの調製
炭酸水素アンモニウム(1.26当量)をカルボベンジルオキシ−L−プロリン(1当量)、ピリジン及びBocO(1.30当量)からなる攪拌アセトニトリル溶液に加え、20時間攪拌する。
【化29】

溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、MgSO上で乾燥させ、真空蒸発させると、N−ベンジルオキシカルボニル−L−プロリンアミドが無色の結晶として得られる。H NMR(CDCl,400MHz)δ7.36(m,5H,Ar−H)、6.71(s,1H,NHH)、5.81(s,1H,NHH)、5.20(d,1H,J=12Hz,OCHH)、5.15(d,1H,J=12Hz,OCHH)、4.32(m,1H,NCH)、3.53(m,2H,NCH)、1.91〜2.33(m,4H,CHCH);
【0110】
N−ベンジルオキシカルボニル−L−プロリンニトリルの調製
【化30】

−5〜−10℃、N下で、ジクロロメタン中のオキシ塩化リンを10分掛けて、N−ベンジルオキシカルボニル−L−プロリンアミドの無水ピリジン溶液に加えた。混合物を−5〜−10℃で1時間攪拌し、次いで、氷に注ぎ、飽和硫酸銅溶液及び飽和塩化ナトリウム溶液で抽出し、MgSO上で乾燥させ、真空蒸発させると、N−ベンジルオキシカルボニル−L−プロリンニトリルが淡黄色のオイルとして得られた。H NMR(CDCl,400MHz)δ7.96(d,2H,J=7.2Hz,Ar−H)、7.90(t,1H,J=7.2Hz,Ar−H)、7.77(t,2H,J=8.0Hz,Ar−H)、4.80(t,1H)、3.28〜3.36(m,2H)、2.34〜2.52(m,1H)、2.04〜2.20(m,3H);
【0111】
N−ベンジルオキシカルボニルピロリジン−L−2−イル−1H−テトラゾールの調製
【化31】

N−ベンジルオキシカルボニル−L−プロリンアミド(1当量)、アジ化ナトリウム(1.04当量)、塩化アンモニウム(1.1当量)及び無水DMFを含む混合物をN下に90〜95℃で6時間攪拌した。混合物を氷に注ぎ、希HClを用いてpH2に酸性化し、CHClで抽出した。CHCl層を水及び飽和塩化ナトリウムで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空蒸発させると、粗製物質が得られた。この粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、純粋なN−ベンジルオキシカルボニルピロリジン−L−2−イル−1H−テトラゾールにした。H NMR(CDCl,400MHz)δ7.37(s,5H)、5.20(m,3H)、3.55(m,2H)、2.06〜2.34(m,4H)。
【0112】
L−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールの調製
【化32】

酢酸/水(9:1)中のN−ベンジルオキシカルボニルピロリジン−L−2−イル−1H−テトラゾール及び炭素に担持されている10%パラジウムをH下に室温で4時間攪拌した。混合物をセライトで濾過し、濾液を真空蒸発させると、粗製のL−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールが得られ、これを、酢酸及びジエチルエーテルから再結晶させた。[α]25+14.1°(c=0.12,MeOH);H NMR(CDOD,400MHz)δ4.82(m,2H)、3.33(m,2H)、2.39(m,1H)、2.02〜2.41(m,3H);13C NMR(CDOD,100MHz)δ159.6、56.2、46.6、31.1、24.8。
【0113】
式(IV)のテトラゾール誘導体は、Organic Letters, 2001, Vol. 3, No. 25, 4091-4094; Organic Letters, 2002, Vol. 4 No. 15, 2525〜2527に報告されている方法に従い調製することもできる。
[実施例1]
【0114】
L−ピロリジンベースのテトラゾール触媒(式IVa)を使用して、ケトンをO−ニトロソアルドール反応させてニトロソベンゼンにするための一般的な手順
ピロリジンベースのテトラゾール触媒(5モル%)及びケトン(1.5mmol、3当量)の室温DMSO(1ml)溶液に、ニトロソベンゼン(0.5mmol、1当量)のDMSO(1mL)溶液を1時間掛けて滴加した。TLC(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により測定して、ニトロソベンゼンが完全に消費されるまで(1時間)、生じた混合物をこの温度で攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷飽和NHCl溶液に注いだ。水性層を酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、冷却しながらNaSO上で乾燥させ、濾過した後に減圧下に濃縮した。酢酸エチル及びヘキサンからなる混合物を溶離液として使用して、Florisil(登録商標)(上層)及びシリカゲル(下層)を充填されている2層カラムで残留粗製生成物をクロマトグラフィー処理すると、生成物が得られた。
[実施例2]
【0115】
L−ピロリジンベースのテトラゾール触媒(式IVa)を使用して、アルデヒドをO−ニトロソアルドール反応させてニトロソベンゼンにするための一般的な手順
ピロリジンベースのテトラゾール触媒(10モル%)の室温アセトニトリル(1ml)溶液に、ニトロソベンゼン(1当量、0.5mmol)を少量ずつ加え、室温で10分間攪拌した。次いで、この緑色の不均一溶液に、アルデヒド(3当量、1.5mmol)を1回で加えた。TLC(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により測定して、ニトロソベンゼンが完全に消費されるまで(15〜30分)、生じた混合物をこの温度で攪拌した。次いで、反応を、NaBHのメタノール懸濁液に0℃で移した。20分後に、反応混合物を飽和NHCl溶液に注いだ。水性層をジエチルエーテル(20ml×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を冷却しながらNaSO上で乾燥させ、濾過した後に減圧下に濃縮した。酢酸エチル及びヘキサンからなる混合物を溶離液として使用して、シリカゲルを充填されているカラムで残留粗製生成物をクロマトグラフィー処理すると、生成物が得られた。
[実施例3]
【0116】
α−ヒドロキシシクロヘキサノンを合成するための一般的な手順
ピロリジンベースのテトラゾール触媒(5モル%)及びシクロヘキサノン(3当量、1.5mmol)の室温DMSO(1ml)溶液に、ニトロソベンゼン(1当量、0.5mmol)のDMSO(1mL)溶液を1時間掛けて滴加した。TLC(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により測定して、ニトロソベンゼンが完全に消費されるまで(1時間)、生じた混合物をこの温度で攪拌した。0℃まで冷却した後に、CuSO(0.3当量)及びMeOH(3mL)を加え、0℃で10時間攪拌した。冷却ブライン(20ml)により反応混合物をクエンチし、水性層を酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、冷却しながらNaSO上で乾燥させ、濾過した後に減圧下に濃縮した。酢酸エチル及びヘキサンからなる混合物を溶離液として使用して、シリカゲルで残留粗製生成物をクロマトグラフィー処理すると、生成物が得られた。
[実施例4]
【0117】
1,2−シクロヘキサンジオールを合成するための一般的な手順
α−ヒドロキシシクロヘキサノン8a(1当量、0.8mmol)のMeOH(1mL)溶液を0℃で、NaBHのメタノール懸濁液に加え、この温度で1時間攪拌した。次いで、反応混合物を飽和NHCl溶液に注ぎ、水性層をジエチルエーテル(20mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を冷却しながらNaSO上で乾燥させ、濾過した後に減圧下に濃縮した。酢酸エチル及びヘキサンからなる混合物を溶離液として使用して、シリカゲルを充填されたカラムで残留粗製生成物をクロマトグラフィー処理すると、生成物が得られた。
【0118】
3−フェニル−プロパン−1,2−ジオール、9fを合成するための一般的な手順。2−N−フェニルアミノオキシ−3−フェニルプロパン−1−オール8f(1当量)のMeOH(1mL)溶液を、CuSO(0.3当量)のメタノール懸濁液に0℃で加え、この温度で3時間攪拌した。冷却ブライン(20mL)で反応混合物をクエンチし、水性層を酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、冷却しながらNaSO上で乾燥させ、濾過した後に減圧下に濃縮した。酢酸エチル及びヘキサンからなる混合物を溶離液として使用して、シリカゲルで残留粗製生成物をクロマトグラフィー処理すると、生成物が得られた。
【0119】
他のケトン及びアルデヒドを使用して、その他のO−ニトロソアルドール反応をさらに調べた(下記の図1及び実施例5aから12a)。ニトロソベンゼンと過剰のシクロヘキサノンとの反応において、L−ピロリジン−テトラゾール(式(IVa))5モル%を用いると、最適な結果が得られた(実施例5a;94%、>99%ee)。他の置換シクロヘキサノン(実施例6a、6b及び6c)も、式(IVa)の触媒(5モル%)の存在下に順調に反応して、収率87〜97%及び>99%eeでO−付加生成物をもたらした。非環式ケトン(実施例9a及び9b)及びアルデヒド(実施例10a〜12a)を使用した場合も、エナンチオ選択性は、優れたレベルで維持されたが、O−ニトロソアルドール生成物の収率は、N−付加生成物(実施例9b参照)及びアゾキシダイマー副産物(下記の表3の化合物5c参照)が生じることにより、中程度であった。しかしながら、触媒10〜20モル%を使用すると、収率67〜75%が得られた。
【0120】

