説明

α−オレフィン重合用固体触媒成分、α−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法、α−オレフィン重合用触媒およびα−オレフィン重合体の製造方法

【課題】立体規則性や触媒活性などの触媒性能の全てにおける充分な性能を示す触媒及びその触媒を用いたα−オレフィン重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び下記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物からなることを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分、及びこれを用いたα−オレフィン重合用触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−オレフィン重合用固体触媒成分、α−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法、α−オレフィン重合用触媒、及びそれを用いたα−オレフィン重合体の製造方法に関し、より詳しくは、立体規則性などの基本性能を高レベルにて維持したまま、極めて高い触媒活性を有するα−オレフィン重合用固体触媒成分、α−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法、α−オレフィン重合用触媒、及びそれを用いたα−オレフィン重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンは、産業資材として最も重要なプラスチック材料であり、フィルムやシートとして包装材料及び電気材料などに、成形品として自動車部材や家電製品などの工業材料に、さらに繊維材料や建築材料などの各種の用途に広範に汎用されている。
このように利用用途が非常に広く多岐にわたるために、ポリオレフィンにおいては、それらの用途面から、多種の性質においての改良向上が求め続けられ、それらの要望に応じるために、主として重合触媒の改良による技術開発が展開されてきた。
【0003】
遷移金属化合物と有機金属化合物を利用したチーグラー系の触媒により、オレフィンの重合活性が非常に高められて、工業生産が実現化されたが、その後に分子量分布による重合体の物性の改善やα−オレフィンの立体規則性の向上をはじめ、多種の性能の改良がなされている。
具体的には、マグネシウム化合物を触媒担体としてチタン及びハロゲンを必須成分として含有する固体触媒成分を使用した触媒が開発され、さらに、電子供与性化合物を使用して触媒活性と立体規則性を高めた触媒(例えば、特許文献1〜3参照。)、その後には、特定の有機ケイ素化合物を新たに触媒成分に付加して、さらに、触媒活性や立体規則性の向上をはかる提案もなされている(特許文献4、5参照。)。また、特定の有機ケイ素化合物の他に、ビニル基やアリル基のようなアルケニル基を有する特殊な構造のケイ素化合物を併用することで、触媒活性や立体規則性がさらに向上し、分子量調節剤として用いられる水素のレスポンスが良化するなどの性能向上をはかる提案もされている(例えば、特許文献6〜8参照。)。更には、ケイ素化合物以外の電子供与体を利用する提案としてフラン化合物及びその誘導体を共存させ、水素応答性や活性を改良する(特許文献9、10参照。)、特定の置換基を有するコハク酸エステル化合物や環状のジカルボン酸エステルを電子供与性化合物として用いることで分子量分布調整する(特許文献11、12参照。)など、多くの改良技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、本発明者等が知る限りでは、これらのいずれの触媒系においても、生成するα−オレフィン重合体の立体規則性、触媒活性などの触媒性能の全てにおいて充分な性能を示すものはなく、更なる改良技術の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−138706号公報
【特許文献2】特開昭57−59909号公報
【特許文献3】特開平03−149204公報
【特許文献4】特開昭62−187707号公報
【特許文献5】特開昭61−171715号公報
【特許文献6】特開平03−234707号公報
【特許文献7】特開平07−2923号公報
【特許文献8】特開2006−169283号公報
【特許文献9】特開2002−249507号公報
【特許文献10】特開2007−119514号公報
【特許文献11】特表2002−542347号公報
【特許文献12】WO2006/077945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、かかるオレフィン重合用触媒の従来技術の状況において、立体規則性や触媒活性などの触媒性能の全てにおける充分な性能を示す触媒及びその触媒を用いたα−オレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題に鑑み、チーグラー系触媒における基本的かつ普遍的な上記の問題を解決するために、チーグラー触媒における各種の触媒成分の性質や化学的構造などについて、全般的な思考及び探索を行い、多種の触媒成分および製造条件について検討を重ね、触媒の活性点に関して、立体規則性やモノマーの関与にかかわる触媒成分および製造条件について、鋭意検討を行った。
その結果、マグネシウム、チタン、ハロゲン、および特定の3つ以上のエステル基を有する化合物を必須成分とする触媒成分を使用することにより、触媒活性が著しく向上することが判明した。すなわち、本発明者等は、本手法によって、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物が触媒成分中に含まれることにより、活性点となるチタンの電荷状態が変化し、規則性を維持したまま、活性が著しく高い、非常にバランスの取れた触媒を得ることができることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び下記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物からなることを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分が提供される。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Rは、炭素数1つ以上の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なってもよい。nは、1〜6の整数であり、n=1のとき、RおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、RおよびRのうちの少なくとも1つは、COORである。また、nが2〜6のとき、複数あるRおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、複数あるRおよびRのうち少なくとも1つは、COORである。)
【0011】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、さらに、前記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物とは別の電子供与性化合物からなることを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物は、一般式(1)中、nが1〜4の整数であることを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分が提供される。
【0012】
また、本発明の第4の発明によれば、マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン、及び下記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物を接触処理することを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法が提供される。
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、Rは、炭素数1つ以上の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なってもよい。nは、1〜6の整数であり、n=1のとき、RおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、RおよびRのうちの少なくとも1つは、COORである。また、nが2〜6のとき、複数あるRおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、複数あるRおよびRのうち少なくとも1つは、COORである。)
【0015】
また、本発明の第5の発明によれば、マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン、及び下記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物を接触処理してなることを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分が提供される。
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、Rは、炭素数1つ以上の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なってもよい。nは、1〜6の整数であり、n=1のとき、RおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、RおよびRのうちの少なくとも1つは、COORである。また、nが2〜6のとき、複数あるRおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、複数あるRおよびRのうち少なくとも1つは、COORである。)
【0018】
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明に係るα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)に、下記成分(A2)、(A3)および(A4)を接触してなることを特徴とするα−オレフィン重合用触媒成分が提供される。
成分(A2):アルケニル基を有するケイ素化合物
成分(A3):有機ケイ素化合物
成分(A4):有機アルミニウム化合物
【0019】
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明に係るα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)もしくは第5の発明に係るα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)、または第6の発明に係るα−オレフィン重合用触媒成分(A)と、下記成分(B)からなることを特徴とするα−オレフィン重合用触媒が提供される。
成分(B):有機アルミニウム化合物
【0020】
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、さらに、下記成分(C)からなることを特徴とするα−オレフィン重合用触媒が提供される。
成分(C):有機ケイ素化合物
【0021】
また、本発明の第9の発明によれば、第7又は8の発明に係るα−オレフィン重合用触媒を用いることを特徴とするα−オレフィン重合体の製造方法が提供される。
【0022】
本発明は、上記した如く、α−オレフィン重合用固体触媒成分、α−オレフィン重合用触媒などに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)第1〜5のいずれかの発明において、前記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物は、メタントリカルボン酸トリメチル、メタントリカルボン酸トリエチル、1,1,2−エタントリカルボン酸トリメチル、1,1,2−エタントリカルボン酸トリエチル、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリメチル、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリエチル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラメチル、又は1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラエチルから選ばれる少なくとも一つの化合物であることを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分または固体触媒成分の製造方法。
(2)第2の発明において、前記電子供与性化合物は、フタル酸エステル化合物、フタル酸ハライド化合物、マロン酸エステル化合物、コハク酸エステル化合物、脂肪族多価エーテル化合物または多価エーテル化合物であることを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分。
【発明の効果】
【0023】
本発明のα−オレフィン重合用触媒は、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物を必須成分とする固体触媒成分を用いた触媒であり、立体規則性を高レベルに維持したまま、従来の触媒よりポリマーの収率を非常に高くすることができる。従って、触媒活性が非常に高いので、製造コストも低減することが可能である。加えて、得られるα−オレフィン重合体は、立体規則性が高く維持できるため、剛性と耐衝撃強度のバランスに優れた高品質な製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の触媒についての理解を助け明確にするためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を項目毎に、詳細に説明する。
