説明

γ−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体のエナンチオ選択的合成

式II、III、IVおよびVIIIを有するγ−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体を調製するための、パラジウム触媒によるエナンチオ選択的な方法が提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γ−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体および中間体、ならびにγ−アミノ酸誘導体の調製のためのパラジウム触媒によるエナンチオ選択的な方法(enantioselective, palladium catalyzed method)を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
パラジウム触媒によるアリル位アミノ化(palladium catalyzed allylic amination)を使用するγ−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体およびそれらのラセミ形およびそれらのα−置換類似体が、Tanikagaら、J.Chem.Soc.、Chem.Commun.386〜387ページ(1987)に記載されている。Tanikagaらにより開示された方法には、ラセミ生成物を生じさせるクロロアセテートおよびカーボネートなどの典型的脱離基を有する基質が関与する。
【0003】
Mellegaard−Waetzigら、Synlett 2759〜2762ページ(2005)は、カルバメート脱離基によるアリルの置換を記載しており、その場合、カルバメート脱離基もアミン供給源である。しかし、本発明より前に、パラジウム触媒によるα,β−不飽和カルボン酸誘導体のエナンチオ選択的なアリル位アミノ化について知られた手順はない。
【発明の概要】
【0004】
発明の要旨
本発明によれば、パラジウム触媒によるα,β−不飽和カルボン酸誘導体のエナンチオ選択的なアリル位アミノ化の方法が提供される。本発明の一態様において、該方法は、構造式I:
【化1】


を有するカルボン酸誘導体のラセミ混合物を、求核剤の存在下でキラルリガンドおよびパラジウム触媒と反応させて、式IIおよびIII:
【化2】


(式I、IIおよびIIIにおいて、R1はベンジル基、n−ブチル基、またはシクロヘキシル基であり;R2はベンジル基または水素であり;XR3はエトキシ基、アミド、またはtert−ブトキシ基である)
を有するエナンチオマーに富む(enantiometrically enriched)α,β−不飽和カルボン酸誘導体を得る工程を含む。式IIにおいて、NR1R2はフタルイミド置換基を形成していてもよい。
【0005】
本発明の他の態様において、パラジウム触媒によるα,β−不飽和カルボン酸誘導体のエナンチオ選択的なアリル位アミノ化の方法が提供され、前記方法は式VI:
【化3】


を有するカルボン酸誘導体のラセミ混合物を、求核剤の存在下でキラルリガンドおよびパラジウム触媒と反応させて、式VIIおよびVIII:
【化4】


を有するエナンチオマーに富むα,β−不飽和カルボン酸誘導体を得る工程を含み、上記において、式VIおよびVII中、R2はアルキル基であり、式VIII中、R1はベンジル基またはPMP(PMP=4−メトキシ−フェニル)である。好ましくは、R2はエチルまたはメチル基である。
【0006】
アリル−アミン生成物と未反応カルバメートとを分離して純粋な化合物を得ることができる。
【0007】
α,β−不飽和カルボン酸誘導体の二重結合の還元については文献に多くの方法が存在する。それ故、本発明の生成物は、二重結合の還元により対応するγ−アミノ酸誘導体に容易に転化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の詳細な説明
本発明によれば、アミン供給源でもあるカルバメート脱離基を有する基質が関与する、パラジウム触媒によるα,β−不飽和カルボン酸誘導体のエナンチオ選択的なアリル位アミノ化は、スキームIに示すように、生成物のエナンチオマー過剰(excess)が増大する結果をもたらす。
【0009】
したがって、本発明は、γ−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体および中間体、ならびにγ−アミノ酸誘導体の調製のためのエナンチオ選択的な方法を提供する。
【化5】

【0010】
未反応出発物質は約50%の転化(conversion)で同様なエナンチオマー過剰を示し、それ故速度論的分割プロセスを示すことは注目に値する。転化>90%で実施されて、殆どラセミ生成物を得た実験が速度論的分割の存在を確証する。
【0011】
本発明の開発に際して、クロロアセテートおよびカーボネートなどの典型的脱離基を含む基質によるアリル位アミノ化の実験は、控えめなエナンチオマー過剰率を有する生成物を生じさせる。カーボネート脱離基の場合には、スキーム2に示すように副生物として対応するカルバメートの形成が観察される。カルバメート副生物は、生成物/副生物/出発物質混合物中で最高のエナンチオマー過剰率を示す。
【化6】

【0012】
本発明によれば、スキーム3および表Iに示すように、改善されたエナンチオ選択性が、脱離基としてカルバメートを用いて達成される。表1に示したエナンチオ選択性は、反応混合物中の単一のエナンチオマーの比(HPLC)から計算される。
【化7】


【表1】

【0013】
最高のエナンチオ選択性は、rac−6を基質としておよびベンジル−アミンまたはフタルイミドカリウム(KPhTh)を求核剤として使用して得られる。これらの求核剤は、in−situで発生したジベンジル−アミンよりはるかに速く反応して、両方の場合(スキーム4、表2)とも、少量(<4%)のジベンジルアミン置換副生物12が形成されただけであった。
【化8】


【表2】

【0014】
カルバメートの転化は、パラジウム触媒の組成に大きく依存する。[Pd(アリル)Cl]を用いると、カルバメート中間体のエナンチオマーのうちの1つは、好ましくは対応するアリル−アミンに直接転化するが、他のエナンチオマーは大部分変化しないままである。カルバメート部分は、この場合、脱離基およびアミン供給源の両方として作用して、アリル−アミンと対応する未反応カルバメートとの混合物が得られる(スキーム3)。しかし、パラジウム供給源として[Pd(dba)]・CHClを用いると、カルバメートのアミンへの転化は起こらない。カーボネートが脱離基としてこの触媒供給源およびキラルリガンドL1とともに使用されたとき、基質の好ましくは一方のエナンチオマーの対応するカルバメートへの転化が観察されるが、基質の他方のエナンチオマーは大部分変化しないままであった(スキーム5)。化合物1および3の絶対配置は、エナンチオマーとして純粋な化合物との比較により決定される。
【化9】

【0015】
これらの結果は、アリル−カーボネートの対応するアリル−カルバメートへの第1のパラジウム触媒によるエナンチオ選択的転化を表す。
【0016】
α−メチル置換基の導入は基質の反応性を低下させた。アセテート、カーボネートおよびカルバメートなどの脱離基は反応が起こらない。所望の置換生成物はより反応性のホスフェート脱離基によってのみ得られる(スキーム6)。
【化10】


