説明

β位がアルキル化されたピロール類の製造方法

【課題】化学合成によりピロール類のβ位を一段階で選択的にアルキル化して、β位がアルキル化されたピロール類を簡便に製造する実用的な方法の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるピロール類と、下記一般式(2)で表されるカルボニル化合物と、求核種供与体とを反応させることを特徴とする下記一般式(3)で表される化合物の製造方法(式中、Rは水素原子、脂肪族基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基又はトリアルキルシリル基であり;R及びRはそれぞれ独立に水素原子、あるいは置換基を有していても良い脂肪族基又はアリール基であり、相互に結合して環を形成していても良く;Xは求核種由来の一価の基である。)。
[化1]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β位がアルキル化されたピロール類の製造方法に関する。より具体的には、ピロール類のβ位を選択的にアルキル化して、β位がアルキル化されたピロール類を製造する方法に関する。なお本発明では、「ピロール類のアルキル化」における「アルキル化」とは、「アルキル基、又はその水素原子の一部が置換基で置換された置換アルキル基を導入すること」を指す。
【背景技術】
【0002】
ピロールの誘導体は、複素環骨格を有することから、医薬品や各種化成品の中間体として重要であるだけでなく、これを構成単位とするポリマーとすることで、新規な電子材料等の高機能性材料を開発できる可能性を秘めており、非常に重要な化合物である。
そしてピロール類は、例えば、少なくとも一部の水素原子を各種置換基で置換することにより、新たな物性を付与することも可能であり、上記のような目的において、所望の機能を有するようにピロール誘導体の構造を設計することが検討されている。
【0003】
例えば、ピロール誘導体のうち、炭素原子に結合している水素原子がアルキル基で置換されたアルキルピロールは、ピロール類をアルキル化することで、化学合成で容易に得られることから、これまでに種々のものが検討されている。
しかし従来の方法では、ピロールのアルキル化は、主にピロールの2位(以下、α位という)で進行する。これは、求電子剤であるアルキル化剤に対して、求核性が高いピロールのα位が優先的に反応することによる。すなわち、以下に示すように、求核性が低いピロールの3位(以下、β位という)においてアルキル化を行うことは、非常に困難である。これまでに、β位にアルキル基が導入されたピロール誘導体の製造方法として、例えば、陽イオン交換樹脂を共存させて、酸性条件下でピロールのアルキル化を行う方法(非特許文献1参照)が開示されているが、α位にアルキル基が導入されたα位置換体が主生成物であることに変わりはない。
【0004】
そこで、β位にアルキル基が導入されたβ位置換体のピロール誘導体を得る方法として、ピロールのα位に近接する窒素原子に嵩高い置換基を導入し、アルキル化剤がα位よりも立体障害の少ないβ位で反応し易いようにする方法や、ピロールの5位に電子求引性基を導入し、β位の求核性を向上させて、アルキル化剤と反応し易くする方法(非特許文献2及び3参照)が開示されている。これらに加えて、ピロール金属錯体を利用することで、β位にアルキル基を導入する方法(非特許文献4参照)も開示されている。また、ピロールはα位の求核性が高い、という特性に由来する問題点を克服するために、ピロール骨格の構築とβ位へのアルキル基の導入を並行して行うという手法も開示されている。さらに、アルキンとピロール誘導体と求核種供与体とを反応させることによる、ピロール環のβ位への直接的なアルキル基導入方法(非特許文献5及び6参照)が開示されている。
【0005】
【化1】

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】I.Iovel et.al., Synthetic Communications,18(11),1261−1266(1988)
【非特許文献2】J.K.Groves et.al., Canadian Journal of Chemistry,Vol.49,2427−2432(1971)
【非特許文献3】Hugh J.Anderson et.al., Synthesis,353−364,April(1985)
【非特許文献4】W.Dean Harman, Chemical Reviews,Vol.97,No.6,1953−1978(1997)
【非特許文献5】土本晃久・白川英二,日本化学会第84春季年会講演予稿集,4F1−10
【非特許文献6】土本晃久・我妻辰哉,日本化学会第88春季年会講演予稿集,5H3−05
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ピロールのアルキル化は、工程が単純であるという長所を有する反面、多くの方法においては、α位置換体が主生成物となってしまう問題点を解決できていないのが現状である。これに対し、5位に電子求引性基を有するピロールを用いる反応や、ピロール金属錯体を利用する反応では、いくつかの反応において、高いβ位選択性が実現されているが、ここでは、電子求引基あるいは金属部位の導入とこれらの除去が必要となるために、多段階の合成過程が避けられないほか、導入できるアルキル基に大きな制限があるなどの問題点がある。また、ピロール骨格の構築とβ位へのアルキル基の導入を並行して行う方法は、工程が複雑になり実用的ではないという問題点がある。また、アルキンとピロール誘導体と求核種供与体とを反応させる方法においては、一段階でかつ極めて高い選択性で、β位がアルキル化されたピロール類を合成できるが、以下の様な実用上の問題点がある。すなわち、(1)原料のアルキンが一般に高価であり、これを安価な原料から合成しようとすると、多段階の合成過程が必要となる。(2)導入できるアルキル基が、分岐鎖状のアルキル基に制限される。(3)比較的大量の触媒が必要となる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、化学合成によりピロール類のβ位を選択的にアルキル化して、β位がアルキル化されたピロール類を簡便に製造する実用的な方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、
本発明は、下記一般式(1)で表されるピロール類と、下記一般式(2)で表されるカルボニル化合物と、求核種供与体とを反応させることを特徴とする下記一般式(3)で表される化合物の製造方法を提供する。
【0010】
【化2】

