説明

うっ血性心不全管理システム

本発明は、患者監視システム、患者監視方法、及びコンピュータプログラムに関する。特に心肺能力を監視するための患者の監視を改善するために、患者監視システム(100)は、患者データを測定するための多数のセンサ(12)へ接続された患者ステーション(10)を有し、多数のセンサ(12)は患者搬送手段及び/又は患者の衣服に組み込まれており、患者ステーションは(10)測定された患者データを解析するよう構成され、且つ、患者ステーション(10)は測定された患者データに基づくフィードバック情報を知識ベースシステム(19)により患者へ提供するよう構成されることを提案される。本発明は、特に家庭の使用のために、CHF監視システムとして働くよう構成された患者監視システム(100)を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者監視システム、患者監視方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
心疾患(例えば、慢性心不全。)は、通常、患者が病院から退院した後でさえ、患者の日々の生活に深刻な影響を与える。著しく低下した身体能力に加えて、患者は、患者を次の深刻な事態から守り、且つ、身体の健康を最大限可能なレベルに維持するために、彼らの健康に有意に影響を及ぼす投薬を受ける。この点に関する大きな要因は、患者の身体内の水分貯留の制御である。これは、利尿薬を適用することによって行われる。他の薬(例えば、ACE抑制剤、βブロッカー、ダイオキシン、抗凝血剤、・・・)は、心房細動又は高血圧のような内在する又は付随する循環器系疾患の治療のために適用されても良い。
【0003】
更に、心疾患を持つ患者の関連するパラメータの監視が病院環境では標準である。例えば、US2004/0111045A1は、単に患者が面に横たわることを可能にすることによって患者が装置へ結合され得るように、例えばベッドのような面に設けられた少なくとも2つの圧電センサを有するセンサ装置を用いて、例えば身体動作、身体位置、呼吸数、及び/又は心拍などのパラメータの患者監視のための装置及び方法を示す。また、家庭で心臓データ又は肺データを測定することが知られる。
【特許文献1】US2004/0111045A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特に心肺能力を監視するための患者の監視を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、患者ステーションを有し、前記患者ステーションは、患者搬送手段及び/又は患者の衣服に組み込まれた、患者データを測定するための多数のセンサへ接続され、前記患者ステーションは、測定された患者データを解析するよう構成され、且つ、前記患者ステーションは、前記測定された患者データに基づくフィードバック情報を知識ベースシステムにより前記患者へ提供するよう構成される患者監視システムによって、本発明に従って達成される。
【0006】
本発明の目的は、また、患者搬送手段及び/又は患者の衣服に組み込まれ、患者ステーションへ接続される多数のセンサによって患者データを測定するステップと、前記患者ステーションによって、測定された患者データを解析するステップと、前記測定された患者データに基づくフィードバック情報を、知識ベースシステムを用いる前記患者ステーションによって提供するステップとを有する患者監視方法によっても達成される。
【0007】
本発明の目的は、また、当該コンピュータプログラムがコンピュータで実行される場合に、患者搬送手段及び/又は患者の衣服に組み込まれ、患者ステーションへ接続される多数のセンサによって測定された患者データを解析するコンピュータ命令を有し、前記測定された患者データに基づくフィードバック情報を、知識ベースシステムによって前記患者ステーションから前記患者へ提供するコンピュータ命令を更に有するコンピュータプログラムによっても達成される。従って、本発明に従う必要な技術的効果は、本発明に従うコンピュータプログラムの命令を基に実現され得る。このようなコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのような媒体に記憶されても良く、あるいは、それは、インターネット又はその他コンピュータネットワークにより利用可能にされても良い。実行される前に、当該コンピュータプログラムはコンピュータにロードされる。即ち、当該コンピュータプログラムは、例えばCD−ROMプレーヤーによって媒体から、又はインターネットから読み出され、コンピュータ内のメモリに格納される。コンピュータは、とりわけ、中央演算処理ユニット(CPU)、バスシステム、例えばRAM又はROMなどのメモリ手段、例えばフロッピー(登録商標)ディスク又はハードディスクユニットなどの記憶手段、及び入出力ユニットを有する。