【表3】

【0017】
本発明によれば、γ−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体および中間体のエナンチオマー過剰は、スキーム3に概略を示した反応および表1のリストに挙げた基質に従って達成される。
【0018】
本発明の方法を実行するのに適した基質の例として、例えば、表1の欄1に基質3〜7としてそれぞれリストに挙げた、rac−エチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート、rac−エチル(2E)−4−(ブチルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート、rac−エチル(2E)−4−(シクロヘキシルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート、rac−エチル(2E)−4−(ジベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート、およびrac−Tert−ブチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエートが挙げられる。好ましくは、rac−6(rac−エチル(2E)−4−(ジベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)が基質として使用される。
【0019】
やはり、本発明によれば、γ−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体および中間体のエナンチオマー富化は、スキーム6に示された基質が任意のα−アルキル置換カルボン酸であってよいことを念頭に置いて、スキーム6に概略を示した反応に従って表3のリストに挙げた基質を使用して達成される。本明細書中で使用される、アルキルにより、特に断らない限り、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシ、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルなどが意味される。好ましくは、アルキル置換基はメチルまたはエチルである。
【0020】
「エナンチオマーに富む(enantiomeric enriched)」により、そのカルボン酸誘導体の単一のエナンチオマーの少なくとも約40%から少なくとも約96%の範囲内のどこかにあるカルボン酸誘導体が意味される。例えば、エナンチオマーに富むは、そのカルボン酸誘導体の単一のエナンチオマーの、少なくとも約40%、少なくとも約43%、少なくとも約45%、少なくとも約48%、少なくとも約50%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約72%、少なくとも約74%、少なくとも約76%、少なくとも約80%、少なくとも約82%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、または少なくとも約96%である、特定の誘導体の単一のエナンチオマーを意味することができる。
【0021】
本明細書中で使用される用語「エナンチオ選択的(enantioselective)」は、他方のエナンチオマーに対して一方のエナンチオマーを優先的に生じさせる、例えば、所望のエナンチオマーが生成物中で少なくとも約40%から少なくとも約96%になる生成物を生じさせる化学反応を指す。例えば、エナンチオ選択的は、生成物中で所望のエナンチオマーが少なくとも約40%、少なくとも約43%、少なくとも約45%、少なくとも約48%、少なくとも約50%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約72%、少なくとも約74%、少なくとも約76%、少なくとも約80%、少なくとも約82%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、または少なくとも約96%になる生成物を生じさせる反応を意味することができる。
【0022】
本発明の方法を実行するのに適した求核剤の例として、例えば、ベンジル−アミン、n−ブチルアミン、シクロヘキシル−アミン、ジベンジルアミン、およびフタルイミドカリウムが挙げられる。好ましくは、ベンジル−アミンまたはフタルイミドカリウムが求核剤として使用される。好ましい求核剤は、in−situで発生したジベンジル−アミンよりもはるかに速くrac−6と反応し、スキームIVおよび表IIに示した両方の場合とも、少量(<4%)のジベンジルアミン置換副生物12(rac−エチル(2E)−N,N−ジベンジル4−アミノペンタ−2−エノエート)が形成されるだけである。
【0023】
本発明の方法を実行するのに適したキラルリガンドの例として、パラジウム触媒によるアリルの置換反応についての文献で使用された任意のキラルリガンドが挙げられる。好ましくは、構造式:
【化11】


を有するキラルリガンドL1または構造式:
【化12】


を有するキラルリガンドL2が本発明の方法において使用される。
【0024】
本発明により使用することができるパラジウム触媒の例として、例えば、[Pd(dba)]・CHClが挙げられる。好ましくは、パラジウム触媒は[Pd(アリル)Cl]である。例えば、[Pd(アリル)Cl]を使用して、カルバメート中間体の一方のエナンチオマーは、対応するアリル−アミンに好ましく直接転化されるが、他方のエナンチオマーは大部分変化しないままである。カルバメート部分は、この場合には脱離基およびアミン供給源の両方として作用して、スキーム3に示すように、アリル−アミンと対応する未反応カルバメートとの混合物が得られる。アリル−アミン生成物と未反応カルバメートとはシリカゲルでのクロマトグラフィーにより容易に分離され、純粋な化合物が得られる。
【0025】
本発明の方法を実行するのに適した温度範囲内の例として、約25℃〜約40℃が挙げられる。好ましくは、3(rac−エチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)の2(rac−エチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート)への反応のための反応温度は25℃である。4(rac−エチル(2E)−4−(ブチルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)の10(rac−エチル(2E)−N−ブチル−4−アミノペンタ−2−エノエート)への反応のための反応温度は好ましくは25℃である。好ましくは、5(rac−エチル(2E)−4−(シクロヘキシルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)の11(rac−エチル(2E)−N−シクロヘキシル−4−アミノペンタ−2−エノエート)への反応の温度は40℃である。6(rac−エチル(2E)−4−(ジベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)の12(rac−エチル(2E)−N,N−ジベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート)への反応は好ましくは25℃で実施される。7(rac−Tert−ブチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)の13(rac−Tert−ブチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート)への反応の温度は、好ましくは25℃である。
【0026】
以下は限定にはならない例による説明である。
【実施例】
【0027】
[実施例1]
スキームIIIおよび表Iに示した基質3〜5および7〜9を含む基質を合成するための一般的手順は、対応するアルコール(例えば(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)、化合物21)およびイソシアネートをトルエンに溶解して、還流下にアルコールの完全な転化が達成されるまで反応混合物を撹拌することを含む。次に、反応混合物を減圧下約40℃で蒸発させて、例えば、フラッシュクロマトグラフィーまたは再結晶によりさらに精製する。
【0028】
[実施例2]
スキームIIIおよび表Iに示したラセミアリル位アミノ化生成物2および10〜15を含むラセミアリル位アミノ化生成物の合成のための一般的手順は、脱気した溶媒に[Pd(dba)]・CHClとPPhとを約1:4〜1:5の比で溶解して、反応混合物を表1に示した反応温度で約10〜30分間撹拌することを含む。次に、基質およびアミンを加えて、反応混合物を出発物質が完全に転化するまで撹拌する。次に、反応混合物を、好ましくはBuOMeを用いてSiOで濾過し、クロマトグラフィーにより精製する。
【0029】
[実施例3]
スキームIIIおよび表1に示した(R)−2、(R)−10〜13および化合物14、15、18、19の合成のための一般的手順
特に断らない限り、シュレンクチューブなどの容器に[Pd](8mol%)およびリガンド(12mol%)を充填する。次に、装置(apparature)をアルゴンなどの不活性ガスで不活性雰囲気にする(真空/アルゴン3サイクル)。触媒をCHCl(1.25ml)中に撹拌により溶解する(少なくとも10分)。次に、マイクロリットル注射器(Hamilton Gastight、空気は除去して)を用いて、内部標準(略号:IS、フェニルヘキサンHexPh 約15μlまたは(oder)ジフェニルエーテルPhO 約11μl)および基質(0.125mmol)を加え、試料を採取する。ビフェニル(PhPh)をIS(約14mg)および固体のまたは粘稠な基質として、それらをプレ触媒およびリガンドと一緒に加える。アミン/求核剤の添加後、さらに試料を採取することもできる。
【0030】
試料調製:
SP1 反応混合物の試料(20μL)を、SiO(0.1g、1mlのn−ヘキサンで条件付けして)でBuOMe(1ml)を用いて濾過する。転化を決定するために、濾液(filtrat)をHPLC(LC)で分析する。エナンチオマー過剰を決定するために、溶媒をNストリーム下に蒸発させて、対応するHPLCの方法(CLC)の溶離剤中に溶解する。
SP2 SP1の変形:SiOは、25μlのEtNおよび1mLのn−ヘキサンで条件付けする。
SP3 SP1の変形:THFで濾過(1ml、安定剤無添加、Alでの濾過により過酸化物除去)
SP4 SP3の変形:SiOは25μlのEtNおよび1mLのn−ヘキサンで条件付けする。
【0031】
HPLCの方法:
カラム:Supelco Hypersil MOS−2 3μm、100×4.6mm。流量:1.5mL分−1。カラム温度:40℃。検出波長:210nm。
LC1 溶離液:0.01M (NHHPO、MeCN;30%→80%(16分)、80%→30%(1分)、30%(2分)
LC2 溶離液:0.01M KHPO、MeCN;30%→80%(16分)、80%→30%(1分)、30%(2分)
保持時間tは分で表す。LC1およびLC2についてのISの保持時間は:t(PhPh)=8.6、t(PhO)=8.7、t(HexPh)=12.8
キラル分離のためのHPLCの方法:
溶離剤組成は体積比で表す。グラジエント溶離のための比は、有機溶媒に応じる。保持時間tは分で表す。
CLC1 n−ヘキサン:MeOH 97.5:2.5
CLC2 n−ヘキサン:MeOH:PrOH 99:0.5:0.5
CLC3 n−ヘキサン:MeOH:PrOH 98.75:0.75:0.5
CLC4 n−ヘキサン:PrOH:MeOH:EtNH 93:5:2:0.01
CLC5 n−ヘキサン:MeOH 99.5:0.5
CLC6 30℃;溶離液:0.01M KHPOをHPOでpH6.5に調節、MeOH;60%→84%(30分)、84%(5分)、84%→60%(5分)、60%(10分)
CLC7 40℃;溶離液:0.01M KHPOをHPOでpH6.5に調節、MeOH;60%→88%(35分)、88%(10分)、88%→60%(5分)、60%(10分)
CLC1〜5: カラム:Chiralpak AD−H、4.6×250mm、プレカラム4.6×10mm付き。流量:1.0ml分−1。カラム温度:30℃。検出波長:210nm。
CLC6/7: カラム:Chiralpak AD−RH、4.6×150mm。流量:0.5ml分−1。検出波長:210nm。
【0032】
[実施例4]
rac−エチル(2E)−4−(メトキシカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート(1)の調製
rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート(21)(10.09g、70mmol)、DMAP(1.71g、14mmol)およびピリジン(17mL、210mmol)をTHF(400mL)に溶解する。溶液を1℃に冷却する。次に、THF(50ml)中のメチルクロロホルメート(16.1mL、210mmol)を1℃で撹拌しながら3時間かけて滴下により加える。2時間後、THF(150ml)中のメチルクロロホルメート(199ml、2.50mol)を4分割して滴下により加える。各分割添加後に、反応混合物を1℃で5時間撹拌する。反応混合物に10%HCl(0.5l)を加えてクエンチさせ、BuOMe(1.5および0.5l)で抽出する。有機相を、10%HCl(0.5l)、飽和NaHCO(0.3l)およびブライン(2×0.2l)で順次洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(BuOMe:ヘプタン分画 15:85〜25:75)により精製すると、1(rac−エチル(2E)−4−(メトキシカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(8.64g、61%)が黄色を帯びた油状物として得られる。
BuOMe:ヘプタン分画 40:60)=0.40。
【数1】


