説明

α−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体の製造方法

【課題】α−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体を効率良く製造する方法を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】エナミン化合物をトリフルオロピルビン酸エステル類との連続的なアルドール縮合−環化反応させることを特徴とするα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トリフルオロメチル基含有へテロ環状化合物は医薬、農薬分野において重要な合成中間体である。前記一般式(3)で示されるα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体の製造方法は、従来報告されていない。1985年、フッ素を含まないジヒドロ−4−オキソ−3−ヒドロキシ−2−オキシインドールは、エナミン化合物とα−ケト酸から合成しているが、収率が低く実用的な反応とは言えない。従って、トリフルオロメチル基を含む前記一般式(3)に示されるα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体を工業スケールで簡便かつ収率良くできる製造方法が望まれていた。
【非特許文献1】Tetrahedron 43, 3123 (1987)
【非特許文献2】Curr. Org. Chem. 6, 1057 (2002)
【非特許文献3】J. Heterocycl. Chem. 59, 1 (2001)
【非特許文献4】J. Med. Chem. 49, 4216 (2006)
【非特許文献5】J. Chem. Reseach(S), 244 (1985)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決する課題は、従来報告例がない前記一般式(3)に示されるα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体を効率良く、さらに、光学活性な前記一般式(3)の合成に応用できる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、溶媒中、無触媒もしくは酸、または塩基触媒存在下、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物と前記一般式(2)で示されるトリフルオロピルビン酸エステル類との連続的なアルドール縮合−環化反応させることにより、前記一般式(3)に示されるα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体を高収率で得ることができることを見出した。本反応は、さらに、光学活性な塩基触媒を用いることにより、光学活性なα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体の合成に応用できることを見出した。
【0005】
本反応は下記の(1)〜(7)に関するものである。
・ 溶媒中、無触媒もしくは酸,または塩基触媒存在下、一般式(1)
【0006】
【化5】


【0007】
(式中、Rは水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基、アルコキシ基を示す。R2、及びRはそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基またはアリール基を示す。なおRおよびRが一体となって、ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。)
で表せるエナミン化合物を一般式(2)
CFCOCO (2)
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基またはアリール基を示す。)
で示されるトリフルオロピルビン酸エステル類との連続的なアルドール縮合−環化反応させることを特徴とする一般式(3)
【0008】
【化6】


【0009】
(式中、R、R2、及びRは前記定義に同じ)
で示されるα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体の製造方法。

・ 溶媒中、無触媒もしくは酸、塩基触媒存在下、一般式(1)
【0010】
【化7】


【0011】
(式中、R、R2及びRは前記定義に同じ)
で表せるエナミン化合物を一般式(2)
CFCOCO (2)
(式中、Rは前記定義に同じ)
で示されるトリフルオロピルビン酸エステル類とのアルドール縮合させることを特徴とする一般式(4)
【0012】
【化8】


【0013】
(式中、R、R2、R及びRは前記定義に同じ)
で示される含フッ素アルコール誘導体の製造方法。

(3)前記塩基触媒が光学活性体であり、前記一般式(3)で表せるα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体が光学活性体である請求項1の記載の製造方法。

(4)前記酸触媒が、一般式(5)、(6)、(7)および(8)から選ばれる少なくとも1種の酸であることを特徴とする請求項1ないし2のいずれか1項に記載の製造方法。
(RO)nM (5)
(RCO)nM (6)
(RfSO2)n M (7)
(X)nM (8)
(式中、Mは、希土類を含む遷移金属、マグネシウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン及びビスマスから選ばれた元素、nは、Mの原子価と同数の整数を表す。RまたはRは水素原子または置換基を有してもよい直鎖状若しくは分岐した炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜20の置換または無置換のアリール基を表す。Rfはペルフルオロアルキル基を表す。Xはハロゲン原子を表す。)

(5)前記塩基触媒が、一般に市販されているアミン類もしくは無機塩一般式(9)から選ばれる少なくとも1種類の塩基であることを特徴とする請求項1ないし2のいずれか1項に記載の製造方法。
アミンとしては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、キヌクリジン、DBU、DABCOなどを用いることができる。無機塩は一般式(9)
(X)nM (9)
(式中、Mは、希土類を含む遷移金属、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、から選ばれた元素、nは、Mの原子価と同数の整数を表す。Xはアルコシド、フルオリド、カルボネートなどのマイナスイオンを表す。)