(式中、Rは水素原子、脂肪族基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基又はトリアルキルシリル基であり;R及びRはそれぞれ独立に水素原子、あるいは置換基を有していても良い脂肪族基又はアリール基であり、相互に結合して環を形成していても良く;Xは求核種由来の一価の基である。)
【0011】
本発明の製造方法においては、前記Rが、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、又はアリール基が炭素数1〜8のアルキレン基に結合したアリールアルキル基であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記R及びRが、それぞれ独立に水素原子、あるいは置換基を有していても良い炭素数20以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記Xが、水素原子、シアノ基、アリル基又は置換基を有していても良いヘテロアリール基であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、さらに、ルイス酸触媒を使用して反応させることが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記ルイス酸触媒が、金属スルホナート又は金属スルホンイミドであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、化学合成により簡便にピロール類のβ位を選択的にアルキル化して、β位がアルキル化されたピロール類を簡便かつ実用的に製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の前記一般式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)と略記する)の製造方法は、下記一般式(1)で表されるピロール類(以下、化合物(1)と略記する)と、下記一般式(2)で表されるカルボニル化合物(以下、化合物(2)と略記する)と、求核種供与体とを反応させることを特徴とする。すなわち、化合物(1)のβ位に高い選択性でアルキル基を導入するものである。
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、Rは水素原子、脂肪族基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基又はトリアルキルシリル基であり;R及びRはそれぞれ独立に水素原子、あるいは置換基を有していても良い脂肪族基又はアリール基であり、相互に結合して環を形成していても良く;Xは求核種由来の一価の基である。)
【0016】
<化合物(1)>
化合物(1)において、Rは、水素原子、脂肪族基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基又はトリアルキルシリル基である。
における脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基が例示でき、環状の脂肪族基としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基又はシクロアルキニル基が例示できる。
【0017】
の脂肪族基におけるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基が例示できる。なかでも炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
の脂肪族基におけるアルケニル基又はアルキニル基は、ピロール環を構成する1位の窒素原子に結合している炭素原子と、該炭素原子に隣接する炭素原子との間の結合が不飽和結合ではないことが好ましく、不飽和結合の数は少ないほど好ましい。
【0018】
の環状の脂肪族基は、単環構造及び多環構造のいずれでも良い。
の環状の脂肪族基におけるシクロアルキル基は、炭素数が5〜10であることが好ましい。
の環状の脂肪族基におけるシクロアルケニル基又はシクロアルキニル基は、炭素原子間の不飽和結合が、ピロール環を構成する1位の窒素原子に結合している炭素原子から離れている方が好ましく、不飽和結合の数は少ないほど好ましい。
【0019】
におけるアリール基は、単環構造及び多環構造のいずれでも良いが、単環構造であることが好ましく、フェニル基がより好ましい。
におけるアリールアルキル基としては、前記アリール基がアルキレン基に結合した一価の基が例示でき、該アルキレン基としては、Rの脂肪族基におけるアルキル基から一つの水素原子を除いた基が例示できる。前記アリールアルキル基の好ましいものとしては、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基(Ph−(CH−)、3−フェニル−n−プロピル基(Ph−(CH−)、2−フェニル−イソプロピル基(Ph(CHC−)が例示できる。ここで、「Ph」はフェニル基を示す。
におけるアルキルアリール基としては、前記アリール基の水素原子の一つがアルキル基で置換された一価の基が例示でき、該アルキル基としては、Rの脂肪族基におけるアルキル基と同様のものが例示できる。
【0020】
におけるトリアルキルシリル基は、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基又はトリイソプロピルシリル基が好ましい。
【0021】
上記の中でも、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、又はアリール基が炭素数1〜8のアルキレン基に結合したアリールアルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、又はアリール基が炭素数1〜6のアルキレン基に結合したアリールアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はフェニル基が炭素数1〜4のアルキレン基に結合したフェニルアルキル基であることが特に好ましい。
化合物(1)の特に好ましいものとしては、N−メチルピロール、N−tert−ブチルピロール、N−フェニルピロール、N−ベンジルピロール、N−ジメチルフェニルメチルピロールが例示できる。
【0022】
化合物(1)の使用量は、化合物(2)の種類等に応じて適宜調整すれば良いが、通常化合物(2)の2〜6倍モル量であることが好ましく、2〜5倍モル量であることがより好ましく、2.5〜4.5倍モル量であることが特に好ましい。
【0023】
<化合物(2)>
化合物(2)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、あるいは置換基を有していても良い脂肪族基又はアリール基である。そして、R及びRは、相互に結合して、R、R、並びにR及びRが結合している炭素原子で環を形成していても良い。
【0024】
及びRにおける脂肪族基としては、Rにおける脂肪族基と同様のものが例示できる。なかでも、アルキル基又はアルケニル基であることが好ましい。
【0025】
及びRの脂肪族基におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、具体的には、炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜12であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基が例示できる。
また、環状のアルキル基は、単環構造及び多環構造のいずれでも良く、炭素数が3〜12であることが好ましく、4〜10であることがより好ましく、より具体的には、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロペンチルメチル基、1−シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、1−シクロヘキシルエチル基、アダマンチル基が例示できる。
【0026】
及びRの脂肪族基におけるアルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良いが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。また、該アルケニル基の炭素数は20以下であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることが特に好ましい。
及びRの脂肪族基におけるアルケニル基は、化合物(2)のR及びRが結合しているカルボニル基を構成する炭素原子に結合している炭素原子が、隣接する炭素原子との間で不飽和結合を形成していないことが好ましく、不飽和結合の数は少ないほど好ましい。
【0027】
及びRにおけるアリール基としては、Rにおけるアリール基と同様のものが例示でき、該アリール基は炭素数が20以下であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
【0028】
及びRが、相互に結合して環を形成していている場合には、環は単環構造及び多環構造のいずれでも良い。多環構造の環の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルボルニル基が例示できる。
環の炭素数(Rの炭素原子数、Rの炭素原子数、並びにR及びRが結合している炭素原子の数(すなわち、「1」)の合計)は、4〜15であることが好ましく、5〜12であることがより好ましく、6〜10であることが特に好ましい。
【0029】
及びRにおける脂肪族基又はアリール基は、置換基を有していても良い。ここで「脂肪族基又はアリール基が置換基を有する」とは、脂肪族基又はアリール基を構成する水素原子の少なくとも一部が、水素原子以外の基で置換されているか、あるいは脂肪族基又はアリール基を構成する炭素原子の少なくとも一部が、炭素原子以外の基で置換されていることを指す。そして、水素原子及び炭素原子が共に置換基で置換されていても良い。
【0030】
及びRにおける水素原子を置換する置換基としては、アルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシ基、水酸基、シアノ基及びハロゲン原子が例示できる。
置換基としてのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良いが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、それぞれ独立に炭素数1〜6であることが好ましい。
置換基としてのアリール基は、Rにおけるアリール基と同様のものが例示でき、フェニル基が好ましい。
置換基としてのアルキルオキシカルボニル基及びアルキルカルボニルオキシ基におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良いが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、それぞれ独立に炭素数1〜6であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。
置換基としてのアルコキシ基は、置換基としてのアルキルオキシカルボニル基及びアルキルカルボニルオキシ基における前記アルキル基が、酸素原子に結合した基が例示できる。
置換基としてのハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
【0031】
水素原子を置換する置換基の数は特に限定されず、R及びRの種類に応じて任意に調整でき、一つでも良いし、複数でも良く、すべての水素原子が置換基で置換されていても良い。ただし、通常は1〜4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
また、置換基で置換される水素原子の位置は特に限定されないが、通常は、該水素原子が結合している炭素原子が、R及びRが結合している炭素原子(カルボニル基を構成している炭素原子)から離れているほど好ましい。
また、例えば、R又はRがアルキルフェニル基である場合、アルキル基の結合位置は特に限定されず、該アルキル基の種類により任意に設定できるが、フェニル基の3位又は4位であることが好ましい。
【0032】
及びRにおける炭素原子を置換する置換基としては、カルボニル基(−C(=O)−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−NH−C(=O)−)、ヘテロ原子が例示でき、ヘテロ原子が好ましい。前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ホウ素原子が例示できる。
【0033】
炭素原子を置換する置換基の数は特に限定されず、R及びRの種類に応じて任意に調整でき、一つでも良いし、複数でも良い。ただし、通常は1〜4であることが好ましい。
また、置換基で置換される炭素原子の位置は特に限定されないが、R及びRが結合している炭素原子(カルボニル基を構成している炭素原子)に隣接する炭素原子ではないことが好ましい。
【0034】
炭素原子が置換基で置換されたR及びRの好ましいものとしては、ヘテロアリール基が例示できる。ヘテロアリール基としては、前記アリール基の芳香族環を構成する一つ以上の炭素原子がヘテロ原子で置換されたものが例示できるが、これに限定されず、好ましいヘテロアリール基としては、チエニル基が例示できる。
【0035】
及びRの少なくとも一方において、炭素原子がヘテロ原子で置換された化合物(2)は、化合物(1)と同様に複素環骨格を有する化合物であり、これを使用することで、特に有用な化合物(3)が得られる。例えば、複数の炭素原子が酸素原子及びホウ素原子で置換された、下記式(2−1)で表される有機ホウ素部位のホウ素原子が、炭素原子と結合した化合物(2)は、炭素−炭素結合形成反応として有用な鈴木・宮浦カップリング(Suzuki−Miyaura coupling)の原料として好適であり、産業上での有用性が極めて高い。
【0036】
【化4】