【0033】
[実施例5]
エチル(2E,4S)−4−(メトキシカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート[(S)−1]の調製
DMAP(14.7mg、0.12mmol)およびEtN(0.5ml、3.6mmol)をピリジン(5ml)に溶解する。3−(メトキシカルボニル)−1H−ベンズトリアゾール−3−イウム−1−オレート[P.G.M.Wutsら、Org.Lett.、1483ページ(2003)](1.74g、9.0mmol)および(S)−21(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(865mg、6.0mmol)を加えて、生じた懸濁液を室温で2.5時間にわたって撹拌する。反応混合物をHO(50ml)に注ぎ、BuOMe(150および50ml)で抽出する。有機相を1M HCl(50ml)、HO(25ml)、飽和NaHCO(25ml)およびHO(25ml)で順次洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥し減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(BuOMe:ヘプタン分画 20:80〜30:70)により精製すると1(エチル(2E,4S)−4−(メトキシカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(0.97g、79%)が黄色を帯びた油状物として得られる。
BuOMe:ヘプタン分画 30:70)=0.34。
HPLC:98.4%ee(CLC1、t(S)−1=8.2、t(R)−1=13.2)。
【数2】


H−NMRおよびHPLCは完全に特性の明らかにされたラセミ化合物と一致する。
【0034】
[実施例6]
rac−エチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート(2)の調製
実施例2に記載した一般的手順による、30(rac−エチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エノエート)(983mg、4.0mmol)とBnNH(943mg、8.8mmol)およびトルエン(80ml)中6mol%[Pd]との40℃における反応。フラッシュクロマトグラフィー(1.1%EtNを用いて不活性化したSiOBuOMe:ヘプタン分画 20:80〜30:70)により2(rac−エチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート)(760mg、81%)が黄色の油状物として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画 30:70)=0.14。
【数3】

【0035】
[実施例7]
エチル(2E,4S)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート[(S)−2]およびエチル(2E,4S)−N,N−ジベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート[(S)−12]の調製
実施例44で得た(S)−37(エチル(2E,4S)−4−アンモニウムペンタ−2−エノエートトリフレート)をCHCl(25mL)に溶解して0℃に冷却する。BnBr(891μL、7.5mmol)およびCsCO(4.89g、15.0mmol)を0℃で加える。生じた懸濁液を0℃で14時間および室温で33時間かけて撹拌する。次に、冷却した反応混合物を氷水(25mL)に注ぎ、CHCl(50および2×25mL)で抽出する。合わせた有機相をブライン(25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥して減圧下30℃で蒸発させる。残渣を3回の(threefold)フラッシュクロマトグラフィー(CHCl:ヘプタン分画 50:50、MeOH:CHCl:ヘプタン分画 1:49.5:49.5〜5:47.5:47.5、MeOH:CHCl 0.25:99.75〜2:98)により精製すると、(S)−2(エチル(2E,4S)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート)(378mg、32%)および(S)−12(エチル(2E,4S)−N,N−ジベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート)(684mg、42%)が黄色の油状物として得られる。
[(S)−2、MeOH:CHCl:ヘプタン分画 10:45:45]=0.34
[(S)−12、MeOH:CHCl:ヘプタン分画 10:45:45]=0.69
(S)−2:HPLC CLC1:82%ee、t(S)−2=13.2、t(R)−2=8.7
(S)−12:HPLC CLC7:78%ee、t(S)−12=5.9、t(R)−12=4.7
【数4】


両生成物のH−NMRおよびHPLCは、完全に特性の明らかにされたラセミ化合物のものと一致する。
【0036】
[実施例8]
rac−エチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート(3)の調製
21(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(1.44g、10mmol)とベンジルイソシアネート(1.73g、13mmol)とのトルエン(8ml)中における実施例1に準じた反応。
フラッシュクロマトグラフィー(AcOPr:ヘプタン分画 25:75)により精製すると、3(rac−エチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(2.49g、90%)が固体として(as a with solid)得られる。
(AcOPr:ヘプタン分画 35:65)=0.26。
【数5】

【0037】
[実施例9]
エチル(2E,4S)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート[(S)−3]の調製
(S)−21(エチル(2E,4S)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(1.44g、10mmol)とベンジルイソシアネート(1.04g、7.8mmol)とのトルエン(8ml)中における実施例1に準じた反応。
フラッシュクロマトグラフィー(BuOMe:ヘプタン分画 30:70)により精製すると、(S)−3(エチル(2E,4S)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(1.50g、90%)が固体として(as a with solid)得られる。
BuOMe:ヘプタン分画 50:50)=0.37
HPLC:98.5%ee(CLC1、t(S)−3=90、t(R)−3=43)
【数6】


H−NMRおよびHPLCは、完全に特性の明らかにされたラセミ化合物と一致する。
【0038】
[実施例10]
rac−エチル(2E)−4−(ブチルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート(4)の調製
実施例1に準じた、21(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(1.44g、10mmol)とn−ブチルイソシアネート(1.46ml、13mmol)とのトルエン(8ml)中における反応。
フラッシュクロマトグラフィー(AcOPr:ヘプタン分画 15:85〜25:75)により精製すると、4(rac−エチル(2E)−4−(ブチルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(2.31g、95%)が黄色の油状物として得られる。
(AcOPr:ヘプタン分画 30:70)=0.26。
【数7】