[実施例5a]
【0121】
2−(N−フェニルアミノオキシ)シクロヘキサン
【化33】

ヘキサン:酢酸エチル(10:1)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製で、黄色味がかった粉末として得られた。TLC R=0.30(3:1 ヘキサン:酢酸エチル);[α]27+122.0°(c=2.83,CHCl);IR(CHCl)3021、2951、2872、1722、1603、1495、1132、1100、1073、1028、928cm−1H NMR(CDCl,300MHz)δ7.82(s,1H,NH)、7.25(t,2H,J=8.4Hz,Ar−H)、6.94(t,3H,J=8.1Hz,Ar−H)、4.35(q,1H,J=6.0Hz,CH)、2.34〜2.48(m,2H,CH)、2.00〜2.02(m,2H,CH)、1.71〜1.79(m,4H,CH);13C NMR(CDCl,75MHz)δ209.9、148.0、128.8(2C)、122.0、114.3(2C)、86.2、40.8、32.5、27.2、23.7;元素分析:C1215NOの計算値:C,70.22;H,7.37;N,6.82。実測値:C,70.22;H,7.42;N,6.91。Chiralcel ADカラムを備えたHPLC(40:1のヘキサン:2−プロパノール)により、1.0ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=34.3分、少量鏡像異性体t=28.1分。
[実施例6a]
【0122】
2−(N−フェニルアミノオキシ)テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン
【化34】

ヘキサン:酢酸エチル(5:1)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、黄色味がかった粉末が得られた。TLC R=0.079(5:1 ヘキサン:酢酸エチル);[α]27+63.0°(c=0.2,CHCl);IR(CHCl)3262、2990、2886、1708、1659、1587、1478、1273、1125、1081、988、968、860cm−1H NMR(CDCl,400MHz)δ7.77(s,1H,NH)、7.26(t,2H,J=7.8Hz,Ar−H)、6.97(t,1H,J=7.4Hz,Ar−H)、6.92(d,2H,J=7.8Hz,Ar−H)、4.48〜4.52(m,1H,CH)、4.40〜4.45(m,1H,CH)4.16〜4.19(m,1H,CH)、3.66〜3.74(m,2H,CH)、2.66〜2.71(m,1H,CH)、2.57(td,1H,J=2.9,14.3 CH);13C NMR(CDCl,100MHz)δ205.4、147.7、128.9(2C)、122.5、114.7(2C)、83.5、70.0、68.1、42.3;MS(CI):C1113NO(M+H)の正確な質量計算値:208.1。実測値:208.1。Chiralcel AD−Hカラムを備えたHPLC(9:1のヘキサン:2−プロパノール)により、1.0ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=19.8分、少量鏡像異性体t=26.5分。
[実施例7a]
【0123】
7−(N−フェニルアミノオキシ)1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカン−8−オン
【化35】

ヘキサン:酢酸エチル(7:1)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、黄色味がかった粉末が得られた。TLC R=0.18(3:1 ヘキサン:酢酸エチル);[α]27+40.6°(c=2.3,CHCl);IR(CHCl)3164、2989、1855、1764、1580、1382、861cm−1H NMR(CDCl,400MHz)δ7.84(s,1H,NH)、7.24(t,2H,J=7.5Hz,Ar−H)、6.92(t,3H,J=8.1Hz,Ar−H)、4.64(q,1H,J=5.7Hz,CH)、4.05(s,4H,CH)、2.65〜2.81(m,1H,CH)、2.42〜2.50(m,4H,CH)、1.99〜2.05(m,1H,CH);13C NMR(CDCl,100MHz)δ210.3、147.9、128.8(2C)、122.0、114.3(2C)、107.5、82.6、64.6、64.5、39.6、35.9、34.3;MS(CI):C1417NO(M+H)の正確な質量計算値:264.0。実測値:264.10。Chiralcel ADカラムを備えたHPLC(9:1のヘキサン:2−プロパノール)により、0.5ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=20.2分、少量鏡像異性体t=23.2分。
[実施例8a]
【0124】
1−フェニルアセチル−3−(N−フェニルアミノオキシ)ピペリジン−4−オン
【化36】

(5d、エントリー4、表2)。ヘキサン:酢酸エチル(3:1)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、黄色味がかったオイルが得られた。TLC R=0.10(2:1 ヘキサン:酢酸エチル);[α]30+25.7°(c=0.7,CHCl);IR(非希釈)3269、3033、2954、1710、1649、1547、1480、1411、1365、1277、1110、986、910cm−1H NMR(CDCl,400MHz)δ7.75(bs,1H,NH)、7.25〜7.37(m,8H,Ar−H)、7.22(t,2H,J=7.5Hz,Ar−H)、6.94(t,2H,J=7.4Hz,Ar−H)、4.36(b,1H,CH)、3.75(t,2H,CH)、3.55(q,1H,CH)、3.37〜3.44(m,1H,CH)、2.55(b,2H,CH)、2.41(b,2H,CH);13C NMR(CDCl,100MHz)δ205.4、155.1、136.4、128.8(3C)、128.4、128.2、127.9(2C)、122.3、114.5(2C)、82.9、67.9、64.5、47.0、43.7、42.9、40.8;MS(CI):C1920(M−H)の正確な質量計算値:323.1。実測値:323.1。Chiralcel AD−Hカラムを備えたHPLC(9:1のヘキサン:2−プロパノール)により、1.0ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=36.5分、少量鏡像異性体t=26.0分。
[実施例9a]
【0125】
3−(N−フェニルアミノオキシ)ブタン−2−オン
【化37】