【0026】
I.α−オレフィン重合用触媒
本発明において、α−オレフィン用重合触媒として、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)またはα−オレフィン重合用触媒成分(A)及び有機アルミニウム化合物(B)を用いる。この際、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、有機ケイ素化合物(C)、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)などの任意成分を用いることができる。
【0027】
1.α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)
本発明で用いるα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)は、マグネシウム(A1a)、チタン(A1b)、ハロゲン(A1c)および特定の3つ以上のエステル基を有する化合物(A1d)を必須成分とするものである。この際、本発明の効果を損なわない範囲で、3つ以上のエステル基を有する化合物(A1d)とは別の電子供与性化合物(A1e)などの任意成分を任意の形態で含んでも良い。以下に、各構成成分を詳述する。
【0028】
(1)マグネシウム(A1a)
本発明のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)で用いるマグネシウム源となるマグネシウム化合物としては、任意のものを用いることができる。その代表的な例としては、特開平3−234707号公報に開示されている化合物を挙げることができる。
一般的には、塩化マグネシウムに代表されるハロゲン化マグネシウム化合物類、ジエトキシマグネシウムに代表されるアルコキシマグネシウム化合物類、金属マグネシウム、酸化マグネシウムに代表されるオキシマグネシウム化合物類、水酸化マグネシウムに代表されるヒドロキシマグネシウム化合物類、ブチルマグネシウムクロライドに代表されるグリニャール化合物類、ブチルオクチルマグネシウムに代表される有機マグネシウム化合物類、炭酸マグネシウムやステアリン酸マグネシウムに代表される無機酸及び有機酸のマグネシウム塩化合物類、及びそれらの混合物や平均組成式がそれらの混合された式となる化合物(例えば、Mg(OEt)Cl2−m;0<m<2などの化合物)、などを用いることができる。
この中で特に好ましいのは、塩化マグネシウム、ジエトキシマグネシウム、金属マグネシウム、ブチルマグネシウムクロライドである。
【0029】
特に、大きな粒子を作製する場合には、触媒粒径を制御し易いジアルコキシマグネシウムを用いることが好ましい。ジアルコキシマグネシウムは、事前に製造されたものを用いるだけでなく、触媒製造工程の中で金属マグネシウムとハロゲンあるいはハロゲン含有金属化合物の存在下に、アルコールを反応させて得たものを用いることもできる。
【0030】
さらに、本発明において成分(A1a)として好適なジアルコキシマグネシウムは、顆粒状または粉末状であり、その形状は、不定形あるいは球状のものを使用し得る。例えば、球状のジアルコキシマグネシウムを使用した場合、より良好な粒子形状と狭い粒度分布を有する重合体粉末が得られ、重合操作時の生成重合体粉末の取扱い操作性が向上し、生成重合体粉末に含まれる微粉に起因する閉塞等の問題が解消される。
【0031】
上記の球状ジアルコキシマグネシウムは、必ずしも真球状である必要はなく、楕円形状あるいは馬鈴薯形状のものを用いることもできる。具体的にその粒子の形状は、長軸径lと短軸径wとの比(l/w)が3以下であり、好ましくは1〜2であり、より好ましくは1〜1.5である。
また、上記ジアルコキシマグネシウムの平均粒径は、1〜200μmのものが使用し得る。好ましくは5〜150μmである。球状のジアルコキシマグネシウムの場合、その平均粒径は、1〜100μm、好ましくは5〜50μmであり、更に好ましくは10〜40μmである。また、その粒度については、微粉及び粗粉の少ない、粒度分布の狭いものを使用することが望ましい。具体的には、5μm以下の粒子が20%以下であり、好ましくは10%以下である。一方、100μm以上の粒子が10%以下であり、好ましくは5%以下である。更に、その粒度分布をln(D90/D10)(ここで、D90は積算粒度で90%における粒径、D10は積算粒度で10%における粒径である。)で表すと、3以下であり、好ましくは2以下である。
【0032】
上記の如き球状のジアルコキシマグネシウムの製造方法は、例えば特開昭58−41832号公報、特開昭62−51633号公報、特開平3−74341号公報、特開平4−368391号公報、特開平8−73388号公報などに例示されている。
【0033】
(2)チタン(A1b)
本発明のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)で用いるチタン源となるチタン化合物としては、任意のものを用いることができる。代表的な例としては、特開平3−234707号公報に開示されている化合物を挙げることができる。
チタンの価数に関しては、4価、3価、2価、0価の任意の価数を持つチタン化合物を用いることができるが、好ましくは4価および3価のチタン化合物、更に好ましくは4価のチタン化合物を用いることが望ましい。
【0034】
4価のチタン化合物の具体例としては、四塩化チタンに代表されるハロゲン化チタン化合物類、テトラブトキシチタンに代表されるアルコキシチタン化合物類、テトラブトキシチタンダイマー(BuO)Ti−O−Ti(OBu)に代表されるTi−O−Ti結合を有するアルコキシチタンの縮合化合物類、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライドに代表される有機金属チタン化合物類、などを挙げることができる。この中で、四塩化チタンとテトラブトキシチタンが特に好ましい。
また、3価のチタン化合物の具体例としては、三塩化チタンに代表されるハロゲン化チタン化合物類を挙げることができる。三塩化チタンは、水素還元型、金属アルミニウム還元型、金属チタン還元型、有機アルミニウム還元型、など、公知の任意の方法で製造された化合物を用いることができる。
上記のチタン化合物類は、単独で用いるだけではなく、複数の化合物を併用することも可能である。また、上記チタン化合物類の混合物や平均組成式がそれらの混合された式となる化合物(例えば、Ti(OBu)Cl4−m;0<m<4などの化合物)、また、フタル酸エステル等のその他の化合物との錯化物(例えば、Ph(COBu)・TiClなどの化合物)、などを用いることができる。
【0035】
(3)ハロゲン(A1c)
本発明のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)で用いるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、及びそれらの混合物を用いることができる。この中で塩素が特に好ましい。
ハロゲンは、上記のチタン化合物類及び/又はマグネシウム化合物から供給されるのが一般的であるが、その他の化合物より供給することもできる。代表的な例としては、四塩化ケイ素に代表されるハロゲン化ケイ素化合物類、塩化アルミニウムに代表されるハロゲン化アルミニウム化合物類、1,2−ジクロロエタンやベンジルクロライドに代表されるハロゲン化有機化合物類、トリクロロボランに代表されるハロゲン化ボラン化合物類、五塩化リンに代表されるハロゲン化リン化合物類、六塩化タングステンに代表されるハロゲン化タングステン化合物類、五塩化モリブデンに代表されるハロゲン化モリブデン化合物類、などを挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いるだけでなく、併用することも可能である。この中で、四塩化ケイ素が特に好ましい。
【0036】
(4)3つ以上のエステル基を有する化合物(A1d)
本発明のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)で用いられる3つ以上のエステル基を有する化合物(A1d)としては、特定の構造を有することが必須で重要であり、下記一般式(1)で表すことができる。
【0037】
【化4】

【0038】
(式中、Rは、炭素数1つ以上の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なってもよい。nは、1〜6の整数であり、n=1のとき、RおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、RおよびRのうちの少なくとも1つは、COORである。また、nが2〜6のとき、複数あるRおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、複数あるRおよびRのうち少なくとも1つは、COORである。)
【0039】
以下、各置換基の構造について、詳細に説明する。
Rが炭素数1つ以上の炭化水素基であり、脂肪族炭化水素基あるいは脂環式炭化水素基からなる場合、炭素数1〜20、より好ましくは1〜10のアルキル基、シクロアルキル基などであることが好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基が挙げられ、とりわけ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が、好ましい。
また、Rが炭素数1つ以上の炭化水素基であり、芳香族炭化水素基からなる場合、炭素数6〜20、より好ましくは6〜12の置換基のない芳香族炭化水素基などの置換基であることが好ましい。
具体的には、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、フルオレニル基が挙げられ、とりわけ、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基が好ましい。
【0040】
また、Rに含有可能なヘテロ原子としては、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄であり、窒素、酸素がより好ましい。
さらに、一般式(1)中、nの値が1〜6の整数であり、それぞれマロン酸エステル骨格、コハク酸エステル骨格、グルタン酸エステル骨格、アジピン酸エステル骨格、スベリン酸エステル骨格である。この中でも、nの値が1〜4の整数であるマロン酸エステル骨格、コハク酸エステル骨格、グルタン酸エステル骨格、アジピン酸エステル骨格が好ましい。
【0041】
具体的には、次に示す3つ以上のエステル基を有する化合物を例示することができる。
メタントリカルボン酸トリメチル、メタントリカルボン酸トリエチル、メタントリカルボン酸トリ−n−プロピル、メタントリカルボン酸トリ−n−ブチル、メタントリカルボン酸トリフェニル、メタンテトラカルボン酸テトラメチル、メタンテトラカルボン酸テトラエチル、メタンテトラカルボン酸テトラ−n−プロピル、メタンテトラカルボン酸テトラ−n−ブチル、1,1,2−エタントリカルボン酸トリメチル、1,1,2−エタントリカルボン酸トリエチル、1,1,2−エタントリカルボン酸トリ−n−プロピル、1,1,2−エタントリカルボン酸トリ−n−ブチル、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸テトラメチル、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸テトラエチル、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸テトラ−n−プロピル、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸テトラ−n−ブチル、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリメチル、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリエチル、1,2,3−プロパントリカルボン酸−n−プロピル、1,2,3−プロパントリカルボン酸−n−ブチル、1,1,3−プロパントリカルボン酸トリメチル、1,1,3−プロパントリカルボン酸トリエチル、1,1,3−プロパントリカルボン酸トリn−プロピル、1,1,3−プロパントリカルボン酸トリn−ブチル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラメチル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラエチル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラ−n−プロピル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラ−n−ブチル、1,2,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラメチル、1,2,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラエチル、1,2,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラ−n−プロピル、1,2,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラ−n−ブチル、1,2,4−ブタントリカルボン酸トリメチル、1,2,4−ブタントリカルボン酸トリエチル、1,2,4−ブタントリカルボン酸トリ−n−プロピル、1,2,4−ブタントリカルボン酸トリ−n−ブチル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラメチル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラエチル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ−n−プロピル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ−n−ブチル、1,2,2,4−ブタンテトラカルボン酸テトラメチル、1,2,2,4−ブタンテトラカルボン酸テトラエチル、1,2,2,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ−n−プロピル、1,2,2,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ−n−ブチルなどを用いることができる。
