説明

γ線照射によるポリアミド粉末のグラフト化方法

【課題】表面にグラフト鎖が付いたポリアミド、コポリアミド、ポリエーテルブロックアミド、ポリオレフィン、ポリエステルまたはフルオロカーボン樹脂の粉末粒子の製造方法と、グラフトされた粉末粒子と、この粉末粒子を含む組成物。
【解決方法】下記の(a)と(b)の段階を有する:(a)上記粉末粒子を少なくとも一種の官能化グラフトモノマーと混合する段階、(b)段階(a)で得られた官能化グラフトモノマーで含浸された粉末粒子に光照射(γ線)または電子線(β線)を0.5〜15Mradの照射量で照射する段階。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも二官能性分子であるグラフト鎖(graffon)を介して基材の表面に直接グラフトされたポリアミド(以下、PA)またはコポリアミド(以下、CoPA)(ブロックコポリマー、その他)、特にコポリエステルアミド、さらには、ポリオレフィン(ポリエチレンPE、ポリプロピレンPP)、ポリエステル、フルオロカーボン樹脂の粉末粒子に関するものである。
ブロックCoPAの例はポリエーテルブロックアミド(以下、PEBA)である。
【背景技術】
【0002】
上記の二官能性分子はそのグラフト鎖の一方の官能基を介して上記ポリマー粒子上にグラフトされる。一方、フリーな他方の官能基はその化学特性に応じてグラフトした粒子が共有結合または物理結合によって結合している媒体とグラフトした粒子とが相溶化するのを助ける役目をする。すなわち、この官能基はグラフトされた粒子とその他の官能化分子との間で化学反応を起こさせるものである。
【0003】
表面被覆、例えば紫外線架橋性樹脂のコーティング材やポリエステル、ポリウレタまたはアクリルのコーティングン材の分野では、耐摩耗性、耐放射線性、より一般的には被覆の機械特性・耐久性を向上させることが重要である。
【0004】
こうした特性を付与するために一般には上記媒体(紫外線架橋性樹脂、ポリエステル、ポリウレタ、アクリルからなる媒体)中に耐機械特性に優れた要素であるポリアミドまたはコポリアミドの粉末が添加される。
しかし、親水性媒体の場合、媒体に添加する疎水性PA、CoPA粉末の相溶性に問題が生じる。
【0005】
コーティング材との相溶性を改善するためにポリアミド粉末を官能化する方法は既に公知である。その方法は重合時にポリマー中に官能性化合物を添加する方法であるが、この官能性化合物を共重合する方法は制御が難しく、均一に分散ができない。さらに、最終粉末を得るまでのプロセスの多くの段階(粉砕、乾燥、篩分け等)で官能性化合物の反応性を維持する必要がある。
【0006】
すなわち、ポリマ粉末、特にPA、CoPAの粒子を各種媒体中に相溶化させる必要がある。この相溶化は大量生産された商業べースの製品すなわちポリマーをクライアントの要求に応じて数段階で迅速に行うことができ、ポリアミドまたはコポリアミドの全ての粉末で相溶化が実現可能なものでなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明が解決しようとする課題は、上記のポリマー粉末、特にPA、CoPAの粉末と各種媒体との間の相溶性の問題を解決し、しかも、活性成分が媒体外へ移行しないように活性成分を媒体中に保持させることにある。
【0008】
本発明者は、粉末製造プロセスの下流位置に設けたグラフト化プロセスで、粉末粒子、特にポリアミドまたはコポリアミドの粒子を上記媒体と相溶化させることができるということを見い出した。この相溶性では少なくとも二官能性のグラフト鎖を介して粉末粒子をグラフトするので、後で粉末粒子が添加される媒体に対して粉末粒子を反応性または相溶化させることができる。
【0009】
例えば親水性媒体の場合、親水性官能基を有するグラフト鎖を介してポリアミドまたはコポリアミド粒子をグラフトすることで粒子に親水性を付与し、媒体中への粒子の分散を容易にすることができる。
本発明のグラフト化による粉末の官能化はポリマー粉末、特にポリアミドまたはコポリアミド粉末の表面を直接改質するのに利用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の対象は、下記の(a)と(b)の段階を有することを特徴とする表面がグラフト化された粉末粒子の製造方法にある:
(a) ポリアミド(PA)、コポリアミド(CoPA)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリオレフィン、ポリエステルまたはフルオロカーボン樹脂の粉末粒子を、少なくとも一種の官能化グラフトモノマーと混合する段階、
(b)段階(a)で得られた官能化グラフトモノマーで含浸された粉末粒子に光照射(γ線)または電子線(β線)を0.5〜15Mradの照射量で照射する段階。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好ましい一つの実施例では、段階(b)の後に、粉末にグラフトされなかったグラフトモノマーの全体または一部を除去する段階(c)を実行する。
本発明の好ましい一つの実施例では、粉末粒子がポリアミド、コポリアミドまたはポリエーテルブロックアミド(PEBA)からなる。
【0012】
本発明の好ましい一つの実施例では、段階(a)で導入される官能化グラフトモノマーが、グラフトされる粒子と反応可能な少なくとも一つの不飽和エチレン基を有する少なくとも一種の第1官能基と、共有結合または物理的に結合した反応性のある少なくとも一種の第2官能基とを有する二官能性グラフトモノマーである。
【0013】