【0037】
上記の中でも、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、あるいは置換基を有していても良い炭素数20以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基であることが好ましい。
【0038】
<求核種供与体>
求核種供与体とは、反応系中で求核種を供与するものであり、該求核種が反応時に中間体に対して求核付加反応することで、化合物(3)が生成する。化合物(3)中のXが、求核種に由来する一価の基である。
求核種供与体としては、このような求核種を供与し得るものであれば公知のいずれのものでも良い。好ましいものとして、具体的には、ヒドリド供与体、シアノイオン供与体、アルケニルスタナン、アリル基(2−プロペニル基)を有する化合物、ビニル基(エテニル基)を有する化合物、あるいは置換基を有していても良いアリール化合物又はヘテロアリール化合物が例示できる。例えば、ヒドリド供与体からは、求核種としてヒドリド(H)が供与される。
【0039】
ヒドリド供与体は、ヒドリド(H)を供与し得るものであれば公知のいずれのものでも良い。好ましいものとして、具体的には、シラン化合物及びスタナン化合物が例示できる。
【0040】
ヒドリド供与体における前記シラン化合物としては、アルキルシラン、アルコキシシラン、アリールシラン、アルキルアリールシランが例示できる。
アルキルシランとしては、ジエチルシラン((CHCHSiH)、ジメチルエチルシラン(CHCH(CHSiH)、ジメチルイソプロピルシラン((CHCH(CHSiH)、tert−ブチルジメチルシラン((CHC(CHSiH)、ジエチルイソプロピルシラン((CHCH(CHCHSiH)、シクロヘキシルジメチルシラン(C11(CHSiH)、トリ(n−プロピル)シラン((CHCHCHSiH)、トリエチルシラン((CHCHSiH)、トリイソプロピルシラン(((CHCH)SiH)、トリス(トリメチルシリル)シラン(((CHSi)SiH)が例示できる。
アルコキシシランとしては、トリメトキシシラン((CHO)SiH)、トリエトキシシラン((CHCHO)SiH)が例示できる。
アリールシランとしては、フェニルシラン(CSiH)、ジフェニルシラン((CSiH)、トリフェニルシラン((CSiH)が例示できる。
アルキルアリールシランとしては、フェニルメチルシラン(C(CH)SiH)、フェニルジメチルシラン(C(CHSiH)、ジフェニルメチルシラン((CCHSiH)が例示できる。
これらの中でも、シラン化合物としてはアルキルシランが好ましく、トリエチルシランが特に好ましい。
【0041】
ヒドリド供与体における前記スタナン化合物としては、アルキルスタナン、アリールスタナンが例示できる。
アルキルスタナンとしては、トリ(n−ブチル)スタナン((CHCHCHCHSnH)等のトリアルキルスタナンが例示できる。
アリールスタナンとしては、トリフェニルスタナン((CSnH)等のトリアリールスタナンが例示できる。
【0042】
シアノイオン供与体は、シアノイオン(CN)を供与し得るものであれば公知のいずれのものでも良い。好ましいものとして、具体的には、アルキルシアノシランが例示でき、より具体的には、トリメチルシアノシラン((CHSiCN)、トリエチルシアノシラン((CHCHSiCN)、トリイソプロピルシアノシラン((CHCH)SiCN)が例示できる。
【0043】
アリル基を有する化合物としては、アリルトリブチルスズ((CHCHCHCHSnCHCH=CH)、アリルトリメチルスズ((CHSnCHCH=CH)、テトラアリルスズ(Sn(CHCH=CH)が例示できる。
【0044】
ビニル基を有する化合物としては、アリール基の芳香族環を構成する炭素原子にビニル基が結合したビニルアリール基を有する化合物が好ましく、4−ビニルアニソール(CH=CH−Ph−OCH)が例示できる。
求核種供与体としてビニルアリール基を有する化合物を使用した場合、該化合物は、反応時の中間体に対する通常の反応部位(RとRが共に結合している炭素原子)に加え、さらにピロール環の2位の炭素原子とも反応することで、ピロール環と縮環した新たな環構造を形成することが可能となる。この場合、化合物(3)におけるXは、カチオン性基となる。すなわち、本発明において、化合物(3)は、それ自体が引き続き連続的に反応し得る中間体に該当する化合物であっても良い。
【0045】
置換基を有していても良いアリール化合物又はヘテロアリール化合物とは、水素原子の少なくとも一部が水素原子以外の基で置換されたアリール化合物又はヘテロアリール化合物のことを指す。
前記アリール化合物又はヘテロアリール化合物は、単環構造及び多環構造のいずれでも良いが、単環構造であることが好ましい。アリール化合物の好ましいものとしてはベンゼンが例示でき、ヘテロアリール化合物の好ましいものとしては、フラン(1−オキサ−2,4−シクロペンタジエン)、チオフェン(チアシクロペンタジエン)が例示できる。
【0046】
前記アリール化合物又はヘテロアリール化合物における置換基としては、アルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。そして、炭素数が1〜3であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
前記アリール化合物又はヘテロアリール化合物における置換基の数は、これら化合物の種類により異なるが、例えば、フラン又はチオフェンの場合には、1〜3であり、1であることが好ましい。
前記アリール化合物又はヘテロアリール化合物における置換基の結合位置は、これらアリール化合物又はヘテロアリール化合物の求核反応時の反応部位以外であれば良く、これら化合物の種類により異なるが、例えば、フラン又はチオフェンの場合には、通常、2位であることが好ましい。
置換基を有していても良いフランの好ましいものとしては、フラン、2−メチルフランが例示でき、置換基を有していても良いチオフェンの好ましいものとしては、チオフェン、2−メチルチオフェンが例示できる。
【0047】
アルケニルスタナンとしては、テトラビニルスタナンが特に好ましい。
【0048】
上記の中でも、求核種供与体としては、ヒドリド供与体、シアノイオン供与体、アリル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、置換基を有していても良いヘテロアリール化合物が好ましく、ヒドリド供与体、シアノイオン供与体、ビニル基を有する化合物、置換基を有していても良いヘテロアリール化合物がより好ましい。
そして、前記Xは、水素原子、シアノ基、アリル基又は置換基を有していても良いヘテロアリール基であることが好ましく、水素原子、シアノ基又は置換基を有していても良いヘテロアリール基であることがより好ましい。
【0049】
求核種供与体の使用量は、化合物(1)及び(2)の種類等に応じて適宜調整すれば良いが、通常は、化合物(2)の1〜12倍モル量であることが好ましく、1〜9倍モル量であることがより好ましい。
【0050】
求核種供与体は、一種を単独で使用することが好ましいが、供与する求核種が同じであれば、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
【0051】
<ルイス酸触媒>
本発明においては、化合物(1)、化合物(2)及び求核種供与体以外に、さらに、ルイス酸触媒を使用して反応させることが好ましい。ルイス酸触媒を使用することで、化合物(3)をより速やかに且つ高収率で得られる。
ルイス酸触媒は公知のもので良いが、なかでも、金属スルホナート又は金属スルホンイミドが好ましい。
【0052】
金属スルホナートとしては、下記一般式(41)で表される化合物(以下、M(OTf)と略記する)及び下記一般式(42)で表される化合物(以下、M(ONf)と略記する)が例示できる。
金属スルホンイミドとしては、下記一般式(43)で表される化合物(以下、M(NTfと略記する)が例示できる。これらはいずれも公知の化合物である。
【0053】
【化5】