【0039】
[実施例11]
rac−エチル(2E)−4−(シクロヘキシルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート(5)の調製
実施例1に準じた、21(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(1.44g、10mmol)とシクロヘキシルイソシアネート(2.53ml、20mmol)とのトルエン(8ml)中における反応。
フラッシュクロマトグラフィー(AcOPr:ヘプタン分画 15:85〜25:75)により精製すると、5(rac−エチル(2E)−4−(シクロヘキシルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(2.29g、85%)が黄色を帯びた固体として得られる。
(AcOPr:ヘプタン分画 30:70)=0.30。
【数8】

【0040】
[実施例12]
rac−エチル(2E)−4−(ジベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート(6)の調製
21(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(1.47g、10mmol)、ジ−(N−スクシンイミジル)カーボネート(4.04g、15mmol)およびEtN(4.2ml、30mmol)をMeCN(40ml)に溶解する。生じた溶液を室温で5時間撹拌する。次に、MeCN(5ml)中のBnNH(2.3ml、12mmol)を15分かけて加える。さらに2.5時間撹拌した後、反応混合物を減圧下40℃で蒸発させる。残渣をn−ヘキサン:BuOMe 90:10(4×25ml)で温浸して(digest)、温浸物を減圧下40℃で蒸発させる。フラッシュクロマトグラフィー(BuOMe:ヘプタン分画 20:80)により6(rac−エチル(2E)−4−(ジベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(3.00g、82%)が無色の油状物として得られる。
BuOMe:ヘプタン分画 30:70)=0.32。
【数9】

【0041】
[実施例13]
rac−Tert−ブチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート(7)の調製
23(rac−Tert−ブチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(1.03g、6.0mmol)とベンジルイソシアネート(1.04g、7.8mmol)とのトルエン(5ml)中における、実施例1に準じた反応。
フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 15:85)により精製すると、8(rac−Tert−ブチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(1.65g、90%)が黄色の油状物として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画25:75)=0.29。
【数10】

【0042】
[実施例14]
rac−エチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エンアミド(8)の調製
25(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エンアミド)(591mg、4.0mmol)とベンジルイソシアネート(789μL、6.4mmol)とのトルエン(3.5ml)中の、実施例1に準じた反応。
トルエンから再結晶により精製すると8(rac−エチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エンアミド)(637mg、57%)が灰色を帯びた固体として得られる。
mp=149〜150℃。
【数11】

【0043】
[実施例15]
rac−ジエチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エンアミド(9)の調製
27(rac−ジエチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エンアミド)(847mg、5.0mmol)とベンジルイソシアネート(801μL、6.5mmol)とのトルエン(4ml)中の、実施例1に準じた反応。
フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 50:50〜60:40)により精製すると、9(rac−ジエチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エンアミド)(1.40g、92%)が粘稠な淡黄色の油状物として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画 60:40)=0.22。
【数12】

【0044】
[実施例16]
rac−エチル(2E)−N−ブチル−4−アミノペンタ−2−エノエート(10)の調製
31(rac−エチル(2E)−4−(ジエトキシホスフィニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(280mg、1.0mmol)とBuNH(198μL、2.0mmol)およびCHCl(10ml)中8mol%[Pd]との室温における、実施例2に準じた反応。フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 50:50〜55:45)により、10(rac−エチル(2E)−N−ブチル−4−アミノペンタ−2−エノエート)(130mg、65%)が黄色の油状物として得られる。
(NHで条件付けして、AcOEt:ヘプタン分画 60:40)=0.15。
【数13】

【0045】
[実施例17]
rac−エチル(2E)−N−シクロヘキシル−4−アミノペンタ−2−エノエート(11)の調製
31(rac−エチル(2E)−4−(ジエトキシホスフィニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(280mg、1.0mmol)とCyNH(228μL、2.0mmol)およびCHCl(8ml)中5mol%[Pd]との室温における実施例2に準じた反応。フラッシュクロマトグラフィー(1.4%NHを用いて不活性化したSiO、AcOEt:ヘプタン分画 30:70)により11(rac−エチル(2E)−N−シクロヘキシル−4−アミノペンタ−2−エノエート)(169mg、75%)が黄色の油状物として得られる。
(NHで条件付けして、AcOEt:ヘプタン分画 50:50)=0.16。
【数14】

【0046】
[実施例18]
rac−エチル(2E)−N,N−ジベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート(12)の調製
30(rac−エチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エノエート)(221mg、1.0mmol)とBnNH(383μL、2.0mmol)およびCHCl(10ml)中8mol%[Pd]との室温における、実施例2に準じた反応。フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 5:95)により、12(rac−エチル(2E)−N,N−ジベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート)(227mg、70%)が無色の油状物として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画20:80)=0.47。
【数15】

【0047】
[実施例19]
rac−Tert−ブチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート(13)の調製
23(rac−Tert−ブチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(192mg、0.75mmol)とBnNH(164μL、1.5mmol)およびCHCl(7.5ml)中8mol%[Pd]との室温における実施例2に準じた反応。フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 25:75)により、13(rac−Tert−ブチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート)(157mg、80%)が黄色の油状物として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画 30:70)=0.16。
【数16】

【0048】
[実施例20]
rac−エチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エンアミド(14)の調製
33(rac−エチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エンアミド)(179mg、0.80mmol)とBnNH(92μL、1.05mmol)およびCHCl(4ml)中4mol%[Pd]との室温における実施例2に準じた反応。反応液は酸性および塩基性の抽出(HCl/NaOH/CHCl)により後処理する(worked up)。分取TLC(濃NH:MeOH:PrOH:CHCl 0.5:5:10:84.5およびPrOH:CHCl 15:85)により14(rac−エチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エンアミド)(98.8mg、53%)が黄色の油状物として得られる。
(濃NH:MeOH:PrOH:CHCl 0.5:5:10:84.5)=0.44。
【数17】

【0049】
[実施例21]
rac−ジエチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エンアミド(15)の調製
34(rac−ジエチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エンアミド)(190mg、0.75mmol)とBnNH(123μL、1.125mmol)およびCHCl(5ml)中4mol%[Pd]との、室温における実施例2に準じた反応。反応液を抽出(CHCl)により後処理する。フラッシュクロマトグラフィー(MeCN:BuOMe 5:95〜7.5:92.5)および分取TLC(PrOH:BuOMe 15:85)により、15(rac−ジエチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エンアミド)(142mg、73%)が黄色の油状物として得られる。
【数18】

【0050】
[実施例22]
rac−エチル(2E)−4−フタルイミドペンタ−2−エノエート(16)の調製
1(rac−エチル(2E)−4−(メトキシカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(104mg、0.50mmol)とフタルイミド(147mg、1.0mmol)、CsCO(40.7mg、0.125mmol)およびCHCl(10ml)中5mol%[Pd]との室温における実施例2に準じた反応。フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 25:75)により、16(rac−エチル(2E)−4−フタルイミドペンタ−2−エノエート)(124mg、90%)が黄色を帯びた固体として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画 35:65)=0.26。
【数19】

【0051】
[実施例23]
rac−エチル(2E)−4−(ジエトキシホスフィニルオキシ)−2−メチルペンタ−2−エノエート(17)の調製
29(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシ−2−メチルペンタ−2−エノエート)(0.99g、6.0mmol)をピリジン(1.6ml)に溶解して0℃に冷却する。ジエチルクロロホスフェート(1.1ml、7.5mmol)を撹拌しながら20分かけて≦3℃で加える。さらに0℃で4.5時間撹拌した後、反応混合物に1M HSO(100ml)を加えてクエンチさせ、引続きBuOMe(300ml)で抽出する。有機相をブライン(50ml)、飽和NaHCO(50ml)およびブライン(50ml)で洗浄する。有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(AcOPr:ヘプタン分画 50:50〜60:40)により精製すると、17(rac−エチル(2E)−4−(ジエトキシホスフィニルオキシ)−2−メチルペンタ−2−エノエート)(1.56g、88%)が黄色を帯びた油状物として得られる。
(AcOPr:ヘプタン分画 70:30)=0.16。
【数20】