本発明の好ましい一つの実施例では、上記段階(c)の後に、二官能性グラフトモノマーの第2官能基と化学反応可能な単官能性の少なくとも一種の第2グラフト鎖を導入する段階(d)を行う。
【0014】
本発明の好ましい一つの実施例では、段階(a)で導入される二官能性グラフトモノマーの反応性のある第2官能基がカルボン酸基およびその誘導体、エステル、酸無水物、酸塩化物、アミド、ケトン、イソシアネート、オキサゾリン(oxazoline)、エポキシ、アミンまたは水酸化物の中から選択される。
【0015】
本発明の好ましい一つの実施例では、段階(a)で導入される二官能性グラフトモノマーが無水マレイン酸または無水メタアクリル酸である。
【0016】
本発明の他の対象は、少なくとも一つの反応官能基によって官能化された少なくとも一つのグラフトモノマーが表面にグラフトされたことを特徴とするポリアミド子(PA)、コポリアミド(CoPA)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリオレフィン、ポリエステルまたはフルオロカーボン樹脂の粉末粒子にある。
【0017】
本発明のさらに他の対象は、少なくとも一つの互いに異なる反応性官能基によって官能化された少なくとも2つのグラフトモノマーが表面にグラフトされたことを特徴とするポリアミド(PA)、コポリアミド(CoPA)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリオレフィン、ポリエステルまたはフルオロカーボン樹脂の粉末粒子にある。
【0018】
本発明の好ましい一つの実施例では、官能化グラフトモノマーがグラフトされる粒子と反応可能な少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を有する少なくとも一種の第1官能基と、共有結合または物理的に結合した反応性のある少なくとも一種の第2官能基とを有する少なくとも二官能化グラフトモノマーである。
【0019】
本発明の好ましい一つの実施例では、少なくとも二官能化グラフトモノマーが少なくとも単官能の第2グラフト鎖に結合され、この第2グラフト鎖は共有結合または物理的な結合で二官能化グラフトモノマーの第2官能基と反応可能な官能基を有する。
【0020】
本発明の好ましい一つの実施例では、ポリアミドの粉末粒子がPA6、PA6−6、PA11およびPA12から選択される。
本発明の粉末粒子の好ましい一つの実施例では、官能化グラフトモノマーの反応性官能基がカルボン酸基およびその誘導体、エステル、酸無水物、酸塩化物、アミド、ケトン、イソシアネート、エポキシ、アミンまたは水酸化物の中から選択される。
本発明の粉末粒子の好ましい一つの実施例では、官能化グラフトモノマーが生物致死性および/またはバイオスタティスティック(biostatic)性を有する少なくとも一つの反応性官能基によって官能化されている。
【0021】
本発明のさらに他の対象は、上記粉末粒子を含む組成物にある。
本発明はさらに、上記粉末粒子の基材、例えば紙、セルロース、ケラチン質の皮膚、毛、爪および体毛上へのポリマー、特にPA、CoPAまたはPEBAの粉末粒子の接着改善での使用に関するものである。
本発明の好ましい一つの実施例では、上記粉末粒子は化粧品組成物の滑り効果(effet glissant)および/または絹のような効果(effet soyeux)の改善に使用される。
本発明の好ましい一つの実施例では、上記粉末粒子は桃色スキン効果(effet peau de peche)を良くするために使用される。
【0022】
本発明の好ましい一つの実施例では、少なくとも単官能の第2グラフト鎖が紫外線防止剤、フリーラジカル防止剤、水和剤、着色剤、日焼け剤(auto-brinzant)、ナノパーティクル(粒子の基本直径≦100ナノメートル)の中から選択され、この第2グラフト鎖は少なくとも二官能化グラフトモノマーの第2官能基との相溶化処理によって表面を被っている。
【0023】
[図1]は二官能化した第1のグラフト鎖を介して表面にグラフトされた粒子(P)の断面図。
[図2]は粒子(P)にはさらに第2のグラフト鎖がグラフトしている図1と同じ粒子の断面図。ここではグラフト鎖間反応によって、図1の粒子(P)にグラフトした第1のグラフト鎖の残っているフリーな官能基に第2のグラフト鎖の官能基が反応して図2のグラフト鎖が形成される。
[図3]は未変性粉末(対照)と変性した2つの粉末での接触角の経時変化を示すグラフ。
[図4]は未変性粉末(対照)と変性した2つの粉末で、堆積した水滴の体積の経時変化を示すグラフ。
【0024】
官能化グラフトモノマーは下記の少なくとも二つの官能基を有する分子である:
(1)少なくとも一つのエチレン性不飽和基、例えばグラフトされる粒子と化学反応可能な二重結合を有する少なくとも一種の第1官能基。
(2)後で粒子が添加される媒体と相溶化可能、特に媒体と化学反応可能な反応性のある少なくとも一種の第2官能基。
少なくとも二官能性または二官能化された分子またはグラフト鎖といえる。
【0025】
上記の第2官能基は、本発明のグラフトされた粒子が添加される媒体の官能基である。従って、この第2官能基は油相の媒体の場合には親油性であり、水相の媒体の場合には親水性である。
本発明で油相とは周囲温度(Ta=20〜25℃)で液体であるオイル、有機溶剤を意味し、水相とは水または水に可溶なモノまたはポリヒドロキシルアルコール(メタノール、N−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、グリセリン)を含む水を意味する。
【0026】