【0008】
本発明の基本的な考えは、患者(例えば、患者の心肺能力。)の監視に加えて、更に、測定された患者データに基づくフィードバック情報を知識ベースシステムによって患者へ提供することによって患者の病気(例えば、心疾患)を管理することである。これに関連して、本発明の他の利点は、入院中に患者が受けた治療の一部が彼らの家へ持ち込まれることである。CHF(うっ血性心不全)患者の場合に関連するパラメータの連続調査は、再入院の大幅な削減及び患者死亡率の減少をもたらすことが、看護士による看護の研究から知られる。同じ効果は本発明から期待される。言い換えると、本発明は、特に家庭での使用に関し、CHF管理システムとして働くよう構成される患者監視システムを提案する。
【0009】
患者へ提供されるべき情報は、知識ベースシステムによって生成される。用語“知識ベースシステム”は、特別の知識ベース(データベース)にクエリーを行うためのソフトウェアプログラムについて記載する。このようなソフトウェアプログラムについて記載する他の用語は“専門家システム”である。専門家システムは、課題を解決する際の助けとして人の専門的知識の知識ベースを使用する人工知能である。解決する課題の程度は、専門家から得られたデータ及びルールの質に基づく。専門家システムは、ユーザと情報をやり取りして、知識ベース内のルール及びデータを処理するソフトウェア、インターフェースエンジンにより知識ベースを実行することによってその答えを導き出す。例えば、最適な投薬は、最良の医療行為、調査の状態、及び規則が反映されるところの知識ベースシステムによって計算される。望ましくは、知識ベースシステムは、患者ステーション内のコンピュータで実行されるコンピュータプログラムとして実施される。代替的に、知識ベースシステムは、患者ステーションが自立的に接続する遠隔システムとして実施される。
【0010】
本発明のかかる及び他の態様は、従属請求項で定義される以下の実施例を基に更に説明される。
【0011】
患者の最適な看護のための、特に患者の心肺能力の監視の場合に、患者の体重及び心拍の利用可能な再現性のある測定を有することは必須である。更に重要なパラメータは、肺活動、生体インピーダンス、心臓拍出量、又は診断ECGなどである。
【0012】
本発明の好ましい実施例で、例えば、患者の体重を測定するセンサ、及び/又は患者の心拍を測定するセンサ、及び/又は患者の肺活動を測定するセンサ、及び/又は患者の生体インピーダンスを測定するセンサ、及び/又は患者の心臓拍出量を測定するセンサ、及び/又は患者のECG信号を測定するセンサ、及び/又は患者の位置を測定するセンサ、及び/又は患者の水分貯留を測定するセンサなど、多種多様なセンサを使用することが提案される。センサの種類は、患者の状態に関する所望の情報に依存して選択され得る。
【0013】
センサは、患者の衣服及び/又は搬送手段に組み込まれる。本発明に従う搬送手段は、例えば、従来のベッド、病院用ベッド、カウチ、従来の椅子、歯科医用椅子、車いす、(手術)台など、患者が休んだり、あるいは座ったりするための面又はその他装置として定義される。
【0014】
望ましくは、測定される患者データは、無線リンクを介してセンサから患者ステーションへ送られ、ケーブルを用いない、ベッドサイドでの多数のセンサの自由な配置を可能にする。
【0015】
患者ステーションは、フィードバック情報を与えるよう構成され、該フィードバック情報は、望ましくは、投薬の変更、及び/又は、ダイエット若しくはスポーツの推奨、及び/又は、医療専門家との接触を求めるアドバイスを含む。
【0016】
本発明の他の実施例で、患者ステーションは、例えば、(ダイエット又は運動のような)個人の健康管理プランに従う入力を与えることによって、必要に応じて、患者がシステムと情報をやり取りし、且つ、システムを制御することを可能にする。この目的のために、患者ステーションは、望ましくは、例えば、音声入力システム又は、例えばボタンの押下やキーボードの使用などの手動入力システムを用いることによって、直接の患者入力を受け取るよう構成される。このような相互作用が好ましくない場合、患者ステーション及びベッドは、外部トリガー又は患者相互作用を伴わずに、自立的に作動するよう設計される。監視システムとの相互作用は、また、例えば、監視システムに対する入力信号を発生させるベルト又はその他携帯機器などの患者装着型装置のような活動モニタにより実施されても良い。