【0054】
(式中、Mは金属原子であり;nは1以上の整数である。)
【0055】
式中、Mは金属原子であり、好ましいものとしては、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、ビスマス(Bi)、ジルコニウム(Zr)、スカンジウム(Sc)、水銀(Hg)、ガリウム(Ga)、鉄(Fe)、ハフニウム(Hf)が例示できる。
nは1以上の整数であり、Mの種類によって決定される。
【0056】
本発明においては、好ましい金属スルホナートとして、Mがインジウム(In)であるものが例示でき、特に好ましいものとしてIn(OTf)及びIn(ONf)が例示できる。
そして、好ましい金属スルホンイミドとして、Mがインジウム(In)であるものが例示でき、特に好ましいものとしてIn(NTfが例示できる。
【0057】
ルイス酸触媒の使用量は、化合物(1)及び(2)の種類等に応じて適宜調整すれば良いが、通常は、化合物(2)を基準として、3〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることがより好ましく、7〜30モル%であることが特に好ましい。
【0058】
ルイス酸触媒は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
【0059】
<その他の反応条件>
本発明においては、本発明の効果を妨げない範囲内において、化合物(1)、化合物(2)、求核種供与体及びルイス酸触媒以外に、さらに、その他の成分を使用して、反応させても良い。例えば、微量の水を共存させることで反応を促進できる場合には、その他の成分として水を併用しても良い。
さらに、例えば、前記式(2−1)で表される有機ホウ素部位のホウ素原子が、炭素原子と結合した化合物等、水に対して不安定な化合物を使用する場合には、その他の成分として脱水剤を併用しても良い。脱水剤としては、無水硫酸マグネシウム等、公知のものが使用でき、使用量は任意に調整できる。
【0060】
本発明において、反応溶媒は、化合物(1)、化合物(2)及び求核種供与体の種類等を考慮して、反応を妨げないものから適宜選択できる。なかでもエーテル類、ハロゲン化アルキル類又はベンゼン類が好ましい。
エーテル類としては、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル及びジブチルエーテルが好ましいものとして例示できる。ハロゲン化アルキル類としては、1,2−ジクロロエタンが好ましいものとして例示できる。そして、ベンゼン類としては、クロロベンゼンが好ましいものとして例示できる。これらのなかでも、1,4−ジオキサンが特に好ましい。
【0061】
反応溶媒は一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用して混合溶媒としても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
【0062】
本発明においては、例えば、化合物(1)、化合物(2)及び求核種供与体、さらに好ましくはルイス酸触媒を、必要に応じてその他の成分の共存下、反応溶媒中で一括して混合し、反応させることで、化合物(3)が得られる。
反応温度は、適宜調整すれば良く、特に限定されないが、通常は、30〜150℃が好ましく、40〜130℃がより好ましく、50〜120℃が特に好ましい。
反応時間は、反応温度等、その他の反応条件に応じて適宜調整すれば良いが、通常は、1〜60時間が好ましく、1.5〜45時間がより好ましく、2〜30時間が特に好ましい。
【0063】
さらに、本発明においては、化合物(1)及び化合物(2)、さらに好ましくはルイス酸触媒を、必要に応じてその他の成分の共存下、反応溶媒中で混合して、一段階目の反応を行い、次いで、求核種供与体を同一反応容器に添加して二段階目の反応を行う、二段階式の反応を適用することでも、化合物(3)が得られる。
一段階目及び二段階目の反応時における温度は、いずれも上記と同様で良い。そして、一段階目と二段階目とで反応温度を変えても良いし、一段階目及び二段階目のいずれにおいても、反応温度を変化させながら反応させても良い。
また、反応時間は、一段階目及び二段階目の合計で、上記と同様になるように調整することが好ましい。
化合物(1)、化合物(2)、求核種供与体及びルイス酸触媒等の原料や、反応溶媒の使用量も、上記と同様で良い。
【0064】
例えば、求核種供与体としてヒドリド供与体を使用する場合には、上記の原料を一括して混合して反応させる方法、及び二段階で反応させる方法のいずれも好適である。一方、求核種供与体としてシアノイオン供与体、ビニル基を有する化合物を使用する場合には、二段階で反応させる方法が好適である。ただし、いずれの方法を適用するかは、使用する原料の組み合わせ等に応じて、適宜選択すれば良い。
【0065】
本発明においては、反応終了後、公知の手法で化合物(3)の取り出しを行うことができる。すなわち、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理を行った後、結晶化やカラムクロマトグラフィー等により、化合物(3)を取り出せば良い。また、取り出した化合物(3)は、さらに結晶化やカラムクロマトグラフィー等を繰り返すことで精製を行っても良い。
【0066】
従来のピロールのアルキル化反応(例えば、European Journal of Organic Chemistry,(10),1648−1652(2007)、Journal of the American Chemical Society,130(8),2438−2439(2008))では、α位にアルキル基が導入されたα位置換体が主生成物となり、β位にアルキル基が導入されたβ位置換体は全く生成しないか、生成したとしてもその量は微量であった。しかし本発明においては、β位置換体が主生成物として得られ、β位置換体の比率(β位置換体/(α位置換体+β位置換体)×100)が95%以上のものが好適に得られる。そして、反応条件を適宜調整することで、β位置換体の比率を99%以上とすることもでき、ほぼβ位置換体のみを得ることも可能である。このように本発明においては、ピロールのβ位を高い選択性でアルキル化できる。
【0067】
本発明において、化合物(1)のβ位を高い選択性でアルキル化できるのは、以下のような理由によると推測される。ここでは、金属(M)を含むルイス酸触媒(以下、cat.Mと略記する)を使用した場合の例について説明する。
化合物(1)と化合物(2)を反応させることにより、まず、化合物(11a)又は化合物(11b)が生成すると考えられる(I)。これら化合物は、2分子の化合物(1)と1分子の化合物(2)が反応して生成したものである。これらのうち、化合物(11a)は、一方の化合物(1)ではβ位に、他方の化合物(1)ではα位に、それぞれ化合物(2)由来の置換基が、これを共有するように導入されて生成した、α−β’置換体である。一方、化合物(11b)は、いずれの化合物(1)でもβ位に化合物(2)由来の置換基が、これを共有するように導入された、β−β’置換体である。そして、化合物(11a)と化合物(11b)は、互いに平衡状態にあるが、より安定な化合物(11b)の方に平衡が偏っていると考えられる(II)。
【0068】
化合物(11b)は、一方の化合物(1)由来の環構造を構成する炭素原子と、化合物(2)由来のR及びRが結合している炭素原子との間で、結合が切断される(IV)。cat.Mを使用した場合、結合が切断される方の化合物(1)由来の環構造にMが配位する(III)ことで、この反応が促進される。この時、二つある化合物(1)由来の環構造のうち、前記置換基との結合が切断されるのがいずれであっても、生成するのは、化合物(2)由来の置換基がβ位に導入された化合物(12b)と、脱離した化合物(10b)である。これは、化合物(11b)が、上記のようにβ−β’置換体であることによる。そして、化合物(12b)は不安定なため、直ちに求核種供与体由来の求核種と反応することで、目的物である化合物(3)が生成する(V)。一部の化合物(12b)は、化合物(1)と反応して、再度化合物(11b)を生成する(X)可能性があるが、再び同じルートを経由することで、最終的に目的物である化合物(3)を生成すると考えられる。一方、化合物(10b)は、Mが脱離することで化合物(1)となり、再びアルキル化反応に供される。
【0069】
これに対して化合物(11a)は、二つある化合物(1)由来の環構造のうち、前記置換基との結合が切断されるのがいずれであるかによって、生成する化合物が異なる。これは、化合物(11a)が、上記のようにα−β’置換体であることによる。すなわち、前記置換基と環構造との結合の切断が、化合物(11c)を経て(VI)、α位で起こった場合には、化合物(12b)と化合物(10a)が生成する(VII)。一方、結合の切断が化合物(11e)を経て(VIII)、β位で起こった場合には、化合物(12a)と化合物(10b)が生成する(IX)。しかし本発明者らは、種々検討の結果、化合物(11a)では、結合の切断がα位で優先的に起こることを確認している。すなわち、(IX)ではなく、(VII)のルートが優先するのである。これにより、化合物(12a)ではなく、化合物(12b)が優先的に生成する。その結果、上記の化合物(11b)の場合と同様に、化合物(12b)が求核種と反応することで、目的物である化合物(3)が生成する(V)。そして、一部の化合物(12b)が、化合物(1)と反応して(X)も、先に説明したように、化合物(11b)を経て、最終的に化合物(3)を生成すると考えられる。一方、化合物(10a)は、Mが脱離することで化合物(1)となり、再びアルキル化反応に供される。なお、cat.Mを使用することで、結合の切断が促進されるのは、上記と同様である。
【0070】
このように、化合物(11b)からは、化合物(3)しか生成せず、化合物(11a)からは化合物(3)が優先的に生成し、しかも、化合物(11a)よりも化合物(11b)の方に平衡が偏ることから、本発明により、化合物(1)のβ位を高い選択性でアルキル化できると推測される。
【0071】
【化6】