これらの3つ以上のエステル基を有する化合物は、二種類以上用いることもできる。
【0042】
これらの3つ以上のエステル基を有する化合物の中でも、メタントリカルボン酸トリメチル、メタントリカルボン酸トリエチル、1,1,2−エタントリカルボン酸トリメチル、1,1,2−エタントリカルボン酸トリエチル、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリメチル、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリエチル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラメチル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラエチルが好ましく、とりわけ、メタントリカルボン酸トリメチル、メタントリカルボン酸トリエチル、1,1,2−エタントリカルボン酸トリエチル、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリメチル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラメチルが好ましい。
【0043】
(5)電子供与性化合物(A1e)
本発明のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)には、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物(A1d)以外の電子供与性化合物(A1e)を含有してもよい。
電子供与性化合物の代表的な例としては、特開2004−124090号公報に開示されている化合物を挙げることができる。一般的には、有機酸及び無機酸並びにそれらの誘導体(エステル、酸無水物、酸ハライド、アミド)化合物類、エーテル化合物類、ケトン化合物類、アルデヒド化合物類、アルコール化合物類、アミン化合物類、などを用いることが望ましい。
【0044】
電子供与性化合物(A1e)として用いることのできる有機酸化合物としては、フタル酸に代表される芳香族多価カルボン酸化合物類、安息香酸に代表される芳香族カルボン酸化合物類、2−n−ブチル−マロン酸の様な2位に一つ又は二つの置換基を有するマロン酸や2−n−ブチル−コハク酸の様な2位に一つ又は二つの置換基若しくは2位と3位にそれぞれ一つ以上の置換基を有するコハク酸に代表される脂肪族多価カルボン酸化合物類、プロピオン酸に代表される脂肪族カルボン酸化合物類、ベンゼンスルホン酸やメタンスルホン酸に代表される芳香族及び脂肪族のスルホン酸化合物類、などを例示することができる。
これらのカルボン酸化合物類及びスルホン酸化合物類は、芳香族・脂肪族に関わらず、マレイン酸の様に、分子中の任意の場所に任意の数だけ不飽和結合を有しても良い。
【0045】
電子供与性化合物(A1e)として用いることのできる有機酸の誘導体化合物としては、上記有機酸のエステル、酸無水物、酸ハライド、アミド、などを例示することができる。
エステルの構成要素であるアルコールとしては、脂肪族及び芳香族アルコールを用いることができる。これらのアルコールの中でも、エチル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、等の炭素数1〜20の脂肪族の遊離基からなるアルコールが好ましい。更に好ましくは炭素数2〜12の脂肪族の遊離基からなるアルコールが望ましい。また、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、等の脂環式の遊離基からなるアルコールを用いることもできる。
【0046】
酸ハライドの構成要素であるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、等を用いることができる。中でも、塩素が最も好ましい。多価有機酸のポリハライドの場合は、複数のハロゲンが同一であっても異なっていても良い。
また、アミドの構成要素であるアミンとしては、脂肪族及び芳香族アミンを用いることができる。これらのアミンの中でも、アンモニア、エチルアミンやジブチルアミンに代表される脂肪族アミン、アニリンやベンジルアミンに代表される芳香族の遊離基を分子内に有するアミン、などを好ましい化合物として例示することができる。
【0047】
電子供与性化合物(A1e)として用いることのできる無機酸化合物としては、炭酸、リン酸、ケイ酸、硫酸、硝酸、などを例示することができる。
これらの無機酸の誘導体化合物としては、エステルを用いることが望ましい。テトラエトキシシラン(ケイ酸エチル)、テトラブトキシシラン(ケイ酸ブチル)、リン酸トリブチルなどを具体例として挙げることができる。
【0048】
電子供与性化合物(A1e)として用いることのできるエーテル化合物としては、ジブチルエーテルに代表される脂肪族エーテル化合物類、ジフェニルエーテルに代表される芳香族エーテル化合物類、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパンや2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパンの様な2位に一つ又は二つの置換基を有する1,3−ジメトキシプロパンに代表される脂肪族多価エーテル化合物類、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、に代表される芳香族の遊離基を分子内に有する多価エーテル化合物類などを例示することができる。
【0049】
電子供与性化合物(A1e)として用いることのできるケトン化合物としては、メチルエチルケトンに代表される脂肪族ケトン化合物類、アセトフェノンに代表される芳香族ケトン化合物類、2,2,4,6,6−ペンタメチル−3,5−ヘプタンジオンに代表される多価ケトン化合物類、などを例示することができる。
また、電子供与性化合物(A1e)として用いることのできるアルデヒド化合物としては、プロピオンアルデヒドに代表される脂肪族アルデヒド化合物類、ベンズアルデヒドに代表される芳香族アルデヒド化合物類、などを例示することができる。
さらに、電子供与性化合物(A1e)として用いることのできるアルコール化合物としては、ブタノールや2−エチルヘキサノールに代表される脂肪族アルコール化合物類、フェノール、クレゾールに代表されるフェノール誘導体化合物類、グリセリンや1,1’−ビ−2−ナフトールに代表される脂肪族若しくは芳香族の多価アルコール化合物類、などを例示することができる。
【0050】
また、電子供与性化合物(A1e)として用いることのできるアミン化合物としては、ジエチルアミンに代表される脂肪族アミン化合物類、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジンに代表される窒素含有脂環式化合物類、アニリンに代表される芳香族アミン化合物類、ピリジンに代表される窒素原子含有芳香族化合物類、1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロパンに代表される多価アミン化合物類、などを例示することができる。
【0051】
さらに、電子供与性化合物(A1e)として用いることのできる化合物として、上記の複数の官能基を同一分子内に含有する化合物を用いることもできる。その様な化合物の例として、酢酸−(2−エトキシエチル)や3−エトキシ−2−t−ブチルプロピオン酸エチルに代表されるアルコキシ基を分子内に有するエステル化合物類、2−ベンゾイル−安息香酸エチルに代表されるケトエステル化合物類、(1−t−ブチル−2−メトキシエチル)メチルケトンに代表されるケトエーテル化合物類、N,N−ジメチル−2,2−ジメチル−3−メトキシプロピルアミンに代表されるアミノエーテル化合物類、エポキシクロロプロパンに代表されるハロゲノエーテル化合物類などを挙げることができる。
【0052】
これらの電子供与性化合物(A1e)は、単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
これらの中で好ましいのは、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘプチルに代表されるフタル酸エステル化合物類、フタロイルジクロライドに代表されるフタル酸ハライド化合物類、2−n−ブチル−マロン酸ジエチルの様な2位に一つ又は二つの置換基を有するマロン酸エステル化合物類、2−n−ブチル−コハク酸ジエチルの様な2位に一つ又は二つの置換基若しくは2位と3位にそれぞれ一つ以上の置換基を有するコハク酸エステル化合物類、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパンや2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパンの様な2位に一つ又は二つの置換基を有する1,3−ジメトキシプロパンに代表される脂肪族多価エーテル化合物類、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンに代表される芳香族の遊離基を分子内に有する多価エーテル化合物類などである。
【0053】
(6)α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の調製
本発明のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)を構成する各成分の使用量の量比は、本発明の効果を損なわない範囲で任意のものでありうるが、一般的には、次の範囲内が好ましい。
【0054】
チタン化合物類(A1b)の使用量は、使用するマグネシウム化合物類(A1a)の使用量に対して、モル比(チタン化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.0001〜1,000の範囲内であり、より好ましくは0.001〜100の範囲であり、特に好ましくは0.01〜50の範囲内が望ましい。
【0055】
マグネシウム化合物類(A1a)及びチタン化合物類(A1b)以外にハロゲン源となる化合物(すなわち(A1c))を使用する場合は、その使用量は、マグネシウム化合物類及びチタン化合物類の各々がハロゲンを含むか含まないかに関わらず、使用するマグネシウム化合物類(A1a)の使用量に対して、モル比(ハロゲン源となる化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.01〜1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1〜100の範囲内が望ましい。
【0056】
特定の3つ以上のエステル基を有する化合物(A1d)の使用量は、使用するマグネシウム化合物(A1a)の量に対して、モル比(特定の3つ以上のエステル基を有する化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.001〜10の範囲内であり、特に好ましくは0.01〜5の範囲内が望ましい。
【0057】
重合用固体触媒成分(A1)を調製する際に、任意成分として電子供与性化合物(A1e)を用いる場合の使用量は、使用するマグネシウム化合物(A1a)の量に対して、モル比(電子供与性化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.001〜10の範囲内であり、特に好ましくは0.01〜5の範囲内が望ましい。
【0058】
本発明の重合用固体触媒成分(A1)は、上記の構成する各成分を上記の量比で接触して得られる。
各成分の接触条件は、酸素を存在させないことが必要であるものの、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の条件を用いることができる。一般的には、次の条件が好ましい。
接触温度は、−50〜200℃程度、好ましくは0〜150℃である。接触方法としては、回転ボールミルや振動ミルなどによる機械的な方法、並びに、不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法、などを例示することができる。
【0059】
重合用固体触媒成分(A1)の調製の際には、中間及び/又は最後に不活性溶媒で洗浄を行っても良い。
好ましい溶媒種としては、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素化合物、トルエンなどの芳香族炭化水素化合物、及び、1,2−ジクロロエチレンやクロロベンゼンなどのハロゲン含有炭化水素化合物、などを例示することができる。
【0060】
なお、本発明の重合用固体触媒成分(A1)の調製方法としては、任意の方法を用いることができるが、具体的には、下記の(i)〜(vii)として説明する方法を例示することができる。ただし、本発明は、下記例示により何ら制限されるものではない。
【0061】
(i)共粉砕法
塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物をチタン化合物と共粉砕することにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する方法であり、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物を同時に、又は、別工程で共粉砕しても良い。また、必要に応じて、電子供与性化合物等の任意成分と同時に、又は、別工程で共粉砕しても良い。機械的粉砕方法としては、回転ボールミルや振動ミル等の任意の粉砕機を用いることができる。溶媒を用いない乾式粉砕法だけでなく、不活性溶媒共存下で共粉砕する湿式粉砕法を用いることもできる。
【0062】
(ii)加熱処理法
塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物とチタン化合物を不活性溶媒中で撹拌することにより接触処理を行い、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する方法であり、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物を同時に、又は、別工程で接触処理しても良い。チタン化合物として四塩化チタンなどの液状の化合物を用いる場合は、不活性溶媒なしで接触処理することもできる。また、必要に応じて、電子供与性化合物やハロゲン化ケイ素化合物等の任意成分を同時に、又は、別工程で接触させても良い。接触温度に特に制限はないが、90℃〜130℃程度の比較的高い温度で接触処理する方が好ましい場合が多い。
【0063】
(iii)溶解析出法
溶解析出法は、塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物を電子供与性化合物と接触させることにより溶解し、生じた溶解液と析出剤を接触させて析出反応を起こすことにより、粒子形成を行う方法であり、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物を同時に、又は、別工程で接触処理しても良い。
溶解に用いる電子供与性化合物の例としては、アルコール化合物類、エポキシ化合物類、リン酸エステル化合物類、アルコキシ基を有するケイ素化合物類、アルコキシ基を有するチタン化合物類、エーテル化合物類などを挙げることができる。また、析出剤の例としては、ハロゲン化チタン化合物類、ハロゲン化ケイ素化合物類、塩化水素、ハロゲン含有炭化水素化合物類、Si−H結合を有するシロキサン化合物類(ポリシロキサン化合物類を含む)、アルミニウム化合物類、などを例示することができる。
溶解液と析出剤の接触方法としては、溶解液に析出剤を添加しても良いし、析出剤に溶解液を添加しても良い。溶解、析出のどちらの工程でも、チタン化合物を用いない場合は、析出反応により形成した粒子を更にチタン化合物と接触させることにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。更に必要に応じて、こうして形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与性化合物と接触させても良い。この際、電子供与性化合物は、溶解に用いるものとは異なっていても良いし、同じであっても良い。これらの任意成分の接触順序については、特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、溶解、析出、チタン化合物類との接触の際に一緒に接触させることもできる。また、溶解、析出、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
【0064】
(iv)造粒法
造粒法は、溶解析出法と同様に、塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物を電子供与性化合物と接触させることにより溶解し、生じた溶解液を主に物理的な手法により造粒する方法であり、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物を同時に、又は、別工程で接触処理しても良い。溶解に用いる電子供与性化合物の例は、溶解析出法の例に同じである。
造粒手法の例としては、高温の溶解液を低温の不活性溶媒中に滴下する方法、高温の気相部に向かって溶解液をノズルから噴き出して乾燥する方法、低温の気相部に向かって溶解液をノズルから噴き出して冷却する方法、などを挙げることができる。造粒により形成した粒子をチタン化合物と接触させることにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。更に、必要に応じて、ハロゲン化ケイ素化合物類、電子供与性化合物、などの任意成分と接触させても良い。この際、電子供与性化合物は溶解に用いるものとは異なっていても良いし、同じであっても良い。これらの任意成分の接触順序については、特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、溶解やチタン化合物との接触の際に一緒に接触させることもできる。また、溶解、チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
【0065】
(v)マグネシウム(Mg)化合物のハロゲン化法
マグネシウム(Mg)化合物のハロゲン化法は、ハロゲンを含有しないマグネシウム化合物に対して、ハロゲン化剤を接触させてハロゲン化する方法であり、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物を同時に、又は、別工程で接触処理しても良い。
ハロゲンを含有しないマグネシウム化合物の例としては、ジアルコキシマグネシウム化合物類、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、脂肪酸のマグネシウム塩、などを挙げることができる。ジアルコキシマグネシウム化合物類を用いる場合は、金属マグネシウムとアルコールとの反応により系中で調製したものを用いることもできる。この調製法を用いる場合は、出発原料であるハロゲンを含まないマグネシウム化合物の段階で造粒等により粒子形成を行うのが一般的である。
ハロゲン化剤の例としては、ハロゲン化チタン化合物類、ハロゲン化ケイ素化合物類、ハロゲン化リン化合物類、などを挙げることができる。ハロゲン化剤として、ハロゲン化チタン化合物類を用いない場合は、ハロゲン化により形成したハロゲン含有マグネシウム化合物を更にチタン化合物と接触させることにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。更に必要に応じて、こうして形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与性化合物と接触させても良い。これらの任意成分の接触順序については、特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、ハロゲンを含まないマグネシウム化合物のハロゲン化やチタン化合物類との接触の際に一緒に接触させることもできる。また、ハロゲン化、チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
【0066】
(vi)有機マグネシウム化合物からの析出法
ブチルマグネシウムクロライドに代表されるグリニャール試薬、ジアルキルマグネシウム化合物、などの有機マグネシウム化合物類の溶液に、析出剤を接触させる方法であり、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物を同時に、又は、別工程で接触処理しても良い。
析出剤の例としては、チタン化合物類、ケイ素化合物類、塩化水素、などを挙げることができる。析出剤として、チタン化合物を用いない場合は、析出反応により形成した粒子を更にチタン化合物と接触させることにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。更に必要に応じて、こうして形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与性化合物と接触させても良い。これらの任意成分の接触順序については特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、析出やチタン化合物類との接触の際に一緒に接触させることもできる。また、析出、チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
【0067】
(vii)含浸法
有機マグネシウム化合物類の溶液、若しくは、マグネシウム化合物を電子供与性化合物で溶解した溶液を、無機化合物の担体、若しくは、有機化合物の担体に含浸させる方法であり、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物を同時に、又は、別工程で接触処理しても良い。
有機マグネシウム化合物類の例は、有機マグネシウム化合物からの析出法の例に同じである。マグネシウム化合物の溶解に用いるマグネシウム化合物は、ハロゲンを含んでいても含んでいなくても良く、電子供与性化合物の例は、溶解析出法の例に同じである。無機化合物の担体の例としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、などを挙げることができる。有機化合物の担体の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、などを挙げることができる。含浸処理後の担体粒子は、析出剤との化学反応や乾燥等の物理的処理によりマグネシウム化合物を析出させて固定化する。析出剤の例は、溶解析出法の例に同じである。析出剤としてチタン化合物を用いない場合は、こうして形成した粒子を更にチタン化合物と接触させることにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。更に必要に応じて、こうして形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与性化合物と接触させても良い。これらの任意成分の接触順序については、特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、含浸、析出、乾燥、チタン化合物類との接触の際に一緒に接触させることもできる。また、含浸、析出、チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
【0068】
(viii)複合法
上記(i)〜(vii)に記載した方法を組み合わせて、用いることもできる。組み合わせの例としては、「塩化マグネシウムを電子供与性化合物と共粉砕した後にハロゲン化チタン化合物類と加熱処理する方法」、「塩化マグネシウム化合物を電子供与性化合物と共粉砕した後に別の電子供与性化合物を用いて溶解し、更に析出剤を用いて析出する方法」、「ジアルコキシマグネシウム化合物を電子供与性化合物により溶解し、ハロゲン化チタン化合物類と接触させることにより析出させると同時にマグネシウム化合物をハロゲン化する方法」、「ジアルコキシマグネシウム化合物に二酸化炭素を接触させることにより、炭酸エステルマグネシウム化合物類を生成すると同時に溶解し、形成した溶解液をシリカに含浸させ、その後塩化水素と接触させることによりマグネシウム化合物をハロゲン化すると同時に析出固定化し、更にハロゲン化チタン化合物類と接触させることによりチタン化合物を担持する方法」、などを挙げることができる。
【0069】
2.α−オレフィン重合用触媒成分(A)
本発明で用いるα−オレフィン重合用触媒成分(A)は、前述のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)に対して、アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)、有機ケイ素化合物(A3)、並びに、有機アルミニウム化合物(A4)を接触させてなるものである。また、本発明の効果を損なわない範囲で任意の成分を任意の形態で含んでも良い。
以下に、各構成成分を詳述する。
【0070】
(1)アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)
本発明に用いられるアルケニル基を有するケイ素化合物(A2)としては、特開平2−34707号公報、特開2003−292522号公報、特開2006−169283、並びに特開2011−74360に開示された化合物等を用いることができる。
一般的には、下記一般式にて表される化合物を用いることが望ましい。
SiR4−n
(ここで、Rは、アルケニル基であり、Rは、水素原子、ハロゲン、アルキル基またはアルコキシ基であり、nは、1≦n≦4を示す。また、1≦n≦2のとき、R同士が連結された環状構造を形成してもよい。)
【0071】
式中、Rは、アルケニル基を表し、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基が好ましく、ビニル基、アリル基が特に好ましい。nの値が2以上の場合、複数あるRは、同一であっても異なっても良い。
【0072】
また、式中、Rは、水素原子、ハロゲン、アルキル基またはアルコキシ基を表す。
として用いることのできるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示することができる。また、Rがアルキル基である場合は、一般に炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基である。Rとして用いることのできるアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、テキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
がアルコキシ基である場合は、一般に炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。Rとして用いることのできるアルコキシ基の具体的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などを用いることが望ましい。nの値が2以下の場合、複数あるRは、同一であっても異なっても良い。また、1≦n≦2のとき、R同士が連結された環状構造を形成してもよい。