【0017】
望ましくは、患者ステーションは、例えば、測定の種類及び頻度を制御するために、測定プロセスを制御するよう構成される。この目的のために、患者ステーションは、適切なアルゴリズムにより前記測定された患者データを表示するよう構成される。
【0018】
本発明の更なる他の実施例で、患者ステーションは、例えば、より勝手の良い保守、データ記憶、及び、オンライン訪問その他の特徴を提供するよう、外部装置及び/又は外部ネットワークへ接続可能である。望ましくは、患者データはサーバへ定期的に送られ、病院及び/又はGPは、要求時に、又は、如何なる緊急事態においても、必要なデータを供給される。患者へ与えられる投薬の如何なる変更又は他のフィードバックも、例えば法的規制によって、要求に応じて、GP又はその他種類の適切な医療サービスを伴うオンライン相談に含まれうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の上記及び他の態様は、以下の実施例及び添付の図面を参照して、一例として、以下で詳細に記載される。
【0020】
患者監視システム100は、フロントエンド11へ接続された患者ステーション10を有する。フロントエンド11は、患者データを測定する多数のセンサ12を有する。かかる所望のパラメータは、ベッド及び/又は患者の衣服(寝間着)に組み込まれた様々なセンサの組合せによって検出される。本発明に従って、多種多様なセンサ12が使用される。例えば、患者の体重を測定するセンサ(例えば、圧電性若しくは歪みゲージセンサ。)及び/又は患者の心拍を測定するセンサ(例えば、適切な圧電性、生体インピーダンス、若しくは誘導性センサ。)及び/又は患者の肺活動を測定するセンサ及び/又は(例えば、静電容量検知によって)患者の生体インピーダンスを測定するセンサ及び/又は(例えば、誘導検知によって)患者の振動拍出量を測定するセンサ及び/又は(例えば、電極検知によって若しくは容量検知によって)患者のECG信号を測定するセンサ及び/又は患者の位置若しくは活動を測定するセンサ(例えば、適切な圧電性、容量性、若しくは誘導性センサ。)及び/又は患者の水分貯留を測定するセンサ(例えば、適切な生体インピーダンス若しくは誘導性センサ)及び/又は(例えば、容量検知によって)患者の呼吸若しくは呼吸数を測定するセンサがある。全てのセンサ12は、マットレス若しくはベッドシート又はベッドの枠組みに組み込まれても、あるいはベッドに取り付けられても良い。代替的に、それらは患者の衣服に組み込まれても良い。スケールがまた、ベッドの支柱に組み込まれても良い。
【0021】
望ましくは、テキスタイル(textile)センサが、マットレス又はベッドシートへの組み込みのために使用される。洗濯可能なテキスタイル又は泡沫基材がセンサに使用され、800×2000mmの標準的な面積を有する。更に、リード線、電子機器及びケーブルが設けられる。24/7使用に適した布センサが好まれる。
【0022】
ソフトセンサ及び/又はハードセンサが、測定を実行するために使用されても良い。標準的なハードセンサは、ベッド支柱による重量測定に使用される歪みゲージパックである。このようなセンサは、20グラム刻みで且つ0.2%未満の再現精度により、通常50グラムから500キログラムまでの重量測定を実行可能である。他のハードセンサは、誘導測定のために、例えばベッドに組み込まれた、テキスタイルでないコイルである。
【0023】
様々な種類のセンサが使用される。例えば、誘導測定用のソフトセンサ及び圧電センサがある。例えばスリーピング・ガウンのような担体におけるテキスタイル・インダクタ(コイル)は、誘導測定用のセンサとして使用される。インダクタは、送信器及び受信器として機能する。標準的な共振周波数は約10メガヘルツである。電極構造は、例えば、呼吸など、身体の位置及び移動の検知はもちろん、例えば、電気信号の容量性読み出しなど、容量検知のために使用される。
【0024】
導電性の乾いたテキスタイル領域は、生体インピーダンス用のセンサとして使用される。望ましくは、異なった電極の配列は、異なった測定位置を得るために使用される。身体の変化する位置での測定は、直接の皮膚接触を提供するシート状担体にある電極により実行される。
【0025】