【0072】
化合物(3)は、その種類によっては、別途反応を行うことで、Rを変換することもできる。この反応は、通常、複素環を構成する窒素原子の保護基を変換する反応として知られており、公知の方法を適宜選択できる。例えば、水素原子以外の基であるRを水素原子に変換する反応は、脱保護反応であり、例えば、Rをベンジル基(−Bn)から水素原子に変換する反応(脱ベンジル化反応)が挙げられる。
【0073】
例えば、本発明において、Rが水素原子である化合物(1)を使用した場合に、何らかの理由で化合物(3)の収率が向上しない場合には、Rが水素原子以外の基である化合物を使用して対応する化合物(3)を得た後、該化合物(3)を脱保護反応に供して、Rを水素原子に変換することで、目的物を得ることもできる。
【0074】
本発明においては、化合物(2)を使用することで、化合物(1)に種々のアルキル基を容易に導入できる。これは、化合物(2)がカルボニル化合物であり、極めて広範な種類のものを安価且つ容易に入手できるからである。例えば、化合物(2)として、R及びRが相互に結合して環を形成している環状カルボニル化合物を使用すれば、シクロアルキル基も容易に導入できる。
このように、本発明によれば、β位がアルキル化されたピロール類が高選択的且つ簡便に得られる。しかも、化合物(2)を適宜選択することで、極めて多岐に渡るアルキル化されたピロール類が得られる。
また、中間体等を取り出さなくても、簡便に目的物が得られる。
以上のように、本発明の製造方法は、簡便で実用性に優れたものである。
【実施例】
【0075】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下に示すルイス酸触媒の使用量(mol%)は、すべて化合物(2)を基準とした量である。また、「mmol」は10−3モルを示す。さらに、各略号はそれぞれ以下の基を示す。
Ph:フェニル基
Me:メチル基
Et:エチル基
3−Thi:3−チエニル基
t−Bu:tert−ブチル基
cy−Hex:シクロヘキシル基
【0076】
(実施例1)
表1及び2に示すように、Rがメチル基である化合物(1)(0.90mmol)、Rがメチル基、Rがn−オクチル基である化合物(2)(0.30mmol)、トリエチルシラン(0.45mmol)及びIn(NTf(10mol%)を1,4−ジオキサン(0.50ml)中で混合し、85℃で3時間反応させた。次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物である化合物(3101)を取り出した。なお表2中、「収率(%)」は、化合物(2)を基準とした目的物の単離収率(%)を示す。
得られた化合物(3101)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:0.87 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 1.17 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.20-1.35 (m, 12 H), 1.37-1.47 (m, 1 H), 1.48-1.60 (m, 1 H), 2.60 (sext, J = 6.9 Hz, 1 H), 3.60 (s, 3 H), 5.99 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.37 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.51 (t, J = 2.3 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:14.1, 22.2, 22.7, 27.7, 29.4, 29.7, 29.9, 31.8, 31.9, 36.0, 38.8, 106.6, 118.0, 121.2, 131.1.
【0077】
【化7】

【0078】
(実施例2)
表1及び2に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3102)を得た。
得られた化合物(3102)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:0.86 (t, J = 7.2 Hz, 6 H), 1.15-1.35 (m, 8 H), 1.38-1.48 (m, 2 H), 1.48-1.58 (m, 2 H), 2.38 (tt, J = 8.3, 5.5 Hz, 1 H), 3.60 (s, 3 H), 5.93 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.33 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.50 (t, J = 2.3 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:14.1, 22.9, 29.9, 36.0, 36.7, 37.7, 106.9, 118.8, 121.1, 129.2.
【0079】
【化8】

【0080】
(実施例3)
表1及び2に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3103)を得た。
得られた化合物(3103)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:1.19 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.42-1.51 (m, 1 H), 1.55-1.62 (m, 1 H), 1.58 (d, J = 0.6 Hz, 3 H), 1.68 (d, J = 1.2 Hz, 3 H), 1.97 (q, J = 7.4 Hz, 2 H), 2.62 (sext, J = 7.0 Hz, 1 H), 3.60 (s, 3 H), 5.10-5.15 (m, 1 H), 5.99 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.37 (t, J = 1.7 Hz, 1 H), 6.51 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:17.7, 22.2, 25.7, 26.1, 31.4, 36.0, 38.7, 106.7, 118.1, 121.3, 125.0, 130.8, 131.1.
【0081】
【化9】

【0082】
(実施例4)
表1及び2に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3104)を得た。なお、表2中、R及びRとして一つの基のみを記載しているが、これは、R及びRが相互に結合して環を形成していることを示す。これは、以降の実施例においても同様である。
得られた化合物(3104)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:1.45-1.60 (m, 6 H), 1.60-1.67 (m, 2 H), 1.67-1.79 (m, 2 H), 1.93-2.02 (m, 2 H), 2.60-2.69 (m, 1 H), 3.60 (s, 3 H), 5.99 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.38 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.50 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:26.5, 28.3, 36.0, 36.8, 38.6, 106.8, 117.6, 121.3, 132.5.
【0083】
【化10】

【0084】
(実施例5)
表1及び2に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3105)を得た。
得られた化合物(3105)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:1.73 (qd, J = 12.5, 3.0 Hz, 2 H), 2.21 (dq, J = 13.8, 3.3 Hz, 2 H), 2.47 (tt, J = 11.8, 3.3 Hz, 1 H), 2.63-2.70 (m, 2 H), 2.79 (td, J = 12.9, 3.5 Hz, 2 H), 3.61 (s, 3 H), 6.00 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.38 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.52 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:29.1, 35.6, 36.0, 36.1, 106.4, 117.7, 121.5, 130.1.
【0085】
【化11】

【0086】
(実施例6)
表1及び2に示すように、Rがメチル基である化合物(1)(1.20mmol)、R及びRが相互に結合してアダマンチル基を形成している化合物(2)(0.30mmol)及びIn(NTf(20mol%)を1,4−ジオキサン(0.5ml)中で混合し、85℃で20時間反応させた。次いで、トリエチルシラン(1.5mmol)を添加し、さらに85℃で1時間反応させた。次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物である化合物(3106)を取り出した。なお表2中、「反応時間(h):20→1」は、トリエチルシラン添加前に85℃で20時間、さらにトリエチルシラン添加後に1時間反応させたことを示す。これは、以降の実施例においても同様である。
得られた化合物(3106)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:1.51 (d, J = 12.6 Hz, 2 H), 1.75 (s, 3 H), 1.84-1.95 (m, 5 H), 1.99 (d, J = 12.6 Hz, 2 H), 2.15 (s, 2 H), 2.92 (s, 1 H), 3.63 (s, 3 H), 6.02 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.42 (dd, J = 3.2, 2.0 Hz, 1 H), 6.54 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:28.1, 28.2, 32.15, 32.17, 36.1, 38.3, 39.0, 42.7, 107.1, 118.8, 121.0, 128.4.
【0087】
【化12】

【0088】
(実施例7)
表1及び2に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例6と同様にして化合物(3107)を得た。
得られた化合物(3107)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3)δppm:1.56 (d, J = 7.3 Hz, 3 H), 3.58 (s, 3 H), 4.00 (q, J = 7.2 Hz, 1 H), 5.96 (t, J = 2.1 Hz, 1 H), 6.31 (t, J = 2.1 Hz, 1 H), 6.51 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 7.13-7.21 (m, 1 H), 7.23-7.33 (m, 4 H).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3)δppm:22.8, 36.1, 38.0, 107.5, 118.9, 121.6, 125.7, 127.4, 128.2, 129.7, 147.9.
【0089】
【化13】