【0073】
アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)は、具体的には、ビニルシラン、メチルビニルシラン、ジメチルビニルシラン、トリメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、ジクロロメチルビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、クロロメチルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、クロロジエチルビニルシラン、ジクロロエチルビニルシラン、ジメチルエチルビニルシラン、ジエチルメチルビニルシラン、トリペンチルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、ジフェニルメチルビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、CH=CH−Si(CH(CCH)、(CH=CH)(CHSi−O−Si(CH(CH=CH)、ジビニルシラン、ジクロロジビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリエチルシラン、アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリブロモシラン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジエチルシラン、ジアリルジビニルシラン、ジアリルメチルビニルシラン、ジアリルメチルクロロシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジブロモシラン、トリアリルメチルシラン、トリアリルエチルシラン、トリアリルビニルシラン、トリアリルクロロシラン、トリアリルブロモシラン、テトラアリルシラン、ジ−3−ブテニルジメチルシラン、ジ−3−ブテニルシランジエチルシラン、ジ−3−ブテニルシランジビニルシラン、ジ−3−ブテニルシランメチルビニルシラン、ジ−3−ブテニルシランメチルクロロシラン、ジ−3−ブテニルシランジクロロシラン、トリ−3−ブテニルシランエチルシラン、トリ−3−ブテニルシランビニルシラン、トリ−3−ブテニルシランクロロシラン、トリ−3−ブテニルシランブロモシラン、テトラ−3−ブテニルシラン、1−メチル−1−ビニルシラシクロブタン、1−メチル−1−ビニルシラシクロペンタン、1−メチル−1−ビニルシラシクロヘキサン、1,1−ジビニルシラシクロペンタン、1,1−ジビニルシラシクロヘキサン、1−クロロ−1−ビニルシラシクロペンタン、1−クロロ−1−ビニルシラシクロへキサン、1−アリル−1−メチルシラシクロペンタン、1−アリル−1−メチルシラシクロへキサンなどを例示することができる。
これらの中でもビニルシラン化合物類が好ましく、とりわけトリメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、1−メチル−1−ビニルシラシクロペンタンが好ましい。
【0074】
アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)の使用量の量比は、本発明の効果を損なわない範囲で任意のものでありうるが、一般的には、次に示す範囲内が好ましい。アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)の使用量は、重合用固体触媒成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比(アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.001〜1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.01〜100の範囲内が望ましい。
【0075】
本発明で用いられるアルケニル基を有するケイ素化合物(A2)は、通常、α−オレフィンモノマーに較べて、立体障害が大きく、チーグラー・ナッタ触媒では、重合することができない。しかし、電子供与性の非常に強い有機シリル基が存在するために、炭素−炭素二重結合部の電荷密度は、非常に高くなっており、活性中心であるチタン原子への配位は、非常に速いと考えられる。従って、アルケニル基を有するケイ素化合物が担体であるマグネシウム化合物上のルイス酸点と配位・錯化することにより、チタン化合物の溶媒への抽出を抑制でき、また有機アルミ化合物によるチタン原子の過還元や不純物などによる活性点の失活を防ぐ効果が期待される。
【0076】
(2)有機ケイ素化合物(A3)
本発明で用いられる有機ケイ素化合物(A3)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。
一般的には、下記一般式にて表される化合物を用いることが望ましい。
Si(OR3−m
(式中、Rは、炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基であり、Rは、水素、ハロゲン、炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を表し、Rは、炭化水素基であり、mは、1≦m≦3を示す。)
【0077】
式中、Rは、炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。
が炭化水素基である場合、アルケニル基を除く炭化水素基である。Rとして用いることのできる炭化水素基は、一般に炭素数1〜20、好ましくは炭素数3〜10のものである。Rとして用いることのできる炭化水素基の具体的な例としては、n−プロピル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げることができる。より好ましくは、Rとして分岐状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を用いることが望ましく、とりわけ、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、テキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
また、Rがヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、ヘテロ原子が、窒素、酸素、硫黄、リンまたはケイ素から選ばれることが望ましく、とりわけ、窒素または酸素であることが望ましい。Rのヘテロ原子含有炭化水素基の骨格構造としては、Rが炭化水素基である場合の例示から選ぶことが望ましい。とりわけ、N,N−ジエチルアミノ基、キノリノ基、イソキノリノ基、などが好ましい。
【0078】
また、式中、Rは、水素原子、ハロゲン、炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。
として用いることのできるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示することができる。また、Rが炭化水素基である場合、アルケニル基を除く炭化水素基である。Rとして用いることのできる炭化水素基は、一般に炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のものである。Rとして用いることのできる炭化水素基の具体的な例としては、メチル基やエチル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、テキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
また、Rがヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、Rがヘテロ原子含有炭化水素基である場合の例示から選ぶことが望ましい。とりわけ、N,N−ジエチルアミノ基、キノリノ基、イソキノリノ基、などが好ましい。
mの値が2の場合、二つあるRは、同一であっても異なっても良い。また、mの値に関わらず、Rは、Rと同一であっても異なっても良い。
【0079】
また、式中、Rは、炭化水素基を表す。Rとして用いることのできる炭化水素基は、一般に炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5のものである。
として用いることのできる炭化水素基の具体的な例としては、メチル基やエチル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、などを挙げることができる。中でも、メチル基とエチル基が最も好ましい。mの値が2以上である場合、複数存在するRは、同一であっても異なっても良い。
【0080】
本発明で用いることのできる有機ケイ素化合物(A3)の好ましい例としては、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n−プロピルメチルジメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシランメトキシシラン、ビスパーヒドロイソキノリノジメトキシシランなどを挙げることができる。
これらの有機ケイ素化合物類は、単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
【0081】
有機ケイ素化合物(A3)の使用量の量比は、本発明の効果を損なわない範囲で任意のものであり得るが、一般的には、次に示す範囲内が好ましい。
有機ケイ素化合物(A3)の使用量は、重合用固体触媒成分(A1)を構成するチタン成分(A1b)に対するモル比で(有機ケイ素化合物(A3)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01〜1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1〜100の範囲内が望ましい。
【0082】
本発明で用いられる有機ケイ素化合物(A3)は、活性点となり得るチタン原子の近傍に配位し、活性点の触媒活性やポリマーの規則性といった触媒性能を制御していると、考えられている。
【0083】
(3)有機アルミニウム化合物(A4)
本発明に用いられる有機アルミニウム化合物(A4)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。一般的には、下記一般式にて表される化合物を用いることが望ましい。
AlX(OR
(式中、Rは炭化水素基を表す。Xはハロゲン若しくは水素原子を表す。Rは炭化水素基若しくはAlによる架橋基を表す。a≧1、0≦b≦2、0≦c≦2、a+b+c=3である。)
式中、Rは炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜6、のものを用いることが望ましい。Rの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、などを挙げることができる。この中で、メチル基、エチル基、イソブチル基が最も好ましい。
式中、Xは、ハロゲン若しくは水素原子である。Xとして用いることのできるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素などを例示することができる。この中で、塩素が特に好ましい。
式中、Rは、炭化水素基若しくはAlによる架橋基である。Rが炭化水素基である場合には、Rの炭化水素基の例示と同じ群からRを選択することができる。また、有機アルミニウム化合物(A4)として、メチルアルモキサンに代表されるアルモキサン化合物類を用いることも可能であり、その場合Rは、Alによる架橋基を表す。
【0084】
有機アルミニウム化合物(A4)として用いることのできる化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、メチルアルモキサン、などを挙げることができる。中でも、トリエチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムが好ましい。
有機アルミニウム化合物(A4)は、単独の化合物を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
【0085】
有機アルミニウム化合物(A4)の使用量の量比は、本発明の効果を損なわない範囲で任意のものでありうるが、一般的には、次に示す範囲内が好ましい。有機アルミニウム化合物(A4)の使用量は、重合用固体触媒成分(A1)を構成するチタン成分に対するアルミニウムの原子比(アルミニウム原子のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.1〜100の範囲内であり、特に好ましくは1〜50の範囲内が望ましい。
【0086】
本発明で用いられる有機アルミニウム化合物(A4)は、触媒成分(A)中に有機ケイ素化合物(A3)を効率よく担持させることを目的として用いられる。従って、本重合時に、助触媒として用いられる有機アルミニウム化合物(B)とは、使用目的が異なり、区別される。
【0087】
(4)少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)
本発明で用いる重合用触媒成分(A)は、前述の成分(A1)に対して、アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)、有機ケイ素化合物(A3)、並びに、有機アルミニウム化合物(A4)を接触させてなるものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)を任意成分として接触させても良い。
本発明で用いることのできる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)としては、特開平3−294302号及び特開平8−333413号公報に開示された化合物等を用いることができる。一般的には、下記式にて表される化合物を用いることが望ましい。