また、粒子に両親媒性(amphiphili)を与えるために親油性と親水性とを組み合わせたグラフト鎖を使用することもできる。そうした粒子はエマルション(水の連続相中に脂肪質の相が分散したもの、または、その逆に脂肪質の連続相中に水溶性相が分散したもの)で使用でき、これらの複合系での安定性に寄与する。
【0027】
本発明の親油性の第2官能基としては炭化水素鎖(炭素原数が32〜20)、珪素化鎖(Si−O基が2〜20)およびフッ素化および/またはフッ素珪素化鎖を挙げることができる。
本発明の親水性の第2官能基としてはアミン、カルボニル、シアノ、オキサゾール、エポキシ、ヒドロキシルおよびこれらを組み合わせた官能基を挙げることができる。
【0028】
反応性官能基の例としてはカルボン酸とその誘導体、エステル、酸無水物、酸塩化物、アミド、ケトン、イソシアネート、オキサゾリン誘導体、エポキシ、アミンまたは水酸化物を挙げることができる。
不飽和カルボン酸の例は炭素原子が2〜20のもので、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸が挙げられる。これらの酸の誘導体の例としては酸無水物、エステル誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体および不飽和カルボン酸の金属塩(例えばアルカリ金属塩)が挙げられる。さらに、ウンデシレン酸を挙げることもできる。
【0029】
特に好ましいグラフトモノマーは炭素原子数が4〜10の不飽和ジカルボン酸、特にそれらの酸無水物と、その官能性誘導体である。
【0030】
グラフトモノマーは例えば下記のもので構成することができる:マイレン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリル琥珀酸、シクロヘキス−エン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−シクロヘキス-4-エン-1,2-ジカルボン酸、ビシクロ(2,2,1)-ヘプト-5-エン−2,3−ジカルボン酸、X-メチルビシクロ(2,2,1−ヘプト-5-エン−2,3−ジカルボン酸、無水マイレン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリル琥珀酸、無水シクロヘキス-4-エン-1,2−ジカルボン酸、無水4-メチレンシクロヘキス-4-エン-1,2−ジカルボン酸、無水ビシクロ(2,2,1)ヘプト-5-エン-2,3−ジカルボン酸および無水X−メチルビシクロ(2,2,1)-ヘプト-5-エン−2,2−ジカルボン酸。
【0031】
その他のグラフトモノマーの例としては下記が挙げられる:
(1)不飽和カルボン酸のC1〜C22アルキルエステル、グリシジルエステル誘導体またはフッ素化エステル誘導体、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ノニル、メタアクリル酸ノニル、アクリル酸−2-エチルヘキシル、メタアクリル酸−2-エチルヘキシル、アクリル酸グリシジル、メタアクリル酸グリシジル、モノエチルマレート、ジエチルマレート、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、モノメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、メタクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸ヘキサフルオロエチル(またはAC8n)、
【0032】
(2)不飽和カルボン酸のアミド誘導体、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、マイレン酸モノアミド、マイレン酸ジアミド、マイレン酸N−モノエチルアミド、マイレン酸N、N−ジエチルアミド、マイレン酸N−モノブチルアミド、マイレン酸N、N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸N−モノエチルアミド、フマル酸N、N−ジエチルアミド、フマル酸N−モノブチルアミドおよびフマル酸N,N−ジブチルアミド、
【0033】
(3)不飽和カルボン酸のイミド誘導体、例えばマレイミド、N−ブチルマレイミドおよびN−フェニルマレイミド、
(4)不飽和カルボン酸の金属塩、例えばナトリームアクリレート、ナトリームメタクリレート、カリウムアクリレートおよびカリウムメタクリレート。
(5)不飽和基を有するアルコキシシラン、例えば式:CH2=CH−Si−(OR)3のビニルトリアルコキシシラン(ここで、Rはアルキルまたはアルコキシル基を表す)または((メタ)クリルオキシアルキル)トリアルコキシシラン。
【0034】
さらに、下記のものも挙げられる:
(6)カルボン酸のポリアリルエステル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルトリメリテートのエステル、
(7)多価アルコールのアクリル酸およびメタアクリル酸エステル:エチレングリコールジメタクリレート、(1,3)−トリメタクリレート-2-エチル-(ヒドロキシメチル)−プロパンジオール、
(8)アミドおよびアクリルアミド:N-アクリルアミド、N、N-メチレンビス−アクリルアミド。
無水マイレン酸または無水メタアクリル酸を用いるのが好ましい。
【0035】
本発明の粉末粒子のグラフト化は1段階または2段階のグラフト化で行なうことができる。本発明で「官能化されたグラフト化粉末」または「官能化された粉末」の2つの用語は同じものを意味する。