(6)前記塩基触媒が、一般に市販されている光学活性塩基から選ばれる少なくとも1種類の塩基であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
光学活性塩基触媒としては、キニン、キニジン、シンコニン、シンコニジン、(DHQ)AQN、(DHQD)AQN、(DHQ)PYR、(DHQD)PYR、(DHQ)PHAL、(DHQD)PHAL,スパルテインなどを用いることができる。

(7)前記溶媒が、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン,ヘキサン,ベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
前記一般式(3)に示されるようなα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体は、医薬品合成において興味深いヘテロ環状化合物である。しかし、α−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体を簡便に合成した例はこれまでに報告されていない。本発明における製造方法は、無触媒、もしくは酸、または塩基触媒存在下、エナミン化合物(1)とトリフルオロピルビン酸エステル類(2)を反応して前記一般式(3)または(4)に示される含フッ素アルコール誘導体を収率よく得ることが可能であることから、工業的利用価値は高い。また,光学活性塩基触媒を用いることにより、光学活性な(3)が製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、変発明を詳細に説明する。本発明は、溶媒中、無触媒もしくは酸、塩基触媒存在下、前記一般式(1)に示すようなエナミン化合物と前記一般式で示されるトリフルオロピルビン酸エステル類と反応して前記一般式(3)に示されるα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体の製造方法である。
【0016】

前記一般式(1)中のアルキル基は、前記一般式(1)中のアルキル基は炭素数が1〜20の枝分かれがあっても良いアルキル基または炭素数が3〜20のシクロアルキル基が好ましく、炭素数が1〜10のアルキル基または炭素数が3〜10のシクロアルキル基がさらに好ましい。アルキル基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよい。

前記一般式(1)中のアルケニル基は炭素数が1〜20の枝分かれがあっても良いアルケニル基または炭素数が3〜20のシクロアルケニル基が好ましく、炭素数が1〜10のアルケニル基または炭素数が3〜10のシクロアルケニル基がさらに好ましい。アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、アリル基などが挙げられる。アルケニル基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよい。

前記一般式(1)中のアラルキル基は、例としてベンジル基、ペンタフルオロベンジル基、o−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、p−ニトロベンジル基、ナフチルメチル基、フルフリル基、α−フェネチル基等が挙げられる。

前記一般式(1)中のアルキニル基は、例としてエチニル基、フェニルエチニル基、2−プロピニル基等が挙げられる。

前記一般式(1)中のアリール基は炭素数が6〜20のアリール基が好ましく、炭素数が6〜10のアリール基がさらに好ましい。アリール基はアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよい。

前記一般式(1)中のアルコキシ基は炭素数が1〜20のアルコキシ基が好ましく、炭素数が1〜10のアルコキシ基がさらに好ましい。アルコキシ基の場合も上記のアルキル基の場合と同様の置換基により置換されていてもよい。

前記一般式(1)中のアリールオキシ基は炭素数が1〜20のアリールオキシ基が好ましく、炭素数が1〜10のアリールオキシ基がさらに好ましい。アリールオキシ基の場合も上記のアリール基の場合と同様の置換基により置換されていてもよい。
【0017】

前記一般式(1)中のRおよびRを組み合わせて形成されうる前記環状構造の例としては、3員環から20員環でなる単環、双環、またはそれ以上の多環の構造を示すことができる。これらの環状構造はヘテロ原子を有してもよい。

前記一般式(2)中のアルキル基は、置換基を有していても良く、直鎖または分岐した炭素数が1〜20のアルキル基または炭素数が3〜20のシクロアルキル基が好ましく、炭素数が1〜10のアルキル基または炭素数が3〜10のシクロアルキル基がさらに好ましい。

前記一般式(2)中のアリール基は炭素数が6〜20の置換または無置換のアリール基が好ましく、炭素数が6〜10のアリール基がさらに好ましい。
【0018】
前記一般式(3)で示されるα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体では、1−ベンジル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−6,7−ジヒドロキシ−2,4(3H,5H)−ジオン、3−ヒドロキシ−1−フェニル−3−トリフルオロメチル−6,7−ジヒドロキシ−2,4(3H,5H)−ジオン、 3−ヒドロキシ−1−フェネチル−3−トリフルオロメチル−6,7−ジヒドロキシ−2,4(3H,5H)−ジオン、 1−ベンジヒドリル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−6,7−ジヒドロキシ−2,4(3H,5H)−ジオン、1−ベンジル−3−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−3−トリフルオロメチル−6,7−ジヒドロキシ−2,4(3H,5H)−ジオン等(3a〜l)が挙げられる。