他の導電性の乾いたテキスタイル領域はECG電極として使用される。望ましくは、異なった電極の配列は、異なった測定位置を得るために使用される。身体の変化する位置での測定は、直接の皮膚接触を提供するシート状担体にある電極により実行される。このようなECG電極配置の一例は、1の電極としての枕及び他の電極としての足領域であっても良い。
【0026】
センサ配置の第1の例は、胸部の測定を実行するためにベッドシートに組み込まれた多数のソフトECG電極と、生体インピーダンス測定用のソフトセンサとを有する。同じ配置は、場合によりより小さな接点を用いて、患者の脚の辺りで生体インピーダンス及びECG測定のために使用されても良い。最適な接点が“動的に”選択され得るように、(小さな)接点のマトリクスが理想的である。また、より狭い脚領域で1つの大きなECG接点を有することも可能である。
【0027】
センサ配置の第2の例は、やはり、胸部の測定を実行するためにベッドシートに組み込まれた多数のソフトECG電極と、生体インピーダンス測定用のソフトセンサとを有する。更に、患者は、シャツ及びズボンに組み込まれた接点を至るところに備えた寝間着を着る。
【0028】
センサ配置の第3の例は、誘導測定を実行するためにマットレスに組み込まれたハードの非接触センサを有する。
【0029】
センサ配置の第4の例は、カウンタ電極を有して又は有さずに容量測定を実行するセンサを有する。センサは、テキスタイル構造体(例えば、ベッドシート。)の形をしたソフトセンサとして、あるいは、マットレス、ベッドの枠組み、又は、例えばスリーピングパッドのような媒介装置に組み込まれたハードセンサとして実現されても良い。当然、ソフトセンサ及びハードセンサは、測定状況に最も良く合うセンサ配置を得るために、如何なる構造で組み合わされても良い。
【0030】
測定された患者データは、最初のステップで、センサ12からベッドサイドの多チャンネル取得ユニット13へ送られる。取得ユニット13は、フロントヘッド11の一部である。フロントヘッド11は、フロントエンドソフトウェアを実行するよう構成されたコンピュータ14を有する。フロントエンドソフトウェアは、様々な主だった状態(状況)を可能にするようにフロントエンド11を制御する。“スリープ”状態で、フロントエンド11は、零電力消費のために停止される。“スタンバイ”状態で、フロントエンド11は、患者データや、例えば内部制御信号又はステータス信号などの他の信号を受信して、患者ステーション10へ送信する用意がある。“測定準備”状態で、フロントエンド11はいつでも測定可能な状態にあり、“測定”状態で、フロントエンド11は検知データを測定している。“データ送信”状態で、フロントエンド11は、患者ステーション10へデータを送信する。患者ステーション10では、データが蓄えられる。更に“好ましくない信号の検出”のアルゴリズムは、測定された信号品質を試験するためにフロントエンドソフトウェアで実施される。データをかんがみて、それは、データへ“優良”/“不良”ラベルを割り当てる。データが“不良”として分類されるならば、それは廃棄されるべきであり、新たな測定が行われるべきである。
【0031】
センサ12から取得ユニット13へ及びフロントエンド11から患者ステーション10へのデータ転送は、Bluetooth(登録商標)技術及びTCP/IPデータ転送プロトコルを用いる無線データ通信リンク15を介して行われる。望ましくは、リンク15は、10メートルまでの範囲内で双方向通信を可能にする。従って、フロントエンド11及び患者ステーション10は両方とも、上述されたようなデータ転送を実行するよう構成された通信インターフェース16を有する。代替的に、データ通信リンクは、例えばUSB接続により、有線として(部分的に)実施されても良い。
【0032】
上述されたような全ての監視手順の間、エラー処理手順が挿入される。この手順では、全てのエラー処理ステップが記録される。概して、ステップが上手く実行され得ない場合、数回の反復試行が実行される。エラーが修正され得ないならば、患者及び/又はGP及び/又は病院は(例えば、患者ステーション10及び/又はサーバのモニタ上のウィンドウを介して)通知される。
【0033】
患者ステーション10のオペレータは、患者自身又は介護人、例えば配偶者若しくは看護士であっても良い。この人は、簡単のために、以下では患者と称される。患者ステーション10は、患者と患者監視システム100との間のインターフェースである。また、それは、患者が医療専門家と情報をやり取りする場合にも使用され得る。
【0034】