ポリマー粉末粒子、特にPAまたはCoPAの粉末粒子は1段階のグラフトプロセスでグラフト化できる。この場合には、これらの粉末粒子の表面に先ず最初に第1官能基によって少なくとも2官能性の分子をグラフトする。第2官能基はフリーのままである。この第2官能基はその化学特性に応じて共有結合または媒体(例えば、被覆剤)に対する物理的結合を形成する。グラフトされた粉末粒子は上記媒体中にその後に加えられる。
【0036】
本発明方法すなわちグラフト化プロセスは以下の通りである:
段階(a)
官能化グラフトモノマーを溶剤中に溶かし、好ましくは揮発成分を真空蒸発またはその他の任意の方法で相対的に低温度(好ましくは50℃以下)で除去する。
使用する溶剤は例えばエタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、水にすることができる。
次に、得られた溶液を粉末上に一滴づつ滴下し、攪拌を維持して官能化グラフト化モノマーを粉末全体に均一に分散させる。その後、適度な温度、真空下で溶剤を完全にまたは部分的に蒸発させる。
【0037】
段階(b)
官能化グラフトモノマーが含浸された粉末は、容器(密封容器が好ましい)中に収容し、好ましくの空気の非存在下に、1〜15Mradの線量で光(γ線)または電子線(β線)を照射する。光を照射するのが好ましい。
【0038】
段階c)
必要な場合は、上記段階中に粉末上にグラフトされなかった官能化グラフトモノマーの全部または一部を除去するために、仕上げとして粉末を洗うこともできる。
【0039】
上記の粒子の官能化では希望する官能性をグラフトすることができないこともある。従って、2段階のグラフトプロセスを使用する必要がある。その場合には先ず最初の段階(i)でポリマー粒子、特にPAまたはCoPAの分子上に少なくとも2官能性の第1グラフト鎖をグラフトする。この2官能性の第1グラフト鎖は粒子上にグラフト鎖をグラフトするために使われる少なくとも一つの第1官能基と、フリーな少なくとも一つの第2官能基とを有する。次ぎの段階(ii)で第1グラフト鎖の残ったフリーな官能基を少なくとも単官能のグラフト鎖と反応させる。この第2のグラフト鎖は第1グラフト鎖の残ったフリーな官能基と反応する少なくとも一つの官能基を有する分子である。この第2のグラフト鎖は粒子の後の用途で望まれる性質を有している。
【0040】
上記の段階(a)、(b)または(a)(b)および(c)の後に、少なくとも単官能の第2グラフトモノマーを導する段階(d)を実行することができる。段階(a)で導入されるグラフトモノマー自体は少なくとも2官能化したものである。第1グラフト鎖上への第2グラフト鎖のグラフト方法は有機化学の当業者に公知の反応で行なうことができる。
【0041】
グラフトされる粉末としてはポリアミド粉末(PA)、コポリアミド(CoPA)、特にブロックCoPAまたはPEBA、特にコポリエステルアミド、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエステルまたはフルオロカーボン樹脂が挙げられる。ポリアミド粉末またはコポリアミドにグラフトするのが好ましい。
【0042】
ポリアミドとは下記の縮合物を意味する:
(1)一つまたは複数のアミノ酸、例えばアミノカプロン酸、アミノ-7-ヘプタン酸、アミノ−11-ウンデカン酸およびアミノ-2-ドデカン酸、
(2)一つまたは複数のラクタム、例えばカプロラクタム、エナントラクタムおよびラウリルラクタム、
(3)一つまたは複数のジアミンの塩または混合物、例えばヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、ビス-p−アミノシクロヘキシルメタンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンと二酸、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、コルク酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸。
ポリアミドの例としてはPA6、PA6−6、PA11およびPA12を挙げることができる。
【0043】
コポリアミド粉末としては少なくとも2つのα、ω−アミノカルボン酸または2つのラクタムまたはラクタムとα、ω−アミノカルボン酸との縮合で生じるコポリアミドを挙げることができる。また、少なくとも一種のα、ω−アミノカルボン酸(またはラクタム)、少なくとも一種のジアミンおよび少なくとも一種のジカルボン酸の縮合で生じるコポリアミドも挙げることができる。さらに、脂肪族ジアミンと、脂肪族ジカルボン酸および上記とは異なる脂肪族ジアミンおよび上記とは異なる脂肪族の二酸から選択される少なくとも一種の他のモノマーとの縮合で生じるコポリアミドを挙げることもできる。
【0044】
ラクタムの例としては主環上に3〜12の炭素原子を有するものが挙げられ、置換されていてもよい。例としてはβ、β−ジメチルプロピオラクタム、α、α−ジメチルプロピオラクタム、アミロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタムおよびラウリルラクタムが挙げられる。
α、ω−アミノカルボン酸の例としてはアミノウンデカン酸およびアミノドデカン酸を挙げることができる。
ジカルボン酸の例としては炭素原子が少なくとも4つのジカルボン酸:アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、ブタン二酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、テレフタル酸、スルホイソフタル酸のナトリウムまたはリチウム塩、二量体の含有量が少なくとも98%であるダイマー化された脂肪酸(水素化されているのが好ましい)およびドデカンジオン酸HOOC−(CH210−COOHを挙げることができる。