【0090】
(実施例8)
表1及び2に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例6と同様にして化合物(3108)を得た。
得られた化合物(3108)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:1.24 (t, J = 7.4 Hz, 3 H), 1.25 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 2.41 (dd, J = 14.9, 8.6 Hz, 1 H), 2.57 (dd, J = 14.9, 6.3 Hz, 1 H), 3.21 (sext, J = 7.1 Hz, 1 H), 3.59 (s, 3 H), 4.12 (q, J = 7.3 Hz, 2 H), 5.99 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.40 (t, J = 1.7 Hz, 1 H), 6.50 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:14.3, 21.7, 28.9, 36.0, 43.6, 60.1, 106.5, 118.0, 121.5, 128.9, 173.0.
【0091】
【化14】

【0092】
(実施例9)
In(NTfと共に、さらに、0.90mmolの無水硫酸マグネシウムを添加し、表1及び2に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例6と同様にして化合物(3109)を得た。なお、表1中、Rに相当する基の記載は、フェノール環を構成する炭素原子が、化合物(2)のカルボニル基を構成する炭素原子に結合していることを示す。
得られた化合物(3109)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:1.34 (s, 12 H), 1.56 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 3.57 (s, 3 H), 4.02 (q, J = 7.1 Hz, 1 H), 5.96 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.29 (t, J = 1.7 Hz, 1 H), 6.49 (t, J = 2.6 Hz, 1 H), 7.28 (t, J = 7.5 Hz, 1 H), 7.34 (dt, J = 7.5, 1.6 Hz, 1 H), 7.63 (dt, J = 7.5, 1.3 Hz, 1 H), 7.73 (s, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:22.7, 24.9, 36.0, 38.0, 83.6, 107.5, 118.9, 121.5, 127.7, 129.8, 130.3, 132.4, 133.8, 147.1(一つのシグナルは、他のシグナルに重なったため、明瞭に確認できなかった。).
【0093】
【化15】

【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
(実施例10)
表3及び4に示すように、Rがメチル基である化合物(1)(1mmol)、Rがメチル基、Rがn−ヘキシル基である化合物(2)(0.25mmol)及びIn(OTf)(15mol%)を1,4−ジオキサン(0.25ml)中で混合し、85℃で3時間反応させた。次いで、トリメチルシアノシラン(0.375mmol)を添加し、さらに85℃で1時間反応させた。次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物である化合物(3110)を取り出した。
得られた化合物(3110)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:0.87 (t, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.20-1.50 (m, 8 H), 1.61 (s, 3 H), 1.73-1.82 (m, 2 H), 3.62 (s, 3 H), 6.03 (dd, J = 2.9, 1.7 Hz, 1 H), 6.55 (t, J = 2.6 Hz, 1 H), 6.61 (t, J = 2.0 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:14.0, 22.6, 25.5, 27.7, 29.2, 31.6, 36.2, 36.4, 42.1, 105.4, 118.7, 122.3, 124.6, 125.0.
【0097】
【化16】

【0098】
(実施例11)
表3及び4に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3111)を得た。
得られた化合物(3111)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:0.90 (t, J = 6.9 Hz, 6 H), 1.24-1.37 (m, 2 H), 1.41-1.52 (m, 2 H), 1.68 (td, J = 12.3, 4.6 Hz, 2 H), 1.82 (td, J = 12.3, 4.6 Hz, 2 H), 3.62 (s, 3 H), 5.94 (dd, J = 2.9, 1.7 Hz, 1 H), 6.54 (t, J = 2.9 Hz, 1 H), 6.60 (t, J = 1.7 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:14.0, 18.6, 36.2, 42.0, 43.0, 105.2, 119.6, 122.3, 123.2, 123.8.
【0099】
【化17】

【0100】
(実施例12)
表3及び4に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3112)を得た。
得られた化合物(3112)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:1.64 (s, 3 H), 1.65-1.94 (m, 4 H), 2.04 (s, 3 H), 3.63 (s, 3 H), 4.05 (t, J = 6.3 Hz, 2 H), 6.02 (dd, J = 2.9, 1.7 Hz, 1 H), 6.56 (t, J = 2.9 Hz, 1 H), 6.62 (t, J = 1.8 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:20.9, 25.0, 27.8, 36.1, 36.3, 38.6, 63.9, 105.3, 118.9, 122.6, 124.1, 124.1, 171.1.
【0101】
【化18】

【0102】
(実施例13)
表3及び4に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3113)を得た。
得られた化合物(3113)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:1.52-1.63 (m, 2 H), 1.70-1.83 (m, 6 H), 1.87-1.95 (m, 2 H), 2.20-2.28 (m, 2 H), 3.62 (s, 3 H), 6.10 (dd, J = 2.9, 1.8 Hz, 1 H), 6.54 (t, J = 1.3 Hz, 1 H), 6.60 (t, J = 1.0 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:23.6, 27.8, 36.2, 40.8, 41.0, 105.8, 118.2, 122.2, 124.9, 127.1.
【0103】
【化19】

【0104】
(実施例14)
表3及び4に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3114)を得た。
得られた化合物(3114)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:1.61 (d, J = 12.0 Hz, 2 H), 1.71-1.76 (m, 3 H), 1.92 (d, J = 12.6 Hz, 2 H), 1.95-2.05 (m, 3 H), 2.37-2.49 (m, 4 H), 3.64 (s, 3H), 6.10 (dd, J = 2.9, 1.8 Hz, 1 H), 6.55 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.57 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:26.9, 31.5, 34.1, 34.9, 36.4, 37.6, 42.9, 106.5, 119.6, 122.1, 123.0, 124.0.
【0105】
【化20】

【0106】
(実施例15)
表3及び4に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3115)を得た。なお表4中、「反応温度(℃):85→110」、「反応時間(h):3→5」は、85℃で3時間、さらに110℃で5時間反応させたことを示す。
得られた化合物(3115)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:2.04 (td, J = 13.2, 3.5 Hz, 2 H), 2.38-2.44 (m, 2 H), 2.61-2.68 (m, 2 H), 3.12 (td, J = 14.3, 2.3 Hz, 2 H), 3.64 (s, 3 H), 6.10 (t, J = 2.6 Hz, 1 H), 6.57 (t, J = 2.6 Hz, 1 H), 6.63 (t, J = 2.0 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:25.7, 36.3, 38.0, 38.6, 105.5, 118.2, 122.3, 122.5, 125.3.
【0107】
【化21】

【0108】
(実施例16)
表3及び4に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3116)を得た。
得られた化合物(3116)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:2.00 (s, 3 H), 3.62 (s, 3 H), 6.04 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.52 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.56 (t, J = 2.6 Hz, 1 H), 7.29 (dt, J = 7.5, 1.2 Hz, 1 H), 7.35 (tt, J = 7.5, 1.8 Hz, 2 H), 7.47 (dt, J = 8.0, 1.2 Hz, 2 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:29.0, 36.3, 40.9, 107.1, 119.7, 122.6, 124.0, 125.1, 126.1, 127.5, 128.6, 142.3.
【0109】
【化22】

【0110】
(実施例17)
表3及び4に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3117)を得た。
得られた化合物(3117)のNMRデータを以下に示す。
1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δppm:0.85 (t, J = 6.6 Hz, 3 H), 1.06-1.32 (m, 8 H), 1.51 (s, 3 H), 1.75-1.84 (m, 1 H), 1.91-2.01 (m, 1 H), 2.25 (d, J = 1.2 Hz, 3 H), 3.58 (s, 3 H), 5.81-5.84 (m, 1 H), 5.87 (d, J = 2.9 Hz, 1 H), 6.01 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.33 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.49 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:13.7, 14.1, 22.7, 24.6, 25.3, 29.9, 31.8, 36.1, 39.0, 41.7, 104.4, 105.3, 106.8, 118.3, 121.1, 131.8, 150.0, 160.9.
【0111】
【化23】