ヘキサン:酢酸エチル(10:1)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、黄色味がかったオイルが得られた。TLC R=0.20(5:1 ヘキサン:酢酸エチル);[α]25+57.4°(c=3.8,CHCl);IR(非希釈)3572、1815、1765、1711、1582、1484、1382、837、780cm−1H NMR(CDCl,400MHz)δ7.37(s,1H,NH)、7.26(t,2H,J=7.4Hz,Ar−H)、6.96(t,3H,J=8.5Hz,Ar−H)、4.43(q,1H,CH)、2.20(s,3H,CH)、1.42(d,3H,J=7.0Hz,CH);13C NMR(CDCl,100MHz)δ209.6、148.2、129.3(2C)、122.7、114.8(2C)、84.8、25.9、15.8;MS(EI):C1013NO(M)の正確な質量計算値:179。実測値:179。Chiralcel AD−Hカラムを備えたHPLC(40:1のヘキサン:2−プロパノール)により、0.5ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=45.2分、少量鏡像異性体t=47.6分。
[実施例9b]
【0126】
3−(N−フェニルヒドロキシアミノ)ブタン−2−オン
【化38】

ヘキサン:酢酸エチル(10:1)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、黄色味がかったオイルが得られた。TLC R=0.15(5:1 ヘキサン:酢酸エチル);[α]25−6.3°(c=0.12,CHCl);IR(非希釈)3623、3141、1855、1659、1580、1468、1291、1161、852cm−1H NMR(CDCl,400MHz)δ7.32(t,2H,J=7.4Hz,Ar−H)、7.10(d,2H,J=7.7Hz,Ar−H)、6.97(t,1H,J=7.6Hz,Ar−H)、5.80(s,1H,N−OH)、4.24(q,1H,J=7.6Hz,CH)、2.26(s,3H,CH)、1.31(d,3H,J=6.7Hz,CH);13C NMR(CDCl,100MHz)δ209.4、150.7、129.3(2C)、122.3、116.5(2C)、69.98、27.4、10.8;MS(EI):C1013NO(M)の正確な質量計算値:179。実測値:179。Chiralcel AD−Hカラムを備えたHPLC(40:1のヘキサン:2−プロパノール)により、0.5ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=28.9分、少量鏡像異性体t=25.9分。
[実施例10a]
【0127】
3−フェニル−2−(N−フェニルアミノオキシ)−プロパノール−1−オール
【化39】

ヘキサン:酢酸エチル(6:1)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、黄色味がかったオイルが得られた。TLC R=0.27(2:1のヘキサン:酢酸エチル);[α]20+26.0(c=1.07,CHCl);IR(非希釈)3314、2976、2862、1599、1491、1452、1402、1250、1105、1039、910.5;H δ7.40〜7.12(m,8H)、6.94(t,J=7.2Hz,1H)、6.82(dd,J=0.9,8.7Hz,1H)、4.13(dddd,J=2.7,6.9,6.3,6.3Hz,1H)、3.85(dd,J=2.7,12Hz,1H)、3.71(dd,J=5.7,12Hz,1H)、3.04(dd,J=6.9,13.8Hz,1H)、2.84(dd,J=6.9,13.8Hz,1H);13C NMR(75MHz,CDCl)δ148.2、137.7、129.4、128.9、128.4、126.4、122.3、114.5、84.9、64.1、36.3;HRMS:(C1217NO)の正確な質量計算値としてm/z 243.1259が必要、実測値m/z 243.1251。Chiralcel ADカラムを備えたHPLC(95:5のヘキサン:エタノール)により、1.0ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=42.8分、少量鏡像異性体t=40.1分。
[実施例11a]
【0128】
3−メチル−2−(N−フェニルアミノオキシ)−ブタン−1−オール
【化40】

ヘキサン:酢酸エチル(4:1)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、黄色味がかったオイルが得られた。TLC R=0.22(2:1のヘキサン:酢酸エチル);[α]20+18.3(c=1.03,CHCl);IR(非希釈)3400、3269、3047、2963、2878、1599、1491、1468、1412、1238、1051、1024、978.0、908.6、771.6、735.0、694.5cm−1H NMR(300MHz)δ7.38〜7.20(m,3H)、7.10〜6.95(m,3H)、3.92〜3.85(m,2H)、3.80〜3.70(m,1H)、2.65(t,J=5.7Hz,1H)、2.12〜1.95(m,1H)、1.05(d,J=6.9Hz,3H)、1.01(d,J=6.9Hz,3H);13C NMR(75MHz,CDCl)δ148.2、128.9、122.3、114.8、88.5、63.4、28.6、18.7、18.5;HRMS:(C1117NO)の正確な質量計算値としてm/z 195.1259が必要、実測値m/z 195.1239。Chiralcel ADカラムを備えたHPLC(95:5のヘキサン:エタノール)により、1.0ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=16.2分、少量鏡像異性体t=14.8分。
[実施例12a]
【0129】
2−(N−フェニルアミノオキシ)−ヘキサン−1−オール
【化41】

ヘキサン:酢酸エチル(6:1)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、黄色味がかったオイルが得られた。TLC R=0.36(2:1のヘキサン:酢酸エチル);[α]20+14.1(c=1.08,CHCl);IR(非希釈)3377、3144、2955、1601、1493、1464、1377、1240、1030、902.8、769.7;H NMR(300MHz,CDCl)δ7.34〜7.20(m,2H)、7.04〜6.94(m,3H)、3.96(dddd,J=2.4,6.6,6.6,6.6Hz,1H)、3.91〜3.72(m,2H)、2.48(m,1H)、1.80〜1.20(m,7H)、0.92(t,J=6.6Hz,3H);13C NMR(75MHz,CDCl)δ148.3、128.8、122.1、114.5、83.8、64.9、29.5、27.8、22.7、13.8;HRMS:(C1219NO)の正確な質量計算値としてm/z 209.1416が必要、実測値m/z 209.1401。Chiralcel ADカラムを備えたHPLC(95:5のヘキサン:エタノール)により、1.0ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=19.5分、少量鏡像異性体t=17.9分。
【0130】

DMSO中でIVaを5モル%、ニトロソベンゼンを1.0当量及び4を3当量用いて、室温で反応を行った。
† DMSO中でIVaを20モル%用いて、室温で反応を行った。
‡ MeCN中でIVaを10モル%用いて、室温で反応を行った。
§ MeCN中でIVaを20モル%用いて、室温で反応を行った。
¶ 単離収率。
生成物を還元した後に得られた対応する1級アルコールの単離収率により決定。
** 単離された各異性体の収率により決定。
†† HPLCにより決定(補足情報)。
§§ 対応するジオールに変換した後に決定(補足情報)。
【0131】
ニトロソベンゼンとピロリジンエナミンとをベンゼン中0℃で反応させると、新規の中間体1が得られ、これを、酢酸に曝すことにより、第2の中間体2に変えた。この中間体2は、通常の後処理の後に、アミノオキシケトンに変換することができた(図1)。この変換に関して、様々な溶媒と温度との組合せを調べたところ、DMSOが、アゾキシダイマー副産物を産生することなく、アミノオキシケトンを得るために最も適した溶媒であることが判明した。DMSO−dでのH NMR試験により、d4.1から4.4ppmへのエナミンオレフィンプロトンのダウンフィールドシフト、アミノオキシNHによるd8.2ppmでの1個のプロトンのブロード一重項及びd4.3ppmでのピロリジンa−位での1個のプロトンの三重項(J=4.5Hz)が判明し、これは、中間体1(32)の形成を示している。酢酸で処理した後に、単一の新規種への完全な変換が観察される。これは、イミニウム塩2(33、34)とされる;δ4.3から5.3ppmへの著しいダウンフィールドシフト(イミニウム基のα−プロトン)及びδ4.4ppm三重項の消失(35)。後処理の後に、イミニウム塩2を加水分解して(hydrized)、α−アミノオキシケトンにすることができる。
【0132】