【0045】
ジアミンの例は炭素原子が6〜12の脂肪酸ジアミンで、アリールおよび/または飽和環式化合物でもよい。その例としてはヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、テトラメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,5−ジアミノヘキサン、2,2,4-トリメチル-1,6-ジアミノ−ヘキサン、ポリオールジアミン、イソホロンジアミン(IPD)、メチルペンタメチレンジアミン(MPDM)、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)がある。
【0046】
コポリアミドの例としてはカプロラクタムとラウリルラクタムのコポリマー(PA6/12)、カプロラクタム、アジピン酸およびヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/6−6)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、アジピン酸およびヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/12/6−6)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、アミノ11ウンデカン酸、アゼライン酸およびヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/6−9/11/12)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、アミノ11ウンデカン酸、アジピン酸およびヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/6−6/11/12)、ラウリルラクタム、アゼライン酸およびヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6−9/12)が挙げられる。
【0047】
ポリエーテルロックアミド(PEBA)はポリアミドブロック(PAブロック)とポリエーテルブロック(PEブロック)とを有する下記一般式(I)のコポリマーである:
−[PA X.Y−PE]N (I)
(ここで、
PA X.Yは炭素原子数がXの直鎖脂肪族ジアミンと炭素原子数がYのジカルボン酸との重縮合で得られるポリアミドブロックを表し、
PEはポリエーテルブロックを表し、
NはPA X.Y単位の数を表し、
【0048】
さらに、下記の特徴を有する:
(1)Xは少なくとも2であり、
(2)Yは少なくとも2であり、
(3)PEブロックは下記のいずれかである:
(i) ジオールPEブロック(すなわち、末端水酸基)。カルボン酸のブロックPa X.YとジオールPEブロックとの間の結合がエステル結合。ポリエーテルエステルアミドとよばれる。
(ii) 末端がジNH2のPEブロック(すなわちジアミン)。この場合はブロックPA X.Yの末端がカルボン酸で、末端カルボン酸のブロックPA X.YとジアミンPEブロックとの間の結合はアミド結合。
【0049】
Xは6〜10、Yは10〜20であるのが好ましい(両端を含む)。
PA X.Yポリアミドブロックはポリアミド6.10、ポリアミド6.12、ポリアミド6.14、ポリアミド6.18、ポリアミド10.10およびPA10.12のブロックの中から選択するのが好ましい。
ポリエーテルブロックは少なくとも一つのポリアルキレンエーテルポリオール、特に、ポリアルキレンエーテルジオールの中から選択するのが好ましい。このポリアルキレンエーテルジオールはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリトリメチレングリコール(PO3G)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)およびこれらの混合物が好ましい。
【0050】
また、直径が1〜200μmで、比表面積が1〜25m2/gである下記モル比率のコポリエステルアミドの粉末も使用できる(全体で100重量%):
ラクタム 1〜98%、
ラクトン 1〜98%、
任意成分としてのその他のラクタム 1〜98%。
【0051】
ラクタムの例としては主環の炭素原子が3〜12のものが使用でき、置換されていてもよい。例としてはβ、β−ジメチルプロピオラクタム、α、α−ジメチルプロピオラクタム、アミロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタムおよびラウリルラクタムが挙げられる。カプロラクタムとラウリルラクタムとを使用するのが好ましい。
ラクトンの例としてはカプロラクトン、バレロラクトンおよびブチロラクトンが挙げられる。カプロラクトンを使用するのが好ましい。
【0052】
上記のコポリエステルアミド粉末のアニオン重合による製造方法は下記文献に基されている。
【特許文献1】欧州特許第EP1172396号公報
【0053】
ポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を使用することもできる。その例としては脂肪族ポリアミドと半芳香族ポリアミドとの混合物および脂肪族ポリアミドと脂環式ポリアミドとの混合物が挙げられる。
【0054】
本発明の粉末はアルコールへ溶解し沈殿させることで任意の手段で製造できる。好ましい方法は溶剤中で重合する方法である。この場合、粉末はこの溶剤に不溶である。この方法に関しては下記文献に基されている。