【0112】
【表3】

【0113】
【表4】

【0114】
(実施例18)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3118)を得た。
得られた化合物(3118)のNMRデータ、HRMS(高分解能ガスクロマトグラフ質量分析)データを以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δppm:1.20 (d, J = 6.8 Hz, 3 H), 1.44-1.74 (m, 4 H), 2.03 (s, 3 H), 2.64 (sext, J = 6.9 Hz, 1 H), 3.60 (s, 3 H), 4.04 (t, J = 6.6 Hz, 2 H), 5.97 (t, J = 2.1 Hz, 1 H), 6.37 (t, J = 1.8 Hz, 1 H), 6.51 (t, J = 2.5 Hz, 1 H).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3)δppm:21.0, 22.2, 26.7, 31.6, 34.8, 36.0, 64.9, 106.6, 118.1, 121.4, 130.1, 171.3.
HRMS (ESI) Calcd for C12H20NO2: M++H, 210.1489. Found: m/z 210.1483.
【0115】
【化24】

【0116】
(実施例19)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3119)を得た。
得られた化合物(3119)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:1.33 (s, 12 H), 1.55 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 3.57 (s, 3 H), 4.00 (q, J = 7.1 Hz, 1 H), 5.94 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.28 (t, J = 1.7 Hz, 1 H), 6.50 (t, J = 2.6 Hz, 1 H), 7.27 (dd, J =5.8, 1.7 Hz, 2 H), 7.73 (dd, J = 6.3, 1.8 Hz, 2 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:22.5, 24.8, 36.0, 38.2, 83.6, 107.5, 119.0, 121.6, 129.4, 134.8, 151.2(一つのシグナルは、他のシグナルに重なったため、明瞭に確認できなかった。).
HRMS (ESI) Calcd for C19H27BNO2: M++H, 312.2129. Found: m/z 312.2134
【0117】
【化25】

【0118】
(実施例20)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3120)を得た。
得られた化合物(3120)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:1.56 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 3.59 (s, 3 H), 4.09 (q, J = 7.1 Hz, 1 H), 5.99 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.32 (t, J = 1.7 Hz, 1 H), 6.52 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.96-6.99 (m, 1 H), 7.00 (dd, J = 5.2, 1.2 Hz, 1 H), 7.22 (dd, J = 4.6, 2.9 Hz, 1 H).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3)δppm:22.8, 33.4, 36.1, 107.3, 118.7, 119.2, 121.6, 125.0, 127.7, 129.5, 148.7.
HRMS (ESI) Calcd for C11H14NS: M++H, 192.0841. Found: m/z 192.0801.
【0119】
【化26】

【0120】
(実施例21)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3201)を得た。
得られた化合物(3201)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:1.51 (d, J = 12.6 Hz, 2 H), 1.75 (s, 3 H), 1.83-1.96 (m, 5 H), 1.99 (d, J = 12.6 Hz, 2 H), 2.16 (s, 2 H), 2.94 (s, 1 H), 5.03 (s, 2 H), 6.07 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.50 (dd, J = 3.2, 2.0 Hz, 1 H), 6.62 (t, J = 2.6 Hz, 1 H), 7.10 (d, J = 6.9 Hz, 2 H), 7.23-7.35 (m, 3 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:28.1, 28.2, 32.1, 32.2, 38.3, 38.9, 42.7, 53.3, 107.5, 118.3, 120.6, 126.9, 127.4, 128.5, 128.7, 138.7.
HRMS (ESI) Calcd for C21H26N: M++H, 292.2060. Found: m/z 292.2050.
【0121】
【化27】

【0122】
(実施例22)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3301)を得た。
得られた化合物(3301)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:0.87 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 1.18 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.21-1.36 (m, 12 H), 1.36-1.64 (m, 2 H), 1.50 (s, 9 H), 2.61 (sext, J = 6.9 Hz, 1 H), 6.00 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.58 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.73 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:14.1, 21.8, 22.7, 27.7, 29.4, 29.7, 29.9, 30.7, 31.9, 38.7, 54.3, 105.7, 113.9, 116.9, 130.2 (One carbon signal is missing due to overlapping).
HRMS (ESI) Calcd for C18H34N: M++H, 264.2686. Found: m/z 264.2692.
【0123】
【化28】

【0124】
(実施例23)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3401)を得た。
得られた化合物(3401)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:0.87 (t, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.18-1.39 (m, 12 H), 1.23 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.44-1.63 (m, 2 H), 2.68 (sext, J = 6.9 Hz, 1 H), 6.21 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.87 (s, 1 H), 7.02 (t, J = 2.6 Hz, 1 H), 7.19 (t, J = 6.9 Hz, 1 H), 7.34-7.43 (m, 4 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:14.1, 21.9, 22.7, 27.6, 29.4, 29.6, 29.9, 31.9, 38.5, 109.4, 115.3, 118.7, 119.9, 125.0, 129.4, 133.0, 140.9(一つのシグナルは、他のシグナルに重なったため、明瞭に確認できなかった。).
HRMS (ESI) Calcd for C20H30N: M++H, 284.2373. Found: m/z 284.2345.
【0125】
【化29】

【0126】
(実施例24)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3302)を得た。
得られた化合物(3302)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:0.88 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 1.20-1.40 (m, 14 H), 1.50 (s, 9 H), 1.56 (quint, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.44 (t, J = 8.0 Hz, 2 H), 5.99 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.60 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.73 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:14.1, 22.7, 27.3, 29.4, 29.6, 29.67, 29.72, 30.7, 31.23, 31.24, 31.9, 54.3, 107.3, 114.9, 117.1, 124.1.
HRMS (ESI) Calcd for C18H34N: M++H, 264.2686. Found: m/z 264.3710.
【0127】
【化30】

【0128】
(実施例25)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3303)を得た。
得られた化合物(3303)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:0.90 (qd, J = 12.0, 3.0 Hz, 2 H), 1.08-1.28 (m, 3 H), 1.34-1.45 (m, 1 H), 1.50 (s, 9 H), 1.58-1.71 (m, 3 H), 1.71-1.81 (m, 2 H), 2.31 (d, J = 6.9 Hz, 2 H), 5.95 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.56 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.72 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:26.5, 26.7, 30.8, 33.4, 35.4, 39.6, 54.3, 108.0, 115.8, 116.9, 122.3.
HRMS (ESI) Calcd for C15H26N: M++H, 220.2060. Found: m/z 220.2046.
【0129】
【化31】

【0130】
(実施例26)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3304)を得た。
得られた化合物(3304)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:0.88 (s, 9 H), 1.50 (s, 9 H), 2.31 (s, 2 H), 5.93 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.55 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.70 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:29.4, 30.7, 31.1, 41.9, 54.2, 109.6, 116.3, 116.9, 120.7.
HRMS (ESI) Calcd for C13H24N: M++H, 194.1903. Found: m/z 194.1937.
【0131】
【化32】

【0132】
(実施例27)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3305)を得た。
得られた化合物(3305)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:0.85 (t, J = 7.5 Hz, 6 H), 1.15-1.29 (m, 4 H), 1.50 (s, 9 H), 1.53-1.59 (m, 2 H), 2.18-2.24 (m, 2 H), 2.31 (s, 2 H), 5.91 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.55 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.72 (t, J = 2.6 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:7.6, 11.7, 27.3, 30.7, 31.2, 32.9, 38.4, 54.5, 109.0, 116.7, 117.1, 118.3, 120.8.
HRMS (ESI) Calcd for C17H29N2: M++H, 261.2325. Found: m/z 261.2355.
【0133】
【化33】