前記一般式(4)で示される含フッ素アルコール体では、5gと5mが挙げられる。
【0019】

前記一般式(5)または(6)中のアルキル基は炭素数が1〜20の枝分かれがあっても良いアルキル基が好ましく、炭素数が1〜8の枝分かれがあっても良いアルキル基がさらに好ましい。

前記一般式(5)または(6)中のアリール基は炭素数が6〜20の置換または無置換のアリール基が好ましく、炭素数が6〜15の置換または無置換のアリール基がさらに好ましい。

前記一般式(7)中のペルフルオロアルキル基は炭素数が1〜10の、水素がフッ素で置換された枝分かれがあっても良いアルキル基または炭素数が3〜20のシクロアルキル基が好ましく、場合によってはハロゲン原子などで置換されていてもよい。

前記一般式(5)、(6)、(7)または(8)中で示される酸としては、特に制限するわけではないが、例えば四塩化すず、三塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯塩、四塩化チタン(以下、TiClと略す。)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)[以下、Cu(OTf)と略す。]、過塩素酸ニッケル(II)[以下、Ni(ClOと略す。]、酢酸亜鉛(II)[以下、Zn(OAc)と略す。]、酢酸パラジウム(II)[以下、Pd(OAc)と略す。]、酢酸銅(II)[以下、Cu(OAc)と略す。]、フッ化銀(I)[以下、AgFと略す。]、フッ化亜鉛(II)[以下、ZnFと略す。]、フッ化銅(II)[以下、CuFと略す。]、フッ化インジウム(III)[以下、InFと略す。]、塩化マグネシウム[以下、MgClと略す。]、フッ化チタン(IV)[以下、TiFと略す。]、チタンテトライソプロポキシド[以下、Ti(OiPr)と略す。]等が挙げられる。これらは単独で使用し得るのみならず、2種類以上を混合して用いることも可能である。
【0020】

前記塩基触媒として特に制限するわけではないが、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、キヌクリジン、DBU、DABCOなどを用いることができる。なお、前記一般式(9)塩基も、特に制限するわけではないが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリム、フッ化カリウム等が挙げられる。これらは単独で使用し得るのみならず、2種類以上を混合して用いることも可能である。

光学活性塩基触媒としては、キニン、キニジン、シンコニン、シンコニジン、(DHQ)AQN、(DHQD)AQN、(DHQ)PYR、(DHQD)PYR、(DHQ)PHAL、(DHQD)PHAL,スパルテインなどを用いることができる。

本発明の反応は、溶媒として低極性有機溶媒としては、ヘプタン、ヘキサン、キシレン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテルが好ましく、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン,ベンゼンが好ましい。非プロトン性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ヘキサメチルリン酸トリアミドが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランがさらに好ましい。これらは単独で使用し得るのみならず、2種類以上を混合して用いることも可能である。

反応温度は特に限定されるものではないが、通常−80℃〜120℃であり、より好ましくは室温付近である。反応器は大気開放型の反応器、またはオートクレーブ等の密閉型の反応器のいずれも可能である。反応圧力は大気圧下、または加圧下のいずれも可能である。反応時間は特に限定されるものではないが、通常0.5〜24時間で反応は完結する。

反応後、前記一般式(3)で示されるα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体は一般的な手法によって反応液から単離および精製することができ、例えば反応液を濃縮した後、蒸留精製またはシリカゲル、アルミナ等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフ法での精製、塩析、再結晶等が挙げられる。
【0021】
前記一般式(4)で示される含フッ素アルコール誘導体は、一般的な手法によって反応液から単離および精製することができ、例えば反応液を濃縮した後、蒸留精製またはシリカゲル、アルミナ等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフ法での精製、塩析、再結晶等が挙げられる。

以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
前記一般式(3)の一般的な製造方法:1−ベンジル−3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)−6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
エナミン化合物1a(30mg、 0.15mmol)をCHClに1mLに溶かし、室温で、エチルトリフルオロメチルピルビン酸エステル(40μL、0.30mmol)を加えた。一時間撹拌した後、減圧下、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し、生成物3a(無色結晶)を得た。
【0023】
【化9】