O−C(R−C(R−C(R)−OR
(式中、R及びRは、水素原子、炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。Rは、炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。)
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)は、具体的には、例えば、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンなどが挙げられる。
また、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)は、単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。また、重合用固体触媒成分(A1)中の任意成分である電子供与性化合物(A1e)として用いられる多価エーテル化合物と同一であっても異なっても良い。
【0088】
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)の使用量の量比は、本発明の効果を損なわない範囲で任意のものでありうるが、一般的には、次に示す範囲内が好ましい。少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)の使用量は、重合用固体触媒成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比(少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01〜10,000の範囲内であり、特に好ましくは0.5〜500の範囲内が望ましい。
【0089】
(5)α−オレフィン重合用触媒成分(A)の調製方法
本発明におけるα−オレフィン重合用触媒成分(A)は、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)に対して、アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)、有機ケイ素化合物(A3)、並びに、有機アルミニウム化合物(A4)を接触させてなるものである。この際、本発明の効果を損なわない範囲で、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)等の他の任意成分を任意の方法で接触させても良い。
α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の各構成成分の接触条件は、酸素を存在させないことが必要であるが、本発明の効果を損なわない範囲で任意の条件を用いることができる。一般的には、次の条件が好ましい。
接触温度は、−50〜200℃程度、好ましくは−10〜100℃、更に好ましくは0〜70℃、とりわけ好ましくは10℃〜60℃である。接触方法としては、回転ボールミルや振動ミルなどによる機械的な方法、並びに、不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法、などを例示することができる。好ましくは、不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法を用いることが望ましい。
【0090】
α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)、アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)、有機ケイ素化合物(A3)、及び有機アルミニウム化合物(A4)の接触手順に関しては、任意の手順を用いることができる。具体的な例としては、下記の手順(i)〜手順(v)などが挙げられ、この中でも、手順(i)及び手順(ii)が好ましい。
手順(i):α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)にアルケニル基を有するケイ素化合物(A2)を接触させ、次いで有機ケイ素化合物(A3)を接触させた後、有機アルミニウム化合物(A4)を接触させる方法。
手順(ii):α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)にアルケニル基を有するケイ素化合物(A2)及び有機ケイ素化合物(A3)を接触させた後、有機アルミニウム化合物(A4)を接触させる方法。
手順(iii):α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)に有機ケイ素化合物(A3)を接触させ、次いでアルケニル基を有するケイ素化合物(A2)を接触させた後、有機アルミニウム化合物(A4)を接触させる方法。
手順(iv):全ての化合物を同時に接触させる方法。
任意成分として、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)を用いる場合も、上記と同様に任意の順序で接触させることができる。
【0091】
さらに、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)に対して、アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)、有機ケイ素化合物(A3)、及び有機アルミニウム化合物(A4)のいずれも、任意の回数接触させることもできる。この際、アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)、有機ケイ素化合物(A3)、及び有機アルミニウム化合物(A4)のいずれも、複数回の接触で用いる化合物がお互いに同一であっても異なっても良い。また、先に各成分の使用量の範囲を示したが、これは1回当たりに接触させる使用量であり、複数回使用するときは、1回の使用量が前述した使用量の範囲内であれば、何回接触させても良い。
α−オレフィン重合用触媒成分(A)の調製の際には、中間及び/又は最後に不活性溶媒で洗浄を行っても良い。好ましい溶媒種としては、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素化合物、トルエンなどの芳香族炭化水素化合物、及び、1,2−ジクロロエチレンやクロロベンゼンなどのハロゲン含有炭化水素化合物、などを例示することができる。
【0092】
(6)予備重合
本発明におけるα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)または触媒成分(A)は、本重合で使用する前に、予備重合されていても良い。重合プロセスに先立って、予め少量のポリマーを触媒周囲に生成させることによって、触媒がより均一となり、微粉の発生量を抑えることができる。
予備重合におけるモノマーとしては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。
具体的な化合物の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、などに代表されるオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、アリルベンゼン、クロロスチレン、などに代表されるスチレン類似化合物、及び、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、2,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジビニルベンゼン類、などに代表されるジエン化合物類、などを挙げることができる。
中でも、エチレン、プロピレン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、スチレン、ジビニルベンゼン類、などが特に好ましい。
【0093】
α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)として予備重合されたものを用いる場合には、その調製手順において、任意の手順で予備重合を行うことができる。例えば、α−オレフィン重合用固体触媒固体成分(A1)を予備重合した後に、任意成分(A2〜A4)を接触させることができる。更に、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)および任意成分(A2〜A4)を接触させる際に、同時に予備重合を行っても良い。
【0094】
α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)または触媒成分(A)と上記のモノマーとの反応条件は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の条件を用いることができる。一般的には、以下の範囲内が好ましい。
固体触媒成分(A1)または触媒成分(A)1グラムあたりの基準で、上記モノマーの予備重合量は、0.001〜100gの範囲内であり、好ましくは0.1〜50g、更に好ましくは0.5〜10gの範囲内が望ましい。予備重合時の反応温度は、−150〜150℃、好ましくは0〜100℃である。そして、予備重合時の反応温度は、本重合のときの重合温度よりも低くすることが望ましい。反応は、一般的に撹拌下に行うことが好ましく、そのときヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒を存在させることもできる。
予備重合は、複数回行っても良く、この際用いるモノマーは、同一であっても異なっても良い。また、予備重合後にヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄を行うこともできる。
【0095】
3.有機アルミニウム化合物(B)
本発明においては、触媒として、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)またはα−オレフィン重合用触媒成分(A)、及び有機アルミニウム化合物(B)を用いることが必須要件であるが、本発明において用いることのできる有機アルミニウム化合物(B)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。好ましくは、触媒成分(A)を調製する際の成分である有機アルミニウム化合物(A4)における例示と同じ群から選択することができる。触媒成分(A)を調製する際に用いることのできる有機アルミニウム化合物(A4)と、触媒成分として用いる事のできる有機アルミニウム化合物(B)とが、同一であっても異なっても良い。
有機アルミニウム化合物(B)は、単独の化合物を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
有機アルミニウム化合物(B)の使用量は、α−オレフィン重合用触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(有機アルミニウム化合物(B)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは1〜5,000の範囲内であり、特に好ましくは10〜500の範囲内が望ましい。
【0096】
4.有機ケイ素化合物(C)
本発明において、α−オレフィン用重合触媒として、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)またはα−オレフィン重合用触媒成分(A)及び有機アルミニウム化合物(B)を用いる。この際、本発明の効果を損なわない範囲で、有機ケイ素化合物(C)、及び少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)などの任意成分を用いることができる。
本発明の触媒において、任意成分として用いられる有機ケイ素化合物(C)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。好ましくは、α−オレフィン重合用触媒成分(A)を調製する際の成分である有機ケイ素化合物(A3)における例示と同じ群から選択することができる。
また、ここで使用される有機ケイ素化合物(C)は、α−オレフィン重合用触媒成分(A)に含まれる有機ケイ素化合物(A3)と同一であっても異なってもよい。
さらに、有機ケイ素化合物(C)を用いる場合の使用量は、α−オレフィン重合用触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(有機ケイ素化合物(C)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01〜10,000の範囲内であり、特に好ましくは0.5〜500の範囲内が望ましい。
【0097】
5.少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)
本発明に係る触媒において、任意成分として用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)としては、特開平3−294302号公報および特開平8−333413号公報に開示された化合物等を用いることができる。好ましくは、α−オレフィン重合用触媒成分(A)において用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)における例示と同じ群から選択することができる。この際、α−オレフィン重合用触媒成分(A)を調製する際に任意成分として用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)と触媒の任意成分として用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)が同一であっても異なっても良い。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)は、単独の化合物を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)を用いる場合の使用量は、触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01〜10,000の範囲内であり、特に好ましくは0.5〜500の範囲内が望ましい。