【0052】
[実施例24]
rac−エチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノ−2−メチルペンタ−2−エノエート(18)の調製
17(rac−エチル(2E)−4−(ジエトキシホスフィニルオキシ)−2−メチルペンタ−2−エノエート)(188mg、0.60mmol)とBnNH(131μL、1.2mmol)およびCHCl(3.5ml)中5mol%[Pd]との室温における反応。MPLC(NHで不活性化したSiO、AcOEt:ヘプタン分画 20:80)および分取TLC(NHで条件付けして、AcOEt:ヘプタン分画 50:50)により、18(rac−エチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノ−2−メチルペンタ−2−エノエート)(98.7mg、67%)が黄色の油状物として得られる。
(18、NHで条件付けして、AcOEt:ヘプタン分画 20:80)=0.18。
【数21】

【0053】
[実施例25]
rac−エチル(2E)−N−(4−メトキシフェニル)−4−アミノ−2−メチルペンタ−2−エノエート(19)の調製
17(rac−エチル(2E)−4−(ジエトキシホスフィニルオキシ)−2−メチルペンタ−2−エノエート)(188mg、0.60mmol)とp−アニシジン(148mg、1.2mmol)およびCHCl(3.5ml)中5mol%[Pd]との室温における反応。フラッシュクロマトグラフィー(AcOPr:ヘプタン分画 15:85〜20:80)により19(rac−エチル(2E)−N−(4−メトキシフェニル)−4−アミノ−2−メチルペンタ−2−エノエート)(144mg、91)が黄色の油状物として得られる。
(AcOPr:ヘプタン分画 40:60)=0.37。
【数22】

【0054】
[実施例26]
rac−エチル4−ヒドロキシペンタ−2−イノエート(20)の調製
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(74.16g、0.525mol)をTHF(600ml)に溶解して−45℃に冷却する。BuLiを加え(ヘキサン中0.022molg−1、228.3g、0.500mol)、−10℃に温める。反応混合物を−70℃に冷却する。次に、エチルプロピオレート(49.05g、0.500mol)を≦−66℃で25分かけて滴下により加える。さらに70分間−72℃で撹拌した後、冷THF(30ml)中のアセトアルデヒド(23.35g、0.530mol)を≦−67℃で滴下により30分で加える。−72℃で1時間撹拌した後、反応混合物に2M HCl(700ml)を加えてクエンチさせ、BuOMe(650および400ml)で抽出する。有機相を飽和NaHCO(200ml)およびブライン(3×125ml)で順次洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。BuOMe:ヘプタン分画(0.5l)およびBuOMe(0.2l)を用いてSiO(150g)で濾過すると、粗20(rac−エチル4−ヒドロキシペンタ−2−イノエート)(67.44g、90%、HPLC:約90面積%)が褐色の油状物として得られる。粗生成物は、さらなる精製なしに次のステップで使用される。H−NMRおよびGCによる分析は、塩基としてLDAを用いる20(rac−エチル4−ヒドロキシペンタ−2−イノエート)の類似の合成と一致する。
【数23】

【0055】
[実施例27]
rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート(21)の調製
NaAlH[O(CHOMe](68.6%m/m、82.2g、0.270mol)をTHF(750ml)に溶解して−70℃に冷却する。THF(500ml)中の20(rac−エチル4−ヒドロキシペンタ−2−イノエート)(粗、HPLC:約90面積%、21.33g、0.135mol)を、1.25時間かけて≦−65℃で滴下により加える。≦−68℃で2時間撹拌した後、反応混合物に2M HCl(540ml)を加えてクエンチさせる。次に、水(250ml)を加えて混合物をBuOMe(1.5および1l)で抽出する。有機相を飽和NaHCO(250ml)およびブライン(2×100ml)で順次洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 20:80〜40:60)により精製すると、21(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(15.56g、80%)が黄色の油状物として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画 40:60)=0.19。
【数24】

【0056】
[実施例28]
エチル(2E,4S)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート[(S)−21]調製
AlCl(5.33g、40mmol)をCHCl(65ml)中に懸濁して−20℃に冷却する。(S)−35(エチル(2E,4S)−4−(ベンジルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(4.78g、20mmol)をm−キシレン(20ml)中に加えて生じた黄色の溶液を−20℃で1.5時間にわたって撹拌する。次に、反応混合物を氷水(100ml)に注いでBuOMe(500および200ml)で抽出する。有機相をブライン(2×50ml)で洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 30:70)により精製すると、(S)−21(エチル(2E,4S)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(2.65g、92%)が黄色を帯びた油状物として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画 35:65)=0.16
HPLC:98.5%ee(CLC1、t(S)−エチル(2E,4S)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート=22、t(R)−エチル(2E,4S)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート=20)。
【数25】


H−NMRおよびHPLCは、完全に特性の明らかにされたラセミ化合物と一致する。
【0057】
[実施例29]
rac−Tert−ブチル4−ヒドロキシペンタ−2−イノエート(22)の調製
20(rac−エチル4−ヒドロキシペンタ−2−イノエート)の合成のための手順に従って、粗22(rac−Tert−ブチル4−ヒドロキシペンタ−2−イノエート)(5.77g、90%、HPLC:約94面積%)がtert−ブチルプロピオレート(4.60g、36.1mmol)とアセトアルデヒド(2.39g、39.7mmol)とから褐色の油状物として得られる。粗生成物はさらなる精製なしに使用される。分析のために、一部をフラッシュクロマトグラフィー(PrOH:ヘプタン分画 7.5:92.5)により精製する。
PrOH:ヘプタン分画 7.5:92.5)=0.17。
【数26】

【0058】
[実施例30]
rac−Tert−ブチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート(23)調製
21(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)の合成のための手順に従って、23(rac−Tert−ブチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(3.85g、80%)が22(rac−Tert−ブチル4−ヒドロキシペンタ−2−イノエート)(粗、HPLC:約94面積%、5.01g、28.0mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 15:85)による精製後に、淡黄色の油状物として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画 30:70)=0.20。
【数27】

【0059】
[実施例31]
エチル(2E)−4−オキソペンタ−2−エンアミド(24)の調製
(2E)−4−オキソペンタ−2−エン酸(9.41g、80mmol)およびEtNH(THF中2M、40ml、80mmol)をCHCl(250ml)中に溶解する。溶液を0℃に冷却する。次に、DMAP(1.47g、12mmol)およびEDCI(15.34g、80mmol)を加える。生じた懸濁液を0℃で17時間撹拌する。次に、反応混合物を2M HCl(100ml)に注いでCHCl(2×1l)で抽出する。有機相を2M HCl(50ml)、飽和NaHCO(50ml)およびブライン(100ml)で順次洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。24(エチル(2E)−4−オキソペンタ−2−エンアミド)(5.74g、51%)が褐色の固体として得られる。
mp=69〜70℃。
【数28】

【0060】
[実施例32]
rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エンアミド(25)の調製
24(エチル(2E)−4−オキソペンタ−2−エンアミド)(5.18g、36.7mmol)をMeOH(6ml)およびHO(54ml)に溶解して0℃に冷却する。NaBHは生じた溶液(426mg、11.3mmol)に分割して15分かけて加える。0℃でさらに30分撹拌した後、反応混合物を2M HCl(1.15ml)で酸性化してAcOPr(2×1l)で抽出する。有機相をブライン(2×25ml)で洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(MeOH:CHCl 5:95〜7.5:92.5)により精製すると、25(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エンアミド)(4.60g、88%)が粘稠な褐色の油状物として得られる。
【数29】