【特許文献2】欧州特許第EP192515号公報
【特許文献3】欧州特許第EP303530号公報
【0055】
フルオロカーボン樹脂としてはPTFE(テトラフルオロエチレン)、FEP(エチレン−フッ化プロピレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、ETFE(エチレンとテトラフルオロエチレンとの改質コポリマー)およびECTFE(エチレン/クロロトリフルオロエチレン)が挙げられる。PTFE、FEPおよびPFAは樹脂、フィルムおよびフルオロカーボン製品の全体が一般にTeflon(デュポン社の登録商標)とよばれている。SHAMROCK社のPTFE粉末(登録商標、SSTシリーズ)を例として挙げることができる。
【0056】
ポリオレフィン粉末はポリオレフィン(例えばポリエチレンおよびポリプロピレン)の粉末と、混合粉末PTFE/ポリオレフィンである。例としては特に、SHAMROCK社(登録商標S-シリーズ)またはLUBRIZOL社のポリエチレン粉末、SHAMROCK社の混合粉末PTFE/ポリエチレン(登録商標 FluoroSLIP)が挙げられる。
【0057】
ポリエステル粉末は単官能または多官能の酸、酸無水物、ポリオール、さらにはエステルの縮合で有られる。その例としては特にDSM社のポリエステル粉末(登録商標 URALAC)(Dupont)を挙げることができる。
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0058】
以下の実施例では、紫外線架橋性のコーティング材との相溶性を良くする無水メタアクリル酸で官能化されたPA粉末粒子の製造方法を説明する。
テストで使用した粉末P1はPA12の粉末で、この粉末は平均粒径が約10μm±2μmで、<5μm以下の微粉末の比率が5%以下で、20μmを超える大きな粒子の比率が2%以下で、比表面積は4m2/g以下で、見かけ密度は0.20−0.35g/cm3で、体積重量は1.03g/cm3で、溶融点は175−179℃である。
【0059】
実施例1
0.2重量%のシクロヘキサンを含む50gの無水メタアクリル酸の溶液を調製する。この溶液で99.9gのポリアミドP1粉末を含浸する。その後、真空乾燥してシクロヘキサンを除去することで、グラフトモノマーとして0.1重量%の無水メタアクリル酸を含む粉末が得られる。
グラフトは上記の方法で実行した。すなわち、窒素雰囲気下で官能化グラフトモノマーが含浸された粉末を密封容器中に入れ、30kGrayの線量で光(γ線)を照射した(1Mrad=10kGray)。グラフトされたPAの粉末粒子を得た。
【0060】
実施例2
0.8重量%のシクロヘキサンを含む50gの無水メタアクリル酸の溶液を調製する。この溶液で99.6gのポリアミドP1粉末を含浸する。その後、真空乾燥してシクロヘキサンを除去することで、グラフトモノマーとして0.4重量%の無水メタアクリル酸を含む粉末が得られる。
実施例1と同じ方法でグラフト化を行う。すなわち、窒素雰囲気下で官能化グラフトモノマーが含浸された粉末を密封容器中に入れ、50kGrayの線量で光(γ線)を照射した。グラフトされたPAの粉末粒子を得た。
【0061】
実施例1および実施例2で得られたグラフト化された粉末粒子を紫外線架橋性ワニスの添加剤として用いた場合のテスト結果を、出発粉末P1と比較して以下に示す。
テストでは[表1]に記載の配合を有するワニス中に各粉末粒子を2重量%の比率で分散させた。
【0062】
【表1】

【0063】
ワニスを面上に24μmの厚さに塗布し、紫外線トンネル中で架橋した。その後、タイプCS17の砥石を備えた磨耗計(abrasimeter TABER)で500gの荷重下でISO 9352規格に従って耐摩耗性をテストした。100サイクル毎に各コーティング(皮膜)の砥石による摩擦で生じる重量ロスを測定した。
[表2]は添加剤なしのワニス(対照1)と下記の添加剤を含むワニスでの100サイクル毎の重量ロスの平均値をまとめたものである:
粉末P1(対照2)
段階(a)のみを経たモノマーを添加した粉末P1(対照3)
上記プロセスすなわち段階(a)と(b)を経て官能化、グラフト化された粉末P1(実施例1)
【0064】
【表2】

【0065】
本発明の実施例1と対照2、3とを比較することで摩耗に対してワニスの物理的品質が本発明では明らかに改良していることが分かる。すなわち、100回の磨耗当りの平均値重量ロスを2で割ることで材料の耐摩耗性に大きな改良があることが分かる。
[表3]は、添加剤を含まないワニス(対照1)と下記の添加剤を含むワニスでの、消耗して基材に届くまでに必要なサイクル数を示したものである:
粉末P1(対照2)
上記プロセスすなわち段階(a)と(b)を経て官能化、グラフト化された粉末P1(実施例2)
【0066】
【表3】

【0067】
対照2と本発明の実施例2との比較で本発明によって摩耗に対してワニスの物理的品質が明らかに改良することが分かる。
【0068】
実施例3はPA粉末を疎水性に改質する実施例である。
このテストでは上記のP1の粉末(すなわち、平均粒径が約10μm±2μmで、<5μm以下の微粉末の比率が5%以下で、20μmを超える大きな粒子の比率が2%以下で、比表面積は4m2/g以下で、見かけ密度は0.20−0.35g/cm3で、体積重量は1.03g/cm3で、溶融点は175−179℃であるPA12の粉末)を使用し、さらに、グラフトモノマーとしてモル質量が5000g/モルのポリエチレングリコールメタクリレートを3重量%(実施例3)および5重量%(実施例4)の量で使用した。グラフト操作は上記の方法で実行した。使用した溶剤は水である。実施例3および実施例4では上記の段階(a)(b)および(c)を実行した。