最初の測定手順は以下の通りである。患者がベッドにいない場合、“スリープ”状態がアクティブにされる。測定手順は、患者がベッドに入る場合に始まる。最初に、患者の体重が測定される。測定されたデータは、患者ステーション10によって(例えば、患者ステーションのコンピュータ17で実行される適切なコンピュータプログラムによって)前回の体重測定と比較される。患者が認識される場合、患者の位置が適切なセンサ12によって検出される。患者の位置に依存して、測定シーケンスは開始される、あるいは開始されない。最後に、音響的フィードバックが患者に与えられる。フィードバックは、眠る前に患者の位置を最適化するための、患者に対する命令を含む。眠っている間、関連するパラメータが測定されて、患者ステーション10へ送られる。
【0035】
言い換えると、患者ステーション10は、関連するデータを自動的に記録するよう構成される。患者ステーション10は、ベッドに入る患者(トリガ状態)を検出し、データを記録し、患者がデータを見ることを可能にする。患者は、また、関連するパラメータ(例えば、栄養摂取。)を管理することを認められる。患者ステーション10は測定手順全体を制御する。更に、患者ステーション10は、患者、GP又は病院に注意を喚起するよう自動警告手順を制御する。GP又は病院への及びサーバステーションへのデータ転送は、望まれる場合には、患者ステーション10で自動的に実行される。患者ステーション10は、患者へ直接的に投薬アドバイスを与え、それら及びその承認を患者からサーバ及びGPへ報告するよう構成される。患者ステーション/フロントエンド・エレクトロニクス/ベッドセンサを有するシステムは、(破線によって示される)必要とされる患者、GP又は病院からの相互作用を伴わずに自動的に作動する。これら全ての機能を実施するよう、患者ステーション10は、コンピュータ17と、コンピュータ17で実行されるよう構成された適切なコンピュータプログラムとを有する。
【0036】
患者ステーション10は、PC型装置、ラップトップ、PDA、(セットトップボックスを含む)テレビ受像機などであっても良く、受け取った測定データを記憶するよう構成されたデータ記憶モジュール18を有する。更に、患者ステーション10は、適切な電子部品(増幅器、フィルタ、マルチプレクサなど。)を有する。患者ステーション10は、測定された患者データを解析する解析モジュールを更に有する。コンピュータ17は、本実施形態で解析モジュールとして作動するよう構成される。コンピュータ17は、患者データを解析する適切なコンピュータプログラムを実行するよう構成される。測定された患者データの解析及び/又は測定手順の制御及び/又は投薬アドバイス若しくは患者に対するアドバイスの発生は患者ステーション10によって実行される。患者ステーション10は、これのために知識ベースシステム19を使用する。知識ベースシステム19は知識ベース(図示せず。)を使用する。知識ベースでは、正常範囲が、GP若しくは病院によって提供される各患者に関して、一般的に又は個々に、全ての関連するパラメータを設定される(例えば、安静時の脈拍数は70〜90bpmである。)。欧州心臓学会によって定義される標準値がこの目的のために使用されても良い。監視システム100が正常範囲外の値を測定するならば、フィードバックが患者へ提供され、且つ/あるいは、GP又は病院は通知される。例えば投薬に関するフィードバックの内容は、知識ベースシステム19によって提供される。
【0037】
患者ステーション10は、測定された患者データに基づくフィードバック情報を患者へ与えるよう構成される。更に、患者ステーション10は、必要に応じて、患者がシステム100と情報をやり取りし、且つ/あるいは、システム100を制御することを可能にする。患者ユーザインターフェース20は、この目的のために設けられる。患者ユーザインターフェース20は、タッチスクリーン及び/又はPDA及び/又はラップトップ及び/又はパーソナルコンピュータ及び/又はテレビ受像機を有する。更に、患者ユーザインターフェース20は、例えばスピーカやモニタなどによって、患者へフィードバックを与えるよう構成される。
【0038】
患者ステーション10は、以下の種類のユーザメッセージを提供するように構成される。ユーザメッセージには、最適な測定位置に関する暗示、投薬アドバイス、投薬の注意喚起、GPと連絡を取る助言、警告信号、較正手順のガイダンス、ユーザ/GP入力の要求がある。
【0039】
患者ステーション10は、(標準的な測定ルーチンから離れた)以下の(一部随意の)ユーザ入力を受け入れるよう構成される。ユーザ入力には、較正の間の入力、(確認を伴う)投薬の変更、一定間隔で記入される質問から生ずる入力(自己評価)、GP/病院からの入力がある。