【0098】
6.その他の化合物
本発明の効果を損なわない限り、上記の有機ケイ素化合物(C)、及び、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)以外の成分を触媒の任意成分として用いることができる。例えば、特開2004−124090号公報に開示されている分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)や特開2006−225449号公報に開示されている亜硫酸エステル化合物(F)を用いることにより、CXSの様な非晶性成分の生成を抑制することができる。この場合、テトラメチルウレア、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−エチル−2−ピロリジノン、亜硫酸ジメチル、亜硫酸ジエチルなどを好まし例として挙げることができる。
また、特開平8−66710号公報に開示された様に、ジエチル亜鉛(G)の様なAl以外の金属原子を持つ有機金属化合物を用いることもできる。
分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)、亜硫酸エステル化合物(F)及びジエチル亜鉛(G)を用いる場合の使用量は、触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(任意成分(E)、(F)、(G)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.001〜1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.05〜500の範囲内が望ましい。
【0099】
II.α−オレフィンの重合
本発明の触媒を使用する、α−オレフィンの重合は、炭化水素溶媒を用いるスラリー重合、実質的に溶媒を用いない液相無溶媒重合または気相重合に適用される。
スラリー重合の場合の重合溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒が用いられる。採用される重合方法は、連続式重合、回分式重合又は多段式重合等いかなる方法でもよい。重合温度は、通常30〜200℃程度、好ましくは50〜150℃であり、そのとき分子量調節剤として水素を用いることができる。
本発明の触媒で重合するα−オレフィンは、一般式:R−CH=CH(ここで、Rは炭素数1〜20の炭化水素基であり、分枝基を有してもよい。)で表されるものである。
具体的には、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1等のα−オレフィン類である。これらのα−オレフィンの単独重合のほかに、α−オレフィンと共重合可能なモノマー(例えば、エチレン、α−オレフィン、ジエン類、スチレン類等)との共重合も行うことができる。これらの共重合性モノマーは、ランダム共重合においては0〜15重量%まで、ブロック共重合においては0〜50重量%まで使用することができる。
【0100】
III.α−オレフィン重合体
本発明により重合されるα−オレフィン重合体のインデックスについては、特に制限はなく、各種用途に合わせて適宜調節することができる。
一般的には、α−オレフィン重合体のMFRは、0.01〜10,000g/10分の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜1,000g/10分の範囲内である。また、α−オレフィン重合体の密度は、用途によって好ましい範囲が異なるのが一般的である。一般射出用途などの硬い成形体が好まれる用途においては、ポリプロピレンの場合、密度の値は、0.9030〜0.9100g/mlの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0.9050〜0.9095g/mlの範囲内、とりわけ好ましくは0.9070〜0.9090g/mlの範囲内が望ましい。また、メルトブローン不織布用途などのやや柔らかい触感が好まれる用途に対しては、ポリプロピレンの場合、密度の値は、0.9000〜0.9090g/mlの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0.9010〜0.9075g/mlの範囲内、とりわけ好ましくは0.9020〜0.9060g/mlの範囲内が望ましい。
また、本発明により得られるポリマー粒子は、優れた粒子性状を示す。一般的に、ポリマー粒子の粒子性状は、ポリマー嵩密度、粒径分布、粒子外観、などにより評価される。
本発明により得られるポリマー粒子は、ポリマー嵩密度が0.35〜0.55g/mlの範囲内、好ましくは0.40〜0.50g/mlの範囲内である。
【実施例】
【0101】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。本発明における各物性値の測定方法を以下に示す。
【0102】
(1)MFR:
タカラ社製メルトインデクサーを用い、JIS K6921に基づき、230℃、21.18N(2.16kg)の条件で評価した。
(2)ポリマー嵩密度:
パウダー試料の嵩密度をASTM D1895−69に準ずる装置を使用し測定した。
(3)ポリマー平均粒径:
パウダー試料の粒径分布をJIS Z8801に準拠して篩い分け法により測定した。得られた粒径分布において、重量基準で積算50wt%となる粒径を平均粒径とした。
(4)CXS:
試料(約5g)を140℃のp−キシレン(300ml)中に一度完全に溶解させた。その後23℃まで冷却し、23℃で12時間ポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別した後、濾液からp−キシレンを蒸発させた。p−キシレンを蒸発させた後に残ったポリマーを100℃で2時間減圧乾燥した。乾燥後のポリマーを秤量し、試料に対する重量%としてCXSの値を得た。
(5)密度:
MFR測定時に得られた押出ストランドを用い、JIS K7112 D法に準拠して密度勾配管法で行った。
(6)Ti含量:
試料を精確に秤量し、加水分解した上で比色法を用いて測定した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた重量を用いて含量を計算した。
(7)ケイ素化合物含量:
試料を精確に秤量し、メタノールで分解した。ガスクロマトグラフィーを用いて標準サンプルと比較することにより、得られたメタノール溶液中のケイ素化合物濃度を求めた。メタノール中のケイ素化合物濃度と試料の重量から、試料に含まれるケイ素化合物の含量を計算した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた重量を用いて含量を計算した。
【0103】
[実施例1]
(1)α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の調製
撹拌装置を備えた容量500mlの丸底フラスコを充分に窒素で置換し、精製したn−ヘプタン200mlを導入し、次いで塩化マグネシウムを15g、テトラブトキシチタンを105ml導入し、90℃で1.5hr反応させ均一な溶解液とした。次いで均一な溶解液を40℃に冷却し、メタントリカルボン酸トリエチルを1.0ml導入し1hr処理を行った。40℃に保持したままメチルハイドロジェンポリシロキサン(20センチストークスのもの)を24ml導入し、3時間反応させた。生成した固体成分を、精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
次いで、撹拌装置を備えた充分に窒素置換した容量500mlの丸底フラスコに、上記で合成した固体成分を40g導入した。ここに精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が200g/Lとなる様に調整した。
次いで、四塩化ケイ素を12ml添加して、90℃で3hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、反応生成物の濃度が100g/Lとなる様に精製したn−ヘプタンを導入した。
次いでフタル酸ジクロライド0.9mlを添加し、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、反応生成物の濃度が200g/Lとなる様に精製したn−ヘプタンを導入した。ここへ、四塩化チタン20ml添加し、95℃で3hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、反応生成物の濃度が200g/Lとなる様に精製したn−ヘプタンを導入した。ここへ、SiClを3.0ml添加し、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーをフラスコから抜き出し、真空乾燥を行ってα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)を得た。
このα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)を分析したところ、Ti含量は1.1wt%であった。
【0104】
(2)プロピレンの重合
撹拌及び温度制御装置を有する内容積3.0Lのステンレス鋼製オートクレーブを真空下で加熱乾燥し、室温まで冷却してプロピレン置換した後、成分(B)としてトリエチルアルミニウムを550mg、成分(C)としてt−ブチルメチルジメトキシシランを62mg及び水素を2000ml導入し、次いで、液体プロピレンを1000g導入して、内部温度を70℃に合わせた後に、上記のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)を7ミリグラム圧入して、プロピレンを重合させた。1時間後にエタノールを10ml圧入して重合を停止した。ポリマーを乾燥して秤量した。結果を表1に示す。
【0105】
[実施例2]
実施例1のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の調製において、メタントリカルボン酸トリエチルの代わりに、1,1,2−エタントリカルボン酸トリエチルを使用した以外は、全く同様に行った。このα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)は、Tiが0.9wt%含まれていた。
また、プロピレンの重合は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
【0106】
[実施例3]
実施例1のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の調製において、メタントリカルボン酸トリエチルの代わりに、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリメチルを使用した以外は、全く同様に行った。このα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)は、Tiが0.9wt%含まれていた。
また、プロピレンの重合は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
【0107】
[比較例1]
実施例1のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の調製において、メタントリカルボン酸トリエチルを使用しなかった以外は、全く同様に行った。このα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)は、Tiが1.5wt%含まれていた。
また、プロピレンの重合は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
【0108】
【表1】

【0109】
[実施例4]
(1)α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の調製
撹拌装置を備えた充分に窒素置換した容量500mlの丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウムを10g導入した。ここに精製したトルエンを導入して、固体成分の濃度が100g/Lとなる様に調整した。
次いで、四塩化チタンを50ml添加し、温度を90℃に上げて、更にフタル酸ジ−n−ブチルを2.5mlとメタントリカルボン酸トリエチルを2.0ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。
次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を100mlに調整した。室温で四塩化チタンを50ml添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を100mlに調整した。室温で四塩化チタンを50ml添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換した。
得られたスラリーをフラスコから抜き出し、真空乾燥を行って、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)を得た。このα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)を分析したところ、Ti含量は2.4wt%であった。
【0110】
(2)プロピレンの重合
プロピレンの重合は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
【0111】
[実施例5]