図2.中間体の考えられる構造
プロリンに触媒されるニトロソベンゼンとアルデヒドとの報告された反応と共に、この情報により、我々は、ピロリジンベースのブレンステッド酸触媒を使用して、シクロヘキサノンの起こりうるエナンチオ選択的O−ニトロソアルドール合成を試験するようになった。様々な触媒を用いた結果を、表2にまとめる。数種の置換ピロリジン−TFA(IVb〜IVd)は、室温での1日の後ではニトロソアルドールプロセスを触媒することはできなかった。ジアミン−プロトン酸触媒(IVe)は、R配置を伴うO−付加生成物をもたらしたが、触媒のターンオーバーはもたらさなかった。プロリン(IVf)及びピロリジンベースのテトラゾール(IVa)は、O−ニトロソアルドール付加生成物に、有望なレベルの位置選択及びS配置を伴うエナンチオ選択をもたらした。特に、テトラゾール触媒は、比較的高い反応性によりさらに魅力的であることが判明した。アミノオキシケトンに関する完全なエナンチオ選択性を利用する次の比較実験により、反応性の差異が明らかに証明された。混合触媒としての3モル%のL−ピロリジンベースのテトラゾール及びD−プロリン下では、収率81%、主にテトラゾール触媒から32%ee(S/R=66:34)で、O−ニトロソアルドール生成物が単離された。下記の図4参照。
【0133】

【0134】

触媒量のIV、ニトロソベンゼン1.0当量及びシクロヘキサノン3当量をDMSO中、室温で用いて、反応を行った。
† 単離収率。
‡ 単離された各異性体の収率により決定。
§ HPLC、CHIRALPAK ADにより決定。
¶ 対応するジオールに変換した後に決定。
【0135】

【0136】
α−アミノオキシ化合物の絶対配置を、対応するジオールに還元することにより決定したが(図5−eq9、10)、このことにより、ケトン及びアルデヒド生成物とは逆の絶対配置が明らかになった。この観察は、出発カルボニル化合物の選択に応じた異なる遷移状態を示していた。これらの結果は、次のように説明することができる:ピロリジンエナミンの立体(及び/又は電子的)安定性により、ケトン又はアルデヒドに由来する大抵の安定なエナミン配座異性体は、図6に示されているようになる。理論に結びつけられることは望まないが、ニトロソベンゼンの反応は、酸性プロトンによるニトロソベンゼンの直接的な活性化(10a、10b)によるか、アミン−ニトロソベンゼン錯化を介し、それに続く再配置による間接的な経路により(10a’、10b’)、テトラゾール(又はカルボン酸)の同じ側から進みうる。
【0137】