【0040】
患者ステーション10は、サーバ21と、GP/病院ステーション22と、サービスステーション23(技術又は保守ステーション)とを有する外部ネットワークへ接続可能である。患者ステーション10からサーバ21及びGP/病院ステーション22へのデータ転送は、GSMシステム(携帯電話)を用いた通信リンク24を介して行われる。外部装置21、22、23は、イーサネット(登録商標)通信リンク25を用いた(コンピュータ)ネットワークにより互いへ接続される。即ち、外部装置間のデータ転送は、TCP/IPデータ転送プロトコルに基づく。患者ステーション10、サーバ21、及びGP/病院ステーション22は夫々、この目的のためにGSM通信リンク26を有する。更に、サーバ21、GP/病院ステーション22、及びサービスステーション23は夫々、イーサネット(登録商標)通信インターフェース27を有する。
【0041】
患者ステーション10とサーバ21との間の通信は、異なったプロトコル、即ち、“定期データ転送”、“保守データ転送”及び“警告”を有する。日々行われる定期データ転送の間、測定データは、サーバデータベース28への記憶及びバックアップのためにサーバ21へ送られる。データは、診断及び/又は評価及び/又はフィードバックのために手動でトリガーされる場合に、GP/病院ステーション22から及び患者ステーション10からアクセスされ得る。望ましくは技術者によってトリガーされる保守データ転送の間、測定手順及び警告トリガー値の変更は、主にソフトウェア更新の場合に、適用される。測定された患者データの1又はそれ以上が所定の限界値を超える場合に患者ステーションソフトウェアによって自動的にトリガーされる警告の間、測定データは、警告の原因と共にサーバへ送られる。GP及び/又は病院による警告確認は、また、サーバ21に記憶される。エラーは、上述されたように処理される。
【0042】
患者ステーション10とGP/病院ステーション22との間の通信は、異なったプロトコル、即ち、“診察”、“情報”及び“警告”を有する。GP及び/又は患者によってトリガーされる診察プロトコルで、双方がサーバデータベース28にログインする。患者及び医師は同じデスクトップを見て、(ハンズフリー)電話によって会話する。自動的にトリガーされる情報プロトコルで、投薬の推奨変更に関する情報がGPへ与えられる。確認は、情報が患者へ送信される前に、GPによって与えられる。この目的のために、GP/病院ステーション22はユーザインターフェース29を有する。自動的にトリガーされる警告プロトコルで、測定データ及び警告の原因がサーバ21及びGPステーション22へ送られる。GP/病院ステーション22による確認は、また、サーバ21に記憶される。エラーは、先と同じく、上述されたように処理される。
【0043】
全ての患者データはサーバ21へ送られる。サーバ21は、GP/病院ステーション22を介して患者データにアクセスし、それを示し、且つ編集するよう、更に、患者ステーション10でデータを示すよう、ウェブベースのインターフェースを提供する。更なるサービスステーション23は、システム保守及びデータダウンロードを可能にするが、患者に関するデータの変更を認めない。
【0044】
サーバ21は、以下の機能、即ち、データ管理、データファイリング、制御データアクセス、バイナリデータ記憶、及びバックアップを提供する。更に、サーバ21は、患者データベース28と、患者データベース28へのGPアクセスのためのウェブインターフェース又はクライアントサーバアプリケーションとを設けることによって、患者管理システムを提供する。更に、患者データの変更が記録される。サーバ21は、また、自動呼び出し対応を提供する。即ち、サーバ21は、同時に入来する呼び出しを処理し、患者ステーション10との自動データ交換を可能にする。
【0045】
患者データ及び測定データは、データベース28に記憶される。データベース28へのアクセスは、患者ステーション10及びGP/病院ステーション22が利用できるようにされる。データベース28及びデータベースソフトウェアは、1つのGPのみが任意の時点で特定の患者を処理することが保証されるように構成されており、従って、医師の複数診察及び余分の労働を回避する。また、患者データへの全てのアクセスが記憶され得ること及び、データ又は分析が誤って削除され得ないことが保証される。
【0046】