【0069】
粉末の疎水性の改質度合をテストするために、粉末への水滴の接触角度の経時変化と、粉末上の水滴容積の経時変化とを測定した。そのために粉末をプレス機械で冷間圧縮して直径約1cmの円板にした。接触角度はDigidrop DGD Fast60ルで測定した。
【0070】
[図3]および[図4]のグラフ1および2から分かるように、改質した粉末は親水性の挙動をし、水滴の接触角度は2つの実施例で低下していくことが観測される。さらに、改質によって水の吸収性が未改質の粉末に比べて極めて大きく向上することが分かる(実施例3、4)(未改質粉末では吸収量が変化しない)。
【0071】
本発明によってグラフトされた粒子の一つの利点は任意のタイプの粒子を使用でき、また、任意のタイプの媒体中で使用できる点にある。従って、化粧品、医薬、塗料、コーティング材、電子部品の分野で、製品の範囲が広くなり、製造・使用が容易になる。
【0072】
本発明に従ってグラフトされた粒子は下記の分野で特に有用である。
(1)コーティング材と物理的および化学的に相溶化するコーティング材(例えばワニス、塗料)の添加剤。官能化された第1グラフト鎖を介して粉末粒子の表面と反応する反応部位が作られ、第1グラフト鎖は粉末をコーティング材中に係止させる。さらに、粉末粒子の表面にグラフトした反応性分子の割合が多い場合には粉末とコーティング材との間に相溶化層ができる場合もある。
本発明の官能化された粉末は耐摩耗性の改善および被覆材の機械的強度向上のために利用できる。
【0073】
(2)熱硬化性材料の機械特性を改善するための添加剤。
(3)溶融し易い基材のコーティング材。この場合には、溶融前にグラフトしていないPA、CoPA、ポリオレフィン、コポリエステルアミド、フッ素化重合体、例えばPVDFまたはテフロン(登録商標)の粉末で希釈することができる。
(4)ポリマー、特にPAまたはCoPAの粉末粒子の各種基材への接着性の改善のため。カチオン性に官能化することで紙、セルロース、皮膚のケラチン質物質、毛、唇、爪、体毛のような基材表面への物理的接着性を改善することができる。
【0074】
(5)化粧品の用途では、表面の官能性を利用して粉末の触覚を改善し、表面の滑り効果を改善し、絹のような効果を与える効果を改善し、「桃色の頬(peau de peche)」または「ソフトタッチ」効果を与える。また、上記官能性を使用することで親油性配合物、親水性配合物またはエマルションへの粉末の導入を容易にすることができる。さらに、粒子に両親媒性(amphiphilic)を与えるために官能化を用いて、粉末が導入されるエマルションの安定化効果を得ることができる。
(6)生物致死剤(微生物の殺菌)またはバイオスタティック(biostatic)(微生物の増殖の阻止または制限)での応用。ポリマー粒子、特にポリアミドまたはコポリアミドが添加される媒体に生物致死機能および/またはバイオスタティック機能を与えることができる。すなわち、第四アンモニウム、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、ZnまたはZn/Agの錯体のような生物致死性および/またはバイオスタティックな官能基を有するグラフト鎖によってグラフト化することができる。
【0075】
(7)活性成分(化粧品、生物致死剤、バイオスタティック、医薬・・・)すなわち、粒子と分離できず、従って単体では媒体中に移行不可能な活性成分の担体としての用途。化粧品の用途では刺激性物質、例えば紫外線防止剤のような活性成分の皮膚のリピド層中への通過を制限し、粉末粒子のグラフト化で表面を相溶化処理した抗フリーラジカル剤、水和剤、着色剤、日焼けクリーム(auto-bronznats)、ナノパーティクル(基本粒子の直径が100nm以下)のような活性成分を皮膚表面上に保持させるのを助ける。処理したナノパーティクルは第1グラフト鎖の第2の官能基と化学反応するのが好ましい。グラフトされた粒子は皮膚のリピド層の表面上に残って活性成分を支持する。本発明でグラフトされる粒子は2段階でグラフトされ、第2グラフト鎖が活性成分であるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】二官能化した第1のグラフト鎖を介して表面にグラフトされた粒子(P)の横断面図。
【図2】粒子(P)にさらに第2のグラフト鎖がグラフトしている図1と同じ粒子の横断面図。
【図3】未変性粉末(対照)と変性した2つの粉末での接触角の経時変化を示すグラフ。
【図4】未変性粉末(対照)と変性した2つの粉末で、堆積した水滴の体積の経時変化を示すグラフ。
【符号の説明】
【0077】
P:粉末粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)と(b)の段階を有することを特徴とする、表面にグラフト鎖を有する粉末粒子の製造方法:
(a) ポリアミド(PA)、コポリアミド(CoPA)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリオレフィン、ポリエステルまたはフルオロカーボン樹脂の粉末粒子を、少なくとも一種の官能化グラフトモノマーと混合する段階、
(b) 段階(a)で得られた官能化グラフトモノマーで含浸された粉末粒子に光照射(γ線)または電子線(β線)を0.5〜15Mradの照射量で照射する段階。
【請求項2】