実施例4のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の調製において、メタントリカルボン酸トリエチルの代わりに、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラメチルを使用した以外は、全く同様に行った。このα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)は、Tiが2.5wt%含まれていた。
また、プロピレンの重合は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
【0112】
[比較例2]
実施例4のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の調製において、メタントリカルボン酸トリエチルを使用しなかった以外は、全く同様に行った。このα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)は、Tiが2.7wt%含まれていた。
また、プロピレンの重合は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
【0113】
【表2】

【0114】
[実施例6]
(1)α−オレフィン重合用触媒成分(A)の調製
撹拌装置を備えた容量500mlの丸底フラスコを充分に窒素で置換し、精製したn−ヘプタン50mlを導入し、実施例1のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)4g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の濃度が60g/Lとなる様に調整した。ここに、成分(A2)としてジメチルジビニルシランを1.0ml、成分(A3)としてt−ブチルメチルジメトキシシランを0.8ml、成分(A4)としてEtAlのn−ヘプタン希釈液をトリエチルアルミニウムとして1.9g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
得られたスラリーをフラスコから抜き出し、真空乾燥を行ってα−オレフィン重合用触媒成分(A)を得た。
このα−オレフィン重合用触媒成分(A)は、Tiが0.8wt%、t−ブチルメチルジメトキシシランが4.8wt%含まれていた。
【0115】
(2)プロピレンの重合
撹拌及び温度制御装置を有する内容積3.0Lのステンレス鋼製オートクレーブを真空下で加熱乾燥し、室温まで冷却してプロピレン置換した後、成分(B)としてトリエチルアルミニウムを550mg及び水素を2000ml導入し、次いで、液体プロピレンを1000g導入して、内部温度を70℃に合わせた後に、上記のα−オレフィン重合用触媒成分(A)を7ミリグラム圧入して、プロピレンを重合させた。1時間後にエタノールを10ml圧入して重合を停止した。ポリマーを乾燥して秤量した。結果を表3に示す。
【0116】
[比較例3]
(1)α−オレフィン重合用触媒成分(A)の調製
撹拌装置を備えた容量500mlの丸底フラスコを充分に窒素で置換し、脱水及び脱酸素したn−ヘプタン50mlを導入し、比較例1のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)4g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の濃度が60g/Lとなる様に調整した。ここに、成分(A2)としてジメチルジビニルシランを1.0ml、成分(A3)としてt−ブチルメチルジメトキシシランを0.8ml、成分(A4)としてトリエチルアルミニウムのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして1.9g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをフラスコから抜き出し、真空乾燥を行ってα‐オレフィン用重合触媒成分(A)を得た。
このα−オレフィン重合用触媒成分(A)は、Tiが0.9wt%、t−ブチルメチルジメトキシシランが5.5wt%含まれていた。
【0117】
(2)プロピレンの重合
プロピレンの重合は、実施例6と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
【0118】
[比較例4]
(1)α−オレフィン重合用触媒成分(A)の調製
実施例1のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の調製において、メタントリカルボン酸トリエチルの代わりに、コハク酸ジ−n−ブチルを使用した以外は、全く同様に行った。このα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)は、Tiが1.0wt%含まれていた。
次に、撹拌装置を備えた容量500mlの丸底フラスコを充分に窒素で置換し、脱水及び脱酸素したn−ヘプタン50mlを導入し、上記のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)4g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)の濃度が60g/Lとなる様に調整した。ここに、成分(A2)としてジメチルジビニルシランを1.0ml、成分(A3)としてt−ブチルメチルジメトキシシランを0.8ml、成分(A4)としてトリエチルアルミニウムのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして1.9g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをフラスコから抜き出し、真空乾燥を行ってα‐オレフィン用重合触媒成分(A)を得た。
このα−オレフィン重合用触媒成分(A)は、Tiが0.9wt%、t−ブチルメチルジメトキシシランが5.2wt%含まれていた。
【0119】
(2)プロピレンの重合
プロピレンの重合は、実施例6と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
【0120】
【表3】

【0121】
[各実施例と各比較例の評価結果の考察]
表1〜3から明らかなように、実施例1〜6及び比較例1〜4を対比検討することで、本発明の実施例は、重合活性が全般にわたり比較例に対して優れ、さらに立体規則性や粒子性状も、高レベルに維持された結果を示しており、非常にバランスの優れた触媒であると、言える。
具体的には、実施例1と比較例1を比較することで、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物(A1d)として、メタントリカルボン酸トリエチルを存在させることにより、立体規則性や粒子性状を維持されたまま、重合活性が向上していることが分かる。また、実施例2、3は、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物(A1d)を、異なる構造の化合物に変えたものであるが、実施例1の結果と同様に、重合活性の向上がみられている。
また、実施例4、5では、製造法の異なる触媒系に特定の3つ以上のエステル基を有する化合物(A1d)を使用したものであるが、これらも、比較例2と比較することにより、重合活性の向上されていることがわかる。
さらに、実施例6では、固体触媒成分(A1)に、アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)、有機ケイ素化合物(A3)および有機アルミ化合物を接触処理した触媒成分で評価している。比較例3と比較することにより、規則性を高レベルに維持しながら、活性が向上していることが分かる。
また、比較例4は、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物(A1d)ではなく、2つのエステル基を有するコハク酸ジエステルを用いた触媒であり、実施例6との比較により、特定の3つ以上のエステル基を有する化合物(A1d)を用いることにより、重合活性の向上に繋がっていると、理解される。
したがって、本発明の各実施例の触媒は、立体規則性などの基本性能を高レベルにて維持したまま、極めて高い触媒活性を有する触媒であり、比較例に対比して優れた結果が得られていると、言える。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明のα−オレフィン重合用触媒は、立体規則性、粒子性状、触媒活性などの触媒性能の全てにおいて高い性能を有しており、α−オレフィン重合体の生産性を高め、製造コストを低減させることができ、産業上、利用可能性が高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び下記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物からなることを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分。
【化1】

(式中、Rは、炭素数1つ以上の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なってもよい。nは、1〜6の整数であり、n=1のとき、RおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、RおよびRのうちの少なくとも1つは、COORである。また、nが2〜6のとき、複数あるRおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、複数あるRおよびRのうち少なくとも1つは、COORである。)
【請求項2】
さらに、前記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物とは別の電子供与性化合物からなることを特徴とする請求項1に記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分。
【請求項3】
前記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物は、一般式(1)中、nが1〜4の整数であることを特徴とする請求項1又は2に記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分。
【請求項4】
マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン、及び下記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物を接触処理することを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法。
【化2】

(式中、Rは、炭素数1つ以上の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なってもよい。nは、1〜6の整数であり、n=1のとき、RおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、RおよびRのうちの少なくとも1つは、COORである。また、nが2〜6のとき、複数あるRおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、複数あるRおよびRのうち少なくとも1つは、COORである。)
【請求項5】
マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン、及び下記一般式(1)で表される3つ以上のエステル基を有する化合物を接触処理してなることを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分。
【化3】

(式中、Rは、炭素数1つ以上の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なってもよい。nは、1〜6の整数であり、n=1のとき、RおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、RおよびRのうちの少なくとも1つは、COORである。また、nが2〜6のとき、複数あるRおよびRは、それぞれ独立にCOOR、Rまたは水素基であり、複数あるRおよびRのうち少なくとも1つは、COORである。)
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)に、下記成分(A2)、(A3)および(A4)を接触してなることを特徴とするα−オレフィン重合用触媒成分。
成分(A2):アルケニル基を有するケイ素化合物
成分(A3):有機ケイ素化合物
成分(A4):有機アルミニウム化合物
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)もしくは請求項5に記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A1)、または請求項6に記載のα−オレフィン重合用触媒成分(A)と、下記成分(B)からなることを特徴とするα−オレフィン重合用触媒。
成分(B):有機アルミニウム化合物
【請求項8】
さらに、下記成分(C)からなることを特徴とする請求項7に記載のα−オレフィン重合用触媒。
成分(C):有機ケイ素化合物
【請求項9】
請求項7又は8に記載のα−オレフィン重合用触媒を用いることを特徴とするα−オレフィン重合体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−71955(P2013−71955A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210230(P2011−210230)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(596133485)日本ポリプロ株式会社 (577)
【Fターム(参考)】