【0138】

【0139】
アルデヒドだけでなく、ケトンでも、ピロリジン−テトラゾール触媒を使用して、O−ニトロソアルドール合成を展開させた。テトラゾール触媒における適切なブレンステッド酸性により、高い鏡像異性体過剰率及び反応性の両方が触媒反応で実現された。ピロリジンエナミンから得られたO−ニトロソアルドール付加生成物の完全で立体選択的な変換を同定することにより、キラルアミン触媒を使用して触媒によるエナンチオ選択的経路を達成するための必須情報が得られた。このO−ニトロソアルドール合成は、ピロリジンベースの有機触媒への新規の入口を提供し、小さいアミンとニトロソ化合部との関係に関する貴重な情報をもたらすと考えられる。
【0140】
本発明により得ることができるα−アミノオキシアルデヒドの例には、これらに限られないが、次のものが含まれる:
(N−イソブチルアミノオキシ)アセトアルデヒド、
[N−(1,1−ジメチルブチル)]アミノオキシアセトアルデヒド、
(N−フェニルアミノオキシ)アセトアルデヒド、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)プロパナール、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]プロパナール、
2−N−フェニルアミノオキシプロパナール、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)ブタナール、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−2−メチルプロパナール、
2−(N−フェニルアミノオキシ)2−メチルプロパナール、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)−4−メチルブタナール、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−4−メチルブタナール、
2−(N−フェニルアミノオキシ)−4−メチルブタナール2−(N−イソブチルアミノオキシ)ヘキサナール、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシヘキサナール、
2−(N−フェニルアミノオキシ)ヘキサナール、2−(N−イソブチルアミノオキシ)ヘプタナール、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシヘプタナール、
2−(N−フェニルアミノオキシ)ヘプタナール、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)オクタナール、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシオクタナール、
2−(N−フェニルアミノオキシ)オクタナール、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)ノナナール、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシノナナール、
2−(N−フェニルアミノオキシ)ノナナール、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)デカナール、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシデカナール、
2−(N−フェニルアミノオキシ)デカナール、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)ウンデカナール、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシウンデカナール、
2−(N−フェニルアミノオキシ)ウンデカナール、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)ドデカナール、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシドデカナール、
2−(N−フェニルアミノオキシ)ドデカナール、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)トリデカナール、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシトリデカナール;及び
2−(N−フェニルアミノオキシ)トリデカナール。
【0141】
α−アミノオキシアルデヒドとして得ることができる化合物の例には、これらに限られないが、次のものが含まれる:
2,3−ビス(N−イソブチルアミノオキシ)ブタンジアール、
2,3−ビス[N−1,1−ジメチルブチル]アミノオキシ]ブタンジアール、
2,3−ビス[N−フェニルアミノオキシ]ブタンジアール、
2−N−イソブチルアミノオキシ−2−プロペナール、
2−N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−2−プロペナール、
2−N−フェニルアミノオキシ−2−プロペナール、
2−N−イソブチルアミノオキシ−2−ブテナール、
2−N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−2−ブテナール、
2−N−フェニルアミノオキシ−2−ブテナール、
3−フェニル−2−N−イソブチルアミノオキシ−2−プロペナール、
3−フェニル−2−N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−2−プロペナール;及び
3−フェニル−2−N−フェニルアミノオキシ−2−プロペナール。
【0142】
本発明により得ることができるα−アミノオキシケトンの例には、これらに限られないが、次のものが含まれる:
(N−イソブチルアミノオキシ)アセトン、
[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]アセトン、
(N−フェニルアミノオキシ)アセトン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)ブタン−2−オン、
3−[N−(1,1ジメチルブチル)アミノオキシ]ブタン−2−オン、
(N−フェニルアミノオキシ)ブタン−2−オン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)ペンタン−2−オン、
3−[N−(1,1ジメチルブチル)アミノオキシ]ペンタン−2−オン、
(N−フェニルアミノオキシ)ペンタン−2−オン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)−4−メチルブタン−2−オン、
3−[N−(1,1ジメチルブチル)アミノオキシ]−4−メチルブタン−2−オン、
(N−フェニルアミノオキシ)−4−メチルブタン−2−オン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)ヘキサン−2−オン、
3−[N−(1,1ジメチルブチル)アミノオキシ]ヘキサン−2−オン、
(N−フェニルアミノオキシ)ヘキサン−2−オン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)−4−メチルペンタン−2−オン、
3−[N−(1,1ジメチルブチル)アミノオキシ]−4−メチルペンタン−2−オン、
(N−フェニルアミノオキシ)−4−メチルペンタン−2−オン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)−ペンタン−3−オン、
3−[N−(1,1ジメチルブチル)アミノオキシ]−ペンタン−3−オン、
(N−フェニルアミノオキシ)−ペンタン−3−オン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)−2,4−ジメチルペンタン−3−オン、
3−[N−(1,1ジメチルブチル)アミノオキシ]−2,4−ジメチルペンタン−3−オン、
(N−フェニルアミノオキシ)−2,4−ジメチルブタン−3−オン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)ウンデカン−2−オン、
3−[N−(1,1ジメチルブチル)アミノオキシ]ウンデカン−2−オン;及び
(N−フェニルアミノオキシ)ウンデカン−2−オン。
【0143】
本発明により得ることができるα−アミノオキシケトンの例には、これらに限られないが、次のものが含まれる:
3−N−イソブチルアミノオキシ−2−ブテン−2−オン、
3−N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−3−ブテン−2−オン、
3−N−フェニルアミノオキシ−3−ブテン−2−オン、
3−N−イソブチルアミノオキシ−4−メチル−3−ペンテン−2−オン、
3−N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−4−メチル−3−ペンテン−2−オン、
3−N−フェニルアミノオキシ−4−メチル−3−ペンテン−2−オン、
1−フルオロ−1−(N−イソブチルアミノオキシ)アセトン、
1−フルオロ−1−[N−(1,1ジメチルブチル)アミノオキシ]アセトン、
1−フルオロ−1−(N−フェニルアミノオキシ)アセトン、
1−クロロ−1−(N−イソブチルアミノオキシ)アセトン、
1−クロロ−1−{N−(1,1ジメチルブチル)アミノオキシ}アセトン、
1−クロロ−1−(N−フェニルアミノオキシ)アセトン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)−2,4−ペンタンジオン、
3−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−2,4−ペンタンジオン、
3−(N−フェニルアミノオキシ)−2,4ペンタンジオン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)シクロブタノン、
3−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]シクロブタノン、
3−(N−フェニルアミノオキシ)シクロブタノン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)シクロペンタノン、
3−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]シコペンタノン、
3−(N−フェニルアミノオキシ)シクロペンタノン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)シクロヘキサノン、
3−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]シクロヘキサノン、
3−(N−フェニルアミノオキシ)シクロヘキサノン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)−2−メチルシクロヘキサノン、
3−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−2−メチルシクロヘキサノン、
3−(N−フェニルアミノオキシ)−2−メチルシクロヘキサノン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)シクロデカノン、
3−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]シクロデカノン、
3−(N−フェニルアミノオキシ)シクロデカノン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)−2−ノルボルナノン、
3−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−2−ノルボルナノン、
3−(N−フェニルアミノオキシ)−2−ノルボルナノン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)−2−アダマンタノン、
3−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−2−アダマンタノン、
3−(N−フェニルアミノオキシ)−2−アダマンタノン。
2−(N−イソブチルアミノオキシ)−4−テトラヒドロピラノン、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−4−テトラヒドロピラノン、
2−(N−フェニルアミノオキシ)−4−テトラヒドロピラノン、
7−(N−イソブチルアミノオキシ)−スピロ[4.5]−1,4−ジオキシ−デカン−8−オン、
7−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]スピロ[4.5]−1,4−ジオキシデカン−8−オン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)−1−ベンジルカルボニルピペリジン−4−オン、
3−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−1−ベンジルカルボニルピペリジン−4−オン、
3−(N−フェニルアミノオキシ)−1−ベンジルカルボニルピペリジン−4−オン、
3−(N−イソブチルアミノオキシ)−4−フェニルブタン−2−オン、
3−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−4−フェニルブタン−2−オン、
3−(N−フェニルアミノオキシ)−4−フェニルブタン−2−オン、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)−1−インダノン、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−1−インダノン、
2−(N−フェニルアミノオキシ)−1−インダノン、
1−(N−イソブチルアミノオキシ)−2−インダノン、
1−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−2−インダノン、
1−(N−フェニルアミノオキシ)−2−インダノン、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)−1−ケトテトラヒドロナフタレン、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−1−ケトテトラヒドロナフタレン、
1−(N−フェニルアミノオキシ)−1−ケトテトラヒドロナフタレン、
1−(N−イソブチルアミノオキシ)−2−ケトテトラヒドロナフタレン、
1−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−2−ケトテトラヒドロナフタレン、
1−(N−フェニルアミノオキシ)−2−ケトテトラヒドロナフタレン、
1−(N−イソブチルアミノオキシ)−7−メトキシ−2−ケトテトラヒドロナフタレン、
1−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ−7−メトキシ−2−ケトテトラヒドロナフタレン、
1−(N−フェニルアミノオキシ)−7−メトキシ−2−ケトテトラヒドロナフタレン、
2’−(N−イソブチルアミノオキシ)−1’−アセトフェノン、
2’−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−1’−アセトフェノン、
2’−(N−フェニルアミノオキシ)−1’−アセトフェノン、
2’−(N−イソブチルアミノオキシ)−1’−プロピオフェノン、
2’−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−1’−プロピオフェノン、
2’−(N−フェニルアミノオキシ)−1’−プロピオフェノン、
2−(N−イソブチルアミノオキシ)−1,2−ビスフェニルエタン−1−オン、
2−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−1,2−ビスフェニルエタン−1−オン、
2−(N−フェニルアミノオキシ)−1,2−ビスフェニルエタン−1−オン、
1−(N−イソブチルアミノオキシ)−1,2−ビスフェニルブタン−1−オン、
1−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−1,2−ビスフェニルブタン−1−オン、
1−(N−フェニルアミノオキシ)−1,2−ビスフェニルブタン−1−オン、
6−(N−イソブチルアミノオキシ)−3,4−ジメチルアセトフェノン、
6−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−3,4−ジメチルアセトフェノン、
6−(N−フェニルアミノオキシ)−3,4−ジメチルアセトフェノン、
3’−(N−イソブチルアミノオキシ)−2’−アセトナフトン、
3’−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−2’−アセトナフトン、
3’−(N−フェニルアミノオキシ)−2’−アセトナフトン、
3’−(N−イソブチルアミノオキシ)−2’−クロロアセトナフトン、
3’−[N−(1,1−ジメチルブチル)アミノオキシ]−2’−クロロアセトナフトン;及び
3’−(N−フェニルアミノオキシ)−2’−クロロアセトナフトン。
【0144】
他に記載のない限り、下記の変数、式番号、表及び図番号は、環式α,β−不飽和ケトン基質及びニトロソ基質から反応生成物を製造する方法のみに関している。
【0145】
次の表及び実施例によりさらに、本発明の範囲を証明する。表1は、様々な環式α,β−不飽和ケトン及びニトロソ基質を用いて、本発明を行うことができることを証明している。さらに、表1に示されている結果により、非常に高いエナンチオ選択性を伴う良好な収率で、複素環式生成物が得られることが判明した。
【0146】