【0134】
(実施例28)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3501)を得た。
得られた化合物(3501)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:0.88 (t, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.20-1.40 (m, 14 H), 1.56 (quint, J = 7.5 Hz, 2 H), 1.86 (s, 6 H), 2.45 (t, J = 7.7 Hz, 2 H), 6.04 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.53 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.70 (t, J = 2.6 Hz, 1 H), 6.96 (dt, J = 7.5, 2.2 Hz, 2 H), 7.21 (tt, J = 7.2, 1.6 Hz, 1 H), 7.27 (td, J = 6.9, 1.7 Hz, 2 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:14.1, 22.7, 27.3, 29.4, 29.6, 29.65, 29.69, 30.5, 31.2, 31.9, 60.0, 107.7, 116.7, 118.8, 124.4, 124.9, 126.8, 128.3, 148.5(一つのシグナルは、他のシグナルに重なったため、明瞭に確認できなかった。).
HRMS (ESI) Calcd for C23H36N: M++H, 326.2842. Found: m/z 326.2828.
【0135】
【化34】

【0136】
(実施例29)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして化合物(3502)を得た。
得られた化合物(3502)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:1.84 (s, 6 H), 3.77 (s, 2 H), 3.78 (s, 3 H), 6.00 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.53 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.70 (t, J = 2.6 Hz, 1 H), 6.82 (dt, J = 8.6, 2.6 Hz, 2 H), 6.95-7.00 (m, 2 H), 7.16 (dt, J = 8.6, 2.6 Hz, 2 H), 7.21 (tt, J = 7.2, 1.6 Hz, 1 H), 7.24-7.30 (m, 2 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:30.5, 32.7, 55.3, 60.1, 108.2, 113.6, 117.4, 119.3, 123.1, 124.9, 126.8, 128.3, 129.5, 134.7, 148.3, 157.6.
HRMS (ESI) Calcd for C21H24NO: M++H, 306.1852. Found: m/z 306.1814.
【0137】
【化35】

【0138】
(実施例30)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3121)を得た。
得られた化合物(3121)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:1.18-1.30 (m, 1 H), 1.64 (td, J = 12.5, 3.8 Hz, 2 H), 1.69-1.84 (m, 5 H), 2.17 (d, J = 12.0 Hz, 2 H), 3.63 (s, 3 H), 6.11 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.56 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.62 (t, J = 2.0 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:23.5, 25.2, 36.3, 37.8, 38.0, 105.6, 118.3, 122.2, 123.8, 126,1.
HRMS (ESI) Calcd for C12H17N2: M++H, 189.1386. Found: m/z 189.1419.
【0139】
【化36】

【0140】
(実施例31)
表5及び6に示す条件で反応を行ったこと以外は、実施例10と同様にして化合物(3122)を得た。
得られた化合物(3122)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:1.40-1.47 (m, 2 H), 1.58 (quint, J = 5.9 Hz, 4 H), 2.01-2.15 (m, 4 H), 2.04 (s, 3 H), 2.24 (s, 3 H), 3.59 (s, 3 H), 6.01 (t, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.34 (t, J = 2.0 Hz, 1 H), 6.46 (s, 1 H), 6.50 (t, J = 2.3 Hz, 1 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:13.0, 13.8, 23.0, 26.1, 36.2, 39.3, 41.0, 106.6, 106.7, 118.67, 118.68, 121.3, 125.2, 129.6, 131.9.
HRMS (ESI) Calcd for C17H24NS: M++H, 274.1624. Found: m/z 274.1612.
【0141】
【化37】

【0142】
【表5】

【0143】
【表6】

【0144】
(実施例32)
表7及び8に示す条件としたこと以外は、実施例10と同様にして反応を行い、化合物(3123)を得た。求核種供与体として4−ビニルアニソールを使用した結果、化合物(3)に該当する化合物を生成した後、4−ビニルアニソールの不飽和結合に由来する部位が、さらにピロール環とも反応することで、ピロール環と縮環した新たな環構造を形成した。
得られた化合物(3123)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δppm:0.86 (t, J = 7.1 Hz, 3 H), 0.87 (t, J = 7.1 Hz, 3 H), 1.13-1.61 (m, 8 H), 2.06 (dd, J = 13.3, 6.9 Hz, 1 H), 2.66 (dd, J = 13.1, 8.5 Hz, 1 H), 3.13 (s, 3 H), 3.79 (s, 3 H), 4.18 (t, J = 7.8 Hz, 1 H), 5.87 (d, J = 2.8 Hz, 1 H), 6.46 (d, J = 2.8 Hz, 1 H), 6.83 (dt, J = 8.7, 2.5 Hz, 2 H), 7.09 (dt, J = 8.7, 2.5 Hz, 2 H).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3)δppm:14.9, 15.0, 18.3, 18.4, 34.0, 43.1, 43.2, 43.4, 45.8, 54.9, 55.3, 102.0, 113.9, 124.0, 128.4, 134.8, 137.4, 137.9, 158.0.
HRMS (ESI) Calcd for C21H30NO: M++H, 312.2322. Found: m/z 312.2341.
【0145】
【化38】

【0146】
(実施例33)
表7及び8に示す条件としたこと以外は、実施例32と同様にして反応を行い、化合物(3202)を得た。求核種供与体として4−ビニルアニソールを使用した結果、実施例32と同様に、さらにピロール環と縮環した新たな環構造を形成した。
得られた化合物(3202)のNMRデータ、HRMSデータを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δppm:0.86 (t, J = 6.9 Hz, 3 H), 0.89 (t, J = 7.5 Hz, 3 H), 1.09-1.21 (m, 1 H), 1.23-1.50 (m, 6 H), 1.50-1.63 (m, 2 H), 2.06 (dd, J = 13.2, 6.9 Hz, 1 H), 2.61 (dd, J = 13.2, 8.0 Hz, 1 H), 3.94 (t, J = 7.7 Hz, 1 H), 4.43 (d, J = 15.5 Hz, 1 H), 4.61 (d, J = 15.5 Hz, 1 H), 5.92 (d, J = 2.3 Hz, 1 H), 6.54 (d, J = 1.8 Hz, 1 H), 6.77 (dt, J = 8.6, 2.6 Hz, 2 H), 6.78-6.83 (m, 2 H), 6.99 (dt, J = 8.6, 2.4 Hz, 2 H), 7.17-7.25 (m, 3 H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δppm:14.9, 15.0, 18.2, 18.5, 43.4, 43.5, 43.9, 45.8, 50.7, 54.5, 55.2, 102.2, 113.8, 123.8, 126.9, 127.1, 128.3, 128.5, 135.0, 137.5, 137.7, 138.4, 158.0.
HRMS (ESI) Calcd for C27H34NO: M++H, 388.2635.
【0147】
【化39】

【0148】
【表7】

【0149】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、医薬品、各種化成品、高機能性材料等の製造に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるピロール類と、下記一般式(2)で表されるカルボニル化合物と、求核種供与体とを反応させることを特徴とする下記一般式(3)で表される化合物の製造方法。
【化1】

(式中、Rは水素原子、脂肪族基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基又はトリアルキルシリル基であり;R及びRはそれぞれ独立に水素原子、あるいは置換基を有していても良い脂肪族基又はアリール基であり、相互に結合して環を形成していても良く;Xは求核種由来の一価の基である。)
【請求項2】
前記Rが、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、又はアリール基が炭素数1〜8のアルキレン基に結合したアリールアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法。
【請求項3】
前記R及びRが、それぞれ独立に水素原子、あるいは置換基を有していても良い炭素数20以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法。
【請求項4】
前記Xが、水素原子、シアノ基、アリル基又は置換基を有していても良いヘテロアリール基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法。
【請求項5】
さらに、ルイス酸触媒を使用して反応させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法。
【請求項6】
前記ルイス酸触媒が、金属スルホナート又は金属スルホンイミドであることを特徴とする請求項5に記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法。

【公開番号】特開2010−235596(P2010−235596A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52219(P2010−52219)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(801000027)学校法人明治大学 (161)
【Fターム(参考)】