【0061】
[実施例33]
ジエチル(2E)−4−オキソペンタ−2−エンアミド(26)の調製
(2E)−4−オキソペンタ−2−エン酸(7.06g、60mmol)およびEtN(8.7ml、63mmol)をCHCl(150ml)中に溶解する。溶液を0℃に冷却する。次に、CHCl(10ml)中のBuOCOCl(8.8ml、67mmol)を≦4℃で10分かけて滴下により加える。生じた懸濁液を0℃で25分間撹拌する。CHCl(5ml)中のEtNH(7.5ml、72mmol)を≦4℃で10分かけて滴下により加える。0℃で1.5時間撹拌した後、追加のEtNH(73.8ml、36mmol)を加えて撹拌を3時間継続する。次に、反応混合物を2M HCl(100ml)に注いでTBME(750mlおよび2×250ml)で抽出する。有機相を、2M HCl(100ml)、飽和NaHCO(100および50ml)およびブライン(2×50ml)で順次洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 50:50〜60:40)により精製すると、26(ジエチル(2E)−4−オキソペンタ−2−エンアミド)(7.16g、71%)が淡橙色の油状物として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画 60:40)=0.18
【数30】

【0062】
[実施例34]
rac−ジエチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エンアミド(27)の調製
26(ジエチル(2E)−4−オキソペンタ−2−エンアミド)(5.92g、35mmol)をMeOH(14ml)およびHO(56ml)に溶解して0℃に冷却する。生じた溶液にNaBH(0.50g、13.1mmol)を分割して5分かけて加える。0℃でさらに15分撹拌した後、反応混合物を2M HCl(30ml)で酸性化してAcOEt(1lおよび2×0.75l)で抽出する。有機相をHO(100ml)、飽和NaHCO(100ml)およびブライン(100ml)で順次洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。27(rac−ジエチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エンアミド)(5.66g、94%)が淡黄色の油状物として得られる。
【数31】

【0063】
[実施例35]
エチル(2E)−2−メチル−4−オキソペンタ−2−エノエート(28)の調製
エチル2−(トリフェニルホスホラニリデン)プロパノエート(74.40g、0.193mol)および活性化MnO(190.7g、1.93mol)をCHCl(1l)中に溶解/懸濁する。ヒドロキシアセトン(10.6g、0.135mol)を撹拌および冷却しながら加える。反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、次にセルロース(75g)を通して濾過する。このセルロースをEtO(1l)で洗浄して、濾液を300mbarおよび40℃で濃縮する。n−ペンタン(250ml)を加えて生じた懸濁液を濾過する。200mbarおよび40℃で蒸発させると、28(エチル(2E)−2−メチル−4−オキソペンタ−2−エノエート)(57%、E:Z=97:3)を含有する黄色の油状物(24.74g)が得られ、それは、さらなる精製なしに使用される。分析のために、粗生成物の一部をフラッシュクロマトグラフィー(AcOPr:ヘプタン分画 8:92〜50:50)により精製する。
(AcOPr:ヘプタン分画 30:70)=0.38。
【数32】

【0064】
[実施例36]
rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシ−2−メチルペンタ−2−エノエート(29)の調製
28(エチル(2E)−2−メチル−4−オキソペンタ−2−エノエート)(HPLC:約84面積%、16.73g、90mmol)をMeOH(500ml)に溶解して0℃に冷却する。生じた溶液にNaBH(1.04g、27.5mmol)を分割して30分かけて加える。0℃でさらに3時間撹拌した後、pHを2M HCl(12ml)で5に調節する。反応混合物を減圧下に室温で濃縮する。HO(100ml)を加える。2M HClでpH1に酸性化した後、続いてBuOMe(1および0.5l)で抽出する。有機相をHO(100ml)およびブライン(2×100ml)で順次洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(AcOPr:ヘプタン分画 20:80〜40:60)により精製すると、29(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシ−2−メチルペンタ−2−エノエート)(11.26g、79%)が黄色を帯びた油状物として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画 25:75)=0.14。
【数33】

【0065】
[実施例37]
rac−エチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エノエート(30)の調製
21(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(粗、HPLC:約94面積%、9.20g、60mmol)、ピリジン(9.7ml、0.12mol)およびDMAP(1.47g、12mmol)をTHF(300ml)に溶解して0℃に冷却する。THF(60ml)中のクロロアセチルクロリド(9.6ml、0.12mol)を、≦2℃で10分かけて滴下により撹拌しながら加える。反応混合物を0℃で40分撹拌する。次に、生じた懸濁液をHO(250ml)に注いでBuOMe(1l)で抽出する。有機相を飽和NaHCO(100ml)、1M HCl(100ml)、HO(3×100ml)およびブライン(100ml)で順次洗浄する。この有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をHPLC(BuOMe:ヘキサン分画 5:95)により精製すると、30(rac−エチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エノエート)(9.81g、74%)が黄色を帯びた油状物として得られる。
【数34】

【0066】
[実施例38]
rac−エチル(2E)−4−(ジエトキシホスフィニルオキシ)ペンタ−2−エノエート(31)の調製
21(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(2.16g、15mmol)をピリジン(4ml)に溶解して0℃に冷却する。ジエチルクロロホスフェート(2.7ml、18.75mmol)を撹拌しながら20分かけて加える。0℃でさらに6時間撹拌した後、反応混合物に1M HSO(100ml)を加えてクエンチさせ、BuOMe(300ml)で抽出する。有機相をブライン(50ml)、飽和NaHCO(50ml)およびブライン(50ml)で順次洗浄する。有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(AcOPr:ヘプタン分画 50:50〜60:40)により精製すると、31(rac−エチル(2E)−4−(ジエトキシホスフィニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(3.65g、87%)が黄色を帯びた油状物として得られる。
(AcOEt:ヘプタン分画 65:35)=0.20。
【数35】

【0067】
[実施例39]
rac−Tert−ブチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エノエート(32)の調製
23(rac−Tert−ブチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エノエート)(517mg、3.0mmol)、ピリジン(0.73ml、9mmol)およびDMAP(73.3mg、0.60mmol)をトルエン(18ml)に溶解して0℃に冷却する。THF(2ml)中のクロロアセチルクロリド(0.48ml、6.0mol)を≦4℃で15分かけて滴下により撹拌しながら加える。反応混合物を0℃で45分撹拌する。次に、生じた懸濁液をHO(50ml)に注いでBuOMe(150および75ml)で抽出する。有機相を1M HCl(25ml)、HO(15ml)およびブライン(2×15ml)で順次洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(BuOMe:ヘプタン分画 20:80)により精製すると、32(rac−Tert−ブチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エノエート)(680mg、91%)が黄色を帯びた油状物として得られる。
BuOMe:ヘプタン分画 25:75)=0.38。
【数36】

【0068】
[実施例40]
rac−エチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エンアミド(33)の調製
25(rac−エチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エンアミド)(886mg、6.0mmol)、ピリジン(969μl、12mmol)およびDMAP(147mg、1.2mmol)をトルエン(30ml)およびTHF(10mL)に溶解して0℃に冷却する。トルエン(4ml)中のクロロアセチルクロリド(954μl、12mol)を≦2℃で15分かけて滴下により撹拌しながら加える。反応混合物を0℃で2.5時間撹拌する。生じた懸濁液を次に2M HCl(25ml)に注いでBuOMe(250および150ml)で抽出する。有機相を2M HCl(25ml)、飽和NaHCO(15ml)およびブライン(25ml)で順次洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させると、33(rac−エチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エンアミド)(1.26g、95%)がベージュの固体として得られる。
【数37】