触媒20モル%、エノン1当量及びニトロソベンゼン2当量を用いて、N雰囲気下に40℃で15時間反応を行った。単離収率。ee値は、HPLC(補足情報)により決定した。L−プロリンを触媒として使用した。
[実施例]
【0147】
合成及び分光学的データ
一般的手順
他に記載のない限り、オーブン又は火炎乾燥させたガラス器中、無水窒素雰囲気下に、すべての非水性反応を実施した。他に記載のない限り、すべての反応を磁気攪拌し、F254インジケーターを備えたWhatmanプレコーティングシリカゲルフレキシブルプレート(0.25mm)又はF254インジケーターを備えたMerckプレコーティングシリカゲルプレートを使用する分析用薄層クロマトグラフィーにより監視した。インジケーターとしての過マンガン酸カリウム及び/又はニンヒドリン及び/又はリンモリブデン酸及び/又は塩化鉄溶液と組み合わせて、UV光(256nm)により可視化を達成した。E. Merckにより供給されるシリカゲル60(230〜400メッシュ)を使用して、Stillの方法に従い、フラッシュカラムクロマトグラフィーを行った。収率は、他に記載のない限り、クロマトグラフィー及び分光写真分析的に純粋な化合物に関する。
【0148】
下記の記載を除いて、市販レベルの試薬及び溶媒をさらに精製することなく使用した。テトラヒドロフラン(THF)及びエチレングリコールジエチルエーテルを、無水アルゴン雰囲気下にナトリウムベンゾフェノンケチルから蒸留した。2−シクロヘプテン−1−オンを、P下に蒸留した。1,4−ジオキサスピロ[4,5]デセ−6−エン−8−オンを報告されている方法に従い調製した(Kerr, W. J.; McLaughlin, M.; Morrison, A. J.; Pauson, P. L. Org. Lett, 2001, 3, 2945-2948)。
【0149】
Nicolet 20 SXB FTIRを使用して、赤外スペクトルを塩化ナトリウムプレート上の薄膜として記録した。H NMR及び13C NMRスペクトルをBruker Avance 400(400MHzH、100MHz 13C)、Bruker Avance 500(500MHz 1H、125MHz 13C)で記録した。化学シフト値(d)は、MeSi(d0.0ppm)に対するppmで報告する。プロトンスペクトルをdの後に報告する(多重性、プロトン数、結合定数J)。多重性は、s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、p(五重項)、h(七重項)、m(多重項)及びbr(ブロード)により示す。
【0150】
触媒(0.40モル)に、エノン(2.0mmol)、ニトロソベンゼン(4.0mmol)アセトニトリル(4.0mL)を加える。この混合物を40℃まで加温し、同じ温度で15時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、ディールスアルダー付加生成物が得られた。
[実施例1]
【0151】
8,8−ジメチル−3−フェニル−2−オキサ−3−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−6−オンの合成
【化42】

(1:9のEtOAc:ヘキサン)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製で、黄色味がかったオイルとして得られた(収率64%、99%ee。TLC R0.7(EtOAc/ヘキサン、1:5);[a]29+82.3°(c=1.10,CHCl);FTIR(CDCl)υmax 2962、1743、1595、1489、1028、992cm−1H NMR(400MHz,CDCl)d7.31(t,J=7.4Hz,2H)、7.09(d,J=8.7Hz,2H)、7.00(t,J=7.3Hz,2H)、4.18〜4.19(m,1H)、3.51〜3.53(m,1H)、2.71(dd,J=18.7Hz,J=2.7Hz,1H)、2.48(dd,J=18.7Hz,J=3.0Hz,1H)、2.31(dd,J=14.5Hz,J=3.9Hz,1H)、1.81(dd,J=14.5Hz,J=1.8Hz,1H)、1.57(s,3H)、1.47(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl)d208.1、149.9、128.9、122.4、116.6、78.2、68.4、39.8、34.9、33.1、28.6、27.2;MS(CI):C1415(M+H)の正確な質量計算値:232.1。実測値:232.1。Chiralcel ADのHカラムを備えたHPLC(97:3のヘキサン:2−プロパノール)により、0.8ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=11.1分、少量鏡像異性体t=10.6分。同じ方法を使用して、D−テトラゾール触媒を使用すると、鏡像異性体が黄色味がかったオイルとして得られた。(収率61%、99%ee)。[a]29−79.7°(c=0.56、CHCl)。
[実施例2]
【0152】
【化43】

(1:19のEtOAc:CHCl)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製で、黄色味がかったオイルとして得られた(収率61%、98%ee。TLC R0.6(EtOAc/CHCl、1:19);[a]28−5.4°(c=1.03,CHCl);FTIR(CDCl)υmax 2979、2892、1747、1597、1489、1227、1064cm−1H NMR(500MHz,CDCl)d7.31(t,J=7.4Hz,2H)、7.13(d,J=8.8Hz,2H)、7.02(t,J=7.3Hz,1H)4.32(dd,J=3.6Hz,J=2.6Hz,1H)、4.10〜4.15(m,1H)、3.97〜4.04(m,3H)、3.92(t,J=2.9Hz,1H)、2.91(dd,J=15.2Hz,J=3.9Hz,1H)、2.88(dd,J=18.5Hz,J=2.9Hz,1H)2.66(dd,J=18.5Hz,J=2.9Hz,1H)、2.28(dd,J=15.2Hz,J=2.4Hz,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)d204.9、148.9、128.8、122.9、116.8、105.5、77.9、64.9、64.8、64.4、38.7、64.5;MS(CI):C1415(M+H)の正確な質量計算値:262.1。実測値:262.1。Chiralcel AD−Hカラムを備えたHPLC(90:10のヘキサン:2−プロパノール)により、1.0ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=20.5分、少量鏡像異性体t=17.3分。
[実施例3]
【0153】
7−フェニル−6−オキサ−7−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン−9−オン
【化44】

(1:1のヘキサン:CHCl)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製で、黄色味がかったオイルとして得られた(収率51%、99%ee);TLC R 0.7(ヘキサン/CHCl,1:19);[a]29−186.5°(c=1.12,CHCl);FTIR(CDCl)υmax 2946、1736、1597、1489、1204、1102、1038、734cm−1H NMR(500MHz,CDCl)d7.31(t,J=7.4Hz,2H)、7.04(d,J=8.8Hz,2H)、6.92(t,J=7.4Hz,1H)4.60(br d,J=5.8Hz,1H)、4.36〜4.39(m,1H)、2.98(dd,J=18.1Hz,J=5.5Hz,1H)、2.43(dd,J=18.1Hz,J=2.1Hz,1H)2.07〜2.16(m,3H)、1.86〜1.96(m,1H)、1.42〜1.56(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)d207.5、150.0、129.0、121.0、114.7、83.6、56.9、38.8、30.9、29.7、18.9;MS(CI):C1315NO(M+H)の正確な質量計算値:218.1。実測値:218.1。Chiralcel AD−Hカラムを備えたHPLC(90:10のヘキサン:2−プロパノール)により、1.0ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=8.5分、少量鏡像異性体t=6.9分。
[実施例4]
【0154】
3,8,8−トリフェニル−2−オキサ−3−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−6−オン
【化45】

(1:1のヘキサン:CHCl)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製で、黄色味がかった結晶として得られた(収率56%、99%ee);TLC R 0.7(CHCl);[a]30+288.4°(c=0.97,CHCl);FTIR(CDCl)υmax 3058、2361、2337、1743、1596、1449、1394、1032、998、909cm−1H NMR(500MHz,CDCl)d7.31(t,J=7.4Hz,2H)、7.04(d,J=8.8Hz,2H)、6.92(t,J=7.4Hz,1H)4.60(br d,J=5.8Hz,1H)、4.36〜4.39(m,1H)、2.98(dd,J=18.1Hz,J=5.5Hz,1H)、2.43(dd,J=18.1Hz,J=2.1Hz,1H)2.07〜2.16(m,3H)、1.86〜1.96(m,1H)、1.42〜1.56(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)d207.5、150.0、129.0、121.0、114.7、83.6、56.9、38.8、30.9、29.7、18.9;MS(CI):C1315NO(M+H)の正確な質量計算値:355.2。実測値:355.1。Chiralcel AD−Hカラムを備えたHPLC(95:5のヘキサン:2−プロパノール)により、1.0ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=10.1分、少量鏡像異性体t=8.8分。
[実施例5]
【0155】
3−フェニル−2−オキサ−3−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−6−オン
【化46】