【0024】
Compound 3a: 1−ベンジル−3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)−6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 2.02-2.18(m, 2H), 2.26-2.66(m, 4H), 4.37 (brs, 1H), 4.65 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 4.89 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 7.15-7.20(m, 2H), 7.31-7.42(m, 3H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -78.1 (s, 3F). IR (KBr): 3128, 1763, 1632, 1601, 1413, 1359, 1263, 1183, 1158, 1075, 1026, 960, 945, 737, 712, 568, 499 cm-1. MS (EI): m/z = 325 (M+).
【0025】
【化10】


【0026】
Compound 3b: 3−ヒドロキシ−1−フェニル−3−(トリフルオロメチル)−6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 2.09-2.22 (m, 2H), 2.36-2.68 (m, 4H), 4.48 (brs, 1H), 7.19-7.25 (m, 2H), 7.45-7.56 (m, 3H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -78.4 (s, 3F). IR (KBr): 3424, 1767, 1651, 1613, 1496, 1399, 1255, 1191, 1086, 1015, 849, 744, 715, 552 cm-1. MS (EI): m/z = 311(M+).
【0027】
【化11】



【0028】
Compound 3c: 3−ヒドロキシ−1−フェネチル−3−(トリフルオロメチル)6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.75-1.97 (m, 4H), 2.10-2.35 (m, 1H), 2.34-2.50 (m, 1H), 2.86-3.04 (m, 2H), 3.62 (ddd, J = 14.0 , 7.6, 5.6 Hz, 1H), 3.87 (dt, J = 14.0, 6.2 Hz, 1H), 4.34 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 7.08-7.14 (m, 2H), 7.27-7.32 (m, 3H). 19F NMR (188 MHz , CDCl3): δ = -78.0 (s, 3F). IR (KBr): 3250, 2960, 1764, 1638, 1593, 1458, 1433, 1366, 1336, 1277, 1256, 1184, 1161, 1072, 985, 946, 841, 755, 708, 562, 499 cm-1. MS (EI): m/z = 339 (M+).
【0029】
【化12】



【0030】
Compound 3d: 1−ベンジル−3−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−3−トリフルオロメチル−6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.05 (s, 3H), 1.07 (s, 3H), 2.24 (d, J = 16.6 Hz, 1H), 2.35 (s, 2H), 2.38 (d, J= 16.6 Hz, 1H), 4.26 (brs, 1H), 4.66 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.89 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.13-7.18 (m, 2H), 7.31-7.41 (m, 3H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -78.0 (s, 3F). IR (KBr): 3201, 2961, 1756, 1625, 1599, 1421, 1267, 1191, 1173, 1062, 956, 701 cm-1. MS (EI): m/z =353 (M+).
【0031】
【化13】


【0032】
Compound 3e:3−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−1−フェニル−3−(トリフルオロメチル)6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.12 (s, 3H), 1.14 (s, 3H), 2.29 (d, J = 18.6 Hz, 1H), 2.23 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.41 (d, J = 18.6 Hz, 1H), 2.45 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 4.44 (brs, 1H), 7.17-7.22 (m, 2H), 7.47-7.53 (m, 3H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -78.0 (s, 3F). IR (KBr): 3398, 3222, 2962, 1766, 1647, 1615, 1496, 1400, 1244, 1192, 1163, 1074, 1048, 897, 742, 715, 571, 505, 449 cm-1. MS (EI): m/z =339 (M+).
【0033】
【化14】



【0034】
Compound 3f: 3−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−1−フェネチル−3−(トリフルオロメチル)6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 0.85 (s, 3H), 0.95 (s, 3H), 1.67 (d, J = 18.2 Hz, 1H), 1.80 (d, J = 18.2 Hz, 1H), 2.10 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.22 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.80-3.03 (m, 2H), 3.60 (ddd, J = 14.0, 7.8, 5.6 Hz, 1H), 3.89 (dt, 14.2, 6.0 Hz, 1H), 4.28 (brs, 1H), 7.10-7.14(m, 2H), 7.31-7.34(m, 3H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -77.8 (s, 3F).IR (KBr): 3200, 2962, 1755, 1642, 1605, 1422, 1263, 1189, 1167, 1068, 701, 497 cm-1. MS (EI): m/z =367 (M+).
【0035】
【化15】