【0069】
[実施例41]
rac−ジエチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エンアミド(34)の調製
27(rac−ジエチル(2E)−4−ヒドロキシペンタ−2−エンアミド)(1.05g、6.0mmol)、ピリジン(969μl、12mmol)およびDMAP(147mg、0.60mmol)をトルエン(30ml)およびTHF(10mL)に溶解して0℃に冷却する。トルエン(4ml)中のクロロアセチルクロリド(954μl、12mol)を、≦2℃で15分かけて滴下により撹拌しながら加える。反応混合物を0℃で2.5時間撹拌する。生じた懸濁液を、次にHO(50ml)に注いでBuOMe(150および75ml)で抽出する。有機相を1M HCl(50ml)、HO(50ml)、飽和NaHCO(50ml)およびブライン(50ml)で順次洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をBuOMe(50ml)およびBuOMe:AcOEt 50:50(300ml)を用いてSiO(15g)で濾過すると、34(rac−ジエチル(2E)−4−(クロロアセトキシ)ペンタ−2−エンアミド)(1.46g、98%)が黄色の油状物として得られる。
【数38】

【0070】
[実施例42]
エチル(2E,4S)−4−(ベンジルオキシ)ペンタ−2−エノエート[(S)−35]の調製
KOH(0.26g、4.63mmol)をEtOH(50ml)に溶解する。この溶液を0℃に冷却して、次に、メチル(2E,4S)−4−(ベンジルオキシ)ペンタ−2−エノエート(5.20g、23.6mmol、Acrosから市販)を加える。反応混合物を1.5時間にわたって0℃で撹拌し、氷水(100ml)に注ぐ。水相をBuOMe(500ml)で抽出する。有機相をHO(2×50ml)およびブライン(50ml)で洗浄してNaSOで乾燥する。有機相を減圧下40℃で蒸発させ、全手順を繰り返して転化を完結させる。(S)−35(エチル(2E,4S)−4−(ベンジルオキシ)ペンタ−2−エノエート)(5.26g、95%)が黄色の油状物として得られ、さらなる精製なしに使用される。
【数39】

【0071】
[実施例43]
エチル(2E,4S)−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ペンタ−2−エノエート[(S)−36]の調製[Reetzら、J.Chem.Soc.、Chem.Commun.、1605ページ(1995)]
(S)−Boc−アラニンアルデヒド(1.73g、10.0mmol、Bachemから市販)をCHCl(40ml)に溶解して約10℃に冷却する。次に(エトキシカルボニルメチレン)トリフェニルホスホラン(3.51g、10.0mmol)を加えて、反応混合物を室温に温める。生じた黄色の溶液を室温で2時間にわたり撹拌し、減圧下40℃で蒸発させる。残渣をn−ヘキサン(75mL)中に懸濁して5℃で一晩保存する。固体を濾過により除去して、濾液を減圧下40℃で蒸発させる。残渣をBuOMe:n−ヘキサン 50:50(200mL)を用いてSiO(30g)で濾過し、減圧下に40℃で溶媒を蒸発させると、(S)−35(エチル(2E,4S)−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ペンタ−2−エノエート)(2.25g、93%)が無色の油状物として得られる。
BuOMe:n−ヘキサン 50:50)=0.40。
【数40】


【数41】

【0072】
[実施例44]
エチル(2E,4S)−4−アンモニウムペンタ−2−エノエートトリフレート[(S)−37]の調製[W.V.Murray、P.K.Mishra、I.J.Turchi、D.Sawicka、A.Maden、S.Sun Tetrahedron 2003年、59巻、8955ページ]
(S)−36(エチル(2E,4S)−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ペンタ−2−エノエート)(1.22g、5.00mmol)をCHCl(11.5mL)に溶解して0℃に冷却する。TFA(11.5mL、150mmol)を2分かけて加え、反応混合物を室温に温める。反応混合物を30分にわたり室温で撹拌し、溶媒を減圧下40℃で蒸発させる。残渣をCHCl(10mL)に溶解して再び蒸発させる(6×)。(S)−37(エチル(2E,4S)−4−アンモニウムペンタ−2−エノエートトリフレート)が黄色の油状物として得られ、さらなる精製なしに使用される。
【数42】