サーバ21上のデータ及び、特にデータベース28内の患者データは、データ損失に対して保護される。毎日のバックアップ及び物理的に余剰なデータ記憶が必須である。更に、データベース28は、並列RAIDシステムに保持され、従って、データ損失の危険性及びハードディスクドライブ不具合による休止時間を最小限とする。データベース28のバックアップは、毎夜一定時点に行われる。データは、少なくとも24時間は患者ステーション10に記憶され、損失したデータの起こり得る再ロードを可能にする。
【0047】
ファイアウォールは、ハッカーの攻撃に対してデータベース28を保護するためにインストールされる。即ち、アクセスは、患者ステーション10とGPステーション22との通信のために必要なポートを介してしか認められない。更に、接続は、認められた電話番号のリストに存在する電話番号(即ち、患者ステーション10及びGPステーション22の電話番号)を有する装置へしか認められない。これは、可能ならば、適切な内部電気通信構造によって達成される。アクセスを認める前に(CLIPを介して)入来する呼び出し電話番号の手動確認は、起こり得るエラーを導入する標準的なデータ転送プロトコルの変更を必要としうる。患者に関するデータを保護するために、更なる測定は、高水準のデータインテグリティ、データセキュリティ、及びデータ保護を提供するために行われる。
【0048】
エラー警告は、患者監視システム100の動作中に起こるエラーを処理するために提供される。問題が生ずる場合に、適切な人々が、例えば、SMS、電子メール、又は電話呼び出しによって通知される。SMS又は電子メールの即時送付が保証され得ない場合、責任ある人は、深刻な問題の場合に電話によって通知されるべきである。エラー警告を保証する起こり得るトリガー状態は、患者ステーション10がデータを測定しなかった状態(これは、患者ステーション10がこの情報を渡すようサーバとコンタクトを取ったかどうかを判断された。)、患者ステーション10はデータを測定したが、データ転送に失敗した状態、患者ステーション10はデータを測定しようと試みたが、失敗であった状態、患者へのコンタクトが不可能である状態(これは、全ての患者からの記録をデータベースを介して送り、確認することによって判断された。)、サーバハードウェアの不具合、データベースのバックアップが不可能である状態、サーバ21がクラッシュした状態、又はハードディスク不具合である。更に、独立した処理は、サーバ21がダウンしている場合を検出するよう定期的にサーバ21にネットワークの接続を確認するよう、患者ステーション10で実行される。
【0049】
GP/病院ステーション22は以下の機能を提供する。即ち、GPステーションは、評価のためにサーバ21に記憶された患者データへのアクセスを可能にする。患者データは、GPステーション22を介してしか入力/変更され得ない。警報又は警告の場合に、GP及び患者は、サーバ21へ接続するよう促される。GP/病院ステーション22は、例えばPC又はラップトップといった、GPユーザインターフェース29を有する。新しい患者が加えられるべき場合、新しいデータベース入力はGPユーザインターフェース29を介して発生しうる。以下のデータ、即ち、警報及び警告の通知、投薬状況の変更通知、投薬状況の提示、患者データの閲覧/編集、自動診断の承認/拒絶は、GP/病院ステーション22で照合され得る。
【0050】
サービスステーション23は、データベース管理のために並びにソフトウェア及び手順管理のために使用される。サービスステーション23は、以下の機能、即ち、データベース管理タスク、患者データベース照合(例えば、統計値の発生)、サーバ機能確認、(GP/病院ステーション22への)ソフトウェアの配布を提供する。例えばPC又はラップトップの形をとる技術者ユーザインターフェース30を用いて、以下の動作、即ち、データベースでの全ての匿名入力へのアクセス読み出し(即ち、個人データへのアクセスなし。)、ソフトウェア管理、及びデータベース管理が実行され得る。
【0051】
全てのコンピュータは、PC型コンピュータとして実施されても良い。しかし、望ましくは、それらは、小さな、患者に関連する又はベッドに関連する装置に収まるために、小型のマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラ、又は、適切な作動環境にある同様の装置として実施される。
【0052】