(1:4のEtOAc:ヘキサン)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製で、黄色味がかったオイルとして得られた(収率34%、99%ee);TLC R0.5(EtOAc/ヘキサン1:3);[a]27−216.9°(c=0.6,CHCl);FTIR(CDCl)υmax 2965、1745、1596、1488、1306、1220、1174、986cm−1H NMR(500MHz,CDCl)d7.31(t,J=7.4Hz,2H)、7.12(d,J=8.7Hz,2H)、7.00(t,J=7.3Hz,1H)4.19〜4.22(m,2H)、3.02(br d,J=18.2Hz,1H)、2.47(dd,J=18.1Hz,J=3.1Hz,1H)2.26〜2.40(m,2H)、1.91〜1.99(m,1H)、1.61〜1.68(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)d207.1、150.3、129.0、122.2、116.2、76.9、56.1、41.8、22.4、21.5;MS(CI):C1315NO(M+H)の正確な質量計算値:204.1。実測値:204.1。Chiralcel AD−Hカラムを備えたHPLC(90:10のヘキサン:2−プロパノール)により、1.0ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=23.4分、少量鏡像異性体t=10.0分。
[実施例6]
【0156】
3−(4−ブロモ−フェニル)−8,8−ジメチル−2−オキサ−3−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−6−オン
【化47】

CHClを使用する代わりに、溶媒系をCHCl/MeCN1:1(6mL)に代えて、使用した。CHClによる溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製で、黄色味がかった結晶として得られた(収率50%、99%ee);TLC R 0.6(CHCl);[a]27+68.1°(c=2.17,CHCl);FTIR(CDCl)υmax 2962、2871、1742、1587、1485、1436、1028、825cm−1H NMR(400MHz,CDCl)d7.33(d,J=8.9Hz,2H)、6.90(d,J=8.9Hz,2H)、4.10〜4.12(m,1H)、3.40〜3.42(m,1H)、2.57(dd,J=18.7Hz,J=2.7Hz,1H)2.42(dd,J=18.7Hz,J=2.9Hz,1H)2.21(dd,J=14.6Hz,J=3.9Hz,1H)1.73(dd,J=14.5Hz,J=2.3Hz,1H)1.37(s,3H)、1.01(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl)d207.4、149.1、131.8、118.2、114.8、78.3、68.3、39.7、35.0、33.1、28.6、27.2;MS(CI):C1417BrNO(M+H)の正確な質量計算値:310.0。実測値:310.0。Chiralcel AD−Hカラムを備えたHPLC(98:2のヘキサン:2−プロパノール)により、1.0ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=11.3分、少量鏡像異性体t=15.3分。
[実施例7]
【0157】
8,8−ジメチル−3−p−トリル−2−オキサ−3−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−6−オン
【化48】

(1:9のEtOAc:ヘキサン)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製で、黄色味がかった結晶として得られた(収率46%、98%ee);TLC R0.5(EtOAc/ヘキサン1:5);[a]27+44.4°(c=1.32,CHCl);FTIR(CDCl)υmax 2961、1742、1506、1028、994、817cm−1H NMR(400MHz,CDCl)d7.10(d,J=8.1Hz,2H)、6.98(d,J=8.5Hz,2H)、4.14〜4.17(m,1H)、3.42〜3.45(m,1H)、2.71(dd,J=18.7Hz,J=2.7Hz,1H)2.45(dd,J=18.7Hz,J=3.0Hz,1H)2.30(dd,J=14.4Hz,J=4.0Hz,1H)、2.29(s,3H)、1.79(dd,J=14.5Hz,J=1.8Hz,1H)1.47(s,3H)、1.07(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl)d208.3、147.6、132.0、129.4、116.8、78.2、68.6、39.9、34.7、33.1、28.6、27.3、20.6;C1520NO(M+H):246.2。実測値:246.1。Chiralcel OD−Hカラム×2を備えたHPLC(99:1のヘキサン:2−プロパノール)により、0.5ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=38.3分、少量鏡像異性体t=40.7分。
[実施例8]
【0158】
3−(3,5−ジメチル−フェニル)−8,8−ジメチル−2−オキサ−3−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−6−オン
【化49】

(1:9のEtOAc:ヘキサン)による溶離を伴うフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製で、黄色味がかった結晶として得られた(収率52%、98%ee);TLC R0.5(EtOAc/ヘキサン 1:5);[a]27+70.8°(c=0.67,CHCl);FTIR(CDCl)υmax 2961、2921、2870、1742、1595、1471、1028、1006cm−1H NMR(400MHz,CDCl)d6.70(s,2H)、6.64(s,1H)、4.14〜4.17(m,1H)、3.47〜3.51(m,1H)、2.72(dd,J=18.7Hz,J=2.7Hz,1H)2.47(dd,J=18.7Hz,J=3.0Hz,1H)2.29(dd,J=14.4Hz,J=3.9Hz,1H)、2.29(s,6H)、1.79(dd,J=14.5Hz,J=2.0Hz,1H)1.46(s,3H)、1.07(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl)d208.4、150.0、138.5、124.2、114.3、78.2、68.2、39.9、35.0、33.1、28.6、27.3、21.5;C1622NO(M+H):260.2。実測値:260.2。Chiralcel AD−Hカラムを備えたHPLC(97.5:2.5のヘキサン:2−プロパノール)により、0.4ml/分で鏡像異性体過剰率を決定した:主要鏡像異性体t=13.7分、少量鏡像異性体t=12.8分。
【0159】
本発明の様々な実施形態を詳細に記載したが、前記のパラグラフにより定義される本発明は、前記で記載された特定の詳細に限られず、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく、その多くの明白な変法が可能であることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒的不斉O−ニトロソアルドール/マイケル反応を行う方法であって、
プロリンベースの触媒の存在下に、環式α,β−不飽和ケトン基質とニトロソ基質とを反応させて、複素環式生成物を産生するステップを含む方法。
【請求項2】
環式α,β−不飽和ケトン基質が構造(I)を有する、請求項1に記載の方法
【化1】


[上式中、
はそれぞれ、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NRii、−NO、−NRii、−NRC(O)R、−NRCOii、−NRS(O)ii、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NRii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
はそれぞれ独立に、−CR−、−NR−、−O−又は−S−を表し;
及びRは、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NRii、−NO、−NRii、−NRC(O)Rii、−NRCOii、−NRS(O)ii、−SR、−S(O)Rii、−S(O)、−S(O)NRii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
及びRはそれぞれ、それらが結合している原子と一緒になって、5員、6員又は7員の複素環を形成してもよく;
は、−C−又は−S−を表し;
及びRiiはそれぞれ、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される]。
【請求項3】
環式α,β−不飽和ケトン基質が構造(II)を有する、請求項1に記載の方法
【化2】


[上式中、
はそれぞれ、水素、ハロゲン、−ORiii、−OC(O)Riii、−CN、−C(O)Riii、−COiii、−C(O)NRiiiiv、−NO、−NRiiiiv、−NRiiiC(O)Riv、−NRiiiCOiv、−NRiiiS(O)iv、−SRiii、−S(O)Riii、−S(O)iii、−S(O)NRiiiiv、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
はそれぞれ独立に、−CR−、−NR−、−O−又は−S−を表し;
及びRは、水素、ハロゲン、−ORiii、−OC(O)Riii、−CN、−C(O)Riii、−COiii、−C(O)NRiiiiv、−NO、−NRiiiiv、−NRiiiC(O)Riv、−NRiiiCOiv、−NRiiiS(O)iv、−SRiii、−S(O)Riii、−S(O)iii、−S(O)NRiiiiv、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
及びRはそれぞれ、それらが結合している原子と一緒になって、5員、6員又は7員の複素環を形成してもよく;
はC又はSを表し;
iii及びRivはそれぞれ、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される]。
【請求項4】
環式α,β−不飽和ケトン基質が構造(IIa)を有する、請求項1に記載の方法
【化3】