【0073】
[実施例45]
スキームIII、表I
((R)−2、(R)−10〜13および化合物14、15、18、19の合成の一般的手順については、実施例3を参照されたい)
3(rac−エチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)の(R)−2(エチル(2E,4R)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート)への反応:PhPhがISとして使用される。試料は、SP1に従って調製し、HPLC法LC1(t=5.5、t=5.9)およびCLC1で分析する(tmajor、(R)−2=8.7、tminor、(S)−2=13.2、tminor、(R)−3=43、tmajor、(S)−3=90)。
4(rac−エチル(2E)−4−(ブチルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)の10(エチル(2E)−N−ブチル−4−アミノペンタ−2−エノエート)への反応:IS=HexPh、SP2、LC1(t10=4.1、t=6.0)、CLC6(tminor、10=13.1、tmajor、10=17.5、tmajor、4=20、tminor、4=29)。
5(rac−エチル(2E)−4−(シクロヘキシルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)の11(エチル(2E)−N−シクロヘキシル−4−アミノペンタ−2−エノエート)への反応:IS=PhO、SP2、LC1(t11=5.0、t=7.4)、CLC7(tminor、11=16.0、tmajor、11=19.7、tmajor、5=22、tminor、5=32)。
6(rac−エチル(2E)−4−(ジベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)の(R)−12(エチル(2E,4R)−N,N−ジベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート)への反応:IS=PhPh、SP1、LC1(t=11.2、t12=13.4)、CLC2(tmajor、(R)−12=4.7、tminor、(S)−12=5.9、tminor、6=33、tmajor、6=40)。
7(rac−Tert−ブチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート)の13(Tert−ブチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート)への反応:IS=HexPh、SP1、LC2(t13=4.2、t=8.5)、CLC1(tmajor、13=5.2、tminor、13=5.9、tminor、7=23、tmajor、7=46)。
8(rac−エチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エンアミド)の14(エチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エンアミド)への反応:4mol%の[Pd]および6mol%のリガンドを使用した。IS=PhPh、SP3、LC1(t14=2.1、t=2.7)、CLC4(tminor、14=12.8、tmajor、14=14.1、tminor、8=40、tmajor、8=92)。
9(rac−ジエチル(2E)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エンアミド)の15(ジエチル(2E)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エンアミド)への反応:IS=PhPh、SP3、LC1(t=4.3、t15=3.9)、CLC4(tminor、15=11.4、tmajor、15=12.6。
【0074】
[実施例46]
スキームIV、表II
6から2への反応:
IS=PhPh、SP1、LC1(t=5.5、t=11.2、t12=13.4)、CLC3(tmajor、(R)−2=10.5、tminor、(S)−2=12.1、tminor、6=22、tmajor、6=23)
6から16への反応:
シュレンクチューブに[Pd(アリル)Cl](1.8mg、5μmol)、L1(10.4mg、15μmol)、PhPh(14mg)およびフタルイミドカリウム(23.2mg、125μmol)を充填してアルゴンで不活性雰囲気にする(真空/アルゴン3サイクル)。触媒をCHCl(0.7ml)に、撹拌しながら(少なくとも10分)溶解する。6(45.9mg、125μmol)およびHO(0.1mL)を加えて試料を採取する。次に、CHCl(0.2mL)中の18−クラウン−6エーテル(16.5mg、62.5μmol)溶液を加えて、反応混合物を室温で24時間撹拌する。
SP1、LC1(t16=5.7、t=11.2、t12=13.4)、CLC3(tminor、16=59、tmajor、16=75、tminor、6=22、tmajor、6=23)。
【0075】
[実施例47]
エチル(2E,4R)−N−ベンジル−4−アミノペンタ−2−エノエート[(R)−2]およびエチル(2E,4S)−4−(ベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート[(S)−3]
シュレンクチューブに[Pd(アリル)Cl](22.0mg、60μmol)、キラルリガンドL1(124.3mg、0.18mmol)およびrac−3(424.5mg、1.5mmol)を充填する。アルゴンで不活性雰囲気にした後(真空/アルゴン3サイクル)、混合物をCHCl(15ml)に室温で溶解する。ベンジルアミン(33μl、0.30mmol)を加えて室温で撹拌を1時間継続する。HPLCは61%の転化を示した。反応混合物に1M HCl(10ml)を加えてクエンチさせ、BuOMe(75および50ml)で抽出する。有機相を1M HCl(2×10ml)、飽和NaHCO(10ml)およびブライン(10ml)で洗浄する。合わせた有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(AcOiPr:ヘプタン分画 25:75〜35:65)により精製すると、(S)−3(112.1mg、27%)が黄色を帯びた油状物として得られた。合わせたHCl抽出物に濃NaOH(4ml)を加える。生じた水溶液をCHCl(2×50ml)で抽出する。合わせた有機相をブライン(20ml)で洗浄し、NaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 30:70)により精製すると、(R)−2(148.2mg、42%)が黄色の油状物として得られた。
[2、AcOEt:ヘプタン分画 40:60]=0.16
[3、AcOiPr:ヘプタン分画 50:50]=0.43
(R)−2 64%ee(HPLC、方法CLC1、tminor=13.2、tmajor=8.7)
(S)−3 >95%ee(HPLC、方法CLC1、tminor、3=43、tmajor、3=90)
単離された基質および生成物のH−NMR、13C−NMRおよびHPLCは、完全に特性の明らかにされたラセミ化合物と一致する。
【0076】
[実施例48]
エチル(2E,4S)−4−(ジベンジルアミノカルボニルオキシ)ペンタ−2−エノエート((S)−6)およびエチル(2E,4R)−4−フタルイミド(phthalimido)−ペンタ−2−エノエート[(R)−16]
シュレンクチューブに[Pd(アリル)Cl](29.3mg、80μmol)、キラルリガンドL1(165.8mg、0.24mmol)、18−クラウン−6−エーテル(264.3mg、1.0mmol)、rac−6(742.3mg、2.0mmol)およびフタルイミドカリウム(370.4mg、2mmol)を充填する。アルゴンで不活性雰囲気にした後(真空/アルゴン3サイクル)、混合物をCHCl(14.4ml)に室温で溶解/懸濁する。HO(1.6ml)を加えて、撹拌を室温で2.25時間継続する。次に反応混合物をHO(40ml)中に注ぎBuOMe(400ml)で抽出する。有機相を15%NaCO(40ml)、HO(40ml)、1M HCl(3×40ml)およびブライン(40ml)で洗浄する。有機相をNaSOで乾燥して減圧下40℃で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt:ヘプタン分画 15:85)および分取HPLC(Nucleosil 5 C18 AB、H2O:MeCN 60:40から20:80)により精製する。(S)−6(234.3mg、32%)が黄色を帯びた油状物として得られ、(R)−16(200.7mg、37%)が白色の固体として得られる。粗基質と生成物との混合物の1H−NMRにより決定して、転化率(conversion)=55%。
[6、AcOiPr:ヘプタン分画 40:60]=0.49
[16、AcOiPr:ヘプタン分画 40:60]=0.37
(S)−6: 94%ee(HPLC、方法CLC3、tminor、6=22、tmajor、6=23);[α]20=+41.8(c=1.010、CHCl
(R)−16: 89%ee(HPLC、方法CLC3、tminor、16=59、tmajor、16=75)[α]20=+5.9(c=1.001、CHCl3)
絶対配置は3から2の反応および12から2の反応に類似の機構を推定することにより割り当てられる。単離された基質および生成物のH−NMR、13C−NMRおよびHPLCは、完全に特性の明らかにされたラセミ化合物と一致する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラジウム触媒によるα,β−不飽和カルボン酸誘導体のエナンチオ選択的なアリル位アミノ化のための方法であって、
構造式I:
【化13】


を有するカルボン酸誘導体のラセミ混合物を、求核剤の存在下でキラルリガンドおよびパラジウム触媒と反応させて、式IIおよびIII:
【化14】


を有するエナンチオマーに富むα,β−不飽和カルボン酸誘導体を得る工程を含み、
式I、IIおよびIII中において、R1は、ベンジル基、n−ブチル基、もしくはシクロヘキシル基であり;R2はベンジル基もしくは水素であり;XR3は、エトキシ基、アミド、もしくはtert−ブトキシ基であるか;または式IおよびIIIは上に挙げた通りであり、式II中、NR1R2はフタルイミジル置換基である、前記方法。
【請求項2】
前記パラジウム触媒が[Pd(アリル)Cl]である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キラルリガンドが構造式IV:
【化15】


を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記キラルリガンドが構造式V:
【化16】


を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記求核剤がフタルイミドカリウムであるか、または求核剤が式R1R2NHを有し、式中、R1はベンジル基、n−ブチル基、およびシクロヘキシル基からなる群より選択され;R2はベンジル基および水素からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記式IIおよびIIIを有するα,β−不飽和カルボン酸誘導体の二重結合を還元して対応するγ−アミノ酸誘導体を得る工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記式IIおよびIIIを有するβ−不飽和カルボン酸誘導体を分離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
パラジウム触媒によるα,β−不飽和カルボン酸誘導体のエナンチオ選択的なアリル位アミノ化のための方法であって、
式VI:
【化17】


を有するカルボン酸誘導体のラセミ混合物を、求核剤の存在下でキラルリガンドおよびパラジウム触媒と反応させて、式VIIおよびVIII:
【化18】


(式VIおよびVII中、R2はアルキル基であり、式VIII中、R1はベンジル基またはPMPである)
を有するエナンチオマーに富むα,β−不飽和カルボン酸誘導体を得る工程を含む、前記方法。
【請求項9】
前記パラジウム触媒が[Pd(アリル)Cl]である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記キラルリガンドが構造式IV:
【化19】


を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記キラルリガンドが構造式V:
【化20】


を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記求核剤がフタルイミドカリウムであるか、または求核剤が式R1R2NHを有し、式中、R1はベンジル基、n−ブチル基、およびシクロヘキシル基からなる群より選択され;R2はベンジル基または水素からなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
R2がエチルまたはメチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記式VIIおよびVIIIを有するα,β−不飽和カルボン酸誘導体の二重結合を還元して対応するγ−アミノ酸誘導体を得る工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記式VIIおよびVIIIを有するβ−不飽和カルボン酸誘導体を分離する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
エナンチオマーに富むα,β−不飽和カルボン酸誘導体を含む組成物であって、前記α,β−不飽和カルボン酸誘導体は、構造式II、III、VIIまたはVIII:
【化21】


(式IIおよびIII中、R1はベンジル基、n−ブチル基、およびシクロヘキシル基からなる群より選択され;R2はベンジル基および水素から選択され;XR3はエトキシ基、アミド、およびtert−ブトキシ基からなる群より選択されるか、または式II中、NR1R2はフタルイミジル置換基であり;式VII中、R2はアルキル基であり、式VIII中、R1はベンジル基もしくはPMPである)
を有する、前記組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の富化されたα,β−不飽和カルボン酸誘導体に対応するγ−アミノ酸誘導体。

【公表番号】特表2012−508780(P2012−508780A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543760(P2011−543760)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065241
【国際公開番号】WO2010/055162
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】