当業者には明らかなように、本発明は、前出の実施例の詳細に限定されず、本発明は、その精神又は本質的な特性から逸脱することなく他の特定の形態で具体化され得る。従って、本実施形態は、限定としてではなく、全て例示として考えられるべきであり、本発明の適用範囲は、先の記載よりもむしろ、添付の特許請求の範囲によって示唆され、従って、特許請求の範囲の意義及び均等の範囲の中に含まれる全ての変更は、その中に包含されるよう意図される。更に、語「有する」は他の要素又はステップを除外しているわけではなく、語「1つの」は複数個を除外しているわけではなく、例えばコンピュータシステム又は他のユニットのような単一の要素は、特許請求の範囲に挙げられた幾つかの手段の機能を果たしても良いことが明らかである。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、関連する請求項を限定するよう解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に従う患者監視システムを示す概略のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者ステーションを有し、
前記患者ステーションは、患者搬送手段及び/又は患者の衣服に組み込まれた、患者データを測定するための多数のセンサへ接続され、
前記患者ステーションは、測定された患者データを解析するよう構成され、且つ
前記患者ステーションは、前記測定された患者データに基づくフィードバック情報を知識ベースシステムにより前記患者へ提供するよう構成される、患者監視システム。
【請求項2】
前記多数のセンサは、
前記患者の体重を測定するセンサ、及び/又は
前記患者の心拍を測定するセンサ、及び/又は
前記患者の肺活動を測定するセンサ、及び/又は
前記患者の生体インピーダンスを測定するセンサ、及び/又は
前記患者の心臓拍出量を測定するセンサ、及び/又は
前記患者のECG信号を測定するセンサ、及び/又は
前記患者の位置を測定するセンサ、及び/又は
前記患者の水分貯留を測定するセンサを有する、請求項1記載の患者監視システム。
【請求項3】
前記患者ステーションと、前記多数のセンサのうちの少なくとも1つとの間のリンクは無線リンクである、請求項1記載の患者監視システム。
【請求項4】
前記フィードバック情報は、投薬の変更、及び/又は、ダイエット若しくはスポーツの推奨、及び/又は、医療専門家との接触を求めるアドバイスを含む、請求項1記載の患者監視システム。
【請求項5】
前記患者ステーションは、直接の患者入力を受け取るよう構成され、前記患者が当該患者ステーションと情報をやり取りすることを可能にする、請求項1記載の患者監視システム。
【請求項6】
前記患者ステーションは、測定プロセスを制御するよう構成される、請求項1記載の患者監視システム。
【請求項7】
前記患者ステーションは、外部装置及び/又は外部ネットワークへ接続可能である、請求項1記載の患者監視システム。
【請求項8】
前記患者ステーションへ直接的に又は間接的に接続可能な外部サーバ及び/又は外部GP/病院ステーション及び/又は外部サービスステーションを更に有する、請求項7記載の患者監視システム。
【請求項9】
患者搬送手段及び/又は患者の衣服に組み込まれ、患者ステーションへ接続される多数のセンサによって患者データを測定するステップと、
前記患者ステーションによって、測定された患者データを解析するステップと、
前記測定された患者データに基づくフィードバック情報を、知識ベースシステムを用いる前記患者ステーションによって提供するステップとを有する患者監視方法。
【請求項10】
当該コンピュータプログラムがコンピュータで実行される場合に、
患者搬送手段及び/又は患者の衣服に組み込まれ、患者ステーションへ接続される多数のセンサによって測定された患者データを解析するコンピュータ命令を有し、
前記測定された患者データに基づくフィードバック情報を、知識ベースシステムによって前記患者ステーションから前記患者へ提供するコンピュータ命令を有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【公表番号】特表2008−536607(P2008−536607A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507212(P2008−507212)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051044
【国際公開番号】WO2006/111878
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】