【0036】
Compound 4g:エチル−2−[2−(ベンズヒドリルアミノ)−6−オキソシクロヘキセニル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパノエート
colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.31 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.75-1.93 (m, 2H), 2.27-2.37 (m, 2H), 2.47-2.62 (m, 2H), 4.17-4.34 (m, 2H), 5.76 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 6.06 (s, 1H), 7.21-7.42 (m, 10H), 7.69 (d, J = 6.4 Hz, 1H). 19F NMR(188 MHz, CDCl3): δ = -76.1 (s, 3F).IR (KBr): 3321, 2953, 1747, 1565, 1432, 1373, 1281, 1193, 1034, 991, 946, 744, 704, 550 cm-1. MS (EI): m/z =447 (M+).
【0037】
【化16】

【0038】
Compound 3g: 1−ベンズヒドリル−3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)−6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.86-2.06 (m, 3H), 2.18-2.54 (m, 3H), 4.20 (brs, 1H), 6.81 (s, 1H), 7.15-7.20(m, 4H), 7.33-7.45(m, 6H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -78.1 (s, 3F).IR (KBr): 3400, 3064, 3033, 2954, 1759, 1647, 1603, 1243, 1191, 1165, 1076, 1013, 741, 715, 700, 612, 512, 418 cm-1. MS (EI): m/z =401 (M+).
【0039】
【化17】


【0040】
Compound 3h: 1−ベンズヒドリル−3−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 0.93 (s, 3H), 1.01 (s, 3H), 1.89 (d, J = 18.2 Hz, 1H), 2.09 (d, J = 18.2 Hz, 1H ), 2.16 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.31 (d, J = 16. 4 Hz, 1H), 4.29 (brs, 1H), 6.83 (s, 1H), 7.17-7.21(m, 4H), 7.34-7.41(m, 6H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -77.9 (s, 3F). IR (KBr): 3390, 2962, 1765, 1646, 1600, 1424, 1405, 1356, 1266, 1225, 1193, 1161, 1078, 1067, 904, 743, 702, 567, 447 cm-1. MS (EI): m/z =429 (M+).
【0041】
【化18】


【0042】
Compound 3i: 1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)−6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 2.13-2.24 (m, 2H), 2.32-2.62 (m, 4H), 4.41 (brs, 1H), 4.68 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 5.09 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 7.64 (s, 2H), 7.87 (s, 1H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -63.0 (s, 6F), -78.3 (s, 3F).IR (KBr): 3545, 1764, 1645, 1612, 1408, 1353, 1281, 1184, 1133, 1081, 957, 708, 684 cm-1. MS (EI): m/z =461 (M+).
【0043】
【化19】


【0044】
Compound 3j: 3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)−1−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
colorless crystals. 1H NMR (200MHz, CDCl3): δ = 2.02-2.16(m, 2H), 2.29-2.59(m, 4H), 4.39 (brs, 1H), 4.88 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 5.12 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.44 (t, J= 7.6 Hz, 1H), 7.56 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.72 (t, J = 7.6 Hz, 1H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -60.1 (s, 3F), -78.0 (s, 3F).IR (KBr): 3126, 2813, 1760, 1645, 1612, 1409, 1319, 1263, 1157, 1110, 1080, 1039, 967, 946, 878, 770, 709, 657, 426 cm-1. MS (EI): m/z =393 (M+).
【0045】
【化20】


【0046】
Compound 3k: 1−ベンジル−3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシクロヘプタ[b]ピロール−2,4(1H,3H)−ジオン

colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.79-1.98 (m, 4H), 2.63-2.71 (m, 4H), 4.65 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 4.97 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 5.99 (s, 1H), 7.13-7.17 (m, 2H), 7.29-7.40 (m, 3H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -78.1 (s, 3F). IR (KBr): 3384, 3011, 2948, 2883, 1761, 1590, 1403, 1320, 1259, 1207, 1171, 1039, 944, 743, 710, 627, 525, 463 cm-1. MS (EI): m/z = 339 (M+).
【0047】
【化21】



【0048】
Compound 3l:1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−メチル−5−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロピロール−3−カルボニトリル
brown oil. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 2.23 (s, 3H), 4.79 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.87 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.10-7.17 (m, 2H), 7.30-7.36 (m, 3H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -78.6 (s, 3F).IR (neat): 3341, 2220, 1748, 1633, 1402, 1352, 1267, 1181, 1139, 1083, 1032, 953, 742, 716, 614, 557 cm-1. MS (EI): m/z =296 (M+).
【0049】
【化22】