段階(b)の後に、粉末上にグラフトされなかった官能化グラフトモノマーの全体または一部を除去する段階(c)を実行する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粉末粒子がポリアミド、コポリアミドまたはポリエーテルブロックアミド(PEBA)からなる請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
段階(a)で導入される官能化グラフトモノマーが二官能性グラフトモノマーであり、この二官能性グラフトモノマーがグラフトされる粒子と反応可能な少なくとも一つの不飽和エチレン基を有する少なくとも一種の第1官能基と、共有結合または物理的に結合する反応性のある少なくとも一種の第2官能基とを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
上記段階(c)の後に、二官能性グラフトモノマーの第2官能基と化学反応可能な単官能性の少なくとも一種の第2のグラフト鎖を導入する段階(d)を行う、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
段階(a)で導入される二官能性グラフトモノマーの反応性のある第2官能基がカルボン酸基およびその誘導体、エステル、酸無水物、酸塩化物、アミド、ケトン、イソシアネート、オキサゾリン、エポキシ、アミンまたは水酸化物の中から選択される請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
段階(a)で導入される二官能性グラフトモノマーが無水マレイン酸または無水メタアクリル酸である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも一種の反応性官能基によって官能化された少なくとも一種のグラフトモノマーが表面上にグラフトされていることを特徴とするポリアミド(PA)、コポリアミド(CoPA)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリオレフィン、ポリエステルまたはフルオロカーボン樹脂の粉末粒子。
【請求項9】
各々が少なくとも一つの官能基を有する反応性が互いに異なる少なくとも2種の官能化されたモノマーがグラフトされていることを特徴とするポリアミド(PA)、コポリアミド(CoPA)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリオレフィン、ポリエステルまたはフルオロカーボン樹脂の粉末粒子。
【請求項10】
官能化グラフトモノマーが、グラフトされる粒子と反応可能な少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を有する少なくとも一種の第1官能基と共有結合または物理的に結合する反応性のある少なくとも一種の第2官能基とを有する少なくとも二官能性のグラフトモノマーである請求項8または9に記載の粉末粒子。
【請求項11】
少なくとも二官能化されたグラフトモノマーが少なくとも単官能の第2グラフト鎖に結合されて、この第2グラフト鎖は共有結合または物理的結合を介して二官能性グラフトモノマーの第2の官能基と反応可能な官能基を有する請求項10に記載の粉末粒子。
【請求項12】
ポリアミドの粉末粒子がPA6、PA6−6、PA11およびPA12の中から選択される8または9に記載の粉末粒子。
【請求項13】
官能化グラフトモノマーの反応性官能基がカルボン酸基およびその誘導体、エステル、酸無水物、酸塩化物、アミド、ケトン、イソシアネート、オキサゾリン、エポキシ、アミンまたは水酸化物の中から選択される請求項8または9に記載の粉末粒子。
【請求項14】
官能化グラフトモノマーが生物致死性および/またはバイオスタティスティク(biostatic)特性を有する少なくと一つの反応性官能基によって官能化されている請求項9に記載の粉末粒子。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の粉末粒子を含む組成物。
【請求項16】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の粉末粒子の、紙、セルロース、皮膚のケラチン質物質、毛、爪および体毛のような基材へのポリマー粒子、特にPA、CoPAまたはPEBAの粒子の接着性改善での使用。
【請求項17】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の粉末粒子の、化粧品での滑り効果(effet glissant)および/または絹状効果(effet soyeux)改善での使用。
【請求項18】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の粉末粒子のスキン効果の改良での使用。
【請求項19】
少なくとも単官能の第2グラフト鎖が紫外線フィルター、フリーラジカル防止剤、水和剤、着色剤、日焼け剤(auto-brinzant)、ナノパーティクル(粒子の基本直径が≦100ナノメートル)の中から選択され、この第2グラフト鎖は少なくとも二官能化グラフトモノマーの第2官能基との相溶化処理によって表面を被っている請求項11に記載の粉末粒子の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−206911(P2006−206911A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20507(P2006−20507)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(591004685)アルケマ (112)
【Fターム(参考)】