[上式中、
はそれぞれ、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)Rc、−CO、−C(O)NR、−NO、−NR、−NRC(O)R、−NRCO、−NRS(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
nは、0、1、2又は3であり;
及びRはそれぞれ、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される]。
【請求項5】
環式α,β−不飽和ケトン基質が構造(III)を有する、請求項1に記載の方法
【化4】


[上式中、
はそれぞれ、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NRVi、−NO、−NRVi、−NRC(O)Rvi、−NRCOVi、−NRS(O)Vi、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NRVi、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
はそれぞれ独立に、−CR−、−NR−、−O−又は−S−を表し;
及びRは、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NRvi、−NO、−NRvi、−NRC(O)Rvi、−NRCOvi、−NRS(O)vi、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NRvi、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
及びRはそれぞれ、それらが結合している原子と一緒になって、5員、6員又は7員の複素環を形成してもよく;
は、C又はSを表し;
及びRviはそれぞれ、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される]。
【請求項6】
環式α,β−不飽和ケトン基質が構造(IV)を有する、請求項1に記載の方法
【化5】


[上式中、
10は、水素、ハロゲン、−ORVi、−OC(O)RVii、−CN、−C(O)RVii、−COVii、−C(O)NRViiViii、−NO、−NRViiViii、−NRviiC(O)Rviii、−NRViiCOViii、−NRViiS(O)Viii、−SRVii、−S(O)RVii、−S(O)Vii、−S(O)NRViiViii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
はそれぞれ独立に、−CR1112−、−NR13−、−O−又は−N−を表し;
11及びR12は、水素、ハロゲン、−ORvi、−OC(O)Rvii、−CN、−C(O)Rvii、−COvii、−C(O)NRviiviii、−NO、−NRviviii、−NRviiC(O)Rviii、−NRviiCOviii、−NRviiS(O)viii、−SRvii、−S(O)Rvii、−S(O)vii、−S(O)NRviiviii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
11及びR12はそれぞれ、それらが結合している原子と一緒になって、5員、6員又は7員の複素環を形成してもよく;
は、−C−又は−S−を表し;
vii及びRviiiはそれぞれ、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される]。
【請求項7】
環式α,β−不飽和ケトン基質が、
【化6】


からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ニトロソ基質が構造(V)を有する、請求項1に記載の方法
【化7】


[上式中、
13は、水素、ハロゲン、−ORix、−OC(O)Rix、−CN、−C(O)Rix、−COix、−C(O)NRix、−NO、−NRix、−NRixC(O)R、−NRixCO、−NRixS(O)、−SRix、−S(O)Rix、−S(O)ix、−S(O)NRix、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立に選択される1〜5個の置換基を表し;
ix及びRはそれぞれ、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される]。
【請求項9】
ニトロソ基質が、
【化8】


からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
プロリンベースの触媒が構造(VI)を有する、請求項1に記載の方法
【化9】


[上式中、
14は、
【化10】


からなる群から選択され、
15は、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から選択される置換基である]。
【請求項11】
プロリンベースの触媒が、
【化11】


からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
複素環式生成物が式(VII)を有する、請求項2に記載の方法。
【化12】

【請求項13】
複素環式生成物が式(VIII)を有する、請求項3に記載の方法。
【化13】

【請求項14】
複素環式生成物が式(VIIIa)を有する、請求項4に記載の方法。
【化14】

【請求項15】
複素環式生成物が式(IX)を有する、請求項5に記載の方法。
【化15】

【請求項16】
複素環式生成物が式(X)を有する、請求項6に記載の方法。
【化16】

【請求項17】
環式α,β−不飽和ケトン基質が構造(II)を有する、請求項1に記載の方法。
【化17】


[上式中、
18はそれぞれ、水素、ハロゲン、−ORxi、−OC(O)Rxi、−CN、−C(O)Rxi、−COxi、−C(O)NRxixii、−NO、−NRxixii、−NRxiC(O)R、−NRxiCOxii、−NRxiS(O)xii、−SRxi、−S(O)Rxi、−S(O)xi、−S(O)NRxixii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
15はそれぞれ独立に、−CR1920−、−NR19−、−O−又は−S−を表し;
19及びR20は、水素、ハロゲン、−ORxi、−OC(O)Rxi、−CN、−C(O)Rxi、−COxi、−C(O)NRxixii、−NO、−NRxixii、−NRxiC(O)R、−NRxiCOxii、−NRxiS(O)xii、−SRxi、−S(O)Rxi、−S(O)xi、−S(O)NRxixii、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される置換基を表し;
19及びR20はそれぞれ、それらが結合している原子と一緒になって、5員、6員又は7員の複素環を形成してもよく;
16は、C又はSを表し;
xi及びRxiiはそれぞれ、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択される]。
【請求項18】
α−アミノオキシケトン又はα−アミノオキシアルデヒドを製造する方法であって、
式(I)のアルデヒド又は式(II)のケトンと
【化18】


式(IIIa)又は(IIIb)のニトロソ化合物とを
【化19】


溶媒及び式IVの触媒の存在下に反応させるステップを含む方法。
【化20】


[上式中、
R、R及びRは独立に、水素;置換又は非置換のアルキル基;置換又は非置換のアルコキシ基;置換又は非置換のアルコキシカルボニル基;置換又は非置換のアリール基を表すか;或いは
及びRは一緒に、シクロアルキル環を形成し;
はそれぞれ、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NR、−NO、−NR、−NRC(O)R、−NRCO、−NRS(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択され;R及びRはそれぞれ独立に、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から選択されていてもよく;
nは、0〜5の整数であり;
は、置換又は非置換のアルキルであり;
、X及びXは独立に、酸素;イオウ;置換又は非置換の窒素;或いは置換又は非置換の炭素を表し;
Zは、さらに3個までのヘテロ原子を含有していてもよい置換又は非置換の4〜10員の環を表す]
【請求項19】
R、R及びRが独立に、水素;置換又は非置換のC1−8アルキル基;置換又は非置換のC1−8アルコキシ基;置換又は非置換のC1−8アルコキシカルボニル基;置換又は非置換のアリール基を表し、基が置換されている場合には、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NR、−NO、−NR、−NRC(O)R、−NRCO、−NRS(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から選択される基により置換されているか;或いは
及びRが一緒に、C−C8シクロアルキル環を形成し;
がそれぞれ、水素、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NR、−NO、−NR、−NRC(O)R、−NRCO、−NRS(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択され;R及びRはそれぞれ、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択されていてもよく;
が、置換又は非置換のC1−8アルキルであり、置換されている場合には、ハロゲン、−OR、−OC(O)R、−CN、−C(O)R、−CO、−C(O)NR、−NO、−NR、−NRC(O)R、−NRCO、−NRS(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8−アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から選択される基により置換されており;R及びRはそれぞれ、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、C6−10アリール、5〜10員環のヘテロアリール及び3〜10員環のヘテロシクリルからなる群から独立に選択されていてもよく;
nが、0〜3の整数であり;
、X及びXが独立に、酸素;イオウ;置換又は非置換の窒素;或いは置換又は非置換の炭素を表し、基が置換されている場合には、水素、ハロゲン及びC1−8アルキルからなる群から選択される基により置換されており;
Zが、置換又は非置換のC−C10員環を表し、該環は、さらに酸素及び窒素からなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有し、基が置換されている場合には、水素、ハロゲン、C1−8アルキル及びC1−8アルコキシからなる群から選択される基により置換されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
エナンチオ選択性が99%エナンチオマー過剰率(ee)より高い、請求項18又は19に記載の方法。

【公表番号】特表2007−533658(P2007−533658A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554268(P2006−554268)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/005426
【国際公開番号】WO2005/090294
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】