【0050】
Compound 4m: colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.34 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 2.43-2.48 (m, 1H), 2.58-2.65 (m, 2H), 4.25-4.38 (m, 2H), 4.51 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 7.20-7.25 (m, 2H), 7.31-7.43 (m, 3H), 8.01 (brd, 1H), 9.76 (s, 1H). 19F NMR (188 MHz, CDCl3): δ = -78.7 (s, 3F).IR (KBr): 3375, 2986, 2715, 1759, 1648, 1558, 1453, 1433, 1341, 1240, 1192, 1158, 1038, 970, 737, 665, 461 cm-1. MS (EI): m/z =357 (M+).
【実施例2】
【0051】
光学活性塩基を用いた前記一般式(3)の光学活性体の製造方法:1−ベンジル−3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)−6,7−ジヒドロインドール−2,4(3H,5H)−ジオン
エナミン化合物1a(30mg、 0.15mmol)と(DHQ)AQN(13mg、0.015mmol)をCHClに1mLに溶かし、室温で、エチルトリフルオロメチルピルビン酸エステル(40μL、0.30mmol)を加えた。30分撹拌した後、減圧下、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し、収率99%、不斉収率58%で生成物3a(無色結晶)を得た。
HNMR、19FNMRは前記と一致した。光学純度は、キラルHPLCで決定した。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体の製造方法は医農薬産業に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中、無触媒もしくは酸、塩基触媒存在下、一般式(1)
【化1】


(式中、Rは水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基を示す。R2、及びRはそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基またはアリール基を示す。なおRおよびRが一体となって、ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。)
で表せるエナミン化合物を一般式(2)
CFCOCO (2)
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基またはアリール基を示す。)
で示されるトリフルオロピルビン酸エステル類との連続的なアルドール縮合−環化反応させることを特徴とする一般式(3)
【化2】




(式中、R、R2、及びRは前記定義に同じ)
で示されるα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体の製造方法。
【請求項2】
溶媒中、無触媒もしくは酸、塩基触媒存在下、一般式(1)
【化3】




(式中、R、R2及びRは前記定義に同じ)
で表せるエナミン化合物を一般式(2)
CFCOCO (2)
(式中、Rは前記定義に同じ)
で示されるトリフルオロピルビン酸エステル類とのアルドール縮合させることを特徴とする一般式(4)
【化4】



(式中、R、R2、R及びRは前記定義に同じ)
で示される含フッ素アルコール誘導体の製造方法。
【請求項3】
前記塩基触媒が光学活性体であり、前記一般式(3)で表せるα−ヒドロキシ−α−トリフルオロメチル−γ−ラクタム誘導体が光学活性体である請求項1の記載の製造方法。
【請求項4】
前記酸触媒が、一般式(5)、(6)、(7)および(8)から選ばれる少なくとも1種の酸であることを特徴とする請求項1ないし2のいずれか1項に記載の製造方法。
(RO)nM (5)
(RCO)nM (6)
(RfSO2)n M (7)
(X)nM (8)
(式中、Mは、希土類を含む遷移金属、マグネシウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン及びビスマスから選ばれた元素、nは、Mの原子価と同数の整数を表す。RまたはRは水素原子または置換基を有してもよい直鎖状若しくは分岐した炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜20の置換または無置換のアリール基を表す。Rfはペルフルオロアルキル基を表す。Xはハロゲン原子を表す。)
【請求項5】
前記塩基触媒が、一般に市販されているアミン類もしくは無機塩一般式(9)から選ばれる少なくとも1種類の塩基であることを特徴とする請求項1ないし2のいずれか1項に記載の製造方法。
アミンとしては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、キヌクリジン、DBU、DABCOなどを用いることができる。無機塩は一般式(9)
(X)nM (9)
(式中、Mは、希土類を含む遷移金属、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、から選ばれた元素、nは、Mの原子価と同数の整数を表す。Xはアルコシド、フルオリド、カルボネートなどのマイナスイオンを表す。)
【請求項6】
前記塩基触媒が、一般に市販されている光学活性塩基から選ばれる少なくとも1種類の塩基であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
光学活性塩基としては、キニン、キニジン、シンコニン、シンコニジン、(DHQ)AQN、(DHQD)AQN、(DHQ)PYR、(DHQD)PYR、(DHQ)PHAL、(DHQD)PHAL,スパルテインなどを用いることができる。
【請求項7】
前記溶媒が、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トルエン、テトラヒドロフラン,ヘキサン,ベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−115116(P2008−115116A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299938(P2006−299938)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】